説明

自動リセット機能を備えた無線識別システムの識別コード送信機および自動リセット機能を備えた無線識別システムの識別コード送信機を備えた無線識別システム

【課題】 無線識別システムの識別コード送信機が無線識別システムとの通信可能領域内にあって正常に作動しない場合は、識別コード送信機内のマイクロコンピュータのリセットが自動的に行われて無線識別システムとの通信動作が確実に行われる無線識別システムの識別コード送信機および該識別コード送信機を備えた無線識別システムを提供する。
【解決手段】 無線識別システムから送信された電源信号に基づき電源が投入されるとともに、電源投入後トリガ信号を出力し、その後にあらかじめ記録された識別コードを無線送信するマイコン160と、電源信号に基づきマイコン160のリセット信号を発生し、マイコン160からトリガ信号を受け取った場合はマイコン160にリセット信号を出力せず、マイコン160からトリガ信号を受け取らない場合はマイコン160にリセット信号を出力してマイコン160をリセットするリセット信号発生部142とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動リセット機能を備えた無線識別システムの識別コード送信機および自動リセット機能を備えた無線識別システムの識別コード送信機を備えた無線識別システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、競技時間を競うマラソン等のレーススポーツ競技において、計時作業を正確に行うために、無線識別システムの識別コード送信機、いわゆる非接触ICカードを用いた計時システムが普及してきている。このような計時システムにおいては、選手を識別するための識別コードが登録された非接触ICカードが選手のウエアのいわゆるゼッケン内側等に貼り付けられている。また走路を横断する緩衝シート内側にデータ送受信用のアンテナが設置され、さらに予備受信アンテナとしてダイポールアンテナが走路両端に設置されて、非接触ICカードとの通信距離が1〜2m程度確保されている。非接触ICカードは、マイコンを備えた内部回路を駆動するための電源電池を内蔵しており、アンテナのカバーする通信領域内を選手が通過した際にシステム側から送信された電源投入信号によりマイコンの電源が投入されて識別コードを送信し、この識別コードがシステムに読み込まれて、競技開催場所での時刻と合わせて記録が集計される(特許文献1)。このようなスポーツ競技における計時システムでは、計測ミスが許されないため、非接触ICカードが動作しなかった場合の備えとして、選手に2つの非接触ICカードを装着することが多い。
【0003】
また、秘匿管理が必要な建物内への入退管理用としても、非接触ICカードが普及してきている。例えば、あらかじめ所定の識別コードが記録された非接触ICカードを保有している者が建物側に設置されたシステム端末付近を通過した際、またはシステム端末に非接触ICカードを近づけた際に、非接触ICカードとシステム端末との間でデータの送受信が行われ、非接触ICカードに記録された識別コードとシステム側に事前登録された識別コードとが一致した場合にのみドアを開けて、建物内への入退管理を行っている。このような非接触ICカードは長い年月継続的に使われることが多いため、非接触ICカードの電力は、電磁誘導や電磁結合、電波等を用いて外部から供給されることが多い。
【0004】
ここで、外部から電力の供給を行う際に、非接触ICカードとシステム端末との通信距離が離れている場合は大電力で安定した電力を供給することが難しいため、電源投入後に電力が不安定になった場合に、非接触ICカード内のマイクロコンピュータをリセットしてマイクロコンピュータの動作を安定させる非接触ICカードが提案されている(特許文献2)。また、電源にノイズが現れて電力が不安定になった場合にマイクロコンピュータをリセットして動作を安定させる非接触ICカードが提案されている(特許文献3)。
【特許文献1】特開2004−57805公報
【特許文献2】特開2003−44176公報
【特許文献3】特開2004−326415公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、レーススポーツ競技での計時システムにおいては、選手はより良い結果を得るために身に着けるものを極力少なくして軽量化を図っているため、非接触ICカードを2枚装着することは好まれない。また非接触ICカードを選手1人が2枚装着すると、無線識別システムが処理する無線信号も2倍となってシステムが複雑になるため、実用的ではない。
【0006】
この対策として、システムとの通信可能領域内に非接触ICカードが入った際に、非接触ICカードが内蔵するマイクロコンピュータをリセットして、非接触ICカードの動作を確実にする方法が考えられる。しかしながらこの方法では、システムとの通信可能領域内に非接触ICカードが入ってから実際にマイクロコンピュータが作動するまでに時間差が生じる。この状態で非接触ICカードがまだ正常に作動しない場合は、さらに何らかの方法でマイクロコンピュータをリセットして非接触ICカードを正常に作動させる必要があり、システムとの通信可能領域内に非接触ICカードが入ってから実際にマイクロコンピュータが作動するまでの時間差がさらに増大する。
【0007】
一方、地点通過時刻やゴール時刻等は、非接触ICカードが通信可能領域内に入った時刻と通信可能領域外に出た時刻に基づいて算出されるため、上記時間差が増大すると場合によっては計時が行われずに地点通過時刻やゴール時刻等が算出されないという問題が発生する可能性がある。
【0008】
このため、通信可能領域内でのマイクロコンピュータのリセット回数は最小限に留める必要があり、システムとの通信可能領域内に非接触ICカードが入る度に非接触ICカードが内蔵するマイクロコンピュータをリセットする機能を基本機能として備えることは望ましくない。
【0009】
一方、入退管理システムにおいては、一時的な周囲の電磁環境変化や静電気の放電ノイズ、非接触ICカードに加わった機械的応力、温度等の影響により非接触ICカードの電源投入後に非接触ICカード内のマイクロコンピュータが動作を開始しないという状況が発生する可能性がある。このような場合は、非接触ICカードを一旦システム端末から遠ざけた後に再度システム端末に近づけて電源を投入し直し、非接触ICカード内のマイクロコンピュータをリセットする必要があり、カードの保有者に余分な動作を要求して利便性を損なうという問題がある。また、非接触ICカードの携帯性を考慮すると非接触ICカード本体にマイクロコンピュータのリセット用のリセットスイッチを設けることは実用的ではない。
【0010】
本発明の課題は、無線識別システムの識別コード送信機が無線識別システムとの通信可能領域内にあって正常に作動しない場合は、識別コード送信機内のマイクロコンピュータのリセットが自動的に行われて無線識別システムとの通信が確実に行われる無線識別システムの識別コード送信機および該識別コード送信機を備えた無線識別システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、無線識別システムから送信された電源信号を受信する受信アンテナと、前記受信アンテナで受信した前記電源信号に基づき所定の電圧を出力する駆動部と、前記無線識別システムの識別コードを記録する一方、前記駆動部が出力する前記所定の電圧が印加されたときに電源投入されるとともに、電源投入後所定時間経過した際にトリガ信号を出力し、該トリガ信号出力後前記識別コードを出力するマイクロコンピュータと、前記電源信号に基づいて前記マイクロコンピュータをリセットするリセット信号を発生し、前記マイクロコンピュータから前記トリガ信号を受け取った場合は前記マイクロコンピュータに前記リセット信号を出力せず、前記マイクロコンピュータから前記トリガ信号を受け取らない場合は前記マイクロコンピュータに前記リセット信号を出力して前記マイクロコンピュータをリセットするリセット信号発生部と、前記マイクロコンピュータが出力した前記識別コードを無線信号に変調して出力するデータ送信部と、前記データ送信部が出力する無線信号を前記無線識別システムに送信する送信アンテナとを備えることを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、無線識別システムから送信された電源信号によりマイクロコンピュータが作動して無線識別コードを送信する一方、マイクロコンピュータが作動しない場合はリセット信号発生部がリセット信号を出力してマイクロコンピュータをリセットし、マイクロコンピュータを確実に動作させることができる。
【0013】
また請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記電源信号が所定のパルス信号を変調した電源投入信号であり、前記駆動部は、前記所定の電圧を出力する電池と、前記電源投入信号を復調して前記パルス信号を出力するデータ受信部と、前記データ受信部から出力される前記パルス信号を受け取った際に前記電池と前記マイクロコンピュータとを電気的に接続して前記マイクロコンピュータに前記電池が出力する前記所定の電圧を印加する電源投入部とを備えることを特徴としている。
【0014】
上記構成によれば、電池内蔵式の無線識別システムの識別コード送信機において、無線識別システムから送信された電源信号によりマイクロコンピュータが作動して無線識別コードを送信する一方、マイクロコンピュータが作動しない場合はリセット信号発生部がリセット信号を出力してマイクロコンピュータをリセットし、マイクロコンピュータを確実に動作させることができる。
【0015】
また請求項3に記載の発明は、請求項1において、前記電源信号が電磁波信号であり、前記駆動部は、前記電磁波信号により前記受信アンテナで発生した誘導起電力を取り込んで前記マイクロコンピュータに前記所定の電圧を印加する電圧出力部と、前記マイクロコンピュータの電源投入時に該マイクロコンピュータをリセットするパワーオンリセット信号を前記電源信号に基づいて出力するパワーオンリセット信号発生部とを備えることを特徴としている。
【0016】
上記構成によれば、外部から電力が供給される無線識別システムの識別コード送信機において、無線識別システムから送信された電源信号によりマイクロコンピュータが作動して無線識別コードを送信する一方、マイクロコンピュータが作動しない場合はリセット信号発生部がリセット信号を出力してマイクロコンピュータをリセットし、マイクロコンピュータを確実に動作させることができる。
【0017】
また請求項4に記載の発明は、請求項1または2において、前記リセット信号発生部は、異なる時定数を有する2つのCR時定数回路を備え、該2つのCR時定数回路に前記データ受信部の出力する前記パルス信号を取り込んで出力した2つの出力信号の論理積により前記リセット信号を発生することを特徴としている。
【0018】
上記構成によれば、CR時定数回路を用いてリセット信号を発生させており、実現が容易である。また、CR時定数回路に入力する信号は、電源投入信号や電力信号等を利用することが可能となり、入力信号を幅広く選択することができる。
【0019】
また請求項5に記載の発明は、請求項1または2において、前記リセット信号発生部は、前記電源投入信号の搬送波の脈波をカウントするカウンタ回路を備え、該カウンタ回路に前記電源投入信号を取り込んでカウントした前記脈波の数が所定の数となった場合に前記リセット信号を発生することを特徴としている。
【0020】
上記構成によれば、カウンタ回路を用いてリセット信号を発生させており、実現が容易である。また、リセット信号の発生タイミングやパルス幅はカウンタ回路のカウントの設定を変更することで容易に調整が可能である。
【0021】
また請求項6に記載の発明は、請求項1または3において、前記リセット信号発生部は、異なる時定数を有する2つのCR時定数回路を備え、該2つのCR時定数回路に前記パワーオンリセット信号発生部の出力する前記パワーオンリセット信号を取り込んで出力した2つの出力信号の論理積により前記リセット信号を発生することを特徴としている。
【0022】
上記構成によれば、CR時定数回路を用いてリセット信号を発生させており、実現が容易である。また、CR時定数回路に入力する信号は、電源投入信号や電力信号等を利用することが可能となり、入力信号を幅広く選択することができる。
【0023】
また請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項において、前記リセット信号発生部は、前記マイクロコンピュータが前記トリガ信号の出力を終了するまでは前記リセット信号を繰り返し出力する一方、前記マイクロコンピュータが前記トリガ信号の出力を終了した後は前記リセット信号の出力を停止することを特徴としている。
【0024】
上記構成によれば、無線識別システムから送信された電源信号によりマイクロコンピュータが作動しない場合は、マイクロコンピュータが作動するまでリセット信号発生部がリセット信号を繰り返し出力してマイクロコンピュータをリセットし、マイクロコンピュータをより確実に動作させることができる。
【0025】
また請求項8に記載の発明は、請求項1または2において、前記リセット信号発生部は、異なる時定数を有する2つのCR時定数回路を備え、該2つのCR時定数回路に前記データ受信部の出力する前記パルス信号を取り込んで出力した2つの出力信号の論理積により前記リセット信号を発生し、前記マイクロコンピュータが前記トリガ信号の出力を終了するまでは、前記リセット信号出力後に前記2つのCR時定数回路をクリアし前記リセット信号を繰り返し発生する一方、前記マイクロコンピュータが前記トリガ信号の出力を終了した後は前記リセット信号出力後に前記2つのCR時定数回路をクリアせず前記リセット信号の発生を停止することを特徴としている。
【0026】
上記構成によれば、CR時定数回路を用いてリセット信号を発生させることができ、実現が容易である。また、CR時定数回路に入力する信号は、電源投入信号や電力信号等を利用することが可能となり、入力信号を幅広く選択することができる。また、無線識別システムから送信された電源信号によりマイクロコンピュータが作動しない場合は、マイクロコンピュータが作動するまでリセット信号発生部がリセット信号を繰り返し出力してマイクロコンピュータをリセットし、マイクロコンピュータをより確実に動作させることができる。
【0027】
また請求項9に記載の発明は、請求項1または2において、前記リセット信号発生部は、前記電源投入信号の搬送波の脈波をカウントするカウンタ回路を備え、該カウンタ回路に前記電源信号を取り込んでカウントした前記脈波の数が所定の数となった場合に前記リセット信号を発生し、前記マイクロコンピュータが前記トリガ信号の出力を終了するまでは、前記リセット信号出力後に前記カウンタ回路をクリアし前記リセット信号を繰り返し発生する一方、前記マイクロコンピュータが前記トリガ信号の出力を終了した後は前記リセット信号出力後に前記カウンタ回路をクリアせず前記リセット信号の発生を停止することを特徴としている。
【0028】
上記構成によれば、カウンタ回路を用いてリセット信号を発生させることができ、実現が容易である。また、リセット信号の発生タイミングやパルス幅はカウンタ回路のカウントの設定を変更することで容易に調整が可能である。また、無線識別システムから送信された電源信号によりマイクロコンピュータが作動しない場合は、マイクロコンピュータが作動するまでリセット信号発生部がリセット信号を繰り返し出力してマイクロコンピュータをリセットし、マイクロコンピュータをより確実に動作させることができる。
【0029】
また請求項10に記載の発明は、請求項1または3において、前記リセット信号発生部は、異なる時定数を有する2つのCR時定数回路を備え、該2つのCR時定数回路に前記パワーオンリセット信号発生部の出力する前記パワーオンリセット信号を取り込んで出力した2つの出力信号の論理積により前記リセット信号を発生し、前記マイクロコンピュータが前記トリガ信号の出力を終了するまでは、前記リセット信号出力後に前記2つのCR時定数回路をクリアし前記リセット信号を繰り返し発生する一方、前記マイクロコンピュータが前記トリガ信号の出力を終了した後は前記リセット信号出力後に前記2つのCR時定数回路をクリアせず前記リセット信号の発生を停止することを特徴としている。
【0030】
上記構成によれば、CR時定数回路を用いてリセット信号を発生させることができ、実現が容易である。また、CR時定数回路に入力する信号は、電源投入信号や電力信号等を利用することが可能となり、入力信号を幅広く選択することができる。また、無線識別システムから送信された電源信号によりマイクロコンピュータが作動しない場合は、マイクロコンピュータが作動するまでリセット信号発生部がリセット信号を繰り返し出力してマイクロコンピュータをリセットし、マイクロコンピュータをより確実に動作させることができる。
【0031】
また請求項11に記載の発明は、請求項1から10に記載の無線識別システムの識別コード送信機を備え、該識別コード送信機に前記電源信号を送信するとともに該電源信号により作動を開始した前記識別コード送信機から前記識別コードを受信し、受信した前記識別コードに基づいて所定の動作を行う制御装置を備えることを特徴としている。
【0032】
上記構成によれば、無線識別システムにおいて識別コード送信機の動作が確実に行われ、無線識別システムの所定の動作が確実に行われる。
【0033】
また請求項12に記載の発明は、請求項11において、前記所定の動作が、レーススポーツ競技における計時動作であることを特徴としている。
【0034】
上記構成によれば、レーススポーツ競技において、計時動作が確実に行われる。
【0035】
また請求項13に記載の発明は、請求項11において、前記所定の動作が、入退管理システムにおける建物の自動扉の開閉動作であることを特徴としている。
【0036】
上記構成によれば、入退管理システムにおいて、自動扉の開閉動作が確実に行われる。
【0037】
また請求項14に記載の発明は、請求項11において、前記所定の動作が、駅の自動改札機における自動扉の開閉動作であることを特徴としている。
【0038】
上記構成によれば、駅の自動改札機において、自動扉の開閉動作が確実に行われる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、無線識別システムの識別コード送信機が無線識別システムとの通信可能領域内にあって正常に作動しない場合は、識別コード送信機内のマイコンのリセットが自動的に行われて無線識別システムとの通信が確実に行われる無線識別システムの識別コード送信機および該識別コード送信機を備えた無線識別システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
【実施例1】
【0041】
図1に本発明の第1の実施例のブロック図を示す。
【0042】
本実施例は、無線識別システムの識別コード送信機である非接触ICカード内部に電池を内蔵し、無線識別システムから送信される電源投入信号によりマイクロコンピュータ(以下マイコンと呼ぶ)の電源が投入される非接触ICカードにおいて、マイコンが正常に動作しない場合にマイコンのリセットが自動的に行われる非接触ICカードの例である。このような電池を内蔵した非接触ICカードでは、待機電流を抑えて電池寿命を長くするために、無線識別システムから送信される電源投入信号を受信する部分は常時待機状態とする一方、識別コードを送信するマイコン部分は無線識別システムから送信される電源投入信号を受け取った際に電源投入が行われる。
【0043】
非接触ICカード100は、受信アンテナ111および送信アンテナ112を備えるアンテナ110、電池120、データ制御部130、マイコン起動制御部140、クロック信号発生部150、マイコン160を備えている。
【0044】
受信アンテナ111では、無線識別システム(図示省略)から送信される電源投入信号が受信される。ここで、電源投入信号は所定のパルス信号を変調した信号である。
【0045】
電池120は、データ制御部130およびマイコン起動制御部140に常時電力を供給している。また無線識別システムから送信される電源投入信号を受け取った場合に、クロック信号発生部150及びマイコン160に電力を供給する。
【0046】
データ制御部130は、データ受信部131、データ復調部132、データ送信部133を備えている。受信アンテナ111で受信された電源投入信号はデータ受信部131で復調されてパルス信号が取り出され、電源投入部141(後述)およびリセット(図1ではRSTと記載)信号発生部142(後述)に出力される。また受信アンテナ111で受信されたデータ信号はデータ受信部131で復調されてデータ信号が取り出され、データ復調部132でデータ信号のビット列が復調されてマイコン160に出力される。
【0047】
マイコン起動制御部140は、電源投入部141、リセット信号発生部142を備えている。
【0048】
電源投入部141は、データ受信部131が出力するパルス信号を受け取った際に、電池120とクロック信号発生部150の電源端子およびマイコン160の電源端子を接続してクロック信号発生部150およびマイコン160の電源を投入する。
【0049】
リセット信号発生部142は、データ受信部131が出力するパルス信号を受け取り、マイコン160をリセットするリセット信号を発生する。電源投入後にマイコン160が所定のトリガ信号(後述)を出力しない場合に、マイコン160にこのリセット信号を出力する。
【0050】
マイコン160は、CPU161、データの読み出し専用メモリであるROM162、データの書き換えが可能な不揮発性メモリであるEEPROM163、揮発性メモリであるRAM164を備えている。ROM162にはマイコン160を動作させるプログラムが記憶されている。またEEPROM163には、無線識別システムの識別コードが記憶されている。またRAM164には無線識別システムとの送受信を行う際に必要なデータ等が一時的に記憶される。
【0051】
CPU161は、電源投入部141により電源が投入されると動作を開始する。また、動作開始後所定時間経過後に所定のパルス幅を有するトリガ信号をリセット信号発生部142に出力する。また、リセット信号発生部142が出力するリセット信号を受け取ってリセットが行われると動作を開始する。また、EEPROM163に記憶された識別コードをデータ送信部133に出力する。
【0052】
クロック信号発生部150はデータ受信部131から出力される無線識別システムの送信信号の搬送波を取り込み、搬送波と同期するクロック信号を発生してCPU161へクロック信号を供給する。
【0053】
データ送信部133は、マイコン160から出力された識別コードを無線信号に変調して送信アンテナ112に出力する。
【0054】
送信アンテナ112は無線識別システムに無線信号に変換された識別コードを送信する。
【0055】
図2に、リセット信号発生部142の回路図を、図3および図4に、リセット信号発生部142の構成部品のタイミングチャートを示す。以下、図2〜図4を用いて、リセット信号発生部142の動作についての説明を行う。
【0056】
電源投入信号により起動されたマイコン160は時刻T0で動作を開始し、動作開始後所定時間tsが経過した時刻T1時点から所定時間tdが経過する時刻T4までの間、リセット信号発生部142のNANDゲート34にトリガ信号を出力する。
【0057】
一方、抵抗R1に入力された電源投入信号のパルス信号によって、時刻T0からコンデンサC1への充電が開始され、コンデンサC1の電位が所定の電位V1となった時点(図3の時刻T2)でバッファ31の出力がLレベルからHレベルに反転する。また、抵抗R2に入力された電源投入信号のパルス信号によって、時刻T0からコンデンサC2への充電が開始され、コンデンサC2の電位が所定の電位V2となった時点(図3の時刻T3)でインバータ32の出力がHレベルからLレベルに反転する。ここで、コンデンサC2の電位がV2となるまでに要する時間はコンデンサC1の電位がV1となるまでに要する時間より長くなるように、抵抗R1、R2、コンデンサC1、C2の値が設定されている。
【0058】
バッファ31の出力とインバータ32の出力はANDゲート33に入力される。したがって、ANDゲート33の出力は時刻T2でLレベルからHレベルとなり、時刻T3でHレベルからLレベルに変化する。この時刻T2〜T3間のANDゲート33の出力がマイコンのリセット信号の源信号となる。
【0059】
ANDゲート33の出力と前述したマイコン160のトリガ信号はNANDゲート34に入力される。ここで、ANDゲート33の出力とマイコン160のトリガ信号は同時にHレベルとなる時刻がないため、NANDゲート34の出力、すなわちリセット信号は常にHレベルに固定される。
【0060】
以上の動作により、電源投入信号によって起動されたマイコンが正常に動作し、動作開始後所定時間ts経過後に所定時間間隔tdでトリガ信号を出力した場合は、リセット信号発生部142によるマイコン160のリセットは行われない。
【0061】
一方、図4に示すように、電源投入信号によりマイコン160が正常に動作せずに、マイコン160からのトリガ信号の出力がなく、マイコン160の出力がHレベル一定となっている場合は、ANDゲート33の出力とマイコン160のトリガ信号が入力されるNANDゲート34の出力、すなわちリセット信号は、ANDゲート33の出力を反転したもの、すなわち時刻T2でHレベルからLレベルとなり、時刻T3でLレベルからHレベルに変化する。この信号により、時刻T3でマイコン160のリセットが行われる。
【0062】
以上の動作により、電源投入信号によって起動されたマイコン160が正常に動作せず、動作開始後所定時間ts経過後にトリガ信号を出力しない場合は、時刻T3でマイコン160のリセットが自動的に行われる。
【0063】
以上のように、内部に電池を備え、無線識別システムからの電源投入信号によりマイコンの電源投入が行われる非接触ICカードにおいて、無線識別システムからの電源投入信号によりマイコンが正常に動作しない場合は、自動的にマイコンのリセットが行われる。この動作により、非接触ICカードを確実に作動させることができる。
【実施例2】
【0064】
図5に本発明の第2の実施例のブロック図を示す。
【0065】
本実施例は、非接触ICカードは電池を内蔵しておらず、無線識別システムが発生する磁界内において電磁誘導によって生じる誘導起電力により非接触ICカードの内部回路の電力供給が行われる非接触ICカードの例である。
【0066】
非接触ICカード200は、受信アンテナ211および送信アンテナ212を備えるアンテナ210、電圧出力部220、データ制御部230、マイコン起動制御部240、クロック信号発生部250、マイコン260を備えている。
【0067】
受信アンテナ211では、無線識別システム(図示省略)が発生する磁界内に非接触ICカードが入った際に電磁誘導によって誘導起電力が生じる。また、無線識別システムから送信されるデータが受信される。
【0068】
電圧出力部220では、電磁誘導により生じた誘導起電力の整流が行われ、所定の電圧の電力が出力される。出力された電力は、データ制御部230、マイコン起動制御部240、クロック信号発生部250、マイコン260に供給される。
【0069】
データ制御部230は、データ受信部231、データ復調部232、データ送信部233を備えている。受信アンテナ211で受信されたデータ信号はデータ受信部231で復調されてデータ信号が取り出され、データ復調部232でデータ信号のビット列が復調されてマイコン260に出力される。
【0070】
マイコン起動制御部240は、パワーオンリセット(図5ではPORと記載)信号発生部241、リセット(図5ではRSTと記載)信号発生部242を備えている。
【0071】
パワーオンリセット信号発生部241は、電圧出力部220が出力する電圧を受け取り、マイコン260をリセットするためのパワーオンリセット信号を出力する。
【0072】
リセット信号発生部242は、パワーオンリセット信号発生部241が出力するパワーオンリセット信号を受け取り、マイコン260をリセットするリセット信号を発生する。電源投入後にマイコン260が所定のトリガ信号(後述)を出力しない場合に、マイコン260にこのリセット信号を出力する。
【0073】
マイコン260は、CPU261、データの読み出し専用メモリであるROM262、データの書き換えが可能な不揮発性メモリであるEEPROM263、揮発性メモリであるRAM264を備えている。ROM262にはマイコン260を動作させるプログラムが記憶されている。またEEPROM263には、無線識別システムの識別コードが記憶されている。またRAM264には無線識別システムとの送受信を行う際に必要なデータ等が一時的に記憶される。
【0074】
CPU261は、パワーオンリセット信号発生部241が出力するパワーオンリセット信号を受け取るとリセットが行われて動作を開始する。また、リセット信号発生部242が出力するリセット信号を受け取るとリセットが行われて動作を開始する。また、EEPROM263に記憶された識別コードをデータ送信部233に出力する。
【0075】
クロック信号発生部250はデータ受信部231から出力される無線識別システムの送信信号の搬送波を取り込み、搬送波と同期するクロック信号を発生してCPU261へクロック信号を供給する。
【0076】
データ送信部233は、マイコン260から出力された識別コードを無線信号に変調して送信アンテナ212に出力する。
【0077】
送信アンテナ212は無線識別システムに無線信号に変換された識別コードを送信する。
【0078】
図6に、リセット信号発生部242の回路図を、図7および図8に、リセット信号発生部242の構成部品のタイミングチャートを示す。以下、図6〜図8を用いて、リセット信号発生部242の動作についての説明を行う。
【0079】
電圧出力部220により電力を供給された際にパワーオンリセット信号発生部241により出力されたパワーオンリセット信号(図6、図7ではPOR信号と記載)は、ANDゲート45、抵抗R3、抵抗R4に入力される(図7の時刻T0)。
【0080】
このとき、マイコン260のトリガ信号出力はHレベルに保たれており、またANDゲート43の出力はLレベルに保たれているため、NANDゲート44の出力はHレベルとなる。したがって、パワーオンリセット信号とNANDゲート44の出力が入力されるANDゲート45の出力は、パワーオンリセット信号と同様時刻T0でL→Hとなる。
【0081】
パワーオンリセット信号によりリセットされたマイコン260は時刻T0で動作を開始し、動作開始後所定時間tsが経過した時刻T1時点から所定時間tdが経過する時刻T4までの間、リセット信号発生部242のNANDゲート44にトリガ信号を出力する。
【0082】
一方、抵抗R3に入力されたパワーオンリセット信号によって、時刻T0からコンデンサC3への充電が開始され、コンデンサC3の電位が所定の電位V3となった時点(図7の時刻T2)でバッファ41の出力がLレベルからHレベルに反転する。また、抵抗R4に入力されたパワーオンリセット信号によって、時刻T0からコンデンサC4への充電が開始され、コンデンサC4の電位が所定の電位V4となった時点(図7の時刻T3)でインバータ42の出力がHレベルからLレベルに反転する。ここで、コンデンサC4の電位がV4となるまでに要する時間はコンデンサC3の電位がV3となるまでに要する時間より長くなるように、抵抗R3、R4、コンデンサC3、C4の値が設定されている。
【0083】
バッファ41の出力とインバータ42の出力はANDゲート43に入力される。したがって、ANDゲート43の出力は時刻T2でLレベルからHレベルとなり、時刻T3でHレベルからLレベルに変化する。この時刻T2〜T3間のANDゲート43の出力がマイコンのリセット信号の源信号となる。
【0084】
ANDゲート43の出力と前述したマイコン260のトリガ信号はNANDゲート44に入力される。ここで、ANDゲート43の出力とマイコン260のトリガ信号は同時にHレベルとなる時刻がないため、NANDゲート44の出力は常にHレベルに固定される。
【0085】
したがって、パワーオンリセット信号とNANDゲート44の出力が入力されるANDゲート45の出力、すなわちリセット信号は、パワーオンリセット信号と同一、すなわち時刻T0でLレベルからHレベルに変化し、その後Hレベル一定となる。
【0086】
以上の動作により、パワーオンリセット信号によってリセットされたマイコン260が正常に動作し、動作開始後所定時間ts経過後に所定時間間隔tdでトリガ信号を出力した場合は、リセット信号発生部242によるマイコン260のリセットは行われない。
【0087】
一方、図8に示すように、パワーオンリセット信号によりマイコン260が正常に動作せずに、マイコン260からのトリガ信号の出力がなく、マイコン260の出力がHレベル一定となっている場合は、ANDゲート43の出力とマイコン260の出力が入力されるNANDゲート44の出力は、ANDゲート43の出力を反転したもの、すなわち時刻T2でHレベルからLレベルとなり、時刻T3でLレベルからHレベルに変化する。
【0088】
したがって、パワーオンリセット信号とNANDゲート44の出力が入力されるANDゲート45の出力、すなわちリセット信号は、時刻T0でLレベルからHレベルとなり、時刻T2でHレベルからLレベルに変化した後、時刻T3で再びLレベルからHレベルとなる。この信号により、時刻T3でマイコン260のリセットが行われる。
【0089】
以上の動作により、パワーオンリセット信号によってリセットされたマイコン260が正常に動作せず、動作開始後所定時間ts経過後にトリガ信号を出力しない場合は、リセット信号発生部242により時刻T3で再度マイコン260のリセットが行われる。
【0090】
以上のように、無線識別システムから電力を供給される非接触ICカードにおいて、電力が供給された際にマイコンが正常に動作しない場合は、自動的にマイコンのリセットが行われる。この動作により、非接触ICカードを確実に作動させることができる。
【実施例3】
【0091】
本実施例は、第1の実施例において、リセット信号発生部が出力したリセット信号によりマイコンが正常に動作しない場合に、リセット信号発生部が繰り返しリセット信号を出力してマイコンのリセットを継続する回路を備えた非接触ICカードの例である。
【0092】
図9に本実施例のブロック図を示す。
【0093】
本ブロック図は第1の実施例とリセット(図9ではRSTと記載)信号発生部342内部の回路のみが異なり、その他の構成は第1の実施例と同等のため、ブロック図の説明は省略する。
【0094】
図10に、リセット信号発生部342の回路図を、図11に、リセット信号発生部342の構成部品のタイミングチャートを示す。以下、図10、図11を用いて、リセット信号発生部342の動作についての説明を行う。
【0095】
まず、電源投入部341による電源投入後マイコンが正常に動作せずにトリガ信号を出力しない場合の動作についての説明を行う。
【0096】
データ受信部331から出力される電源投入信号のパルス信号は、抵抗R5、抵抗R6に入力される(図11の時刻T0)。
【0097】
このとき、マイコン360は正常に動作せずにトリガ信号出力がHレベルに保たれており、またANDゲート53の出力はLレベルに保たれているため、NANDゲート54の出力はHレベルとなる。したがって、インバータ55の出力はLレベルに保たれている。
【0098】
一方、抵抗R5に入力された電源投入信号のパルス信号によって、時刻T0からコンデンサC5への充電が開始され、コンデンサC5の電位が所定の電位V5となった時点(図11の時刻T2)でバッファ51の出力がLレベルからHレベルに反転する。また、抵抗R6に入力された電源投入信号のパルス信号によって、時刻T0からコンデンサC6への充電が開始される。ここで、コンデンサC6の電位が所定の電位V6となって出力レベルが反転するまでに要する時間は、コンデンサC5の電位がV5となるまでに要する時間より長くなるように、抵抗R5、R6、コンデンサC5、C6の値が設定されている。
【0099】
時刻T2でバッファ51の出力がLレベルからHレベルに変化すると、インバータ52の出力変化はまだないため、ANDゲート53の出力は時刻T2でLレベルからHレベルに変化する。これに伴い、NANDゲート54の出力は時刻T2でHレベルからLレベルに変化し、バッファ56の出力は時刻T2でLレベルからHレベルに変化して抵抗R7へ入力される。
【0100】
ここで、抵抗R7に入力された信号により時刻T2からコンデンサC7への充電が開始され、コンデンサC7の電位が所定の電位V7Aとなった時点(図11の時刻TA)でバッファ57の出力がLレベルからHレベルに反転する。この信号により、トランジスタTR1、TR2がオンとなる。
【0101】
ここで、トランジスタTR1のコレクタ端子はコンデンサC5と接続されているため、トランジスタTR1がオンとなるとコンデンサC5に充電されていた電荷がGNDに放電される。このため、コンデンサC5の電位は時刻TAでGNDレベルとなり、バッファ51の出力は時刻TAでHレベルからLレベルに反転する。
【0102】
また、トランジスタTR2のコレクタ端子はコンデンサC6と接続されているため、トランジスタTR2がオンとなるとコンデンサC6に充電されていた電荷がGNDに放電される。ここで、時刻TA直前において、コンデンサC6の電位はインバータ52の出力を反転させるには至っていない状態であるため、時刻TAでコンデンサC6の電位がGNDレベルとなってもインバータ52の出力は変化しない。
【0103】
時刻TAでバッファ51の出力がLレベルになると、NANDゲート54の出力、すなわちリセット信号はLレベルからHレベルに反転する。この信号により、マイコン360のリセットが行われる。
【0104】
以上の動作により、電源投入信号によって起動されたマイコンが正常に動作せず、動作開始後所定時間ts経過後にトリガ信号を出力しない場合は、時刻TAでマイコン360のリセットが行われる。
【0105】
ここで、時刻TAでNANDゲート54の出力がLレベルからHレベルに変化すると、バッファ56の出力レベルはHレベルからLレベルに変化する。ここで、コンデンサC7は抵抗R7を介してバッファ56の出力側と接続されているため、コンデンサC7に充電された電荷が時刻TAから徐々にGNDに放電される。これに伴い、バッファ57の入力電位が低下し、入力電位が所定の電位V7Bとなる時刻T3で出力がHレベルからLレベルに変化する。このため、時刻T3でトランジスタTR1、TR2はオフとなる。なお、一般にトランジスタのオンオフはいわゆるヒステリシス特性を有しており、オンからオフになる電位はオフからオンになる電位よりも小さい値となる。したがって、V7A>V7Bの関係がある。
【0106】
以上の動作により、時刻T3においてリセット信号発生部342の信号状態は、時刻T0と同等の状態に戻り、マイコン360が正常に作動してトリガ信号が出力されるまで、上記動作が繰り返し行われる。
【0107】
次に、リセット信号発生部342が出力するリセット信号によりマイコン360が正常に作動してトリガ信号を出力する場合の動作についての説明を行う。
【0108】
時刻T3において、データ受信部331から出力された電源投入信号のパルス信号は、引き続き抵抗R5、抵抗R6に入力されている。
【0109】
このとき、マイコン360の出力はHレベルに保たれており、またANDゲート53の出力はLレベルに保たれているため、NANDゲート54の出力はHレベルとなる。
【0110】
リセット信号発生部342により時刻TAでリセットされたマイコン360は時刻TAで動作を開始し、動作開始後所定時間tsが経過した時刻T4時点から所定時間tdが経過する時刻T7までの間、リセット信号発生部342のNANDゲート54にトリガ信号を出力する。
【0111】
一方、抵抗R5に入力された電源投入信号によって、時刻T3からコンデンサC5への充電が再度開始され、コンデンサC5の電位がV5となった時点(図11の時刻T5)でバッファ51の出力がLレベルからHレベルに反転する。また、抵抗R6に入力された電源投入信号によって、時刻T3からコンデンサC6への充電が再度開始され、コンデンサC6の電位がV6となった時点(図11の時刻T6)でインバータ52の出力がHレベルからLレベルに反転する。ここで、前述したようにコンデンサC6の電位がV6となるまでに要する時間はコンデンサC5の電位がV5となるまでに要する時間より長くなるように、抵抗R5、R6、コンデンサC5、C6の値が設定されている。
【0112】
バッファ51の出力とインバータ52の出力はANDゲート53に入力される。したがって、ANDゲート53の出力は時刻T5でLレベルからHレベルとなり、時刻T6でHレベルからLレベルに変化する。
【0113】
ANDゲート53の出力と前述したマイコン360のトリガ信号はNANDゲート54に入力される。ここで、ANDゲート53の出力とマイコン360のトリガ信号は同時にHレベルとなる時刻がないため、NANDゲート54の出力、すなわちリセット信号は常にHレベルに固定される。これによってバッファ56の出力は常にLレベルとなり、バッファ57の入力は常にLレベルとなって、トランジスタTR1、TR2はオフの状態が維持される。
【0114】
以上の動作により、リセット信号によって起動されたマイコンが正常に動作し、動作開始後所定時間ts経過後に所定時間間隔tdでトリガ信号を出力した場合は、リセット信号発生部342によるマイコン360のリセットは行われない。
【実施例4】
【0115】
本実施例は、第2の実施例において、リセット信号発生部が出力したリセット信号によりマイコンが正常に動作しない場合に、リセット信号発生部が繰り返しリセット信号を出力してマイコンのリセットを継続する回路を備えた非接触ICカードの例である。
【0116】
図12に本実施例のブロック図を示す。
【0117】
本ブロック図は第2の実施例とリセット(図12ではRSTと記載)信号発生部442内部の回路のみが異なり、その他の構成は第2の実施例と同等のため、ブロック図の説明は省略する。
【0118】
図13に、リセット信号発生部442の回路図を、図14に、リセット信号発生部442の構成部品のタイミングチャートを示す。以下、図13、図14を用いて、リセット信号発生部442の動作についての説明を行う。
【0119】
まず、パワーオンリセット後マイコンが正常に作動せずにトリガ信号を出力しない場合の動作についての説明を行う。
【0120】
電圧出力部420により電力を供給された際にパワーオンリセット信号発生部441により出力されたパワーオンリセット信号(図13、図14ではPOR信号と記載)は、抵抗R10、抵抗R11に入力される(図14の時刻T0)。
【0121】
このとき、マイコン460は正常に動作せずにトリガ信号出力がHレベルに保たれており、またANDゲート63の出力はLレベルに保たれているため、NANDゲート64の出力はHレベルとなる。したがって、インバータ65の出力はLレベルに保たれている。
【0122】
一方、抵抗R10に入力されたパワーオンリセット信号によって、時刻T0からコンデンサC10への充電が開始され、コンデンサC10の電位が所定の電位V10となった時点(図14の時刻T2)でバッファ61の出力がLレベルからHレベルに反転する。また、抵抗R11に入力されたパワーオンリセット信号によって、時刻T0からコンデンサC11への充電が開始される。ここで、コンデンサC11の電位が所定の電位V11となって出力レベルが反転するまでの時間は、コンデンサC10の電位がV10となるまでの時間より長くなるように、抵抗R10、R11、コンデンサC10、C11の値が設定されている。
【0123】
時刻T2でバッファ61の出力がLレベルからHレベルに変化すると、インバータ62の出力変化はまだないため、ANDゲート63の出力は時刻T2でLレベルからHレベルに変化する。これに伴い、NANDゲート64の出力は時刻T2でHレベルからLレベルに変化し、バッファ66の出力は時刻T2でLレベルからHレベルに変化して抵抗R12へ入力される。
【0124】
ここで、抵抗R12に入力された信号により時刻T2からコンデンサC12への充電が開始され、コンデンサC12の電位が所定の電位V12Aとなった時点(図14の時刻TA)でバッファ67の出力がLレベルからHレベルに反転する。この信号により、トランジスタTR3、TR4がオンとなる。
【0125】
ここで、トランジスタTR3のコレクタ端子はコンデンサC10と接続されているため、トランジスタTR3がオンとなるとコンデンサC10に充電されていた電荷がGNDに放電される。このため、コンデンサC10の電位は時刻TAでGNDレベルとなり、バッファ61の出力は時刻TAでHレベルからLレベルに反転する。
【0126】
また、トランジスタTR4のコレクタ端子はコンデンサC11と接続されているため、トランジスタTR4がオンとなるとコンデンサC11に充電されていた電荷がGNDに放電される。ここで、時刻TA直前において、コンデンサC11の電位はインバータ62の出力を反転させるには至っていない状態であるため、時刻TAでコンデンサC11の電位がGNDレベルとなってもインバータ62の出力は変化しない。
【0127】
時刻TAでバッファ61の出力がLレベルになると、NANDゲート64の出力、すなわちリセット信号はLレベルからHレベルに反転する。この信号により、マイコン460のリセットが行われる。
【0128】
以上の動作により、パワーオンリセット信号によって起動されたマイコンが正常に動作せず、動作開始後所定時間ts経過後にトリガ信号を出力しない場合は、時刻T3でマイコン460のリセットが行われる。
【0129】
一方、時刻TAでNANDゲート64の出力がLレベルからHレベルに変化すると、バッファ66の出力レベルはHレベルからLレベルに変化する。ここで、コンデンサC12は抵抗R12を介してバッファ66の出力側と接続されているため、コンデンサC12に充電された電荷が時刻TAから徐々にGNDに放電される。これに伴い、バッファ67の入力電位が低下し、入力電位が所定の電位V12Bとなる時刻T3で出力がHレベルからLレベルに変化する。このため、時刻T3でトランジスタTR3、TR4はオフとなる。なお、一般にトランジスタのオンオフはいわゆるヒステリシス特性を有しており、オンからオフになる電位はオフからオンになる電位よりも小さい値となる。したがって、V12A>V12Bの関係がある。
【0130】
以上の動作により、時刻T3においてリセット信号発生部442の信号状態は、時刻T0と同等の状態に戻り、マイコン460が正常に作動してトリガ信号が出力されるまで、上記動作が繰り返し行われる。
【0131】
次に、リセット信号発生部442が出力するリセット信号によりマイコンが正常に作動してトリガ信号を出力した場合の動作についての説明を行う。
【0132】
時刻T3において、パワーオンリセット信号発生部441により出力されたパワーオンリセット信号は、引き続き抵抗R10、抵抗R11に入力されている。
【0133】
このとき、マイコン460の出力はHレベルに保たれており、またANDゲート63の出力はLレベルに保たれているため、NANDゲート64の出力はHレベルとなる。
【0134】
リセット信号発生部442によりリセットされたマイコン460は時刻T3で動作を開始し、動作開始後所定時間tsが経過した時刻T4時点から所定時間tdが経過する時刻T7までの間、リセット信号発生部442のNANDゲート64にトリガ信号を出力する。
【0135】
一方、抵抗R10に入力されたパワーオンリセット信号によって、時刻T3からコンデンサC10への充電が再度開始され、コンデンサC10の電位がV10となった時点(図14の時刻T5)でバッファ61の出力がLレベルからHレベルに反転する。また、抵抗R11に入力されたパワーオンリセット信号によって、時刻T3からコンデンサC11への充電が再度開始され、コンデンサC11の電位がV11となった時点(図14の時刻T6)でインバータ62の出力がHレベルからLレベルに反転する。ここで、前述したようにコンデンサC11の電位がV11となるまでに要する時間はコンデンサC10の電位がV10となるまでに要する時間より長くなるように、抵抗R10、R11、コンデンサC10、C11の値が設定されている。
【0136】
バッファ61の出力とインバータ62の出力はANDゲート63に入力される。したがって、ANDゲート63の出力は時刻T5でLレベルからHレベルとなり、時刻T6でHレベルからLレベルに変化する。
【0137】
ANDゲート63の出力と前述したマイコン460のトリガ信号はNANDゲート64に入力される。ここで、ANDゲート63の出力とマイコン460のトリガ信号は同時にHレベルとなる時刻がないため、NANDゲート64の出力、すなわちリセット信号は常にHレベルに固定される。これによってバッファ66の出力は常にLレベルとなり、バッファ67の出力は常にLレベルとなってトランジスタTR3、TR4はオフの状態が維持される。
【0138】
以上の動作により、リセット信号によって起動されたマイコンが正常に動作し、動作開始後所定時間ts経過後に所定時間間隔tdでトリガ信号を出力した場合は、リセット信号発生部442によるマイコン460のリセット動作は行われない。
【実施例5】
【0139】
本実施例は、非接触ICカード内部に電池を内蔵し、無線識別システムから送信された電源投入信号によりマイコンの電源が投入される非接触ICカードにおいて、マイコンが正常に動作しない場合にマイコンのリセットが自動的に行われる非接触ICカードをマラソンの計時に利用した無線識別システムの例である。
【0140】
図15にシステムの構成図を示す。
【0141】
選手が装着するゼッケンの裏側に非接触ICカード500が取り付けられている。
【0142】
あらかじめ設定された計時地点の走路上には走路を横断する緩衝シート510が敷かれており、緩衝シート510内側に電源投入信号を送信する送信アンテナ520と、非接触ICカード500から送信される識別コードを受信する受信アンテナ530が設置されている。また緩衝シート510の左右両脇には、非接触ICカード500から送信される識別コードを受信する予備受信アンテナ540R、540Lがそれぞれ設置されている。
【0143】
送信アンテナ520は制御装置550に接続されており、制御装置550から出力された電源投入信号を送信する。一方、受信アンテナ530および予備受信アンテナ540R、540Lは制御装置550に接続されており、電源投入信号により作動を開始した非接触ICカード500から送信される識別コードを受信する。ここで、非接触ICカード500と送信アンテナ520、受信アンテナ530、予備受信アンテナ540R、540Lとの通信可能領域は、図15の点線で示す領域となるようにあらかじめアンテナ特性および制御装置550が出力する電源投入信号の送信出力が調整されている。
【0144】
受信アンテナ530および予備受信アンテナ540R、540Lで受信された識別コードは制御装置550に取り込まれ、受信アンテナ530および予備受信アンテナ540R、540Lで受信された信号のうち識別コードを正しく認識できた時刻、すなわち図15の識別コード受信開始時刻と、識別コードを継続認識できなくなった時刻、すなわち図15の識別コード受信終了時刻が一時的に記憶されると共に、これらの時刻の中間値が地点通過時刻またはゴール時刻として算出され、コンピュータ560へ出力される。
【0145】
コンピュータ560では、制御装置550から出力される複数の選手のデータの集計が行われ、ラップや着順等の算出が行われる。
【0146】
ここで、非接触ICカード500が通信可能領域内に入った際に、送信アンテナ520から送信された電源投入信号により非接触ICカード500のマイコン(図示省略、図1参照)が正常に動作しなかった場合は、実施例1で述べたように非接触ICカード500内のリセット信号発生部(図示省略、図1参照)がリセット信号を出力し、マイコンのリセットが自動的に行われる。この動作によりマイコンが起動されて、図15の識別コード再送信開始時刻において識別コードが送信される。
【0147】
なおこの場合、識別コード送信開始時刻と識別コード再送信開始時刻との時間差tdは、他選手の識別コード送信開始時刻と識別コード送信終了時刻、および平均速度に基づいて補正が行われ、地点通過時刻またはゴール時刻が算出される。
【0148】
以上のように、マイコンが正常に動作しない場合にマイコンのリセットが自動的に行われる非接触ICカード500をマラソンの計時に利用した無線識別システムでは、各選手が通信可能領域を通過する際に各選手の地点通過時刻またはゴール時刻が自動的に算出される一方、非接触ICカードが通信可能領域内で正常に動作しない場合でも、自動的に非接触ICカード500内のマイコンのリセットが行われて、計時作業が確実に行われる。
【実施例6】
【0149】
本実施例は、無線識別システム端末が発生する磁界により電力が供給される非接触ICカードにおいて、非接触ICカード内のマイコンが正常に動作しない場合にマイコンのリセットが自動的に行われる非接触ICカードを建物の入退管理に利用した無線識別システムの例である。
【0150】
図16にシステムの構成図を示す。
【0151】
あらかじめ建物内へ入ることを許された者(以下、従業員とする)は、従業員番号等それぞれ異なる識別コードを割り当てられており、あらかじめ識別コードが記録された非接触ICカード600を携帯している。この非接触ICカード600は一般に従業員章を兼ねていることが多い。
【0152】
建物の従業員出入り口には、自動扉610が設けられている。自動扉610上部には自動扉610を左右に駆動する自動扉駆動部620が設置されており、自動扉駆動部620は、制御装置640から出力される駆動信号に基づいて駆動される。
【0153】
自動扉610の手前の横壁面には、無線識別システム端末630が取り付けられている。無線識別システム端末630は制御装置640からの信号に基づいて、その周囲の所定領域(図16のM1)に磁界を発生する。また、非接触ICカード600から送信された識別コードを受信アンテナ(図示省略)で受信して、制御装置640へ出力する。
【0154】
制御装置640は、無線識別システム端末630で受信された識別コードを受け取り、受信された識別コードがあらかじめ登録された識別コードと一致する場合にのみ自動扉駆動部620に駆動信号を出力する。
【0155】
また、制御措置640にはコンピュータ650が接続されており、制御装置640で行われた識別作業の時刻が記録される。また、新たな識別コードが発行された場合に、制御装置640に新たな識別コードを登録する。
【0156】
従業員が建物内へ入る際は、非接触ICカード600を無線識別システム端末630に近づけ、非接触ICカード600が磁界発生領域内に入るようにする。
【0157】
磁界発生領域内に入った非接触ICカード600は、第2の実施例で記載したように電磁誘導によって内部に誘導起電力を生じ、マイコン(図示省略、図5参照)を含む各部の電源投入が行われる。
【0158】
電源投入が行われたマイコンは、送信アンテナ(図示省略、図5参照)より識別コードを送信する。
【0159】
送信された識別コードは無線識別システム端末630で受信され、無線識別システム端末630は、受信した識別コードを制御装置640に出力する。
【0160】
制御装置640は無線識別システム端末630から出力された識別コードを受け取り、受信された識別コードがあらかじめ登録された識別コードと一致する場合にのみ自動扉駆動部620に駆動信号を出力して自動扉610を開ける。
【0161】
ここで、非接触ICカード600が磁界発生領域内に入った際に、非接触ICカード600のマイコンが正常に動作しなかった場合は、第2の実施例で述べたように非接触ICカード600内のリセット信号発生部(図示省略、図5参照)がリセット信号を出力し、マイコンのリセットを行う。この動作により、マイコンが起動されて、無線識別システム端末630に識別コードが送信される。
【0162】
したがって、非接触ICカード600のマイコンが正常に動作しなかった場合でも、非接触ICカード600を一旦磁界発生領域外に移動させた後、再度磁界発生領域内に入れて電源を投入し直す操作、すなわちマイコンのリセットを行う必要がなく、従業員に余分な動作を要求して利便性を損なうことがない。
【0163】
以上のように、マイコンが正常に動作しない場合にマイコンのリセットが自動的に行われる非接触ICカード600を建物の入退管理に利用した無線識別システムでは、あらかじめ登録された識別コードを備えた非接触ICカード600を無線識別システム端末630に接近させることで自動扉610を開けることができる一方、非接触ICカード600が磁界発生領域内で正常に動作しない場合でも、自動的に非接触ICカード600内のマイコンのリセットが行われて、入退管理が確実に行われる。
【実施例7】
【0164】
本実施例は、無線識別システム端末が発生する磁界により電力が供給される非接触ICカードにおいて、非接触ICカード内のマイコンが正常に動作しない場合にマイコンのリセットが自動的に行われる非接触ICカードを駅の自動改札機用の定期券に利用した無線識別システムの例である。
【0165】
図17にシステムの構成図を示す。
【0166】
乗客は、駅の定期券発売所、または自動定期券発券機において、非接触ICカード式の定期券700を購入する。この定期券には、利用区間と使用期間が電子的に記録されており、この情報が認証コードとして利用される。
【0167】
自動改札機710は、自動改札機本体710Rおよび自動改札機本体710Lを備えている。
【0168】
自動改札機本体710R、710Lには、それぞれ自動扉720R、720Lと、自動扉720R、720Lを支軸721R、721Lを中心にそれぞれ矢印S1、S2方向に駆動する自動扉駆動部740R、740Lが設置されており、自動扉駆動部740R、740Lは、制御装置750から出力される駆動信号に基づいて駆動される。
【0169】
自動改札機本体710Rの侵入口上面には、無線識別システム端末730が取り付けられている。無線識別システム端末730は制御装置750からの信号に基づいて、その周囲の所定領域(図17のM2)に磁界を発生する。また、定期券700から送信された識別コードを受信アンテナ(図示省略)で受信して、制御装置750へ出力する。
【0170】
制御装置750は、無線識別システム端末730で受信された識別コードを受け取り、受信された識別コードが許容される場合にのみ自動扉駆動部740R、740Lに駆動信号を出力する。
【0171】
乗客が自動改札機710を通過する際は、定期券700を無線識別システム端末730に近づけ、定期券700が磁界発生領域内に入るようにする。
【0172】
磁界発生領域内に入った定期券700は、第2の実施例で記載したように電磁誘導によって内部に誘導起電力を生じ、マイコン(図示省略、図5参照)を含む各部の電源投入が行われる。
【0173】
電源投入が行われたマイコンは、送信アンテナ(図示省略、図5参照)より識別コード、すなわち利用区間と使用期間を送信する。
【0174】
送信された識別コードは無線識別システム端末730で受信され、無線識別システム端末730は、受信した識別コードを制御装置750に出力する。
【0175】
制御装置750は無線識別システム端末730から出力された識別コードを受け取り、受信された識別コードが許容される場合にのみ自動扉駆動部740R、740Lに駆動信号を出力して自動扉720R、720Lを開ける。
【0176】
ここで、識別コードが許容される場合は、例えばその自動改札機が利用区間内の駅に設置されたもので、かつ定期券700が使用期間内である場合等の条件に設定される。
【0177】
ここで、定期券700が磁界発生領域内に入った際に、定期券700のマイコンが正常に動作しなかった場合は、第2の実施例で述べたように定期券700内のリセット信号発生部(図示省略、図5参照)がリセット信号を出力し、マイコンのリセットを行う。この動作により、マイコンが起動されて、無線識別システム端末730に識別コードが送信される。
【0178】
したがって、定期券700のマイコンが正常に動作しなかった場合でも、定期券700を一旦磁界発生領域外に移動させた後、再度磁界発生領域内に入れて電源を投入し直す操作、すなわちマイコンのリセットを行う必要がなく、乗客に余分な動作を要求して利便性を損なうことがない。
【0179】
以上のように、マイコンが正常に動作しない場合にマイコンのリセットが自動的に行われる非接触ICカードを駅の自動改札機用の定期券700に利用した無線識別システムでは、あらかじめ利用区間と使用期限を識別コードとして備えた定期券700を無線識別システム端末730に接近させることで自動扉720R、720Lを開けることができる一方、定期券700が磁界発生領域内で正常に動作しない場合でも、自動的に定期券700内のマイコンのリセットが行われて、自動改札が確実に行われる。
【0180】
なお、図17では自動改札機710を1機のみ図示しているが、複数台の自動改札機が設置されている場合も各自動改札機で同等の動作が行われる。
【0181】
以上のように、内部に電池を備え、無線識別システムからの電源投入信号によりマイコンの電源投入が行われる非接触ICカードにおいて、無線識別システムからの電源投入信号によりマイコンが正常に動作しない場合は、自動的にマイコンのリセットが行われる。この動作により、非接触ICカードを確実に作動させることができる。
【0182】
また、無線識別システムから電力を供給される非接触ICカードにおいて、電力が供給された際にマイコンが正常に動作しない場合は、自動的にマイコンのリセットが行われる。この動作により、非接触ICカードを確実に作動させることができる。
【0183】
また、マイコンのリセットは、マイコンが正常に作動するまで何度でも継続して行わせることができる。この動作により、非接触ICカードをより確実に作動させることができる。
【0184】
また、マイコンが正常に作動しなかった際のリセットは瞬時に行われるため、多数の人の入退管理を行う場合や、レーススポーツ競技の計時作業等、動作の迅速さと確実さが要求される場面ではより高い効果を得ることができる。
【0185】
また、リセット信号は簡単なCR時定数回路で発生させることができ、実現が容易である。この場合、CR時定数回路に入力する信号は、電源投入信号や電力信号等を利用することが可能となり、入力信号を幅広く選択することができる。また、温度変化や経年劣化によりCR時定数回路の特性が変化してリセット信号の発生時間とパルス幅が変動しても、マイコンのトリガ信号の発生時間とパルス幅をマイコンのプログラム上で調整することでマイコンへのリセット信号の出力の有無を容易に調整することができ、温度変化や経年変化の影響を排除することができる。
【0186】
また、マイコンが正常に動作しない場合にマイコンのリセットが自動的に行われる非接触ICカードをマラソン等のレーススポーツ競技における計時用の無線識別システムに利用することができる。この場合、各選手が通信可能領域を通過する際に各選手の地点通過時刻またはゴール時刻が自動的に算出される一方、非接触ICカードが通信可能領域内で正常に動作しない場合でも、自動的に非接触ICカード内のマイコンのリセットが行われて、計時作業が確実に行われる。
【0187】
また、マイコンが正常に動作しない場合にマイコンのリセットが自動的に行われる非接触ICカードを建物の入退管理用の無線識別システムに利用することができる。この場合、あらかじめ登録された識別コードを備えた非接触ICカードを無線識別システム端末に接近させることで自動扉を開けることができる一方、非接触ICカードが磁界発生領域内で正常に動作しない場合でも、自動的に非接触ICカード内のマイコンのリセットが行われて、入退管理が確実に行われる。
【0188】
さらに、マイコンが正常に動作しない場合にマイコンのリセットが自動的に行われる非接触ICカードを駅の自動改札機用の定期券に利用することができる。この場合、自動改札機に設置された無線識別システム端末に定期券を接近させることで改札が行われ自動改札機の自動扉が開く一方、定期券である非接触ICカードが磁界発生領域内で正常に動作しない場合でも、自動的に非接触ICカード内のマイコンのリセットが行われて、自動改札が確実に行われる。
【0189】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、実施例は本発明の例示にしか過ぎず、本発明は実施例の構成にのみ限定されるものではない。したがって本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれることはもちろんである。
【0190】
例えば電池を含まない実施例2および実施例4の内容は、非接触ICカードと同等の機能を備えたいわゆるIDタグに対しても適用することが可能である。
【0191】
またリセット信号発生部の回路は実施例に示したものに限られるものではなく、同等の動作を行うものであれば良い。
【0192】
例えば第1の実施例において、抵抗R1、R2、コンデンサC1、C2,ANDゲート33で発生するリセット信号は、他の方法で発生するものとしても良い。例えば、電源投入信号の搬送波の脈波をバッファで整形した後に複数のフリップフロップで構成されたカウンタでカウントし、カウント数が所定の数になった際に所定のパルス幅を有するパルスを発生させる論理回路に置き換えることも可能である。第2の実施例から第4の実施例においても同様である。この場合、リセット信号によってリセットを行ってもマイコンが作動しない場合は、リセット信号出力後にフリップフロップをリセットすることでマイコンが作動するまで繰り返しリセット信号を出力することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【図1】本発明の第一の実施例のブロック図である。
【図2】本発明の第一の実施例におけるリセット信号発生部142の回路図である。
【図3】本発明の第一の実施例におけるリセット信号発生部142のタイミングチャートである。
【図4】本発明の第一の実施例におけるリセット信号発生部142の他のタイミングチャートである。
【図5】本発明の第二の実施例のブロック図である。
【図6】本発明の第二の実施例におけるリセット信号発生部242の回路図である。
【図7】本発明の第二の実施例におけるリセット信号発生部242のタイミングチャートである。
【図8】本発明の第二の実施例におけるリセット信号発生部242の他のタイミングチャートである。
【図9】本発明の第三の実施例のブロック図である。
【図10】本発明の第三の実施例におけるリセット信号発生部342の回路図である。
【図11】本発明の第三の実施例におけるリセット信号発生部342のタイミングチャートである。
【図12】本発明の第四の実施例のブロック図である。
【図13】本発明の第四の実施例におけるリセット信号発生部442の回路図である。
【図14】本発明の第四の実施例におけるリセット信号発生部442のタイミングチャートである。
【図15】本発明の第五の実施例の構成図である。
【図16】本発明の第六の実施例の構成図である。
【図17】本発明の第七の実施例の構成図である。
【符号の説明】
【0194】
31、41、51、56、57、61、66、67 バッファ
32、42、52、55、62、65 インバータ
33、43、45、53、63 ANDゲート
34、44、54、64 NANDゲート
100、200、300、400 非接触ICカード
110、210、310、410 アンテナ
111、211、311、411 受信アンテナ
112、212、312、412 送信アンテナ
120、320 電池
130、230、330、430 データ制御部
131、231、331、431 データ受信部
132、232、332、432 データ復調部
133、233、333、433 データ送信部
140、240、340、440 マイコン起動制御部
141、341 電源投入部
142、242、342、442 リセット(RST)信号発生部
150、250、350、450 クロック信号発生部
160、260、360、460 マイコン
161、261、361、461 CPU
162、262、362、462 ROM
163、263、363、463 EEPROM
164、264、364、464 RAM
220、420 電圧出力部
241、441 パワーオブリセット(POR)信号発生部
500 非接触ICカード
510 緩衝シート
520 送信アンテナ
530 受信アンテナ
540 予備受信アンテナ
550 制御装置
560 コンピュータ
600 非接触ICカード(従業員章)
610 自動扉
620 自動扉駆動部
630 無線識別システム端末
640 制御装置
650 コンピュータ
700 非接触ICカード(定期券)
710 自動改札機
710R、710L 自動改札機本体
720R、720L 自動扉
721R、721L 支軸
730 無線識別システム端末
740 自動扉駆動部
750 制御装置
R1〜R14 抵抗
C1〜C7、C10〜C12 コンデンサ
TR1〜TR4 トランジスタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線識別システムから送信された電源信号を受信する受信アンテナと、
前記受信アンテナで受信した前記電源信号に基づき所定の電圧を出力する駆動部と、
前記無線識別システムの識別コードを記録する一方、前記駆動部が出力する前記所定の電圧が印加されたときに電源投入されるとともに、電源投入後所定時間経過した際にトリガ信号を出力し、該トリガ信号出力後前記識別コードを出力するマイクロコンピュータと、
前記電源信号に基づいて前記マイクロコンピュータをリセットするリセット信号を発生し、前記マイクロコンピュータから前記トリガ信号を受け取った場合は前記マイクロコンピュータに前記リセット信号を出力せず、前記マイクロコンピュータから前記トリガ信号を受け取らない場合は前記マイクロコンピュータに前記リセット信号を出力して前記マイクロコンピュータをリセットするリセット信号発生部と、
前記マイクロコンピュータが出力した前記識別コードを無線信号に変調して出力するデータ送信部と、
前記データ送信部が出力する無線信号を前記無線識別システムに送信する送信アンテナとを備えることを特徴とする無線識別システムの識別コード送信機。
【請求項2】
前記電源信号が所定のパルス信号を変調した電源投入信号であり、前記駆動部は、前記所定の電圧を出力する電池と、前記電源投入信号を復調して前記パルス信号を出力するデータ受信部と、前記データ受信部から出力される前記パルス信号を受け取った際に前記電池と前記マイクロコンピュータとを電気的に接続して前記マイクロコンピュータに前記電池が出力する前記所定の電圧を印加する電源投入部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の無線識別システムの識別コード送信機。
【請求項3】
前記電源信号が電磁波信号であり、前記駆動部は、前記電磁波信号により前記受信アンテナで発生した誘導起電力を取り込んで前記マイクロコンピュータに前記所定の電圧を印加する電圧出力部と、前記マイクロコンピュータの電源投入時に該マイクロコンピュータをリセットするパワーオンリセット信号を前記電源信号に基づいて出力するパワーオンリセット信号発生部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の無線識別システムの識別コード送信機。
【請求項4】
前記リセット信号発生部は、異なる時定数を有する2つのCR時定数回路を備え、該2つのCR時定数回路に前記データ受信部の出力する前記パルス信号を取り込んで出力した2つの出力信号の論理積により前記リセット信号を発生することを特徴とする請求項1または2に記載の無線識別システムの識別コード送信機。
【請求項5】
前記リセット信号発生部は、前記電源投入信号の搬送波の脈波をカウントするカウンタ回路を備え、該カウンタ回路に前記電源投入信号を取り込んでカウントした前記脈波の数が所定の数となった場合に前記リセット信号を発生することを特徴とする請求項1または2に記載の無線識別システムの識別コード送信機。
【請求項6】
前記リセット信号発生部は、異なる時定数を有する2つのCR時定数回路を備え、該2つのCR時定数回路に前記パワーオンリセット信号発生部の出力する前記パワーオンリセット信号を取り込んで出力した2つの出力信号の論理積により前記リセット信号を発生することを特徴とする請求項1または3に記載の無線識別システムの識別コード送信機。
【請求項7】
前記リセット信号発生部は、前記マイクロコンピュータが前記トリガ信号の出力を終了するまでは前記リセット信号を繰り返し出力する一方、前記マイクロコンピュータが前記トリガ信号の出力を終了した後は前記リセット信号の出力を停止することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の無線識別システムの識別コード送信機。
【請求項8】
前記リセット信号発生部は、異なる時定数を有する2つのCR時定数回路を備え、該2つのCR時定数回路に前記データ受信部の出力する前記パルス信号を取り込んで出力した2つの出力信号の論理積により前記リセット信号を発生し、前記マイクロコンピュータが前記トリガ信号の出力を終了するまでは、前記リセット信号出力後に前記2つのCR時定数回路をクリアし前記リセット信号を繰り返し発生する一方、前記マイクロコンピュータが前記トリガ信号の出力を終了した後は前記リセット信号出力後に前記2つのCR時定数回路をクリアせず前記リセット信号の発生を停止することを特徴とする請求項1または2に記載の無線識別システムの識別コード送信機。
【請求項9】
前記リセット信号発生部は、前記電源投入信号の搬送波の脈波をカウントするカウンタ回路を備え、該カウンタ回路に前記電源信号を取り込んでカウントした前記脈波の数が所定の数となった場合に前記リセット信号を発生し、前記マイクロコンピュータが前記トリガ信号の出力を終了するまでは、前記リセット信号出力後に前記カウンタ回路をクリアし前記リセット信号を繰り返し発生する一方、前記マイクロコンピュータが前記トリガ信号の出力を終了した後は前記リセット信号出力後に前記カウンタ回路をクリアせず前記リセット信号の発生を停止することを特徴とする請求項1または2に記載の無線識別システムの識別コード送信機。
【請求項10】
前記リセット信号発生部は、異なる時定数を有する2つのCR時定数回路を備え、該2つのCR時定数回路に前記パワーオンリセット信号発生部の出力する前記パワーオンリセット信号を取り込んで出力した2つの出力信号の論理積により前記リセット信号を発生し、前記マイクロコンピュータが前記トリガ信号の出力を終了するまでは、前記リセット信号出力後に前記2つのCR時定数回路をクリアし前記リセット信号を繰り返し発生する一方、前記マイクロコンピュータが前記トリガ信号の出力を終了した後は前記リセット信号出力後に前記2つのCR時定数回路をクリアせず前記リセット信号の発生を停止することを特徴とする請求項1または3に記載の無線識別システムの識別コード送信機。
【請求項11】
請求項1から10に記載の無線識別システムの識別コード送信機を備え、該識別コード送信機に前記電源信号を送信するとともに該電源信号により作動を開始した前記識別コード送信機から前記識別コードを受信し、受信した前記識別コードに基づいて所定の動作を行う制御装置を備えることを特徴とする無線識別システム。
【請求項12】
前記所定の動作が、レーススポーツ競技における計時動作であることを特徴とする請求項11に記載の無線識別システム。
【請求項13】
前記所定の動作が、入退管理システムにおける建物の自動扉の開閉動作であることを特徴とする請求項11に記載の無線識別システム。
【請求項14】
前記所定の動作が、駅の自動改札機における自動扉の開閉動作であることを特徴とする請求項11に記載の無線識別システム。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2007−34802(P2007−34802A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218828(P2005−218828)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000001960)シチズン時計株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】