説明

繊維に適するオレフィンブロックインターポリマー組成物

繊維の繰り出しを容易にする、繊維に適する組成物が見出された。組成物は、典型的には、エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー、および1分子当たり約25から約45個の炭素原子を含む脂肪酸アミドを含む。組成物は、編物または織物に有用な繊維に製造され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
米国特許実務の目的のために、PCT出願PCT/US2005/008917(Dow 63558D)(2005年3月17日出願)、米国特許出願第11/376,873号(Dow 66405B)(2006年3月15日出願)、および米国特許仮出願第60/553,906号(2004年3月17日出願)の内容は、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。本出願は米国特許出願第60/948,560号(2007年7月9日出願)の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、繊維およびファブリックに適する改良された組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば衣類(garment)に用いられる、織物(woven fabric)および編物(knit fabric)を製造するのに、様々な多くの材料が用いられている。このようなファブリックは、望ましい性質(次の1つまたは複数が含まれる:寸法安定性、ヒートセット性、1つまたは2つの方向に引き伸ばせるように製造できること、耐化学薬品性、耐熱性、および耐摩耗性、適切な手触り感など)の組合せを有することが、しばしば望ましい。また、このようなファブリックは、1つまたは複数の前記性質をそれほど下落させることなく、手または機械による洗濯に耐えることができることも、しばしば重要である。さらに、ファブリックを構成する繊維は、それほど破損することなく、容易に、繊維スプールパッケージから繰り出せる(unwind)ことが、通常望ましい。残念ながら、従来の材料には、しばしば、前記領域において1つまたは複数の欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
繊維に成形された時に、向上した一貫性(consistency)をもって、スプールパッケージから繰り出せるので、ファブリックの欠陥および伸縮性のあるフィラメントまたは繊維の破損のような欠点が少なくなる、繊維のための改良された組成物が今や見出された。同様に、しばしば、望ましい性質のバランスのある組合せを有し、加工性の向上を許す、繊維およびファブリック構成物が見出された。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の組成物は、典型的には、
(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマー[ここで、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、次の特性の1つまたは複数を有する:
(1)約1.7から約3.5のM/M、少なくとも1つの融点、T(℃)、および密度、d(g/cm)、ここで、Tおよびdの数値は、次の関係式:
>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)
に対応する;あるいは
(2)約1.7から約3.5のM/M;融解熱、ΔH(J/g)、および最高のDSCピークと最高のCRYSTAFピークとの間の温度差として定義されるデルタ量、ΔT(℃)によって特徴付けられ、ここで、ΔTおよびΔHの数値は次の関係式:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHがゼロより大きく130J/gまでの場合)
ΔT≧48℃(ΔHが130J/gを超える場合)
を有し、
ここで、CRYSTAFピークは、少なくとも5パーセントの累積ポリマーを用いて決められ、5パーセント未満のポリマーが確認できるCRYSTAFピークを有する場合には、CRYSTAF温度は30℃である;あるいは
(3)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムにより測定される、300パーセント歪(strain)および1サイクルでの弾性回復(elastic recovery)、Re(%);また、密度、d(g/cm)を有し、ここで、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが実質的に架橋相を含まない場合、次の関係式:
Re>1481−1629(d)
を満たす;あるいは
(4)TREFを用いて分別した時、40℃と130℃の間で溶離する分子フラクション、このフラクションは、同じ温度の間で溶離する比較対象の(comparable)エチレンランダムインターポリマーフラクションより、少なくとも5パーセント大きいコモノマーモル含量を有することに特徴があり、ここで、比較対象の該エチレンランダムインターポリマーは、同じ(1種または複数の)コモノマーを有し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を有する;あるいは
(5)25℃での貯蔵弾性率、G’(25℃)、および100℃での貯蔵弾性率、G’(100℃)、ここで、G’(25℃)とG’(100℃)の比は、約1:1から約9:1の範囲にある;あるいは
(6)ゼロを超え約1.0までの平均ブロックインデックス、および約1.3を超える分子量分布、M/M;あるいは
(7)TREFを用いて分別した時、40℃と130℃の間で溶離する少なくとも1つの分子フラクション、このフラクションは、少なくとも0.5で約1までのブロックインデックスを有することに特徴がある];および

(B)1分子当たり約25から約45個の炭素原子を含む脂肪酸アミド(fatty acid amide)
を含む。本発明の組成物を含む架橋された繊維は、例えばファブリックに、製造および処理できる。本発明はまたテキスタイル物品に適する繊維も包含し、ここで、この繊維は、(a)少なくとも約1%のポリオレフィン(ASTM D629−99による)と少なくとも1種の架橋剤との反応生成物、および(b)繊維の重量に対して約0.05から約1.5重量パーセントの、1分子当たり約25から約45個の炭素原子を含む脂肪酸アミドを含み;ここで、この繊維のフィラメントの破断伸びは、約200%を超え(ASTM D2653−01(フィラメントの最初の破断時の伸びの試験)による)、この繊維は、約1.5以上の、200%伸びでの荷重/100%伸びでの荷重の比(ASTM D2731−01(完成された繊維の形態における特定の伸びの力の下で)による)を有することよってさらに特徴付けられる。
【0006】
好ましくは、1つまたは複数のポリマーの特性は、何らかの架橋が行われる前に、エチレン/α−オレフィンインターポリマーによって示される。いくつかの場合において、架橋されたエチレン/α−オレフィンインターポリマーもまた、前記の7つの性質の1つまたは複数を示し得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、従来のランダムコポリマー(丸によって示される)およびチーグラー−ナッタコポリマー(三角形で示される)に比較して、本発明のポリマー(菱形によって示される)についての融点/密度の関係を示すグラフである。
【図2】図2は、様々なポリマーについて、DSCによる融解エンタルピーの関数として、デルタ(DSC−CRYSTAF)のプロットを示すグラフである。菱形はエチレン/オクテンランダムコポリマーを示し;四角形はポリマー実施例1〜4を示し;三角形はポリマー実施例5〜9を示し;丸はポリマー実施例10〜19を示す。記号「X」は、ポリマー実施例A〜Fを示す。
【図3】図3は、本発明のインターポリマー(四角形および丸によって示される)、および様々なAFFINITY(商標)ポリマー(The Dow Chemical Companyから入手可能)である従来のコポリマー(三角形によって示される)から製造された無配向フィルムについて、弾性回復への密度の影響を示す。四角形は、本発明のエチレン/ブテンコポリマーを示し;丸は本発明のエチレン/1−オクテンコポリマーを示すグラフである。
【図4】図4は、(TREFで分別されたエチレン/1−オクテンコポリマーフラクションの1−オクテン含量)vs.(実施例5(円によって示される)のポリマーならびに比較ポリマーEおよびF(記号「X」によって示される)のフラクションのTREF溶離温度)のプロットを示すグラフである。菱形は従来のエチレン/1−オクテンランダムコポリマーを示す。
【図5】図5は、(TREFで分別されたエチレン/1−オクテンコポリマーフラクションの1−オクテン含量)vs.(実施例5(曲線1)および比較のF(曲線2)のポリマーのフラクションのTREF溶離温度)のプロットを示すグラフである。四角形は実施例Fを示す;三角形は実施例5を示す。
【図6】図6は、比較のエチレン/1−オクテンコポリマー(曲線2)およびプロピレン/エチレン−コポリマー(曲線3)ならびに、異なる量の可逆的連鎖移動剤(chain shuttling agent)により製造された本発明の2つのエチレン/1−オクテンブロックコポリマー(曲線1)について、温度の関数としての貯蔵弾性率の対数のグラフである。
【図7】図7は、いくつかの知られているポリマーと比較して、いくつかの本発明のポリマー(菱形によって示される)について、TMA(1mm)vs.曲げ弾性率のプロットを示すグラフである。三角形は、様々なDow VERSIFY(商標)ポリマー(The Dow Chemical Companyから入手可能)を示し;丸は、様々なエチレン/スチレンランダムコポリマーを示し;四角形は、様々なDow AFFINITY(商標)ポリマー(The Dow Chemical Companyから入手可能)を示す。
【図8】図8は、リリース力張力について試験するために実施例28において用いられる電子制御一定張力移送装置を示す図である。
【図9】図9は、実施例28において試験された、(リリース力張力)vs.(スプールの紙芯からの距離)のプロットを示すグラフである。
【図10】図10は、40デニールに正規化(normalized)された、(正規化表面積と体積の比)vs.(デニール)の関係を示すグラフである。
【図11】図11は、平均動摩擦係数を測定するための構成の概略を示す図である。
【図12】図12は、破断を求めるために実施例29において切断されるパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一般的定義(General Definitions)
本明細書で用いられる場合、「組成物」は、その組成物を構成する材料、さらには、その組成物の材料から生成される反応生成物および分解生成物の混合物を含む。
【0009】
「繊維(fiber)」は、長さと直径の比が約10を超える材料を意味する。繊維は通常、その直径により分類され、直径は、デニール(繊維のグラム数/長さ9000メートル)の単位で測られることが多い線密度に直接に関連づけられる。一般に、フィラメント繊維は、約15デニール/フィラメントを超え、通常は約30デニール/フィラメントを超える、個々の繊維直径を有すると定義される。ファインデニール繊維は、一般に、約15デニール/フィラメント未満の直径を有する繊維を表す。マイクロデニール繊維は、一般に、約1デニール/フィラメント未満の直径を有する繊維と定義される。
【0010】
「フィラメント繊維(filament fiber)」または「モノフィラメント繊維(monofilament fiber)」は、一定の長さの材料の不連続ストランド(すなわち、予め決められた長さの切片に切断された、または別の仕方で分割されたストランド)である「ステープル繊維(staple fiber)」とは対照的に、不定の(すなわち、予め決まっていない)長さの材料の連続ストランドを意味する。
【0011】
「弾性」は、通常の引張り試験機で試験した時に、繊維が、100%歪(長さを2倍にする)までの最初の引張りおよび4回目の引張りの後、その引き伸ばされた長さの少なくとも約50パーセントを回復することを意味する。弾性はまた、繊維の「永久歪(permanent set)」によっても記述できる。永久歪は弾性の反対のものである。繊維が、ある位置まで引き伸ばされ、次いで引き伸ばされる前の元の位置へと解放され、次に再び伸ばされる。その繊維が荷重を引っ張り始める位置が、パーセント永久歪と呼ばれる。「弾性材料(elastic materials)」はまた、当技術分野において、「エラストマー(elastomers)」および「エラストマー材料(elastomeric)」とも呼ばれる。弾性材料(時に、弾性物品と呼ばれる)は、コポリマーそれ自体、さらには、これらに限らないが、繊維、フィルム、ストリップ、テープ、リボン、シート、コーティング、成形体などの状態のコポリマーを含む。好ましい弾性材料は繊維である。弾性材料は、硬化もしくは未硬化、放射線照射もしくは未照射、および/または架橋もしくは未架橋のいずれかであり得る。
【0012】
「非弾性材料」は、上で定義された弾性でない材料、例えば繊維を意味する。
【0013】
「実質的に架橋された」および類似の用語は、形作られた、または物品の状態のコポリマーが、70重量パーセント以下(すなわち、30重量パーセント以上のゲル含量)、好ましくは40重量パーセント以下(すなわち、60重量パーセント以上のゲル含量)のキシレン抽出可能物(xylene extractables)を有することを意味する。キシレン抽出可能物(およびゲル含量)は、ASTM D−2765に従って求められる。
【0014】
「ホモフィル(homofil)繊維」は、単一ポリマー領域またはドメインを有し、(バイコンポーネント(bicomponent)繊維が有するような)いかなる他の異なるポリマー領域も有さない繊維を意味する。
【0015】
「バイコンポーネント繊維」は、2つ以上の異なるポリマー領域またはドメインを有する繊維を意味する。バイコンポーネント繊維はまた、複合(conjugated)繊維または多成分繊維としても知られている。それらのポリマーは通常、互いに異なるが、2つ以上の構成要素が同じポリマーを含んでいてもよい。ポリマーは、バイコンポーネント繊維の横断面を横切って実質的に異なるゾーンに配置され、バイコンポーネント繊維の長さに沿って連続的に延びている。バイコンポーネント繊維の相対的配置は、例えば、鞘/芯(sheath/core)の配置(この場合、1つのポリマーが他方によって囲まれている)、サイドバイサイド配置、パイ(pie)配置または「海島(islands-in-the sea)」配置であり得る。バイコンポーネント繊維は、米国特許第6,225,243号、米国特許第6,140,442号、米国特許第5,382,400号、米国特許第5,336,552号および米国特許第5,108,820号にさらに説明されている。
【0016】
「メルトブロー繊維(meltblown fibers)」は、溶融した熱可塑性ポリマー組成物を、多数の細い、通常は円形のダイキャピラリーを通して、溶融した糸(thread)またはフィラメントとして、これらの糸またはフィラメントを細くして直径を小さくする働きをする収束する高速ガス流(例えば、空気)中へ、押し出すことによって生成される繊維である。フィラメントまたは糸は、高速ガス流によって運ばれ、捕集表面に堆積して、通常は10ミクロンより細い平均直径を有するランダムに分散した繊維のウェッブを形成する。
【0017】
「溶融紡糸繊維(meltspun fibers)」は、少なくとも1種のポリマーを溶融し、次いで、溶融状態で、ダイの直径(または、別の横断面形状)より小さい直径(または、別の横断面形状)に繊維を引き伸ばすことによって形成される繊維である。
【0018】
「スパンボンド繊維」は、溶融した熱可塑性ポリマー組成物を、紡糸口金の多数の細い、通常は円形のダイキャピラリーを通して、フィラメントとして押し出すことによって形成される繊維である。押し出されるフィラメントの直径は急速に細くされ、次いで、フィラメントは、捕集表面に堆積して、通常は約7と約30ミクロンの間の平均直径を有するランダムに分散した繊維のウェッブを形成する。
【0019】
「不織布」は、編まれたファブリックの場合のように識別できるやり方においてではなく、ランダムに絡み合っている、個々の繊維または糸の構造を有するウェッブまたはファブリックを意味する。本発明の実施形態による弾性繊維は、不織布構造、さらには非弾性材料と組み合わせた弾性不織布のコンポジット構造を作るために用いることができる。
【0020】
「ヤーン(yarn)」は、織物または編物および他の物品の製造に使用できる、連続した長い、撚り合せられたまたは別の仕方で絡まされたフィラメントを意味する。ヤーンは、カバード(covered)または非カバードであり得る。カバードヤーンは、別の繊維または材料(通常、天然繊維、例えば綿またはウール)の外側カバリング(covering)内に、少なくとも部分的に包まれているヤーンである。
【0021】
「ポリマー」は、同じタイプのもの、または異なるタイプのものにせよ、モノマーを重合することによって製造されるポリマー化合物を意味する。包括的用語「ポリマー」は、用語「ホモポリマー」、「コポリマー」、「ターポリマー」、さらには「インターポリマー」を包含する。
【0022】
「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって製造されるポリマーを意味する。包括的用語「インターポリマー」は、用語「コポリマー」(これは通常、2つの異なるモノマーから製造されるポリマーを表すために用いられる)、さらには「ターポリマー」(これは通常、3つの異なるタイプのモノマーから製造されるポリマーを表すために用いられる)を含む。それはまた、4つ以上のタイプのモノマーを重合することによって製造されるポリマーも包含する。
【0023】
用語「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」は、エチレンと、3個以上の炭素原子を有するα−オレフィンとを含むポリマーを一般的に表す。好ましくは、エチレンが、全ポリマーの過半数のモル分率を占める、すなわち、エチレンは、全ポリマーの少なくとも約50モルパーセントを占める。より好ましくは、エチレンは、少なくとも約60モルパーセント、少なくとも約70モルパーセント、または少なくとも約80モルパーセントを占め、全ポリマーの残りのかなりの部分は、3個以上の炭素原子を有するα−オレフィンであることが好ましい少なくとも1種の他のコポリマーからなる。多くのエチレン/1−オクテンコポリマーでは、好ましい組成は、全ポリマーの約80モルパーセントを超えるエチレン含量、および全ポリマーの約10から約15、好ましくは約15から約20モルパーセントの1−オクテン含量からなる。いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、低収率で、または僅かな量で、あるいは化学プロセスの副生成物として生成したものを含まない。エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、1種または複数のポリマーとブレンドできるが、生成したままのエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、実質的に純粋で、重合プロセスの反応生成物の主成分を含むことが多い。
【0024】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレンと1種または複数の共重合可能なα−オレフィンコモノマーとを重合した形で含み、化学的または物理的性質の異なる、2種以上の重合したモノマー単位の複数の(multiple)ブロックまたはセグメントによって特徴付けられる。すなわち、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、ブロックインターポリマー、好ましくは、マルチブロックインターポリマーまたはコポリマーである。用語「インターポリマー」および「コポリマー」は、本明細書では、交換可能であるように用いられている。いくつかの実施形態では、マルチブロックコポリマーは、次の式によって表すことができる。
(AB)
ここで、nは少なくとも1であり、好ましくは、1より大きい整数、例えば、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、またはさらに大きく、「A」は、ハードブロックまたはセグメントを表し、「B」は、ソフトブロックまたはセグメントを表す。実質的に分岐状または実質的に星型状とは対照的に、好ましくは、AおよびBは、実質的に線状に連結している。別の実施形態では、AブロックおよびBブロックは、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布している。別の言い方をすると、ブロックコポリマーは、通常、次のような構造を有さない。
AAA−AA−BBB−BB
【0025】
さらに別の実施形態では、ブロックコポリマーは、通常、(1種または複数の)異なるコモノマーを含む第3のタイプのブロックを有さない。さらに別の実施形態では、ブロックAおよびBのそれぞれが、ブロック内で実質的にランダムに分布したモノマーまたはコモノマーを有する。別の言い方をすると、ブロックAもブロックBも、異なる組成の2つ以上のサブセグメント(またはサブブロック)、例えばチップ(tip)セグメント(これは、ブロックの残りの部分とはかなり異なる組成を有する)を含まない。
【0026】
マルチブロックポリマーは、通常、様々な量の「ハード」および「ソフト」セグメントを含む。「ハード」セグメントは、エチレンが、ポリマーの重量に対して約95重量パーセントを超え、好ましくは約98重量パーセントを超える量で存在する、重合した単位のブロックを表す。別の言い方をすると、ハードセグメントにおけるコモノマー含量(エチレン以外のモノマーの含量)は、ポリマーの重量に対して約5重量パーセント未満、好ましくは約2重量パーセント未満である。いくつかの実施形態では、ハードセグメントは、すべて、または実質的にすべてエチレンからなる。他方、「ソフト」セグメントは、コモノマー含量(エチレン以外のモノマーの含量)が、ポリマーの重量に対して約5重量パーセントを超え、好ましくは約8重量パーセントを超え、約10重量パーセントを超える、または約15重量パーセントを超える、重合した単位のブロックを表す。いくつかの実施形態では、ソフトセグメントにおけるコモノマー含量は、約20重量パーセントを超え、約25重量パーセントを超え、約30重量パーセントを超え、約35重量パーセントを超え、約40重量パーセントを超え、約45重量パーセントを超え、約50重量パーセントを超え得る、または約60重量パーセントを超え得る。
【0027】
ソフトセグメントは、ブロックインターポリマー中に、しばしば、ブロックインターポリマーの全重量の約1重量パーセントから約99重量パーセント、好ましくは約5重量パーセントから約95重量パーセント、約10重量パーセントから約90重量パーセント、約15重量パーセントから約85重量パーセント、約20重量パーセントから約80重量パーセント、約25重量パーセントから約75重量パーセント、約30重量パーセントから約70重量パーセント、約35重量パーセントから約65重量パーセント、約40重量パーセントから約60重量パーセント存在し得る、またはブロックインターポリマーの全重量の約45重量パーセントから約55重量パーセント存在し得る。逆に、ハードセグメントは、同様の範囲で存在し得る。ソフトセグメントの重量パーセントおよびハードセグメントの重量パーセントは、DSCまたはNMRから得られるデータに基づいて計算できる。このような方法および計算は、2006年3月15日に、Colin L.P.Shan、Lonnie Hazlitt他の名前で出願され、Dow Global Technologies Inc.に譲渡された、「エチレン/α−オレフィンブロックインターポリマー(Ethylene/α−Olefins Block Interpolymers)」という名称の、同時に出願された米国特許出願第11/376,835号(代理人整理番号第385063999558号)に開示されており、この特許の開示は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0028】
用語「結晶(性)(crystalline)」は、用いられる場合、示差走査熱量測定(DSC)または同等の技法によって決められる1次転移または結晶融点(T)を有するポリマーを表す。この用語は、用語「半結晶性」と交換可能であるように使用され得る。用語「アモルファス」は、示差走査熱量測定(DSC)または同等の技法によって決められる結晶融点をもたないポリマーを表す。
【0029】
用語「マルチブロックコポリマー」または「セグメント化コポリマー」は、線状に好ましくは繋がった、化学的に異なる2つ以上の部分またはセグメント(「ブロック」と呼ばれる)を含むポリマー、すなわち、重合したエチレン性官能基に関して、ペンダント状またはグラフト状でなく、末端−末端(end-to-end)で繋がった化学的に区別される単位を含むポリマーを表す。好ましい実施形態において、ブロックは、それらに組み込まれるコモノマーの量またはタイプ、密度、結晶の量、このような組成のポリマーに起因するクリスタリットの大きさ、タクティシティーのタイプまたは程度(イソタクチックまたはシンジオタクチック)、レジオ規則性(regio-regularity)またはレジオ不規則性、分岐(長鎖分岐または超分岐(hyper-branching)を含めて)の量、均質性、あるいは他の何らかの化学的または物理的性質において異なる。マルチブロックコポリマーは、コポリマーの独特の製造プロセスに帰因する、多分散度指数(polydispersity index)(PDIまたはM/M)、ブロック長分布の両方、および/またはブロック数分布の独特の分布によって特徴付けられる。より詳細には、連続プロセスで製造された時、これらのポリマーは、望ましくは、1.7から2.9、好ましくは1.8から2.5、より好ましくは1.8から2.2、最も好ましくは1.8から2.1のPDIを有する。バッチまたは半バッチプロセスで製造された時、これらのポリマーは、1.0から2.9、好ましくは1.3から2.5、より好ましくは1.4から2.0、最も好ましくは1.4から1.8のPDIを有する。
【0030】
以下の説明において、本明細書に開示されるすべての数値は、「約」または「ほぼ」という語がそれらに結び付けて用いられているかどうかに関らず、近似的な値である。それらは、1パーセント、2パーセント、5パーセント、または、時には、10から20パーセント変わり得る。下限、R、および上限、Rを有する数値範囲が開示されている時は常に、その範囲内に入る任意の数が明確に開示されている。特に、範囲内の次の数:R=R+k*(R−R)は明確に開示されており、式中、kは、1パーセントずつ増加する、1パーセントから100パーセントの範囲の変数である、すなわち、kは、1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、...、50パーセント、51パーセント、52パーセント、...、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント、100パーセントである。さらに、上で定義されるRの2つの数値によって定められる任意の数値範囲もまた明確に開示されている。
【0031】
エチレン/α−オレフィンインターポリマー(Ethylene/α-Olefin Interpolymers)
本発明の実施形態において用いられるエチレン/α−オレフィンインターポリマー(「本発明のインターポリマー」または「本発明のポリマー」とも呼ばれる)は、エチレンと1種または複数の共重合可能なα−オレフィンコモノマーとを重合した形で含み、化学的または物理的性質の異なる、2種以上の重合したモノマー単位の複数のブロックまたはセグメントによって特徴付けられ(ブロックインターポリマー)、好ましくはマルチブロックコポリマーである。このエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、以下に記載される態様の1つまたは複数によって特徴付けられる。
【0032】
一態様において、本発明の実施形態において用いられるチレン/α−オレフィンインターポリマーは、約1.7から約3.5のM/M、ならびに少なくとも1つの融点、T(℃)、および密度、d(g/cm)を有し、ここで、これらの変数の数値は、次の関係式:
>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)、好ましくは
≧−6288.1+13141(d)−6720.3(d)、より好ましくは
≧858.91−1825.3(d)+1112.8(d)
に対応する。
【0033】
このような融点/密度の関係は、図1に例示されている。融点が密度の減少と共に低下する従来のエチレン/α−オレフィンのランダムコポリマーと異なり、本発明のインターポリマー(菱形によって示される)は、特に、密度が約0.87g/ccから約0.95g/ccの間である場合に、密度と実質的に無関係な融点を示す。例えば、このようなポリマーの融点は、密度が0.875g/ccから約0.945g/ccの範囲にある時に、約110℃から約130℃の範囲にある。いくつかの実施形態において、このようなポリマーの融点は、密度が0.875g/ccから約0.945g/ccの範囲にある時に、約115℃から約125℃の範囲にある。
【0034】
別の態様において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレンと1種または複数のα−オレフィンとを重合した形で含み、(最高の示差走査熱量測定(「DSC」)ピーク温度)−(最高の結晶化分析分別(Crystallization Analysis Fractionation、「CRYSTAF」)ピーク温度)として定義されるΔT(℃)、および融解熱、ΔH(J/g)によって特徴付けられ、ΔTおよびΔHは、ΔHが130J/gまでの場合、次の関係式:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.18、好ましくは
ΔT≧−0.1299(ΔH)+64.38、より好ましくは
ΔT≧−0.1299(ΔH)+65.95
を満たす。さらに、ΔHが130J/gを超える場合には、ΔHは48℃以上である。CRYSTAFピークは、少なくとも5パーセントの累積ポリマーを用いて決められ(すなわち、ピークは、少なくとも5パーセントの累積ポリマーに対応していなければならない)、5パーセント未満のポリマーが確認できるCRYSTAFピークを有する場合には、CRYSTAF温度は30℃であり、ΔHは融解熱(J/g)の数値である。より好ましくは、最高のCRYSTAFピークは少なくとも10%の累積ポリマーを含む。図2は、本発明のポリマー、さらには比較例についてプロットしたデータを示す。積分ピーク面積およびピーク温度は、装置メーカーによって供給される、コンピュータによる描画プログラムによって計算される。比較のエチレンオクテンランダムポリマーについて示された斜めの線は、式、ΔT=−0.1299(ΔH)+62.81に相当する。
【0035】
さらに別の態様において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、昇温溶離分別(Temperature Rising Elution Fractionation)(「TREF」)を用いて分別した時、40℃と130℃の間で溶離する分子フラクションを有し、このフラクションは、同じ温度の間で溶離する比較対象のエチレンランダムインターポリマーフラクションより大きく、好ましくは少なくとも5パーセント大きく、より好ましくは少なくとも10パーセント大きいコモノマーモル含量を有することに特徴があり、ここで、この比較対象のエチレンランダムインターポリマーは、同じ(1つまたは複数の)コモノマーを含み、ブロックインターポリマーの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を有する。好ましくは、比較対象のインターポリマーのM/Mもまた、ブロックインターポリマーの10パーセント以内である、かつ/または、比較対象のインターポリマーは、ブロックインターポリマーの10重量パーセント以内の全コモノマー含量を有する。
【0036】
さらに別の態様において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで測定される、300パーセント歪および1サイクルでの弾性回復(elastic recovery)、Re(%)によって特徴付けられ、密度、d(g/cm)を有し、ここで、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが実質的に架橋相を含まない場合、次の関係式:
Re>1481−1629(d);好ましくは
Re≧1491−1629(d);より好ましくは
Re≧1501−1629(d);より一層好ましくは
Re≧1511−1629(d)
を満たす。
【0037】
図3は、本発明の特定のインターポリマーおよび従来のランダムコポリマーから製造された無配向フィルムについて、弾性回復への密度の影響を示す。同じ密度では、本発明のインターポリマーは、かなり大きい弾性回復を有する。
【0038】
いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、10MPaを超える引張り強さ、好ましくは≧11MPaの引張り強さ、より好ましくは≧13MPaの引張り強さ、および/または、11cm/分のクロスヘッド引離し速度で、少なくとも600パーセント、より好ましくは少なくとも700パーセント、大いに好ましくは少なくとも800パーセント、最も大いに好ましくは少なくとも900パーセントの破断伸びを有する。
【0039】
別の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、(1)1から50、好ましくは1から20、より好ましくは1から10の貯蔵弾性率比(storage modulus ratio)、G’(25℃)/G’(100℃);および/または、(2)80パーセント未満、好ましくは70パーセント未満、特に60パーセント未満、50パーセント未満、もしくは40パーセント未満で、下は0パーセントの圧縮永久歪(compression set)に至る、70℃での圧縮永久歪を有する。
【0040】
さらに別の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、80パーセント未満、70パーセント未満、60パーセント未満、または50パーセント未満の、70℃での圧縮永久歪を有する。好ましくは、インターポリマーの70℃での圧縮永久歪は、40パーセント未満、30パーセント未満、20パーセント未満であり、下は約0パーセントに至り得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、85J/g未満の融解熱、および/または、100ポンド/フート(4800Pa)以下、好ましくは50ポンド/ft(2400Pa)以下、特に5ポンド/ft(240Pa)以下で、0ポンド/ft(0Pa)のように小さい、ペレットブロッキング強さを有する。
【0042】
別の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、重合された形で、少なくとも50モルパーセントのエチレンを含み、80パーセント未満、好ましくは70パーセント未満、または60パーセント未満、最も好ましくは40から50パーセント未満で、下はゼロパーセント近くに至る、70℃での圧縮永久歪を有する。
【0043】
いくつの実施形態において、マルチブロックコポリマーは、ポアソン分布よりむしろ、シュルツ−フローリー分布にフィッティングするPDIを有する。コポリマーは、多分散ブロック分布、およびブロックの大きさの多分散分布の両方を有すること、ならびに、最も確からしい(most probable)ブロック長分布を有するとして、さらに特徴付けられる。好ましいマルチブロックコポリマーは、末端ブロックを含めて、4つ以上のブロックまたはセグメントを含むものである。より好ましくは、コポリマーは、末端ブロックを含めて、少なくとも5、10または20のブロックまたはセグメントを含む。
【0044】
コモノマー含量は、何らかの適切な技法を用いて測定でき、核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技法が好ましい。さらに、比較的幅広いTREF曲線を有するポリマーまたはポリマーブレンドでは、ポリマーは、TREFを用いて、それぞれが10℃以下の溶離温度範囲を有するフラクションに最初に分別されることが望ましい。すなわち、各溶離フラクションは10℃以下の捕集温度ウィンドウを有する。この技法を用いると、前記ブロックインターポリマーは、前記比較対象のインターポリマーの対応するフラクションより大きいコモノマーモル含量を有する少なくとも1つのこのようなフラクションを有する。
【0045】
別の態様において、本発明のポリマーはオレフィンインターポリマーであり、エチレンと1種または複数の共重合可能なコモノマーとを重合した形で好ましくは含み、化学的または物理的性質の異なる、2種以上の重合したモノマー単位の複数のブロック(すなわち、少なくとも2つのブロック)またはセグメントによって特徴付けられ(ブロックインターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーであり、このブロックインターポリマーは、40℃と130℃の間で溶離(elutes)する(ただし、個々のフラクションを捕集および/または分離しない)ピーク(ただし、きっかり1つの分子フラクションではない)を有し、該ピークは、全幅/半値(FWHM)面積計算を用いて展開された時に赤外分光法によって概算されるコモノマー含量を有し、全幅/半値(FWHM)面積計算を用いて展開される、同じ溶離温度での比較対象のエチレンランダムインターポリマーのピークより大きく、好ましくは少なくとも5パーセント大きく、より好ましくは少なくとも10パーセント大きい平均コモノマーモル含量を有することに特徴があり、ここで、この比較対象のエチレンランダムインターポリマーは、同じ(1つまたは複数の)コモノマーを含み、ブロックインターポリマーの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を有する。好ましくは、比較対象のインターポリマーのM/Mもまた、ブロックインターポリマーの10パーセント以内である、かつ/または、比較対象のインターポリマーは、ブロックインターポリマーの10重量パーセント以内の全コモノマー含量を有する。全幅/半値(FWHM)計算は、ATREF赤外検出器による、メチルとメチレンの応答面積の比[CH/CH]に基づき、ここで、最高(最も高さが高い)ピークがベースラインにより特定され、次いで、FWHM面積が求められる。ATREFピークを用いて求められる分布では、FWHM面積は、TとTの間の曲線の下の面積として定義され、ここで、TおよびTは、ピーク高さを2で割り、次に、ベースラインに水平に、ATREF曲線の左および右の部分と交差する直線を引くことによって、ATREFピークの左および右に対して、決められる点である。コモノマー含量についての較正曲線(calibration curve)は、エチレン/α−オレフィンランダムコポリマーを用い、(NMRによるコモノマー含量)vs.(TREFピークのFWHM面積比)をプロットして作られる。この赤外法では、較正曲線は、関心のあるそのコモノマータイプについて作られる。本発明のポリマーのTREFピークのコモノマー含量は、TREFピークのそのメチル:メチレンのFWHM面積比[CH/CH]を用い、この較正曲線を参照することによって求めることができる。
【0046】
コモノマー含量は、適切などのような技法を用いて求めてもよく、核磁気共鳴(NMR)分光法に基づく技法が好ましい。この技法を用いると、前記ブロック化インターポリマーは、対応する比較対象のインターポリマーより大きなコモノマーモル含量を有する。
【0047】
好ましくは、エチレンと1−オクテンのインターポリマーでは、ブロックインターポリマーは、量、(−0.2013)T+20.07以上で、より好ましくは、量、(−0.2013)T+21.07以上の、40と130℃の間で溶離するTREFフラクションのコモノマー含量を有し、ここで、Tは、比較されているTREFフラクションのピーク溶離温度(℃で測られる)の数値である。
【0048】
図4は、エチレンと1−オクテンのブロックインターポリマーの実施形態をグラフで示し、(コモノマー含量)vs.(いくつかの比較対象のエチレン/1−オクテンインターポリマー(ランダムコポリマー)のTREF溶離温度)のプロットは、(−0.2013)T+20.07(実線)を表す直線にフィッティングしている。式、(−0.2013)T+21.07の直線は、破線によって示されている。本発明のいくつかのエチレン/1−オクテンブロックインターポリマー(マルチブロックコポリマー)のフラクションに対するコモノマー含量もまた示されている。ブロックインターポリマーのすべてのフラクションは、等しい溶離温度で、いずれの直線よりもかなり大きな1−オクテン含量を有する。この結果は、本発明のインターポリマーの特性を示しており、ポリマー鎖内の、結晶性とアモルファスの2つの特質を有する、異なるブロックの存在に帰因すると考えられる。
【0049】
図5は、下に記載される実施例5および比較例Fについて、TREF曲線、およびポリマーフラクションのコモノマー含量をグラフに示す。両方のポリマーについて、40から130℃、好ましくは60℃から95℃で溶離するピークは、3つの部分に分別され、各部分は10℃未満の温度範囲にわたって溶離する。実施例5についての実際のデータは、三角形によって示されている。当業者は、適切な較正曲線が、様々なコモノマーを含むインターポリマーに対して作成され得ること、および、比較として用いられる線は、同じモノマーの比較のインターポリマー、好ましくはメタロセンまたは他の均一触媒組成物を用いて製造されるランダムコポリマーから得られるTREF値にフィッティングされ得ることを理解できる。本発明のインターポリマーは、同じTREF溶離温度で較正曲線から求められる値より大きく、好ましくは少なくとも5%大きく、より好ましくは少なくとも少なくとも10パーセント大きいコモノマーモル含量によって特徴付けられる。
【0050】
前記態様および本明細書に記載の性質に加えて、本発明のポリマーは、1つまたは複数のさらなる特性によって特徴付けられ得る。一態様において、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマーであり、好ましくは、エチレンと1種または複数の共重合可能なコモノマーを重合した形で含み、化学的または物理的性質の異なる、2種以上の重合したモノマー単位の複数のブロックまたはセグメントによって特徴付けられ(ブロック化インターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックコポリマー(multi-block copolymer)であり、このブロックインターポリマーは、TREF漸増(increment)を用いて分別した時に、40℃と130℃の間で溶離する分子フラクションを有し、該フラクションは、同じ温度の間で溶離する比較対象のエチレンランダムインターポリマーフラクションより大きく、好ましくは少なくとも5パーセント大きく、より好ましくは少なくとも10、15、20または25パーセント大きいコモノマーモル含量を有することに特徴があり、ここで、該比較対象のランダムエチレンインターポリマー(random ethylene interpolymer)は、同じ(1種または複数の)コモノマーを含み、好ましくは、それは同じ(1種または複数の)コモノマーであり、また、メルトインデックス、密度およびコモノマーモル含量(全ポリマーに対して)はブロック化インターポリマーの10パーセント以内である。好ましくは、比較対象のインターポリマーのM/Mもまた、ブロック化インターポリマーの10パーセント以内である、かつ/または、比較対象のインターポリマーは、ブロック化インターポリマーの10重量パーセント以内の全コモノマー含量を有する。
【0051】
好ましくは、前記インターポリマーは、エチレンと少なくとも1種のα−オレフィンとのインターポリマー、特に、約0.855から約0.935g/cmのポリマー全体密度を有するインターポリマーであり、より特別には、約1モルパーセントを超えるコモノマーを有するポリマーでは、前記ブロック化インターポリマーは、量、(−0.1356)T+13.89以上、より好ましくは、量、(−0.1356)T+14.93以上、最も好ましくは、量、(−0.2013)T+21.07以上の、40と130℃の間で溶離するTREFフラクションのコモノマー含量を有し、ここで、Tは、比較されているTREFフラクションのATREFピーク溶離温度(℃で測られる)の数値である。
【0052】
好ましくは、エチレンと少なくとも1種のアルファ−オレフィンとの前記インターポリマー、特に、約0.855から約0.935g/cmのポリマー全体密度を有するインターポリマーでは、より特別には、約1モルパーセントを超えるコモノマーを有するポリマーでは、前記ブロック化インターポリマーは、量、(−0.2013)T+20.07以上、より好ましくは、量、(−0.2013)T+21.07以上の、40と130℃の間で溶離するTREFフラクションのコモノマー含量を有し、ここで、Tは、比較されているTREFフラクションのピーク溶離温度(℃で測られる)の数値である。
【0053】
さらに別の態様において、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマーであり、好ましくは、エチレンと1種または複数の共重合可能なコモノマーとを、重合した形で含み、化学的または物理的性質の異なる、2種以上の重合したモノマー単位の複数のブロックまたはセグメントによって特徴付けられ(ブロック化インターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーであり、このブロックインターポリマーは、TREF漸増を用いて分別した時に、40℃と130℃の間で溶離する分子フラクションを有し、少なくとも約6モルパーセントのコモノマー含量を有するどのフラクションもすべて、約100℃を超える融点を有することに特徴がある。約3モルパーセントから約6モルパーセントのコモノマー含量を有するフラクションでは、どのフラクションもすべて、約110℃以上のDSCによる融点を有する。より好ましくは、少なくとも1モルパーセントのコモノマーを有する該ポリマーフラクションは、式:
≧(−5.5926)(フラクション中のコモノマーのモルパーセント)+135.90
に対応するDSCによる融点を有する。
【0054】
さらに別の態様において、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマーであり、好ましくは、エチレンと1種または複数の共重合可能なコモノマーを重合した形で含み、化学的または物理的性質の異なる、2種以上の重合したモノマー単位の複数のブロックまたはセグメントによって特徴付けられ(ブロック化インターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーであり、このブロックインターポリマーは、TREF漸増を用いて分別した時に、40℃と130℃の間で溶離する分子フラクションを有し、約76℃以上のATREF溶離温度を有するどのフラクションもすべて、式:
融解熱(J/g)≦(3.1718)(ATREF溶離温度(℃))−135.58
に対応する、DSCによって求められる融解エンタルピー(融解熱)を有することに特徴がある。
【0055】
本発明のブロックインターポリマーは、TREF漸増を用いて分別した時に、40℃と130℃の間で溶離する分子フラクションを有し、40℃と約76℃未満との間のATREF溶離温度を有するどのフラクションもすべて、式:
融解熱(J/g)≦(1.1312)(ATREF溶離温度(℃))+22.97
に対応する、DSCによって求められる融解エンタルピー(融解熱)を有することに特徴がある。
【0056】
赤外検出器によるATREFピークコモノマー組成測定(ATREF Peak Comonomer Composition Measurement by Infra-Red Detector)
TREFピークのコモノマー組成は、Polymer Char(Valencia、スペイン、http://www.polymerchar.com/)から入手できるIR4赤外検出器を用いて求めることができる。
【0057】
検出器の「組成モード(composition mode)」には、2800〜3000cm−1の範囲の固定された狭い帯域の赤外フィルターである、測定センサー(CH)および組成センサー(CH)が装備されている。測定センサーは、ポリマー上のメチレン(CH)炭素(これは、溶液中のポリマー濃度に直接関係する)を検出し、他方、組成センサーは、ポリマーのメチル(CH)基を検出する。組成信号(CH)を測定信号(CH)で割った数学的比率は、溶液中の測定されるポリマーのコモノマー含量に敏感であり、その応答(response)は、既知のエチレンα−オレフィンコポリマー標準により較正される。
【0058】
ATREF装置と共に用いられる時、検出器は、TREF過程の間に溶離されるポリマーの濃度(CH)および組成(CH)の両方の信号応答(signal response)をもたらす。ポリマーに特異的な較正は、コモノマー含量が既知(好ましくは、NMRによって求められる)のポリマーについて、CHとCHの面積比を求めることによって、作り出すことができる。ポリマーのATREFピークのコモノマー含量は、個々のCHおよびCH応答に対する面積の比の基準較正(すなわち、CH/CHの面積比vs.コモノマー含量)を利用することによって見積もることができる。
【0059】
ピークの面積は、TREFクロマトグラムからの個々の信号応答を積分するために適切なベースラインを引いた後で、全幅/半値(FWHM)計算を用いて計算できる。全幅/半値での計算は、ATREF赤外検出器からのメチルとメチレンの応答面積の比[CH/CH]に基づき、ここで、最高(最も高さが高い)ピークが、ベースラインから特定され、次いで、FWHM面積が求められる。ATREFピークを用いて求められる分布では、FWHM面積は、TとTの間の曲線の下の面積として定義され、ここで、TおよびTは、ピーク高さを2で割り、次に、ベースラインに水平に、ATREF曲線の左および右の部分と交差する直線を引くことによって、ATREFピークの左および右に対して、決められる点である。
【0060】
このATREF赤外法においてポリマーのコモノマー含量を求めるための赤外分光の適用は、原理において、次の参考文献に記載されている、GPC/FTIR装置と同様である:Markovich,Ronald P.、Hazlitt,Lonnie G.、Smith,Linley、「エチレン系ポリオレフィンコポリマーの特性評価のためのゲル浸透クロマトグラフィー−フーリエ変換赤外分光の進歩(Development of gel−permeation chromatography−Fourier transform infrared spectroscopy for characterization of ethylene−based polyolefin copolymers)」、Polymeric Materials Science and Engineering(1991年)、65、98〜100頁;および、Deslauriers,P.J.、Rohlfing,D.C.、Shieh,E.T.、「サイズ排除クロマトグラフィーおよびフーリエ変換赤外分光(SEC−FTIR)を用いる、エチレン−1−オレフィンコポリマーにおける短鎖分岐ミクロ構造の定量化(Quantifying short chain branching microstructures in ethylene−1−olefin copolymers using size exclusion chromatography and Fourier transform infrared spectroscopy(SEC−FTIR))」、Polymer(2002年)、43、59〜170頁(これらのいずれも参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。
【0061】
別の実施形態において、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、ゼロより大きく、約1.0までの平均ブロックインデックス、ABI、および約1.3より大きい分子量分布,M/Mによって特徴付けられる。平均ブロックインデックス、ABIは、5℃ずつ昇温させる、20℃と110℃からの分取(preparative)TREFで得られるポリマーフラクションの各々についてのブロックインデックス(「BI」)の重量平均である。
【0062】
【数1】


ここで、BIは、分取TREFで得られる、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーのi番目のフラクションに対するブロックインデックスであり、wはi番目のフラクションの重量パーセントである。
【0063】
各ポリマーフラクションに対して、BIは、次の2つの式の1つによって定義される(これらの両方共、同じBI値を与える)。
【0064】
【数2】


ここで、Tは、i番目のフラクションに対する分取ATREF溶離温度(好ましくは、ケルビンで表される)であり、Pは、i番目のフラクションに対するエチレンのモル分率であり、これは、前記のようにNMRまたはIRによって求めることができる。PABは、エチレン/α−オレフィンインターポリマー全体(分別前)のエチレンモル分率であり、これもまたNMRまたはIRによって求めることができる。TおよびPは、純粋な「ハードセグメント」(これらは、インターポリマーの結晶性セグメントを表す)に対する、ATREF溶離温度およびエチレンモル分率である。1次近似として、TおよびPの値は、「ハードセグメント」に対する実際の値が入手できなければ、高密度ポリエチレンホモポリマーに対する値に設定される。本明細書において実施される計算では、Tは372°Kであり、Pは1である。
【0065】
ABは、PABのエチレンモル分率を有する、同じ組成のランダムコポリマーに対するATREF温度である。TABは、次の式から計算できる:
LnPAB=α/TAB+β
ここで、αおよびβは、かなりの数の既知のエチレンランダムコポリマーを用いる較正によって求めることができる2つの定数である。αおよびβは、装置に依存して変わり得ることが指摘されるべきである。さらに、関心のあるポリマーの組成を用いて、また前記フラクションと似た分子量範囲で、それらに特有の較正曲線を作り出す必要があるであろう。分子量の僅かな影響がある。較正曲線が類似の分子量範囲から得られた場合、このような影響は本質的に無視できるであろう。いくつかの実施形態において、エチレンランダムコポリマーは次の関係:
LnP=−237.83/TATREF+0.639
を満たす。
【0066】
XOは、Pのエチレンモル分率を有する、同じ組成のランダムコポリマーに対するATREF温度である。TXOは、LnP=α/TXO+βから計算できる。逆に、PXOは、TのATREF温度を有する、同じ組成のランダムコポリマーに対するエチレンモル分率であり、これは、LnPXO=α/T+βから計算できる。
【0067】
分取TREFの各フラクションに対するブロックインデックス(BI)が一旦得られると、全ポリマーに対する重量平均ブロックインデックス、ABIが計算できる。いくつかの実施形態において、ABIは、ゼロより大きいが約0.3未満、または約0.1から約0.3である。別の実施形態では、ABIは、約0.3より大きく約1.0までである。好ましくは、ABIは、約0.4から約0.7、約0.5から約0.7、または、約0.6から約0.9の範囲にあるべきである。いくつかの実施形態において、ABIは、約0.3から約0.9、約0.3から約0.8、または、約0.3から約0.7、約0.3から約0.6、約0.3から約0.5、あるいは、約0.3から0.4の範囲にある。別の実施形態では、ABIは、約0.4から約1.0、約0.5から約1.0、約0.6から約1.0、約0.7から約1.0、約0.8から約1.0、約0.9から約1.0の範囲にある。
【0068】
本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーの別の特性は、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーが、分取TREFによって得ることができる少なくとも1つのポリマーフラクションを含むことであり、ここで、このフラクションは、約0.1より大きく約1.0までのブロックインデックス、および約1.3を超える分子量分布、M/Mを有する。いくつかの実施形態において、ポリマーフラクションは、約0.6より大きく約1.0まで、約0.7より大きく約1.0まで、約0.8より大きく約1.0まで、または約0.9より大きく約1.0までのブロックインデックスを有する。別の実施形態では、ポリマーフラクションは、約0.1より大きく約1.0まで、約0.2より大きく約1.0まで、約0.3より大きく約1.0まで、約0.4より大きく約1.0まで、または約0.4より大きく約1.0までのブロックインデックスを有する。さらに別の実施形態では、ポリマーフラクションは、約0.1より大きく約0.5まで、約0.2より大きく約0.5まで、約0.3より大きく約0.5まで、または約0.4より大きく約0.5までのブロックインデックスを有する。さらに別の実施形態では、ポリマーフラクションは、約0.2より大きく約0.9まで、約0.3より大きく約0.8まで、約0.4より大きく約0.7まで、または約0.5より大きく約0.6までのブロックインデックスを有する。
【0069】
エチレンとα−オレフィンとのコポリマーでは、本発明のポリマーは、好ましくは、(1)少なくとも1.3、より好ましくは少なくとも1.5、少なくとも1.7、または少なくとも2.0、最も好ましくは少なくとも2.6で、5.0の最大値まで、より好ましくは3.5の最大値まで、特に2.7の最大値までのPDI;(2)80J/g以下の融解熱;(3)少なくとも50重量パーセントのエチレン含量;(4)−25℃未満、より好ましくは、−30℃未満のガラス転移温度、T;および/または(5)唯一のT;を有する。
【0070】
さらに、本発明のポリマーは、100℃で、log(G’)が400kPa以上、好ましくは1.0MPa以上であるような貯蔵弾性率、G’を、単独に、または本明細書に開示の他の任意の性質と組み合わせて、有し得る。さらに、本発明のポリマーは、0から100℃の範囲で、温度の関数として、比較的フラットな貯蔵弾性率(図6に例示される)を有し、これは、ブロックコポリマーの特性であり、オレフィンコポリマー、特にエチレンと1種または複数のC3〜8脂肪族α−オレフィンとのコポリマーではこれまでに知られていない。(ここでは、用語「比較的フラット」によって、logG’(パスカル)が、50と100℃の間、好ましくは0と100℃の間で、1桁未満の大きさだけ減少することを意味する。)
【0071】
本発明のインターポリマーは、少なくとも90℃の温度での1mmの熱機械分析進入深さ、さらには3kpsi(20MPa)から13kpsi(90MPa)の曲げ弾性率によって、さらに特徴付けられ得る。代わりに、本発明のインターポリマーは、少なくとも104℃の温度での1mmの熱機械分析進入深さ、さらには少なくとも3kpsi(20MPa)の曲げ弾性率を有し得る。それらは、90mm未満の耐摩耗性(または体積損失)を有するとして特徴付けられ得る。図7は、知られている他のポリマーと比較して、本発明のポリマーについて、TMA(1mm)vs.曲げ弾性率を示す。本発明のポリマーは、他のポリマーよりも、柔軟性−耐熱性のかなり良好なバランスを有する。
【0072】
さらに、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、0.01から2000g/10分、好ましくは0.01から1000g/10分、より好ましくは0.01から500g/10分、特に0.01から100g/10分のメルトインデックス、Iを有し得る。特定の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、0.01から10g/10分、0.5から50g/10分、1から30g/10分、1から6g/10分、または0.3から10g/10分のメルトインデックス、Iを有する。特定の実施形態において、エチレン/α−オレフィンポリマーのメルトインデックスは、1g/10分、3g/10分または5g/10分である。
【0073】
前記ポリマーは、1,000g/モルから5,000,000g/モル、好ましくは1,000g/モルから1,000,000g/モル、より好ましくは10,000g/モルから500,000g/モル、特に10,000g/モルから300,000g/モルの分子量、Mを有し得る。本発明のポリマーの密度は、0.80から0.99g/cm、エチレン含有ポリマーでは、好ましくは0.85g/cmから0.97g/cmであり得る。特定の実施形態において、エチレン/α−オレフィンポリマーの密度は、0.860から0.925g/cm、または0.867から0.910g/cmの範囲にある。
【0074】
ポリマーの製造方法は、次の特許出願:米国特許仮出願第60/553,906号(2004年3月17日出願);米国特許仮出願第60/662,937号(2005年3月17日出願);米国特許仮出願第60/662,939号(2005年3月17日出願);米国特許仮出願第60/662,938号(2005年3月17日出願);PCT出願PCT/US2005/008916(2005年3月17日出願);PCT出願PCT/US2005/008915(2005年3月17日出願);および、PCT出願PCT/US2005/008917(2005年3月17日出願)に開示されており、これらのすべては、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。例えば、このような1つの方法は、付加重合条件下に、エチレンと、エチレン以外の任意選択で1つまたは複数の付加重合可能なモノマーとを、

(A)大きなコモノマー取り込み指数(incorporation index)を有する第1オレフィン重合触媒、

(B)触媒(A)のコモノマー取り込み指数の90パーセント未満、より好ましくは50パーセント未満、最も好ましくは5パーセント未満のコモノマー取り込み指数を有する第2オレフィン重合触媒、および

(C)可逆的連鎖移動剤(chain shuttling agent)

を一緒にすることにより得られる混合物または反応生成物を含む触媒組成物に接触させることを含む。
【0075】
代表的な触媒および可逆的連鎖移動剤は次の通りである。
【0076】
触媒(A1)は、[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルであり、WO03/40195、2003US0204017、USSN10/429,024(2003年5月2日出願)、およびWO04/24740の教示に従って調製される。
【0077】
【化1】

【0078】
触媒(A2)は、[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−メチルフェニル)(1,2−フェニレン−(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルであり、WO03/40195、2003US0204017、USSN10/429,024(2003年5月2日出願)、およびWO04/24740の教示に従って調製される。
【0079】
【化2】

【0080】
触媒(A3)は、ビス[N,N”’−(2,4,6−トリ(メチルフェニル)アミド)エチレンジアミン]ハフニウムジベンジルである。
【0081】
【化3】

【0082】
触媒(A4)は、ビス((2−オキソイル−3−(ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル)−5−(メチル)フェニル)−2−フェノキシメチル)シクロヘキサン−1,2−ジイルジルコニウム(IV)ジベンジルであり、US−A−2004/0010103の教示に実質的に従って調製される。
【0083】
【化4】

【0084】
触媒(B1)は、1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(1−メチルエチル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルである。
【0085】
【化5】

【0086】
触媒(B2)は、1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(2−メチルシクロヘキシル)−イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルである。
【0087】
【化6】

【0088】
触媒(C1)は、(t−ブチルアミド)ジメチル(3−N−ピロリル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタニウムジメチルであり、米国特許第6,268,444号の技法に実質的に従って調製される。
【0089】
【化7】

【0090】
触媒(C2)は、(t−ブチルアミド)ジ(4−メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタニウムジメチルであり、US−A−2003/004286の教示に実質的に従って調製される。
【0091】
【化8】

【0092】
触媒(C3)は、(t−ブチルアミド)ジ(4−メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,8a−η−s−インダセン−1−イル)シランチタニウムジメチルであり、US−A−2003/004286の教示に実質的に従って調製される。
【0093】
【化9】

【0094】
触媒(D1)は、ビス(ジメチルジシロキサン)(インデン−1−イル)ジルコニウムジクロリドであり、Sigma−Aldrichから入手可能である。
【0095】
【化10】

【0096】
可逆的移動剤(Shuttling Agents)
用いられる可逆的移動剤には、ジエチル亜鉛、ジ(i−ブチル)亜鉛、ジ(n−ヘキシル)亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリエチルガリウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)、ビス(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(n−ペンチル)アミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)、エチルアルミニウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)、エチルアルミニウムジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタネアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタネアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)、およびエチル亜鉛(t−ブトキシド)が含まれる。
【0097】
好ましくは、前記プロセスは、2種以上のモノマーの、より特別には、エチレンとC3〜20オレフィンまたはシクロオレフィンとの、最も特別には、エチレンとC4〜20α−オレフィンとのブロックコポリマーを、特にマルチブロックコポリマーを、好ましくは、線状マルチブロックコポリマーを生成させるために、相互変換できない複数の触媒を用いる、連続溶液プロセスの形をとる。すなわち、複数の触媒は化学的に異なる。連続溶液重合条件の下で、前記プロセスは、高いモノマー転化(high monomer conversions)での、モノマー混合物の重合に申し分なく適している。これらの重合条件の下で、可逆的連鎖移動剤から触媒への可逆移動は、鎖の成長に比べて優勢になり、マルチブロックコポリマー、特に線状マルチブロックコポリマーが高い効率で生成される。
【0098】
本発明のインターポリマーは、従来のランダムコポリマー、ポリマーの物理的ブレンドとは、またモノマーの逐次添加、フラクショナル(fluxional)触媒、アニオンまたはカチオンリビング重合法を通じて調製されるブロックコポリマーとは異なり得る。特に、同等の結晶性または弾性率で、同じモノマーおよびモノマー含量のランダムコポリマーに比べて、本発明のインターポリマーは、融点によって評価した時により良好な(より高温での)耐熱性、より高いTMA進入温度、より大きな高温引張り強さ、および/または動的機械分析によって求めた時により大きな高温捩り貯蔵弾性率を有する。同じモノマーおよびモノマー含量を含むランダムコポリマーに比べると、本発明のインターポリマーは、より小さい圧縮永久歪(compression set)(特に高温での)、より小さい応力緩和(stress relaxation)、より高い耐クリープ性、より大きな引裂き強さ、より高い耐ブロッキング性、より高い結晶化温度(固化)温度に帰因するより速いセットアップ(setup)、より大きな回復(特に高温で)、より良好な耐摩耗性、より大きな復元力(retractive force)、およびより良好なオイルおよびフィラー受容性を有する。
【0099】
本発明のインターポリマーはまた、特有の結晶化および分枝分布関係も示す。すなわち、本発明のインターポリマーは、特に、同じモノマーおよびモノマーレベルを含むランダムコポリマー、または同等の全体密度でのポリマーの物理的ブレンド(例えば、高密度ポリマーと低密度コポリマーとのブレンド)に比べると、融解熱の関数として、CRYSTAFおよびDSCを用いて測定される最高のピーク温度の間の比較的大きな差を有する。本発明のインターポリマーのこの特有の特徴は、ポリマー骨格内のブロックにおけるコモノマーの特有の分布に帰因すると考えられる。特に、本発明のインターポリマーは、異なるコモノマー含量(ホモポリマーブロックを含めて)の交互ブロック(alternating blocks)を含み得る。本発明のインターポリマーは、また、異なる密度またはコモノマー含量のポリマーブロックの数および/またはブロックサイズの分布を備え得るが、これは、シュルツ−フローリー型の分布である。さらに、本発明のインターポリマーは、また、ポリマーの密度、弾性率およびモルフォロジーとは実質的に無関係である、特有のピーク融点および結晶化温度プロフィールも有する。好ましい実施形態において、ポリマーの微結晶秩序構造は、1.7未満、またはさらに1.5未満で、下は1.3未満に至るまでのPDI値においてでさえ、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーとは区別できる、特徴的な球晶(spherulites)およびラメラ(lamellae)を示す。
【0100】
さらに、本発明のインターポリマーは、ブロッキネス(blockiness)の度合いまたはレベルに影響を及ぼす技法を用いて調製され得る。すなわち、コモノマーの量、およびポリマーのブロックまたはセグメントの各々の長さは、触媒および可逆的移動剤の比およびタイプ、さらには重合の温度および他の重合変数を制御することによって変えることができる。この現象の驚くべき利点は、ブロッキネスの度合いが増すにつれて、得られるポリマーの光学的性質、引裂き強さおよび高温回復特性が改善されるという発見である。特に、ヘイズ(haze)は減少し、他方、透明度、引裂き強さおよび高温回復特性は、ポリマーにおけるブロックの平均数が増大するにつれて向上する。所望の連鎖移動能力を有する可逆的移動剤および触媒の組合せ(高い可逆的移動速度と低レベルの連鎖停止)を選択することによって、ポリマーの停止の他の形は効果的に抑制される。したがって、β−水素化物脱離は、本発明の実施形態によるエチレン/α−オレフィンコモノマー混合物の重合では、あったとしてもほとんど観察されず、得られる結晶性ブロックは高度に、または実質的に完全に、線状であり、長鎖分枝をほとんどまたはまったく有さない。
【0101】
高結晶性の鎖末端を有するポリマーは、本発明の実施形態に従って選択的に調製できる。エラストマー用途において、アモルファスブロックを末端に有するポリマーの相対量を減少させると、結晶性領域への分子間希釈効果(intermolecular dilutive effect)が減少する。この結果は、水素または他の連鎖停止剤に対して適切な応答を有する可逆的連鎖移動剤および触媒を選択することによって得ることができる。詳細には、高結晶性ポリマーを生成する触媒が、結晶性のより低いポリマーセグメントの生成(例えば、より多くのコモノマーの組入れ、レジオ−エラー(regio-error)、またはアタクチックポリマーの生成によって)を担う触媒よりも、連鎖停止(例えば、水素の使用によって)を受けやすい場合には、高結晶性ポリマーセグメントが、ポリマーの末端部分を優先的に占める。得られる末端基が結晶性であるだけでなく、停止により、高結晶性ポリマー生成触媒部位は、ポリマー生成を再開始するために再度利用可能である。その結果として、最初に生成されるポリマーは、別の高結晶性ポリマーのセグメントである。したがって、得られるマルチブロックコポリマーの両方の末端が優先的に高結晶性である。
【0102】
本発明の実施形態で用いられるエチレンα−オレフィンインターポリマーは、好ましくは、エチレンと少なくとも1種のC〜C20α−オレフィンとのインターポリマーである。エチレンと1種のC〜C20α−オレフィンとのコポリマーが特に好ましい。このインターポリマーは、C〜C18ジオレフィンおよび/またはアルケニルベンゼンをさらに含み得る。エチレンとの重合に有用な適切な不飽和コモノマーには、例えば、エチレン性不飽和モノマー、共役または非共役ジエン、ポリエン、アルケニルベンゼンなどが含まれる。このようなコモノマーの例には、C〜C20α−オレフィン、例えば、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどが含まれる。1−ブテンおよび1−オクテンが特に好ましい。他の適切なモノマーには、スチレン、ハロ−またはアルキル−置換スチレン、ビニルベンゾシクロブタン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、およびナフテン類(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセンおよびシクロオクテン)が含まれる。
【0103】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは好ましいポリマーであるが、他のエチレン/オレフィンポリマーもまた用いられ得る。本明細書において用いられるオレフィンは、少なくとも1つの炭素−炭素2重結合を有する不飽和の炭化水素系化合物を表す。触媒の選択に応じて、何らかのオレフィンが、本発明の実施形態において用いられ得る。好ましくは、適切なオレフィンは、ビニル不飽和を含むC〜C20脂肪族および芳香族化合物、さらには環式化合物、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、およびノルボルネン(これらに限らないが、C〜C20ヒドロカルビル基またはシクロヒドロカルビル基により5および6位で置換されたノルボルネンが含まれる)である。やはり含まれるのは、このようなオレフィンの混合物、さらにはこのようなオレフィンとC〜C40ジオレフィン化合物との混合物である。
【0104】
オレフィンモノマーの例には、これらに限らないが、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、および1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン、4−ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、シクロオクテン、C〜C40ジエン(これらに限らないが、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンが含まれる)、他のC〜C40α−オレフィンなどが含まれる。特定の実施形態において、α−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンまたはこれらの組合せである。ビニル基を含むどのような炭化水素も、可能性として、本発明の実施形態において用いられ得るが、実際的な問題、例えば、モノマーが入手できるかどうか、コスト、および得られたポリマーから未反応モノマーを都合よく除去できるかどうかが、モノマーの分子量が余りに大きくなると、一層問題になり得る。
【0105】
本明細書に記載の重合プロセスは、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレンなどを含めて、モノビニリデン芳香族モノマーを含むオレフィンポリマーの製造に十分適している。特に、エチレンおよびスチレンを含むインターポリマーは、本明細書の教示に従うことによって調製できる。任意選択で、エチレン、スチレンおよびC〜C20αオレフィンを含み、C〜C20ジエンを任意選択で含み、改善された性質を有するコポリマーが調製され得る。
【0106】
適切な非共役ジエンモノマーは、6から15個の炭素原子を有する、直鎖、分枝鎖または環式炭化水素ジエンであり得る。適切な非共役ジエンの例には、これらに限らないが、直鎖非環式ジエン、例えば、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、分枝鎖非環式ジエン、例えば、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、およびジヒドロミリセン(dihydromyricene)とジヒドロオシネン(dihydroocinene)の混合異性体、単環脂環式ジエン、例えば、1,3−シクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエンおよび1,5−シクロドデカジエン、ならびに多環脂環式縮合および架橋環ジエン、例えば、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエン;アルケニルノルボルネン、アルキリデンノルボルネン、シクロアルケニルノルボルネンおよびシクロアルキリデンノルボルネン(例えば、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネンおよびノルボルナジエン)が含まれる。EPDMを調製するために通常用いられるジエンの中で、特に好ましいジエンは、1,4−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、およびジシクロペンタジエン(DCPD)である。特に好ましいジエンは、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)および1,4−ヘキサジエン(HD)である。
【0107】
本発明の実施形態に従って製造され得る望ましいポリマーの1つの部類は、エチレン、C〜C20α−オレフィン(特にプロピレン)、および任意選択の1種または複数のジエンモノマーのエラストマーインターポリマーである。本発明のこの実施形態で用いられる好ましいα−オレフィンは、式、CH=CHRによって示され、ここで、Rは、1〜12個の炭素原子の線状または分枝状アルキル基である。適切なα−オレフィンの例には、これらに限らないが、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテンが含まれる。特に好ましいα−オレフィンはプロピレンである。プロピレンに基づくポリマーは、通常、当技術分野において、EPまたはEPDMポリマーと呼ばれる。このようなポリマー、特にマルチブロックのEPDMタイプポリマーを調製するのに使用される適切なジエンには、4〜20個の炭素を含む、共役または非共役で直鎖または分枝鎖の環式または多環式ジエンが挙げられる。好ましいジエンには、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、および5−ブチリデン−2−ノルボルネンが含まれる。特に好ましいジエンは、5−エチリデン−2−ノルボルネンである。
【0108】
ジエン含有ポリマーは、より多くのまたはより少ない量のジエン(含まないものを含めて)およびα−オレフィン(含まないものを含めて)を含む、交互のセグメントまたはブロックを含むので、ジエンおよびα−オレフィンの全量は、その後のポリマーの性質を失うことなく減らされ得る。すなわち、ジエンおよびα−オレフィンモノマーは、ポリマー全体にわたって均一にまたはランダムに組み入れられるよりはむしろ、ポリマーの1つのタイプのブロックに優先的に組み入れられるので、それらは、より効率的に利用され、次いで、このポリマーの架橋密度は一層良好に制御され得る。このような架橋可能なエラストマーおよび硬化した生成物は、より大きな引張り強さおよびより良好な弾性回復を含めて、利点のある性質を有する。
【0109】
いくつかの実施形態において、異なる量のコモノマーを組み入れる2種の触媒により製造される本発明のインターポリマーは、95:5から5:95の、それらによって生成されるブロックの重量比を有する。エラストマーポリマーは、望ましくは、ポリマーの全重量に対して、20から90パーセントのエチレン含量、0.1から10パーセントのジエン含量、および10から80パーセントのα−オレフィン含量を有する。さらに好ましくは、マルチブロックエラストマーポリマーは、ポリマーの全重量に対して、60から90パーセントのエチレン含量、0.1から10パーセントのジエン含量、および10から40パーセントのα−オレフィン含量を有する。好ましいポリマーは、高分子量ポリマーであり、10,000から約2,500,000、好ましくは、20,000から500,000、より好ましくは、20,000から350,000の平均分子量(M)、3.5未満、より好ましくは3.0未満の多分散性、および1から250のムーニー粘度(ML(1+4)125℃)を有する。より好ましくは、このようなポリマーは、65から75パーセントのエチレン含量、0から6パーセントのジエン含量、および20から35パーセントのα−オレフィン含量を有する。
【0110】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、そのポリマー構造中に少なくとも1種の官能基を組み入れることによって、官能化され得る。例示的な官能基には、例えば、エチレン性不飽和1官能性および2官能性カルボン酸、エチレン性不飽和1官能性および2官能性カルボン酸無水物、それらの塩およびそれらのエステルが含まれ得る。このような官能基は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーにグラフトされ得る、または、それは、エチレンおよび任意選択のさらなるコモノマーと共重合されて、エチレン、官能性コモノマーおよび任意選択の他の(1種または複数の)コモノマーのインターポリマーを生成し得る。ポリエチレンに官能基をグラフトするための手段は、例えば、米国特許第4,762,890号、米国特許第4,927,888号、および米国特許第4,950,541号に記載されており、これらの特許の開示は、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。特に有用な官能基の1つは、リンゴ酸無水物である。
【0111】
官能性インターポリマーに存在する官能基の量は、変わり得る。官能基は通常、コポリマータイプ官能化インターポリマー中に、少なくとも約1.0重量パーセント、好ましくは少なくとも約5重量パーセント、より好ましくは少なくとも約7重量パーセントの量で存在し得る。官能基は通常、コポリマータイプ官能化インターポリマー中に、約40重量パーセント未満、好ましくは約30重量パーセント未満、より好ましくは約25重量パーセント未満の量で存在するであろう。
【実施例】
【0112】
試験法(Testing Methods)
以下の実施例において、次の分析法を用いる。
【0113】
試料1〜4およびA〜Cに対するGPC法(GPC Method for Samples 1-4 and A-C)
160℃に設定し加熱した針を装備する自動化液体処理ロボットを用いて、各々の乾燥ポリマー試料に、30mg/mLの最終濃度が得られるように、十分な1,2,4−トリクロロベンゼン(300ppmのイオノール(Ionol)により安定化した)を加える。小さいガラス攪拌棒を各チューブに入れ、試料を、250rpmで回転する加熱したオービタルシェーカーで、160℃で2時間加熱する。次いで、濃厚ポリマー溶液を、自動化液体処理ロボットおよび160℃に設定し加熱した針を用い、1mg/mlに希釈する。
【0114】
Symyx Rapid GPC装置を用いて、各試料について分子量データを求める。直列に配置し160℃に加熱した3つのPlgel 10マイクロメーター(μm)Mixed B 300mm×7.5mmカラムを通して、ヘリウムでパージした1,2−ジクロロベンゼン(300ppmのイオノールにより安定化した)を、移動相として、2.0ml/分の流量に設定したGilson 350ポンプを用いて送る。エバポレーターを250℃に設定し、ネブライザーを165℃に設定し、また60〜80psi(400〜600kPa)のNの圧力で窒素流量を1.8SLMに設定して、Polymer Labs ELS 1000検出器を用いる。ポリマー試料を160℃に加熱し、各試料を、液体処理ロボットおよび加熱した針を用い、250μlのループに注入する。2つの切替えループおよび重複注入を用いるポリマー試料の逐次分析を用いる。試料のデータを収集し、Symyx Epoch(商標)ソフトウェアを用いて解析する。ピークは人間が積分し、報告する分子量の情報は、ポリスチレン標準による較正曲線に対して補正されていない。
【0115】
標準CRYSTAF法(Standard CRYSTAF Method)
分枝分布は、PolymerChar(Valencia、スペイン)から市販されているCRYSTAF 200装置を用い、結晶化分析分別(CRYSTAF)によって求める。試料は、160℃、1時間で、1,2,4トリクロロベンゼンに溶かし(0.66mg/mL)、95℃で45分間安定化させる。サンプリング温度は、0.2℃/分の冷却速度で、95から30℃の範囲である。赤外検出器を用いて、ポリマー溶液の濃度を測定する。累積可溶物濃度を、温度が下がっている間にポリマーが結晶化するにつれて測定する。累積プロフィールの解析的導関数は、ポリマーの短鎖分枝分布を反映する。
【0116】
CRYSTAFのピーク温度および面積は、CRYSTAFソフトウェア(Version 2001.b、PolymerChar(Valencia、スペイン))に含まれるピーク解析モジュールによって特定される。CRYSTAFピーク決定ルーチンは、dW/dT曲線の最大値としてピーク温度を、また微分曲線において特定されたピークの両側の正の最大変曲点の間の面積を特定する。CRYSTAF曲線を計算するために、好ましい処理パラメーターは、70℃の温度限界を用い、その温度限界より上では0.1の、またその温度限界より下では0.3の平滑化(smoothing)パラメーターを用いる。
【0117】
DSC標準法(DSC Standard Method)(試料1〜4およびA〜Cを除く)
示差走査熱量測定の結果は、RCS冷却用付属品およびオートサンプラーを装備した、TAIモデルQ1000 DSCを用いて求める。50ml/分の窒素パージガス流を用いる。試料は、プレスして薄いフォルムにし、約175℃のプレスで溶融させ、次いで室温(25℃)まで空冷する。次に、3〜10mgの材料を直径6mmのディスクに切断し、正確に秤量し、軽いアルミパン(約50mg)に入れ、次いでクリンプして閉じる。試料の熱的挙動を、次の温度プロフィールを用いて調べる。以前のいかなる熱履歴も取り去るために、試料を180℃まで急速に加熱し、3分間、等しい温度に保つ。次いで、試料を10℃/分の冷却速度で−40℃まで冷却し、−40℃で3分間保つ。次に、試料を10℃/分の昇温速度で150℃まで加熱する。冷却および2回目の加熱曲線を記録する。
【0118】
DSC融解ピークは、−30℃と融解の終点との間に引いた直線のベースラインに対して、熱流量(W/g)の最大として求める。融解熱は、直線のベースラインを用いて、−30℃と融解終点との間の融解曲線の下の面積として求める。
【0119】
GPC法(GPC Method)(試料1〜4およびA〜Cを除く)
ゲル浸透クロマトグラフィー装置は、Polymer Laboratories Model PL−210またはPolymer Laboratories Model PL−220のいずれかの装置からなる。カラムおよびカルーセルの隔室は140℃で運転される。Polymer Laboratoriesの3つの10ミクロンMixed−Bカラムを用いる。溶媒は、1,2,4トリクロロベンゼンである。試料は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含む50ミリリットルの溶媒中に0.1グラムのポリマーという濃度で調製する。試料は、160℃で2時間、軽く攪拌することによって調製する。用いた注入容積は、100マイクロリットルであり、流量は1.0ml/分である。
【0120】
GPCカラムセットの較正は、580から8,400,000の範囲の分子量を有する、分子量分布の狭い21個のポリスチレン標準を用い、個々の分子量の間に少なくとも1桁の隔たりを有する、6つの「カクテル(cocktail)」混合物を前もって準備し、実施する。これらの標準は、Polymer Laboratories(Shropshire、英国)から購入する。ポリスチレン標準は、分子量1,000,000以上では、50ミリリットルの溶媒中に0.025グラムで、また分子量1,000,000未満では、50ミリリットルの溶媒中に0.05グラムで調製する。ポリスチレン標準は、80℃で、穏やかに攪拌しながら30分間で溶かす。狭い標準の混合物を最初に、そして最大分子量の成分の分解を最小にするために、分子量が減少する順序で流す。ポリスチレン標準のピーク分子量は、次の式:Mポリエチレン=0.431(Mポリスチレン)を用いてポリエチレンの分子量に変換する(WilliamsおよびWard、J.Polym.Sci.、Polym.Let.、6、621頁(1968年)に記載されている)。
【0121】
ポリエチレンの対応分子量の計算は、Viscotek TriSECソフトウェア(Version 3.0)を用いて実施する。
【0122】
圧縮永久歪(Compression Set)
圧縮永久歪は、ASTM D 395に従って測定する。試料は、全厚が12.7mmに達するまで、3.2mm、2.0mmおよび0.25mmの厚さの直径25.4mmの丸いディスクを積み重ねることによって準備する。ディスクは、次の条件:190℃で3分間、圧力ゼロ、その後、190℃で2分間、86MPa、その後、86MPaで、冷水を流しながらプレス内で冷却の下で、ホットプレスにより成形した12.7cm×12.7cmの圧縮成形板から切り出す。
【0123】
密度(Density)
密度測定のための試料は、ASTM D 1928に従って準備する。測定は、ASTM D792、方法Bを用い、試料プレスから1時間以内に行う。
【0124】
曲げ/割線弾性率/貯蔵弾性率(Flexural/Secant Modulus/Storage Modulus)
試料は、ASTM D 1928を用い、圧縮成形する。曲げ弾性率および2%割線弾性率は、ASTM D−790に従って測定する。貯蔵弾性率はASTM D 5026−01または同等の技法に従って測定する。
【0125】
光学的性質(Optical properties)
0.4mmの厚さのフィルムを、ホットプレス(Carver Model #4095−4PR1001R)を用いて圧縮成形する。ペレットを、ポリテトラフルオロエチレンシートの間に置き、55psi(380kPa)で、190℃で3分間、その後、1.3MPaで3分間、次いで、2.6MPaで3分間加熱する。次に、そのフィルムを、1.3MPaで、冷水を流しながらプレス内で1分間冷却する。圧縮成形フィルムは、光学測定、引張り挙動、回復および応力緩和で用いる。
【0126】
透明度は、ASTM D 1746に指定されるように、BYK Gardner Haze−gardを用いて測定する。
【0127】
45°グロス(gloss)は、ASTM D−2457に指定されるように、BYK Gardner Glossmeter Microgloss 45°を用いて測定する。
【0128】
内部ヘイズ(internal haze)は、ASTM D 1003の手順Aに基づいて、BYK Gardner Haze−gardを用いて測定する。表面の引掻き傷を除くために、フィルム表面に鉱油を付ける。
【0129】
機械的性質−引張り、ヒステリシス、および引裂き(Mechanical Properties - Tensile, Hysteresis, and Tear)
1軸伸張(uniaxial tension)での応力−歪の挙動を、ASTM D 1708微小引張り試験片(microtensile specimen)を用いて測定する。試料は、21℃、500%分−1で、Instronにより引っ張る。引張り強さおよび破断伸びは、5つの試験片を平均して報告される。
【0130】
100%および300%ヒステリシスは、Instron(商標)装置で、ASTM D 1708微小引張り試験片を用い、100%および300%歪までのサイクル荷重から求める。試料に、21℃で、3サイクル、267%分−1で荷重をかけ、荷重を除く。300%および80℃でのサイクル実験は、環境チャンバを用いて実施する。80℃の実験では、試料は、試験前に試験温度で45分間、放置して平衡状態にする。21℃、300%歪のサイクル実験では、荷重を除いた1回目のサイクルから、150%歪での復元応力を記録する。すべての実験での回復パーセントは、荷重を除いた1回目のサイクルから、荷重がベースラインに復帰した時の歪を用いて計算する。回復パーセントは次のように定義される。
【0131】
【数3】


ここで、εは、サイクル荷重で発生した歪であり、εは、荷重を除いた1回目のサイクルの間に荷重がベースラインに復帰した時の歪である。
【0132】
応力緩和は、環境チャンバを装備したInstron(商標)装置を用い、50%の歪で、37℃で12時間測定する。規格形状は、76mm×25mm×0.4mmであった。環境チャンバ内で45分間、37℃で平衡状態にした後、試料を、333%分−1で50%歪まで引っ張った。応力は、時間の関数として12時間記録した。12時間後の応力緩和パーセントは、次の式を用いて計算した。
【0133】
【数4】


ここで、Lは、時間0での50%歪の荷重であり、L12は、12時間後の50%歪の荷重である。
【0134】
ノッチ付き引張り引裂き実験は、Instron(商標)装置を用い、0.88g/cc以下の密度を有する試料で行う。形状は、76mm×13mm×0.4mmの規格寸法片からなり、試験片の長さの半分の位置に2mmのノッチが試料に切り込まれている。試料は、それが破断するまで、21℃で、508mm/分で引っ張る。引裂きエネルギーは、最大荷重での歪までの、応力−伸び曲線の下の面積として計算する。少なくとも3つの試験片の平均を報告する。
【0135】
TMA
熱機械的分析(進入温度)は、直径30mm×厚さ3.3mmの圧縮成形ディスク(180℃、10MPaの成形圧力で、5分間で形成し、次いで、空気で急冷した)で実施する。用いた装置は、Perkin−Elmerから入手可能な機種のTMA 7である。試験では、半径1.5mmの先端を有するプローブ(P/N N519−0416)を、1Nの力で、試料ディスクの表面に当てる。温度は、25℃から5℃/分で上げる。プローブ進入距離を、温度の関数として測定する。実験は、プローブが試料に1mm進入した時、終わる。
【0136】
DMA
動的機械分析(DMA)は、圧縮成形ディスク(180℃で、10MPaの圧力で5分間、ホットプレスで成形し、次いで、プレス内で、90℃/分で水冷した)で測定する。試験は、捩り試験のためのデュアルカンチレバー固定具を装備した、ARES制御歪レオメーター(TA instruments)を用いて実施する。
【0137】
1.5mmの板をプレス成型し、32×12mmの寸法のバー(bar)に切断する。その試料を、10mm(グリップ間隔ΔL)だけ離れた固定具の間に、両端で固定し、−100℃から200℃の逐次昇温ステップ(1ステップ当たり5℃)の下におく。各温度で、捩り弾性率G’を、10rad/sの角振動数で測定し、その歪振幅は、トルクが十分であること、および測定が線形域に留まることを保証するために、0.1パーセントと4パーセントの間に保たれる。
【0138】
熱膨張が起こった時の試料の緩みを防ぐために、初期の10gの静的力(static force)を維持する(自動張力モード)。結果的に、グリップ間隔ΔLは、温度とともに、特に、ポリマー試料の融点または軟化点より上で、増大する。試験は、最大温度か、または固定具の間の隙間が65mmに達した時に終わる。
【0139】
メルトインデックス(Melt Index)
メルトインデックス、またはIは、ASTM D 1238、190℃/2.16kgの条件に従って測定する。メルトインデックス、またはI10はまた、ASTM D1238、190℃/10kgの条件に従って測定する。
【0140】
ATREF
分析的昇温溶離分別(analytical temperature rising elution fractionation、ATREF)分析を、米国特許第4,798,081号、および、Wilde,L.、Ryle,T.R.、Knobeloch,D.C.、Peat,I.R.、「ポリエチレンおよびポリエチレンコポリマーの分岐分布の決定(Determination of Branching Distributions in Polyethylene and Ethylene Copolymers)」、J.Polym.Sci.、20、441〜455頁(1982年)(これらは、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載の方法に従って実施する。分析される組成物を、トリクロロベンゼンに溶かし、0.1℃/分の冷却速度で20℃までゆっくり温度を下げることによって、不活性支持体(ステンレス鋼ショット(shot))を含むカラム中で結晶化させる。カラムには、赤外線検出器が装備されている。次いで、1.5℃/分の速度で20から120℃まで溶離溶媒(トリクロロベンゼン)の温度をゆっくり上昇させることにより、結晶化したポリマー試料をカラムから溶離させることによって、ATREFのクロマトグラム曲線を作成する。
【0141】
13C NMR分析(13C NMR Analysis)
試料は、10mmのNMRチューブ中で、0.4gの試料に、テトラクロロエタン−d/オルトジクロロベンゼンの50/50の混合物を約3g添加することによって調製する。チューブおよびその内容物を150℃に加熱することによって、試料を溶かし、均質化する。100.5MHzの13Cの共鳴周波数に対応して、JEOL Eclipse(商標)400MHz分光計、またはVarian Unity Plus(商標)400MHz分光計を用い、データを収集する。データは、6秒のパルス繰返し遅延で、1データファイル当たり4000の過渡減衰を用いて得る。定量分析では最低限のシグナル対ノイズを実現するために、複数のデータファイルを合算する。スペクトル幅は25,000Hzであり、最小のファイルサイズは32Kのデータポイントである。試料は、10mmの広帯域プローブ中、130℃で分析する。コモノマーの組入れは、参照によってその全体を本明細書に組み込む、Randallのトライアッド法(Randall,J.C.、JMS−Rev.Macromol.Chem.Phys.、C29、201〜317頁(1989年)を用いて求める。
【0142】
TREFによるポリマーの分別(Polymer Fractionation by TREF)
大規模なTREF分別は、2リットルの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)に15〜20gのポリマーを、160℃で4時間攪拌することにより溶解することによって実施する。ポリマー溶液は、30〜40メッシュ(600〜425μm)で球状の工業用品質ガラスビーズ(Potters Industries(HC30 Box 20、Brownwood、テキサス州、76801)から入手可能)、および直径0.028インチ(0.7mm)のステンレス鋼カットワイアショット(Pellets,Inc.(63 Industrial Drive、North Tonawanda、ニューヨーク州、14120)から入手可能)の60:40(v:v)の混合物を充填した、3インチ×4フィート(7.6cm×12cm)のスチールカラムに、15psig(100kPa)の窒素によって押し込む。このカラムを、最初160℃に設定した、温度制御オイルジャケットに浸す。最初にカラムを125℃に一挙に冷却し、次いで、1分間当たり0.04℃で20℃までゆっくり冷却し、1時間保持する。1分間当たり0.167℃で温度を上昇させながら、新鮮なTCBを約65ml/分で導入する。
【0143】
分取TREFカラムから各約2000mlの溶離液を、16ステーションの加熱されたフラクションコレクターに捕集する。ロータリーエバポレーターを用い、各フラクションにおいて、約50から100mlのポリマー溶液が残るまで、ポリマーを濃縮する。濃縮した溶液を、一夜静置して、その後、過剰のメタノールを加え、濾過し、洗う(最終の洗いを含めて、約300〜500mlのメタノール)。濾過ステップを、5.0μmのポリテトラフルオロエチレンコーティング濾紙(Osmonics Inc.から入手可能、カタログ番号Z50WP04750)を用い、3ポジション真空支援濾過ステーションで実施する。濾過したフラクションは、真空オーブン中、60℃で一夜乾燥し、さらなる試験の前に化学天秤で秤量する。
【0144】
溶融強度(Melt Strength)
溶融強度(MS)は、約45度の入口角を有する、直径2.1mmで20:1のダイを取り付けたキャピラリーレオメーターを用いることによって測定する。190℃、10分間で、試料を平衡状態にした後、ピストンを1インチ/分(2.54cm/分)の速度で動かす。標準試験温度は190℃である。試料は、ダイの下100mmに位置する1組の加速ニップまで、2.4mm/secの加速度で1軸延伸される。必要とされる引張り力を、ニップロールの引き取り速度の関数として記録する。試験の間に到達する最大の引張り力が、溶融強度と定義される。ドローレゾナンス(draw resonance)を示すポリマー溶融物の場合には、ドローレゾナンスの発生の前の引張り力を溶融強度とした。溶融強度は、センチニュートン(「cN」)で記録される。
【0145】
触媒(Catalysts)
用語「一夜(overnight)」は、用いられる場合、約16〜18時間の時間を表し、用語「室温」は、20〜25℃の温度を表し、用語「混合アルカン」は、ExxonMobil Chemical Companyから、Isopar E(登録商標)という商品名で入手可能な、市販のC6−9脂肪族炭化水素の混合物を表す。本明細書における化合物の名称が、その構造の表示に一致しない場合には、構造の表示が優先される。すべての金属錯体の合成およびすべてのスクリーニング実験の準備は、ドライボックス技法を用い、乾燥窒素雰囲気内で実施した。用いたすべての溶媒は、HPLC等級であり、それらを用いる前に乾燥した。
【0146】
MMAOは、Akzo−Noble Corporationから市販されている、修飾メチルアルモキサン(modified methylalumoxane)である、トリイソブチルアルミニウム修飾メチルアルモキサンを表す。
【0147】
触媒(B1)の調製を以下の通り実施する。
【0148】
a)(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)メチルイミンの調製

3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド(3.00g)を、10mLのイソプロピルアミンに加える。溶液は急速に明るい黄色に変わる。雰囲気温度での3時間の攪拌後、揮発性物質を真空下に除去して、明るい黄色の結晶性固体を得る(収率97パーセント)。
【0149】
b)1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(1−メチルエチル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルの調製

(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(605mg、2.2mmol)のトルエン(5mL)溶液を、Zr(CHPh)(500mg、1.1mmol)のトルエン(50mL)溶液にゆっくりと加える。得られる暗黄色の溶液を30分間攪拌する。溶媒を減圧下に除去して、所望の生成物を、赤みがかった茶色の固体として得る。
【0150】
触媒(B2)の調製を以下の通り実施する。
【0151】
a)(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミンの調製

2−メチルシクロヘキシルアミン(8.44mL、64.0mmol)を、メタノール(90mL)に溶かし、ジ−t−ブチルサリックアルデヒド(salicaldehyde)(10.00g、42.67mmol)を加える。反応混合物を3時間攪拌し、次いで、−25℃に12時間冷却する。得られる黄色の固体析出物を濾過によって捕集し、冷メタノール(2×15mL)により洗い、次に、減圧下に乾燥する。収量は、黄色の固体11.17gである。H NMRは、異性体混合物としての所望の生成物に一致している。
【0152】
b)ビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジベンジルの調製

(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(7.63g、23.2mmol)のトルエン(200mL)溶液を、Zr(CHPh)(5.28g、11.6mmol)のトルエン(600mL)溶液にゆっくり添加する。得られる暗黄色の溶液を25℃で1時間攪拌する。溶液を680mLのトルエンでさらに希釈して、0.00783Mの濃度を有する溶液を得る。
【0153】
共触媒1(Cocatalyst 1)
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(本明細書では、以後、アーミニウム(armeenium)ボラート)のメチルジ(C14〜18アルキル)アンモニウム塩の混合物、米国特許第5,919,9883号、実施例2に実質的に開示されるように、長鎖トリアルキルアミン(Armeen(商標)M2HT、Akzo−Nobel,Inc.から入手可能)、HClおよびLi[B(C]の反応によって調製される。
【0154】
共触媒2(Cocatalyst 2)
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)−アルマン)−2−ウンデシルイミダゾリドの混合C14〜18アルキルジメチルアンモニウム塩、米国特許第6,395,671号、実施例16に従って調製される。
【0155】
可逆的移動剤(Shuttling Agents)
用いられる可逆的移動剤には、ジエチル亜鉛(DEZ,SA1)、ジ(i−ブチル)亜鉛(SA2)、ジ(n−ヘキシル)亜鉛(SA3)、トリエチルアルミニウム(TEA,SA4)、トリオクチルアルミニウム(SA5)、トリエチルガリウム(SA6)、i−ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)(SA7)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)(SA8)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)(SA9)、ビス(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム(SA10)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(n−ペンチル)アミド)(SA11)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)(SA12)、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)(SA13)、エチルアルミニウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)(SA14)、エチルアルミニウムジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)(SA15)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタネアミド)(SA16)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタネアミド)(SA17)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド(SA18)、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)(SA19)、およびエチル亜鉛(t−ブトキシド)(SA20)が含まれる。
【0156】
実施例1〜4、比較例A〜C(Examples 1-4, Comparative A-C)
一般的な高スループット並列重合条件(General High Throughput Parallel Polymerization Condition)
重合は、Symyx Technologies,Inc.から入手可能な高スループット並列重合反応器(PPR)を用いて実施し、米国特許第6,248,540号、米国特許第6,030,917号、米国特許第6,362,309号、米国特許第6,306,658号、および米国特許第6,316,663号に実質的に従って操作する。エチレン共重合は、用いた全触媒に対して、1.2当量(MMAOが存在する場合1.1当量)の共触媒1を用い、要求に応じてエチレンを用い、130℃、200psi(1.4MPa)で実施する。一連の重合を、予め秤量したガラスチューブが取り付けられている48個(6×8の配列)の反応器セルを含む並列圧力反応器(PPR)で実施する。各反応器セルの作業容積は6000μLである。各セルは、温度および圧力が制御され、個別の攪拌パドルによって攪拌される。モノマーガスおよびクエンチガスを、PPR装置に直接配管し、自動バルブによって制御する。液体試薬はシリンジによって各反応器セルにロボットで添加し、液槽(reservoir)溶媒は混合アルカンである。添加の順序は、混合アルカン溶媒(4ml)、エチレン、1−オクテンコモノマー(1ml)、共触媒1または共触媒1/MMAO混合物、可逆的移動剤、そして触媒または触媒混合物である。共触媒1およびMMAOの混合物、または2種の触媒の混合物を用いる場合、それらの試薬は、反応器への添加の直前に小さいバイアル中で予め混合する。実験で試薬が省かれる場合、他については上記の添加順序を維持する。重合は、所定のエチレン消費が達成されるまで、約1〜2分間実施する。COによる失活の後、反応器を冷却して、ガラスチューブを取り外す。チューブを遠心/真空乾燥装置に移して、60℃で12時間乾燥する。乾燥したポリマーを含むチューブを秤量し、この重さと風袋の重さとの間の差異で、ポリマーの正味の収量を得る。結果は表1に含まれる。表1、および本出願の他の所において、比較の化合物は、アステリスク()によって示される。
【0157】
実施例1〜4は、DEZが存在する場合の、極めて狭いMWDの、本質的に単峰(monomodal)のコポリマー、および、DEZが存在しない場合の、双峰(bimodal)で、広い分子量分布の生成物(別々に生成したポリマーの混合物)の生成によって明瞭に示されるように、本発明による線状ブロックコポリマーの合成を例示する。触媒(A1)は触媒(B1)よりもオクテンを多く組み入れることが知られているという事実によって、得られた本発明のコポリマーの異なるブロックまたはセグメントは、分枝または密度に基づいて識別可能である。
【0158】
【表1】

【0159】
本発明に従って生成するポリマーは、比較的狭い多分散性(M/M)、および可逆的移動剤なしに調製されるポリマーより大きいブロック−コポリマー含量(トリマー、テトラマー、またはそれ以上)を有することが了解され得る。
【0160】
表1のポリマーをさらに特徴付けるデータは、図を参照することによって求められる。より具体的に、DSCおよびATREFの結果は、以下のことを示す:
【0161】
実施例1のポリマーについてのDSC曲線は、115.7℃の融点(T)を示し、融解熱は158.1J/gである。対応するCRYSTAF曲線は、34.5℃に、52.9パーセントのピーク面積を有する最高ピークを示す。DSCのTとTcrystafとの間の違いは81.2℃である。
【0162】
実施例2のポリマーのDSC曲線は、214.0J/gの融解熱を有する109.7℃の融点(T)ピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、57.0パーセントのピーク面積を有する46.2℃の最高ピークを示す。DSCのTとTcrystafとの間の違いは63.5℃である。
【0163】
実施例3のポリマーのDSC曲線は、160.1J/gの融解熱を有する120.7℃の融点(T)ピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、71.8パーセントのピーク面積を有する66.1℃の最高ピークを示す。DSCのTとTcrystafとの間の違いは54.6℃である。
【0164】
実施例4のポリマーのDSC曲線は、170.7J/gの融解熱を有する104.5℃の融点(T)ピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、18.2パーセントのピーク面積を有する30℃の最高ピークを示す。DSCのTとTcrystafとの間の違いは74.5℃である。
【0165】
比較例AのDSC曲線は、86.7J/gの融解熱を有する90.0℃の融点(T)を示す。対応するCRYSTAF曲線は、29.4パーセントのピーク面積を有する48.5℃の最高ピークを示す。これらの値は両方とも、低い密度の樹脂と一致する。DSCのTとTcrystafとの間の違いは41.8℃である。
【0166】
比較例BのDSC曲線は、237.0J/gの融解熱を有する129.8℃の融点(T)を示す。対応するCRYSTAF曲線は、83.7パーセントのピーク面積を有する82.4℃の最高ピークを示す。これらの値は両方とも、高い密度の樹脂と一致する。DSCのTとTcrystafとの間の違いは47.4℃である。
【0167】
比較例CのDSC曲線は、143.0J/gの融解熱を有する125.3℃の融点(T)を示す。対応するCRYSTAF曲線は、34.7パーセントのピーク面積を有する81.8℃の最高ピークを、さらには52.4℃のより低い結晶ピークを示す。2つのピークの間の分離は、高結晶性および低結晶性のポリマーの存在と一致する。DSCのTとTcrystafとの間の違いは43.5℃である。
【0168】
実施例5〜19、比較例D〜F、連続溶液重合、触媒 A1/B2+DEZ(Examples 5-19, Comparatives D-F, Continuous Solution Polymerization, Catalyst A1/B2+DEZ)
連続溶液重合は、内部攪拌具を装備した、コンピュータ制御のオートクレーブ反応器で実施する。精製された混合アルカン溶媒(ExxonMobil Chemical Companyから入手可能なIsopar(商標)E)、2.70lb/時(1.22kg/時)でエチレン、1−オクテンおよび水素(用いる場合)を、温度制御のためのジャケットおよび内部熱電対を装備した3.8Lの反応器に供給する。反応器への溶媒供給量は、質量流量コントローラによって測定する。可変速ダイヤフラムポンプが反応器への溶媒流量および圧力を制御する。このポンプの排出時に、触媒および共触媒1の注入ラインならびに反応器攪拌具のためのフラッシュ流(flush flow)を提供するために、側流が取られる。これらの流れは、Micro−Motion質量流量計によって計測し、制御バルブによって、またはニードルバルブの手動調節によって制御する。残りの溶媒は、1−オクテン、エチレンおよび水素(用いる場合)と一緒にし、反応器に供給する。質量流量コントローラを、必要な場合に反応器に水素を送るために用いる。溶媒/モノマーの溶液の温度は、反応器に入れる前に熱交換器を用いることによって制御する。この流れは反応器の底に入る。触媒成分の溶液を、ポンプおよび質量流量計を用いて計量し、触媒フラッシュ溶媒と合わせ、反応器の底に導入する。反応器は、激しく攪拌しながら500psig(3.45MPa)で液体を満たして運転する。生成物は、反応器の頂部の出口ラインから取り出す。反応器からの出口ラインのすべては蒸気トレース(steam traced)され、断熱されている。任意の安定剤または他の添加物と共に出口ラインに少量の水を添加することによって重合を停止させ、混合物をスタティックミキサーに通す。次いで、生成物の流れを、揮発分除去(devolatilization)の前に熱交換器を通過させることによって加熱する。ポリマー生成物は、揮発分除去用押出機および水冷ペレタイザー(pelletizer)を用い、押出によって回収する。プロセスの詳細および結果は表2に含まれる。選択されたポリマーの性質を表3に記す。
【0169】
【表2】

【0170】
【表3】

【0171】
得られたポリマーは、前の実施例でのように、DSCおよびATREFによって試験する。結果は以下の通りである:
【0172】
実施例5のポリマーのDSC曲線は、60.0J/gの融解熱を有する119.6℃の融点(T)ピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、59.5パーセントのピーク面積を有する47.6℃の最高ピークを示す。DSCのTとTcrystafとの間のデルタは72.0℃である。
【0173】
実施例6のポリマーのDSC曲線は、60.4J/gの融解熱を有する115.2℃の融点(T)ピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、62.7パーセントのピーク面積を有する44.2℃の最高ピークを示す。DSCのTとTcrystafとの間のデルタは71.0℃である。
【0174】
実施例7のポリマーのDSC曲線は、69.1J/gの融解熱を有する121.3℃の融点ピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、29.4パーセントのピーク面積を有する49.2℃の最高ピークを示す。DSCのTとTcrystafとの間のデルタは72.1℃である。
【0175】
実施例8のポリマーのDSC曲線は、67.9J/gの融解熱を有する123.5℃の融点(T)ピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、12.7パーセントのピーク面積を有する80.1℃の最高ピークを示す。DSCのTとTcrystafとの間のデルタは43.4℃である。
【0176】
実施例9のポリマーのDSC曲線は、73.5J/gの融解熱を有する124.6℃の融点(T)ピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、16.0パーセントのピーク面積を有する80.8℃の最高ピークを示す。DSCのTとTcrystafとの間のデルタは43.8℃である。
【0177】
実施例10のポリマーのDSC曲線は、60.7J/gの融解熱を有する115.6℃の融点(T)ピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、52.4パーセントのピーク面積を有する40.9℃の最高ピークを示す。DSCのTとTcrystafとの間のデルタは74.7℃である。
【0178】
実施例11のポリマーのDSC曲線は、70.4J/gの融解熱を有する113.6℃の融点(T)ピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、25.2パーセントのピーク面積を有する39.6℃の最高ピークを示す。DSCのTとTcrystafとの間のデルタは74.1℃である。
【0179】
実施例12のポリマーのDSC曲線は、48.9J/gの融解熱を有する113.2℃の融点(T)ピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、30℃以上のピークを示さない。(その結果、さらなる計算の目的のためのTcrystafは30℃に設定する)。DSCのTとTcrystafとの間のデルタは83.2℃である。
【0180】
実施例13のポリマーのDSC曲線は、49.4J/gの融解熱を有する114.4℃の融点(T)ピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、7.7パーセントのピーク面積を有する33.8℃の最高ピークを示す。DSCのTとTcrystafとの間のデルタは84.4℃である。
【0181】
実施例14のポリマーのDSC曲線は、127.9J/gの融解熱を有する120.8℃の融点(T)ピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、92.2パーセントのピーク面積を有する72.9℃の最高ピークを示す。DSCのTとTcrystafとの間のデルタは47.9℃である。
【0182】
実施例15のポリマーのDSC曲線は、36.2J/gの融解熱を有する114.3℃の融点(T)ピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、9.8パーセントのピーク面積を有する32.3℃の最高ピークを示す。DSCのTとTcrystafとの間のデルタは82.0℃である。
【0183】
実施例16のポリマーのDSC曲線は、44.9J/gの融解熱を有する116.6℃の融点(T)ピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、65.0パーセントのピーク面積を有する48.0℃の最高ピークを示す。DSCのTとTcrystafとの間のデルタは68.6℃である。
【0184】
実施例17のポリマーのDSC曲線は、47.0J/gの融解熱を有する116.0℃の融点(T)ピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、56.8パーセントのピーク面積を有する43.1℃の最高ピークを示す。DSCのTとTcrystafとの間のデルタは72.9℃である。
【0185】
実施例18のポリマーのDSC曲線は、141.8J/gの融解熱を有する120.5℃の融点(T)ピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、94.0パーセントのピーク面積を有する70.0℃の最高ピークを示す。DSCのTとTcrystafとの間のデルタは50.5℃である。
【0186】
実施例19のポリマーのDSC曲線は、174.8J/gの融解熱を有する124.8℃の融点(T)ピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、87.9パーセントのピーク面積を有する79.9℃の最高ピークを示す。DSCのTとTcrystafとの間のデルタは45.0℃である。
【0187】
比較例DのポリマーのDSC曲線は、31.6J/gの融解熱を有する37.3℃の融点(T)ピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、30℃以上のピークを示さない。これらの値は両方とも、低い密度の樹脂と一致する。DSCのTとTcrystafとの間のデルタは7.3℃である。
【0188】
比較例EのポリマーのDSC曲線は、179.3J/gの融解熱を有する124.0℃の融点(T)ピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、94.6パーセントのピーク面積を有する79.3℃の最高ピークを示す。これらの値は両方とも、高い密度の樹脂と一致する。DSCのTとTcrystafとの間のデルタは44.6℃である。
【0189】
比較例FのポリマーのDSC曲線は、90.4J/gの融解熱を有する124.8℃の融点(T)ピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、19.5パーセントのピーク面積を有する77.6℃の最高ピークを示す。2つのピークの間の隔たりは、高結晶性ポリマーと低結晶性ポリマーの両方の存在と一致する。DSCのTとTcrystafとの間のデルタは47.2℃である。
【0190】
物理的性質の試験(Physical Property Testing)
ポリマー試料を、物理的性質、例えば、TMA温度試験によって実証されるような耐高温性、ペレットブロックキング強さ、高温回復、高温圧縮永久歪、および貯蔵弾性率比、G’(25℃)/G’(100℃)について評価する。いくつかの市販のポリマーを、試験に含める:比較例Gは実質的に線状のエチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)、The Dow Chemical Companyから入手可能)であり、比較例Hは、エラストマーで実質的に線状のエチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)EG8100、The Dow Chemical Companyから入手可能)であり、比較例Iは、実質的に線状のエチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)PL1840、The Dow Chemical Companyから入手可能)であり、比較例Jは、水添されたスチレン/ブタジエン/スチレントリブロックコポリマー(KRATON(商標)G1652、KRATON Polymersから入手可能)であり、比較例Kは、熱可塑性加硫物(thermoplastic vulcanizate、TPV、その中に分散した、架橋されたエラストマーを含むポリオレフィンブレンド)である。結果は表4に示す。
【0191】
【表4】

【0192】
表4において、比較例F(これは、触媒A1およびB1を用いる同時重合により得られる2つのポリマーの物理的ブレンドである)は、約70℃の1mm進入温度を有するが、実施例5〜9は、100℃以上の1mm進入温度を有する。さらに実施例10〜19はすべてが、85℃を超える1mm進入温度を有し、ほとんどが、90℃を超える、またはさらに100℃を超える1mmTMA温度を有する。これは、新規ポリマーが、物理的ブレンドに比べて、より高い温度でより良好な寸法安定性(dimensional stability)を有することを示す。比較例J(市販のSEBS)は、約107℃の良好な1mmTMA温度を有するが、それは、約100パーセントの非常に劣る(高温の70℃での)圧縮永久歪を有し、それはまた、高温(80℃)での300パーセント歪回復の間に回復を果たせなくなる(試料が破断した)。このように、例示されたポリマーは、いくつかの市販の高性能熱可塑性エラストマーでさえ得ることができない、性質の独特の組合せを有する。
【0193】
同様に、表4は、本発明のポリマーで、6以下の低い(良好な)貯蔵弾性率比G’(25℃)/G’(100℃)を示すが、物理的ブレンド(比較例F)は9の貯蔵弾性率比を有し、類似の密度のエチレン/オクテンランダムコポリマー(比較例G)は、1桁大きい貯蔵弾性率比(89)を有する。ポリマーの貯蔵弾性率比はできるだけ1に近いことが望ましい。このようなポリマーは比較的温度によって影響されず、このようなポリマーから製造され作製される物品は、広範な温度範囲にわたって有用に使用され得る。低い貯蔵弾性率比および温度に依存しないというこの特徴は、エラストマー用途において、例えば、感圧接着剤配合物において、特に有用である。
【0194】
表4のデータはまた、本発明のポリマーが改善されたペレットブロッキング強さを有することも例示する。特に、実施例5は、0MPaのペレットブロッキング強さを有し(それが、試験条件下に自由流動することを意味する)、かなりのブロッキングを示す比較例FおよびGに比較される。大きなブロッキング強さを有するポリマーの大量出荷は、保管または輸送時に、製品が塊になる(clumping)、または互いにくっつく(sticking together)という結果を生じ、ハンドリング性が悪くなり得るので、ブロッキング強さは重要である。
【0195】
本発明のポリマーの高温(70℃)圧縮永久歪は一般に良好(一般に、約80パーセント未満、好ましくは約70%未満、特に約60パーセント未満を意味する)である。対照的に、比較例F、G、HおよびJはすべて、100パーセント(あり得る最大値、回復がまったくないことを示す)の70℃圧縮永久歪を有する。良好な高温圧縮永久歪(低い数値)は、ガスケット、窓枠、O−リングなどのような用途で、特に必要とされる。
【0196】
【表5】

【0197】
表5は、雰囲気温度(ambient temperatures)での、新しいポリマー、さらには様々な比較ポリマーの機械的性質についての結果を示す。本発明のポリマーは、ISO 4649に従って試験した場合に、極めて良好な耐摩耗性(通常、約90mm未満、好ましくは約80mm未満、特に約50mm未満の体積損失を示す)を有することが了解され得る。この試験では、より大きい数は、より大きな体積損失を示し、結果的に、より劣った耐摩耗性を示す。
【0198】
ノッチ付き引張り引裂き強さ(tensile notched tear strength)によって測定した、本発明のポリマーの引裂き強さは、一般に、表5に示すように、1000mJ以上である。本発明のポリマーの引裂き強さは、3000mJのような大きさ、または5000mJのような大きさでさえあり得る。比較のポリマーは一般に、750mJ以下の引裂き強さを有する。
【0199】
表5はまた、本発明のポリマーが、いくつかの比較試料よりも良好な、150パーセント歪での復元応力を有する(より大きな復元応力の値によって示される)ことを示す。比較例F、GおよびHは、400kPa以下の、150パーセント歪での復元応力値を有するが、本発明のポリマーは、500kPa(実施例11)から約1100kPa(実施例17)のように大きい、150パーセント歪での復元応力値を有する。150パーセントより大きな復元応力値を有するポリマーは、弾性体用途、例えば、弾性繊維およびファブリック、特に不織布にかなり有用であろう。他の用途には、オムツ、衛生および医療用衣類のウエストバンド用途、例えば、タブ(tab)および弾性バンドが含まれる。
【0200】
表5はまた、本発明のポリマーでは、例えば比較例Gに比べて、応力緩和(stress relaxation)(50パーセント歪での)もまた、改善されている(小さい)ことを示す。より小さい応力緩和は、体温での長時間にわたる弾性の維持が望まれる、オムツおよび他の衣類のような用途において、ポリマーが、よりよくその力を保つことを意味する。
【0201】
光学試験(Optical Testing)
【0202】
【表6】

【0203】
表6に報告する光学的特性は、実質的に配向していない圧縮成形フィルムに基づく。ポリマーの光学的性質は、重合に用いられる可逆的連鎖移動剤の量の変化から生じる、クリスタリットの大きさの変化のために広い範囲にわたって変化し得る。
【0204】
マルチブロックコポリマーの抽出(Extractions of Multi-Block Copolymers)
実施例5、7および比較例Eのポリマーの抽出調査を実施する。実験では、ポリマー試料を秤量し、ガラス焼結抽出円筒濾紙(glass fritted extraction thimble)に入れ、Kumagawa型の抽出器に取り付ける。試料を含む抽出器を窒素によりパージし、500mLの丸底フラスコに、350mLのジエチルエーテルを投入する。次いで、フラスコを抽出器に取り付ける。攪拌しながらエーテルを加熱する。エーテルが円筒濾紙に凝縮し始める時間を書き留め、抽出を窒素下で24時間進める。この時点で、加熱を停止し、溶液を放冷する。抽出器に残っているエーテルがあればフラスコに戻す。フラスコ内のエーテルを、雰囲気温度で減圧下に蒸発させ、得られる固体を窒素によりパージして乾燥させる。ヘキサンの洗浄液を次々に用い、残留物を、秤量したボトルに移す。次いで、合わせたヘキサンの洗浄液を、もう1回窒素パージして蒸発させ、残留物を、40℃で減圧下に一夜乾燥する。抽出器に残留するエーテルがあれば、窒素によりパージして乾燥させる。
【0205】
次いで、350mLのヘキサンを投入した第2の清浄な丸底フラスコを、抽出器に接続する。ヘキサンを攪拌しながら加熱還流し、ヘキサンが円筒濾紙に凝縮することに最初に気付いた後で24時間、還流状態に保つ。次に、加熱を停止し、フラスコを放冷する。抽出器に残っているヘキサンがあればフラスコに戻す。ヘキサンを雰囲気温度で減圧下に蒸発によって除去し、フラスコ内に残っている残留物を、ヘキサンの洗浄液を次々に用い、秤量したボトルに移す。フラスコ内のヘキサンを窒素パージによって蒸発させ、残留物を40℃で一夜、真空乾燥する。
【0206】
抽出後に円筒濾紙中に残っているポリマー試料を、円筒濾紙から、秤量したボトルに移し、40℃で一夜、真空乾燥する。結果は表7に含まれる。
【0207】
【表7】

【0208】
さらなるポリマー実施例19A〜J、連続溶液重合、触媒A1/B2+DEZ(Additional Polymer Examples 19 A-J, Continuous Solution Polymerization, Catalyst A1/B2+DEZ)
実施例19A〜I(For Examples 19A-I)
連続溶液重合を、十分に混合されるコンピュータ制御の反応器で実施する。精製された混合アルカン溶媒(ExxonMobil,Inc.から入手可能なIsopar(商標)E)、エチレン、1−オクテンおよび水素(使用する場合)を一緒にし、27ガロンの反応器に供給する。反応器への供給量は質量流量コントローラによって測定する。供給流の温度は、反応器に入る前に、グリコール冷却熱交換器の使用によって制御する。触媒成分の溶液は、ポンプおよび質量流量計を用いて計量供給する。反応器は約550psigの圧力で液体を満たして運転する。反応器から出すに際して、水および添加剤をポリマー溶液に注入する。水は触媒を加水分解し、重合反応を停止させる。次いで、ポスト反応器溶液を、2段階の揮発分除去の準備として、加熱する。溶媒および未反応モノマーは揮発分除去過程の間に除去される。ポリマー溶融物を、水中ペレット切断のために、ダイにポンプ輸送する。
【0209】
実施例19J(For Example 19J)
内部攪拌具を装備した、コンピュータ制御のオートクレーブ反応器で連続溶液重合を実施する。精製された混合アルカン溶媒(ExxonMobil Chemical Companyから入手可能なIsopar(商標)E)、2.70 lb/時(1.22kg/時)でエチレン、1−オクテンおよび水素(使用する場合)を、温度制御のためのジャケットおよび内部熱電対を装備した3.8L反応器に供給する。反応器への溶媒供給量は質量流量コントローラによって測定する。可変速ダイヤフラムポンプが反応器への溶媒流量および圧力を制御する。このポンプの排出時に、触媒および共触媒の注入ラインならびに反応器攪拌具のためのフラッシュ流を提供するために、側流が取られる。これらの流れは、Micro−Motion質量流量計によって計測し、制御バルブによって、またはニードルバルブの手動調節によって制御する。残っている溶媒を、1−オクテン、エチレンおよび水素(使用する場合)と合わせて反応器に供給する。質量流量コントローラを、必要な場合に反応器に水素を送るために用いる。溶媒/モノマーの溶液の温度は、反応器に入る前に、熱交換器の使用によって制御する。この流れは反応器の底に入る。触媒成分の溶液を、ポンプおよび質量流量計を用いて計量し、触媒フラッシュ溶媒と合わせ、反応器の底に導入する。反応器は、激しく攪拌しながら500psig(3.45MPa)で液体を満たして運転する。生成物は、反応器の頂部の出口ラインから取り出す。反応器からの出口ラインのすべては蒸気トレースされ、断熱されている。重合は、任意の安定剤または他の添加物と共に出口ラインに少量の水を添加することによって停止させ、混合物をスタティックミキサーに通す。次いで、生成物の流れを、揮発分除去の前に熱交換器を通過させることによって加熱する。ポリマー生成物は、揮発分除去用押出機および水冷ペレタイザーを用い、押出によって回収する。
【0210】
プロセスの詳細および結果は表8に含まれる。選択されたポリマーの性質を表9A〜Cに記す。
【0211】
表9Bにおいて、本発明の実施例19Fおよび19Gは、500%の伸びの後、約65〜70%の歪の低い直後残留歪(immediate set)を示す。
【0212】
【表8】

【0213】
【表9A】

【0214】
【表9B】

【0215】
【表9C】

【0216】
実施例20(Example 20)
実施例20のエチレン/α−オレフィンインターポリマーを、下の表11に示す重合条件により、上の実施例19A〜Iと実質的に同様に製造した。このポリマーは、表10に示す性質を示した。表10はまたポリマーへの添加剤も示す。
【0217】
【表10】

【0218】
Irganox 1010は、テトラキスメチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマート)メタンである。Irganox 1076は、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオナートである。Irgafos 168は、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトである。Chimasorb 2020は、2,3,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンを有する、1,6−ヘキサンジアミン,N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ポリマーで、N−ブチル−1−ブタナミンおよびN−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミンとの反応生成物である。
【0219】
【表11】

【0220】
繊維に適する組成物(Compositions Suitable for Fibers)
本発明は、繊維に適する組成物に関する。典型的には、組成物は、
(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマー[ここで、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、次の特徴の1つまたは複数を有する:

(1)約1.7から約3.5のM/M、少なくとも1つの融点、T(℃)、および密度、d(g/cm)、ここで、Tおよびdの数値は、次の関係式:

>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)

に対応する;あるいは

(2)約1.7から約3.5のM/M;融解熱、ΔH(J/g)、および最高のDSCピークと最高のCRYSTAFピークとの間の温度差として定義されるデルタ量、ΔT(℃)によって特徴付けられ、ここで、ΔTおよびΔHの数値は次の関係式:

ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHがゼロより大きく130J/gまでの場合)

ΔT≧48℃(ΔHが130J/gを超える場合)

を有し、
ここで、CRYSTAFピークは、少なくとも5パーセントの累積ポリマーを用いて決められ、5パーセント未満のポリマーが確認できるCRYSTAFピークを有する場合には、CRYSTAF温度は30℃である;あるいは

(3)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムにより測定される、300パーセント歪および1サイクルでの弾性回復、Re(%);また、密度、d(g/cm)を有し、ここで、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが実質的に架橋相を含まない場合、次の関係式:Re>1481−1629(d)を満たす;あるいは

(4)TREFを用いて分別した時、40℃と130℃の間で溶離する分子フラクション、このフラクションは、同じ温度の間で溶離する比較対象のエチレンランダムインターポリマーフラクションより、少なくとも5パーセント大きいコモノマーモル含量を有することに特徴があり、ここで、比較対象の該エチレンランダムインターポリマーは、同じ(1種または複数の)コモノマーを有し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を有する;あるいは

(5)25℃での貯蔵弾性率、G’(25℃)、および100℃での貯蔵弾性率、G’(100℃)、ここで、G’(25℃)とG’(100℃)の比は、約1:1から約9:1の範囲にある;あるいは

(6)ゼロを超え約1.0までの平均ブロックインデックス、および約1.3を超える分子量分布、M/M;あるいは

(7)TREFを用いて分別した時、40℃と130℃の間で溶離する少なくとも1つの分子フラクション、このフラクションは、少なくとも約0.5で約1までのブロックインデックスを有することに特徴がある];および
(B)1分子当たり約25から約45個の炭素原子を含む脂肪酸アミド
を含む。
【0221】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、上に詳細に記載されている。好ましいインターポリマーには、エチレン−ヘキセンのコポリマーおよびエチレン−オクテンのコポリマーが含まれる。好ましいインターポリマーは、少なくとも約0.85、好ましくは少なくとも約0.865g/cm(ASTM D 792)の密度を有するものである。対応して、密度は通常、約0.93未満、好ましくは約0.92g/cm(ASTM D 792)未満である。ファブリックのエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、約0.1から約10g/10分の未架橋でのメルトインデックスを有する。架橋することが望まれる場合、架橋したポリマーのパーセントは、生成したゲルの重量パーセントによって求めて、しばしば、少なくとも約10パーセント、好ましくは少なくとも約20、より好ましくは少なくとも約25重量パーセントで、多くても約90まで、好ましくは多くても約75までである。例えば、e−線(e-beam)が用いられる場合、e−線の線量が増すにつれて、架橋の量(ゲル含量)は増加する。当業者は、架橋の量とe−線の線量との間の正確な関係は、所定のポリマーの性質(例えば、分子量またはメルトインデックス)によって影響され得ることを理解するであろう。
【0222】
脂肪酸アミドは通常、組成物を繊維および/またはファブリックに加工するのに適する分子量を有する。したがって、分子量は、アミドが、例えば、繊維およびファブリックの製造に用いられる温度で、実質的に分解せず、その結果、ポリマーにそのまま残るだけ十分に高くあるべきである。他方、分子量は、用いられるアミドのかなりの(例えば、約10を超え、好ましくは約30を超え、好ましくは約50重量パーセントを超える)量が、得られる繊維またはファブリックから、例えばイソプロパノールにより、容易に洗い流され得ないほど高くあるべきでない。通常、適切な分子量を有する脂肪酸アミドは、1分子当たり、約25から約45個、好ましくは約30から約40個、より好ましくは約32から約38個の炭素原子を含む。
【0223】
用いられる脂肪酸アミドのタイプは、組成物に意図される用途、所望の性質、および他の成分に応じて変わり得る。例えば、組成物から繊維を製造しようと望む場合、アミドを選択し、該組成物から製造される繊維を繰り出す時に、引き取り張力を低下させる、または低下させる助けになる量で、それを用いることが有益であろう。この点で、第2級アミドが特に有用であり得る。特に好ましい脂肪酸アミドは、エチレンビスC12〜20アミド(ここで、C12〜20は、約12から約20個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキレンまたはアルケニレン基を表す)、メチレンビスC13〜21アミド(ここで、C13〜21は、約13から約21個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキレンまたはアルケニレン基を表す)、およびプロピレンビスC11〜19アミド(ここで、C11〜19は、約11から約19個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキレンまたはアルケニレン基を表す)である。前記のプロピレン、アルキレン、およびアルケニレン基は、直鎖または分岐状であり得る。本発明において用いられ得る具体的な脂肪酸アミドには、例えば、エチレンビスオレアミド、エチレンビスステアルアミド、ステアリルエルカミドおよびこれらの混合物が含まれる。
【0224】
用いられる脂肪酸アミドの量は、また、組成物に意図される用途、所望の性質、および他の成分に応じて変わり得る。例えば、組成物から繊維を製造しようと望む場合、該組成物から製造される繊維を繰り出す時に、引き取り張力を低下させる、または低下させる助けになる量を選択すると有益であろう。この点で、用いられる量は、それが、繊維またはファブリックの生成または望まれる性質の妨げになるほど多くてはならない。他方、その量は、所望の繊維の引き取り張力が、適切なアミドを含まない組成物に比べて、低下しないほど少なくてはならない。例えば、繊維では、このような所望の量は、製造される繊維のデニール(denier)に依存し得る。すなわち、より小さいデニールの繊維には、表面積と体積の比がより大きいという理由で、アミドについて、より大きな重量パーセントが望ましいことであり得る。図10は、40デニールに正規化された、(表面積と容積の正規化された比)vs.(デニール)の関係を示す。図10が示すように、y=6.323X−0.5である(ここで、yは、表面積と容積の正規化された比であり、xはデニールである)。当業者は、図10から、例えば、5000ppmのアミドが40デニールのデニールで有用であれば、その場合、140デニールでは、2672ppm(5000ppm*6.623/(140の平方根))が有用であり得ることを理解するであろう。
【0225】
通常、多くの組成物で、組成物中の脂肪酸アミドの量は、全組成物の重量に対して、少なくとも約0.05、好ましくは少なくとも約0.1、より好ましくは少なくとも約0.25重量パーセントである。通常、多くの組成物で、組成物中の脂肪酸アミドの量は、全組成物の重量に対して、多くても約1.5、好ましくは多くても約1.0、より好ましくは多くても約0.75重量パーセントである。
【0226】
インターポリマー、脂肪酸および適切な他の任意の添加剤(例えば、下に記載されるもの)は、適切な任意の手段を用い、均一に混合され得る。通常、このような混合は、高い温度によって容易にされ得る。雰囲気圧力で実施される場合、通常、このような温度は、混合される様々な成分の沸点より下であるが、融点より上であるべきである。組成物が、例えば繊維に用いられようとする場合、混合は通常、繊維生成の前、またはそれと同時に行われなければならない。
【0227】
ファブリックおよびテキスタイル物品に適する繊維(Fibers Suitable for Fabrics and Textile Articles)
本発明はまた、ファブリックに適する架橋された繊維にも関し、ここで、該繊維は、前記組成物から製造され得る。通常、例えば下の実施例28に記載される条件を用い、本発明の組成物を用いて製造される架橋繊維を繰り出す時、引き取り張力は、適切な量(例えば、通常、約0.05から約1.5重量パーセント)の前記脂肪酸アミドを含まない組成物から生成される比較対象の繊維より、少なくとも約10、好ましくは少なくとも約20、好ましくは少なくとも約30、好ましくは少なくとも約40%小さい。
【0228】
絶対値として、例えば下の実施例28に記載される条件を用い、本発明の組成物を用いて製造される例えば40デニールの繊維を繰り出す時、通常、引き取り張力は、内側ボビンコア(bobbin core)から0.5cm離れた位置で、約3以下、好ましくは約2.5以下、好ましくは約2cN以下であり、かつ/または、内側ボビンコアから1.5cm離れた位置で、約2.25以下、好ましくは約1.9以下、好ましくは約1.6cN以下であり、かつ/または、内側ボビンコアから3.0cm離れた位置で、約0.9以下、好ましくは約0.7以下、好ましくは約0.6cN以下である。このような低下した引き取り張力は、しばしば、より大きな正味の繊維重量を有するスプールを製造することを許す。例えば、繊維およびスプールのタイプに応じて、スプールは、しばしば、250を超え、好ましくは300を超え、好ましくは400を超え、好ましくは550グラムを超える正味の繊維重量を含み得る。同様に、繊維が、本発明の組成物から製造される時、しばしば、1つのスプールに長さのより長い繊維を巻くことが可能であり、該繊維は、該スプールに実質的に均一に分散していることが可能であり得る。有利には、本発明の組成物から製造される繊維の平均摩擦係数は、しばしば、1分子当たり約25から約45個の炭素原子を含む脂肪酸アミドを用いない組成物から製造される繊維の平均摩擦係数と、実質的に同等である。
【0229】
前記繊維は、テキスタイル物品のようなファブリックに適切であり得るが、ここで、該繊維は、(a)少なくとも約1%のポリオレフィン(ASTM D629−99による)と少なくとも1種の架橋剤の反応生成物、および(b)繊維の重量に対して約0.05から約1.5重量パーセントの脂肪酸アミド(1分子当たり約25から約45個の炭素原子を含む)を含み;また、ここで、該繊維のフィラメント破断伸びは、ASTM D2653−01(フィラメントの最初の破断時伸び)により、約200%を超え、好ましくは約210%を超え、好ましくは約220%を超え、好ましくは約230%を超え、好ましくは約240%を超え、好ましくは約250%を超え、好ましくは約260%を超え、好ましくは約270%を超え、好ましくは約280%を超え、600%のように大きくあり得る。本発明の繊維は、ASTM D2731−01(最終の繊維の形態における特定の伸びの力の下で)により、約1.5以上、好ましくは約1.6以上、好ましくは約1.7以上、好ましくは約1.8以上、好ましくは約1.9以上、好ましくは約2.0以上、好ましくは約2.1以上、好ましくは約2.2以上、好ましくは約2.3以上、好ましくは約2.4以上で、4のように大きくあり得る、200%伸びでの荷重/100%伸びでの荷重の比を有することによってさらに特徴付けられる。
【0230】
前記ポリオレフィンは、適切な任意のポリオレフィン、またはポリオレフィンのブレンドから選択され得る。このようなポリマーには、例えば、ランダムエチレンホモポリマーおよびコポリマー、エチレンブロックホモポリマーおよびコポリマー、プロピレンホモポリマーおよびコポリマー、ならびにこれらの混合物が含まれる。特に好ましいポリオレフィンは、エチレン/α−オレフィンインターポリマーであり、ここで、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、次の1つまたは複数の特性を有する。

(1)ゼロを超え、約1.0までの平均ブロックインデックス、および約1.3を超える分子量分布、M/M;あるいは、

(2)TREFを用いて分別した時、40℃と130℃の間で溶離する少なくとも1つの分子フラクション、このフラクションは少なくとも0.5で約1までのブロックインデックスを有することに特徴がある;あるいは

(3)約1.7から約3.5のM/M、少なくとも1つの融点、T(℃)、および密度、d(g/cm)、ここで、Tおよびdの数値は、次の関係式:

>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)

に対応する;あるいは

(4)約1.7から約3.5のM/M;融解熱、ΔH(J/g)、および最高のDSCピークと最高のCRYSTAFピークとの間の温度差として定義されるデルタ量、ΔT(℃)によって特徴付けられ、ここで、ΔTおよびΔHの数値は次の関係式:

ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHがゼロより大きく130J/gまでの場合)

ΔT≧48℃(ΔHが130J/gを超える場合)

を有し、
ここで、CRYSTAFピークは、少なくとも5パーセントの累積ポリマーを用いて決められ、5パーセント未満のポリマーが確認できるCRYSTAFピークを有する場合には、CRYSTAF温度は30℃である;あるいは

(5)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムにより測定される、300パーセント歪および1サイクルでの弾性回復、Re(%);また、密度、d(g/cm)を有し、ここで、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが実質的に架橋相を含まない場合、次の関係式:

Re>1481−1629(d)

を満たす;あるいは

(6)TREFを用いて分別した時、40℃と130℃の間で溶離する分子フラクション、このフラクションは、同じ温度の間で溶離する比較対象のエチレンランダムインターポリマーフラクションより、少なくとも5パーセント大きいコモノマーモル含量を有することに特徴があり、ここで、比較対象の該エチレンランダムインターポリマーは、同じ(1種または複数の)コモノマーを有し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を有する;あるいは

(7)25℃での貯蔵弾性率、G’(25℃)、および100℃での貯蔵弾性率、G’(100℃)、ここで、G’(25℃)とG’(100℃)の比は、約1:1から約9:1の範囲にある。
【0231】
前記繊維は、所望の用途に応じて、望ましいどのような太さ(size)および横断面形状(cross sectional shape)にも製造され得る。多くの用途で、ほぼ円形の横断面が、その低い摩擦のために望ましい。しかし、他の形状、例えば、トリローバル(trilobal)形状、または扁平(すなわち、「リボン」または「テープ」のような)形状もまた用いられ得る。デニールは、繊維の長さ9000メートル当たりの繊維のグラム数として定義されるテキスタイル用語である。好ましい太さは、少なくとも約1、好ましくは少なくとも約20、好ましくは少なくとも約50から、大きくても約200、好ましくは大きくても約150、好ましくは大きくても約100デニール、好ましくは大きくても約80デニールまでの、フィラメント当たりのデニールを含む。
【0232】
繊維は通常、弾性的であり、通常、架橋される。繊維は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーと適切な何らかの架橋剤との反応生成物、すなわち、架橋されたエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む。本明細書で用いられる場合、「架橋剤」は、繊維の1つまたは複数、好ましくは大多数を架橋する任意の手段である。したがって、架橋剤は、化合物であり得るが、必ずしもそうではない。本明細書で用いられる架橋剤には、また、電子線照射、ベータ照射、ガンマ照射、コロナ照射、シラン類、過酸化物、アリル化合物、およびUV照射(架橋触媒を伴う、または伴わない)が含まれる。米国特許第6,803,014号および米国特許第6,667,351号は、本発明の実施形態において使用され得る電子線照射法を開示する。いくつかの実施形態において、架橋したポリマーのパーセントは、生成したゲルの重量パーセントによって求めて、少なくとも10パーセント、好ましくは少なくとも約20、より好ましくは少なくとも約25重量パーセントから、多くても約75、好ましくは多くても約50パーセントである。
【0233】
用途に応じて、繊維は、ステープル繊維またはバインダー繊維を含めて、適切な任意の形態をとり得る。典型的な例には、ホモフィル繊維、バイコンポーネント繊維、メルトブロー繊維、溶融紡糸繊維、またはスパンボンド繊維が含まれ得る。バイコンポーネント繊維の場合には、それは、鞘−芯(sheath-core)構造;海−島(sea-island)構造;サイドバイサイド構造;マトリックス−フィブリル構造;またはセグメント化パイ構造を有し得る。有利にも、従来の繊維形成方法が、前記繊維を製造するために使用され得る。このような方法には、例えば、米国特許第4,340,563号、米国特許第4,663,220号、米国特許第4,668,566号、米国特許第4,322,027号、および米国特許第4,413,110号に記載のものが含まれる。
【0234】
本発明の組成物から製造される繊維は、多くの点で加工を容易にする。第1に、しばしば、本発明の組成物から製造される繊維は、スプールから、脂肪酸アミドを含まない組成物から製造される繊維より良好に繰り出せる。例えば、しばしば、本発明の組成物から製造される繊維は、表面からコアまで、安定して低い取り出し張力で繰り出せ、非常に低いので、過度の繰り出し張力に帰因する繊維の破断および/または機械の停止は、脂肪酸アミドを含まない繊維よりかなり低下する。何らかの特定の理論に拘束されようとは思わないが、繰り出し性能の向上は、コアから離れるにつれて、取り出し張力の大きさが低下することに関連していると考えられる。脂肪酸アミドを含まない組成物から製造される繊維は、円形の横断面の場合、しばしば、それらのベースポリマーの過度の応力緩和のために、満足すべき繰り出し性能をもたらさない。
【0235】
別の利点は、フィラメントをスプールから針までずっと導く弾性ガイドがセラミックおよび金属のアイレットのように静止している丸編機で、本発明の繊維が編まれ得ることである。対照的に、いくつかの弾性オレフィン繊維では、機械パーツ(例えば、アイレット)が昇温して、その結果、機械が停止することまたはフィラメントが破断することが、丸編プロセスの間に避けられ得るように摩擦を最低限にするために、これらのガイドはプーリーのような回転要素でできていることが必要であった。すなわち、機械のガイド要素に対する、本発明の組成物から製造された繊維の摩擦は、脂肪酸アミドを含まない組成物から製造され、また丸編みにおいて例えば静止しているセラミックまたは金属アイレットに適する繊維と実質的に同等である。丸編みに関するさらなる情報は、例えば、Bamberg Meisenbach、「丸編み:技術プロセス、構造、ヤーン、品質(Circular Knitting:Technology Process,Structures,Yarns,Quality)」(1995年)(参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)に見出される。
【0236】
本発明の組成物から製造される繊維は、編物、織物、不織布、ヤーンまたはカード加工ウェッブのようなファブリックに作製され得る。ヤーンはカバードまたは非カバードであり得る。カバードである場合、それは、綿ヤーンまたはナイロンヤーンによってカバリングされ得る。本発明の組成物から製造される繊維は、エアージェットカバリングまたは渦流紡績のような、織物の高速カバリング用途に特に有用である。本発明の繊維はまた、前記の利点のいくつかのために丸編みファブリックおよび経編みファブリックのようなファブリックに特に有用である。より明確には、脂肪酸アミドは、しばしば、丸編みおよび/または経糸ビーミングステップの間の繰り出しを容易にする。
【0237】
様々な添加剤が、本発明の組成物および/または繊維に添加され得る。このような添加剤には、例えば、酸化防止剤、フィラー、加工添加剤、タルク、ダイ蓄積(build up)安定剤、酸化防止剤、フィラー、紡糸仕上げ剤およびこれらの混合物からなる群から選択されるものが含まれる。
【0238】
酸化防止剤(例えば、Ciba Geigy Corp.によって製造される、IRGAFOS(登録商標)168、IRGANOX(登録商標)1010、IRGANOX(登録商標)3790、およびCHIMASSORB(登録商標)944)は、成形または作製作業の間の不都合な劣化に対して保護するために、かつ/または、グラフト化または架橋の度合いをよりよく制御する(すなわち、過度のゲル化を防ぐ)ために、エチレンポリマーに添加され得る。加工添加剤(例えば、カルシウムステアラート、水、フルオロポリマーなど)も、また、残留触媒の失活および/または加工性の改善のような目的のために、使用され得る。TINUVIN(登録商標)770(Ciba−Geigyによる)は、光安定剤として使用され得る。
【0239】
本発明のコポリマーは、充填されていることも、充填されていないこともある。充填されている場合、存在するフィラーの量は、高温での耐熱性または弾性のいずれかに悪影響を及ぼすと思われる量を超えるべきでない。存在する場合、通常、フィラーの量は、コポリマーの全重量(または、コポリマーと1種または複数の他のポリマーとのブレンドである場合、ブレンドの全重量)に対して、0.01と80wt%の間である。体表的なフィラーには、カオリンクレー、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、シリカおよび炭酸カルシウムが含まれる。フィラーはコーティングされていることも、またはコーティングされていないこともある。
【0240】
繊維の摩擦係数を小さくするために、様々な紡糸仕上げ剤、例えば、テキスタイルオイル中に分散した金属石鹸(例えば、米国特許第3,039,895号または米国特許第6,652,599号を参照)、基油中の界面活性剤(例えば、米国特許出願公開第2003/0024052号を参照)、およびポリアルキルシロキサン(例えば、米国特許第3,296,063号または米国特許第4,999,120号を参照)が用いられ得る。米国特許出願第10/933,721号(US20050142360として公開)は、やはり使用され得る紡糸仕上げ組成物を開示する。
【0241】
編物および織物(Knitted and Woven Fabrics)
本発明はまた、ポリオレフィンポリマーを含む、改善された編物および織物テキスタイル(knit and woven textile)物品も対象とする。本発明の目的では、「テキスタイル物品」は、例えば、衣服、ベッドシートおよび他のリンネル製品を含めて、ファブリック、さらには、ファブリックから製造される物品、すなわち衣類を含む。編むこととは、編み針を用いて手によって、または機械によってのいずれかで、一連の連結したループとしてヤーンまたは糸を絡み合わせることを意味する。本発明は、例えば、経編みまたは緯編み、平編み、および丸編みを含めて、どのようなタイプの編み方にも適用可能であり得る。本発明は、輪針(circular needle)が用いられる丸編み(すなわち、筒状に編むこと)に用いられる時に、特に利点がある。
【0242】
本発明はまた、例えば、経糸方向(warp direction)に、緯糸方向(weft direction)に、または両方向に、本発明の組成物から製造された繊維を用いることを含めて、どのようなタイプの織り方にも適用可能であり得る。このような織物では、前記繊維は、それらだけで、あるいは他の天然もしくは合成材料(例えば、セルロース、綿、亜麻(flax)、ラミー(ramie)、レーヨン、ナイロン、ビスコース、ヘンプ(hemp)、ウール、絹、麻、竹、テンセル(tencel)、モヘア、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリオレフィン、他のセルロース系材料、タンパク質、または合成品、さらにはこれらの混合物)とのヤーンとして用いられ得る。通常、このような織物では、コアとしてエチレン/α−オレフィンインターポリマーを、またカバリング材料として他のステープルまたはフィラメント繊維を含むコアスパンヤーンが準備される。このようなステープルまたはフィラメント繊維には、例えば、セルロース、アラミド、パラ−アラミド、ポリエステル、ウール、絹など、およびこれらのブレンドが含まれる。用いられる方法は重要でなく、方法には、コアアタッチメントを有する、例えば、リング、シロ(siro)、エアージェット、ドレフ(dref)、およびローター(rotor)紡績が含まれ得る。エチレン/α−オレフィンインターポリマーを含むヤーンは、また、シングル、ダブルカバリングまたはエアージェットカバリングによって、フィラメントヤーンによりカバリングされ得る。
【0243】
ファブリックは、所望の用途に応じて、ASTM D3107による適切な任意の残留伸び(growth)および伸張性(stretch)を有するように製造され得る。例えば、厚手(heavy weight)のデニム様織物が望まれる場合、残留伸びは、しばしば、残留伸びと伸張の比が通常、0.5未満、好ましくは0.4未満、好ましくは0.35未満、好ましくは0.3未満、好ましくは0.25未満、好ましくは0.2未満、好ましくは0.15未満、好ましくは0.1未満、好ましくは0.05未満であるようなものである。すなわち、伸張は、しばしば、少なくとも約5、好ましくは少なくとも約8、好ましくは少なくとも約9、好ましくは少なくとも約10、好ましくは少なくとも約11、好ましくは少なくとも約12、好ましくは少なくとも約13、好ましくは少なくとも約14、好ましくは少なくとも約18、好ましくは少なくとも約20で、25パーセントまたはこれを超えるような大きさに達する。有利にも、ファブリックは、良好な永久歪を有するので、ASTM D3107に示されるように引伸ばし力を除いた後、その元の寸法に近い値まで戻ることができる。
【0244】
同様に、編物は、望まれる場合、エチレン/α−オレフィンインターポリマーおよび他の材料のタイプと量を調節することによって、2次元において伸張するように製造できる。ファブリックは、ASTM D 2954による、長手および幅方向における残留伸び(growth)が、約5%未満、好ましくは約4未満、好ましくは約3未満、好ましくは約2未満、好ましくは約1未満で、0.5パーセントのように小さくなるように製造できる。同じ試験(ASTM D 2954)を用いると、60秒での長手残留伸びは、約15未満、好ましくは約12未満、好ましくは約10未満、好ましくは約8%未満であり得る。対応して、同じ試験(ASTM D 2954)を用いると、60秒での幅残留伸びは、約20未満、好ましくは約18未満、好ましくは約16未満、好ましくは約13%未満であり得る。ASTM D 2954の60分試験に関しては、幅残留伸びは、約10未満、好ましくは約9未満、好ましくは約8未満、好ましくは約6%未満であり得る、他方、60分での長手残留伸びは、約8未満、好ましくは約7未満、好ましくは約6未満、好ましくは約5%未満であり得る。前記の小さい残留伸びは、本発明のファブリックが、大きさを依然として管理しながら、約180未満、好ましくは約170未満、好ましくは約160未満、好ましくは約150℃未満からの温度でヒートセットされることを可能にする。
【0245】
本発明の編物または織物は、
(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマー[ここで、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは次の特性の1つまたは複数を有する。

(1)ゼロを超え、約1.0までの平均ブロックインデックス、および約1.3を超える分子量分布、M/M;あるいは、

(2)TREFを用いて分別した時、40℃と130℃の間で溶離する少なくとも1つの分子フラクション、このフラクションは少なくとも0.5で約1までのブロックインデックスを有することに特徴がある;あるいは

(3)約1.7から約3.5のM/M、少なくとも1つの融点、T(℃)、および密度、d(g/cm)、ここで、Tおよびdの数値は、次の関係式:

>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)

に対応する;あるいは

(4)約1.7から約3.5のM/M;融解熱、ΔH(J/g)、および最高のDSCピークと最高のCRYSTAFピークとの間の温度差として定義されるデルタ量、ΔT(℃)によって特徴付けられ、ここで、ΔTおよびΔHの数値は次の関係式:

ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHがゼロより大きく130J/gまでの場合)

ΔT≧48℃(ΔHが130J/gを超える場合)

を有し、
ここで、CRYSTAFピークは、少なくとも5パーセントの累積ポリマーを用いて決められ、5パーセント未満のポリマーが確認できるCRYSTAFピークを有する場合には、CRYSTAF温度は30℃である;あるいは

(5)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムにより測定される、300パーセント歪および1サイクルでの弾性回復、Re(%);また、密度、d(g/cm)を有し、ここで、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが実質的に架橋相を含まない場合、次の関係式:

Re>1481−1629(d)

を満たす;あるいは

(6)TREFを用いて分別した時、40℃と130℃の間で溶離する分子フラクション、このフラクションは、同じ温度の間で溶離する比較対象のエチレンランダムインターポリマーフラクションより、少なくとも5パーセント大きいコモノマーモル含量を有することに特徴があり、ここで、比較対象の該エチレンランダムインターポリマーは、同じ(1種または複数の)コモノマーを有し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を有する;あるいは

(7)25℃での貯蔵弾性率、G’(25℃)、および100℃での貯蔵弾性率、G’(100℃)、ここで、G’(25℃)とG’(100℃)の比は、約1:1から約9:1の範囲にある];および

(B)少なくとも1種の他の材料
を含む。
【0246】
編物および織物におけるエチレン/α−オレフィンインターポリマーの量は、用途および所望の性質に応じて変わる。ファブリックは通常、少なくとも約1、好ましくは少なくとも約2、好ましくは少なくとも約5、好ましくは少なくとも約7重量パーセントのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む。ファブリックは通常、約50未満、好ましくは約40未満、好ましくは約30未満、好ましくは約20未満、より好ましくは約10重量パーセント未満のエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む。通常、用いられるエチレン/α−インターポリマーが多いほど、ファブリックはより大きな伸張性を有するであろう。エチレン/α−インターポリマーは、繊維の形態であることができ、1種または複数の他の適切なポリマー(例えば、これらには、ポリオレフィン、例えば、エチレンランダムコポリマー、HDPE、LLDPE、LDPE、ULDPE、ポリプロピレンホモポリマー、コポリマー、プラストマーおよびエラストマー、スチレンブロックコポリマー、ラストール(lastol)、ポリアミドなど)とブレンドされ得る。このような他の(1種または複数の)ポリマーの量は、所望の弾性、および用いられる特定のエチレン/α−インターポリマーとの相溶性に応じて異なる。
【0247】
編物または織物は、通常、少なくとも1種の他の材料を含む。他の材料は、これらに限らないが、セルロース、綿、亜麻、ラミー、レーヨン、ナイロン、ビスコース、ヘンプ、ウール、絹、麻、竹、テンセル、ビスコース、モヘア、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリオレフィン、他のセルロース系材料、タンパク質、または合成品、さらにはこれらの混合物を含めて、適切な任意の材料であり得る。しばしば、他の材料がファブリックの大部分を占める。このような場合には、他の材料は、ファブリックの少なくとも約50、好ましくは少なくとも約60、好ましくは少なくとも約70、好ましくは少なくとも約80、時には、90〜95重量パーセントのように多くを占めることが好ましい。
【0248】
エチレン/α−オレフィンインターポリマー、他の材料または両方は、繊維の形態にあり得る。好ましい太さは、少なくとも約1、好ましくは少なくとも約20、好ましくは少なくとも約50で、大きくても約180、好ましくは大きくても約150、好ましくは大きくても約100、好ましくは大きくても約80デニールまでのデニールを含む。
【0249】
特に好ましい丸編物(circular knit fabrics)は、繊維の形態のエチレン/α−オレフィンインターポリマーを、ファブリックの約5から約20パーセント(重量で)の量で含む。特に好ましい経編物は、繊維の形態のエチレン/α−オレフィンインターポリマーを、繊維の形態でファブリックの約10から約30パーセント(重量で)の量で含む。しばしば、このような経編物(warp knit)および丸編物は、また、ポリエステルも含む。
【0250】
ファブリックの性質は、ファブリックのタイプに応じて変えられ得る。編物は通常、AATCC 135による洗いの後、水平方向、垂直方向、または両方向のいずれかにおいて、約5未満、好ましくは4未満、好ましくは3未満、好ましくは2未満、好ましくは1未満、好ましくは0.5未満、好ましくは0.25未満の収縮パーセント(percent shrinkage)を有する。より特定すると、しばしば、ファブリック(ヒートセット後)は、AATCC135 IVAiにより、長手方向、幅方向、または両方向において、約−5%から約+5%、好ましくは約−3%から約+3%、好ましくは約−2%から約+2%、より好ましくは約−1%から約+1%の寸法安定性を有する。
【0251】
有利にも、本発明の編物は、破断なく、アイレットフィーダーシステム、プーリーシステム、またはこれらの組合せを含む編機を用いて製造され得る。このため、改善された寸法安定性(長手および幅)、小さい残留伸びおよび小さい収縮、大きさを制御しながら低温でヒートセットできること、小さい水分率を有する伸張性丸編物が、それほどの破断なく、高スループットで、また多様な丸編機で中断(derailing)なく、製造され得る。
【0252】
本発明の組成物による繊維を用いて製造される厚手のファブリック(heavy weight fabrics)は、化学的処理および/または熱処理を含めて、しばしば、工業的洗濯条件に耐えることができる。特定の実施形態において、化学的処理および/または熱処理は、10重量%の次亜塩素酸ナトリウム溶液に、少なくとも140°Fの温度で、少なくとも90分間曝すこと;5重量%の過マンガン酸塩溶液に、少なくとも140°Fの温度で、少なくとも90分間曝すこと;少なくとも約65℃の温度での50サイクルの工業的洗濯;パークロロエチレンによる20サイクルのドライクリーニング;またはマーセル化(mercerization)を含む。前記の性能のために、本明細書に記載のいくつかの厚手ファブリックは、マーセル化、漂白、および/または、防皺性および耐炎性仕上げのようなテキスタイル処理を受けることが、それほどの残留伸びなしに、可能であり得る。
【0253】
ファブリックの仕上げステップは、しばしば、さらなるステップを含み得る。通常の仕上げステップの例には、次のステップの1つまたは複数が含まれる:毛羽焼き(singeing)、スカーリング、乾燥、柔軟化、サンフォライズ(sanforizing)、マーセル化、衣類洗濯(ストーンウォッシング、漂白、色抜き、中和またはすすぎ洗い、酵素漂白、マーブルホワイト仕上げ、ソイルリリース(soil release)、ノーアイロン処理、防皺仕上げ、難燃仕上げなど)。好ましくは、ファブリック仕上げは、シンギング(singing)、洗濯、乾燥およびサンフォライズを含む。ファブリックの収縮(したがってまた伸張)を進展させるのに必要とされる臨界温度は、しばしば、洗濯ステップの間に到達され、40から140℃、または60から125℃の範囲にある、どこかの時点である。別の実施形態において、好ましい仕上げステップは、毛羽焼き(singing)、洗濯、柔軟化、乾燥およびサンフォライズ、緊密化(compacting);ステインリリース(stain release)、防皺、または難燃仕上げの適用を含む。特定の実施形態において、衣類の洗濯は、また、ファブリックが衣類に縫い上げられた後で用いられ得る。
【0254】
摩擦係数の測定(Coefficient of Friction Determination)
「平均摩擦係数」は、Electronic Constant Tension Transporter、またはECTT(Lawson Hemphill)を用いて測定される。その構成の概略が図11に示されている。繊維は、付属フィーダー(Model KTF 100HP、BTSR)を用い、1cNの一定張力で供給され、それは、引き取りロールに、100m/分で巻き上げられる。摩擦ピン(friction pin)の前後の張力が、2つの25cNロードセル(Perma Tens 100p/100cN、Rothschild)により測定される。ロードセルの間で、繊維は、45°の巻き角で、直径6.4mmの摩擦ピンを通過する。摩擦ピンは、Ra=0.14μmの表面粗さを有し、ニッケルメッキ鋼からなる。摩擦係数は、次のオイラーの式から計算される。
【0255】
【数5】


ここで、μは摩擦係数であり、Tはピンの後の張力であり、Tはピンの前の張力であり、θは巻き角(π/4)である。
【0256】
実施例(Examples)
比較例21−エチレン−ビスオレアミドを含まない組成物(Comparative Example 21 - Composition without Ethylene-Bis-Oleamide)
実施例20の弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマー(実施例20に記載の量の添加剤を含む)を、ほぼ円形の横断面を有する30デニールのモノフィラメント繊維を製造するために用いた。繊維を製造する前に、次の添加剤をインターポリマーと共に混練りした:7000ppmのPDMSO(ポリジメチルシロキサン)、3000ppmのCYANOX 1790(1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、および3000ppmのCHIMASORB 944 ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]、ならびに0.5重量%のタルク。添加剤は乾燥なしにインターポリマーとタンブル混合した。混練りは、Krupp Werner & Pfleiderer(Ramsey、ニュージャージー州)によって製造された25mm2軸押出機で、235℃、300rpmで実施した。混練りしたインターポリマーは、ペレット化し、紡糸の前に窒素で一夜乾燥した。
【0257】
ペレットを、チップ(chip)ホッパーに入れ、押出の前に、ペレット床の自由酸素および溶けた酸素を追い出すために窒素により連続的にパージした。パージしたペレットは、L/Dが28:1で40mmの1軸押出機に供給し、260℃の設定温度で押出機から出た。押出機の排出側のブースターギアポンプが、溶融ポリマー流を、2つの紡糸ポンプに送った。ギアポンプを紡糸ポンプに連結する紡糸ビーム(spin beam)マニホールドを300℃に加熱した。冷却は、0.25m/sおよび18Cで、空気交差流によって行った。12−末端紡糸ポンプが、溶融ポリマー流を、325メッシュの紡糸パックフィルターを通し、次いで0.8mmの円形ダイを通し計量供給した。紡糸ヘッドのヒーター温度は300℃に設定した。紡糸ポンプの速さは、30デニール(グラム/9000m)の繊維を生成するように調節した。LUROL 8517(Goulston Technologies,Inc)紡糸仕上げ(5%の鉱油を含む57cStのジメチコン流体系)を、個別のセラミックフォーク(fork)ノズルを用い、2.0wt%の目標レベルで繊維表面に添加した。
【0258】
紡糸速度(巻取機速度)は、750m/分であり、繊維は、0%の総冷延伸で、2つのゴデットロールで引き取った(ゴデットロール#1速度=750m/分、ゴデットロール#2速度=750m/分)。弾性繊維は、公称螺旋角に線形変動(lineal variation)を有する(83mmで13°、110mmで16°、146mmで13°)標準的な弾性体巻取機を用いることによって、外径83mmの紙芯コーン(SONOCO INC.)に巻いた。巻取り摩擦ロールの圧力は60ニュートンであった。トラバースカムの公称ストロークは44mmであった。螺旋角アンチリボン(anti ribbon)は10%周期および5%振幅に調節した。得られた300gの重さのスプールパッケージを、窒素で真空パックし、29.6Kgy/パスの6つのパスを用い、各e−線照射パスの間に冷却ステップを置き、176.4Kgyの公称線量で電子線照射によって架橋した。
【0259】
実施例22−エチレン−ビス−オレアミドを含む組成物(Example 22 - Composition with Ethylene-Bis-Oleamide)
0.5重量パーセントのエチレン−ビス−オレアミドをインターポリマーおよび添加剤と共に混練りしたこと以外は、実施例21の手順に従った。
【0260】
実施例23−丸編み繰り出し試験および摩擦係数試験(Example 23 - Circular Knit Unwinding Test and coefficient of friction test)
比較例21および実施例22の繊維を、Memminger−IroモデルMer−2ポジティブフィーダー(positive feeder)を装備したMAYER Relanit 3.2(カム直径30インチ、28インチゲージ)において、繰り出しの試験をした。ポリアミド2/68デニールと一緒にした比較例21の繊維を含む、シングルジャージーファブリック(single Jersey fabric)を製造した。ポリアミド2/68デニールと一緒にした実施例22の繊維を含む、第2のシングルジャージーファブリックを製造した。それぞれの場合に、機械の速さは20rpmであり、弾性体のドラフトは2.5倍であり、編み目長は3mm/針であり、カム速度は20rpmであった。実施例22の繊維では、紙芯までずっと全パッケージを、円滑な繰り出し、およびフィラメントの破断なしに、走らせることが可能であった。比較例21の繊維では、パッケージ中の繊維の全量の約60%が使われた時に、甚だしい数の弾性体の破断により、試験を中断した。
【0261】
平均摩擦係数を、前記の試験を用い、21℃で、張力を1gに制御し、150m/分の引き取り速度で、比較例21および実施例22の繊維について試験した。比較例21は、1.02の摩擦係数を示し、他方、実施例22は1.17の摩擦係数を示した。
【0262】
比較例24−エチレン−ビス−オレアミドを含まない組成物、0%冷延伸(Comparative Example 24 - Composition without Ethylene-Bis-Oleamide, 0% Cold Draw)
ほぼ円形の横断面を有する40デニールのモノフィラメント繊維を製造するために、実施例20の弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマー(実施例20に記載の量の添加剤を含む)を用いた。繊維を製造する前に、次の添加剤をインターポリマーと共に混練りした:7000ppmのPDMSO(ポリジメチルシロキサン)、3000ppmのCYANOX 1790(1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、および3000ppmのCHIMASORB 944 ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]、ならびに0.5重量%のタルク。添加剤は乾燥なしにインターポリマーとタンブル混合した。混練りは、Krupp Werner & Pfleiderer(Ramsey、ニュージャージー州)によって製造された25mm2軸押出機で、235℃、300rpmで実施した。混練りしたインターポリマーは、ペレット化し、紡糸の前に窒素で一夜乾燥した。
【0263】
ペレットを、チップホッパーに入れ、押出の前に、ペレット床の自由酸素および溶けた酸素を追い出すために窒素により連続的にパージした。パージしたペレットは、L/Dが28:1で40mmの1軸押出機に供給し、260℃の設定温度で押出機から出た。押出機の排出側のブースターギアポンプが、溶融ポリマー流を、2つの紡糸ポンプに送った。ギアポンプを紡糸ポンプに連結する紡糸ビームマニホールドを300℃に加熱した。冷却は、0.25m/sおよび18Cで、交差空気流によって行った。12−末端紡糸ポンプが溶融ポリマー流を、325メッシュの紡糸パックフィルターを通し、次いで0.8mmの円形ダイを通し計量供給した。紡糸ヘッドのヒーター温度は300℃に設定した。紡糸ポンプの速度は、40デニール(グラム/9000m)の繊維を生成するように調節した。LUROL 8517(Goulston Technologies,Inc)紡糸仕上げ(5%の鉱油を含む57cStのジメチコン流体系)を、個別のセラミックフォークノズルを用い、2.0wt%の目標レベルで繊維表面に添加した。
【0264】
紡糸速度(巻取機速度)は、1000m/分であり、繊維は、0%の総冷延伸で、2つのゴデットロールで引き取った(ゴデットロール#1速度=1000m/分、ゴデットロール#2速度=1000m/分)。弾性繊維は、公称螺旋角に線形変動を有する(83mmで13°、110mmで16°、146mmで13°)標準的な弾性体巻取機を用いることによって、外径83mmの紙芯コーン(SONOCO INC.)に巻いた。巻取り摩擦ロールの圧力は60ニュートンであった。トラバースカムの公称ストロークは44mmであった。螺旋角アンチリボンは10%周期および5%振幅に調節した。得られた300gの重さのスプールパッケージを、窒素で真空パックし、29.6Kgy/パスの6つのパスを用い、各e−線照射パスの間で冷却ステップを置き、176.4Kgyの公称線量で電子線照射によって架橋した。
【0265】
比較例25−エチレン−ビス−オレアミドを含まない組成物、6%の冷延伸(Comparative Example 25 - Composition without Ethylene-Bis-Oleamide, 6% Cold Draw)
6%の冷延伸(ゴデットロール#1速度=943m/分、ゴデットロール#2速度=971m/分)を用いたこと以外は、実施例24の手順に従った。
【0266】
実施例26−エチレン−ビス−オレアミドを含む組成物、0%の冷延伸(Example 26 - Composition with Ethylene-Bis-Oleamide, 0% Cold Draw)
0.5重量パーセントのエチレン−ビス−オレアミドをインターポリマーおよび添加剤と共に混練りしたこと以外は、実施例24の手順に従った。
【0267】
実施例27−エチレン−ビス−オレアミドを含む組成物、6%の冷延伸(Example 27 - Composition with Ethylene-Bis-Oleamide, 6% Cold Draw)
6%の冷延伸(ゴデットロール#1速度=943m/分、ゴデットロール#2速度=971m/分)を用いたこと以外は、実施例26の手順に従った。
【0268】
実施例28−リリース力プロフィール(Example 28 - Release Force Profile)
比較例24〜25および実施例26〜27の繊維を、図8に示すように、雰囲気条件で、200m/分の引き取り速度で、Lawson and HemphillのE−CTT(電子制御一定張力移送装置(Electronic Constant Tension Transporter))を用い、リリース力プロフィール(オーバーエンド引き取り繰り出し張力)について試験した。0〜50cNのRothschildロードセルを、張力測定を実施するために用いた。データは5分間で集められ、走査の最後の3分間は、繰り出し張力の平均および標準偏差を得るために用いた。300gのボビンを試験に用いた。繰り出し張力測定は、スプールの3か所:内側ボビンコアから約3.0cmの厚さの表面で、内側ボビンコアから1.5cmの厚さで(この位置で、ボビンに巻かれた繊維のほぼ50%の厚さが取り出された)、および内側ボビンコアから0.5cmの厚さで(この位置で、ボビンに巻かれた繊維のほぼ85%の厚さが取り出された)行った。結果は次の表に示し、図9にプロットする。データが示すように、冷延伸の減少は紡糸糸−経路張力を低下させ、これは、スプールパッケージへの圧縮力の低下に導く。しかし、張力ゼロでは、糸の経路は不安定になるので、何らかの紡糸糸−経路張力は必要である。
【0269】
【表12】

【0270】
上の表は、エチレン−ビス−オレアミドを含む組成物から製造した繊維での繰り出し張力が、驚くべきことに、また予想外に、含まないものに対して、改善されていることを示す。例えば、実施例26を比較例25と比較すると、エチレン−ビス−オレアミドを含む組成物から製造された繊維を繰り出す時に、引き取り張力が、0.5cmで、約48%[(3.76−1.94)/3.76]低下していることが確認される。同様に、1.5cmで、引き取り張力に約54%[(2.97−1.37)/2.97]の低下があり、3.0cmで、引き取り張力に約50%[(1.04−0.52)/1.04]の低下がある。
【0271】
実施例29−ファブリック(Example 29 - Fabrics)
2つのシングルジャージーファブリックを製造した。第1のファブリック(ファブリック1)は、実施例21による繊維と2/68デニールのポリアミドとの組合せに基づいていた。第2のファブリック(ファブリック2)は、実施例22よる繊維と2/68デニールのポリアミドとの組合せに基づいていた。どちらのファブリックも次のように仕上げた:
− スカーリング(Scouring):連続洗濯機で、水系界面活性剤を用い、最大洗濯温度は80℃;
− スリット加工(Slitting):ファブリックチューブを開くこと;
− プリセット(Pre-setting):最高チャンバ温度は180℃である、1分間の滞留時間、および35%の過剰投入;
− 染色(Dying):ジェット染色法、最高サイクル温度は105℃、通常のポリアミドの黒色酸性染色法;
− 乾燥(Drying):160℃のチャンバ温度、1分間の滞留時間および25%の過剰投入。
【0272】
ファブリックを、最終幅(ASTM D 3774−96、選択肢B(option B))、最終密度(ASTM D 3776−96、選択肢D(option D))、40℃での洗濯および70℃でのタンブル乾燥による寸法安定性(ISO−5077:1984、ISO−6630:2000)、36Nでの2回目の荷重曲線でのファブリックの伸びおよび40%伸びでの弾性率(改正Mark&Spencer法PA15による)について分析した。機械方向(machine direction)(MD)は、ファブリックを、丸編機で製造された方向(輪奈(wale))を表し、交差方向(cross direction)(CD)は、MDに直交する方向である(コース方向(course direction))。すべての試験は、3回繰返し、結果は下に示す。
【0273】
【表13】

【0274】
【表14】

【0275】
【表15】

【0276】
2つのファブリックは、検査テーブルで目視検査した。破断は、次の方法に従って数えた。
1)20*20cmの21個の正方形を、各ファブリックロールから、図12に示す繰返しパターンに従って切り取った。
2)破断を、各21個の正方形について目視で数えた。結果は、両方のファブリック(ファブリック1および2)共、破断ゼロを示した。色およびファブリックの外観は、目視で調べ、許容できるものであった。したがって、アミドを加えたことの認められる影響は、仕上がったファブリックのレベルでは存在しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマー[ここで、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、次の特性の1つまたは複数を有する:

(1)約1.7から約3.5のM/M、少なくとも1つの融点、T(℃)、および密度、d(g/cm)、ここで、Tおよびdの数値は、次の関係式:

>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)

に対応する;あるいは

(2)約1.7から約3.5のM/M;融解熱、ΔH(J/g)、および最高のDSCピークと最高のCRYSTAFピークとの間の温度差として定義されるデルタ量、ΔT(℃)によって特徴付けられ、ここで、ΔTおよびΔHの数値は次の関係式:

ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHがゼロより大きく130J/gまでの場合)

ΔT≧48℃(ΔHが130J/gを超える場合)

を有し、
ここで、CRYSTAFピークは、少なくとも5パーセントの累積ポリマーを用いて決められ、5パーセント未満のポリマーが確認できるCRYSTAFピークを有する場合には、CRYSTAF温度は30℃である;あるいは

(3)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムにより測定される、300パーセント歪および1サイクルでの弾性回復、Re(%);また、密度、d(g/cm)を有し、ここで、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが実質的に架橋相を含まない場合、次の関係式:Re>1481−1629(d)を満たす;あるいは

(4)TREFを用いて分別した時、40℃と130℃の間で溶離する分子フラクション、このフラクションは、同じ温度の間で溶離する比較対象のエチレンランダムインターポリマーフラクションより、少なくとも5パーセント大きいコモノマーモル含量を有することに特徴があり、ここで、比較対象の該エチレンランダムインターポリマーは、同じ(1種または複数の)コモノマーを有し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を有する;あるいは

(5)25℃での貯蔵弾性率、G’(25℃)、および100℃での貯蔵弾性率、G’(100℃)、ここで、G’(25℃)とG’(100℃)の比は、約1:1から約9:1の範囲にある;あるいは

(6)ゼロを超え約1.0までの平均ブロックインデックス、および約1.3を超える分子量分布、M/M;あるいは

(7)TREFを用いて分別した時、40℃と130℃の間で溶離する少なくとも1つの分子フラクション、このフラクションは、少なくとも0.5で約1までのブロックインデックスを有することに特徴がある];および

(B)1分子当たり約25から約45個の炭素原子を含む脂肪酸アミド
を含む繊維に適する組成物。
【請求項2】
組成物中の脂肪酸アミドの量が、該組成物から製造される繊維を繰り出す時に、引き取り張力を低下させるのに十分である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物中の脂肪酸アミドの量が、全組成物の重量に対して、約0.05から約1.5重量パーセントである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
脂肪酸アミドが、1分子当たり約30から約40個の炭素原子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
脂肪酸アミドが第2級アミドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
脂肪酸アミドが、メチレンビスC13〜21アミド(ここで、C13〜21は、約13から約21個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキレンまたはアルケニレン基を表す)、およびプロピレンビスC11〜19アミド(ここで、C11〜19は、約11から約19個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキレンまたはアルケニレン基を表す)、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
脂肪酸アミドが、エチレンビスオレアミド、エチレンビスステアルアミド、ステアリルエルカミドおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、約0.865から約0.92g/cm(ASTM D 792)の密度、および約0.1から約10g/10分の未架橋メルトインデックスを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、約10重量%から約90重量パーセントのゲル含量まで架橋されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
約1デニールから約200デニールのデニールを有する1種または複数の架橋された繊維の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の組成物を含む架橋された繊維。
【請求項12】
請求項11に記載の架橋された1種または複数の繊維を含むファブリック。
【請求項13】
少なくとも1種の他の材料を含む少なくとも1種の他の繊維をさらに含む、請求項12に記載のファブリック。
【請求項14】
他の材料が、セルロース、綿、亜麻、ラミー、レーヨン、ビスコース、ヘンプ、ウール、絹、麻、竹、テンセル、ビスコース、モヘア、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載のファブリック。
【請求項15】
セルロースが、ファブリックの約60から約97重量パーセントを占める、請求項14に記載のファブリック。
【請求項16】
ポリエステルが、ファブリックの少なくとも約80重量パーセントを占める、請求項14に記載のファブリック。
【請求項17】
エチレン/α−オレフィンンインターポリマーが、ファブリックの約1重量パーセントから約40重量パーセントを占める、請求項12に記載のファブリック。
【請求項18】
テキスタイル物品に適する繊維であって、少なくとも約1%のポリオレフィン(ASTM D629−99による)と少なくとも1種の架橋剤との反応生成物または混合物、および、繊維の重量に対して約0.05から約1.5重量パーセントの、1分子当たり約25から約45個の炭素原子を含む脂肪酸アミドを含み;
該繊維のフィラメントの破断伸びが約200%(ASTM D2653−01(フィラメントの最初の破断時の伸びの試験)による)を超え;約1.5以上の、200%伸びでの荷重/100%伸びでの荷重の比(ASTM D2731−01(完成された繊維の形態における特定の伸びの力の下で)による)を有することをさらに特徴とする繊維。
【請求項19】
ポリオレフィンがエチレン/α−オレフィンインターポリマーであり、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが次の特性:

(1)約1.7から約3.5のM/M、少なくとも1つの融点、T(℃)、および密度、d(g/cm)、ここで、Tおよびdの数値は、次の関係式:

>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)

に対応する;あるいは

(2)約1.7から約3.5のM/M;融解熱、ΔH(J/g)、および最高のDSCピークと最高のCRYSTAFピークとの間の温度差として定義されるデルタ量、ΔT(℃)によって特徴付けられ、ここで、ΔTおよびΔHの数値は次の関係式:

ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHがゼロより大きく130J/gまでの場合)

ΔT≧48℃(ΔHが130J/gを超える場合)

を有し、
ここで、CRYSTAFピークは、少なくとも5パーセントの累積ポリマーを用いて決められ、5パーセント未満のポリマーが確認できるCRYSTAFピークを有する場合には、CRYSTAF温度は30℃である;あるいは

(3)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムにより測定される、300パーセント歪および1サイクルでの弾性回復、Re(%);また、密度、d(g/cm)を有し、ここで、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが実質的に架橋相を含まない場合、次の関係式:Re>1481−1629(d)を満たす;あるいは

(4)TREFを用いて分別した時、40℃と130℃の間で溶離する分子フラクション、このフラクションは、同じ温度の間で溶離する比較対象のエチレンランダムインターポリマーフラクションより、少なくとも5パーセント大きいコモノマーモル含量を有することに特徴があり、ここで、比較対象の該エチレンランダムインターポリマーは、同じ(1種または複数の)コモノマーを有し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を有する;あるいは

(5)25℃での貯蔵弾性率、G’(25℃)、および100℃での貯蔵弾性率、G’(100℃)、ここで、G’(25℃)とG’(100℃)の比は、約1:1から約9:1の範囲にある;あるいは

(6)ゼロを超え約1.0までの平均ブロックインデックス、および約1.3を超える分子量分布、M/M;あるいは

(7)TREFを用いて分別した時、40℃と130℃の間で溶離する少なくとも1つの分子フラクション、このフラクションは、少なくとも0.5で約1までのブロックインデックスを有することに特徴がある

の1つまたは複数を有する、請求項18に記載の繊維。
【請求項20】
架橋剤が照射である、請求項19に記載の繊維。
【請求項21】
脂肪酸アミドが、エチレンビスC12〜20アミド(ここで、C12〜20は、約12から約20個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキレンまたはアルケニレン基を表す)である、請求項18に記載の繊維。
【請求項22】
引き取り張力が、前記繊維を繰り出す時に、約0.05から約1.5重量パーセントの前記脂肪酸アミドを含まない比較対象の繊維より少なくとも10%小さい、請求項18に記載の繊維。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−533246(P2010−533246A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516174(P2010−516174)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/069316
【国際公開番号】WO2009/012073
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】