罫入れ装置および罫入れ装置におけるカウンタプレート
【課題】段ボールシートに対して鮮明な罫線を形成することができ、しかも、打抜きの準備を能率よく行なうことができるようにした罫入れ装置、罫入れ装置におけるカウンタプレートの罫押し溝および罫押し溝の形成方法を提供することである。
【解決手段】罫押し溝52を上記打抜き型14と予め位置合わせを行なって形成した溝とし、その罫押し溝52の深さをh、溝幅をW、カウンタプレートの厚さをT、罫押し部材の厚さをtとしたとき、溝深さhを、h=(T−0.7)mm〜(T−0.2)mmの範囲とし、溝幅Wを、W=1.5t〜5tの範囲とし、打抜き型14の下面から打抜き刃50と罫押し部材51のそれぞれの下端までの寸法差を0.7〜(−0.3)mmの範囲として、打抜き型14とカウンタプレート16の相対的な上下動により、罫押し部材51で段ボールシートSを罫押し溝52内に押し込んで罫線Bを形成する。
【解決手段】罫押し溝52を上記打抜き型14と予め位置合わせを行なって形成した溝とし、その罫押し溝52の深さをh、溝幅をW、カウンタプレートの厚さをT、罫押し部材の厚さをtとしたとき、溝深さhを、h=(T−0.7)mm〜(T−0.2)mmの範囲とし、溝幅Wを、W=1.5t〜5tの範囲とし、打抜き型14の下面から打抜き刃50と罫押し部材51のそれぞれの下端までの寸法差を0.7〜(−0.3)mmの範囲として、打抜き型14とカウンタプレート16の相対的な上下動により、罫押し部材51で段ボールシートSを罫押し溝52内に押し込んで罫線Bを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、段ボールシートに対して折り曲げ用の罫線を形成する罫入れ装置および罫入れ装置におけるカンウンタプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
段ボールシートを所定の形状に打抜き、同時に折り曲げ用の罫線を形成して段ボール箱の形成用素材としてのブランク製品を形成する打抜装置として、段ボールシートの移送路上に上部支持盤としてのプレス盤を設け、そのプレス盤の下面に打抜き型を取付け、上記プレス盤の下方に対向配置された下部支持盤としての定盤の上面にステンレス板等の硬質の金属板からなるカウンタプレートを取付け、上記プレス盤を下降し、打抜き型の下面に設けられた打抜き刃によりカウンタプレートの上面で支持された段ボールシートを所定の形状に打抜き、同時に、打抜き型の下面に設けられた板状の罫押し部材で段ボールシートを押し込んで折曲げ用の罫線を形成するようにしたものが従来から知られている。
【0003】
ここで、打抜き型に設けられた罫押し部材が、段ボールシートを単に押し込む構成であると、その段ボールシートは、一対のライナー間に波状の中しんを設けた弾性を有するものであるため、罫押し部材の押込みにより中しんが撓むのみであり、鮮明な罫線を形成することができない。
【0004】
そこで、上記のような打抜き装置においては、特許文献1に記載されているように、下方のカウンタプレートの上面に、幅方向の中央部に罫押し溝が形成され、その罫押し溝を挟む両側の上面が相反する方向に傾斜する傾斜面とされた罫線型材を、その罫押し溝が上方の罫押し部材と対向するようにして接着により固定し、罫押し部材が段ボールシートを押圧する際、その押圧部位を罫押し溝内に押し込んで、罫入れを施すようにしている。
【0005】
ところで、上記罫線型材は、接着による取付けであるため、高速度の頻繁な打抜き処理時の衝撃により剥離して打抜き製品上に落下することが多くある。このとき、打抜き製品は多数積み重ねられた状態でユーザ側に出荷され、そのユーザで商品を包装する段ボール箱を組立てた際、罫線型材が商品に混入して、問題が生じる。
また、損傷、摩耗による罫線型材の取り替え、交換も頻繁に起こり、コストアップになると共に手間が掛かるという問題が生じる。
【0006】
さらに、罫入れ時、段ボールシートの罫入れ部位は罫線型材の上面に沿って盛り上がり、その盛り上がり部位が罫押し部材で下向きに強く押し付けられることになるため、段ボールシートに破れや醜い曲がりが生じ易いという問題がある。
【0007】
その問題の解決には、例えば、特許文献2に記載されているように、カウンタプレート上面における上方の打抜き型の下面に設けた罫押し部材と上下で対向する位置に罫押し溝を形成することが極めて有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−115071号公報
【特許文献2】特開平9−168999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、打抜き装置における罫押し溝を形成したカウンタプレートにおいては、従来は薄紙やプラスチックシートの薄手のものを打抜き、罫入れを行うことを対象としており、中間層に波状の中しん紙を有して、一般的には2mm〜8mm程度の厚さと剛性と弾性のある段ボールシートに打抜き、罫入れを行なうと、溝深さや溝幅等の関係から鮮明な罫線を形成することができない。
【0010】
また、カウンタプレートに形成された溝と打抜き型に設けられた罫押し部材との間に位置のずれがあると、精度の高い罫入れを行なうことができないため、例えば、特許第3533106号公報に記載されているような位置決め方法を採用して定盤の上面にカウンタプレートを取付けるようにしているため、打抜きの準備に非常に手間が掛かり、また種々な位置決め用部材が必要となってコストアップになるという問題がある。
【0011】
この発明の課題は、罫押し溝を有するカウンタプレートを用いて段ボールシートに鮮明で正確な折れ曲がりを得ることのできる罫線が形成されるようにすること、罫押し溝をカウンタプレートの正確な位置に形成すること、および、打抜き、罫入れの作業準備を正確に能率よく行なうことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、この発明に係る罫入れ装置においては、上部支持盤の下面に打抜き刃と罫押し部材とを備えた打抜き型を取付け、その上部支持盤の下方に対向配置された下部支持盤の上面にカウンタプレートを取付け、このカウンタプレートの上面における前記罫押し部材と上下で対向する位置に罫押し溝を設け、前記上部支持盤と下部支持盤の少なくとも一方を上下動させ、前記打抜き刃によりカウンタプレートで支持されたシートに打抜き切断線を形成し、前記罫押し部材によりカウンタプレートで支持されたシートを前記罫押し溝に押し込んで、折曲げ用の罫線を形成するようにした罫入れ装置において、前記シートを段ボールシートとし、前記罫押し溝が、その溝深さをh、溝幅をW、カウンタプレートの厚さをT、罫押し部材の厚さをtとしたとき、溝深さhをh=(T−0.7)mm〜(T−0.2)mmの範囲とし、溝幅WをW=1.5t〜5tの範囲とし、前記打抜き型の下面から前記打抜き刃と罫押し部材のそれぞれの下端までの寸法差を0.7〜(−0.3)mmの範囲とし、前記カウンタプレートを下部支持盤上に直接取付け可能とした構成を採用したのである。
【0013】
また、上記の課題を解決するために、この発明に係るカウンタプレートにおいては、上部支持盤の下面に打抜き刃と罫押し部材とを備えた打抜き型を取付け、その上部支持盤の下方に対向配置された下部支持盤の上面にカウンタプレートを取付け、このカウンタプレートの上面における前記罫押し部材と上下で対向する位置に罫押し溝を設け、前記上部支持盤と下部支持盤の少なくとも一方を上下動させ、前記打抜き刃によりカウンタプレートで支持されたシートに打抜き切断線を形成し、前記罫押し部材によりカウンタプレートで支持されたシートを前記罫押し溝に押し込んで、折曲げ用の罫線を形成するようにした罫入れ装置におけるカウンタプレートにおいて、前記シートを段ボールシートとし、前記罫押し溝が、その溝深さをh、溝幅をW、カウンタプレートの厚さをT、罫押し部材の厚さをtとしたとき、溝深さhをh=(T−0.7)mm〜(T−0.2)mmの範囲とし、溝幅WをW=1.5t〜5tの範囲とした構成を採用したのである。
【0014】
ここで、上記いずれの発明においても、前記下部支持盤の上面に位置決めして固定状態とした前記カウンタプレートと上部支持盤の下面に位置決めして固定状態とした打抜き型との相対的な位置関係から前記カウンタプレートの上面に前記打抜き型の罫押し部材の位置に対応する位置を割り出し、その割り出し位置に前記罫押し溝を形成するような構成を採用することにより、前記打抜き型と前記カウンタプレートとを装置にセットすることによって前記罫押し部材と前記罫押し溝を上下で正確に対向させることができる。
【0015】
この場合、前記下部支持盤の上面に前記カウンタプレートを位置決めして固定し、上部支持盤の下面に前記打抜き型を位置決めして固定し、前記下部支持盤と上部支持盤の接近する方向への相対的な移動により前記打抜き刃をカウンタプレートに押し付けて打抜き切断線相当部を形成し、その打抜き切断線相当部から罫押し部材の位置に対応する位置の割り出しを行なうようにしてもよい。
【0016】
あるいは、前記下部支持盤の上面に前記カウンタプレートを位置決めして固定し、前記上部支持盤の下面に前記打抜き型を位置決めして固定し、前記下部支持盤と上部支持盤の接近する方向への相対的な移動により前記カウンタプレートに罫押し部材を押し付けて罫相当部を形成して、その罫相当部に前記罫押し溝を形成するような構成を採用することにより、前記打抜き型と前記カウンタプレートとを装置にセットすることによって前記罫押し部材と前記罫押し溝を上下で正確に対向させることができる。
【発明の効果】
【0017】
上記のように、この発明においては、カウンタプレートに形成された罫押し溝の深さhをカウンタプレートの厚さTに対して、h=(T−0.7)mm〜(T−0.2)mmの範囲とし、溝幅Wを罫押し部材の厚さtに対して、W=1.5t〜5tの範囲としたことによって、各種厚みや品種の段ボールシートのそれぞれに対して、破れを生じさせることなく折曲げ精度の高い正確な罫線を確実に形成することができ、さらに、打抜き型の下面から前記打抜き刃と罫押し部材のそれぞれの下端までの寸法差を0.7mm〜(−0.3)mmの範囲としたことによって、段ボールシートに対して、より破れを生じさせないでより折曲げ精度の高い正確な罫線を形成することができる。
【0018】
また、下部支持盤の上面に位置決めして固定状態とした前記カウンタプレートと上部支持盤の下面に位置決めして固定状態とした打抜き型との相対的な位置関係から上記カウンタプレートの上面に前記打抜き型の罫押し部材の位置に対応する位置を求めて、その位置に上記罫押し溝を形成したことによって、段ボールシートの打抜きに際し、罫押し部材と罫押し溝が上下で正確に対向するように、コストアップを招くことなく短時間で能率よく打抜き型とカウンタプレートとを装置にセットすることができるとともに、罫押し部材と罫押し溝が上下で正確に対向しているために、段ボールシートに破れを生じさせることなく正確で鮮明な罫線を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明に係る罫入れ装置を用いた打抜き装置の概略図
【図2】打抜き装置の準備作業の際に使用するアーム部の斜視図
【図3】チェースに打抜き型をセットした状態の平面図
【図4】カウンタプレートのセット前の状態を示す平面図
【図5】カウンタプレートのセット状態を示す平面図
【図6】カウンタプレートの固定状態を示す一部切欠正面図
【図7】図6のVII−VII線に沿った断面図
【図8】カウンタプレートに打抜き刃の刃跡を形成する前段の状態を示す断面図
【図9】カウンタプレートに打抜き刃の刃跡を形成した状態を示す断面図
【図10】罫押し溝が形成されたこの発明に係るカウンタプレートの断面図
【図11】(イ)、(ロ)、(ハ)は、カウンタプレートに対する罫押し溝の形成状態を段階的に示す平面図
【図12】罫押し溝の形成状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態を図面に基いて説明する。図1に示すように、段ボールシートSは、チェーン1に設けられたグリッパ2により先端部が挟持されて、同図の矢印で示す方向に移送され、その移送路に設けられた打抜き装置10に送り込まれる。
【0021】
打抜き装置10は、段ボールシートSの移送路の上方に設けられた上部支持盤としてのプレス盤11と、そのプレス盤11の下方に対向配置された下部支持盤としての定盤12とを有し、上記プレス盤11は定盤12に対して昇降動されるようになっている。
【0022】
なお、このプレス盤11と定盤12とは互いに接近、離反するように少なくともいずれか一方が昇降動できるようになっておればよい。
【0023】
プレス盤11の下面にはチェース13が位置決めされた状態で支持され、そのチェース13に対して打抜き型14が着脱自在に位置決めされた状態で取付けられている。一方、定盤12の上面にはプレート15が支持され、そのプレート15の上面にステンレス板等の硬質の金属板からなるカウンタプレート16が着脱自在に取付けられている。
【0024】
チェース13は、プレス盤11の下面に沿って段ボールシートSの移送方向(装置の縦長さ方向)と直交する方向(装置の横長さ方向)に抜き差し自在とされ、差し込み状態においてプレス盤11の下面に位置決めされた状態で固定されるようになっている。
【0025】
一方、プレート15は、定盤12の上面に沿って装置の横長さ方向に抜き差し自在とされ、差し込み状態において定盤12の上面に位置決めされた状態で固定されるようになっている。
【0026】
図2に示すように、打抜き装置10のサイドフレーム17には、上方のチェース13および下方のプレート15を抜き差しする開口18が形成され、その開口18の両側に対向一対のアーム19が設けられている。なお、図2では、一方のアーム19のみを示し、他方のアーム19を省略している。
【0027】
一対のアーム19の対向内面には、チェース13の引出し誘導路となる複数の回転可能なローラ20と、そのローラ20に沿って開口18から外部に引き出されたチェース13の両側中央部を支持して回転するチェース反転軸21が設けられており、チェース13はこのチェース反転軸21を中心にして180°回転させられることによって、上下が逆の状態になるように反転させられる。また、各アーム19の対向内面には、プレート15の引出し誘導路となるレール22が固定されている。
【0028】
図3は、ローラ20に沿って開口18から外部に引き出したチェース13をチェース反転軸21の回転により反転させて上下が逆になる状態を示す。その反転状態でのチェース13の上面には、打抜き型14を収容可能とする凹部23が形成され、その凹部23内に収容された打抜き型14は、段ボールシートSの移送方向と、その移送方向と直交する方向の二方向に位置決めされ、その位置決め状態において、チェース13にねじ込まれるビス26の締め付けにより固定される。
【0029】
チェース13に対する打抜き型14の位置決めに際し、ここでは、打抜き型14の外周の一側面に位置決め突起24を設け、その位置決め突起24を凹部23の一側面23aに形成された位置決め凹部25に嵌合して、位置決め突起24の一端面を位置決め凹部25の端面に衝合し、かつ、外周の一側面を凹部23の一側面23aに衝合させるようにしている。
【0030】
図4は、レール22に沿って下方のプレート15を開口18から外部に引き出して、その上面でカウンタプレート16を支持した状態を示す。このカウンタプレート16は、プレート15に対して、段ボールシートSの移送方向と、その移送方向と直交する方向の二方向に位置決めされる。
【0031】
カウンタプレート16の位置決めに際し、ここでは、プレート15の装置の横長さ方向である差し込み方向の前部における上面中央部に前部位置決めピン27を上方へ向けて突設し、その前部位置決めピン27の両側部に固定された一対の角形の位置決めブロック28のそれぞれに挿入孔29を形成し、一方、カウンタプレート16の差し込み方向の前部の中央部にU字形の切欠部30を設け、その切欠部30の両側に一対の位置決め突片31を設け、上記前部位置決めピン27に対する切欠部30の嵌合と挿入孔29に対する位置決め突片31の嵌合により、カウンタプレート16の差し込み方向の前部を位置決めするようにしている。なお、位置決め突片31はその両側を一部切欠いて形成したものである。
【0032】
また、図5に示すように、プレート15の差し込み方向の後部における上面中央部に後部位置決めピン32を上方へ向けて突設し、一方、カウンタプレート16の差し込み方向の後部の中央部に位置決め孔33を設け、上記後部位置決めピン32に対する位置決め孔33の嵌合によって、カウンタプレート16の差し込み方向の後部を位置決めするようにしている。
【0033】
カウンタプレート16は、その位置決め状態において、図6および図7に示す固定手段40によりプレート15に固定される。固定手段40は、プレート15の差し込み方向の後部下面に一対の突出部41をプレート15の幅方向に間隔をおいて設け、その一対の突出部41の下面42をテーパ面とし、そのテーパ面42とカウンタプレート16の差し込み方向後部の上面を跨ぐようにしてセットされたコの字形クランプ具43を上記突出部41にねじ込まれるボルト44の締め付けにより突出部41に向けて移動させ、そのクランプ具43の下部内面に形成されたテーパ面45が突出部41のテーパ面42を押圧する作用により、カウンタプレート16をプレート15の上面に圧接させて固定するようにしている。
【0034】
図8に示すように、打抜き型14の下面には、段ボールシートSに所定の形状の打抜き切断線を形成するように打ち抜く打抜き刃50と、その打抜き切断線の内側に形成される製品部に対して折り曲げ用の罫線を形成する板状の罫押し部材51とが設けられている。
【0035】
一方、カウンタプレート16の上面には、図10に示すように、打抜き型14に設けられた罫押し部材51と対向する位置に罫押し溝52が形成されている。この罫押し溝52は、打抜き型14と予め位置合わせを行なって形成された溝とされている。
【0036】
その罫押し溝52の形成について以下に説明する。先ず、図3に示すように、チェース13を開口18から外部に引出し、反転させて上下を逆にした状態で、その上面に打抜き型14を載置する。そして、その打抜き型14をチェース13上で上記したように直交する二方向に位置決めした後、ビス26の締め付けによりチェース13に固定する。
【0037】
打抜き型14の位置決め、固定後、チェース13の中央部を支持するチェース反転軸21を中心にチェース13を180°回転して上下を逆にし、打抜き型14を下向きとした状態で段ボールシートSの移送路上まで開口18から内部へ差し込んで、打抜き状態とする。
【0038】
次に、図4に示すように、プレート15を開口18から外部に引出し、そのプレート15上に図11(イ)に示す上下両面が未加工で平滑面とされたカウンタプレート16を載置し、図5に示すように、カウンタプレート16を装置の縦長さ方向と横長さ方向との二方向において位置決めした後、図6および図7に示すように、クランプ具43の取付けによってプレート15にカウンタプレート16を固定する。その固定後、プレート15に一体化されたカウンタプレート16を段ボールシートSの移送路上まで開口18から内部へ差し込む。
【0039】
上記のような罫押し溝52を形成する際の操作は、段ボールシートSを打ち抜く場合に、打抜き装置10に打抜き型14およびカウンタプレート16をセットする場合の操作と同一であるため、上記のようにして、打抜き装置10に打抜き型14およびカウンタプレート16のそれぞれを直交する二方向において位置決めした状態でセットすることにより、打抜き型14およびカウンタプレート16は互いに直交する二方向での位置関係がずれることなく正確に保たれた打抜き状態に保持されることになる。
【0040】
打抜き時のセットより前に予め打抜き型14およびカウンタプレート16の上記のような装置への位置決めによって打抜き型14とカウンタプレート16との相対的な位置関係を確保してセット後、プレス盤11を下降させる。その下降により、図9に示すように、罫押し部材より長い打抜き刃50がカウンタプレート16に強く押し付けられるため、図11(ロ)に示すように、カウンタプレート16の上面に打抜き切断線A相当部としての刃跡60が形成される。
なお、刃跡60の形成に際しては、上部支持盤(プレス盤11)と下部支持盤(定盤12)との少なくとも一方を互いに接近する方向へ移動させればよい。
【0041】
カウンタプレート16に対する刃跡60の形成後、そのカウンタプレート16をプレート15上から外部に取り出して、次のようにしてカウンタプレート16上における罫押し溝52の位置と長さを割り出す。
【0042】
顧客からの注文に応じて設計されて所定の形状に打抜き、罫線を形成して得られるブランク製品における打抜き刃50による打抜き切断線の所定位置から罫押し部材51による罫線までの相対的な位置とこの罫線の長さは、適宜設定したX軸の0点とこれに直交する適宜設定したY軸の0点とを基準にして予め決められている。
【0043】
また、ブランク製品に応じて打抜き型14も設計されて、打抜き型14には、打抜き切断線に対応する位置に打抜き刃50が取り付けられ、罫線に対応する位置に罫押し部材51が取り付けられ、打抜き型14における打抜き刃50と罫押し部材51との位置関係とこれらの長さは上記と同様にX軸とY軸とを基準にして予め決められている。
【0044】
従って、打抜き切断線の位置または打抜き刃50の位置における基準位置を特定できれば、この基準位置から各罫線までの位置または各罫押し部材51までの位置を割り出すことができる。
【0045】
カウンタプレート16の表面に段ボールシートSの移送方向に延びる0点となる基準線(X軸方向基準線)とこれに直交する方向に延びる0点となる基準線(Y軸方向基準線)を適宜定めると、この特定したX軸方向基準線とY軸方向基準線から打抜き切断線に対応する刃跡60までの直交するX軸およびY軸方向におけるそれぞれの位置を求めることができる。
【0046】
上記したように、ブランク製品における打抜き切断線の所定位置から罫線までの相対的な位置とこの罫線の長さは顧客からの注文に応じて予め決められているので、カウンタプレート16の表面上に求められている打抜き切断線相当部としての刃跡60の基準位置を基にして、X軸方向基準線とY軸方向基準線から罫線に対応する罫押し溝52までの直交するX軸およびY軸方向におけるそれぞれの位置とこの罫押し溝52の長さを割り出すことができる。
【0047】
カウンタプレート16の表面上でのこの割出した上方の罫押し部材51と上下で対向する位置と長さに罫押し溝52をエンドミル等で切削加工する。図11(ハ)は、罫押し溝52が形成され、打抜き切断線相当部としての刃跡60が残った状態のカウンタプレート16を示す。
【0048】
なお、打抜き装置10に罫押し部材51より長い打抜き刃50を取り外した打抜き型14およびカウンタプレート16のそれぞれを直交する二方向において上記と同様に位置決めした状態でセット後、プレス盤11を下降させて罫押し部材51をカウンタプレート16に押し付けてカウンタプレート16上面に罫押し溝52に対応する罫押し部材51の跡、すなわち罫相当部を形成し、その後このカウンタプレート16をプレート15上から外部に取り出し、この罫相当部に罫押し溝52をエンドミル等で切削加工してもよい。
【0049】
上記のように、打抜き型14と予め位置合わせを行なった上でカウンタプレート16の上面に罫押し溝52を形成するので、図3に示すように、チェース13に打抜き型14を直交する二方向において位置決めして固定し、そのチェース13を押し込んでプレス盤11の下面にセットし、また、図4および図5に示すように、プレート15の上面にカウンタプレート16を直交する二方向において位置決めして取付け、そのプレート15を押し込んで定盤12の上面にセットすることにより、カウンタプレート16は、その上面に形成された罫押し溝52が打抜き型14に設けられた罫押し部材51と上下で対向する正確な位置決め状態とされる。
【0050】
このように、カウンタプレート16はプレート15に位置決めして押し込む簡単な操作により、罫押し溝52が打抜き型14に設けられた罫押し部材51と上下で対向する正確な位置決め状態を得ることができるため、打抜き作業の準備を短時間に能率よく行うことができる。
【0051】
打抜き型14およびカウンタプレート16のセット後、プレス盤11を下降すると、図12に示すように、打抜き刃50がカウンタプレート15上で停止する段ボールシートSを刺通して、段ボールシートSに打抜き切断線Aが形成され、また、罫押し部材51が段ボールシートSを罫押し溝52に押し付けるため、段ボールシートSに折曲げ用の罫線Bが形成される。
【0052】
ここで、罫線Bを形成する板状の罫押し部材51として、好ましくは厚さが0.9mm、1.4mm、2.0mmおよび3.0mmの4種類が使用されるが、厚さはこれらより薄いものから厚いものまで広範囲のものが使用され、それぞれの罫押し部材51に対して罫押し溝52の深さおよび罫押し部材51の厚さ方向に対応する溝幅が大き過ぎたり、あるいは小さ過ぎたりすると、以下のような問題が生じる。
【0053】
段ボールシートSは厚くて剛性や弾性があり、また、構成する各層の紙の種類や組み合わせによる品種によっては、罫線Bを形成し易いものや形成し難いもの、そして破れ易いものや破れ難いものがあるために、例えば、罫押し溝52の深さが必要以上に浅くなり過ぎると、罫押し部材51の押込みによって罫押し溝52内に押し込まれた段ボールシートSの罫入れ部を罫押し溝52によって良好に成形することができなくなり、鮮明な罫線Bを形成することができなくなる。
【0054】
また、カウンタプレート16には好ましくは厚さが0.8mm〜1.5mm程度のものが使用されるため、罫押し溝52の深さが必要以上に深くなり過ぎると、罫押し溝52の形成部位での肉厚が薄肉となり、カウンタプレート16の取り扱いの際に、その罫押し溝52の形成部位で折れ曲がりが生じ、あるいは、変形するおそれがある。
【0055】
さらに、段ボールシートSが罫押し溝52内へ深く押し込まれて破れるおそれがある。
【0056】
一方、罫押し溝52の溝幅が必要以上に大きい場合、段ボールシートSの罫入れ部を罫押し溝52によって良好に成形することができなくなって、鮮明な罫線Bを形成することができなくなり、幅の広すぎる罫線Bが形成されて精度の良い折り曲げを得ることができなくなるおそれがある。
【0057】
また、罫押し溝52の溝幅が必要以上に小さい場合、段ボールシートSの罫入れ部に破れが生じる。
【0058】
そこで、以上のような問題を解決するために、図10に示すように、罫押し溝52の深さをh、溝幅をW、カウンタプレート16の厚さをT、罫押し部材51の厚さをtとしたとき、深さhは、h=(T−0.7)mm〜(T−0.2)mmの範囲とし、また、溝幅Wは、W=1.5t〜5tの範囲が最適であることが実験により判明した。
【0059】
罫押し溝52の深さhおよび溝幅Wを上記のような寸法に設定することにより、罫押し部材51と罫押し溝52とで段ボールシートSの罫入れ部を良好に成形することができ、鮮明な罫線Bを罫入れすることができるので、この罫線B部で精度の良い折り曲げを行うことができる。
【0060】
なお、図12に示すように、打抜き型14の下面から罫押し部材51下端までの長さを打抜き刃50のそれより短くして、打抜き型14の下降により罫押し部材51で段ボールシートSを押し込む状態で、罫押し部材51の下端とカウンタプレート16の上面までの寸法すなわち打抜き刃50と罫押し部材51のカウンタプレート16へ向けてのそれぞれの長さの寸法差Lが、0.3〜0.7mmの範囲となる大きさに設定しているが、段ボール箱の糊しろフラップのように、幅寸法が小さく、罫線Bに沿っての折曲げが困難な部位の場合には、罫押し部材51の下端が罫押し溝52内にカウンタプレート16の上面より下方へ0.3mm程度入り込むように罫押し部材51のカウンタプレート16へ向けての長さを打抜き刃50のそれより長くして、段ボールシートSを強く押し込むようにしてもよい。
【0061】
また、段ボールシートSの厚さや紙の種類によって、罫押し部材51で罫押し溝52へ強く押し込みたい場合や弱く押し込みたい場合があり、打抜き刃50と罫押し部材51との寸法差を適宜設定すればよい。従って、打抜き型14の下面から打抜き刃50と罫押し部材51のそれぞれの下端までの寸法差を0.7mm〜(−0.3)mmの範囲に適宜設定すれば、鮮明で適切な罫線Bを形成できて、段ボールシートSを破ることなくこの罫線B部で正確に折り曲げることのできることも実験で判明した。
【0062】
なお、カウンタプレート16へ向けての長さが打抜き刃50より長い罫押し部材51を設ける場合には、打抜き型14から罫押し部材51を一旦取り外してからカウンタプレート16の上面に刃跡60を形成すればよい。
【符号の説明】
【0063】
11 プレス盤(上部支持盤)
12 定盤(下部支持盤)
14 打抜き型
16 カウンタプレート
50 打抜き刃
51 罫押し部材
52 罫押し溝
S 段ボールシート
【技術分野】
【0001】
この発明は、段ボールシートに対して折り曲げ用の罫線を形成する罫入れ装置および罫入れ装置におけるカンウンタプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
段ボールシートを所定の形状に打抜き、同時に折り曲げ用の罫線を形成して段ボール箱の形成用素材としてのブランク製品を形成する打抜装置として、段ボールシートの移送路上に上部支持盤としてのプレス盤を設け、そのプレス盤の下面に打抜き型を取付け、上記プレス盤の下方に対向配置された下部支持盤としての定盤の上面にステンレス板等の硬質の金属板からなるカウンタプレートを取付け、上記プレス盤を下降し、打抜き型の下面に設けられた打抜き刃によりカウンタプレートの上面で支持された段ボールシートを所定の形状に打抜き、同時に、打抜き型の下面に設けられた板状の罫押し部材で段ボールシートを押し込んで折曲げ用の罫線を形成するようにしたものが従来から知られている。
【0003】
ここで、打抜き型に設けられた罫押し部材が、段ボールシートを単に押し込む構成であると、その段ボールシートは、一対のライナー間に波状の中しんを設けた弾性を有するものであるため、罫押し部材の押込みにより中しんが撓むのみであり、鮮明な罫線を形成することができない。
【0004】
そこで、上記のような打抜き装置においては、特許文献1に記載されているように、下方のカウンタプレートの上面に、幅方向の中央部に罫押し溝が形成され、その罫押し溝を挟む両側の上面が相反する方向に傾斜する傾斜面とされた罫線型材を、その罫押し溝が上方の罫押し部材と対向するようにして接着により固定し、罫押し部材が段ボールシートを押圧する際、その押圧部位を罫押し溝内に押し込んで、罫入れを施すようにしている。
【0005】
ところで、上記罫線型材は、接着による取付けであるため、高速度の頻繁な打抜き処理時の衝撃により剥離して打抜き製品上に落下することが多くある。このとき、打抜き製品は多数積み重ねられた状態でユーザ側に出荷され、そのユーザで商品を包装する段ボール箱を組立てた際、罫線型材が商品に混入して、問題が生じる。
また、損傷、摩耗による罫線型材の取り替え、交換も頻繁に起こり、コストアップになると共に手間が掛かるという問題が生じる。
【0006】
さらに、罫入れ時、段ボールシートの罫入れ部位は罫線型材の上面に沿って盛り上がり、その盛り上がり部位が罫押し部材で下向きに強く押し付けられることになるため、段ボールシートに破れや醜い曲がりが生じ易いという問題がある。
【0007】
その問題の解決には、例えば、特許文献2に記載されているように、カウンタプレート上面における上方の打抜き型の下面に設けた罫押し部材と上下で対向する位置に罫押し溝を形成することが極めて有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−115071号公報
【特許文献2】特開平9−168999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、打抜き装置における罫押し溝を形成したカウンタプレートにおいては、従来は薄紙やプラスチックシートの薄手のものを打抜き、罫入れを行うことを対象としており、中間層に波状の中しん紙を有して、一般的には2mm〜8mm程度の厚さと剛性と弾性のある段ボールシートに打抜き、罫入れを行なうと、溝深さや溝幅等の関係から鮮明な罫線を形成することができない。
【0010】
また、カウンタプレートに形成された溝と打抜き型に設けられた罫押し部材との間に位置のずれがあると、精度の高い罫入れを行なうことができないため、例えば、特許第3533106号公報に記載されているような位置決め方法を採用して定盤の上面にカウンタプレートを取付けるようにしているため、打抜きの準備に非常に手間が掛かり、また種々な位置決め用部材が必要となってコストアップになるという問題がある。
【0011】
この発明の課題は、罫押し溝を有するカウンタプレートを用いて段ボールシートに鮮明で正確な折れ曲がりを得ることのできる罫線が形成されるようにすること、罫押し溝をカウンタプレートの正確な位置に形成すること、および、打抜き、罫入れの作業準備を正確に能率よく行なうことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、この発明に係る罫入れ装置においては、上部支持盤の下面に打抜き刃と罫押し部材とを備えた打抜き型を取付け、その上部支持盤の下方に対向配置された下部支持盤の上面にカウンタプレートを取付け、このカウンタプレートの上面における前記罫押し部材と上下で対向する位置に罫押し溝を設け、前記上部支持盤と下部支持盤の少なくとも一方を上下動させ、前記打抜き刃によりカウンタプレートで支持されたシートに打抜き切断線を形成し、前記罫押し部材によりカウンタプレートで支持されたシートを前記罫押し溝に押し込んで、折曲げ用の罫線を形成するようにした罫入れ装置において、前記シートを段ボールシートとし、前記罫押し溝が、その溝深さをh、溝幅をW、カウンタプレートの厚さをT、罫押し部材の厚さをtとしたとき、溝深さhをh=(T−0.7)mm〜(T−0.2)mmの範囲とし、溝幅WをW=1.5t〜5tの範囲とし、前記打抜き型の下面から前記打抜き刃と罫押し部材のそれぞれの下端までの寸法差を0.7〜(−0.3)mmの範囲とし、前記カウンタプレートを下部支持盤上に直接取付け可能とした構成を採用したのである。
【0013】
また、上記の課題を解決するために、この発明に係るカウンタプレートにおいては、上部支持盤の下面に打抜き刃と罫押し部材とを備えた打抜き型を取付け、その上部支持盤の下方に対向配置された下部支持盤の上面にカウンタプレートを取付け、このカウンタプレートの上面における前記罫押し部材と上下で対向する位置に罫押し溝を設け、前記上部支持盤と下部支持盤の少なくとも一方を上下動させ、前記打抜き刃によりカウンタプレートで支持されたシートに打抜き切断線を形成し、前記罫押し部材によりカウンタプレートで支持されたシートを前記罫押し溝に押し込んで、折曲げ用の罫線を形成するようにした罫入れ装置におけるカウンタプレートにおいて、前記シートを段ボールシートとし、前記罫押し溝が、その溝深さをh、溝幅をW、カウンタプレートの厚さをT、罫押し部材の厚さをtとしたとき、溝深さhをh=(T−0.7)mm〜(T−0.2)mmの範囲とし、溝幅WをW=1.5t〜5tの範囲とした構成を採用したのである。
【0014】
ここで、上記いずれの発明においても、前記下部支持盤の上面に位置決めして固定状態とした前記カウンタプレートと上部支持盤の下面に位置決めして固定状態とした打抜き型との相対的な位置関係から前記カウンタプレートの上面に前記打抜き型の罫押し部材の位置に対応する位置を割り出し、その割り出し位置に前記罫押し溝を形成するような構成を採用することにより、前記打抜き型と前記カウンタプレートとを装置にセットすることによって前記罫押し部材と前記罫押し溝を上下で正確に対向させることができる。
【0015】
この場合、前記下部支持盤の上面に前記カウンタプレートを位置決めして固定し、上部支持盤の下面に前記打抜き型を位置決めして固定し、前記下部支持盤と上部支持盤の接近する方向への相対的な移動により前記打抜き刃をカウンタプレートに押し付けて打抜き切断線相当部を形成し、その打抜き切断線相当部から罫押し部材の位置に対応する位置の割り出しを行なうようにしてもよい。
【0016】
あるいは、前記下部支持盤の上面に前記カウンタプレートを位置決めして固定し、前記上部支持盤の下面に前記打抜き型を位置決めして固定し、前記下部支持盤と上部支持盤の接近する方向への相対的な移動により前記カウンタプレートに罫押し部材を押し付けて罫相当部を形成して、その罫相当部に前記罫押し溝を形成するような構成を採用することにより、前記打抜き型と前記カウンタプレートとを装置にセットすることによって前記罫押し部材と前記罫押し溝を上下で正確に対向させることができる。
【発明の効果】
【0017】
上記のように、この発明においては、カウンタプレートに形成された罫押し溝の深さhをカウンタプレートの厚さTに対して、h=(T−0.7)mm〜(T−0.2)mmの範囲とし、溝幅Wを罫押し部材の厚さtに対して、W=1.5t〜5tの範囲としたことによって、各種厚みや品種の段ボールシートのそれぞれに対して、破れを生じさせることなく折曲げ精度の高い正確な罫線を確実に形成することができ、さらに、打抜き型の下面から前記打抜き刃と罫押し部材のそれぞれの下端までの寸法差を0.7mm〜(−0.3)mmの範囲としたことによって、段ボールシートに対して、より破れを生じさせないでより折曲げ精度の高い正確な罫線を形成することができる。
【0018】
また、下部支持盤の上面に位置決めして固定状態とした前記カウンタプレートと上部支持盤の下面に位置決めして固定状態とした打抜き型との相対的な位置関係から上記カウンタプレートの上面に前記打抜き型の罫押し部材の位置に対応する位置を求めて、その位置に上記罫押し溝を形成したことによって、段ボールシートの打抜きに際し、罫押し部材と罫押し溝が上下で正確に対向するように、コストアップを招くことなく短時間で能率よく打抜き型とカウンタプレートとを装置にセットすることができるとともに、罫押し部材と罫押し溝が上下で正確に対向しているために、段ボールシートに破れを生じさせることなく正確で鮮明な罫線を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明に係る罫入れ装置を用いた打抜き装置の概略図
【図2】打抜き装置の準備作業の際に使用するアーム部の斜視図
【図3】チェースに打抜き型をセットした状態の平面図
【図4】カウンタプレートのセット前の状態を示す平面図
【図5】カウンタプレートのセット状態を示す平面図
【図6】カウンタプレートの固定状態を示す一部切欠正面図
【図7】図6のVII−VII線に沿った断面図
【図8】カウンタプレートに打抜き刃の刃跡を形成する前段の状態を示す断面図
【図9】カウンタプレートに打抜き刃の刃跡を形成した状態を示す断面図
【図10】罫押し溝が形成されたこの発明に係るカウンタプレートの断面図
【図11】(イ)、(ロ)、(ハ)は、カウンタプレートに対する罫押し溝の形成状態を段階的に示す平面図
【図12】罫押し溝の形成状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態を図面に基いて説明する。図1に示すように、段ボールシートSは、チェーン1に設けられたグリッパ2により先端部が挟持されて、同図の矢印で示す方向に移送され、その移送路に設けられた打抜き装置10に送り込まれる。
【0021】
打抜き装置10は、段ボールシートSの移送路の上方に設けられた上部支持盤としてのプレス盤11と、そのプレス盤11の下方に対向配置された下部支持盤としての定盤12とを有し、上記プレス盤11は定盤12に対して昇降動されるようになっている。
【0022】
なお、このプレス盤11と定盤12とは互いに接近、離反するように少なくともいずれか一方が昇降動できるようになっておればよい。
【0023】
プレス盤11の下面にはチェース13が位置決めされた状態で支持され、そのチェース13に対して打抜き型14が着脱自在に位置決めされた状態で取付けられている。一方、定盤12の上面にはプレート15が支持され、そのプレート15の上面にステンレス板等の硬質の金属板からなるカウンタプレート16が着脱自在に取付けられている。
【0024】
チェース13は、プレス盤11の下面に沿って段ボールシートSの移送方向(装置の縦長さ方向)と直交する方向(装置の横長さ方向)に抜き差し自在とされ、差し込み状態においてプレス盤11の下面に位置決めされた状態で固定されるようになっている。
【0025】
一方、プレート15は、定盤12の上面に沿って装置の横長さ方向に抜き差し自在とされ、差し込み状態において定盤12の上面に位置決めされた状態で固定されるようになっている。
【0026】
図2に示すように、打抜き装置10のサイドフレーム17には、上方のチェース13および下方のプレート15を抜き差しする開口18が形成され、その開口18の両側に対向一対のアーム19が設けられている。なお、図2では、一方のアーム19のみを示し、他方のアーム19を省略している。
【0027】
一対のアーム19の対向内面には、チェース13の引出し誘導路となる複数の回転可能なローラ20と、そのローラ20に沿って開口18から外部に引き出されたチェース13の両側中央部を支持して回転するチェース反転軸21が設けられており、チェース13はこのチェース反転軸21を中心にして180°回転させられることによって、上下が逆の状態になるように反転させられる。また、各アーム19の対向内面には、プレート15の引出し誘導路となるレール22が固定されている。
【0028】
図3は、ローラ20に沿って開口18から外部に引き出したチェース13をチェース反転軸21の回転により反転させて上下が逆になる状態を示す。その反転状態でのチェース13の上面には、打抜き型14を収容可能とする凹部23が形成され、その凹部23内に収容された打抜き型14は、段ボールシートSの移送方向と、その移送方向と直交する方向の二方向に位置決めされ、その位置決め状態において、チェース13にねじ込まれるビス26の締め付けにより固定される。
【0029】
チェース13に対する打抜き型14の位置決めに際し、ここでは、打抜き型14の外周の一側面に位置決め突起24を設け、その位置決め突起24を凹部23の一側面23aに形成された位置決め凹部25に嵌合して、位置決め突起24の一端面を位置決め凹部25の端面に衝合し、かつ、外周の一側面を凹部23の一側面23aに衝合させるようにしている。
【0030】
図4は、レール22に沿って下方のプレート15を開口18から外部に引き出して、その上面でカウンタプレート16を支持した状態を示す。このカウンタプレート16は、プレート15に対して、段ボールシートSの移送方向と、その移送方向と直交する方向の二方向に位置決めされる。
【0031】
カウンタプレート16の位置決めに際し、ここでは、プレート15の装置の横長さ方向である差し込み方向の前部における上面中央部に前部位置決めピン27を上方へ向けて突設し、その前部位置決めピン27の両側部に固定された一対の角形の位置決めブロック28のそれぞれに挿入孔29を形成し、一方、カウンタプレート16の差し込み方向の前部の中央部にU字形の切欠部30を設け、その切欠部30の両側に一対の位置決め突片31を設け、上記前部位置決めピン27に対する切欠部30の嵌合と挿入孔29に対する位置決め突片31の嵌合により、カウンタプレート16の差し込み方向の前部を位置決めするようにしている。なお、位置決め突片31はその両側を一部切欠いて形成したものである。
【0032】
また、図5に示すように、プレート15の差し込み方向の後部における上面中央部に後部位置決めピン32を上方へ向けて突設し、一方、カウンタプレート16の差し込み方向の後部の中央部に位置決め孔33を設け、上記後部位置決めピン32に対する位置決め孔33の嵌合によって、カウンタプレート16の差し込み方向の後部を位置決めするようにしている。
【0033】
カウンタプレート16は、その位置決め状態において、図6および図7に示す固定手段40によりプレート15に固定される。固定手段40は、プレート15の差し込み方向の後部下面に一対の突出部41をプレート15の幅方向に間隔をおいて設け、その一対の突出部41の下面42をテーパ面とし、そのテーパ面42とカウンタプレート16の差し込み方向後部の上面を跨ぐようにしてセットされたコの字形クランプ具43を上記突出部41にねじ込まれるボルト44の締め付けにより突出部41に向けて移動させ、そのクランプ具43の下部内面に形成されたテーパ面45が突出部41のテーパ面42を押圧する作用により、カウンタプレート16をプレート15の上面に圧接させて固定するようにしている。
【0034】
図8に示すように、打抜き型14の下面には、段ボールシートSに所定の形状の打抜き切断線を形成するように打ち抜く打抜き刃50と、その打抜き切断線の内側に形成される製品部に対して折り曲げ用の罫線を形成する板状の罫押し部材51とが設けられている。
【0035】
一方、カウンタプレート16の上面には、図10に示すように、打抜き型14に設けられた罫押し部材51と対向する位置に罫押し溝52が形成されている。この罫押し溝52は、打抜き型14と予め位置合わせを行なって形成された溝とされている。
【0036】
その罫押し溝52の形成について以下に説明する。先ず、図3に示すように、チェース13を開口18から外部に引出し、反転させて上下を逆にした状態で、その上面に打抜き型14を載置する。そして、その打抜き型14をチェース13上で上記したように直交する二方向に位置決めした後、ビス26の締め付けによりチェース13に固定する。
【0037】
打抜き型14の位置決め、固定後、チェース13の中央部を支持するチェース反転軸21を中心にチェース13を180°回転して上下を逆にし、打抜き型14を下向きとした状態で段ボールシートSの移送路上まで開口18から内部へ差し込んで、打抜き状態とする。
【0038】
次に、図4に示すように、プレート15を開口18から外部に引出し、そのプレート15上に図11(イ)に示す上下両面が未加工で平滑面とされたカウンタプレート16を載置し、図5に示すように、カウンタプレート16を装置の縦長さ方向と横長さ方向との二方向において位置決めした後、図6および図7に示すように、クランプ具43の取付けによってプレート15にカウンタプレート16を固定する。その固定後、プレート15に一体化されたカウンタプレート16を段ボールシートSの移送路上まで開口18から内部へ差し込む。
【0039】
上記のような罫押し溝52を形成する際の操作は、段ボールシートSを打ち抜く場合に、打抜き装置10に打抜き型14およびカウンタプレート16をセットする場合の操作と同一であるため、上記のようにして、打抜き装置10に打抜き型14およびカウンタプレート16のそれぞれを直交する二方向において位置決めした状態でセットすることにより、打抜き型14およびカウンタプレート16は互いに直交する二方向での位置関係がずれることなく正確に保たれた打抜き状態に保持されることになる。
【0040】
打抜き時のセットより前に予め打抜き型14およびカウンタプレート16の上記のような装置への位置決めによって打抜き型14とカウンタプレート16との相対的な位置関係を確保してセット後、プレス盤11を下降させる。その下降により、図9に示すように、罫押し部材より長い打抜き刃50がカウンタプレート16に強く押し付けられるため、図11(ロ)に示すように、カウンタプレート16の上面に打抜き切断線A相当部としての刃跡60が形成される。
なお、刃跡60の形成に際しては、上部支持盤(プレス盤11)と下部支持盤(定盤12)との少なくとも一方を互いに接近する方向へ移動させればよい。
【0041】
カウンタプレート16に対する刃跡60の形成後、そのカウンタプレート16をプレート15上から外部に取り出して、次のようにしてカウンタプレート16上における罫押し溝52の位置と長さを割り出す。
【0042】
顧客からの注文に応じて設計されて所定の形状に打抜き、罫線を形成して得られるブランク製品における打抜き刃50による打抜き切断線の所定位置から罫押し部材51による罫線までの相対的な位置とこの罫線の長さは、適宜設定したX軸の0点とこれに直交する適宜設定したY軸の0点とを基準にして予め決められている。
【0043】
また、ブランク製品に応じて打抜き型14も設計されて、打抜き型14には、打抜き切断線に対応する位置に打抜き刃50が取り付けられ、罫線に対応する位置に罫押し部材51が取り付けられ、打抜き型14における打抜き刃50と罫押し部材51との位置関係とこれらの長さは上記と同様にX軸とY軸とを基準にして予め決められている。
【0044】
従って、打抜き切断線の位置または打抜き刃50の位置における基準位置を特定できれば、この基準位置から各罫線までの位置または各罫押し部材51までの位置を割り出すことができる。
【0045】
カウンタプレート16の表面に段ボールシートSの移送方向に延びる0点となる基準線(X軸方向基準線)とこれに直交する方向に延びる0点となる基準線(Y軸方向基準線)を適宜定めると、この特定したX軸方向基準線とY軸方向基準線から打抜き切断線に対応する刃跡60までの直交するX軸およびY軸方向におけるそれぞれの位置を求めることができる。
【0046】
上記したように、ブランク製品における打抜き切断線の所定位置から罫線までの相対的な位置とこの罫線の長さは顧客からの注文に応じて予め決められているので、カウンタプレート16の表面上に求められている打抜き切断線相当部としての刃跡60の基準位置を基にして、X軸方向基準線とY軸方向基準線から罫線に対応する罫押し溝52までの直交するX軸およびY軸方向におけるそれぞれの位置とこの罫押し溝52の長さを割り出すことができる。
【0047】
カウンタプレート16の表面上でのこの割出した上方の罫押し部材51と上下で対向する位置と長さに罫押し溝52をエンドミル等で切削加工する。図11(ハ)は、罫押し溝52が形成され、打抜き切断線相当部としての刃跡60が残った状態のカウンタプレート16を示す。
【0048】
なお、打抜き装置10に罫押し部材51より長い打抜き刃50を取り外した打抜き型14およびカウンタプレート16のそれぞれを直交する二方向において上記と同様に位置決めした状態でセット後、プレス盤11を下降させて罫押し部材51をカウンタプレート16に押し付けてカウンタプレート16上面に罫押し溝52に対応する罫押し部材51の跡、すなわち罫相当部を形成し、その後このカウンタプレート16をプレート15上から外部に取り出し、この罫相当部に罫押し溝52をエンドミル等で切削加工してもよい。
【0049】
上記のように、打抜き型14と予め位置合わせを行なった上でカウンタプレート16の上面に罫押し溝52を形成するので、図3に示すように、チェース13に打抜き型14を直交する二方向において位置決めして固定し、そのチェース13を押し込んでプレス盤11の下面にセットし、また、図4および図5に示すように、プレート15の上面にカウンタプレート16を直交する二方向において位置決めして取付け、そのプレート15を押し込んで定盤12の上面にセットすることにより、カウンタプレート16は、その上面に形成された罫押し溝52が打抜き型14に設けられた罫押し部材51と上下で対向する正確な位置決め状態とされる。
【0050】
このように、カウンタプレート16はプレート15に位置決めして押し込む簡単な操作により、罫押し溝52が打抜き型14に設けられた罫押し部材51と上下で対向する正確な位置決め状態を得ることができるため、打抜き作業の準備を短時間に能率よく行うことができる。
【0051】
打抜き型14およびカウンタプレート16のセット後、プレス盤11を下降すると、図12に示すように、打抜き刃50がカウンタプレート15上で停止する段ボールシートSを刺通して、段ボールシートSに打抜き切断線Aが形成され、また、罫押し部材51が段ボールシートSを罫押し溝52に押し付けるため、段ボールシートSに折曲げ用の罫線Bが形成される。
【0052】
ここで、罫線Bを形成する板状の罫押し部材51として、好ましくは厚さが0.9mm、1.4mm、2.0mmおよび3.0mmの4種類が使用されるが、厚さはこれらより薄いものから厚いものまで広範囲のものが使用され、それぞれの罫押し部材51に対して罫押し溝52の深さおよび罫押し部材51の厚さ方向に対応する溝幅が大き過ぎたり、あるいは小さ過ぎたりすると、以下のような問題が生じる。
【0053】
段ボールシートSは厚くて剛性や弾性があり、また、構成する各層の紙の種類や組み合わせによる品種によっては、罫線Bを形成し易いものや形成し難いもの、そして破れ易いものや破れ難いものがあるために、例えば、罫押し溝52の深さが必要以上に浅くなり過ぎると、罫押し部材51の押込みによって罫押し溝52内に押し込まれた段ボールシートSの罫入れ部を罫押し溝52によって良好に成形することができなくなり、鮮明な罫線Bを形成することができなくなる。
【0054】
また、カウンタプレート16には好ましくは厚さが0.8mm〜1.5mm程度のものが使用されるため、罫押し溝52の深さが必要以上に深くなり過ぎると、罫押し溝52の形成部位での肉厚が薄肉となり、カウンタプレート16の取り扱いの際に、その罫押し溝52の形成部位で折れ曲がりが生じ、あるいは、変形するおそれがある。
【0055】
さらに、段ボールシートSが罫押し溝52内へ深く押し込まれて破れるおそれがある。
【0056】
一方、罫押し溝52の溝幅が必要以上に大きい場合、段ボールシートSの罫入れ部を罫押し溝52によって良好に成形することができなくなって、鮮明な罫線Bを形成することができなくなり、幅の広すぎる罫線Bが形成されて精度の良い折り曲げを得ることができなくなるおそれがある。
【0057】
また、罫押し溝52の溝幅が必要以上に小さい場合、段ボールシートSの罫入れ部に破れが生じる。
【0058】
そこで、以上のような問題を解決するために、図10に示すように、罫押し溝52の深さをh、溝幅をW、カウンタプレート16の厚さをT、罫押し部材51の厚さをtとしたとき、深さhは、h=(T−0.7)mm〜(T−0.2)mmの範囲とし、また、溝幅Wは、W=1.5t〜5tの範囲が最適であることが実験により判明した。
【0059】
罫押し溝52の深さhおよび溝幅Wを上記のような寸法に設定することにより、罫押し部材51と罫押し溝52とで段ボールシートSの罫入れ部を良好に成形することができ、鮮明な罫線Bを罫入れすることができるので、この罫線B部で精度の良い折り曲げを行うことができる。
【0060】
なお、図12に示すように、打抜き型14の下面から罫押し部材51下端までの長さを打抜き刃50のそれより短くして、打抜き型14の下降により罫押し部材51で段ボールシートSを押し込む状態で、罫押し部材51の下端とカウンタプレート16の上面までの寸法すなわち打抜き刃50と罫押し部材51のカウンタプレート16へ向けてのそれぞれの長さの寸法差Lが、0.3〜0.7mmの範囲となる大きさに設定しているが、段ボール箱の糊しろフラップのように、幅寸法が小さく、罫線Bに沿っての折曲げが困難な部位の場合には、罫押し部材51の下端が罫押し溝52内にカウンタプレート16の上面より下方へ0.3mm程度入り込むように罫押し部材51のカウンタプレート16へ向けての長さを打抜き刃50のそれより長くして、段ボールシートSを強く押し込むようにしてもよい。
【0061】
また、段ボールシートSの厚さや紙の種類によって、罫押し部材51で罫押し溝52へ強く押し込みたい場合や弱く押し込みたい場合があり、打抜き刃50と罫押し部材51との寸法差を適宜設定すればよい。従って、打抜き型14の下面から打抜き刃50と罫押し部材51のそれぞれの下端までの寸法差を0.7mm〜(−0.3)mmの範囲に適宜設定すれば、鮮明で適切な罫線Bを形成できて、段ボールシートSを破ることなくこの罫線B部で正確に折り曲げることのできることも実験で判明した。
【0062】
なお、カウンタプレート16へ向けての長さが打抜き刃50より長い罫押し部材51を設ける場合には、打抜き型14から罫押し部材51を一旦取り外してからカウンタプレート16の上面に刃跡60を形成すればよい。
【符号の説明】
【0063】
11 プレス盤(上部支持盤)
12 定盤(下部支持盤)
14 打抜き型
16 カウンタプレート
50 打抜き刃
51 罫押し部材
52 罫押し溝
S 段ボールシート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部支持盤の下面に打抜き刃と罫押し部材とを備えた打抜き型を取付け、その上部支持盤の下方に対向配置された下部支持盤の上面にカウンタプレートを取付け、このカウンタプレートの上面における前記罫押し部材と上下で対向する位置に罫押し溝を設け、前記上部支持盤と下部支持盤の少なくとも一方を上下動させ、前記打抜き刃によりカウンタプレートで支持されたシートに打抜き切断線を形成し、前記罫押し部材によりカウンタプレートで支持されたシートを前記罫押し溝に押し込んで、折曲げ用の罫線を形成するようにした罫入れ装置において、
前記シートを段ボールシートとし、前記罫押し溝が、その溝深さをh、溝幅をW、カウンタプレートの厚さをT、罫押し部材の厚さをtとしたとき、溝深さhをh=(T−0.7)mm〜(T−0.2)mmの範囲とし、溝幅WをW=1.5t〜5tの範囲とし、前記打抜き型の下面から前記打抜き刃と罫押し部材のそれぞれの下端までの寸法差を0.7〜(−0.3)mmの範囲とし、前記カウンタプレートを下部支持盤上に直接取付け可能としたことを特徴とする罫入れ装置。
【請求項2】
前記下部支持盤の上面に位置決めして固定状態とした前記カウンタプレートと前記上部支持盤の下面に位置決めして固定状態とした前記打抜き型との相対的な位置関係から前記カウンタプレートの上面に前記打抜き型の罫押し部材の位置に対応する位置を割り出し、その割り出し位置に前記罫押し溝を形成して、前記打抜き型と前記カウンタプレートとを装置にセットした際に、前記罫押し部材と前記罫押し溝が上下で正確に対向するようにした請求項1に記載の罫入れ装置。
【請求項3】
前記下部支持盤の上面に前記カウンタプレートを位置決めして固定し、前記上部支持盤の下面に前記打抜き型を位置決めして固定し、前記下部支持盤と上部支持盤の接近する方向への相対的な移動により前記打抜き刃をカウンタプレートに押し付けて打抜き切断線相当部を形成し、その打抜き切断線相当部から罫押し部材の位置に対応する位置の割り出しを行なうようにした請求項2に記載の罫入れ装置。
【請求項4】
前記下部支持盤の上面に前記カウンタプレートを位置決めして固定し、前記上部支持盤の下面に前記打抜き型を位置決めして固定し、前記下部支持盤と上部支持盤の接近する方向への相対的な移動により前記カウンタプレートに罫押し部材を押し付けて罫相当部を形成して、その罫相当部に前記罫押し溝を形成して、前記打抜き型と前記カウンタプレートとを装置にセットした際に、前記罫押し部材と前記罫押し溝が上下で正確に対向するようにした請求項1に記載の罫入れ装置。
【請求項5】
上部支持盤の下面に打抜き刃と罫押し部材とを備えた打抜き型を取付け、その上部支持盤の下方に対向配置された下部支持盤の上面にカウンタプレートを取付け、このカウンタプレートの上面における前記罫押し部材と上下で対向する位置に罫押し溝を設け、前記上部支持盤と下部支持盤の少なくとも一方を上下動させ、前記打抜き刃によりカウンタプレートで支持されたシートに打抜き切断線を形成し、前記罫押し部材によりカウンタプレートで支持されたシートを前記罫押し溝に押し込んで、折曲げ用の罫線を形成するようにした罫入れ装置におけるカウンタプレートにおいて、
前記シートを段ボールシートとし、前記罫押し溝が、その溝深さをh、溝幅をW、カウンタプレートの厚さをT、罫押し部材の厚さをtとしたとき、溝深さhをh=(T−0.7)mm〜(T−0.2)mmの範囲とし、溝幅WをW=1.5t〜5tの範囲としたことを特徴とする罫入れ装置におけるカウンタプレート。
【請求項6】
前記下部支持盤の上面に位置決めして固定状態とした前記カウンタプレートと前記上部支持盤の下面に位置決めして固定状態とした前記打抜き型との相対的な位置関係から前記カウンタプレートの上面に前記打抜き型の罫押し部材の位置に対応する位置を割り出し、その割り出し位置に前記罫押し溝を形成して、前記打抜き型と前記カウンタプレートとを装置にセットした際に、前記罫押し部材と前記罫押し溝が上下で正確に対向するようにした請求項5に記載の罫入れ装置におけるカウンタプレート。
【請求項7】
前記下部支持盤の上面に前記カウンタプレートを位置決めして固定し、前記上部支持盤の下面に前記打抜き型を位置決めして固定し、前記下部支持盤と上部支持盤の接近する方向への相対的な移動により前記打抜き刃をカウンタプレートに押し付けて打抜き切断線相当部を形成し、その打抜き切断線相当部から罫押し部材の位置に対応する位置の割り出しを行なうようにした請求項6に記載の罫入れ装置におけるカウンタプレート。
【請求項8】
前記下部支持盤の上面に前記カウンタプレートを位置決めして固定し、前記上部支持盤の下面に前記打抜き型を位置決めして固定し、前記下部支持盤と上部支持盤の接近する方向への相対的な移動により前記罫押し部材をカウンタプレートに押し付けて罫相当部を形成して、その罫相当部に前記罫押し溝を形成して、前記打抜き型と前記カウンタプレートとを装置にセットした際に、前記罫押し部材と前記罫押し溝が上下で正確に対向するようにした請求項5に記載の罫入れ装置におけるカウンタプレート。
【請求項1】
上部支持盤の下面に打抜き刃と罫押し部材とを備えた打抜き型を取付け、その上部支持盤の下方に対向配置された下部支持盤の上面にカウンタプレートを取付け、このカウンタプレートの上面における前記罫押し部材と上下で対向する位置に罫押し溝を設け、前記上部支持盤と下部支持盤の少なくとも一方を上下動させ、前記打抜き刃によりカウンタプレートで支持されたシートに打抜き切断線を形成し、前記罫押し部材によりカウンタプレートで支持されたシートを前記罫押し溝に押し込んで、折曲げ用の罫線を形成するようにした罫入れ装置において、
前記シートを段ボールシートとし、前記罫押し溝が、その溝深さをh、溝幅をW、カウンタプレートの厚さをT、罫押し部材の厚さをtとしたとき、溝深さhをh=(T−0.7)mm〜(T−0.2)mmの範囲とし、溝幅WをW=1.5t〜5tの範囲とし、前記打抜き型の下面から前記打抜き刃と罫押し部材のそれぞれの下端までの寸法差を0.7〜(−0.3)mmの範囲とし、前記カウンタプレートを下部支持盤上に直接取付け可能としたことを特徴とする罫入れ装置。
【請求項2】
前記下部支持盤の上面に位置決めして固定状態とした前記カウンタプレートと前記上部支持盤の下面に位置決めして固定状態とした前記打抜き型との相対的な位置関係から前記カウンタプレートの上面に前記打抜き型の罫押し部材の位置に対応する位置を割り出し、その割り出し位置に前記罫押し溝を形成して、前記打抜き型と前記カウンタプレートとを装置にセットした際に、前記罫押し部材と前記罫押し溝が上下で正確に対向するようにした請求項1に記載の罫入れ装置。
【請求項3】
前記下部支持盤の上面に前記カウンタプレートを位置決めして固定し、前記上部支持盤の下面に前記打抜き型を位置決めして固定し、前記下部支持盤と上部支持盤の接近する方向への相対的な移動により前記打抜き刃をカウンタプレートに押し付けて打抜き切断線相当部を形成し、その打抜き切断線相当部から罫押し部材の位置に対応する位置の割り出しを行なうようにした請求項2に記載の罫入れ装置。
【請求項4】
前記下部支持盤の上面に前記カウンタプレートを位置決めして固定し、前記上部支持盤の下面に前記打抜き型を位置決めして固定し、前記下部支持盤と上部支持盤の接近する方向への相対的な移動により前記カウンタプレートに罫押し部材を押し付けて罫相当部を形成して、その罫相当部に前記罫押し溝を形成して、前記打抜き型と前記カウンタプレートとを装置にセットした際に、前記罫押し部材と前記罫押し溝が上下で正確に対向するようにした請求項1に記載の罫入れ装置。
【請求項5】
上部支持盤の下面に打抜き刃と罫押し部材とを備えた打抜き型を取付け、その上部支持盤の下方に対向配置された下部支持盤の上面にカウンタプレートを取付け、このカウンタプレートの上面における前記罫押し部材と上下で対向する位置に罫押し溝を設け、前記上部支持盤と下部支持盤の少なくとも一方を上下動させ、前記打抜き刃によりカウンタプレートで支持されたシートに打抜き切断線を形成し、前記罫押し部材によりカウンタプレートで支持されたシートを前記罫押し溝に押し込んで、折曲げ用の罫線を形成するようにした罫入れ装置におけるカウンタプレートにおいて、
前記シートを段ボールシートとし、前記罫押し溝が、その溝深さをh、溝幅をW、カウンタプレートの厚さをT、罫押し部材の厚さをtとしたとき、溝深さhをh=(T−0.7)mm〜(T−0.2)mmの範囲とし、溝幅WをW=1.5t〜5tの範囲としたことを特徴とする罫入れ装置におけるカウンタプレート。
【請求項6】
前記下部支持盤の上面に位置決めして固定状態とした前記カウンタプレートと前記上部支持盤の下面に位置決めして固定状態とした前記打抜き型との相対的な位置関係から前記カウンタプレートの上面に前記打抜き型の罫押し部材の位置に対応する位置を割り出し、その割り出し位置に前記罫押し溝を形成して、前記打抜き型と前記カウンタプレートとを装置にセットした際に、前記罫押し部材と前記罫押し溝が上下で正確に対向するようにした請求項5に記載の罫入れ装置におけるカウンタプレート。
【請求項7】
前記下部支持盤の上面に前記カウンタプレートを位置決めして固定し、前記上部支持盤の下面に前記打抜き型を位置決めして固定し、前記下部支持盤と上部支持盤の接近する方向への相対的な移動により前記打抜き刃をカウンタプレートに押し付けて打抜き切断線相当部を形成し、その打抜き切断線相当部から罫押し部材の位置に対応する位置の割り出しを行なうようにした請求項6に記載の罫入れ装置におけるカウンタプレート。
【請求項8】
前記下部支持盤の上面に前記カウンタプレートを位置決めして固定し、前記上部支持盤の下面に前記打抜き型を位置決めして固定し、前記下部支持盤と上部支持盤の接近する方向への相対的な移動により前記罫押し部材をカウンタプレートに押し付けて罫相当部を形成して、その罫相当部に前記罫押し溝を形成して、前記打抜き型と前記カウンタプレートとを装置にセットした際に、前記罫押し部材と前記罫押し溝が上下で正確に対向するようにした請求項5に記載の罫入れ装置におけるカウンタプレート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−31515(P2011−31515A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180548(P2009−180548)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000229184)日本ダイスチール株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000229184)日本ダイスチール株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]