説明

線路位置の計測方法

線路位置は、連続する計測区間(15)において計測される。この場合、計測システム(9)の基準線としてレーザ放射(16)によって形成される長弦(17)を用いて、その都度相対的な線路位置が記録される。この場合、2つの連続する計測区間(15)の両方の長弦(17)により成された角度が計測され、ひいては線路実際位置を再現する空間曲線が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続する計測区間における線路位置の計測方法に関する。この場合、計測システムの基準線としてレーザ放射によって形成される長弦を用いて、その都度相対的な線路位置が記録される。
【背景技術】
【0002】
米国特許発明明細書US7050926によって、次のような方法が公知である。この方法の場合、レーザ受光器を具備する線路計測車両がある場所で静止している前方車両の方向に運動させられる。この際、前方車両の箇所で位置決めされたレーザ送光器によって形成されるレーザ放射が検知される。線路について求められた補正値が記録され、線路位置を補正するためにマルチプルタイタンパーに伝送される。
【0003】
米国特許発明明細書US5090329によって、マルチプルタイタンパーに対応付けられる計測システムを用いて実施される線路計測法が公知である。このシステムには、作業方向でマルチプルタイタンパーの前に位置決めされ独立して移動可能なレーザ送光器を具備する前方車両が含まれている。このマルチプルタイタンパーには、機械特有の基準系(Bezugsystem)の前方端部にあるレーザ受光器が対応して設けられている。
【0004】
前方車両は、固定点の位置を検出するためその固定点の近くに配置され、レーザ送光器によって形成される長弦が目標位置となる。これに続いて、マルチプルタイタンパーは静止している前方車両の方向へ作業していく。さらに続いて、この前方車両は次の固定点へ移動させられ、再び長弦が形成させられる。
【0005】
さて、本発明の課題は、冒頭で述べた形式の方法において、とりわけ線路曲線部分(Gleisbogen)において固定点の値が欠けている場合であっても線路位置の計測の最適化を達成可能とする方法をもたらすことである。
【0006】
本発明によれば前記課題は、上位概念による形式の方法を用いて2つの連続する計測区間の両方の基準長さによって成された角度αが計測されることによって解決される。
【0007】
本発明によれば、このように角度を計測することによって、固定点データが存在しない線路曲線部分においても線路曲線部分全体の空間位置に関する1つのまとまったイメージを得ることができる。さて、ここでの特筆すべき利点は、線路曲線部分の実際位置を補正するために複数の計測区間を含む長波状の欠陥補償を行うことができるという点である。さらに代案として、固定点が後から捕捉されることと関連して線路の絶対位置および測地部(Vermarkung)を得ることもできる。
【0008】
本発明のさらに別の利点は、従属請求項および図面の説明から明らかになる。
【0009】
次に、本発明を図面に示した実施例に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】計測区間を規定するための前方計測車両とともに線路計測車両を示す側面図
【図2】2つの連続する計測区間の概略図
【図3】2つの連続する計測区間の概略図
【0011】
図1に示した線路計測車両1は、線路走行機構2を介して線路3上を作業方向4に移動可能である。前方運転席7には、制御および計算ユニット8が設けられている。
【0012】
線路位置を検出する計測システム9は、レーザ基準システム11から成る。このレーザ基準システム11には、線路3上を独立して移動可能なレーザ送光器13を具備する前方計測車両12が含まれている。このレーザ送光器13には、線路計測車両1の前方の計測軸18上にあるレーザ受光器14が対応して設けられている。この計測軸18上には、慣性計測システム19も備えられている。
【0013】
計測区間15は一方では点Aによって区切られており、この点Aの箇所で線路計測車両1はレーザ送光器13からのレーザ放射16によって形成される長弦17を用いて線路3を走査し始める。他方では、線路計測車両1が実際位置データを検出しながら、ある場所で静止している前方計測車両12に達すると直ちに、計測区間15は終わりを迎える(点B参照)。
【0014】
図2には、線路3における点ABないしは点BCによって区切られている2つの連続する計測区間15が示されている。どの計測区間15にも長弦17および線路3の実際位置20が含まれている。線路計測車両1が点Aにおいて計測走行を開始すると、慣性計測システム19によって点Aの空間座標が記録され、計算ユニット8内に保存される。さらに、点Bおよび点Cの空間座標も記録された後、これら両方の連続する長弦17によって成された角度αが算出される。
【0015】
このように連続して角度測定を行うと、対応する空間座標を用いて積分によって高さ、方向および勾配として線路3の位置イメージないしは位置の推移を算出することができる。それに伴って算出され複数の計測区間15にわたって延在する線路3の実際空間位置20が、これに続いて、高さおよび側面の位置に関して計算上で長波状の補償曲線10を重ね合わせることによって平滑化される(図3参照)。それ故例として、例えば100mの長さにわたって滑らかなスプラインを算出することができる。このことによって、100mまでの長波状の欠陥を問題なく除去することができるようになる。補償曲線10は、後にマルチプルタイタンパーによって線路位置を補正するための目標位置となり、保存されたデータを、例えばディスクまたは無線伝送によってマルチプルタイタンパーに伝送することができる。
【0016】
線路位置を規定することと並行して、有利には固定点6の規定も行うことができ、この固定点6は、算出された補償曲線10に統合される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測システム(9)の基準線としてレーザ放射(16)によって形成される長弦(17)を用いて、その都度相対的な線路位置が記録される、
連続する計測区間(15)における線路位置を計測する方法において、
2つの連続する前記計測区間(15)の両方の前記長弦(17)により成された角度αが測定されることを特徴とする、
線路位置を計測する方法。
【請求項2】
前記角度αは、前記長弦(17)の空間座標を記録する慣性計測システム(19)によって検出される、請求項1記載の線路位置を計測する方法。
【請求項3】
個々の前記計測区間(15)が、前記角度測定の個々の値を用いて、1つの空間的な位置イメージにまとめられる、請求項1または2記載の線路位置を計測する方法。
【請求項4】
複数の連続する前記計測区間(15)にわたって、長波状の補償曲線(10)が目標線路位置として算定される、請求項3記載の線路位置を計測する方法。
【請求項5】
計測プロセスと並行して、線路(3)に隣接して脇に位置決めされた固定点(6)が該線路(3)に対し相対的な位置において検出される、請求項1記載の線路位置を計測する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−534779(P2010−534779A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518513(P2010−518513)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004812
【国際公開番号】WO2009/015728
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(390014421)フランツ プラツセル バーンバウマシーネン−インズストリーゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (29)
【氏名又は名称原語表記】Franz Plasser Bahnbaumaschinen−Industriegesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3,Wien 1,Austria
【Fターム(参考)】