説明

緊急通報装置及び緊急通報方法

【課題】 通報負荷を必要最小限に抑えながら、緊急事態の発生状況を効率的に通報できる緊急通報装置を提供する。
【解決手段】 緊急事態の発生を通報する緊急対応者と関係者との連絡情報を記録する固定情報記録ユニット3と、緊急情報発信者と緊急対応者との間で交わされた会話を記録する記録ユニット6と、緊急事態が発生した際に、固定情報記録ユニット3から緊急対応者の連絡情報を読み出して、該連絡情報に基づき緊急情報発信者と緊急対応者との間で会話が行われるようにすると共に、交わされた会話を緊急メッセージとして記録ユニット6に記録させる通報ユニット4と、記録ユニット6による緊急メッセージの記録が終了すると、固定情報記録ユニット3から関係者の連絡情報を読み出して、該連絡情報に基づき緊急メッセージを関係者に通知する連絡ユニット7と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急通報装置及び緊急通報方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、核家族化や仕事上の都合から、高齢者等の被介護者が介護者と離れて居住している場合がある。そこで、在宅の被介護者が健康異常を起こしたような場合に、介護事業者等に緊急事態の発生を速やかに通報して、適切な対応を行うことが必要となる。このために緊急事態の発生を通報する緊急通報装置が求められる。
【0003】
このような緊急通報装置に関連する提案として、例えば実用新案登録第3113136号公報、特開2000−78287号公報及び、特開昭64−58155号公報がある。
【0004】
実用新案登録第3113136号公報は、音声を記録媒体に録音する録音手段と、鉄道車両に生じた緊急事態を検知する検知手段と、緊急事態が検知された場合に、録音手段に現在の録音動作を停止させ、緊急事態の状況を録音させる制御手段とを備えた鉄道車両用のボイスレコーダを提案している。これにより、緊急事態に関する状況が容易に記録できるようにしている。
【0005】
一方、特開2000−78287号公報は、顧客に対応して割当てられた担当者(応答者)が不在のときに、当該顧客からの電話を代理の応対者に転送し、かつ、顧客と代理応対者との間で交わされる通話内容を自動録音する応答制御方式を開示している。この自動録音された内容は正規の担当者に自動送信されるので、担当者が戻った場合には顧客からの電話内容を知ることができる。
【0006】
さらに、特開昭64−58155号公報は、録音手段による録音が行われると、予め設定された電話番号の使用者に自動発呼する手段と、回線に到来する押ボタンダイヤル信号による暗証番号を識別する手段と、この識別手段により識別された暗証番号が予め設定された番号と一致するときに録音手段により録音された音声を回線に送出する手段とを備えた留守番電話機を提案している。これにより他人に録音内容を漏らすことなく速やかに使用者に知らせることができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3113136号公報
【特許文献2】特開2000−78287号公報
【特許文献3】特開昭64−58155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
緊急事態が発生した場合には、適切に状況を関係者に通知する必要がある。例えば、独居老人が体調不良を起こした場合に、医療機関や肉親に連絡する作業は非常に大きな負荷となる。
【0009】
しかし、実用新案登録第3113136号公報にかかる技術は、ボイスレコーダに関する技術であるので、その性質から録音した情報は、自動発信等されることがない。従って、当事者は緊急事態を関係者に連絡するための作業が必要になり、当事者の負荷を軽減しながら、効率よく緊急情報を関係者に報知することができない問題がある。
【0010】
また、特開2000−78287号公報においては、本来の担当者が在籍している場合には、通話内容は録音されない。従って、通話内容に緊急情報が含まれていても情報の共有化できないため、通報負荷を軽減しながら、効率よく緊急情報を関係者に報知することができない問題がある。
【0011】
さらに、特開昭64−58155号公報は、他人に録音内容を漏らすことなく速やかに使用者に知らせるための技術であるが、緊急時にあっては、寧ろ緊急事態であることを広く報知して、適切な対応を求める必要がある。従って、報知先を制限する技術は、緊急事態を通報する技術として、適用できない問題があった。
【0012】
このように、各特許文献にかかる提案では、緊急事態が発生したときに、緊急情報発信者の通知負荷を最小限に止めながら、効率よく所定の関係者に通知することが困難であった。
【0013】
そこで、本発明の主目的は、通報負荷を必要最小限に抑えながら、緊急事態の発生状況を効率的に通報できる緊急通報装置及び緊急通報方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明にかかる緊急通報装置は、緊急事態の発生を通報する緊急対応者と関係者との連絡情報を記録する固定情報記録ユニットと、緊急情報発信者と緊急対応者との間で交わされた会話を記録する記録ユニットと、緊急事態が発生した際に、固定情報記録ユニットから緊急対応者の連絡情報を読み出して、該連絡情報に基づき緊急情報発信者と緊急対応者との間で会話が行われるようにすると共に、交わされた会話を緊急メッセージとして記録ユニットに記録させる通報ユニットと、記録ユニットによる緊急メッセージの記録が終了すると、固定情報記録ユニットから関係者の連絡情報を読み出して、該連絡情報に基づき緊急メッセージを関係者に通知する連絡ユニットと、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、緊急通報方法は、緊急事態の発生を通報する緊急対応者と関係者との連絡情報を記録する固定情報記録手順と、緊急情報発信者と緊急対応者との間で交わされた会話を記録する記録手順と、緊急事態が発生した際に、固定情報記録手順から緊急対応者の連絡情報を読み出して、該連絡情報に基づき緊急情報発信者と緊急対応者との間で会話が行われるようにすると共に、交わされた会話を緊急メッセージとして記録手順に記録させる通報手順と、記録手順による緊急メッセージの記録が終了すると、固定情報記録手順で記録された関係者の連絡情報を読み出して、該連絡情報に基づき緊急メッセージを関係者に通知させる連絡手順と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、緊急情報発信者と緊急対応者との会話内容を自動的に関係者に送信するので、通報負荷を必要最小限に抑えながら、緊急事態の発生状況を効率的に通報できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる緊急通報装置のブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態にかかる緊急通報装置のブロック図である。
【図3】第2の実施形態にかかる緊急通報装置における関係者が1の場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態にかかる緊急通報装置における関係者が複数の場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第3の実施形態にかかる緊急通報装置のブロック図である。
【図6】第3の実施形態にかかる緊急通報装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第4の実施形態にかかる緊急通報装置のブロック図である。
【図8】第4の実施形態にかかる緊急通報装置における緊急対応者への通報手順を示すフローチャートである。
【図9】第4の実施形態にかかる緊急通報装置における関係者からの問い合わせに対する通報手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第5の実施形態にかかる緊急通報装置のブロック図である。
【図11】第5の実施形態にかかる緊急通報装置の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
本発明の第1実施形態を説明する。図1は、本実施形態にかかる緊急通報装置2Aのブロック図である。緊急通報装置2Aは、固定情報記録ユニット3、記録ユニット6、通報ユニット4及び、連絡ユニット7を備える。
【0019】
固定情報記録ユニット3は、緊急事態の発生を通報する緊急対応者と関係者との連絡情報を記録する。記録ユニット6は、緊急情報発信者と緊急対応者との間で交わされた会話を記録する。通報ユニット4は、緊急事態が発生した際に、固定情報記録ユニット3から緊急対応者の連絡情報を読み出して、該連絡情報に基づき緊急情報発信者と緊急対応者との間で会話が行われるようにすると共に、交わされた会話を緊急メッセージとして記録ユニット6に記録させる。連絡ユニット7は、記録ユニット6による緊急メッセージの記録が終了すると、固定情報記録ユニット3から関係者の連絡情報を読み出して、該連絡情報に基づき緊急メッセージを関係者に通知する。
【0020】
このような構成で、緊急事態が発生すると緊急情報発信者が緊急対応者に緊急状況を会話により通報する。この会話は緊急メッセージとして記録ユニット6に記録され、関係者に自動送信される。従って、緊急情報発信者は、緊急対応者に通報するだけで、関係者にも緊急情報を通報することが可能になり、通報負荷を必要最小限に抑えながら、緊急事態の発生状況を効率的に通報できる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を説明する。図2は、本実施形態にかかる緊急通報装置2Bのブロック図である。緊急通報装置2Bは、主制御部11、操作部12、緊急メッセージ記録部13、登録情報記録部14、メッセージ制御部15、録音/再生制御部16、発呼制御部17、通話制御部18を備え、これらがバスにより接続されている。
【0021】
なお、第1の実施形態との関係では、主制御部11、操作部12及び登録情報記録部14は固定情報記録ユニット3に対応し、主制御部11、操作部12、緊急メッセージ記録部13及び録音/再生制御部16は記録ユニット6、に対応し、主制御部11、発呼制御部17、通話制御部18は通報ユニット4に対応し、主制御部11、メッセージ制御部15、発呼制御部17、通話制御部18は連絡ユニット7に対応する。
【0022】
主制御部11は、緊急通報装置2Bの全体を制御する。操作部12は、通報ボタンや各種機能キーを備えたユーザインターフェースである。緊急メッセージ記録部13は、緊急メッセージを記録する。この緊急メッセージ記録部13における記録方式は、磁気テープ方式でも良く、半導体メモリ方式でも良い。登録情報記録部14は、緊急対応者や関係者の電話番号等の連絡情報を記録する。この登録情報記録部14における記録方式は、記録内容を選択して読み出す必要があるため、半導体メモリ方式が好ましい。
【0023】
メッセージ制御部15は、関係者に緊急メッセージを送出する制御を行う。録音/再生制御部16は、緊急メッセージの録音や再生を制御する。発呼制御部17は、緊急対応者や関係者への発呼を制御する。通話制御部18は、マイク19、スピーカ20、ハンドセット21を含んで通話制御を行う。なお、緊急通報装置2Bは、緊急対応者や関係者側に備えられている固定電話や携帯電話機等の利用者端末31と電話回線32により接続されている。
【0024】
このような緊急通報装置2Bの動作を、図3を参照して説明する。図3は、通報処理を示すフローチャートである。このとき、理解を容易にするために、緊急情報発信者を例えば独居老人、緊急対応者を在宅看護業者、関係者を独居老人の子供として説明する。先ず、処理開始の前提として、緊急情報発信者は、操作部12から緊急対応者と関係者との電話番号(連絡情報)を予め登録情報記録部14に登録しているものとする。
【0025】
このような状況で、緊急情報発信者に緊急事態が発生すると、緊急情報発信者は、操作部12に設けられている通報ボタン10を押す(ステップS101)。主制御部11は、この通報ボタン10が押されたことを検出すると、登録情報記録部14から緊急対応者の電話番号を読出し、発呼制御部17に読出された電話番号の緊急対応者に対して発呼を行なわせる(ステップS102)。
【0026】
この発呼に対して緊急対応者が応答すると、主制御部11は、録音/再生制御部16に対して緊急情報発信者と緊急対応者との間で交わされる通話内容(緊急メッセージ)の録音を開始させる(ステップS103)。録音は、緊急情報発信者が通話制御部18のマイク19とスピーカ20を用いてハンズフリー方式で通話を行い又はハンドセット21を用いて通話を行う。
【0027】
主制御部11は、緊急情報発信者と緊急対応者との通話が終了したか否かを判断する(ステップS104)。そして、主制御部11は、通話終了トーン(Progress Tone)等の受信により通話が終了したと判断すると、録音/再生制御部16に録音の停止を指示すると共に、録音された緊急メッセージを緊急メッセージ記録部13に記録させる(ステップS105)。なお、緊急メッセージを録音する際に、直接緊急メッセージ記録部13に記録してもよい。
【0028】
次に、主制御部11は、登録情報記録部14から関係者の電話番号を読出して、発呼制御部17に発呼させる(ステップS106)。この発呼に対して関係者が応答すると、主制御部11はメッセージ制御部15に緊急メッセージを通報するように指示する。メッセージ制御部15は、緊急メッセージ記録部13から緊急メッセージを読み出して、通話制御部18を介して緊急メッセージを関係者に通知する(ステップS107)。
【0029】
このように、緊急情報発信者(例えば、独居老人)に緊急事態が発生した場合に、緊急対応者(例えば、在宅看護業者)と交わした会話内容が、関係者(例えば、息子)に自動的に通知される。
【0030】
緊急事態が発生したとき、老人は専門家による対応を望む一方で、肉親による精神的な支えを強く望むが、在宅看護業者と息子との両方に連絡することは、老人に大きな通報負荷を強いることになる。しかし、最も適切な対応が可能な在宅看護業者に緊急事態の発生を通報するだけで、息子等の関係者に自動的に通知が行われることにより、緊急情報発信者の通報負荷を最小限に抑えながら、効率よく関係者に通報できるようになる。
【0031】
また、息子は緊急事態の発生の事実を迅速に知ることができると共に、老人と在宅看護業者との会話内容を聞くことにより、在宅看護業者と息子とが同じ情報を共有化するので、在宅看護業者からの意見を求め易くなり、息子も適切な対応が行えるようになる。
【0032】
主制御部11は、関係者に対して緊急メッセージの通報が終了したか否かを判断する(ステップS108)。そして、緊急メッセージの通報が終了したと判断した場合には、削除待ち時間の経過を条件に緊急メッセージが緊急メッセージ記録部13から消去される(ステップS109)。この削除待ち時間は、関係者への通知が終了してから緊急メッセージを削除するまでの時間である。例えば、削除待ち時間がゼロの場合は、関係者への通報が終了すると直ちに緊急メッセージが消去され、削除待ち時間が1日の場合は、通報が終了してから1日後に緊急メッセージが消去される。この削除待ち時間は、予め設定できるようになっている。
【0033】
このように、削除待ち時間を設定したのは、例えば緊急メッセージの内容を再確認できるようにするためである。例えば、緊急情報発信者のケアを担当しているケア担当者が不在のときに、緊急事態が発生した場合を考える。この場合は、在籍する他の者が緊急情報発信者と通話することになる。しかし、他の者は緊急情報発信者の平常状態を知らないため、緊急度を適正に認識・判断することができないことがある。緊急メッセージは音声情報であるため、平常状態を知るケア担当者は、通報内容や声の抑揚等から緊急状態を適切に判断できることがある。このように緊急メッセージの再確認が行えるように、削除待ち時間が設定されている。
【0034】
なお、上記説明では、関係者は1人として説明した。しかし、関係者は複数存在してもよい。このような場合には、図4に示すように、全ての関係者に対して緊急メッセージが通知されたか否かの判断を追加する(ステップS121)。未通知の関係者が存在する場合には、ステップS106に戻る。一方、全ての関係者に対して通知が行われた場合には、ステップS109に進み、削除待ち時間の経過後に緊急メッセージが消去される(ステップS109)。
【0035】
このように関係者を複数登録可能にすることで、例えば独居老人の近くに息子が住んでおり、この息子より少し離れた所に娘が住んでいるような場合、息子が外出等により緊急状態の発生を通知することができなくても、娘に通知できるので、独居老人は非常に大きな安心感を持つことができる。また、複数の関係者のうちで、1人の関係者が転居等して、電話番号が不明又は未登録の場合でも、残りの関係者に通報できるので、確実に関係者に緊急事態の発生を通報することができる。
【0036】
なお、上述した緊急メッセージ記録部13は、緊急情報発信者側に設置されている緊急通報装置2Bに内設されている場合について説明したが、緊急対応者側に設けても良い。例えば、次の第3の実施形態において説明するように、緊急事態が火災等の場合には、緊急通報装置の消失等により使えなくなる事態が発生し得る。このような事態に備えて、緊急メッセージ記録部13を在宅看護業者等の緊急対応者側に配置することで、関係者への通知が確実に行えるようになる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態を説明する。なお、第2実施形態と同一構成に関しては、同一符号を用いて説明を適宜省略する。
【0037】
第2実施形態においては、緊急情報発信者が操作部12の通報ボタン10を押して緊急事態を通報するようにした。即ち、緊急事態の発生の通報の前提として、緊急情報発信者が緊急事態の発生を認識しているとした。しかし、緊急情報発信者が緊急事態の発生を認識できない場合や認識した時点では対応が遅い場合がある。このような事態の発生に備えて、火災センサ、ガス漏れセンサ、防犯センサ等の緊急事態検出器が設けられている。ところが、独居老人等は、これら緊急事態検出器が発した情報に素早く対処できないことがある。そこで、本実施形態では、緊急事態検出器からの情報に基づき、緊急メッセージが送信できるようにする。
【0038】
図5は、このような機能を備えた緊急通報装置2Cのブロック図であり、図6はその動作を示すフローチャートである。当該緊急通報装置2Cには、センサ23からの信号が入力するセンサ制御部24が設けられている。図5においては、火災センサ23a、ガス漏れセンサ23b、防犯センサ23cを含むセンサ23が設けられている。そして、各センサ23a〜23cに対応する火災センサ制御部24a、ガス漏れセンサ制御部24b、防犯センサ制御部24cを含むセンサ制御部24が設けられている。なお、本実施形態は、センサの種類や数を限定するものではない。
【0039】
主制御部11がセンサ23からの緊急信号がセンサ制御部24に入力したと判断すると(ステップS131)、主制御部11は、登録情報記録部14に登録されている緊急対応者の電話番号を読出して、発呼制御部17に発呼を行なわせる(ステップS102)。
【0040】
そして、発呼先が応答すると、主制御部11は、録音/再生制御部16に対して、緊急情報発信者と緊急対応者との間で交わされる通話内容(以下、緊急メッセージという)の録音を開始させる(ステップS103)。
【0041】
また、主制御部11は、緊急信号の種類(通報要因)に応じて、予め登録されている通報要因を緊急メッセージ記録部13から読み出して、出力させる(ステップS132)。
【0042】
この通報要因としては、例えば火災センサ制御部24aが緊急信号を受信した場合には「火災が発生しました」、ガス漏れセンサ制御部24bが緊急信号を受信した場合には「ガス漏れが発生しました」等のように緊急信号を出力したセンサに対応したメッセージである。これらのメッセージは、緊急メッセージ記録部13にセンサの種類を特定する識別符号と共に予め格納されている。なお、識別符号は、火災センサ制御部24aの場合は「1」、ガス漏れセンサ制御部24bの場合は「2」のような番号が例示できる。
【0043】
従って、主制御部11は、どのセンサ制御部が緊急信号を受信したかを判断して、例えば火災センサ制御部24aの場合は、識別符号が「1」のメッセージを緊急メッセージ記録部13から読み出して出力させる。ステップS132から以下の処理は、第2実施形態と同じ処理が行われる。
【0044】
このように通報要因を緊急情報発信者と緊急対応者との通話に先立ち送信することで、通報内容の概要が緊急対応者に通報されるので、例えば緊急情報発信者がパニック状態になり、緊急状態を的確に通報する事ができない場合でも、緊急対応者が緊急状態を予測しながら会話できる。従って、適切な対応が可能になる。
【0045】
なお、緊急情報発信者が火災等の緊急事態の発生を認識していない場合もある。このような場合には、通報要因のメッセージは送信されるが、緊急情報発信者と緊急対応者との通話は行われないので、ステップS104における通話終了の判断は、未終了となって、ステップS105以降の処理が行われない。そこで、通話に要する時間(例えば、10分)が経過した後は、通話が終了したと判断して、ステップS105に進むようにすることが好ましい。これにより、緊急対応者が緊急情報発信者に、例えば火災が発生しているので避難しなさい等の緊急の対応を指示することが可能になる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態を説明する。なお、第2実施形態と同一構成に関しては、同一符号を用いて説明を適宜省略する。これまでの各実施形態においては、関係者に緊急メッセージを通知する方法として電話を例に説明した。しかし、本発明は、かかる電話による通知に限定されるものではない。特に、緊急対応者は介護事業者等の場合は、誰かが必ず在籍して緊急事態の発生に備えているが、関係者は必ず在籍しているとは限らない。従って、関係者への通知を電話連絡とすると、関係者が不在の場合には緊急事態の発生が通知できないことがある。
【0046】
このような場合には、関係者が留守の時でも情報を残すことができる電子メール等により通知することが好ましい。しかし、老人には電子メールによる通知を苦手とする人が多い。第3実施形態で説明したような通報要因は、緊急情報発信者の手を煩わせなくても通知することができる。そして、関係者が電子メールを見ることにより緊急情報発信者に緊急事態が発生したことを知ると、緊急情報発信者に問い合わせて、緊急状態の状況を確認すればよい。
【0047】
図7は、このような通知方法を実現する緊急通報装置2Dのブロック図である。緊急通報装置2Dは、図2に示す緊急通報装置2Bに対して、メール制御部26及びDTMF信号検出部25が追設されている。メール制御部26は、インターネット28を介してパーソナルコンピュータや携帯電話等の情報端末に接続され、DTMF信号検出部25は電話回線32を介して固定電話や携帯電話等の利用者端末31に接続されている。関係者のメールアドレスや緊急通報装置2Dが自動応答する回線リンガ検出回数は、操作部12から登録情報記録部14に予め登録しておく。
【0048】
図8は、この緊急通報装置2Dにおける電子メール送信手順を示したフローチャートである。緊急事態が発生して、緊急情報発信者により通報ボタン10が押されると(ステップS101)、緊急対応者への発呼が行われて、緊急情報発信者と緊急対応者との会話(緊急メッセージ)が録音される(ステップS102,S103)。そして、会話が終了すると、録音が終了して記録される(ステップS104、S105)。
【0049】
会話の記録が終了すると、主制御部11は、メール制御部26に登録情報記録部14から関係者のメールアドレスを読み出させて、該メールアドレスに連絡メールを送信する(ステップS141)。このときの連絡メールは、緊急メッセージとしてもよいが、上述したように定型文の通報要因だけを内容としてもよい。以下の説明では、定型文の通報要因だけを内容とする場合について説明する。
【0050】
連絡メールを受信した関係者は、緊急情報発信者に緊急事態が発生したことを知ることができる。そこで、関係者は、緊急通報装置2Dに電話等の手段により緊急状況を確認する。図9は、このような連絡メールを受けた関係者が緊急メッセージを聞くための手順を示したフローチャートである。
【0051】
関係者が緊急通報装置2Dに電話をかけると、通話制御部18は登録情報記録部14に記録された回線リンガ検出回数だけ回線リンガを検出したか否かを判断する(ステップS151)。回線リンガ検出回数だけ回線リンガを検出した場合は、回線を閉結して(ステップS152)、再生コードの検出を行う(ステップS153)。
【0052】
この再生コードとしてDTMF(Dual−Tone Multi−Frequency)信号を用いることができる。再生コードを検出すると、主制御部11は通話制御部18に緊急メッセージ記録部13から緊急メッセージを読み出して再生させる(ステップS107)。そして、緊急メッセージの再生が終了すると(ステップS108)、削除待ち時間の経過後に緊急メッセージを緊急メッセージ記録部13から削除する(ステップS109)。なお、DTMF(Dual−Tone Multi−Frequency)信号は、一般のPSTNプロトコルに従う信号であるので、関連者を選択するための識別信号でない。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態を説明する。なお、第2実施形態と同一構成に関しては、同一符号を用いて説明を適宜省略する。
【0053】
これまでの各実施形態においては、緊急情報発信者(例えば、老人)が、関係者(例えば、息子)と別居している場合を想定して説明した。しかし、緊急情報発信者と関係者が同居しているが、関係者が外出しているときに、緊急事態が発生することもある。関係者が在宅しているときに、緊急メッセージを関係者に通知する必要はなく、通知する必要があるのは不在のときである。
【0054】
そこで、本実施形態では、関係者が留守の時にのみ通知するようにした。図10は、このような緊急通報装置2Eのブロックである。緊急通報装置2Eは、図2に示す緊急通報装置2Bに対して留守スイッチ30が追設されている。この留守スイッチ30は、関係者が不在にするときに押すスイッチである。
【0055】
図11は、緊急通報装置2Eの処理手順を示すフローチャートである。緊急事態が発生して通報ボタン10が押されると緊急対応者に発呼が行われ、会話(緊急メッセージ)が録音される(ステップS101〜S103)。そして、会話が終了して、緊急メッセージの記録が行われると(ステップS104,S105)、留守スイッチ30が押されているか否かの判断を主制御部11が行う(ステップS161)。
【0056】
留守スイッチ30が押されていない場合(関係者が在宅の場合)は、緊急メッセージを通知する必要がないので、処理は終了する。一方、留守スイッチ30が押されている場合(関係者が不在の場合)は、関係者に緊急メッセージを通知すべくステップS106〜ステップS109の処理が行われる。ステップS106〜ステップS109の処理については、第2実施形態で説明したので、重複説明を避ける。
【0057】
なお、緊急メッセージを送付するばかりでなく、第4実施形態において説明した電子メールによる通知も可能である。
【0058】
以上説明した本発明の特徴を以下に付記として纏める。
(付記1)
緊急事態の発生を通報する緊急対応者と関係者との連絡情報を記録する固定情報記録ユニットと、
前記緊急情報発信者と前記緊急対応者との間で交わされた会話を記録する記録ユニットと、
緊急事態が発生した際に、前記固定情報記録ユニットから前記緊急対応者の連絡情報を読み出して、該連絡情報に基づき前記緊急情報発信者と前記緊急対応者との間で会話が行われるようにすると共に、交わされた会話を緊急メッセージとして前記記録ユニットに記録させる通報ユニットと、
前記記録ユニットによる前記緊急メッセージの記録が終了すると、前記固定情報記録ユニットから前記関係者の連絡情報を読み出して、該連絡情報に基づき前記緊急メッセージを前記関係者に通知する連絡ユニットと、を備えることを特徴とする緊急通報装置。
【0059】
(付記2)
付記1に記載の緊急通報装置であって、
前記通報ユニットが、緊急事態が発生したことを検出して、前記通報ユニットに前記緊急対応者を呼び出させる緊急事態検出部を備えることを特徴とする緊急通報装置。
【0060】
(付記3)
付記2に記載の緊急通報装置であって、
前記緊急事態検出部は、緊急情報発信者に押圧された際に、緊急事態が発生したとする通報ボタンを含むことを特徴とする緊急通報装置。
【0061】
(付記4)
付記2又は3に記載の緊急通報装置であって、
前記緊急事態検出部は、緊急事態を検出するセンサからの緊急信号を受信するセンサ制御部を含むことを特徴とする緊急通報装置。
【0062】
(付記5)
付記2乃至4のいずれか1項に記載の緊急通報装置であって、
前記緊急事態検出部は、前記関係者が前記緊急情報発信者から離れていることを検出する留守スイッチを含むことを特徴とする緊急通報装置。
【0063】
(付記6)
付記1乃至5のいずれか1項に記載の緊急通報装置であって、
前記連絡ユニットは、前記緊急メッセージを電話又は連絡メールにより通知することを特徴とする緊急通報装置。
【0064】
(付記7)
付記1乃至6のいずれか1項に記載の緊急通報装置であって、
前記連絡ユニットは、前記緊急情報発信者と前記緊急対応者との会話が開始される前に、前記緊急情報発信者に緊急要因を通知することを特徴とする緊急通報装置。
【0065】
(付記8)
付記1乃至6のいずれか1項に記載の緊急通報装置であって、
前記連絡ユニットは、前記関係者からの問い合わせに対して前記緊急メッセージを通知することを特徴とする緊急通報装置。
【0066】
(付記9)
緊急事態の発生を通報する緊急対応者と関係者との連絡情報を記録する固定情報記録手順と、
前記緊急情報発信者と前記緊急対応者との間で交わされた会話を記録する記録手順と、
緊急事態が発生した際に、前記固定情報記録手順から前記緊急対応者の連絡情報を読み出して、該連絡情報に基づき前記緊急情報発信者と前記緊急対応者との間で会話が行われるようにすると共に、交わされた会話を緊急メッセージとして前記記録手順に記録させる通報手順と、
前記記録手順による前記緊急メッセージの記録が終了すると、前記固定情報記録手順で記録された前記関係者の連絡情報を読み出して、該連絡情報に基づき前記緊急メッセージを前記関係者に通知させる連絡手順と、を含むことを特徴とする緊急通報方法。
【0067】
(付記10)
付記9に記載の緊急通報方法であって、
前記通報手順は、緊急事態が発生したことを検出して、前記通報手順に前記緊急対応者を呼び出させる緊急事態検出手順を含むことを特徴とする緊急通報方法。
【0068】
(付記11)
付記9又は10に記載の緊急通報方法であって、
前記連絡手順は、前記緊急メッセージを電話又は連絡メールにより通知する手順を含むことを特徴とする緊急通報方法。
【0069】
(付記12)
付記9乃至11のいずれか1項に記載の緊急通報方法であって、
前記連絡手順は、前記緊急情報発信者と前記緊急対応者との会話が開始される前に、前記緊急情報発信者に緊急要因を通知する手順を含むことを特徴とする緊急通報方法。
【0070】
(付記13)
付記9乃至12のいずれか1項に記載の緊急通報方法であって、
前記連絡手順は、前記関係者からの問い合わせに対して前記緊急メッセージを通知する手順を含むことを特徴とする緊急通報方法。
【符号の説明】
【0071】
2A〜2E 緊急通報装置
3 固定情報記録ユニット
4 通報ユニット
6 記録ユニット
7 連絡ユニット
10 通報ボタン
11 主制御部
12 操作部
13 緊急メッセージ記録部
14 登録情報記録部
15 メッセージ制御部
16 録音/再生制御部
17 発呼制御部
18 通話制御部
23 センサ
24 センサ制御部
26 メール制御部
30 留守スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急事態の発生を通報する緊急対応者と関係者との連絡情報を記録する固定情報記録ユニットと、
前記緊急情報発信者と前記緊急対応者との間で交わされた会話を記録する記録ユニットと、
緊急事態が発生した際に、前記固定情報記録ユニットから前記緊急対応者の連絡情報を読み出して、該連絡情報に基づき前記緊急情報発信者と前記緊急対応者との間で会話が行われるようにすると共に、交わされた会話を緊急メッセージとして前記記録ユニットに記録させる通報ユニットと、
前記記録ユニットによる前記緊急メッセージの記録が終了すると、前記固定情報記録ユニットから前記関係者の連絡情報を読み出して、該連絡情報に基づき前記緊急メッセージを前記関係者に通知する連絡ユニットと、を備えることを特徴とする緊急通報装置。
【請求項2】
請求項1に記載の緊急通報装置であって、
前記通報ユニットが、緊急事態が発生したことを検出して、前記通報ユニットに前記緊急対応者を呼び出させる緊急事態検出部を備えることを特徴とする緊急通報装置。
【請求項3】
請求項2に記載の緊急通報装置であって、
前記緊急事態検出部は、緊急情報発信者に押圧された際に、緊急事態が発生したとする通報ボタンを含むことを特徴とする緊急通報装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の緊急通報装置であって、
前記緊急事態検出部は、緊急事態を検出するセンサからの緊急信号を受信するセンサ制御部を含むことを特徴とする緊急通報装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の緊急通報装置であって、
前記緊急事態検出部は、前記関係者が前記緊急情報発信者から離れていることを検出する留守スイッチを含むことを特徴とする緊急通報装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の緊急通報装置であって、
前記連絡ユニットは、前記緊急メッセージを電話又は連絡メールにより通知することを特徴とする緊急通報装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の緊急通報装置であって、
前記連絡ユニットは、前記緊急情報発信者と前記緊急対応者との会話が開始される前に、前記緊急情報発信者に緊急要因を通知することを特徴とする緊急通報装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の緊急通報装置であって、
前記連絡ユニットは、前記関係者からの問い合わせに対して前記緊急メッセージを通知することを特徴とする緊急通報装置。
【請求項9】
緊急事態の発生を通報する緊急対応者と関係者との連絡情報を記録する固定情報記録手順と、
前記緊急情報発信者と前記緊急対応者との間で交わされた会話を記録する記録手順と、
緊急事態が発生した際に、前記固定情報記録手順から前記緊急対応者の連絡情報を読み出して、該連絡情報に基づき前記緊急情報発信者と前記緊急対応者との間で会話が行われるようにすると共に、交わされた会話を緊急メッセージとして前記記録手順に記録させる通報手順と、
前記記録手順による前記緊急メッセージの記録が終了すると、前記固定情報記録手順で記録された前記関係者の連絡情報を読み出して、該連絡情報に基づき前記緊急メッセージを前記関係者に通知させる連絡手順と、を含むことを特徴とする緊急通報方法。
【請求項10】
請求項9に記載の緊急通報方法であって、
前記通報手順は、緊急事態が発生したことを検出して、前記通報手順に前記緊急対応者を呼び出させる緊急事態検出手順を含むことを特徴とする緊急通報方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−22448(P2012−22448A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158844(P2010−158844)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】