説明

脱穀処理装置

【課題】従来、送塵案内板が処理室内の始端から終端に至る範囲内全長にわたって配置されたものでは、処理室内を持ち回りされる時間が短く、排塵処理物の充分な分離効果が得られず、3番飛散の発生要因となっていた。本発明の目的は送塵案内板の付設に際し処理室の始端側途中位置までとし、処理室終端側ではそれを欠如することによって処理室内を充分に持ち回りさせながら分離効果を高め、穀粒回収率の向上、3番ロスの低減を図ることにある。
【解決手段】本発明は、扱室8からの排塵処理物を受け入れて軸芯方向後方に移送しながら脱粒処理する排塵処理胴17を排塵処理室18内に軸架させて設け、この排塵処理室18内には終端側の一部を除く始端側にのみ送り機能をもたらす送塵案内板22を付設してあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扱室内からの排塵処理物を受け入れて軸芯方向に沿って移送しながら脱粒処理する処理胴を備えた脱穀処理装置に関し、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、処理室内に設けられる送塵案内板は、例えば、特許文献1に示されているように、処理室始端から終端に至る範囲内全長にわたって配置されたものが多く、一般的技術として広く知られている。
【特許文献1】特開平9−187149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かかる従来のものでは、送塵案内板による送り作用が処理室の終端にまで及ぶため、処理室内を持ち回りされる時間が短く、排塵処理物の充分な分離効果が得られず、揺動選別棚の終端に返されてそのまま機外に飛散されることが多く、穀粒回収効率の悪化を招く問題があった。
【0004】
本発明は、かかる問題点を解消することにあり、送塵案内板の欠如する処理室終端側で処理室内を充分に持ち回りすることによって分離効果を高め、穀粒回収率の向上、3番ロスの低減を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するために、次の如き技術手段を講じた。すなわち、請求項1記載の本発明は、扱室(8)からの排塵処理物を受け入れて軸芯方向後方に移送しながら脱粒処理する排塵処理胴(17)を排塵処理室(18)内に軸架させて設け、この排塵処理室(18)内には終端側の一部を除く始端側にのみ送り機能をもたらす送塵案内板22、22…を付設してあることを特徴とする。
【0006】
扱室(8)終端より排塵処理室(18)内に取り込まれた排塵処理物は、送塵
案内板(22)によって処理室の途中位置まで移送されながら処理胴(17)外周の処理歯(16)によって脱粒処理され、処理室(18)終端側では、処理歯(16)によって処理室(18)内を持ち回りされゆっくりと送られながら処理される。送塵案内板(22)を欠如する処理室終端側では、処理室(18)内での滞留時間が長くなるため、充分な処理作用が施され、穀粒とわら屑との分離効果が促進される。
【0007】
請求項2記載の本発明は、請求項1において、前記送塵案内板22を欠如する処理室(18)内終端側には少なくとも一個若しくは一個以上の切刃(23)を装備してあることを特徴とする。
【0008】
送塵案内板(22)を欠如する処理室(18)内終端側では、一個若しくは一個以上の切刃(23)を設けることで、この切刃(23)の存在によって穀粒とわら屑との分離効果がより高められる。
【0009】
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2において、前記送塵案内板(22)を欠如する排塵処理室(18)の終端側対向部位には片側吸引方式の吸塵口(28)をもつ吸引排塵フアン(29)を設置してあることを特徴とする。
【0010】
吸引排塵フアン(29)による吸引作用が最も大きく働く部位で、処理室(18)内終端側から排出されるわら屑と穀粒とが速やかに分離されることになり、揺動選別棚上での選別負担が少なくなり、処理効率が向上する。
【発明の効果】
【0011】
要するに、請求項1の本発明によれば、排塵処理室(18)終端側では送塵案内板(22)を欠如するため、処理室内でのわら屑滞留処理時間が長くなり、充分な処理作用によって穀粒とわら屑との分離効果を良好にし、穀粒の回収率を高め3番ロスの低減を図ることができる。
【0012】
また、請求項2の本発明によれば、請求項1の発明による作用効果を奏するものでありながら、送塵案内板(22)の欠如する処理室(18)内終端側では、切刃(23)の存在によってわら屑相互の分離並びに穀粒との分離効果を一層高めることができ、ひいては機外への穀粒飛散による3番ロスを大幅に減少させることができる。
【0013】
請求項3の本発明によれば、請求項1又は請求項2の発明効果に加えて、吸引排塵フアン(29)が処理室(16)内終端側の対向部位に配置されているため、処理室終端部位から排出される処理物の吸塵作用が効果的に働き、穀粒との分離効果を高め、揺動選別棚上での選別負荷も軽減できると共に、穀粒の回収効率をより高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、図1及び図2に示すコンバインの構成について述べる。
走行クロ−ラ1を具備する車体2上には、前部に昇降可能な刈取部3を、後部に脱穀装置(脱穀機)4を搭載している。刈取部3の横側部には運転部5が設置され、その後方にはグレンタンクGが装備されている。また、脱穀装置4の後部には脱穀後の排ワラを切断処理する排ワラカッター6が装備されている。
【0015】
つぎに、脱穀装置4の構成につき説明する。扱胴7を内装軸架した扱室8の下半周部に沿って受網9を張設している。10は扱室8の上方部を覆う扱胴カバ−であって、扱胴軸方向に平行な軸芯回りに揺動開閉可能に構成している。
【0016】
扱室8の扱口側には穀稈を挟持搬送するフイ−ドチエン11とこの上側に対設する挟持レ−ル11aを配設している。この挟持レ−ル11aは扱胴カバ−10側に装着して該カバ−と共に揺動開閉する構成である。扱室8の終端側には多量のわら屑や未処理物を含む排塵処理物を下方に落下させる排塵口12が設けらている。
【0017】
前記扱室8のフイ−ドチエン11側とは反対側一側には2番処理胴14を内装軸架した2番処理室15を並設している。また、前記2番処理胴14の後方にはこれと同一軸芯上において外周に処理歯16を備えた排塵処理胴17を内装軸架した排塵処理胴室18を構成して設けている。前記扱室終端の排塵口12に対応する部位から排塵処理室18始端への送塵路13には、排塵処理胴17の始端部に固着されたスパイラ−形状の取込羽根19が介入するように設けて、排塵処理室18内への排塵物の取込みが容易に行なえるようにしている。排塵処理胴17の終端には排出羽根20が設けられ、処理室終端にまで送られてきた排塵物を前記排出羽根20によって処理室終端のわら屑排出口21から後記する揺動選別装置の選別棚終端及び機外に排出する構成としている。
【0018】
前記排塵処理室18内には、始端側から終端側を除く途中位置(実施例では略中間位置)までの間において、処理物を軸芯方向後方に向けて送り案内する数枚の送塵案内板22,22…を所定間隔おきに傾斜させて設け、この処理室中間部位から終端のわら屑排出口21に至る後半部分Lの間は前記送塵案内板22を欠如した構成としている。そして、図4に示すように、処理室の後半部分Lの間隔内には、少なくとも1個又は複数以上の切刃23を設けて長藁や団子状になったわら屑などを切断分離するように構成している。なお、この切刃23は、一部の送塵案内板22に対応する部分にも設けられている。排塵処理室18の下壁を構成する処理枠24は格子状に構成され、クリンプ網より比較的大きな濾過穴25が形成されてあり、濡れ扱ぎ等悪条件下で処理量が多くなってもクリンプ網とは異なり詰りが発生しにくくなる。
【0019】
扱室終端より排塵処理室18内に取り込まれた排塵処理物は、送塵案内板22によって後方に移送されながら処理胴外周の処理歯によってこなされ、処理枠24の濾過穴25より漏下し揺動選別棚上に還元される。処理室の途中位置からは、送塵案内板22を欠くため、主として処理歯16と切刃23とによって処理室内を持ち回りされゆっくりと送られながら分離選別処理される。排塵処理室終端では、排塵物が処理胴終端の排出羽根20により揺動選別棚終端上及び機外に排出されることになる。
【0020】
扱室8後方の排塵選別室には、排塵処理胴17側とは反対側一側で、排塵処理室18の終端側対向部に位置して片側吸引方式の吸塵口28をもつ吸引排塵フアン29を設置している。つまり、この吸引排塵フアン29は、図6に示すように、平面視で吸塵口28が送塵案内板22の終端位置と略同位置となるように配置している。従って、排塵処理室18の送塵案内板22を欠如する終端側部分が、吸引排塵フアン29の吸塵口28に対向し、吸引力の最も大きく作用する部位となるため、処理枠24の濾過穴25から漏下するわら塵と穀粒を速やかに分離することができる。なお、排塵選別室の上方は前部ケ−シング30と後部ケ−シング31とによって側面視屋根型形状にて覆うように構成している。
【0021】
扱室8の下側には揺動可能に架設した揺動選別装置(揺動選別棚)35を設け、更に、その下方には選別方向の上手側から順に、唐箕36と、1番移送螺旋37と、2番移送螺旋38と、その上方に前記片側吸引方式の吸引排塵フアン29を設けて選別室39を構成している。なお、1番揚穀装置40は1番移送螺旋37で回収された穀物を揚送してグレンタンクG内に収容する。また、2番揚穀装置41は2番移送螺旋38で回収された2番物を2番処理胴14の2番処理室15内へ還元するようになっている。
【0022】
そして、揺動選別装置(揺動選別棚)35は、扱室からの脱穀処理後の処理物を受け入れて揺動移送しながらふるい選別する構成であり、選別方向上手側から移送棚42、チャフシーブ43、ストローラック44の順に配置し、且つ、前記チャフシーブ43の下方にグレンシーブ45を配置して設け、前記唐箕36及び吸引排塵フアン29による選別風と揺動との共同作用によって扱室8から漏下してきた処理物を受け入れて揺動移送しながらふるい選別処理するように構成している。なお、前記チャフシーブ43は、複数枚の帯板状のシーブ板43aを等間隔に配置して上部を枢着43bし、下部が円弧状の長孔43cに沿って揺動開閉するようにして相互の選別間隔の開度調節ができる構成としている。
【0023】
なお、脱穀後の排ワラは、排ワラ搬送装置46によって搬送され、排ワラカッター6によって短く切断処理されるようになっている。また、図中、47は脱穀装置の横側部に配置するベルト伝動装置を覆う外装カバー(ベルトカバー)を示す(図1、図7参照)。
【0024】
以上のように構成された刈取脱穀装置についてその作用を説明する。
まず、圃場の穀稈は、前進する機体の前部位置にある刈取部3によって刈取られ、上方に搬送されて、フィ−ドチエン11に受け継がれてのち脱穀装置4に供給される。そして、穀稈は、株元をフィ−ドチエン11に挾持されて搬送されながら穂先部分が扱室8内に供給されて、回転している扱胴7により脱穀作用を受ける。このようにして処理された脱穀処理物は、回転している扱胴7によって持ち回りされて、更に、脱粒処理作用を受け、受網9から漏下して選別室39の揺動選別装置35に達し揺動選別作用を受ける。
【0025】
この場合、扱室の始端側で脱穀処理された処理物は、移送棚42上に落下して後方へ揺動移送されてチャフシ−ブ43に達する。また、扱室終端に至った排塵処理物は、排塵口12から下方のチャフシーブ43上に落下するものと、送塵路13を経て排塵処理室18内へ送られて排塵処理胴17により処理されるものとに分かれる。そして、チャフシーブ43上での排塵処理物は、チャフシ−ブ43を構成している複数枚のシ−ブ板43a…相互間にある選別間隔を漏下しながら風選作用を受ける。
【0026】
チャフシ−ブ43から漏下するものはグレンシーブ45上に落下しここでふるい選別されながら風選作用を受ける。このとき、唐箕36は、起風した選別風を選別室39内に吹き込みながら選別し、吸引排塵フアン29による吸引作用によって選別される。
【0027】
このようにして、処理物は、揺動選別作用と選別風による風選作用との共同作用を受けながら選別されて、1番物(精粒)、2番物、排塵物とに選別分離され、1番物はグレンシ−ブ45にてふるい選別された後、1番移送螺旋37の受樋内に落下して収集されて機外に取り出されグレンタンクG内に収容される。2番物は2番移送螺旋38から2番揚穀装置41によって揚穀されて2番処理室15内に還元され再処理される。そして、排塵物は吸引排塵フアン29によって吸塵され機外に排出されると共に、ストロ−ラック45に達したわら屑は棚先から機外に排出される。
【0028】
一方、扱室終端より排塵処理室18内に取り込まれた排塵処理物は、送塵案内板22によって後方に移送されながら処理胴17外周の処理歯16によってこなされ、処理枠24の濾過穴25より漏下しチャフシーブ43上に還元される。処理室18の途中位置からは、主として、処理歯16と切刃23とによって処理室内を持ち回りされゆっくりと送られながら分離選別処理され、排塵処理室18の終端に至っては、排塵物が処理胴17終端の排出羽根20によりストローラック44上及び機外に排出処理される。
【0029】
次に、図8〜図11に示す実施例について説明する。
かかる実施例は、特に、図8に示すように、副選別フアン50を設置した場合の選別装置の構成例を特徴としている。この副選別フアン(横断流フアン)50は、唐箕36の前方に配置し、移送棚42と扱室受網9との間及びチャフシーブ43、ストローラック44の上方に沿わせて選別風を吹き付けるように構成している。このような副選別フアンを備えた選別装置において、脱穀装置のフィードチエン11側一側に片側吸引方式の吸引排塵フアン29を設置し、その上方に設けた前部ケーシング30の前端面を、側面視においてグレンシーブ45の終端部(先端)位置まで前方に延出させて、該前部ケーシング30上への排塵物の吹き上がりを防止するように構成している。副選別フアンを設置することで、グレンパン51上方部分のチャフシーブ43上から吹き上がる風が強くなるため、前部ケーシング前端面がグレンシーブ終端より後方にあると、このケーシング上面に排塵物が舞い上がり、排塵物中の穀粒が扱室より排出される穀稈にささり込んで4番ロスとなるのを上記構成によって未然に防止することができる。
【0030】
また、図8において、チャフシーブ43は、前側のシーブ群43Fを緩傾斜とし、後側のシーブ群43Rを急傾斜とすると共に、各シーブ間の間隔は後側のシーブ群43Rを前側のそれよりも広くしてあり、しかも、この両シーブ群43F,43Rは連動して開度調節ができるように傾斜角変更自在に連動構成している。かかる構成によれば、低速作業、麦作業、雑草が多い圃場等で稈切れ混入が多い処理物の選別に対しても容易に対応することができる。
【0031】
また、このチャフシーブ43は、図9に示すように、前側のシーブ群43Fのみ開度調節可能とし、後側のシーブ群43Rは一定角度で固定式とすることもできる。副選別フアンの設置により、揺動棚全域において風選別が可能となり、選別能力が向上するが、グレンパン51上方の後側シーブ群43R付近では副選別風と唐箕風とが合流することにより過大となり、後側シーブ群43Rより濾過しきれない処理物が機外に吹き飛ばされ、3番ロスの発生原因となるが、後側シーブ群43Rは急傾斜で開度も広くなっているため、シーブの濾過性能が向上し、ロスの低減、選別性能の向上を図ることができる。
【0032】
チャフシ−ブ43の終端とストロ−ラック44始端との間に設けられた分流板52であって、この分流板52はその下端部をグレンシ−ブ45の先端部より下方位置まで延出して下方垂下部45dとし、上端部をチャフシ−ブ43及びストロ−ラック44の上端縁よりも上方に高く起立延出させて上方起立部52uを設けた構成としている。これにより、グレンパン51から上方に吹き上がる唐箕36からの選別風と、副選別フアン50からの副選別風を機体後方に流さず、上方の吸引排塵フアン29に向けて渦流を発生させながら効率よく導くことができ、わら屑と穀粒の分離が確実に行なえ、3番飛散の減少及び1番選別の向上を図ることができる。
【0033】
揺動選別装置(揺動選別棚)の駆動構成は、ストローラック44の終端側下方で、かつ、吸引排塵フアン29の排塵案内板32の下方において、揺動棚駆動クランク軸53を左右の選別室側板54,54間にわたって架設すると共に、クランクメタル55を介して揺動棚側板56の補強板56aに連結することにより、揺動選別棚の後端側を前後及び上下のクランク(円運動)回転駆動する構成としている。また、揺動棚前方部位は、選別室側板54にローラガイド57を設置し、揺動棚側板56の前端に軸支する案内ローラ58を前後往復動自在に載架させた構成としている。揺動選別棚の脱着は、後方のクランクメタル55とクランク軸53を切り離すことで行えるため、揺動選別棚全体を後方から簡単容易に脱着することができる。
【0034】
更に、前記クランクメタル55は前記補強板56aを介して側方よりリターンパン48の外方を跨いで取り付けてあり、しかも、左右のクランクメタル55,55は左右横方向の補強部材55aによって連結保持してあり、また、このクランクメタル補強部材55aはリターンパン48の外方に設置している。これにより、クランクメタルを大型化することなく強固に連結保持できるし、また、リターンパン部も剛性が向上し強固になる。
【0035】
左右の選別室側板54,54間を連結する補強フレーム49は、図8に示すように、側面視において2番移送螺旋38とクランク軸53間で2番移送螺旋軸芯よりも下方に配置している。このように選別室の左右の側板間を連結することで、機枠の開き、捩りに対する強度が向上する。また、この補強フレームが揺動選別棚終端部から離れているため、揺動選別棚終端から排出された長わら等の排塵物が引掛ることがない。
【0036】
前記クランク軸53に固着の揺動棚駆動入力プーリ59には、揺動選別棚の振動を低減するバランスウエイト60を該プーリ59の内側に設置している。
揺動棚駆動入力プーリ59への伝動は、エンジンEから唐箕入力プーリ61aを介して回転駆動される唐箕36の唐箕出力プーリ61b、1・2番移送螺旋40(1番プーリ62),41(2番プーリ63)を経由して吸引排塵フアン29、排ワラカッタ−6へと伝動する1・2番カウンタ駆動ベルト64の2番プーリ63と、排塵フアン・カッタ−駆動用カウンタプーリ65との間に揺動棚駆動出力プーリ66を設置し、該出力プーリ66から前記ベルト64の外側に揺動棚駆動ベルト67を前記出力プーリ66と入力プーリ59との間に券回して伝動するように構成している。
【0037】
前記バランスウエイト60はプ−リ59の内側に配置することで、外装カバー47にプーリ59を接近して設置することができ、揺動棚駆動ベルト67を1・2番カウンタ駆動ベルト64の外方に設置できる。バランスウエイトの選別室側板からのオーバーハング量が少ないためクランク軸の軸受構成が強度的に有利となる。また、バランスウエイトの回転により、吸引排塵フアンより排出された排塵物が排ワラタッターのスカート状案内部で乱流を起こし吹き返した場合、障害壁となって外装カバー内側に溜るのを防止できる。また、1・2番カウンタ駆動ベルト64は、選別室側板に接近して設置することにより、各プーリ部のオーバーハング量が少なくでき強度的に有利である。また、揺動棚駆動ベルト67は外装カバー47側に接近して配置できることにより、選別室側板54と揺動棚駆動ベルト67との空間を大きくでき、吸引排塵フアンや揺動選別棚終端(ストローラック終端)からの排塵物が外装カバー(ベルトカバー)内に溜るのを防止できる。
【0038】
排塵フアン・カッタ−駆動用カウンタプーリ65を支持するブラケット70を吸引排塵フアン29の前方に設置し、選別室前方の左側板外方で副選別フアン50近傍にはフイードチエン11の駆動ギヤケース71を配設している。そして、前記ブラケット70と駆動ギヤケース71とは前後方向に長い補強連結バー72にて連結保持する。更に、ブラケット70又は補強連結バー72と揺動棚駆動出力プーリ66を支持する支持ステー73とを連結部材74にて連結支持し、揺動棚駆動出力プーリ66は支持ステー73と連結部材74とによる両端支持としている。従って、上記補強連結バー72の存在により、ブラケット70、フイードチエン駆動ギヤケース71共に捩れに対する剛性力がアップする。また、揺動棚駆動出力プーリ66の支持ステー73とブラケット70又は補強連結バー72とを連結することにより揺動棚駆動出力プーリ66は両端(両持)支持となり、捩
れに対する強度も向上する。
【0039】
次に、前記副選別フアン50の駆動及びフィードチエンシンクロの構成について説明する。HST(油圧式無段変速装置)にて車速を制御する走行ミッションケース80より車速追従にて出力される刈取出力プーリ81と並んでフィードチエン出力プーリ82を設置し、このフィードチエン出力プーリ82より選別室前方のフィードチエン入力プーリ83に車速追従ベルト84にて動力伝達し、ワンウエイクラッチ85を介して一方向の回転を選別室前方に横架させたフィードチエン伝動軸86に伝えるべく連動構成し、そして、該フィードチエン伝動軸86上には前記副選別フアン50を設置すると共に、車速追従にて回転させる構成としている。また、フィードチエン伝動軸86の下手側には減速ギヤケース87及び前記フィードチエン駆動ギヤケース71が設置してあり、減速ギヤケース87内の減速ギヤ機構89aとフィードチエン駆動ギヤケース71内の減速ギヤ機構89bを介して減速しながらフィードチエン11を車速追従にて駆動するようになっている。
【0040】
上記構成によれば、フィードチエンシンクロの効果に加えて、副選別風をシンクロさせることにより、低速作業時は風量を低減して3番ロスを防止し、高速作業時は風量を大きくして処理能力を高めつつ選別を良くすることができる。副選別フアンはフィードチエン伝動軸上にあり、特別な駆動手段を要せず安価に実施できる。
【0041】
また、図11〜図17に示すように、前記唐箕36の唐箕出力プーリ61bは、2連化して一方で1・2番移送螺旋37,38を駆動し、他方をフィードチエン駆動ギヤケース下方の一定速入力プーリ90に一定速入力ベルト92にて伝動するようにし、一定速入力軸91から一定速駆動チエン93を介してフィードチエン駆動軸94を回転駆動し、フィードチエン11を一定速にて駆動する構成としている。車速追従の伝動経路(車速追従ベルト84)と一定速の伝動経路(一定速入力ベルト92)には、それぞれテンションクラッチ機構95,96を装備して、必要に応じて車速追従駆動と一定速駆動とに切り替えができるように構成している。通常の刈取作業時は車速追従とし、車体を停止させての手扱ぎ作業時には一定速駆動に切り替えることで、かかる手扱ぎ作業が容易にできる。
【0042】
前記フィードチエン駆動ギヤケース71、一定速入力プーリ90の軸91、一定速駆動チエン93、フィードチエン駆動軸94、一定速テンションクラッチ機構96等は、選別室左側板54の外方で前方に延出させた支持ブラケット97に装着支持してあり、また、この支持ブラケット97には揺動棚左前方の前記案内ローラ58のローラガイド(左側)57を取り付け(右側のローラガイドは選別室右側板に装着)て一体化した構成としている。そして、このような構成の支持ブラケット97を前記選別室左側板54に対し着脱自在に装着できる構成とし、更に、この支持ブラケット97に対応する選別室左側板54の一部には、該支持ブラケット97によって閉塞する掃除口98を開口して設けてあり(図8参照)、支持ブラケット97を取り外した場合には、その掃除口から副選別フアンの出口部及び揺動選別棚前部の掃除やメンテナンスが行なえるようにしている。また、支持ブラケットを取り外すことによって一定速伝動経路のメンテナンスが容易にできる。
【0043】
図8及び図10において、前記副選別フアン50の上方は、扱室内への入口漏斗100によって覆い、その前方は入口漏斗100の前端から下方の刈取懸架台101にかけて下り傾斜する防塵ガイド板102によって被覆している。また、副選別フアン50の下方には、走行フレーム103の下方より通風可能で且つ粗大なゴミ(クローラにより持ち回りされる切りワラ、ハカマ等)の浸入を防止する防塵網104を張設している。副選別フアン50とエンジンEとは左右横方向に並設した関係位置に設定している。
【0044】
以上のような構成によると、刈取搬送中の穀稈やクローラによる持ち回りの切りワラやハカマ等の夾雑物の浸入を防止できる。また、エンジンからの熱風を効率よく副選別フアン内へ吸い込み運転席の熱気を防止できる。副選別フアンが回転していない状態では、エンジンの熱風はフアン下方の防塵網を通過して抜けることができるため、運転席への熱気上がりを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】コンバインの側面図
【図2】コンバインの背面図
【図3】脱穀装置の要部の切断側面図
【図4】同上要部の切断側面図
【図5】同上要部の切断側面図
【図6】同上要部の平面図
【図7】同上要部の背面図
【図8】別実施例における脱穀装置の要部の切断側面図
【図9】脱穀装置の一部の切断側面図
【図10】脱穀装置の要部の平面図
【図11】同上要部の正面図
【図12】脱穀装置の側面図
【図13】脱穀装置の要部の平面図
【図14】同上要部の平面図
【図15】同上要部の平面図
【図16】同上要部の正面図
【図17】コンバイン各部の展開伝動経路図を示す。
【符号の説明】
【0046】
4 脱穀装置(脱穀機) 7 扱胴
8 扱室 16 処理歯
17 排塵処理胴 18 排塵処理室
22 送塵案内板 23 切刃
29 吸引排塵フアン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室(8)からの排塵処理物を受け入れて軸芯方向後方に移送しながら脱粒処理する排塵処理胴(17)を排塵処理室(18)内に軸架させて設け、この排塵処理室(18)内には終端側の一部を除く始端側にのみ送り機能をもたらす送塵案内板(22)を付設してあることを特徴とする脱穀処理装置。
【請求項2】
前記送塵案内板(22)を欠如する処理室(18)内終端側には少なくとも一個若しくは一個以上の切刃(23)を装備してあることを特徴とする請求項1記載の脱穀処理装置。
【請求項3】
前記送塵案内板(22)を欠如する排塵処理室(18)の終端側対向部位には片側吸引方式の吸塵口(28)をもつ吸引排塵フアン(29)を設置してあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の脱穀処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−204240(P2006−204240A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−23127(P2005−23127)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】