説明

胃腸疾患の治療

本発明は、胃腸疾患の予防または治療において使用するための組成物(医薬および栄養製品を含む)に関する。このような組成物は、ジャガイモジュースから誘導できる4kDa以下の可溶性画分の治療上有効な量を含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胃腸疾患の予防および治療、特に、食用植物由来の抽出物を用いる胃腸疾患の予防および治療に関する。
【背景技術】
【0002】
胃炎は、すべての胃の炎症により引き起こされる種々の異なる状態を含む。炎症は、細菌による感染に起因するものであり得るが、外傷性傷害および特定の鎮痛剤の常用をはじめとするその他の因子もまた胃炎の一因となり得る。
【0003】
胃炎と関連する多数の状態があるにもかかわらず、疾患の兆候や症状は、上腹部における灼熱痛および、時には、腹部膨満、げっぷ、悪心または嘔吐と極めて類似している。いくつかのケースでは、胃炎が潰瘍を招き、胃癌の危険の増大につながる。
【0004】
消化性潰瘍は、胃または十二指腸内層上の痛みである。消化性潰瘍の1つの原因として、細菌感染があるが、いくつかの潰瘍は、アスピリンおよびイブプロフェンのような非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の長期使用によって引き起こされる。胃または膵臓における癌性腫瘍が潰瘍を引き起こす場合もある。
【0005】
ピロリ菌(H.pylori)は、慢性胃炎の主要な原因であり、胃潰瘍および十二指腸潰瘍の両方の発生において極めて重要な役割を果たす細菌の一種である(1)。ピロリ菌は、胃および十二指腸の保護粘膜被膜を弱め、これによって、酸が感受性内層の真下に通過することが可能となる。酸および細菌の両方が、内層を刺激し、痛みまたは潰瘍を引き起こす。
【0006】
ピロリ菌は、酸を中和する酵素を分泌するために胃酸中で生存することができる。この機序によって、ピロリ菌が「安全な」領域、すなわち保護粘膜内層に進むことが可能となる。細菌のらせん状の形が内層に穴を掘って入り込むのに役立つ。この生物による慢性感染は、胃腺癌および胃リンパ腫の発生の危険の増大と関連している(2)。胃上皮へのピロリ菌の付着は、疾患重症度に影響を及ぼすことがわかっている(3)。IV型分泌系(TFSS)によってコードされるcag病原性アイランドによって、細胞毒関連抗原A(CagA)が宿主細胞へ移動することを促進し、これが、宿主細胞機能の破壊および胃癌発生の危険の増大を引き起こす(4)。そのようなものとして、初期コロニー形成と生存の継続およびその後の宿主病変の発生を伴う増殖の両方にとって、宿主胃粘膜に接着する能力は必要条件である。
【0007】
ピロリ菌感染の治療は、通常、7または10日の3剤併用治療計画、例えば、レジーム、例えば、オメプラゾールまたはラベプラゾールなどのプロトンポンプ阻害剤をクラリスロマイシン、メトロニダゾールおよびアモキシシリンなどのよく用いられる抗生物質とともに用いることにより行う(5)。このような治療計画は、有効ではあるが、コストの視点から、また下痢などの副作用、金属味およびアレルギー反応が起こることがわかっているための両方で望ましくないものであり得る。クラリスロマイシンおよびメトロニダゾールに対する耐性もまた、治療の失敗の主要な原因であり、10〜20%の患者が、治療後に生物を上手く根絶するのに失敗する(6)。この高い失敗率のために、ピロリ菌感染の治療の可能性ある代替物としていくつかの非抗生物質治療が考慮されることとなった(7)。
【0008】
いくつかの報告には、ピロリ菌に対する植物抽出物の活性およびその単離成分が記載されている。例えば、胃炎の治療のためのブロッコリーなどの植物の使用はよく知られている(8)。さらに、ブロッコリーの活性成分、イソチオシアネートスルフォラファンが、抗生物質耐性株を含むピロリ菌に対して活性を示した(9)。さらに、シャロット アリウム・アスカロニカム(Allium ascalonicum)のアルコール抽出物による(10)、ならびにオレガノおよびクランベリーによる(11)ピロリ菌の増殖およびウレアーゼ産生の阻害もわかっている。ピロリ菌に対して毒性を示すことがわかっているその他の植物として、北アメリカの生薬サンギナリア・カナデンシス(Sanguinaria canadensis)およびヒドラスティス・カナデンシス(Hydrastis Canadensis)(12)、アジアの薬草セイロンマツリ(Plumbago zeylanica)(13)、さまざまなギリシャの伝統薬(14)および緑茶抽出物(15)がある。より最近、ある報告書に、ピロリ菌に対するナツメグ、パセリ、タラゴン、ロングペッパー、セージおよびシナモンの抗菌活性が記載された(16)。しかし、これらの料理用および薬用ハーブの多くは、広範なスペクトルの活性を示し、グラム陽性菌およびグラム陰性菌の両方に対する毒性が示されている(17)。したがって、このようなハーブおよびその製品の消費もまた、その多くが有益であることがわかっているプロバイオティック微生物叢に有害作用をおよぼす可能性がある(18)。したがって、有効であるには、天然抗ピロリ菌物質が、狭いスペクトルの活性を示し、理想的には、ピロリ菌のみに対して選択的であるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
胃腸疾患、特に、胃および十二指腸潰瘍の予防または治療に有用な、代替非抗生物質組成物を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、ジャガイモジュースから誘導できる4kDa以下の可溶性画分の治療上有効な量を含んでなる胃腸疾患の予防または治療において使用するための組成物が提供される。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、胃腸疾患の予防または治療用の医薬の製造のための、ジャガイモジュースから誘導できる4kDa以下の可溶性画分の使用が提供される。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、胃腸疾患の治療を必要とする患者に、ジャガイモジュースから誘導できる4kDa以下の可溶性画分の治療上有効な量を投与することを含んでなる、胃腸疾患の治療方法が提供される。
【0013】
画分は3kDa以下、特に、1および3kDaであることがより好ましい。最も特には、ジャガイモジュースから誘導できる可溶性画分は、500Da以上1kDa以下の治療上有効な量を含んでなる。
【0014】
特に、画分は、少なくとも1種のオリゴ糖を含み得る。好ましくは、画分は、pΗ8の中性である。画分は、フェノールグリコシド、フェノールアグリコンおよび/または窒素化合物を含むことが好ましく、アルカロイド以外であることが好ましい。画分は、トレオニン、バリンおよびロイシンまたはイソロイシンまたはメチオニンからなる群から選択される1種以上のアミノ酸を含み得る。
【0015】
本発明の第4の態様によれば、500Da以上1kDa以下の一定量を含んでなるジャガイモジュースから誘導できる可溶性画分が提供され、この可溶性画分は3種のカフェ酸誘導体および2種の芳香族誘導体を含んでなる。
【0016】
本発明の可溶性抽出物は純粋な形であってもよく、あるいは、その他の化合物が本発明の抽出物の抗付着特性を阻害しない化合物である限り、それらの化合物と混合してもよい。
【0017】
4kDa以下の抽出物、さらに詳しくは、500Da以上1kDa以下の可溶性画分が、ピロリ菌の結合の阻害および結合している細菌の除去において特に有効であることがわかり、したがって、胃炎および十二指腸潰瘍を予防または治療するための有効性を有する。いずれか特定の理論に拘束されようとは思わないが、4kDa以下の画分、より詳しくは、500Da以上1kDa以下の可溶性画分は、細菌が胃または十二指腸上皮と接着するのを可能にする細菌受容体を模倣する、またはそれと競合し得るいずれかが考えられるが、本発明者らは、この仮説に拘束されようとは思わない。
【0018】
本発明の4kDa以下の可溶性抽出物、例えば、500Da以上1kDa以下の可溶性画分は、その最も簡単な形では、ジャガイモジュースをホモジナイズし、水性上清をデカントし、この上清を遠心分離および分画して、所望の画分を分離回収することによって調製できる。この抽出物を、例えば、標準技術、例えば、減圧下で蒸発させることによって濃縮(concentrated)、濃厚とし(enriched)または凝縮できる。濃縮物の例として、少なくとも2倍濃縮されたもの、より普通には、少なくとも4倍、例えば、少なくとも8倍または少なくとも20倍または少なくとも100倍または少なくとも200倍または少なくとも1000倍濃縮されたものがある。
【0019】
任意の適した方法、例えば、分子量分画、セファロースゲルなどの適した固体支持体でのクロマトグラフィーまたはサイズ排除クロマトグラフィーに基づいたものであり得る高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)を用いて、水溶液を活性画分に分画できる。
【0020】
本発明の4kDa以下の画分、例えば、500Da以上1kDa以下の可溶性画分は、ジャガイモジュースから、以下の工程のうち1以上によって調製できる:
(a)必要により、新鮮な状態で皮をむいたジャガイモ塊茎の浸軟、
(b)得られた水性ジュースの遠心濾過。
適当な有機溶媒が、例えばイオン交換樹脂や、Superdex(商標)等でのさらなるサイズ排除などのクロマトグラフィー手順による画分の精製の補助のために利用される。
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、画分をイオン交換クロマトグラフィーに付し、抽出物を部分精製する。画分をpH8の陰イオン性HPLC分画に付し、フロースルーをpH8の陽イオンHPLCに付すことが好ましい。陽イオンHPLCから得たフロースルーを回収し、所望の抗付着特性を有する部分精製抽出物を得る。
【0022】
分画された上清を、場合により凍結または噴霧乾燥して、本発明の粉末画分を作製する。粗調製物(上記の分画した上清)は、実質的に「希釈せずに」用いてもよいし、またはさらに希釈してもよい。この場合には、上清(希釈されていようとなかろうと)を、栄養上の理由、医学的理由のために、またはさらに、治療されている被験体による消費のために抽出物の嗜好性を調整する目的で加えることが可能ないくつかの他の物質と混合してもよい。
【0023】
例えば、抽出物を食品または飲料製品とともに製剤し、胃炎の症状を予防または軽減するためのジャガイモジュースの4kDa以下、より好ましくは、3kDa以下を含む、最も特には、500Da以上1kDa以下の可溶性画分を含むという特徴を有する機能性食品として提供できる。例えば、抽出物は、原材料として牛乳を用いる乳製品(例えば、牛乳、ミルクセーキ、ヨーグルト、ヨーグルトドリンクまたは乳製品サプリメント)を用いて製剤し、活性画分を含むことで、胃炎の患者のための飲食物として高度に適するという利点の加わった味の良いドリンク/飲料を得てもよい。機能性食品は、プロバイオティックドリンクを含んでなり得る。当然のことではあるが、抽出物は、フルーツジュースなどの代替飲料として製剤できるが、これは胃炎を患っている人にとってはあまり望ましくない選択であるとういこうはいうまでもない。
【0024】
あるいは、粗調製物を、経腸栄養法のための栄養液中に含めてもよい。例えば、アルコール可溶性画分を経腸栄養法患者のための、生理食塩水または水溶液(これにはその他のビタミン、ミネラルおよび栄養物を含めてもよい)と混合してもよい。
【0025】
粗調製物の濃縮が必要な場合もあるし、あるいは、粉末組成物が望ましい場合もある。この場合には、粗抽出物は濃縮/脱水される必要がある。
【0026】
4kDa以下の画分、より好ましくは、3kDa以下の画分、特に、500Da以上1kDa以下の可溶性画分は、カプセルに組み込むための粉末、顆粒または半固形物として製剤してもよい。半固形の形で提示するために、抽出物を、粘性液体またはポリエチレングリコールなどの半固形ビヒクルまたは例えば、プロピレングリコールもしくはグリセロール等のグリコール類、もしくは例えば、オリーブオイル、ヒマワリ油、サフラワー油、月見草油、ダイズ油、コールドリバーオイル(cold liver oil)、ニシン油などの植物油もしくは魚油から選択されるオイルなどの液体担体に溶解または懸濁することができる。次いで、これを、ハードゼラチンもしくはソフトゼラチンタイプまたはハードもしくはソフトゼラチン等価物製のいずれかのカプセルに詰めてもよく、ソフトゼラチンまたはゲル化が同等なカプセルが、粘性液体または半固形充填物には好ましい。
【0027】
本発明の、4kDa以下の画分、より好ましくは、3kDa以下の画分、特に、500Da以上1kDa以下の可溶性画分を含んでなる粉末は、胃腸疾患、特に、胃および十二指腸潰瘍ならびに胃および十二指腸癌を予防または治療するために使用できる医薬品または栄養製品を製造するのに特に有用である。
【0028】
凍結乾燥または噴霧乾燥は、本発明の抽出物を含んでなる粉末を製造するための好ましい方法に相当する。噴霧乾燥は、良好な流動特性および迅速溶解特性を有する自由流動性顆粒状粉末混合物をもたらす。
【0029】
粉末抽出物は、透明/半透明な低粘度のドリンク/飲料として再構成できる。上記で論じられるように、水、乳製品または果汁に再構成してもよい。当然のことではあるが、粉末は、小袋に詰められ、必要に応じてまたは望まれる時に患者によってドリンクとして再構成され得る。
【0030】
粉末混合物は、本発明の好ましい実施形態に相当する。このような混合物は、さらなる成分と混合された粉末抽出物(上記のような)を含んでなる。このような成分は、栄養上の理由または医学的理由のために、または嗜好性の改善ために加えられ得る。粉末抽出物は、さまざまな粒径のグラニュー糖と混合し、さまざまな甘みの自由流動性粉末混合物を得てもよい。
【0031】
あるいは、天然甘味料または人工甘味料(例えば、アスパルテーム、サッカリンなど)を、低カロリー/カロリーを抑えた甘味のあるドリンクとしての再構成のために、粉末抽出物と混合してもよい。粉末混合物は、ミネラルサプリメントを含んでなるものであってもよい。ミネラルは、カルシウム、マグネシウム、カリウム、亜鉛、ナトリウム、鉄およびそれらの種々の組み合わせのうちいずれか1種であり得る。
【0032】
粉末混合物はまた、クエン酸バッファーおよびリン酸バッファーなどの緩衝剤および炭酸、例えば、炭酸水素ナトリウムまたはアンモニウムなどの炭酸水素から形成された発泡剤および固体酸、例えば、クエン酸または酸性クエン酸塩を含み得る。
【0033】
4kDa以下、より好ましくは、3kDa以下、特に、500Da以上1kDa以下の可溶性画分は、栄養補助食品または食品添加物として提供してもよいし、または食品、例えば、機能性食品または栄養補給食品中に組み込んでもよい。このような製品は、主食として、ならびに臨床的必要性があり得る状況下で使用してもよい。
【0034】
粉末は、パンまたはスナック食品バー、例えば、フルーツバー、ナッツバーおよびシリアルバーなどのシリアル製品中に組み込んでもよい。スナック食品バーの形での提示のために、粉末は、日干しトマト、レーズンおよびサルタナなどのドライフルーツ、挽いたナッツまたはオーツ麦およびコムギなどのシリアルから選択される任意の1種以上の成分と混合してもよい。
【0035】
4kDa以下の画分、3kDa以下の画分、特に、500Da以上1kDa以下の可溶性画分を医薬(処方箋を必要とするかどうかは別として)として使用するための医薬品として製剤されることは有利であり好ましい。
【0036】
粉末画分または濃縮液体画分はまた、錠剤、ロゼンジ剤、甘い食べ物またはその他の経口摂取のための食品に組み込んでもよい。また、このような粉末画分または濃縮液体画分は、持続放出カプセル剤や、摂取された後長時間にわたって画分を腸中に放出できるデバイスに組み込んでもよい。
【0037】
4kDa以下の画分、3kDa以下の画分、特に、500Da以上1kDa以下の可溶性画分はまた、マイクロカプセル化してもよい。例えば、カプセル化は、アルギン酸カルシウムゲルカプセル形成によるものが挙げられる。κ−カラゲナン、ジェランガム、ゼラチンおよびデンプンをマイクロカプセル化のための賦形剤として用いてもよい。
【0038】
粗調製物、液体濃縮物、粉末などを、胃炎を治療するための既知治療薬と組み合わせてもよい。そのようなものとして、本発明の抽出物は、極めて有効な併用療法において使用できる。溶液中の抽出物は、胃炎を治療するためのその他の治療薬のための理想的なビヒクルとして作用することが好ましい。
【0039】
4kDa以下の画分、3kDa以下の画分、特に、500Da以上1kDa以下の可溶性画分はまた、プロバイオティック部分を含む併用療法/共生療法に含めてもよい。多数のプロバイオティック混合物内に含まれる細菌は、接着特性を有さず、そのため活性画分を含めることによって影響を受けない。
【0040】
本発明の組成物は、規定濃度の抽出物を含有する単位投与形の形で提供できる。このような単位投与形は、所望のレベルの生物活性を達成するよう選択できる。
【0041】
患者によって必要とされる抽出物の量は、生物活性およびバイオアベイラビリティーによって決まり、生物活性およびバイオアベイラビリティーは、同様に、製剤、投与様式、抽出物の物理化学的特性および単剤療法として用いられるか、併用療法において用いられるかどうかに応じて変わる。例えば、ヒト成人の1日用量は、凍結乾燥または噴霧乾燥された(しかし、製剤された)粉末として0.1g〜l00gの間であり、より好ましくは、1g〜30gの間、例えば、約5g、10gまたは15gである。
【0042】
抽出物は、錠剤またはカプセル剤などの医薬製剤中に含まれる場合に特に有用である。このような製剤は、バイオアベイラビリティーによって経腸的にコーティングされることが指示される場合には、そのようにコーティングされる必要がある。製薬産業によって従来用いられるものなどの既知手順(例えば、イン・ビボ実験、臨床試験など)を用いて、医薬組成物の特定の処方および正確な治療レジーム(化合物の1日用量および投与頻度など)を確立できる。
【0043】
従来の「栄養補給食品」手順を用いて、4kDa以下の画分、より好ましくは、3kDa以下の画分、特に、500Da以上1kDa以下の可溶性画分を含んでなる液体ドリンク、粉末混合物および食料品を作製することが好ましい。
【0044】
1日用量は、単回投与として(例えば、経口消費のための毎日の錠剤または単回液体ドリンクとして)投与してよい。あるいは、用いられる抽出物は、1日に2回以上の投与を必要とする場合もある。一例として、0.1〜20gの噴霧乾燥抽出物、好ましくは、0.3〜10gの噴霧乾燥抽出物、より好ましくは、1日一定間隔で0.5〜3.0gを含有する100mlのオレンジドリンクを用いて渇きを癒し、それによって、推奨される用量を投与してもよい。
【0045】
4kDa以下のジャガイモ抽出物、3kDa以下の画分、特に、500Da以上〜1kDa以下の可溶性画分を補給した栄養製品は、胃炎もしくはその他の胃腸疾患を有する、または胃炎もしくはその他の胃腸疾患を発生する危険のある患者に、本発明の抽出物を提供するための理想的な手段として好ましい。
【0046】
したがって、本発明の第5の態様によれば、ジャガイモジュースから誘導できる、4kDa以下の画分または3kDa以下の画分、特に、500Da以上1kDa以下の可溶性画分の治療上有効な量を含んでなる、胃腸疾患の予防または治療において使用するための栄養製品が提供される。
【0047】
本栄養製品は、以下を含み得る:
(a)ジャガイモジュースから誘導できる4kDa以下の画分または3kDa以下の画分、特に、500Da以上〜1kDa以下の可溶性画分を含有し、透明な、低粘度の、水のような、安定な、使用準備のできた、瓶入りの、炭酸ガスを入れた、または炭酸ガスを入れていないドリンク;または再調製のための濃縮された透明な液体、
(b)ジャガイモジュースから誘導できる4kDa以下の画分または3kDa以下の画分、特に、500Da以上〜1kDa以下の可溶性画分を含有する、飲用可能な液体として、水または任意のその他の経口摂取可能な液体で再調製される粉末/顆粒混合物、または
(c)食品(例えば、シリアルまたはチョコレートバー、ロゼンジなど)中に混合された粉末または顆粒混合物。
【0048】
本栄養製品は、上記のとおりであり得、また、水溶性ビタミン、さらなるミネラルサプリメント、栄養化合物、抗酸化剤または矯味剤を含んでも また含まなくても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】ジャガイモジュース(PJ)の抗付着特性が3kDa未満の画分に位置することを示すグラフである。
【図2】3kDa未満の画分の抗付着活性が、用量依存性効果であることを示すグラフである。
【図3】ジャガイモジュース(PJ)およびその画分の抗付着特性に対する、プロテイナーゼKの効果および熱処理を示す図である。
【図4】3kDa以下の画分の陰イオン交換HPLC分離クロマトグラムである。
【図5】陰イオン交換HPLC後の3kDa以下の画分の活性プロフィールを示すグラフである。
【図6】陰イオン交換HPLC分画された大規模3kDa以下画分の炭水化物含量を示すグラフである。
【図7】バルク単離されたkDa以下画分の陰イオン交換フロースルー部(flow through)の陽イオン交換HPLCクロマトグラムである。
【図8】陽イオン交換HPLC後の3kDa以下画分フロースルー部の活性プロフィールを示すグラフである。
【図9a】Gemini C18逆相カラムでの1kDa以下500Da以上の画分のHPLCクロマトグラムである。280nmでUV検出1、2:ピーク1および2。
【図9b】Gemini C18逆相カラムでの1kDa以下500Da以上の画分のHPLCクロマトグラムである。350nmでUV検出。
【図10a】280nmでのピーク1のUVスペクトルである。
【図10b】280nmでのピーク2のUVスペクトルである。
【図11】350nmで検出した、14〜17分の間に溶出する成分、A〜Cのクローズアップ像:ピークA〜Cである。
【図12a】350nmでのピークAのUVスペクトルである。
【図12b】350nmでのピークBのUVスペクトルである。
【図12c】250nmでのピークCのUVスペクトルである。
【図13a】350nmでのクロロゲン酸マーカーのHPLCクロマトグラムである。
【図13b】350nmでのクロロゲン酸マーカーのUVスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明を、以下の添付の図面を参照し、例によってさらに例示する。
本発明者らは、ピロリ菌に対してジャガイモジュースがどのような効果を有するかを調べるために研究を実施した。特に、ジャガイモジュースが、胃の上皮細胞へのピロリ菌の付着を妨げることができるかどうかを測定した。また、ピロリ菌のコロニー形成を妨げることにより、生物のクリアランスならびに宿主組織の損傷および症状を低減することにつながるという論理的根拠を見出した。更に、ジャガイモジュースの抗付着特性は、中性に帯電していると考えられるジャガイモジュースから誘導できる、3kDa以下の画分、さらに詳しくは、500Da以上1kDa以下の可溶性画分中に位置していることを明らかにした。
【0051】
抽出物の調製
まず、フードブレンダー中で、皮をむいたキングエドワード(king Edwards)ジャガイモをホモジナイズすること、挽いたジャガイモを篩濾過することおよび可溶性画分を8000〜3000rpmで5〜20分間遠心分離することによって、ジャガイモジュースを作製した。次いで、この溶液を、0.22μmフィルターを用いて濾過し、この抽出物を必要とされるまで−80℃で保存した。
【0052】
調製された粗ジャガイモジュースを、VIVA Spin20遠心分離フィルター(MWCO 3kDa)を用いて3,660ppmで60分間を3回繰り返して遠心濾過することで分画した。回収した3kDa以下の画分は、さらなる分析のために必要とされるまで−80℃で保存した。
【0053】
さらに、抗付着成分の単離のために、大規模な3kDa以下ジャガイモジュース画分を調製した。洗浄し、皮をむいたジャガイモ(8.66Kg)を挽き、濾過して、2,215mLの粗ジャガイモジュースを得て、これを、遠心濾過によって分画した後、853mLの3kDa以下画分を得た。これを、凍結乾燥し、水(25mL)に再懸濁して、黄色−赤色の粘性液体を得た。濃縮画分は、さらなる分析として必要になるまで−80℃で保存した。
【実施例1】
【0054】
ピロリ菌の付着に対するジャガイモジュースの効果を、ジャガイモジュースまたはその画分を、AGS細胞とピロリ菌を培養する前または培養する後のいずれかの時に加えるというBennettおよびRoberts、2005年(19)による方法の改変を用いて調べた。
【0055】
パラホルムアルデヒドおよびグリシンを用いて、AGS細胞を96ウェルプレートに固定した。ピロリ菌培養物を、OD(600)=0.25に調整し、1:1比でサンプル抽出物と混合した。各ウェルに、l00μLの部分を加え、1,000rpmで10分間遠心分離し、その後、37℃で90分の微好気性インキュベーションを行った。液体をウェルから除去し、結合している細胞を1%サポニンで処理した。次いで、サンプルを段階希釈し、標準手順によって生菌数のために処理した。
【0056】
結果
添付の図面の図1に示されるように、実験によって、3kDa以下の画分は、AGS細胞へのピロリ菌の結合に対して顕著な効果を示した。
【0057】
AGS細胞とピロリ菌の結合後、3kDa以下画分の段階希釈物を加えた。その後、結合している細菌の数を、100%として表されるPBS対照における結合している細菌の数を用いて調べた。濃縮物とは、希釈していない3kDa未満の画分である。滴定によって、用量依存性効果が示された(図2参照のこと)。図1および2に示される結果は、細菌付着後の画分の添加後に得られた。また、驚くことに、AGS細胞とピロリ菌の結合に対する3kDa以下の画分は、その画分とピロリ菌が同時に宿主細胞に加えられた時、または細菌付着後に加えられた時においても効果を示した(置換アッセイによって証明されるように)。このことは、3kDa以下の画分中に存在する抗付着成分は、結合を阻害できるだけでなく、結合しているピロリ菌をAGS細胞から除去できることを示した。したがって、結合しているピロリ菌を感染宿主から除去し、それによって根絶を促進する可能性がある。
【実施例2】
【0058】
ジャガイモジュースの活性に対する熱およびプロテイナーゼK消化の効果を調べた。結果から、抗付着特性は、熱処理によって影響を受けないことが示され、プロテイナーゼK(PK)ととものインキュベーションは、抽出物の活性に対して顕著な効果は何も示さないようであった(図3)。プロテイナーゼKは、脂肪族、芳香族または疎水性アミノ酸のカルボン酸側でペプチド結合を切断する非特異的プロテアーゼである。後者の処理の観点から、このことは、活性成分は、事実上タンパク質性ではないということを示唆する。
【実施例3】
【0059】
3kDa以下の画分の陰イオンおよび陽イオンHPLC分画を実施して、画分の抗付着成分を精製した。
【0060】
タンパク質およびその他の生体分子は、分子が正味電荷を保持しないpHであるPI値として知られる特性を有する。PI値を上回るpHでは、分子は負に帯電しているのに対し、PI値を下回るpHでは、分子は正に帯電している。イオン交換クロマトグラフィーの際には、この特性が利用される。基本的に、イオン交換は、抽出物を正に帯電しているカラム(陰イオン交換)または負に帯電しているカラム(陽イオン交換)に通液し、最初に、それぞれのpHで結合していない物質を溶出するためのTrisまたはMESなどのバッファーを用いて溶出し、次いで、直線塩勾配を導入して、カラムと結合している分子をそれぞれのpHで分離させることを含む。分子は、結合するには、用いられるpHで、カラムのものと反対の正味電荷を有さなくてはならない。
【0061】
UV検出器(215、254および280nm)および伝導率記録計を備えた、ETTAN LC(Amersham Biosciences)で、すべての分離を行った。結果は、Unicorn(商標)ソフトウェアを用いて分析した。
【0062】
陰イオン交換分画のために、用いたカラムは、MonoQ HR 5/5(1mL容量)とした、荷電基:O−CH−CHOH−CH−O−CH−CHOH−CH−N(CH。移動相:バッファーA:20mM Tris−HCl(pH8)、バッファーB:2M NaCl中20mM Tris(pH8)。3.5カラム容積の100%バッファーAを用いてカラムを溶出して、結合していない物質を除去し、その後、10カラム容積にわたって0%B〜100%Bに進む直線勾配様式を導入して、結合している物質を置換した。流速は、0.25〜0.4mL/分の間とした。10〜20の間、各画分の250μLの部分(バッファーA中)を、500μLの注入ループによって送った。次いで、30、各実施の0.5mLの画分を回収し、画分複写物をプールし、凍結乾燥し、抗菌活性についてアッセイする前に500μLに再懸濁した。画分8〜30をアッセイする前に、Spectra/Por(登録商標)透析チューブ(MWCO 1kDa)中での蒸留水に対する透析によって脱塩した。脱塩画分を、凍結乾燥し、500μLの水に再懸濁した。
【0063】
陰イオン交換によって分離した後、結果から、画分2〜5に溶出した(図4)UV吸収物質が「フロースルー部」に相当し、この物質は、pH8で、中性または正に帯電していることが示された。画分10〜17の間で後期に溶出する物質は、カラムと結合しており、これらの成分は、pH8で、正味の負の電荷を保持している。活性スクリーニングによって、活性成分は、フロースルー部中に存在し、したがって、pH8で中性または正に帯電しているいずれかであると示された(図5)。糖分析(最初に、Duboisら(20)によって記載され、96ウェルプレートリーダーにおける分析を容易にするよう改変されたフェノール−硫酸法を用いる)によって、陰イオン交換後、すべて炭水化物がフロースルー部中に溶出することが示された(図6)。これらの結果は、陰イオン交換によって、pH8で活性成分が負に帯電している物質から分離されたことを示す。
【0064】
陰イオン交換フロースルー(画分2〜7)をまとめて単離し、得られた画分を、陰イオン交換実験のために用いた同一条件を用いる陽イオン交換によって分離した。HPLCクロマトグラムによって、すべてのUV吸収物質は、塩勾配の導入前に溶出されるので、カラムに固着しないことが示された(図7)。同様に、陽イオン交換後、抗付着成分は、フロースルー部中にまだ存在すると思われ、このことは、pH8でのその中性の性質を示す(図8)。したがって、MonoQカラムでの陰イオン交換と、その後の、MonoSカラムでの活性画分の陽イオン交換後、抗付着成分は、正味電荷を保持せず、したがって、pH8で中性であると思われる。陰イオン交換によって、活性が、相当な量の負に帯電している物質から分離されたので、pH8でなんらかの精製が生じたことは明らかである。
【実施例4】
【0065】
3kDa以下の画分に関して植物化学分析を実施した:
【0066】
以下の表1に示されるように、画分のTLC分析によって、フェノール性グリコシド、窒素化合物およびいくつかの未知物質の存在が示された。さらに、20種の既知タンパク質アミノ酸に相当するマーカーと一緒の、抽出物のTLC分離によって、トレオニン、バリンおよびロイシンまたはイソロイシンまたはメチオニンの存在が示唆された。
【0067】
【表1】

【0068】
粗または部分精製した3kDa以下の画分を、本発明に従って、さらに加工し、胃および十二指腸潰瘍および癌を予防または治療するために使用できる機能性食品を提供する。
【0069】
この点において、生ジャガイモジュースの消費は、胃炎の症状を軽減し得るが、消費される必要があるジャガイモジュースの頻度および量のために、この方法で健康上の利益を最大にすることは不可能であることは明らかである。本発明の3kDa以下の画分の同定および単離によって、ジュースの生物活性部分の濃縮された量が、適した製品(「機能性食品」)中に導入されることが可能となり、次いで、これを、所望の健康上の利益を得るために必要に応じて消費できる。
【実施例5】
【0070】
ジャガイモジュースの3kDa画分の粉末の調製
ホモジナイズしたジャガイモジュースの3kDa以下の抽出物を、上記のように調製し、凍結乾燥して本発明の粉末抽出物を形成した。
【実施例6】
【0071】
ジャガイモジュースの3kDaの画分の粉末混合物の調製
3.0gの凍結乾燥した粉末抽出物(実施例4)を、0.5gの粉末クエン酸、26.3gのグラニュー糖および0.2gの矯味剤の標準噴霧乾燥混合物と混合した。
【0072】
この混合物は、小袋に詰めるのに適している、自由流動性粉末製剤(3.0gの活性画分を含有する)である。粉末混合物は、胃炎を患っている患者によって必要とされる場合には、味わうおよび飲むために希釈してもよい。
【実施例7】
【0073】
本発明を使用するためのオレンジドリンクの調製
(a)100mlの粗調製物を、l00mlの二倍濃縮オレンジジュース(2倍強度に水で希釈したオレンジジュース濃縮物)と混合した。
(b)3.5gの凍結乾燥粉末を、100mlのオレンジジュースに(あるいは、オレンジジュース濃縮物および水とともに)溶解した。
【0074】
オレンジドリンク調製物(a)または(b)は、患者によって、すぐに消費されてもよいし、後の消費のために冷蔵されてもよく、または長い保管期間のためにビンおよび大型容器中に密閉してもよい。
【0075】
当然のことではあるが、オレンジジュースは、味の良い代替物、例えば、牛乳と容易に置き換えても良い。
【実施例8】
【0076】
1kDa以下500Da以上の画分のHPLCフィンガープリント分析
抗付着画分、すなわち、1kDa以下500Da以上の画分を含む画分を、逆相HPLCによって分析して、HPAEC HPLCクロマトグラムの場合と同様、塩の存在がなく、LC−MS分析に直接的に適している分離を提供した。用いたHPLCカラムは、ジャガイモ中の遊離フェノール性化合物を分離するよう設計されたプログラムを用いる、5μmの粒径を用いるGemini C18250×4.6mm内径カラムであった(21)。移動相は、A=水:メタノール:酢酸(88:10:2)およびB=水:メタノール:酢酸(8:90:2)からなり、9分かけて10%への漸増の勾配のBと、それに続く9〜13分の間の100%Bへの急増を含み、その後、最初の状態に戻った。以下の結果は、1kDa以下500Da以上の画分について得られた代表的なトレースを示す(図9a)。280nmでモニターした場合に、いくつかの吸収ピークがあったが、特に、2つ、1および2が分離されているようであった(図9a)。ピーク1および2のUVスペクトルが、図10aおよび10bにそれぞれ示されている。これらの化合物は両方とも事実上芳香族であり、プリン、ピリミジンまたは芳香族アミノ酸残基であろう。350nmでは、HPLCクロマトグラムが異なっており(図9b)、成分が14〜17分の間に溶出した。この領域の拡大図(図11)では、いくつかのピークを示した。完全に解明されたわけではないが、ピークA〜Cは、カフェ酸誘導体(図12a〜12c)、クロロゲン酸と同一ファミリーに属するフェノール性フェニルプロパノイド(図13aおよびb)、ジャガイモ中の主なフェノールの特徴的なUVスペクトルと判断された。クロロゲン酸マーカーが溶出される15分には顕著なピークは観察されなかった(図13a、b)。
【0077】
したがって、要約すると、1kDa以下〜500Da以上の画分中に、微量濃度で存在する少なくとも3種のカフェ酸誘導体があり、これらのどれもクロロゲン酸ではない。さらに、この画分中には、いくつかの芳香族成分があり、そのうち2つが分離されているようであった。
【0078】
参照文献
1.Blaser,MJ.(1998年)ピロリ菌と胃疾患(Helicobacter pylori and gastric diseases.)Biomed J.316:1507〜1510頁。
2.Uemura,N.、Okamoto,S.、Yamamoto,S.、Matsumura,N.、Yamaguchi,S.、Yamakido,M.、Taniyama,K.およびSasaki,N.、Schlemper,R.J.(2001年)ピロリ菌感染と胃癌の発生(Helicobacter pylori infection and the development of gastric cancer.)N.Engl.J.Med.345:784〜789頁。
3.Guruge,J.L.、FaIk,P.G.、Lorenz,R.G.、Dans,M.、Wirth,H.P.、Blaser,M.J.、Berg,D.E.およびGordon,J.I.(1998年)上皮付着部が、ピロリ菌感染の予後を変更する(Epithelial attachment alters the outcome of Helicobacter pylori infection.)Proc,Natl,Acad,Sd.USA95:3925〜3930頁。
4.Censini,S.、Stein,M.およびCovacci,A.(2001年)ピロリ菌との接触後に誘導される細胞応答(Cellular responses induced after contact with Helicobacter pylori.)Curr.Opin.Microbiol.4:41〜46頁。
5.Calvert,X.、Ducons,J.、Bujanda,L.、Bory,F.、Montserrat,A.およびGisbert,J.P.(2005年)。ピロリ菌根絶のための7日対10日のラベプラゾール(rabeprrazole)3剤併用:多施設ランダム化試験(Seven versus ten days of rabeprrazole triple therapy for Helicobacter pylori eradiction:amulticenter randomised trial.)Am.J.Gastroenterol100:1696〜1701頁。
6.Goh,K.L.(2002年)薬剤耐性生物を含むピロリ菌感染の管理に関する最新情報(Update on the management of Helicobacter pylori infection, including drug resistant organisms.)J Gastroenterol Hepatol17:482〜487頁。
7.Kamiji,M.M.およびde Oliveira R.B.(2005年) ピロリ菌感染のための非抗生物質治療(Non−antibiotic therapies for Helicobacter pylori infection.)Eur J Gastroenterol Hepatol17:973〜981頁。
8.Galan,M.V.、Kishan,A.A.、Silverman,A.L.、2004年。ピロリ菌感染の治療のための経口ブロッコリースプラウト:速報(Oral broccoli sprouts for the treatment of Helicobacter pylori infection: a prelimary report)Digestive Diseases and Sciences49、1088〜1090頁。
9.Fahey,J.W.、Haristoy,X.、Dolan,P.M.、Kensler,T.W.、Scholtus,L、Stephenson,K.K.、Talalay,P.、Lozneiwski,A.、2002年スルフォラファンは、細胞外、細胞内および抗生物質耐性株のピロリ菌を阻害し、ベンゾ[a]ピレンが胃腫瘍を誘導するのを防ぐ(Sulforaphane inhibits extracellular, intracellular, and antibiotic−resistant strains of Helicobacter pylori and prevents benzo[a]pyrene induced stomach tumors.)PNAS99、7610〜7615頁。
10.Adeniyi,B.A.、Anyiam,F.M.、2004年。シャロット(ユリ科)葉のメタノール抽出物のIn vitro抗ピロリ菌の可能性:ウレアーゼ活性に対する感受性および効果(In vitro anti−Helicobacter pylori potential of methanol extract of Alluim ascalonicum Linn. (Liliacaea) leaf: susceptibility and effect on urease activity.)Phytotherapy Research18、358〜361頁。
11.Lin,Y.T.、Kwon,Y.I.、Labbe,R.G.、Shetty,K.、2005年。オレガノおよびクランベリー植物化学相乗作用によるピロリ菌および関連ウレアーゼの阻害(Inhibition of Helicobacter pylori and associated urease by oregano and cranberry phytochemical synergies.)71、8558〜8564頁。
12.Mahady,G.B.、Pendland,S.L.、Stoia,A.、Chadwick,L.R.、2003年。サンギナリア・カナデンシス(Sanguinaria Canadensis)およびヒドラスティス・カナデンシス(Hydrastis canadensis)由来のイソキノリンアルカロイドに対するピロリ菌のIn vitro感受性(In vitro susceptibility of Helicobacter pylori to isoquinoline alkaloids from Sanguinaria Canadensis and Hydrastis canadensis.)Phytotherapy Research17、217〜221頁。
13.Wang,Y−C、Huang,T−L.、2005年。セイロンマツリ(Plumbago zeylanica L.)の抗ピロリ菌活性(Anti−Helicobacter pylori activity of Plumbago zeylanica L.)FEMS Immunology and Medical Microbiology43、407〜412頁。
14.Stamatis G.、Kyriazopoulos,P.、Golegou,S.、Basayiannis,A.、Skaltsas,S.、Skaltsa,H.、2003年。ギリシャの生薬のIn vitro抗ピロリ菌活性(In vitro anti−Helicobacter pylori activity of Greek herbal medicines.)Journal of Ethnopharmacology88、175〜179頁。
15.Matsubara,S.、Shibata,H.、Ishikawa,F.、Yokokura,T.、Takahashi,M.、Sugimura,T.、Wakabayashi,K.、2003年。スナネズミ(Mongolian gerbils)における緑茶抽出物によるピロリ菌誘導性胃炎の抑制(Supression of Helicobacter pylori−induced gastritis by green tea extract in Mongolian gerbils.)Bichemical and Biophysical Research Communications310、715〜719頁。
16.O’Mahony,R.、Al−Khtheeri,H.、Weerasekera,D.、Fernando,N.、Vairi,D.、Holton,J.、Basset,C、2005年。ピロリ菌に対する料理用植物および薬用植物の殺菌特性および抗付着特性(Bactericidal and anti−adhesive properties of culinary and medicinal plants against Helicobacter pylori.)World Journal of Gastroenterology11、7499〜7507頁。
17.Deans,S.G.、Ritchie,G.、1987年。植物精油の抗菌特性(Antibacterial properties of plant essential oils.)International Journal of Food Microbiology5、165〜180頁。
18.Chou,L−S.、Weimer,B.、1999年。ラクトバチルス・アシドフィルスの株に由来する酸および胆汁耐性単離物の単離および特性決定(Isolation and characterization of acid− and bile− tolerant isolates from strains of Lactobacillus acidophilus.)Journal of Dairy Science82、23〜31頁。
19.Bennett,H.およびRoberts,I.S.(2005年)ピロリ菌における新規シアル酸結合性タンパク質の同定(Identification of a new sialic acid−binding protein in Helicobacter pylori.)FEMS.Immunol,Med.Microbiol.44:163〜169頁。
20.Dubois,M.、Gilles,K.A.、Hamilton,J.K.、Rebers,P.A.、Smith,F.、1956年。糖類および関連物質の決定のための比色法(Colorimetric method for determination of sugars and related substances.)Analytical Chemistry28、350〜356頁。
21.Verde−Mendez,C、Delgado,M.A.R.、Rodriguez,E.M.R.、Romero,CD.、2004年。テネリフェ(カナリア諸島)において収穫されたジャガイモの栽培品種中の含量および遊離フェノール化合物(Content and free phenolic compounds in cultivars of potatoes harvested in_,Tenerife (Canary Islands))J.Agric.Food Chem.52、1323〜1327頁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジャガイモジュースから誘導できる4kDa以下の可溶性画分の治療上有効な量を含んでなる、胃腸疾患の予防または治療において使用するための組成物。
【請求項2】
ジャガイモジュースから誘導できる可溶性画分が、3kDa以下の画分である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ジャガイモジュースから誘導できる可溶性画分が、1〜3kDaの間の画分である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
ジャガイモジュースから誘導できる可溶性画分が、500Da以上1kDa以下の治療上有効な量を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
500Da以上1kDa以下の可溶性画分が、3種のカフェ酸誘導体および2種の芳香族誘導体を含んでなる、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
画分が、pH8の中性である請求項1から4に記載の組成物。
【請求項7】
ジャガイモジュース画分を、pH8の陰イオンHPLC分画に付し、フロースルー部をpH8の陽イオンHPLCに付し、フロースルーを回収し、部分精製画分を得る、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ジャガイモジュース画分が、少なくとも1種のオリゴ糖を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
ジャガイモジュース画分が、フェノールグリコシド、フェノールアグリコンおよび/またはアルカロイド以外の窒素化合物を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
粉末である請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
粉末が、噴霧乾燥または凍結乾燥した画分を含んでなる、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
さらに、矯味剤、糖、甘味料、抗酸化剤、ミネラルまたはビタミンのうち少なくとも1種を含んでなる、前記の請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
胃または十二指腸潰瘍および胃または十二指腸癌の予防および/または治療に適した、前記の請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
胃腸疾患の予防または治療のための医薬の製造のための、ジャガイモジュースから誘導できる4kDa以下の可溶性画分の使用。
【請求項15】
胃腸疾患の予防または治療のための医薬の製造のための、ジャガイモジュースから誘導できる500Da以上1kDa以下の可溶性画分の請求項14に記載の使用。
【請求項16】
医薬が、医薬上許容される担体と組み合わせた、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物である、請求項14または15に記載のジャガイモジュース画分の使用。
【請求項17】
医薬が、経口消費用の液体、カプセル剤または錠剤である、請求項14、15または16に記載のジャガイモジュース画分の使用。
【請求項18】
胃腸疾患の治療を必要とする被験体に、ジャガイモジュースから誘導できる4kDa以下の可溶性画分の治療上有効な量を投与する、胃腸疾患の治療方法。
【請求項19】
胃腸疾患の治療を必要とする被験体に、ジャガイモジュースから誘導できる500Da以上1kDa以下の可溶性画分の治療上有効な量を投与する、請求項18に記載の胃腸疾患の治療方法。
【請求項20】
ジャガイモジュースから誘導できる4kDa以下の可溶性画分の治療上有効な量を含んでなる、胃腸疾患の予防または治療において使用するための栄養製品。
【請求項21】
ジャガイモジュースから誘導できる500Da以上1kDa以下の可溶性画分の治療上有効な量を含んでなる、胃腸疾患の予防または治療において使用するための、請求項20に記載の栄養製品。
【請求項22】
飲料またはドリンクである請求項20または21のいずれか一項に記載の栄養製品。
【請求項23】
乳製品である請求項20から22のいずれか一項に記載の栄養製品。
【請求項24】
1g/100mlから30g/100mlの画分を含んでなる、請求項20から23のいずれか一項に記載の栄養製品。
【請求項25】
粉末または粉末混合物である20から24のいずれか一項に記載の栄養製品。
【請求項26】
食品バーまたはその他の固体食料品である請求項20から25のいずれか一項に記載の栄養製品。
【請求項27】
3種のカフェ酸誘導体および2種の芳香族誘導体を含み、かつ500Da以上1kDa以下の量を含んでなる、ジャガイモジュースから誘導できる可溶性画分。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9a】
image rotate

【図9b】
image rotate

【図10a】
image rotate

【図10b】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12a】
image rotate

【図12b】
image rotate

【図12c】
image rotate

【図13a】
image rotate

【図13b】
image rotate


【公表番号】特表2010−508341(P2010−508341A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535124(P2009−535124)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004180
【国際公開番号】WO2008/053224
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(505428972)マンチェスター大学 (4)
【氏名又は名称原語表記】The University of Manchester
【Fターム(参考)】