説明

膨化ンフラ食品及びその製造法

【課題】油チョウ処理又は油のスプレー処理をすることなく、フライ製品のような口溶けがよく、食味・食感に優れ、有色野菜類等配合した場合でも褪色することのない、膨化ノンフライ食品をダイレクトに製造する方法の提供。
【解決手段】穀類を主成分として、粉末油脂、小糖類と野菜類等を添加した組成物を均一に混合し、スクリュー式押出機に供給し、押出成形することで、膨化ノンフライ食品をダイレクトに製造する。該膨化ノンフライ食品は、粉末油脂が野菜類等をコーティングしているので、褪色や風味の低下等を抑制することができ、また組成物中に粉末油脂が含まれているので、手等に油が付着することがない利点を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀類を主成分に粉末油脂、小糖類と、野菜類及び/または魚介類を含有した組成物を均一に混合し、スクリュー式押出機に供給し、加熱・粉砕・混合・混練し、組成物を溶融混合状態にし、前記組成物をシリンダーバレル先端に取り付けられたダイから素材の色・風味を損なうことなく押出成形し、気泡構造を有し、ソフトな食感で、フライあるいは油を噴霧することなくダイレクトに油を含有した膨化ノンフライ食品及びその製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜、果物、種子を含有したスナック及びその製造し、減圧フライしてスナック菓子を得る方法がある。(例えば、特許文献1参照)穀類を主原料にし、ココアパウダー、粉末油脂等の原料を混合して、エクストルーダーを用いてデンプン性膨化菓子の製造法がある。(例えば、特許文献2参照)
【0003】
【特許文献1】特開平4−4845号公報
【特許文献2】特開平10−271953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加工食品に於いて、揚げたり(油チョウ処理)、加工食品に油を噴霧したりして、食品のうまみを付与している。得られたものは、油の含有量が高いため手に油が付着し、また過剰の油を摂取することで健康上好ましくない。また野菜等の成分を穀類に混合して成形加工を行うと、色や風味等が低下しする原因になり、製造工程も複雑になる等の問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討の結果、穀類を主成分に粉末油脂、小糖類と、野菜類及び/または魚介類等を含有した組成物を均一に混合し、スクリュー式押出機に供給し、加熱・粉砕・混合・混練し、組成物を溶融混合状態にし、前記組成物をシリンダーバレル先端に取り付けられたダイから押出成形することで、粉末油脂が野菜類をコーティングすることで、褪色・風味の低下等を抑制することができる。
【0006】
また生地に粉末油脂が含有することで、手等に油が付着することがなく、また、過剰に油を摂取することなく、ダイレクトに油を含有した食味・食感が優れた膨化ノンフライ食品を製造する方法を見出し本発明に至った。
【0007】
得られた膨化ノンフライ食品は、幼児用菓子、スナック菓子、クルトン、スープ、食品素材等に利用ができる。かつ、油チョウ処理等の工程あるいは油を噴霧する等の工程を経ることなく、ダイレクトに油分を含んだ膨化ノンフライ食品を製造する方法を見出し本発明の完成に至った。
【0008】
請求項1においては、穀類を主成分に粉末油脂、小糖類と野菜類及び/または魚介類を含有した組成物を混合し、スクリュー式押出機に供給し、加熱・粉砕・混合・混練し、組成物を溶融混合状態にし、前記組成物をシリンダーバレル先端に取り付けられたダイから押出成形することを特徴とする膨化ノンフライ食品及びその製造法を要旨とした。
【0009】
請求項2においては、請求項1記載の粉末油脂が、食用油脂のドライエマルジョンでカプセル化され、穀類100重量部に対して粉末油脂が0.5から30重量部含有していることを特徴とする膨化ノンフライ食品の製造法を要旨とした。
【0010】
請求項3においては、請求項1記載の組成物に小糖類として、トレハロース、マルチトース、蔗糖、マルチトールより選択される1種または2種以上含有し、穀類100重量部に対して小糖類が0.5から20重量部添加されることを特徴とする膨化ノンフライ食品の製造法を要旨とした。
【0011】
請求項4においては、請求項1記載の野菜類及び/または魚介類が、生鮮物、乾燥物、乾燥粉末、ペーストより選択される1種または2種以上含有し、穀類100重量部に対して野菜類及び/または魚介類が0.1から60重量部添加されることを特徴とする膨化ノンフライ食品の製造法を要旨とした。
【0012】
請求項5においては、請求項1〜4記載の膨化ノンフラ食品が、幼児用菓子、スナック菓子、クルトン、食品素材であることを特徴とする膨化ノンフライ食品を要旨とした
【発明の効果】
【0013】
穀類を主成分に粉末油脂、小糖類と野菜類等を含有した組成物を均一に混合し、スクリュー式押出機に供給し、押出成形することで、シーズニング、油チョウ処理や油をスプレー処理することなく、口溶けのよさ、食感に優れた膨化ノンフライ食品をダイレクトに製造できる方法を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明では、穀類を主成分に粉末油脂、糖類、必須成分と野菜類及び/または魚介類等を含有した組成物を均一に混合し、スクリュー式押出機に供給し、30〜180℃で加熱・粉砕・混合・混練し、組成物を溶融混合状態にし、前記組成物をシリンダーバレル先端に取り付けられたダイから押出成形することで、粉末油脂が野菜類等をコーティングや均一分散されることで、褪色・風味の低下等を抑制することがでる。
【0015】
また、組成物中に粉末油脂が含有することで、手等に油が付着することがなく、油チョウ処理あるいは油を噴霧することなく食感の良い膨化ノンフライ食品をダイレクトに製造することができる。組成物中に小糖類を配合することで膨化ノンフライ食品の老化抑制並びに脂質類の初期酸化を抑制した膨化ノンフライ食品が得られる。
【0016】
次に本発明の実施形態に基づき説明する。穀類としては、米、小麦、えん麦、トウモロコシ、ライ麦、大麦、そば、あわ、ひえ、大豆等及これらの加工されたもので、その性状が加工前の性状に類似している物等を挙げることができ1種または2種以上併用することができる。穀類の形状としては、穀類そのままの形状、粉砕物、粉末等で1種または2種以上併用することができとく限定されない。
【0017】
穀類の配合量は、所望の用途に応じてきめられ、特に限定されるものではなく、30〜90重量%が好ましく、30重量%以下では、十分な膨化が得られず好ましくない。
【0018】
本発明に用いられる粉末油脂は、押出機内での組成物の分散、気泡調整等の目的で用いられる。得られた膨化ノンフライ食品の食味・食感を付与するために配合される。粉末油脂としては、ドライエマルションでカプセル化された粉末油脂、ショートニング等を挙げることができる。
【0019】
油脂を粉末化(ドライエマルション化)せずに、液状、固体状で用いて成形加工して得られた膨化ノンフライ食品は、油が表面に浮き上がり好ましくなく、また、均一な成形物を得ることが難しく、油脂を穀類100重量部に対して液状、固体状油脂5重量部以上配合すると連続的な吐出得られず好ましくない。
【0020】
粉末油脂の製造法は、特に限定されない。例えば、粉末油脂は、食用油脂、食用乳化剤や皮膜形成剤等を用いて、乳化組成物を噴霧乾燥や凍結乾燥しドライエマルションでカプセル化し、粉末油脂が得られる。粉末油脂は、O/W型エマルションのドライエマルションでカプセル化された粉末油脂が好ましい。
【0021】
粉末油脂に用いられる油脂は、食用に用いられる液体、固体状の動植物性食用油脂、これらの加工した油脂や健康維持等の目的で用いられる油脂等を挙げることができ、これらより選ばれた1種または2種以上用いることができる。
【0022】
粉末油脂中の食用油脂含有率は、50重量部以上が好ましく、50重量部以下では、配合量が多くなり膨化ノンフライ食品の食感・食味が得られない。
【0023】
組成物中の粉末油脂の配合量は、膨化ノンフライ食品の用途や機能等に応じて決められるが、0.5〜30重量%が好ましく、0.5重量%以下では、食味・食感が不十分で好ましくなく、30重量部以上添加すると、連続した吐出が得られず好ましくない。好ましくは5〜25重量部である。
【0024】
本発明に用いられる小糖類は、製品の保存性、膨化ノンフライ食品の老化抑制、脂質の変敗抑制、矯味効果等の目的で添加され、添加率は穀類100重量部に対して0.50〜20重量部である。好ましくは2〜10重量%で、20重量%以上添加してもコストが上昇するのみで期待した効果が得られない。
【0025】
その小糖類としては、トハロース、マルチトース、蔗糖、乳糖、ソルビトール、マルチトール等が挙げることができ1種または2種以上併用することができる。粉末油脂と小糖類の添加は、膨化ノンフライ食品の所望の用途に応じて決められ、特に限定されることはない。
【0026】
本発明に用いられる野菜類は、膨化ノンフライ食品の機能性成分及び/または天然色素成分を付与する目的で配合される。その野菜類としては、カボチャ、トマト、紫芋、パブリカ、ほうれん草人参等の有色野菜、玉葱、にんにく、白菜等の野菜、果実、きのこ類等を挙げることができ、これらの野菜類としては、生野菜類、乾燥野菜類、乾燥粉末野菜類、野菜類ペーストより選択される1種または2種以上併用することができる。
【0027】
魚介類は、膨化ノンフライ食品の機能性成分及び栄養成分として配合される。魚介類としては、えび、かつお、かに、かき、ひじき、わかめ等を挙げることができる。これらの魚介類としては、生、乾燥魚介類、乾燥魚介類粉末、魚介類ペーストより選択される1種または2種以上併用することができる。穀類100重量部に対して野菜類及び/または魚介類が0.1から60重量部配合することができる。
【0028】
0.1重量部以下では、配合の効果が得られず好ましくなく、生及び/またはペースト状態等の高含水野菜類及び/または魚介類の場合などは、組成物中の水分含有量が高くなり、スクリュー式押出機に供給が難しく、得られた膨化ノンフライ食品は硬く、成形物の形状がよくなくない。また、乾燥状態の野菜類及び/または魚介類等を穀類に対して60重量部配合すると、膨化が抑制され硬い膨化物となり好ましくない。
【0029】
穀類を主成分に粉末油脂、糖類と野菜類等を含有した組成物を均一に混合し、スクリュー式押出機に供給し、バレル30〜180℃で加熱混合・混練し、穀類の糊化及び組成物の溶融組織化させ、全体を溶融混合状態にし、前記組成物をシリンダーバレル先端に取り付けられたダイから押出成形し、膨化ノンフライ食品製造する方法で、加水量は組成物の含水分状態できめられ、組成物中の含水分が高い状態で、更に加水量を高くすると膨化が抑制され、硬い組織の食品になる。
【0030】
スクリュー式押出機の温度条件は、所望の用途、組成物の形状等に応じて異なり、バレル温度を所望の用途に応じて段階的に温度勾配つけて押出成形する。バレル温度30〜180℃が好ましく、バレル温度が30℃以下では、膨化が起こらず好ましくない。180℃以上では、穀類の溶融組織化変性が進み過膨化になり、良い膨化物が得られない。
【0031】
スクリュー式押出機としては、混練・混合・可塑化等の機能を有する単軸押出機、2軸押出機等を用いることができる。スクリュー式押出機のノズル構造や成形加工法を変えることで、シート状、筒状、ハート形、粒状、中空円柱状等に押出成形加工することができる。
【0032】
本発明では、膨化ノンフライ食品の用途に応じて、香辛料、着色料、保存剤、ビタミン類、砂糖、ミネラル類等を配合することができる。膨化ノンフラ食品が、幼児用菓子、スナック菓子、クルトン、食品素材等に幅広く利用ができる。
【実施例】
【0033】
(実施例1)
洗米処理で得られた米3Kg(含水分率20.5%)、コーンスターチ2Kg、粉末油脂(ミヨシ油脂社製マジックファット200)750g、トレハロース(林原生物化学研究所製)600g、かぼちゃ粉末400g、卵殻カルシウム60gを混合し、2軸押出機のホッパーに投入し、バレル温度160、2.8Φのダイから押出成形し、120mmにカットし、スティック状の膨化ノンフライ食品を得た。この物を90℃の熱風乾燥機で乾燥し含水率2.4重量%の気泡構造有する膨化ノンフライ食品を得た。試食の結果を表1に示した。
【0034】
(実施例2)
洗米処理で得られた米3Kg(含水分率21%)、小麦粉(薄力粉)2Kg、粉末油脂(ミヨシ油脂社製マジックファット200)750g、トレハロース(林原生物化学研究所製)400g、えびパウダー450g、卵殻カルシウム35gを混合し、2軸押出機のホッパーに投入し、バレル温度160、2.8Φのダイから押出成形し、120mmにカットし、スティック状の膨化ノンフライ食品を得た。この物を90℃の熱風乾燥機で乾燥し含水率2.8重量%の気泡構造有する膨化ノンフライ食品を得た。試食の結果を表1に示した
【0035】
(比較例1)
洗米処理で得られた米3Kg(含水分率19.8%)、コーンスターチ2Kg、トレハロース(林原生物化学研究所製)600g、かぼちゃ粉末300g、卵殻カルシウム45gを混合し、2軸押出機のホッパーに投入し、バレル温度160、2.8Φのダイから押出成形し、120mmにカットし、スティック状の膨化食品を得た。この物を90Φの熱風乾燥機で乾燥し含水率2.5重量%の気泡構造有する膨化ノンフライ食品を得た。この物を120度に過熱したパーム油を噴霧し、油脂含有率26重量%食品をえた。その結果を表1に示した。
【0036】
(比較例2)
洗米処理で得られた米3Kg(含水分率22.1%)、コーンスターチ2Kg、かぼちゃ粉末400g、卵殻カルシウム60gを混合し、2軸押出機のホッパーに投入し、バレル温度160、2.8Φのダイから押出成形し、120mmにカットし、スティック状の膨化ノンフライ食品を得た。この物を90℃の熱風乾燥機で乾燥し含水率2.9重量%の気泡構造有する膨化食品を得た。この物を120度に過熱したパーム油を噴霧し、油脂含有率26重量%食品をえた。試食の結果を表1に示した
【0037】
(比較例3)
市販品のスティック状スナック菓子(ノンフライタイプ:油噴霧、脂質含有量26g/100g、9Φ*125mm)を用いて試食の評価を行った結果を表1に示した。
【0038】
通常のスナック菓子の食感を熟練したパネラー10人で評価した。食感がよい8人以上○、やや食感が異なる5人以上□、芯が残り、食感が異なる5人以上×。
通常のスナック菓子の食感を熟練したパネラー10人で評価した。油が手につかない8人以上○、油が手にややつかない5人以上□、手につく5人以上×。
【0039】
【表1】

【0040】
実施例1,2は、緻密な気泡構造で、サクサクシタ食感で、口溶け性がよく、褪色がない膨化ノンフライ食品であったが、比較例1及び2は、口に油分が残り、また比較例2においては、比較例1に比べてやや硬い膨化物であった。比較例2の市販品では、食味・食感は良いが、油が手に付いた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀類を主成分に粉末油脂、小糖類と野菜類及び/または魚介類を含有した組成物を混合し、スクリュー式押出機に供給し、加熱・粉砕・混合・混練し、組成物を溶融混合状態にし、前記組成物をシリンダーバレル先端に取り付けられたダイから押出成形することを特徴とする膨化ノンフライ食品及びその製造法。
【請求項2】
請求項1記載の粉末油脂が、食用油脂のドライエマルジョンでカプセル化され、穀類100重量部に対して粉末油脂が0.5から30重量部含有していることを特徴とする膨化ノンフライ食品の製造法。
【請求項3】
請求項1記載の組成物に小糖類として、トレハロース、マルチトース、蔗糖、マルチトールより選択される1種または2種以上含有し、穀類100重量部に対して小糖類が0.5から20重量部添加されることを特徴とする膨化ノンフライ食品の製造法。
【請求項4】
請求項1記載の野菜類及び/または魚介類が、生鮮物、乾燥物、乾燥粉末、ペーストより選択される1種または2種以上含有し、穀類100重量部に対して野菜類及び/または魚介類が0.1から60重量部添加されることを特徴とする膨化ノンフライ食品の製造法。
【請求項5】
請求項1〜4記載の膨化ノンフラ食品が、幼児用菓子、スナック菓子、クルトン、食品素材であることを特徴とする膨化ノンフライ食品。

【公開番号】特開2007−209248(P2007−209248A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32188(P2006−32188)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(595031018)
【Fターム(参考)】