説明

総合的ケア効果をもつピーリングカプセル

本発明は、エマルション基剤の外皮材料および、1種または複数の研削ピーリング剤を含んでなる研削調製物を含んでなる充填材料を含んでなる、皮膚上に擦り込むことができる局所適用可能なカプセルに関する。ピーリング剤はa)25℃で3〜50,000mPasの間の粘度、好ましくは1000〜8000mPasの間、そして極めて特に好ましくは2000〜4000mPasの間の粘度をもつ油または脂質混合物、b)界面活性剤含有調製物またはc)エマルション、のいずれかの中に存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエマルション基剤の外皮材料および、研削効果をもつ調製物を含む充填材料を含んでなる、局所適用可能なカプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
表皮は異なるタイプの細胞:生殖層(stratum germinativum)、顆粒層(stratum granulosum)および角質層(stratum coreum)からなる。生殖層においては新鮮な細胞が分裂により形成され、それが皮膚の表面に定常的に移動する。そこに至る途中に顆粒層でそれらは角質化し、そして崩壊する。これらの崩壊された角質細胞は角質柱として皮膚中の大部分の細胞を含んでなる。表皮は28日以内に1回、それ自体再生してきた。通常、死滅した角質細胞は徐々に気づかれずに、それら自体で剥離する。
【0003】
例えば、手、足、肘、顔または膝のような、非常に応力を受ける身体部分および/または天候/環境の効果にさらされる身体部分において、並びに非常に乾燥した皮膚の場合においては、鱗板が次第に蓄積し、それはそれら自体では剥離せず、従って、見た目の悪い、艶のない、そして一部は破裂した皮膚すら、もたらす。
【0004】
これらの過剰な鱗板を皮膚から除去する種々の方法がある。一方では、軽石、小型タオルまたはヘチマのような種々の道具が存在する。他方では、例えば、砂、塩、砂糖または麦芽のような緩い顆粒で皮膚をこすることは広く知られている。更に、大部分の場合、研削性のプラスチック粒子を含有する洗浄ピーリング物のような美容調製物がある。皮膚を洗浄(cleanse)することができるために、大部分の洗浄ピーリング物に界面活性剤を添加する。しかし、これらの界面活性剤はプラスチック粒子のみならずまた、皮膚上に局在する内在の脂質をも除去し、従ってしばしば、使用後に皮膚の突っ張り(tightening)および掻痒をもたらす。
【0005】
突っ張りおよび掻痒の皮膚感は美容的ピーリング調製物に油または脂質を添加することにより回避することができる。特に再脂質供給(regreasing)ピーリング調製物の1例は、油/塩混合物および洗浄(wash)エマルションである。
【0006】
ピーリング調製物としての使用のための油中塩スラーリはしばらくの期間消費者に知られていた(例えば:Stuttgart,Zurich,Viennaの最良の出版社、2000年頃のリーダーズダイジェストに「新規発見されたおばあさんの家庭薬」)。このタイプの混合物は同様に化粧品の完成製品としても市販されている(例:Alessandro(R)Hands!Up Magic Manicure(R))。これらの混合物中の微細な塩粒子はやがて容器の底に沈殿し、そこに可視的な塩の層を形成する。2相の混合は、使用される塩粒子の粒度に応じて、非常に時間がかかり、労力がかかる可能性がある。製品の均一な混合を達成することはしばしば不可能であり、それは、油がより急速に使い果たされることを意味する。容器の底に、もはや使用することができない、実質的に乾燥した、固形の塩の層が残留する。
【0007】
この状況を是正する方法はエマルションカプセルに関する特許文献1および2に提示されている(特許文献1および2参照)。
【0008】
一工程で皮膚のピーリングおよび皮膚のケアの双方を可能にする製品を提供することが望ましいと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開出願第00/04867号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5,866,145号明細書
【発明の概要】
【0010】
従って、本発明は、エマルション基剤の外皮(casing)材料および、研削効果をもち、そして1種または複数の研削ピーリング剤を含んでなる調製物を含む充填材料を含んでなる、局所に適用でき、皮膚上に擦り込むことができるカプセルを含んでなる。
【0011】
ピーリング剤は、
a)25℃で3〜50,000mPasの間の粘度、好ましくは1000〜8000mPasの間、そして極めて特に好ましくは2000〜4000mPasの間の粘度をもつ油または脂質混合物、
b)界面活性剤含有調製物または
c)エマルション
のいずれかの中に含まれる。
【0012】
外皮材料は充填材料を囲み、そして40℃未満で固形である1種または複数のワックスを含んでなる。従って、外側の外皮が注入、取り出しのためのその強度および対応する貯蔵安定性を与えられる。
【0013】
好ましいワックスとしては、Synwax 80、合成ワックス、セチルパルミテート、C20〜40アルキルステアレート、白蝋、蜜蝋、ヒマワリの種ワックス(helianthus annuus seed wax)、C18〜36酸トリグリセリド、微細結晶蝋、パラフィン蝋、カンデリラ白蝋および/またはセチルリチノールエート(ricinoleate)が選択される。
【0014】
局所適用可能なカプセルは室温で固形、半固形であるかまたは形状が安定なカプセルであり、従って分配して(portioned)、別々に処理することができる。
【0015】
「ボール」、「カプセル」、「カプセル型調製物」または「ビーズ」のような多数の用語は、場合によりこれらの用語に異なる意味が指定される場合でも、基本的には本発明に従うカプセルを表すために使用することができる。とりわけ用語「カプセル」の意味は、本明細書では、これも「カプセル」と呼ばれる製薬学的調製物の、詳細に規定された形状、製法、内容物および適用可能性に限定されず、それらを含む。一般に、本発明に従うカプセルは例えば、ほとんど丸型または楕円体であり、そして軽い圧力で、そして例えば包装物からの取り出し中に掴むことにより、ごく僅かにその形状を変えるその外皮と、明白に区別できる物体である。
【0016】
本発明に従うカプセル型調製物はどんな形状をもってもよいが、それらは好ましくは0.1〜20mlの容量をもつ球形である。
【0017】
本発明に従うカプセルは3mm、好ましくは5〜40mmのサイズ、すなわち平均直径を有する。そのため、カプセルは個々に処理し、適用することができる。
【0018】
本発明に従うカプセル型調製物は貯蔵および取り出し期間中に糖衣錠、カプセル、ボールまたは中空ボールとしての形状で安定である。
【0019】
本発明に従うカプセル外皮、外皮の材料はエマルションにより構成される。外皮材料がエマルションベース上に存在する事実により、本発明に従うカプセルが皮膚上で擦られると、使用者がエマルション基剤のクリームで慣れているような分散が起る。
【0020】
充填材料も同様に、エマルション(c)として調合することができる。その場合、充填物は有利には、O/W、W/O、W/O/Wエマルション、ミクロエマルションまたはナノ−エマルションである。エマルションの充填材料は化粧品中に知られているすべての物質および調製物を含んでなることができ、とりわけクリームの形態のO/WまたはW/O/W、W/Oエマルションが有利である。
【0021】
外皮のエマルションは、充填物のエマルションが界面活性剤および/または有効成分を含むことができる点で、充填物のエマルションと異なる。更に、充填物のエマルションは粘度が有意に低い可能性がある。
【0022】
本発明に従う充填材料と組み合わせたエマルションに基くカプセル外皮の利点は:
・適用後の突っ張りまたは掻痒がない、
・皮膚に脂質および湿り気を供給する、
・便利、
・適用により直接皮膚に快適感、
・より緩和な適用、
・適用により直接、有効成分/処置物質がマッサージされる、
・一度の適用でピーリングおよび皮膚のケアができる、
である。
【0023】
外皮は知られた方法により製造することができる。
【0024】
例えば、中空ボールを溶融外皮材料から成形し、それに、ボールの壁の孔を通して充填材料を充填することができる。その後、外皮材料の栓により孔を閉鎖する。
【0025】
他の製造可能性はいわゆる一工程法(one−shot method)により実施することができる。従って外皮材料および充填材料を同時に成形する。成形機が、分割されたレザボアから双方の物質を同心輪のノズルを通して泡(blister)形態に計量供給する。最初に外皮物質を輪状の隙間を通して出発させ、次に充填物を内側のノズルを通して僅かに遅れて続ける。このようにして、完成カプセルを一工程で成形することができる。この方法は本発明に従う好ましい製法である。
【0026】
更に、最初に半分の中空ボールを成形し、次にそれらに充填し、それらを合せて、次に熱処理により2個の中空ボールを相互に溶融することができる。更に、1個または双方の半球がその後の充填のための孔をもつ、このタイプの2個の半球を製造し、次に溶融して中空のボールを形成し、次に充填孔を通して充填し、次にそれを前記のように閉鎖する。
【0027】
ピーリング剤(ピーリング物体/ピーリング粒子)は好ましくは、ポリエチレン、一般の塩、海水塩、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、砂糖、ミョウバン粘土、砂、プラスチック粒子、例えばクルミの殻、アプリコット、モモまたはアーモンドの種の粉末化または粉砕した種の群から選択される。
【0028】
更なるピーリング剤が知られており、適切には、ヒマラヤ塩、ビスコース、セルロース、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アラミド、ナイロン、ケブラー(Kevlar)、ポリビニル誘導体、ポリウレタン、ポリアクチド、ポリラクチド、ポリヒドロキシアルカノエ
ート、ポリカーボネート、ポリスチレン、セルロースエステルおよび/またはポリエチレンのプラスチック粒子並びに、例えば硫酸カルシウム、炭酸カルシウムのような溶解度が低いまたは不溶性の結晶、例えば、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、砂糖のようなカプセル封入またはカプセル非封入結晶、例えば、海の砂、ミョウバン粘土、乳状石灰のようなシリケート、例えば小麦、アマの種、米、トーモロコシ、アーモンド、堅果、堅果の殻、カボチャの種、キャラウェイの種のような粉砕したまたは細かくした天然産物、例えば、ヘチマスポンジのような潰したまたは粉砕した天然のスポンジ、例えば米糠ワックス、カルナバワックス、ホホバワックス、蜜蝋のような天然および合成ワックスの群から選択される。
【0029】
ピーリングまたはピーリング処置は、皮膚の表面層が広範囲に除去される美容的処置である。
【0030】
表面のピーリングの場合に、皮膚の一番上の角質層が機械的にまたは化学的に除去される。この処置は口語的にピーリングと呼ばれ、多数の供給会社はこの方法を微細皮膚研削(microdermabrasion)と呼ぶ。
【0031】
次に、1種または複数のこれらのピーリング剤は、
a)25℃で3〜50,000mPasの間の粘度、好ましくは1000〜8000mPasの間、そして極めて特に好ましくは2000〜4000mPasの間の粘度をもつ油または脂質混合物、または
b)界面活性剤含有調製物または
c)エマルション
のいずれかの中に含まれ、
そしてカプセルの外皮により囲まれる。
【0032】
ピーリング剤が懸濁または分散形態で存在することができる油相または脂質相a)は、3〜30個のC原子の鎖長をもつ飽和および/または不飽和の、分枝および/または非分枝アルカンカルボン酸と、3〜30個のC原子の鎖長をもつ飽和および/または不飽和の分枝および/または非分枝アルコールとのエステルの群、並びに芳香族カルボン酸と、3〜30個のC原子の鎖長の飽和および/または不飽和の分枝および/または非分枝アルコールとのエステルの群から選択することができる。この場合、このようなエステル油を有利には、オクチルパルミテート、エチルヘキシルココエート オクチルイソステアレート、オクチルドデセイルミリステート、セテアリルイソノナノエート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート、イソプロピルオレエート、n−ブチルステアレート、n−ヘキシルラウレート、n−デシルオレエート、イソオクチルステアレート、イソノニルステアレート、イソノニルイソノナノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−エチルヘキシルラウレート、2−ヘキシルデシルステアレート、2−オクチルドデシルパルミテート、ステアリルヘプタノエート、オレイルオレエート、オレイルエルケート、エルシルオレエート、エルシルエルケート、トリデシルステアレート、トリデシルトリメリテート並びにこのようなエステルの合成、半合成および天然混合物を含む群から選択することができる。油相はまた、有利には、ジアルキルエーテルおよびジアルキルカーボネートの群から選択することができる。油相はまた有利には、非極性油、例えば、分枝および非分枝炭化水素および炭化水素ワックスの群、特に鉱油、ワセリン(ペトロラタム)、パラフィン油、スクアランおよびスクアレン、ポリオレフィン、水素化ポリイソブテンおよびイソヘキサデカン、C14〜C20イソパラフィンの群から選択されるものを含むことができる。ポリオレフィンのなかではポリデセンが好ましい物質である。
【0033】
界面活性剤含有調製物b)は、ピーリング剤に加えて界面活性剤または洗浄剤物質を含
んでなる。
【0034】
界面活性剤は水中に有機の非極性物質を溶解することができる両親媒性物質である。少なくとも1種の親水性および1種の疎水性分子部分をもつそれらの特定の分子構造の結果として、それらは水の表面張力を減少させ、皮膚を湿らせ、泥の除去および溶解を容易にし、すすぎを容易にし、そして―望ましい場合は―泡立ちを抑制することができる。
【0035】
有利な界面活性剤含有混合物は例えば、
a)7.32重量%のナトリウムミレススルフェートおよび4.47重量%のラウリルグルコシド並びに水、または
b)2.82重量%のナトリウムミレススルフェート、11.76重量%のコカミドプロピルベタイン、4重量%のデシルグルコシドおよび水、または
c)1.8重量%のナトリウムメチルココイルタウレート、6.05重量%のナトリウムラウレススルフェート、1重量%のデシルグルコシドおよび水、
を含んでなる。
【0036】
本発明に従う外皮材料は、先行技術と異なり、ゼラチンまたは純粋なワックスではなく、エマルションに基く。
【0037】
ピーリング剤が皮膚のケア用エマルションにより囲まれているというこの利点は、
−製品をすすぎ、顔面を乾燥後の皮膚ケア効果、
−適用後の顔面クリームの適用の不要、
−顔面が再脂肪補給され、皮膚のケア脂質を補給され、風、低温、熱気のような外界の影響を防御し、
−エマルションが「沈静(calming)」効果をもつため、皮膚の掻痒または突っ張りが起らず、
−「1物質中に2成分」の製品により必要時間および製品数が縮小され、
−ピーリング物体がエマルションにより、よりよく、緩衝され、すなわち、皮膚の刺激が少ない、
効果をもたらす。
【0038】
本発明に従うと、カプセル形態のために部分に分割することができる顔面ピーリングの適用が提供される。皮膚のケアおよびクレンジング製品の特性が1製品中に組み合わせて提供される。
【0039】
従って、本発明に従うカプセルは同時の皮膚のピーリングおよび皮膚のケアのために使用することができる。
【実施例】
【0040】
与えられる数値は各例における外皮または充填物の総質量に基づく重量百分率を表す。
【0041】
A.外皮材料、エマルションの外皮
【0042】
【表1】

【0043】
B.実施例6〜10充填材料:
【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
【表4】

【0047】
【表5】

【0048】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外皮材料および、外皮材料により囲まれた、研削効果をもつ1種または複数のピーリング剤を含んでなる研削効果をもつ調製物を含んでなる充填材料を含んでなる、局所的に適用し、擦り込むことができるカプセルであって、ここで、ピーリング剤が
a)25℃で3〜50,000mPasの間の粘度、好ましくは1000〜8000mPasの間、そして極めて特に好ましくは2000〜4000mPasの間の粘度をもつ油または脂質混合物、
b)界面活性剤含有調製物または
c)エマルション
中に含有され、
外皮材料が25℃超で固形である1種または複数のワックスを含んでなるエマルションよりなることを特徴とする、カプセル。
【請求項2】
ピーリング剤がポリエチレン、一般の塩、海水塩、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、砂糖、ミョウバン粘土、砂、プラスチックの粒子、クルミの殻、アプリコット、モモおよび/またはアーモンドの種を粉末化または粉砕した種の群から選択されることを特徴とする、請求項1記載のカプセル。
【請求項3】
同時の皮膚のピーリングおよび皮膚のケアのための先行請求項の1項に記載のカプセルの使用。

【公表番号】特表2010−504293(P2010−504293A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528625(P2009−528625)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007942
【国際公開番号】WO2008/034549
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(591010376)バイヤースドルフ・アクチエンゲゼルシヤフト (20)
【氏名又は名称原語表記】BEIERSDORF AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】