説明

自動ドア開閉システム

【課題】本発明の課題は、通行性を損なうことなく、出し子等の特定の者の通行を制限できる自動ドア開閉システムを提供することである。
【解決手段】顔判断部622は、顔検出部621により所定時間中にその静止画像中に顔画像が検出されると、顔検出部621で検出された顔画像に係る顔情報に一致する顔情報が顔情報記憶部624に存在するか否かを判断する。一致する顔情報が顔情報記憶部624に存在する場合、顔判断部622は、バスライン800を介してドアコントローラ200に顔一致通知データDiを送信する。この場合、ドアは閉状態を維持する。一方、一致する顔情報がない場合は、ドアを開動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア開閉システム、特に画像認識技術を利用した自動ドア開閉システムに関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「自動ドア開閉システムにおいて、画像認識技術により人の顔を認識し、その認識に基づいてドアを自動的に開状態とすること」が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、単なる通行人や動物により不要にドアが開閉されることを防ぐことができる。
また、徘徊癖のある例えば認知症患者などが居住する住宅、老人ホームなどの施設外への無断外出を戸の自動施錠や戸の自動開放阻止により防止するようにした徘徊防止装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に開示される徘徊防止装置は、人物が戸に近づいたときに検出装置により人物を検出して戸を施錠し、人物が戸を通るのを防止している。
また、徘徊癖のある人物に、磁石を携帯させたり、IDタグを携帯させたりして、ドア付近で磁石又はIDタグを検出することにより、当該徘徊癖のある人物の無断外出を防止するシステムが提案されている(例えば、特許文献3及び4参照)。
また、店舗内に入場しようとする人物がサングラス又はマスクを着用した人物であり、且つ、所定の条件(店舗内の一般客が0〜2人という条件)を満たした場合に、当該人物の入場を規制する入場規制装置が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−285006号公報
【特許文献2】特開平11−223057号公報
【特許文献3】特開2005−215961号公報
【特許文献4】特開平9−60365号公報
【特許文献5】特開2008−83932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、振り込め詐欺等の事件において、振り込まれた金銭をATM(現金自動預け入れ払い機)等から引き出す役目の者(いわゆる出し子)の存在が問題となっている。したがって、このような事件による被害を防止するために、この出し子等による金銭の引き出しを阻止する必要がある。
また、特許文献2に記載されている徘徊防止装置は、人物が戸に近づいたときに戸を自動施錠するものであるので、徘徊癖のある人物以外の者であっても、戸に近づけば戸が自動施錠される。そのため、徘徊癖のある人物以外の者は、携帯している鍵を使う等して、戸を開放して通過する必要があるので、徘徊癖のある人物以外の人にとっては、通行性が損なわれている。
また、特許文献3及び4に記載されているシステムは、それぞれ磁石及びIDタグを徘徊癖のある人物に携帯させるのが前提となっているが、徘徊癖のある人物が認知症であったり老人であったりする場合には、当該人物に磁石及びIDタグを常に携帯させることは困難である。そのため、特定の者の入退室等の通行を制限できない場合がある。
また、特許文献5に記載されている入場規制装置では、サングラス又はマスクを着用した人物であることを1つの入場規制の条件にしているが、風邪や花粉症等でサングラス又はマスクを着用している人も多く、サングラス又はマスクをしている人物が必ずしも不審者とは限らない。そのため、風邪や花粉症等でサングラス又はマスクを着用している者にとっては、通行性が損なわれるおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、通行性を損なうことなく、特定の者の入退室等の通行を制限できる自動ドア開閉システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)一の局面に係る自動ドア開閉システムは、ドア、ドア開閉機構、撮像部、顔検出判断部およびドア開閉機構制御部を備える。ドア開閉機構は、ドアを開閉する。撮像部は、ドアの入口側における空間の少なくとも一部を撮像領域とするように配置される。顔検出判断部は、撮像領域において人の顔の有無を検出し、人の顔が存在する場合に、当該人の顔情報が予め記憶された顔情報に一致するものか否かを判断する。ドア開閉機構制御部は、顔検出判断部により上記情報と顔情報とが一致することが判断された場合に、ドア開閉機構によりドアを閉状態とさせる。
【0007】
このため、この自動ドア開閉システムでは、予め登録した人のみの通行を阻止することができる一方、登録されていない人は自由に通行ができるため通行性も損なわれない。従って、例えば、予め出し子の顔の画像を登録しておけば、出し子等の特定の者はATMブース内等に入室できないため、出し子による金銭の引き出しを未然に阻止できるとともに、それ以外の者は自由に通行できるため、通行性も確保できる。
また、コンビニ等の店舗に当該自動ドア開閉システムを利用した場合、万引き常習者等の不審者の顔の画像を登録しておけば、当該不審者等の特定の者は店舗内に入店できないため、不審者による万引き等の犯罪を未然に阻止できるとともに、それ以外の者は自由に通行できるため、通行性も確保できる。
また、介護施設等に当該自動ドア開閉システムを利用した場合、認知症患者等、徘徊のおそれのある者の顔の画像を登録しておけば、当該特定の者は介護施設から外出できないため、認知症患者等による徘徊を未然に阻止できるとともに、それ以外の者は自由に通行できるため、通行性も確保できる。
【0008】
なお、上記にいう「ドア」は、スライド移動式のドアであってもよいし、回動式のドアや回転式のドアであってもよい。また、この「ドア」は1枚であってもよいし、2枚であってもよい。また、本自動ドア開閉システムは、リレー回路方式、ソフトロジック方式等の方式で実現可能である。なお、ここにいう「ドア開閉機構」には、例えば、モータやモータドライバ等が設けられている。
【0009】
(2)第2局面に係る自動ドア開閉システムは、第1局面に係る自動ドア開閉システムであって、顔検出判断部は、撮像領域において人の顔の存在を検出した場合に、当該人の顔情報が予め記憶された顔情報に一致するか否かの判断を繰り返して行う。
【0010】
このため、この自動ドア開閉システムでは、人がドアの近傍に近付き、顔検出判断部が当該人の顔を認識可能な状態になるまで、対象が人であるか否かの判断を継続することができるので、撮像条件が一時的に悪い状況であったとしても、撮像条件が改善されれば、出し子等の特定の者を検出できるため、より確実に出し子等の特定の者の通行を阻止できる。
【0011】
(3)第3局面に係る自動ドア開閉システムは、第1局面または第2局面に係る自動ドア開閉システムであって、顔検出判断部は、人の顔情報が予め記憶された顔情報に一致することを判断した場合に、撮像部により撮像された当該人の顔の画像データを外部の表示部に対して送信する。
【0012】
このため、この自動ドア開閉システムでは、表示部を例えば管理室等に設置することで、管理者等に対して出し子等の特定の者が通行しようとしていることを知らしめることができる。なお、この際、上記特定の者の氏名、検出した日時または場所を同時に表示してもよい。
【0013】
(4)第4局面に係る自動ドア開閉システムは、第1局面から第3局面のいずれかに係る自動ドア開閉システムであって、センサ部および選択部をさらに備える。センサ部は、赤外線投受光式またはタッチセンサ式により構成され、人の存在を検知する。選択部は、顔検出判断部により撮像領域において人の顔の存在が検出されない場合、または、撮像領域において変化は存在するが人の顔の存在はないと判断された場合に、センサ部からの信号に基づいてドアを開状態とさせるための信号をドア開閉機構制御部に対して出力する。
【0014】
このため、この自動ドア開閉システムでは、顔検出判断部により撮像領域において人の顔の存在が検出されないような場合、または、撮像領域において変化は存在するが人の顔の存在はないような場合、例えば、荷物を前に抱えた人の存在がある場合等には、当該人の通行が可能となるため、通行性は確保される。
【0015】
(5)第5局面に係る自動ドア開閉システムは、第4局面に係る自動ドア開閉システムであって、顔検出判断部が所定の状態に陥ったことを検出する状態検出部と、状態検出部において顔検出判断部が所定の状態に陥ったことが検出され、且つ、センサ部により人の存在が検知されると、ドア開閉機構によりドアを開状態とさせる副ドア開閉機構制御部と、をさらに備える。
【0016】
このため、この自動ドア開閉システムでは、ドア開閉機構制御部が機能しなくなる状況が想定される場合であっても、副ドア開閉機構制御部により人の閉じ込めが起きることを防ぐことができる。
【0017】
(6)第6局面に係る自動ドア開閉システムは、第1から第5局面に係る自動ドア開閉システムであって、人の顔情報を予め記憶する顔情報記憶部をさらに備える。
【0018】
この自動ドア開閉システムでは、顔情報記憶部がシステム内に組み込まれているので、特定の人の顔情報を適宜更新することができる。これにより、出し子、万引き常習者等の不審者、及び、徘徊のおそれのある認知症患者等の顔情報を最新状態にすることが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る自動ドア開閉システムによれば、予め登録した人のみの通行を阻止することができる一方、登録されていない人は自由に通行ができるため通行性も損なわれない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る自動ドア開閉システムの概略側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る自動ドア開閉システムの概略平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る自動ドア開閉システムの機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る自動ドア開閉システムの機能ブロック図の一部拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る自動ドア開閉システムの機能ブロック図の一部拡大図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る自動ドア開閉システムの顔検出装置における情報処理の流れを表すフローチャートの一部である。
【図7】本発明の実施の形態に係る自動ドア開閉システムの顔検出装置における情報処理の流れを表すフローチャートの一部である。
【図8】本発明の実施の形態に係る自動ドア開閉システムのタッチセンサにおける情報処理の流れを表すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態に係る自動ドア開閉システムにおいてドアコントローラが顔検出装置から顔不一致通知データを受信した場合のドアコントローラにおける情報処理の流れを表すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態に係る自動ドア開閉システムにおいてドアコントローラが顔検出装置から顔検出不可通知データまたは顔一致通知データを受信した場合のドアコントローラにおける情報処理の流れを表すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態に係る自動ドア開閉システムのドア開閉機構によるドア開閉制御の流れを表すフローチャートである。
【図12】変形例(A)に係る自動ドア開閉システムのリレー回路図である。
【図13】変形例(D)に係る自動ドア開閉システムの概略側面図である。
【図14】変形例(R)に係る自動ドア開閉システムの概略正面図である。
【図15】変形例(S)に係る自動ドア開閉システムの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本実施形態に係る自動ドア開閉システムについて図面を参照しながら説明する。
【0022】
本実施形態に係る自動ドア開閉システム100は、建物の出入口を自動的に開閉するものであり、図1、図2および図3に示されるように、主に、片引きの引戸式のドア110、ドアコントローラ200、ドア開閉機構300、電気錠コントローラ400、電気錠500、カメラ内蔵型タッチセンサ600、顔検出装置620、光電センサ700およびバスライン800から構成される。以下、本実施形態に係る自動ドア開閉システム100の構成要素についてそれぞれ詳述する。
【0023】
なお、図1において、出入口140の左側の空間が建物の屋内空間ISであり、右側の空間が建物の屋外空間OSである。また、図1において、x方向はドア110の移動方向であり、y方向はドア110から屋外に向かって離れていく方向であり、z方向は水平面に直交する高さ方向である。なお、x方向、y方向およびz方向はそれぞれ直交する。
【0024】
また、本実施の形態において、出入口140は、建物の壁120に矩形状に形成された開口に三方枠を嵌め込むことによって形成されている。そして、出入口140の上側には無目130が配設されている。無目130は、細長い直方体状の部材であって、出入口140の上縁に沿うように配設されている。
<自動ドア開閉システムの構成要素>
(1)ドア
【0025】
ドア110は、図1および図2に示されるように、壁120の壁面に平行な方向、すなわちx方向に沿ってスライド移動可能に配設されており、ドア開閉機構300により出入口140を開放する状態と、出入口140を遮蔽する状態とに切り換えられる。
(2)ドアコントローラ
【0026】
ドアコントローラ200は、例えば、CPU、ROMおよびRAM等を備えるマイクロコンピュータであって、図4に示されるように、主に、主ドア開閉機構制御部210、副ドア開閉機構制御部220、制御切換部230および時間計測部240から構成されている。このドアコントローラ200では、ROMに記憶された所定の制御プログラムをCPUが実行することにより、主ドア開閉機構制御部210によるドア開閉機構300の制御、副ドア開閉機構制御部220によるドア開閉機構300の制御、制御切換部230による上記両制御の切換、時間計測部240による時間の計測を実現することができる。
【0027】
なお、通常時は制御切換部230により、主ドア開閉機構制御部210によるドア開閉機構300の制御が有効化され、副ドア開閉機構制御部220によるドア開閉機構300の制御が無効化されている。
【0028】
そして、このドアコントローラ200では、顔検出装置620からバスライン800を介して顔不一致通知データDh(後述)または信号Sk(後述)が送信されてくると、主ドア開閉機構制御部210からドア開閉機構300にモータ駆動信号Smが送信され、その結果、モータ310が駆動させられてドア110が開状態となる。なお、主ドア開閉機構制御部210による制御が無効化されている場合、顔不一致通知データDh(後述)がドアコントローラ200に送信されてきても、主ドア開閉機構制御部210からドア開閉機構300にモータ駆動信号Smが送信されることはない。
【0029】
また、このドアコントローラ200では、顔検出装置620からバスライン800を介して顔検出不可通知データDf(後述)が送信されてくると、制御切換部230により、主ドア開閉機構制御部210によるドア開閉機構300の制御が無効化され、副ドア開閉機構制御部220によるドア開閉機構300の制御が有効化される。そして、この状態でタッチセンサ610または近赤外線反射式センサ610a(後述)からドアコントローラ200に検知通知データDd(後述)が送信されてくると、副ドア開閉機構制御部220からドア開閉機構300にモータ駆動信号Smが送信され、その結果、モータ310が駆動させられてドア110が開状態となる。また、時間計測部240は、ドアコントローラ200が顔検出不可通知データDfを受信すると、時間の計測を開始する。
【0030】
なお、副ドア開閉機構制御部220によるドア開閉機構300の制御が有効化される場合とは、例えば、撮像装置630への太陽光やその反射光の入射により顔検出部621(後述)が人の顔を検出することができないおそれのある状態、撮像装置630に対する照明が暗くなって顔検出部621が人の顔を検出することができないおそれのある状態、または、撮像領域PR内の撮像に動的変化が認められるものの顔検出部621が人の顔を検出することができない状態等が生じた場合である。
【0031】
さらに、制御切換部230により主ドア開閉機構制御部210によるドア開閉機構300の制御が無効化され、副ドア開閉機構制御部220によるドア開閉機構300の制御が有効化された以降は、タッチセンサ610または近赤外線反射式センサ610a(後述)からドアコントローラ200に検知通知データDdが送信されてくると、または、時間計測部240における計測時間が所定時間を経過すると、制御切換部230により主ドア開閉機構制御部210によるドア開閉機構300の制御が有効化され、副ドア開閉機構制御部220によるドア開閉機構300の制御が無効化される。
(3)ドア開閉機構
ドア開閉機構300は、ドア110をスライド移動させる機構であって、無目130に収納されている。
【0032】
このドア開閉機構300は、ベルト駆動方式のものであって、主に、モータ310(図3参照)、モータドライバ(図示せず)、無端ベルト(図示せず)及びドアハンガ(図示せず)から構成されている。なお、このドア開閉機構300では、ドアコントローラ200からモータドライバにモータ駆動信号Smが送信されると、モータ310が駆動して無端ベルトが周回運動する。ドアハンガは、無端ベルトとドア110とを連結している。そして、ドア110は、無端ベルトの周回に伴ってx方向に沿って所定の開位置及び閉位置間を往復移動する。
(4)電気錠
【0033】
電気錠500は、ドア110を施錠/解錠するためのものであって、電気錠コントローラ400によりソレノイド510が励磁されると施錠状態となり、ソレノイド14が消磁されると解錠状態となる。
(5)電気錠コントローラ
【0034】
電気錠コントローラ400は、ドア110が閉状態とされているときに電気錠500のソレノイド510を励磁してドア110を自動的に施錠し、ドア110を閉状態から開状態とする必要があるときにソレノイド510を消磁してドア110を自動的に解錠する。
(6)カメラ内蔵型タッチセンサ
【0035】
カメラ内蔵型タッチセンサ600は、図1、図2および図3に示されるように、タッチセンサ610に撮像装置630が内蔵されたものであって、撮像装置630がy方向を向くようにしてドア110に取り付けられている。なお、撮像装置630は、図3に示されるように、タッチセンサ610の回路から独立している。タッチセンサ610は、物体に接触されると、接点が閉じられ、バスライン800を介してドアコントローラ200に検知通知データDdを送信する。
【0036】
撮像装置630は、いわゆるデジタル式カメラであって、数ミリ秒〜数十ミリ秒程度の間隔で撮像領域PR(図1および図2参照)の静止画像を撮像し、その静止画像データを順次、顔検出装置620に送信する。なお、撮像領域PRは、図1に示されるように、ドア110の屋外側の面から1m離れた位置に人HMが立っている場合において、その人HMの顔から膝下までぐらいが写るように設定されている。
(7)顔検出装置
顔検出装置620は、図5に示されるように、主に、顔検出部621、顔判断部622、輝度検出部623、顔情報記憶部624および出力選択部625により構成されている。
【0037】
顔検出部621は、撮像装置630から送られてくる静止画像データを背景画像データと比較し、その静止画像データと背景画像データとが一致する場合、何ら処理を行わず、静止画像データが背景画像データと異なる場合、所定時間、パターン認識技術によりその静止画像データから顔画像の検出を繰り返し試みる。この場合、顔画像を検出できない場合、バスライン800を介してドアコントローラ200に顔検出不可通知データDfを送信する。また、顔検出部621は、その静止画像データが背景画像データと異なるにも関わらず、後述するように、所定のリトライ回数が終了するまで検出を試みても(または、所定時間を経過しても)、その静止画像中に顔画像を検出することができない場合、上記と同様に、ドアコントローラ200に顔検出不可通知データDfを送信する。なお、顔画像を検出できた場合については後述する。
【0038】
輝度検出部623は、撮像装置630から送られてくる静止画像データを背景画像データと比較することにより、静止画像データの平均輝度を算出する。なお、本実施形態では、背景画像データの画素それぞれの輝度が計測されており、その輝度に基づいて静止画像データの各画素の輝度が求められる。その後、静止画素データの各画素の輝度が平均されて静止画像データの平均輝度が算出される。そして、輝度検出部623は、その平均輝度が許容範囲(第1閾値以上または第2閾値以下)に収まっていると何ら処理を行わず、その平均輝度が許容範囲を逸脱しているとバスライン800を介してドアコントローラ200に顔検出不可通知データDfを送信する。その後、制御切換部230により、主ドア開閉機構制御部210によるドア開閉機構300の制御が無効化され、副ドア開閉機構制御部220によるドア開閉機構300の制御が有効化される。そして、この状態でタッチセンサ610等からドアコントローラ200に検知通知データDdが送信されてくると、副ドア開閉機構制御部220からドア開閉機構300にモータ駆動信号Smが送信され、その結果、モータ310が駆動させられてドア110が開状態となる。
【0039】
顔情報記憶部624は、ハードディスク等から構成され、入室を阻止すべき人物の顔情報を予め記憶する。入室を阻止すべき人の例として、本実施形態に係る自動ドア開閉システム100を例えばATM(現金自動預け入れ払い機)に用いる場合には、振り込め詐欺のいわゆる出し子が挙げられる。この場合、当該出し子は再犯する可能性が非常に高いので、ATMに設置された防犯カメラで容疑者の特定を行っておき、当該容疑者の顔情報を上記の顔情報記憶部624に予め登録しておく。なお、ここでは、顔検出装置620に顔情報記憶部624を設ける例について説明したが、当該顔情報記憶部624が当該自動ドア開閉システム100の外部のデータベースを利用したものであっても良い。
【0040】
顔判断部622は、顔検出部621により所定時間中にその静止画像中に顔画像が検出されると、顔検出部621で検出された顔画像に係る顔情報に一致する顔情報が顔情報記憶部624に存在するか否かを繰り返し判断する。この場合、一致の度合いを示す一致度を設定し、当該一致度が例えば80〜100%であるときに、後で説明するように、顔一致通知データDiを送信してもよい。
【0041】
一致する顔情報が顔情報記憶部624に存在する場合、顔判断部622は、バスライン800を介してドアコントローラ200に顔一致通知データDiを送信する。この際、顔判断部622は、撮像装置630により撮像された人の顔の画像データを外部に設けられた管理室KRの表示部DPに対して送信する。一方、一致する顔情報が顔情報記憶部624に存在しない場合、顔判断部622は、バスライン800を介してドアコントローラ200に顔不一致通知データDhを送信する。
【0042】
出力選択部625は、顔検出部621により人の顔の存在が検出されない場合、または、撮像領域PRにおいて変化は存在するが人の顔の存在はないと判断された場合に、タッチセンサ610からの信号に基づいてドア110を開状態とさせるための信号Skを主ドア開閉機構制御部210に対して出力する。
(8)光電センサ
【0043】
光電センサ700は、投光/受光型の光電センサであって、光線がドア110のスライド方向に沿うようにドア110の近傍に配置され、出入口140を通行中の人HMやドア110の近くの人HMが光線を遮っている間、開状態となっているドア110を閉じないようにする。
(9)バスライン
【0044】
バスライン800は、例えば、CAN(ControllerArea
Network)バスであって、種々のデータが相互に送受信可能となるようにドアコントローラ200や、電気錠コントローラ400、タッチセンサ610、顔検出装置620、光電センサ700などを接続する。
<自動ドア開閉システムにおけるドアの開閉制御>
(1)顔検出装置における情報処理
【0045】
以下、図6および図7に示されるフローチャートを用いて、顔検出装置620の情報処理について詳述する。なお、この情報処理は、数ミリ秒〜数十ミリ秒毎に繰り返し実行される。
【0046】
図6および図7に示されるフローチャートにおいて、ステップS1では、顔検出装置620が撮像装置630から静止画像データを受信する。
【0047】
ステップS2では、輝度検出部623が、静止画像データの平均輝度BRを算出し、その平均輝度BRがXよりも大きくX+Nよりも小さいかを判定する。ステップS2の判定の結果、平均輝度BRがXよりも大きくX+Nよりも小さい場合、処理はステップS3に移る。一方、ステップS2の判定の結果、平均輝度BRがX以下またはX+N以上である場合、処理はステップS9に移る。
【0048】
ステップS3では、顔検出部621が、背景画像データと静止画像データとが同一であるか否かを判定する。ステップS3の判定の結果、背景画像データと静止画像データとが同一である場合、処理はステップS1に戻る。一方、ステップS3の判定の結果、背景画像データと静止画像データとが同一でない場合、処理はステップS4に移る。
【0049】
ステップS4では、顔検出部621が、パターン認識技術によりその静止画像データから顔画像の検出を試みる。
【0050】
ステップS5では、顔検出部621が、顔画像の検出を完了したか否かを判定する。ステップS5の判定の結果、顔画像の検出を完了した場合、処理はステップS6に移る。一方、ステップS5の判定の結果、顔画像の検出が完了していない場合、処理はステップS9に移る。
【0051】
ステップS6では、顔判断部622が、顔検出部621で検出された顔画像に係る顔情報に一致する顔情報が顔情報記憶部624に存在するか否かを繰り返し判断する。ステップS6の判断の結果、一致する顔情報が顔情報記憶部624に存在する場合、処理はステップS7に移る。一方、ステップS6の判断の結果、一致する顔情報が顔情報記憶部624に存在しない場合、処理はステップS8に移る。
【0052】
ステップS7では、顔検出装置620が、ドアコントローラ200へ顔一致通知データDiを送信する。
【0053】
ステップS8では、顔検出装置620が、ドアコントローラ200へ顔不一致通知データDhを送信する。
【0054】
ステップS9では、顔検出部621が、静止画像から顔画像を検出する処理を所定のリトライ回数実行したか否かを判定する。ステップS9の判定の結果、顔画像の検出処理を所定のリトライ回数実行した場合、処理はステップS10に移る。一方、顔画像の検出処理を所定のリトライ回数実行していない場合、処理はステップS4に移る。
【0055】
ステップS10では、顔検出装置620が、ドアコントローラ200へ顔検出不可通知データDfを送信する。
(2)タッチセンサにおける情報処理
【0056】
以下、図8に示されるフローチャートを用いて、タッチセンサ610における情報処理について詳述する。なお、この情報処理は、数ミリ秒〜数十ミリ秒毎に繰り返し実行されている。
【0057】
図8において、ステップS11では、タッチセンサ610が、接点がONとされたか否かを判定する。ステップS11の判定の結果、接点がONとされた場合、処理はステップ12に移る。一方、ステップS11の判定の結果、接点がOFFとなっている場合、処理はステップ11に戻る。
【0058】
ステップS12では、タッチセンサ610が、ドアコントローラ200へ検知通知データDdを送信する。なお、ステップS12の処理が完了すると、処理はステップS11に戻る。
(3)ドアコントローラにおける情報処理
(3−1)顔検出装置から顔不一致通知データを受信した場合
【0059】
以下、図9に示されるフローチャートを用いて、ドアコントローラ200が顔検出装置620から顔不一致通知データDhを受信した場合のドアコントローラ200における情報処理について詳述する。
図9において、ステップS21では、ドアコントローラ200が、ドア開閉機構300にモータ駆動信号Smを送信する。
(3−2)顔検出装置から顔検出不可通知データを受信した場合
【0060】
以下、図10に示されるフローチャートを用いて、ドアコントローラ200が顔検出装置620から顔検出不可通知データDfを受信した場合のドアコントローラ200における情報処理について詳述する。
【0061】
図10において、ステップS31では、制御切換部230が、主ドア開閉機構制御部210によるドア開閉機構300の制御を無効化すると共に、副ドア開閉機構制御部220によるドア開閉機構300の制御を有効化する。また、これと同時に、時間計測部240が時間の計測を開始する。
【0062】
ステップS32では、ドアコントローラ200が、タッチセンサ610から検知通知データDdを受信したか否かを判定する。ステップS32の判定の結果、検知通知データDdが受信された場合、処理はステップS34に移る。一方、ステップS32の判定の結果、検知通知データDdが受信されていない場合、処理はステップS33に移る。
【0063】
ステップS33では、ドアコントローラ200が、時間計測部240による計測時間が所定時間を経過したか否かを判定する。ステップS33の判定の結果、計測時間が所定時間を経過した場合、処理はステップS35に移る。一方、ステップS33の判定の結果、計測時間が所定時間を経過していない場合、処理はステップS32に戻る。
【0064】
ステップS34では、ドアコントローラ200が、ドア開閉機構300にモータ駆動信号Smを送信する。
【0065】
ステップS35では、制御切換部230が、主ドア開閉機構制御部210によるドア開閉機構300の制御を有効化すると共に、副ドア開閉機構制御部220によるドア開閉機構300の制御を無効化する。また、これと同時に、時間計測部240が時間の計測を停止し、それまでの計測時間をリセットする。
(4)ドア開閉機構によるドアの開閉制御
以下、図11に示されるフローチャートを用いて、ドア開閉機構300によるドア110の開閉制御について詳述する。
【0066】
図11において、ステップS41では、モータドライバが、ドアコントローラ200からモータ駆動信号Smを受信したか否かを判定する。ステップS41の判定の結果、モータ駆動信号Smが受信された場合、処理はステップS42に移る。一方、ステップS41の判定の結果、モータ駆動信号Smが受信されていない場合、処理はステップS41に戻る。また、ステップS42では、モータ310が、ドア110の開動作を開始する。
【0067】
ステップS43では、ドアコントローラ200が、ドア110が全開位置に到達したか否かを判定する。ステップS43の判定の結果、ドア110が全開位置に到達した場合、処理はステップS44に移る。一方、ステップS43の判定の結果、ドア110が全開位置まで到達していない場合、処理はステップS42に戻る。
【0068】
ステップS44では、ドアコントローラ200が、全開位置到達時刻から所定時間経過したか否かを判定する。ステップS44の判定の結果、全開位置到達時刻から所定時間経過した場合、処理はステップS45に移る。一方、ステップS44の判定の結果、全開位置到達時刻から所定時間経過していない場合、処理はステップS44に戻る。
【0069】
ステップS45では、ドアコントローラ200が、光電センサ700がONとなっているか否か(つまり、検知中であるか否か)を判定する。ステップS45の判定の結果、光電センサ700がONとなっている場合、処理はステップS45に戻る。一方、ステップS45の判定の結果、光電センサがOFFとなっている場合、処理はステップS46に移る。また、ステップS46では、モータ310が、ドア110の閉動作を開始する。
【0070】
ステップS47では、モータドライバが、ドアコントローラ200からモータ駆動信号Smを受信したか否かを判定する。ステップS47の判定の結果、モータ駆動信号Smが受信された場合、処理はステップS42に戻る。一方、ステップS47の判定の結果、モータ駆動信号Smが受信されていない場合、処理はステップS48に移る。
【0071】
ステップS48では、ドアコントローラ200が、ドア110が全閉位置に到達したか否かを判定する。ステップS48の判定の結果、ドア110が全閉位置に到達した場合、処理はステップS41に戻る。一方、ステップS48の判定の結果、ドア110が全閉位置まで到達していない場合、処理はステップS46に戻る。
<本実施形態における効果>
(1)
【0072】
本実施の形態に係る自動ドア開閉システム100では、予め登録した人のみの入室を阻止することができる一方、登録されていない人は自由に入室ができるため通行性も損なわれない。従って、出し子の顔の画像を予め顔情報記憶部624に登録しておけば、出し子はATMブース内等に入室できないため、出し子による金銭の引き出しを未然に阻止できるとともに通行性も確保できる。更にドアが開かないため、通行しようとしている人が出し子等の不審者であることを周囲の者が認識することができ、警察等へ通報することが可能となる。
(2)
【0073】
また、顔検出部621による顔画像検出処理および顔判断部622による顔情報の一致・不一致判断処理が繰り返し行われることにより、人HMがドア110に近付くまで、検出対象が人HMであるか否かについての判断を可能な限り継続できる。
(3)
【0074】
また、顔情報が一致した場合に、撮像装置630により撮像された人HMの顔の画像データが外部に設けられた管理室KRの表示部DPに対して顔判断部622により送信されることによって、管理者等に対して特定の者が入室しようとしていることを知らしめることができる。
(4)
【0075】
また、顔検出部621により撮像領域PRにおいて人HMの顔の存在が検出されない場合、または、撮像領域PRにおいて変化は存在するが人HMの顔の存在はないと判断された場合等に、タッチセンサ610からの信号に基づいて、ドア110を開状態とさせるための信号Skが出力選択部625により主ドア開閉機構制御部210に対して出力される。これにより、例えば、荷物を前に抱えた人HMの存在がある場合等には、当該人HMの入室が可能となり、通行性が確保される。
(5)
【0076】
本実施の形態に係る自動ドア開閉システム100では、撮像装置630がタッチセンサ610に内蔵されると共に撮像装置630がy方向を向くようにしてカメラ内蔵型タッチセンサ600がドア110に取り付けられている。このため、この自動ドア開閉システム100では、ほぼ正面から人HMの顔を撮像することができると共に、ドア110の前を通過する通行人に対して「監視されている」との懸念を与えることを防ぐことができる。
(6)
【0077】
また、副ドア開閉機構制御部220によるドア開閉機構300の制御が有効化された状態で、検知通知データDdが送信されてくると、副ドア開閉機構制御部220からドア開閉機構300にモータ駆動信号Smが送信される。これにより、主ドア開閉機構制御部210が機能しなくなる状況が想定される場合であっても、副ドア開閉機構制御部220により人の閉じ込めが起きることを防ぐことができる。
(7)
【0078】
また、撮像装置630に太陽光やその反射光が入射して撮像領域PRの平均輝度が第2閾値以上となって顔検出部621が人の顔を検出することができず主ドア開閉機構制御部210が機能しなくなっても、または、撮像装置630に対する照明が暗くなって撮像領域PRの平均輝度が第1閾値以下となって顔検出部621が人の顔を検出することができず主ドア開閉機構制御部210が機能しなくなっても、副ドア開閉機構制御部220により人の閉じ込めが起きることを防ぐことができる。
(8)
【0079】
また、ドアコントローラ200に制御切換部230を設けることで、主ドア開閉機構制御部210による制御と副ドア開閉機構制御部220による制御との切り換えをシンプルかつスムーズなものとすることができる。
(9)
【0080】
また、時間計測部240による計測時間が所定時間を経過すると、制御切換部230により副ドア開閉機構制御部220による制御が無効な状態とされるとともに主ドア開閉機構制御部210による制御が有効な状態とされる。それにより、例えば、顔検出部621により人HMの顔が検出されていなく、その後も、タッチセンサ610により人HMの存在が検知されない場合(例えば、人HMがその場を立ち去った場合)であっても、主ドア開閉機構制御部210による制御を回復することができる。
(10)
【0081】
本実施の形態に係る自動ドア開閉システム100では、ドアコントローラ200において副ドア開閉機構制御部220による制御が有効化され、タッチセンサ610から検知通知データDdが受信されると、ドアコントローラ200は、ドア開閉機構300にモータ駆動信号Smを送信した後、副ドア開閉機構制御部220による制御を無効化すると共に主ドア開閉機構制御部210を有効化する。このため、この自動ドア開閉システム100では、副ドア開閉機構制御部220による制御が延々と継続されるような事態を防ぐことができる。
(11)
【0082】
本実施の形態に係る自動ドア開閉システム100では、ドアコントローラ200において副ドア開閉機構制御部220による制御が有効化された後、所定時間内に検知通知データDdが受信されないと、制御切換部230が、副ドア開閉機構制御部220による制御を無効化すると共に主ドア開閉機構制御部210を有効化する。このため、この自動ドア開閉システム100では、例えば、入室者がタッチセンサ610に触らずにその場を立ち去った場合であっても、副ドア開閉機構制御部220による制御が延々と継続されるような事態を防ぐことができる。
(12)
【0083】
本実施の形態に係る自動ドア開閉システム100では、当該システム100内に顔情報記憶部624が組み込まれているので、特定の人の顔情報を適宜更新することができる。これにより、出し子等の顔情報を最新状態にすることが可能になる。
<変形例>
(A)
【0084】
本発明では先の実施の形態に係るソフトロジック方式の自動ドア開閉システム100に代えて、図12に示されるようなリレー回路式の自動ドア開閉システム100aが採用されてもかまわない。
【0085】
なお、このリレー回路方式の自動ドア開閉システム100aでは、図12から明らかなように、第1接点SW1と第3接点SW3と第4接点SW4とが互いに直列に接続されており、第2接点SW2が第1接点SW1、第3接点SW3および第4接点SW4に対して並列に接続されている。また、この自動ドア開閉システム100aでは、主ドア開閉機構制御部210や、副ドア開閉機構制御部220、制御切換部230、時間計測部240はドアコントローラ200ではなく顔検出装置620に内蔵するか、顔検出装置620とリレー回路との間に設ける必要がある。
【0086】
そして、この自動ドア開閉システム100aでは、顔検出装置620は、所定のリトライ回数内(または、所定時間内)に静止画像中に顔画像を検出し、当該検出した顔画像に係る顔情報に一致するものが顔情報記憶部624に存在すると、主ドア開閉機構制御部210により第2接点SW2を閉じ第4接点SW4を開放して、ドアコントローラ200に対して閉信号を送信し、ドア開閉機構300によりドア110を閉状態とする。
【0087】
一方、顔検出装置620は、静止画像データが背景画像データと異なるにも関わらず、所定時間を経過してもその静止画像中に顔画像を検出することができない場合、または、平均輝度が許容範囲を逸脱している場合、副ドア開閉機構制御部220により第3接点SW3を閉じる。その後、タッチセンサ610の第1接点SW1が閉じられると、タッチセンサ610からドアコントローラ200に対して開信号が送信され、ドア開閉機構300によりドア110が開状態とされる。
【0088】
つまり、図6のフローチャートにおいて、ステップS7では、主ドア開閉機構制御部210が第2接点SW2を閉じると共にドアコントローラ200に対して開信号を送信することになる。また、同フローチャートにおいて、ステップS8では、副ドア開閉機構制御部220が第3接点SW3を閉じることになる。また、図8のフローチャートにおいて、ステップ12では、タッチセンサ610が、ドアコントローラ200へ開信号を送信することになる。
【0089】
また、主ドア開閉機構制御部210による第2接点SW2の制御および副ドア開閉機構制御部220による第3接点SW3の制御の有効化・無効化については先の実施の形態と同様に制御切換部230により実現することができる。この場合、顔検出不可通知データDfが与えられた場合には、制御切換部230は、主ドア開閉機構制御部210による第2接点SW2の制御を無効化し、副ドア開閉機構制御部220による第3接点SW3の制御を有効化する。また、顔不一致通知データDhが与えられた場合には、制御切換部230は、主ドア開閉機構制御部210による第2接点SW2の制御を有効化し、副ドア開閉機構制御部220による第3接点SW3の制御を無効化する。
【0090】
また、本変形例に係る自動ドア開閉システム100aでは、ドア110が全閉状態から全開状態となるか、全開状態から全閉状態に戻ると、第2接点SW2または第3接点SW3が自動的に開放され、第4接点SW4が自動的に閉じられる。また、第1接点SW1が閉じられることなく第3接点SW3が閉じられた時点から所定時間が経過した場合、第3接点SW3が自動的に開放される。
(B)
【0091】
先の実施の形態に係る自動ドア開閉システム100ではドア110が片引きの引戸式のドアとされていたが、ドア110は両引きの引戸式のドアとされてもよい。
(C)
【0092】
先の実施の形態に係る自動ドア開閉システム100ではドア110が引戸式のドアとされていたが、ドア110は回動式のドアであってもよい。また、かかる場合、ドア110は1枚であってもよいし2枚(観音扉式)であってもよい。
(D)
【0093】
先の実施の形態に係る自動ドア開閉システム100では顔画像の検出が不可能な状態に陥った場合の補助センサとしてタッチセンサ610が採用されたが、図13に示されるように近赤外線反射式センサ610aが採用されてもかまわない。なお、図13では、近赤外線反射式センサ610aは、無目130に取り付けられている。また、近赤外線反射式センサ610aの代わりに、熱線(遠赤外線)式センサや、マイクロ波ドップラー式センサ、ハイブリッド(複合)式センサ、超音波センサ、光電センサ等のセンサが採用されてもかまわない。なお、図中、先の実施の形態の説明において使用された符号と同一の符号が付されているものは、先の実施の形態に係るものと同一のものである。
(E)
【0094】
先の実施の形態に係る自動ドア開閉システム100ではカメラ内蔵型タッチセンサ600がドア110の屋外側にのみ取り付けられていたが、カメラ内蔵型タッチセンサがドア110の屋内側に取り付けられてもよいし、ドア110の屋外側および屋内側の両側に取り付けられてもよい。
(F)
【0095】
先の実施の形態に係る自動ドア開閉システム100ではドア開閉機構300がベルト駆動方式とされていたが、ドア開閉機構として他の駆動方式が採用されてもかまわない。
(G)
【0096】
先の実施の形態に係る自動ドア開閉システム100では撮像装置630は数ミリ秒〜数十ミリ秒程度の間隔で静止画像を撮像し、その静止画像データを順次、顔検出装置620に送信していたが、撮像装置は、動画像を撮像し、その動画像データを常時、顔検出装置620に送信してもよい。なお、かかる場合、顔検出装置620は、動画から所定時間間隔枚に静止画像を取り出し、その静止画像において人HMの顔を検出する。
(H)
【0097】
先の実施の形態に係る自動ドア開閉システム100では輝度検出部623は静止画像データから平均輝度を算出したが、平均輝度は、撮像装置630において算出されてもよい。かかる場合、撮像装置630は、その平均輝度データを顔検出装置620に送信する。
(I)
【0098】
先の実施の形態に係る自動ドア開閉システム100では平均輝度に対して許容範囲が設定されていたが、平均輝度に対して下限値のみが設定されていてもよいし、上限値のみが設定されていてもよい。
(J)
【0099】
先の実施の形態に係る自動ドア開閉システム100では主ドア開閉機構制御部210による制御が有効化されると副ドア開閉機構制御部220による制御が無効化され、副ドア開閉機構制御部220による制御が有効化されると主ドア開閉機構制御部210が無効化されたが、主ドア開閉機構制御部210による制御および副ドア開閉機構制御部220による制御が共に常時有効化されていてもかまわない。かかる場合、例えば、以下のような制御態様が考えられる。
【0100】
顔検出装置620からドアコントローラ200に顔検出不可通知データDfが送信されてくると副ドア開閉機構制御部220が顔検出不可通知データDfに対応する第1フラグを立てる。また、タッチセンサ610からドアコントローラ200に検知通知データDdが送信されてくると副ドア開閉機構制御部220が検知通知データDdに対応する第2フラグを立てる。そして、副ドア開閉機構制御部220は、第1フラグおよび第2フラグの両フラグを立てた時点で、ドア開閉機構300にモータ駆動信号Smを送信する。
(K)
【0101】
先の実施の形態に係る自動ドア開閉システム100では顔検出部621およびタッチセンサ610が制御用センサとして利用されたが、顔検出部621およびタッチセンサ610が起動用センサとして利用されてもよい。なお、かかる場合、制御センサとして光電センサ等のセンサを別途設ける必要がある。
(L)
【0102】
先の実施の形態に係る自動ドア開閉システム100では制御切換部230により主ドア開閉機構制御部210によるドア開閉機構300の制御が無効な状態とされ、副ドア開閉機構制御部220によるドア開閉機構300の制御が有効な状態とされた以降、タッチセンサ610からドアコントローラ200に検知通知データDdが送信されてくると、制御切換部230により主ドア開閉機構制御部210によるドア開閉機構300の制御が有効な状態とされ、副ドア開閉機構制御部220によるドア開閉機構300の制御が無効な状態とされたが、ドア110用の開閉検知センサによりドア110が全開状態とされたことが検知された場合に、制御切換部230により主ドア開閉機構制御部210によるドア開閉機構300の制御が有効な状態とされ、副ドア開閉機構制御部220によるドア開閉機構300の制御が無効な状態とされてもよい。
(M)
【0103】
また、先の実施の形態では、予め登録した者の入室を禁止することとしたが、これに限定されるものではなく、予め登録した者のみ退室を禁止してもよい。
(N)
【0104】
また、入室しようとする者が複数人いる場合には、一人でも予め登録した者に該当すれば、これらの入室を禁止することが好ましい。
(O)
【0105】
また、入室しようとする者に対して、「帽子またはサングラス等をお外し下さい。」等のアナウンスを流してもよい。それにより、顔検出の処理および顔一致・不一致判断の処理を正確に行い易くなる。
(P)
【0106】
また、入室を禁止した場合に、警報装置により警告音を発してもよい。これにより、入室を許可すべきでない者が入室しようとすることを周囲に知らしめることができる。
(Q)
【0107】
さらに、先の実施の形態では、自動ドア開閉システム100をATM(現金自動預け入れ払い機)に採用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば市役所等の各種公共機関に用いてもよい。この場合、例えば結婚詐欺等の容疑者が市役所に戸籍謄本等の発行を要望して来所する場合に、当該容疑者の入室を阻害することができる。
(R)
【0108】
また、先の実施の形態では、ATMブースへの入室を未然に防ぐものであるが、本発明はこれに限らず、図14に示した変形例のように、店舗(例えば、コンビニ等)の出入口に本発明の自動ドア開閉システムを採用しても良い。すなわち、本変形例に係る自動ドア開閉システム100bは、両引きの引戸式のドア110bと、ドア付近の室外側領域を撮像領域PRとするように配置される撮像部600bと、無目付けセンサ610bと、を備えている。また、この自動ドア開閉システム100bは、上記した実施形態と同様であるので、その説明を省略するが、ドア開閉機構、顔検出判断部、及び、ドア開閉機構制御部等を備えている。
このように構成すれば、予め登録した人のみの入室を阻止することができる一方、登録されていない人は自由に入室ができるため通行性も損なわれない。従って、万引き常習者等の不審者の顔の画像を予め登録しておけば、当該不審者はコンビニ等の店舗内に入室できないため、当該不審者による犯罪等を未然に阻止できる共に、一般客及び店員等の通行性も確保できる。
(S)
【0109】
また、先の実施の形態及び上記変形例では、ATMブース及び店舗への入室を未然に防ぐものであるが、本発明はこれに限らず、所定の区域から外部への退室を未然に防ぐものであっても良い。具体的には、図15の変形例に示すように、介護施設等における認知症患者等の無断外出を未然に防ぐものがある。すなわち、本変形例に係る自動ドア開閉システム100cは、自動ドア110cと、ドア110c付近の室内側領域を撮像領域PRとするように配置される撮像部600cと、を備えている。出入口140cの左側の空間が介護施設の屋内空間ISであり、右側の空間が介護施設の屋外空間OSである。また、この自動ドア開閉システム100cは、上記した実施形態と同様であるので、その説明を省略するが、ドア開閉機構、顔検出判断部、及び、ドア開閉機構制御部等を備えている。
このように構成すれば、予め登録した人のみの退室を阻止することができる一方、登録されていない人は自由に退室ができるため通行性も損なわれない。従って、認知症患者等、徘徊のおそれのある者の顔の画像を予め登録しておけば、当該者は介護施設等から外出できないため、認知症患者等の徘徊を未然に防止することができるとともに、介護士等の通行性も確保できる。
(T)
【0110】
また、上記したATMブース、コンビニ等の店舗、及び、介護施設の他にも、本発明の自動ドア開閉システムを採用することが可能である。例えば、空港における入出国ゲートに本発明の自動ドア開閉システムを採用して、犯罪歴のある者の入国又は出国を防止しても良い。すなわち、特定の者の出入りを防止する必要がある箇所に本発明の自動ドア開閉システムを設けることは有効である。
【符号の説明】
【0111】
100,100a,100b 自動ドア開閉システム
110,110b,110c ドア
120 壁
130 無目
140,140c 出入口
200 ドアコントローラ
210 主ドア開閉機構制御部(ドア開閉機構制御部)
220 副ドア開閉機構制御部
230 制御切換部(制御有効化部,副ドア開閉機構制御解除部)
240 時間計測部
300 ドア開閉機構
310 モータ
400 電気錠コントローラ
500 電気錠
510 ソレノイド
600,600b,600c カメラ内蔵型タッチセンサ
610 タッチセンサ(センサ部)
610a 近赤外線反射式センサ(センサ部)
620 顔検出装置
621 顔検出部(顔検出判断部,状態検出部)
622 顔判断部(顔検出判断部)
623 輝度検出部(輝度計測部)
624 顔情報記憶部
625 出力選択部(選択部)
630 撮像装置(撮像部)
700 光電センサ
800 バスライン
DP 表示部
HM 人
IS 屋内空間
OS 屋外空間
PR 撮像領域
Sk 信号(ドアを開状態とさせるための信号)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアと、
前記ドアを開閉するドア開閉機構と、
前記ドア付近を撮像領域とするように配置される撮像部と、
前記撮像領域において人の顔が存在するか否かを検出し、当該人の顔が存在することを検出した場合に、当該人の顔情報が予め記憶された顔情報に一致するものか否かを判断する顔検出判断部と、
前記顔検出判断部により前記情報と前記顔情報とが一致することが判断された場合に、前記ドア開閉機構により前記ドアを閉状態とさせるドア開閉機構制御部と、を備える自動ドア開閉システム。
【請求項2】
前記顔検出判断部は、前記撮像領域において前記人の顔の存在を検出した場合に、当該人の顔情報が予め記憶された顔情報に一致するか否かの判断を繰り返して行う、請求項1記載の自動ドア開閉システム。
【請求項3】
前記顔検出判断部は、前記人の顔情報が予め記憶された顔情報に一致することを判断した場合に、前記撮像部により撮像された当該人の顔情報を外部の表示部に対して送信する、請求項1または請求項2に記載の自動ドア開閉システム。
【請求項4】
人の存在を検知する、赤外線投受光式またはタッチセンサ式のセンサ部と、
前記顔検出判断部により前記撮像領域において前記人の顔の存在が検出されない場合、または、前記撮像領域において変化は存在するが前記人の顔の存在はないと判断された場合に、前記センサ部からの信号に基づいて前記ドアを開状態とさせるための信号を前記ドア開閉機構制御部に対して出力する選択部と、をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の自動ドア開閉システム。
【請求項5】
前記顔検出判断部が所定の状態に陥ったことを検出する状態検出部と、
前記状態検出部において前記顔検出判断部が前記所定の状態に陥ったことが検出され、且つ、前記センサ部により前記人の存在が検知されると、前記ドア開閉機構により前記ドアを開状態とさせる副ドア開閉機構制御部と、をさらに備える、請求項4記載の自動ドア開閉システム。
【請求項6】
前記人の顔情報を予め記憶する顔情報記憶部をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動ドア開閉システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−132799(P2011−132799A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139692(P2010−139692)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】