説明

自動ドアの制御装置

【課題】力が弱い者でもドアを容易に開けることができる自動ドアの制御装置を提供する。
【解決手段】制御ユニット8が、ドア2が全閉位置にある場合において、開閉駆動部20によってドア2が開方向に移動しない程度の大きさの予備付勢力をドア2に付与するように開閉駆動部20を制御し、かつ、位置検出部15によってドア2が全閉位置から所定距離以上移動したことが検知されたときには、ドア2が開方向へ移動するように開閉駆動部20を制御することを特徴とする自動ドア1の制御装置10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人がドアを手で開けるときにドアの開放を補助する自動ドアの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、出入り口に開閉自在に設けられた引き戸などのドアにおいては、気密性が高い二重ガラスがはめ込まれたドアや大型のドアなど比較的重量があるドアがあり、このようなドアは、手で開閉するときに動かしにくく、開閉のために大きな力を必要とする。
【0003】
そこで、特許文献1に記載されているように、モータの駆動力を用いてドアの開放を補助する自動ドアがある。
【0004】
この特許文献1記載の自動ドアでは、全閉位置にあるドアを手で所定距離だけ開けることにより、その開動作をマイコンが認識し、モータを駆動させてドアを開方向へ移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−194950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の特許文献1に記載の自動ドアでは、初期動作として、重いドアにもかかわらず、人の力だけでドアを所定距離まで開ける必要がある。そのため、ドアを開けるために大きな力が必要になり、力の弱い者にとってはドアを開ける作業が困難になるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、力が弱い者でもドアを容易に開けることができる自動ドアの制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためのものとして、本発明の自動ドアの制御装置は、ドアの位置を検出する位置検出手段と、前記ドアを開閉させる開閉駆動部と、前記開閉駆動部の駆動制御をする制御部とを備えており、前記制御部は、前記ドアが全閉位置にある場合において、前記開閉駆動部によって前記ドアが開方向に移動しない程度の大きさの予備付勢力を前記ドアに付与するように前記開閉駆動部を制御し、かつ、前記位置検出手段によって前記ドアが全閉位置から所定距離以上移動したことが検知されたときには、前記ドアが開方向へ移動するように前記開閉駆動部を制御することを特徴とするものである。
【0009】
この構成では、ドアを全閉位置から手で所定距離以上移動させたことを位置検出手段が検知したときに、開閉駆動部によってドアを開方向へ移動させるので、最初に手でドアを所定距離以上移動させる動作が開動作開始の合図(トリガー)となっている点では上記の特許文献1記載の自動ドアと共通している。しかし、本発明では、ドアが全閉位置にある場合において、開閉駆動部によってドアが開方向に移動しない程度の予備付勢力をドアにあらかじめ付勢させているので、初期状態においてドアを手で移動させやすくなっている。そのため、力の弱い者であっても、容易にドアを開けることができる。したがって、起動センサを設けなくても、力の弱い者が容易にドアを開けることができる自動ドアを提供できる。
【0010】
また、前記ドアに付勢される予備付勢力の大きさは、前記ドアの走行抵抗に基づいて決定されるのが好ましい。
【0011】
この態様では、ドアに付勢される予備付勢力がドアの走行抵抗に基づいて決定されるので、建物の経年変化等によりドアの走行抵抗が増加した場合には、当該走行抵抗の増加に応じて予備付勢力も大きく設定される。このため、走行抵抗が増加することがあったとしても常に予備付勢力として適切な付勢力を付与できるので、ドアを容易に開けることができる。
【0012】
また、前記制御部は、前記ドアが第1速度で所定時間移動した後に当該第1速度よりも遅い速度である第2速度で所定時間移動するように、前記開閉駆動部を制御し、前記ドアの走行抵抗を測定する走行抵抗測定部をさらに備えており、前記走行抵抗測定部により、前記ドアが前記第2速度で移動しているときの走行抵抗を、前記ドアの走行抵抗として測定するのが好ましい。
【0013】
この構成では、ドアを第1速度で移動させた後に第2速度で移動させる2段階の速度制御を行う場合において、ドアがより低速の第2速度で移動しているときに、ドアの走行抵抗を測定するので、測定時間を長く取ることができ、走行抵抗を正確に求めることができる。
【0014】
さらに、前記走行抵抗測定部は、前記ドアの走行抵抗として、前記ドアが前記第2速度で閉方向へ移動しているときの走行抵抗を測定するのが好ましい。
【0015】
この態様では、ドアの閉動作時において、ドアが全閉位置になる前に減速して低速の第2速度になるときに、走行抵抗測定部によってドアの走行抵抗を測定するようにしている。これにより、予備付勢力をかける全閉位置に近い位置でドアの走行抵抗を測定することができ、しかも、測定時間を長く取ることができる。そのため、走行抵抗をより正確に計測することができる。
【0016】
さらに、前記ドアに付勢される予備付勢力の大きさは、初期状態において初期設定値に設定されており、前記走行抵抗測定部が、前記ドアの走行抵抗が前記初期設定値よりも所定の変化量以上の大きさで変化したことを所定回数以上検出した場合には、前記制御部は、前記予備付勢力の大きさを、そのときの前記ドアの走行抵抗に基づいて、再度設定するのが好ましい。
【0017】
この構成では、予備付勢力を走行抵抗に基づいた最適な大きさに設定できる一方、一時的な走行抵抗の増加の影響を排除することができる。
【0018】
前記走行抵抗測定部は、前記開閉駆動部のモータに印加される電圧および前記ドアの速度に基づいて、前記ドアの走行抵抗を測定するのが好ましい。
【0019】
この態様では、ドアの走行抵抗が開閉駆動部のモータに印加される電圧とドアの速度から求められるため、トルクセンサや抵抗センサなどの特別なセンサが不要となる。
【0020】
また、前記制御部は、前記ドアが開方向または閉方向に移動している間に、前記ドアに所定の大きさ以上の抵抗がかかっていると判断した場合には、前記開閉駆動部に前記ドアの移動を停止させ、その後、前記開閉駆動部によって前記ドアを再度開方向または閉方向へ移動させたときに、再度前記ドアに所定の大きさ以上の抵抗がかかっていると判断した場合には、再度ドアの移動を停止させ、このときの前記ドアの位置が先に停止した位置と同じ位置であった場合には、前記ドアを停止するように前記開閉駆動部を制御するのが好ましい。
【0021】
この態様では、ドアの移動時に所定以上の大きさの抵抗がかかっていると判断した場合には、通行者が手でドアを押さえている可能性があるので、ドアを一旦停止させる。さらに、再度開閉駆動部によってドアを移動させて、ドアに所定以上の大きさの抵抗がかかっているか判断することにより、風などの突発的な原因でドアに一時的に抵抗がかかっている場合を排除して、ある一定時間連続してドアに抵抗がかかっているか否かを判別することができる。そして、2回目の判断時においてもドアに所定の大きさ以上の抵抗がかかっていると判断した場合には、再度ドアを停止させる。このとき、ドアの位置が先に停止した位置と同じ位置であった場合には、手でドアを押さえて停止させていると判断して、ドアを停止するように開閉駆動部の制御を行う。そのため、特別な操作無しに、開閉中のドアを任意の位置で手で停止することができる。
【0022】
さらに前記制御部は、前記ドアが一旦停止した後に再度停止する前に前記開閉駆動部によって再度開方向または閉方向に前記ドアを駆動させた場合において、前記ドアの速度が所定時間以内に所定の速度まで上昇しなかった場合には、前記開閉駆動部のモータの駆動電圧を所定値以下に制限するのが好ましい。
【0023】
この構成では、上記のようにドアの移動時に所定以上の大きさの抵抗がかかっていると判断した場合にドアを一旦停止させたとき、その後、開閉駆動部によってドアを再度移動させた場合において、ドアの速度が所定時間以内に所定速度まで上昇しなかった場合には、手でドアを押さえ続けて停止状態を維持させているものとみなして、ドアを駆動するモータの駆動電圧を所定値以下に制限し、ドアに作用する開方向または閉方向への駆動力を抑えることにより、手でドアを任意の位置で停止させやすくしている。
【0024】
すなわち、一旦停止させたドアを再度開閉駆動部で駆動させる際には、駆動開始から大きな駆動電圧がモータに印加されてドアに作用する開方向または閉方向への駆動力が急激に大きくなるため、ドアを手で止めることが困難になる。そのため、ドアが所定時間以内に所定以上の速度にならない場合には、手で止められていると判断して、モータの駆動電圧を所定以下に制限することにより、手動によらない突発的な抵抗の増加によりドアが意図せず停止するのを防止しつつ、ドアを手で停止させやすくすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ドアが全閉位置にあるときに初期動作として手でドアを所定距離だけ開けるときに、開閉駆動部によりドアに予備付勢力があらかじめ付勢されているので、力が弱い者でもドアを容易に開けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る自動ドアの制御装置の全体構成図である。
【図2】図1のドアの速度の時系列的変化のグラフである。
【図3】図1のモータの印加電圧の時系列的変化のグラフある。
【図4】図1のモータのトルクと回転数との関係を示すグラフであって、等電圧の直線が示されたグラフある。
【図5】図1の自動ドアの制御装置の基本動作に係るメインルーチンを示すフローチャートである。
【図6】図1の自動ドアの制御装置の開動作時における手動停止判別サブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】図1の自動ドアの制御装置の閉動作時における手動停止判別サブルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態に係る自動ドアの制御装置10を備えた自動ドア1は、図1に示されるように、部屋の壁Wに形成された出入口Pを開閉するものであり、ドア2と、そのドア2を開閉制御する制御装置10とから構成されている。この制御装置10は、開閉駆動部20と、制御ユニット8と、位置検出部15とを備えている。
【0028】
ドア2は、部屋の壁Wに形成された出入口Pを開閉する片開きの引き戸である。ドア2は、取っ手11を有しており、ドア2を開閉する人は、取っ手11をつかんでドア2に開方向または閉方向へ操作力を与えることができる。
【0029】
開閉駆動部20は、ドア2を開閉駆動させるものであり、出入口Pの上方の空間(いわゆる無目)に配置されている。
【0030】
開閉駆動部20は、モータ3と、当該モータ3によって回転駆動される駆動プーリ4と、従動プーリ5と、ベルト6と、ドアハンガー7とを備えている。
【0031】
ベルト6は、駆動プーリ4と従動プーリ5との間に掛け回されて配索されたループ状の帯体である。
【0032】
ドアハンガー7は、出入口Pの幅方向に延びるレール(図示せず)上を転動する戸車を有し、レールに沿って移動する。ドアハンガー7は、ドア2の上端部に連結され、ドア2を吊り下げて床面Fから浮いた状態で保持する。また、ドアハンガー7は、ベルト6に連結されており、ベルト6の走行に伴ってドア2の開閉方向Dに水平移動することができる。
【0033】
モータ3は、ブラシレスモータなどが採用されるが、本発明ではとくに限定されるものではない。
【0034】
このような開閉駆動部20では、制御ユニット8による制御によってモータ3が正方向または逆方向に駆動すると、駆動プーリ4が回転し、それに伴って駆動プーリ4および従動プーリ5に掛け回されたベルト6が回転する。このとき、ベルト6に固定されたドアハンガー7および当該ドアハンガー7に吊り下げられたドア2が水平方向へ往復移動することができる。
【0035】
位置検出部15は、ドア2の位置を検出する。位置検出部15は、本発明の位置検出手段の概念に含まれるものである。
【0036】
ホール素子9は、ブラシレスモータからなるモータ3の回転量に応じて信号を発生させる。ホール素子9は、モータ3のケーシング内部に設けられている。
【0037】
位置検出部15は、ホール素子9からの検知信号からモータ3の回転角度を算出し、さらに、そのモータ3の回転角度に基づいてドア2の位置を算出する。
【0038】
制御ユニット8は、モータ3の駆動を制御することにより、ドア2の開閉を制御するユニットである。制御ユニット8は、CPU12と、メモリ13と、走行抵抗測定部14とを有している。また、本実施形態の制御ユニット8は、その内部に位置検出部15を含んでいる。
【0039】
CPU12は、モータ3の駆動を制御する中央演算部である。また、CPU12は、位置検出部15で求めたモータ3の回転角度を時間で微分してモータ3の回転数を算出し、さらに、そのモータ3の回転数からドア2の速度を算出する。
【0040】
本実施形態のCPU12は、ドア2が全閉位置にある場合において、開閉駆動部20によってドア2が開方向に移動しない程度の予備付勢力をドア2にあらかじめ付勢させるように制御する。そのため、ドア2が全閉位置にある初期状態においても予備付勢力によってドア2の開放動作が補助されるので、ドア2を手で移動させやすくなっている。そして、CPU12は、ドア2の全閉位置において、手で取っ手11をつかんでドア2を所定距離以上移動させたときに、ドア2を全閉位置から手で所定距離以上移動させたことを位置検出部15が検知したときに、開閉駆動部20によってドアを開方向へ移動させる制御を行う。
【0041】
メモリ13は、ドア2の全閉位置、全開位置、走行抵抗、および走行プログラムなどを記憶する。
【0042】
ドア2の全閉位置および全開位置については、工場出荷時にあらかじめそれらの設計値がメモリ13に記憶されているが、自動ドア1の据付後は、自動ドア1の使用中に位置検出部15を用いて測定されたそれらの実測値が、全閉位置および全開位置としてメモリ13に記憶される。
【0043】
ドア2の速度Vは、基本的には、図2に示されるドア2の走行プログラムに基づいて第1速度の後に第2速度へ移行するように2段階に制御される。例えば、図3に示される曲線Aのようにモータ3への印加電圧Eを駆動開始から急激に最大値Emaxまで上昇させると、図2に示されるドア速度Vは、最初の加速域I(時間0〜t1)では、所定の加速度で急速に上昇する。ついで、図3に示される曲線Aのように印加電圧Eを少し下げて一定値Econstで維持すると、図2に示される高速域II(時間t1〜t2)では、所定の第1速度Vを維持する。その後、図3には示されていないが、印加電圧Eを一定値Econstからさらに下げることにより、減速域III(時間t2〜t3)では、所定の加速度で減速し、その後、低速域IV(時間t3〜最後のt4)は、所定の第2速度Vを維持して最後に0に戻る。
【0044】
走行抵抗測定部14は、ドア2の走行抵抗を測定する。本実施形態では、図4のグラフに示されるように、モータ3への印加電圧Eとモータ3の回転数Rから、モータ3のトルクQを算出し、モータ3のトルクQからドア2の走行抵抗を算出する。
【0045】
例えば、図4に示されるように、モータ3の印加電圧Eを0からEmaxまでの範囲で任意に設定できる場合において、図2の低速域IVのときに印加する印加電圧EがElawのときで、かつ、モータ回転数RがRlawのときには、トルクQは、印加電圧EがElawの直線上においてモータ回転数RがRlawのときに対応するQlawとなる。走行抵抗測定部14は、このトルクQlawに所定の係数を乗じることにより、ドア2の走行抵抗を導出する。モータ回転数Rは、位置検出部15において、ホール素子9からの検知信号を用いて算出される。
【0046】
(自動ドア1の動作説明)
(基本動作)
つぎに、図5〜7のフローチャートを参照しながら本実施形態の制御装置10を用いた自動ドア1の具体的な動作説明について説明する。
【0047】
まず、自動ドア1の基本動作について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。
【0048】
制御装置10のシステムを起動させると初期動作として、制御ユニット8は、開閉駆動部20にドア2を全閉位置に移動させる(ステップS1)。
【0049】
ついで、制御ユニット8は、開閉駆動部20を駆動させて、ドア2に開方向へ所定の予備付勢力を常時付加しておく(ステップS2)。これにより、力の弱い者であっても、容易にドア2を開けることができる。
【0050】
ここで、ドア2に付勢される予備付勢力の大きさは、初期状態において初期設定値に設定されており、後述するステップS12において再設定される。
【0051】
つぎに、通行者がドア2の取っ手11に手をかけてドア2へ操作力を与えることによってドア2が所定以上移動するまで、ステップS2〜S3を繰り返しながらドア2が所定以上移動したか判別する(ステップS3)。具体的には、位置検出部15を用いてドア2の移動距離を算出し、所定距離(例えば、1cm程度)だけ移動したか否かを制御ユニット8のCPU12が判別する。
【0052】
そして、制御ユニット8は、ドア2が所定距離以上移動したと判断した場合、開閉駆動部20を駆動させて、ドア2を開方向へ駆動させる(ステップS4)。
【0053】
そして、ステップS4においてドア2を開方向へ駆動させているときに、ドア2に所定以上の負荷(すなわち、ドア2の走行を妨げる抵抗)があるか否かを判別する(ステップS5)。負荷の判断は、図4のグラフに示されるように、モータへの印加電圧Eの直線におけるモータ回転数Rに対応するトルクQが、所定の負荷以上あるか否かによってなされる。なお、トルクQは、ドア2の動摩擦力に比例しているので、このトルクQを用いてドア2に所定以上の負荷があるか正確に判別できる。
【0054】
そして、ドア2に所定以上の負荷がない場合には、そのままドア2は開方向へ移動し続け、そして、ドア2が全開位置にあるか否か判別する(ステップS6)。
【0055】
そして、ドア2が全開位置になるまで、ステップS4〜S6を繰り返し、ステップS6においてドア2が全開位置にあると判断された場合には、制御ユニット8のCPU12により、所定時間(例えば、10秒程度)経過した否かを判別する(ステップS7)。
【0056】
そして、ステップS7において所定時間経過したと判断された場合には、制御ユニット8は、開閉駆動部20を駆動させて、ドア2を閉方向へ駆動させる(ステップS8)。ドア2を閉方向へ駆動させるときは、図2の走行パターンに基づいてモータ3の駆動が制御される。すなわち、急速に加速した後、一定時間第1速度Vを維持し、その後減速して一定時間第2速度Vで進んでから停止する。
【0057】
ドア2を閉方向へ駆動しているときには、ドア2に所定以上の負荷があるか否かを判別しており(ステップS9)、ドア2に所定以上の負荷がないと判断された場合には、そのままドア2は閉方向へ移動し続ける。そして、ドア2が所定の第2速度Vで移動する低速域(図2の低速域IV参照)にあるか否か判別する(ステップS10)。
【0058】
ステップS10において、ドア2が低速域(図2の低速域IV参照)にないと判断された場合には、ドア2が全閉位置にあるか否か判別し(ステップS11)、ドア2が全閉位置にあると判断された場合には、制御ユニット8のCPU12は、開閉駆動部20の駆動を停止し、ドア2を停止させ、ステップS2へ戻る(ステップS13)。一方、ドア2が全閉位置にあると判断されない場合には、ステップS8〜S11を繰り返す。
【0059】
上記のステップS10において、ドア2が低速域(図2の低速域IV参照)にあると判断された場合には、走行抵抗を計測し、予備付勢力を再設定する(ステップS12)。
【0060】
すなわち、走行抵抗測定部14は、図4のグラフに示されるように、モータ3への印加電圧Eとモータ3の回転数Rから、モータ3のトルクQを算出し、モータのトルクQからドア2の走行抵抗を測定する。このとき、測定で得られた走行抵抗が現在設定されている設定値との乖離がある場合には、新しい予備付勢力の設定値に置き換え、メモリ13に記憶される。
【0061】
具体的には、走行抵抗測定部14が、ドア3の走行抵抗が初期設定値(または現行設定値)よりも所定値以上の大きさで変化したことを所定回数以上検出した場合には、制御ユニット8のCPU12は、予備付勢力の大きさの設定を、そのときのドア2の走行抵抗に基づいて、再度設定する。これにより、ドア2に付勢される力が予め設定され、ドアの走行抵抗が所定以上変化したことを、所定回数以上検出した場合に、この設定をそのときのドア2の走行抵抗に基づいて、再度設定することができ、一時的な走行抵抗の増加の影響を排除できる。その後、ステップS11に戻る。
【0062】
(手動停止判断ルーチン)
つぎに、図6に示されるように、開方向へドア2が移動している間に手で停止されたか否かを判別する手動停止判断ルーチンについて説明する。
【0063】
まず、図5のメインルーチンにおけるステップS5において、ドア2を開方向へ駆動しているときに、ドア2に所定以上の負荷があると判断された場合には、図6に示される手動停止判断ルーチンのスタート位置(図5〜6の丸で囲んだ符号1参照)へ移行して、ドア2を一旦停止させる(ステップS31)。
【0064】
そして、制御ユニット8は、開閉駆動部20を駆動して、ドア2を開方向へ駆動する(ステップS32)。
【0065】
そして、制御ユニット8のCPU12は、ドア2が駆動開始から所定時間経過した時点においても所定速度以下のままであるか否かを判別する(ステップS33)。つまり、ドア2を手で停止させている場合には、ドア2が所定時間経過しても所定速度以下であるため、ドア2の速度が遅いときには、手でドア2を停止させていると判断する。
【0066】
そして、ドア2が所定速度以下であると判断された場合には、制御ユニット8は、開閉駆動部20のモータ3の付加トルクを制限してドア2を開方向へ駆動する(ステップS34)。
【0067】
具体的には、ステップS34では、図3のグラフの曲線Bに示されるように、所定時間の間(0〜時刻t11まで)は所定の制限電圧Elimに抑えてドア2の加速を抑える。これにより、モータ3による駆動力を抑えることができるので、ドア2を手で停止させやすくすることができる。一方、通常のドア2の加速制御(図3の曲線A)では、駆動電圧Eは、駆動開始から最大値Emaxになるまで急速に上昇し続けるのでモータ3のトルクが急に大きくなり、ドア2を手で停止することが困難になるので、上記のようにドア2を手で停止させるためには、駆動電圧に制限をかけることが有効である。
【0068】
そして、ステップS34において加速を抑えてドア2を駆動させているときに、ドア2が所定速度以下か否か判別する(ステップS35)。この制御では、一定時間以内にドア2の速度が上がるか否かを判断することにより、ドア2を手で停止し続けているかを判別する。
【0069】
そして、ドア2が所定速度以下であると判断された場合には、さらに、ドア2に所定以上の負荷がかかっているか否か判別する(ステップS36)。負荷の判断は、上述のステップS5と同様に、図4のグラフに示されるように、モータへの印加電圧Eの直線におけるモータ回転数Rに対応するトルクQが、所定の負荷以上あるか否かによりなされる。
【0070】
なお、ステップS36の負荷の所定値は、ステップS5の負荷の所定値と同じかまたは低くてもよい。力が弱い人が早くドア2を止めたい場合を考慮すれば、ステップS36の負荷の所定値を低く設定する方が好ましい。
【0071】
そして、ステップS36において、ドア2に所定以上の負荷があると判断した場合には、ドア2を一旦停止させる(ステップS38)。
【0072】
そして、ステップS38においてドア2を一旦停止させたときに、ドア2が前回停止させた位置(すなわち、ステップS31のときの停止位置)とほぼ同じ位置(すなわち、同じ位置または当該同じ位置から所定の許容変位量以内の位置)にあるか否か判別する(ステップS39)。ドア2の位置は、位置検出部15において、モータ3の回転子の回転にともなってホール素子9から発生する検知信号に基づいて算出される。
【0073】
そして、ドア2が前回とほぼ同じ位置であると判断した場合には、ドア2を停止させ続け、人がドア2を操作するまで待機する(ステップS40)。すなわち、ドア2の移動時に所定以上の大きさの抵抗がかかっていると判断した場合において、ドア2を一旦停止させ、再度移動させても抵抗がかかっていると判断した場合には、手でドア2を押さえていると判断されるため、ドア2の停止状態を維持する。
【0074】
そして、ステップS40においてドア2が停止された状態では、定期的にドア2が所定距離(例えば、1cm程度)以上移動したか否か判断する(ステップS41)。ドア2が再度手でドア2を動かされたか否かを判断するためである。これも、位置検出部15によって検出されたドア2の位置に基づいて、制御ユニット8のCPU12によって判断される。
【0075】
そして、ドア2が手で動かされることにより所定距離以上移動した場合には、ドア2が開方向へ移動しているか否かを判断する(ステップS42)。なお、所定距離以上移動していない場合には、ステップS40へ戻り、ドア2の停止状態を維持する。
【0076】
そして、ステップS42においてドア2が開方向へ移動していると判断した場合には、図5のメインルーチンにおける開方向へのドア2の駆動するステップS4へ戻る(ステップS42および図5〜6の丸で囲んだ符号3参照)。
【0077】
一方、ステップS42においてドア2が開方向へ移動していると判断されなかった場合には、さらに、ドア2が閉方向へ移動しているか否かを判断する(ステップS43)。
【0078】
そして、ステップS43においてドア2が閉方向へ移動していると判断した場合には、
図5のメインルーチンにおける閉方向へのドア2の駆動するステップS8へ戻る(ステップS43および図5〜6の丸で囲んだ符号6参照)。一方、ドア2が閉方向へ移動していると判断されなかった場合には、ステップS40に戻って、ステップS40〜S43を繰り返す。
【0079】
上記のステップS35において、ドア2が所定速度以下であると判断されなかった場合には、制御ユニット8のCPU12は、開閉駆動部20のモータ3の付加トルクの制限を解除する(ステップS37)。具体的には、付加トルクの制限を解除した状態で、開閉駆動部20のモータ3を駆動させてドア2を開方向へ移動させる。このときのモータ3に印加される電圧Eは、例えば、図3の曲線Bに示されるように、時間t11まで制限電圧Elimで抑えられているが、ドア2が所定速度以上になったときは、時間t11以降のように、制限を解除してドア2を通常の走行パターン(図2参照)を行うように制御される。このとき、駆動電圧Eは、時間t11経過後、駆動電圧は最大値Emaxまで上昇し、時間t12まで最大値Emaxを維持し、その後、時間t13まで電圧が低下し、t13以降は電圧は所定の電圧に維持される。そして、ステップS37の実行後、図5のメインルーチンのステップS5へ戻る(図5〜6の丸で囲んだ符号2参照)。
【0080】
また、上記ステップS36において、ドア2に所定以上の負荷があると判断されなかった場合には、ステップS34へ戻る。ステップS34へ戻す理由は、手で継続的にドア2を停止させ続けていなかった場合等の突発的な原因、例えば突風がドア2に吹き付けてドア2へ一時的に負荷がかかる場合を排除して再度モータ3のトルクを制限した状態で所定速度以下か否かを判断する(ステップS35)からである。
【0081】
また、上記ステップS39において、ドア2が前回とほぼ同じ位置でない場合においても、ステップS34へ戻し、再度ステップS34以降の手順を再び実行する。
【0082】
つぎに、図7に示される閉方向移動時の手動停止判断ルーチンについて、簡単に説明する。図7に示されるように、図6に示される開方向移動時の手動停止判断ルーチンと同様のサブルーチンで、閉方向へドア2が移動している間においても、手で停止させたか否かを判別することが可能である。以下、図7に示されるフローチャートを用いて説明する。
【0083】
まず、図5のメインルーチンにおけるステップS9において、ドア2を閉方向へ駆動しているときに、ドア2に所定以上の負荷がかかっていると判断された場合には、図7に示される手動停止判断ルーチンのスタート位置(図5〜6の丸で囲んだ符号4参照)へ移行して、ドア2を一旦停止させる(ステップS51)。
【0084】
そして、制御ユニット8は、開閉駆動部20を駆動させて、ドア2を閉方向へ駆動させる(ステップS52)。
【0085】
そして、制御ユニット8のCPU12は、ドア2が駆動開始から所定時間経過しても所定速度以下であるか否かを判別する(ステップS53)。
【0086】
そして、ドア2の速度が所定速度以下であると判断されなかった場合には、図5のメインルーチンのステップS9へ戻る(図5〜6の丸で囲んだ符号5参照)。一方、ドア2の速度が所定速度以下であると判断された場合には、制御ユニット8は、開閉駆動部20のモータ3の付加トルクを制限する(ステップS54)。
【0087】
そして、加速を抑えた状態でドア2を駆動させた状態で、ドア2が依然として所定速度以下か否か判別する(ステップS55)。
【0088】
そして、ドア2が所定速度以下であると判断した場合には、さらに、ドア2に所定以上の負荷があるか否か判別する(ステップS56)。一方、ドアが所定速度以下であると判断されなかった場合には、制御ユニット8のCPU12は、開閉駆動部20のモータ3の付加トルクの制限を解除する(ステップS57)。具体的には、付加トルクの制限を解除した状態で、開閉駆動部20のモータ3を駆動させてドア2を閉方向へ移動させる。その後、図5のメインルーチンのステップS9へ戻す(図5〜6の丸で囲んだ符号5参照)。
【0089】
ステップS56において、ドア2に所定以上の負荷があると判断した場合には、ドア2を一旦停止させる(ステップS58)。一方、ドア2に所定以上の負荷があると判断されなかった場合には、ステップS54へ戻る。
【0090】
そして、ステップS58においてドア2を一旦停止させたときに、ドア2が前回停止させた位置(すなわち、ステップS51のときの位置)とほぼ同じ位置(すなわち、同じ位置または当該同じ位置から所定の許容変位量以内の位置)にあるか否か判別する(ステップS59)。
【0091】
そして、ドア2が前回とほぼ同じ位置であると判断された場合には、モータ3を停止してドア2を停止させ続け、人がドア2を操作するまで待機する(ステップS60)。なお、ドア2が前回とほぼ同じ位置でない場合には、ステップS54へ戻す。
【0092】
そして、ステップS60においてドア2が停止された状態では、定期的にドア2が所定距離(例えば、1cm程度)以上移動したか否か判断する(ステップS61)。
【0093】
そして、所定距離以上移動したと判断された場合には、さらに、ドア2が開方向へ移動しているか否かを判断する(ステップS62)。なお、所定距離以上移動していない場合には、ステップS60へ戻り、ドア2の停止状態を維持する。
【0094】
そして、ステップS62においてドア2が開方向へ移動していると判断した場合には、図5のメインルーチンにおける開方向へのドア2の駆動するステップS4へ戻る(ステップS62および図5〜6の丸で囲んだ符号3参照)。
【0095】
一方、ステップS62においてドア2が開方向へ移動していると判断されなかった場合には、さらに、ドア2が閉方向へ移動しているか否かを判断する(ステップS63)。
【0096】
そして、ステップS63においてドア2が閉方向へ移動していると判断した場合には、
図5のメインルーチンにおける閉方向へのドア2の駆動するステップS8へ戻る(ステップS63および図5〜6の丸で囲んだ符号6参照)。一方、ドア2が閉方向へ移動していると判断されなかった場合には、ステップS60に戻って、ステップS60〜S63を繰り返す。
【0097】
(本実施形態の特徴)
(1)
本実施形態の自動ドア1の制御装置10では、ドア2が全閉位置から手で所定距離以上移動したことを位置検出部15が検知したときに、開閉駆動部20によってドア2を開方向へ移動させる自動ドア1において、ドア2が全閉位置にある場合に、開閉駆動部20によってドア2が開方向に移動しない程度の予備付勢力をドア2にあらかじめ付勢させているので、初期状態においてドア2を手で移動させやすくなっている。そのため、力の弱い者であっても、容易にドア2を開けることができる。また、これにより、ドアへ予備付勢力または開方向への付勢力を発生させるタイミングを取るために、人感センサやタッチセンサなどの起動センサを設けなくても、力の弱い者が容易にドアを開けることができる自動ドアを提供できる。
【0098】
(2)
また、本実施形態の自動ドア1の制御装置10では、ドア2に付勢される予備付勢力がドア2の走行抵抗に基づいて決定されるので、建物の経年変化等により、ドア2の走行抵抗が増加した場合には、当該走行抵抗の増加に応じて予備付勢力も大きく設定される。このため、走行抵抗が増加することがあったとしても常に予備付勢力として適切な付勢力を付与できるので、ドア2を容易に開けることができる。
【0099】
(3)
また、本実施形態の自動ドア1の制御装置10では、ドア2を第1速度で移動させた後に第2速度で移動させる2段階の速度制御を行う場合において、ドア2がより低速の第2速度で移動しているときに、ドア2の走行抵抗を測定するので、測定時間を長く取ることができ、走行抵抗を正確に求めることができる。
【0100】
(4)
また、本実施形態の自動ドア1の制御装置10では、ドア2の閉動作時において、ドア2が全閉位置になる前に減速して低速の第2速度になるときに、走行抵抗測定部14によってドア2の走行抵抗を測定するようにしている(図5のステップS12参照)。これにより、予備付勢力をかける全閉位置に近い位置でドア2の走行抵抗を測定することにより、建物のゆがみなどを考慮して正確に走行抵抗を測定できる。しかも、低速域において走行抵抗を測定するので、測定時間を長く取ることができる。その結果、走行抵抗をより正確に計測することができる。
【0101】
(5)
また、本実施形態の自動ドア1の制御装置10では、ドア2に付勢される予備付勢力の大きさは、初期状態において初期設定値に設定されており、走行抵抗測定部14が、ドア2の走行抵抗が前記初期設定値よりも所定の変化量以上の大きさで変化したことを所定回数以上検出した場合には、図5のステップS12において、制御ユニット8のCPU12は、予備付勢力の大きさを、そのときのドア2の走行抵抗に基づいて、再度設定する。そのため、予備付勢力を走行抵抗に基づいた最適な大きさに設定できる一方、一時的な走行抵抗の増加の影響を排除することができる。
【0102】
(6)
また、本実施形態の自動ドア1の制御装置10では、開閉駆動部20のモータ3に印加される電圧およびドア2の速度に基づいて、ドア2の走行抵抗を測定する。そのため、ドア2の走行抵抗を求めるために、トルクセンサや抵抗センサなどの特別なセンサが不要となる。
【0103】
(7)
また、本実施形態の自動ドア1の制御装置10では、制御ユニット8のCPU12は、ドア2が開方向または閉方向に移動している間に、ドア2に所定の大きさ以上の抵抗がかかっていると判断した場合には、開閉駆動部20にドア2の移動を停止させる(図5のステップS5ならびにS9、図6のステップS31および図7のステップS51参照)。つまり、通行者が手でドア2を押さえている可能性があるので、ドア2を停止させる。その後、開閉駆動部20によってドア2が再度開方向または閉方向へ移動したときに、再度ドア2に所定の大きさ以上の抵抗がかかっているか否かを判断して、風などの突発的な原因でドアに一時的に抵抗がかかっている場合を排除して、ある一定時間連続してドアに抵抗がかかっているか否かを判別することができる。そして、2回目の判断時においてもドア2に所定の大きさ以上の抵抗がかかっていると判断した場合には、再度ドア2を停止させる(図6のステップS36ならびにS38、および図7のステップS56ならびにS58参照)。このとき、ドア2の位置が先に停止した位置と同じ位置であった場合には、手でドア2を押さえて全閉位置と全開位置との間の半開きの位置で停止させていると判断して、ドア2を停止するように開閉駆動部の制御を行う(図6のステップS39〜40、および図7のステップS59〜60参照)。そのため、特別な操作無しに、開閉中のドア2を任意の位置で手で停止することができる。
【0104】
(8)
また、本実施形態の自動ドア1の制御装置10では、制御ユニット8のCPU12は、ドア2が停止された後に再度開方向または閉方向に移動する場合において、ドア2の速度が所定時間以内に所定の速度まで上昇しなかった場合には、手でドア2を押さえ続けて停止状態を維持させているものとみなして、開閉駆動部20のモータ3の駆動電圧を所定値以下に制限する(図6のステップS33〜34、および図7のステップS53〜54参照)。これにより、ドア2に作用する開方向または閉方向への駆動力が抑えられて、手でドア2を任意の位置で停止させやすくしている。
【0105】
すなわち、一旦停止させたドア2を再度開閉駆動部20で駆動させる際には、駆動開始から大きな駆動電圧がモータ3に印加されてドア2に作用する開方向または閉方向への駆動力が急激に大きくなる。このため、ドア2を手で止めることが困難になる。そこで、ドア2が所定時間以内に所定以上の速度にならない場合には、手で止められていると判断して、モータ3の駆動電圧を所定以下に制限することにより(図3の曲線Bの時間0〜t11の区間参照)、手動によらない突発的な抵抗の増加によりドア2が意図せず停止するのを防止しつつ、ドア2を手で停止させやすくすることができる。
【0106】
(変形例)
(1)
なお、上記の実施形態では、1枚の片開きドアを駆動制御する構成を例に挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、2枚両開きのドアを駆動制御する構成であってもよい。両開きのドアにする場合には、一方のドアハンガー7をベルト6の下側の区間に連結し、他方のドアハンガー7をベルト6の上側の区間に連結することにより、1つの開閉駆動部20によって両開きのドアを同時に開閉することができる。
【0107】
(2)
なお、本実施形態では、左右にスライドして開閉する引き戸を駆動制御する構成を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ドアヒンジ回りに回転する開き戸およびドアを駆動制御する構成を採用してもよい。この場合も、ドアが全閉位置において開方向に移動しない程度の予備付勢力をドアに付勢しておけば、力の弱い者であっても、容易にドアを開けることができる。
【0108】
(3)
上記実施形態では、ドア2の位置を検出するための位置検出部15は、ブラシレスモータであるモータ3の回転子の磁石の位置を検出するホール素子9からの検出信号を用いてるが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の方法でもドア2の位置を検出してもよい。例えば、モータ3の駆動軸の回転角を検出するロータリーエンコーダからの検出信号を用いてドア2の位置を検出してもよい。
【0109】
(4)
なお、本実施形態では、図5のステップS2において、ドア2に開方向へ所定の予備付勢力を常時付加しておく例を用いて説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも人がドア2を開ける時にドア2へ開方向への予備付勢力をかけるように開閉駆動部20を制御すればよい。したがって、本発明の変形例として、人がドア2を開ける時間帯のみ予備付勢力をかけるように、制御ユニット8がスケジュールに基づいてパートタイムで予備付勢力をかけるように開閉駆動部20を制御してもよい。
【0110】
また、人がドア2に近づいたことを検知するために、人感センサを設置したり、ドア2にタッチセンサなどの静電センサを設けておき、これらのセンサで人がドア2に近づいたことを検知したときだけ、制御ユニット8がパートタイムで予備付勢力をかけるように開閉駆動部20を制御してもよい。なお、人感センサなどのセンサ類を増設するよりも、上記実施形態のように、常時、予備付勢力をかけておくか、またはスケジュールに基づいてパートタイムで予備付勢力をかける方が、設備コストを抑えることができる。
【0111】
(5)
上記の実施形態では、図6の開移動時の手動停止判断サブルーチンでドア2を手で止めていないと判断した場合に、図5のメインルーチンに復帰する場合(図5〜6の丸で囲んだ符号2参照)、ステップS5へ戻っているが、その前のステップである、開方向へドア2を駆動させるステップS4へ戻るようにしてもよい。
【0112】
同様に、図7の閉移動時の手動停止判断サブルーチンでドア2を手で止めていないと判断した場合に、図5のメインルーチンに復帰する場合(図5〜6の丸で囲んだ符号5参照)、ステップS9へ戻っているが、その前のステップである、閉方向へドア2を駆動させるステップS8へ戻るようにしてもよい。
【0113】
(6)
また、上記実施形態では、ドア2を開閉駆動する開閉駆動部の一例として、一対のプーリ4、5の間に掛け回されたループ状のベルト6を用いてドア2を往復水平移動させる態様が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ドア2を開閉させることができるものであれば種々の態様を採用することができる。例えば、ボールスクリューを用いてドア2を往復水平移動させてもよい。
【符号の説明】
【0114】
1 自動ドア
2 ドア
3 モータ
4 駆動プーリ
5 従動プーリ
6 ベルト
7 ドアハンガー
8 制御ユニット
9 ホール素子(位置検出手段)
10 自動ドアの制御装置
11 取っ手
12 CPU
13 メモリ
20 開閉駆動部




【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの位置を検出する位置検出手段と、
前記ドアを開閉させる開閉駆動部と、
前記開閉駆動部の駆動制御をする制御部と、
を備えており、
前記制御部は、前記ドアが全閉位置にある場合において、前記開閉駆動部によって前記ドアが開方向に移動しない程度の大きさの予備付勢力を前記ドアに付与するように前記開閉駆動部を制御し、かつ、前記位置検出手段によって前記ドアが全閉位置から所定距離以上移動したことが検知されたときには、前記ドアが開方向へ移動するように前記開閉駆動部を制御する、
ことを特徴とする自動ドアの制御装置。
【請求項2】
前記ドアに付勢される予備付勢力の大きさは、前記ドアの走行抵抗に基づいて決定される、請求項1に記載の自動ドアの制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ドアが第1速度で所定時間移動した後に当該第1速度よりも遅い速度である第2速度で所定時間移動するように、前記開閉駆動部を制御し、
前記ドアの走行抵抗を測定する走行抵抗測定部をさらに備えており、
前記走行抵抗測定部により、前記ドアが前記第2速度で移動しているときの走行抵抗を、前記ドアの走行抵抗として測定する、
請求項2に記載の自動ドアの制御装置。
【請求項4】
前記走行抵抗測定部は、前記ドアの走行抵抗として、前記ドアが前記第2速度で閉方向へ移動しているときの走行抵抗を測定する、
請求項3に記載の自動ドアの制御装置。
【請求項5】
前記ドアに付勢される予備付勢力の大きさは、初期状態において初期設定値に設定されており、
前記走行抵抗測定部が、前記ドアの走行抵抗が前記初期設定値よりも所定の変化量以上の大きさで変化したことを所定回数以上検出した場合には、前記制御部は、前記予備付勢力の大きさを、そのときの前記ドアの走行抵抗に基づいて、再度設定する、
請求項2から4のいずれかに記載の自動ドアの制御装置。
【請求項6】
前記走行抵抗測定部は、前記開閉駆動部のモータに印加される電圧および前記ドアの速度に基づいて、前記ドアの走行抵抗を測定する、
請求項2から5のいずれかに記載の自動ドアの制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記ドアが開方向または閉方向に移動している間に、前記ドアに所定の大きさ以上の抵抗がかかっていると判断した場合には、前記開閉駆動部に前記ドアの移動を停止させ、その後、前記開閉駆動部によって前記ドアを再度開方向または閉方向へ移動させたときに、再度前記ドアに所定の大きさ以上の抵抗がかかっていると判断した場合には、再度ドアの移動を停止させ、このときの前記ドアの位置が先に停止した位置と同じ位置であった場合には、前記ドアを停止するように前記開閉駆動部を制御する、
請求項1から6のいずれかに記載の自動ドアの制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記ドアが一旦停止した後に再度停止する前に前記開閉駆動部によって再度開方向または閉方向に前記ドアを駆動させた場合において、前記ドアの速度が所定時間以内に所定の速度まで上昇しなかった場合には、前記開閉駆動部のモータの駆動電圧を所定値以下に制限する、
請求項7に記載の自動ドアの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−31600(P2012−31600A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170496(P2010−170496)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】