説明

肝臓の障害を検出する超音波診断イメージングシステム及び方法

HCC障害のような重大な肝臓腫瘍は、造影剤超音波検査の間に、周囲の正常な組織及び良性腫瘍と比較して、ボーラス注入後の早い造影剤の収容及び増光により検出される。画素分類器は、造影剤のこの早いウォッシュインが生じる画素又はボクセル領域を探し、識別し、パラメータ画像においてこれらの画素又はボクセル場所を示す。前記画素分類器は、一連の画像から画素又はボクセル値を解析し、パラメータ肝臓画像内の早いウォッシュインが生じる点を一意的にコード化することにより画像内の疑わしい領域を識別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断イメージングシステムに関し、特に、肝臓の障害を診断する超音波システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
B型肝炎及びC型肝炎の患者は、原発性肝癌、肝細胞癌(HCC)を患う増大されたリスクがあることがわかっている。C型肝炎が1980年代前半に輸血により患者に感染していたという最近の発見のため、障害が初期段階に最良に治療されるように、定期的にHCCの発病に関して検査される必要があるC型肝炎の患者が多数残っている。この病気の通常の進行は、肝炎から肝硬変、そこからHCCである。肝疾患の進行に対する使用しやすいモニタリング技術は、この深刻な疾患の早期検出を支援する幅広い応用を持つ。
【0003】
HCCに加えて、肝臓で進行する可能性がある多数の障害が存在する。Ultrasound Quarterly, vol.19, no. 1、pp 27以下(2003)において発行されたM. Averkiou他による論文"Ultrasound Contrast Imaging Research"は、4つの原発性肝障害、即ち肝細胞癌(HCC)、他の場所における原発性癌からの転移、血管腫及び病巣結節性過形成(focal nodal hyperplasia)を論じている。前の2つは悪性であり、後の2つは良性である。肝臓における障害を識別する技術は、より詳細な診断が肝臓で発見される全ての障害を識別及び区別することができるように、これら4つ全ての障害を検出することができなければならない。
【0004】
本願の発明者の数人が共同発明者である、米国特許出願公開第60/542259号明細書、題"ULTRASONIC IMAGING OF PERFUSION AND BLOOD FLOW WITH HARMONIC CONTRAST AGENTS"は、超音波信号の解剖学的ソース(anatomical source)に関する造影検査(contrast exam)の間に受信された前記信号を分類又は分割する技術を記載している。この情報は、超音波画像内の組織、毛細血管床及び大きな血管内の血流を区別して描くのに使用される。超音波信号情報は、前記信号により生成された高調波ドップラ情報(harmonic Doppler information)に対して異なるフィルタを使用し、次いで速度の相違により前記異なってフィルタされた信号を分類し、前記信号が、組織から来たのか、小さな毛細血管内の静止造影剤マイクロバブルから来たのか、又はより大きな血管内の流れているマイクロバブルから来たのかを決定することにより分割される。米国特許第6814703号明細書は、同じ問題に対して異なる技術、ドップラパワー(P)、Bモード振幅(B)及び速度(V)特性により超音波信号を分類する技術を論じている。両方の特許が、肝臓診断における技術の応用を示し、両方とも、動脈のような大きな血管内の血流速度が、毛細血管床のような小さな血管内の血流速度より大きいという事実を頼りにしている。したがって、両方の技術が、信号分割を決定するためにドップラ処理を必要とする。しかしながら、これらの技術の複雑さ及び汎用性にもかかわらず、いずれの特許も、肝障害検出及び診断の独特の問題に対処していない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の原理によると、病状は、超音波造影検査の間に、体内の特定の解剖学的位置における造影剤の到着時間に基づく分割により検出される。このような特徴を示す生体構造の場所は、特定の色又は輝度により超音波画像内で一意的に識別される。到着時間情報は、分類プロセスにおいて信号振幅と関連付けられることができ、曲線適合法も使用されることができる。一実施例において、前記生体構造のフレーム間運動(frame-to-frame motion)は、より良い検出のために補正される。本発明の実施例は、HCC及び肝臓内の他の障害を検出するのに特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
肝臓に対する血流は、2つのソース、即ち肝臓動脈及び門脈から来る。肝臓動脈は、大動脈から血流を供給される。門脈を通る血液の流れは、下大静脈から来る。下大静脈は、大動脈により供給される血液の流れを洗浄する腎臓から血液を受ける。肝臓から出る血流は、肝臓動脈及び上大静脈を通過する。肝臓は、血液の総供給の20%を大動脈及び肝臓動脈から受け、血液供給の80%を下大静脈及び門脈から受ける。
【0007】
この脈管構造の結果として、造影剤のボーラスが静脈に注入される場合、前記造影剤のボーラスは、初めに肝臓動脈を通って肝臓内に現れ始める。心臓から大動脈に送り込まれた後に、前記造影剤の一部は、肝臓動脈に流入し、肝臓に流入し始める。しかしながら、肝臓に対する血液供給の20%のみが肝臓動脈により供給されるので、この早い流入は低いレベルにある。大動脈における前記造影剤の流れの残りは、腹部及び腸内脈管構造に流入し、門脈において集められ、肝実質に多いに流入する。
【0008】
HCC障害により発現した脈管構造は、肝臓動脈から血流の主なソースを供給されることがわかっている。前記造影剤は肝臓動脈を通って肝臓に初めに現れるので、これは、ボーラス注入後の肝臓内の造影剤検出の最初の位置の1つが、HCC障害の場所であることを意味する。障害が存在しない場合、通常の肝臓動脈及びこれにより供給される正常な血管のみが、存在する造影剤とともに現れる。他の10ないし20秒後に、前記造影剤のボーラスの残りが、胃腸系、下大静脈及び門脈を通過し、造影剤のこの遅延された流れは、肝臓の毛細血管床が造影剤を流入されると、現れ始める。前記ボーラスの約80%は毛細血管床に運ばれるので、毛細血管床における前記造影剤の遅延された流れは、前記HCC障害における造影剤のより少ない供給の出現を迅速に圧倒し、前記HCC障害は、前記超音波画像において、毛細血管床の正常な組織に明るく現れる周囲に対して暗く現れ始める。したがって、前記HCC障害が前記画像において造影剤で著しく目立つ場合、最初の流入段階は、数心拍及び数秒しか存在せず、"早いウォッシュイン(early wash-in)"と称される。HCC障害の診断におけるイメージング手順において識別されなくてはならないのは、この早いウォッシュイン特性であり、これを行うには小さな時間窓しか存在しない。
【0009】
本発明の原理によると、HCC障害の診断は、HCCの疑いがありうる早いウォッシュインの領域を強調表示するために肝臓内の造影剤の相対的な到着時間に基づいて肝臓のパラメータ画像を生成することにより強化される。造影剤の到着を用いる肝臓の全体的な増光(brightening)がモニタされ、早く明るくなる領域が識別される。これらの領域は、更に他の検査のために疑いのある領域を示す一意的な輝度又は色により前記画像において区別して示される。本発明の技術は、肝臓の大きな体積が一度に診断されることができる3次元イメージングに特に適している。3次元パラメータ画像は、単純な最大輝度投影法(maximum intensity projection)又は他の既知の若しくは新しく開発された3次元イメージング技術を使用してパラメータ体積からレンダリングされることができる。
【0010】
初めに図1を参照すると、本発明の原理により構成された超音波診断イメージングシステムが、ブロック図形式で示されている。このシステムは、超音波送信ビームで撮像される体の2又は3次元領域をスキャンすることにより動作する。各ビームは、前記体を通る進行経路(steered path)に沿って送信されるので、前記体内の組織及び血流は、送信された周波数成分に対応する線形及び非線形(又は基本及び高調波)成分を持つエコー信号を返す。この送信信号は、超音波に対して非線形応答を示す造影剤のマイクロバブルから反射される。前記非線形応答は、前記造影剤から返されたエコー信号に非線形成分を含ませる。
【0011】
図1の前記超音波システムは、前記体内の散乱体からの高調波エコー成分の返しに対する所望のビーム方向において選択された変調特性の波又はパルスを送信する送信器16を使用する。前記送信器は、前記送信ビームの周波数成分、相対強度又は振幅及び前記送信信号の位相又は極性を含む、図面に示された前記送信ビームの特性を決定する複数の制御パラメータに応答する。前記送信器は、送受信スイッチ14によりプローブ10のアレイトランスデューサ12の要素に結合される。前記アレイトランスデューサは、平面(2次元)イメージングに対して1次元アレイ又は2次元又は体積(3次元)イメージングに対して2次元アレイであることができる。
【0012】
トランスデューサアレイ12は、前記トランスデューサの通過帯域内にある線形及び非線形成分を含む前記体からのエコーを受信する。これらのエコー信号は、スイッチ14によりビームフォーマ18に結合され、ビームフォーマ18は、異なるトランスデューサ素子からのエコー信号を適切に遅延し、浅い深度から深い深度までの前記ビームに沿ったコヒーレントエコー信号のシーケンスを形成するように前記エコー信号を組み合わせる。好ましくは、前記ビームフォーマは、フィールドのニアフィールドからファーフィールド深度までの離散コヒーレントデジタルエコー信号のシーケンスを生成するためにデジタルエコー信号に対して動作するデジタルビームフォーマである。前記ビームフォーマは、1以上の空間的に区別できる(distinctive)送信ビームの送信に応答して複数の空間的に区別できる受信スキャンラインに沿ってエコー信号の2以上のシーケンスを生成するマルチラインビームフォーマであってもよく、これは、3次元イメージングに対して特に有用である。ビーム形成された前記エコー信号は、高調波信号分離器(harmonic signal seprator)20に結合される。
【0013】
高調波信号分離器20は、様々な形で前記エコー信号の前記線形及び非線形成分を分離することができる。1つの方法は、フィルタリングによるものである。二次高調波のような特定の非線形成分は、基本送信周波数(f0)とは異なる周波数帯域(2f0)にあるので、前記造影剤の形跡である前記高調波信号は、帯域通過又は高域通過フィルタリングにより前記線形成分から分離されることができる。一般にパルス反転技術(pulse inversion techniques)と称される、非線形成分を分離する多くの複数パルス技術も存在する。パルス反転において、画像フィールドは、各ビーム方向における複数の異なって変調された送信信号の送信により高周波音波を印加され(insonified)、前記画像フィールド内の同じ場所から複数のエコーを返す。前記送信信号は、振幅、位相、極性又はこれらの組み合わせにおいて変調されることができる。共通の場所からの前記受信されたエコーが組み合わされる場合、前記線形信号成分は相殺され、前記非線形信号成分は、互いに増強し(又は望まれるならその逆であり)、これにより、イメージングに対する分離された非線形(例えば高調波)エコー信号を生成する。
【0014】
前記エコー信号は、Bモード検出器22により検出される。上で論じられた従来技術に対する本発明の技術の利点は、ドップラ処理が必要でないことである。本発明は、所定の実施例において望まれる場合にはドップラ処理を使用して実行されることができるが、しかしながら、Bモード信号の使用は、長いドップラアンサンブルの取得により引き起こされるリアルタイムフレームレートの減少を防止する。前記検出されたエコー信号は、この場合、スキャンコンバータ24によりセクタ又はピラミッド画像(pyramidal image)のような所望の画像フォーマットに変換される。前記スキャンコンバートされた画像は、一次的に画像バッファ26に記憶され、ここから更に他の処理を受けることができる。
【0015】
本発明の原理によると、画素分類器30は、前記超音波画像内の画素又はボクセルを分類し、HCC障害の特性を示す画素又はボクセルを探す。図2は、この解析のグラフィックな認識を与える。肝臓の正常な組織に対する造影剤を含む血液の流れのほとんどは、腎臓の通過により時間t0においてボーラス注入の時間から遅延され、この後に、下大静脈(IVC)を通って時間t2において肝臓における到着により遅延され、これは点線曲線74により示される。肝臓動脈により運ばれた造影剤を含む血液の大幅に少ない量から時間t1における正常な組織におけるコントラストの小さな知覚可能な増大が存在しうる。しかしながら、肝臓動脈内の、HCC障害の周りに発現した脈管構造への造影剤を含む血液の流れは、時間t1における実線曲線72の上昇により示される主要なIVC血流より早く現れる。肝臓動脈により運ばれるより少ない流れは、曲線72のより小さいピークにより示される造影剤のより低い濃度の達成に帰着することができる。したがって、画素分類器30の機能は、HCC障害の脈管構造に対する造影剤の早いウォッシュイン、図3に示される曲線72と曲線74との間の網掛け領域70の特性を示す画素又はボクセルを識別することである。
【0016】
画素分類器30がこのようなデータを識別する場合、画素分類器30は、区別できる陰、輝度又は色で対象画素又はボクセルを強調表示する。これは、疑わしい病状のパラメータ特性がユーザに対して強調表示されるパラメータ画像を作成する。前記パラメータ画像は、表示バッファ42に入れられ、ここからディスプレイ40上に示される。
【0017】
画素分類器30は、様々な態様で動作することができ、一実施例は図4に示される。一連の取得された画像からの画素又はボクセルデータは、場所ごとに画像信号のレベルを比較する閾値検出器32に印加される。二次高調波信号のような注入された造影剤の特性を示す受信された画素又はボクセルが、図2ないし3におけるt0-t2時間間隔のような所定の時間窓の間に低い閾値1を超過する場合、この画像場所における画素は、早いウォッシュイン造影剤画素又はボクセルとして分類され、パラメータ画像バッファ34内の前記パラメータ画像のようにコード化される。他の画素又はボクセルにおける信号は、前記時間窓の間に前記閾値1レベルを超過するので、前記パラメータ画像バッファ内の肝臓画像は、肝臓動脈において及び存在するHCC障害の近辺において特徴的な色又は輝度で構成される。造影剤の区別できる早いウォッシュインのビルドアップは、前記バッファの前記パラメータ画像を定期的に表示することによりリアルタイムで観測されることができるか、又は前記超音波システムは、前記時間窓が閉じるまで待機することができ、早いウォッシュインのビルドアップは、最終的な早いウォッシュインパラメータ画像を表示する前に完成される。前記パラメータ画像は、前記IVCからの造影剤の後の到着の前に(即ち、図2ないし3における曲線74の上昇の前に)前記時間窓を閉じることにより、及び後に到着する造影剤のみにより達成されると予測されるレベルである、より高い閾値2(図参照)の上の信号レベルの検出を防止することにより造影剤の所望の早いウォッシュインのみを表示するように制限される。
【0018】
図5は、画素分類器の他の実施例を示す。この実施例において、一連の取得された画像からの画素又はボクセルデータは、閾値と比較され、(ノイズレベルより上であると仮定される)前記閾値を超過する画素又はボクセルデータは、到着時間検出器52に印加される。到着時間検出器52は、タイマ56が実行中である間隔の間に動作する。タイマ56は、図3の時間t1において生じると予測される、前記閾値を超過する最初の画素値により開始されることができ、t1-t2間隔だけ実行した後にタイムアウトする。したがって、早いウォッシュイン画素又はボクセルの早い信号レベル特性は、この時間間隔の間に識別される。早いウォッシュイン画素又はボクセルの識別がタイマ56のタイムアウトの前に終了した場合、前記タイマは、到着時間検出器52による後に到着する造影剤の画素又はボクセルの検出を防止するために早めに停止する。前述のように、識別された早いウォッシュイン画素又はボクセルの場所は、画像バッファ54の前記パラメータ画像にコード化され、前記パラメータ画像は、構築されるときにリアルタイムで、又は早いウォッシュイン画素又はボクセル領域のビルドアップが完了した後のいずれかで表示される。
【0019】
画素分類器の他の実施例は、図6に示される。この実施例において、一連の取得された画像の画素又はボクセル値は、前記造影剤が肝臓に流入し始め、次いで後退する間に、時間的画素データマップ60に記憶される。前記データマップは、前記画像フィールド内の各空間的に異なる場所に対する時間的な信号値を記憶する。その結果は、プロットされる場合に図2ないし3における曲線72及び74のような曲線に似ていてもよい前記データマップ内の各場所における一連の値である。各曲線は、各画素又はボクセル場所におけるデータ曲線をかん流曲線データソース66に記憶された特性曲線データと解析的に比較する曲線適合プロセッサ62により解析される。所定の画素又はボクセル場所における前記曲線が特性曲線72に適合する場合、例えば、当該場所は、パラメータ画像バッファ64の前記画像において早いウォッシュイン場所として分類される。所定の場所における前記曲線が曲線74に適合する場合、当該画素又はボクセル場所は、正常な組織として分類される。この結果は、肝臓内の早いウォッシュイン領域を強調表示するバッファ64内で作成されたパラメータ画像である。この実施例は、他の実施例と同様に、肝臓が肝臓画像の残りの正常な組織と比較して造影剤を用いる最初の輝きを受ける点を識別するために前記画像領域全体を解析するように構成されることができる。
【0020】
多くのこれらの技術の感度及び精度が、時間期間に対して同じ画像点から信号データのシーケンスを確実に受信することができるかどうかに依存し、この結果、同じ点からの時間的なデータが解析され、疑わしい場所が前記パラメータ画像に正確に示されると理解されたい。この能力は、プローブ運動及び呼吸から生じるような患者の運動を含む運動の存在下で妥協される。この問題に対処する超音波システムは、図7に示され、これは図1の変形例であり、2つの図面において同様の参照番号は同様の機能を示す。図7の実施例は、取得された画像のシーケンスにおいて連続した画像を空間的に位置合わせする(align)ように動作する画像位置合わせプロセッサ28を含み、これにより、画像間の運動効果を軽減又は除去する。"Ultrasonic Image Stabilization System and Method"と題された米国特許第6589176号明細書及び"Method and Apparatus for Tissue-Centered Scan Conversion In An Ultrasound Imaging System"と題された米国特許第5538004号明細書に示されかつ記載されたものを含む、多数の技術が、前記画像位置合わせプロセッサを実現するために採用されることができる。一般に、これら2つのアプローチの各々は、連続した画像の比較により又はプローブ運動センサのような装置により提供される運動データによりフレーム間運動を抽出する。いずれの場合にも、測定された運動は、前記連続した画像を位置合わせするのに使用される。高調波信号レベルが、確信して画像を位置合わせするには低すぎる時間が存在しうるので、基本周波数組織画像に対して画像位置合わせを行うことが好ましいかもしれない。このように、一連の画像における同じ画素又はボクセル場所は、前記体内の同じ点に対応し、これにより、解析のために画像のフィールド内の各場所から正確な空間的に関連付けられた時間的データを生成する。
【0021】
したがって、本発明の実施例は、正常な組織及びしばしばもっとゆっくりと造影剤で満たされる血管腫のような良性の構造と比較して、2又は3次元超音波画像において早い造影剤ウォッシュイン領域を強調表示することにより潜在的なHCC障害を見分けることができる。典型的な診断において、潜在的なHCC障害は、初めに造影剤で明るくなり、正常な肝臓組織は、約10ないし20秒後に明るくなり、血管腫は、一般に、満たされ、明るくなるのにまるまる120秒はかかる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の原理により構成された超音波診断イメージングシステムをブロック図形式で示す。
【図2】正常な組織及び肝臓内の障害に対する時間上の画素値の比較を示す。
【図3】正常な組織及び肝臓内の障害に対する時間上の画素値の比較を示す。
【図4】本発明の原理により構成された信号分類器の一実施例を示す。
【図5】本発明の原理により構成された信号分類器の他の実施例を示す。
【図6】本発明の原理により構成された信号分類器の更に他の実施例を示す。
【図7】本発明の原理による分類に対して画像データを位置合わせする超音波診断イメージングシステムをブロック図形式で示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
造影剤の到着時間が病状の特性を示すことができる体の領域に信号を送信及び受信するように作動するプローブと、
造影剤から受信された特性信号を検出する検出器と、
前記検出器に応答する画像プロセッサと、
前記画像プロセッサに応答して、造影剤の早いウォッシュインからの信号を識別する画素分類器と、
前記画素分類器に応答して、早い造影剤到着の領域が強調表示される超音波画像を生成するパラメータ画像プロセッサと、
前記パラメータ画像を表示する画像ディスプレイと、
を有する超音波診断イメージングシステム。
【請求項2】
前記プローブは、造影剤の到着時間が肝臓障害の特性を示すことができる肝臓に超音波信号を送信し、前記肝臓から超音波信号を受信するように作動する、請求項1に記載の超音波診断イメージングシステム。
【請求項3】
前記画素分類器が、閾値レベル及び受信時間の少なくとも一方により一連の画像から受信された画素又はボクセルデータを分類する、請求項1に記載の超音波診断イメージングシステム。
【請求項4】
前記画素分類器が、曲線適合処理により一連の画像から受信された画素又はボクセルデータを分類する、請求項1に記載の超音波診断イメージングシステム。
【請求項5】
前記検出器が、非線形信号成分検出器を有する、請求項1に記載の超音波診断イメージングシステム。
【請求項6】
前記非線形信号成分検出器が、高調波信号検出器を有する、請求項5に記載の超音波診断イメージングシステム。
【請求項7】
前記非線形信号成分検出器が、パルス反転信号プロセッサを有する、請求項5に記載の超音波診断イメージングシステム。
【請求項8】
一連の受信された画像に応答して、前記画像の内容を空間的に位置合わせするように作動する画像位置合わせプロセッサ、
を更に有する、請求項1に記載の超音波診断イメージングシステム。
【請求項9】
前記画像位置合わせプロセッサが、更に、一連の画像内に示された組織を、画像ごとに同じ画素又はボクセル場所に位置合わせするように作動する、請求項8に記載の超音波診断イメージングシステム。
【請求項10】
造影剤を用いる超音波イメージングにより肝臓障害を診断する方法において、
体の血流に造影剤の流れを導入するステップと、
肝臓動脈を通った前記肝臓内の前記造影剤の存在を超音波で検出するステップと、
この後に、下大静脈を通った前記肝臓内の前記造影剤の存在を超音波で検出するステップと、
を有し、前記肝臓動脈を通った前記造影剤の存在が、肝臓障害の特性を示すことができる方法。
【請求項11】
造影剤を用いる超音波イメージングにより肝臓障害を診断する方法において、
体の血流に造影剤の流れを導入するステップと、
肝臓を超音波で撮像するステップと、
肝臓動脈を通った前記肝臓内の前記造影剤の存在を超音波で検出するステップと、
前記肝臓動脈を通った前記造影剤の存在が検出された超音波画像内の領域を強調表示するステップと、
前記強調表示された領域を持つ前記超音波画像を表示するステップと、
を有する方法。
【請求項12】
前記超音波で検出するステップが、前記肝臓内の造影剤からの信号の振幅及び受信時間の少なくとも一方を解析するステップを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記強調表示するステップが、前記造影剤からの信号が、閾値及び到着時間試験の少なくとも一方を満たす画像フィールド内の領域を見分けるステップを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記強調表示するステップが、前記超音波画像内の前記領域を区別できるように、増光するステップ、色付けするステップ、又は陰影付けするステップの少なくとも1つを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記超音波で検出するステップの前に一連の超音波画像を空間的に位置合わせするステップを更に有する、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−531082(P2008−531082A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555762(P2007−555762)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際出願番号】PCT/IB2006/050512
【国際公開番号】WO2006/090309
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】