説明

膵臓腺癌の動物モデルおよびその使用

本発明は、少なくとも部分的に、疾患の開始、維持、および進行を含めた、ヒト膵臓腺癌の遺伝的および組織学的特徴を発生反復する膵臓腺癌の動物モデルの創製に基づく。従って、本発明は癌、例えば、膵臓腺癌の動物モデルを提供し、そこでは、Krasの活性化突然変異が導入され、いずれか1以上の未知または既知の腫瘍サプレッサー遺伝子または遺伝子座、例えば、Ink4a/Arf、Ink4a、Arf、p53、Smad4/Dpc、Lkb1、Brca2、またはMlh1が誤発現され、例えば、誤発現されて減少した発現または非−発現に至る。本発明の動物モデルを用いて、例えば、膵臓癌のバイオマーカーを同定し、膵臓癌の治療または予防用の剤を同定し、および潜在的治療剤の有効性を評価することができる。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
KRASの活性化突然変異および誤発現される1以上の腫瘍サプレッサー遺伝子または遺伝子座を含む、膵臓腺癌の非−ヒト動物モデル。
【請求項2】
前記1以上の腫瘍サプレッサー遺伝子が条件付で誤発現される、請求項1に記載の非−動物モデル。
【請求項3】
KRASの活性化突然変異が、KrasG12Dノック−イン対立遺伝子(LSL−Kras)である、請求項1に記載の非−ヒト動物モデル。
【請求項4】
KRASの活性化突然変異が、KrasG12Dノック−イン対立遺伝子(LSL−Kras)であって、前記腫瘍サプレッサー遺伝子がINK4a/Arfである、請求項1に記載の非−ヒト動物モデル。
【請求項5】
前記動物がPdx1−Cre;LSL−KrasG12D;Ink4a/Arflox/loxを含む、請求項1に記載の非−ヒト動物モデル。
【請求項6】
前記誤発現が、1以上の腫瘍サプレッサー遺伝子または遺伝子座の減少した発現をもたらす、請求項1に記載の非−ヒト動物モデル。
【請求項7】
前記腫瘍サプレッサー遺伝子が、Ink4a/ARFである、請求項1に記載の非−ヒト動物モデル。
【請求項8】
前記腫瘍サプレッサー遺伝子が、Ink4a/ARF、Ink4a、Arf、p53、Smad4/Dpc、Lkb1、Brca2、およびMlh1よりなる群から選択される、請求項1に記載の非−ヒト動物モデル。
【請求項9】
前記腫瘍サプレッサー遺伝子が、Ink4a/ARFおよびp53である、請求項1に記載の非−ヒト動物モデル。
【請求項10】
前記1以上の腫瘍サプレッサー遺伝子または遺伝子座が、該腫瘍サプレッサー蛋白質の全てまたは一部をコードするDNAの除去によって破壊される、請求項1に記載の非−ヒト動物モデル。
【請求項11】
前記動物が、1以上の破壊された遺伝子または遺伝子座についてホモ接合性である、請求項10に記載の非−ヒト動物モデル。
【請求項12】
前記動物が、1以上の破壊された遺伝子または遺伝子座についてヘテロ接合性である、請求項10に記載の非−ヒト動物モデル。
【請求項13】
前記動物が、前記1以上の腫瘍サプレッサー遺伝子または遺伝子座のトランスジェニック破壊を有するトランスジェニック動物である、請求項1に記載の非−ヒト動物モデル。
【請求項14】
膵臓および十二指腸ホメオボックス遺伝子1(Pdx1)−Cre導入遺伝子を用いて、膵臓において前記1以上の腫瘍サプレッサー遺伝子または遺伝子座を欠失する、請求項13記載の非−ヒト動物モデル。
【請求項15】
前記動物がげっ歯類である、請求項1に記載の非−ヒト動物モデル。
【請求項16】
前記げっ歯類がマウスである、請求項15に記載の非−ヒト動物モデル。
【請求項17】
膵臓腺癌に関連するマーカーについて同定するための方法であって、該方法は、
対照野生型動物からの試料中の遺伝子または蛋白質の発現または活性の存在、非存在またはレベルに対して、膵臓腺癌の動物モデルからの試料における遺伝子または蛋白質の量、構造、および/または活性を比較する工程であって、該動物モデルはKRASの活性化突然変異を含み、かつ1以上の腫瘍サプレッサー遺伝子または遺伝子座が誤発現される、工程、を包含し、
およびここに、遺伝子または蛋白質の量、構造、および/または活性の差は膵臓腺癌に関連するバイオマーカーであることを特徴とする、膵臓腺癌に関連するバイオマーカーにつき同定する方法。
【請求項18】
同定されたバイオマーカーが診断バイオマーカーである請求項17記載の方法。
【請求項19】
同定されたバイオマーカーが予後バイオマーカーである請求項17記載の方法。
【請求項20】
薬理ゲノミクスバイオマーカーを同定するための方法であって、該方法は、以下:
対照野生型動物由来の試料における遺伝子または蛋白質の発現または活性の存在、非存在、またはレベルに対して、膵臓腺癌の動物モデル由来の試料における遺伝子または蛋白質の量、構造、および/または活性を比較する工程であって、ここで、該動物モデルはKRASの活性化突然変異を含み、かつ1以上の腫瘍サプレッサー遺伝子または遺伝子座は誤発現され、ここで、該動物モデルには治療レジメンが投与される、工程を包含し;
ここで、動物モデルの試料と対照試料との間の遺伝子または蛋白質の量、構造、および/または活性の差が、該遺伝子または蛋白質が膵臓腺癌に関連する薬理ゲノミクスバイオマーカーであることを示す、方法。
【請求項21】
該試料は血液、尿、糞、胆汁、膵臓細胞または膵臓組織を含有する請求項17または20記載の方法。
【請求項22】
請求項17記載の方法によって同定されたバイオマーカー。
【請求項23】
該バイオマーカーが核酸分子である請求項22記載のバイオマーカー。
【請求項24】
該バイオマーカーが蛋白質である請求項22記載のバイオマーカー。
【請求項25】
該動物モデルが転移性膵臓腫瘍を表示する請求項22記載の方法。
【請求項26】
該動物モデルが膵臓腺癌に対して無兆候である請求項22記載の方法。
【請求項27】
膵臓腺癌に関連するバイオマーカーを同定するための方法であって、該方法は、以下:
a)癌細胞のゲノムのプロファイリングを行う工程であって、該細胞は膵臓腺癌の動物モデル由来のものであり、ここで、該動物モデルはKRASの活性化突然変異を含み、かつ1以上の腫瘍サプレッサー遺伝子または遺伝子座が誤発現される、工程;
b)工程a)で同定されたプロファイルのセグメント化分析を行う工程;
c)遺伝子座を同定する工程;
d)該同定された遺伝子座を順位付けする工程;および、
e)該同定された遺伝子座における遺伝子を問い合わせる工程、
を包含し、これらにより、膵臓腺癌に関連するバイオマーカーを同定する、方法。
【請求項28】
膵臓腺癌に関連する遺伝子座を同定するための方法であって、該方法は、以下:
a)癌細胞のゲノムのプロファイリングを行う工程であって、該細胞は膵臓腺癌の動物モデル由来のものであり、ここで、該動物モデルは、KRASの活性化突然変異を含み、1以上の腫瘍サプレッサー遺伝子または遺伝子座は誤発現される、工程;
b)工程a)で同定されたプロファイルのセグメント化分析を行う工程;
c)遺伝子座を同定する工程;および、
d)該同定された遺伝子座を順位付けする工程、
を包含し、これらにより、膵臓腺癌に関連する遺伝子座を同定する、方法。
【請求項29】
同定された遺伝子座における遺伝子の前記問い合わせ工程が、遺伝子発現データに基づく、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
同定された遺伝子座における遺伝子の前記問い合わせが、インビトロでのスクリーニングアッセイに基づく、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記プロファイリングが比較ゲノミックハイブリダイゼーション(CGH)を用いて行われる、請求項27または28に記載の方法。
【請求項32】
前記癌細胞が、膵臓腺癌細胞株または膵臓腺癌腫瘍に由来する、請求項27または28に記載の方法。
【請求項33】
請求項28に記載の方法によって同定された、バイオマーカー。
【請求項34】
間質−腫瘍連絡に関与する遺伝子または蛋白質を同定する方法であって、該方法は、
膵臓腺癌の動物モデル由来の間質における遺伝子または蛋白質の発現または活性の存在、非存在、またはレベルに対して、膵臓腺癌の動物モデル由来の腫瘍における遺伝子または蛋白質の存在、量、構造、および/または活性を比較する工程であって、該動物モデルはKRASの活性化突然変異を含み、かつ1以上の腫瘍サプレッサー遺伝子または遺伝子座が誤発現されており、ここで、遺伝子または蛋白質の量、構造および/または活性の差は、該遺伝子または蛋白質が間質−腫瘍連絡に関与していることを示す、工程、
を包含する、方法。
【請求項35】
被験体が膵臓腺癌を罹患しているか否かを評価する方法であって、該方法は、以下:
a)被験体試料における請求項17または28で同定されたバイオマーカーの量、構造、および/または活性、ならびに
b)対照膵臓試料における該バイオマーカーの量、構造、および/または活性
を比較する工程を包含し、
ここで、該被験体試料における該バイオマーカーの量、構造、および/または活性と、正常なレベルとの差は、該被験体が膵臓腺癌を罹患していることを示す、方法。
【請求項36】
前記試料が、患者から得られた細胞を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
被験体において膵臓腺癌の進行をモニターする方法であって、該方法は、以下:
a)請求項17または28に記載の方法によって同定されたバイオマーカーの量、構造、および/または活性を、第一の時点において、被験体試料において検出する工程;
b)その後の時点において工程a)を繰り返す工程;ならびに、
c)工程a)およびb)で検出された量、構造、および/または活性を比較し、それにより、該被験体における膵臓腺癌の進行をモニターする、工程、
を包含する、方法。
【請求項38】
前記試料が前記被験体から得られた細胞を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
第一の時点とその後の時点との間で、前記被験体が腫瘍を除去するための外科的処置を受ける、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
被験体において膵臓腺癌を阻害するテスト化合物の効率を評価する方法であって、該方法は、以下:
a)該被験体から得られ、かつ該テスト化合物に曝露された第一の試料におけるバイオマーカーの量、構造、および/または活性であって、該バイオマーカーは請求項17または28記載の方法によって同定されている、量、構造、および/または活性、と
b)該被験体から得られた第二の試料におけるバイオマーカーの量、構造、および/または活性であって、該試料はテスト化合物に曝露されていない、量、構造、および/または活性;
とを比較する工程を包含し、
ここで、該第一の試料に対する、第二の試料におけるバイオマーカーの量、構造、および/または活性の有意に低いレベルは、療法が該被験体において膵臓腺癌を阻害するのに有効であることを示す、方法。
【請求項41】
前記第一の試料および第二の試料が、前記被験体から得られた単一試料の部分である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
被験体において膵臓腺癌を阻害する療法の効率を評価する方法であって、該方法は、以下:
a)該被験体に療法の少なくとも一部を提供する前に該被験体から得られた、第一の試料における量、構造、および/または活性であって、ここで、該バイオマーカーは請求項17または28記載の方法によって同定された、量、構造、および/または活性、と
b)療法の部分を供した後に該被験体から得られた第二の試料におけるバイオマーカーの量、構造、および/または活性;
とを比較する工程を包含し、
ここで、該第一の試料に対する、該第二の試料におけるバイオマーカーの量、構造、および/または活性の有意に低いレベルは、該療法が被験体において膵臓腺癌を阻害するのに効果的であることを示す、方法。
【請求項43】
被験体において膵臓腺癌を阻害するための組成物を選択する方法であって、該方法は、以下:
a)該被験体由来の癌細胞を含む試料を得る工程;
b)複数のテスト組成物の存在下で、該試料のアリコートを別々に曝露する工程;
c)該アリコートの各々におけるバイオマーカーの量、構造、および/または活性を比較する工程であって、該バイオマーカーは請求項17または28に記載の方法によって同定された、工程;ならびに、
d)他のテスト組成物に対して、そのテスト組成物を含有するアリコートにおける該バイオマーカーの量、構造、および/または活性のより低いレベルを誘導するテスト組成物の1つを選択する工程、
を包含する、方法。
【請求項44】
被験体において膵臓腺癌を阻害する方法であって、該方法は、以下:
a)被験体由来の癌細胞を含む試料を得る工程;
b)複数のテスト組成物の存在下で、該試料のアリコートを別々に維持する工程;
c)該アリコートの各々におけるバイオマーカーの量、構造、および/または活性を比較する工程であって、該バイオマーカーは請求項17または28に記載の方法によって同定された、工程;ならびに、
d)他のテスト組成物に対して、そのテスト組成物を含有するアリコートにおける該バイオマーカーの量、構造、および/または活性のより低いレベルを誘導するテスト組成物の少なくとも1つを、該被験体に投与する工程、
を包含する、方法。
【請求項45】
被験体が膵臓腺癌を罹患しているか否かを評価するためのキットであって、該キットは、請求項17または28記載の方法によって同定されたバイオマーカーの発現を評価するための試薬を含む、キット。
【請求項46】
膵臓腺癌細胞の存在を評価するためのキットであって、該キットは、核酸プローブを含み、ここで、該プローブは、請求項17または28に記載の方法によって同定されたバイオマーカーに対応する転写されたポリヌクレオチドに特異的に結合する、膵臓腺癌細胞の存在を評価するためのキット。
【請求項47】
被験体において膵臓腺癌を阻害するための複数の化合物の各々の適合性を評価するためのキットであって、該キットは、以下:
a)複数の化合物;および
b)請求項17または28に記載の方法によって同定されたバイオマーカーの発現を評価するための、試薬;
を含む、キット。
【請求項48】
ヒト膵臓腺癌細胞の存在を評価するためのキットであって、該キットは、抗体を含み、ここで該抗体は、請求項17または28に記載の方法によって同定されたバイオマーカーに対応する蛋白質に特異的に結合する、キット。
【請求項49】
テスト化合物の膵臓細胞発癌可能性を評価する方法であって、該方法は、
a)テスト化合物の存在下および非存在下で、膵臓細胞の別々のアリコートを維持する工程;ならびに、
b)該アリコートの各々におけるバイオマーカーの量、構造、および/または活性を比較する工程であって、ここで該バイオマーカーは請求項17または28記載の方法によって同定された、工程、
を包含し、
ここで、該テスト化合物の該非存在下で維持された該アリコートに対する、該テスト化合物の該存在下で維持された該アリコートにおける該バイオマーカーの量、構造、および/または活性の有意に増強されたレベルは、該テスト化合物がヒト膵臓細胞発癌可能性を有することを示す、方法。
【請求項50】
テスト化合物の膵臓細胞発癌可能性を評価するためのキットであって、該キットは、膵臓細胞、およびバイオマーカーの発現を評価するための試薬を含み、ここで該バイオマーカーは、請求項17または28に記載の方法によって同定された、キット。
【請求項51】
腫瘍−間質共生を変調する化合物を同定する方法であって、該方法は、以下:
(a)KRASの活性化突然変異を含む動物モデルにテスト化合物を投与する工程であって、ここで、1以上の腫瘍サプレッサー遺伝子または遺伝子座が誤発現されている、工程;および、
(b)該動物モデルにおける膵臓腺癌の開始、維持、または進行に対するテスト化合物の効果を測定し、それにより、腫瘍−間質共生を変調する化合物を同定する工程、
を包含する、方法。
【請求項52】
膵臓腺癌の発生、進行、および/または維持を変調する化合物を同定する方法であって、該方法は、以下:
(a)1以上の腫瘍サプレッサー遺伝子または遺伝子座が誤発現されるKRASの活性化突然変異を含む動物モデル、またはそれから単離された細胞に、テスト化合物を投与する工程、ならびに、
b)該動物モデルにおける膵臓腺癌の開始、維持、または進行に対するテスト化合物の効果を決定して、それにより、膵臓腺癌の発生、進行、および/または維持を変調する化合物を同定する、方法。
【請求項53】
膵臓腺癌の治療または予防するための潜在的治療剤を評価する方法であって、該方法は、以下:
a)1以上の腫瘍サプレッサー遺伝子または遺伝子座は誤発現されるKRASの活性化突然変異を含む動物モデル、またはそれから単離された細胞に、テスト化合物を投与する工程、ならびに、
b)該動物モデルにおける膵臓腺癌の開始、維持、または進行に対するテスト化合物の効果を測定し、それにより、膵臓腺癌の治療または予防のための潜在的治療剤を評価する、方法。
【請求項54】
前記化合物が、蛋白質、核酸分子、抗体、リボザイム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、および有機低分子または非有機低分子よりなる群から選択される、請求項37または38のうちの1項に記載の方法。
【請求項55】
膵臓腺癌を有するかまたは膵臓腺癌を発症する危険性がある被験体において、膵臓腺癌を治療または予防する方法であって、該方法は、請求項37で同定された化合物を被験体に投与し、それにより、膵臓腺癌をそれを発症する危険性がある被験体において膵臓腺癌を治療または予防する工程、を包含する、方法。
【請求項56】
KRASの活性化突然変異を含み、ここで、1以上の腫瘍サプレッサー遺伝子または遺伝子座が誤発現されている、膵臓腺癌の動物モデル由来の単離された細胞、または膵臓腺癌の動物モデル由来の細胞の精製された調製物。
【請求項57】
前記細胞が該膵臓腺癌の動物モデル由来の膵臓組織から単離された、請求項56に記載の単離された細胞。
【請求項58】
該細胞が、上皮、間質、腺房、または管細胞である、請求項57に記載の単離された細胞。
【請求項59】
前記細胞がトランスジェニック細胞である、請求項56に記載の細胞。
【請求項60】
前記トランスジェニック細胞がマウス細胞である、請求項57に記載の細胞。
【請求項61】
被験体が膵臓腺癌を罹患しているか、または膵臓腺癌を発症する危険性があるか否かを評価する方法であって、該方法は、最小共通領域(MCR)の正常なコピー数に対して、該被験体試料における該MCRのコピー数を比較する工程を包含し、ここで、該MCRは表2に列挙されたMCRよりなる群から選択され、そして該試料における該MCRの改変されたコピー数は、該被験体が膵臓腺癌を罹患しているか、または膵臓腺癌を発症する危険性があることを示す、方法。
【請求項62】
前記コピー数が蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)によって評価される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記コピー数が定量PCR(qPCR)によって評価される、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記正常なコピー数が対照試料から得られる、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
被験体が膵臓腺癌、または膵臓腺癌を発症する危険性があるか否かを評価する方法であって、該方法は、以下:
a)被験体試料におけるバイオマーカーの量、構造、および/または活性であって、ここで、該バイオマーカーは表2に列挙されたMCRに存在するバイオマーカーである、量、構造、および/または活性と、
b)該バイオマーカーの正常な量、構造、および/または活性;
とを比較する工程を包含し、
ここで、該試料における該バイオマーカーの量、構造および/または活性と、該正常な量、構造、および/または活性との間の有意な差は、該被験体が膵臓腺癌を罹患しているか、または膵臓腺癌を発症する危険性があることを示す、方法。
【請求項66】
前記バイオマーカーの量が比較される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記バイオマーカーの構造が比較される、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記バイオマーカーの活性が比較される、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記バイオマーカーの量が、該バイオマーカーの発現レベルを測定することによって測定される、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
前記バイオマーカーの量が、該バイオマーカーのコピー数を測定することによって測定される、請求項65に記載の方法。
【請求項71】
前記バイオマーカーの前記正常な量/構造、および/または活性が、被験体試料から得られる、請求項65に記載の方法。
【請求項72】
前記試料が、血液、尿、糞、胆汁、膵臓細胞または膵臓組織よりなる群から選択される、請求項61または65に記載の方法。
【請求項73】
前記コピー数が、比較ゲノミックハイブリダイゼーション(CGH)によって評価される、請求項61または70に記載の方法。
【請求項74】
前記CGHがアレイ上で行われる、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記試料における前記バイオマーカーの発現の前記レベルが、該バイオマーカーに対応する蛋白質の該試料中の存在を検出することによって評価される、請求項69に記載の方法。
【請求項76】
前記蛋白質の前記存在が、該蛋白質に特異的に結合する試薬を用いて検出される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記試薬が、抗体、抗体誘導体、および抗体フラグメントよりなる群から選択される、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記試料における前記バイオマーカーの発現の前記レベルが、転写されたポリヌクレオチドまたはその部分の該試料中での存在を検出することによって評価され、ここで、該転写されたポリヌクレオチドは該バイオマーカーを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項79】
前記転写されたポリヌクレオチドがmRNAである、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記転写されたポリヌクレオチドがcDNAである、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
前記検出する工程が、さらに、前記転写されたポリヌクレオチドを増幅する工程を包含する、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
前記試料における前記バイオマーカーの発現の前記レベルが、ストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件下で、該バイオマーカーにアニールするかまたはポリヌクレオチドの一部にアニールする、転写されたポリヌクレオチドの該試料中での存在を検出することによって評価され、ここで、該ポリヌクレオチドは該バイオマーカーを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項83】
被験体において膵臓腺癌の進行をモニターする方法であって、該方法は、以下:
a)バイオマーカーの量、および/または活性を第一の時点にて被験体試料において測定する工程であって、該バイオマーカーは表2に列挙されたMCRに存在する、工程;
b)その後の時点において工程a)を繰り返す工程;ならびに、
c)工程a)およびb)で検出された該量および/または活性を比較し、それより、該被験体における膵臓腺癌の進行をモニターする工程、
を包含する、方法。
【請求項84】
前記試料が、血液、尿、糞、胆汁、膵臓細胞または膵臓組織よりなる群から選択される、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記バイオマーカーの活性が測定される、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
前記バイオマーカーの量が測定される、請求項83に記載の方法。
【請求項87】
前記バイオマーカーの量が、該バイオマーカーの発現の該レベルを測定することによって測定される、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記試料における前記バイオマーカーの発現の前記レベルが、該バイオマーカーに対応する蛋白質の該試料中での存在を検出することによって評価される、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
前記蛋白質の存在が、該蛋白質に特異的に結合する試薬を用いて検出される、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記試薬が、抗体、抗体誘導体、および抗体フラグメントよりなる群から選択される、請求項に89記載の方法。
【請求項91】
前記試料における前記バイオマーカーの発現の前記レベルが、転写されたポリヌクレオチドまたはその一部の、該試料中での存在を検出することによって評価され、ここで、該転写されたポリヌクレオチドが該バイオマーカーを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項92】
前記転写されたポリヌクレオチドがmRNAである、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記転写されたポリヌクレオチドがcDNAである、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記検出する工程が、さらに、前記転写されたポリヌクレオチドを増幅する工程を包含する、請求項91に記載の方法。
【請求項95】
前記試料における前記バイオマーカーの発現の前記レベルが、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、該バイオマーカーにアニールするかまたはポリヌクレオチドの部分にアニールする転写されたポリヌクレオチドの、該試料中での存在を検出することによって評価され、ここで、該ポリヌクレオチドは該バイオマーカーを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項96】
前記試料が、前記被験体から得られた細胞を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項97】
第一の時点と、その後の時点との間に、前記被験体が膵臓腺癌の治療を受けて、膵臓腺癌についての治療を完了し、そして/または緩解中である、請求項83に記載の方法。
【請求項98】
被験体において膵臓腺癌を阻害するについてテスト化合物の効率を評価する方法であって、該方法は、以下:
a)該被験体から得られ、かつ該テスト化合物の存在下で維持された第一の試料におけるバイオマーカーの量および/または活性であって、ここで、該バイオマーカーは表2に列挙されたMCRに存在するバイオマーカーである、量および/または活性と、
b)該被験体から得られ、かつテスト化合物の非存在下で維持された第二の試料における該バイオマーカーの量および/または活性
とを比較する工程を包含し、
ここで、該第二の試料に対する、膵臓腺癌で欠失されたMCRに存在する第一の試料における該バイオマーカーの有意に高い量および/または活性は、該テスト化合物が膵臓腺癌を阻害するのに効果的であることを示し、そしてここで、該第二の試料に対する、膵臓腺癌で増幅されたMCRに存在する該第一の試料における該バイオマーカーの有意に低い量および/または活性は、顔テスト化合物が該被験体において膵臓腺癌を阻害するのに有効であることを示す、方法。
【請求項99】
前記第一の試料および第二の試料が、前記被験体から得られた単一の試料の一部である、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記第一の試料および第二の試料が、前記被験体から得られたプールされた試料の一部である、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
被験体において膵臓腺癌を阻害するについて療法の効率を評価する方法であって、該方法は、以下:
a)該被験体へ療法の少なくとも一部を提供する前に、該被験体から得られた第一の試料におけるバイオマーカーの量および/または活性であって、ここで、該バイオマーカーは表2に列挙されたMCRに存在するバイオマーカーである、量および/または活性と、
b)療法の一部を提供した後に、該被験体から得られた第二の試料における該バイオマーカーの量および/または活性;
とを比較する工程を包含し、
ここで、該第二の試料に対する、膵臓腺癌で欠失されたMCRに存在する該第一の試料における該バイオマーカーの有意に高い量および/または活性は、該テスト化合物が膵臓腺癌を阻害するのに効果的であることを示し、そして、該第二の試料に対する、膵臓腺癌で増幅されたMCRに存在する該第一の試料における該バイオマーカーの有意に低い量および/または活性は、該療法が該被験体において膵臓腺癌を阻害するのに効果的であることを示す、方法。
【請求項102】
膵臓腺癌を変調することができる組成物を選択する方法であって、該方法は、以下:
a)膵臓腺癌細胞を含む試料を得る工程;
b)該細胞をテスト化合物と接触させる工程;ならびに、
c)バイオマーカーの量および/または活性を変調する該テスト化合物の能力を測定する工程であって、該バイオマーカーは表2に列挙されたMCRに存在するバイオマーカーである、工程、
を包含し、それにより、膵臓腺癌のモジュレーターを同定する、方法。
【請求項103】
前記細胞が膵臓腺癌の動物モデルから単離された、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記細胞が膵臓腺癌細胞株由来である、請求項102に記載の方法。
【請求項105】
前記細胞が膵臓腺癌を罹患している被験体由来である、請求項102に記載の方法。
【請求項106】
前記細胞が、膵臓腺癌腫瘍に由来する膵臓腺癌細胞株由来である、請求項104に記載の方法。
【請求項107】
膵臓腺癌を変調することができる組成物を選択する方法であって、該方法は、以下:
a)表2に列挙されたMCRに存在するバイオマーカーと、テスト化合物とを接触させる工程;ならびに、
b)表2に列挙されたMCRに存在するバイオマーカーの量および/または活性を変調する該テスト化合物の能力を測定し、それにより、膵臓腺癌を変調することができる組成物を同定する工程、
を包含する、方法。
【請求項108】
さらに、テスト化合物を、膵臓腺癌の動物モデルに投与する工程を包含する、請求項102または107に記載の方法。
【請求項109】
膵臓腺癌を阻害する化合物の能力を評価するためのキットであって、該キットは、表2に列挙されたMCRに存在するバイオマーカーの量、構造、および/または活性を評価するための試薬を含む、キット。
【請求項110】
被験体が膵臓腺癌を罹患しているか否かを評価するためのキットであって、該キットは、表2に列挙されたMCRよりなる群から選択されるMCRのコピー数を評価するための試薬を含む、キット。
【請求項111】
被験体が膵臓腺癌を罹患しているか否かを評価するためのキットであって、該キットは、表2に列挙されたMCRに存在するバイオマーカーの量、構造、および/または活性を評価するための試薬を含む、キット。
【請求項112】
ヒト膵臓腺癌細胞の存在を評価するためのキットであって、該キットは、抗体またはそのフラグメントを含み、ここで、該抗体またはそのフラグメント、は表2に列挙されたMCRに存在するバイオマーカーに対応する蛋白質に特異的に結合する、キット。
【請求項113】
膵臓腺癌細胞の存在を評価するためのキットであって、該キットは、核酸プローブを含み、ここで、該プローブは、表2に列挙されたMCRに存在するバイオマーカーに対応する転写されたポリヌクレオチドに特異的に結合する、キット。
【請求項114】
前記核酸プローブが分子ビーコンプローブである、請求項113に記載のキット。
【請求項115】
膵臓腺癌に罹患した被験体を治療する方法であって、該方法は、表2に列挙されたMCRに存在するバイオマーカーに対応する遺伝子または蛋白質の量および/または活性のモジュレーターを該被験体に投与し、それにより、膵臓腺癌に罹患した被験体を治療する工程を包含する、方法。
【請求項116】
膵臓腺癌に罹患した被験体を治療する方法であって、該方法は、膵臓腺癌において増幅された表2に列挙されたMCRに存在するバイオマーカーに対応する遺伝子または蛋白質の量および/または活性を阻害する化合物を該被験体に投与し、それにより、膵臓腺癌に罹患した被験体を治療する、方法。
【請求項117】
前記化合物が薬学的に受容可能な処方で投与される、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記化合物が、前記バイオマーカーに対応する蛋白質に特異的に結合する、抗体またはその抗原結合フラグメントである、請求項116に記載の方法。
【請求項119】
前記抗体がトキシンに結合体化した、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記抗体が化学療法剤に結合体化した、請求項118に記載の方法。
【請求項121】
前記化合物が、前記バイオマーカーに対応する遺伝子の発現を阻害するRNA干渉因子である、請求項116に記載の方法。
【請求項122】
前記RNA干渉因子が、siRNA分子またはshRNA分子である、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
前記化合物が、前記バイオマーカーに対応する遺伝子に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項116に記載の方法。
【請求項124】
前記化合物が、ペプチドまたはペプチドミメティックである、請求項116に記載の方法。
【請求項125】
前記化合物が、前記バイオマーカーの活性を阻害する低分子である、請求項116に記載の方法。
【請求項126】
前記低分子が、バイオマーカーと標的蛋白質との間の蛋白質−蛋白質相互作用を阻害する、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記化合物が、前記バイオマーカーの発現または活性を阻害するアプタマーである、請求項116に記載の方法。
【請求項128】
膵臓腺癌に罹患した被験体を治療する方法であって、該方法は、膵臓腺癌において欠失される、表2に列挙されたMCRに存在するバイオマーカーに対応する遺伝子または蛋白質の発現または活性を増加させる化合物を、該被験体に投与する工程を包含し、それにより、膵臓腺癌に罹患した被験体を治療する、方法。
【請求項129】
膵臓腺癌に罹患した被験体を治療する方法であって、該方法は、膵臓腺癌において欠失される表2に列挙されたMCRに存在するバイオマーカーに対応する蛋白質を、該被験体に投与する工程を包含し、それにより、膵臓腺癌に罹患した被験体を治療する、方法。
【請求項130】
前記蛋白質が、該蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターによって前記被験体の前記細胞に提供される、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記化合物が、薬学的に受容可能な処方にて投与される、請求項128に記載の方法。
【請求項132】
表2に列挙されたMCRから選択されるMCR内に含まれる単離された核酸分子、またはそのフラグメントであって、該核酸分子は膵臓腺癌において改変された量、構造、および/または活性を有する、単離された核酸分子またはそのフラグメント。
【請求項133】
請求項132記載の核酸分子によってコードされる、単離されたポリペプチド。
【請求項134】
前記バイオマーカーが、配列番号23のバイオマーカーおよび配列番号24のバイオマーカーよりなる群から選択される、請求項22記載のバイオマーカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−523631(P2007−523631A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541469(P2006−541469)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/039756
【国際公開番号】WO2005/053512
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(500122857)デイナ−ファーバー キャンサー インスティチュート,インコーポレイテッド (11)
【出願人】(504074710)ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア (20)
【Fターム(参考)】