説明

緑化構造および緑化方法

【課題】高所での管理を安全かつ容易にすることができ、また、緑化支持材により、安全性、耐久性を高めることができ、植物の環境適応性を高め、潅水時の潅水ムラの軽減や落水防止にも配慮できる緑化構造および緑化方法を提供する。
【解決手段】通路(キャットウォーク11)の床面を多孔壁(グレーチング16)とし、その下部に植栽基盤を配置するとともに、該通路の側方に奥行きを持った面状格子材34を配置する。また、通路は高所用であり、奥行きを持った面状格子材34は転落防止部材となる。植栽基盤は内外二重底構造の容器15とし、基盤材を充填する内容器13には水抜き穴を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面等の緑化構造および緑化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、建物等のコンクリート構造物から放出される熱によって起こるヒートアイランド現象が都市部等において大きな問題となっている。そこで、このようなヒートアイランド現象を抑制するために、建物や工作物の壁面に対して緑化が実施されている。これは、建物や工作物の壁面に対して植栽を施すことで、意匠性の向上や太陽光線の照り返しの緩和などを図ろうとするものである。
【0003】
建物や工作物の壁面に面的な緑化を図る従来技術としては、大きく、地上部分に植栽を施して植物を壁面に沿って登攀させる方法、屋上部分に植栽を施して植物を壁面に沿って下垂させる方法、壁面に植物を植え付ける植栽用培地を設けて、登攀または下垂させる方法の3つがあり、さらに、壁面に沿って登攀または下垂させる方法にも、直接植物を登攀させる方式、メッシュ状あるいはネット状の緑化支持材を設置し、この緑化支持材に植物を登攀または下垂させる方式、壁面に固定したプランターなどに植栽し、下垂する方式、ブロック状のプランターを積上げる方式、パネル状の緑化基盤を壁面に直接固定する方式などを挙げることができる。
【0004】
前記緑化支持材を設置する方式は、メッシュ鋼材や樹脂ネット材などの網状体を用いるものが殆どであり、下記特許文献1もその1つである。
【特許文献1】特開平10−313692号公報(壁面緑化パネルと、そのパネルを用いた壁面の緑化工法)
【0005】
この特許文献1は図11に示すように、つる植物の種子や土壌等を収納するための収納体4と、該収納体4内の種子から生育するつる植物を保持するための保持体1とからなることを特徴とする壁面緑化パネル8であり、保持体1や収納体4が、網状に形成されている。保持体1は正面略長方形状に形成され、外側のフレーム2に対して金網3が縦横に架設されることによって、全体が略網状に形成されている。収納体4は、つる植物の種子や土壌等を収納するためのもので、前記保持体1が下方に延設されて形成された延設部5を背部とする略箱状に形成されている。
【0006】
先ず、つる植物の種子を含んだ人工土壌6を、壁面緑化パネル8の収納体4内に収納する。この人工土壌6に含まれたは種子が発芽して、つる植物7が生育することとなる。
【0007】
そして、つる植物7が生育しきって繁茂状態となった後に、壁面緑化パネル8を建築、構築物等の壁面に設置する。
【0008】
また、下記特許文献2では、集合住宅、戸建て住宅、オフィスビル、ホテル等におけるベランダ、テラス、柵等の緑化に用いる植栽基盤として、防水性を有するものであって上部が開放されている植栽容器と、この植栽容器内に設けられている植栽土壌と、この植栽土壌を覆う状態で植栽容器上に設置されているパネルとを備えたものが提案されている。
【特許文献2】特開平11−32589号公報(植栽基盤)
【0009】
この特許文献2によれば、植栽容器内に植栽土壌が設けられ、その植栽容器上にパネルが設置されていることから、植栽容器内に植栽土壌が植栽の機能を持ち、パネルが床面としての機能を持つことになる。そのため、従来のポットでは利用することが困難であった植栽基盤の上方空間を利用することが可能になる。また植栽したい任意の地点のパネルを取り除くことにより、ベランダ等においてどの地点でも植物を植えられる。さらに床面となるパネル下の全域に植物の育成土壌を敷設することが可能になるので、植物の育成基盤としての土壌が従来のポットよりも十分に確保される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記特許文献1のような網状体の緑化支持材では、これに適用される植物は、巻きひげ型、巻きつる型に限定され、本来登攀性に優れている付着根型(よじのぼり型)の植物は適応できない。
【0011】
また、風を直接植物が受けることにより、風害の影響による枯損が多く見受けられる。この問題を改善するために、不織布等のシートを網状体に付設することもあるが、当該シートの存在が眺望、採光、通気などを阻害することになる。
【0012】
さらに、植栽基盤となる収納体4(プランターに相当)は必然的に細長い形状のものとなり、深さは確保できてもつる植物本来の水平方向に伸長していく根域とは合致しておらず、健全な生長の障害ともなる。また、十分な用土量が確保されず、灌水不足による生育不良などが発生するおそれもある。
【0013】
前記特許文献2では、本来の植栽基盤の機能と床面の機能とを併せ持つことができるので、限られたスペースの有効利用を図ることが可能になり、植物の育成基盤としての土壌が十分に確保されるので、植物の良好なる育成を図ることができ、従来の植栽ポットでは栽培が困難であった大きさの植物の栽培が可能になるが、植物を登攀させることを考慮したものではなく、壁面等の緑化に直接貢献するものではない。
【0014】
特許文献2では植栽基盤は、例えばマンションのベランダに設置し、植物を育成するには、まず、植物を移植する部分のパネルを取り除いて開口部を作り、その部分下方の植栽土壌に植物を移植するので、このようなパネルを取り除いた開口部に植栽の位置が限定されてしまう。また、つる性の植物はベランダに設置されている欄干にからませるとしているが、十分な登攀性を確保できない。
【0015】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、高所での管理を安全かつ容易にすることができ、また、緑化支持材により、安全性、耐久性を高めることができ、植物の環境適応性を高め、灌水時の灌水ムラの軽減や落水防止にも配慮できる
緑化構造および緑化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は前記目的を達成するため、緑化構造としては、第1に、通路の床面を多孔壁とし、その下部に植栽基盤を配置するとともに、該通路の側方に奥行きを持った面状格子材を配置すること、第2に、通路は高所用であり、奥行きを持った面状格子材は転落防止部材となること、第3に、通路は建物躯体の外周部に設けられるキャットウォークであること、第4に、植栽基盤は内外二重底構造の容器とし、基盤材を充填する内容器には水抜き穴を形成したことを要旨とするものである。
【0017】
また、緑化方法としては、前述したいずれかの緑化構造において、植栽基盤に植栽された植物の地上部が、通路の床面を通り抜けて該通路側方の面状格子材の近傍に配置されることを要旨とするものである。
【0018】
請求項1記載および請求項5記載の本発明によれば、歩廊または歩道等の通路の下部に植栽基盤を配設するので、通路幅分の用土幅・量が確保され、十分な植物の育成スペースが確保できる。また、面状格子材には厚みすなわち奥行きを持たせたので、植物はこの面状格子材に巻き付く、あるいは付着するだけでなく、横向きの平面部分でも支持され、縦横の両方で確実に登攀・支持させることができる。しかも、眺望・採光・通気性の確保もでき、また、奥行き(厚み)を持たせることで、強風の影響を受け難い構造とすることができる。
【0019】
さらに、通路の床面をスノコ状等の多孔壁として透水・通気構造としたので、雨水等を植栽基盤に取り込むことが容易である。また、植物は床面の孔を自由に通り抜け、面状格子材に登攀・支持させることが可能であり、植物の移植用等として取り外し可能な開口部を床面に設ける際、状況に応じて適切な場所を選択できる。
【0020】
請求項2記載の本発明によれば、通路が高所の歩行用である場合に、面状格子材は転落防止部材を兼ねるものであり、従来のメッシュ鋼材や樹脂ネット材などの線状体や網状体を用いる緑化支持材のように、高層階の外装材として安全性や、植物と調和させる景観材として意匠性に劣るものとは異なり、耐久性が高く、安全性に優れ、意匠性にも優れたものとなる。
【0021】
請求項3記載の本発明によれば、高所の歩行用通路として面状格子材と建物外壁との間にキャットウォークが設置され、これらキャットウォークの下部に植栽基盤が位置し、キャットウォークは植物の管理用として、また、外壁のメンテナンス用として併用できる。
【0022】
請求項4記載の本発明によれば、植栽基盤は内外二重底構造の容器とすることで余剰水が直接階下に落ちないようにできる。
【発明の効果】
【0023】
以上述べたように本発明の緑化構造および緑化方法は、高所であっても所望の位置に植物を植栽することが可能になり、植物の植栽基盤としての容器や用土が幅・長さおよび容量において十分に確保されるので、植物の良好なる育成を図ることができ、さらに、面状格子材により、植物の登攀・支持用スペースを確保し、眺望・採光・通気性の確保ができ、強風の影響を受け難いものである。さらに、具体的効果を述べると下記の通りである。
【0024】
[緑化支持材としての面状格子材]
この面状格子材を設けることにより設備としての耐久性、安全性を向上させ、また、植物の巻付だけでなく付着のスペース拡張を図れるので付着根型植物(ヘデラ類やツタ類)への適用拡大が可能となる。さらに、眺望・採光・通気性を確保しつつ都市景観の配慮が可能であり、強風の影響を受け難い構造とすることができるので防風や防音の効果も期待される。
[キャットウォーク一体型の植栽基盤]
キャットウォークの下部にプランター等の容器を格納することで、障害物が無い安全な管理通路となり、しかも、通行を妨げることなく十分な用土幅・量の確保が可能となる。しかも室内側からの景観配慮に貢献する。
[底面灌水貯留型プランター]
内容器の底面に水を貯留し、毛管水により灌水ムラを軽減できる。
[プランターの二重底構造]
余剰水を落水させないことができ、また、内容器への熱伝達を緩和できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面について本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の緑化構造の第1実施形態を示す斜視図、図2は図1の要部の斜視図で、歩廊または歩道等の通路を、建物躯体10の外周部に設けるキャットウォーク11とした場合である。
【0026】
キャットウォーク11は、鉄骨梁部材などの支持部材12で、内容器13と外容器14との組み合わせによる内外二重底構造の容器(プランター)15を支承することにより構成されるものである。
【0027】
該容器15の上部開口面には、通路の床面を形成する透水・通気構造の多孔壁として、スノコ状のグレーチング16を設置した。このグレーチング16はスノコ板に該当する棒状材16a(金属製角材)を例えば25mm程度の間隔を存して並べ、相互に連結材16b(図3参照)で連結したものである。キャットウォーク11の床面はこのような多孔壁としてのグレーチング16をもって形成されている。なお、グレーチング16は複数枚からなるパネル(床材)として形成してもよく、その場合、キャットウォーク11の床面を任意の位置で取り外して開口部を設けることが容易にでき、植物7の移植等の管理作業を行うのに好都合である。また、グレーチング(多孔壁)16は金属製に限定されず、本発明の実施状況に応じて、難燃性のプラスチック製や木製等とすることができる。
【0028】
図3はキャットウォーク11の詳細を示すもので、建物躯体10にアンカーボルト17を介してアングル材18が取付けられている。アングル材18はルーズ穴により位置調整可能にアンカーボルト17で固定される。
【0029】
アングル材18に溶接したアングル形状の取付金物19に、前記外容器14の底に溶接したアングル形状の固定金物20を間にライナー材21を介在させてボルト止めして外容器14の底の幅方向の片側をアングル材18で支承する。
【0030】
外容器14の底の幅方向の他の片側は前記支持部材12上に載置され、外容器14の底に溶接した断面クランク形の固定金物22に設けた押圧ボルト23の先端を支持部材12に押圧することで支持部材12との固定を行う。
【0031】
内容器13および外容器14はいずれも側板と底板とからなる、例えば鋼製ボックスであり、左右側板上端を内側に折曲げて内向きフランジ13a,14aを形成している。
【0032】
前記グレーチング16は外容器14のフランジ14a上に載置され、ボルト等で固定される。
【0033】
また、内容器13は外容器14内にゴムによるスペーサー24を底部下に介在させ、さらに、外容器14内で一方(建物躯体10とは反対側)に寄せて載置され、建物躯体10側では外容器14との間に間隔25を存するようにボルト止めする板体によるズレ止め26で固定する。
【0034】
内容器13内には基盤材としての用土27を充填する。さらに充填した用土27の表面には透水性の防草シート(図示省略)を敷設することが望ましい。内容器13の側板で底板から少し上の位置に水抜き穴28を形成する。水抜き穴28には用土27の流出防止のため、図示しない網部材等が取り付けられている。
【0035】
内容器13内には植栽基盤材としての用土27を充填するが、内容器13の側板で底板から少し上の位置に水抜き穴28を形成する。
【0036】
また、外容器14の側板には前記水抜き穴28の位置より少し上の位置にオーバーフロー穴29を設け、前記間隔25の場所にドレンパイプ30を配設する。図中31はドレンパイプ30の流入口を覆う筒状の網体によるドレンカバーである。このドレンパイプ30は排水管38に連結する(図1参照)。
【0037】
図4にも示すように、外容器14は内容器13よりも側板が大きく、高さがあり、左右の(フランジ14aを形成していない)側板の上端中央に、灌水ホース33の設置用の切欠き32を形成した。
【0038】
前記通路であるキャットウォーク11の側方で、外側(建物躯体10とは反対側)に水平面部と垂直面部とからなる枡34a(図2参照)の集合である奥行きを持った面状格子材34を設置した。この奥行きを持った面状格子材34はアルミニウムやその合金等の金属の鋳物や溶接等で、一例として枡34aの一つの大きさは100mm×100mm、また、奥行きは40mmである。この面状格子材34は格子ルーパー状だけでなく、例えば図12〜17に示すような態様とすることもできる。さらに図示は省略するが、面状格子材34の内周面34bを粗面として形成し、より植物の巻き付きや付着を容易にすることもできる。この粗面は例えば、小さな突起の点在である梨地や、突出する多数の互いに離間し独立した突起体によるものである。
【0039】
図6〜図8に示すように、前記奥行きを持った面状格子材34は下地四方枠35にボルト止めで固定され、この下地四方枠35はブラケット36で建物躯体10側に固定する(図5も参照)。なお、前記容器15にはこのブラケット36部分を収容する凹部37を形成して(図4、5)、キャットウォーク11の側方で奥行きを持った面状格子材34が遠くに離れないように配慮した。
【0040】
このようにして、図1に示すように、建物躯体10の屋外側にキャットウォーク11が形成され、そのさらに屋外側に転落防止部材としての奥行きを持った面状格子材34が配置され、また、キャットウォーク11の下部には植栽基盤としての容器15が配設される。図中39はウィンドウガラスである。
【0041】
容器15の内容器13に充填する用土27としては、特に限定はないが、パーライトを主体とした軽量培養土が好適である。この軽量培養土としては、保水性と排水性に優れ、30cm〜50cmの土壌厚で中高木の基盤材として用いることができる商品名ケイソイル等があげられる。また、用土27は、ロックウールや人工ミズゴケなどの人工用土としてもよい。さらに基盤材としての用土27は、スポンジなどの用土代替物とすることもできる。
【0042】
また、植栽可能な植物7として、典型的にはつる植物、例えばカロライナジャスミン、ヘデラ類、テイカズラ、ツキヌキニンドウ、クレマチス類、ツタ(ナツヅタ)があげられる。つる植物以外にも、小低木(クサツゲ、コクチナシ等)や草本類(シャガ、ツワブキ等)であってもよい。これら植物は常緑性、落葉性のいかんを問わない。
【0043】
植栽基盤に植栽された植物7は、その地上部がキャットウォーク11の床面を通り抜けて、すなわち、グレーチング(多孔壁)16の隙間である孔から出て伸長し、さらに、奥行きを持った面状格子材34に沿って登攀・支持され、緑化壁面モジュールが形成できる。グレーチング16の孔(隙間)は、植栽された植物7が通り抜け可能な大きさや形状に適宜設定することができる。また、グレーチング16の孔はすべて同一の大きさや形状とする必要はなく、例えば、通路床面の面状格子材34の孔は大きくし、植物7が床面から通り抜けやすくしてもよい。好ましくは、図2に示すような欠込部16cをグレーチング16に設け、この欠込部16cから植物7の地上部が通り抜けるようにすると、管理作業時等に植物7を傷めるおそれが少ない。
【0044】
奥行きを持った面状格子材34を緑化支持材とすることで、面と奥行きとを持った構造となり、付着根型植物の定着を可能とする環境が創出できる。
【0045】
また、通風、採光、見通しを確保しながら壁面緑化をすることが可能である。奥行き部分は、付着根の定着スペースとなり、付着根型植物(ヘデラ類やツタ等)の適用が可能となる。奥行きを与えることにより、植物7に対する風の影響を軽減する役目も果たす。奥行きを持った面状格子材34と緑化植物7との相互作用による騒音軽減効果も期待できる。
【0046】
面状格子材34は吸水性・保水性のある材料を用いるとさらに、植物7の定着が促進される。また、前記のように内周面34bを粗面にするかあるいは、切り込み等を形成してよいのは同様である。
【0047】
キャットウォーク11は下部に植栽基盤となる容器15を格納してあり、このキャットウォーク11を歩行するのに容器15の存在は支障とならない。また、キャットウォーク11は奥行きを持った面状格子材34と建物躯体10の外壁との間に位置し、遊歩道的な役割もするとともに、前記容器15の植物7の管理や外壁のメンテナンスなどに併用できる。
【0048】
さらに、キャットウォーク11下に植栽基盤を格納することで、幅広い基盤形状を確保できるため、つる植物の根域に適した形状となる。さらに、基盤材(用土27)の荷重が分散されるために、構造支持部材への負担が軽減される。
【0049】
灌水は一部は雨水でまかない、残りは灌水ホース33により行う。雨水は奥行きを持った面状格子材34やグレーチング16を通り抜けて、直接内容器13内の用土27に降り注がれる。
【0050】
また、灌水ホース33への給水を、屋上部に降った雨水および屋上緑化部を浸透し、排出された排水を集め、再利用するシステムとすることもできる。
【0051】
容器15自体は外容器14と内容器13との二重底構造となっているので、余剰水は内容器13の水抜き穴28から外容器14へと抜け、直接階下に落下することはない。また、水抜き穴28はこれを内容器13aの底板から少し上の位置に設けることで底面水貯留型とすることができ、毛管水により灌水ムラを軽減する構造としている。この底面水貯留の部分には、高吸水性のスポンジマット等を敷設することにより、更に、灌水ムラ、保水性を向上させることも可能である。
【0052】
外容器14へと抜けた水は、ドレンパイプ30の流入口より排水管38に流れ、排出される。
【0053】
前記容器15が二重底構造となっていることは、内容器13への熱伝達を緩和し、用土27の温度を安定化する効果もある。
【0054】
以上が歩廊または歩道等の通路として建物躯体10の外周部に設けるキャットウォーク11である場合であるが、この他に、歩廊または歩道等の通路としては橋梁の歩道部なども本発明の適用が可能である。
【0055】
図9、図10はその一例を示し、橋梁の躯体40上には車道41が形成され、縁石42を境界線として歩道43が形成される。
【0056】
歩廊または歩道等の通路である歩道43の床面を例えばウッドデッキ44でスノコ状の多孔壁16として透水・通気構造とし、その下部に植栽基盤としての用土27を、図示しない防根シートを介して配設し、また、通路の側方に奥行きを持った面状格子材34を設置した。図中46はウッドデッキ44の支持材である。また、図示は省略したが、例えば縁石42には、用土27からの余剰水を排出するための水抜き穴を形成する。
【0057】
面状格子材34は前記第1実施形態と同じく水平面部と垂直面部との枡34aの集合である奥行きを持ったものであり、欄干としての手摺を兼ねるような背の低いものでもよい。
【0058】
植物7は、ウッドデッキ44の隙間から上に出て伸長し、さらに、奥行きを持った面状格子材34に沿って登攀・支持され、緑化壁面モジュールが形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の緑化構造の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の緑化構造の第1実施形態を示す要部の斜視図である。
【図3】本発明の緑化構造の第1実施形態を示す要部の縦断側面図である。
【図4】本発明の緑化構造の第1実施形態で使用する容器(プランター)の斜視図である。
【図5】本発明の緑化構造の第1実施形態で使用する容器(プランター)の平面図である。
【図6】本発明の緑化構造の第1実施形態で使用する奥行きを持った面状格子材の正面図である。
【図7】本発明の緑化構造の第1実施形態で使用する奥行きを持った面状格子材の縦断側面図である。
【図8】本発明の緑化構造の第1実施形態で使用する奥行きを持った面状格子材の横断平面図である。
【図9】本発明の緑化構造の第2実施形態を示す斜視図である。
【図10】本発明の緑化構造の第2実施形態を示す縦断正面図である。
【図11】従来例を示す斜視図である。
【図12】面状格子材の第2例を示す説明図である。
【図13】面状格子材の第3例を示す説明図である。
【図14】面状格子材の第4例を示す説明図である。
【図15】面状格子材の第5例を示す説明図である。
【図16】面状格子材の第6例を示す説明図である。
【図17】面状格子材の第7例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1…保持体 2…フレーム
3…金網 4…収納体
5…延設部 6…人工土壌
7…植物 8…壁面緑化パネル
10…建物躯体 11…キャットウォーク(通路)
12…支持部材 13…内容器
14…外容器 13a,14a…フランジ
15…容器(プランター) 16…グレーチング(多孔壁)
16a…棒状材 16b…連結材
16c…欠込部
17…アンカーボルト 18…アングル材
19…取付金物 20…固定金物
21…ライナー材 22…固定金物
23…押圧ボルト 24…スペーサー
25…間隔 26…ズレ止め
27…用土 28…水抜き穴
29…オーバーフロー穴 30…ドレンパイプ
31…ドレンカバー 32…切欠き
33…灌水ホース 34…面状格子材
34a…枡 34b…内周面
35…下地四方枠
36…ブラケット 37…凹部
38…排水管 39…ウィンドウガラス
40…橋梁の躯体 41…車道
42…縁石 43…歩道
44…ウッドデッキ 46…支持材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路の床面を多孔壁とし、その下部に植栽基盤を配置するとともに、該通路の側方に奥行きを持った面状格子材を配置することを特徴とする緑化構造。
【請求項2】
通路は高所用であり、奥行きを持った面状格子材は転落防止部材となる請求項1記載の緑化構造。
【請求項3】
通路は建物躯体の外周部に設けられるキャットウォークである請求項2記載の緑化構造。
【請求項4】
植栽基盤は内外二重底構造の容器とし、基盤材を充填する内容器には水抜き穴を形成した請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の緑化構造。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の緑化構造において、植栽基盤に植栽された植物の地上部が、通路の床面を通り抜けて該通路側方の面状格子材の近傍に配置されることを特徴とする緑化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−262712(P2006−262712A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−81399(P2005−81399)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】