説明

自動ガイドシステム

【課題】進行状況に則したガイドを実行。
【解決手段】ナビゲーションシステム1と、映像及び音声ガイダンスによりガイドするコンテンツ実行システム2とを有し、コンテンツ実行システム2は、ガイドデータ記憶部6と、表示部7と、オーディオ部8と、現在位置とコンテンツ開始点の差が設定範囲内になったかの判定手段と、コンテンツを読込み実行する手段と、コンテンツ実行時間の設定値と実際値の照合手段と、照合手段の結果に基づきコンテンツデータの長さを編集する手段とを有し、ガイドデータ記憶部6には、全ての観光ポイント用のコンテンツデータが格納され、各コンテンツデータには少なくとも1個のコンテンツデータを有し、各コンテンツデータは、複数個の優先順位のあるセンテンスデータで構成され、各センテンスデータは映像データ及び音声ガイダンスデータで構成され、編集手段により、センテンスデータを合計時間を実行時間に納まる長さにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば観光バスや遊覧船における観光ガイドを、GPSの様な他律航法と方位センサ(例えばジャイロセンサ)と車速センサ・加速度センサなどによる自律航法に基づき、対象となる観光ポイントに到達した時点で自動的に実行する様にした自動ガイドシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、観光バスや遊覧船における観光ガイドにあっては、ガイド添乗員により行われるのが一般的であるが、下記の様な課題を有していた。
(1)使用言語の異なる乗客が混在している場合には対応出来ない。
(2)観光ポイントの昔の風景などの視覚的な補足データを開示できず、出来たとしてもタイムリーに出来ない。
(3)ガイド添乗員は起立姿勢のため、事故や急ブレーキ時の衝撃に対し安全確保し難い。
【0003】
そこで、GPSの様な他律航法と方位センサ(例えばジャイロセンサ)と車速センサ・加速度センサによる自律航法とのハイブリッド航法によるナビゲーションシステムを利用して、観光ポイントに到達した時点でガイドコンテンツが実行され画像及び音声ガイダンスによるガイドが開始される様にして、ガイド添乗員を不要にした自動ガイドシステムが見受けられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−337354号公報(段落番号〔0002〕、〔0003〕参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来技術にあっては、単に画像データ及び音声ガイダンスを再生するだけで所要時間が決まっていることから、その途中で次の観光ポイントに到達してしまったり、予期せぬ渋滞や赤信号に捕まってしまうことで、ガイド終了後に次の観光ポイントに到達するまでの間に何もガイドしないことになるため、臨機応変に対応出来ず進行状況に則したガイドを実行出来ないなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記従来技術に基づく、進行状況に則したガイドを実行出来ない課題に鑑み、移動手段の現在位置を各種位置情報などに基づき確定するナビゲーションシステムと、観光ポイントを映像及び音声ガイダンスによりガイドするコンテンツを実行するシステムとを有し、該コンテンツ実行システムは、観光ポイントを映像及び音声ガイダンスでガイドするためのコンテンツデータが格納されたガイドデータ記憶部と、映像データの表示部と、音声ガイダンスデータを再生するオーディオ部と、上記現在位置の算定値とコース上に設定した観光ポイントのコンテンツの開始点の設定値の差が設定範囲内になったか否かの判定手段と、設定範囲内になった時点で該当コンテンツを読込み実行する手段と、コンテンツ実行時間の設定値と実際値の照合手段と、該照合手段の結果に基づきコンテンツデータの長さを編集する手段とを有し、上記ガイドデータ記憶部には、全ての観光ポイント用のコンテンツデータファイルが格納され、各コンテンツデータファイルには少なくとも1個のコンテンツデータを有し、各コンテンツデータは、複数個の優先順位のあるセンテンスデータで構成され、各センテンスデータは映像データ及び音声ガイダンスデータで構成され、上記編集手段により、センテンスデータを優先順位通りに組合せて実際の実行時間に納まる長さにする様にしたことによって、コンテンツデータの実行可能な時間が進行状況によって変化することに対応可能にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
要するに本発明は、移動手段の現在位置を各種位置情報などに基づき確定するナビゲーションシステムと、観光ポイントを映像及び音声ガイダンスによりガイドするコンテンツを実行するシステムとを有し、該コンテンツ実行システムは、観光ポイントを映像及び音声ガイダンスでガイドするためのコンテンツデータが格納されたガイドデータ記憶部と、映像データの表示部と、音声ガイダンスデータを再生するオーディオ部と、上記現在位置の算定値とコース上に設定した観光ポイントのコンテンツの開始点の設定値の差が設定範囲内になったか否かの判定手段と、設定範囲内になった時点で該当コンテンツを読込み実行する手段と、コンテンツ実行時間の設定値と実際値の照合手段と、該照合手段の結果に基づきコンテンツデータの長さを編集する手段とを有し、上記ガイドデータ記憶部には、全ての観光ポイント用のコンテンツデータファイルが格納され、各コンテンツデータファイルには少なくとも1個のコンテンツデータを有し、各コンテンツデータは、複数個の優先順位のあるセンテンスデータで構成され、各センテンスデータは映像データ及び音声ガイダンスデータで構成され、上記編集手段により、センテンスデータを優先順位通りに組合せて実際の実行時間に納まる長さにする様にしたので、進行状況に則したコンテンツとして実行することが出来る。
又、GPSの位置情報だけでなく、走行距離、ジャイロ(方位センサ)のデータを基に、ガイドマップにおけるルート上に車の位置データをマップマッチングすることは周知であるが、一般のGPSナビゲーションシステムでは全ての道路を網羅せねばならず、マップマッチング処理が複雑になるが、本願のシステムを観光バスに使用する場合、ルートとして利用する道路だけに絞ったり、迂回コースとして利用する道路だけに絞ったり、或いは通過可能な道路に絞って作成してマッチング処理を施す様にすれば、誤った道路へのマッチングが発生し難い、簡単且つ高精度なマップマッチング処理を行うことが出来る。
【0008】
音声ガイダンスデータを複数の言語データで構成し、かかる音声ガイダンスデータを各言語データに分けてオーディオ部に出力すると共に、該オーディオ部により各言語データによるコンテンツを選択可能にしたので、使用言語の異なる乗客が混在していても対応させることが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る自動ガイドシステムの基本フローチャート図である。
【図2】自動ガイドシステムにおけるナビゲーションシステムのフローチャート図である。
【図3】自動ガイドシステムにおける画面の切り換えフローチャート図である。
【図4】自動ガイドシステムにおけるコンテンツ実行システムのプライオリティ編集のフローチャート図である。
【図5】記憶媒体の構成図である。
【図6】本発明に係る自動ガイドシステムの概略図である。
【図7】図5の自動ガイドシステムの一例を示す概略図である。
【図8(a)】ガイドマップの表示状態を示す図である。
【図8(b)】図8(a)と進行方向が逆のガイドマップの表示状態を示す図である。
【図9】船舶用の自動ガイドシステムにおけるガイドマップの表示状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る自動ガイドシステムにあっては、図5に示す様に、該自動ガイドシステムを装備した車、船などの移動手段の現在位置Xの座標を各種位置情報などに基づき確定するナビゲーションシステム1と、観光ポイントA1、A2…の映像及び音声ガイダンスによるコンテンツを実行するシステム2とを有している。
【0011】
上記ナビゲーションシステム1にあっては、図5、6に示す様に、GPS(Global Positioning System)受信機を備え、複数の人工衛星からの電波を同時受信して移動手段の測位データを得るGPS部3と、方位センサ(ジャイロセンサ)、車速センサ、加速度センサなどの自律型センサを備え、該自律型センサの出力データから移動手段の移動距離、移動方位を算定する自律測位部4と、上記GPS部3及び自律測位部4からの出力データに基づき移動手段の現在位置Xの座標を演算する手段とを有している。
尚、上記ナビゲーションシステムに1あっては、必要に応じて、ガイドコース及び想定される迂回コースを、後述する表示部7にガイドマップMとして表示するための地図データが格納された地図データ記憶部5を有し、上記現在位置Xを、後述する表示部7に表示されたガイドマップMのコース上に、図8(a)、(b)及び図9に示す様に表示するのが好ましい。
【0012】
上記コンテンツ実行システム2にあっては、図5、6に示す様に、観光ポイントA1、A2…を映像及び音声ガイダンスでガイドするためのコンテンツが格納されたガイドデータ記憶部6と、映像データの表示部7と、音声ガイダンスデータを再生するオーディオ部8と、上記現在位置Xの算定値と観光ポイントA1、A2…をガイドするためにコース上に設定したコンテンツ開始点P1、P2…の設定値の差が設定範囲内になったか否かの判定手段と、設定範囲内になった時点で該当コンテンツを読込み実行する手段と、コンテンツ実行時間の設定値と実際値の照合手段と、該照合手段の結果に基づきコンテンツデータの長さを編集する手段とを有している。
【0013】
尚、図6に示す様に、上記ナビゲーションシステムにおける演算処理と、上記コンテンツ実行システムにおける読込・実行手段、照合手段及び、編集手段は、1台のシステムPC9で行い、該システムPC9には各種データの記憶手段、上記表示部7を接続するグラフィックボード、上記オーディオ部8を接続する5.1chサウンドボードを有し、開始ボタン及び終了ボタンを有するスイッチユニットが接続されており、上記記憶手段は、システムPC9に対し着脱自在な記憶媒体10とするのが好ましい。
【0014】
上記ナビゲーションシステム1における地図データ記憶部5及び上記コンテンツ実行システム2におけるガイドデータ記憶部6は、図6、7に示す様に、上記システムPC9に装着する記憶媒体10、具体的には上記システムPC9における記憶媒体用コネクタに装着するUSBメモリ10内に設定し、この1個のUSBメモリ10内の所定領域を地図データ記憶部5及びガイドデータ記憶部6として割り振り、更に各種算定値及び測定値などからなるログデータを格納するログデータ記憶部11を割り振っても良い。
よって、各観光コース毎に専用のUSBメモリ10を作成すれば、該USBメモリ10を交換するだけで、観光コースの変更に簡単に対応することが可能になる。
【0015】
上記ガイドデータ記憶部6には、図7に示す様に、複数のコンテンツを実行するためのデータファイルCF1、CF2…が格納され、各コンテンツデータファイルCF1、CF2…には、各観光ポイントA1A2…へのアプローチ方向の違いによる音声ガイダンスの内容の変更に対応可能にすべく複数のコンテンツデータCD1、CD2…を有し、該コンテンツデータCD1、CD2…の夫々は、複数個の優先順位のあるセンテンスデータSD1、SD2…で構成され、各センテンスデータSD1、SD2…は映像データ及び音声ガイダンスデータで構成されている。
優先順位1位のセンテンスデータSD1は、次の観光ポイントA1、A2…との間がスムーズに流れた場合の最短時間内に確実に納まる様に作成されており、優先順位2位以降のセンテンスデータSD2、SD3…を、所要時間内に納まる様に、センテンスデータSD1に連続してプライオリティ上位のものから組み込んで1つのコンテンツとする様に編集した上で実行するか、或いは編集しながら実行する。
尚、音声ガイダンスデータは、多言語対応にすべく複数の言語データで構成されており、映像データと共に多言語データを同時に実行する様に設定されている。
【0016】
更に、各コンテンツデータファイルCF1、CF2…には、コンテンツデータCD1、CD2…の他に、優先順位最下位のセンテンスデータが終了した後に、次の観光ポイントまでの間に挟み込む補助コンテンツデータSC(例えば、コマーシャル映像データ)を格納しても良い。
【0017】
例えば、図8(a)、(b)に示す様に、経路上の観光ポイントA1、A2、A3は、左方向から進行した場合には左側に観光ポイントA1、A2、A3の順で位置することになるが、反対の右方向から進行した場合には右側に観光ポイントA3、A2、A1の順で位置することになるため、観光ポイントA1、A2、A3のコンテンツデータファイルCF1、CF2、CF3の夫々に少なくとも2種類のコンテンツデータCD1、CD2を備えておき、具体的には、コンテンツデータCD1における音声ガイダンスの冒頭を「右に見えますのが〜」とし、コンテンツデータCD2における音声ガイダンスの冒頭を「左に見えますのが〜」とする様にセンテンスデータSD1を作成する。
【0018】
上記表示部7にあっては、図示しないが、2個のモニターを使用して、一方でガイドマップM及びコンテンツ映像を、他方でバスガイド映像(実写又はCG)を表示しても良く、バスガイド映像はコンテンツ毎にその方向を手で指し示す様な動画とし、更にバスガイドのキャラクター自体を、コンテンツに合わせて変更する様にしても良い。
【0019】
上記オーディオ部8にあっては、多言語音声ガイダンスを別々に同時再生可能な機能を有しており、例えば全座席の夫々にチャンネル及びイヤホンプラグを有し、該チャンネルで複数の番組を切り換え可能に配信可能にした多チャンネル音声システムが既存の場合にはそのままの設備を利用して、チャンネルを切り替えることで言語を選択する様にし、1チャンネル音声システムが既存の移動手段の場合、システムPC9における5.1chサウンドボードに、FM・AM送信機や、赤外線、光又は各種電波の送信機などの無線送信機12を接続し、各乗客に例えばFMラジオ、PDA(Personal Digital Assistat)の様な受信端末13を貸与して、例えば無線送信機12をFMトランスミッターとし受信端末13をFMラジオとした場合、周波数毎に言語を割り振り、所望言語の周波数を合わせて音声ガイダンスが聞ける様にする。
要するに、無線送信機12から送信された多言語データを受信した受信端末13側で選択可能であれば良い。
【0020】
本発明に係る自動ガイドシステムにおける自動ガイドプログラムにあっては、基本的に、GPS部3及び自律測位部4からのデータなどに基づき移動手段の現在位置Xを算定し且つ所要時間を算定し、必要に応じてガイドマップM及び移動手段の現在位置Xを画面表示するナビゲーションプログラムと、コンテンツデータCF1、CF2…の実行プログラムとを有している。
又、上記自動ガイドプログラムの記憶部14を上記USBメモリ10に設定しても良く、該自動ガイドプログラム記憶部14内に上記ナビゲーションプログラム及びコンテンツ実行プログラムを格納し、かかるUSBメモリ10を記憶媒体用コネクタに装着すると、プログラムデータがシステムPC9側に出力される様になっている。
【0021】
そして、上記ナビゲーションプログラム及びコンテンツデータの実行プログラムを有する自動ガイドプログラムをシステムPC9により実行すべく、開始ボタンを押し本発明に係る自動ガイドシステムをスタートさせれば、図2に示す様に、GPS部3及び自律測位部4から随時出力されてくる出力データを上記ナビゲーションプログラムにより演算処理(補正処理としてのマップマッチング処理を含む)を実行して、移動中の移動手段のコース上での現在位置Xを随時算定し、コンテンツが実行中でなければ、表示部7に表示されたガイドマップMにおけるコース上に現在位置Xを表示し、コンテンツ実行中であっても、ナビゲーションプログラムによる演算処理は別途に実行され続ける。
よって、図3に示す様に、開始ボタンを押すと、表示部7にコース上に現在位置Xを合わせ込んだガイドマップMが表示され、コンテンツが実行されると表示部7の画面がコンテンツ映像に切り換わり、コンテンツが終了すると、コンテンツ実行中であってもナビゲーションプログラムによる演算処理は別途に実行され続けられていたために、再びガイドマップMに瞬時に切り換えられる。
【0022】
そして、コンテンツ実行プログラムにあっては、図1に示す様に、開始ボタンを押すと、ナビゲーションプログラムによる演算処理による現在位置Xの算定値と設定値を比較し、その差が設定範囲内になった時点で「イベント発生」となり、対応するコンテンツを決定し、実行済みフラグが無いことを確認した上でコンテンツデータを読み込み実行すると共に、実行されたコンテンツデータが格納されたコンテンツデータファイルCF1、CF2…に実行済フラグを立て、この処理情報をログファイルに書き出す。
【0023】
又、コンテンツを実行する際には、図4に示す様な「プライオリティ編集」処理を行うために、ガイド対象のA1、A2…のコンテンツデータファイルCF1、CF2…における該当するコンテンツデータCD1、CD2…を読み込み、このコンテンツデータCD1、CD2…に「全センテンス完了指令」が無かった場合、プライオリティ最上位の第1センテンスファイルSD1における映像データ及び音声ガイダンスデータを実行すると同時に、コンテンツ実行時間の実際値と設定値を照合する「コースデータ照合」により、次のセンテンスが実行可能か否かを判断し、不可能であればコンテンツを終了し、可能且つ全センテンスが終了していなければ、実行中のセンテンスの終了後にプライオリティ次位のセンテンスデータSD2、SD3…における映像データ及び音声ガイダンスデータを続けて実行して、上記と同様に「コースデータ照合」以降の処理を実行し、可能且つ全センテンスが終了していれば、補助コンテンツデータSCの有無を確認し、「有」で実行する時間的猶予があれば補助コンテンツを実行し、「有」でも実行する時間的猶予がなかったり、そもそも補助コンテンツデータSCが「無」であればコンテンツを終了する。
又、読み込まれたコンテンツデータCD1、CD2…に全センテンス完了指令があった場合であっても、センテンスデータSD1、SD2…をプライオリティ最上位から順に実行するが、「コースデータ照合」は行わず、実行中に「イベント発生」となった場合に、次のコンテンツの実行を保留として、実行中のコンテンツをそのまま継続し、完全に終了した後に次の対応するコンテンツを、上記と同様に実行する。
【0024】
よって、例えば移動手段が観光バスで、やむなくコース変更して観光ポイントA1、A2…へのアプローチ方向が変更されてしまっても、観光ポイントA1、A2…の夫々に複数のコンテンツデータCD1、CD2…があるため、該当するコンテンツデータCD1、CD2…を選択して実行するが、所要時間の測定値と設定値を比較する「コースデータ照合」により進行状況を随時判断しその結果に応じて実行時間を決定し、この実行時間に納まる様にセンテンスデータSD1、SD2…をプライオリティ順に組み立てる「プライオリティ編集」処理を施した後に実行する。
或いは、プライオリティーの高い順に並べられたセンテンスを順次実行し、その過程で所要時間の測定値と設定値を比較する「コースデータ照合」により道路状況を判断し、その結果、全てのセンテンスを実行出来ないと判断した場合、実行可能なセンテンスが完了した時点でコンテンツを終了させる。
又、全てのセンテンスを実行済みと判断し、尚且つ次のコンテンツが実行されるまでの間にある程度の時間が残っていた場合、例えばコマーシャル映像などの補助コンテンツがあればそれを差し込む。
【0025】
つまり、センテンスはプライオリティの高い順に実行されるが、ガイド開始からの全体的な進行状況からコンテンツの長さを予め設定した上で、実際に区間内(隣接する観光ポイント間)に納まる様に編集する方式か、或いは上位センテンスの実行過程で次位センテンスの実行の可否を、所要時間の実測値により進行状況を把握し設定値と比較して判断して編集する方式があるが、要するに走行距離及び所要時間の設定値と算定値を比較する「コースデータ照合」処理を行い、その結果に基づき、コンテンツを実際の実行時間の長さに編集する「プライオリティー編集」処理を行うことが可能ならば、上記方式に限定しない。
【0026】
但し、全てのセンテンスを実行出来ないと判断した場合であってもコンテンツを中断せずに継続実行する様にしても良く、具体的にはコンテンツ実行中に次のコンテンツ実行開始ポイントに到達してもそのコンテンツ実行を保留としてそのまま継続し、コンテンツが完全に終了した後に次のコンテンツを実行する様に定義付けすることも可能にしている。
【0027】
そして、実行済みのコンテンツが格納されたコンテンツデータファイルCF1、CF2…に実行済フラグを立てることで、「コースデータ照合」により移動手段の現在位置Xが再度この観光ポイントA1、A2…のコンテンツ開始点P1、P2…に到達したと算定されても、上記実行済フラグが「有」と処理されているため、該当コンテンツの実行が拒否されて重複実行されない様にする。
【0028】
又、複数ある観光ポイントA1、A2…のうち幾つかでは、乗客を降ろしエンジンをストップさせる場合もあるが、終了ボタンを押さない限り観光ガイドは終了せず、エンジンの再スタートに伴い自動ガイドシステムも再スタートし、ナビゲーションプログラムにより表示部7にガイドマップMを表示すると共にコース上に現在位置Xを表示し、必要に応じてログデータをチェックしてどこまで終了したかを確認する。
【0029】
上記自動ガイドシステムにおける移動手段の対象は、観光バスの様な自動車であるが、
船舶とした場合であっても略同構成であるが、ガイドマップMに予定航路Lを表示し、GPS部3及び自律測位部4から随時出力されてくる出力データを上記ナビゲーションプログラムにより演算処理する際の現在位置Xの補正処理はマップマッチングではなく、その算定値の平均値を算定して航跡Laとして表示し、且つ予測航路Lbを表示するが、GPS部3からのデータに基づく算定値が許容範囲以上になった場合、その数値は異常値として除外した上で平均値を算定する。
【0030】
尚、船舶にはAIS(Automatic Identification System:自動船舶識別装置)が標準搭載されており、該AISは、各船舶に専用のVHF帯デジタル無線機器を設置し、VHF帯電波で他船舶及び海上交通センターなどの陸上施設に、識別番号、船名、種類、位置、針路、速力、航行状態及びその他の安全に関する情報を自動的に送受信して、船舶−船舶、船舶−陸上施設の情報交換を行うシステムであることから、このデータを利用して、図9に示す様に、表示部7で表示可能なエリア内の船舶の現在位置Y1、Y2…を各種情報と共にガイドマップM上に表示する様にしている。
【符号の説明】
【0031】
1 ナビゲーションシステム
2 コンテンツ実行システム
6 ガイドデータ記憶部
7 表示部
8 オーディオ部
A1、A2… 観光ポイント
CD1、CD2… コンテンツデータ
CF1、CF2… コンテンツデータファイル
P1、P2… コンテンツ開始点
SD1、SD2… センテンスデータ
X 現在位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動手段の現在位置を各種位置情報などに基づき確定するナビゲーションシステムと、観光ポイントを映像及び音声ガイダンスによりガイドするコンテンツを実行するシステムとを有し、該コンテンツ実行システムは、観光ポイントを映像及び音声ガイダンスでガイドするためのコンテンツデータが格納されたガイドデータ記憶部と、映像データの表示部と、音声ガイダンスデータを再生するオーディオ部と、上記現在位置の算定値とコース上に設定した観光ポイントのコンテンツの開始点の設定値の差が設定範囲内になったか否かの判定手段と、設定範囲内になった時点で該当コンテンツを読込み実行する手段と、コンテンツ実行時間の設定値と実際値の照合手段と、該照合手段の結果に基づきコンテンツデータの長さを編集する手段とを有し、上記ガイドデータ記憶部には、全ての観光ポイント用のコンテンツデータファイルが格納され、各コンテンツデータファイルには少なくとも1個のコンテンツデータを有し、各コンテンツデータは、複数個の優先順位のあるセンテンスデータで構成され、各センテンスデータは映像データ及び音声ガイダンスデータで構成され、上記編集手段により、センテンスデータを優先順位通りに組合せて実際の実行時間に納まる長さにする様にしたことを特徴とする自動ガイドシステム。
【請求項2】
音声ガイダンスデータを複数の言語データで構成し、かかる音声ガイダンスデータを各言語データに分けてオーディオ部に出力すると共に、該オーディオ部により各言語データによるコンテンツを選択可能にしたことを特徴とする請求項1記載の自動ガイドシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8(a)】
image rotate

【図8(b)】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−236987(P2010−236987A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84388(P2009−84388)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(597078905)株式会社 アドホック (3)
【Fターム(参考)】