説明

縁切位置決め型ワイヤボンディング構造及びリードピンの変位防止方法

【課題】製造効率を向上させ、製造コストを下げることができる縁切位置決め型ワイヤボンディング構造及びリードピンの変位防止方法を提供する。
【解決手段】縁切位置決め型ワイヤボンディング構造は、回路基板5上に複数のボンディングパッド3が設けられている。ボンディングパッド3は、複数のリードピン11を有する表面実装技術の電子部品1を接合し、リードピン11より大きく、回路基板5の配列方向4上に位置する。少なくとも2つのボンディングパッド3には、リードピン11の外側領域に対応した箇所に位置し、リードピン11の周縁部を位置合わせし、変位することを防ぐために、少なくとも2つの縁切31がそれぞれ設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縁切位置決め型ワイヤボンディング構造及びリードピンの変位防止方法に関し、特に、複数のボンディングの少なくとも2つに、少なくとも2つの縁切がそれぞれ設けられている縁切位置決め型ワイヤボンディング構造及びリードピンの変位防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の電子産業の急速な発展に伴い、電子装置又は製品が大量に生産されている。電子装置又は製品のスループットを向上させるために、表面実装技術(Surface Mount Technology:SMT)が製造工程に利用されている。図1〜図3に示すように、従来の回路基板9上には、複数のボンディングパッド8が配置されている。電子部品6は、複数のリードピン61を有する。これらボンディングパッド8は、サイズがリードピン61より大きく、はんだ7をそれぞれ塗布する。回路基板9上に電子部品6を配置する場合、ボンディングパッド8上のはんだ7に電子部品6のリードピン61を挿着してから、回路基板9をリフロー炉へ送ってはんだ7を加熱して溶解し、回路基板9の温度を室温へ下げてはんだ7を凝固させることにより電子部品6のリードピン61を固定させる。しかし、はんだ7は、溶解した後に液状となるため、ボンディングパッド8のサイズがリードピン61より大きくなり、はんだ7の凝固過程において、電子部品6のリードピン61がボンディングパッド8上を水平移動し、はんだ7が十分に凝固した後、電子部品6のリードピン61がボンディングパッド8に対して変位してしまうことがあった(図3に示す)。その結果、後続の製造工程に問題が発生する上、製造効率が低下し、不良品が発生した場合、製造し直すことにより製造コストが増大する虞があった。
【0003】
そのため、製造効率を向上させ、製造コストを下げることができる縁切位置決め型ワイヤボンディング構造及びリードピンの変位防止方法が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術の問題点を解決するために、製造効率を向上させ、製造コストを下げることができる縁切位置決め型ワイヤボンディング構造及びリードピンの変位防止方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、回路基板上に複数のボンディングパッドが設けられ、前記ボンディングパッドは、複数のリードピンを有する表面実装技術の電子部品を接合し、前記リードピンより大きく、前記回路基板の配列方向上に位置し、少なくとも2つの前記ボンディングパッドには、前記リードピンの外側領域に対応した箇所に位置し、前記リードピンの周縁部を位置合わせし、変位することを防ぐために、少なくとも2つの縁切がそれぞれ設けられていることを特徴とする縁切位置決め型ワイヤボンディング構造が提供される。
【0006】
また、前記縁切は、前記配列方向の両側に設けられていることが好ましい。
【0007】
また、少なくとも2つの前記ボンディングパッドには、少なくとも3つの前記縁切が設けられ、2つの前記縁切は、前記配列方向上に位置し、残りの前記縁切は、前記配列方向の両側に位置することが好ましい。
【0008】
本発明の第2の形態によれば、複数のリードピンを有する表面実装技術の電子部品を回路基板上に溶接するリードピンの変位防止方法であって、配列方向上に位置し、前記リードピンより大きい複数のボンディングパッドが前記回路基板上に形成され、前記リードピンの外側領域に対応した箇所に位置し、少なくとも2つの前記ボンディングパッドのそれぞれに少なくとも2つの縁切を設けるステップと、互いに対応した前記ボンディングパッドと前記リードピンとをはんだにより接合し、前記縁切により前記リードピンの周縁部を位置合わせし、変位することを防ぐステップと、を含むことを特徴とするリードピンの変位防止方法が提供される。
【0009】
また、前記縁切は、前記配列方向の両側に位置することが好ましい。
【0010】
また、少なくとも2つの前記ボンディングパッドには、少なくとも3つの前記縁切が設けられ、2つの前記縁切は、前記配列方向上に位置し、残りの前記縁切は、前記配列方向の両側に位置することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の縁切位置決め型ワイヤボンディング構造及びリードピンの変位防止方法は、製造効率を向上させ、製造コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来の回路基板へ電子部品を溶接するときの状態を示す斜視図である。
【図2】従来の回路基板へ電子部品を溶接するときの状態を示す斜視図である。
【図3】従来の回路基板へ電子部品を溶接するときのリードピン、はんだ及びボンディングパッドを示す平面図である。
【図4】本発明の一実施形態による縁切位置決め型ワイヤボンディング構造を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態による縁切位置決め型ワイヤボンディング構造を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態による縁切位置決め型ワイヤボンディング構造のリードピン、はんだ及びボンディングパッドを示す平面図である。
【図7】本発明の他の実施形態による縁切位置決め型ワイヤボンディング構造のリードピン、はんだ及びボンディングパッドを示す平面図である。
【図8】本発明の一実施形態によるリードピンの変位防止方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
【0014】
図4〜図6を参照する。図4〜図6に示すように、本発明の一実施形態による縁切位置決め型ワイヤボンディング構造は、回路基板5上に配置された複数のボンディングパッド3を含む。ボンディングパッド3は、複数のリードピン11を有する表面実装技術の電子部品1を接合するために用いる。ボンディングパッド3のサイズは、リードピン11より大きい。リードピン11は、円形状であり、数は2つ以上である。本実施形態では、リードピン11の数は3つであり、ボンディングパッド3の数はリードピン11の数と同じである。本実施形態の縁切位置決め型ワイヤボンディング構造の特徴は、回路基板5の配列方向4上に各ボンディングパッド3が位置することである。少なくとも2つのボンディングパッド3(本実施形態では、最も左側のボンディングパッド3及び最も右側のボンディングパッド3であるが、他の実施形態では、最も左側及び最も右側に設けられた少なくとも2つのボンディングパッド3、左側の2つのボンディングパッド3、右側の2つのボンディングパッド3又は3つのボンディングパッド3でもよい。)には、少なくとも2つの縁切31がそれぞれ設けられている。本実施形態では、縁切31の数は2つであるが、他の実施形態では3つ以上でもよい。縁切31は、溶接過程において、リードピン11の外側領域に対応した箇所に位置し、リードピン11の周縁部を位置合わせし、変位することを防ぐことができる。
【0015】
回路基板5上へ電子部品1の複数のリードピン11を溶接する際、ボンディングパッド3上へ、まず、はんだ2を塗布する。位置がボンディングパッド3の位置に対応し、形状及びサイズがボンディングパッド3と同じである複数の貫通孔(図示せず)を備えるテンプレート(図示せず)により回路基板5上を覆ってから、はんだ(例えば、ペースト状はんだ)を貫通孔に塗布することにより、テンプレートが除去された後にボンディングパッド3上にはんだ2が塗布される。はんだ2は、形状及びサイズがボンディングパッド3と同じであり、縁切21を有する。続いて、ボンディングパッド3上のはんだ2に、電子部品1のリードピン11を挿着してから、回路基板5をリフロー炉(図示せず)へ送り、はんだ2を加熱して溶解させる。続いて、電子部品1の温度が室温まで下がると、はんだ2が凝固し、はんだ2が凝固する過程において、ボンディングパッド3の縁切31上にはんだがないため、電子部品1のリードピン11が縁切31に向かって水平移動することがない(即ち、縁切31により電子部品1のリードピン11の位置が拘束される)。そのため、はんだ2が凝固する過程において、ボンディングパッド3上に電子部品1のリードピン11が固定されるまで、ボンディングパッド3に対して電子部品1のリードピン11が水平移動して変位することを防ぐことができる。
【0016】
また、複数のボンディングパッド3のそれぞれは、リードピン11より大きいため、ボンディングパッド3上のはんだ2のサイズは、リードピン11より大きい。回路基板5上に電子部品1のリードピン11を溶接する際、リードピン11下のはんだ2は、リードピン11を接着するために用いる。リードピン11の外側に位置するはんだ2は、リードピン11を覆って強固に溶接させることができる。
【0017】
上述したボンディングパッド3のうちの少なくとも2つのボンディングパッド3(本実施形態では、最も左側のボンディングパッド3及び最も右側のボンディングパッド3であるが、他の実施形態では、左側の2つのボンディングパッド3、又は右側の2つのボンディングパッド3でもよい。)には、少なくとも2つの縁切31がそれぞれ設けられている。複数の縁切31は、配列方向4の両側に設けられている(例えば、複数のボンディングパッド3は、対角線上に配置されている。)。図4〜図6に示すように、電子部品1のリードピン11は、配列方向4の両側に位置する複数の縁切31により、上下又は左右に水平移動したり、複数のボンディングパッド3に対して回転したりすることを防ぐことができる。即ち、ボンディングパッド3に対して電子部品1のリードピン11が変位することを防ぐことができる。
【0018】
図7を参照する。図7に示すように、本発明の他の実施形態による縁切位置決め型ワイヤボンディング構造の少なくとも2つのボンディングパッド3’(本実施形態では最も左側のボンディングパッド3’及び最も右側のボンディングパッド3’であるが、他の実施形態では、左側の2つのボンディングパッド3’又は右側の2つのボンディングパッド3’でもよい。)には、少なくとも3つの縁切31’がそれぞれ設けられている。本実施形態の2つの縁切31’は、配列方向4上に設けられ、残りの縁切31’は、配列方向4の両側に設けられている。図7に示すように、配列方向4上及び配列方向4の両側に位置する複数の縁切31’により、電子部品の複数のリードピン11が上下又は左右へ水平移動したり、ボンディングパッド3’に対して回転したりすることを防ぐことができる。即ち、複数のボンディングパッド3’に対して電子部品の複数のリードピン11が変位することを防ぐことができる。
【0019】
図4〜図6及び図8を参照する。図4〜図6及び図8に示すように、本発明の一実施形態によるリードピンの変位防止方法は、回路基板5上に、複数のリードピン11を備える表面実装技術の電子部品1を溶接する際に応用する。リードピン11の数は、本実施形態では3つであるが、2つ以上であれば幾つでもよい。リードピン11とボンディングパッド3とは数が同じであり、リードピンの変位防止方法は、以下のステップを含む。
【0020】
回路基板5上には、配列方向4上に位置するボンディングパッド3が複数形成されている。ボンディングパッド3のサイズは、リードピン11より大きく、少なくとも2つのボンディングパッド3には、少なくとも2つの縁切31がそれぞれ設けられている。各縁切31は、リードピン11の外周領域に位置する。少なくとも2つのボンディングパッド3(本実施形態では、最も左側のボンディングパッド3及び最も右側のボンディングパッド3であるが、他の実施形態では、左側の2つのボンディングパッド3、右側の2つのボンディングパッド3又は3つのボンディングパッド3でもよい。)は、縁切31の数が2つであるが、他の実施形態では、3つ以上でもよい。
【0021】
対応した各ボンディングパッド3とリードピン11とは、はんだ2により接合させる。縁切31は、溶接過程においてリードピン11の周縁部を位置合わせし、変位することを防ぐことができる。
【0022】
回路基板5上に電子部品1の複数のリードピン11を溶接する際、ボンディングパッド3上へ、まず、はんだ2を塗布する。また、複数の貫通孔(図示せず)を有するテンプレート(図示せず)で回路基板5上を覆ってもよい。複数の貫通孔は、複数のボンディングパッド3に対応した位置に設けられている。貫通孔の形状及びサイズは、ボンディングパッド3と同じである。その後、はんだ(例えば、ペースト状はんだ)を貫通孔に塗布し、テンプレートを除去してから、ボンディングパッド3上にはんだ2を塗布する。はんだ2の形状及びサイズは、ボンディングパッド3と同じであり、縁切21を有する。続いて、ボンディングパッド3上のはんだ2に電子部品1のリードピン11を挿着してから、回路基板5をリフロー炉(図示せず)へ送り、はんだ2を加熱して溶解させる。続いて、回路基板5の温度が室温まで下がると、はんだ2が凝固し、はんだ2が凝固する過程において、ボンディングパッド3の縁切31上にはんだがないため、電子部品1のリードピン11が縁切31に向かって水平移動することを防ぐことができる(即ち、電子部品1のリードピン11の位置を縁切31により拘束することができる)。そのため、はんだ2が凝固する過程において、電子部品1のリードピン11は、はんだ2の凝固により、ボンディングパッド3上に電子部品1のリードピン11が固定されるまで、ボンディングパッド3に対して水平移動して変位することを防ぐことができる。
【0023】
また、各ボンディングパッド3は、リードピン11より大きいため、ボンディングパッド3上のはんだ2のサイズは、リードピン11より大きい。回路基板5上に電子部品1のリードピン11を溶接する際、リードピン11下のはんだ2は、リードピン11を接着するために用いる。リードピン11の外側に位置するはんだ2は、リードピン11を覆って強固に溶接することができる。
【0024】
上述のステップにおいて、各縁切31は、配列方向4の両側(例えば、ボンディングパッド3の対角線上)に設けられている。図4〜図6及び図8に示すように、配列方向4の両側に位置する縁切31は、電子部品1の複数のリードピン11が上下又は左右へ水平移動したり、ボンディングパッド3に対して回転したりすることを防ぐことができる。即ち、ボンディングパッド3に対して電子部品1のリードピン11が変位することを防ぐことができる。
【0025】
図7及び図8を参照する。図7及び図8に示すように、上述のステップにおいて、少なくとも2つのボンディングパッド3’(本実施形態では、最も左側のボンディングパッド3’及び最も右側のボンディングパッド3’であるが、他の実施形態では、左側の2つのボンディングパッド3’又は右側の2つのボンディングパッド3’でもよい。)には、少なくとも3つの縁切31’がそれぞれ設けられている。2つの縁切31’は、配列方向4上に位置し、残りの縁切31’は、配列方向4の両側に位置する。図7及び図8に示すように、電子部品1の複数のリードピン11は、配列方向4上及び配列方向4の両側に位置する複数の縁切31’により上下又は左右に水平移動したり、複数のボンディングパッド3’に対して回転したりすることを防ぐことができる。即ち、ボンディングパッド3’に対して複数の電子部品1の複数のリードピン11が変位することを防ぐことができる。
【0026】
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0027】
1 電子部品
2 はんだ
3 ボンディングパッド
3’ ボンディングパッド
4 配列方向
5 回路基板
6 電子部品
7 はんだ
8 ボンディングパッド
9 回路基板
11 リードピン
21 縁切
31 縁切
31’ 縁切
61 リードピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板上に複数のボンディングパッドが設けられ、
前記ボンディングパッドは、複数のリードピンを有する表面実装技術の電子部品を接合し、前記リードピンより大きく、前記回路基板の配列方向上に位置し、
少なくとも2つの前記ボンディングパッドには、前記リードピンの外側領域に対応した箇所に位置し、前記リードピンの周縁部を位置合わせし、変位することを防ぐために、少なくとも2つの縁切がそれぞれ設けられていることを特徴とする縁切位置決め型ワイヤボンディング構造。
【請求項2】
前記縁切は、前記配列方向の両側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の縁切位置決め型ワイヤボンディング構造。
【請求項3】
少なくとも2つの前記ボンディングパッドには、少なくとも3つの前記縁切が設けられ、
2つの前記縁切は、前記配列方向上に位置し、残りの前記縁切は、前記配列方向の両側に位置することを特徴とする請求項1に記載の縁切位置決め型ワイヤボンディング構造。
【請求項4】
複数のリードピンを有する表面実装技術の電子部品を回路基板上に溶接するリードピンの変位防止方法であって、
配列方向上に位置し、前記リードピンより大きい複数のボンディングパッドが前記回路基板上に形成され、前記リードピンの外側領域に対応した箇所に位置し、少なくとも2つの前記ボンディングパッドのそれぞれに少なくとも2つの縁切を設けるステップと、
互いに対応した前記ボンディングパッドと前記リードピンとをはんだにより接合し、前記縁切により前記リードピンの周縁部を位置合わせし、変位することを防ぐステップと、を含むことを特徴とするリードピンの変位防止方法。
【請求項5】
前記縁切は、前記配列方向の両側に位置することを特徴とする請求項4に記載のリードピンの変位防止方法。
【請求項6】
少なくとも2つの前記ボンディングパッドには、少なくとも3つの前記縁切が設けられ、
2つの前記縁切は、前記配列方向上に位置し、残りの前記縁切は、前記配列方向の両側に位置することを特徴とする請求項4に記載のリードピンの変位防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−4521(P2012−4521A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172284(P2010−172284)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(507028952)亞旭電腦股▲ふん▼有限公司 (44)
【Fターム(参考)】