説明

美白化粧料

【課題】著しく美白効果の高い化粧料を提供する。
【解決手段】ササユリ(Lilium japonicum)の葉の水溶性抽出物とL−アスコルビン酸またはその誘導体を含有する美白化粧料。L−アスコルビン酸誘導体がアスコルビン酸リン酸マグネシウムである。ササユリの葉の水溶性抽出物の含有量が0.0005〜0.1重量%であり、L−アスコルビン酸およびその誘導体の含有量が0.001〜0.1重量%である。少量配合で美白効果を発揮するため使用感に優れており、また美白効果を相乗的に高める皮膚外用剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ササユリの葉の水溶性抽出物とL−アスコルビン酸またはその誘導体を含有することを特徴とする美白化粧料に関するものであり、より詳しくは、これらを併用することによって、美白成分の美白効果を相乗的に高める化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、シミ、ソバカス、色黒などに見られる皮膚の色素沈着は、皮膚内に存在するメラニン色素生成細胞がメラニン色素を過剰に生成することが原因とされている。この色素沈着を改善もしくは予防するために従来、L−アスコルビン酸などのメラニン色素生成抑制作用を有する美白成分を含有した化粧料が用いられてきた。
【特許文献1】特開2006−225359号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、色素沈着を改善するためには、単に美白成分を含有した化粧料を使用するだけでは不十分であり、さらに美白効果に優れた処方設計が求められてきた。また、L−アスコルビン酸およびその誘導体の高濃度配合はコスト、べたつき、きしみといった使用感、さらには保存安定性が十分でないといった課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者等は、かかる実情に鑑み、鋭意検討した結果、ササユリの葉の水溶性抽出物とL−アスコルビン酸またはその誘導体を含有することにより、美白効果を相乗的に高め、かつ少量配合で使用感が良い化粧料の発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0005】
本発明の美白化粧料は、ササユリの葉の水溶性抽出物とL−アスコルビン酸またはその誘導体を含有することを特徴とする化粧料に関するもので、従来一般に用いられている美白化粧料に比べ、使用感が良く、著しく美白効果に優れたものである。すなわち、本発明の美白化粧料は、ササユリの葉の水溶性抽出物とL−アスコルビン酸またはその誘導体を含有するものであり、美白効果を相乗的に高める化粧料である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明で使用するササユリとは、ユリ科、ユリ属、ササユリで、学名をLilium japonicumといい、(参考文献;原色世界植物大図鑑、北隆館)、たとえば、栽培品を用いることができる。
【0007】
本発明で使用するササユリの葉の水溶性抽出物とは、植物体の葉を水溶性溶媒で抽出した物であって、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール等)、アセトンなどの溶媒が挙げられる。これらの水溶性溶媒の1種または2種以上の混合溶媒を用いて抽出したものであっても良い。また、加熱抽出したものであっても良いし、常温抽出したものであっても良い。必要に応じて、濃縮あるいは希釈して化粧料として用いることができる。
【0008】
本発明で使用するL−アスコルビン酸およびその誘導体は、一般にビタミンCと言われるものであり、L−アスコルビン酸誘導体としては、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸アルキルエステル、L−アスコルビン酸硫酸エステル、L−アスコルビン酸配糖体等が挙げられ、具体的には、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステル、L−アスコルビン酸−3−リン酸エステル、DL−α−トコフェロール−2−L−アスコルビン酸リン酸ジエステル等のL−アスコルビン酸リン酸エステル、パルミチン酸L−アスコルビル、イソステアリン酸L−アスコルビル、ジオレイン酸L−アスコルビル等のL−アスコルビン酸アルキルエステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステル、L−アスコルビン酸−3−硫酸エステル等のL−アスコルビン酸硫酸エステル、2−O−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸等のL−アスコルビン酸配糖体等が挙げられる。
【0009】
また、本発明においてはこれらの塩も使用可能でありナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩が用いられる。
【0010】
また、添加の方法については、予め加えておいても、製造途中で添加しても良く、作業性を考えて、適宜選択すれば良い。
【0011】
本発明で使用するササユリの葉の水溶性抽出物とL−アスコルビン酸またはその誘導体の含有量はササユリの葉の水溶性抽出物が0.0005〜0.1重量%であり、L−アスコルビン酸またはその誘導体の含有量が0.001〜0.1重量%の組み合わせがよい。さらに好ましくは、ササユリの葉の水溶性抽出物が0.0005〜0.01重量%であり、L−アスコルビン酸またはその誘導体の含有量が0.001〜0.01重量%の組み合わせがよい。
【0012】
本発明の美白化粧料は上記必須成分の他に、通常の化粧料、医薬部外品、医薬品等に用いられる各種成分、例えば油性成分、乳化剤、保湿剤、増粘剤、薬効成分、防腐剤、顔料、粉体、pH調整剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、香料等を適宜配合することができる。
【0013】
具体的には油性成分としては、例えば流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン、ホホバ油、ミツロウ、カルナウバロウ、ラノリン、オリーブ油、ヤシ油、高級アルコール、脂肪酸、高級アルコールと脂肪酸のエステル、シリコーン油等が挙げられる。乳化剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の非イオン界面活性剤、ステアロイル乳酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤、大豆リン脂質等の両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム等のカチオン界面活性剤が挙げられる。保湿剤としては、例えばグリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどが挙げられる。増粘剤としては、例えばカルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ベントナイト等の粘土鉱物等が挙げられる。薬効成分としては、例えば各種ビタミンおよびその誘導体、アラントイン、グリチルリチン酸およびその誘導体、各種動植物抽出物等が挙げられる。
【0014】
本発明の美白化粧料は公知の方法により製造することができ、一般の皮膚化粧料に限定されるものではなく、医薬部外品、外用医薬品等を含むものであり、その剤型は目的に応じて任意に選択でき、クリーム状、乳液状、液状、ゲル状、軟膏状、パック状、スティック状、パウダー状等の形態とすることができる。
【実施例】
【0015】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。なお、実施例に示す%とは重量%を示す。
【0016】
製造例―1
乾燥したササユリの葉50gを細断し、水1500mlで2時間加熱抽出し、さらに濃縮することにより抽出物15gを得た。
【0017】
製造例―2
乾燥したササユリの葉20gを細断し、水−エタノール混液(1:1)600mlで5時間加熱抽出して、さらに濃縮することにより抽出物2.5gを得た。
【0018】
製造例―3
乾燥したササユリの葉30gを細断し、エタノール600mlを加え、常温で1週間抽出して、さらに濃縮することにより抽出物3.5gを得た。
【0019】
製造例―4
乾燥したササユリの葉30gを細断し、1,3−ブチレングリコールの50%水溶液900mlを加え、室温で1ヶ月抽出して、抽出液850ml(約0.5%の固形物を含む)を得た。
【0020】
表1の比較例1〜9、表2の実施例1〜7に示す試料を調製し評価した。その結果を表1、2に示す。配合量は重量%である。実施例に先立ち、本発明で用いた試料の製造方法、色素沈着の誘導方法、塗布方法、評価方法、判定基準を説明する。
【0021】
(試料の製造方法)
表1、2に示す各々の実施例および比較例の成分を75℃にて溶解混合し、同条件下でホモジナイザーによるせん断力を利用し乳化する。その後、撹拌を続けながら室温まで冷却し各試料を得た。
【0022】
(色素沈着の誘導方法)
健常人男性10名を被験者とし、日常生活で露光されにくいと考えられる左右の上腕内側部にバイオソーラシミュレータを用い、各被験者の1.5MED(最小紅斑量)にあたる照射量を一部位あたり直径12mmの面積で、1日おきに3回照射した。
【0023】
(塗布方法)
朝、昼、晩の1日3回指定された部位に各試料を適量、28日間連続塗布し、その美白効果および使用感を調べた。
【0024】
(美白評価方法)
評価は被験者本人の効果実感として評価した。
有効:コントロールと比較し、明らかに薄くなった。
やや有効:コントロールと比較し、薄くなったように感じる。
無効:コントロールと比較し、差はない。
【0025】
(判定基準)
◎:有効およびやや有効を示す割合が80%以上。
○:有効およびやや有効を示す割合が50%以上80%未満。
△:有効およびやや有効を示す割合が20%以上50%未満。
×:有効およびやや有効を示す割合が20%未満。
【0026】
(使用感評価方法)
評価は被験者本人の実感として評価した。
良い:使用感が良い。
やや良い:使用感がやや良い。
やや悪い:使用感がやや悪い。
悪い:使用感が悪い。
【0027】
(判定基準)
◎:良いおよびやや良いを示す割合が80%以上。
○:良いおよびやや良いを示す割合が50%以上80%未満。
△:良いおよびやや良いを示す割合が20%以上50%未満。
×:良いおよびやや良いを示す割合が20%未満。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
以上説明したように、本発明によれば、ササユリの葉の水溶性抽出物0.0005〜0.01重量%とL−アスコルビン酸またはその誘導体0.001〜0.01重量%を含有することにより、著しく美白効果の高く、使用感の良い化粧料を提供することが可能となる。また、アスコルビン酸の使用量も少ないため、コストの削減にもなる。
【0031】
実施例8 保湿クリーム
A スクワラン 10.0重量%
吸着精製ラノリン 4.5
ワセリン 4.5
ステアリルアルコール 2.5
セタノール 2.5
POE(20)モノステアリン酸ソルビタン 2.2
POE(20)セチルエーテル 2.0
香料 適量
B ポリエチレングリコール 8.0
アスコルビン酸リン酸マグネシウム 0.01
ササユリの葉の水溶性抽出物(製造例―2) 0.001
防腐剤 適量
pH調整剤 適量
精製水 残余
【0032】
Aの油相部の原料およびBの水相部の原料をそれぞれ75℃に加熱し完全溶解した後、油相部を水相部へ混合し乳化、室温まで冷却する。得られたクリームは、平均粒子径1〜2μm程度の良好な乳化物であり、経時安定性に優れたものであった。また、美白評価試験においても良好な結果が得られた。
【0033】
実施例9 サンスクリーン乳液
A ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 7.0重量%
イソノナン酸イソノニル 7.0
パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 7.0
微粒子酸化チタン 6.0
POE(20)オレイン酸グリセリル 2.0
香料 適量
B 1,3−ブチレングリコール 5.0
アスコルビン酸リン酸マグネシウム 0.01
ササユリの葉の水溶性抽出物(製造例―4) 0.001
カルボキシビニルポリマー 0.1
AMPD 0.05
防腐剤 適量
精製水 残余
【0034】
Aの油相部の原料およびBの水相部の原料をそれぞれ75℃に加熱し完全溶解した後、油相部を水相部へ混合しホモジナイザーを用い乳化、室温まで冷却する。得られた乳液は、平均粒子径1μm以下の良好な乳化物であり、経時安定性は良好であった。また、使用感はさっぱりし、べたつきの無いものであった。また、美白評価試験においても良好な結果が得られた。
【0035】
実施例10 化粧水
エタノール 10.0重量%
ジプロピレングリコール 5.0
ササユリの葉の水溶性抽出物(製造例―2) 0.001
アスコルビン酸リン酸マグネシウム 0.01
POE(9)ラウリルエーテル 0.5
ビタミンEアセテート 0.3
香料 適量
防腐剤 適量
pH調整剤 適量
精製水 残余
【0036】
室温にて全成分を混合、完全溶解する。得られた化粧水は経時安定性が良好であった。また、使用感はさっぱりし、べたつきの無い使い心地良いものであった。また、美白評価試験においても良好な結果が得られた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ササユリの葉の水溶性抽出物とL−アスコルビン酸またはその誘導体を含有することを特徴とする美白化粧料。
【請求項2】
L−アスコルビン酸誘導体がアスコルビン酸リン酸マグネシウムであることを特徴とする請求項1記載の美白化粧料。
【請求項3】
ササユリの葉の水溶性抽出物の含有量が0.0005〜0.1重量%であり、L−アスコルビン酸およびその誘導体の含有量が0.001〜0.1重量%であることを特徴とする請求項1乃至2に記載の美白化粧料。




【公開番号】特開2008−214236(P2008−214236A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52306(P2007−52306)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(592262543)日本メナード化粧品株式会社 (223)
【Fターム(参考)】