説明

縮合複素環式化合物およびそれらの使用

本発明は、療法用有機化合物、有効量の療法用有機化合物を含む組成物;ならびにその必要がある対象に有効量の療法用有機化合物を投与することを含む、疾患を治療および予防するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、U.S. Provisional Application No. 61/186,584, 2009年6月12日出願に基づく優先権を主張する。この出願の内容全体を本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
米国癌学会(American Cancer Society)が集めたデータによれば、米国内で143万人を超える人々が2008年に癌を伴うと診断された。早期診断および治療法の改善により5年生存率は若干上昇したが、同期間にわたる数タイプの癌の発症率が上昇したため、100,000人当たりの総死亡率は1950年以来5パーセント低下したにすぎない(SEER Cancer Statistics Review 1975-2004, NCI “55- Year Trends in U.S. Cancer Death Rates”)。
【0003】
この依然として存在する医療要望に付随して、癌細胞が増殖および生存する機序に向けた研究によりプロテインキナーゼの脱調節の関与が示唆された。したがって、小分子の使用を含めてキナーゼ活性を調節または阻害する方法は、癌薬物開発における有望な指示となる。
【0004】
このように、1種類以上のプロテインキナーゼの活性を阻害する化合物は癌の処置に有用であると期待できるので、それらが依然として求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】SEER Cancer Statistics Review 1975-2004, NCI “55- Year Trends in U.S. Cancer Death Rates”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、異常または脱調節されたキナーゼ活性に関連する疾患または障害、特にAbl、BCR−Abl、c−kit、PDGFRおよびSrcキナーゼの異常な活性化を伴う疾患または障害を治療または予防するための化合物、そのような化合物を含む医薬組成物、およびそのような化合物の使用方法を提供する。そのような疾患には、たとえば癌、たとえば膵臓癌、非小細胞性肺癌、胃腸間質性腫瘍、または慢性骨髄性白血病が含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、1観点において、本発明は式Iの化合物を提供する。1観点において、式Iは式IIとして表わされる。
【0008】
他の観点において、本発明は式IIIの化合物を提供する。
【0009】
他の観点において、本発明は、その必要がある対象に式Iの化合物を投与することを含む、癌の処置方法を提供する。癌は、多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、膵臓癌、非小細胞性肺癌、肺癌、乳癌、大腸癌、卵巣癌、前立腺癌、悪性黒色腫、非黒色腫皮膚癌、胃腸間質性腫瘍、血液腫瘍、血液悪性疾患、小児白血病、小児リンパ腫、多発性骨髄腫、ホジキン病、リンパ球性リンパ腫、皮膚性リンパ腫、急性白血病、慢性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄球性白血病、慢性骨髄球性白血病、形質細胞新生物、リンパ球様新生物、およびエイズ関連癌からなる群から選択できる。他の態様において、癌は膵臓癌または非小細胞性肺癌である。さらに他の態様において、癌は胃腸間質性腫瘍または慢性骨髄性白血病である。さらに他の態様において、癌は急性骨髄球性白血病である。癌は、グリベック(Gleevec)またはイマチニブ(imatinib)による治療に耐性であってもよく、その際、治療耐性は、Ablキナーゼ、BCR−Ablキナーゼドメイン、c−kitキナーゼ、SrcキナーゼまたはPDGFRキナーゼにおける1以上の点変異によるものであってもよい。
【0010】
他の観点において、本発明は、対象において癌を処置する医薬の製造のための式Iの化合物の使用を提供する。
【0011】
他の観点において、本発明は、対象において癌を処置する医薬の製造のための式IIIの化合物の使用を提供する。
【0012】
さらに他の観点において、本発明は、式Iの化合物を使用することを含む、キナーゼの活性を阻害する方法を提供する。1態様において、キナーゼはAbl、Abl(T315I)、BCR−Abl、BRAF、CDK11、CDK5、CDK2、CDK3、CDK7、DDR1、FLT1、FLT3、FLT4、HIPK1、kit、LOK、p38−ガンマ、PDGFRA、PDGFRB、またはSrcから選択され、式Iの化合物を使用することを含む。
【0013】
さらに他の観点において、本発明は、式IIIの化合物を使用することを含む、キナーゼの活性を阻害する方法を提供する。1態様において、キナーゼはAbl、Abl(T315I)、BCR−Abl、BRAF、CDK11、CDK5、CDK2、CDK3、CDK7、DDR1、FLT1、FLT3、FLT4、HIPK1、kit、LOK、p38−ガンマ、PDGFRA、PDGFRB、またはSrcから選択され、式IIIの化合物を使用することを含む。
【0014】
他の観点において、本発明は、式Iの化合物を使用することを含む、Ablキナーゼ、BCR−Ablキナーゼ、c−kitキナーゼ、PDGFRAもしくはPDGFRBキナーゼ、またはSrcキナーゼの活性を阻害する方法を提供する。さらに他の態様において、本発明は、式Iの化合物を対象に投与することを含む、対象において、疾患の原因または進行が少なくとも部分的にAblキナーゼ、BCR−Ablキナーゼ、c−kitキナーゼ、Srcキナーゼ、またはPDGFRキナーゼの活性により仲介される疾患を処置する方法を提供する。さらに他の態様において、本発明は、その必要がある対象に、式Iの化合物を医薬有効量の追加の抗癌剤と組み合わせて投与することを含む、癌の処置方法を提供する。追加の抗癌剤はイマチニブまたはニロチニブ(nilotinib)であってもよい。
【0015】
さらに他の観点において、本発明は、式IIIの化合物を使用することを含む、Ablキナーゼ、BCR−Ablキナーゼ、c−kitキナーゼ、PDGFRAもしくはPDGFRBキナーゼ、またはSrcキナーゼの活性を阻害する方法を提供する。さらに他の態様において、本発明は、式IIIの化合物を対象に投与することを含む、対象において、疾患の原因または進行が少なくとも部分的にAblキナーゼ、BCR−Ablキナーゼ、c−kitキナーゼ、Srcキナーゼ、またはPDGFRキナーゼの活性により仲介される疾患を処置する方法を提供する。さらに他の態様において、本発明は、その必要がある対象に、式IIIの化合物を医薬有効量の追加の抗癌剤と組み合わせて投与することを含む、癌の処置方法を提供する。追加の抗癌剤はイマチニブまたはニロチニブであってもよい。
【0016】
さらに他の観点において、本発明は、式IIIの化合物を使用することを含む、FLT3キナーゼ活性を阻害する方法を提供する。さらに他の態様において、本発明は、式IIIの化合物を対象に投与することを含む、対象において、疾患の原因または進行が少なくとも部分的にFLT3キナーゼ活性により仲介される疾患を処置する方法を提供する。さらに他の態様において、本発明は、その必要がある対象に、式IIIの化合物を医薬有効量の追加の抗癌剤と組み合わせて投与することを含む、癌の処置方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1Aは、化合物2(表A)の化学構造を示す。図1Bは、化合物2のキナーゼ選択性を示す。図1Cは、ATP−結合部位を示した、化合物2とSrcキナーゼドメインの結晶構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の化合物
本発明は、プロテインキナーゼ関連障害の処置に使用するための化合物、それへの中間体、およびその誘導体、ならびにそれらの化合物を含有する医薬組成物に関する。本発明の化合物またはその組成物は、キナーゼ酵素c−Abl、c−kit、BCR−Abl、PDGFR、およびその組合わせの阻害薬として有用である。さらに本発明の化合物またはその組成物は、癌、たとえば膵臓癌、非小細胞性肺癌、胃腸間質性腫瘍、または慢性骨髄性白血病の処置に使用できる。本発明は、本発明の化合物または医薬組成物を追加の抗癌剤と組み合わせて用いて、細胞においてプロテインキナーゼ活性を阻害する方法、あるいは癌の1以上の症状を治療、予防または改善するための方法にも関する。
【0019】
1観点において、本発明は、式Iの化合物:
【0020】
【化1】

【0021】
およびその医薬的に許容できる塩類、鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマー、またはラセミ体を提供する;
式中:
Qは、CHまたはNであり;
は、H、C(O)−C3−6−シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C(O)N(H)−ヘテロアリール、C(O)−ヘテロアリール、C(O)−ヘテロサイクル、C(O)−アリール、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、C3−6−シクロアルキル、またはC(O)−C1−6−アルキル−ヘテロサイクルであり、その際、アリールまたはヘテロアリール基は置換されていてもよく、または置換されていなくてもよく;
は、H、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、またはハロゲンであり;
は、H、C(O)−N(H)−アリール、C(O)−N(H)−C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C(O)−N(H)−C1−6−アルキル−ヘテロアリールであり、その際、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクル基は置換されていてもよく、または置換されていなくてもよく;
は、H、C(O)N(H)−アリール、N(H)C(O)N(H)−アリール、C(O)N(H)−C1−6−アルコキシ、C(O)−N(H)−C3−6−シクロアルキル、C(O)N(H)−C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、CO−C1−6−アルキル、COH、C(O)N(H)−C1−6−アルキル−ヘテロアリール、N(H)CO−C1−6−アルキル、NH、N(H)C(O)アリール、またはN(H)C(O)N(H)−C1−6−アルキル−ヘテロサイクルであり、その際、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクル基は置換されていてもよく、または置換されていなくてもよく、その際、RおよびRのうち一方はHではない。
【0022】
式Iの1態様において、R、RおよびRのアリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基は、場合により、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで1回以上置換されていてもよく;
その際、置換基アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基はさらに、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで1回以上置換されていてもよい。
【0023】
他の態様において、R、RおよびRのアリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基は、場合により、独立してC1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、SO−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、ヘテロサイクル、CF、またはヘテロアリールで1回以上置換されていてもよく;
その際、置換基ヘテロサイクルおよびヘテロアリール基は、場合によりさらに、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−OH、またはC(O)−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい。
【0024】
式Iのさらに他の態様において、Rは、H、C(O)−C3−6−シクロアルキル、ピリミジン、C(O)N(H)−ピペリジン、C(O)−ピペリジン、C(O)−C1−6−アルキル、C3−6−シクロアルキル,ピリジン、フェニル、C(O)−フェニル、C(O)−C1−6−アルキル−ピペラジン、またはC(O)−オキサゾリジノンであり、その際、Rのピリミジン、ピペリジン、ピリジン、およびフェニル基は、場合により、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで1回以上置換されていてもよく;その際、置換基アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基は、場合によりさらに、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−OH、またはC(O)−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい。
【0025】
式Iのさらに他の態様において、Rは、H、C(O)−N(H)−フェニル、C(O)−N(H)−(CH−モルホリノ、C(O)−N(H)−C1−6−アルキル−モルホリノ、またはC(O)−N(H)−C1−6−アルキル−イミダゾールであり、その際、Rのモルホリノ、イミダゾール、およびフェニル基は、場合により、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで1回以上置換されていてもよく、その際、置換基アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基は、場合によりさらに、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−OH、またはC(O)−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい。
【0026】
式Iの他の態様において、Rは、H、C(O)N(H)Ph、N(H)C(O)N(H)Ph、C(O)N(H)−C1−6−アルコキシ、C(O)−N(H)−C3−6−シクロアルキル、C(O)N(H)−C1−6−アルキル−モルホリノ、C(O)N(H)(CH−モルホリノ、CO−C1−6−アルキル、COH、C(O)−N(H)−C1−6−アルキル−イミダゾール、N(H)CO1−6−アルキル、NH、N(H)C(O)Ph、N(H)C(O)N(H)Ph、N(H)C(O)N(H)−C1−6−アルキル−モルホリノ、またはN(H)C(O)Phであり;その際、Rのモルホリノ、イミダゾール、およびフェニル基は、場合により、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで1回以上置換されていてもよく、その際、置換基アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基は、場合によりさらに、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−OH、またはC(O)−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい。
【0027】
他の態様において、RおよびRのうち少なくとも一方はHではない。さらに他の態様において、Rは、C(O)−C3−6−シクロアルキル、ピリミジン、C(O)N(H)−ピペリジン、C(O)−ピペリジン、C(O)−C1−6−アルキル、H、C3−6−シクロアルキル,ピリジン、Ph−SO−ピペラジン、C(O)−PhCH−ピペラジン−C1−6−アルキル、C(O)−C1−6−アルキル−ピペラジン、Ph−ピペラジン−C1−6−アルキル、C(O)−オキサゾリジノン−C1−6−アルキル−モルホリノであり、その際、ピリミジン基は場合により、独立してC1−6−アルキルまたはピペラジンで1回以上置換されていてもよく、その際、ピペラジンは場合によりC1−6−アルキル−OHで置換されていてもよく;その際、C(O)−C1−6−アルキル−ピペラジンは場合によりC(O)C1−6−アルキルで置換されていてもよい。
【0028】
式Iの他の態様において、Rは、H、C(O)−N(H)−Ph、C(O)−N(H)−C1−6−アルキル−モルホリノ、C(O)−N(H)−C1−6−アルキル−モルホリノ、またはC(O)−N(H)−C1−6−アルキル−イミダゾールであり、その際、Phは、場合によりCF、C1−6−アルキル−ピペラジン−C1−6−アルキル、またはイミダゾール−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい。他の態様において、Rは、H、C(O)N(H)Ph、N(H)C(O)N(H)Ph、C(O)N(H)C1−6−アルコキシ、C(O)−N(H)−C3−6−シクロアルキル、C(O)N(H)−C1−6−アルキル−モルホリノ、CO−C1−6−アルキル、COH、N(H)CO−C1−6−アルキル、NH、またはN(H)C(O)N(H)−C1−6−アルキル−モルホリノであり、その際、Ph基は、場合により、独立してCF、C1−6−アルキル−ピペラジン−C1−6−アルキル、イミダゾール−C1−6−アルキル、イミダゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピペラジン、C1−6−アルキル−ピペラジン−C1−6−アルキル、モルホリノ、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−イミダゾール、C1−6−アルキル−モルホリノ、C1−6−アルキル−ピペリジン−OH、C1−6−アルキル−ピペラジン−C1−6−アルキル)、イミダゾール−C1−6−アルキル、ピペラジン−C1−6−アルキル−OH、またはO−ピペリジン−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい。
【0029】
さらに他の態様において、Rは、C(O)−シクロプロピル、ピリミジン、C(O)N(H)−ピペリジン、C(O)−ピペリジン,C(O)CH、H、シクロプロピル、ピリジン、Ph−SO−ピペラジン、C(O)−PhCH−ピペラジン−CHCH、C(O)−(CH−ピペラジン、Ph−ピペラジン−CH、またはC(O)−オキサゾリジノン−(CH−モルホリノであり、その際、ピリミジンはCHおよびピペラジンで置換されており、これは場合により(CHOHで置換されていてもよく、その際、C(O)−(CH−ピペラジン基のピペラジンは場合によりC(O)CHで置換されていてもよく;Rは、H、CH、FまたはClであり;Rは、H、C(O)−N(H)−Ph、C(O)−N(H)−(CH−モルホリノ、C(O)−N(H)−(CH−モルホリノ、またはC(O)−N(H)−(CH−イミダゾールであり、その際、PhはCFおよびCH−ピペラジン−CHCH、またはCFおよびイミダゾール−CHで置換されており;Rは、H、C(O)N(H)Ph−CF、N(H)C(O)N(H)Ph(CF)(CH−ピペラジン−CHCH),C(O)N(H)Ph(CF)(CH−ピペラジン−CHCH)、C(O)N(H)OCH、C(O)N(H)Ph(CF)(イミダゾール−CH)、C(O)−N(H)−シクロプロピル、C(O)N(H)(CH−モルホリノ、C(O)N(H)(CH−モルホリノ、COCHCH、C(O)N(H)Ph−イミダゾール、C(O)N(H)Ph−テトラゾール、C(O)N(H)Ph−ピラゾール、C(O)N(H)Ph(CF)(ピペラジン)、COH、C(O)N(H)Ph−CH−ピペラジン−CHCH、C(O)−N(H)Ph−モルホリノ、C(O)−N(H)Ph−t−ブチル、−C(O)N(H)Ph(OCHCH)(モルホリノ)、C(O)N(H)Ph(OCH)(モルホリノ),C(O)N(H)Ph(OCH、C(O)−N(H)−(CH−イミダゾール、C(O)N(H)(CH−モルホリノ、N(H)CO−t−ブチル、NH、N(H)C(O)Ph(CF)(CH−ピペリジン−OH)、N(H)C(O)Ph(CF)(CH−ピペラジン−CHCH)、N(H)C(O)N(H)Ph(CF)(イミダゾール−CH)、N(H)C(O)N(H)−(CH−モルホリノ、N(H)C(O)N(H)−(CH−モルホリノ、N(H)C(O)Ph(CF)(ピペラジン−(CHOH)、またはN(H)C(O)Ph(CF)(O−ピペリジン−CH)である。
【0030】
本発明の他の態様において、式Iは式IIにより表わされる:
【0031】
【化2】

【0032】
式中:Qは、CHであり;Rは、C(O)−C3−6−シクロアルキル、C(O)N(H)−ヘテロアリール、C(O)−ヘテロアリール、C(O)−アリール、C(0)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、C3−6−シクロアルキル、またはC(O)−C1−6−アルキル−ヘテロアリールであり;RおよびRは、Hであり;Rは、C(O)N(H)−アリール、N(H)C(O)N(H)−アリール、C(O)N(H)−C1−6−アルコキシ、C(O)−N(H)−C3−6−シクロアルキル、C(O)N(H)−C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、CO−C1−6−アルキル、COH、C(O)N(H)−C1−6−アルキル−ヘテロアリール、N(H)CO−C1−6−アルキル、NH、N(H)C(O)アリール、またはN(H)C(O)N(H)−C1−6−アルキル−ヘテロサイクルであり、その際、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクル基は置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
【0033】
式IIの1態様において、Rは、C(O)−C3−6−シクロアルキルであり;Qは、C(H)であり;RおよびRは、Hであり;Rは、C(O)N(H)Phであり、その際、Ph基は、場合により、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで1回以上置換されていてもよく、その際、置換基アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基は、場合によりさらに、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−OH、またはC(O)−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい。
【0034】
式IIのさらに他の態様において、Phは、場合により、独立してCF、ピペラジン、C1−6−アルキルピペラジン、C1−6−アルキルピペラジン−C1−6−アルキル、CHCH、イミダゾール、またはイミダゾール−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい。
【0035】
式IIのさらに他の態様において、Rは、C(O)−C3−6−シクロアルキルであり;Qは、C(H)であり;RおよびRは、Hであり;Rは、C(O)N(H)Phであり、その際、Ph基は、場合により、独立してCF、C1−6−アルキルピペラジン、またはイミダゾールで1回以上置換されていてもよく、その際、置換基ピペラジンまたはイミダゾール場合により、独立してC1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい。
【0036】
式IIのさらに他の態様において、Phは、場合により、独立してCF、ピペラジン、C1−6−アルキルピペラジン、C1−6−アルキルピペラジン−C1−6−アルキル、CHCH、イミダゾール、またはイミダゾール−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい。
【0037】
さらに他の態様において、式IIIの化合物が本発明に含まれる:
【0038】
【化3】

【0039】
式中:
Gは、CR10またはNであり;
は、H、C(O)−C3−6−シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C(O)N(H)−ヘテロアリール、C(O)−ヘテロアリール、C(O)−ヘテロサイクル、C(O)−NH−ヘテロサイクル、C(O)−アリール、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、C3−6−シクロアルキル,またはC(O)−C1−6−アルキル−ヘテロサイクルであり;
その際、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基は、場合により、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで1回以上置換されていてもよく;
その際、置換基アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基は、場合によりさらに、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−OH、またはC(O)−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよく;
10は、HまたはC1−3アルキルであり;
12は、H、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、またはハロゲンであり;
13は、H、C(O)−N(R28)−アリール、C(O)−N(R29)−C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C(O)−N(R30)−C1−6−アルキル−ヘテロアリールであり、その際、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクル基は、場合により、1以上のOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで置換されていてもよく;
その際、置換基アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基はさらに、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで1回以上置換されていてもよく;
14は、H、C(O)NR15−アリール、NR16C(O)NR17−アリール、C(O)NR18−C1−6−アルコキシ、C(O)−NR19−C3−6−シクロアルキル、C(O)NR20−C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、CO−C1−6−アルキル、COH、C(O)NR21−C1−6−アルキル−ヘテロアリール、NR22CO−C1−6−アルキル、NR2324、NR25C(O)アリール、またはNR26C(O)NR27−C1−6−アルキル−ヘテロサイクルであり、その際、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクル基は、場合により、1以上のOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで置換されていてもよく;
その際、置換基アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基はさらに、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで1回以上置換されていてもよく;
その際、R13およびR14のうち一方はHではなく;
15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、およびR30は、C1−6−アルキル、ハロゲン、またはHである。
【0040】
式IIIの1態様において、Rは、H、C(O)−C3−6−シクロアルキル、ピリミジン、C(O)N(H)−ピペリジン、C(O)−ピペリジン、C(O)−C1−6−アルキル、C3−6−シクロアルキル,ピリジン、フェニル、C(O)−フェニル、C(O)−C1−6−アルキル−ピペラジン、またはC(O)−オキサゾリジノンであり、その際、Rのピリミジン、ピペリジン、ピリジン、およびフェニル基は、場合により、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで1回以上置換されていてもよく;その際、置換基アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基は、場合によりさらに、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−OH、またはC(O)−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい。
【0041】
式IIIの1態様において、R13は、H、C(O)−N(R28)−フェニル、C(O)−N(R29)−(CH−モルホリノ、C(O)−N(R30)−C1−6−アルキル−モルホリノ、またはC(O)−N(R30)−C1−6−アルキル−イミダゾールであり、その際、R13のモルホリノ、イミダゾール、およびフェニル基は、場合により、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで1回以上置換されていてもよく、その際、置換基アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基は、場合によりさらに、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−OH、またはC(O)−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい。
【0042】
式IIIのさらに他の態様において、R14は、H、C(O)N(R15)Ph、N(R16)C(O)N(R17)Ph、C(O)N(R18)−C1−6−アルコキシ、C(O)−N(R19)−C3−6−シクロアルキル、C(O)N(R20)−C1−6−アルキル−モルホリノ、C(O)N(R20)(CH−モルホリノ、CO−C1−6−アルキル、COH、C(O)−N(R21)−C1−6−アルキル−イミダゾール、N(R22)CO−C1−6−アルキル、NR2324、N(R25)C(O)Ph、NR26C(O)NR27−C1−6−アルキル−モルホリノであり、その際、R14のモルホリノ、イミダゾール、およびフェニル基は、場合により、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで1回以上置換されていてもよく、その際、置換基アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基は、場合によりさらに、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−OH、またはC(O)−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい。
【0043】
式IIIのさらに他の態様において、R13およびR14のうち少なくとも一方はHではない。
【0044】
さらに他の態様において、Rは、C(O)−C3−6−シクロアルキル、ピリミジン、C(O)N(H)−ピペリジン、C(O)−ピペリジン、C(O)C1−6−アルキル、H、C3−6−シクロアルキル,ピリジン、Ph−SO−ピペラジン、C(O)−PhCH−ピペラジン−C1−6−アルキル、C(O)−C1−6−アルキル−ピペラジン、Ph−ピペラジン−C1−6−アルキル、C(O)−オキサゾリジノン−C1−6−アルキル−モルホリノであり、その際、ピリミジン基は場合により、独立してC1−6−アルキルまたはピペラジンで1回以上置換されていてもよく、その際、ピペラジンは場合によりC1−6−アルキル−OHで置換されていてもよく;その際、C(O)−C1−6−アルキル−ピペラジンは場合によりC(O)C1−6−アルキルで置換されていてもよい。
【0045】
式IIIの他の態様において、R13は、H、C(O)−N(H)−Ph、C(O)−N(H)−C1−6−アルキル−モルホリノ、C(O)−N(H)−C1−6−アルキル−モルホリノ、またはC(O)−N(H)−C1−6−アルキル−イミダゾールであり、その際、Phは場合によりCF、C1−6−アルキル−ピペラジン−C1−6−アルキル、またはイミダゾール−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい。他の態様において、R14は、H、C(O)N(R15)Ph、N(R16)C(O)N(R17)Ph、C(O)N(R18)−C1−6−アルコキシ、C(O)−N(R19)−C3−6−シクロアルキル、C(O)N(R20)−C1−6−アルキル−モルホリノ、CO−C1−6−アルキル、COH、N(R22)CO−C1−6−アルキル、NR2324、N(R25)C(O)Ph、NR26C(O)NR27−C1−6−アルキル−モルホリノであり、その際、Ph基は、場合により、独立してCF、C1−6−アルキル−ピペラジン−C1−6−アルキル、イミダゾール−C1−6−アルキル、イミダゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピペラジン、C1−6−アルキル−ピペラジン−C1−6−アルキル、モルホリノ、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−イミダゾール、C1−6−アルキル−モルホリノ、C1−6−アルキル−ピペリジン−OH、C1−6−アルキル−ピペラジン−C1−6−アルキル)、イミダゾール−C1−6−アルキル、ピペラジン−C1−6−アルキル−OH、またはO−ピペリジン−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい。
【0046】
式IIIのさらに他の態様において、Rは、C(O)−シクロプロピル、ピリミジン、C(O)N(H)−ピペリジン、C(O)−ピペリジン,C(O)CH、H、シクロプロピル、ピリジン、Ph−SO−ピペラジン、C(O)−PhCH−ピペラジン−CHCH、C(O)−(CH−ピペラジン、Ph−ピペラジン−CH、またはC(O)−オキサゾリジノン−(CH−モルホリノであり、その際、ピリミジンはCHおよびピペラジンで置換されており、これは場合により(CHOHで置換されていてもよく、その際、C(O)−(CH−ピペラジン基のピペラジンは場合によりC(O)CHで置換されていてもよく;R12は、H、CH、FまたはClであり;R13は、H、C(O)−N(H)−Ph、C(O)−N(H)−(CH−モルホリノ、C(O)−N(H)−(CH−モルホリノ、またはC(O)−N(H)−(CH−イミダゾールであり、その際、PhはCFおよびCH−ピペラジン−CHCH、またはCFおよびイミダゾール−CHで置換されており;R14は、H、C(O)N(H)Ph−CF、N(H)C(O)N(H)Ph(CF)(CH−ピペラジン−CHCH)、C(O)N(H)Ph(CF)(CH−ピペラジン−CHCH)、C(O)N(H)OCH、C(O)N(H)Ph(CF)(イミダゾール−CH)、C(O)−N(H)−シクロプロピル、C(O)N(H)(CH−モルホリノ、C(O)N(H)(CH−モルホリノ、COCHCH、C(O)N(H)Ph−イミダゾール、C(O)N(H)Ph−テトラゾール、C(O)N(H)Ph−ピラゾール、C(O)N(H)Ph(CF)(ピペラジン)、COH、C(O)N(H)Ph−CH−ピペラジン−CHCH、C(O)−N(H)Ph−モルホリノ、C(O)−N(H)Ph−t−ブチル、−C(O)N(H)Ph(OCHCH)(モルホリノ)、C(O)N(H)Ph(OCH)(モルホリノ)、C(O)N(H)Ph(OCH、C(O)−N(H)−(CH−イミダゾール、C(O)N(H)(CH−モルホリノ、N(H)CO−t−ブチル、NH、N(H)C(O)Ph(CF)(CH−ピペリジン−OH)、N(H)C(O)Ph(CF)(CH−ピペラジン−CHCH)、N(H)C(O)N(H)Ph(CF)(イミダゾール−CH)、N(H)C(O)N(H)−(CH−モルホリノ、N(H)C(O)N(H)−(CH−モルホリノ、N(H)C(O)Ph(CF)(ピペラジン−(CHOH)、またはN(H)C(O)Ph(CF)(O−ピペリジン−CH)である。
【0047】
式Iの好ましい態様は、式IIIの好ましい態様(その医薬的に許容できる塩類、およびその鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマー、アトロプ異性体またはラセミ体を含む)と同等であり、下記の表Aに示され、同様に“本発明の化合物”であると考慮される。本発明の化合物は、“プロテインキナーゼ阻害薬”とも呼ばれる。
【0048】
【表1−1】

【0049】
【表1−2】

【0050】
【表1−3】

【0051】
【表1−4】

【0052】
【表1−5】

【0053】
【表1−6】

【0054】
【表1−7】

【0055】
【表1−8】

【0056】
【表1−9】

【0057】
【表1−10】

【0058】
【表1−11】

【0059】
【表1−12】

【0060】
【表1−13】

【0061】
【表1−14】

【0062】
【表1−15】

【0063】
【表1−16】

【0064】
【表1−17】

【0065】
【表1−18】

【0066】
【表1−19】

【0067】
Compound Number: 化合物名称; Structure: 構造; Physical Data: 物理的データ
処置方法
本発明の化合物は、プロテインキナーゼ関連障害の処置に有用である。
【0068】
本明細書中で用いる用語“プロテインキナーゼ関連障害”には、プロテインキナーゼの活性と関連する障害および状態(たとえば疾患状態)が含まれる。プロテインキナーゼ関連障害の限定ではない例には異常な細胞増殖が含まれ、これにはプロテインキナーゼ関連の癌、ウイルス感染症、真菌感染症、自己免疫疾患および神経変性性障害が含まれる。
【0069】
プロテインキナーゼ関連障害の限定ではない例には、増殖性疾患、たとえばウイルス感染症、自己免疫疾患、真菌症、癌、乾癬、アテローム硬化症に関連する血管平滑筋増殖、肺線維症、関節炎腎炎、慢性炎症、神経変性性障害、たとえばアルツハイマー病、ならびに外科処置後の狭窄および再狭窄が含まれる。プロテインキナーゼ関連障害には、異常な細胞増殖に関連する疾患も含まれ、これには下記のものが含まれるが、これらに限定されない:頭頚部、胸腺、卵巣、子宮頚、前立腺、精巣、食道、胃、皮膚、肺、骨、結腸、膵臓、甲状腺、胆道、口腔および咽頭(pharynx)(口内)、喉頭(larynx)、口唇、舌、口、小腸、結腸−直腸、大腸、直腸、前立腺、脳および中枢神経系の癌、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、角化性棘皮細胞腫、類表皮癌、大細胞癌、腺癌、腺腫、濾胞状癌、未分化癌、乳頭状癌、精上皮腫、黒色腫、肉腫、膀胱癌、肝癌、腎癌、骨髄障害、リンパ性障害、ホジキン病、ヘアリーセル、および白血病。
【0070】
プロテインキナーゼ関連障害にはアポトーシスに関連する疾患も含まれ、これには癌、ウイルス感染症、自己免疫疾患および神経変性性障害が含まれるが、これらに限定されない。
【0071】
プロテインキナーゼ関連癌の例には、癌腫、リンパ系列の造血系腫瘍、骨髄系列の造血系腫瘍、間葉性腫瘍、中枢および末梢神経系の腫瘍、黒色腫、精上皮腫、奇形癌、骨肉腫、色素性乾皮症、角化性棘皮細胞腫、甲状腺濾胞癌およびカポジ肉腫が含まれる。
【0072】
プロテインキナーゼ関連障害の限定ではない他の例には、腫瘍血管新生および転移が含まれる。プロテインキナーゼ関連障害の限定ではない例には、アテローム硬化症、外科処置後血管狭窄および再狭窄、ならびに子宮内膜症に関連する、血管平滑筋増殖も含まれる。
【0073】
プロテインキナーゼ関連障害の限定ではない例には、その必要がある患者におけるウイルス感染症が含まれ、その際、ウイルス感染症にはHIV、ヒトパピローマウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタイン-バーウイルス、シンドビスウイルスおよびアデノウイルスが含まれる。
【0074】
プロテインキナーゼ関連障害の限定ではないさらに他の例には、感染因子に関連するものが含まれ、これには酵母、真菌、原虫性寄生虫、たとえば熱帯熱マラリア原虫、ならびにDNAおよびRNAウイルスが含まれる。
【0075】
本発明の化合物は癌の処置に有用であり、その際、癌は、多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、膵臓癌、非小細胞性肺癌、肺癌、乳癌、大腸癌、卵巣癌、前立腺癌、悪性黒色腫、非黒色腫皮膚癌、胃腸間質性腫瘍、血液腫瘍、血液悪性疾患、小児白血病、小児リンパ腫、多発性骨髄腫、ホジキン病、リンパ球性リンパ腫、皮膚性リンパ腫、急性白血病、慢性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄球性白血病、慢性骨髄球性白血病、形質細胞新生物、リンパ球様新生物、およびエイズ関連癌からなる群から選択される。
【0076】
他の態様において、本発明の化合物はプロテインキナーゼの活性を調節するために用いられ、これは下記からなる群から選択されるプロテインキナーゼが含まれるが、これらに限定されない:
【0077】
【化4】

【0078】
本明細書中で用いる用語“調節する”または“調節”は、プロテインキナーゼの触媒活性を変化させることを表わす。特に、調節は、プロテインキナーゼが暴露される化合物または塩の濃度に応じた、プロテインキナーゼの触媒活性の活性化または阻害、あるいは、より好ましくはプロテインキナーゼの触媒活性の阻害を表わす。本明細書中で用いる用語“触媒活性”は、プロテインキナーゼの直接または間接的作用下でのチロシン、セリンまたはトレオニンのリン酸化の速度を表わす。
【0079】
キナーゼ活性の薬理学的阻害薬を分類する3つの主クラスは下記のものである:(1)タイプI、または“DFG−in”ATP競合阻害薬;これらはATP結合部位においてATPと直接競合する(すなわち、二重SRrc ABL阻害薬ダサチニブ(dasatinib)、(2)タイプII、または“DFG−out”ATP競合阻害薬;これらはATP結合部位への結合のほかに、キナーゼが不活性化された立体配置にある(すなわち、活性化ループが基質結合をブロックするコンホメーションに配向している)場合にのみ到達できる隣接する疎水性結合部位にも嵌入する(すなわち、イマチニブ、ニロチニブ)、および(3)非ATP競合阻害薬;これらはATP結合部位以外のキナーゼ活性に影響を及ぼす部位に結合する(すなわち、GNF-2)。
【0080】
第2世代のAbl阻害薬、たとえばダサチニブ、およびニロチニブは、イマチニブ耐性白血病に対して高活性である。両薬剤ともBcr−Ablに対してイマチニブより有意に有効であり、多くのイマチニブ耐性Bcr−Abl変異体に対して活性である。しかし、いずれの薬剤も、残基315におけるトレオニンのイソロイシンへの変異(T315I、“ゲートキーパー”位置)によるイマチニブ耐性を無効にすることはできない。このきわめて優勢な高度のイマチニブ耐性変異は、Ablのヌクレオチド結合裂溝の中心に位置する。ダサチニブおよびニロチニブは両方ともT315の側鎖ヒドロキシル基への水素結合相互作用を行なう;イソブチル側鎖が直接に立体侵入するため、およびATP裂溝の中心部の水素結合相互作用が失われるため、これはこれらの化合物に対して耐性である。
【0081】
BCR−Abl T315Iのほか、イマチニブ耐性疾患において統合的役割を果たす他のゲートキーパー残基には下記のものが含まれる:c−kit−T670I、これは転移がより早いことおよび無進行生存期間がより短いことを特徴とするイマチニブ耐性胃腸間質性腫瘍と関連する;この変異は、c−Kitの結合ポケットを実質的に修飾し、イマチニブ療法の選択圧下でのみ起きる;PDGFRA−T674M/I、これはFIP1LI−PDGFRAキナーゼドメインにみられ、特発性過好酸性症候群(HES)におけるイマチニブ耐性を発現させる;ならびにPDGFRB−T681M/I。
【0082】
本発明の化合物は、多様なサイズのアミノ酸側鎖に適応する様式でゲートキーパー位置を越えるタイプIIクラスのキナーゼ阻害薬である。化合物2(表A)とSrcの共晶構造は、化合物2が実際にタイプII阻害薬として結合することを証明する(図1)。
【0083】
前記に挙げたプロテインキナーゼは1以上の点変異を示す場合があり、これにはヒンジ部の変異、P−ループの変異、およびA−ループの変異が含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
好ましい態様において、プロテインキナーゼは、変異または非変異Abl、変異または非変異c−kit、変異または非変異BCR−Abl、変異または非変異PDGFR、変異または非変異Src、およびそのいずれかの組合わせからなる群から選択される。特に好ましい態様において、プロテインキナーゼは、変異または非変異c−kit、変異または非変異BCR−Abl、変異または非変異PDGFR、および変異または非変異Srcからなる群から選択される。
【0085】
1態様において、本発明の化合物は、プロテインキナーゼの組合わせ、たとえばBCR−Ablおよび/またはc−kitおよび/またはPDGFRの阻害薬であることを特徴とする。
【0086】
特定の態様において、本発明の化合物はプロテインキナーゼ関連疾患に対して、および/または1種類以上のプロテインキナーゼの阻害薬として用いられる。使用は、プロテインキナーゼの1種類以上のイソ型の阻害を伴うことができるものとする。
【0087】
1態様において、本発明の化合物は、FLT3キナーゼ活性、ならびに変異FLT3を保有する白血病細胞の増殖、生存および細胞周期進行を選択的に阻害する。
【0088】
他の態様において、本発明の化合物は、FLT3キナーゼ活性、ならびに変異FLT3を保有する白血病細胞の増殖、生存および細胞周期進行を選択的に阻害し、野生型FLT3を保有する細胞に対しては明らかな影響をもたない。
【0089】
イマチニブ、ダサチニブおよびニロチニブなどの療法用キナーゼ阻害薬の有効性は、一般に特定の疾患状態と関連する1種類以上のキナーゼ標的に対するそれらの親和性と相関する。自然に、または化学療法の選択圧下で起きる可能性のある点変異は、化学療法薬のキナーゼ標的に対する親和性を低下させ、これによりこれらの療法薬に対する耐性を付与する可能性がある。
【0090】
本発明の化合物は、分子標的において獲得された点変異による薬物耐性を克服するのに有用である。
【0091】
本発明の化合物は、癌に関連するある疾患状態、たとえば膵臓癌、非小細胞性肺癌、胃腸間質性腫瘍、または慢性骨髄性白血病における関与が示唆されている変異型または非変異型のキナーゼ酵素Abl、BCR−Abl、c−kit、PDGFRおよびSrcの阻害薬でもある。BCR−Ablは細胞周期を制御する多数のタンパク質および酵素を活性化し、細胞分裂速度を高め、DNA修復を阻害し、その結果ゲノムを不安定にし、潜在的にCMLにおける急性化を引き起こす。c−kitの異常な活性化が大部分の胃腸間質性腫瘍にみられ、一方、PDGFRの作用には細胞増殖および血管新生が含まれる。
【0092】
理論により拘束されるわけではないが、キナーゼ酵素Abl、BCR−Abl、c−kit、PDGFRおよびSrcの阻害はアポトーシスを促進し、癌細胞増殖を阻害し、腫瘍増殖を阻害すると考えられる。
【0093】
本発明は、癌、たとえば膵臓癌、非小細胞性肺癌、胃腸間質性腫瘍、または慢性骨髄性白血病、および前記のプロテインキナーゼ関連障害の、1以上の症状の処置をも含むが、本発明はこの化合物が疾患の処置に関してそれの目的機能を果たす様式に限定されるものではない。本発明は、処置を行なうことができるいかなる様式であっても本明細書に記載する疾患を処置することを含む。
【0094】
特定の態様において、本発明の化合物は単独で、または他の療法薬、たとえばイマチニブ、ニロチニブまたはダサチニブと組み合わせて用いられる。
【0095】
他の態様において、本発明は本発明化合物のいずれかの医薬組成物を提供する。関連態様において、本発明は本発明化合物のいずれかおよび医薬的に許容できるキャリヤーまたは賦形剤の医薬組成物を提供する。特定の態様において、本発明は新規化学物質としての前記化合物を含む。
【0096】
他の態様において、本発明はプロテインキナーゼの活性を阻害する方法を提供する。この方法は、細胞を発明化合物のいずれかと接触させることを含む。関連態様において、本発明はさらに、前記化合物がプロテインキナーゼの活性を選択的に阻害するのに有効な量で存在することを提供する。
【0097】
さらに、本発明方法は、有効量の本発明のプロテインキナーゼ調節化合物、たとえば式I、式IIまたは式III、および表Aのプロテインキナーゼ調節化合物(その医薬的に許容できる塩類、およびその鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマー、アトロプ異性体またはラセミ体を含む)を対象に投与することを含む。
【0098】
特定の態様において、本発明の化合物を癌の処置に使用する。1態様において、化合物2を癌の処置に使用する。他の態様において、化合物3を癌の処置に使用する。
【0099】
他の態様において、本発明は、癌を処置する医薬の製造のための本発明化合物のいずれかの使用を提供する。
【0100】
他の態様において、本発明は、対象を処置するために本発明化合物のいずれかを配合することを含む、医薬の製造方法を提供する。
【0101】
本発明において提供される1態様は、膵臓癌の処置方法であって、その必要がある対象に膵臓癌が処置されるように化合物2を投与することを含む方法である。
【0102】
本発明において提供される他の態様は、非小細胞性肺癌の処置方法であって、その必要がある対象に非小細胞性肺癌が処置されるように化合物2を投与することを含む方法である。
【0103】
さらに他の態様において本発明により提供されるのは、胃腸間質性腫瘍の処置方法であって、その必要がある対象に胃腸間質性腫瘍が処置されるように化合物2を投与することを含む方法である。
【0104】
さらに他の態様において本発明により提供されるのは、慢性骨髄性白血病の処置方法であって、その必要がある対象に慢性骨髄性白血病が処置されるように化合物2を投与することを含む方法である。
【0105】
他の態様において本発明により提供されるのは、急性骨髄性白血病の処置方法であって、その必要がある対象に急性骨髄性白血病が処置されるように化合物2を投与することを含む方法である。
【0106】
本発明において提供される他の1態様は、膵臓癌の処置方法であって、その必要がある対象に膵臓癌が処置されるように化合物3を投与することを含む方法である。
【0107】
本発明において提供される他の態様は、非小細胞性肺癌の処置方法であって、その必要がある対象に非小細胞性肺癌が処置されるように化合物3を投与することを含む方法である。
【0108】
さらに他の態様において本発明により提供されるのは、胃腸間質性腫瘍の処置方法であって、その必要がある対象に胃腸間質性腫瘍が処置されるように化合物3を投与することを含む方法である。
【0109】
さらに他の態様において本発明により提供されるのは、慢性骨髄性白血病の処置方法であって、その必要がある対象に慢性骨髄性白血病が処置されるように化合物3を投与することを含む方法である。
【0110】
他の態様において本発明により提供されるのは、急性骨髄性白血病の処置方法であって、その必要がある対象に急性骨髄性白血病が処置されるように化合物3を投与することを含む方法である。
【0111】
特定の態様において、本発明の化合物を医薬として使用する。1態様において、化合物2を医薬として使用する。他の態様において、化合物3を医薬として使用する。
【0112】
本発明において提供される1態様は、その必要がある対象において膵臓癌を処置する医薬の製造のための化合物2の使用である。
【0113】
他の態様において本発明により提供されるのは、その必要がある対象において非小細胞性肺癌を処置する医薬の製造のための化合物2の使用である。
【0114】
さらに他の態様において本発明により提供されるのは、その必要がある対象において胃腸間質性腫瘍を処置する医薬の製造のための化合物2の使用である。
【0115】
さらに他の態様において本発明により提供されるのは、その必要がある対象において慢性骨髄性白血病を処置する医薬の製造のための化合物2の使用である。
【0116】
1態様において、本発明により提供されるのは、その必要がある対象において急性骨髄性白血病を処置する医薬の製造のための化合物2の使用である。
【0117】
本発明において提供される他の1態様は、その必要がある対象において膵臓癌を処置する医薬の製造のための化合物3の使用である。
【0118】
他の態様において本発明により提供されるのは、その必要がある対象において非小細胞性肺癌を処置する医薬の製造のための化合物3の使用である。
【0119】
さらに他の態様において本発明により提供されるのは、その必要がある対象において胃腸間質性腫瘍を処置する医薬の製造のための化合物3の使用である。
【0120】
さらに他の態様において本発明により提供されるのは、その必要がある対象において慢性骨髄性白血病を処置する医薬の製造のための化合物3の使用である。
【0121】
さらに他の態様において本発明により提供されるのは、その必要がある対象において急性骨髄性白血病を処置する医薬の製造のための化合物3の使用である。
【0122】
定義
用語“処置する”、“処置された”、“処置すること”または“処置”は、処置される状態、障害または疾患に関連または起因する少なくとも1つの症状の減弱または軽減を含む。特定の態様において、処置は、プロテインキナーゼ関連障害の誘導に続いて本発明化合物を活性化し、次いでこれによって、処置される状態、障害または疾患に関連または起因する少なくとも1つの症状を減弱または軽減させることを含む。たとえば、処置は障害の1つもしくは幾つかの症状の減弱、または障害の完全な根絶であってもよい。
【0123】
用語“使用”は、別途記載しなければ、適宜かつ適切に、下記の本発明のそれぞれの態様のうちいずれか1以上を含む:プロテインキナーゼ関連障害の処置における使用;これらの疾患の処置に際して、たとえば医薬の製造に際して用いる医薬組成物の製造のための使用;これらの疾患を処置する際に本発明の化合物を使用する方法;これらの疾患を処置するための、本発明の化合物を含む医薬製剤;およびこれらの疾患を処置する際に使用するための本発明化合物。特に、処置される疾患、したがって本発明化合物の使用が好ましい疾患は、癌、たとえば膵臓癌、非小細胞性肺癌、胃腸間質性腫瘍、もしくは慢性骨髄性白血病、または炎症、心臓肥大、およびHIV感染症、ならびにプロテインキナーゼの活性に依存する疾患から選択される。用語“使用”はさらに、トレーサーまたは標識として作用するのに十分なほどプロテインキナーゼに結合し、したがって蛍光またはタグに結合させるかあるいは放射性にした場合に研究試薬または診断薬もしくは造影剤として使用できる本発明組成物の態様を含む。
【0124】
用語“対象”は、プロテインキナーゼの活性に関連する疾患、障害または状態に罹患する可能性があるかまたは罹患している生物、たとえば原核生物および真核生物を含むものとする。対象の例には、哺乳動物、たとえばヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット、およびヒト以外のトランスジェニック動物が含まれる。特定の態様において、対象はヒト、たとえば癌、たとえば膵臓癌、非小細胞性肺癌、胃腸間質性腫瘍、もしくは慢性骨髄性白血病、または炎症、心臓肥大、およびHIV感染症、ならびに本明細書に記載する他の疾患または状態(たとえばプロテインキナーゼ関連障害)に罹患しているか、罹患するリスクをもつか、または潜在的に罹患する可能性があるヒトである。他の態様において、対象は細胞である。
【0125】
“プロテインキナーゼ調節化合物”、“プロテインキナーゼの調節薬”または“プロテインキナーゼ阻害薬”という語は、プロテインキナーゼの活性を調節する、たとえば阻害するか、または他の形で変化させる化合物を表わす。プロテインキナーゼ調節化合物の例には、本発明の、すなわち式Iの化合物、および表Aの化合物が含まれる(その医薬的に許容できる塩類、およびその鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマー、アトロプ異性体またはラセミ体を含む)。
【0126】
本明細書中で用いる用語“アルキル”は、完全飽和の分枝または非分枝炭化水素部分を表わす。好ましくは、アルキルは1〜20個の炭素原子、より好ましくは1〜16個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜7個の炭素原子、1〜6個の炭素、1〜4個の炭素、または1〜3個の炭素原子を含む。アルキルの代表例にはメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルなどが含まれるが、これらに限定されない。さらに、“C−C−アルキル”という表現(xは1〜5であり、yは2〜10である)は、特定範囲の炭素をもつ特定のアルキル基(直鎖または分枝鎖)を指示する。たとえば、C−C−アルキルという表現にはメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、tert−ブチルおよびイソブチルが含まれるが、これらに限定されない。
【0127】
用語“アルケニル”は、単独で、または組み合わせて、少なくとも1つのオレフィン性結合および指示した数の炭素原子を含む直鎖、環式または分枝炭化水素残基を表わす。好ましいアルケニル基は、最大8個、好ましくは最大6、特に好ましくは最大4個の炭素原子をもつ。アルケニル基の例は、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、1−シクロヘキセニル、1−シクロペンテニルである。
【0128】
用語“アルキニル”には、前記のアルキルと長さが等しいけれども少なくとも1つの三重結合を含む不飽和脂肪族基が含まれる。たとえば、用語“アルキニル”には、直鎖アルキニル基(たとえば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニルなど)、分枝鎖アルキニル基、およびシクロアルキルまたはシクロアルケニルで置換されたアルキニル基が含まれる。用語アルキニルには、さらに、炭化水素主鎖の1個以上の炭素を置換した酸素、窒素、硫黄またはリン原子を含むアルキニル基が含まれる。特定の態様において、直鎖または分枝鎖アルキニル基は、それの主鎖中に6個以下の炭素原子をもつ(たとえば、直鎖についてはC−C、分枝鎖についてはC−C)。この用語C−Cには、2〜6個の炭素原子を含むアルキニル基が含まれる。
【0129】
本明細書中で用いる用語“シクロアルキル”は、3〜12個の炭素原子、好ましくは3〜9、または3〜7個の炭素原子の飽和または不飽和の単環式、二環式または三環式炭化水素基を表わす。単環式炭化水素基の例にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシルおよびシクロヘキセニルなどが含まれるが、これらに限定されない。二環式炭化水素基の例にはボルニル、インジル、ヘクサヒドロインジル、テトラヒドロナフチル、デカヒドロナフチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプテニル、6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプチル、2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチルなどが含まれる。三環式炭化水素基の例にはアダマンチルなどが含まれる。
【0130】
用語“シクロアルケニル”は、1〜3つの環および環当たり4〜8個の炭素を含む部分不飽和環式炭化水素基を表わす。基の例には、シクロブテニル、シクロペンテニル、およびシクロヘキセニルが含まれる。用語“シクロアルケニル”には、少なくとも1つの環が部分不飽和の炭素含有環であり、第2または第3の環が炭素環式または複素環式であってもよい二環式および三環式の基も含まれる;ただし、結合点はシクロアルケニル基に対してである。
【0131】
“アルコキシ”は、1〜10個の炭素原子をもつアルキル基が酸素原子を介して分子の残部に結合したものを表わす。1〜8個の炭素原子をもつアルコキシ基が好ましい。アルコキシのアルキル部分は、直鎖、環式もしくは分枝鎖、またはその組み合わせであってもよい。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、シクロペンチルオキシなどが含まれる。アルコキシ基は次式により表わすこともできる:−OR、ここでRはアルコキシの“アルキル部分”である。
【0132】
用語“ヘテロアルキル”は、それ自体で、または他の用語と組み合わせて、別途記載しない限り、記載した数の炭素原子、ならびにO、N、SiおよびSからなる群から選択される1〜5個のヘテロ炭素、より好ましくは1〜3個のヘテロ炭素からなる、安定な直鎖もしくは分枝鎖、またはその組合わせを意味し、その際、窒素原子および硫黄原子は場合により酸化されていてもよく、窒素原子は場合により四級化されていてもよい。ヘテロアルキル基は分子の残部に炭素原子またはヘテロ原子により結合している。
【0133】
用語“アルキルカルボニル”は、式−C(O)−Riiをもつ基を表わし、ここでRiiは前記に定めたアルキル基であり、その際、炭素原子の総数はアルキル部分とカルボニル部分を合わせたものを表わす。“アルキルカルボニル”基は分子の残部にアルキル基を介して結合することができる(すなわち、−アルキル−C(O)−Rii)。
【0134】
用語“アルコキシカルボニル”は、式−C(O)O−Riiiをもつ基を表わし、ここでRiiiは前記に定めたアルキル基であり、その際、炭素原子の総数はアルキル部分とカルボニル部分を合わせたものを表わす。“アルコキシカルボニル”基は分子の残部にアルキル基を介して結合することができる(すなわち、−アルキル−C(O)O−Riii)。
【0135】
用語“ヘテロアルキルカルボニル”は、式−C(O)Rivをもつ基を表わし、ここでRivは前記に定めたヘテロアルキル基であり、その際、炭素原子の総数はアルキル部分とカルボニル部分を合わせたものを表わす。“ヘテロアルキルカルボニル”基は分子の残部にアルキル基またはヘテロアルキル基を介して結合することができる(すなわち、−アルキル−C(O)O−RiVまたは−ヘテロアルキル−C(O)O−RiV)。
【0136】
用語“アリール”には、水素および炭素のみからなり、6〜19個の炭素原子、または6〜10個の炭素原子を含む、芳香族の単環式または多環式、たとえば三環式、二環式の炭化水素環系が含まれ、その際、環系は部分不飽和であってもよい。アリール基にはフェニル、トリル、キシリル、アントリル、ナフチルおよびフェナントリルなどの基が含まれるが、これらに限定されない。アリール基は、芳香族ではない脂環式または複素環式の環と縮合または架橋して多環を形成していてもよい(たとえばテトラリン)。
【0137】
本明細書中で用いる用語“ヘテロアリール”は、各環中に最高7個の原子をもつ安定な単環式または二環式の環であって、少なくとも1つの環は芳香族であり、O、NおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含むものを表わす。この定義の範囲に含まれるヘテロアリール基には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、キノキサリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリン。下記のヘテロサイクルの定義と同様に、“ヘテロアリール”は窒素含有ヘテロアリールのいずれかのN−オキシド誘導体を含むことも理解される。ヘテロアリール置換基が二環式であって、1つの環が非芳香族であるか、またはヘテロ原子を含まない場合、結合はそれぞれ芳香環により、またはヘテロ原子含有環により行なわれると理解される。
【0138】
用語“ヘテロサイクル”または“ヘテロサイクリル”は、5員〜10員の完全飽和または部分不飽和の非芳香族複素環式基であって、少なくとも1個のヘテロ原子、たとえばO、SまたはNを含むものを表わす。最も多い例は、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニルまたはピラジニルである。ヘテロサイクリル置換基の結合は、炭素原子またはヘテロ原子により行なわれる。
【0139】
さらに、前記のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基は、“置換されていない”か、または“置換された”ものであってよい。用語“置換された”は、分子の1個以上の原子、たとえばC、OまたはN上の水素を置換する置換基をもつ部分を記載するものとする。そのような置換基には、独立して、たとえば下記のうち1以上を含めることができる:直鎖または分枝鎖アルキル(好ましくはC−C)、シクロアルキル(好ましくはC−C)、アルコキシ(好ましくはC−C)、チオアルキル(好ましくはC−C)、アルケニル(好ましくはC−C)、アルキニル(好ましくはC−C)、複素環式、炭素環式、アリール(たとえば、フェニル)、アリールオキシ(たとえば、フェノキシ)、アラルキル(たとえば、ベンジル)、アリールオキシアルキル(たとえば、フェニルオキシアルキル)、アリールアセトアミドイル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、アルキルカルボニルおよびアリールカルボニルもしくは他のそのようなアシル基、ヘテロアリールカルボニル、またはヘテロアリール基、(CR’R”)0−3NR’R”(たとえば、−NH)、(CR’R”)0−3CN(たとえば、−CN)、−NO、ハロゲン(たとえば、−F、−Cl、−Br、または−I)、(CR’R”)0−3C(ハロゲン)(たとえば、−CF)、(CR’R”)0−3CH(ハロゲン)、(CR’R”)0−3CH(ハロゲン)、(CR’R”)0−3CONR’R”、(CR’R”)0−3(CNH)NR’R”、(CR’R”)0−3S(O)1−2NR’R”、(CR’R”)0−3CHO、(CR’R”)0−30(CR’R”)0−3H、(CR’R”)0−3S(O)0−3R’(たとえば、−SOH、−OSOH)、(CR’R”)0−30(CR’R”)0−3H(たとえば、−CHOCHおよび−OCH)、(CR’R”)0−3S(CR’R”)0−3H(たとえば、−SHおよび−SCH)、(CR’R”)0−3OH(たとえば、−OH)、(CR’R”)0−3COR’、(CR’R”)0−3(置換または非置換フェニル)、(CR’R”)0−3(C−Cシクロアルキル)、(CR’R”)0−3C0R’(たとえば、−COH)、もしくは(CR’R”)0−3OR’基、またはいずれかの天然アミノ酸の側鎖;これらにおいて、R’およびR”は、それぞれ独立して水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、またはアリール基である。
【0140】
用語“アミン”または“アミノ”は、当技術分野で一般に理解されているように、分子、または部分もしくは官能基の両方に広く適用され、第一級、第二級または第三級であってもよいと理解すべきである。用語“アミン”または“アミノ”には、窒素原子が少なくとも1個の炭素原子、水素原子またはヘテロ原子に共有結合した化合物が含まれる。これらの用語には、たとえば“アルキルアミノ”、“アリールアミノ”、“ジアリールアミノ”、“アルキルアリールアミノ”、“アルキルアミノアリール”、“アリールアミノアルキル”、“アルカミノアルキル(alkaminoalkyl)”、“アミド(amide)”、“アミド(amido)”、および“アミノカルボニル”が含まれるが、これらに限定されない。用語“アルキルアミノ”は、窒素が少なくとも1つの追加アルキル基に結合した基および化合物を含む。用語“ジアルキルアミノ”は、窒素原子が少なくとも2つの追加アルキル基に結合した基を含む。用語“アリールアミノ”および“ジアリールアミノ”は、それぞれ窒素が少なくとも1つまたは2つのアルキル基に結合した基を含む。用語“アルキルアリールアミノ”、“アルキルアミノアリール”または“アリールアミノアルキル”は、アミノ基が少なくとも1つのアルキル基および少なくとも1つのアリール基に結合したものを表わす。用語“アルカミノアルキル”は、アルキル基にも結合した窒素原子に結合したアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を表わす。
【0141】
用語“アミド(amide)”、“アミド(amido)”または“アミノカルボニル”には、カルボニルまたはチオカルボニル基の炭素に結合した窒素原子を含む化合物または部分が含まれる。この用語には“アルカミノカルボニル”または“アルキルアミノカルボニル”基が含まれ、これらはカルボニル基に結合したアミノ基に結合したアルキル、アルケニル、アリールまたはアルキニル基を含む。これにはアリールアミノカルボニルおよびアリールカルボニルアミノ基が含まれ、これらはカルボニルまたはチオカルボニル基の炭素に結合したアミノ基に結合したアリールまたはヘテロアリール部分を含む。用語“アルキルアミノカルボニル”、“アルケニルアミノカルボニル”、“アルキニルアミノカルボニル”、“アリールアミノカルボニル”、“アルキルカルボニルアミノ”、“アルケニルカルボニルアミノ”、“アルキニルカルボニルアミノ”および“アリールカルボニルアミノ”は、用語“アミド(amide)”に含まれる。アミドには、尿素基(アミノカルボニルアミノ)およびカルバメート(オキシカルボニルアミノ)も含まれる。
【0142】
本発明の特定の態様において、用語“アミン”または“アミノ”は式N(R)R、CHN(R)RおよびCH(CH)N(R)Rの置換基を表わし、これらにおいてRおよびRはそれぞれ、独立してHおよび(C−C−アルキル)0−1Gからなる群から選択され、ここでGはCOOH、H、POH、SOH、Br、Cl、F、O−C1−4−アルキル、S−C1−4−アルキル、アリール、C(O)OC−C−アルキル、C(O)C−C−アルキル−COOH、C(O)C−C−アルキルおよびC(O)−アリールからなる群から選択される。
【0143】
本明細書の記載は化学結合の原則および原理と適合させて解釈すべきである。たとえば、いずれか特定の位置に置換基を収容するために水素原子を除くことが必要な場合がある。さらに、可変基(すなわち、“R基”)の定義、および本発明の一般式(たとえば、式I、IIまたはIII)の結合の位置は当技術分野で知られている化学結合の原則と一致することを理解すべきである。前記の本発明化合物はすべて、各原子の原子価を満たすために必要に応じて隣接原子間の結合および/または水素をさらに含むことも理解すべきである。すなわち、下記の全結合数を得るために下記のタイプの原子それぞれに結合および/または水素原子を加える。炭素:4つの結合;窒素:3つの結合;酸素:2つの結合;および硫黄:2〜6つの結合。
【0144】
本発明の化合物は不斉炭素原子を含む場合がある。したがって、そのような不斉性から生じる異性体(すべての鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマーまたはラセミ体)が本発明の範囲に含まれることを理解すべきである。そのような異性体は、古典的な分離法および立体化学的に制御された合成によって実質的に純粋な形で得ることができる。さらに、本明細書に述べる構造ならびに他の化合物および部分は、そのすべての互変異性体をも含む。本明細書に記載する化合物は、当技術分野で認識されている合成法により得ることができる。
【0145】
ある本発明化合物の置換基が異性体形の環式構造を含むことも認められるであろう。したがって、別途指示しない限り特定の置換基の構造異性体が本発明の範囲に含まれることを理解すべきである。たとえば、用語“テトラゾール”には、テトラゾール、2H−テトラゾール、3H−テトラゾール、4H−テトラゾールおよび5H−テトラゾールが含まれる。
【0146】
同位体
本発明は、すべての医薬的に許容できる同位体標識した本発明化合物、すなわち式(I)、(II)および(III)の化合物を含む;それらにおいては、1以上の原子が、同一原子番号をもつけれども自然界で通常みられる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数をもつ原子で交換されている。
【0147】
本発明の化合物に含有させるのに適した同位体の例には、下記の同位体が含まれる:水素、たとえばHおよびH、炭素、たとえば11C、13Cおよび14C、塩素、たとえば36Cl、フッ素、たとえば18F、ヨウ素、たとえば123Iおよび125I、窒素、たとえば13Nおよび15N、酸素、たとえば15O、17Oおよび18O、リン、たとえば32P,および硫黄、たとえば35S。
【0148】
式(I)、(II)および(III)のある種の同位体標識化合物、たとえば放射性同位体を取り込んだものは、薬物および/または基質の組織分布試験に有用である。放射性同位体であるトリチウム、すなわちH、および炭素−14、すなわち14Cは、それらの取込みやすさおよび検出手段の容易さからみてこの目的に特に有用である。
【0149】
より重い同位体、たとえばジュウテリウム、すなわちHによる置換は、より大きな代謝安定性から生じる療法上のある種の利点、たとえばインビボ半減期の延長または投与必要量の減少をもたらすことができ、したがってある状況では好ましい可能性がある。
【0150】
陽電子を放射する同位体、たとえば11C、18F、15Oおよび13Nは、基質の受容体占有率を調べるための陽電子射出断層撮影法(PET)試験に有用な可能性がある。
【0151】
同位体標識した式(I)、(II)および(III)の化合物は一般に、当業者に既知の常法により、または後記の実施例および製造例に記載するものと類似の方法により、適宜な同位体標識した試薬を、従来用いられている非標識試薬の代わりに用いて製造できる。
【0152】
組合わせ
本発明の化合物は、既知の抗癌剤との組合わせにおいても有用である。そのような既知の抗癌剤には下記のものが含まれる:エストロゲン受容体調節薬、アンドロゲン受容体調節薬、レチノイド受容体調節薬、細胞毒、抗増殖薬、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、HIVプロテアーゼ阻害薬、逆転写酵素阻害薬、および他の血管新生阻害薬。
【0153】
“エストロゲン受容体調節薬”は、機序にかかわらず受容体へのエストロゲンの結合を妨害または阻害する化合物を表わす。エストロゲン受容体調節薬の例には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:タモキシフェン(tamoxifen)、ラロキシフェン(raloxifene)、イドキシフェン(idoxifene)、LY353381、LY117081、トレミフェン(toremifene)、フルベストラント(fulvestrant)、4−[7−(2,2ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノエート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル−ヒドラゾン、およびSH646。
【0154】
“アンドロゲン受容体調節薬”は、機序にかかわらず受容体へのアンドロゲンの結合を妨害または阻害する化合物を表わす。アンドロゲン受容体調節薬の例には、フィナステリド(finasteride)および他の5α−レダクターゼ阻害薬、ニルタミド(nilutamide)、フルタミド(flutamide)、ビカルタミド(bicalutamide)、リアロゾール(liarozole)および酢酸アビラテロン(abiraterone acetat)が含まれる。
【0155】
“レチノイド受容体調節薬”は、機序にかかわらず受容体へのレチノイドの結合を妨害または阻害する化合物を表わす。そのようなレチノイド受容体調節薬の例には、ベキサロテン(bexarotene)、トレチノイン(tretinoin)、13−cis−レチノイン酸、9−cis−レチノイン酸、アルファ−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23-7553、trans−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチナミド、およびN−4−カルボキシフェニルレチナミドが含まれる。
【0156】
“細胞毒”は、主に細胞の機能を直接妨害することにより細胞死を引き起こすか、あるいは細胞の有糸分裂を阻害または妨害する化合物を表わし、これにはアルキル化剤、腫瘍壊死因子、挿入剤、マイクロチューブリン阻害薬、およびトポイソメラーゼ阻害薬が含まれる。
【0157】
細胞毒の例には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:チラパジミン(tirapazimine)、セルテネフ(sertenef)、カヘクチン(cachectin)、イホスファミド(ifosfamide)、タソネルミン(tasonermin)、ロニダミン(lonidamine)、カルボプラチン(carboplatin)、ドキソルビシン(doxorubicin)、アルトレタミン(altretamine)、プレドニムスチン(prednimustine)、ジブロモダルシトール(dibromodulcitol)、ラニムスチン(ranimustine)、ホテムスチン(fotemustine)、ネダプラチン(nedaplatin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、テモゾロムニド(temozolomnide)、ヘプタプラチン(heptaplatin)、エストラムスチン(estramustine)、トシル酸イムプロスルファン(improsulfan tosilate)、トロホスファイニド(trofosfainide)、ニムスチン(nimustine)、ジブロスピジウムクロリド(dibrospidium chloride)、プミテパ(pumitepa)、ロバプラチン(lobaplatin)、サトラプラチン(satraplatin)、プロフィロマイシン(profiromycin)、シスプラチン(cisplatin)、イロフルベン(irofulven)、デキシホスファミド(dexifosfamide)、cis−アミンジクロロ(2−メチル−ピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルホスファミド(glufosfamide)、GPXlOO、(trans,trans,trans)−ビス−mu−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−mu−[ジアミン−白金(II)]ビス[ジアミン(−クロロ)白金(II)]テトラクロリド、ジアリジジニルスペルミン(diarizidinylspermine)、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン(zorubicin)、イダルビシン(idarubicin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、ビサントレン(ビスantrene)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、ピラルビシン(pirarubicin)、ピナフィド(pinafide)、バルルビシン(valrubicin)、アムルビシン(amrubicin)、アンチネオプラストン(antineoplaston)、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシ−カルミノマイシン(-carminomycyn)、アンナマイシン(annamycin)、ガラルビシン(galarubicin)、エリナフィド(elinafide)、MEN10755、および4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシン(参照:WO 00/50032)。
【0158】
マイクロチューブリン阻害薬の例には、パクリタキセル(paclitaxel)、硫酸ビンデシン(vindesine sulfate)、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン(-norvincaleukoblastine)、ドセタキセル(docetaxol)、リゾキシン(rhizoxin)、ドラスタチン(dolastatin)、イセチオン酸ミボブリン(mivobulin isethionate)、オーリスタチン(auristatin)、セマドチン(cemadotin)、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン(vinflunine)、クリプトフィシン(cryptophycin)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、ウンヒドロビンブラスチン(anhydrovinblastine)、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258、およびBMS 188797が含まれる。
【0159】
トポイソメラーゼ阻害薬の若干例は、下記のものである:トポテカン(topotecan)、ヒカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン(irinotecan)、ルビテカン(rubitecan)、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソ−ベンジリデン−カルトロイシン(-chartreusin)、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパナミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ4−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:b,7]インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン(lurtotecan)、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン(-camptothecin)、BNP1350、BNPI1lOO、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド(etoposide phosphate)、テニポシド(teniposide)、ソブゾキサン(sobuzoxane)、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシ−エトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アムサクリン(asulacrine)、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d−)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナントリジウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソキノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン4−イルメチル−]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オン、およびジメスナ(dimesna)。
【0160】
“抗増殖薬”には、アンチセンスRNAおよびDNAオリゴヌクレオチド、たとえばG3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231、およびINX3001、ならびに代謝拮抗薬、たとえばエノシタビン(enocitabine)、カルモフル(carmofur)、テガフル(tegafur)、ペントスタチン(pentostatin)、ドキシフルオリジン(doxifluridine)、トリメトレキセート(trimetrexate)、フルダラビン(fludarabine)、カペシタビン(capecitabine)、ガロシタビン(galocitabine)、シタラビンオクホスフェート(cytarabine ocfosfate)、ホステラビンナトリウム水和物(fosteabine sodium hydrate)、ラルチトレキセド(raltitrexed)、パルチトレキシド(paltitrexid)、エミテフル(emitefur)、チアゾフリン(tiazofurin)、デシタビン(decitabine)、ノラトレキセド(nolatrexed)、ペメトレキセド(pemetrexed)、ネルザラビン(nelzarabine)、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L-マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン(aplidine)、エクテイナスシジン(ecteinascidin)、トロキサシタビン(troxacitabine)、4−[2−アミノ4−オキソ4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]チアジン−6−イル−(−S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン(aminopterin)、5−フルオロウラシル、アラノシン(alanosine)、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラ−シクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン(swainsonine)、ロメトレキソール(lometrexol)、デクスラゾキサン(dexrazoxane)、メチオニナーゼ(methioninase)、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン、および3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンが含まれる。
【0161】
“抗増殖薬”には、増殖因子に対するモノクローナル抗体であって“血管新生阻害薬”に挙げるもの以外のもの、たとえばトラスツヅマブ(trastuzumab)、および腫瘍抑制遺伝子、たとえばp53も含まれ、これらは組換えウイルス仲介による遺伝子伝達により送達できる(たとえば、U.S. Pat. No. 6,069,134を参照)。
【0162】
“HMG−CoAレダクターゼ阻害薬”は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼの阻害薬を表わす。HMG−CoAレダクターゼに対する阻害活性をもつ化合物は、当技術分野で周知のアッセイ法を用いて容易に同定できる。たとえば、U.S. Pat. No. 4,231,938, col. 6、およびWO 84/02131, pp. 30-33を参照。用語“HMG−CoAレダクターゼ阻害薬”と“HMG−CoAレダクターゼの阻害薬”は、本明細書中で使用する際には同じ意味をもつ。
【0163】
使用できるHMG−CoAレダクターゼ阻害薬の例には、ロバスタチン(lovastatin )、シンバスタチン(simvastatin)、プラバスタチン(pravastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、アトルバスタチン(atorvastatin)およびセリバスタチン(cerivastatin)が含まれるが、これらに限定されない。本発明方法に使用できるこれらおよび他のHMG−CoAレダクターゼ阻害薬の構造式は、M. Yalpani, "Cholesterol Lowering Drugs", Chemistry & Industry, pp. 85-89 (5 Feb. 1996), page 87、ならびにU.S. Pat. Nos. 4,782,084および4,885,314に記載されている。本明細書中で用いる用語HMG−CoAレダクターゼ阻害薬には、すべての医薬的に許容できるラクトンおよび開放酸形(すなわち、ラクトン環が開いて遊離酸を形成した場合)、ならびにHMG−CoAレダクターゼ阻害活性をもつ塩およびエステル形の化合物が含まれ、したがってそのような塩、エステル、開放酸およびラクトン形が本発明の範囲に含まれる。
【0164】
“プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害薬”は、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ(FPTase)、ゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼI型(GGPTase−I)、およびゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼII型(GGPTase−II;Rab GGPTaseとも呼ばれる)を含むいずれか1種類またはいずれかの組合わせのプレニル−タンパク質トランスフェラーゼ酵素を阻害する化合物を表わす。プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害化合物の例には、下記のものが含まれる:(+/−)−6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン、(−)−6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン、(+)−6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)メチル]4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン、5(S)−n−ブチル−1−(2,3−ジメチルフェニル)4−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−2−ピペラジノン、(S)−1−(3−クロロフェニル)4−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−5−[2−(エタンスルホニル)メチル)−2−ピペラジノン、5(S)−n−ブチル−1−(2−メチルフェニル)4−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−2−ピペラジノン、1−(3−クロロフェニル)−4−[1−(4−シアノベンジル)−2−メチル−5−イミダゾリルメチル]−2−ピペラジノン、1−(2,2−ジフェニルエチル)−3−[N−(1−(4−シアノベンジル)−1H−イミダゾール−5−イルエチル)カルバモイル]ピペリジン、4−{5−[4−ヒドロキシメチル4−(4−クロロピリジン−2−イルメチル)−ピペリジン−1−イルメチル−]−2−メチルイミダゾール−1−イルメチル}ベンゾニトリル、4−{5−[4−ヒドロキシメチル−4−(3−クロロベンジル)−ピペリジン−1−イルメチル]−2−メチルイミダゾール−1−イルメチル]ベンゾニトリル、4−{3−[4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)ベンジル]−3H−イミダゾール4−イルメチル]ベンゾニトリル−、4−{3−[4−(5−クロロ−2−オキソ−2H−[1,2’]ビピリジン−5’−イルメチル]−3H−イミダゾール4−イルメチル]ベンゾニトリル、4−{3−[4−(2−オキソ−2H−[1,2’]ビピリジン−5’−イルメチル]−3H−イミダゾール4−イルメチルベンゾニトリル、4−[3−(2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン4−イルメチル)−3H−イミダゾール4−イルメチル}ベンゾニトリル,18,19−ジヒドロ−19−オキソ−5H,17H−6,10:12,16−ジメテノ−1H-イミダゾ[4,3−c][1,11,4]ジオキサアザシクロ−ノナデシン−9−カルボニトリル、(+/−)−19,20−ジヒドロ−19−オキソ−5H−18,21−エタノ−12,14−エテノ−6,10−メテノ−22H−ベンゾ[d]イミダゾ[4,3−k][1,6,9,12]オキサトリアザ−シクロオクタデシン−9−カルボニトリル、19,20−ジヒドロ−19−オキソ−5H,17H−18,21−エタノ−6,10:12,16−ジメテノ−22H−イミダゾ−[3,4−h][1,8,11,14]オキサトリアザシクロエイコシン−9−カルボニトリル、および(+/−)−19,20−ジヒドロ−3−メチル−19−オキソ−5H−18,21−エタノ−12,14−エテノ−6,10−メテノ−22H−ベンゾ[d]イミダゾ[4,3−k][1,6,9,12]オキサ−トリアザシクロオクタデシン−9−カルボニトリル。
【0165】
プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害薬の他の例は、下記の刊行物および特許にみられる:
【0166】
【化5】

【0167】
プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害薬が血管新生に及ぼす役割の例については、European J. of Cancer, Vol. 35, No. 9, pp.1394-1401 (1999)を参照。
【0168】
HIVプロテアーゼ阻害薬の例には、アンプレナビル(amprenavir)、アバカビル(abacavir)、CGP-73547、CGP-61755、DMP-450、インジナビル(indinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、チプラナビル(tipranavir)、リトナビル(ritonavir)、セキナビル(saquinavir)、ABT-378、AG 1776、およびBMS-232,632が含まれる。逆転写酵素阻害薬の例には、デラビリジン(delaviridine)、エファビレンツ(efavirenz)、GS-840、HB Y097、ラミブジン(lamivudine)、ネビラピン(nevirapine)、AZT、3TC、ddC、およびddIが含まれる。
【0169】
“血管新生阻害薬”は、機序にかかわらず、新たな血管の形成を阻害する化合物を表わす。血管新生阻害薬の例には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:チロシンキナーゼ阻害薬、たとえばチロシンキナーゼ受容体Flt−1(VEGFR1)およびFlk−1/KDR(VEGFR20)の阻害薬、上皮由来、線維芽細胞由来、または血小板由来増殖因子の阻害薬、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害薬、インテグリン遮断薬、インターフェロン−アルファ、インターロイキン−12、ポリ硫酸ペントサン、シクロオキシゲナーゼ阻害薬:下記を含む:非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、たとえばアスピリン(aspirin)およびイブプロフェン(ibuprofen)、ならびに選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬セレコキシブ(celecoxib)およびロフェコキシブ(rofecoxib) (PNAS, Vol. 89, p. 7384 (1992); JNCI, Vol. 69, p. 475 (1982); Arch. Opthalmol, Vol. 108, p.573 (1990); Anat. Rec, Vol. 238, p. 68 (1994); FEBS Letters, Vol. 372, p. 83 (1995); Clin, Orthop. Vol. 313, p. 76 (1995); J. Mol. Endocrinol, Vol. 16, p.107 (1996); Jpn. J. Pharmacol, Vol. 75, p. 105 (1997); Cancer Res., Vol. 57, p. 1625 (1997); Cell, Vol. 93, p. 705 (1998); Intl. J. Mol Med., Vol. 2, p. 715 (1998); J. Biol. Chem., Vol. 274, p. 9116 (1999))、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4(combretastatin A-4)、スクアラミン(squalamnine)、6−O−クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール(-fumagillol)、サリドマイド(thalidomide)、アンギオスタチン(angiostatin)、トロポニン−1(troponin-1)、アンギオテンシンIIアンタゴニスト(参照:Fernandez et al, J. Lab. Clin. Med. 105: 141-145 (1985))、およびVEGFに対する抗体(参照:Nature Biotechnology, Vol. 17, pp.963-968 (October 1999); Kim et al, Nature, 362, 841-844 (1993); WO 00/44777;およびWO 00/61186)。
【0170】
アッセイ法
本発明の化合物によるプロテインキナーゼ活性阻害は、当技術分野で利用できる多数のアッセイ法を用いて測定できる。そのようなアッセイ法の例を後記の実施例のセクションに記載する。
【0171】
医薬組成物
本発明の化合物は、特にプロテインキナーゼ関連障害および癌、たとえば膵臓癌、非小細胞性肺癌、胃腸間質性腫瘍、もしくは慢性骨髄性白血病を処置するために有効な医薬組成物中の有効成分として適切である。多様な態様の医薬組成物は、医薬有効量の本発明の有効薬剤を医薬的に許容できる他の賦形剤、キャリヤー、充填剤、希釈剤などと共に含む。
【0172】
化合物の“医薬有効量(医薬的に有効な量)”または“医薬許容量(医薬的に許容できる量)”という語は、プロテインキナーゼ関連障害を治療または予防するために、たとえば本明細書に記載するプロテインキナーゼ関連障害および/または疾患もしくは状態の種々の形態的または身体的な症状を予防するために、必要または十分な量である。一例において、本発明化合物の有効量は、対象においてプロテインキナーゼ関連障害を治療するために十分な量である。有効量は、対象の体格および体重、疾病のタイプ、または個々の本発明化合物などの要因に応じて変動する可能性がある。たとえば、本発明化合物の選択は“有効量”を構成するものに影響を及ぼす可能性がある。当業者は、過度の実験なしに、本明細書に含まれる要因を調べて本発明化合物の有効量に関する決定を行なうことができるであろう。
【0173】
投与計画は医薬有効量を構成するものに影響を及ぼす可能性がある。本発明の化合物は、プロテインキナーゼ関連障害の発症前または発症後に対象に投与することができる。さらに、幾つかの分割量および時差量(staggered dosage)を毎日または逐次投与することができ、あるいは投与量を連続注入することができ、またはボーラス注射することができる。さらに、本発明化合物(単数または複数)の投与量を治療または予防状況の要求に応じて増加または減少させることができる。
【0174】
限定ではない1態様において、“医薬有効量”という句は、対象に投与した際に下記のために有効な本発明化合物の量を表わす:(1)下記の状態または障害もしくは疾患を少なくとも部分的に軽減、阻害、予防および/または改善する:(i)キナーゼ酵素c−Abl、BCR−Abl、c−kitおよび/またはPDGFRにより仲介されるもの、あるいは(ii)キナーゼ酵素c−Abl、BCR−Abl、c−kitおよび/またはPDGFR活性に関連するもの、あるいは(iii)キナーゼ酵素c−Abl、BCR−Abl、c−kitおよび/またはPDGFRの異常な活性を特徴とするもの;あるいは(2)キナーゼ酵素c−Abl、BCR−Abl、c−kitおよび/またはPDGFRの活性を低減または阻害する;あるいは(3)キナーゼ酵素c−Abl、BCR−Abl、c−kitおよび/またはPDGFRの発現を低減または阻害する。限定ではない他の態様において、“医薬有効量”という句は、対象に投与した際に、癌、たとえば膵臓癌、非小細胞性肺癌、胃腸間質性腫瘍、もしくは慢性骨髄性白血病を少なくとも部分的に軽減、阻害、予防および/または改善するために有効な本発明化合物の量を表わす。限定ではないさらに他の態様において、“医薬有効量”という句は、細胞もしくは組織または非細胞系の生物材料または培地に投与した際に、キナーゼ酵素c−Abl、BCR−Abl、c−kitおよび/またはPDGFRの活性を少なくとも部分的に低減または阻害するために、あるいはキナーゼ酵素c−Abl、BCR−Abl、c−kitおよび/またはPDGFRの発現を少なくとも部分的に低減または阻害するために有効な本発明化合物の量を表わす。
【0175】
有効量は、対象の体格および体重、疾病のタイプ、または特定の有機化合物などの要因に応じて変動する可能性がある。たとえば、有機化合物の選択は“有効量”を構成するものに影響を及ぼす可能性がある。当業者は、過度の実験なしに、前記の要因を調べて有機化合物の許容量に関する決定を行なうことができるであろう。
【0176】
本発明の化合物は、本明細書に記載する状態、障害または疾患の処置のために、あるいはこれらの疾患の処置に用いる医薬組成物の製造のために使用できる。これらの疾患の処置における本発明化合物の使用方法、またはこれらの疾患の処置のための本発明化合物を含む医薬製剤の使用方法。
【0177】
“医薬組成物”という語には、哺乳動物、たとえばヒトに投与するのに適した製剤が含まれる。本発明の化合物を医薬として哺乳動物、たとえばヒトに投与する場合、それらをそのままで、またはたとえば0.1〜99.5%(より好ましくは0.5〜90%)の有効成分を医薬的に許容できるキャリヤーと組み合わせて含有する医薬組成物として、投与することができる。
【0178】
“医薬的に許容できるキャリヤー”という句は当技術分野で認識されており、本発明の化合物を哺乳動物に投与するのに適した、医薬的に許容できる材料、組成物またはビヒクルを含む。キャリヤーには、対象薬剤を1臓器または身体部分から他の臓器または身体部分へ運搬または輸送するのに関与する、液体または固体状の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶剤または封入材料が含まれる。各キャリヤーは、配合物の他の成分と適合性でありかつ患者に対して有害でないという意味で“許容できる”ものでなければならない。医薬的に許容できるキャリヤーとして使用できる材料の若干例には、下記のものが含まれる:糖類、たとえば乳糖、ブドウ糖およびショ糖;デンプン、たとえばトウモロコシデンプンおよびバレイショデンプン;セルロースおよびそれの誘導体、たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;粉末状トラガント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、たとえばカカオ脂および坐剤ろう;油類、たとえばラッカセイ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油;グリコール類、たとえばプロピレングリコール;ポリオール、たとえばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;エステル類、たとえばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、たとえば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張塩類溶液;リンガー液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;ならびに医薬配合物に用いられる他の無毒性適合性物質。
【0179】
湿潤剤、乳化剤および滑沢剤、たとえばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、着香剤および香料、保存剤および抗酸化剤が組成物中に存在してもよい。
【0180】
医薬的に許容できる抗酸化剤の例には、下記のものが含まれる:水溶性抗酸化剤、たとえばアスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;油溶性抗酸化剤、たとえばパルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなど;ならびに金属キレート化剤、たとえばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸など。
【0181】
本発明の配合物には、経口、鼻腔、局所、口内、舌下、直腸、膣および/または非経口投与に適したものが含まれる。配合物は、単位剤形で提供するのが好都合であり、医薬技術分野で周知のいずれかの方法により製造できる。キャリヤー材料と組み合わせて単一剤形を製造することができる有効成分の量は、一般に療法効果を生じる化合物量であろう。一般に100パーセントのうち、この量は約1パーセントから約99パーセントまで、好ましくは約5パーセントから約70パーセントまで、最も好ましくは約10パーセントから約30パーセントまでの範囲の有効成分であろう。
【0182】
これらの配合物または組成物を製造する方法は、本発明の化合物をキャリヤーおよび場合により1種類以上の補助成分と混和する工程を含む。一般に配合物は、本発明の化合物を液体キャリヤーもしくは微細に分割した固体キャリヤーまたは両方と均一かつ密に混和し、次いで必要ならば製品を成形することにより製造される。
【0183】
経口投与に適した本発明の配合物は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、トローチ剤(着香した基剤、通常はショ糖およびアラビアゴムまたはトラガントを使用)、散剤、顆粒剤の形、または水性もしくは非水性液体中の液剤もしくは懸濁液剤として、または水中油型もしくは油中水型の液状乳剤として、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤として、またはトローチ剤(pastille)(不活性基剤、たとえばゼラチンおよびグリセリン、またはショ糖およびアラビアゴムを使用)として、および/またはマウスウォッシュなどとしてであってもよく、それぞれ前決定量の本発明化合物を有効成分として含有する。本発明の化合物は、ボーラス、舐剤(electuary)またはペースト剤として投与することもできる。
【0184】
経口投与用の本発明の固体剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣丸、散剤、顆粒剤など)においては、有効成分を1種類以上の医薬的に許容できるキャリヤー、たとえばクエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム、および/または下記のいずれかと混合する:充填剤または増量剤、たとえばデンプン、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール、および/またはケイ酸;結合剤、たとえばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖および/またはアラビアゴム;保湿剤、たとえばグリセロール;崩壊剤、たとえば寒天、炭酸カルシウム、バレイショもしくはタピオカのデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム;溶解遅延剤、たとえばパラフィン;吸収促進剤、たとえば第四級アンモニウム化合物;湿潤剤、たとえばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール;吸収剤、たとえばカオリンおよびベントナイトクレー;滑沢剤、たとえばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物;ならびに着色剤。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、医薬組成物は緩衝剤を含有することもできる。同様なタイプの固体組成物は、乳糖(lactose、milk sugar)および高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を用いて、充填剤入りの軟および硬ゼラチンカプセル剤の充填剤としても使用できる。
【0185】
錠剤は、場合により1種類以上の補助成分と共に圧縮または成形することにより製造できる。圧縮錠は、結合剤(たとえば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(たとえば、グリコール酸デンプンナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤を用いて製造できる。成形錠は、不活性液体希釈剤で湿潤させた粉末状化合物の混合物を適切な装置内で成形することにより作成できる。
【0186】
本発明の錠剤、ならびに他の固体剤形の医薬組成物、たとえば糖衣丸、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤は、場合により刻み目を入れることができ、あるいはコーティングおよびシェル、たとえば医薬配合技術分野で周知の腸溶コーティングおよび他のコーティングを付与して製造することができる。それらは、その中の有効成分の徐放または制御放出をもたらすように、たとえば希望する放出プロフィールをもたらすための種々の割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはマイクロスフェアを用いて配合することもできる。それらは、たとえば細菌保持用フィルターによる濾過または殺菌剤の装入により殺菌して無菌固体組成物の形にし、それを使用直前に無菌水または他のいずれかの無菌注射用媒質に溶解することができる。これらの組成物は、場合により乳白剤を含有することもでき、また胃腸管の特定部分においてのみ、または優先的にその特定部分において、場合により遅延様式で有効成分(単数または複数)を放出する組成物であってもよい。使用できる包埋用組成物の例には、ポリマー物質およびろうが含まれる。有効成分は、適切ならば1種類以上の前記賦形剤を含むマイクロカプセル化された形であってもよい。
【0187】
経口投与用の本発明化合物の液体剤形には、医薬的に許容できる乳剤、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁液剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。液体剤形は、有効成分のほかに、当技術分野で慣用される不活性希釈剤、たとえば水または他の溶剤、可溶化剤および乳化剤、たとえばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油類(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、麦芽油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにその混合物を含有することができる。
【0188】
経口用組成物は、不活性希釈剤のほかに、佐剤、たとえば湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、着香剤、着色剤、香料および保存剤を含有することもできる。
【0189】
懸濁液剤は、有効化合物のほかに、懸濁化剤、たとえばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガント、ならびにその混合物を含有することができる。
【0190】
直腸または膣投与用の本発明の医薬組成物の配合物は、坐剤として提供することができ、それらは1種類以上の本発明化合物を1種類以上の適切な非刺激性賦形剤またはキャリヤーと混合することにより製造できる;これは、たとえばカカオ脂、ポリエチレングリコール、坐剤ろうまたはサリチレートを含み、室温では固体であるが、体温では液体であり、したがって直腸または膣腔内では融解して有効成分を放出するであろう。
【0191】
膣投与に適した本発明の配合物には、適切であることが当技術分野で知られているキャリヤーを含有するペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、パスタ剤、発泡剤またはスプレー配合物も含まれる。
【0192】
本発明化合物の局所または経皮投与用の剤形には、散剤、スプレー剤、軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、パッチおよび吸入剤が含まれる。有効化合物を、医薬的に許容できるキャリヤーと、および必要な可能性があるいずれかの保存剤、緩衝剤、または噴射剤と、無菌条件下で混合することができる。
【0193】
軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤およびゲル剤は、本発明の有効化合物のほかに、賦形剤、たとえば動物および植物の脂肪、油、ろう、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはその混合物を含有することができる。
【0194】
散剤およびスプレー剤は、本発明化合物のほかに、賦形剤、たとえば乳糖、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはその混合物を含有することができる。スプレー剤はさらに、一般的な噴射剤、たとえばクロロフルオロ炭化水素および揮発性の非置換炭化水素、たとえばブタンおよびプロパンを含有することができる。
【0195】
経皮パッチは、本発明化合物を身体に制御放出するという付加的な利点をもつ。そのような剤形は、本発明化合物を適切な媒質に溶解または分散することにより製造できる。皮膚を通した化合物の流入を高めるために吸収増強剤も使用できる。そのような流入の速度は、速度制御膜を付与することにより、または有効化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルに分散させることにより制御できる。
【0196】
眼科用配合物である眼軟膏、散剤、液剤なども本発明の範囲に含まれるものとする。
【0197】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、1種類以上の本発明化合物を1種類以上の医薬的に許容できる無菌、等張、水性または非水性の溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョンと組み合わせて含むか、あるいは使用直前に再構成して無菌注射用液剤または分散剤液剤にすることができる無菌散剤であってもよく、これらは抗酸化剤、緩衝剤、制菌剤、配合物を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質、または懸濁化剤もしくは増粘剤を含有することができる。
【0198】
本発明の医薬組成物中に使用できる適切な水性または非水性のキャリヤーの例には、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびその適切な混合物、植物油、たとえばオリーブ油、ならびに注射用有機エステル、たとえばオレイン酸エチルが含まれる。たとえば、コーティング材料、たとえばレシチンの使用により、分散剤の場合は必要な粒度を維持することにより、および界面活性剤の使用により、適切な流動性を維持することができる。
【0199】
これらの組成物は、佐剤、たとえば保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤を含有することもできる。種々の抗細菌剤および抗真菌剤、たとえばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを装入することにより、微生物の作用の阻止を確実にすることができる。等張化剤、たとえば糖類、塩化ナトリウムなどを組成物に装入することも望ましい場合がある。さらに、吸収を遅延させる作用剤、たとえばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを装入することにより、注射用医薬剤形の持続的吸収をもたらすことができる。
【0200】
場合により、薬物の作用を持続させるために、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅延させることが望ましい。これは、低い水溶性をもつ結晶質または非晶質物質の懸濁液剤の使用により達成できる。その際、その薬物の吸収速度はそれの溶解速度に依存し、これは結晶サイズおよび結晶形態に依存する可能性がある。あるいは、非経口投与剤形の遅延吸収は、薬物を油性ビヒクルに溶解または懸濁することにより達成できる。
【0201】
注射用デポー剤形は、生分解性ポリマー、たとえばポリラクチド−ポリグリコリド内の対象化合物のマイクロカプセル化マトリックスを形成することにより製造される。薬物とポリマーの比率、および使用する個々のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御できる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(アンヒドリド)が含まれる。注射用デポー配合物は、身体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョンに薬剤を封入することによっても製造できる。
【0202】
本発明の製剤は、経口、非経口、局所または直腸に投与することができる。それらはもちろん各投与経路に適切な形態で投与される。たとえば、それらは錠剤またはカプセル剤の形で、注射、吸入、眼科用ローション剤、軟膏剤、坐剤などにより、注射、注入または吸入による投与により;局所にローション剤または軟膏剤により;および直腸に坐剤により投与される。経口および/または静脈内投与が好ましい。
【0203】
本明細書中で用いる“非経口投与”および“非経口的に投与する”という句は、経腸および局所投与以外の、通常は注射による投与様式を意味し、限定ではないが静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内(intrathecal)、嚢内(intracapsular)、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下(subcapsular)、クモ膜下、脊髄内および胸骨内への注射および注入を含む。
【0204】
本明細書中で用いる“全身投与”、“全身投与する”、“末梢投与”および“末梢投与する”という句は、化合物、薬物または他の物質を、中枢神経系に直接投与するのではなく、それが患者の全身に進入するように投与し、したがって代謝および他の同様なプロセスを受けることを意味する:たとえば皮下投与。
【0205】
これらの化合物は、療法のために、いずれか適切な投与経路でヒトおよび他の動物に投与することができ、これには下記が含まれる:経口、鼻腔に、たとえばスプレー剤により、直腸、膣内、非経口、槽内(intracisternally)および局所に、散剤、軟膏剤または滴剤により(口内および舌下を含む)。
【0206】
選択する投与経路に関係なく、本発明の化合物(適切な水和形で使用できる)および/または本発明の医薬組成物を、当業者に既知の常法により配合して医薬的に許容できる剤形にすることができる。
【0207】
本発明の医薬組成物中における有効成分の実際の投与レベルは、患者に対して有毒となることなく、個々の患者、組成物および投与様式について目的とする療法応答を達成するのに有効な有効成分の量が得られるように変更できる。
【0208】
選択する投与レベルは、使用する個々の本発明化合物またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用する個々の化合物の排出速度、処置期間、使用する個々の化合物と併用する他の薬物、化合物および/または材料、処置される患者の年齢、性別、体重、容態、全般的健康状態および既往歴など、医療技術分野で周知の同様な要因を含めた多様な要因に依存するであろう。
【0209】
専門の医師または獣医は、必要な医薬組成物の有効量を容易に決定および処方することができる。たとえば、医師または獣医は、医薬組成物中に用いる本発明化合物の用量を目的療法効果の達成に必要なものより低いレベルで開始し、目的効果が達成されるまで用量を漸増することができる。
【0210】
一般に、本発明化合物の適切な1日量は、療法効果をもたらすのに有効な最小量である化合物量であろう。そのような有効量は、一般に前記の要因に依存するであろう。一般に、患者に対する本発明化合物の静脈内および皮下投与量は、指示された鎮痛作用を得るために用いる場合、1日当たり約0.0001から100mg/kg体重まで、より好ましくは1日当たり約0.01から50mg/kg体重まで、よりいっそう好ましくは1日当たり約1.0から100mg/kg体重までの範囲であろう。有効量は、プロテインキナーゼ関連障害を処置する量である。
【0211】
所望により、有効化合物の有効1日量を、その日全体を通して適宜な間隔をおいて投与する2、3、4、5、6、7またはそれより多い分割量として、場合により単位剤形で投与することができる。
【0212】
本発明の化合物を単独で投与することができるが、化合物を医薬組成物として投与することが好ましい。
【0213】
合成法
本発明の化合物は、一般的に入手できる化合物から当業者に既知の方法を用いて製造され、これには限定ではなく下記の条件のうち1以上が含まれる:
本発明化合物の酸付加塩は、医薬的に許容できる酸から形成するのが最も適切であり、これにはたとえば無機酸、たとえば塩酸、臭化水素酸、硫酸またはリン酸、および有機酸、たとえばマレイン酸、酢酸またはフマル酸により形成されるものが含まれる。医薬的に許容できない他の塩類、たとえばシュウ酸塩は、たとえば本発明化合物の単離、実験室用、またはその後に医薬的に許容できる酸付加塩に変換するために使用できる。本発明の範囲には、本発明の溶媒和物および水和物も含まれる。
【0214】
ある化合物から目的化合物への変換は、その塩の水溶液を、塩基、たとえば炭酸ナトリウムまたは水酸化カリウムの溶液で処理して遊離塩基を放出させ、次いでこれを適切な溶媒、たとえばエーテル中へ抽出する標準法を適用することにより達成される。遊離塩基を次いで水性部分から分離し、乾燥させ、必要な酸で処理して目的とする塩にする。
【0215】
医薬的に許容できる酸付加塩の例には、限定ではなく下記のものが含まれる:無毒性の無機酸および有機酸付加塩、たとえば塩酸から誘導される塩酸塩、臭化水素酸から誘導される臭化水素酸塩、硝酸から誘導される硝酸塩、過塩素酸から誘導される過塩素酸塩、リン酸から誘導されるリン酸塩、硫酸から誘導される硫酸塩、ギ酸から誘導されるギ酸塩、酢酸から誘導される酢酸塩、アコニット酸から誘導されるアコニット酸塩、アスコルビン酸から誘導されるアスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸から誘導されるベンゼンスルホン酸塩、安息香酸から誘導される安息香酸塩、ケイ皮酸から誘導されるケイ皮酸塩、クエン酸から誘導されるクエン酸塩、エンボン酸から誘導されるエンボン酸塩、エナント酸から誘導されるエナント酸塩、フマル酸から誘導されるフマル酸塩、グルタミン酸から誘導されるグルタミン酸塩、グリコール酸から誘導されるグリコール酸塩、乳酸から誘導される乳酸塩、マレイン酸から誘導されるマレイン酸塩、マロン酸から誘導されるマロン酸塩、マンデル酸から誘導されるマンデル酸塩、メタンスルホン酸から誘導されるメタンスルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸から誘導されるナフタレン−2−スルホン酸塩、フタル酸から誘導されるフタル酸塩、サリチル酸から誘導されるサリチル酸塩、ソルビン酸から誘導されるソルビン酸塩、ステアリン酸から誘導されるステアリン酸塩、コハク酸から誘導されるコハク酸塩、酒石酸から誘導される酒石酸塩、トルエン−p−スルホン酸から誘導されるトルエン−p−スルホン酸塩など。特に好ましい塩類は、本発明化合物のナトリウム塩、リジン塩およびアルギニン塩である。そのような塩類は当技術分野で周知の方法により形成できる。
【0216】
医薬的に許容できるとはみなされない他の酸、たとえばシュウ酸は、本発明の化合物およびそれの医薬的に許容できる酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩類の製造に使用できる。
【0217】
本発明化合物の金属塩には、たとえばカルボキシ基を含む本発明化合物のアルカリ金属塩、たとえばナトリウム塩が含まれる。
【0218】
本発明のある化合物のインビボ加水分解生エステルまたはアミドは、遊離ヒドロキシまたはアミノ官能基をもつ化合物を目的エステルの酸塩化物で、塩基の存在下に、不活性溶媒、たとえば塩化メチレンまたはクロロホルム中において処理することにより形成できる。適切な塩基には、トリエチルアミンまたはピリジンが含まれる。逆に、遊離カルボキシ基をもつ本発明化合物は標準条件を用いてエステル化することができ、これは活性化に続いて目的アルコールで適切な塩基の存在下に処理することを含むことができる。
【0219】
本発明に従って得ることができる異性体の混合物は、それ自体既知の方法で個々の異性体に分離できる;ジアステレオ異性体は、たとえば多相溶媒混合物間での分配、再結晶、および/またはたとえばシリカゲル上でのクロマトグラフィー分離、または逆相カラム上での中圧液体クロマトグラフィーにより分離することができ、ラセミ体は、たとえば光学的に純粋な塩形成試薬との塩類を形成し、こうして得られるジアステレオ異性体の混合物を、たとえば分別結晶化により、または光学活性カラム材料上でのクロマトグラフィーにより分離することによって分離できる。
【0220】
中間体および最終生成物を、標準法に従い、たとえばクロマトグラフィー法、分散法、(再)結晶化などを用いて仕上げ処理および/または精製することができる。
【0221】
反応の全段階で、形成される異性体の混合物を分離して、個々の異性体、たとえばジアステレオ異性体もしくは鏡像異性体、またはいずれか目的とする異性体混合物、たとえばラセミ体もしくはジアステレオ異性体混合物にすることができる:たとえばScience of Synthesis: Houben-Weyl Methods of Molecular Transformation. Georg Thieme Verlag, Stuttgart, Germany, 2005に記載された方法と同様にして。
【0222】
いずれか特定の反応に適切な溶媒をそれらから選択することができる溶媒には、具体的に述べたもの、または別途指示しない限り、たとえば水、エステル、たとえば低級アルキル−低級アルカン酸エステル、たとえば酢酸エチルエステル、エーテル類、たとえば脂肪族エーテル、たとえばジエチルエーテル、または環状エーテル、たとえばテトラヒドロフランもしくはジオキサン、液状芳香族炭化水素、たとえばベンゼンまたはトルエン、アルコール類、たとえばメタノール、エタノールまたは1−もしくは2−プロパノール、ニトリル類、たとえばアセトニトリル、ハロゲン化炭化水素、たとえば塩化メチレンまたはクロロホルム、酸アミド、たとえばジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミド、塩基、たとえば複素環式窒素塩基、たとえばピリジンまたはN−メチルピロリジン−2−オン、カルボン酸および酸無水物、たとえば低級アルカン酸無水物、たとえば無水酢酸、環式、直鎖または分枝鎖炭化水素、たとえばシクロヘキサン、ヘキサンまたはイソペンタン、あるいはそれらの溶媒の混合物、たとえば水溶液が含まれる。そのような溶媒混合物を、たとえばクロマトグラフィーまたは分配による仕上げ処理にも使用できる。
【0223】
本発明化合物はそれらの塩類を含めて、水和物の形態で得ることもでき、あるいはそれらの結晶は、たとえば結晶化に用いた溶媒を含有することができる。異なる結晶形態が存在してもよい。
【0224】
本発明は、プロセスのいずれかの段階で中間体として得られる化合物を出発物質として用いて残りのプロセス段階を実施する形の方法、あるいは出発物質を反応条件下で形成するか、または誘導体の形態、たとえば保護された形態もしくは塩の形態で用いる形の方法にも関する;あるいは、本発明方法により得ることができる化合物をプロセス条件下で製造し、その場でさらに処理する。
【0225】
プロドラッグ
本発明は、本発明化合物の医薬的に許容できるプロドラッグを含有する医薬組成物、およびそれらを投与することによりプロテインキナーゼ関連障害を処置する方法をも包含する。たとえば、アミノ、アミド、ヒドロキシまたはカルボキシル基をもつ本発明化合物を、プロドラッグに変換することができる。プロドラッグには、アミノ酸残基、またはアミノ酸残基2以上(たとえば、2、3または4)のポリペプチド鎖が、アミド結合またはエステル結合により本発明化合物の遊離アミノ、ヒドロキシまたはカルボン酸基に共有結合した化合物が含まれる。アミノ酸残基には一般に3文字記号で表示される20種類の天然アミノ酸が含まれるが、これらに限定されず、4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デモシン、イソデモシン、3−メチルヒスチジン、ノルバリン、ベータ−アラニン、ガンマ−アミノ酪酸、シトルリン、シトルリンホモシステイン、ホモセリン、オルニチンおよびメチオニンスルホンも含まれる。他のタイプのプロドラッグも包含される。たとえば、遊離カルボキシル基をアミドまたはアルキルエステルとして誘導体化することができる。遊離ヒドロキシ基は、ヘミスクシネート、リン酸エステル、ジメチルアミノアセテート、およびホスホリルオキシメチルオキシカルボニルを含む基により誘導体化することができるが、これらに限定されない;Advanced Drug Delivery Reviews, 1996, 19, 115に概説。ヒドロキシおよびアミノ基のカルバメートプロドラッグ、ならびにヒドロキシ基のカーボネートプロドラッグ、スルホネートエステルおよびスルフェートエステルも含まれる。(アシルオキシ)メチルエーテルおよび(アシルオキシ)エチルエーテルとしてのヒドロキシ基の誘導体化も包含され、その際、アシル基は場合によりエーテル、アミンおよびカルボン酸官能基を含む基(これらに限定されない)で置換されていてもよいアルキルエステルであってもよく、あるいはアシル基は前記のアミノ酸エステルである。このタイプのプロドラッグはJ. Med. Chem. 1996, 39, 10に記載されている。遊離アミンをアミド、スルホンアミドまたはホスホンアミドとして誘導体化することもできる。これらのプロドラッグ部分はすべて、エーテル、アミンおよびカルボン酸官能基を含む基(これらに限定されない)を含むことができる。
【0226】
したがって、本発明の化合物という表記はいずれも、適宜かつ適切に、本発明化合物の対応するプロドラッグをも表わすと理解すべきである。
【0227】
キット
有利には、本発明は消費者が疾患を処置するのに使用するためのキットをも提供する。キットはa)抗生物質および医薬的に許容できるキャリヤー、ビヒクルまたは希釈剤を含む医薬組成物;ならびに場合によりb)特定の疾患を処置するためにその医薬組成物を使用する方法を述べた指示を含む。これらの指示は、そのキットが疾患を処置するためのものであり、一方では抗生物質の投与に関連する有害作用が生じる傾向を実質的に低下させることを指摘することもできる。
【0228】
本出願において用いる“キット”は、個別の単位剤形を収容するための容器、たとえば仕切られたボトルまたは仕切られたホイルパケットを含む。容器は、当技術分野で知られているいずれか一般的な形状または形態であってよく、医薬的に許容できる材料で作成される;たとえば紙もしくは厚紙の箱、ガラスもしくはプラスチックのボトルもしくはジャー、再シール可能なバッグ(たとえば、別の容器に入れるための“詰替え”用錠剤を保持するためのもの)、または個々の用量を療法計画に従ってパックから押し出すブリスターパック。用いる容器は、付随する剤形そのものに依存する可能性があり、たとえば一般的な厚紙の箱は一般に懸濁液剤を収容するためには用いられないであろう。単一剤形を販売するために1より多い容器を一緒に単一パッケージ内に使用することができる。たとえば、錠剤をボトルに入れ、それを次いで箱に収容することができる。
【0229】
そのようなキットの例はいわゆるブリスターパックである。ブリスターパックは包装業界で周知であり、医薬単位剤形(錠剤、カプセル剤など)を包装するために広く用いられている。ブリスターパックは一般に、好ましくは透明なプラスチック材料のホイルで覆われた比較的硬い材料のシートからなる。包装過程でプラスチックホイルに窪みが形成される。これらの窪みは、パックされる個々の錠剤またはカプセル剤のサイズおよび形状をもつか、あるいはパックされる多数の錠剤および/またはカプセル剤を収容するサイズおよび形状をもつことができる。次いで錠剤またはカプセル剤を窪みに従って入れ、比較的硬い材料のシートをプラスチックホイルの窪みが形状された方向とは逆の面に密着させる。その結果、錠剤またはカプセル剤はプラスチックホイルとシートの間の窪み内に希望に応じて個別にシールされ、またはまとめてシールされる。好ましくは、シートの強度は、窪みに手で圧力をかけることにより窪みの位置でシートに開口を形成して錠剤またはカプセル剤をブリスターパックから取り出すことができる程度のものである。次いで錠剤またはカプセル剤を開口から取り出すことができる。
【0230】
記載によるメモリーエイドを提供することが望ましい場合があり、その際、記載によるメモリーエイドは、医師、薬剤師または対象に対する情報および/または指示を含むタイプのもの、たとえば錠剤またはカプセル剤に近接した番号の形であってこれらの番号は特定したそれらの錠剤またはカプセル剤を摂取すべき計画の日付と対応するもの、あるいは同じタイプの情報を含むカードである。そのようなメモリーエイドの他の例は、カードに印刷された下記のようなカレンダーである:“第1週、月曜、火曜”・・・・など、“第2週、月曜、火曜”・・・・など。メモリーエイドの他の変形は自明であろう。“1日量”は、その日に摂取すべき1個の錠剤もしくはカプセル剤または数個の錠剤もしくはカプセル剤であってもよい。
【0231】
他の特定の態様のキットは、一度に1日量を分配するように設計されたディスペンサーである。好ましくは、ディスペンサーは計画のコンプライアンスをさらに容易にするためにメモリーエイドを備えている。そのようなメモリーエイドの一例は、分配された1日量の数を指す計数器である。そのようなメモリーエイドの他の例は、液晶読出しまたは可聴合図信号と連携した電池式マイクロチップメモリーであり、これらはたとえば最後の1日量を摂取した日付を読み出し、および/またはいつ次の用量を摂取すべきかを合図する。
【実施例】
【0232】
本発明を以下の例によってさらに説明する;これらはさらに限定するものと解釈すべきではない。本発明の実施には、別途指示しない限り、技術水準の範囲に含まれる細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学および免疫学の一般的な技術を用いる。
【0233】
全般的な合成プロセス
【0234】
【化6】

【0235】
全般的な合成法
限定ではない全般的合成法をスキーム1〜3に示す。多様な別法が当業者に知られている。
【0236】
スキーム1に示すように、AからBへの変換は、アリール化合物Aを有機金属系カップリングパートナー(たとえば、ボロン酸)に、当技術分野で周知の条件を用いてカップリングさせることを伴う(たとえば、ジクロロビス(トリフェニルホスピン)パラジウム(II)などの金属触媒、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルなどの配位子、NaCOなどの塩基、およびジオキサンなどの溶媒を使用)。BからCへの変換は、当技術分野で周知の条件を用いて2−アミノチアゾリル部分を形成することを伴う。たとえば、YがNHであり、Zがハロゲンである場合、その化合物をシクロプロパンカルボニルクロリド、チオシアン酸アンモニウム、および炭酸カリウムなどの試薬で、アセトンおよびジオキサンなどの溶媒中、たとえば50℃の温度において処理することができる。BからCへの変換は、当技術分野で周知の条件を用いて、置換基R(たとえば、C−Cアルキル)を置換基R’(たとえば、H)で置き換えることも伴う(たとえば、水、メタノールおよびテトラヒドロフランなどの溶媒、ならびに水酸化リチウム1水和物および塩酸などの試薬を使用)。
【0237】
スキーム2に示すように、CからDへの変換は、当技術分野で周知の条件を用いてカルボン酸またはカルボン酸誘導体Cを化合物RR−NHと反応させることを伴う(たとえば、DMFなどの溶媒、ならびにN,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートメタナミニウムなどの試薬を、室温などの温度で使用)。
【0238】
スキーム3に示すように、CからEへの変換は、当技術分野で周知の条件を伴い(たとえば、トルエンなどの溶媒ならびにトリエチルアミンおよびジフェニルホスホリルアジドなどの試薬を使用)、続いて当技術分野で周知の条件を用いてRR−NHなどの化合物またはRR−COHなどの化合物と反応させる(たとえば、DMFなどの溶媒、ならびにN,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートメタナミニウムなどの試薬を、室温などの温度で使用)。
【0239】
本発明の化合物を合成するために使用するすべての出発物質、構築ブロック、試薬、酸、塩基、脱水剤、溶媒、および触媒は市販されているか、あるいは当業者に既知の有機合成法により製造できる(Houben-Weyl 4th Ed. 1952, Methods of Organic Synthesis, Thieme, Volume 21)。さらに、本発明の化合物は、以下の実施例に示す当業者に既知の有機合成法により製造できる。
【0240】
以下の実施例について、本発明の好ましい態様の化合物は本明細書に記載する方法または当技術分野で既知である他の方法を用いて合成された。
【0241】
合成例
実施例1:3−(2−(シクロプロパンカルボキサミド)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド
【0242】
【化7】

【0243】
パートA 2−クロロ−5−ニトロピリジン(5.23g,32.99mmol)のジオキサン(170mL)中における溶液に、3−(エトキシカルボニル)フェニルボロン酸(6.28g,32.99mmol)および1N NaCO水溶液(82.5mL,82.5mmol)を添加した。反応混合物をアルゴンガスにより20分間脱ガスし、続いてジクロロビス(トリフェニルホスピン)パラジウム(II)(1.38g,1.99mmol)および2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(1.26g,2.97mmol)を添加した。反応フラスコを、予熱した90℃の油浴に入れた。反応混合物をさらに90℃で10時間撹拌した後、それを濾過し、酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機抽出液を合わせてブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過および濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより95:5 v/v ヘキサン:酢酸エチルを溶媒として用いて精製して、3−(5−ニトロピリジン−2−イル)安息香酸エチル(8.0g,89%の収率)を明るい黄色の固体として得た;
【0244】
【化8】

【0245】
パートB 3−(5−ニトロピリジン−2−イル)安息香酸エチル(8.0g,29.40mmol)のエタノール(150mL)中における溶液に、5% Pd/C(800mg)を添加した。反応混合物をHバルーン圧下で16時間撹拌した。反応混合物を濾過および濃縮して、6.9g(97%の収率)の3−(5−アミノピリジン−2−イル)安息香酸エチルを淡褐色固体として得た;
【0246】
【化9】

【0247】
パートC 3−(5−アミノピリジン−2−イル)安息香酸エチル(7.52g,31.06mmol)のDMF(150mL)中における溶液に、N−ブロモスクシンイミド(5.58g,31.37mmol)を0℃で5分間添加した。反応混合物を0℃の飽和NaHCO溶液(150mL)により停止した。混合物を酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機抽出液を合わせてブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過および濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより85:15 v/v ヘキサン:酢酸エチルを溶媒として用いて精製して、3−(5−アミノ−6−ブロモピリジン−2−イル)安息香酸エチル(8.6g,86%の収率)を赤褐色固体として得た;
【0248】
【化10】

【0249】
パートD 3−(5−アミノ−6−ブロモピリジン−2−イル)安息香酸エチル(10.44g,32.60mmol)のNMP(150mL)中における溶液に、キサントゲン酸エチルカリウム(26.14g,163.11mmol)および酢酸(9.4mL,163.11mmol)を添加した。反応混合物を150℃で16時間加熱した。混合物を50℃に冷却し、ヨードメタン(20.3mL,326mmol)を添加した。反応混合物をさらに30分間撹拌し、酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機抽出液を合わせてブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過および濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより85:15 v/v ヘキサン:酢酸エチルを溶媒として用いて精製して、3−(2−(メチルチオ)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)安息香酸エチル(7.6g,70%の収率)を明るい褐色の固体として得た;
【0250】
【化11】

【0251】
パートE 3−(2−(メチルチオ)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)安息香酸エチル(5.6g,16.9mmol)のTHF(25mL)およびメタノール(25mL)中における溶液に、水(25mL)中のオキソン(41.55g,67.67mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を濾過および濃縮して、5.8g(94%の収率)の3−(2−(メチルスルホニル)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)安息香酸エチルを明るい褐色の固体として得た;
【0252】
【化12】

【0253】
パートF 3−(2−(メチルスルホニル)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)安息香酸エチル(3.6g,9.91mmol)を、IPA中の2Nアンモニア溶液(24.8mL,49.57mmol)に添加した。反応混合物を90℃で加熱し、30時間撹拌した。溶媒を真空で除去して、2.7g(91%の粗収率)の3−(2−アミノチアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)安息香酸エチルを黄色固体として得た;
【0254】
【化13】

【0255】
パートG 3−(2−アミノチアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)安息香酸エチル(800mg,2.67mmol)のジクロロメタン(13mL)中における溶液に、ピリジン(0.74mL,4.05mmol)およびシクロプロパンカルボニルクロリド(0.27mL,2.94mmol)を添加した。反応混合物を4時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタン(20mL)で希釈し、1N HCl水溶液およびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過および濃縮した。粗生成物をさらに精製せずに次の工程に用いた;
【0256】
【化14】

【0257】
パートH 3−(2−(シクロプロパンカルボキサミド)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)安息香酸エチル(870mg,2.37mmol)を、水(3.0mL)、THF(3.0mL)およびメタノール(3.0mL)の混合物に溶解し、続いて水酸化リチウム1水和物(497mg,11.85mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌し、1N HCl水溶液でpH=6になるまで中和した(pH紙でモニターした)。有機溶媒を真空中で除去した際に生成した褐色固体を採集し、乾燥させて、620mg(87%の収率)の3−(2−(シクロプロパンカルボキサミド)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)安息香酸を得た;
MS m/z : 340.19 (M+1)。
【0258】
パートI 3−(2−(シクロプロパンカルボキサミド)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)安息香酸(35mg,0.10mmol)のDMF(1.0mL)中における溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(50μL,0.31mmol)、2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートメタナミニウム(59mg,0.15mmol)および3−(トリフルオロメチル)アニリン(26μL,0.21mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。粗生成物をDMSO(1mL)で希釈し、調製用逆相HPLC(アセトニトリル/水の勾配)で精製して、表題化合物をTFA塩形として得た;
【0259】
【化15】

【0260】
実施例2:3−(2−(2−メチル−6−(ピペラジン−1−イル)ピリミジン−4−イルアミノ)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド
【0261】
【化16】

【0262】
パートA 3−(2−アミノチアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)安息香酸エチル(400mg,1.34mmol)の水(2.0mL)、THF(2.0mL)およびメタノール(2.0mL)の混合物中における溶液に、水酸化リチウム1水和物(281mg,11.85mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌し、1N HCl水溶液でpH=6になるまで中和した(pH紙でモニターした)。有機溶媒を真空中で除去し、生成した褐色固体を採集し、乾燥させて、310mg(85%の収率)の3−(2−アミノチアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)安息香酸を得た;
MS m/z : 272.18 (M+1)。
【0263】
パートB 3−(2−アミノチアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)安息香酸(310mg,1.14mmol)のDMF(5.0mL)中における溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.56mL,3.42mmol)、2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートメタナミニウム(649mg,1.71mmol)および3−(トリフルオロメチル)アニリン(0.28mL,2.28mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。粗生成物を飽和NHCl溶液(10mL)で希釈した。生成した褐色固体を採集し、水で洗浄し、乾燥させて、320mg(67%の収率)の3−(2−アミノチアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミドを得た;
【0264】
【化17】

【0265】
パートC 3−(2−アミノチアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(33mg,0.079mmol)の2−ブタノール(1mL)中における溶液に、4−(6−クロロ−2−メチルピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル(24mg,0.079mmol)およびKCO(82.5mL)を添加した。反応混合物をアルゴンガスにより20分間脱ガスし、これにトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(4mg,7.1μmol)および9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン(4mg,4.7μmol)を添加した。反応フラスコを、予熱した90℃の油浴に入れた。反応混合物をさらに90℃で4時間撹拌した後、それを濾過および濃縮した。粗製反応混合物をジクロロメタン(1mL)に溶解し、これにトリフルオロ酢酸(30μL,0.40mmol)を添加した。反応混合物を4時間撹拌した。大部分の有機溶媒を真空中で除去し、粗生成物をDMSO(1mL)で希釈し、調製用HPLCで精製して、表題化合物をTFA塩として得た;
【0266】
【化18】

【0267】
実施例3:3−(2−(3−ピペリジン−4−イルウレイド)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド
【0268】
【化19】

【0269】
3−(2−アミノチアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(50mg,0.12mmol)およびトリエチルアミン(25μL,0.18mmol)のジクロロメタン(1.0mL)中における溶液に、4−ニトロフェニルカルボノクロリデート(26mg,0.13mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。4−アミノピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(36mg,0.18mmole)およびトリエチルアミン(25μL,0.18mmol)を反応混合物に添加した。反応混合物を4時間撹拌した後、溶媒を真空中で除去した。反応混合物をジクロロメタン(5mL)で希釈し、1N HCl水溶液およびブラインで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、真空濃縮した。この粗製混合物のジクロロメタン(1mL)中における溶液に、トリフルオロ酢酸(40μL,0.60mmol)を添加した。反応混合物を4時間撹拌した。大部分の有機溶媒を真空中で除去し、粗生成物をDMSO(1mL)で希釈し、調製用HPLCにより精製して、表題化合物をTFA塩形で得た;
【0270】
【化20】

【0271】
実施例4:N−(5−(3−(3−(トリフルオロメチル)フェニルカルバモイル)フェニル)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)ピペリジン−4−カルボキサミド
【0272】
【化21】

【0273】
1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−カルボン酸(15mg,0.07mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(26mg,0.14mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(8mg,0.07mmol)のDMF中における溶液に、3−(2−アミノチアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド(28mg,0.07mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(5mL)で希釈し、1N HCl水溶液およびブラインで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。粗製混合物のジクロロメタン(1mL)中における溶液に、トリフルオロ酢酸(30μL,0.34mmol)を添加した。反応混合物を4時間撹拌した。大部分の有機溶媒を真空中で除去し、粗生成物をDMSO(1mL)で希釈し、調製用HPLCにより精製して、表題化合物をTFA塩形で得た;
【0274】
【化22】

【0275】
実施例5:N−(5−(3−(3−(4−((4−エチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェニル)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド
【0276】
【化23】

【0277】
3−(2−(シクロプロパンカルボキサミド)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)安息香酸(150mg,0.44mmol)およびトリエチルアミン(90μL,0.66mmol)のトルエン(2mL)中における溶液に、ジフェニルホスホリルアジド(0.11mL,0.49mmol)を添加した。得られた混合物を室温で30分間撹拌し、80℃で1時間加熱した。反応混合物に4−((4−エチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−(トリフルオロメチル)アニリン(121mg,0.42mmol)およびトリエチルアミン(90μL,0.66mmol)を添加した。反応混合物を80℃で2時間撹拌し、大部分の有機溶媒を真空中で除去した。粗生成物をDMSO(3mL)で希釈し、調製用HPLCにより精製して、表題化合物をTFA塩として得た;
【0278】
【化24】

【0279】
実施例6:3−(2−(シクロプロパンカルボキサミド)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−6−イル)−N−(4−((4−エチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド
【0280】
【化25】

【0281】
パートA 5−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−アミン(5.00g,23.97mmol)のジオキサン(115mL)中における溶液に、3−(エトキシカルボニル)フェニルボロン酸(4.65g,23.97mmol)および1N NaCO水溶液(92.2mL,92.2mmol)を添加した。反応混合物をアルゴンガスにより20分間脱ガスし、続いてジクロロビス(トリフェニルホスピン)パラジウム(II)(971mg,1.38mmol)および2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(881mg,2.07mmol)を添加した。反応フラスコを、予熱した90℃の油浴に入れた。反応混合物をさらに90℃で10時間撹拌した後、それを濾過し、酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機抽出液を合わせてブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過および濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより90:10 v/v ヘキサン:酢酸エチルを溶媒として用いて精製して、3−(6−アミノ−5−ニトロピリジン−3−イル)安息香酸エチル(5.2g,78%の収率)を淡褐色固体として得た;
MS m/z : 288.23 (M+1)。
【0282】
パートB tert−ブチルニトリル(3.23mL,27.17mmol)、無水塩化銅(II)(2.9g,21.74mmol)および無水アセトニトリル(90mL)の溶液を70℃に加温した。3−(6−アミノ−5−ニトロピリジン−3−イル)安息香酸エチル(5.2g,18.11mmol)を次いで少量ずつ10分間かけて反応溶液に添加した。反応混合物を70℃に2時間保持し、次いで室温にまで放冷した。反応混合物を次いで110mLの20% HCl水溶液に注入し、続いて酢酸エチルで抽出した。有機抽出液をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過および真空濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより95:5 v/v ヘキサン:酢酸エチルを溶媒として用いて精製して、3−(6−クロロ−5−ニトロピリジン−3−イル)安息香酸エチル(3.4g,61%の収率)を淡褐色固体として得た;
MS m/z : 307.16 (M+1)。
【0283】
パートC 3−(6−クロロ−5−ニトロピリジン−3−イル)安息香酸エチル(3.0g,9.08mmol)の酢酸エチル(50mL)中における溶液に、塩化スズ(II)2水和物(11.06g,49.01mmol)を添加した。反応混合物を室温で10時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、次いでNHOH溶液を反応混合物に添加し、それを約pH=5になるまで放置した(pH紙でモニターした)。反応混合物をNaCOで中和し、生成した白色固体を濾過し、エーテル(100mL)で3回洗浄した。有機層を濃縮して、2.3g(84%の収率)の3−(5−アミノ−6−クロロピリジン−3−イル)安息香酸エチルを淡褐色固体として得た;
MS m/z : 277.20 (M+1)。
【0284】
パートD チオシアン酸アンモニウム(303mg,3.98mmol)をアセトン(10mL)に溶解し、50℃に加熱すると、この時点で透明な溶液が得られた。シクロプロパンカルボニルクロリド(0.37mL,3.98mmol)を滴加し、得られた白色懸濁液を20分間還流した。ジオキサン(18mL)に溶解した3−(5−アミノ−6−クロロピリジン−3−イル)安息香酸エチル(1.0g,3.62mmol)およびKCO(2.0g,14.48mmol)を反応混合物に添加した。反応混合物を120℃で8時間還流した。室温にまで冷却した後、反応溶液を氷水に注入し、生成した淡褐色固体を濾過により採集し、水およびエーテルで洗浄し、乾燥させた。粗生成物をさらに精製せずに次の工程に用いた;
【0285】
【化26】

【0286】
パートE 3−(2−(シクロプロパンカルボキサミド)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−6−イル)安息香酸エチル(900mg,2.45mmol)を水(4.0mL)、THF(4.0mL)およびメタノール(4.0mL)の混合物に溶解し、水酸化リチウム1水和物(513mg,12.23mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌し、1N HCl水溶液でpH6になるまで中和した(pH紙でモニターした)。有機溶媒を真空中で除去し、生成した褐色固体を濾過により採集し、乾燥させて、720mg(86%の収率)の3−(2−(シクロプロパンカルボキサミド)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)安息香酸を得た;
MS m/z : 340.20 (M+1)。
【0287】
パートF 3−(2−(シクロプロパンカルボキサミド)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)安息香酸(40mg,0.12mmol)のDMF(1.0mL)中における溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(60μL,0.35mmol)、2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートメタナミニウム(90mg,0.24mmol)および4−((4−エチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−(トリフルオロメチル)アニリン(41mg,0.14mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。粗生成物をDMSO(1mL)で希釈し、調製用逆相HPLC(アセトニトリル/水の勾配)により精製して、表題化合物をTFA塩形として得た;
【0288】
【化27】

【0289】
実施例7:4−(2−(シクロプロパンカルボキサミド)チアゾロ[4,5−b]ピラジン−6−イル)−N−(4−((4−エチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド
【0290】
【化28】

【0291】
パートA チオシアン酸アンモニウム(668mg,8.77mmol)およびアセトン(10mL)の混合物を、透明な溶液が得られるまで50℃で加熱した。シクロプロパンカルボニルクロリド(0.80mL,8.77mmol)を滴加し、得られた白色懸濁液を20分間還流した。アセトン(18mL)に溶解した3,5−ジブロモピラジン−2−アミン(2.0g,7.97mmol)およびKCO(4.4g,31.88mmol)を反応混合物に添加した。反応混合物を4時間還流した。室温にまで冷却した後、反応混合物を氷水に注入し、生成した淡褐色固体を濾過により採集し、水およびエーテルで洗浄し、乾燥させた。粗生成物(1.6g,67%の収率)をさらに精製せずに次の工程に用いた;
【0292】
【化29】

【0293】
パートB N−(6−ブロモチアゾロ[4,5−b]ピラジン−2−イル)シクロプロパンカルボキサミド(1.00g,3.36mmol)のジオキサン(16mL)中における溶液に、4−ボロノ安息香酸(557mg,3.36mmol)および1N NaCO水溶液(13.2mL,13.2mmol)を添加した。反応混合物をアルゴンガスにより20分間脱ガスし、続いてジクロロビス(トリフェニルホスピン)パラジウム(II)(141mg,0.20mmol)および2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(128mg,0.30mmol)を添加した。反応フラスコを、予熱した120℃の油浴に入れた。反応混合物をさらに120℃で10時間撹拌した後、それを濾過した。2.0N NaOH溶液を濾液にpH10になるまで添加し(pH紙でモニターした)、次いで酢酸エチルと水の間で分配した。6.0N HCl水溶液を水層にpH6になるまで添加した(pH紙でモニターした)。生成した褐色固体を濾過により採集し、乾燥させて、740mg(64%の収率)の4−(2−(シクロプロパンカルボキサミド)チアゾロ[4,5−b]ピラジン−6−イル)安息香酸を得た;
MS m/z : 341.18 (M+1)。
【0294】
パートC 4−(2−(シクロプロパンカルボキサミド)チアゾロ[4,5−b]ピラジン−6−イル)安息香酸(50mg,0.15mmol)のDMF(1.0mL)中における溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(70μL,0.44mmol)、2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートメタナミニウム(112mg,0.29mmol)および4−((4−エチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−(トリフルオロメチル)アニリン(51mg,0.17mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。粗生成物をDMSO(1mL)で希釈し、調製用逆相HPLC(アセトニトリル/水の勾配)により精製して、表題化合物をTFA塩として得た;
【0295】
【化30】

【0296】
実施例8:3−(2−(シクロプロパンカルボキサミド)チアゾロ[4,5−b]ピラジン−6−イル)−N−(4−((4−エチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド
【0297】
【化31】

【0298】
3−(2−(シクロプロパンカルボキサミド)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)安息香酸(40mg,0.12mmol)のDMF(1.0mL)中における溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(60μL,0.35mmol)、2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートメタナミニウム(90mg,0.24mmol)および4−((4−エチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−(トリフルオロメチル)アニリン(41mg,0.14mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。粗生成物をDMSO(1mL)で希釈し、調製用逆相HPLC(アセトニトリル/水の勾配)により精製して、表題化合物をTFA塩形として得た;
【0299】
【化32】

【0300】
実施例9:3−(2−(シクロプロパンカルボキサミド)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)−N−(3−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド
【0301】
【化33】

【0302】
3−(2−(シクロプロパンカルボキサミド)チアゾロ[5,4−b]ピリジン−5−イル)安息香酸(40mg,0.12mmol)のDMF(1.0mL)中における溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(60μL,0.35mmol)、2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートメタナミニウム(90mg,0.24mmol)および3−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)ベンゼンアミン(34mg,0.14mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。粗生成物をDMSO(1mL)で希釈し、調製用逆相HPLC(アセトニトリル/水の勾配)により精製して、表題化合物をTFA塩形として得た;
【0303】
【化34】

【0304】
化合物および生物試薬
すべての化合物をまずDMSOに溶解して10mM原液を調製し、次いで系列希釈してインビトロ実験のたの最終濃度を得た。
【0305】
細胞系および細胞培養
Ba/F3.p210細胞は、IL−3依存性ネズミ造血Ba/F3細胞系に、p210BCR−ABL(B2A2)cDNAを含むpGDベクターをトランスフェクションすることにより得られた(Daley and Baltimore, 1988; Sattler et al, 1996; Okuda et al, 1996)。ネズミ造血32D細胞にレトロウイルスをトランスダクションしてp210Bcr−ABLを発現させた(32D.p210細胞)(Matulonis et al., 1993);32D−T315I細胞系は、点変異T315Iを保有するイマチニブ耐性BCR−ABL構築体(pCI-neo Mammalian Expression Vector; Promega (#E1841)のエレクトロポレーションをトランスフェクションされた(Weisberg et al., 2005)。Ba/F3細胞を、点変異T315I、F317L、F486SおよびM351Tを保有するイマチニブ耐性BCR−ABL構築体(pCI-neo Mammalian Expression Vector; Promega (#E1841)のエレクトロポレーションによって安定にトランスフェクションした;転写体をネオマイシン耐性およびIL−3依存性増殖について選択した(Weisberg et al., 2005)。Ba/F3細胞を、ニロチニブ耐性に関与するBCR−ABL点変異体についてのランダム変異形成スクリーニングで同定されたBCR−ABL点変異体のエレクトロポレーションによって安定にトランスフェクションした:Q252H、E292K、Y253C、Y253H、E255KおよびV289L(Ray et al., 2007)。Golub et al., 1994、およびCarroll et al., 1996に従って、Ba/F3細胞にTel−PDGFRβを発現させた。D842V−PDGFRαおよびV561D−PDGFRα cDNAをpcDNA3.1にクローニングした構築体を、Ba/F3細胞にエレクトロポレーションによって安定にトランスフェクションし、細胞をネオマイシン耐性およびIL3依存性増殖について選択した;Weisberg et al., 2006に従った。
【0306】
すべての細胞系を5% COで37℃において、10%ウシ胎仔血清(FCS)を含み、1% L−グルタミンを補充したRPMI(Mediatech, Inc., Herndon, VA)中で培養した。親Ba/F3細胞を同様に、IL−3源としての15% WEHIコンディショニング培地で培養した。トランスフェクションした細胞系を、1mg/mlのG418を補充した培地で培養した。
【0307】
抗体ならびにイムノブロッティングおよび免疫沈降
抗−p−Tyr(クローン4G10, Upstate Biotechnology, NY)を1:1000でイムノブロッティングに用いた。ABL抗体(クローン24-21, Calbiochem, San Diego, CA)を1:1000でイムノブロッティングに用いた。KIT抗体(C-19, Santa Cruz Biotechnology, CA)を1:1000でイムノブロッティングに用いた。ホスホ−KIT抗体(Tyr719, Cell Signaling, Danvers, MA )を1:1000でイムノブロッティングに用いた。PDGFRA抗体(C-20, Santa Cruz Biotechnology, CA)を1:200でイムノブロッティングに用いた。モノクローナル抗−β−アクチン抗体(クローンAC-15) (Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)を1:2000の希釈度で用いた。細胞を細胞溶解用緩衝液(0.02MのTris[pH8.0],0.15MのNaCl,10%のグリセロール,1%のNP−40(wt/vol),0.1MのNaF,1mMのフェニルメチルスルホニルフルオリド,1mMのオルトバナジン酸ナトリウム,40μg/mlのロイペプチン,および20μg/mlのアプロチニン)中で溶解した。タンパク質溶解物を氷上で5分間隔でボルテックス撹拌しながら25分間インキュベートし、次いで12,000×gで15分間遠心した。上清を保存し、Bio-Rad Protein Assayを用いてタンパク質収率を測定した(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA)。次いで等量のタンパク質をイムノブロッティング実験用ゲルに直接装填した。免疫沈降のために、細胞溶解物をFLT3/Flk−2(C−20)抗体およびprotein A Sepharoseと共に一夜、4℃で揺動しながらインキュベートした。対照として、細胞溶解物をprotein A Sepharoseビーズのみと共に同様にインキュベートした。インキュベーション後、免疫複合体を細胞溶解用緩衝液で2回、1×PBSで2回、洗浄し、5分間沸騰させることによりLaemmeliのサンプル用緩衝液に溶解した。イムノブロッティングおよび免疫沈降のために、それぞれ全細胞溶解物および免疫複合体をドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−7.5%ポリアクリルアミドゲル上で分解した。これに続いて、タンパク質をトランスファーおよび固定化用のProtranニトロセルロース膜に電気泳動によりトランスファーした(Schleicher and Schuell, Dassel, Germany)。次いで膜を4℃で一夜、1×TBS(10mMのTris−HCl[pH8.0],150mMのNaCl)中の5%脱脂粉乳でブロックし、次いでpTYR抗体により25℃で2時間、またはFLT3/Flk−2(C−20)抗体により4℃で一夜、1×TBST緩衝液(10mMのTris−HCl[pH8.0],150mMのNaCl,0.05%のTween20)中において探査した。1×TBSTで3回洗浄した後、膜を25℃で1時間、抗マウス免疫グロブリン(西洋わさびペルオキシダーゼ連結したヒツジ由来の全抗体)または抗ウサギ免疫グロブリン(西洋わさびペルオキシダーゼ連結したロバ由来の全抗体)(Amersham Life Science, Inc., Arlington Heights, IL)と共にインキュベートした。膜を1×TBST緩衝液中で5回、緩衝液交換の間に5分の間隔をおいて洗浄し、結合した抗体を、増強したルミノールおよび酸化試薬で製造業者の説明に従って検出した(NEN Life Science Products, Boston, MA)。結合した抗体をストリッピング用緩衝液(2%のSDS,0.0625mol/LのTris[pH6.8],および0.7%の2−メルカプトエタノール)により50℃で30分間分離した。次いでフィルターを追加抗体で探査した。
【0308】
細胞周期分析
約500,000個の細胞を用いて細胞周期分析を実施した;細胞を1500rpmで5分間遠心し、PBS中で洗浄し、ペレットを500μlのヨウ化プロピジウム溶液(50μg/mlのヨウ化プロピジウム,0.1%のNP−40,0.1%のクエン酸ナトリウム)に再懸濁した。混合物を暗所に4℃で最低15分間貯蔵し、次いでフローサイトメトリーにより分析した。薬物処理した細胞のアポトーシスをAnnexin-V-Fluos Staining Kit (Boehringer Mannheim, Indianapolis)により測定した。
【0309】
アポトーシスアッセイ
薬物の存在下または不存在下で培養した細胞をリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で1回洗浄し、1500rpmで5分間遠心した。洗浄した細胞ペレットを、100μlのHEPES緩衝液中の20%アネキシン−V−フルオレセイン標識試薬および20%ヨウ化プロピジウム(PI)に再懸濁した。細胞を室温で15分間インキュベートし、続いて0.8mlのHEPES緩衝液で希釈した。次いで試料をフローサイトメトリーにより分析した。対照として、細胞をPIのみ、アネキシン−V−フルオレセイン標識試薬のみ、またはHEPES緩衝液と共に15分間インキュベートし、次いでHEPES緩衝液で希釈し、フローサイトメトリーにより分析した。
【0310】
薬物組合わせ試験
薬物組合わせ試験のために、固定比率の化合物を同時に細胞に添加し、トリパンブルー排除により細胞生存性を判定し、対照細胞と対比して影響を受けた(FA)薬物処理細胞の増殖の関数として表わした。相乗作用を、Calcusynソフトウェア(Biosoft, Ferguson, MO and Cambridge, UK)により、Chou-Talalay法(Chou and Talalay, 1984)を用いて評価した。組合わせ指数=[D][D+[D]/[D、ここで[D]および[D]は、各薬物単独の濃度[Dおよび[Dと同じ作用を達成するために組合わせ薬物中の各薬物が必要とする濃度である。1未満の数値は相乗作用を示し、これに対し1を超える数値は拮抗作用を示す。
【0311】
生物発光イメージング
細胞に、ホタルルシフェラーゼをコードするレトロウイルス(MSCV−Luc)をトランスダクションし、2μg/mlのピューロマイシンで選択して、32D.p210−luc+細胞を作成した;Weisberg et al., 2005の記載に従った。Weisberg et al., 2005が記載した同じプロトコルに従って、Ba/F3−KIT−T670I細胞にMSCV−luc−neoベクターをトランスダクションした。
【0312】
キナーゼスクリーニング
KINOMEscan(商標)(Ambit Biosciences, San Diego, CA)、すなわち大パネルのヒトキナーゼに対して小分子をスクリーニングするためのハイスループット法を、化合物2について用いた。この方法は、それぞれ専売タグに融合した350種類のキナーゼに対する化合物2の選択性をプロファイリングする競合結合アッセイである。固定化した活性部位特異的リガンドに結合した各キナーゼの量を、化合物2の存在下および不存在下で測定した。
【0313】
図1は下記を表わす:A)化合物2(表A)の化学構造;サブ構造名を示す;B)400種類のキナーゼのスクリーニングに基づく化合物2のキナーゼ選択性。10μMで有意の結合親和性が検出されたキナーゼを用量応答方式で再試験して解離定数を決定した。赤丸の大きさはKに比例する。Kの数値を表IVに挙げる;C)化合物2とSrcキナーゼドメインの結晶構造;ATP−結合部位を示す。化合物2(青棒)およびSrc(緑リボン)、ならびに水素結合相互作用(橙色の線影付きライン)を、ヒンジ残基(Y340、M341)、αC−ヘリックス(E310)、DFG−モチーフ(D404)およびV383と共に示す。この化合物は、F405の位置によって明らかなように“DFG−out”コンホメーションで結合する。ゲートキーパー残基T338に隣接してアンプルスペースがあり、この位置における大型アミノ酸に対する耐性の理由づけとなる。
【0314】
【表2】

【0315】
【表3】

【0316】
【表4】

【0317】
【表5】

【0318】
均等物
本明細書に記載した具体的な態様および方法に対する多数の均等物を、当業者は認識し、またはルーティン実験程度を用いて確認できるであろう。そのような均等物は特許請求の範囲に包含されるものとする。
【0319】
参照による援用
本明細書に援用したすべての特許、公開された特許出願または他の参考文献を、全体として本明細書に組み入れるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】

およびその医薬的に許容できる塩類、鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマー、またはラセミ体
[式中:
Qは、CHまたはNであり;
は、H、C(O)−C3−6−シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C(O)N(H)−ヘテロアリール、C(O)−ヘテロアリール、C(O)−ヘテロサイクル、C(O)−アリール、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、C3−6−シクロアルキル、またはC(O)−C1−6−アルキル−ヘテロサイクルであり、その際、アリールまたはヘテロアリール基は置換されていてもよく、または置換されていなくてもよく;
は、H、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、またはハロゲンであり;
は、H、C(O)−N(H)−アリール、C(O)−N(H)−C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C(O)−N(H)−C1−6−アルキル−ヘテロアリールであり、その際、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクル基は置換されていてもよく、または置換されていなくてもよく;
は、H、C(O)N(H)−アリール、N(H)C(O)N(H)−アリール、C(O)N(H)−C1−6−アルコキシ、C(O)−N(H)−C3−6−シクロアルキル、C(O)N(H)−C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、CO−C1−6−アルキル、COH、C(O)N(H)−C1−6−アルキル−ヘテロアリール、N(H)CO−C1−6−アルキル、NH、N(H)C(O)アリール、またはN(H)C(O)N(H)−C1−6−アルキル−ヘテロサイクルであり、その際、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクル基は置換されていてもよく、または置換されていなくてもよく、その際、RおよびRのうち一方はHではない]。
【請求項2】
、RおよびRのアリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基は、場合により、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで1回以上置換されていてもよく;
その際、置換基アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基はさらに、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで1回以上置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
、RおよびRのアリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基は、場合により、独立してC1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、SO−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、ヘテロサイクル、CF、またはヘテロアリールで1回以上置換されていてもよく;
その際、置換基ヘテロサイクルおよびヘテロアリール基は、場合によりさらに、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−OH、またはC(O)−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
は、H、C(O)−C3−6−シクロアルキル、ピリミジン、C(O)N(H)−ピペリジン、C(O)−ピペリジン、C(O)−C1−6−アルキル、C3−6−シクロアルキル,ピリジン、フェニル、C(O)−フェニル、C(O)−C1−6−アルキル−ピペラジン、またはC(O)−オキサゾリジノンであり;
その際、Rのピリミジン、ピペリジン、ピリジン、およびフェニル基は、場合により、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで1回以上置換されていてもよく;
その際、置換基アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基は、場合によりさらに、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−OH、またはC(O)−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
は、H、C(O)−N(H)−フェニル、C(O)−N(H)−(CH−モルホリノ、C(O)−N(H)−C1−6−アルキル−モルホリノ、またはC(O)−N(H)−C1−6−アルキル−イミダゾールであり;
その際、Rのモルホリノ、イミダゾール、およびフェニル基は、場合により、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで1回以上置換されていてもよく;
その際、置換基アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基は、場合によりさらに、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−OH、またはC(O)−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
は、H、C(O)N(H)Ph、N(H)C(O)N(H)Ph、C(O)N(H)−C1−6−アルコキシ、C(O)−N(H)−C3−6−シクロアルキル、C(O)N(H)−C1−6−アルキル−モルホリノ、C(O)N(H)(CH−モルホリノ、CO−C1−6−アルキル、COH、C(O)−N(H)−C1−6−アルキル−イミダゾール、N(H)CO1−6−アルキル、NH、N(H)C(O)Ph、N(H)C(O)N(H)Ph、N(H)C(O)N(H)−C1−6−アルキル−モルホリノ、またはN(H)C(O)Phであり;
その際、Rのモルホリノ、イミダゾール、およびフェニル基は、場合により、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで1回以上置換されていてもよく;
その際、置換基アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基は、場合によりさらに、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−OH、またはC(O)−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
およびRのうち少なくとも一方はHではない、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
は、C(O)−C3−6−シクロアルキル、ピリミジン、C(O)N(H)−ピペリジン、C(O)−ピペリジン、C(O)−C1−6−アルキル、H、C3−6−シクロアルキル,ピリジン、Ph−SO−ピペラジン、C(O)−PhCH−ピペラジン−C1−6−アルキル、C(O)−C1−6−アルキル−ピペラジン、Ph−ピペラジン−C1−6−アルキル、C(O)−オキサゾリジノン−C1−6−アルキル−モルホリノであり;その際、ピリミジン基は場合により、独立してC1−6−アルキルまたはピペラジンで1回以上置換されていてもよく;その際、ピペラジンは場合によりC1−6−アルキル−OHで置換されていてもよく;その際、C(O)−C1−6−アルキル−ピペラジンは場合によりC(O)C1−6−アルキルで置換されていてもよい、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
は、H、C(O)−N(H)−Ph、C(O)−N(H)−C1−6−アルキル−モルホリノ、C(O)−N(H)−C1−6−アルキル−モルホリノ、またはC(O)−N(H)−C1−6−アルキル−イミダゾールであり、その際、Phは、場合によりCF、C1−6−アルキル−ピペラジン−C1−6−アルキル、またはイミダゾール−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
は、H、C(O)N(H)Ph、N(H)C(O)N(H)Ph、C(O)N(H)C1−6−アルコキシ、C(O)−N(H)−C3−6−シクロアルキル、C(O)N(H)−C1−6−アルキル−モルホリノ、CO−C1−6−アルキル、COH、N(H)CO−C1−6−アルキル、NH、またはN(H)C(O)N(H)−C1−6−アルキル−モルホリノであり、その際、Ph基は、場合により、独立してCF、C1−6−アルキル−ピペラジン−C1−6−アルキル、イミダゾール−C1−6−アルキル、イミダゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピペラジン、C1−6−アルキル−ピペラジン−C1−6−アルキル、モルホリノ、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−イミダゾール、C1−6−アルキル−モルホリノ、C1−6−アルキル−ピペリジン−OH、C1−6−アルキル−ピペラジン−C1−6−アルキル)、イミダゾール−C1−6−アルキル、ピペラジン−C1−6−アルキル−OH、またはO−ピペリジン−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
は、C(O)−シクロプロピル、ピリミジン、C(O)N(H)−ピペリジン、C(O)−ピペリジン,C(O)CH、H、シクロプロピル、ピリジン、Ph−SO−ピペラジン、C(O)−PhCH−ピペラジン−CHCH、C(O)−(CH−ピペラジン、Ph−ピペラジン−CH、またはC(O)−オキサゾリジノン−(CH−モルホリノであり、その際、ピリミジンはCHおよびピペラジンで置換されており、これは場合により(CHOHで置換されていてもよく、その際、C(O)−(CH−ピペラジン基のピペラジンは場合によりC(O)CHで置換されていてもよく;
は、H、CH、FまたはClであり;
は、H、C(O)−N(H)−Ph、C(O)−N(H)−(CH−モルホリノ、C(O)−N(H)−(CH−モルホリノ、またはC(O)−N(H)−(CH−イミダゾールであり、その際、PhはCFおよびCH−ピペラジン−CHCH、またはCFおよびイミダゾール−CHで置換されており;
は、H、C(O)N(H)Ph−CF、N(H)C(O)N(H)Ph(CF)(CH−ピペラジン−CHCH),C(O)N(H)Ph(CF)(CH−ピペラジン−CHCH)、C(O)N(H)OCH、C(O)N(H)Ph(CF)(イミダゾール−CH)、C(O)−N(H)−シクロプロピル、C(O)N(H)(CH−モルホリノ、C(O)N(H)(CH−モルホリノ、COCHCH、C(O)N(H)Ph−イミダゾール、C(O)N(H)Ph−テトラゾール、C(O)N(H)Ph−ピラゾール、C(O)N(H)Ph(CF)(ピペラジン)、COH、C(O)N(H)Ph−CH−ピペラジン−CHCH、C(O)−N(H)Ph−モルホリノ、C(O)−N(H)Ph−t−ブチル、−C(O)N(H)Ph(OCHCH)(モルホリノ)、C(O)N(H)Ph(OCH)(モルホリノ),C(O)N(H)Ph(OCH、C(O)−N(H)−(CH−イミダゾール、C(O)N(H)(CH−モルホリノ、N(H)CO−t−ブチル、NH、N(H)C(O)Ph(CF)(CH−ピペリジン−OH)、N(H)C(O)Ph(CF)(CH−ピペラジン−CHCH)、N(H)C(O)N(H)Ph(CF)(イミダゾール−CH)、N(H)C(O)N(H)−(CH−モルホリノ、N(H)C(O)N(H)−(CH−モルホリノ、N(H)C(O)Ph(CF)(ピペラジン−(CHOH)、またはN(H)C(O)Ph(CF)(O−ピペリジン−CH)である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
式Iが式II:
【化2】

[式中:
Qは、CHであり;
は、C(O)−C3−6−シクロアルキル、C(O)N(H)−ヘテロアリール、C(O)−ヘテロアリール、C(O)−アリール、C(0)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、C3−6−シクロアルキル、またはC(O)−C1−6−アルキル−ヘテロアリールであり;
およびRは、Hであり;
は、C(O)N(H)−アリール、N(H)C(O)N(H)−アリール、C(O)N(H)−C1−6−アルコキシ、C(O)−N(H)−C3−6−シクロアルキル、C(O)N(H)−C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、CO−C1−6−アルキル、COH、C(O)N(H)−C1−6−アルキル−ヘテロアリール、N(H)CO−C1−6−アルキル、NH、N(H)C(O)アリール、またはN(H)C(O)N(H)−C1−6−アルキル−ヘテロサイクルであり、その際、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクル基は置換されていてもよく、置換されていなくてもよい]
により表わされる、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
は、C(O)−C3−6−シクロアルキルであり;
Qは、C(H)であり;
およびRは、Hであり;
は、C(O)N(H)Phであり、その際、Ph基は、場合により、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで1回以上置換されていてもよく、その際、置換基アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基は、場合によりさらに、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−OH、またはC(O)−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
は、C(O)−C3−6−シクロアルキルであり;
Qは、C(H)であり;
およびRは、Hであり;
は、C(O)N(H)Phであり、Ph基は、場合により、独立してCF、C1−6−アルキルピペラジン、またはイミダゾールで1回以上置換されていてもよく、その際、置換基のピペラジンまたはイミダゾールは、場合により、独立してC1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい、請求項12〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
Phは、場合により、独立してCF、ピペラジン、C1−6−アルキルピペラジン、C1−6−アルキルピペラジン−C1−6−アルキル、CHCH、イミダゾール、またはイミダゾール−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよい、請求項12〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
式IIIの化合物:
【化3】

およびその医薬的に許容できる塩類、鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマー、またはラセミ体
[式中:
Gは、NまたはCR10であり;
は、H、C(O)−C3−6−シクロアルキル、ピリミジン、C(O)N(H)−ピペリジン、C(O)−ピペリジン、C(O)−C1−6−アルキル、C3−6−シクロアルキル,ピリジン、フェニル、C(O)−フェニル、C(O)−C1−6−アルキル−ピペラジン、またはC(O)−オキサゾリジノンであり;
その際、Rのピリミジン、ピペリジン、ピリジン、およびフェニル基は、場合により、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで1回以上置換されていてもよく;その際、置換基アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基は、場合によりさらに、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−OH、またはC(O)−C1−6−アルキルで1回以上置換されていてもよく;
10は、HまたはC1−3アルキルであり;
12は、H、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、またはハロゲンであり;
13は、H、C(O)−N(R28)−アリール、C(O)−N(R29)−C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C(O)−N(R30)−C1−6−アルキル−ヘテロアリールであり、その際、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクル基は、場合により、1以上のOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで置換されていてもよく;
その際、置換基アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基はさらに、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで1回以上置換されていてもよく;
14は、H、C(O)NR15−アリール、NR16C(O)NR17−アリール、C(O)NR18−C1−6−アルコキシ、C(O)−NR19−C3−6−シクロアルキル、C(O)NR20−C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、CO−C1−6−アルキル、COH、C(O)NR21−C1−6−アルキル−ヘテロアリール、NR22CO−C1−6−アルキル、NR2324、NR25C(O)アリール、またはNR26C(O)NR27−C1−6−アルキル−ヘテロサイクルであり、その際、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクル基は、場合により、1以上のOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで置換されていてもよく;
その際、置換基アリール、ヘテロアリールおよびヘテロサイクル基はさらに、独立してOH、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C(O)−C1−6−アルキル、CO−C1−6−アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロサイクル、SO−ヘテロサイクル、SO−アリール、SO−ヘテロアリール、C1−6−アルキル−ヘテロサイクル、C1−6−アルキル−アリール、C1−6−アルキル−ヘテロアリール、CF、またはハロゲンで1回以上置換されていてもよく;
その際、R13およびR14のうち一方はHではなく;
15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、およびR30は、C1−6−アルキル、ハロゲン、またはHである]。
【請求項17】
12は、H、CH、FまたはClであり;
13は、H、C(O)−N(H)−Ph、C(O)−N(H)−(CH−モルホリノ、C(O)−N(H)−(CH−モルホリノ、またはC(O)−N(H)−(CH−イミダゾールであり、その際、PhはCFおよびCH−ピペラジン−CHCH、またはCFおよびイミダゾール−CHで置換されており;
14は、H、C(O)N(H)Ph−CF、N(H)C(O)N(H)Ph(CF)(CH−ピペラジン−CHCH)、C(O)N(H)Ph(CF)(CH−ピペラジン−CHCH)、C(O)N(H)OCH、C(O)N(H)Ph(CF)(イミダゾール−CH)、C(O)−N(H)−シクロプロピル、C(O)N(H)(CH−モルホリノ、C(O)N(H)(CH−モルホリノ、COCHCH、C(O)N(H)Ph−イミダゾール、C(O)N(H)Ph−テトラゾール、C(O)N(H)Ph−ピラゾール、C(O)N(H)Ph(CF)(ピペラジン)、COH、C(O)N(H)Ph−CH−ピペラジン−CHCH、C(O)−N(H)Ph−モルホリノ、C(O)−N(H)Ph−t−ブチル、−C(O)N(H)Ph(OCHCH)(モルホリノ)、C(O)N(H)Ph(OCH)(モルホリノ)、C(O)N(H)Ph(OCH、C(O)−N(H)−(CH−イミダゾール、C(O)N(H)(CH−モルホリノ、N(H)CO−t−ブチル、NH、N(H)C(O)Ph(CF)(CH−ピペリジン−OH)、N(H)C(O)Ph(CF)(CH−ピペラジン−CHCH)、N(H)C(O)N(H)Ph(CF)(イミダゾール−CH)、N(H)C(O)N(H)−(CH−モルホリノ、N(H)C(O)N(H)−(CH−モルホリノ、N(H)C(O)Ph(CF)(ピペラジン−(CHOH)、またはN(H)C(O)Ph(CF)(O−ピペリジン−CH)である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
式Iの化合物が表Aに挙げた化合物から選択される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
その必要がある対象に請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む、癌の処置方法。
【請求項20】
癌が、多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、膵臓癌、非小細胞性肺癌、肺癌、乳癌、大腸癌、卵巣癌、前立腺癌、悪性黒色腫、非黒色腫皮膚癌、胃腸間質性腫瘍、血液腫瘍、血液悪性疾患、小児白血病、小児リンパ腫、多発性骨髄腫、ホジキン病、リンパ球性リンパ腫、皮膚性リンパ腫、急性白血病、慢性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄球性白血病、慢性骨髄球性白血病、形質細胞新生物、リンパ球様新生物、およびエイズ関連癌からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
癌が膵臓癌または非小細胞性肺癌である、請求項19〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
癌が胃腸間質性腫瘍または慢性骨髄性白血病である、請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
癌がグリベックまたはイマチニブによる治療に耐性である、請求項19〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
治療耐性が、Ablキナーゼ、BCR−Ablキナーゼドメイン、c−kitキナーゼ、SrcキナーゼまたはPDGFRキナーゼにおける1以上の点変異によるものである、請求項19〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
対象において癌を処置する医薬の製造のための、請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項26】
癌が、多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、膵臓癌、非小細胞性肺癌、肺癌、乳癌、大腸癌、卵巣癌、前立腺癌、悪性黒色腫、非黒色腫皮膚癌、胃腸間質性腫瘍、血液腫瘍、血液悪性疾患、小児白血病、小児リンパ腫、多発性骨髄腫、ホジキン病、リンパ球性リンパ腫、皮膚性リンパ腫、急性白血病、慢性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄球性白血病、慢性骨髄球性白血病、形質細胞新生物、リンパ球様新生物、およびエイズ関連癌からなる群から選択される、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
癌が膵臓癌または非小細胞性肺癌である、請求項25〜26のいずれか1項に記載の使用。
【請求項28】
癌が胃腸間質性腫瘍または慢性骨髄性白血病である、請求項25〜27のいずれか1項に記載の使用。
【請求項29】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物を使用することを含む、キナーゼの活性を阻害する方法。
【請求項30】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物を使用することを含む、Abl、Abl(T315I)、BCR−Abl、BRAF、CDK11、CDK5、CDK2、CDK3、CDK7、DDR1、FLT1、FLT3、FLT4、HIPK1、kit、LOK、p38−ガンマ、PDGFRA、PDGFRB、またはSrcから選択されるキナーゼの活性を阻害する方法。
【請求項31】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物を使用することを含む、Ablキナーゼ、BCR−Ablキナーゼ、c−kitキナーゼ、PDGFRAもしくはPDGFRBキナーゼ、またはSrcキナーゼの活性を阻害する方法。
【請求項32】
請求項1に記載の化合物を対象に投与することを含む、対象において、疾患の原因または進行が少なくとも部分的にAblキナーゼ、BCR−Ablキナーゼ、c−kitキナーゼ、Srcキナーゼ、またはPDGFRキナーゼの活性により仲介される疾患を処置する方法。
【請求項33】
その必要がある対象に、請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物を医薬有効量の追加の抗癌剤と組み合わせて投与することを含む、癌の処置方法。
【請求項34】
他の抗癌剤がイマチニブまたはニロチニブである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
他の抗癌剤がイマチニブである、請求項33〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
他の抗癌剤がニロチニブである、請求項33〜35のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−530071(P2012−530071A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515216(P2012−515216)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/038518
【国際公開番号】WO2010/144909
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(399052796)デイナ ファーバー キャンサー インスティチュート,インコーポレイテッド (36)
【Fターム(参考)】