繊維強化樹脂製の管体
【課題】耐食性に秀れるのは勿論、導入出部や閉塞蓋等を設けるに際し、溶接接合が不要でスーパーステンレス製の管体に比し極めて安価となり、しかも軽量で扱い易い極めて実用性に秀れた繊維強化樹脂製の管体の提供。
【解決手段】流体が導入出する繊維強化樹脂製の管体であって、この繊維強化樹脂製の管体1に、周面から流体を導入若しくは導出する導入出部2を軸方向に間隔をおいて複数並設する。
【解決手段】流体が導入出する繊維強化樹脂製の管体であって、この繊維強化樹脂製の管体1に、周面から流体を導入若しくは導出する導入出部2を軸方向に間隔をおいて複数並設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化樹脂製の管体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
逆浸透法による海水の淡水化プラント設備においては、海水・かん水等を中空糸膜やスパイラル膜を装填した例えば特許文献1に開示されるような圧力容器に導入して圧力を加え、淡水と濃縮海水とに分離する方法を用いるのが一般的である。
【0003】
この圧力容器は、海水を導入し濃縮海水を導出するため、海水、濃縮海水に接する圧力容器、この圧力容器の端部を閉塞する閉塞蓋及び圧力容器に接続される配管には極めて高い耐腐食性(錆に強い特性)が求められる。
【0004】
また、海水を淡水化する逆浸透法においては、800〜1200PSI(5.5〜8.3MPa)という、通常のコンプレッサーで発生させる圧搾空気1MPaの5.5〜8.3倍の圧力が常時、圧力容器の内部にかかっている。
【0005】
ところで、海水を淡水化する圧力容器は、ASME(American Society of Mechanical Engineer)が規定するSection XのQualification Testをクリアしなくてはならない。具体的には、Section XのQualification Testは運転圧力となる800〜1200PSI(5.5〜8.3MPa)の圧力の印加および除圧を10万回繰り返した後、これに圧力を印加をして破壊される際の圧力が、800〜1200PSI(5.5〜8.3MPa)の6倍以上の圧力でなければならない。即ち、海水を淡水化する圧力容器は、4800PSI(33MPa)以上の耐圧力を有するものでなくてならない。
【0006】
以上の事情から、圧力容器に接続される配管は、ステンレスの中でもとりわけ秀れた耐食性を有する例えば254SMO,YUS270,SAF2507やSuper Duplexのようなスーパーステンレス製の管体により構築されている。
【0007】
具体的には、逆浸透法では、Vessel(圧力容器)とROエレメントからなるROモジュールとこれらを連結する配管が必要となる。海水淡水化用ROモジュールには通常6.895MPa(1000PSI)相当またはそれ以上の圧力がかかり、これに使われる配管にも6.895MPa(1000PSI)相当またはそれ以上の圧力がかかるため、耐圧力を考慮した設計が必要となる。
【0008】
例えば図1に図示したようなフレーム体41に複数のROモジュール42を架設し、このROモジュール42の端部に、海水を導入する海水導入管44及び海水を濃縮海水と淡水とに分離した後の当該濃縮海水を導出する濃縮海水導出管45等から成るマニホルド43を設けて海水淡水化装置を構成することになるが、この海水導入管44や濃縮海水導出管45等も圧力容器と同様に例えば254SMO,YUS270,SAF2507やSuper Duplexのようなスーパーステンレス製の管体により構築されている。尚、図中、符号46は淡水を導出する淡水導出管である。
【0009】
【特許文献1】特許第3621058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記海水導入管44及び濃縮海水導出管45は、管体の周面に流体の導入出部47(サイドポート)が多数設けられると共に一端が封止された構成であり、このサイドポートを介してフレーム体41に並設されたROモジュール42の各段の端部と夫々接続されて海水を導入したり濃縮海水を導出したりしている。
【0011】
しかしながら、スーパーステンレス製の管体により構築された配管においては以下のような問題点があることを本発明者等は見い出した。
【0012】
即ち、スーパーステンレス製の管体にサイドポートを設けるためには、管体の周面に横孔を明け、この横孔にスーパーステンレス製の短管を溶接接合する必要があり、溶接部分から腐食し易いのは勿論、高度な溶接技術が必要となり(通常のステンレス溶接では管体が割れてしまうため、溶接の方法や溶接部位の選定等に高度な技術を要する。)、それだけコスト高となる。また、欠陥が見つかった場合の修理も極めて厄介である。更に、昨今のニッケル、モリブデン及びクロムの高騰から一層コスト高となり、また納入期間が長くなることで海水の淡水化プラント設備の工期の長期化にも影響を及ぼしている。
【0013】
また、管体の一端を閉塞する場合は、一端部にスーパーステンレス製の閉塞蓋を溶接接合するか若しくは封止蓋(所謂メクラ蓋)が必要であり、溶接接合する場合には、上記同様の問題が生じる。
【0014】
本発明は、上述の問題点を解決したもので、耐食性に秀れるのは勿論、導入出部や閉塞蓋等を設けるに際し、溶接接合が不要でスーパーステンレス製の管体に比し極めて安価となり、しかも軽量で扱い易い極めて実用性に秀れた繊維強化樹脂製の管体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0016】
流体が導入出する繊維強化樹脂製の管体であって、この管体1は、周面から流体を導入若しくは導出する導入出部2が軸方向に間隔をおいて複数並設されていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0017】
また、流体が導入出する繊維強化樹脂製の管体であって、この管体1は、周面から流体を導入若しくは導出する導入出部2が軸方向に間隔をおいて複数並設されており、破壊圧力が4MPa以上に設定されていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0018】
また、流体が導入出する繊維強化樹脂製の管体であって、この管体1は、周面から流体を導入若しくは導出する導入出部2が軸方向に間隔をおいて複数並設されており、破壊圧力が22MPa以上に設定されていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0019】
また、請求項2,3いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、内径が約4インチ以上であることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0020】
また、請求項1〜4いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記導入出部2は、前記管体1の周面に穿設された貫通孔4と、この貫通孔4に設けられ一端側に鍔部5を有する筒体6とから成り、この筒体6の鍔部5と前記管体1の内周面1aとの間には、この内周面1aの湾曲形状に沿った上面形状を有するスペーサー7が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0021】
また、請求項5記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記筒体6の外周面6aには、この筒体6の外周面6aと前記貫通孔4の内周面4aとの間を封止する第一封止部材8が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0022】
また、請求項5,6いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記鍔部5の上面5aと前記スペーサー7の底面7aとの間には、この鍔部5の上面5aと前記スペーサー7の底面7aとの間を封止する第二封止部材9が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0023】
また、請求項5〜7いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記スペーサー7の上面7bと前記管体1の内周面1aとの間には、このスペーサー7の上面7bと前記管体1の内周面1aとの間を封止する第三封止部材10が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0024】
また、請求項1〜4いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記導入出部2は、前記管体1の周面に穿設され管体内部との連通部に凹段部3を有する貫通孔4と、この貫通孔4に設けられ一端側に前記凹段部3と係止する鍔部5を有する筒体6とから成ることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0025】
また、請求項9記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記筒体6の外周面6aには、この筒体6の外周面6aと前記貫通孔4の内周面4aとの間を封止する第四封止部材11が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0026】
また、請求項9,10いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記鍔部5の上面5aと、この鍔部5の上面5aと対向する前記凹段部3の底面3aとの間には、この鍔部5の上面5aと凹段部3の底面3aとの間を封止する第五封止部材12が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0027】
また、請求項1〜11いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記管体1の一端部が閉塞蓋13により閉塞されていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0028】
また、請求項1〜12いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記管体1の端部に他の部材と接合される接合部14が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0029】
また、請求項13記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記管体1の端面1bと対向する接合部14の対向面14aには、この管体1の端面1bと前記接合部14の対向面14aとの間を封止する第六封止部材15が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0030】
また、請求項1〜14いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記導入出部2は夫々同一周方向位置に設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0031】
また、請求項1〜14いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記導入出部2は夫々隣り合う他の導入出部2と異なる周方向位置に設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0032】
また、請求項16記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記導入出部2は夫々隣り合う他の導入出部2と90°若しくは180°異なる周方向位置に設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0033】
また、流体が導入出する繊維強化樹脂製の管体であって、この管体1は、周面から流体を導入若しくは導出する導入出部2を有し、この導入出部2は、前記管体1の周面に穿設された貫通孔4と、この貫通孔4に設けられ一端側に鍔部5を有する筒体6とから成り、この筒体6の鍔部5と前記管体1の内周面1aとの間には、この内周面1aの湾曲形状に沿った上面形状を有するスペーサー7が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0034】
また、請求項1〜18いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記管体1は逆浸透法を用いた淡水化処理に使用されるものであることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【発明の効果】
【0035】
本発明は上述のように構成したから、耐食性に秀れるのは勿論、導入出部や閉塞蓋等を設けるに際し、溶接接合が不要でスーパーステンレス製の管体に比し極めて安価となり、しかも軽量で扱い易い極めて実用性に秀れた繊維強化樹脂製の管体となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0037】
繊維強化樹脂製であるから極めて耐食性に秀れ、また、軽量であり、しかもスーパーステンレス製に比し極めて安価に複数の導入出部2(サイドポート)を備えた管体1を製造可能となる。
【0038】
具体的には、例えば、導入出部2を、管体1の周面に穿設された貫通孔4と、該貫通孔4に設けられ一端側に鍔部5を有する筒体6とで構成し、この筒体6の鍔部5と管体内周面1aとの間に該内周面1aの湾曲形状に沿った上面形状を有するスペーサー7を設けたり、導入出部2を、管体1の周面に穿設され管体内部との連通部に凹段部3を有する貫通孔4と、該貫通孔4に設けられ一端側に前記凹段部3と係止する鍔部5を有する筒体6とで構成したりすることで、溶接接合を行う必要なく良好に導入出部2を管体1に設けることができる。
【0039】
また、管体1の一端部に閉塞蓋13を設ける場合、例えば管体1の内面に凹部17を設け(管体1は繊維強化樹脂製であるからスーパーステンレス製の管体に比し凹部の形成は容易。)、この凹部17に嵌合されるリテイナーリング16に閉塞蓋13をボルト接合することで設けることができ、溶接接合を行う必要なく良好に一端部を閉塞することが可能となる。
【0040】
また、上述のような閉塞構造及び導入出部2の取付構造を採用することにより、破壊圧力を4MPa以上に設定することが可能となり、例えばROモジュールに使用される配管に要求される5.516MPa(800PSI)以上の設計圧力を実現可能となり、高い耐食性と相俟って、逆浸透法淡水化装置のみならず他の用途、例えば醤油製造装置等の配管として極めて好適に使用可能なものとなる。
【0041】
更に、管体1の端部に接合部14を設ける場合、例えば管体1の端部にボルト接合等により設けることができ、溶接接合を行う必要なく良好に接合部14を設けることができる。
【0042】
従って、高度な溶接技術は不要でそれだけコスト安となり、加えて腐食し易い溶接部分を無くすことができるため、それだけ耐食性に秀れることになり、海水淡水化装置や醤油製造装置等の配管として極めて好適に使用可能なものとなる。
【実施例】
【0043】
本発明の具体的な実施例について図2〜12に基づいて説明する。
【0044】
本実施例は、図2に図示したように、流体が導入出する繊維強化樹脂製の管体であって、該管体1の周面から流体を導入若しくは導出する導入出部2が軸方向に間隔をおいて複数並設されているものである。
【0045】
本実施例は、公知のフィラメントワインディング法により、エポキシ樹脂とこれらの硬化剤を含む樹脂を含浸したガラス繊維をマンドレルの軸芯方向に対して鋭角度で連続的に必要量を巻回(ヘリカル巻)し、エポキシ樹脂を加熱硬化させ、続いて、マンドレルを脱型することで形成されるものであり、上述したような逆浸透法淡水化装置の配管として用いられるものである。尚、エポキシ樹脂に限らず、ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂等、他の樹脂を用いても良いし、ガラス繊維に限らず、カーボン繊維等、他の繊維を用いても良い。また、フィラメントワインディング法に限らず、ハンドレイアップ法やシートワインディング法等、他の方法を用いて形成しても良い。
【0046】
各部を具体的に説明する。
【0047】
管体1の一端部は、管体1の内周面1aと略同径の繊維強化樹脂製(FRP製)の閉塞蓋13を、図3に図示したように管体1の内周面1aに設けられた凹部17に配設されるFRP製のリテイナーリング16にボルトで接合することで閉塞されている。図中、符号20は閉塞蓋13と管体1の内周面1aとの間を閉塞するOリングである。
【0048】
尚、凹部17は、単に閉塞蓋13の内周面1aを切削して凹溝を形成することで設けても良いし、特開2006−015573号公報に開示されるような方法を採用しても良い。また、特開2006−281619号公報や特開2006−283879号公報に開示されるように、予め繊維を巻回する際にマンドレルにリング体等を被嵌せしめておき、このリング体により内周面1aに凹部17が形成されるようにして設けても良い。
【0049】
管体1の他端部には、他の部材と接合されるビクトリックジョイント構造の内部流体に適応した材質の接合部14が、接合部14のフランジ部24に形成された貫通孔25を挿通するボルト19により取り付けられている。尚、この他端部は、ボルト19と螺合するネジ穴21を形成するため、やや外径を大にして強度を確保する必要がある。
【0050】
具体的には、管体1の端面1bと対向する接合部14の対向面14aには凹溝18が設けられ、この凹溝18に、この管体1の端面1bと前記接合部14の対向面14aとの間を封止する第六封止部材15(Oリング)が装填されている。尚、管体1の端面1b側に凹溝を設けてOリングを装填しても良いが、管体1の繊維を切断することになり、それだけ管体1の端部の肉厚を大きくする必要がある。即ち、Oリング溝を管体1の端面に設けると、この切断部位が破断の起点となるため、Oリング溝は、ジョイント部材側(接合部14)に設ける方が望ましい。
【0051】
また、導入出部2は夫々同一周方向位置に設けられている。本実施例においては、内径約8インチ、長さ約7200mm(接合部14を含めた長さ)の管体1に12の導入出部2が設けられている。スーパーステンレス製の管体の場合、同様の長さ約7200mmのものを得るためには、例えば2400mm程度の分割体を溶接接合して一体化せしめる必要があるが、フィラメントワインディング法により製造する本実施例は分割体を接合する必要なく、所望の長さの管体を得ることができ、この点からも極めてコスト性に秀れる。
【0052】
尚、上記構成に限らず、導入出部2は夫々隣り合う他の導入出部2と異なる周方向位置に設けても良い。例えば、12時と3時の位置に直列して配する(90°ずつ角度を変える)構成や、12時と6時の位置に直列して配する(180°ずつ角度を変える)構成としても良い。
【0053】
導入出部2は、図3,4に図示したように、管体1の周面に穿設された貫通孔4と、該貫通孔4に設けられ一端側に鍔部5を有する筒体6とから成り、この筒体6の鍔部5と管体内周面1aとの間には、この内周面1aの湾曲形状に沿った上面形状を有するFRP製のスペーサー7が設けられている。尚、図中、符号23は、筒体6と係止するスナップリング22が係止する段部である。
【0054】
具体的には、スペーサー7は、図5に図示したように、その上面7bが管体1の内周面1aの凹湾曲形状に沿うように凸湾曲形状とした所謂かまぼこ形状であり、中央には筒体6の胴部が挿通する挿通孔7cが設けられている。
【0055】
従って、(下記別例2−1,別例2−2のように)管体1の内周面1aに凹段部を形成する必要なく筒体6を鍔部5により抜け止めすることが可能となり、それだけ管体1を肉薄化できることになる。
【0056】
筒体6の外周面6aには、この筒体6の外周面6aと貫通孔4の内周面4aとの間を封止する第一封止部材8(Oリング)が装填されている。従って、この第一封止部材8により筒体6と貫通孔4との間を封止することが可能となる。
【0057】
また、鍔部5の上面5aとスペーサー7の底面7aとの間には、この鍔部5の上面5aとスペーサー7の底面7aとの間を封止する第二封止部材9(平パッキン)が設けられている。更に、スペーサー7の上面7bと管体1の内周面1aとの間には、このスペーサー7の上面7bと管体1の内周面1aとの間を封止する第三封止部材10(平パッキン)が設けられている。
【0058】
従って、仮に内圧による加圧時に貫通孔4が広がり(管体が内圧を受けると、管体全体が膨張する。管体断面で見ると、円の外周が大きくなるような変形をする。)、第一封止部材8が利かなくなった場合でも、内圧によって第二封止部材9及び第三封止部材10が外方に押されることで封止機能は確実に発揮され、それだけシール性の良好なサイドポートとなる。
【0059】
尚、図6,7に図示した別例1のように、平パッキンではなくOリングから成る第二封止部材9’及び第三封止部材10’を採用しても良い。具体的には、スペーサー7の挿通孔7cの下端開口周縁部7eを面取りすると共にスペーサー7の上面7bにOリング配設溝7dを形成し、この下端開口周縁部7dの面取り部分及びOリング配設溝7eにOリング9’・10’を夫々配設しても良い。
【0060】
また、本実施例は上述のように構成しているが、図8に図示した別例2−1のように、例えば、導入出部2は、管体1の周面に穿設され管体内部との連通部に凹段部3を有する貫通孔4と、該貫通孔4に設けられ一端側に前記凹段部3と係止する鍔部5を有する筒体6とで構成しても良い。この場合、筒体6の外周面6aに、この筒体6の外周面6aと前記貫通孔4の内周面4aとの間を封止する第四封止部材11(Oリング)を設け、また、鍔部5の上面5aと、この鍔部5の上面5aと対向する前記凹段部3の底面3aとの間に、この鍔部5の上面5aと凹段部3の底面3aとの間を封止する第五封止部材12(平パッキン)を設けると良い。また、第五封止部材12は、図9に図示した別例2−2ように、鍔部5の周面5bと凹段部3の周面3bとの間に設けても良い。
【0061】
ところで、図1に図示したような海水淡水化装置においては、圧力容器の長さ方向一端部側にある海水導入管44から海水を導入し、圧力容器内に内装された逆浸透膜によって1000PSI(6.9MPa)の圧力下で海水が濃縮海水と淡水とに分離する。濃縮海水は圧力容器の長さ方向他端部側にある濃縮海水排出管45から排出され、淡水は圧力容器の長さ方向両端部(閉塞蓋)に配された淡水導出管46から取り出される。
【0062】
従って、逆浸透膜を洗浄する等のメンテナンスをする場合や2系列の海水淡水化設備を交互に運転する場合には、1000PSI(6.9MPa)を除圧する必要がある。即ち、0PSI(0MPa:除圧時)と1000PSI(6.9MPa:運転時)の圧力サイクルが繰り返されることになる。また、圧力容器に接続される海水導入管44等の他の配管に対しても同様の圧力サイクルが繰り返されることになる。
【0063】
この圧力サイクルに伴い、FRP製の管体1に取り付けられ導入出部2を形成するスーパーステンレス製の筒体6は、圧力印加時にはFRP製の管体の内壁側に押圧され、除圧時にはこの押圧が開放される。従って、筒体6のシール部分には押圧・除圧による擦れが発生する。
【0064】
この際、上記別例2−1及び別例2−2のように、管体1の周面に穿設され管体内部との連通部に凹段部3を有する貫通孔4を設け、この貫通孔4に筒体6を配設した場合、筒体6の鍔部5が管体1の内径側に突出しにくく、凹段部3で鍔部5が固定されるため、圧力印加・除圧の繰り返し時のシール部分への擦れが少なくなるというメリットがあるが、FRP製の管体1に凹段部3を有する貫通孔4を設けるため、管体長軸に対して90°の位置(管体長軸方向を12時・6時の位置とした時、3時・9時の位置)にFRP製の管体1の厚さを大きく削る部分が存在することになり、圧力に対して弱くなった当該部分を補償するために、管体1にして筒体6が設けられる部位の肉厚を厚くするという工夫が必要となる。
【0065】
ところが、圧力容器に接続される海水導入管44等の配管は、内部に逆浸透膜を装填する必要がなく、海水若しくは濃縮海水を導入出する機能があれば良い。これらの配管に設けられる筒体6の鍔部5は、内径側に突出しても実用上問題は起こらない。即ち、これらの配管に上記凹段部3を有する貫通孔4を設けて管体1内部に筒体6の鍔部5を突出させないようにすることもできるが、この方法では、上述したように筒体6を設ける部位の肉厚を厚くするという複雑な工程を必要とする(フィラメントワインディング時に一部の部位だけを局所的に厚くするのは厄介。)。
【0066】
また、筒体6の鍔部5が管体1の内径側に突出すると、圧力容器と同様に筒体6の側部の第一封止部材8(Oリング)によるシールと、管体1の外面で筒体6を固定するスナップリング22(C型止め輪)による固定では、筒体6の鍔部5は管体内壁の3時と9時の位置で管体内壁に接触するが、それ以外の部位は管体1のどの部分にも接触しない。このような形態であると、圧力の印加・除圧のサイクルにより筒体全体が膨張し、Oリング部位の変形を生じ、Oリング部位の擦れが大きくなる。Oリング部位の擦れが繰り返されると、その部分の海水のシール性が損なわれ、水漏れが生じてしまう。
【0067】
そこで、筒体6の鍔部5と管体内壁との接触性を改善するため、かまぼこ形状の上記スペーサー7を設けている。更に、スペーサー7の管体1の内周面1aの凹湾曲形状に沿うような凸湾曲形状に形成された上面7bと、底面7aに平パッキン(若しくはOリング)を設け、筒体6、管体1及びスペーサー7をシールしている。これにより、圧力の印加・除圧のサイクルに対してOリング部位の擦れを軽減でき、水漏れの発生をなくすことが可能となる。平パッキンを用いる場合はスペーサー7に複雑な加工を施す必要はないが、Oリングを用いる場合はスペーサーにOリング配設溝を形成する必要がある。尚、平パッキンを用いた場合は、1万サイクルの圧力印加・除圧に耐えることができ、Oリングを用いた場合は、10万サイクルの圧力印加・除圧に耐えることができることを確認している。
【0068】
尚、本実施例は上述のように複数の導入出部2を設けた構成について説明しているが、単一の導入出部2を設ける構成としても良い。
【0069】
また、管体1には、この管体1の長さ方向に凸条部26が所定間隔で複数設けられている。この凸条部26の一端側には管体1の長さ方向に対して垂直な垂直面26aが設けられ、他端側にはテーパ面26bが設けられている。本実施例においては、管体1を垂直なフレーム27(支持躯体)に垂直状態で取り付けることを想定し、垂直面26aを下側に、テーパ面26bを上側に設けている。従って、図10に図示したように、垂直面26aと係止するU字状のバンド体28をフレーム27にボルト29等で固定することで、管体1をフレーム27に堅固に支持することが可能となる。
【0070】
尚、凸条部26は、管体1と同時にフィラメントワインディング法により一体成形しても良いし、管体1を成形した後、(管体1と同材料若しくは異材料を)後付けしても良い。管体1と同時に一体成形した場合には、管体1と一体化するため剥離し難く極めて強度に秀れ、それだけ良好に管体1をフレーム27に支持することが可能となる。
【0071】
また、例えば図11に図示したように水平に取り付ける場合等を想定し、凸条部26をその垂直面26a同士が向かい合うように一対ずつ所定間隔で複数対設ける構成としても良い。この場合には、垂直面26a同士が向かい合う一対の凸条部26間に各垂直面26aと係止するU字状のバンド体28を設け、このバンド体28を(垂直若しくは水平な)フレーム27に固定することで、管体1がウォーターハンマー(水撃作用)等による衝撃を受けても管体1を堅固に支持することが可能となる。
【0072】
また、本実施例は、管体1の閉塞構造として上述のような閉塞蓋13等による閉塞構造を採用しているが、これ以外の閉塞構造を採用しても良い。また、本実施例は、管体1の接合構造として上述のような接合部14による接合構造を採用しているが、これ以外の接合構造を採用しても良い。
【0073】
本実施例は上述のように構成したから、繊維強化樹脂製であるから極めて耐食性に秀れ、また、軽量であり、しかもスーパーステンレス製に比し極めて安価に複数の導入出部2(サイドポート)を備えた管体1を製造可能となる。
【0074】
即ち、導入出部2は、管体1の周面に穿設された貫通孔4と、該貫通孔4に設けられ一端側に鍔部5を有する筒体6とで構成し、この筒体6の鍔部5と管体内周面1aとの間に該内周面1aの湾曲形状に沿った上面形状を有するスペーサー7を設けることで、溶接接合を行う必要なく良好に導入出部2を管体1に設けることができる。
【0075】
また、筒体6の抜け止めに際し、管体1の内周面1aを切削する必要がなくなり、それだけ管体1の厚さを薄くすることができ、一層安価且つ軽量とすることが可能となる。
【0076】
また、閉塞蓋13は、管体1の内面に凹部17を設け、この凹部17に嵌合されるリテイナーリング16に閉塞蓋13をボルト接合することで設けることができ、溶接接合を行う必要なく良好に一端部を閉塞することが可能となる。
【0077】
この凹部17,リテイナーリング16及び閉塞蓋13による閉塞構造により、破壊圧力を22MPa以上、具体的には海水淡水化用途として用いる際に満たす必要がある最低の破壊圧力である27.58MPa以上に設定することが可能となり、従って、5.516MPa(800PSI)以上の設計圧力を実現可能となり、高い耐食性と相俟って、海水淡水化装置のみならず他の用途、例えば醤油製造装置等の配管として極めて好適に使用可能なものとなる。
【0078】
更に、接合部14は、管体1の他端部にボルト接合により設けることができ、溶接接合を行う必要なく良好に接合部14を設けることができる。この部位はOリングが装てんされているために、管体が圧力を受けても、管体内部に流れる流体(海水や濃縮海水)が漏れることのないシール性の良好な配管機構となる。加えて、この部位だけの交換が可能となる(溶接していれば、溶断するか、管体全体を全て交換しなくてはならない。)。
【0079】
また、各接合部分に封止部材を設けることで、溶接接合をする必要なく、良好な封止性を発揮することが可能となり、溶接部分から腐食することがない分、スーパーステンレス製の管体に比し耐食性に秀れることになる。
【0080】
従って、本実施例は、耐食性に秀れるのは勿論、導入出部,閉塞蓋,接合部を設けるに際し、溶接接合が不要でスーパーステンレス製の管体に比し極めて安価且つ軽量で扱い易い極めて実用性に秀れたものとなる。
【0081】
本実施例の効果を裏付ける実験例について説明する。
【0082】
図12に図示したように実験例1〜5は、A、BおよびCの3つの要求条件となる、Aは接合部の接合構造、Bは閉塞蓋による閉塞構造、Cは導入出部の構造を全て加味した試作品のバースト(破壊)試験結果を表している。各実験例は以下に示す要因を特化し、各条件を変化させて破壊圧力(Burst Pressure)の変化を調べた。尚、規格値は海水淡水化装置に用いる際に満たす必要がある最低の破壊圧力27.58MPa(4000PSI)の値としている。
【0083】
実験例1:フィラメントワインディング管体1そのものの肉厚を厚くした場合
実験例2:フランジ部24の厚さを実験例1より薄くし、リテイナーリング凹部17から管体1の端部までの長さを実験例1より短くした場合
実験例3:実験例2の導入出部2の周囲にフープ巻きをし、この周囲の破壊圧力の向上を図った場合
実験例4:フィラメントワインディング管体1そのものの肉厚を実験例3より薄くし、導入出部2の筒体6のシーリング方法を第一封止部材8(Oリング)と第二封止部材9、第三封止部材10(平パッキン)を組み合わせ、更に、湾曲形状に沿った上面形状を有するスペーサー7を設けた場合
実験例5:実験例4よりフィラメントワインディング管体1そのものの肉厚を厚くする一方、導入出部2の周囲のフープ巻きをなくした場合
【0084】
実験例1〜3は、上記別例のように貫通孔に凹段部を設けた場合であり、実験例1,2の比較から、貫通孔の凹段部の形状が破壊圧力に影響することが確認できた。また、実験例2,3の比較から、凹段部が弱い形状であっても、肉厚を厚くし、フープ層で補強することで規格値を満たすことが可能であることが確認できた。
【0085】
実験例4,5は上記本実施例のようにスペーサーを設けた場合であり、いずれの形状であっても規格値を満たすことが確認できた。
【0086】
また、実験例1〜3と実験例4,5との比較から、スペーサーを設けた場合、即ち、管体の内周面を切削しない場合には、より肉薄で良好な破壊圧力を得られることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】海水淡水化装置の一例を示す概略説明斜視図である。
【図2】本実施例の概略説明斜視図である。
【図3】本実施例の拡大概略説明縦断面図である。
【図4】本実施例の拡大概略説明横断面図である。
【図5】本実施例のスペーサーの概略説明斜視図である。
【図6】別例1の拡大概略説明横断面図である。
【図7】別例1のスペーサーの概略説明斜視図である。
【図8】別例2−1の拡大概略説明横断面図である。
【図9】別例2−2の拡大概略説明横断面図である。
【図10】本実施例の概略説明斜視図である。
【図11】別例3の概略説明斜視図である。
【図12】実験条件及び実験結果を示す表である。
【符号の説明】
【0088】
1 管体
1a 内周面
2 導入出部
3 凹段部
3a 底面
4 貫通孔
4a 内周面
5 鍔部
5a 上面
6 筒体
6a 外周面
7 スペーサー
7a 底面
7b 上面
8 第一封止部材
9 第二封止部材
10 第三封止部材
11 第四封止部材
12 第五封止部材
13 閉塞蓋
14 接合部
14a 対向面
15 第六封止部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化樹脂製の管体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
逆浸透法による海水の淡水化プラント設備においては、海水・かん水等を中空糸膜やスパイラル膜を装填した例えば特許文献1に開示されるような圧力容器に導入して圧力を加え、淡水と濃縮海水とに分離する方法を用いるのが一般的である。
【0003】
この圧力容器は、海水を導入し濃縮海水を導出するため、海水、濃縮海水に接する圧力容器、この圧力容器の端部を閉塞する閉塞蓋及び圧力容器に接続される配管には極めて高い耐腐食性(錆に強い特性)が求められる。
【0004】
また、海水を淡水化する逆浸透法においては、800〜1200PSI(5.5〜8.3MPa)という、通常のコンプレッサーで発生させる圧搾空気1MPaの5.5〜8.3倍の圧力が常時、圧力容器の内部にかかっている。
【0005】
ところで、海水を淡水化する圧力容器は、ASME(American Society of Mechanical Engineer)が規定するSection XのQualification Testをクリアしなくてはならない。具体的には、Section XのQualification Testは運転圧力となる800〜1200PSI(5.5〜8.3MPa)の圧力の印加および除圧を10万回繰り返した後、これに圧力を印加をして破壊される際の圧力が、800〜1200PSI(5.5〜8.3MPa)の6倍以上の圧力でなければならない。即ち、海水を淡水化する圧力容器は、4800PSI(33MPa)以上の耐圧力を有するものでなくてならない。
【0006】
以上の事情から、圧力容器に接続される配管は、ステンレスの中でもとりわけ秀れた耐食性を有する例えば254SMO,YUS270,SAF2507やSuper Duplexのようなスーパーステンレス製の管体により構築されている。
【0007】
具体的には、逆浸透法では、Vessel(圧力容器)とROエレメントからなるROモジュールとこれらを連結する配管が必要となる。海水淡水化用ROモジュールには通常6.895MPa(1000PSI)相当またはそれ以上の圧力がかかり、これに使われる配管にも6.895MPa(1000PSI)相当またはそれ以上の圧力がかかるため、耐圧力を考慮した設計が必要となる。
【0008】
例えば図1に図示したようなフレーム体41に複数のROモジュール42を架設し、このROモジュール42の端部に、海水を導入する海水導入管44及び海水を濃縮海水と淡水とに分離した後の当該濃縮海水を導出する濃縮海水導出管45等から成るマニホルド43を設けて海水淡水化装置を構成することになるが、この海水導入管44や濃縮海水導出管45等も圧力容器と同様に例えば254SMO,YUS270,SAF2507やSuper Duplexのようなスーパーステンレス製の管体により構築されている。尚、図中、符号46は淡水を導出する淡水導出管である。
【0009】
【特許文献1】特許第3621058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記海水導入管44及び濃縮海水導出管45は、管体の周面に流体の導入出部47(サイドポート)が多数設けられると共に一端が封止された構成であり、このサイドポートを介してフレーム体41に並設されたROモジュール42の各段の端部と夫々接続されて海水を導入したり濃縮海水を導出したりしている。
【0011】
しかしながら、スーパーステンレス製の管体により構築された配管においては以下のような問題点があることを本発明者等は見い出した。
【0012】
即ち、スーパーステンレス製の管体にサイドポートを設けるためには、管体の周面に横孔を明け、この横孔にスーパーステンレス製の短管を溶接接合する必要があり、溶接部分から腐食し易いのは勿論、高度な溶接技術が必要となり(通常のステンレス溶接では管体が割れてしまうため、溶接の方法や溶接部位の選定等に高度な技術を要する。)、それだけコスト高となる。また、欠陥が見つかった場合の修理も極めて厄介である。更に、昨今のニッケル、モリブデン及びクロムの高騰から一層コスト高となり、また納入期間が長くなることで海水の淡水化プラント設備の工期の長期化にも影響を及ぼしている。
【0013】
また、管体の一端を閉塞する場合は、一端部にスーパーステンレス製の閉塞蓋を溶接接合するか若しくは封止蓋(所謂メクラ蓋)が必要であり、溶接接合する場合には、上記同様の問題が生じる。
【0014】
本発明は、上述の問題点を解決したもので、耐食性に秀れるのは勿論、導入出部や閉塞蓋等を設けるに際し、溶接接合が不要でスーパーステンレス製の管体に比し極めて安価となり、しかも軽量で扱い易い極めて実用性に秀れた繊維強化樹脂製の管体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0016】
流体が導入出する繊維強化樹脂製の管体であって、この管体1は、周面から流体を導入若しくは導出する導入出部2が軸方向に間隔をおいて複数並設されていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0017】
また、流体が導入出する繊維強化樹脂製の管体であって、この管体1は、周面から流体を導入若しくは導出する導入出部2が軸方向に間隔をおいて複数並設されており、破壊圧力が4MPa以上に設定されていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0018】
また、流体が導入出する繊維強化樹脂製の管体であって、この管体1は、周面から流体を導入若しくは導出する導入出部2が軸方向に間隔をおいて複数並設されており、破壊圧力が22MPa以上に設定されていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0019】
また、請求項2,3いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、内径が約4インチ以上であることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0020】
また、請求項1〜4いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記導入出部2は、前記管体1の周面に穿設された貫通孔4と、この貫通孔4に設けられ一端側に鍔部5を有する筒体6とから成り、この筒体6の鍔部5と前記管体1の内周面1aとの間には、この内周面1aの湾曲形状に沿った上面形状を有するスペーサー7が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0021】
また、請求項5記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記筒体6の外周面6aには、この筒体6の外周面6aと前記貫通孔4の内周面4aとの間を封止する第一封止部材8が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0022】
また、請求項5,6いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記鍔部5の上面5aと前記スペーサー7の底面7aとの間には、この鍔部5の上面5aと前記スペーサー7の底面7aとの間を封止する第二封止部材9が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0023】
また、請求項5〜7いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記スペーサー7の上面7bと前記管体1の内周面1aとの間には、このスペーサー7の上面7bと前記管体1の内周面1aとの間を封止する第三封止部材10が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0024】
また、請求項1〜4いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記導入出部2は、前記管体1の周面に穿設され管体内部との連通部に凹段部3を有する貫通孔4と、この貫通孔4に設けられ一端側に前記凹段部3と係止する鍔部5を有する筒体6とから成ることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0025】
また、請求項9記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記筒体6の外周面6aには、この筒体6の外周面6aと前記貫通孔4の内周面4aとの間を封止する第四封止部材11が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0026】
また、請求項9,10いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記鍔部5の上面5aと、この鍔部5の上面5aと対向する前記凹段部3の底面3aとの間には、この鍔部5の上面5aと凹段部3の底面3aとの間を封止する第五封止部材12が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0027】
また、請求項1〜11いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記管体1の一端部が閉塞蓋13により閉塞されていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0028】
また、請求項1〜12いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記管体1の端部に他の部材と接合される接合部14が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0029】
また、請求項13記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記管体1の端面1bと対向する接合部14の対向面14aには、この管体1の端面1bと前記接合部14の対向面14aとの間を封止する第六封止部材15が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0030】
また、請求項1〜14いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記導入出部2は夫々同一周方向位置に設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0031】
また、請求項1〜14いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記導入出部2は夫々隣り合う他の導入出部2と異なる周方向位置に設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0032】
また、請求項16記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記導入出部2は夫々隣り合う他の導入出部2と90°若しくは180°異なる周方向位置に設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0033】
また、流体が導入出する繊維強化樹脂製の管体であって、この管体1は、周面から流体を導入若しくは導出する導入出部2を有し、この導入出部2は、前記管体1の周面に穿設された貫通孔4と、この貫通孔4に設けられ一端側に鍔部5を有する筒体6とから成り、この筒体6の鍔部5と前記管体1の内周面1aとの間には、この内周面1aの湾曲形状に沿った上面形状を有するスペーサー7が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【0034】
また、請求項1〜18いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記管体1は逆浸透法を用いた淡水化処理に使用されるものであることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体に係るものである。
【発明の効果】
【0035】
本発明は上述のように構成したから、耐食性に秀れるのは勿論、導入出部や閉塞蓋等を設けるに際し、溶接接合が不要でスーパーステンレス製の管体に比し極めて安価となり、しかも軽量で扱い易い極めて実用性に秀れた繊維強化樹脂製の管体となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0037】
繊維強化樹脂製であるから極めて耐食性に秀れ、また、軽量であり、しかもスーパーステンレス製に比し極めて安価に複数の導入出部2(サイドポート)を備えた管体1を製造可能となる。
【0038】
具体的には、例えば、導入出部2を、管体1の周面に穿設された貫通孔4と、該貫通孔4に設けられ一端側に鍔部5を有する筒体6とで構成し、この筒体6の鍔部5と管体内周面1aとの間に該内周面1aの湾曲形状に沿った上面形状を有するスペーサー7を設けたり、導入出部2を、管体1の周面に穿設され管体内部との連通部に凹段部3を有する貫通孔4と、該貫通孔4に設けられ一端側に前記凹段部3と係止する鍔部5を有する筒体6とで構成したりすることで、溶接接合を行う必要なく良好に導入出部2を管体1に設けることができる。
【0039】
また、管体1の一端部に閉塞蓋13を設ける場合、例えば管体1の内面に凹部17を設け(管体1は繊維強化樹脂製であるからスーパーステンレス製の管体に比し凹部の形成は容易。)、この凹部17に嵌合されるリテイナーリング16に閉塞蓋13をボルト接合することで設けることができ、溶接接合を行う必要なく良好に一端部を閉塞することが可能となる。
【0040】
また、上述のような閉塞構造及び導入出部2の取付構造を採用することにより、破壊圧力を4MPa以上に設定することが可能となり、例えばROモジュールに使用される配管に要求される5.516MPa(800PSI)以上の設計圧力を実現可能となり、高い耐食性と相俟って、逆浸透法淡水化装置のみならず他の用途、例えば醤油製造装置等の配管として極めて好適に使用可能なものとなる。
【0041】
更に、管体1の端部に接合部14を設ける場合、例えば管体1の端部にボルト接合等により設けることができ、溶接接合を行う必要なく良好に接合部14を設けることができる。
【0042】
従って、高度な溶接技術は不要でそれだけコスト安となり、加えて腐食し易い溶接部分を無くすことができるため、それだけ耐食性に秀れることになり、海水淡水化装置や醤油製造装置等の配管として極めて好適に使用可能なものとなる。
【実施例】
【0043】
本発明の具体的な実施例について図2〜12に基づいて説明する。
【0044】
本実施例は、図2に図示したように、流体が導入出する繊維強化樹脂製の管体であって、該管体1の周面から流体を導入若しくは導出する導入出部2が軸方向に間隔をおいて複数並設されているものである。
【0045】
本実施例は、公知のフィラメントワインディング法により、エポキシ樹脂とこれらの硬化剤を含む樹脂を含浸したガラス繊維をマンドレルの軸芯方向に対して鋭角度で連続的に必要量を巻回(ヘリカル巻)し、エポキシ樹脂を加熱硬化させ、続いて、マンドレルを脱型することで形成されるものであり、上述したような逆浸透法淡水化装置の配管として用いられるものである。尚、エポキシ樹脂に限らず、ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂等、他の樹脂を用いても良いし、ガラス繊維に限らず、カーボン繊維等、他の繊維を用いても良い。また、フィラメントワインディング法に限らず、ハンドレイアップ法やシートワインディング法等、他の方法を用いて形成しても良い。
【0046】
各部を具体的に説明する。
【0047】
管体1の一端部は、管体1の内周面1aと略同径の繊維強化樹脂製(FRP製)の閉塞蓋13を、図3に図示したように管体1の内周面1aに設けられた凹部17に配設されるFRP製のリテイナーリング16にボルトで接合することで閉塞されている。図中、符号20は閉塞蓋13と管体1の内周面1aとの間を閉塞するOリングである。
【0048】
尚、凹部17は、単に閉塞蓋13の内周面1aを切削して凹溝を形成することで設けても良いし、特開2006−015573号公報に開示されるような方法を採用しても良い。また、特開2006−281619号公報や特開2006−283879号公報に開示されるように、予め繊維を巻回する際にマンドレルにリング体等を被嵌せしめておき、このリング体により内周面1aに凹部17が形成されるようにして設けても良い。
【0049】
管体1の他端部には、他の部材と接合されるビクトリックジョイント構造の内部流体に適応した材質の接合部14が、接合部14のフランジ部24に形成された貫通孔25を挿通するボルト19により取り付けられている。尚、この他端部は、ボルト19と螺合するネジ穴21を形成するため、やや外径を大にして強度を確保する必要がある。
【0050】
具体的には、管体1の端面1bと対向する接合部14の対向面14aには凹溝18が設けられ、この凹溝18に、この管体1の端面1bと前記接合部14の対向面14aとの間を封止する第六封止部材15(Oリング)が装填されている。尚、管体1の端面1b側に凹溝を設けてOリングを装填しても良いが、管体1の繊維を切断することになり、それだけ管体1の端部の肉厚を大きくする必要がある。即ち、Oリング溝を管体1の端面に設けると、この切断部位が破断の起点となるため、Oリング溝は、ジョイント部材側(接合部14)に設ける方が望ましい。
【0051】
また、導入出部2は夫々同一周方向位置に設けられている。本実施例においては、内径約8インチ、長さ約7200mm(接合部14を含めた長さ)の管体1に12の導入出部2が設けられている。スーパーステンレス製の管体の場合、同様の長さ約7200mmのものを得るためには、例えば2400mm程度の分割体を溶接接合して一体化せしめる必要があるが、フィラメントワインディング法により製造する本実施例は分割体を接合する必要なく、所望の長さの管体を得ることができ、この点からも極めてコスト性に秀れる。
【0052】
尚、上記構成に限らず、導入出部2は夫々隣り合う他の導入出部2と異なる周方向位置に設けても良い。例えば、12時と3時の位置に直列して配する(90°ずつ角度を変える)構成や、12時と6時の位置に直列して配する(180°ずつ角度を変える)構成としても良い。
【0053】
導入出部2は、図3,4に図示したように、管体1の周面に穿設された貫通孔4と、該貫通孔4に設けられ一端側に鍔部5を有する筒体6とから成り、この筒体6の鍔部5と管体内周面1aとの間には、この内周面1aの湾曲形状に沿った上面形状を有するFRP製のスペーサー7が設けられている。尚、図中、符号23は、筒体6と係止するスナップリング22が係止する段部である。
【0054】
具体的には、スペーサー7は、図5に図示したように、その上面7bが管体1の内周面1aの凹湾曲形状に沿うように凸湾曲形状とした所謂かまぼこ形状であり、中央には筒体6の胴部が挿通する挿通孔7cが設けられている。
【0055】
従って、(下記別例2−1,別例2−2のように)管体1の内周面1aに凹段部を形成する必要なく筒体6を鍔部5により抜け止めすることが可能となり、それだけ管体1を肉薄化できることになる。
【0056】
筒体6の外周面6aには、この筒体6の外周面6aと貫通孔4の内周面4aとの間を封止する第一封止部材8(Oリング)が装填されている。従って、この第一封止部材8により筒体6と貫通孔4との間を封止することが可能となる。
【0057】
また、鍔部5の上面5aとスペーサー7の底面7aとの間には、この鍔部5の上面5aとスペーサー7の底面7aとの間を封止する第二封止部材9(平パッキン)が設けられている。更に、スペーサー7の上面7bと管体1の内周面1aとの間には、このスペーサー7の上面7bと管体1の内周面1aとの間を封止する第三封止部材10(平パッキン)が設けられている。
【0058】
従って、仮に内圧による加圧時に貫通孔4が広がり(管体が内圧を受けると、管体全体が膨張する。管体断面で見ると、円の外周が大きくなるような変形をする。)、第一封止部材8が利かなくなった場合でも、内圧によって第二封止部材9及び第三封止部材10が外方に押されることで封止機能は確実に発揮され、それだけシール性の良好なサイドポートとなる。
【0059】
尚、図6,7に図示した別例1のように、平パッキンではなくOリングから成る第二封止部材9’及び第三封止部材10’を採用しても良い。具体的には、スペーサー7の挿通孔7cの下端開口周縁部7eを面取りすると共にスペーサー7の上面7bにOリング配設溝7dを形成し、この下端開口周縁部7dの面取り部分及びOリング配設溝7eにOリング9’・10’を夫々配設しても良い。
【0060】
また、本実施例は上述のように構成しているが、図8に図示した別例2−1のように、例えば、導入出部2は、管体1の周面に穿設され管体内部との連通部に凹段部3を有する貫通孔4と、該貫通孔4に設けられ一端側に前記凹段部3と係止する鍔部5を有する筒体6とで構成しても良い。この場合、筒体6の外周面6aに、この筒体6の外周面6aと前記貫通孔4の内周面4aとの間を封止する第四封止部材11(Oリング)を設け、また、鍔部5の上面5aと、この鍔部5の上面5aと対向する前記凹段部3の底面3aとの間に、この鍔部5の上面5aと凹段部3の底面3aとの間を封止する第五封止部材12(平パッキン)を設けると良い。また、第五封止部材12は、図9に図示した別例2−2ように、鍔部5の周面5bと凹段部3の周面3bとの間に設けても良い。
【0061】
ところで、図1に図示したような海水淡水化装置においては、圧力容器の長さ方向一端部側にある海水導入管44から海水を導入し、圧力容器内に内装された逆浸透膜によって1000PSI(6.9MPa)の圧力下で海水が濃縮海水と淡水とに分離する。濃縮海水は圧力容器の長さ方向他端部側にある濃縮海水排出管45から排出され、淡水は圧力容器の長さ方向両端部(閉塞蓋)に配された淡水導出管46から取り出される。
【0062】
従って、逆浸透膜を洗浄する等のメンテナンスをする場合や2系列の海水淡水化設備を交互に運転する場合には、1000PSI(6.9MPa)を除圧する必要がある。即ち、0PSI(0MPa:除圧時)と1000PSI(6.9MPa:運転時)の圧力サイクルが繰り返されることになる。また、圧力容器に接続される海水導入管44等の他の配管に対しても同様の圧力サイクルが繰り返されることになる。
【0063】
この圧力サイクルに伴い、FRP製の管体1に取り付けられ導入出部2を形成するスーパーステンレス製の筒体6は、圧力印加時にはFRP製の管体の内壁側に押圧され、除圧時にはこの押圧が開放される。従って、筒体6のシール部分には押圧・除圧による擦れが発生する。
【0064】
この際、上記別例2−1及び別例2−2のように、管体1の周面に穿設され管体内部との連通部に凹段部3を有する貫通孔4を設け、この貫通孔4に筒体6を配設した場合、筒体6の鍔部5が管体1の内径側に突出しにくく、凹段部3で鍔部5が固定されるため、圧力印加・除圧の繰り返し時のシール部分への擦れが少なくなるというメリットがあるが、FRP製の管体1に凹段部3を有する貫通孔4を設けるため、管体長軸に対して90°の位置(管体長軸方向を12時・6時の位置とした時、3時・9時の位置)にFRP製の管体1の厚さを大きく削る部分が存在することになり、圧力に対して弱くなった当該部分を補償するために、管体1にして筒体6が設けられる部位の肉厚を厚くするという工夫が必要となる。
【0065】
ところが、圧力容器に接続される海水導入管44等の配管は、内部に逆浸透膜を装填する必要がなく、海水若しくは濃縮海水を導入出する機能があれば良い。これらの配管に設けられる筒体6の鍔部5は、内径側に突出しても実用上問題は起こらない。即ち、これらの配管に上記凹段部3を有する貫通孔4を設けて管体1内部に筒体6の鍔部5を突出させないようにすることもできるが、この方法では、上述したように筒体6を設ける部位の肉厚を厚くするという複雑な工程を必要とする(フィラメントワインディング時に一部の部位だけを局所的に厚くするのは厄介。)。
【0066】
また、筒体6の鍔部5が管体1の内径側に突出すると、圧力容器と同様に筒体6の側部の第一封止部材8(Oリング)によるシールと、管体1の外面で筒体6を固定するスナップリング22(C型止め輪)による固定では、筒体6の鍔部5は管体内壁の3時と9時の位置で管体内壁に接触するが、それ以外の部位は管体1のどの部分にも接触しない。このような形態であると、圧力の印加・除圧のサイクルにより筒体全体が膨張し、Oリング部位の変形を生じ、Oリング部位の擦れが大きくなる。Oリング部位の擦れが繰り返されると、その部分の海水のシール性が損なわれ、水漏れが生じてしまう。
【0067】
そこで、筒体6の鍔部5と管体内壁との接触性を改善するため、かまぼこ形状の上記スペーサー7を設けている。更に、スペーサー7の管体1の内周面1aの凹湾曲形状に沿うような凸湾曲形状に形成された上面7bと、底面7aに平パッキン(若しくはOリング)を設け、筒体6、管体1及びスペーサー7をシールしている。これにより、圧力の印加・除圧のサイクルに対してOリング部位の擦れを軽減でき、水漏れの発生をなくすことが可能となる。平パッキンを用いる場合はスペーサー7に複雑な加工を施す必要はないが、Oリングを用いる場合はスペーサーにOリング配設溝を形成する必要がある。尚、平パッキンを用いた場合は、1万サイクルの圧力印加・除圧に耐えることができ、Oリングを用いた場合は、10万サイクルの圧力印加・除圧に耐えることができることを確認している。
【0068】
尚、本実施例は上述のように複数の導入出部2を設けた構成について説明しているが、単一の導入出部2を設ける構成としても良い。
【0069】
また、管体1には、この管体1の長さ方向に凸条部26が所定間隔で複数設けられている。この凸条部26の一端側には管体1の長さ方向に対して垂直な垂直面26aが設けられ、他端側にはテーパ面26bが設けられている。本実施例においては、管体1を垂直なフレーム27(支持躯体)に垂直状態で取り付けることを想定し、垂直面26aを下側に、テーパ面26bを上側に設けている。従って、図10に図示したように、垂直面26aと係止するU字状のバンド体28をフレーム27にボルト29等で固定することで、管体1をフレーム27に堅固に支持することが可能となる。
【0070】
尚、凸条部26は、管体1と同時にフィラメントワインディング法により一体成形しても良いし、管体1を成形した後、(管体1と同材料若しくは異材料を)後付けしても良い。管体1と同時に一体成形した場合には、管体1と一体化するため剥離し難く極めて強度に秀れ、それだけ良好に管体1をフレーム27に支持することが可能となる。
【0071】
また、例えば図11に図示したように水平に取り付ける場合等を想定し、凸条部26をその垂直面26a同士が向かい合うように一対ずつ所定間隔で複数対設ける構成としても良い。この場合には、垂直面26a同士が向かい合う一対の凸条部26間に各垂直面26aと係止するU字状のバンド体28を設け、このバンド体28を(垂直若しくは水平な)フレーム27に固定することで、管体1がウォーターハンマー(水撃作用)等による衝撃を受けても管体1を堅固に支持することが可能となる。
【0072】
また、本実施例は、管体1の閉塞構造として上述のような閉塞蓋13等による閉塞構造を採用しているが、これ以外の閉塞構造を採用しても良い。また、本実施例は、管体1の接合構造として上述のような接合部14による接合構造を採用しているが、これ以外の接合構造を採用しても良い。
【0073】
本実施例は上述のように構成したから、繊維強化樹脂製であるから極めて耐食性に秀れ、また、軽量であり、しかもスーパーステンレス製に比し極めて安価に複数の導入出部2(サイドポート)を備えた管体1を製造可能となる。
【0074】
即ち、導入出部2は、管体1の周面に穿設された貫通孔4と、該貫通孔4に設けられ一端側に鍔部5を有する筒体6とで構成し、この筒体6の鍔部5と管体内周面1aとの間に該内周面1aの湾曲形状に沿った上面形状を有するスペーサー7を設けることで、溶接接合を行う必要なく良好に導入出部2を管体1に設けることができる。
【0075】
また、筒体6の抜け止めに際し、管体1の内周面1aを切削する必要がなくなり、それだけ管体1の厚さを薄くすることができ、一層安価且つ軽量とすることが可能となる。
【0076】
また、閉塞蓋13は、管体1の内面に凹部17を設け、この凹部17に嵌合されるリテイナーリング16に閉塞蓋13をボルト接合することで設けることができ、溶接接合を行う必要なく良好に一端部を閉塞することが可能となる。
【0077】
この凹部17,リテイナーリング16及び閉塞蓋13による閉塞構造により、破壊圧力を22MPa以上、具体的には海水淡水化用途として用いる際に満たす必要がある最低の破壊圧力である27.58MPa以上に設定することが可能となり、従って、5.516MPa(800PSI)以上の設計圧力を実現可能となり、高い耐食性と相俟って、海水淡水化装置のみならず他の用途、例えば醤油製造装置等の配管として極めて好適に使用可能なものとなる。
【0078】
更に、接合部14は、管体1の他端部にボルト接合により設けることができ、溶接接合を行う必要なく良好に接合部14を設けることができる。この部位はOリングが装てんされているために、管体が圧力を受けても、管体内部に流れる流体(海水や濃縮海水)が漏れることのないシール性の良好な配管機構となる。加えて、この部位だけの交換が可能となる(溶接していれば、溶断するか、管体全体を全て交換しなくてはならない。)。
【0079】
また、各接合部分に封止部材を設けることで、溶接接合をする必要なく、良好な封止性を発揮することが可能となり、溶接部分から腐食することがない分、スーパーステンレス製の管体に比し耐食性に秀れることになる。
【0080】
従って、本実施例は、耐食性に秀れるのは勿論、導入出部,閉塞蓋,接合部を設けるに際し、溶接接合が不要でスーパーステンレス製の管体に比し極めて安価且つ軽量で扱い易い極めて実用性に秀れたものとなる。
【0081】
本実施例の効果を裏付ける実験例について説明する。
【0082】
図12に図示したように実験例1〜5は、A、BおよびCの3つの要求条件となる、Aは接合部の接合構造、Bは閉塞蓋による閉塞構造、Cは導入出部の構造を全て加味した試作品のバースト(破壊)試験結果を表している。各実験例は以下に示す要因を特化し、各条件を変化させて破壊圧力(Burst Pressure)の変化を調べた。尚、規格値は海水淡水化装置に用いる際に満たす必要がある最低の破壊圧力27.58MPa(4000PSI)の値としている。
【0083】
実験例1:フィラメントワインディング管体1そのものの肉厚を厚くした場合
実験例2:フランジ部24の厚さを実験例1より薄くし、リテイナーリング凹部17から管体1の端部までの長さを実験例1より短くした場合
実験例3:実験例2の導入出部2の周囲にフープ巻きをし、この周囲の破壊圧力の向上を図った場合
実験例4:フィラメントワインディング管体1そのものの肉厚を実験例3より薄くし、導入出部2の筒体6のシーリング方法を第一封止部材8(Oリング)と第二封止部材9、第三封止部材10(平パッキン)を組み合わせ、更に、湾曲形状に沿った上面形状を有するスペーサー7を設けた場合
実験例5:実験例4よりフィラメントワインディング管体1そのものの肉厚を厚くする一方、導入出部2の周囲のフープ巻きをなくした場合
【0084】
実験例1〜3は、上記別例のように貫通孔に凹段部を設けた場合であり、実験例1,2の比較から、貫通孔の凹段部の形状が破壊圧力に影響することが確認できた。また、実験例2,3の比較から、凹段部が弱い形状であっても、肉厚を厚くし、フープ層で補強することで規格値を満たすことが可能であることが確認できた。
【0085】
実験例4,5は上記本実施例のようにスペーサーを設けた場合であり、いずれの形状であっても規格値を満たすことが確認できた。
【0086】
また、実験例1〜3と実験例4,5との比較から、スペーサーを設けた場合、即ち、管体の内周面を切削しない場合には、より肉薄で良好な破壊圧力を得られることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】海水淡水化装置の一例を示す概略説明斜視図である。
【図2】本実施例の概略説明斜視図である。
【図3】本実施例の拡大概略説明縦断面図である。
【図4】本実施例の拡大概略説明横断面図である。
【図5】本実施例のスペーサーの概略説明斜視図である。
【図6】別例1の拡大概略説明横断面図である。
【図7】別例1のスペーサーの概略説明斜視図である。
【図8】別例2−1の拡大概略説明横断面図である。
【図9】別例2−2の拡大概略説明横断面図である。
【図10】本実施例の概略説明斜視図である。
【図11】別例3の概略説明斜視図である。
【図12】実験条件及び実験結果を示す表である。
【符号の説明】
【0088】
1 管体
1a 内周面
2 導入出部
3 凹段部
3a 底面
4 貫通孔
4a 内周面
5 鍔部
5a 上面
6 筒体
6a 外周面
7 スペーサー
7a 底面
7b 上面
8 第一封止部材
9 第二封止部材
10 第三封止部材
11 第四封止部材
12 第五封止部材
13 閉塞蓋
14 接合部
14a 対向面
15 第六封止部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が導入出する繊維強化樹脂製の管体であって、この管体は、周面から流体を導入若しくは導出する導入出部が軸方向に間隔をおいて複数並設されていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項2】
流体が導入出する繊維強化樹脂製の管体であって、この管体は、周面から流体を導入若しくは導出する導入出部が軸方向に間隔をおいて複数並設されており、破壊圧力が4MPa以上に設定されていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項3】
流体が導入出する繊維強化樹脂製の管体であって、この管体は、周面から流体を導入若しくは導出する導入出部が軸方向に間隔をおいて複数並設されており、破壊圧力が22MPa以上に設定されていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項4】
請求項2,3いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、内径が約4インチ以上であることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記導入出部は、前記管体の周面に穿設された貫通孔と、この貫通孔に設けられ一端側に鍔部を有する筒体とから成り、この筒体の鍔部と前記管体の内周面との間には、この内周面の湾曲形状に沿った上面形状を有するスペーサーが設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項6】
請求項5記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記筒体の外周面には、この筒体の外周面と前記貫通孔の内周面との間を封止する第一封止部材が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項7】
請求項5,6いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記鍔部の上面と前記スペーサーの底面との間には、この鍔部の上面と前記スペーサーの底面との間を封止する第二封止部材が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項8】
請求項5〜7いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記スペーサーの上面と前記管体の内周面との間には、このスペーサーの上面と前記管体の内周面との間を封止する第三封止部材が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項9】
請求項1〜4いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記導入出部は、前記管体の周面に穿設され管体内部との連通部に凹段部を有する貫通孔と、この貫通孔に設けられ一端側に前記凹段部と係止する鍔部を有する筒体とから成ることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項10】
請求項9記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記筒体の外周面には、この筒体の外周面と前記貫通孔の内周面との間を封止する第四封止部材が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項11】
請求項9,10いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記鍔部の上面と、この鍔部の上面と対向する前記凹段部の底面との間には、この鍔部の上面と凹段部の底面との間を封止する第五封止部材が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項12】
請求項1〜11いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記管体の一端部が閉塞蓋により閉塞されていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項13】
請求項1〜12いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記管体の端部に他の部材と接合される接合部が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項14】
請求項13記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記管体の端面と対向する接合部の対向面には、この管体の端面と前記接合部の対向面との間を封止する第六封止部材が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項15】
請求項1〜14いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記導入出部は夫々同一周方向位置に設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項16】
請求項1〜14いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記導入出部は夫々隣り合う他の導入出部と異なる周方向位置に設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項17】
請求項16記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記導入出部は夫々隣り合う他の導入出部と90°若しくは180°異なる周方向位置に設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項18】
流体が導入出する繊維強化樹脂製の管体であって、この管体は、周面から流体を導入若しくは導出する導入出部を有し、この導入出部は、前記管体の周面に穿設された貫通孔と、この貫通孔に設けられ一端側に鍔部を有する筒体とから成り、この筒体の鍔部と前記管体の内周面との間には、この内周面の湾曲形状に沿った上面形状を有するスペーサーが設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項19】
請求項1〜18いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記管体は逆浸透法を用いた淡水化処理に使用されるものであることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項1】
流体が導入出する繊維強化樹脂製の管体であって、この管体は、周面から流体を導入若しくは導出する導入出部が軸方向に間隔をおいて複数並設されていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項2】
流体が導入出する繊維強化樹脂製の管体であって、この管体は、周面から流体を導入若しくは導出する導入出部が軸方向に間隔をおいて複数並設されており、破壊圧力が4MPa以上に設定されていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項3】
流体が導入出する繊維強化樹脂製の管体であって、この管体は、周面から流体を導入若しくは導出する導入出部が軸方向に間隔をおいて複数並設されており、破壊圧力が22MPa以上に設定されていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項4】
請求項2,3いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、内径が約4インチ以上であることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記導入出部は、前記管体の周面に穿設された貫通孔と、この貫通孔に設けられ一端側に鍔部を有する筒体とから成り、この筒体の鍔部と前記管体の内周面との間には、この内周面の湾曲形状に沿った上面形状を有するスペーサーが設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項6】
請求項5記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記筒体の外周面には、この筒体の外周面と前記貫通孔の内周面との間を封止する第一封止部材が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項7】
請求項5,6いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記鍔部の上面と前記スペーサーの底面との間には、この鍔部の上面と前記スペーサーの底面との間を封止する第二封止部材が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項8】
請求項5〜7いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記スペーサーの上面と前記管体の内周面との間には、このスペーサーの上面と前記管体の内周面との間を封止する第三封止部材が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項9】
請求項1〜4いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記導入出部は、前記管体の周面に穿設され管体内部との連通部に凹段部を有する貫通孔と、この貫通孔に設けられ一端側に前記凹段部と係止する鍔部を有する筒体とから成ることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項10】
請求項9記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記筒体の外周面には、この筒体の外周面と前記貫通孔の内周面との間を封止する第四封止部材が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項11】
請求項9,10いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記鍔部の上面と、この鍔部の上面と対向する前記凹段部の底面との間には、この鍔部の上面と凹段部の底面との間を封止する第五封止部材が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項12】
請求項1〜11いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記管体の一端部が閉塞蓋により閉塞されていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項13】
請求項1〜12いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記管体の端部に他の部材と接合される接合部が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項14】
請求項13記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記管体の端面と対向する接合部の対向面には、この管体の端面と前記接合部の対向面との間を封止する第六封止部材が設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項15】
請求項1〜14いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記導入出部は夫々同一周方向位置に設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項16】
請求項1〜14いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記導入出部は夫々隣り合う他の導入出部と異なる周方向位置に設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項17】
請求項16記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記導入出部は夫々隣り合う他の導入出部と90°若しくは180°異なる周方向位置に設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項18】
流体が導入出する繊維強化樹脂製の管体であって、この管体は、周面から流体を導入若しくは導出する導入出部を有し、この導入出部は、前記管体の周面に穿設された貫通孔と、この貫通孔に設けられ一端側に鍔部を有する筒体とから成り、この筒体の鍔部と前記管体の内周面との間には、この内周面の湾曲形状に沿った上面形状を有するスペーサーが設けられていることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【請求項19】
請求項1〜18いずれか1項に記載の繊維強化樹脂製の管体において、前記管体は逆浸透法を用いた淡水化処理に使用されるものであることを特徴とする繊維強化樹脂製の管体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−270591(P2009−270591A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119302(P2008−119302)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000155698)株式会社有沢製作所 (117)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000155698)株式会社有沢製作所 (117)
【Fターム(参考)】
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