説明

耐熱性樹脂組成物及びそれを用いた塗料

【課題】低温で硬化可能で、耐熱性に優れた耐熱性樹脂組成物と、この耐熱性樹脂組成物を用いた塗料であって、低温で硬化可能で、硬化時の収縮率が低く、伸び率が高い等の機械的特性及び耐熱性に優れた塗膜を形成しうる塗料を提供する。
【解決手段】数平均分子量が15,000〜50,000のポリアミック酸100重量部に数平均分子量が2,000〜40,000のポリアミドイミド樹脂を5〜100重量部配合してなる耐熱性樹脂組成物と、それを用いた塗料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性樹脂組成物及びそれを用いた塗料に関する。詳しくは、摺動部材用、ベルト用途、各種保護コート用途に用いられる前記耐熱性樹脂組成物、及び、それを用いた塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミック酸やポリイミド樹脂等のポリイミド系樹脂を用いた塗料は、その良好な耐熱性、耐溶剤性から電気絶縁用塗料や各種基材のコーティング材、摺動部のバインダー樹脂、ベルト用として広く用いられている。しかしながら、ポリイミド系樹脂は、一般に、塗膜形成時の加熱に、長時間の高温処理を必要とすることが多い。そこで、以前より、高温長時間硬化による塗膜性能の悪化や被塗布物の損傷を防ぐために、ポリイミド系樹脂にエポキシ樹脂やメラミン樹脂を配合することにより、ポリイミド系樹脂の硬化を低温で促進させたり、低温での溶融性を高めて塗布及び硬化作業性を向上させる方法が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。これらのエポキシ樹脂やメラミン樹脂を用いることにより、比較的低温短時間の加熱により硬化塗膜を得ることはできても、得られる硬化物の耐熱性が低下する欠点があった。また、ポリアミック酸や、ポリアミック酸にポリアミド、ポリエーテルイミド又はポリエーテルスルホンを配合した樹脂組成物が特許文献2及び特許文献3に記載されている。しかしながら、これらの樹脂組成物には、硬化に長時間を要する場合は、高温で硬化させる必要があるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−219108号公報
【特許文献2】特開2006−108175号公報
【特許文献3】特開平8−239645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、ポリイミド系樹脂にエポキシ樹脂、メラミン樹脂等を配合して塗膜を硬化させる場合、得られる硬化物の耐熱性が低下する欠点があった。
本発明は、これらの課題を解決するものであり、低温で硬化可能で、耐熱性に優れた耐熱性樹脂組成物を提供するものである。また、本発明は、この耐熱性樹脂組成物を用いた塗料であって、低温で硬化可能で、硬化時の収縮率が低く、伸び率が高い等の機械的特性及び耐熱性に優れた塗膜を形成しうる塗料を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記の耐熱性樹脂組成物及び塗料に関する。
(1)数平均分子量が15,000〜50,000のポリアミック酸100重量部に数平均分子量が2,000〜40,000のポリアミドイミド樹脂を5〜100重量部配合してなる耐熱性樹脂組成物。
【0006】
ポリアミドイミド樹脂のアミド基の総数とイミド基の総数との比であるアミド基/イミド基が37/63〜70/30である(1)記載の耐熱性樹脂組成物。
【0007】
ポリアミック酸が、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを重付加反応させて得られるものであり、ポリアミドイミド樹脂が、芳香族トリカルボン酸無水物と芳香族ジイソシアネート若しくは芳香族ジアミンとの重縮合反応物、芳香族トリカルボン酸無水物及びジカルボン酸と芳香族ジイソシアネート若しくは芳香族ジアミンとの重縮合反応物、又は、芳香族トリカルボン酸無水物及びテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジイソシアネート若しくは芳香族ジアミンとの重縮合反応物である(1)又は(2)記載の耐熱性樹脂組成物。
【0008】
(1)〜(3)いずれかに記載の耐熱性樹脂組成物を用いた塗料。
【0009】
該ポリアミック酸100重量部、該ポリアミドイミド樹脂5〜100重量部及び有機溶媒を含有する(4)記載の塗料。
【発明の効果】
【0010】
本発明の耐熱性樹脂組成物は、低温での硬化が可能であり、耐熱性に優れた硬化物が得られる耐熱性樹脂組成物である。また、本発明の耐熱性樹脂組成物を用いた塗料は、低温で硬化可能で、硬化時の収縮率が低く、伸び率が高い等の機械的特性及び耐熱性に優れた塗膜を形成しうるものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に用いられる数平均分子量が15,000〜50,000のポリアミック酸は、一般にテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを重付加反応させることにより製造することができる。
【0012】
テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく、芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,3′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、4,4′−スルホニルジフタル酸二無水物、m−ターフェニル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、4,4′−オキシジフタル酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス[4−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物などが好適に用いられる。コストの面ではピロメリット酸二無水物が、機械的強度の点で3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
【0013】
テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましいが、ブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ−[2,2,2]−オクト−7−エン−2:3:5:6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物等の主鎖にポリシロキサン構造を有するポリシロキサンテトラカルボン酸二無水物など、他のテトラカルボン酸二無水物を、芳香族テトラカルボン酸二無水物の一部と置き換えて用いてもよい。これら他のテトラカルボン酸二無水物を用いる場合、その使用量はテトラカルボン酸二無水物総量中の20モル%以下とすることが好ましい。20モル%を超えると、樹脂組成物硬化物の機械的強度、耐熱性等が低下するおそれがある。
【0014】
ジアミンとしては、芳香族ジアミンが好ましく、芳香族ジアミンとしては、従来公知のものを用いることができ、例えば、パラフェニレンジアミン、オルトフェニレンジアミン、オルトトリジン、メタトリジン、4,4−ジアミノジフェニルエーテル、3,4−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、キシリレンジアミン、フェニレンジアミン、2,2′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,4−ジアミノジフェニル、2,4−ジアミノビフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、3,3′−ヒドロキシル−4,4′−ジアミノビフェニルなどが好適に用いられる。機械的な特性の伸び率の点からジアミノジフェニルエーテルが好ましい。強度の点では、メタトリジンやパラフェニレンジアミンが好ましい。
【0015】
ジアミンとしては、芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましいが、脂肪族ジアミン、主鎖にポリシロキサン構造を有するポリシロキサンテトラジアミンの他のジアミンを、芳香族ジアミンの一部と置き換えて用いてもよい。これら他のジアミンを用いる場合、その使用量はジアミン総量中の30モル%以下とすることが好ましい。30モル%を超えると、樹脂組成物硬化物の機械的強度、耐熱性等が低下するおそれがある。
【0016】
これら、上記のテトラカルボン酸二無水物やジアミンは、それぞれ一種単独で用いてもよく、数種類併用して使用することもできる。
【0017】
ポリアミック酸の合成では、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの配合割合は、テトラカルボン酸二無水物/ジアミンのモル比で0.8〜1.1にすることが好ましく、0.9〜1.1にすることがより好ましく、0.95〜1.05にすることが、ポリアミドイミド樹脂との硬化に最も好ましい。上記モル比が0.8〜1.1の範囲をはずれた場合は、ポリアミドイミド樹脂を混合した際に均一な塗膜を形成せず、溶液状態でも分離する傾向がある。
【0018】
上記のテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの重付加反応は、溶媒中で行われ、溶媒としては、溶解性の点より塩基性極性溶媒が好ましく用いられる。具体的には、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチレンスルホン等が挙げられ、それぞれ単独又は併用することができるが、経済性及び重合のしやすさの観点から、N−メチル−2−ピロリドン又はN,N−ジメチルアセトアミドを用いることが好ましい。
【0019】
溶媒の使用量に特に制限はないが、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの総量100重量部に対して300〜450重量部とすることが好ましく、375〜400重量部とすることがより好ましい。
【0020】
溶媒中でのテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの重付加反応の方法に特に制限はないが、窒素等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。例えば、反応混合液の調製の際には、ジアミンと溶媒とを混合した後、昇温し、テトラカルボン酸二無水物を徐々に加え溶解させて反応溶液を調製することが好ましい。その際、発熱しないように冷却して液温を50℃以下に保つことが好ましい。その後、反応溶液を昇温して反応させるが、その際、反応温度を100℃以下に保つことが好ましい。
【0021】
本発明に用いられるポリアミック酸は、数平均分子量15,000〜50,000のものであり、好ましくは18,000〜40,000のものである。ポリアミック酸の数平均分子量が15,000未満であると、耐熱性樹脂組成物の硬化後の塗膜が脆くなり、フィルム状になりにくい。50,000を超えると、ポリアミドイミド樹脂と相分離する傾向があり、均一な特性を発現しにくい。さらに、貯蔵安定性が著しくわるくなる傾向がある。本発明において、ポリアミック酸の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定される。
【0022】
なお、上記のポリアミック酸合成反応において、得られるポリアミック酸の数平均分子量は、合成反応時に反応液をサンプリングしてゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定し、目的の数平均分子量になるまで合成を継続することにより、上記範囲に管理される(実施例も同様。)。
【0023】
本発明に用いられるポリアミドイミド樹脂(以下、PAI樹脂と呼ぶことがある。)としては、一般に、トリカルボン酸無水物とジイソシアネート又はジアミンとを重縮合反応させて得られるものを使用することができる。
【0024】
トリカルボン酸無水物成分としては、芳香族トリカルボン酸を用いることが好ましく、屈曲性、保存安定性およびコストの点でトリメリット酸無水物が好ましい。芳香族トリカルボン酸に限らず、イソシアネート基又はアミノ基と反応する脂肪族トリカルボン酸無水物等のその他のトリカルボン酸無水物を用いてもよいが、トリメリット酸無水物等の芳香族トリカルボン酸と併用することが好ましい。芳香族トリカルボン酸無水物と他のトリカルボン酸無水物とを併用する場合、他のトリカルボン酸無水物の使用量は、トリカルボン酸無水物成分総量中の30モル%以下とすることが好ましい。他のトリカルボン酸無水物の使用量が30モル%を超えると、合成中に、ゲル化したり、分子量が大きくなりにくくなる傾向がある。
【0025】
ポリアミドイミド樹脂の合成に用いられるジイソシアネート又はジアミンとしては、芳香族ジイソシアネート又は芳香族ジアミンが好ましく、特に、ジフェニルメタン構造、ビフェニル構造又はナフタレン構造を有する芳香族ジイソシアネート又はジアミンを必須成分として用いることが好ましい。これらを必須成分とすることにより、寸法安定性及び機械的特性の強度、弾性率を向上させる効果を奏する。このような芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニルジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネートなどがあり、その他の芳香族ジイソシアネート成分としてはキシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネートなどがあり、上記の必須成分として好ましい芳香族ジアミンとしては、例えば、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、ナフタレン−1,5−ジアミン、ナフタレン−2,6−ジアミンなどがあり、その他の芳香族ジイソシアネート成分としてはキシリレンジアミン、パラフェニレンジアミンなどがある。
【0026】
ジフェニルメタン構造、ビフェニル構造又はナフタレン構造を有する芳香族ジイソシアネート又はジアミンを必須成分とし、他の芳香族ジイソシアネート又は芳香族ジアミンを併用する場合、他の芳香族ジイソシアネート又は芳香族ジアミンの使用量は、芳香族ジイソシアネート又は芳香族ジアミンの総量中、20モル%以下とすることが好ましい。
また、芳香族ジアミン以外の脂肪族ジアミン等、他のジアミンを用いてもよいが、これらを併用する場合、他のジアミンの使用量は、ジアミン総量中、10モル%以下とすることが好ましい。他のジアミンの使用量が10モル%を超えると、反応しにくく、分子量が大きくならなくなる傾向がある。
【0027】
上記のトリカルボン酸無水物やジイソシアネート、ジアミンは、それぞれ一種単独で用いてもよく、数種類併用して使用してもよい。
【0028】
またジイソシアネートとしては、ブロック剤でイソシアネート基を安定化したものを使用してもよい。ブロック剤としては脂肪族アルコール、フェノール、オキシム等があるが、特に制限はない。
【0029】
本発明に用いられるポリアミドイミド樹脂の合成においては、アミド基とイミド基の比率を変化させるために、以下の化合物を使用することができる。
【0030】
アミド基を増加させる場合は、トリカルボン酸無水物の一部に代えて、ジカルボン酸、例えば、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オキシジ安息香酸等)等や脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、デカン二酸、ドデカン二酸、ダイマー酸等)、また、アクリル変性の末端ジカルボン酸化合物などの変性ジカルボン酸等を用いることができる。
【0031】
イミド基を増加させる場合は、トリカルボン酸無水物の一部に代えて、テトラカルボン酸二無水物、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、4,4′−スルホニルジフタル酸二無水物、m−ターフェニル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、4,4′−オキシジフタル酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス[4−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物等の主鎖にポリシロキサン構造を有するテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ−[2,2,2]−オクト−7−エン−2:3:5:6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物などを用いることができる。
【0032】
上記のジカルボン酸及びテトラカルボン酸二無水物は、それぞれ、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
ポリアミドイミド樹脂の合成に用いられるトリカルボン酸無水物を必須成分とする酸成分とジイソシアネート又はジアミンとの配合割合は、該酸成分のカルボキシル基及び酸無水物基の総数に対するイソシアネート基又はアミノ基の総数の比、(イソシアネート基又はアミノ基の総数)/(カルボキシル基及び酸無水物基の総数)、が0.6〜1.3となるようにすることが好ましく、0.7〜1.3となるようにすることがより好ましく、0.8〜1.2となるようにすることが特に好ましい。この比が0.6未満又は1.3を超えると、樹脂の分子量を高くすることが困難となる傾向がある。
【0034】
上記のトリカルボン酸無水物を必須成分とする酸成分とジイソシアネート又はジアミンジアミンとの重縮合反応は、溶媒中で行われ、溶媒としては、溶解性の点より塩基性極性溶媒が好ましく用いられる。具体的には、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチレンスルホン、1,2−ジメチルイミダゾール、N,N′−ジメチルプロピレン尿素等が挙げられ、それぞれ単独又は併用することができるが、経済性及び重合のしやすさの観点から、N−メチル−2−ピロリドン又はN,N−ジメチルアセトアミドを用いることが好ましい。
【0035】
溶媒の使用量に特に制限はないが、トリカルボン酸無水物を必須成分とする酸成分とジイソシアネート又はジアミンとの総量100重量部に対して100〜300重量部とすることが好ましく、150〜275重量部とすることがより好ましい。
【0036】
トリカルボン酸無水物を必須成分とする酸成分とジイソシアネート又はジアミンジアミンとの溶媒中での重縮合反応の反応条件は、一概に特定できないが、通常、窒素等の不活性雰囲気下で、100〜140℃の温度で行われる。
【0037】
なお、ポリアミドイミド樹脂の合成には、酸成分として、トリカルボン酸無水物の代わりにトリカルボン酸無水物モノクロライドを用いてもよく、その場合、上記の反応温度よりも低温で数時間反応させることにポリアミドイミド樹脂を得ることもできる。
【0038】
本発明に用いられる数平均分子量が2,000〜40,000のポリアミドイミド樹脂のアミド基/イミド基の比率(ポリアミドイミド樹脂中のアミド基の総数/イミド基の総数)は30/70〜75/25が好ましく、37/63〜70/30が最も好ましい。このアミド基とイミド基の比率は、フィルムの伸び性や柔軟性を向上させる場合にはアミド基を増加させるために効果が大きく、フィルムの加熱重量減少からの耐熱性を向上させる場合やガラス転移温度を向上させる場合にはイミド基を増加させると効果が大きい。アミド基/イミド基の比率が30/70未満であると、合成しにくく、また、フィルムの成形性が悪く、フィルムが脆くなる傾向があり、75/25を超えると、フィルム成形時にクラックが発生しやすくなる傾向がある。
【0039】
本発明に用いられるポリアミドイミド樹脂は、数平均分子量が2,000〜40,000のものであり、10,000〜40,000であることが好ましく、15,000〜30,000であることがより好ましい。ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量が2,000未満であると、貯蔵安定性が著しく低下する傾向があり、40,000を超えると、硬化後、ポリイミドとポリアミドイミドが相分離する傾向がある。本発明において、ポリアミック酸の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定される。
【0040】
なお、上記のポリアミドイミド樹脂の合成反応において、得られるポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は、合成反応時に反応液をサンプリングしてゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定し、目的の数平均分子量になるまで合成を継続することにより、上記範囲に管理される(実施例も同様。)。
【0041】
本発明の耐熱性樹脂組成物において、ポリアミック酸とポリアミドイミド樹脂の配合は、ポリアミック酸100重量部にポリアミドイミド樹脂を5〜100重量部配合することが好ましい。ポリアミドイミド樹脂の配合量が5重量部未満であると、硬化性がほとんどポリイミドと同じにはり、効果がえられにくくなる傾向があり、100重量部を超えると、機械的特性が低下し、耐熱性がポリイミドと同程度となる傾向がある。硬化後のポリイミドの特性を変化させない配合量は、ポリアミドイミド樹脂5〜10重量部配合することが好ましい。硬化後のポリイミド樹脂の硬化収縮を低減させるにはポリアミドイミド樹脂を15〜50重量部配合させることが好ましい。各特性のバランスの点からは、ポリアミドイミド樹脂を20〜40重量部配合することが特に好ましい。
【0042】
本発明の塗料は、本発明の耐熱性樹脂組成物を用いてなるものであり、通常、上記のポリアミック酸及びポリアミドイミド樹脂と、これら樹脂成分を溶解可能な溶媒とを含有する。
【0043】
塗料の調製は、ポリアミック酸及びポリアミドイミド樹脂の合成時に得られた各樹脂を含有する樹脂溶液を、そのまま混合して行ってもよく、それぞれ又はいずれか一方に予め更に溶媒を添加して粘度を調製した後に混合してもよく、樹脂溶液の混合時に更に溶媒を添加してもよい。添加する溶媒としては、例えば、ケトン系溶媒(メチルエチルケトン、イチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等)、エーテル系溶媒(ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコール、ジメチルエーテル等)、セロソルブ系溶媒(ブチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート等)、芳香族炭化水素系溶媒(トルエン、p−シメン等)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチレンスルホン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N′−ジメチルプロピレン尿素等が挙げられる。
【0044】
ポリアミック酸溶液とポリアミドイミド樹脂溶液とを混合する場合、各溶液の粘度(25℃における粘度。実施例も同様。)が2.0〜20.0Pa・sであることが好ましく、3.0〜15.0Pa・sであることがより好ましい。粘度が2.0Pa・s未満では、フィルム形成時に熱により流動しやすくなり、はじき現象がおこり、塗りにくくなる傾向があり、20.0Pa・sを超えると、スプレー塗装がしにくくなる傾向がある。
【0045】
塗料中の不揮発分(ポリアミック酸及びポリアミドイミド樹脂等の固形分)の含有量は、15〜30重量%であることが好ましく、15〜25重量%であることがより好ましい。この含有量が15重量%未満では、ポリアミック酸のアミノ基又は酸無水物基とポリアミドイミドのイソシアネート又はアミノ基又は酸無水物基の反応が起りにくくなる傾向があり、30重量%を超えると、ポリアミック酸の安定性が悪くなり、作業効率が悪くなる傾向がある。
【0046】
本発明の塗料を塗布する際には、予め塗料を40〜80℃で10分〜1時間加熱し、塗布に適した粘度に調製したワニスとして用いてもよい。この時の加熱温度が80℃を超えると、分子量の低下により、最終硬化温度でフィルムが割れることがあり、好ましくない。
【0047】
本発明の塗料で塗膜を形成する基材としては、特に制限はなく、例えば、ガラス基板、アルミニウム、ステンレス等の金属、合金などの板状基材、円柱状の基材の内外、耐摩耗やすべり性を必要とする機械の部品等が挙げられる。特に、本発明の塗料には、密着性の点から、アルミニウム合金、鉄系合金等の基材が好適である。
【0048】
本発明の塗料を基材に塗布後、加熱硬化させることにより塗膜を形成する。通常、加熱硬化は、30〜100℃の温度で10〜30分間加熱して溶媒除去した後、250〜300℃の温度で10〜60分間加熱して硬化させることが好ましい。加熱硬化温度が250℃未満では、ポリアミック酸の加水分解反応などでフィルムの造膜性が著しく低下し、フィルム状にならなくなる傾向があり、300℃を超えると、ポリアミドイミド樹脂のアミド基部分の劣化により、フィルムが脆くなる傾向がある。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
合成例1[数平均分子量が15,000〜50,000のポリアミック酸の合成]
【0050】
(合成例1−1)
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた2リットル四つ口フラスコに4,4′−ジアミノジフェニルエーテルを200.2(1.00モル)g、N−メチル−2−ピロリドン1673gを仕込み、30℃まで昇温し、無水ピロメリット酸218.1g(1.00モル)を徐々に加え、攪拌し完全に溶解させる。その際、発熱しないように冷却し、50℃以下に保つ。この溶解した溶液を90℃−4時間反応させて数平均分子量27,000、粘度8.6Pa・s、不揮発分19.9重量%のポリアミック酸樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を樹脂1とする。
【0051】
(合成例1−2)
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた2リットル四つ口フラスコに、4,4′−ジアミノジフェニルエーテルを200.2g(1.00モル)、N−メチル−2−ピロリドン1858gを仕込み、30℃まで昇温し、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物264.2g(0.82モル)をじょじょに加え、攪拌し完全に溶解させる。その際、発熱しないように冷却し、50℃以下に保つ。この溶解した溶液を90℃−5時間反応させて数平均分子量33,000、粘度9.2Pa・s、不揮発分20.1重量%のポリアミック酸樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を樹脂2とする。
【0052】
(合成例1−3)
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた2リットル四つ口フラスコに、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル200.2g(1.00モル)とN−メチル−2−ピロリドン1717gを仕込み、30℃まで昇温し、無水ピロメリット酸を229.1g(1.05モル)をじょじょに加え、攪拌し完全に溶解させる。その際、発熱しないように冷却し、50℃以下に保つ。この溶解した溶液を90℃−1時間反応させて数平均分子量26,000、粘度7.4Pa・s、不揮発分19.5重量%のポリアミック酸樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を樹脂3とする。
【0053】
(合成例1−4)
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた2リットル四つ口フラスコに、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル190.2g(0.95モル)とN−メチル−2−ピロリドン1633gを仕込み、30℃まで昇温し、無水ピロメリット酸を218.1g(1.00モル)をじょじょに加え、攪拌し完全に溶解させる。その際、発熱しないように冷却し、50℃以下に保つ。この溶解した溶液を90℃−1時間反応させて数平均分子量18,000、粘度4.6Pa・s、不揮発分20.1重量%のポリアミック酸樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を樹脂4とする。
【0054】
合成例2[数平均分子量が2,000〜40,000のポリアミドイミド樹脂の合成]
(合成例2−1)
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた2リットル四つ口フラスコに酸成分としてトリメリット酸無水物192.1g(1.00モル)とジイソシアネート成分として3,3′−ジメチル−4,4′−ジイソシアネートビフェニル105.7g(0.40モル)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート75.1g(0.31モル)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート63.1g(0.31モル)、N−メチル−2−ピロリドン785.2gを仕込み、130℃まで昇温し、約6時間反応させて数平均分子量31,000のPAIを得た。このPAI樹脂溶液をN−メチル−2−ピロリドンで希釈して、粘度8.7Pa・s、不揮発分22.1重量%のPAI樹脂溶液を得た。このPAI樹脂溶液を樹脂5とする。
【0055】
(合成例2−2)
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた2リットル四つ口フラスコに酸成分としてトリメリット酸無水物192.1g(1.00モル)とジイソシアネート成分として3,3′−ジメチル−4,4′−ジイソシアネートビフェニル105.7g(0.40モル)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート150.2g(0.62モル)、N−メチル−2−ピロリドン785.2gを仕込み、130℃まで昇温し、約6時間反応させて数平均分子量31,000のPAIを得た。このPAI樹脂溶液をN−メチル−2−ピロリドンで希釈して、粘度7.4Pa・s、不揮発分20.1重量%のPAI樹脂溶液を得た。このPAI樹脂溶液を樹脂6とする。
【0056】
(合成例2−3)
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた2リットル四つ口フラスコに酸成分としてトリメリット酸無水物153.7g(0.80モル)、セバシン酸60.7g(0.30モル)とジイソシアネート成分として、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート250.3g(1.03モル)、N−メチル−2−ピロリドン785.2gを仕込み、130℃ まで昇温し、約6時間反応させて数平均分子量24,000のPAI(アミド基/イミド基=63.6/36.4、計算値)を得た。このPAI樹脂溶液をN−メチル−2−ピロリドンで希釈して、粘度3.3Pa・s、不揮発分23.0重量%のPAI樹脂溶液を得た。このPAI樹脂溶液を樹脂7とする。
【0057】
(合成例2−4)
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた2リットル四つ口フラスコに酸成分としてトリメリット酸無水物192.1g(1.00モル)とジイソシアネート成分として、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート262.8g(1.09モル)、N−メチル−2−ピロリドン785.2gを仕込み、130℃まで昇温し、約6時間反応させて数平均分子量20,000のPAIを得た。このPAI樹脂溶液をN−メチル−2−ピロリドンで希釈して、粘度0.9Pa・s、不揮発分23.0重量%のPAI樹脂溶液を得た。このPAI樹脂溶液を樹脂8とする。
【0058】
[試験方法]
ワニスの調整:合成した樹脂1〜4と樹脂5〜8を規定量秤量し、50℃〜80℃で2〜6時間混合し、ワニス状の混合物を得た。
塗膜硬化条件:ワニスを被塗物に塗布した後、80℃のホットプレート上で30分加熱乾燥させ、熱風箱型乾燥機中250℃で60分硬化させる。
比較例として、ポリアミドイミド樹脂を未添加のものを比較例1、硬化剤としてエポキシ樹脂:エピコート 806(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名、不揮発分:100重量%)を用いたものを比較例2、樹脂1を80℃−30分(ホットプレート)、150℃/15分、250℃/15分、320℃/30分硬化した場合を比較例3とした。
【0059】
(1)引っかき強度(鉛筆法)
PAI樹脂組成物をアルミニウム板A1050P(寸法;1mm×50mm× 150mm)上に塗布した後、80℃のホットプレートで30分硬化させ、熱風箱型乾燥機中250℃で60分加熱硬化し、膜厚が約20μmの塗膜を形成する。得られた塗膜板を用いて鉛筆による引っかき強度試験(旧JIS K−5400)を行い、塗膜に傷がつかない鉛筆硬度を記載した。
(2)密着性試験(クロスカット試験)
各ワニスをアルミニウム板A1050P(寸法;1mm×50mm× 150mm)上に塗布した後、80℃のホットプレート上で30分硬化させ、熱風箱型乾燥機中250℃で60分加熱硬化し、膜厚が約20μmの塗膜を形成する。カッターで1mmの碁盤目100個(10個×10個)を作り、セロハンテープにより剥離試験を5回行い、剥離していない碁盤目の割合(クロスカット残率:%)を調べた。
(3)機械的特性(機械的強度、弾性率及び伸び率の測定)
各ワニスを200℃で30分加熱硬化させ、膜厚が約20μm、幅10mm、長さが60mmの塗膜を形成する。得られた塗膜を、引張試験機を用いて、チャック間長さ20mm、引張速度5mm/分の条件で引張試験(JIS K−7113)を行い、機械的特性を求めた。
(4) 熱特性
5wt%重量減少温度:SEIKO社製TG-DTA測定装置で空気気流下、10℃/minで昇温し、初期から5%重量減少した温度を測定した。
ガラス転移温度:TMA測定のExtensionモードで10℃/minで昇温しガラス転移温度を測定した。
(5) 硬化収縮
ガラス板にワニス状にした混合液をキャスト方法で塗布し、80℃のホットプレート上で30分硬化させ、熱風箱型乾燥機中250℃で60分で硬化する。膜厚30μmのフィルムをガラス板に付着した状態での15cm×10cmの大きさで切り取って剥離し、次いで、切り取り剥離後のフィルムの面積を測定し、ガラス板に付着した状態でのフィルムの面積に対する切り取り剥離後のフィルムの面積の収縮率を計算した。
【0060】
【表1】

【0061】
表1の結果から、ポリアミドイミド樹脂が配合されていないワニスを用いた比較例1では、硬化時に塗膜割れが発生していることがわかる。ポリアミドイミド樹脂の代わりにエポキシ樹脂を配合した比較例2と比較して、ポリアミック酸にポリアミドイミドが配合されている実施例1〜5では、引張り強度、弾性率及び耐熱性に優れた塗膜が形成されていることがわかる。また、ポリアミック酸にポリアミドイミドが配合されている実施例1〜5では、ポリアミドイミドが配合されていないワニスを用いて実施例よりも高温で硬化させた比較例3と比較して、機械的特性がほぼ低下せず、フィルムが収縮せずに硬化可能であることが判明した。また、ガラス転移温度や機械的特性の違うポリアミック酸やポリアミドイミドを混合することによりガラス転移温度を上げることや下げることが可能であり、機械的特性も高弾性化や低弾性化が可能であり樹脂の特性を制御することに効果があることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数平均分子量が15,000〜50,000のポリアミック酸100重量部に数平均分子量が2,000〜40,000のポリアミドイミド樹脂を5〜100重量部配合してなる耐熱性樹脂組成物。
【請求項2】
ポリアミドイミド樹脂のアミド基の総数とイミド基の総数との比であるアミド基/イミド基が37/63〜70/30である請求項1記載の耐熱性樹脂組成物。
【請求項3】
ポリアミック酸が、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを重付加反応させて得られるものであり、ポリアミドイミド樹脂が、芳香族トリカルボン酸無水物と芳香族ジイソシアネート若しくは芳香族ジアミンとの重縮合反応物、芳香族トリカルボン酸無水物及びジカルボン酸と芳香族ジイソシアネート若しくは芳香族ジアミンとの重縮合反応物、又は、芳香族トリカルボン酸無水物及びテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジイソシアネート若しくは芳香族ジアミンとの重縮合反応物である請求項1又は2記載の耐熱性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3いずれかに記載の耐熱性樹脂組成物を用いた塗料。
【請求項5】
該ポリアミック酸100重量部、該ポリアミドイミド樹脂5〜100重量部及び有機溶媒を含有する請求項4記載の塗料。

【公開番号】特開2011−162733(P2011−162733A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29950(P2010−29950)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】