説明

置換されたピリジン誘導体

本発明は一般式Iのピリジン誘導体およびその使用方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、KCNQファミリーカリウムイオンチャネルの開口薬である化合物に関する。該化合物は、KCNQファミリーカリウムイオンチャネルの開口に応答する障害および疾患の治療に有用であり、このような疾患の1つはてんかんである。
【背景技術】
【0002】
イオンチャネルは、カリウム、カルシウム、クロリドおよびナトリウムを含むイオンの細胞内外への流れを制御する、細胞のタンパク質である。前記チャネルはすべての動物およびヒト細胞に存在し、そして神経伝達、筋収縮および細胞分泌を含む種々の過程に影響を及ぼす。
【0003】
ヒトは、構造および機能の両方に関して大きな多様性を持つ、70を超えるカリウムチャネルサブタイプをコードする遺伝子を有する(非特許文献1)。脳で見られるニューロンのカリウムチャネルは主に、活動電位に続く膜再分極の制御と同様、負の静止膜電位の維持に関連する。
【0004】
カリウムチャネル遺伝子の1つのサブセットがKCNQファミリーである。5つのKCNQ遺伝子のうち4つにおける突然変異が、心不整脈、難聴およびてんかんを含む疾患において見られることが示されている(非特許文献1)。
【0005】
KCNQ4遺伝子は、蝸牛の外有毛細胞および前庭器のI型有毛細胞で見られるカリウムチャネル関連の分子をコードしており、この遺伝子の突然変異により遺伝性難聴が形成されると考えられる。
【0006】
KCNQ1(KvLQT1)は、心筋遅延整流性K(+)電流(cardiac-delayed rectifier-like K(+) current)を形成するために、心臓でKCNE1(最小のK(+)-チャネルタンパク質)遺伝子産物と共に会合する。このチャネルにおける突然変異は、難聴の形成に関連するのと同様、遺伝性QT延長症候群1型(LQT1)の一形態を引き起こしうる(非特許文献2)。
【0007】
KCNQ2とKCNQ3遺伝子は1988年に発見され、良性家族性新生児痙攣として知られるてんかんの遺伝形態において、突然変異が見られる(非特許文献3)。KCNQ2およびKCNQ3遺伝子によってコードされるタンパク質は、ヒトの、発作の発生および伝播に関連する脳の部位である皮質および海馬の錐体神経に局在している(非特許文献4)。
【0008】
KCNQ2とKCNQ3は、インビトロで発現させると「M電流」を形成する、2つのカリウムチャネルサブユニットである。M電流は多くの神経細胞のタイプで見られる非不活化(non-inactivating)カリウム電流である。どの細胞のタイプにおいても、主に活動電位開始の領域における持続性電流のみによって膜興奮性は制御される(非特許文献5)。M電流の変調(Modulation)は、神経の興奮性に劇的な効果を及ぼし、例えば前記電流の活性化は神経の興奮性を減少させる。これらのKCNQチャネル開口薬またはM電流のアクチベーターは、過剰な神経活性を減少させ、発作およびその他の疾患の治療、ならびに、痙攣性障害、てんかんおよび神経因性疼痛を含む神経の異常興奮性のような過剰な神経活性を特徴とする障害の治療に使用することができる。
【0009】
レチガビン(Retigabine)(D-23129; N-(2-アミノ-4-(4-フルオロベンジルアミノ)-フェニル) カルバミン酸エチルエステル)およびその類似体は特許文献1に開示されている。レチガビンは、インビトロおよびインビボの両方で、作用の広いスペクトルおよび強力な抗痙攣特性を持つ抗痙攣性の化合物である。それは、電気的に誘導される発作、ペンチレンテトラゾール(pentylenetetrazole)、ピクロトキシン(picrotoxin)およびN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)により化学的に誘導される発作を含む抗痙攣薬試験の範囲内におけるラットおよびマウス、および遺伝的動物モデルであるDBA/2マウスでの経口および腹腔内投与後に活性を有する(非特許文献6)。加えて、レチガビンは複雑部分発作の扁桃核キンドリング(amygdala kindling)モデルにおいて活性であり、さらにこの化合物が抗痙攣治療に効力を有することを示している。臨床試験において、レチガビンは最近、てんかん患者における発作の発生率を減少させる効果を示している(非特許文献7)。
【0010】
レチガビンは、神経細胞においてK(+)電流を活性化し、この誘導される電流の薬理学は、近年KCNQ2/3K(+)チャネルへテロ多量体と関連付けて発表されているM-チャネルの薬理学との一致を示す。このことは、KCNQ2/3チャネルの活性化が、この薬剤の一部の抗痙攣活性の原因となっており(非特許文献8)、そして、その他の同じ機構で作用する薬剤が類似の用途を持つことを示唆している。
【0011】
KCNQ2および3チャネルは、神経因性疼痛のモデルにおいてアップレギュレートされることが報告されており(非特許文献9)、カリウムチャネルモジュレーターは、神経因性疼痛およびてんかんの両方において活性であると予想されている(非特許文献10)。
【0012】
レチガビンは、神経因性疼痛の動物モデルにおいても有効であることが示されており(非特許文献11)、KCNQチャネルの開口薬が神経因性疼痛を含む疼痛性障害の治療に使用することができると考えられる。
【0013】
KCNQチャネルmRNAの局在化が、脳および痛みに関連するその他の中枢神経系領域において報告されている(非特許文献12)。
【0014】
神経因性疼痛における役割に加えて、三叉神経および後根神経節および三叉神経尾側核(trigeminal nucleus caudalis)におけるKCNQ2〜5のmRNAの発現は、これらのチャネルの開口薬が片頭痛(migraine pain)の感覚的な過程にも影響を及ぼしていることを示唆するものである(非特許文献12)。
【0015】
最近の報告では、KCNQ2に加えてKCNQ3および5のmRNAが星状およびグリア細胞で発現していることが示されている。従って、KCNQ2、3および5チャネルは、CNSにおけるシナプス活性の調節を助け、KCNQチャネル開口薬の神経保護効果に貢献している(非特許文献13)。
【0016】
従って、レチガビンおよびその他のKCNQモジュレーターは、レチガビンがラットにおいて辺縁系の神経変性、およびカイニン酸(kainic acid)が誘導するてんかん重積状態に続くアポトーシスマーカーの発現を妨げることが示されているように、てんかんの神経変性の側面に対する保護を示す(非特許文献14)。これは、患者におけるてんかんの進行の予防、すなわち、抗てんかん誘発に関連する。レチガビンは、てんかん進行のさらなるモデルであるラットにおける海馬キンドリング(hippocampal kindling)の進行を遅らせることが示されている(非特許文献15)。
【0017】
従って、レチガビンおよびその他のKCNQモジュレーターのこれらの特性により、過剰な神経活性化によって誘導される神経の損傷を予防することができ、神経変性疾患の治療、およびてんかん患者における予防維持(または抗てんかん誘発)に使用することができると考えられる。
【0018】
ベンゾジアゼピン(benzodiazepines)およびクロルメチアゾール(chlormethiazole)のような抗痙攣薬化合物が、エタノール離脱症候群(ethalnol withdrawal syndrome)の治療に臨床的に使用され、その他の抗痙攣薬化合物、例えばガバペンチン(gabapentin)がこの症候群の動物モデル(非特許文献16)に非常に有効であるならば、KCNQ開口薬のようなその他の抗痙攣薬化合物がこの状態においても有効であると期待される。
【0019】
KCNQ2および3サブユニットのmRNAは、不安、および双極性障害のような情動行動と関連する脳の領域、例えば海馬および扁桃において見られ (非特許文献17)、そして、レチガビンは報告されるところによれば、不安様行動のいくつかの動物モデルで活性であり(非特許文献18)、その他の臨床的に使用される抗痙攣薬化合物は、双極性障害の治療に使用されている。従って、KCNQ開口薬は、不安障害および双極性障害の治療に有用である。
【0020】
特許文献2には、KCNQ2およびKCNQ3遺伝子の発現によって形成されるM電流のモジュレーターを、不眠症のために使用する方法が開示されており、さらに特許文献3には、KCNQ5のモジュレーターが睡眠障害の治療に利用できることが開示されている。
【0021】
特許文献4には、異痛、痛覚過敏(hyperalgesic pain)、幻想痛(phantom pain)のような神経因性疼痛、糖尿病性神経障害に関連する神経因性疼痛、および片頭痛に関連する神経因性疼痛の予防および治療のために、レチガビンを使用する方法が記載されている。
【0022】
特許文献5には、不安、全般性不安障害、パニック不安、強迫性障害、対人恐怖、パフォーマンス不安(performance anxiety)、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス反応(acute stress reaction)、適応障害、心気症障害(hypochondriacal disorders)、分離不安障害(separation anxiety disorder)、広場恐怖症および特定恐怖症(specific phobias)のような不安障害の治療のために、レチガビンを使用する方法が記載されている。
【0023】
特許文献6には、アルツハイマー病;ハンチントン舞踏病;多発性硬化症および筋萎縮性側索硬化症のような硬化症;クロイツフェルト・ヤコブ病;パーキンソン病;AIDSによって、または風疹ウイルス、ヘルペスウイルス、ボレリア菌および未知の病原体による感染によって誘発される脳症;外傷誘発性神経変性(trauma-induced neurodegenerations);薬物離脱症状(medicament withdrawal)または中毒におけるような神経の過興奮状態(hyperexcitation states);および多発性神経障害および多発性神経炎(polyneuritides)のような末梢神経系の神経変性障害を治療するために、レチガビンを使用する方法が記載されている。
【0024】
KCNQチャネル開口薬が脳卒中の治療に有効であることも見出され、従って、選択的なKCNQ開口薬は、脳卒中の治療に有効であると期待される(非特許文献19;非特許文献20;非特許文献21)。
【0025】
KCNQチャネルは、脳の報酬系に関連する脳のドーパミン作動性およびコリン作動性回路、特に腹側被蓋野において発現することが示されている(非特許文献22)。従って、KCNQチャネル開口薬は、脳の報酬系に関連する興奮性亢進障害、例えば、コカイン乱用、ニコチン離脱症状およびエタノール離脱症状に有効であると期待される。
【0026】
KCNQ4サブユニットを含むカリウムチャネルは内耳に発現しており(非特許文献23)、従って、これらのチャネルの開口は耳鳴を治療すると期待される。
【0027】
従って、カリウムチャネルのKCNQファミリーの強力な開口薬である新規化合物が切望されている。
【0028】
レチガビンのようなKCNQファミリーカリウムチャネルの開口薬である公知の化合物と比較して、改善された特性をもつ新規化合物もまた切望されている。以下のパラメーター:半減期、クリアランス(clearance)、選択性、他の薬剤との相互作用、生物学的利用能(bioavailability)、有効性(potency)、製剤化性(formulability)、化学的安定性、代謝安定性、膜透過性、溶解度および治療指数(therapeutic index)、のうちの1つまたは2つ以上の改善が所望されている。これらのパラメーターの改善は、以下:
・一日の必要用量を減少することによる、改善した用量での療法
・多剤治療の患者への投与の軽減
・副作用の減少
・治療指数の増大
・忍容性(tolerability)の改善、または
・コンプライアンス(compliance)の改善、
のような改善をもたらす。
【特許文献1】欧州特許(EP)第554543号明細書
【特許文献2】国際公開第200196540号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2001092526号パンフレット
【特許文献4】国際公開第01/022953号パンフレット
【特許文献5】国際公開第02/049628号パンフレット
【特許文献6】国際公開第97/15300号パンフレット
【非特許文献1】Jentsch Nature Reviews Neuroscience 2000, 1, 21-30
【非特許文献2】Robbins Pharmacol Ther 2001, 90, 1-19
【非特許文献3】Rogawski Trends in Neurosciences 2000, 23, 393-398
【非特許文献4】Cooper et al. Proceedings National Academy of Science U S A 2000, 97, 4914-4919
【非特許文献5】Marrion Annual Review Physiology 1997, 59, 483-504
【非特許文献6】Rostock et al. Epilepsy Research 1996, 23, 211-223
【非特許文献7】Bialer et al. Epilepsy Research 2002, 51, 31-71
【非特許文献8】Wickenden et al. Molecular Pharmacology 2000, 58, 591-600
【非特許文献9】Wickenden et al. Society for Neuroscience Abstracts 2002, 454.7
【非特許文献10】Schroder et al. Neuropharmacology 2001, 40, 888-898;
【非特許文献11】Blackburn-Munro and Jensen European Journal of Pharmacology 2003, 460, 109-116
【非特許文献12】Goldstein et al. Society for Neuroscience Abstracts 2003, 53.8
【非特許文献13】Noda et al., Society for Neuroscience Abstracts 2003, 53.9
【非特許文献14】Ebert et al. Epilepsia 2002, 43 Suppl 5, 86-95
【非特許文献15】Tober et al. European Journal Of Pharmacology 1996, 303, 163-169
【非特許文献16】Watson et al. Neuropharmacology 1997, 36, 1369-1375
【非特許文献17】Saganich et al. Journal of Neuroscience 2001, 21, 4609-4624
【非特許文献18】Hartz et al. Journal of Psychopharmacology 2003, 17 suppl 3, A28,B16
【非特許文献19】Schroder et al., Pflugers Arch., 2003;446(5):607-16
【非特許文献20】Cooper and Jan, Arch Neurol., 2003, 60(4):496-500
【非特許文献21】Jensen, CNS Drug Rev., 2002,8(4):353-60
【非特許文献22】Cooper et al., J Neurosci, 2001, 21, 9529-9540
【非特許文献23】Kubisch et al., Cell., 1999 Feb 5;96(3):437-46
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明の目的の1つは、KCNQファミリーカリウムチャネルの強力な開口薬である化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明の化合物は、以下の式I
【0031】
【化1】

で表される遊離塩基またはその塩としての置換されたピリジン誘導体であって、
式中、R1、R2、R3およびq が以下に定義されるとおりである、前記のピリジン誘導体である。
【0032】
本発明は、薬剤として使用するための式Iの化合物を提供する。
【0033】
本発明は、式Iの化合物および薬学的に許容されるキャリアーまたは希釈剤を含む医薬調合物を提供する。
【0034】
本発明は、発作性障害、不安障害、神経因性疼痛および片頭痛の疼痛性障害、または神経変性障害の治療用薬剤の製造に式Iの化合物を使用する方法を提供する。
【0035】
本発明はさらに、発作性障害、不安障害、神経因性疼痛および片頭痛の疼痛性障害、または神経変性障害の治療方法において、式Iの化合物を使用する方法に関する。
【0036】
<置換基の定義>
「ヘテロ原子」という語句は窒素、酸素または硫黄原子を表す。
【0037】
「ハロゲン」はフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。「ハロ」はハロゲンを意味する。
【0038】
「シアノ」は、炭素原子によって分子の残りの部分と結合する
【0039】
【化2】

を表す。
【0040】
「C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」という表現は、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニルまたはC2-6-アルキニル基を意味する。「C1-6-アルキル」という語句は、メチル、エチル、プロプ-1-イル、プロプ-2-イル、2-メチル-プロプ-1-イル、2-メチル-プロプ-2-イル、2,2-ジメチル-プロプ-1-イル、ブト-1-イル、ブト-2-イル、3-メチル-ブト-1-イル、3-メチル-ブト-2-イル、ペント-1-イル、ペント-2-イル、ペント-3-イル、ヘキシ-1-イル、ヘキシ-2-イルおよびヘキシ-3-イルを含むがこれらに限定されない、1〜6個の炭素原子を有する分岐または非分岐のアルキル基を示す。「C2-6-アルケニル」という語句は、エテニル、プロペニルおよびブテニルを含むがこれらに限定されない、2〜6個の炭素原子および1個の二重結合を有する分岐または非分岐のアルケニル基を示す。
【0041】
「C2-6-アルキニル」という語句は、エチニル、プロピニルおよびブチニルを含むがこれらに限定されない、2〜6個の炭素原子および1個の三重結合を有する分岐または非分岐のアルキニル基を示す。
【0042】
「C1-8-アルキル(アルケニル/アルキニル)」という表現は、C1-8-アルキル、C2-8-アルケニルまたはC2-8-アルキニルを意味する。「C1-8-アルキル」という語句は、限定はされないがメチル、エチル、プロプ-1-イル、プロプ-2-イル、2-メチル-プロプ-1-イル、2-メチル-プロプ-2-イル、2,2-ジメチル-プロプ-1-イル、ブト-1-イル、ブト-2-イル、3-メチル-ブト-1-イル、3-メチル-ブト-2-イル、ペント-1-イル、ペント-2-イル、ペント-3-イル、ヘキシ-1-イル、ヘキシ-2-イル、ヘキシ-3-イル、2-メチル-4,4-ジメチル-ペント-1-イルおよびヘプト-1-イルを含む、1〜8個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル基を示す。
【0043】
「C2-8-アルケニル」という語句は、限定はされないがエテニル、プロペニルおよびブテニルを含む、2〜8個の炭素原子および1つの二重結合を有する分岐または非分岐アルケニル基を示す。
【0044】
「C2-8-アルキニル」という語句は、限定はされないがエチニル、プロピニルおよびブチニルを含む、2〜8個の炭素原子および1つの三重結合を有する分岐または非分岐アルキニル基を示す。
【0045】
「C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)」という表現は、C3-8-シクロアルキルまたはC3-8-シクロアルケニルを意味する。「C3-8-シクロアルキル」という語句は、限定はされないがシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロヘプチル、例えば、2-ビシクロ[2.2.1]ヘプチルを含む、3〜8個の炭素原子を有する単環式または二環式の炭素環を表す。
【0046】
「C3-8-シクロアルケニル」という語句は、限定はされないがシクロペンテニルおよびシクロヘキセニルを含む、3〜8個の炭素原子および1個の二重結合を有する単環式または二環式の炭素環を表す。
【0047】
「C3-8-ヘテロシクロアルキル(シクロアルケニル)」という語句は、C3-8-ヘテロシクロアルキルまたはC3-8-ヘテロシクロアルケニルを意味する。
【0048】
「C3-8-ヘテロシクロアルキル」という語句は、環が、2〜7個の炭素原子および1または2個のヘテロ原子(窒素、酸素または硫黄原子から独立して選択される)から選択される3〜8個の原子から形成される単環式または二環式の環系を表す。C3-8-ヘテロシクロアルキルの例としては、ピロリジン、アゼパン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジンおよびテトラヒドロフランが挙げられる。
【0049】
「C3-8-ヘテロシクロアルケニル」という語句は、環が、2〜7個の炭素原子および1または2個のヘテロ原子(窒素、酸素または硫黄原子から独立して選択される)から選択される3〜8個の原子から形成され、1個の二重結合を有する単環式または二環式の環系を表す。C3-8-ヘテロシクロアルケニルの例としては、ジヒドロピロール、ジヒドロフランおよびジヒドロチオフェンが挙げられる。
【0050】
C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)が窒素を含む場合には、C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)は複素環の炭素原子または窒素原子によって分子の残りの部分と結合する。
【0051】
C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)が窒素を含まない場合には、C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)は複素環の炭素原子によって分子の残りの部分と結合する。
【0052】
「ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」という語句は、限定はされないがトリフルオロメチルを含む、ハロゲンで置換されるC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)を表す。
【0053】
同様に、「ハロ-C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)」は、限定はされないがクロロシクロプロパンおよびクロロシクロヘキサンを含む、ハロゲンで置換されるC3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)を表す。
【0054】
同様に、「ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」は、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)によって分子の残りの部分と結合するハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)を表す。
【0055】
「C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ」という語句は、酸素原子によって分子の残りの部分と結合するC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)を表す。
【0056】
同様に、「C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシ」は、酸素原子によって分子の残りの部分と結合するC3-8-シクロアルキル(アルケニル)を表す。
【0057】
「C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」、「アリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」、「アリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)」、「アリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」、「C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」、「C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)-C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」、「ヘテロアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」、「ヘテロアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)」、「ヘテロアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」、「NR4R5-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」、「NR4R5-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)」、「NR4R5-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」、「C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ」、「C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」、「C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」および「C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」という表現において、「C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」、「C3-8-シクロアルキル(アルケニル)」、「アリール」、「C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)」、「ヘテロアリール」、「C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ」および「C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシ」という語句は上記の定義のとおりである。
【0058】
「ヘテロアリール」という語句は、ピリジン、チオフェン、フラン、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イミダゾール、チアゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンおよびインドールからなる群から選択される、単環式または二環式の複素芳香族系を示す。
【0059】
アリールという語句は、フェニルおよびナフチルからなる群から選択される、単環式または二環式の香族系を示す。
【0060】
「場合により置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」という語句は、アリール部分が場合により、例えば、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシおよびC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシからなる群から独立して選択される1、2または3種の置換基で置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)を示す。
【0061】
同様に、「場合により置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)」という語句は、アリール部分が場合により、例えば、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシおよびC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシからなる群から独立して選択される1、2または3種の置換基で置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)を示す。
【0062】
同様に、「場合により置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)」という語句は、アリール部分が場合により、例えば、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシおよびC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシからなる群から独立して選択される1、2または3種の置換基で置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)を示す。
【0063】
<本発明の詳細な説明>
本発明は、KCNQカリウムチャネルの開口薬である置換されたピリジン誘導体に関する。
【0064】
本発明は、一般式I:
【0065】
【化3】

で表される遊離塩基またはその塩としての化合物であって、
式中、qが0または1であり;
R1およびR2がそれぞれ、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシおよびC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシからなる群から独立して選択され;そして
R3がC1-8-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合によって置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合によって置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、場合によって置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)-C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)-C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ヘテロアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ヘテロアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、ヘテロアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、NR4R5-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、NR4R5-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、NR4R5-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)およびハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から選択され;式中、
R4およびR5がそれぞれ、水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)およびC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から独立して選択される、
前記の化合物に関する。
【0066】
式Iの化合物の1つの実施態様において、qは0であり;式Iの化合物のもう1つの実施態様において、qは1である。
【0067】
式Iの化合物の別の実施態様において、R1およびR2はそれぞれ、ハロゲン、シアノ、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシおよびC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシからなる群から独立して選択され;もう1つの実施態様において、R1およびR2はそれぞれ、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシおよびC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシからなる群から独立して選択され;もう1つの実施態様において、R1およびR2はそれぞれ、ハロゲン、シアノおよびC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)およびC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシからなる群から独立して選択され;もう1つの実施態様において、R1およびR2はそれぞれ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)およびC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から独立して選択され;もう1つの実施態様において、R1はC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、例えば、メチルであり; もう1つの実施態様において、R2はC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、例えば、メチルであり;もう1つの実施態様において、R1はC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、例えば、メトキシであり、そしてR2はハロゲンであり;もう1つの実施態様において、R1はハロゲンであり、そしてR2は C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、例えば、メトキシである。
【0068】
典型的には、R1およびR2は両方ともC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、例えばメチルである。
【0069】
式Iの化合物の別の実施態様において、R3はC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)-C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)-C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、NR4R5-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、NR4R5-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、NR4R5-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)およびハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から選択され;もう1つの実施態様において、R3はC1-8-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合により置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合により置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、場合により置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ヘテロアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ヘテロアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、ヘテロアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、NR4R5-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、NR4R5-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)およびNR4R5-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から選択され;もう1つの実施態様において、R3はC1-8-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合により置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合により置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、ヘテロアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)およびNR4R5-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から選択され;もう1つの実施態様において、R3はC1-8-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合により置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合により置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、場合により置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ヘテロアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ヘテロアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)およびヘテロアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から選択される。
【0070】
典型的には、R3はC1-8-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合により置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合により置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)およびヘテロアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から選択される。
【0071】
本発明を限定することなくさらに説明するためのR3の1つの実施態様は、C1-8-アルキル(アルケニル/アルキニル)であり;R3のもう1つの実施態様は、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)であり;R3のもう1つの実施態様は、場合により置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)であり;R3のもう1つの実施態様は、場合により置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)であり;R3のもう1つの実施態様は、ヘテロアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である。
【0072】
式Iの化合物の別の実施態様において、R4およびR5はそれぞれ、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)およびC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から独立して選択され;もう1つの実施態様において、R4およびR5はそれぞれ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)および水素からなる群から独立して選択され;もう1つの実施態様において、R4およびR5は両方ともC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)であり;もう1つの実施態様において、R4およびR5は両方とも水素である。
【0073】
式Iの化合物の別の実施態様において、単独でまたは大きな置換基の一部として記載されるヘテロアリールは、ピリジン、フラン、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イミダゾール、トリアゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンおよびインドールからなる群から選択され;別の実施態様において、単独でまたは大きな置換基の一部として記載されるヘテロアリールはチオフェンである。
【0074】
式Iの化合物の別の実施態様において、単独でまたは大きな置換基の一部として記載されるアリールはフェニルであり;別の実施態様において、単独でまたは大きな置換基の一部として記載されるアリールはナフチルである。
【0075】
式Iの化合物の別の実施態様において、単独でまたは大きな置換基の一部として記載される場合により置換されるアリールは、1または2個の置換基で置換されていてもよい。
【0076】
本発明を限定することなくさらに例証すると、1つの実施態様は、単独でまたは大きな置換基の一部として記載される場合により置換されるアリールが置換されていない式Iの前記化合物に関し;別の実施態様において、単独でまたは大きな置換基の一部として記載される場合により置換されるアリールは1個の置換基で置換されており;別の実施態様において、単独でまたは大きな置換基の一部として記載される場合により置換されるアリールは2個の置換基で置換されている。
【0077】
式Iの化合物の別の実施態様において、単独でまたは大きな置換基の一部として記載される場合により置換されるアリールは、シアノ、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシおよびC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく;別の実施態様において、単独でまたは大きな置換基の一部として記載される場合により置換されるアリールは、ハロゲン、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)およびC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシからなる群から選択される置換基で置換されていてもよい。
【0078】
本発明を限定することなくさらに例証すると、1つの実施態様は、単独でまたは大きな置換基の一部として記載される場合により置換されるアリールがハロゲンで置換されている式Iの前記化合物に関し;別の実施態様において、単独でまたは大きな置換基の一部として記載される場合により置換されるアリールはC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)で置換されており;別の実施態様において、単独でまたは大きな置換基の一部として記載される場合により置換されるアリールはハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)で置換されており;別の実施態様において、単独でまたは大きな置換基の一部として記載される場合により置換されるアリールはC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシで置換されている。
【0079】
別の実施態様は、遊離塩基またはその塩としての式Iの化合物に関し、前記化合物は以下の表の化合物から選択される。
【0080】
【表1】

これらの化合物はそれぞれが特定の実施態様であり、個々の請求項に含めることもできるものである。
【0081】
本発明はまた、本発明化合物の塩、典型的には薬学的に許容される塩も含む。本発明の塩には、酸付加塩、金属塩、アンモニウムおよびアルキルアンモニウム塩が含まれる。
【0082】
本発明の塩は好ましくは酸付加塩である。本発明の酸付加塩は、好ましくは、非毒性の酸で形成される本発明化合物の薬学的に許容される塩である。酸付加塩には、無機酸および有機酸の塩が含まれる。適当な無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸等が含まれる。適当な有機酸の例には、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、イタコン酸、乳酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモン酸(pamoic)、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、テオフィリン酢酸(theophylline acetic acids)、および8-ハロテオフィリン、例えば8-ブロモテオフィリン等が含まれる。薬学的に許容される無機酸または有機酸付加塩のさらなる例としては、参照することにより本明細書に組み込まれる「J. Pharm. Sci. 1977, 66, 2」に記載されている薬学的に許容される塩が含まれる。
【0083】
本発明化合物が形成することができる水和物も酸付加塩として考えられる。
【0084】
金属塩の例には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム塩等が含まれる。
【0085】
アンモニウムおよびアルキルアンモニウム塩の例としては、アンモニウム、メチル-、ジメチル-、トリメチル-、エチル-、ヒドロキシエチル-、ジエチル-、n-ブチル-、sec-ブチル-、tert-ブチル-、テトラメチルアンモニウム塩等が含まれる。
【0086】
さらに、本発明の化合物は、水、エタノール等のような薬学的に許容される溶剤とともに溶媒和体(solvated forms)で存在するものと同様に、溶媒和されないで存在し得る。概して、本発明の目的においては、溶媒和体は非溶媒和体(unsolvated forms)と同等であると考えられる。
【0087】
本発明の化合物は1つまたは2つ以上の不斉中心を有し、このことは、分割され、純粋なもしくは部分的に精製された光学異性体およびそれらのラセミ混合物を含む混合物、すなわち立体異性体の混合物のような光学異性体(すなわち、エナンチオマーまたはジアステレオマー)がいずれも本発明の範囲に含まれることを意味する。
【0088】
ラセミ体は、公知の方法、例えば、そのジアステレオマー塩の光学活性な酸を用いる分離、および塩基での処理による光学活性アミン化合物の遊離により、光学対掌体に分割することができる。ラセミ化合物の光学対掌体への分割のもう1つの方法は、光学活性なマトリックスを用いたクロマトグラフィーに基づくものである。本発明のラセミ化合物はまた、例えば、分別晶出(fractional crystallization)によってもその光学対掌体に分割することができる。本発明の化合物はまた、ジアステレオマー誘導体の形成によっても分割することができる。さらに、当業者に公知の光学対掌体の分割方法を使用することもできる。このような方法には、「J. Jaques, A. Collet and S. Wilen in “Enantiomers, Racemates, and Resolutions”, John Wiley and Sons, New York (1981) 」により議論されている方法が含まれる。光学活性化合物はまた、光学活性な出発物質から、または立体選択的合成により製造することもできる。
【0089】
さらに、二重結合または完全にもしくは部分的に飽和した環系が分子内に存在する場合には、幾何異性体が形成される。分離され、純粋なもしくは部分的に精製された幾何異性体またはそれらの混合物のようないずれの幾何異性体も、本発明の範囲に含まれる。同様に、回転が制限される結合を有する分子は幾何異性体を形成し得る。これらもまた、本発明の範囲に含まれる。
【0090】
さらに、いくつかの本発明化合物は、異なる互変異性型で存在することができ、前記化合物が形成することができる互変異性型はいずれも、本発明の範囲に含まれる。
【0091】
本発明は、投与において、薬学的な活性物質となる前に代謝過程により化学的変換を受ける、本発明化合物のプロドラッグもまた包含する。概して、前記のプロドラッグは一般式Iの化合物の機能的な誘導体であり、生体内において容易に、所望である式 Iの化合物に変換される。適切なプロドラッグ誘導体の選択および製造に関する慣用的な手段は、例えば「Design of Prodrugs」(ed.H. Bundgaard, Elsevier, 1985)に記載されている。
【0092】
本発明は、本発明化合物の活性代謝産物(active metabolites)もまた包含する。
【0093】
本発明の化合物は、下記の「KCNQ2チャネルを通る相対流量」試験によって測定した場合に、KCNQ2受容体サブタイプに対するアフィニティーを有し、15000 nM未満、例えば10000 nM未満のEC50を示す。1つの実施態様は、下記の「KCNQ2チャネルを通る相対流量」試験によって測定した場合に、KCNQ2受容体サブタイプに対するアフィニティーを有し、2000 nM未満、例えば1500 nM未満のEC50を示す式Iの化合物に関する。本発明を限定することなくさらに説明するための実施態様は、下記の「KCNQ2チャネルを通る相対流量」試験によって測定した場合に、KCNQ2受容体サブタイプに対するアフィニティーを有し、200 nM未満、例えば150 nM未満のEC50を示す上記化合物に関する。
【0094】
1つの実施態様は、下記の「最大電気ショック」試験において15mg/kg未満のED50を有する式Iの化合物に関する。本発明を限定することなくさらに説明するための実施態様は、下記の「最大電気ショック」試験において5mg/kg未満のED50を有する前記の化合物に関する。
【0095】
1つの実施態様は、下記の「電気的発作閾値試験」および「化学的発作閾値試験」において5mg/kg未満のED50を有する式Iの化合物に関する。
【0096】
1つの実施態様は、ほとんど副作用を示さないか、または臨床的に重要でない副作用を示す式Iの化合物に関する。従って、本発明の一部の化合物は、不要な鎮痛、体温降下および運動失調作用のモデルにおいて試験が行われる。
【0097】
1つの実施態様は、回転棒(rotating rod)での行動により測定を行った場合に、抗痙攣効果と副作用、例えば、自発運動(locomotor activity)の障害もしくは運動失調効果との間で大きな治療指数を有する式Iの化合物に関する。このような化合物は、副作用が現れる前に、患者に高用量で使用することができる。従って、治療におけるコンプライアンスは良好であり、他の薬剤では副作用が現れる患者において、より有効な治療である高用量の投与が可能であると期待される。
【0098】
すでに述べたように、本発明の化合物は、KCNQファミリーのカリウムチャネル、特にKCNQ2サブユニットにおいて効果を有し、従って、これらは哺乳類、例えば、ヒトにおける電位依存性カリウムチャネルでのイオンの流れを増加させるために有用であると考えられる。本発明化合物は、カリウムチャネル、例えば、KCNQファミリーカリウムイオンチャネルでのイオンの流れの増加に応答する障害または疾患の治療に適用可能であると考えられる。このような障害または疾患は、好ましくは中枢神経系の障害または疾患である。
【0099】
1つの態様において、本発明の化合物は、治療的に有効な化合物のみで投与することができる。
【0100】
別の態様において、本発明化合物は併用療法の一部分として投与することができ、すなわち、本発明化合物は、例えば、抗痙攣特性を有するその他の治療的に有効な化合物と組み合わせて投与することができる。このような抗痙攣特性を有するその他の化合物の効果には、限定はされないが以下:
・イオンチャネル、例えば、ナトリウム、カリウム、またはカルシウムチャネル
・興奮性アミノ酸系、例えば、NMDA受容体の遮断または変調
・抑制性神経伝達物質系、例えば、GABA放出、またはGABA取り込みの遮断、または
・膜安定化効果
における活性が含まれる。
【0101】
現在用いられている抗痙攣薬剤には、限定はされないが、チアガビン(tiagabine)、カルバマゼピン(carbamazepine)、ナトリウムバルプロエート(valproate)、ラモトリジン(lamotrigine)、ガバペンチン(gabapentin)、プレガバリン(pregabalin)、エトスクシミド(ethosuximide)、レベチラセタム(levetiracetam)、フェニトイン(phenytoin)、トピラメート(topiramate)、ゾニサミド(zonisamide)、ならびにベンゾジアゼピン(benzodiazepine)およびバルビツール酸誘導体(barbiturate)類のメンバーが含まれる。
【0102】
本発明の態様は、薬剤として使用するための式Iの化合物の遊離塩基またはその塩を提供する。
【0103】
1つの実施態様において、本発明は、治療方法において式Iの化合物の遊離塩基またはその塩を使用する方法に関する。
【0104】
本発明の実施態様は、式Iの化合物の遊離塩基またはその塩、および薬学的に許容されるキャリアーもしくは希釈剤を含む医薬調合物に関する。該調合物は、上記のような式Iの実施態様のいずれをも含み得る。
【0105】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物の遊離塩基またはその塩を、KCNQカリウムチャネル開口薬、例えば、KCNQ2カリウムチャネル開口薬が有益な疾患又は障害の治療用医薬調合物の製造に使用する方法に関する。通常、このような疾患又は障害は、発作性障害、不安障害、神経因性疼痛および片頭痛の疼痛性障害、神経変性障害、脳卒中、コカイン乱用、ニコチン離脱症状、エタノール離脱症状、および耳鳴からなる群から選択される。
【0106】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物の遊離塩基またはその塩を、発作性障害の治療用医薬調合物の製造に使用する方法に関する。通常、治療される発作性障害は、急性発作、痙攣、てんかん重積状態およびてんかん、例えば、てんかん症候群およびてんかん性発作からなる群から選択される。
【0107】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物の遊離塩基またはその塩を、不安障害の治療用医薬調合物の製造に使用する方法に関する。通常、治療される不安障害は、不安、および、パニック不安、広場恐怖症、広場恐怖症を伴うパニック障害(panic disorder with agoraphobia)、広場恐怖症を伴わないパニック障害(panic disorder without agoraphobia)、パニック障害の履歴を伴わない広場恐怖症、特定恐怖症(specific phobias)、対人恐怖症およびその他の特定恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般性不安障害、一般身体疾患(general medical condition)のための不安障害、物質誘発性不安障害(substance-induced anxiety disorder)、分離不安障害、適応障害、パフォーマンス不安(performance anxiety)、心気症障害、一般身体疾患のための不安障害および物質誘発性不安障害、およびその他の特定されていない不安障害、に関連する障害および疾患からなる群から選択される。
【0108】
本発明の更なる実施態様は、式Iの化合物の遊離塩基またはその塩を、神経因性疼痛および片頭痛の疼痛性障害の治療用医薬調合物の製造に使用する方法に関する。通常、治療される神経因性疼痛および片頭痛の疼痛性障害は、異痛、痛覚過敏(hyperalgesic pain)、幻想痛(phantom pain)、糖尿病性神経障害に関連する神経因性疼痛、三叉神経痛に関連する神経因性疼痛および片頭痛に関連する神経因性疼痛からなる群から選択される。
【0109】
本発明の更なる実施態様は、式Iの化合物の遊離塩基またはその塩を、神経変性障害の治療用医薬調合物の製造に使用する方法に関する。通常、治療される神経変性障害は、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、AIDSによりまたは風疹ウイルス、ヘルペスウイルス、ボレリア菌および未知の病原体による感染により誘発される脳症、外傷誘発性神経変性(trauma-induced neurodegenerations)、薬物離脱症状(medicament withdrawal)におけるもしくは中毒によるような神経の過興奮状態(hyperexcitation states)、および末梢神経系の神経変性疾患、例えば多発性神経障害および多発性神経炎(polyneuritides)からなる群から選択される。
【0110】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物の遊離塩基またはその塩を、双極性障害の治療用医薬調合物の製造に使用する方法に関する。
【0111】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物の遊離塩基またはその塩を、睡眠障害、例えば不眠症の治療用医薬調合物の製造に使用する方法に関する。
【0112】
本明細書において疾患または障害と関連して使用される場合に、「治療」という語句には、場合により、予防、抑制および改善もまた含まれる。
【0113】
本発明は、以下の試験のうちの1つまたは2つ以上において効果を示す化合物を提供する:
・「KCNQ2チャネルを通る相対流量」
これは、標的チャネルにおける化合物の有効性を測定するものである
・「最大電気ショック(Maximum electroshock)」
これは、電気的手段による非特異的CNS刺激によって誘導される発作を測定するものである
・「ピロカルピン(Pilocarpine)誘導性発作」
ピロカルピンによって誘導される発作は、しばしば多くの既存の抗発作薬剤により治療することが困難であるので、「薬剤耐性発作」のモデルを反映する
・「電気的発作閾値試験(Electrical seizure-threshold tests)」および「化学的発作閾値試験(Chemical seizure-threshold tests)」
これらのモデルは、発作が開始する閾値を測定し、化合物が発作開始を遅らせることができるかを検出するモデルである
・「扁桃核キンドリング(Amygdala kindling)」
このモデルにおいては、正常動物がさらなる刺激を受けると該動物において発作がより重篤になるので、疾患の進行を測定するために用いられる。
・「CHO細胞における電気生理学的パッチクランプ記録」および「卵母細胞におけるKCNQ2、KCNQ2/KCNQ3またはKCNQ5チャネルの電気生理学的記録」
これらの試験においては、電位活性化型KCNQ2、KCNQ2/KCNQ3またはKCNQ5電流が記録される。
【0114】
<医薬調合物>
本発明はまた、医薬調合物に関する。本発明の化合物またはその塩は、単回または複数回投与で、単独でまたは薬学的に許容されるキャリアーまたは希釈剤と組み合わせて投与することができる。本発明による医薬調合物は、薬学的に許容されるキャリアーまたは希釈剤ならびに他の公知の佐剤および賦形剤とともに、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19 Edition, Gennaro, Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1995」に開示されているような慣用の技術に従って製剤化することができる。
【0115】
前記の医薬調合物は、具体的には経口、 直腸、 経鼻、 肺、 局所(口腔および舌下腺(sublingual)を含む)、 経皮、 嚢内(intracisternal)、 腹腔内、 膣および非経口 (皮下、 筋肉内、 髄腔内(intrathecal)、 静脈内および皮内を含む)経路のような適切な経路、好ましくは経口経路による投与のために製剤化されてもよい。好ましい経路は、治療対象者の一般的な状態および年齢、治療されるべき障害または疾患の性質および選択される有効成分に依存するということは認識されるだろう。
【0116】
そして、本発明化合物および薬学的に許容されるキャリアーを組み合わせることにより形成される医薬調合物は、開示された投与経路に適した種々の剤形で容易に投与することができる。前記の調合物は、都合よくは、本技術分野において公知の方法によって単位剤形(unit dosage form)で存在することができる。
【0117】
本発明の化合物は、通常、遊離塩基としてまたはその薬学的に許容される塩として利用される。1つの例としては、遊離塩基が有効性を有する化合物の酸付加塩が挙げられる。本発明化合物が遊離塩基を含む場合には、前記の塩は、本発明の遊離塩基の溶液または懸濁液を化学的当量の薬学的に許容される酸と処理することにより、慣用の方法で製造される。代表的な例は上述したとおりである。
【0118】
経口投与のための医薬調合物は固体または液体でよい。経口投与のための固体剤形には、例えば散剤または小丸薬(pellet)の形態で硬ゼラチンカプセルに収納されているか、またはトローチ剤またはロゼンジ(lozenge)の形態にある、例えばカプセル剤、錠剤、糖衣錠(dragees)、丸剤(pills)、ロゼンジ、散剤、顆粒剤、錠剤が含まれる。適当な場合には、経口用医薬調合物は、腸溶コーティング(enteric coatings)のようなコーティングを伴って製造することができ、またはそれらは有効成分を徐放もしくは持続放出のような制御放出(controlled release)をするように公知の方法によって製剤化することもできる。経口投与のための液体の剤形には、例えば液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。
【0119】
経口投与に適した本発明の製剤は、それぞれが所定の量の有効成分を含むカプセル剤または錠剤のような個別の単位として存在することができ、それらは適当な賦形剤を含むことができる。さらに、経口に利用することができる製剤は、散剤または顆粒剤、水系もしくは非水系液体での液剤もしくは懸濁剤、または水中油型もしくは油中水型液体乳剤の形態でよい。
【0120】
適当な薬学的キャリアーには、不活性な固体の希釈剤または増量剤、滅菌水溶液および種々の有機溶剤が含まれる。固体キャリアーの例としては、ラクトース、石膏、ショ糖、シクロデキストリン、タルク(talc)、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア(acacia)、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、セルロースの低級アルキルエーテル、とうもろこしでんぷん、ジャガイモでんぷん、増粘剤(gums)等が挙げられる。液体のキャリアーの例としては、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレンおよび水が挙げられる。
【0121】
前記のキャリアーまたは希釈剤は、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンのような本技術分野で公知の徐放物質を、単独でまたはワックスと混合して含むことができる。
【0122】
このような目的のために通常使用される、着色剤、 香料(flavourings)、 保存剤等のような佐剤または添加剤はいずれも、有効成分と適合するならば使用することができる。
【0123】
固体のキャリアーの量は変化し得るが、通常、約25 mg〜約1 gである。
【0124】
液体のキャリアーが使用される場合には、調合物はシロップ剤、乳剤、軟ゼラチンカプセル剤または水系もしくは非水系の液体懸濁液もしくは溶液のような注射用滅菌液体の形態でよい。
【0125】
錠剤は、通常の佐剤または希釈剤とともに活性成分を混合し、引き続き、該混合物を慣用の打錠機において圧縮することにより製造することができる。
【0126】
非経口投与のための医薬調合物には、使用に先立って注射用滅菌溶液または分散剤で再構成される滅菌散剤と同様に、滅菌した水系および非水系の注射溶液、分散剤 、懸濁剤または乳剤が含まれる。デポー注射製剤(Depot injectable formulations)もまた本発明の範囲に含まれるものとして考えられる。
【0127】
非経口投与のために、本発明化合物の溶液は、滅菌水溶液、プロピレングリコール水溶液、ビタミンE水溶液またはゴマ油もしくはピーナッツ油において使用される。前記水溶液は必要な場合には適当に緩衝され、十分な生理食塩水またはグルコースを用いて液体の希釈剤によりまず等張化される。前記水溶液は特に静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与に適している。使用される前記滅菌された水系媒体はすべて当業者に公知の標準的な技術により、容易に利用することができる。
【0128】
注射溶液は、注射用溶剤、好ましくは滅菌水の一部に有効成分および可能な添加剤を溶解させ、該溶液を所望の容量に調整し、該溶液を滅菌してそれを適当なアンプルまたはバイアルに満たすことにより製造することができる。本技術分野で慣用的に用いられる適当な添加剤、例えば等張化剤(tonicity agents)、防腐剤、酸化防止剤等を添加することができる。
【0129】
その他の適当な投与形態としては、坐剤、 スプレー剤、 軟膏、 クリーム剤、 ゲル剤、 吸入剤、 皮膚パッチ剤(dermal patches)、 インプラント等が含まれる。
【0130】
典型的な経口用量は、1日につき体重1 kgあたり約0.001〜約100 mg、好ましくは1日につき体重1 kgあたり約0.01〜約50 mg、さらに好ましくは1日につき体重1 kgあたり約0.05〜約10 mgの範囲内で、1〜3回投与のように1回以上投与される。正確な用量は、投与の頻度および形態、投与対象の性別、年齢、体重および一般的な状態、治療される障害または疾患の性質および重篤度、および治療される付随する疾患、および当業者にとって明らかなその他の因子に依存する。
【0131】
製剤は、都合よくは、当業者に公知の方法により、単位剤形(unit dosage form)で存在することができる。1日あたり1〜3回のような1日あたり1回以上の経口投与のための典型的な単位剤形は、約0.01〜約1000 mg、約0.01〜約100 mg、好ましくは約0.05〜約500 mg、およびさらに好ましくは約0.5〜約200 mgを含むことができる。
【0132】
静脈内、髄腔内、筋肉内および類似の投与のような非経口経路のための用量は、典型的には経口投与で用いられる用量のほぼ半分である。
【0133】
本発明の製剤化のための処方の典型的な例は以下のとおりである:
1)遊離塩基として計算して5.0 mgの本発明化合物を含む錠剤:
本発明化合物 5.0 mg
ラクトース 60 mg
メイズスターチ(Maize starch) 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 2.4 mg
微晶性セルロース(Microcrystalline cellulose) 19.2 mg
クロスカルメロースナトリウムタイプA 2.4 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.84 mg
2)遊離塩基として計算して0.5 mgの本発明化合物を含む錠剤:
本発明化合物 0.5 mg
ラクトース 46.9 mg
メイズスターチ 23.5 mg
ポビドン(Povidone) 1.8 mg
微晶性セルロース 14.4 mg
クロスカルメロースナトリウムタイプA 1.8 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.63 mg
3)1ミリリットルあたりに以下を含むシロップ剤:
本発明化合物 25 mg
ソルビトール(Sorbitol) 500 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 15 mg
グリセロール 50 mg
メチル-パラベン 1 mg
プロピル-パラベン 0.1 mg
エタノール 0.005 mL
フレイバー 0.05 mg
サッカリンナトリウム 0.5 mg
水で1 mLに
4)1ミリリットルあたりに以下を含む注射溶液:
本発明化合物 0.5 mg
ソルビトール 5.1 mg
酢酸 0.05 mg
サッカリンナトリウム 0.5 mg
水で1 mLに
本発明化合物のこのような例は、本明細書において記載される式Iの実施態様のうちのいずれか1つを意味する。
【0134】
別の態様において、本発明は、以下に記載されるような本発明化合物の製造方法に関する。
【0135】
<本発明化合物の製造>
本発明は一般式I:
【0136】
【化4】

で表される遊離塩基またはその塩としての化合物であって、
式中、qが0または1であり;
R1およびR2がそれぞれ、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシおよびC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシからなる群から独立して選択され;そして
R3がC1-8-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合により置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合により置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、場合により置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)-C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)-C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ヘテロアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ヘテロアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、ヘテロアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、NR4R5-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、NR4R5-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、NR4R5-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)およびハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から選択され;式中、
R4およびR5がそれぞれ、水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)およびC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から独立して選択される、
前記の化合物に関する。
【0137】
R1、R2、R3およびqが上記のように定義される一般式Iの本発明化合物は、スキーム中に表され、そして以下に記載されるような方法によって製造することができる。
【0138】
一般式I〜XVの化合物において、R1、R2、R3およびqは式Iで定義されるとおりである。
【0139】
一般式II、VII、VIII、IX、X、XIおよびXIIの化合物は、市販のものを入手するか、または当業者に公知の標準的方法によって製造される。
【0140】
【化5】

一般式IIIの化合物(スキーム1)は、適当な温度、例えば室温または還流温度で、適当な溶剤、例えば、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミドまたはエタノール中において、触媒、例えばヨウ化ナトリウムの添加を伴ってまたは伴わないで、塩基、例えばトリアルキルアミン、炭酸カリウム、またはリチウム-、ナトリウム-もしくはカリウムアルコレートを添加してまたは添加しないで、一般式IIの化合物をビス-(2-ハロエチル)エーテルと反応させることにより製造することができる。
【0141】
一般式IVの化合物(スキーム1)は、例えば「P.B.D. de la Mare and J.H. Ridd, “Preparative methods of nitration” in Aromatic substitutions, pp. 48-56, Butterworths Scientific Publications, London, 1959」に記載されるように、適当な温度での、適当な溶剤、例えば氷酢酸、無水酢酸、トリフルオロ酢酸、濃硫酸またはこれらの混合物中における、当業者に公知のニトロ化反応、例えば濃硝酸、亜硝酸ナトリウムまたは硝酸ナトリウムを用いる反応により、一般式IIIの化合物から製造することができる。
【0142】
【化6】

一般式Vの化合物(スキーム2)は、一般式IVの化合物の製造に関するスキーム1に記載されるような当業者に公知のニトロ化反応により、一般式IIの化合物から製造することができる。
【0143】
一般式IVの化合物(スキーム2)は、一般式IIIの化合物の製造に関するスキーム1に記載されるように、一般式Vの化合物を適当に置換されたビス-(2-ハロエチル)エーテルと反応させることにより製造することができる。
【0144】
【化7】

一般式VIの化合物(スキーム3)は、適当な温度でまたは超音波照射下で、酢酸または塩酸水溶液のような酸の存在下において適当な還元剤、例えば亜鉛もしくは鉄粉を用いることにより、あるいは、適当な溶剤、例えばメタノール、エタノール、酢酸エチルまたはテトラヒドロフラン中において、適当な水素化触媒、例えばパラジウム・活性炭の存在下で水素ガスまたはギ酸アンモニウムにより、ニトロ基をアミノ基に還元することによって、一般式IVの化合物から製造することができる。あるいは、塩化スズ(II)または亜ジチオン酸ナトリウムを当業者に公知の条件下で還元剤として使用してもよい。
【0145】
一般式Iの化合物(スキーム3)は、適当な温度、例えば室温または還流温度で、適当な溶剤、例えば酢酸エチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルまたはジエチルエーテル中において、塩基、例えばピリジン、トリアルキルアミン、炭酸カリウム、酸化マグネシウム、またはリチウム-、ナトリウム-もしくはカリウムアルコレートの添加を伴ってまたは伴わないで、一般式VIの化合物を適当な求電子試薬、例えば、これらに限定はされないが適当に置換されたカルボン酸フロリド、カルボン酸クロリド、カルボン酸ブロミド、カルボン酸ヨージド、カルボン酸無水物、活性化エステル、クロロホルメートと反応させることにより製造することができる。活性化エステルおよびカルボン酸無水物は、例えば「F. Albericio and L.A. Carpino, “Coupling reagents and activation” in Methods in enzymology: Solid-phase peptide synthesis, pp. 104-126, Academic Press, New York, 1997」に記載されるような当業者に公知の条件下で、適当に置換されたカルボン酸から製造することができる。カルボン酸ハライドは、当業者に公知の条件下における、試薬、例えばこれらに限定はされないが塩化チオニル、塩化オキサリル、三臭化リンまたは三ヨウ化リンを用いた活性化により、適当に置換されたカルボン酸から製造することができる。
【0146】
【化8】

一般式IIの化合物(スキーム4)は、例えば「J. Lecocq, Bull.Soc.Chim.Fr., 1950, 188」に記載されるように、適当な温度、例えば還流温度で、適当な溶剤、例えばキシレン中において、一般式VIIの化合物をナトリウムアミドと反応させることにより製造することができる。
【0147】
【化9】

R2がF、Cl、BrまたはIである一般式VIIの化合物(スキーム5)は、例えば「F. Mongin and G. Queguiner, Tetrahedron, 2001, 57, 4059」に記載されるように、適当な温度、例えば-78℃または室温で、適当な溶剤、例えばヘプタンまたはテトラヒドロフラン中において、適当な求電子試薬、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、四臭化炭素またはヘキサクロロエタンのその後の添加を伴って、適当な塩基、例えばブチルリチウムまたはリチウムジ-t-ブチル(2,2,6,6-テトラメチルピペリジノ)ジンケートを用いる、メタル化、およびそれに続く当業者に公知の適当な求電子試薬との反応によって、一般式VIIIの化合物から製造することができる。
【0148】
R1がF、Cl、BrまたはIである一般式VIIの化合物(スキーム5)は、上述のようなメタル化およびそれに続く求電子芳香族置換によって、一般式IXの化合物から製造することができる。
【0149】
【化10】

R2がC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)またはハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である一般式VIIの化合物(スキーム6)は、根岸カップリング(E.-I. Negishi, A.O. King and N. Okukado, J.Org.Chem., 1977, 42, 1821)、薗頭カップリング(K. Sonogashira, Y. Tohda and N. Hagihara, Tet.Lett., 1975, 16, 4467)のような当業者に公知のクロスカップリング反応、または、その他の遷移金属触媒を用いるクロスカップリング反応、例えば、銅触媒反応(W. Dohle, D.M. Lindsay and P. Knochel, Org.Lett., 2001, 3, 2871)により、一般式Xの化合物から製造することができる。
【0150】
R1がC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)またはハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である一般式VIIの化合物(スキーム6)は、上記のクロスカップリング反応によって、一般式XIの化合物から製造することができる。
【0151】
さらに、R2がシアノである一般式VIIの化合物(スキーム6)は、ニッケル触媒を用いる、例えば「L. Cassar, J.Organomet.Chem., 1973, 54, C57-C58」に記載されるような当業者に公知のシアン化反応により、一般式Xの化合物から製造することができる。
【0152】
R1がシアノである一般式VIIの化合物(スキーム6)は、上記のようなニッケル触媒を用いるシアン化反応により、一般式XIの化合物から製造することができる。
【0153】
R1=R2である一般式VIIの化合物(スキーム6)は、上記のようなクロスカップリング反応またはシアン化反応により、一般式Xの化合物から製造することができる。
【0154】
【化11】

さらに、R1およびR2がハロゲンである一般式XIIIの化合物(スキーム7)は、一般式IVの化合物の製造に関するスキーム1に記載されるような当業者に公知のニトロ化反応によって、R1およびR2がハロゲンである一般式XIIの2,4,6-トリハロピリジンから製造することができる。
【0155】
R1およびR2がハロゲンである一般式XIVの化合物(スキーム7)は、適当な温度、例えば室温または還流温度での、塩基、例えばピリジン、トリアルキルアミン、炭酸カリウム、酸化マグネシウムの添加を伴うまたは伴わない、適当な溶剤、例えばジメチルスルホキシドまたはN-メチルピロリジノン中におけるモルホリンとの反応により、R1およびR2がハロゲンである一般式XIIの化合物から製造することができる。
【0156】
一般式XVの化合物は、適当な温度、例えば室温または還流温度での、塩基、例えばピリジン、トリアルキルアミン、炭酸カリウム、酸化マグネシウムの添加を伴うまたは伴わない、適当な溶剤、例えばジメチルスルホキシドまたはN-メチルピロリジノン中におけるモルホリンとの反応により、一般式XIIIの化合物から製造することができる。さらに、一般式XVの化合物は、一般式IVの化合物の製造に関するスキーム1に記載されるような当業者に公知のニトロ化反応により、一般式XIVの化合物から製造することができる。
【0157】
さらに、R1もしくはR2が、またはR1およびR2の両方がシアノである一般式IVの化合物(スキーム7)は、上記のようなシアン化反応を用いて一般式XVの化合物から製造することができる。R1もしくはR2が、またはR1およびR2の両方がシアノである一般式IIIの化合物は、上記のようなシアン化反応を用いて一般式XIVの化合物から製造することができる。
【0158】
R1がC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)またはハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である一般式IIIの化合物(スキーム6)は、上記(スキーム6)のようなクロスカップリング反応により、一般式XIVの化合物から製造することができる。
【0159】
R2がC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)またはハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である一般式IIIの化合物(スキーム6)は、上記(スキーム6)のようなクロスカップリング反応により、一般式XIVの化合物から製造することができる。
【0160】
R1がC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)またはハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である一般式IVの化合物(スキーム6)は、上記(スキーム6)のようなクロスカップリング反応により、一般式XVの化合物から製造することができる。
【0161】
R2がC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)またはハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である一般式IVの化合物(スキーム6)は、上記(スキーム6)のようなクロスカップリング反応により、一般式XVの化合物から製造することができる。
【0162】
R1もしくはR2が、またはR1およびR2の両方がC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシまたはC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシである一般式IVの化合物は、適当な温度、例えば室温または還流温度での、適当な溶剤、例えばジオキサン中における、硫酸銅のような触媒の添加を伴うまたは伴わない、塩基、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウムもしくは水素化カリウムの存在下での、適当なリチウム-、ナトリウム-もしくはカリウムアルコレートまたはアルコールとの反応により、一般式XVの化合物から製造することができる。
【0163】
R1もしくはR2が、またはR1およびR2の両方がC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシまたはC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシである一般式IIIの化合物は、適当な温度、例えば室温または還流温度での、適当な溶剤、例えばジオキサン中における、硫酸銅のような触媒の添加を伴うまたは伴わない、塩基、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウムもしくは水素化カリウムの存在下での、適当なリチウム-、ナトリウム-もしくはカリウムアルコレートまたはアルコールとの反応により、一般式XIVの化合物から製造することができる。
【0164】
さらに、R1およびR2の別のバリエーションに関して、メトキシ基を含む化合物は、当業者に公知の方法、例えば、適当な温度、例えば0℃または室温での、適当な溶剤、例えばジクロロメタン中における三臭化ホウ素での処理により、脱メチル化することができる。得られるフェノールはその後、当業者に公知の方法によりアルキル化することができる。このような方法には、以下:(a)適当な温度、例えば室温または還流温度での、適当な溶剤、例えばテトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミドまたは1,2-ジクロロエタン中における、適当な塩基、例えば炭酸カリウムの存在下での求電子試薬、例えば塩化アルキル、臭化アルキル、ヨウ化アルキル、炭酸クロリド、炭酸ブロミドまたは炭酸無水物との反応;(b)光延反応(O. Mitsunobu, Synthesis 1981, 1)として知られる条件下でのアルキルアルコールとの反応、が含まれる。
【0165】
示された反応条件に適合しない官能基、例えばヒドロキシ基を含む化合物は、例えば、「T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective groups in organic synthesis, 2nd edition, Wiley Interscience, 1991」に記載されるような当業者に公知の方法によって保護および脱保護することができる。特にヒドロキシ基は、これらに限定はされないがメチル-、tert-ブチル-、トリアルキルシリル-、トリアリールシリル-、アリル-またはトリチルエーテルとして保護することができる。
【0166】
薗頭反応により製造したアルキンは、例えば、「S. Siegel, “Heterogeneous catalytic hydrogenation of C=C and alkynes” in Comprehensive Organic Synthesis, v. 8, pp. 417-442, Pergamon Press, 1991」に記載されるように、適当な温度での、適当な溶剤、例えばメタノール、エタノールまたはテトラヒドロフラン中における、適当な水素化触媒、例えばパラジウム・活性炭または白金・活性炭の存在下での、水素ガスまたはギ酸アンモニウムを用いる還元により、アルケンまたはアルカンに還元することができる。
【0167】
<本発明化合物の製造>
【実施例】
【0168】
分析LC-MSデータは、大気圧光イオン化を装備したPE Sciex API 150EX装置およびShimadzu LC-8A/SLC-10A LCシステムで得た。カラム: 粒子サイズ3.5 μmの 30 X 4.6 mm Waters Symmetry C18 カラム;溶剤系: A = 水/トリフルオロ酢酸 (100:0.05) および B = 水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸 (5:95:0.03);方法:4分間で90% A から100% Bまでおよび流速2 mL/分の直線的勾配による溶出。純度はUV (254 nm) およびELSD トレースの積分により決定した。保持時間 (tR) は分で表す。
【0169】
分取LC-MS-精製(Preparative LC-MS-purification)は大気圧化学イオン化を用いる同一の装置で行った。カラム: 粒子サイズ5 μmの 50 X 20 mm YMC ODS-A;方法:7分間で80% A から100% Bまでおよび流速22.7 mL/分の直線的勾配による溶出。フラクションの回収は分流MS検出(split-flow MS detection)により行った。
【0170】
分析LC-MS-TOF (TOF=飛行時間型)データは、Waters 2488/Sedex 754検出システムを装備したmicromass LCT 4-ways MUXにより得た。カラム:粒子サイズ3.5 μmの 30 X 4.6 mm Waters Symmetry C18 カラム;溶剤系: A = 水/トリフルオロ酢酸 (100:0.05) および B = 水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸 (5:95:0.03);方法:4分間で90% A から100% Bまでおよび流速2 mL/分の直線的勾配による溶出。純度は、UV (254 nm) およびELSDトレースの積分により決定した。保持時間(tR)は分で表す。
【0171】
Varian社製Varian Saturn 2000イオントラップマススペクトロメーターと連結したPhenomenex社製カラム(Zebron ZB-5、長さ:15メートル、内径:0.25 mm)を取り付けたVarian社製 CP 3800ガスクロマトグラフにおいて、GC-MSデータを得た。方法:時間:15分、カラム流速:1.4 mL/分(キャリアガスはヘリウムであった)、オーブンの勾配:0〜1分、60℃;1〜13分、60〜300℃;13〜15分、300℃であった。
【0172】
1H NMRスペクトルはブルカ社製Avance DRX500装置において、500.13 MHzで記録した。重水素置換ジメチルスルホキシド(99.8%D)を溶剤として使用した。テトラメチルシランを内部参照標準として使用した。化学シフト値はテトラメチルシランに対するppm値で表す。以下の略語:s =シングレット(singlet)、 d =ダブレット(doublet)、 t =トリプレット(triplet)、q = カルテット(quartet)、 qui = クインテット(quintet)、 h = ヘプテット(heptet)、 dd = ダブルダブレット(double doublet)、ddd = ダブルダブルダブレット(double double doublet)、dt =ダブルトリプレット(double triplet)、 dq = ダブルカルテット(double quartet)、 tt = トリプレットのトリプレット(triplet of triplets)、 m = マルチプレット(multiplet)および b = ブロード(broad)なシングレット、をNMRシグナルの多重度に対して使用する。
【0173】
<中間体の製造>
4-(4,6-ジメチル-ピリジン-2-イル)-モルホリン
2-アミノ-4,6-ジメチルピリジン(50 g)、ビス(2-クロロエチル)エーテル(57.5 mL)、ヨウ化ナトリウム(6.13 g)およびトリエチルアミン(137 mL)をアルゴン下でN,N-ジメチルホルムアミド(1 L)中において混合し、150℃で16時間加熱した。水/ブライン/飽和重炭酸ナトリウム水溶液(2:1:1, 750 mL)を冷却した反応混合物に添加し、それを酢酸エチル(5x 200 mL)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で約500 mLに濃縮した。水(500 mL)および濃塩酸水溶液(35 mL)を添加し、相を分離して、水性相を酢酸エチル(200 mL)で洗浄した。濃水酸化ナトリウム水溶液(50 mL)の添加により水性相を塩基性にし、酢酸イソプロピル(5x 200 mL)で抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮することにより、44.0 g(収率56%)の表題化合物を黒色油状物として得た。粗製生成物をさらに精製することなく使用した。GC-MS (m/z) 192 (M+); tR = 5.60。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 2.08 (s, 3H), 2.26 (s, 3H), 3.39 (m, 4H), 3.68 (m, 4H), 6.05 (s, 1H), 6.44 (s, 1H)。
【0174】
4-(4,6-ジメチル-5-ニトロ-ピリジン-2-イル)-モルホリン
0℃に冷却したトリフルオロ酢酸(250 mL)に溶解した4-(4,6-ジメチル-ピリジン-2-イル)-モルホリン(9.4 g)に亜硝酸ナトリウム(3.54 g)を15分かけて添加し、反応混合物を0℃で15分間撹拌した。反応混合物を減圧下で約100 mLに濃縮し、濃水酸化ナトリウム水溶液(150 mL)を用いてpHを11に調節した。ブライン(200 mL)を添加し、混合物をジエチルエーテル(4x 150 mL)で抽出し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/酢酸エチル 4:1)に付すことにより、2.01 g(収率17%)の表題化合物を黄色の固体として得た。GC-MS (m/z) 237 (M+); tR= 7.69。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 2.28 (s, 3H), 2.39 (s, 3H), 3.60 (m, 4H), 3.67 (m, 4H), 6.72 (s, 1H)。
【0175】
2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イルアミン
0℃に冷却したテトラヒドロフラン(100 mL)における亜鉛粉(2.76 g)および4-(4,6-ジメチル-5-ニトロ-ピリジン-2-イル)-モルホリン(2.01 g)の混合物に、氷酢酸(25 mL)をゆっくりと添加した。その後、反応混合物を25℃で16時間撹拌し、セライトを通してろ過し、25%アンモニア水で塩基性にし、そしてテトラヒドロフラン(3x 75 mL)で抽出した。有機相を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮することにより、1.76 g(100%)の表題化合物を暗赤色の固体として得た。GC-MS (m/z) 207 (M+); tR = 7.27。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 2.07 (s, 3H), 2.20 (s, 3H), 3.16 (m, 4H), 3.67 (m, 4H), 4.10 (b, 2H), 6.38 (s, 1H)。
【0176】
4-(4,6-ジクロロピリジン-2-イル)-モルホリン
アセトニトリル(100 mL)における2,4,6-トリクロロピリジン(10.0 g)および炭酸ナトリウム(5.9 g)の懸濁液にモルホリン(5.0 g)を添加した。その後、反応混合物を70℃で16時間撹拌し、常温に冷却し、セライトを通してろ過し、減圧下で濃縮した。粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/酢酸エチル 4:1)に付すことによって、3.90 g(収率30%)の表題化合物をオフホワイトの固体として得た。LC-MS (m/z) 323.8 (M+); tR = 3.10, (UV, ELSD) 98.5%, 98.9%。 1H NMR (500 MHz, CDCl3): 3.50 (m, 4H), 3.80 (m, 4H), 6.45 (s, 1H), 6.67 (s, 1H)。
【0177】
4-(4,6-ジクロロ-5-ニトロピリジン-2-イル)-モルホリン
濃硫酸(40 mL)における4-(4,6-ジクロロピリジン-2-イル)-モルホリン(3.90 g)の溶液に硝酸カリウム(1.80 g)を10分間かけて添加した。反応混合物を常温で16時間撹拌し、その後クラッシュアイス(500 g)に加えた。反応混合物を濃水酸化ナトリウムでアルカリ性にし、酢酸エチル(2x100 mL)で抽出した。有機相を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/酢酸エチル 3:1)に付すことによって、2.26 g(収率49%)の表題化合物を黄色の固体として得た。LC-MS (m/z) 278.0 (M+); tR = 3.10, (UV, ELSD) 96.5%, 98.8%。1H NMR (500 MHz, CDCl3): 3.62 (m, 4H), 3.80 (m, 4H), 6.50 (s, 1H)。
【0178】
4-(4-クロロ-6-メトキシ-5-ニトロピリジン-2-イル)-モルホリンおよび4-(6-クロロ-4-メトキシ-5-ニトロピリジン-2-イル)-モルホリン
メタノール(15 ml)における4-(4,6-ジクロロ-5-ニトロピリジン-2-イル)-モルホリン(2.02 g)の溶液に、ナトリウムメトキシド(0.98 g)を添加し、混合物を65℃で16時間加熱した。常温に冷却後、反応混合物を減圧下で濃縮した。粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/酢酸エチル 3:1)に付すことによって、0.89 g(収率45%)の4-(4-クロロ-6-メトキシ-5-ニトロピリジン-2-イル)-モルホリン(早く溶出するバンド)および0.38 g(19%)の4-(6-クロロ-4-メトキシ-5-ニトロピリジン-2-イル)-モルホリン(遅く溶出するバンド)を両方とも黄色の固体として得た。
4-(4-クロロ-6-メトキシ-5-ニトロピリジン-2-イル)-モルホリン:LC-MS (m/z) 273 (M+); tR =2.77, (UV, ELSD) 95%, 97 %。1H NMR (500 MHz, CDCl3): 3.60 (m, 4H), 3.80 (m, 4H), 3.96 (s, 1H), 6.17 (s, 1H)。
4-(6-クロロ-4-メトキシ-5-ニトロピリジン-2-イル)-モルホリン:LC-MS (m/z) 273 (M+); tR = 2.39, (UV, ELSD) 93%, 95%。1H NMR (500 MHz, CDCl3): 3.57 (m, 4H), 3.80 (m, 4H), 3.95 (s, 3H), 5.95 (s, 1H)。
【0179】
4-クロロ-2-メトキシ-6-モルホリン-4-イルピリジン-3-イルアミン
濃塩酸(50 mL)における4-(4-クロロ-6-メトキシ-5-ニトロピリジン-2-イル)-モルホリン(0.82 g)の溶液に、濃塩酸(80 mL)における二塩化スズ(3.38 g)の溶液を添加した。反応混合物を75℃に1時間加熱し、その後クラッシュアイス(400 g)に加え、酢酸エチル(2x100 mL)で抽出した。有機相を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮することによって、0.45 g(収率61%)の表題化合物をオフホワイトの固体として得た。LC-MS (m/z) 244 (M+); tR = 1.48, (UV, ELSD) 89%, 94%。1H NMR (500 MHz, CDCl3): 3.30 (m, 4H), 3.65 (br s, 2H), 3.85 (m, 4H), 3.97 (s, 3H), 6.20 (s, 1H)。
【0180】
2-クロロ-4-メトキシ-6-モルホリン-4-イルピリジン-3-イルアミン
濃塩酸(60 mL)における4-(6-クロロ-4-メトキシ-5-ニトロピリジン-2-イル)-モルホリン(0.82 g)の溶液に、濃塩酸(60 mL)における二塩化スズ(1.57 g)の溶液を添加した。反応混合物を75℃に5分間加熱し、その後クラッシュアイス(100 g)に加え、酢酸エチル(2x20 mL)で抽出した。有機相を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮することによって、0.28 g(収率83%)の表題化合物をオフホワイトの固体として得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3): 3.35 (m, 4H), 3.65 (br s, 2H), 3.80 (m, 4H), 3.90 (s, 3H), 6.10 (s, 1H)。
【0181】
<本発明の化合物>
本発明の化合物の酸付加塩は、当業者に公知の方法により容易に形成させることができる。
【0182】
<実施例1>
1aa (2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-カルバミン酸ベンジルエステル
ベンジルクロロホルメート(18 mg)を1,2-ジクロロエタン(1 mL)における0.085 M 2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イルアミンおよび0.17 M N,N-ジイソプロピル-エチルアミンの溶液に添加した。バイアルをアルゴン下で16時間振とうし、減圧下で濃縮した。水酸化ナトリウム水溶液(1 M, 1 mL)を添加し、粗製混合物を酢酸イソプロピル/テトラヒドロフラン(4:1, 2x 1 mL)で抽出した。有機相をブライン(1 mL)で洗浄し、減圧下で濃縮して、1-プロパノール/ジメチルスルホキシド(1:1, 0.4 mL)に溶解し、そのうちの2 mLを分取LC-MS精製に付すことによって、4.5 mg(収率31%)の表題化合物を油状物として得た。LC-MS (m/z) 342 (MH+); tR= 1.58, (UV, ELSD) 99%, 99%。
【0183】
以下の化合物を同様に製造した:
1ab (2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-カルバミン酸2-クロロ-ベンジルエステル
収率:18%。LC-MS (m/z) 376 (MH+); tR = 1.78, (UV, ELSD) 99%, 100%。
【0184】
1ac 2-(4-クロロ-フェニル)-N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-アセトアミド
収率:4%。LC-MS (m/z) 360 (MH+); tR = 1.59, (UV, ELSD) 96%, 100%。
【0185】
1ad 2-フェニル-シクロプロパンカルボン酸(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-アミド
収率:24%。LC-MS (m/z) 352 (MH+); tR = 1.64, (UV, ELSD) 96%, 100%。
【0186】
1ae N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-2-チオフェン-2-イル-アセトアミド
収率:16%。LC-MS (m/z) 332 (MH+); tR = 1.20, (UV, ELSD) 93%, 99%。
【0187】
1af 3-シクロヘキシル-N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-プロピオンアミド.
収率:15%。LC-MS (m/z) 346 (MH+); tR = 1.81, (UV, ELSD) 91%, 100%。
【0188】
1ag (2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-カルバミン酸イソブチルエステル
収率:29%。LC-MS (m/z) 308 (MH+); tR = 1.44, (UV, ELSD) 97%, 99%。
【0189】
1ah 3-(3-クロロ-フェニル)-N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-プロピオンアミド
塩化オキサリル(ジクロロメタン中において2 M、1 mL)中において、アルゴン下、25℃で3-(3-クロロフェニル)プロピオン酸(20 mg)を2時間撹拌した。溶剤を減圧下で除去し、1,2-ジクロロエタン(1 mL)における0.085 M 2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イルアミンおよび0.17 M N,N-ジイソプロピル-エチルアミンの溶液を反応混合物に添加した。バイアルをアルゴン下で16時間振とうし、減圧下で濃縮した。水酸化ナトリウム水溶液(1 M, 1 mL)を添加し、粗製混合物を酢酸イソプロピル/テトラヒドロフラン(4:1, 2x 1 mL)で抽出した。有機相をブライン(1 mL)で洗浄し、減圧下で濃縮して、1-プロパノール/ジメチルスルホキシド(1:1, 0.4 mL)に再溶解し、そのうちの0.2 mLを分取LC-MS精製に付すことによって、2.3 mg(収率14%)の表題化合物を油状物として得た。LC-MS (m/z) 374 (MH+); tR= 1.71, (UV, ELSD) 99%, 99%。
【0190】
以下の化合物を同様に製造した:
1ai N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-2-(3,5-ジメチル-フェニル)-アセトアミド
収率:19%。LC-MS (m/z) 354 (MH+); tR = 1.69, (UV, ELSD) 99%, 99%。
【0191】
1aj N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-3-p-トリル-プロピオンアミド
収率:20%。LC-MS (m/z) 354 (MH+); tR = 1.64, (UV, ELSD) 99%, 100%。
【0192】
1ak 2-(3-クロロ-フェニル)-N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-アセトアミド
収率:14%。LC-MS (m/z) 360 (MH+); tR = 1.58, (UV, ELSD) 97%, 99%。
【0193】
1al 2-(3,4-ジクロロ-フェニル)-N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-アセトアミド
収率:9%。LC-MS (m/z) 395 (MH+); tR = 1.84, (UV, ELSD) 97%, 99%。
【0194】
1am N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-2-チオフェン-3-イル-アセトアミド
収率:18%。LC-MS (m/z) 332 (MH+); tR = 1.18, (UV, ELSD) 97%, 99%。
【0195】
1an N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-2-p-トリル-アセトアミド
収率:16%。LC-MS (m/z) 340 (MH+); tR = 1.50, (UV, ELSD) 96%, 99%。
【0196】
1ao 2-(3-ブロモ-フェニル)-N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-アセトアミド
収率:12%。LC-MS (m/z) 405 (MH+); tR = 1.63, (UV, ELSD) 96%, 99%。
【0197】
1ap N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-2-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-アセトアミド
収率:20%。LC-MS (m/z) 394 (MH+); tR = 1.77, (UV, ELSD) 94%, 99%。
【0198】
1aq N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-2-フェニル-アセトアミド
収率:11%。LC-MS (m/z) 326 (MH+); tR = 1.29, (UV, ELSD) 93%, 99%。
【0199】
1ar 3,5,5-トリメチル-ヘキサン酸(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-アミド
収率:20%。LC-MS (m/z) 348 (MH+); tR = 1.97, (UV, ELSD) 93%, 99%。
【0200】
1as オクタン酸(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-アミド
収率:44%。LC-MS (m/z) 334 (MH+); tR = 1.92, (UV, ELSD) 92%, 99%。
【0201】
1at N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-2-ナフタレン-2-イル-アセトアミド
収率:4%。LC-MS (m/z) 376 (MH+); tR = 1.73, (UV, ELSD) 92%, 99%。
【0202】
1au ヘプタン酸(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-アミド
収率:24%。LC-MS (m/z) 320 (MH+); tR = 1.56, (UV, ELSD) 90%, 99%。
【0203】
1av N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-2-(3,4-ジメチル-フェニル)-アセトアミド
収率:26%。LC-MS (m/z) 354 (MH+); tR = 1.65, (UV, ELSD) 77%, 99%。
【0204】
1aw 2-シクロヘキシ-1-エニル-N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-アセトアミド
収率:13%。LC-MS (m/z) 330 (MH+); tR = 1.50, (UV, ELSD) 72%, 99%。
【0205】
1ax N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-2-(4-メトキシ-3-メチル-フェニル)-アセトアミド
収率:16%。LC-MS (m/z) 370 (MH+); tR = 1.56, (UV, ELSD) 94%, 99%。
【0206】
1ay N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-2-(4-メトキシ-フェニル)-アセトアミド
収率:19%。LC-MS (m/z) 356 (MH+); tR = 1.35, (UV, ELSD) 96%, 99%。
【0207】
1az N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-3-(4-メトキシ-フェニル)-プロピオンアミド
収率:15%。LC-MS (m/z) 370 (MH+); tR = 1.48, (UV, ELSD) 76%, 99%。
【0208】
1ba N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-2-m-トリル-アセトアミド
m-トリル酢酸(0.33 g)、N,N-ジイソプロピル-エチルアミン(0.90 mL)およびN-[(ジメチルアミノ)-1H-1,2,3-トリアゾロ-[4,5-b]ピリジン-1-イル-メチレン]-N-メチル-メタンアミニウムヘキサフルオロ-ホスフェートN-オキシド(1.00 g)を乾燥N,N-ジメチルホルムアミド(3 mL)中で混合し、アルゴン下で2分間撹拌した。乾燥N,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)に溶解した2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イルアミン(0.30 g)を反応混合物に添加し、これをアルゴン下で25℃において16時間撹拌した。酢酸エチル(20 mL)を添加し、有機相を飽和塩化アンモニウム水溶液/水(1:1、20 mL)、水(20 mL)、ブライン/水(1:1、20 mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/酢酸エチル 3:1)によって精製することにより、0.069 g(収率14%)の表題化合物を白色固体として得た。LC-MS (m/z) 340 (MH+); tR = 1.42, (UV, ELSD) 96%, 100%。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 2.00 (s, 3H), 2.11 (s, 3H), 2.29 (s, 3H), 3.37 (m, 4H), 3.56 (s, 2H), 3.67 (m, 4H), 6.52 (s, 1H), 7.06 (d, 1H), 7.15 (m, 2H), 7.21 (t, 1H), 9.30 (s, 1H)。
【0209】
以下の化合物を同様に製造した:
1bb N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-2-(4-フルオロ-フェニル)-アセトアミド
収率:14%。LC-MS (m/z) 344 (MH+); tR = 1.34, (UV, ELSD) 99%, 99%。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 1.99 (s, 3H), 2.10 (s, 3H), 3.37 (m, 4H), 3.60 (s, 2H), 3.66 (m, 4H), 6.52 (s, 1H), 7.16 (dd, 2H), 7.38 (dd, 2H), 9.33 (s, 1H)。
【0210】
1bc N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-3,3-ジメチル-ブチルアミド
収率:53%。LC-MS (m/z) 306 (MH+); tR = 1.26, (UV, ELSD) 99%, 98%。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 1.05 (s, 9H), 2.07 (s, 3H), 2.18 (s, 2H), 2.19 (s, 3H), 3.37 (m, 4H), 3.67 (m, 4H), 6.54 (s, 1H), 9.01 (s, 1H)。
【0211】
1bd N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-2-(3-フルオロ-フェニル)-アセトアミド
収率:15%。LC-MS (m/z) 344 (MH+); tR = 1.54, (UV, ELSD) 100%, 100%。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 2.00 (s, 3H), 2.11 (s, 3H), 3.37 (m, 4H), 3.64 (s, 2H), 3.66 (m, 4H), 6.52 (s, 1H), 7.08 (dt, 1H), 7.18 (m, 2H), 7.38 (m, 1H), 9.34 (s, 1H)。
【0212】
1be 2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-アセトアミド
収率:62%。LC-MS (m/z) 344 (MH+); tR = 1.58, (UV, ELSD) 99%, 99%。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 1.14 (m, 4H), 1.42 (m, 4H), 1.90 (m, 1H), 2.01 (m, 1H), 2.04 (s, 3H), 2.10 (m, 1H), 2.16 (s, 3H), 2.21 (m, 2H), 3.37 (m, 4H), 3.67 (m, 4H), 6.53 (s, 1H), 9.04 (s, 1H)。
【0213】
1bf 2-(3,4-ジフルオロ-フェニル)-N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-アセトアミド
収率:9%。LC-MS (m/z) 362 (MH+); tR = 1.52, (UV, ELSD) 95%, 99%。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 2.00 (s, 3H), 2.11 (s, 3H), 3.37 (m, 4H), 3.63 (s, 2H), 3.66 (m, 4H), 6.52 (s, 1H), 7.19 (m, 1H), 7.39 (m, 2H), 9.32 (s, 1H)。
【0214】
1bg 4-メチル-ペンタン酸(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-アミド
収率:34%。LC-MS (m/z) 306 (MH+); tR = 1.33, (UV, ELSD) 100%, 99%。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 0.91 (d, 6H), 1.49 (dt, 2H), 1.58 (m, 1H), 2.04 (s, 3H), 2.16 (s, 3H), 2.28 (t, 2H), 3.37 (m, 4H), 3.67 (m, 4H), 6.53 (s, 1H), 9.07 (s, 1H)。
【0215】
1bh 2-シクロペント-2-エニル-N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-アセトアミド
収率:13%。LC-MS (m/z) 316 (MH+); tR = 1.25, (UV, ELSD) 97%, 94%。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 1.51 (m, 1H), 2.05 (m, 1H), 2.06 (s, 3H), 2.17 (s, 3H), 2.26 (m, 2H), 2.35 (m, 2H), 3.07 (m, 1H), 3.38 (m, 4H), 3.68 (m, 4H), 5.73 (m, 1H), 5.77 (m, 1H), 6.54 (s, 1H), 9.09 (s, 1H)。
【0216】
1bi 2-シクロヘキシル-N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-アセトアミド
収率:12%。LC-MS (m/z) 332 (MH+); tR = 1.50, (UV, ELSD) 99%, 95%。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 0.98 (m, 2H), 1.20 (m, 3H), 1.71 (m, 6H), 2.05 (s, 3H), 2.15 (d, 2H), 2.16 (s, 3H), 3.37 (m, 4H), 3.67 (m, 4H), 6.53 (s, 1H), 9.05 (s, 1H)。
【0217】
1bj 5-メチル-ヘキサン酸(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-アミド
収率:40%。LC-MS-TOF (m/z) 320 (MH+); tR = 1.51, (UV, ELSD) 97%, 100%。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 0.87 (d, 6H), 1.21 (m, 2H), 1.60 (m, 3H), 2.05 (s, 3H), 2.16 (s, 3H), 2.25 (t, 2H), 3.37 (m, 4H), 3.67 (m, 4H), 6.53 (s, 1H), 9.05 (s, 1H)。
【0218】
1bk 2-シクロペンチル-N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-アセトアミド
2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イルアミン(0.22 g)およびシクロペンチルアセチルクロリド(0.19 mL)をアセトニトリル(5 mL)に溶解し、密閉したマイクロ波プロセスバイアル中で150℃に10分間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/酢酸エチル 3:1)によって精製することにより、0.17 g(収率49%)の表題化合物を白色固体として得た。LC-MS (m/z) 318 (MH+); tR = 1.40, (UV, ELSD) 97%, 99%。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 1.21 (m, 2H), 1.52 (m, 2H), 1.61 (m, 2H), 1.77 (m, 2H), 2.05 (s, 3H), 2.17 (s, 3H), 2.24 (m, 1H), 2.26 (m, 2H), 3.37 (m, 4H), 3.67 (m, 4H), 6.53 (s, 1H), 9.05 (s, 1H)。
【0219】
以下の化合物を同様に製造した(フラッシュクロマトグラフィー後に酢酸エチルから再結晶化させた1blおよび1bmを除く):
1bl 3-シクロペンチル-N-(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-プロピオンアミド
収率:34%。LC-MS (m/z) 332 (MH+); tR = 1.57, (UV, ELSD) 99%, 99%。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 1.11 (m, 2H), 1.49 (m, 2H), 1.60 (m, 4H), 1.77 (m, 3H), 2.04 (s, 3H), 2.16 (s, 3H), 2.28 (t, 2H), 3.37 (m, 4H), 3.67 (m, 4H), 6.53 (s, 1H), 9.06 (s, 1H)。
【0220】
1bm ヘキサン酸(2,4-ジメチル-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-アミド
収率:51%。LC-MS (m/z) 306 (MH+); tR = 1.39, (UV, ELSD) 99%, 99%。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 0.88 (t, 3H), 1.31 (m, 4H), 1.60 (m, 2H), 2.05 (s, 3H), 2.16 (s, 3H), 2.27 (t, 2H), 3.37 (m, 4H), 3.67 (m, 4H), 6.53 (s, 1H), 9.03 (s, 1H)。
【0221】
1bn N-(4-クロロ-2-メトキシ-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-2-シクロペンチルアセトアミド
収率:53%。LC-MS (m/z) 354 (MH+); tR = 2.68, (UV, ELSD) 98%, 99%。1H NMR (500 MHz, CDCl3): 1.25 (m, 2H), 1.50-1.65 (m, 4H), 1.90 (m, 2H), 2.45 (m, 3H), 3.45 (m, 4H), 3.77 (m, 4H), 3.90 (s, 3H), 6.20 (s, 1H), 6.50 (s, 1H)。
【0222】
1bo N-(2-クロロ-4-メトキシ-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-2-シクロペンチルアセトアミド
収率:69%。LC-MS (m/z) 354 (MH+); tR = 2.39, (UV, ELSD) 99%, 99%。1H NMR (500 MHz, CDCl3): 1.25 (m, 2H), 1.50-1.70 (m, 4H), 1.90 (m, 2H), 2.35 (m, 3H), 3.50 (m, 4H), 3.80 (m, 4H), 3.85 (s, 3H), 6.00 (s, 1H), 6.45 (s, 1H)。
【0223】
1bp N-(2-クロロ-4-メトキシ-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-3,3-ジメチルブチルアミド
収率:56%。LC-MS (m/z) 342 (MH+); tR = 2.31, (UV, ELSD) 99%, 99%。1H NMR (500 MHz, CDCl3): 1.10 (s, 9H), 2.25 (s, 2H), 3.50 (m, 4H), 3.77 (m, 4H), 3.85 (s, 3H), 6.00 (s, 1H), 6.45 (s, 1H)。
【0224】
1bq N-(4-クロロ-2-メトキシ-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-3,3-ジメチルブチルアミド
収率:68%。LC-MS (m/z) 342 (MH+); tR = 1.39, (UV, ELSD) 99%, 99%。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 1.10 (s, 9H), 2.15 (s, 2H), 3.45 (m, 4H), 3.70 (m, 4H), 3.80 (s, 3H), 6.45 (s, 1H), 8.95 (s, 1H)。
【0225】
1br N-(4-クロロ-2-メトキシ-6-モルホリン-4-イル-ピリジン-3-イル)-プロピオンアミド
収率:71%。LC-MS (m/z) 300 (MH+); tR = 0.97, (UV, ELSD) 98%, 98%。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 1.05 (t, 3H), 2.25 (q, 2H), 3.45 (m, 4H), 3.70 (m, 4H), 3.80 (s, 3H), 6.45 (s, 1H), 9.00 (s, 1H)。
【0226】

表1 実施例1における化合物の製造に使用した試薬
【0227】
【表2】

<生体外(In vitro)および生体内(in vivo)試験>
本発明の化合物について試験が行われ、以下の1つまたは2つ以上のモデルにおいて効果が示された。
【0228】
<KCNQ2チャネルを通る相対流量>
ここでは本発明化合物を評価するためのKCNQ2スクリーニングプロトコールを例証する。このアッセイは、KCNQ2チャネルを通る相対流量を測定し、hERGカリウムチャネルに関して「Tang et al. (Tang, W. et. al., J. Biomol. Screen. 2001, 6, 325-331)」に記載されている方法に以下の記載のように改良を加えて実施した。
【0229】
電位依存性KCNQ2チャネルを安定発現するCHO細胞を、実験を行う前の日に一層のコンフルエントな層を得るために十分な密度でプレートに適当な数播種した。細胞に1 μCi/ml の[86Rb]を一晩ロード(loaded)した。実験当日に細胞をHBSS含有緩衝液(ハンクス平衡塩溶液、Invitrogen製、カタログ番号:14025-050)で洗浄した。細胞を薬剤と共に30分間プレインキュベートし(pre-incubated)、薬剤を引き続き30分間存在させた中で、最大下濃度(submaximal concentration)の15 mM 塩化カリウムによって86Rb+流出を刺激した。適当な時間のインキュベーションの後、上清を除去して、液体シンチレーションカウンター(Tricarb製)で計測した。細胞を2 mM 水酸化ナトリウムで溶解し、86Rb+量を計測した。相対的流量を計算した((CPMsuper/(CPMsuper+ CPMcell))Cmpd/ (CPMsuper/(CPMsuper+ CPMcell))15mM KCl)*100-100 。
【0230】
本発明の化合物は20000nM 未満のEC50を有し、ほとんどの場合で2000nM 未満のEC50、そして多くの場合で200nM 未満のEC50を有していた。従って、本発明の化合物はKCNQ ファミリーカリウムチャネルと関連する疾患の治療において有用であると考えられる。
【0231】
<CHO細胞における電気生理学的パッチクランプ記録>
電位活性化型KCNQ2電流を、全細胞パッチクランプ法における慣用のパッチクランプ記録技術を用いることによって、哺乳類CHO細胞から記録した(Hamill OP et.al. Pfluegers Arch 1981; 391: 85-100)。電位活性化型KCNQ2チャネルを安定発現するCHO細胞を、CO2インキュベーター中、通常の細胞培養条件下で培養し、播種から1〜7日後に電気生理学的な記録のために使用した。KCNQ2カリウムチャネルは、電圧を- 100 mV〜- 40 mVの膜の保持電位から5〜20 mVずつ増加させることで(またはランププロトコールを用いて)+ 80 mV まで上げることにより活性化させた(Tatulian L et al. J Neuroscience 2001; 21 (15): 5535-5545)。化合物により誘導される電気生理学的効果について、電位活性化型KCNQ2電流の種々のパラメーターにより評価を行った。特に、電流に対する活性化閾値および最大の誘導電流における効果について検討した。
【0232】
本発明のいくつかの化合物についてこの試験における試験を行った。活性化閾値の左方移動または最大誘導カリウム電流の増加は、神経ネットワークにおける活性を減少させ、従って、前記化合物はてんかんのような神経活性の増加を伴う疾患に有用であると期待される。
【0233】
<卵母細胞におけるKCNQ2、KCNQ2/KCNQ3またはKCNQ5チャネルの電気生理学的記録>
電位活性化型KCNQ2、KCNQ2/KCNQ3またはKCNQ5電流を、KCNQ2、KCNQ2+KCNQ3またはKCNQ5イオンチャネルをコードするmRNAを注入したアフリカツメガエル卵母細胞から記録した(Wang et al., Science 1998, 282, 1890-1893; Lerche et al., J Biol Chem 2000, 275, 22395-400)。KCNQ2、KCNQ2/KCNQ3またはKCNQ5カリウムチャネルは、電圧を膜の保持電位(- 100 mV〜- 40 mV)から5〜20 mVずつ増加させることで(またはランププロトコールを用いて)+ 40 mV まで上げることにより活性化させた。化合物により誘導される電気生理学的効果について、電位活性化型KCNQ2、KCNQ2/KCNQ3またはKCNQ5電流の種々のパラメーターにより評価を行った。特に、電流に対する活性化閾値および最大の誘導電流における効果について検討した。いくつかの化合物の過分極効果についてもまた、電流クランプの間の膜電位において直接試験を行った。
【0234】
<最大電気ショック>
緊張性の後肢伸張(tonic hind limb extension)により特徴付けられる痙攣を誘導するために、角膜電極および26 mAで0.4秒間の方形波電流処理を用いて、雄マウスの群で試験を実施した(Wlaz et al. Epilepsy Research 1998, 30, 219-229)。
【0235】
<ピロカルピン誘導性発作>
ピロカルピン誘導性発作を、雄マウスの群への250 mg/kgピロカルピンの腹腔内注射により誘導させて、30分以内の姿勢保持の喪失(loss of posture)を生じる発作活性を観察した(Starr et al. Pharmacology Biochemistry and Behavior 1993, 45, 321-325)。
【0236】
<電気的発作−閾値試験>
上下変動法(up-and-down method)(Kimball et a., Radiation Research 1957, 1-12)の改法を、雄マウス群において、角膜電気ショックに応答する緊張性の後肢伸張(tonic hind-limb extension)を誘導する閾値中央値を測定するために使用した。14 mA(0.4 s, 50 Hz)の電気ショックを受けたそれぞれの群の最初のマウスの発作活性を観察した。発作が観察された場合は、次のマウスに対する電流を1mA ずつ減少させるが、発作が観察されなかった場合は、電流を1mA ずつ増加させた。この工程を処置群における15匹のマウス全てに対して繰り返した。
【0237】
<化学的発作−閾値試験>
間代性痙攣を誘導するために必要なペンチレンテトラゾール(pentylenetetrazole)の閾値用量を、ペンチレンテトラゾールの雄マウス群の外側尾(lateral tail)静脈への持続注入(0.5 mL/分で5mg/mL)により測定した(Nutt et al. J Pharmacy and Pharmacology 1986, 38, 697-698)。
【0238】
<扁桃核キンドリング(Amygdala kindling)>
ラットの外側扁桃体に三極電極を植え込むために外科処置を行った。外科処置後、ラット群が各用量の試験化合物または薬剤のビヒクルのどちらか一方を受ける前に、動物を回復させた。この動物を、閾値である+ 25 μAでの放電後、3〜5週の間、連日初期と同じ電流で刺激し、そのたびごとに発作重症度、発作継続時間、および放電後の電気の継続時間を観察した(Racine. Electroencephalography and Clinical Neurophysiology 1972, 32, 281-294)。
【0239】
<副作用>
中枢神経系の副作用を、マウスがロータロッド装置に留まる時間を測定することにより(Capacio et al. Drug and Chemical Toxicology 1992, 15, 177-201);または、試験ケージ中を横切る赤外線の数の計測によって自発運動を測定すること(Watson et al. Neuropharmacology 1997, 36, 1369-1375)により測定した。化合物の動物中核体温における体温降下作用を、直腸プローブまたは温度を測定できるインプラントの遠隔送信機により測定した(Keeney et al. Physiology and Behaviour 2001, 74, 177-184)。
【0240】
<薬物動態>
前記化合物の薬物動態特性を、Spraque Dawleyラットへの静脈注射(i.v.)および経口(p.o.)投与およびその後20時間にわたって採取した血液サンプルによって決定した。血漿濃度をLC/MS/MSで測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】

を有する遊離塩基またはその塩としての化合物であって、
式中、qが0または1であり;
R1およびR2がそれぞれ、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシおよびC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシからなる群から独立して選択され;そして
R3がC1-8-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合によって置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合によって置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、場合によって置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)-C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)-C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ヘテロアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ヘテロアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、ヘテロアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、NR4R5-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、NR4R5-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、NR4R5-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)およびハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から選択され;式中、
R4およびR5がそれぞれ、水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)およびC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から独立して選択される、
前記の化合物。
【請求項2】
qが0である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
qが1である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R1およびR2がそれぞれ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシおよびハロゲンからなる群から独立して選択される、請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項5】
R1およびR2の両方がC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
R1がC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシであり、R2がハロゲンであるか、もしくは、R1がハロゲンであり、R2がC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシである、請求項4記載の化合物。
【請求項7】
R3がC1-8-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合により置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合により置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、場合により置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ヘテロアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ヘテロアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、ヘテロアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項8】
R3がC1-8-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合により置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合により置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)およびヘテロアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から選択される、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
場合により置換されるアリールがハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシおよびC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシからなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されていてもよい、請求項1、7または8のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項10】
場合により置換されるアリールがハロゲン、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)およびC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシからなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されていてもよい、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物が以下:
【表1】

からなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか1つに記載の遊離塩基またはその塩としての化合物。
【請求項12】
1種またはそれ以上の薬学的に許容されるキャリアーまたは希釈剤、および遊離塩基またはその塩としての一般式Iの化合物であって、
【化2】

式中、qが0または1であり;
R1およびR2がそれぞれ、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシおよびC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシからなる群から独立して選択され;そして
R3がC1-8-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合によって置換されるアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、場合によって置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、場合によって置換されるアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)-C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)-C3-8-ヘテロシクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ヘテロアリール-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ヘテロアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、ヘテロアリール-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、NR4R5-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、NR4R5-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、NR4R5-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)およびハロ-C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から選択され;式中、
R4およびR5がそれぞれ、水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)およびC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)からなる群から独立して選択される、前記の化合物を含む医薬調合物。
【請求項13】
哺乳類、例えば、ヒトのカリウムチャネルでのイオンの流れを増加させるために請求項12記載の医薬調合物を使用する方法。
【請求項14】
カリウムチャネルでのイオンの流れの増加に応答する障害または疾患の治療のための請求項13記載の使用方法であって、前記の障害または疾患が好ましくは中枢神経系の障害または疾患である、前記の使用方法。
【請求項15】
治療される障害または疾患が発作性障害、不安障害、神経因性疼痛および片頭痛の疼痛性障害、神経変性障害、脳卒中、コカイン乱用、ニコチン離脱症状、エタノール離脱症状、および耳鳴からなる群から選択される、請求項14記載の使用方法。
【請求項16】
発作性障害が急性発作、痙攣、てんかん重積状態、てんかん、例えば、てんかん症候群およびてんかん性発作からなる群から選択される、請求項15記載の使用方法。
【請求項17】
不安障害が不安、および、パニック不安、広場恐怖症、広場恐怖症を伴うパニック障害、広場恐怖症を伴わないパニック障害、パニック障害の履歴を伴わない広場恐怖症、特定恐怖症、対人恐怖症およびその他の特定恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般性不安障害、一般身体疾患のための不安障害、物質誘発性不安障害、分離不安障害、適応障害、パフォーマンス不安、心気症障害、一般身体疾患のための不安障害および物質誘発性不安障害、およびその他の特定されていない不安障害、に関連する障害および疾患からなる群から選択される、請求項15記載の使用方法。
【請求項18】
神経因性疼痛および片頭痛の疼痛性障害が、異痛、痛覚過敏、幻想痛、糖尿病性神経障害に関連する神経因性疼痛、三叉神経痛に関連する神経因性疼痛および片頭痛に関連する神経因性疼痛からなる群から選択される、請求項15記載の使用方法。
【請求項19】
神経変性障害が、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病、パーキンソン病、AIDSによりまたは風疹ウイルス、ヘルペスウイルス、ボレリア菌もしくは未知の病原体による感染により誘発される脳症、外傷誘発性神経変性、薬物離脱症状におけるもしくは中毒によるような神経の過興奮状態、および末梢神経系の神経変性疾患、例えば多発性神経障害および多発性神経炎からなる群から選択される、請求項15記載の使用方法。
【請求項20】
治療される障害または疾患が双極性障害からなる群から選択される、請求項14記載の使用方法。
【請求項21】
治療される障害または疾患が睡眠障害、例えば不眠症からなる群から選択される、請求項14記載の使用方法。

【公表番号】特表2008−531609(P2008−531609A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557330(P2007−557330)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000123
【国際公開番号】WO2006/092143
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(591143065)ハー・ルンドベック・アクチエゼルスカベット (129)
【Fターム(参考)】