説明

脂質燃焼促進用容器詰飲料

【課題】 脂質燃焼促進、エネルギー消費量増加、運動持久力増加用容器詰飲料の提供。
【解決手段】 緑茶抽出物を配合したpH2〜7の液であって、次の成分(A)〜(C)、(A)非重合体カテキン類 0.01〜1.0重量%、
(B)ナトリウムイオン 0.001〜0.5重量%、
(C)カリウムイオン 0.001〜0.2重量%
を含有する脂質燃焼促進、エネルギー消費量増加、運動持久力増加用容器詰飲料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脂質燃焼促進用容器詰飲料、特に運動と組み合せて摂取する脂質燃焼促進用容器詰飲料及び脂質燃焼促進剤、エネルギー消費量増加用容器詰飲料及びエネルギー消費量増加剤、並びに運動持久力増加用容器詰飲料及び運動持久力増加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪は、蛋白質、糖質とともに重要な栄養素で、特にエネルギー源として有用であるとともに高カロリー(9kcal/g)であり、肥満を助長し生活習慣病などの問題を引き起こす原因となる。脂肪を多く使用した食事はおいしく、しかも現代人はこのような食事に慣れてしまっている為、飽食状態にある先進諸国においては、医療費の増大とあいまって、国家的な問題となっている。このような背景から、近年、特に健康の維持増進、疾病の予防治療に対する関心が高まり、脂肪と肥満や生活習慣病との関連についての研究が数多く行われるようになってきた。
【0003】
従来から行われてきている研究の主体は、脂肪の主成分であるトリグリセリドを構成する脂肪酸に関するものであり、油脂代替物、非吸収性油脂の開発が行われている。一方、第三成分を摂取することにより、生体が本来有する脂肪の代謝を促進して肥満を防止しようとする研究も行われている。その例としては、烏龍茶ポリフェノールやカプサイシン、ガルシニアに含まれるヒドロキシクエン酸等が知られている。烏龍茶ポリフェノールは、高脂肪食ラットに与えた場合、脂肪排泄量が増加し、併せて、脂肪分解酵素リパーゼの活性化を起こす。カプサイシンは、脳に働きかけ、副腎からのアドレナリンの分泌を促進する。また、ヒドロキシクエン酸は脂肪の合成を阻害すると言われている。カプサイシンやカフェインによる植物由来の成分が脂肪の代謝を促進し、脂肪の分解を促す効果が示唆されている(非特許文献1及び2)が、実使用レベルにおいてヒトを対象とした効果に関して充分な検証がなされていない。何れも実使用レベルにおいては、充分な効果が得られない。
【0004】
また、緑茶、紅茶、烏龍茶等に含有されるカテキン類は、コレステロール上昇抑制(特許文献1)、αアミラーゼ活性阻害(特許文献2)、さらに、蓄積体脂肪の燃焼促進、食事性脂肪の燃焼促進、肝臓β酸化遺伝子の発現促進等(特許文献3)の効果を有することが知られている。
しかしながら、特許文献3における脂肪燃焼効果はカテキン類を単回摂取し、その直後からの経時的な呼気組成変化を観察した結果得られた知見である。カテキン類を使用した体脂肪抑制効果は、さらに優れた作用を有する飲料が望まれていた。更に、運動負荷時等のスポーツ飲料としての嗜好性、運動負荷時等の体脂肪抑制効果、エネルギー消費量増加剤、運動持久力増加剤等が求められていた。
【特許文献1】特開昭60−156614号公報
【特許文献2】特開平3−133928号公報
【特許文献3】特開2002−326932号公報
【非特許文献1】吉田ら、J. Nutr. Sci. Vitaminol 1988 Dec.;34(6)587-594
【非特許文献2】吉岡ら、J. Nutr. Sci. Vitaminol 1990 Apr.;36(2)173-178
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カテキン類含有飲料の脂肪燃焼促進効果は優れているが、さらに摂取しやすく、脂肪燃焼促進効果の高い素材の開発が望まれていた。
従って、本発明の目的は、摂取しやすく、脂肪燃焼促進効果に優れた脂質燃焼促進用容器詰飲料、脂質燃焼促進剤、エネルギー消費量増加用容器詰飲料、エネルギー消費量増加剤及び運動持久力増加用飲料、運動持久力増加剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者は、体脂肪の指標として体重や体脂肪量測定などの手法が利用されている点に着目し、緑茶抽出物を配合した非重合体カテキン類を高濃度含有しかつナトリウムイオンとカリウムイオンを一定量含有する液を使用して検討したところ、本液を継続的に摂取することによりカテキン類を長期摂取しつつも、呼気組成変化を観察する直前に一切カテキン類を摂取していないケースにおいて、血中にカテキン類の遊離体がないにも関わらず、運動時の脂肪燃焼効果が安静時の脂肪燃焼効果に対して増加すること、また長期間における運動習慣とカテキン類摂取との組み合わせによって、相乗的な体脂肪低減効果があることを見出した。また更にカテキン類摂取により、脂質燃焼促進とエネルギー消費量増加に伴う運動持久力の指標である最大酸素摂取量が増加することを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、緑茶抽出物を配合し、pH2〜7であって、次の成分(A)〜(C)、
(A)非重合体カテキン類 0.01〜1.0重量%、
(B)ナトリウムイオン 0.001〜0.5重量%、
(C)カリウムイオン 0.001〜0.2重量%
を含有する脂質燃焼促進のための容器詰飲料を提供するものである。
また、本発明は、緑茶抽出物を配合し、pH2〜7であって、次の成分(A)〜(C)、
(A)非重合体カテキン類 0.01〜1.0重量%、
(B)ナトリウムイオン 0.001〜0.5重量%、
(C)カリウムイオン 0.001〜0.2重量%
を含有する飲料からなる脂質燃焼促進剤を提供するものである。
また本発明は、緑茶抽出物を配合し、pH2〜7であって、次の成分(A)〜(C)、
(A)非重合体カテキン類 0.01〜1.0重量%、
(B)ナトリウムイオン 0.001〜0.5重量%、
(C)カリウムイオン 0.001〜0.2重量%
を含有するエネルギー消費量増加剤、エネルギー消費量増加用容器詰飲料、運動持久力増加剤、運動持久力増加のための容器詰飲料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の脂質燃焼促進用容器詰飲料又は脂質燃焼促進剤を摂取すれば、脂質燃焼が顕著に促進され、エネルギーとして脂肪を使い易くなり、体脂肪が減少する。これらの効果は、運動と組み合せることにより、相乗的に増強される。また、エネルギー消費量が増加し、最大酸素摂取量が増大し、運動持久力が増加する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の脂質燃焼促進用容器詰飲料、脂質燃焼促進剤、エネルギー消費量増加用容器詰飲料、エネルギー消費量増加剤、運動持久力増加用容器詰飲料及び運動持久力増加剤(以下、脂質燃焼促進用容器詰飲料等ということがある。)は、緑茶抽出物を配合したpH2〜7の液であって、次の成分(A)〜(C)、
(A)非重合体カテキン類 0.01〜1.0重量%、
(B)ナトリウムイオン 0.001〜0.5重量%、
(C)カリウムイオン 0.001〜0.2重量%
を含有する。
【0010】
本発明で非重合体カテキン類(A)とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレートなどの非エピ体カテキン類及びエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどのエピ体カテキン類をあわせての総称を指す。
【0011】
本発明の脂質燃焼促進用容器詰飲料等中には、水に溶解状態にある非重合体カテキン類(A)を、0.01〜1.0重量%含有するが、好ましくは0.03〜0.5重量%、より好ましくは0.04〜0.4重量%、さらに好ましくは0.05〜0.3重量%、殊更好ましくは0.06〜0.3重量%、特に好ましくは0.092〜0.26重量%、最も好ましくは0.1〜0.15重量%含有する。非重合体カテキン類含量がこの範囲にあると、多量の非重合カテキン類を容易に取り易く、飲料調製直後の色調の点からも好ましい。当該非重合体カテキン類の濃度は、緑茶抽出物の配合量によって調整することができる。
【0012】
本発明の脂質燃焼促進用容器詰飲料等には、ナトリウムイオン(B)を0.001〜0.5重量%、及びカリウムイオン(C)0.001〜0.2重量%を含有する。ここで、ナトリウムイオン(B)及びカリウムイオン(C)の濃度がこの0.001重量%未満であると、非重合体カテキン類の脂質燃焼促進効果の増強作用が得られない。さらに、飲む場面によっては味的に物足りなく感じ、効果的なミネラル補給ができなくて好ましくない。一方、この0.5重量%を超えると、塩類自体の味が強くなり、長期間の飲用に好ましくない。併せて、高温保存時での色調の変化が大きく好ましくない。本発明のナトリウムイオン(B)及びカリウムイオン(C)成分は、水溶性成分ないし、無機塩に由来する。それらは果汁及び茶抽出物中にも存在する。
【0013】
ナトリウムイオン(B)としては、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、酒石酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等及びそれらの混合物のような容易に入手しうるナトリウム塩を用いられる。また、果汁又は茶の成分由来として配合してもよい。ナトリウムイオン濃度は浸透圧による水の吸収を容易にさせる上で低い方が望ましいが、体から腸に水を浸透圧吸引しない程度であることが、重要である。これを行うために必要なナトリウムイオン濃度は、血漿ナトリウムの場合よりも低いことが好ましい。高温時での長期間色調の影響についてみると、ナトリウムイオン濃度が高くなるほど、変色する度合いが高くなった。脂質燃焼促進効果及び安定性の観点から、本発明脂質燃焼促進用容器詰飲料等中のナトリウムイオン(B)含有量は、0.001〜0.5重量%、好ましくは0.002〜0.4重量%、さらに好ましくは0.003〜0.2重量%である。
【0014】
カリウムイオン(C)としては、塩化カリウム、炭酸カリウム、硫酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸水素カリウム、クエン酸カリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、酒石酸カリウム、ソルビン酸カリウム等又はそれらの混合物のようなカリウム塩を用いられる。また、果汁又は茶の成分由来として配合してもよい。カリウムイオン濃度は、ナトリウムイオン濃度に比べて、高温保存時での長期間色調の影響が大きい傾向が認められた。安定性の観点から、本発明脂質燃焼促進用容器詰飲料等中のカリウムイオン(C)は、0.001〜0.2重量%、好ましくは0.002〜0.15重量%、さらに好ましくは0.003〜0.12重量%である。
【0015】
ナトリウムイオン(B)及びカリウムイオン(C)に加えて、本発明脂質燃焼促進用容器詰飲料等には0.001〜0.5重量%、好ましくは0.002〜0.4重量%、特に好ましくは0.003〜0.3重量%の塩素イオンを含有させてもよい。塩素イオン成分は塩化ナトリウム又は塩化カリウムのような塩の形で配合できる。カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄のような他の微量イオンを加えてもよい。これらのイオンも塩として配合してもよい。存在するイオンの総レベルには、加えられたイオン添加量と共に、飲料中に天然で存在する量を含む。例えば、塩化ナトリウムが加えられると、その量のナトリウムイオン及びその量の塩化物イオンも、それに応じて各イオンの総量に含まれることになる。
【0016】
本発明の脂質燃焼促進用容器詰飲料等においては、前記成分(A)〜(C)以外に、キナ酸又はその塩(D)を微量含有するのが味の点で好ましい。キナ酸又はその塩(D)と非重合体カテキン類(A)との含有重量比[(D)/(A)]は0.0001〜0.5が好ましく、より好ましくは0.0001〜0.16、さらに好ましくは0.002〜0.15、さらに好ましくは0.002〜0.1、特に好ましくは0.002〜0.05である。[(D)/(A)]がこの範囲にあると、強烈な苦味、渋味、強い収斂性が生じなく、飲料の残留感の改善効果が十分得られキナ酸の酸味が適度で飲料の風味が損なわれなく好ましい。また、高濃度にカテキン類を含有する飲料特有の飲用後の舌に残る残留感もなく、後味の切れが良く好ましい。キナ酸は酸の形態でも塩の形態でも加えることができ、また、キナ酸あるいはキナ酸塩(D)を含んだ組成物の形で加えても良い。ここでキナ酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。
【0017】
キナ酸による非重合体カテキン類の苦味・渋味低減効果及び後味の切れ改善効果の作用機構はいまだ明確でないが、キナ酸がカテキン類と水素結合などによる弱い会合体を形成し、カテキン類が味らい細胞自体に吸着し、カテキン類の苦味受容部への接触を制御するものと考えられる。
【0018】
本発明脂質燃焼促進用容器詰飲料等中に、シュウ酸が含まれる場合は、シュウ酸が飲料(液)に含まれる茶由来成分ならびに配合成分と相互作用して沈殿を起こす場合があるため、脂質燃焼促進用容器詰飲料等において、シュウ酸の含有量は、非重合体カテキン類(A)に対して0.06重量部以下が好ましい。ここでシュウ酸はより好ましくは0.05重量部以下、さらに好ましくは0.04重量部以下、特に好ましくは0.03重量部以下である。シュウ酸含有量がこの範囲にあると、本発明脂質燃焼促進用容器詰飲料等において、沈澱が起こりにくくなるので、製品の外観上好ましい。
【0019】
本発明の脂質燃焼促進用容器詰飲料等には、味を改善する目的で、甘味料(E)を用いることができる。甘味料(E)としては人工甘味料、炭水化物類、グリセロール類が用いられる。これらの甘味料は、本発明脂質燃焼促進用容器詰飲料等中に好ましくは0.0001〜20重量%、さらに好ましくは0.001〜15重量%、特に好ましくは0.001〜10重量%含有する。
【0020】
このような甘味料のうち、人工甘味料の例としてはアスパルテーム、サッカリン、シクラメート、アセスルフェーム−K、L−アスパルチル−L−フェニルアラニン低級アルキルエステル甘味料、L−アスパルチル−D−アラニンアミド、L−アスパルチル−D−セリンアミド、L−アスパルチル−ヒドロキシメチルアルカンアミド甘味料、L−アスパルチル−1−ヒドロキシエチルアルカンアミド甘味料、スクラロース、ソーマチンなどの高甘度甘味料、エリスリトール、キシリトール、トレハロースなどの糖アルコール、グリチルリチン、合成アルコキシ芳香族化合物等がある。ステビノシド及び他の天然源の甘味料も使用できる。
【0021】
炭水化物系甘味料としては可溶性炭水化物が用いられる。可溶性炭水化物には、甘味料とエネルギー源との役割がある。本飲料で使用する炭水化物を選択する場合、選択されるレベルは十分な胃排出及び腸吸収速度を有効にさせることが重要である。炭水化物はグルコース及びフルクトースの混合物でも、あるいは消化管で加水分解するか又はグルコース及びフルクトースを形成する炭水化物であってもよい。本明細書で用いられる"炭水化物"という用語は、単糖、オリゴ糖、複合多糖又はそれらの混合物を含む。
【0022】
単糖にはヘキソース及びケトヘキソースがある。ヘキソースの例は、ブドウ糖として知られるグルコースのようなアルドヘキソースである。本発明脂質燃焼促進用容器詰飲料等中のグルコース含有量は、好ましくは0.0001〜20重量%、さらに好ましくは0.001〜15重量%、特に好ましくは0.001〜10重量%である。果糖として知られるフルクトースはケトヘキソースである。本発明脂質燃焼促進用容器詰飲料等中のフルクトース含有量は好ましくは0.0001〜20重量%、さらに好ましくは0.001〜15重量%、特に好ましくは0.001〜10重量%である。
【0023】
本発明脂質燃焼促進用容器詰飲料等に用いられる甘味料のうちオリゴ糖としては、これら2種の単糖を体内で生成する炭水化物(即ち、スクロース、マルトデキストリン、コーンシロップ、高フルクトースコーンシロップ)が挙げられる。このオリゴ糖の重要なタイプは二糖である。二糖の例は、ショ糖又はテンサイ糖として知られるスクロースである。本発明脂質燃焼促進用容器詰飲料等中のスクロース含有量は、好ましくは0.001〜20重量%、さらに好ましくは0.001〜15重量%、特に好ましくは0.001〜10重量%である。ここで、本発明脂質燃焼促進用容器詰飲料中の炭水化物含有量は、グルコース量、フルクトース量として表わすことができる。すなわち、加水分解してグルコース及びフルクトース含有量を測定するか、又はスクロース等のように構造が予め判明しているオリゴ糖の場合には、そのグルコース及びフルクトース量に換算すればよい。
【0024】
本発明に用いられる甘味料としての複合多糖の好ましい例はマルトデキストリンである。マルトデキストリンは長さがいくつかのグルコース単位からなる複合多糖である。その例としてはコーンスターチの加水分解により得られるスプレードライ多糖が挙げられる。マルトデキストリンのデキストロース当量はデンプンポリマー加水分解の程度の指標である。
【0025】
本発明の好ましい炭水化物系甘味料は、必要なカロリーを供給できるエネルギー源を与えるフルクトース及びグルコースの組み合せから構成されるものである。スクロースは消化管でフルクトース及びグルコースに加水分解されるため、フルクトース及びグルコースの供給源として用いることができる。これら糖は体の細胞により完全に利用しうるエネルギー食品である。本発明脂質燃焼促進用容器詰飲料等に用いられる全炭水化物量は、全重量の0.0001〜20重量%である。炭水化物の総量には、フルーツジュース又は茶抽出物中に天然で存在するものだけでなく、添加された炭水化物も含む。炭水化物誘導体、多価アルコール、例えばグリセロール類、人工甘味料類も、甘味源を供給して、それが容易に吸収されて体全体に分布されるようにエネルギーを供給する目的で、本発明で用いてよい。グリセロール類は、0.1〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%、本発明脂質燃焼促進用容器詰飲料等に使用できる。
【0026】
本発明の脂質燃焼促進用容器詰飲料等は、緑茶抽出物を配合し、さらに必要なナトリウムイオン、カリウムイオン等の成分を配合することにより得られるものである。
ここでいう緑茶抽出物としては、茶葉から熱水もしくは水溶性有機溶媒により抽出された抽出物を濃縮したものをさらに精製したもの、あるいは抽出された抽出物を直接精製したものが挙げられる。また市販の三井農林(株)「ポリフェノン」、伊藤園(株)「テアフラン」、太陽化学(株)「サンフェノン」などの緑茶抽出物の濃縮物を成分調整しても良い。
【0027】
緑茶抽出物の濃縮物の精製手段としては、例えば緑茶抽出物の濃縮物を水又は水と有機溶媒の混合物に懸濁し、これに有機溶媒を添加することにより生じた沈殿を除去し、次いで溶媒を留去する方法;緑茶抽出物の濃縮物を有機溶媒に溶解し、これに水又は水と有機溶媒の混合物を添加することにより生じた沈殿を除去し、次いで溶媒を留去する方法等が挙げられる。また、固形分中に非重合体カテキン類を20〜90重量%含有する緑茶抽出物の濃縮物を、有機溶媒と水の重量比9/1〜1/9の混合溶液に溶解させ、活性炭及び酸性白土又は活性白土と接触させてもよい。或いはこれらの他に超臨界抽出による精製や吸着樹脂に吸着させエタノール溶液で溶離させて得られたものなども使用できる。
【0028】
ここでいう緑茶抽出物の形態としては、固体、水溶液、スラリー状など種々のものが挙げられるが、特に水溶液、スラリー状が乾燥などの履歴が少なく好ましい。
【0029】
本発明に用いる緑茶抽出物は成分調整してキナ酸又はその塩(D)と非重合体カテキン類(A)との含有重量比[(D)/(A)]が0.0001〜0.16であるのが好ましい。より好ましくは0.002〜0.15、さらに好ましくは0.002〜0.1、特に好ましくは0.002〜0.05である。
【0030】
本発明で用いる緑茶抽出物中の非重合体カテキン類の濃度は、20〜90重量%、好ましくは20〜87重量%、さらに好ましくは23〜85重量%、特に好ましくは25〜82重量%がよい。
緑茶抽出物中の非重合体カテキン類の濃度が、20重量%未満の場合、飲料に配合すべき緑茶抽出物の精製物自体の配合量が多くなる。緑茶抽出物中の非重合体カテキン類の濃度が、90重量%を超える場合、緑茶抽出物に存在する総ポリフェノール以外の遊離アミノ酸などの風味をよくする働きを持つ微量成分などを排除してしまう傾向にある。
【0031】
また、本発明で用いる緑茶抽出物中のカテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート及びエピガロカテキンガレートからなる総称ガレート体の全非重合体カテキン類中での割合が35〜100重量%の方が、非重合体カテキン類の生理効果の有効性上好ましい。調味のしやすさからは、35〜98重量%がより好ましく、35〜95重量%がとくに好ましい。
【0032】
本発明の脂質燃焼促進用容器詰飲料等は、苦渋味抑制剤を配合すると飲用しやすくなり好ましい。用いる苦渋味抑制剤としては、サイクロデキストリンが好ましい。サイクロデキストリンとしては、α−、β−、γ−サイクロデキストリン及び分岐α−、β−、γ−サイクロデキストリンが使用できる。サイクロデキストリンは飲料中に0.005〜0.5重量%、好ましくは、0.01〜0.3重量%含有するのがよい。本発明の脂質燃焼促進用容器詰飲料等には、茶由来の成分にあわせて、処方上添加して良い成分として、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、ガム、乳化剤、油、ビタミン、アミノ酸、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤などの添加剤を単独、あるいは併用して配合しても良い。
【0033】
香料や果汁は嗜好性を高めるために配合される。一般に果汁のことをフルーツジュース、香料のことをフレーバーと呼んでいる。天然又は合成香料や果汁が本発明で使用できる。これらはフルーツジュース、フルーツフレーバー、植物フレーバー又はそれらの混合物から選択できる。特に、フルーツジュースと一緒に茶フレーバー、好ましくは緑茶又は紅茶フレーバーの組み合せが好ましい味を有している。好ましい果汁はリンゴ、ナシ、レモン、ライム、マンダリン、グレープフルーツ、クランベリー、オレンジ、ストロベリー、ブドウ、キウイ、パイナップル、パッションフルーツ、マンゴ、グァバ、ラズベリー及びチェリーである。シトラスジュース、特にグレープフルーツ、オレンジ、レモン、ライム、マンダリンと、マンゴ、パッションフルーツ及びグァバのジュース、又はそれらの混合物が好ましい。果汁は本発明脂質燃焼促進用容器詰飲料等中に0.001〜20重量%、特に0.002〜10重量%含有させるのが好ましい。
【0034】
フルーツフレーバー、植物フレーバー、茶フレーバー及びそれらの混合物が香料として使用できる。好ましい天然フレーバーはジャスミン、カミツレ、バラ、ペパーミント、サンザシ、キク、ヒシ、サトウキビ、レイシ、タケノコ等である。特に好ましい香料はオレンジフレーバー、レモンフレーバー、ライムフレーバー及びグレープフルーツフレーバーを含めたシトラスフレーバーである。他のフルーツフレーバーは、リンゴフレーバー、ブドウフレーバー、ラズベリーフレーバー、クランベリーフレーバー、チェリーフレーバー、パイナップルフレーバー等が使用できる。香料には、様々なフレーバーのブレンド、例えばレモン及びライムフレーバー、シトラスフレーバーと選択されたスパイス(典型的コーラソフトドリンクフレーバー)等を含めることができる。親油性の濃縮物又は抽出物の香料としては、合成香味エステル類、アルコール類、アルデヒド類、テルペン類、セスキテルペン類等を配合できる。このような香料は本発明脂質燃焼促進用容器詰飲料等中に0.0001〜5重量%、特に0.001〜3重量%含有するのが好ましい。
【0035】
さらに、本発明脂質燃焼促進用容器詰飲料等には酸味料を含有させることができる。酸味料は本発明脂質燃焼促進用容器詰飲料等のpHを2〜7に維持するために用いられる。酸はそれらの非解離形で、あるいはそれらのナトリウム塩、カリウム塩として用いてもよい。好ましい酸としては、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、グルコン酸、酒石酸、アスコルビン酸、酢酸、リン酸又はそれらの混合物を含めた食用有機酸及び無機酸が挙げられる。特に好ましい酸はクエン酸及びリンゴ酸である。これらの酸味料は飲料成分を安定化させる酸化防止剤としても役立つ。これ以外の酸化防止剤の例には、アスコルビン酸、植物抽出エキスなどが挙げられる。
【0036】
本発明脂質燃焼促進用容器詰飲料等には、さらに、ビタミンを含有させることができる。好ましいビタミンとしては、ビタミンA、ビタミンC及びビタミンEが挙げられる。ビタミンD及びビタミンBのような他のビタミンも用いることができる。ミネラルも本発明の飲料に用いることができる。好ましいミネラルはカルシウム、クロム、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、セレン、ケイ素、モリブデン及び亜鉛である。特に好ましいミネラルはマグネシウム、リン及び鉄である。
【0037】
本発明の脂質燃焼促進用容器詰飲料等のpHは2〜7である。2より低いと飲料の酸味、刺激臭が強く飲用に耐えない。また、7より高いと風味の調和が取れなくなり、嗜好性が低下する。併せて、安定性も悪くなる。好ましいpHは2〜6であり、より好ましいpHは2〜4.5である。
【0038】
本発明の脂質燃焼促進用容器詰飲料等は、経口摂取できる形態であればよいが、飲料、特に容器詰飲料とするのが好ましい。
【0039】
また、本発明の脂質燃焼促進用容器詰飲料等は、その対象者としては、体脂肪が気になる方へ、と表示できる。また、脂肪燃焼に関する製品の機能表示として、エネルギーとして、脂肪又は体脂肪を使い易くすると記載できる。
【0040】
さらに、本発明の脂質燃焼促進用容器詰飲料等は、運動負荷と組み合せることにより、脂質燃焼促進効果が顕著に増強される。すなわち、飲料摂取により更に運動時の脂質代謝が亢進する。また、飲料摂取と運動習慣との組み合せにより体脂肪低減作用が増大する。また、エネルギーとして、特に運動時のエネルギーとして脂肪を使用しやすくする効果を有する。運動時のエネルギーの使用の指標とした場合、運動強度は約30〜100%HRmax、好ましくは約30〜80%HRmax、更に約30〜60%HRmaxが好ましい。
従って、本発明の脂質燃焼促進のための容器詰飲料には、運動習慣との組み合せが効果的です、また運動時のエネルギーとして脂肪を使い易くする、と表示することができる。
【0041】
また、本発明の飲料を継続摂取すると脂質燃焼促進とエネルギー消費量増加に伴い、運動持久力増加の指標である最大酸素摂取量が顕著に増加する。従って、本発明の飲料には、脂質燃焼促進、エネルギー消費量増加、運動持久力を増加させる、運動しても疲れにくくなる、と表示することができる。
【0042】
本発明の脂質燃焼促進用容器詰飲料等は、成人一日当り非重合体カテキン類として300mg以上、さらに450mg以上、特に500mg以上摂取するのが好ましい。
【0043】
本発明の容器詰飲料としては、例えばソフトドリンクである炭酸飲料、果実エキス入り飲料、野菜エキス入りジュースやニアウォーター、スポーツドリンク、アイソトニック飲料、ダイエット飲料等が挙げられる。また、特定保健用食品、保健機能食品、美容食品用の飲料として使用できる。
【0044】
本発明の容器詰飲料に使用される容器は、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶などの通常の形態で提供することができる。ここでいう容器詰飲料とは希釈せずに飲用できるものをいう。
【0045】
本発明の容器詰飲料は、例えば、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で製造されるが、PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用される。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。さらに、酸性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを中性に戻すことや、中性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを酸性に戻すなどの操作も可能である。
【実施例】
【0046】
カテキン類の測定
フィルター(0.8μm)で濾し、次いで蒸留水で希釈した容器詰めされた飲料を、島津製作所製、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム L−カラムTM ODS(4.6mm×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により行った。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有の蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有のアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
【0047】
ナトリウムイオン量の測定
:原子吸光光度法(塩酸抽出)
試料5gを10%塩酸(定溶時に1%塩酸溶液になるように)に入れ、その後イオン交換水で定溶し吸光度測定を行った。
波長:589.6nm
フレーム:アセチレン−空気
【0048】
カリウムイオン量の測定
:原子吸光光度法(塩酸抽出)
試料5gを10%塩酸(定溶時に1%塩酸溶液になるように)に入れ、その後イオン交換水で定溶し吸光度測定を行った。
【0049】
キナ酸の測定
:HPLCによる日本食品分析センター法
検体2gを超音波処理後濾過し、高速液体クロマトグラフで測定した。
機種:LC−10AD(島津製作所(株))
検出器:紫外可視分光光度計 SPD-6AV(島津製作所(株))
カラム:TSKGEL OApak,φ7.8mm×300mm(東ソー(株))
カラム温度:40℃
移動相:0.75mmol/L硫酸
反応液:0.2mmol/Lブロムチモールブルー含有15mmol/Lリン酸水素ニナトリウム溶液
測定波長:445nm
流量:移動相0.8mL/min、反応液0.8mL/min
【0050】
シュウ酸の測定
日本ダイオネックス社製(形式DXAQ1110)にカラム:IonPacAS4A−SC、4×250mmを装着し、サプレッサーASRS−ULTRA(ダイオネックス社製)に接続し、リサイクルモードで行った。移動相は1.8mmol/L、Na2CO3//1.7mmol/L、NaHCO3を1.0mL/minで流し、試料注入量は25μLとした。検出器は電気伝導度計を使用した。
【0051】
実施例1、比較例1
表1に示す成分を混合して、所定の後処理を行い、容器詰飲料を製造した。
表1に挙げるスポーツドリンク処方で各成分(重量部)を配合し、イオン交換水でメスアップし調合液を調製した。食品衛生法に基づく殺菌工程、ならびにホットパック充填を行い、容器詰飲料とした。飲料の成分値も併せて示した。
【0052】
【表1】

【0053】
実施例2
(1)方法
平均年齢37.6才の健常男子19名(運動不適の者、エネルギー代謝が懸念される疾患のある者を除いた)を対象に行った。表1記載の実施例1及び比較例1の飲料(500mL)を1日1本、12週間摂取させ、運動能力評価(最大酵素摂取量、運動時の脂質・糖質燃焼量)を行った。
【0054】
運動能力評価は、呼気組成、心拍数を測定しながら、自転車エルゴメーター(エアロバイク75XL;コンビ株式会社)を用いて段階的に負荷が増加する運動を行った。安静時より測定を開始し、15watt/minの速度で負荷を増加し、約60%HRmaxまで運動を継続した。酸素摂取量、二酸化炭素排出量、心拍数を測定し、最大酸素摂取量(VO2max)及び運動時の脂質燃焼量を算出した。
【0055】
本試験で課した運動負荷量は、エネルギー消費量に換算した場合は約20〜60cal/kg・minに相当し、心拍数の場合は約65〜100拍/分に相当し、心拍数を指標とした運動強度の場合は約30〜60%HRmaxに相当し、自覚的運動強度(RPE,ボルグスケールによる評価)の場合はおよそ6(安静)〜11(楽である)に相当し、メッツ(METS)の場合は約1〜3.5METSに相当する負荷であった。本試験にけるメッツの最大値である3.5METSを、日常生活や運動に換算した場合、庭仕事・草むしりなど(METS3〜4)、ボーリング(METS2〜4)、サイクリング(METS3〜8)、ハイキング(METS3〜7)に相当する。したがって、今回の運動負荷量の範囲は、安静状態から日常生活において十分実施しうる運動強度を含むものである。
【0056】
ここで、最大酸素摂取量(VO2max)は、体重kgあたりに摂取できる酸素の最大量である(mL/min・kg)。段階的に負荷が増加する運動をしたときの心拍数−酸素摂取量の回帰直線から最大心拍数(220−年齢)の酸素摂取量をVO2maxとして算出した。この方法は最大下運動負荷試験と呼ばれ、一般的なVO2maxの測定方法である。
VO2maxは有酸素性エネルギー利用能を示す値であり、運動生理学の分野において全身持久力の指標として用いられている。VO2maxは生活習慣病の罹患率と負に相関するとされており、年代ごとの維持目標値が定められている。また近年、VO2maxは骨格筋量と正の相関があることから、サルコペニア、オステオペニア(筋肉減弱症、骨減弱症、老化に伴って細胞のたんぱく質合成能力が減少し、筋肉や骨が弱くなってしまうこと)予防を目的として筋量維持の指標としても重要視されている。さらに、脂質燃焼促進とエネルギー消費量増加に伴う運動持久力の指標でもある。
【0057】
呼気分析は呼吸代謝測定装置(Vmax29;センサーメディックス社,Yorba Linda, California,米国)を用いた。酸素消費量、二酸化炭素排泄量、呼吸商及びエネルギー消費量
は呼気と大気をそれぞれ取り込み、大気中の酸素及び二酸化炭素濃度と、呼気中の酸素と二酸化炭素濃度の差により算出した。なお、エネルギー消費量、脂質由来エルネギー消費量及び糖質由来エネルギー消費量の算出は下記の式で行った。
【0058】
定義:
CV:酸素1L当たりのエネルギー(Kcal/L)
RQ:呼吸商 酸素/二酸化酸素(mol/mol)
2 :酸素消費量(L/min)
CVとRQの相関式
CV=3.815+1.232+RQ
エネルギー消費量とCV及びO2の相関式
一日は1440分である。よって、
エネルギー消費量(Kcal/day)=CV×O2×1440
また、脂肪の燃焼を反映する脂質由来エネルギー消費量はZuntzらの方法により行った。
【0059】
運動時の脂質燃焼量(cal/min・kg)は、総エネルギー消費量に呼吸商から得られる脂質・糖質燃焼比率を乗じて求めた。本試験では体脂肪率に群間で差違が認められたため、除脂肪量当たりの値で評価を行った。脂質燃焼量(cal/min・kg)運動低負荷時は脂質由来のエネルギーが主に利用され、運動負荷が増加するに従って脂質燃焼量も増加する。運動高負荷時は、脂質由来エネルギーに加えて糖質由来のエネルギーが利用される。この場合、糖質は無酸素的に代謝され、乳酸が発生するが、この乳酸の発生に伴う呼気CO2濃度の上昇によりRQが上昇するため、見かけ上、脂質エルネギー利用量の低下が観察される。しかしながら実際は脂質エネルギー利用量は変化しないと考えられる。
【0060】
(2)結果
最大酸素摂取量(VO2max)は、表2に示すように比較例1摂取群が12週後でも、ほとんど変化しなかった(0.1±2.9mL/min・kg)のに対し、実施例1摂取群が5.5±1.0mL/min・kgと有意に増加した。また、二週間連用による飲料の呈味の評価においては、嗜好性が高かった。
【0061】
【表2】

【0062】
運動時の脂質燃焼量(cal/min・kg)は表3、表4及び図1に示すように、比較例1摂取群が運動負荷してもあまり変化しないのに対し、実施例1摂取群では、比較例1摂取群に比べ、安静時からごく低強度(約15〜30ワット)の範囲ではほとんど差が認められないのに対し、運動負荷量が増えるに従って脂質燃焼量が増大し、45〜90ワットの運動増加領域において、統計的有意に脂肪燃焼量が大きいことが明らかとなった。
【0063】
【表3】

【0064】
【表4】

【0065】
実施例3
(1)方法
肥満気味の健常男性を対象にして、比較例1及び実施例1の飲料を12週間摂取し、体脂肪量及び腹部脂肪面積を測定した。
【0066】
比較例1の飲料摂取群及び実施例1の飲料摂取群を、運動週間調査及び歩数測定より推定した身体活動量によりそれぞれ2分割した。分割した群の特性は以下のとおりである。
【0067】
1)運動週間低度群;試験期間を通して運動週間が週1回/週未満であり、歩行が9000歩/日未満。
2)運動週間中度群;1)に該当しない群。当試験においてはスクリーニング段階で強運動習慣者はあらかじめ除外してあるため、この集団を運動習慣中度群とした。
【0068】
以上の群分けにより、本発明飲料摂取のない運動習慣低度群(n=13)と運動習慣中度群(n=16)及び本発明飲料摂取のある運動習慣低度群(n=28)と運動習慣中度群(n=25)の合計4群を得た。
各群において、試験期間中、食事及び運動習慣はいつもどおりにし、また試験飲料1日1本(500mL、カテキン類として540mg)を摂取した。
なお、体脂肪率はインピーダンス式体脂肪計(TF-780;タニタ株式会社)により、腹部全脂肪面積は Tokunagaらの方法に従い、L4/L5椎間板横断面のCT断層撮影から得られた画像から、内臓脂肪計測ソフトFat Scan Ver.2(N2システム株式会社)によって腹部全脂肪面積(Total fat area;TFA)、腹部内臓脂肪面積(Visceral fat area;VFA)および腹部皮下脂肪面積(Subcutaneous fat area;SFA)を求めた。X線CT装置は、Asteion(東芝メディカル株式会社,栃木県大田原市)を用い、管電圧=120kVp、mAs値=200mASでX線撮影をおこなった。フィルム処理条件はウインドウレベル0、ウィンドウ幅1,000とした。
【0069】
(2)結果
結果を表5に示す。また、試験開始時と12週間後の体重の差を図2にそれぞれ示す。
【0070】
【表5】

【0071】
表5、図2から明らかなように、本発明飲料と運動習慣とを組み合せると、体重が有意に低下することが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】運動負荷量(watt)と脂質燃焼量の差(0週と12週の差)との関係を示す図である。
【図2】運動習慣の程度と体重の差(0週と12週の差)との関係を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑茶抽出物を配合し、pH2〜7であって、次の成分(A)〜(C)、
(A)非重合体カテキン類 0.01〜1.0重量%、
(B)ナトリウムイオン 0.001〜0.5重量%、
(C)カリウムイオン 0.001〜0.2重量%
を含有する脂質燃焼促進のための容器詰飲料。
【請求項2】
運動時脂質燃焼促進のための容器詰飲料である請求項1記載の容器詰飲料。
【請求項3】
運動習慣の組み合わせにより体脂肪低減作用が増大するものである請求項1記載の容器詰飲料。
【請求項4】
緑茶抽出物を配合し、pH2〜7であって、次の成分(A)〜(C)、
(A)非重合体カテキン類 0.01〜1.0重量%、
(B)ナトリウムイオン 0.001〜0.5重量%、
(C)カリウムイオン 0.001〜0.2重量%
を含有する飲料からなる脂質燃焼促進剤。
【請求項5】
運動時脂質燃焼促進剤である請求項4記載の脂質燃焼促進剤。
【請求項6】
運動強度30〜100%HRmaxの運動負荷と組み合せて摂取するものである請求項5記載の運動時脂質燃焼促進剤。
【請求項7】
運動習慣と組み合わせて摂取するものである請求項4記載の脂質燃焼促進剤。
【請求項8】
緑茶抽出物を配合し、pH2〜7であって、次の成分(A)〜(C)、
(A)非重合体カテキン類 0.01〜1.0重量%、
(B)ナトリウムイオン 0.001〜0.5重量%、
(C)カリウムイオン 0.001〜0.2重量%
を含有する飲料からなるエネルギー消費量増加剤。
【請求項9】
緑茶抽出物を配合し、pH2〜7であって、次の成分(A)〜(C)、
(A)非重合体カテキン類 0.01〜1.0重量%、
(B)ナトリウムイオン 0.001〜0.5重量%、
(C)カリウムイオン 0.001〜0.2重量%
を含有する飲料からなる運動時エネルギー消費量増加剤。
【請求項10】
緑茶抽出物を配合し、pH2〜7であって、次の成分(A)〜(C)、
(A)非重合体カテキン類 0.01〜1.0重量%、
(B)ナトリウムイオン 0.001〜0.5重量%、
(C)カリウムイオン 0.001〜0.2重量%
を含有するエネルギー消費量増加のための容器詰飲料。
【請求項11】
緑茶抽出物を配合し、pH2〜7であって、次の成分(A)〜(C)、
(A)非重合体カテキン類 0.01〜1.0重量%、
(B)ナトリウムイオン 0.001〜0.5重量%、
(C)カリウムイオン 0.001〜0.2重量%
を含有する運動時エネルギー消費量増加のための容器詰飲料。
【請求項12】
緑茶抽出物を配合し、pH2〜7であって、次の成分(A)〜(C)、
(A)非重合体カテキン類 0.01〜1.0重量%、
(B)ナトリウムイオン 0.001〜0.5重量%、
(C)カリウムイオン 0.001〜0.2重量%
を含有する運動持久力増加のための容器詰飲料。
【請求項13】
緑茶抽出物を配合し、pH2〜7であって、次の成分(A)〜(C)、
(A)非重合体カテキン類 0.01〜1.0重量%、
(B)ナトリウムイオン 0.001〜0.5重量%、
(C)カリウムイオン 0.001〜0.2重量%
を含有する飲料からなる運動持久力増加剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−158379(P2006−158379A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−72832(P2005−72832)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】