説明

自動二輪車

【課題】聴覚および視覚によらず、身体に与える振動で情報を自動二輪車の乗員に伝達できるようにする。
【解決手段】車両外部から入力される外部情報もしくは車載装置から出力される車両情報に応答して乗員の身体に振動を与える振動発生器17、17A、17Bを乗員シート15,16の座面下や背もたれ16A内、あるいは燃料タンク41の側壁面に設置する。振動発生器17、17A、17Bは無線通信装置30で他の車両との双方向無線通信によって取得した外部情報のうち予め設定された内容の情報によって駆動される。同乗者シート16に設けられる振動発生器17Bは車載オーディオ装置のオーディオ信号に応答して重低音を発するスピーカ手段としても作用させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車に関し、特に、体感振動により外部情報および車両運転情報等を乗員に伝達できる人/機械インタフェース(HMI)を備えた自動二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車等の車両において、他の車両位置や交差点位置等、走行中に注目すべき外部情報を取得するシステムが知られている。例えば、特許掲載公報3773040号では、ナビゲーションシステムを備えた主車両で検出した交差点の位置情報を無線通信によって従車両に送信し、この位置情報を受信した従車両が、交差点に接近中であることを運転者に注意喚起する車両認知支援システムが提案されている。この注意喚起はHUD(Head-Up Display)やヘルメットに配備された音声受信機等を使用して行われている。
【0003】
また、特許掲載公報第3211125号では、ハンドルバーのグリップ部に振動発生器を設け、方向指示器の動作に応じてこの振動発生器を駆動するようにした自動二輪車が提案されている。この振動発生器の動作によるグリップ部から手に伝わる振動を通じて乗員は方向指示器が動作していることを認識することができる。
【特許文献1】特許掲載公報3773040号
【特許文献2】特許掲載公報第3211125号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたシステムでは、HUDやヘルメット内の音声受信機等で視覚や聴覚によって乗員に注意喚起情報を伝達している。しかし、常にHUDを監視し続けることはできないし、音声受信機では音楽など他の情報を受信している場合に、その音楽情報等に注意喚起情報が割り込むことになり、耳障りになることが起こり得る。そこで、この注意喚起情報を特許文献2に記載されたグリップ部の振動発生器を使用して乗員に伝達することが考えられる。
【0005】
しかし、この場合、解決しなければならない課題がある。振動発生器はグリップ部を振動させているので、その振幅は微小であることが望ましい。一方、小さい振幅ではエンジン振動や路面から車体に伝わる振動等に埋もれてしまい、乗員に確実に伝わりにくいということがあった。
【0006】
本発明の目的は、HUDや音声受信機等によらず、外部情報や車両の運転情報等を、体感振動によって乗員に伝達することを容易とすることができるシステムを有する自動二輪車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための本発明は、車両外部から入力される外部情報もしくは車載装置から出力される車両情報に応答して、乗員シートの座面下や背もたれ内、あるいは燃料タンクの側壁面に設置されて乗員の身体に振動を与える振動発生手段を具備した点に第1の特徴がある。
【0008】
また、本発明は、無線通信装置を使用して他の車両との双方向無線通信によって取得した外部情報のうち予め設定された内容の情報によって前記振動発生手段を駆動する点に第2の特徴がある。
【0009】
また、本発明は、前記無線通信装置が、他の車両との通信に基づいて該他の車両との距離を測定する手段を含むとともに、慣性誘導装置、GPS受信機、および光ビーコン通信装置をさらに備え、前記無線通信装置により、ナビゲーション装置を有する他の車両から取得した地図情報と該他の車両の位置情報に基づいて自己位置を検出し、前記地図情報上での注目位置へ予定距離以内に接近したことを前記外部情報として前記振動発生手段を駆動するように構成した点に第3の特徴がある。
【0010】
また、本発明は、オーディオ装置の出力信号によって振動発生器を駆動して振動を発生させる点に第4の特徴がある。
【0011】
さらに、本発明は、前記振動発生手段の発生する振動の周波数が50ヘルツ以下に設定されている点に第5の特徴がある。
【発明の効果】
【0012】
第1の特徴を有する本発明によれば、振動発生器は入力された外部情報や車両情報によって振動し、乗員シート上の運転者や同乗者等、あるいは燃料タンクをニーグリップしている運転者に、身体へ加わる振動(体感振動)をもって外部情報や車両情報を伝達できる。
【0013】
特に、第2の特徴によれば、他の車両から無線通信によって取得した情報が予定の注目情報である場合に振動でその情報を乗員に伝えることができる。
【0014】
また、第3の特徴によれば、ナビゲーション装置を有する他の車両の情報を利用して自己の位置を検出し、予定の注目位置への自車の接近を乗員シートや燃料タンクに設けられた振動発生器を使って伝達することができる。
【0015】
また、第4の特徴によれば、重低音用のスピーカの配置スペースがない自動二輪車でも、オーディオ装置の出力する重低音信号を再生することができる。
【0016】
さらに、第5の特徴によれば、低い周波数領域で振動を発生させることにより、エンジンから伝わる信号とは明確に区別可能な振動を使って種々の外部情報あるいは車両情報を乗員に伝達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る体感振動発生器付きの自動二輪車を示す側面図である。図2に示した自動二輪車1はスクータ型車両であり、図示しない車体フレームの最前部には、ステアリングシャフト2、およびステアリングシャフト2の下部に連結されて斜め前下方に延長されたフロントフォーク3が設けられる。フロントフォーク3によって前輪4が枢支されている。図示しない車体フレームには、エンジンおよび変速機等を含むパワーユニット5の一端が揺動自在に枢支されており、パワーユニット5の後部はリアクッション6によって車体フレームの後部に連結されている。パワーユニット5のうち減速機の出力軸(図示せず)には、後輪7が取り付けられている。
【0018】
車体フレームは、そのほぼ全体がフロントカウル8およびリヤカウル9で覆われている。フロントカウル8の最前部にはヘッドライト10が埋設され、フロントカウル8の上部にはウインドスクリーン11が後傾姿勢で立設されている。ステアリングシャフト2の上部に連結されたハンドルバー12には、サイドミラー13やグリップ14が設けられている。車体の前後方向ほぼ中央部には運転者シート15が配置され、運転者シート15の後方には同乗者シート16が設けられている。
【0019】
運転者シート15の底板(後述する)には運転者シート15の座面に振動を与える振動発生器17が取り付けられている。
【0020】
図1は、振動発生器17を組み込んだ運転者シート15の断面図である。図1において、運転者シート15は、底板18と発泡ウレタン等で成型された緩衝部材19と緩衝部材19を覆うシート外皮20とからなる。振動発生器17は底板18上に装着されている。
【0021】
図3は、振動発生器17の具体的な構造の例を模式的に示す断面図である。振動発生器17は複数(この例では5本)の柱状可動部材21と可動部材21を支持するハウジング22と可動部材21を取り囲むようにして配置されたソレノイド23とを備えている。可動部材21は下端部21Aが磁性体である。ソレノイド23はスペーサ24を介して振動発生器ベース25に取り付けられ、振動発生器ベース25は底板18上に固着されている。ハウジング22は可動部材21を図中縦方向に摺動自在に支持する本体部26と本体部26から下方に延長されて底板18に接続されるスカート部27とからなる。本体部26には、本体部26から上方に突出する可動部材21に対応する位置にゴム等の弾性材料からなる部分球状の可撓部材28が設けられる。可撓部材28は、ハウジング22の本体部26と別部材で構成し、接着等で本体部26に固着してもよいし、本体部26と可撓部材28とを弾性材料で一体形成してもよい。
【0022】
上記振動発生器17では、ソレノイド23に通電されると、可動部材21の下端部21Aを構成する磁性体がソレノイド23が発生する磁界の作用により吸引されて、可動部材21が上方に変位する。これによって、可撓部材28が可動部材21で突き上げられて変形する。ソレノイド23への通電が停止されると、可動部材21は可撓部材28の弾性による復帰力で下方に変位して元の位置に復帰する。ソレノイド23への通電を所定のデューティで行うことにより、可動部材21は連続的に往復動し、可撓部材28を振動させる。この振動は運転者シート15のシートカバー20を経て運転者の臀部に伝達される。
【0023】
上記振動発生器17の適用例を具体的に説明する。図4は、振動発生器17を含む自動二輪車の要部システム構成図である。図4において、中央処理装置(ECU)29には、無線通信装置30、車両情報インタフェース31、慣性誘導装置(INS)32、振動発生器ドライバ33、表示装置34、音声情報提供装置35が接続される。振動発生器ドライバ33の出力は振動発生器17に接続される。INS32には、GPS受信機36と光ビーコン通信装置37が接続される。音声情報提供装置35はブルートゥース(Bluetooth)等の無線通信手段で運転者が着用するヘルメットに設けた音声受信機38とスピーカ39により音声情報を提供する。例えば、表示装置34はウインドスクリーン11へ映像を投射するHUDなどで構成するのが好ましい。
【0024】
無線通信装置30は、例えば、スペクトラム拡散(SS)通信方式と時分割多重方式によって他の車両との通信リンクを確立することができるように構成される。さらに無線通信装置30は、SS通信アンテナ30Aを介して他の車両と通信を実行し、通信相手との相対距離を測定する測距機能を有する。車両情報インタフェース31は自動二輪車1の車速、加減速度および走行距離などの車両情報を所定周期で収集してECU29およびINS32に供給する。あるいは、無線通信装置30は、ETCなどで普及されつつあるDSRC(狭帯域無線通信)を適用したものであってもよい。
【0025】
GPS受信機36は複数のGPS電波に基づいて位置測定するD−GPSとしてもよい。INS32はジャイロで検出された方角と加速時計で検出された加速度によって方角と移動距離とを算出し、その算出結果はGPS電波や光ビーコン通信装置37で取得された位置情報で補正される。なお、ECU29は光ビーコン通信装置37を経由してUpLink情報を送信する。
【0026】
図5は、ECU29の要部機能を示すブロック図である。ECU29は、無線通信装置30によって他の車両V1や光ビーコンを介して受信した交差点の位置情報とINS32から入力される情報に基づく自車(自動二輪車)1の位置とにより、自車が交差点に接近していることを検出する交差点検出部291を有する。ここでは、他の車両V1は、ナビゲーション機能を備え、該車両V1と通信リンクが確立されている全車両に対して、所定範囲内に存在する交差点の座標、走行位置ベクトル、現在位置等を送信する機能を有する車両を想定する。このような車両は例えば、上記特許文献1に開示されている。
【0027】
交差点検出部291は、INS32による測位結果、車両V1の現在位置および車両V1との相対距離に基づいて自車の現在位置を正確に特定し、自車の走行位置ベクトルを求める。そして、自車の走行位置ベクトルおよび交差点の座標に基づいて自車が接近中の交差点を認識する。警告指示部292は、交差点検出部291から交差点認識情報を受け取ると、振動発生器ドライバ33へ交差点への接近を注意喚起する指示を入力する。振動発生器ドライバ33はこの指示に従って振動発生器17へ所定デューティで間欠的に図示しないバッテリから電流を供給する。振動発生器17は、間欠的な電流供給により可動部材21を動作させて振動を発生させる。
【0028】
なお、振動発生器17への電流供給のデューティを制御することにより、伝達しようとする情報に応じて振動周波数を可変とすることができるが、単に一定周波数の交流を供給して一定周波数の振動を発生するようにしてもよい。
【0029】
一般的に、自動二輪車の車体振動はエンジン振動によって決定されるので、振動周波数は数百〜数キロヘルツとなる場合が多い。したがって、振動発生器17の振動周波数は数ヘルツ〜数十ヘルツ(好ましくは10〜50ヘルツ)の範囲に設定すれば車体振動と振動発生器17による振動との区別が容易になり、運転者に伝達したい情報を的確かつタイミングよく伝達できる。
【0030】
また、振動発生器17は通電により可動部材21の磁性体21Aがソレノイド23に向かって移動するので、その移動量つまり可動部材21の振動の幅は、可動部材21が下方に最大限位置しているときの磁性体21Aとソレノイド23とのずれをどの程度に設定するかで振幅を決定することができる。
【0031】
振動発生器17で運転者シート15に上下方向の振動を与えることにより、運転者は、走行中に臀部で振動を感知して注意喚起情報を容易に受け取ることができる。なお、注意喚起情報は振動発生器17による振動で運転者の身体(臀部)に直接刺激を与えて体感として直接伝達するだけでもよいが、表示装置34や音声情報提供装置35を通じて視覚や聴覚に訴える手法を併用してもよい。
【0032】
振動発生器17は運転者シート15に1組だけを設けて、運転者シート15全体を一斉に振動させるものに限らない。例えば運転者シート15を左右二つの領域に分けて振動発生器17をそれぞれの領域に1組ずつ配置してもよい。このようにすれば、伝達しようとする情報の種類や緊急度に応じて2組の振動発生器17のうちいずれか片方または両方を駆動するかの振動伝達モードを予め設定することができ、運転者に情報の種類や緊急度を伝達することが更に容易になる。
【0033】
また、振動発生器17は図3に示したように1列の可撓部材28だけを設けるのに限らず、複数列配列し、面状に広い範囲で可撓部材28を配置することもできる。例えば、可動部材21のうち、どの領域のものを駆動するかで伝達すべき情報を区別するような用途を考慮した場合、一般に臀部は狭い領域で複数の可撓部材28のどれが上下動しているかを正しく認識できるほど感覚が鋭敏ではない。したがって、可撓部材28を広範囲に分布させれば、同数の可撓部材28であっても運転者個々の体格の違いによる感度等のばらつきを排除でき、正確に情報を伝達することができる。
【0034】
上記実施形態では、車両同士の通信によって交差点に接近したときに注意喚起情報を振動発生器17により運転者に伝達する例を挙げたが、振動発生器17は、これに限らず、種々の外部情報または車両情報を乗員に伝達するために使用できる。例えば、特許文献2に記載された車両の方向指示器動作の伝達に代えて、より効果的な情報伝達を行うことができる。この場合、左右の方向指示器のうち、動作している方の方向指示器に対応して運転者シート15の左右に設けた振動発生器17を選択的に駆動することができる。
【0035】
その他、残燃料量が所定値より少なくなったときに警告を発したり、所定値よりも車速が増大したときに速度超過警告を発したりする際に、振動発生器17を駆動するようにしてもよい。
【0036】
続いて、本発明の第2実施形態を説明する。図6は、振動発生器を組み込んだ大型自動二輪車の側面図である。図6において、大型自動二輪車40は、図2のスクータ型自動二輪車1と全体的には同様の構成を有しており、同一または同等部分には同符号を付与している。車体中央部には運転者シート15が配置され、運転者シート15の後方には同乗者シート16が配置されている。運転者シート15の前方には燃料タンク41が設けられている。この大型自動二輪車40は、自動二輪車1に加えてオーディオ装置を有している。オーディオ装置の本体(オーディオユニット)42は燃料タンク41の前方に設けられ、オーディオ装置のスピーカ43は速度計や回転計などを有するメータユニットの左右にそれぞれ配置される。さらにオーディオ装置に接続されるリヤスピーカ44が同乗者シート16の背もたれ16Aの左右にそれぞれ配置されている。
【0037】
振動発生器17は運転者シート15に内蔵されるとともに、燃料タンク41の左右側壁部分にも振動発生器17Aがそれぞれ設けられる。振動発生器17Aは運転手が運転者シート15に座って、両脚の内側で燃料タンクを挟み込むニーグリップ状態の運転姿勢をとったときに、振動発生器17Aの発する振動が運転者に伝わるように位置決めされる。また、同乗者シート16にも座面直下に振動発生器17Bが配置される。振動発生器17A、17Bは振動発生器17と同様の構造でもよいが、変形も可能である。
【0038】
図7は、振動発生器17A(17,17Bも同様)の変形例に係る断面図であり、図3と同符号は同一または同等部分を示す。図7において、振動発生器表面部材45と結合されて一体となって形成された複数の可動部46が設けられている。可動部46は前記可動部材21の磁性体21Aと同様の磁性体46Aを有している。振動発生器表面部材45は、振動発生器17Aの場合、運転者の脚に対向する部分であり、ゴムなどの弾性体材料で形成するのがよい。振動発生器表面部材45は、ハウジング側壁47で周囲を囲まれており、両者は可撓部材48で接続されている。可撓部材48は図示のような半円形断面形状を有する全体的に環状(ハウジング側壁が矩形の場合は矩形環状)の部材が望ましいが、複数個所に分散して配置できる小片であってもよい。
【0039】
図7の構成において、ソレノイド23に通電されると、可動部46の磁性体46Aはソレノイド23に吸引されて燃料タンク41から遠ざかる方向に変位する。可動部46と結合されている振動発生器表面部材45も、可撓部材48を変形させて同方向に変位する。ソレノイド23への通電が停止されると、変形された可撓部材48の復元力によって振動発生器表面部材45は燃料タンク41側に変位して下の位置に戻される。このソレノイド23への通電および通電停止、つまり周期的な通電で振動発生器表面部材45は振動する。この振動は、ニーグリップしている運転者の脚への体感として伝わり、振動を媒体として情報が運転者に伝達される。
【0040】
振動発生器17A、17Bによる振動で伝達される情報は、振動発生器17に関して上述した外部情報や車両情報等と同じであってもよいし、他の情報であってもよい。
【0041】
例えば、オーディオ装置を有している大型自動二輪車40では、同乗者シート16に設けられた振動発生器17Bをオーディオ装置の音声再生機として、重低音を再生するのに利用するようにしてもよい。自動二輪車ではオーディオ装置で重低音域の音を再生するのに適したスピーカ(ウーハー)を設置するだけのスペース確保が困難であった。そこで、この振動発生器17Bで重低音域用のスピーカの代替をさせることによって、スペース確保の困難性が解消される。振動発生器17Bの振動周波数を人の可聴周波数下限値の領域である50ヘルツ以下とし、この周波数の振動を同乗者の身体に直接伝達することができる。
【0042】
この振動発生器17Bによれば、外部情報や車両情報の他、オーディオ装置の重低音を再生できるので、オーディオ再生用のスピーカの重低音再生機能を向上させたり音量全体を大きくしたりしなくても、豊かな重低音を体感することができるようになり、大型自動二輪車の商品性を高めることができる。また、振動発生器17による振動音は車両外部の人には聞こえにくいので、乗員は外部への音漏れを気にすることなく、オーディオ装置の再生音を楽しむことができる。
【0043】
上記実施形態は、本発明の一実施例を示したものであって、本発明はこれに限定されることはない。例えば、振動発生器の設置位置は、乗員が聴覚または視覚によらず身体への振動を感じられる場所であれば、任意に選択できる。例えば、運転者シート15の腰サポート15Aや同乗者シート16の背もたれ部分16A(又は図2における腰サポート16B)に振動発生器を設けてもよい。
【0044】
振動発生器の構造も図3や図7に記載したものに限らず、電磁式で振動を発生させる種々の構造を適用することができる。また、振動発生器17等の表面部材つまり臀部や脚の内側に対向する部材の材質は柔軟な材料としたり形状は滑らかに丸みを帯びた外形とすることができる。
【0045】
また、振動発生器は例えば、内燃機関からの加振による車体フレームの振動と逆位相の振動を発生させることにより乗員に対しての振動の低減装置として用いてもよい。これにより通常の走行時には振動を小さくしておき注意喚起時の振動を感じ易くできる。
【0046】
また、特許文献2の例では、グリップに振動を与えているので、運転時の操作状況により感じる振動が変わってくる場合がある。これに対して、シート等に振動発生器を設けた本発明では、常時同じ状況で運転者が接していることが多いので、より容易に情報伝達可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係る振動発生器を有する自動二輪車の運転者シートの断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスクータ型自動二輪車の側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る自動二輪車の静手無構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る自動二輪車に設けられる振動発生器の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る自動二輪車に設けられるECUの要部機能を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る大型自動二輪車の側面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る自動二輪車に設けられる振動発生器の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1…自動二輪車、 15…運転者シート、 16…同乗者シート、 17、17A、17B…振動発生器、 18…シート底板、 19…緩衝部材、 20…シートカバー、 21…可動部材、 21A、46A…磁性体、 23…ソレノイド、 28、48…可撓部材、 29…ECU、 30…無線通信装置、 32…慣性誘導装置、 41…燃料タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員シートに設置されて乗員の身体に振動を与える振動発生手段と、
入力された外部情報および車載装置で検出した車両情報のうち少なくとも一方に応答して前記振動発生器を駆動して振動を発生させるドライバ手段とを備えたことを特徴とする自動二輪車。
【請求項2】
前記振動発生手段が、乗員シートの座面下に設置されていることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車。
【請求項3】
前記振動発生手段が、乗員シートの背もたれ内に設置されていることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車。
【請求項4】
前記振動発生手段が、乗員シート前方に配置される燃料タンクの側壁面に設置されていることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車。
【請求項5】
無線通信装置をさらに備え、
前記外部情報が、他の車両との双方向無線通信によって取得した情報のうち予め設定された内容の情報であることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車。
【請求項6】
前記無線通信装置が、他の車両との通信に基づいて該他の車両との距離を測定する手段を含み、
慣性誘導装置、GPS受信機、および光ビーコン通信装置をさらに備え、
前記無線通信装置により、ナビゲーション装置を有する他の車両から取得した地図情報と該他の車両の位置情報に基づいて自己位置を検出し、前記地図情報上での注目位置へ予定距離以内に接近したことを前記外部情報として前記振動発生手段を駆動するように構成したことを特徴とする請求項5記載の自動二輪車。
【請求項7】
オーディオ装置と、
乗員シートに設置されて乗員の身体に振動を与える振動発生手段と、
前記オーディオ装置の出力信号によって前記振動発生器を駆動して振動を発生させるドライバ手段とを備えたことを特徴とする自動二輪車。
【請求項8】
前記振動発生手段の発生する振動の周波数が50ヘルツ以下に設定されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の自動二輪車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−132910(P2008−132910A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321668(P2006−321668)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】