自動倉庫設備
【課題】地震の揺れやスタッカークレーンの走行等により物品収納棚が揺動又は震動した場合にも、物品における荷が荷崩れを起こすことを抑制できる自動倉庫設備を提供する。
【解決手段】制御手段が、物品収納棚2における設定高さTより低い位置に位置する収納部を下方側収納部2Sdとして管理するように構成され、かつ、物品における荷の荷姿についての荷姿情報に基づいて入庫対象の物品が設定荷姿条件を満たすか否かを判定する荷姿条件判定処理を実行し、入庫対象の物品が設定荷姿条件を満たさない場合は、収納部選択処理において、選択対象の収納部を下方側収納部2Sdに制限した制限選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部2sを選択するように構成されている。
【解決手段】制御手段が、物品収納棚2における設定高さTより低い位置に位置する収納部を下方側収納部2Sdとして管理するように構成され、かつ、物品における荷の荷姿についての荷姿情報に基づいて入庫対象の物品が設定荷姿条件を満たすか否かを判定する荷姿条件判定処理を実行し、入庫対象の物品が設定荷姿条件を満たさない場合は、収納部選択処理において、選択対象の収納部を下方側収納部2Sdに制限した制限選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部2sを選択するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷が載置されたパレットを収納対象の物品として収納する収納部を上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えて構成された物品収納棚と、前記物品収納棚の前面側において前記物品収納棚の棚左右方向に沿って設けられる作業通路を走行自在でかつ物品入庫用の入庫口と前記収納部との間で物品を搬送自在なスタッカークレーンと、前記スタッカークレーンの作動を制御する制御手段とが設けられ、前記制御手段が、前記入庫口に位置する物品を入庫する場合に、設定選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択する収納部選択処理、及び、前記収納部選択処理にて選択された収納部に当該物品を入庫すべく前記スタッカークレーンの作動を制御する入庫処理を実行するように構成された自動倉庫設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる自動倉庫設備は、例えば、複数の荷が載置されたパレットを収納対象の物品として収納する収納部を上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えて構成された物品収納棚を備え、物品収納棚における収納部からピッキング対象の物品をスタッカークレーンによって取り出し、その物品に対してピッキング箇所にてピッキング作業を行った後に、ピッキング済みの物品を、入庫口(例えば、入出庫コンベヤにおいてスタッカークレーンとの間で物品を受け渡しする箇所)から物品収納棚における収納部に入庫させるように構成されている。
【0003】
入庫口に位置する物品を物品収納棚における収納部に入庫する場合、制御手段は、物品を収納する収納部を選択する収納部選択処理を行い、収納部選択処理にて選択された収納部に当該物品を入庫すべくスタッカークレーンの作動を制御する入庫処理を実行することになる。このように入庫処理を実行するに当たり、従来、制御手段が、スタッカークレーンによって入庫口から収納部に物品を搬送するのにかかる搬送時間等に基づく優先度とその収納部における物品の存否とを収納部ごとに管理し、上記収納部選択処理として、上記管理情報に基づいて物品が存在しない収納部を優先度順に検索し、最初に見つかった収納部を、物品を収納する収納部として選択するように構成されたものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、本発明に係る自動倉庫設備においてパレットに載置される荷の荷姿として、パレットに対して1つの荷のみを載置する状態と、パレットに対して複数の荷を載置する状態とがある。このうち、パレットに対して1つの荷を載置する場合にはその荷が荷崩れを起こす可能性は低いが、パレットに対して複数の荷を載置する場合には載置された複数の荷が荷崩れを起こす可能性がある。そこで、パレットに対して複数の荷を載置する場合、複数の荷夫々の相互の相対位置を固定すべく、複数の荷の周囲にストレッチフィルム等の結束体を巻き掛けたり、複数の荷の周囲をベルトで締付けたりして荷崩れを起こし難い荷姿にする荷固定状態とすることが行われている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−7204号公報
【特許文献2】特開2006−213343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動倉庫設備は、外部からパレットに荷が載置された状態で物品が入荷されるが、入荷元においてパレットに対して複数の荷を載置する場合には、例えば、トラックによる入荷元から自動倉庫設備までの輸送中に荷崩れを起こさないようにすべく、荷固定状態とすることが行われている。これにより、外部から入荷された物品を物品収納棚に入庫する際には、荷崩れを起こし難い状態で収納部に収納することが可能となる。
【0007】
また、自動倉庫設備において、新規入庫後に物品収納棚に収納されている物品を取り出してピッキング箇所に搬送し、そのピッキング箇所にて、パレットに載置されている複数の荷のうちの一部をピッキングするピッキング作業を行う場合がある。このとき、上記のように複数の荷の周囲にストレッチフィルムが巻き掛けられていると、荷をピッキングすることができないため、荷に巻き掛けてあるストレッチフィルムを剥がして荷固定状態を解除した上で荷をピッキングすることになるが、その後改めてストレッチフィルム等で荷固定状態とするのは手間がかかるため、ピッキング作業後はストレッチフィルムを剥がした状態(荷固定状態を解除した状態)のまま収納部に再入庫する場合が多い。とくに、収納部を上下方向及び左右方向に多数並べた自動倉庫設備においては、収納する物品の数が多く、ピッキング作業後に改めて荷の周囲にストレッチフィルムを巻き掛ける作業を行うと作業効率が低下することになるため、ピッキング作業後に改めて荷固定状態とすることは行われないことが多い。
【0008】
上記のように荷固定状態が解除された物品は、パレットに載置された荷が荷崩れを起こし易いものであり、仮に荷が荷崩れを起こした場合には、収納部とスタッカークレーンとの間で物品の移載が適切にできなかったり、荷がパレット上からスタッカークレーンの走行経路上に落下したりする虞がある。このような場合、スタッカークレーンによる物品の移載ができない、又は、スタッカークレーンが走行経路上を走行できない状態となるため、作業者が荷崩れを起こした荷を適正位置に戻す修正作業を行う必要がある。
【0009】
また、物品収納棚を構成する支柱は、下端部を設置床面にアンカーボルト等で固定されるものの、上端部は天井等の構造物に固定される構成であるとは限らないため、地震の揺れ等で物品収納棚が揺動した場合には、物品収納棚の下方側よりも上方側が大きく揺れる虞がある。また、同様に、スタッカークレーンの走行等に伴う震動についても、物品収納棚の下方側よりも上方側においてその振幅が大きくなる虞がある。また、支柱の長さが長い(すなわち、物品収納棚の高さが高い)場合には、物品収納棚の上方側における揺れや振動は特に顕著となる。
【0010】
このため、荷固定状態が解除された物品を収納する収納部が物品収納棚における高い位置に位置する場合には、上記のような揺れや震動によって、その収納部に収納される物品における荷が荷崩れを起こし易いものであった。また、荷崩れを起こした物品については、荷が荷崩れを起こす前の荷姿、又は、荷崩れを起こし難い荷姿となるように修正すべく、作業者が人為的操作によって荷を積み直す修正作業を行う必要があるが、このような修正作業は、収納部が物品収納棚における高い位置に位置する場合には行い難いものであった。
【0011】
しかしながら、上記特許文献1のように、入庫口から収納部に物品を搬送するのにかかる搬送時間等に基づいて収納部毎に優先度を定め、その優先度に基づいて物品を収納する収納部を選択する自動倉庫設備では、物品における荷の荷姿が荷崩れを起こし易いものであるか否かに拘わらず、上記優先度のみに基づいて収納部を選択するものであるため、荷崩れを起こし易い荷姿の物品であっても物品収納棚における高い位置に位置する収納部に収納される虞があり、地震やスタッカークレーンの走行等により物品収納棚が振動した場合に、その物品における荷が荷崩れを起こす虞があった。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、地震やスタッカークレーンの走行等により物品収納棚が振動した場合に、物品における荷が荷崩れを起こす状況を抑制できる自動倉庫設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための、本発明にかかる自動倉庫設備の第1特徴構成は、荷が載置されたパレットを収納対象の物品として収納する収納部を上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えて構成された物品収納棚と、前記物品収納棚の前面側において前記物品収納棚の棚左右方向に沿って設けられる作業通路を走行自在でかつ物品入庫用の入庫口と前記収納部との間で物品を搬送自在なスタッカークレーンと、前記スタッカークレーンの作動を制御する制御手段とが設けられ、前記制御手段が、前記入庫口に位置する物品を入庫する場合に、設定選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択する収納部選択処理、及び、前記収納部選択処理にて選択された収納部に当該物品を入庫すべく前記スタッカークレーンの作動を制御する入庫処理を実行するように構成された自動倉庫設備であって、
前記制御手段が、前記物品収納棚における設定高さより低い位置に位置する収納部を下方側収納部として管理するように構成され、かつ、物品における荷の荷姿についての荷姿情報に基づいて入庫対象の物品が設定荷姿条件を満たすか否かを判定する荷姿条件判定処理を実行し、入庫対象の物品が設定荷姿条件を満たさない場合は、前記収納部選択処理において、選択対象の収納部を前記下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択するように構成されている点にある。
【0014】
すなわち、入庫対象の物品における荷の荷姿についての荷姿情報が設定荷姿条件を満たさない場合は、選択対象の収納部を物品収納棚における設定高さより低い位置に位置する下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択するものであるから、物品における荷の荷姿が設定荷姿条件を満たさない場合には、当該物品を下方側収納部に入庫させることができる。
【0015】
説明を加えると、物品収納棚においては、地震やスタッカークレーンの走行等による振動が、その下方側よりも上方側において大きくなる虞がある。このため、物品における荷が荷崩れを起こしやすい荷姿である場合に、そのような物品を物品収納棚における高い位置に収納すると、収納部の位置する高さにおける上述のような振動が大きいことに起因して、物品における荷が荷崩れを起こす虞がある。
ところで、物品収納棚における設定高さより低い位置に位置する下方側収納部は、設定高さより低い位置に位置する収納部よりも上記振動が相対的に小さいものである。
そこで、物品における荷が荷崩れを起こしやすい荷姿のものである場合には、当該物品を下方側収納部に収納すべく収納部を選択するようにすれば、物品における荷が荷崩れを起こす可能性を低減することができる。
【0016】
したがって、上記設定荷姿条件として、物品における荷が荷崩れを起こし易い荷姿であるか、荷崩れを起こし難い荷姿であるかを荷姿情報とし、その荷姿情報に基づいて入庫対象の物品が設定荷姿条件を満たすか否かを判定するようにすることによって、荷崩れを起こし易い荷姿の物品を、上記振動が設定高さよりも上方に位置する収納部よりも相対的に小さい下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて選択された収納部に入庫させることができるものとなり、地震やスタッカークレーンの走行により物品収納棚が振動した場合における荷の荷崩れを抑制することができるものとなる。
【0017】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、地震やスタッカークレーンの走行により物品収納棚が振動した場合に、物品における荷が荷崩れを起こす状況を抑制できる自動倉庫設備を提供することができる。
【0018】
本発明の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、入庫対象の物品における荷についての前記荷姿情報を人為操作により入力自在な荷姿情報入力手段が設けられ、前記制御手段が、前記荷姿情報入力手段から入力された前記荷姿情報に基づいて前記荷姿条件判定処理を実行するように構成されている点にある。
【0019】
すなわち、作業者が入庫対象の物品における荷が荷崩れを起こし易い荷姿であるか否かを判断した上で人為操作により入力した荷姿情報に基づいて、荷姿条件判定処理を実行することができるものとなる。
このため、たとえば、作業者が物品における荷に対してピッキング作業を実行した後に、当該物品における荷が荷崩れの虞のある荷姿であると作業者が判断したときには、設定荷姿条件を満たさないことを示す荷姿情報を作業者が荷姿情報入力手段にて入力することによって、当該物品を収納する収納部を、選択対象の収納部を下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて選択することができるものとなる。また、ピッキング作業が実行された物品であっても、当該物品における荷が荷崩れの虞のない荷姿である(例えば、パレット上に、複数の荷のうちの1つの荷のみが残されている状態等)と作業者が判断したときには、設定荷姿条件を満たすことを示す荷姿情報を作業者が荷姿情報入力手段にて入力することによって、選択対象の収納部を下方側収納部に制限しない状態で当該物品を収納する収納部を選択することができる。
【0020】
要するに、第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、下方側収納部に収納することが必要であると作業者が判断した物品を下方側収納部に収納させることができるものとなる。
【0021】
本発明の第3特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記物品における荷をピッキング対象とするピッキング作業を行うピッキング箇所が設けられ、前記制御手段が、入荷箇所から入荷された物品を入庫対象の物品として前記収納部に入庫する新規入庫作業、前記収納部に収納されている物品をピッキング対象の物品として収納部から出庫する出庫作業、及び、前記ピッキング箇所にて前記ピッキング作業が行われたピッキング対象の物品を入庫対象の物品として前記収納部に入庫する再入庫作業の夫々を行うべく前記スタッカークレーンの作動を制御し、かつ、入庫対象の物品について、ピッキング作業が行われた物品であるピッキング済物品であるか、ピッキング作業が行われていない未ピッキング物品であるかを判別用情報に基づいて判別するピッキング有無判別処理を実行するように構成され、且つ、前記ピッキング有無判別処理において入庫対象の物品が前記ピッキング済物品であると判別した場合には、前記荷姿条件判定処理において当該入庫対象の物品が前記設定荷姿条件を満たさないと判定するように構成されている点にある。
【0022】
すなわち、入庫対象の物品が、新規入庫作業後に未だピッキング作業が行われていない未ピッキング物品である場合には、物品における荷が荷崩れを起こし難い荷姿(例えば、複数の荷の周囲にストレッチフィルムが巻き掛けて荷を固定した荷固定状態)となっている可能性が高いが、出庫後ピッキング対象となった物品は、ピッキング箇所において例えばストレッチフィルム等の結束体が取り外されるため、上記荷固定状態が解除されて物品における荷が荷崩れを起こし易い荷姿となっている虞がある。そして、一旦ピッキング作業がなされた物品の荷に対して再度荷固定状態とする作業を行わない場合には、当該ピッキング済物品においては荷崩れを起こし易い荷姿が継続する可能性があり、そのように荷固定状態とする作業が行われなかった物品が、物品収納棚における設定高さよりも上方に位置する収納部に収納されると、地震やスタッカークレーンの走行により物品収納棚が振動した場合に、物品における荷が荷崩れを起こす虞がある。
【0023】
そこで、入庫対象の物品が、ピッキング作業が行われた物品であるピッキング済物品であるかピッキング作業が行われていない未ピッキング物品であるかを判別用情報に基づいて判別し、物品がピッキング済物品であると判別した場合には、当該入庫対象の物品が設定荷姿条件を満たさないと判定するようにすれば、入庫対象の物品がピッキング済物品である場合には、収納部選択処理において、選択対象の収納部を下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択することとなり、荷崩れを起こし易い荷姿であるピッキング済物品を下方側収納部に収納することができることになる。
【0024】
そして、ピッキング済物品であるか未ピッキング物品であるかを示す判別用情報として、例えば収納対象の物品が1回以上ピッキング箇所に搬送された物品であるか否かを示す情報や、ピッキング箇所から物品収納棚への搬送であることを示す情報を利用すれば、荷姿条件判定処理において当該入庫対象の物品が設定荷姿条件を満たすか否かの判定を作業者の判断を介することなく行えることになり、作業の効率化が可能となる。
【0025】
要するに、第3特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、設定荷姿条件を満たすか否かの判定を、作業者の判断を介することなく行うことができ、作業の効率化が可能な自動倉庫設備を提供することができる
【0026】
本発明の第4特徴構成は、荷が載置されたパレットを収納対象の物品として収納する収納部を上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えて構成された物品収納棚と、前記物品収納棚の前面側において前記物品収納棚の棚左右方向に沿って設けられる作業通路を走行自在でかつ物品を入庫する入庫口と前記収納部との間で物品を搬送自在なスタッカークレーンと、前記スタッカークレーンの作動を制御する制御手段とが設けられ、前記制御手段が、前記入庫口に位置する物品を入庫する場合に、設定選択条件に基づいて当該物品を収納する収納部を選択する収納部選択処理を実行し、その後、前記収納部選択処理にて選択された収納部に当該物品を入庫すべく前記スタッカークレーンの作動を制御する入庫処理を実行するように構成された自動倉庫設備であって、前記制御手段が、前記物品収納棚における設定高さより低い位置に位置する下方側収納部と前記設定高さより高い位置に位置する上方側収納部とに区分する形態で前記収納部を管理し、かつ、前記収納部に収納される物品が、前記物品における荷が荷崩れを起こし易い特定物品であるか否かを管理自在に構成され、且つ、前記特定物品について前記収納部選択処理を実行した場合に前記上方側収納部が選択されたときには、前記入庫処理の実行を保留する特定物品用処理を実行するように構成されている点にある。
【0027】
すなわち、物品における荷が荷崩れを起こし易い特定物品について収納部選択処理を実行した場合に、当該特定物品を収納する収納部として、物品収納棚における設定高さより高い位置に位置する上方側収納部が選択されたときには、入庫処理の実行を保留する特定物品用処理を実行することになる。
【0028】
したがって、収納部選択処理において、特定物品を収納する収納部として上方側収納部が選択されたとしても、その特定物品が上方側収納部に入庫される状態を抑制することができる。
なお、入庫処理の実行を保留した特定物品については、作業者が、選択対象の収納部を下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択するように指令することや、荷崩れの虞がないことを確認した上で上方側収納部に入庫することを許容すべく指令することができる。
【0029】
要するに、第4特徴構成によれば、地震やスタッカークレーンの走行により物品収納棚が振動した場合に荷が荷崩れを起こす虞のある上方側収納部に特定物品が入庫される状態を抑制して、物品における荷が荷崩れを起こすリスクを低減することができるものとなる。
【0030】
本発明の第5特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記特定物品用処理として、前記収納部選択処理において、選択対象の収納部を前記下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて当該特定物品を収納する収納部を選択し、その後、前記特定物品用処理により選択された収納部に当該特定物品を収納すべく、前記入庫処理を実行するように構成されている点にある。
【0031】
すなわち、入庫処理の実行を保留する特定物品用処理として、選択対象の収納部を下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて当該特定物品を収納する収納部を選択し、その後、特定物品用処理により選択された収納部に当該特定物品を収納するものであるから、収納部に収納される物品が、その物品における荷が荷崩れを起こし易い特定物品である場合には、物品収納棚のうち振動の影響を受け難い下方側収納部から収納部が自動的に選択され、選択された収納部に物品が入庫されることになる。
【0032】
要するに、第5特徴構成によれば、上記第4特徴構成による作用効果に加えて、入庫対象の物品が特定物品である場合には、保留された入庫処理が実行されて、当該物品が、作業者の指示を待つことなく下方側収納部に収納されるものとなり、作業効率の向上を図ることができる。
【0033】
本発明の第6特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、作業者に通知情報を通知する通知手段が設けられ、前記収納部選択処理において、選択対象の収納部を前記下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて当該特定物品を収納する収納部を選択する再選択処理を指令する再選択指令を人為操作によって指令自在な再選択指令手段が設けられ、前記制御手段が、前記特定物品用処理として、前記収納部選択処理によって前記特定物品について選択された収納部が前記上方側収納部であることを通知手段によって通知するように構成され、かつ、前記再選択指令手段にて再選択指令が指令された場合には、前記再選択処理にて選択された収納部に対して前記入庫処理を実行するように構成されている点にある。
【0034】
すなわち、特定物品用処理として、収納部選択処理によって前記特定物品について選択された収納部が上方側収納部である場合には、その旨を通知手段によって作業者に通知し、作業者の人為操作によって再選択処理が指令されたときに、選択対象の収納部を下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて当該特定物品を収納する収納部を選択し、その後、再選択処理にて選択された収納部に対して入庫処理を実行するものであるから、作業者は、下方側収納部に収納することが必要な物品を下方側収納部に入庫させるように指令することができる。
したがって、例えば、パレット上に、複数の荷のうちの1つの荷のみが残されている状態である等の理由により、特定物品であるにもかかわらず荷崩れを起こす虞がなくなった場合には、再選択処理を実行しないように構成することが可能となり、下方側収納部に入庫することが必要な特定物品を適正に下方側収納部に入庫するように構成することができる。
【0035】
要するに、第6特徴構成によれば、上記第4特徴構成による作用効果に加えて、下方側収納部に入庫することが必要な特定物品を適正に下方側収納部に入庫するように構成することができる。
【0036】
本発明の第7特徴構成は、上記第1〜第6特徴構成のいずれかに加えて、前記制御手段が、前記物品収納棚における前記下方側収納部についての物品収納率を管理するように構成され、前記物品収納率が設定収納率以上となった場合には、前記設定高さよりも上方の高さを新たな設定高さとし、その新たな設定高さより低い位置に位置する収納部を前記下方側収納部として管理するように構成されている点にある。
【0037】
すなわち、物品収納棚における下方側収納部についての物品収納率が設定収納率以上となった場合には、設定高さを上方側に引き上げることによって、下方側収納部として設定される収納部の数を増加させることができる。
つまり、下方側収納部についての物品収納率が設定収納率以上となった場合、設定高さよりも高い位置に位置する収納部にはまだ物品が収納されていない可能性があるため、設定高さを上方側に引き上げることによって、その引き上げられた設定高さより低い位置に位置する新たな下方側収納部における物品収納率を引き下げられる、つまり物品が収納されていない収納部の数を増加させることができる可能性がある。
このように、下方側収納部において、物品を収納可能な収納部の数が減少したときには、地震やスタッカークレーンの走行による物品収納棚の振動がより小さい下方側収納部に近接する収納部から上方側に向けて収納部を下方側収納部として追加することによって、下方側収納部において物品を収納することが可能な収納部が減少した場合においても、荷崩れのリスクを極力上昇させない状態で物品を物品収納棚に収納することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】自動倉庫設備の平面図
【図2】物品収納棚とスタッカークレーンの構成を示す立面図
【図3】自動倉庫設備の制御構成を示すブロック図
【図4】設定荷姿条件を満たす物品の荷姿を示す図
【図5】設定荷姿条件を満たさない物品の荷姿を示す図
【図6】物品の属性情報の更新処理についてのフローチャート
【図7】標準選択条件での収納部の選択についての模式図
【図8】制限選択条件での収納部の選択についての模式図
【図9】入庫制御を示すフローチャート
【図10】第2実施形態における物品の属性情報の更新処理についてのフローチャート
【図11】第3実施形態における制御手段の構成を示すブロック図
【図12】第3実施形態における入庫制御を示すフローチャート
【図13】第4実施形態における入庫制御を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0039】
〔第1実施形態〕
本発明に係る自動倉庫設備の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
この自動倉庫設備は、図1に示すように、物品収納棚2とスタッカークレーン51とからなる自動倉庫Jと、スタッカークレーン51との間で物品Bを受け渡しする入出庫コンベヤ52と、物品Bを外部から入荷すべく受け渡しする入荷コンベヤ55と、物品Bにおける荷Bnに対してピッキング作業を行うピッキング箇所としてのピッキングステーション56sと、ピッキングステーション56sで荷揃えされた出荷対象物品Bgを積卸箇所58に搬送する出荷コンベヤ57と、走行レール4に沿って走行自在で、入出庫コンベヤ52と入荷コンベヤ55とピッキングステーションにおけるピッキング用コンベヤ56との間で物品を載置搬送する仕分台車50と、を備えて構成されている。
【0040】
図2に示すように、物品収納棚2は、床面にアンカーボルト(図示なし)等で固定して立設された支柱2hを前後方向に一対かつ左右方向に複数備え、それら支柱2hの上端部を上部接続材で前後方向及び左右方向に接続して構成され、さらに、前後一対の支柱2hを接続しかつ左右方向に突出する腕木2uが、上下方向に間隔を隔てて複数備えられている。物品Bは、当該物品BにおけるパレットBpが腕木2uに載置支持される状態で収納される。したがって、左右及び前後一対の支柱2hと、腕木2u及びその上段の腕木2uとに囲まれた空間が収納部2sとなる。
つまり、物品収納棚2は、荷Bnが載置されたパレットを収納対象の物品Bとして収納する収納部2sを上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えている。
【0041】
また、スタッカークレーン51は、物品収納棚2の前面側において物品収納棚2の棚左右方向に沿う作業通路3に設けられる走行レール3Rを走行自在でかつ物品入庫用の入庫口としての入出庫コンベヤ52と収納部2sとの間で物品Bを搬送自在に構成されている。
なお、スタッカークレーン51の走行経路における入出庫口側端部をホームポジションHPと称し、他端側端部をオポジットポジションOPと称する。
【0042】
スタッカークレーン51は、図2に示すように、走行台車51cと、それに立設された前後一対の支柱51sと、前後一対の支柱51sの上端部同士を接続する上方枠51jと、前後一対の支柱51sに沿って上昇及び下降移動自在な昇降台51dとを備えて構成されている。昇降台51dには、物品Bを自己と収納部2sとの間で移載する移載装置51iが備えられている。
また、走行レール3RのHP側端部に、スタッカークレーン51の作動を制御するクレーンコントローラH2が設けられている。
【0043】
また、図2に示すように、作業通路3におけるOP近傍に設けられたレーザー受発光装置と走行台車51cに装着される反射鏡とにより構成される走行距離計L1と、走行台車に装着されるレーザー受発光装置と昇降台51dに装着される反射鏡とにより構成される昇降距離計L2とが設けられ、これら走行距離計L1と昇降距離計L2との検出情報が、クレーンコントローラH2に入力されるように構成されている。
また、移載装置51iには、物品の位置を検出する物品位置センサL3が設けられ、物品位置センサL3の検出情報が、クレーンコントローラH2に入力されるように構成されている。
【0044】
クレーンコントローラH2は例えば蓄積プログラム方式のコンピュータで構成され、図3に示すように、走行制御部H21、昇降制御部H22、移載制御部H23、収納部管理部H24、収納部選択処理部H25、及び、荷姿条件判定部H26を備えて構成されている。このうち、走行制御部H21、昇降制御部H22、及び、移載制御部H23は、スタッカークレーン51の作動を制御する。
すなわち、走行制御部H21は、走行距離計L1から入力された距離情報と後述する上位コントローラH1からの指令情報に基づく目標走行位置情報とに基づいて走行用モータM1の駆動を制御する。
昇降制御部H22は、昇降距離計L2から入力された距離情報と上位コントローラH1からの指令情報に基づく目標昇降位置情報とに基づいて昇降用モータM2の駆動を制御する。
移載制御部H23は、物品位置センサL3から入力された物品位置情報と上位コントローラH1からの指令情報に基づく掬い指令又は卸し指令に基づいて、物品Bを収納部2sから掬う掬い作動、又は、物品Bを収納部2sに卸す卸作動を実行すべく、移載装置51iの作動を制御する。
【0045】
入出庫コンベヤ52は、図1に示すように、端部52aが走行レール3Rの横側部でかつ物品収納棚2に隣接する位置に位置し、端部52bが仕分台車50の走行レール4の横側部に位置する状態で配設されている。したがって、入出庫コンベヤ52の端部52aが物品入庫用の入庫口に相当し、スタッカークレーン51は、入出庫コンベヤ52の端部52aと収納部2sとの間で物品Bを搬送することになる。
【0046】
入荷コンベヤ55は、図1に示すように、一端が物品の積卸箇所58に近接し、他端が走行レール4に近接する状態で、積卸箇所58と仕分台車50との間において物品を載置搬送可能に構成されている。
【0047】
出荷コンベヤ57は、図1に示すように、ピッキング箇所56pがその横側部に沿って配置される状態で設けられており、上記ピッキング箇所56pにおけるピッキング作業によって荷揃えされた出荷対象物品Bgをピッキング箇所56pから積卸箇所58に搬送するように構成されている。
【0048】
ピッキングステーション56sは、ピッキング用コンベヤ56を備えて構成されている。ピッキング用コンベヤ56は、仕分台車50から受け取ったピッキング対象の物品Bをピッキング作業が行われるピッキング箇所56pまで載置搬送し、さらに、そのピッキング箇所56pにてピッキング作業が終了した物品Bを仕分台車50に引き渡すべく搬送するように構成されている。
ピッキングステーション56sには、ピッキング用コンベヤ56の作動を制御するコンベヤコントローラH3が設けられている。また、ピッキング箇所56pには、ピッキング作業が終了したことを作業者が人為操作によって入力自在なピッキング完了ボタン56aと、ピッキング対象の物品Bにおける荷Bnの荷姿情報を作業者が人為操作によって入力自在な荷姿情報入力ボタン56bとが備えられている。ピッキング完了ボタン56a及び荷姿情報入力ボタン56bは、例えばプッシュオン型の自動復帰型スイッチで構成され、かつ、コンベヤコントローラH3に接続されている。
【0049】
コンベヤコントローラH3は例えば蓄積プログラム方式のコンピュータで構成され、図3に示すように、ピッキングコンベヤ制御部H31を備えて構成されている。ピッキングコンベヤ制御部H31は、上位コントローラH1からの指令情報に基づいて、ピッキング用コンベヤ56の作動を制御する。また、コンベヤコントローラH3は、ピッキング完了ボタン56aの押下操作によるオン情報をピッキング作業が完了したことを表す情報として上位コントローラH1に送信するとともに、荷姿情報入力ボタン56bの押下操作によるオン情報を、その時点でピッキング箇所56pにおいて実行されているピッキング処理に係る物品Bの荷姿が荷姿情報を満たしていないことを表す情報として上位コントローラH1に送信するように構成されている。
【0050】
仕分台車50は、図1に示すように、環状に構成された走行レール4上を走行可能に構成され、上端部には、物品Bを走行方向と直交する方向に載置搬送自在なローラコンベヤを備えている。走行レール4の横側部には、入出庫コンベヤ52の端部52b、ピッキング用コンベヤ56の端部、及び、入荷コンベヤ55の端部が位置し、仕分台車50は、入出庫コンベヤ52、ピッキング用コンベヤ56、及び、入荷コンベヤ55との間で、物品Bの受け渡しが可能となるように構成されている。
仕分台車50は走行レール4上に1台または複数台設けられ、それら1台または複数台の仕分台車50の作動を制御する仕分台車コントローラH4が設けられている。
【0051】
図3に示すように、仕分台車コントローラH4は、走行制御部H41と移載制御部H42とを備えて構成されている。走行制御部H41には、例えば仕分台車50の走行車輪の回転に伴って回転するロータリエンコーダ等により構成された走行位置センサL4が接続され、その検出情報が入力される。
走行制御部H41は、走行位置センサL4から入力された位置情報と上位コントローラH1からの指令情報に基づく目標走行位置情報とに基づいて、仕分台車50をその目標走行位置に走行させるべく、仕分台車50に備える走行用モータの駆動を制御する。
また、移載制御部H42は、上位コントローラH1からの指令情報に基づく受取指令又は送出指令に基づいて、入出庫コンベヤ52、ピッキング用コンベヤ56、又は入荷コンベヤ55と仕分台車50との間で物品Bを受け渡しすべく、図示しないコンベヤ駆動モータの作動を制御するように構成されている。
【0052】
なお、上記クレーンコントローラH2、コンベヤコントローラH3、仕分台車コントローラH4の他に、入出庫コンベヤ52、入荷コンベヤ55、及び、出荷コンベヤ57の夫々を制御するコントローラも設けられているが、ここでは説明を省略する。
以降、上記クレーンコントローラH2、コンベヤコントローラH3、仕分台車コントローラH4、並びに、入出庫コンベヤ52、入荷コンベヤ55及び出荷コンベヤ57の夫々を制御するコントローラを下位コントローラと総称することがある。
【0053】
本実施形態の自動倉庫設備で扱う収納対象の物品Bとしては、図4(a)に示すようにパレットBpに複数の荷Bnを載置する荷姿の物品B2と、図4(b)に示すようにパレットBpに載置された単一の容器Bcの中に複数の荷Bnを収容した荷姿の物品B1とが存在する。
【0054】
なお、パレットBpに複数の荷Bnを載置した物品B1は、出荷元からの搬送車両(トラック)での搬送中において複数の荷Bnが荷崩れを起こすことを抑制するために、図3(a)に示すように、複数の荷の周囲にストレッチフィルムWを巻き掛けて複数の荷が荷崩れを起こさないように固定する荷固定状態とされている。したがって、トラックから積卸箇所58に物品B1が卸された時点では、物品B1は荷崩れを起こし難い荷姿となっている。
【0055】
本実施形態において、ピッキング作業とは、収納部2sに収納されている物品Bをピッキング対象の物品として収納部2sから出庫する出庫作業によって収納部2sから取り出された物品Bに対して、複数の荷Bnのうちの必要数を取り出す作業である。ピッキング箇所56pでピッキングされた荷Bnは、荷揃えされて出荷対象物品Bgとして纏められ、出荷コンベヤ57で積卸箇所58に搬送される。
【0056】
ピッキング作業を行うに当たって、物品Bが、複数の荷の周囲にストレッチフィルムが巻き掛けられて荷固定状態とされる物品B1である場合、そのままの状態では荷Bnを取り出すことができないため、ストレッチフィルムWを剥がす又は切り裂くなどして取り去る必要がある。その後、ピッキング対象の物品B1のパレットBp上に残った荷Bnに対して、改めてストレッチフィルムWを巻き掛けて荷固定状態とすることも考えられるが、そのように再度荷固定状態とする作業は手間がかかるものであるため、本実施形態においては行わないものとしている。このとき、物品Bは図5に示すような荷姿となり、揺れや震動によって荷崩れし易い虞がある状態となる。
【0057】
図3に示すように、上位コントローラH1は、物品情報管理部H11を備えて構成されている。
物品情報管理部H11は、物品B夫々に対して、その物品Bの属性情報として、パレットBpに載置されている荷Bnの種別、荷Bnの初期数量、荷Bnの現在の数量、新規入庫以降その物品Bに対して実行されたピッキング作業の回数、及び、上記コンベヤコントローラH3から通知された、ピッキング処理に係る物品Bの荷姿が荷姿条件を満たしていないことを表す情報としての荷姿情報フラグを管理するように構成されている。荷姿情報フラグは、真であれば荷崩れの虞がない荷姿(例えば、上記のようにストレッチフィルムが巻き掛けられて荷固定状態とされた状態)であることを表し、偽であれば荷崩れの虞がある荷姿(例えば、上記のようにストレッチフィルムWを剥がす等して荷固定状態が解除された状態)であることを表すように定義されたフラグデータのうち、「真」又は「偽」のいずれかが自動的に設定されるように構成されている。また、物品情報管理部H11は、これらの属性情報を、物品Bに対して作業指令データが送信された場合、又は、ピッキング完了ボタン56aのオン情報がコンベヤコントローラH3から送信された場合に更新する。
【0058】
図6に、物品情報管理部H11が、荷姿情報についての物品属性情報を更新する更新処理についてのフローチャートを示す。
まず、物品情報管理部H11は、当該物品Bが新規入庫か否かを判別する(#11)。物品が新規入庫でない(#11:No)と判別されたときには、次に、荷姿情報入力ボタンが押下されたか否かを判別する(#12)。#11で当該物品Bが新規入庫である(#11:Yes)と判別した場合、又は、#12で荷姿情報入力ボタンが押下されていない(#12:No)と判別した場合には、物品情報管理部H11は、荷姿情報フラグを「真」に設定する(#13)。また、#12で荷姿情報入力ボタンが押下された(#13:Yes)と判別した場合には、物品情報管理部H11は、荷姿情報フラグを「偽」に設定する(#14)。
【0059】
また、上位コントローラH1は、図示しないスケジュールコントローラにより管理されるスケジュールにしたがって決定された時刻及び順序、又は、作業者による指令に基づいて、下位コントローラに、物品Bに対する処理を指令する指令データ(作業指令データと称する)を送信するように構成されている。作業指令データは、具体的には、搬送される物品Bの識別情報(物品ID)、その物品Bの搬送初期位置(Fromデータ)、その物品Bの搬送目標位置(Toデータ)、及び、その物品Bの属性情報から構成される。
上記上位コントローラH1とクレーンコントローラH2とが、本発明における制御手段に相当する。
【0060】
クレーンコントローラH2における収納部管理部H24は、図7に示すように、物品収納棚2における収納部2sの夫々を番地情報と関連付けて管理するように構成されている。番地情報は、列番号(左右方向)と段番号(高さ方向)との組み合せで構成され、例えば、最も入出庫口寄りの再下段の収納部であれば[1,1]、最も入出庫口から離れた最上段の収納部であれば[7,10]のように2つの数値の組み合わせで表される。
【0061】
また、収納部管理部H24は、図8(a)に示すように、物品収納棚2における収納部を設定高さT(当図においては第1設定高さT1)よりも低い位置に位置する下方側収納部2Sdと、設定高さTよりも高い位置に位置する上方側収納部2Suとに分けて管理するように構成されている。また、下方側収納部2Sdにおける夫々の収納部2sが実収納部2sjであるか空収納部2saであるかを識別して、収納部2s夫々について上記番地情報と関連付けて管理される。
つまり、収納部管理部H24が、物品収納棚2における設定高さTより低い位置に位置する収納部2sを下方側収納部2Sdとして管理するように構成されている。
【0062】
さらに、収納部管理部H24は、下方側収納部2Sdについての物品収納率、すなわち、
物品収納率Rs=(下方側収納部2Sdにおける実収納部2sjの総数)/(下方側収納部2Sdにおける収納部2sの総数)
を計算して管理するように構成されている。そして、物品収納率Rsが設定収納率(例えば90%)以上となった場合、換言すると、下方側収納部2Sdにおける空収納部2sa数の比率が所定の比率(例えば10%)を下回り、下方側収納部2Sdにおいて空収納部2saが選択できなくなる虞がある場合には、図8(b)に示すように、第1設定高さT1よりも上方の第2設定高さT2を新たな設定高さTとして、その新たな設定高さTよりも低い位置に位置する収納部2sを下方側収納部2Sdとして管理する設定高更新処理を実行することにより、空収納部2sa数の比率が所定の比率よりも高くなるように調整する。
【0063】
図8においては、第1設定高さT1と第2設定高さT2との差は、収納部2段分の高さとしている。なお、本実施形態では上記の物品収納率Rsの計算と設定高更新処理とは随時行われるように構成され、1回の設定高更新処理で物品収納率Rsが設定収納率以下とならなかった場合には、物品収納率Rsが設定収納率以下となるまで設定高更新処理を繰り返すように構成している。
【0064】
クレーンコントローラH2における収納部選択処理部H25は、入庫口に位置する物品Bを物品収納棚2における収納部2sに入庫する場合に、設定選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択する収納部選択処理を実行するように構成されている。
図7は、設定高さTを物品収納棚2の最上段の収納部の上端よりも高い位置とする条件(標準選択条件)を設定選択条件として、その設定選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択する収納部選択処理を表す模式図であり、上下及び左右に複数並べられた収納部2sにおいて、最高段の収納部までを含めた状態で、各収納部に記載した数値順に蛇行状に空収納部2saが存在するか否かを検索する(図中矢印を参照)。そして、最初に検索にヒットした空収納部2saを、物品Bを収納する収納部2sとして選択する。
図8は、選択対象の収納部を設定高さTよりも低い位置に位置する下方側収納部2Sdに制限した制限選択条件を設定選択条件として、その設定選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択する収納部選択処理を表す模式図であり、下方側収納部2Sdにおいて、各収納部に記載した数値順に蛇行状に空収納部2saが存在するか否かを検索し、最初に検索にヒットした空収納部2saを、物品Bを収納する収納部2sとして選択する。
【0065】
クレーンコントローラH2における荷姿条件判定部H26は、上位コントローラH1から入庫口に位置する物品を入庫するように指令する作業指令データが送信された場合に、その作業指令データに含まれる物品Bの属性情報から物品の荷姿情報としての荷姿情報フラグを参照し、荷姿情報フラグが真であれば設定荷姿条件を満たすと判定する。つまり、クレーンコントローラH2は、物品Bにおける荷Bnの荷姿についての荷姿情報に基づいて、入庫対象の物品Bが設定荷姿条件を満たすか否かを判定する荷姿条件判定処理を実行する。
【0066】
クレーンコントローラH2は、物品を収納する収納部を選択し、選択した収納部に入庫対象の物品Bを入庫する入庫制御を実行するように構成されている。以下、入庫制御を図9のフローチャートを参照して説明する。
まず、荷姿条件判定部H26は、荷姿情報フラグが「真」であるか否かを判定する荷姿条件判定処理を実行する(#21)。荷姿条件判定処理において荷姿情報フラグが「真」であると判定した場合、(#21:Yes)、つまり、設定荷姿条件を満たす場合には、設定選択条件を標準選択条件に設定する(#22)。また、荷姿情報フラグが「偽」であると判定した場合(#21:No)、つまり、設定荷姿条件を満たさない場合には、設定選択条件を制限選択条件に設定し(#23)、その後、下方側収納部2Sdにおける物品収納率Rsが設定収納率以上であるか否かを判定する(#24)。#24において、物品収納率Rsが設定収納率以上であると判定した場合には、設定高さ更新処理を実行する(#25)。
#22の処理が完了した場合、又は、#24にてNoと判定した場合には、収納部選択処理部H25は、設定された設定選択条件にしたがって、物品を収納する収納部を選択する収納部選択処理を実行する(#26)。続いて、クレーンコントローラH2における走行制御部H21、昇降制御部H22、及び移載制御部H23は、収納部選択処理によって選択された収納部2sに物品Bを入庫すべくスタッカークレーン51の作動を制御する入庫処理を実行する(#27)。
【0067】
次に、本発明に係る自動倉庫設備の使用態様について説明する。
(新規入庫作業)
この自動倉庫設備に外部から物品Bを入荷する場合は、まず、スケジュールコントローラにより管理されるスケジュールにしたがって決定された時刻及び順序、又は、作業者による指令に基づいて、上位コントローラH1から下位コントローラに新規入庫作業を指令する作業指令データ(具体的には、Fromを入荷コンベヤ55としToを物品収納棚2とする作業指令データ)が送信される。
この作業指令データに基づいて、コンベヤコントローラH3は、積卸箇所58にて搬送トラックから卸されて入荷コンベヤ55における積卸箇所58側の端部55aに載置された物品Bを仕分台車50の走行レール4に近接する端部55bまで搬送すべく、入荷コンベヤ55を作動させる。
【0068】
端部55bに物品Bが到達すると、作業指令データに基づいて、仕分台車コントローラH4が仕分台車50をその端部55bに近接する箇所まで走行させ、仕分台車50上に物品Bを受け取り、さらに、仕分台車50を入庫対象の物品収納棚2に対応する入出庫コンベヤ52の仕分台車50側の端部52bに近接する箇所まで走行させ、入出庫コンベヤ52に物品Bを引き渡す。続いて入出庫コンベヤ用のコントローラが、仕分台車50から引き渡されて入出庫コンベヤ52の端部52bに載置された物品を物品収納棚2側の端部52a(入庫口)に搬送すべく、入出庫コンベヤ52を作動させる。
【0069】
物品Bが入庫口に到達すると、クレーンコントローラH2は図9のフローチャートに示す入庫制御を開始する。
新規入庫においては、物品Bは未ピッキング物品であるため、荷姿情報入力ボタン56bの押下によって荷姿情報フラグが偽となることはない。したがって、新規入庫作業における収納部選択処理は、標準選択条件に基づいて実行されることになり、物品Bは物品収納棚2における全ての高さの収納部を対象として選択された収納部2sに入庫されることになる。なお、入庫処理が完了すると、クレーンコントローラH2は、上位コントローラH1に対して物品Bの収納部2sへの入庫が完了したことを報告する完了報告データを送信する。
【0070】
(出庫作業)
物品収納棚2における収納部2sに収納された物品Bをピッキング対象の物品として収納部2sから出庫する場合は、スケジュールコントローラにより管理されるスケジュールにしたがって決定された時刻及び順序、又は、作業者による指令に基づいて、上位コントローラH1から下位コントローラに出庫作業を指令する作業指令データ(具体的には、Fromを物品収納棚2としToをピッキングステーション56sとする作業指令データ)が送信される。
この作業指令データに基づいて、クレーンコントローラH2は、当該物品Bが収納されている収納部2sから物品Bを取り出すべくスタッカークレーン51を作動させる。スタッカークレーン51は、取り出した物品Bを対応する入出庫コンベヤ52の物品収納棚2側の端部52a(入庫口)に載置する。
【0071】
物品Bが入出庫コンベヤ52の端部52aに載置されると、入出庫コンベヤ用のコントローラが、物品Bを入出庫コンベヤ52の端部52aから端部52bまで搬送する。物品Bが端部52bに到達すると、作業指令データに基づいて、仕分台車コントローラH4は、仕分台車50をその端部52bに近接する箇所まで走行させる。そして、仕分台車50上に物品Bを受け取り、さらに、仕分台車50をピッキング用コンベヤ56の端部に対応する停止位置に停止させて、ピッキング対象の物品Bをピッキング用コンベヤ56に載置させるように仕分台車50を作動させる。
【0072】
ピッキング用コンベヤ56にピッキング対象の物品Bが載置されると、コンベヤコントローラH3は、物品Bをピッキング箇所56pに搬送する。ピッキング箇所56pでは、作業者がピッキング作業を実行し、物品Bにおける荷Bnから必要数量を取り出して、出荷対象物品Bgに荷揃えされる。このピッキング作業によって、上述の物品Bは、荷崩れし難い荷姿の物品B1から荷崩れし易い荷姿の物品B2へと変化する虞がある。
作業者は、物品Bが荷崩れし易い荷姿になったと判別したときには、荷姿情報入力ボタン56bを押下して、コンベヤコントローラH3に荷姿情報を入力する。また、作業者は、ピッキング作業が完了すると、ピッキング完了ボタン56aを押下して、コンベヤコントローラH3にピッキングが完了したことを通知する。
コンベヤコントローラH3は、ピッキング完了ボタン56aの押下情報又は荷姿情報入力ボタン56bの押下情報を、上位コントローラH1に送信する。
【0073】
(再入庫作業)
ピッキング作業が完了した物品Bは、再び物品収納棚2に入庫することになる。つまり、上位コントローラH1に送信されたピッキング完了ボタン56aの押下情報又は荷姿情報入力ボタン56bの押下情報に基づいて、上位コントローラH1から下位コントローラに再入庫作業を指令する作業指令データ(具体的には、Fromをピッキングステーション56sとしToを物品収納棚2とする作業指令データ)が送信される。
この作業指令データに基づいて、コンベヤコントローラH3は、ピッキング用コンベヤ56を作動させて、ピッキング箇所近傍にて載置状態で停止している再入庫対象の物品Bを仕分台車50の横側部に近接する端部に搬送する。
物品Bがピッキング用コンベヤ56の端部に到達すると、作業指令データに基づいて、仕分台車コントローラH4は、仕分台車50をその端部に近接する箇所まで走行させる。そして、仕分台車50上に物品Bを受け取り、さらに、仕分台車50を入庫対象の物品収納棚2に対応する入出庫コンベヤ52の仕分台車50側の端部52bに近接する箇所まで走行させ、入出庫コンベヤ52に物品Bを引き渡す。続いて、入出庫コンベヤ用のコントローラが、仕分台車50から引き渡されて入出庫コンベヤ52の端部52bに載置された物品を物品収納棚2側の端部52a(入庫口)に搬送すべく、入出庫コンベヤ52を作動させる。
【0074】
入庫対象の物品Bが入庫口に到達すると、クレーンコントローラH2は図9のフローチャートに示す入庫制御を開始する。
再入庫作業においては、荷姿情報入力ボタン56bが押下されたか否かによって荷姿情報フラグが「真」に設定される場合と「偽」に設定される場合とがある。荷姿情報入力ボタン56bが押下された場合(荷姿情報フラグが「偽」の場合)は、荷姿条件判別処理において当該物品Bが設定荷姿条件を満たさないものと判別され、制限選択条件に基づいて下方側収納部2Sdから物品Bを収納する収納部2sを選択する。荷姿情報入力ボタン56bが押下されなかった場合(荷姿情報フラグが「真」の場合)は、荷姿条件判別処理において当該物品Bが設定荷姿条件を満たすものと判別され、設定選択条件に基づいて、物品収納棚2の全ての高さの収納部2sを選択対象として物品Bを収納する収納部2sを選択する。
つまり、クレーンコントローラH2は、荷姿情報入力手段としての荷姿情報入力ボタン56bから入力された荷姿情報に基づいて荷姿条件判定処理を実行するように構成されている。
【0075】
また、クレーンコントローラH2は、入荷箇所から入荷された物品Bを入庫対象の物品として収納部2sに入庫する新規入庫作業、収納部2sに収納されている物品Bをピッキング対象の物品として収納部2sから出庫する出庫作業、及び、ピッキング箇所56pにてピッキング作業が行われたピッキング対象の物品Bを入庫対象の物品として収納部2sに入庫する再入庫作業の夫々を行うべくスタッカークレーン51の作動を制御するように構成されている。
【0076】
第1実施形態によれば、上記のようにして、作業者が人為的に入力した荷姿情報に基づいて、クレーンコントローラH2が入庫対象の物品Bが設定荷姿条件を満たす(荷崩れを起こし難い)荷姿であるか、設定荷姿条件を満たさない(荷崩れを起こし易い)荷姿であるかを判定し、設定荷姿条件を満たさない場合には物品収納棚における設定高さよりも低い位置に位置する下方側収納部に入庫させることができる。したがって、物品Bにおける荷Bnが地震による揺れや震動によって荷崩れを起こすことを抑制することができるものとなる。
【0077】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明するが、第2実施形態は第1実施形態において荷姿情報についての物品属性情報を更新する更新処理が異なるのみであるので、相違する部分のみを説明する。
【0078】
第2実施形態においては、ピッキングステーション56sに荷姿情報入力ボタン56bを設けない構成としている。
物品の属性情報としての荷姿情報フラグは、「真」と「偽」とに自動的に値が切り換え設定されるフラグデータで構成され、「真」であれば荷崩れの虞がない荷姿であることを表し、「偽」であれば荷崩れの虞がある荷姿であることを表すように定義されている。また、物品情報管理部H11は、これらの属性情報を、物品Bに対して作業指令データが送信された場合、又は、ピッキング完了ボタン56aのオン情報がコンベヤコントローラH3から送信された場合に更新する。
【0079】
図10に、物品情報管理部H11が、荷姿情報についての物品属性情報を更新する更新処理についてのフローチャートを示す。
まず、物品情報管理部H11は、当該物品Bが新規入庫か否かを判別する(#31)。物品が新規入庫でない(#31:No)と判別されたときには、次に、その物品Bがピッキング作業が行われた物品であるピッキング済物品であるかピッキング作業が行われていない未ピッキング物品であるかを判別するピッキング有無判別処理を実行する(#32)。ピッキング済物品であるか未ピッキング物品であるかの判別には、例えば、作業指令データのFrom情報が入荷コンベヤ55である場合に未ピッキング物品であると判別し、From情報がピッキングステーション56sである場合にピッキング済物品であると判別することや、その物品Bに対するピッキング作業が完了したことを入力するピッキング完了ボタン56aの入力をもってピッキング済物品であると判別することができる。
#31で当該物品Bが新規入庫である(#31:Yes)と判別した場合、又は、#32で当該物品Bが未ピッキング物品であると判別された(#32:No)場合には、物品情報管理部H11は、荷姿情報フラグを「真」に設定する(#33)。また、#32で当該物品Bがピッキング済み物品であると判別された(#33:Yes)場合には、物品情報管理部H11は、荷姿情報フラグを「偽」に設定する(#34)。
【0080】
第2実施形態によれば、上記のようにして、クレーンコントローラH2が入庫対象の物品Bがピッキング作業が行われたピッキング済物品であるかピッキング作業が行われていない未ピッキング物品であるかを判別し、その判別情報に基づいて、入庫対象の物品Bが設定荷姿条件を満たす(荷崩れを起こし難い)荷姿であるか、設定荷姿条件を満たさない(荷崩れを起こし易い)荷姿であるかを判定し、設定荷姿条件を満たさない場合には物品収納棚における設定高さよりも低い位置に位置する下方側収納部に入庫させることができ、物品Bにおける荷Bnが地震による揺れや震動によって荷崩れを起こすことを抑制することができるものとなる。
【0081】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態は、第1実施形態に対して、クレーンコントローラH2の構成、荷姿情報の管理、物品の属性情報の管理方法及び再入庫作業のフローが異なるのみであるので、相違する部分のみを説明する。
【0082】
第3実施形態では荷姿情報を管理して荷姿条件を判定する構成としていないため、図11に示すように、クレーンコントローラH2には第1実施形態における荷姿条件判定部H26は設けられておらず、それに代えて物品判定部H27を備える構成となっている。また、第1実施形態における荷姿情報入力ボタン56bを設けられていない。
【0083】
第3実施形態では、クレーンコントローラH2における収納部管理部H24が物品収納棚2における設定高さTより低い位置に位置する下方側収納部2Sdと設定高さTより高い位置に位置する上方側収納部2Suとに区分する形態で収納部を管理するとともに、上位コントローラH1における物品情報管理部H11は、物品B夫々の属性情報として、その物品Bにおける荷Bnが荷崩れを起こし易い荷姿である特定物品Btであるか否かを管理自在に構成されている。
特定物品Btである場合とは、図5に示すようにパレットBpの上に複数の荷Bnを載置した荷姿の物品Bについて、荷Bnに巻き掛けられていたストレッチフィルムWを取り除く等して荷固定状態が解除されたような場合が該当する。
また、特定物品Btでない場合とは、例えば、図4(a)に示すようにパレットBpの上に複数の荷Bnを載置した荷姿の物品Bについて、荷BnをストレッチフィルムWによって互いに固定した荷固定状態であるような場合、または、図4(b)に示すようにパレットBpに荷を収容する容器を載置し、その中に荷Bnを収容する場合が考えられる。なお、後者のような荷姿は、例えば荷Bnが例えば円筒状又は球状である等といった場合が考えられる。
【0084】
クレーンコントローラH2は、図12のフローチャートに示すように、まず、選択条件を標準選択条件に設定し、収納部選択処理部H25は、設定された選択条件(設定選択条件)に基づいて物品Bを収納する収納部2sを選択する(#41、#42)。
続いて、物品判定部H27は、入庫対象の物品が特定物品Btであるか否かを判別する特定物品判定処理を実行する(#43)。
入庫対象の物品が特定物品Btであると判別された場合(#43:Yes)には、続いてその特定物品Btについて選択された収納部2sが上方側収納部2Suであるか否かを判別する(#44)。
#43において上方側収納部2Suが選択されたと判別された場合には(#44:Yes)、続いて選択条件を下方側収納部2Sdに制限する制限選択条件に設定し(#45)、収納部選択処理部H25は、その制限選択条件に基づいて当該特定物品Btを収納する収納部2sを選択する収納部選択処理を実行する(#46)。
#43で入庫対象の物品Bが特定物品Btでないと判別された場合、#44で特定物品Btについて選択された収納部が上方側収納部2Suでないと判別された場合、又は、#46の収納部選択処理に引き続き、クレーンコントローラH2における走行制御部H21、昇降制御部H22、及び移載制御部H23は、#42又は#46の収納部選択処理によって選択された収納部2sに物品Bを入庫すべくスタッカークレーン51の作動を制御する入庫処理を実行する。
上記フローチャートにおいて、#45及び#46が、本発明における特定物品用処理に相当する。
【0085】
つまり、第3実施形態においては、クレーンコントローラH2が、物品収納棚2における設定高さTより低い位置に位置する下方側収納部2Sdと設定高さTより高い位置に位置する上方側収納部2Suとに区分する形態で収納部2sを管理し、かつ、上位コントローラH1が、収納部2sに収納される物品Bが物品Bにおける荷Bnが荷崩れを起こし易い特定物品Btであるか否かを管理自在に構成され、且つ、クレーンコントローラH2が、特定物品Btについて収納部選択処理を実行した場合に上方側収納部2Suが選択されたときには、入庫処理の実行を保留する特定物品用処理を実行するように構成されている。
そして、上記特定物品用処理として、収納部選択処理において、選択対象の収納部2sを下方側収納部2Sdに制限した制限選択条件に基づいて当該特定物品Btを収納する収納部2sを選択し、その後、特定物品用処理により選択された収納部2sに当該特定物品Btを収納すべく、入庫処理を実行するように構成されている。
【0086】
〔第4実施形態〕
続いて本発明の第4実施形態を説明するが、この第4実施形態は、上記第3実施形態において特定物品用処理が異なるのみであるので、相違する構成のみを説明する。
第4実施形態においては、ピッキング箇所56pにピッキング作業中の物品が特定物品Btである場合において、その物品について実行された収納部選択処理において上方側収納部2Suが選択されたか否かを作業者に通報する通報手段としての通知ランプ(図示なし)が設けられ、さらに、その物品Bに対して下方側収納部2Sdに収納すべき物品であることを上位コントローラH1に通知する再選択指令手段としての再選択ボタン(図示なし)が設けられている。
【0087】
次に、図13に基づいて、第4実施形態の入庫制御を説明する。
クレーンコントローラH2は、入庫制御として、まず、選択条件を標準選択条件に設定し、収納部選択処理部H25は、設定された選択条件(設定選択条件)に基づいて物品Bを収納する収納部2sを選択する(#51、#52)。
続いて、物品判定部H27は、入庫対象の物品が特定物品Btであるか否かを判別する特定物品判定処理を実行する(#53)。
#53において、入庫対象の物品が特定物品Btであると判別された場合には、続いてその特定物品Btについて選択された収納部2sが上方側収納部2Suであるか否かを判別する(#54)。
#54において特定物品Btについて選択された収納部2sが上方側収納部2Suであると判別された場合には、続いて、作業者にその特定物品Btを収納する収納部2sとして上方側収納部2Suが選択されたことを通知ランプによって作業者に通知する(#55)。
続いて、クレーンコントローラH2は作業者により再選択ボタンが押されたか否か(再選択指令が指令されたか否か)を判別し(#56)、再選択ボタンが押されたと判別された場合は、続いて選択条件を下方側収納部2Sdに制限する制限選択条件に設定し、収納部選択処理部H25は、その制限選択条件に基づいて当該特定物品Btを収納する収納部2sを選択する収納部選択処理を実行する(#57、#58)。
ついて実行された収納部選択処理において上方側収納部2Suが選択された
#53で入庫対象の物品Bが特定物品Btでないと判別された場合、#54で特定物品Btについて選択された収納部が上方側収納部2Suでないと判別された場合、#56で再選択ボタンが押されなかったと判別された場合、又は、#58の収納部選択処理に引き続き、クレーンコントローラH2における走行制御部H21、昇降制御部H22、及び移載制御部H23は、#42又は#46の収納部選択処理によって選択された収納部2sに物品Bを入庫すべくスタッカークレーン51の作動を制御する入庫処理を実行する(#59)。
上記フローチャートにおいて、#55、#56、#57、#58が、本発明における特定物品用処理に相当する。
【0088】
〔別実施形態〕
(1)上記第1〜第4実施形態では、物品収納棚として腕木2uを備える腕木式の物品収納棚2を備える自動倉庫設備を例示したが、このような構成に限定されるものではなく、棚板式の物品収納棚を備える自動倉庫設備に本発明を適用してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、左右方向に複数の収納部を備える物品収納棚を例示したが、左右方向に1列のみの収納部を備える物品収納棚としてもよい。
【0089】
(2)上記第1〜第4実施形態では、ピッキング箇所56pが設けられ、ピッキング箇所56pにてピッキング対象の物品Bにおける荷Bnに対してピッキング作業が行われるように構成される構成を例示したが、そのような構成に限定されるものではなく、ピッキング箇所56pを備えない自動倉庫設備に適用してもよい。このような場合、荷姿条件判定処理において、ピッキング箇所56pにおけるピッキング作業の完了やピッキング箇所56pからの搬送である(Fromデータがピッキング箇所56pである等)ことをもって設定荷姿条件を満たさないと判定する構成に代えて、入庫対象の物品Bの属性として、当該物品Bにおける荷が荷崩れを起こし易い性質であるか否かを物品B毎に管理するようにし、管理された情報において当該物品Bにおける荷が荷崩れを起こし難い性質である場合には設定荷姿条件を満たすものとし、当該物品Bにおける荷が荷崩れを起こし易い性質である場合には設定荷姿条件を満たさないものとするように構成してもよい。
【0090】
(3)上記第1実施形態では、人為操作により荷姿情報入力手段を入力する荷姿情報入力手段としての荷姿情報入力ボタン56bを備える構成としたが、このような構成に代えて、例えばカメラで物品Bを撮影してその物品Bについての荷Bnの画像を荷姿情報として入力し、制御手段が、その画像に基づいて物品Bが設定荷姿条件を満たすか否かを判別するように構成してもよい。
【0091】
(4)上記第1〜第4実施形態では、物品収納率Rsが設定収納率以上となった場合の設定高さTの更新処理において、1回の設定高さTの更新処理で物品収納率Rsが設定収納率以下とならなかった場合には、物品収納率Rsが設定収納率以下となるまで設定高さTの更新処理を繰り返すように構成しているが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、1回の設定高さTの更新処理で物品収納率Rsが設定収納率以下とならなかった場合には、作業者にその旨を通知するように構成してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、設定収納率として例えば90%を例示したが、設定収納率はこの数値に限定されるものではなく、例えば70%又は80%、若しくは95%等、物品収納棚2の収納効率と空収納部2saの残数の確保についての確実性とに鑑みて任意に設定可能である。
【符号の説明】
【0092】
2 物品収納棚
2s 収納部
2Sd 下方側収納部
2Su 上方側収納部
3 作業通路
51 スタッカークレーン
56p ピッキング箇所
56b 荷姿情報入力ボタン(荷姿情報入力手段)
58 積卸箇所(入荷箇所)
B 物品
Bn 荷
Bp パレット
Bt 特定物品
H1 上位コントローラ(制御手段)
H2 クレーンコントローラ(制御手段)
J 自動倉庫
Rs 物品収納率
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷が載置されたパレットを収納対象の物品として収納する収納部を上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えて構成された物品収納棚と、前記物品収納棚の前面側において前記物品収納棚の棚左右方向に沿って設けられる作業通路を走行自在でかつ物品入庫用の入庫口と前記収納部との間で物品を搬送自在なスタッカークレーンと、前記スタッカークレーンの作動を制御する制御手段とが設けられ、前記制御手段が、前記入庫口に位置する物品を入庫する場合に、設定選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択する収納部選択処理、及び、前記収納部選択処理にて選択された収納部に当該物品を入庫すべく前記スタッカークレーンの作動を制御する入庫処理を実行するように構成された自動倉庫設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる自動倉庫設備は、例えば、複数の荷が載置されたパレットを収納対象の物品として収納する収納部を上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えて構成された物品収納棚を備え、物品収納棚における収納部からピッキング対象の物品をスタッカークレーンによって取り出し、その物品に対してピッキング箇所にてピッキング作業を行った後に、ピッキング済みの物品を、入庫口(例えば、入出庫コンベヤにおいてスタッカークレーンとの間で物品を受け渡しする箇所)から物品収納棚における収納部に入庫させるように構成されている。
【0003】
入庫口に位置する物品を物品収納棚における収納部に入庫する場合、制御手段は、物品を収納する収納部を選択する収納部選択処理を行い、収納部選択処理にて選択された収納部に当該物品を入庫すべくスタッカークレーンの作動を制御する入庫処理を実行することになる。このように入庫処理を実行するに当たり、従来、制御手段が、スタッカークレーンによって入庫口から収納部に物品を搬送するのにかかる搬送時間等に基づく優先度とその収納部における物品の存否とを収納部ごとに管理し、上記収納部選択処理として、上記管理情報に基づいて物品が存在しない収納部を優先度順に検索し、最初に見つかった収納部を、物品を収納する収納部として選択するように構成されたものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、本発明に係る自動倉庫設備においてパレットに載置される荷の荷姿として、パレットに対して1つの荷のみを載置する状態と、パレットに対して複数の荷を載置する状態とがある。このうち、パレットに対して1つの荷を載置する場合にはその荷が荷崩れを起こす可能性は低いが、パレットに対して複数の荷を載置する場合には載置された複数の荷が荷崩れを起こす可能性がある。そこで、パレットに対して複数の荷を載置する場合、複数の荷夫々の相互の相対位置を固定すべく、複数の荷の周囲にストレッチフィルム等の結束体を巻き掛けたり、複数の荷の周囲をベルトで締付けたりして荷崩れを起こし難い荷姿にする荷固定状態とすることが行われている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−7204号公報
【特許文献2】特開2006−213343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動倉庫設備は、外部からパレットに荷が載置された状態で物品が入荷されるが、入荷元においてパレットに対して複数の荷を載置する場合には、例えば、トラックによる入荷元から自動倉庫設備までの輸送中に荷崩れを起こさないようにすべく、荷固定状態とすることが行われている。これにより、外部から入荷された物品を物品収納棚に入庫する際には、荷崩れを起こし難い状態で収納部に収納することが可能となる。
【0007】
また、自動倉庫設備において、新規入庫後に物品収納棚に収納されている物品を取り出してピッキング箇所に搬送し、そのピッキング箇所にて、パレットに載置されている複数の荷のうちの一部をピッキングするピッキング作業を行う場合がある。このとき、上記のように複数の荷の周囲にストレッチフィルムが巻き掛けられていると、荷をピッキングすることができないため、荷に巻き掛けてあるストレッチフィルムを剥がして荷固定状態を解除した上で荷をピッキングすることになるが、その後改めてストレッチフィルム等で荷固定状態とするのは手間がかかるため、ピッキング作業後はストレッチフィルムを剥がした状態(荷固定状態を解除した状態)のまま収納部に再入庫する場合が多い。とくに、収納部を上下方向及び左右方向に多数並べた自動倉庫設備においては、収納する物品の数が多く、ピッキング作業後に改めて荷の周囲にストレッチフィルムを巻き掛ける作業を行うと作業効率が低下することになるため、ピッキング作業後に改めて荷固定状態とすることは行われないことが多い。
【0008】
上記のように荷固定状態が解除された物品は、パレットに載置された荷が荷崩れを起こし易いものであり、仮に荷が荷崩れを起こした場合には、収納部とスタッカークレーンとの間で物品の移載が適切にできなかったり、荷がパレット上からスタッカークレーンの走行経路上に落下したりする虞がある。このような場合、スタッカークレーンによる物品の移載ができない、又は、スタッカークレーンが走行経路上を走行できない状態となるため、作業者が荷崩れを起こした荷を適正位置に戻す修正作業を行う必要がある。
【0009】
また、物品収納棚を構成する支柱は、下端部を設置床面にアンカーボルト等で固定されるものの、上端部は天井等の構造物に固定される構成であるとは限らないため、地震の揺れ等で物品収納棚が揺動した場合には、物品収納棚の下方側よりも上方側が大きく揺れる虞がある。また、同様に、スタッカークレーンの走行等に伴う震動についても、物品収納棚の下方側よりも上方側においてその振幅が大きくなる虞がある。また、支柱の長さが長い(すなわち、物品収納棚の高さが高い)場合には、物品収納棚の上方側における揺れや振動は特に顕著となる。
【0010】
このため、荷固定状態が解除された物品を収納する収納部が物品収納棚における高い位置に位置する場合には、上記のような揺れや震動によって、その収納部に収納される物品における荷が荷崩れを起こし易いものであった。また、荷崩れを起こした物品については、荷が荷崩れを起こす前の荷姿、又は、荷崩れを起こし難い荷姿となるように修正すべく、作業者が人為的操作によって荷を積み直す修正作業を行う必要があるが、このような修正作業は、収納部が物品収納棚における高い位置に位置する場合には行い難いものであった。
【0011】
しかしながら、上記特許文献1のように、入庫口から収納部に物品を搬送するのにかかる搬送時間等に基づいて収納部毎に優先度を定め、その優先度に基づいて物品を収納する収納部を選択する自動倉庫設備では、物品における荷の荷姿が荷崩れを起こし易いものであるか否かに拘わらず、上記優先度のみに基づいて収納部を選択するものであるため、荷崩れを起こし易い荷姿の物品であっても物品収納棚における高い位置に位置する収納部に収納される虞があり、地震やスタッカークレーンの走行等により物品収納棚が振動した場合に、その物品における荷が荷崩れを起こす虞があった。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、地震やスタッカークレーンの走行等により物品収納棚が振動した場合に、物品における荷が荷崩れを起こす状況を抑制できる自動倉庫設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための、本発明にかかる自動倉庫設備の第1特徴構成は、荷が載置されたパレットを収納対象の物品として収納する収納部を上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えて構成された物品収納棚と、前記物品収納棚の前面側において前記物品収納棚の棚左右方向に沿って設けられる作業通路を走行自在でかつ物品入庫用の入庫口と前記収納部との間で物品を搬送自在なスタッカークレーンと、前記スタッカークレーンの作動を制御する制御手段とが設けられ、前記制御手段が、前記入庫口に位置する物品を入庫する場合に、設定選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択する収納部選択処理、及び、前記収納部選択処理にて選択された収納部に当該物品を入庫すべく前記スタッカークレーンの作動を制御する入庫処理を実行するように構成された自動倉庫設備であって、
前記制御手段が、前記物品収納棚における設定高さより低い位置に位置する収納部を下方側収納部として管理するように構成され、かつ、物品における荷の荷姿についての荷姿情報に基づいて入庫対象の物品が設定荷姿条件を満たすか否かを判定する荷姿条件判定処理を実行し、入庫対象の物品が設定荷姿条件を満たさない場合は、前記収納部選択処理において、選択対象の収納部を前記下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択するように構成されている点にある。
【0014】
すなわち、入庫対象の物品における荷の荷姿についての荷姿情報が設定荷姿条件を満たさない場合は、選択対象の収納部を物品収納棚における設定高さより低い位置に位置する下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択するものであるから、物品における荷の荷姿が設定荷姿条件を満たさない場合には、当該物品を下方側収納部に入庫させることができる。
【0015】
説明を加えると、物品収納棚においては、地震やスタッカークレーンの走行等による振動が、その下方側よりも上方側において大きくなる虞がある。このため、物品における荷が荷崩れを起こしやすい荷姿である場合に、そのような物品を物品収納棚における高い位置に収納すると、収納部の位置する高さにおける上述のような振動が大きいことに起因して、物品における荷が荷崩れを起こす虞がある。
ところで、物品収納棚における設定高さより低い位置に位置する下方側収納部は、設定高さより低い位置に位置する収納部よりも上記振動が相対的に小さいものである。
そこで、物品における荷が荷崩れを起こしやすい荷姿のものである場合には、当該物品を下方側収納部に収納すべく収納部を選択するようにすれば、物品における荷が荷崩れを起こす可能性を低減することができる。
【0016】
したがって、上記設定荷姿条件として、物品における荷が荷崩れを起こし易い荷姿であるか、荷崩れを起こし難い荷姿であるかを荷姿情報とし、その荷姿情報に基づいて入庫対象の物品が設定荷姿条件を満たすか否かを判定するようにすることによって、荷崩れを起こし易い荷姿の物品を、上記振動が設定高さよりも上方に位置する収納部よりも相対的に小さい下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて選択された収納部に入庫させることができるものとなり、地震やスタッカークレーンの走行により物品収納棚が振動した場合における荷の荷崩れを抑制することができるものとなる。
【0017】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、地震やスタッカークレーンの走行により物品収納棚が振動した場合に、物品における荷が荷崩れを起こす状況を抑制できる自動倉庫設備を提供することができる。
【0018】
本発明の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、入庫対象の物品における荷についての前記荷姿情報を人為操作により入力自在な荷姿情報入力手段が設けられ、前記制御手段が、前記荷姿情報入力手段から入力された前記荷姿情報に基づいて前記荷姿条件判定処理を実行するように構成されている点にある。
【0019】
すなわち、作業者が入庫対象の物品における荷が荷崩れを起こし易い荷姿であるか否かを判断した上で人為操作により入力した荷姿情報に基づいて、荷姿条件判定処理を実行することができるものとなる。
このため、たとえば、作業者が物品における荷に対してピッキング作業を実行した後に、当該物品における荷が荷崩れの虞のある荷姿であると作業者が判断したときには、設定荷姿条件を満たさないことを示す荷姿情報を作業者が荷姿情報入力手段にて入力することによって、当該物品を収納する収納部を、選択対象の収納部を下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて選択することができるものとなる。また、ピッキング作業が実行された物品であっても、当該物品における荷が荷崩れの虞のない荷姿である(例えば、パレット上に、複数の荷のうちの1つの荷のみが残されている状態等)と作業者が判断したときには、設定荷姿条件を満たすことを示す荷姿情報を作業者が荷姿情報入力手段にて入力することによって、選択対象の収納部を下方側収納部に制限しない状態で当該物品を収納する収納部を選択することができる。
【0020】
要するに、第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、下方側収納部に収納することが必要であると作業者が判断した物品を下方側収納部に収納させることができるものとなる。
【0021】
本発明の第3特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記物品における荷をピッキング対象とするピッキング作業を行うピッキング箇所が設けられ、前記制御手段が、入荷箇所から入荷された物品を入庫対象の物品として前記収納部に入庫する新規入庫作業、前記収納部に収納されている物品をピッキング対象の物品として収納部から出庫する出庫作業、及び、前記ピッキング箇所にて前記ピッキング作業が行われたピッキング対象の物品を入庫対象の物品として前記収納部に入庫する再入庫作業の夫々を行うべく前記スタッカークレーンの作動を制御し、かつ、入庫対象の物品について、ピッキング作業が行われた物品であるピッキング済物品であるか、ピッキング作業が行われていない未ピッキング物品であるかを判別用情報に基づいて判別するピッキング有無判別処理を実行するように構成され、且つ、前記ピッキング有無判別処理において入庫対象の物品が前記ピッキング済物品であると判別した場合には、前記荷姿条件判定処理において当該入庫対象の物品が前記設定荷姿条件を満たさないと判定するように構成されている点にある。
【0022】
すなわち、入庫対象の物品が、新規入庫作業後に未だピッキング作業が行われていない未ピッキング物品である場合には、物品における荷が荷崩れを起こし難い荷姿(例えば、複数の荷の周囲にストレッチフィルムが巻き掛けて荷を固定した荷固定状態)となっている可能性が高いが、出庫後ピッキング対象となった物品は、ピッキング箇所において例えばストレッチフィルム等の結束体が取り外されるため、上記荷固定状態が解除されて物品における荷が荷崩れを起こし易い荷姿となっている虞がある。そして、一旦ピッキング作業がなされた物品の荷に対して再度荷固定状態とする作業を行わない場合には、当該ピッキング済物品においては荷崩れを起こし易い荷姿が継続する可能性があり、そのように荷固定状態とする作業が行われなかった物品が、物品収納棚における設定高さよりも上方に位置する収納部に収納されると、地震やスタッカークレーンの走行により物品収納棚が振動した場合に、物品における荷が荷崩れを起こす虞がある。
【0023】
そこで、入庫対象の物品が、ピッキング作業が行われた物品であるピッキング済物品であるかピッキング作業が行われていない未ピッキング物品であるかを判別用情報に基づいて判別し、物品がピッキング済物品であると判別した場合には、当該入庫対象の物品が設定荷姿条件を満たさないと判定するようにすれば、入庫対象の物品がピッキング済物品である場合には、収納部選択処理において、選択対象の収納部を下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択することとなり、荷崩れを起こし易い荷姿であるピッキング済物品を下方側収納部に収納することができることになる。
【0024】
そして、ピッキング済物品であるか未ピッキング物品であるかを示す判別用情報として、例えば収納対象の物品が1回以上ピッキング箇所に搬送された物品であるか否かを示す情報や、ピッキング箇所から物品収納棚への搬送であることを示す情報を利用すれば、荷姿条件判定処理において当該入庫対象の物品が設定荷姿条件を満たすか否かの判定を作業者の判断を介することなく行えることになり、作業の効率化が可能となる。
【0025】
要するに、第3特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、設定荷姿条件を満たすか否かの判定を、作業者の判断を介することなく行うことができ、作業の効率化が可能な自動倉庫設備を提供することができる
【0026】
本発明の第4特徴構成は、荷が載置されたパレットを収納対象の物品として収納する収納部を上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えて構成された物品収納棚と、前記物品収納棚の前面側において前記物品収納棚の棚左右方向に沿って設けられる作業通路を走行自在でかつ物品を入庫する入庫口と前記収納部との間で物品を搬送自在なスタッカークレーンと、前記スタッカークレーンの作動を制御する制御手段とが設けられ、前記制御手段が、前記入庫口に位置する物品を入庫する場合に、設定選択条件に基づいて当該物品を収納する収納部を選択する収納部選択処理を実行し、その後、前記収納部選択処理にて選択された収納部に当該物品を入庫すべく前記スタッカークレーンの作動を制御する入庫処理を実行するように構成された自動倉庫設備であって、前記制御手段が、前記物品収納棚における設定高さより低い位置に位置する下方側収納部と前記設定高さより高い位置に位置する上方側収納部とに区分する形態で前記収納部を管理し、かつ、前記収納部に収納される物品が、前記物品における荷が荷崩れを起こし易い特定物品であるか否かを管理自在に構成され、且つ、前記特定物品について前記収納部選択処理を実行した場合に前記上方側収納部が選択されたときには、前記入庫処理の実行を保留する特定物品用処理を実行するように構成されている点にある。
【0027】
すなわち、物品における荷が荷崩れを起こし易い特定物品について収納部選択処理を実行した場合に、当該特定物品を収納する収納部として、物品収納棚における設定高さより高い位置に位置する上方側収納部が選択されたときには、入庫処理の実行を保留する特定物品用処理を実行することになる。
【0028】
したがって、収納部選択処理において、特定物品を収納する収納部として上方側収納部が選択されたとしても、その特定物品が上方側収納部に入庫される状態を抑制することができる。
なお、入庫処理の実行を保留した特定物品については、作業者が、選択対象の収納部を下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択するように指令することや、荷崩れの虞がないことを確認した上で上方側収納部に入庫することを許容すべく指令することができる。
【0029】
要するに、第4特徴構成によれば、地震やスタッカークレーンの走行により物品収納棚が振動した場合に荷が荷崩れを起こす虞のある上方側収納部に特定物品が入庫される状態を抑制して、物品における荷が荷崩れを起こすリスクを低減することができるものとなる。
【0030】
本発明の第5特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記特定物品用処理として、前記収納部選択処理において、選択対象の収納部を前記下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて当該特定物品を収納する収納部を選択し、その後、前記特定物品用処理により選択された収納部に当該特定物品を収納すべく、前記入庫処理を実行するように構成されている点にある。
【0031】
すなわち、入庫処理の実行を保留する特定物品用処理として、選択対象の収納部を下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて当該特定物品を収納する収納部を選択し、その後、特定物品用処理により選択された収納部に当該特定物品を収納するものであるから、収納部に収納される物品が、その物品における荷が荷崩れを起こし易い特定物品である場合には、物品収納棚のうち振動の影響を受け難い下方側収納部から収納部が自動的に選択され、選択された収納部に物品が入庫されることになる。
【0032】
要するに、第5特徴構成によれば、上記第4特徴構成による作用効果に加えて、入庫対象の物品が特定物品である場合には、保留された入庫処理が実行されて、当該物品が、作業者の指示を待つことなく下方側収納部に収納されるものとなり、作業効率の向上を図ることができる。
【0033】
本発明の第6特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、作業者に通知情報を通知する通知手段が設けられ、前記収納部選択処理において、選択対象の収納部を前記下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて当該特定物品を収納する収納部を選択する再選択処理を指令する再選択指令を人為操作によって指令自在な再選択指令手段が設けられ、前記制御手段が、前記特定物品用処理として、前記収納部選択処理によって前記特定物品について選択された収納部が前記上方側収納部であることを通知手段によって通知するように構成され、かつ、前記再選択指令手段にて再選択指令が指令された場合には、前記再選択処理にて選択された収納部に対して前記入庫処理を実行するように構成されている点にある。
【0034】
すなわち、特定物品用処理として、収納部選択処理によって前記特定物品について選択された収納部が上方側収納部である場合には、その旨を通知手段によって作業者に通知し、作業者の人為操作によって再選択処理が指令されたときに、選択対象の収納部を下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて当該特定物品を収納する収納部を選択し、その後、再選択処理にて選択された収納部に対して入庫処理を実行するものであるから、作業者は、下方側収納部に収納することが必要な物品を下方側収納部に入庫させるように指令することができる。
したがって、例えば、パレット上に、複数の荷のうちの1つの荷のみが残されている状態である等の理由により、特定物品であるにもかかわらず荷崩れを起こす虞がなくなった場合には、再選択処理を実行しないように構成することが可能となり、下方側収納部に入庫することが必要な特定物品を適正に下方側収納部に入庫するように構成することができる。
【0035】
要するに、第6特徴構成によれば、上記第4特徴構成による作用効果に加えて、下方側収納部に入庫することが必要な特定物品を適正に下方側収納部に入庫するように構成することができる。
【0036】
本発明の第7特徴構成は、上記第1〜第6特徴構成のいずれかに加えて、前記制御手段が、前記物品収納棚における前記下方側収納部についての物品収納率を管理するように構成され、前記物品収納率が設定収納率以上となった場合には、前記設定高さよりも上方の高さを新たな設定高さとし、その新たな設定高さより低い位置に位置する収納部を前記下方側収納部として管理するように構成されている点にある。
【0037】
すなわち、物品収納棚における下方側収納部についての物品収納率が設定収納率以上となった場合には、設定高さを上方側に引き上げることによって、下方側収納部として設定される収納部の数を増加させることができる。
つまり、下方側収納部についての物品収納率が設定収納率以上となった場合、設定高さよりも高い位置に位置する収納部にはまだ物品が収納されていない可能性があるため、設定高さを上方側に引き上げることによって、その引き上げられた設定高さより低い位置に位置する新たな下方側収納部における物品収納率を引き下げられる、つまり物品が収納されていない収納部の数を増加させることができる可能性がある。
このように、下方側収納部において、物品を収納可能な収納部の数が減少したときには、地震やスタッカークレーンの走行による物品収納棚の振動がより小さい下方側収納部に近接する収納部から上方側に向けて収納部を下方側収納部として追加することによって、下方側収納部において物品を収納することが可能な収納部が減少した場合においても、荷崩れのリスクを極力上昇させない状態で物品を物品収納棚に収納することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】自動倉庫設備の平面図
【図2】物品収納棚とスタッカークレーンの構成を示す立面図
【図3】自動倉庫設備の制御構成を示すブロック図
【図4】設定荷姿条件を満たす物品の荷姿を示す図
【図5】設定荷姿条件を満たさない物品の荷姿を示す図
【図6】物品の属性情報の更新処理についてのフローチャート
【図7】標準選択条件での収納部の選択についての模式図
【図8】制限選択条件での収納部の選択についての模式図
【図9】入庫制御を示すフローチャート
【図10】第2実施形態における物品の属性情報の更新処理についてのフローチャート
【図11】第3実施形態における制御手段の構成を示すブロック図
【図12】第3実施形態における入庫制御を示すフローチャート
【図13】第4実施形態における入庫制御を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0039】
〔第1実施形態〕
本発明に係る自動倉庫設備の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
この自動倉庫設備は、図1に示すように、物品収納棚2とスタッカークレーン51とからなる自動倉庫Jと、スタッカークレーン51との間で物品Bを受け渡しする入出庫コンベヤ52と、物品Bを外部から入荷すべく受け渡しする入荷コンベヤ55と、物品Bにおける荷Bnに対してピッキング作業を行うピッキング箇所としてのピッキングステーション56sと、ピッキングステーション56sで荷揃えされた出荷対象物品Bgを積卸箇所58に搬送する出荷コンベヤ57と、走行レール4に沿って走行自在で、入出庫コンベヤ52と入荷コンベヤ55とピッキングステーションにおけるピッキング用コンベヤ56との間で物品を載置搬送する仕分台車50と、を備えて構成されている。
【0040】
図2に示すように、物品収納棚2は、床面にアンカーボルト(図示なし)等で固定して立設された支柱2hを前後方向に一対かつ左右方向に複数備え、それら支柱2hの上端部を上部接続材で前後方向及び左右方向に接続して構成され、さらに、前後一対の支柱2hを接続しかつ左右方向に突出する腕木2uが、上下方向に間隔を隔てて複数備えられている。物品Bは、当該物品BにおけるパレットBpが腕木2uに載置支持される状態で収納される。したがって、左右及び前後一対の支柱2hと、腕木2u及びその上段の腕木2uとに囲まれた空間が収納部2sとなる。
つまり、物品収納棚2は、荷Bnが載置されたパレットを収納対象の物品Bとして収納する収納部2sを上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えている。
【0041】
また、スタッカークレーン51は、物品収納棚2の前面側において物品収納棚2の棚左右方向に沿う作業通路3に設けられる走行レール3Rを走行自在でかつ物品入庫用の入庫口としての入出庫コンベヤ52と収納部2sとの間で物品Bを搬送自在に構成されている。
なお、スタッカークレーン51の走行経路における入出庫口側端部をホームポジションHPと称し、他端側端部をオポジットポジションOPと称する。
【0042】
スタッカークレーン51は、図2に示すように、走行台車51cと、それに立設された前後一対の支柱51sと、前後一対の支柱51sの上端部同士を接続する上方枠51jと、前後一対の支柱51sに沿って上昇及び下降移動自在な昇降台51dとを備えて構成されている。昇降台51dには、物品Bを自己と収納部2sとの間で移載する移載装置51iが備えられている。
また、走行レール3RのHP側端部に、スタッカークレーン51の作動を制御するクレーンコントローラH2が設けられている。
【0043】
また、図2に示すように、作業通路3におけるOP近傍に設けられたレーザー受発光装置と走行台車51cに装着される反射鏡とにより構成される走行距離計L1と、走行台車に装着されるレーザー受発光装置と昇降台51dに装着される反射鏡とにより構成される昇降距離計L2とが設けられ、これら走行距離計L1と昇降距離計L2との検出情報が、クレーンコントローラH2に入力されるように構成されている。
また、移載装置51iには、物品の位置を検出する物品位置センサL3が設けられ、物品位置センサL3の検出情報が、クレーンコントローラH2に入力されるように構成されている。
【0044】
クレーンコントローラH2は例えば蓄積プログラム方式のコンピュータで構成され、図3に示すように、走行制御部H21、昇降制御部H22、移載制御部H23、収納部管理部H24、収納部選択処理部H25、及び、荷姿条件判定部H26を備えて構成されている。このうち、走行制御部H21、昇降制御部H22、及び、移載制御部H23は、スタッカークレーン51の作動を制御する。
すなわち、走行制御部H21は、走行距離計L1から入力された距離情報と後述する上位コントローラH1からの指令情報に基づく目標走行位置情報とに基づいて走行用モータM1の駆動を制御する。
昇降制御部H22は、昇降距離計L2から入力された距離情報と上位コントローラH1からの指令情報に基づく目標昇降位置情報とに基づいて昇降用モータM2の駆動を制御する。
移載制御部H23は、物品位置センサL3から入力された物品位置情報と上位コントローラH1からの指令情報に基づく掬い指令又は卸し指令に基づいて、物品Bを収納部2sから掬う掬い作動、又は、物品Bを収納部2sに卸す卸作動を実行すべく、移載装置51iの作動を制御する。
【0045】
入出庫コンベヤ52は、図1に示すように、端部52aが走行レール3Rの横側部でかつ物品収納棚2に隣接する位置に位置し、端部52bが仕分台車50の走行レール4の横側部に位置する状態で配設されている。したがって、入出庫コンベヤ52の端部52aが物品入庫用の入庫口に相当し、スタッカークレーン51は、入出庫コンベヤ52の端部52aと収納部2sとの間で物品Bを搬送することになる。
【0046】
入荷コンベヤ55は、図1に示すように、一端が物品の積卸箇所58に近接し、他端が走行レール4に近接する状態で、積卸箇所58と仕分台車50との間において物品を載置搬送可能に構成されている。
【0047】
出荷コンベヤ57は、図1に示すように、ピッキング箇所56pがその横側部に沿って配置される状態で設けられており、上記ピッキング箇所56pにおけるピッキング作業によって荷揃えされた出荷対象物品Bgをピッキング箇所56pから積卸箇所58に搬送するように構成されている。
【0048】
ピッキングステーション56sは、ピッキング用コンベヤ56を備えて構成されている。ピッキング用コンベヤ56は、仕分台車50から受け取ったピッキング対象の物品Bをピッキング作業が行われるピッキング箇所56pまで載置搬送し、さらに、そのピッキング箇所56pにてピッキング作業が終了した物品Bを仕分台車50に引き渡すべく搬送するように構成されている。
ピッキングステーション56sには、ピッキング用コンベヤ56の作動を制御するコンベヤコントローラH3が設けられている。また、ピッキング箇所56pには、ピッキング作業が終了したことを作業者が人為操作によって入力自在なピッキング完了ボタン56aと、ピッキング対象の物品Bにおける荷Bnの荷姿情報を作業者が人為操作によって入力自在な荷姿情報入力ボタン56bとが備えられている。ピッキング完了ボタン56a及び荷姿情報入力ボタン56bは、例えばプッシュオン型の自動復帰型スイッチで構成され、かつ、コンベヤコントローラH3に接続されている。
【0049】
コンベヤコントローラH3は例えば蓄積プログラム方式のコンピュータで構成され、図3に示すように、ピッキングコンベヤ制御部H31を備えて構成されている。ピッキングコンベヤ制御部H31は、上位コントローラH1からの指令情報に基づいて、ピッキング用コンベヤ56の作動を制御する。また、コンベヤコントローラH3は、ピッキング完了ボタン56aの押下操作によるオン情報をピッキング作業が完了したことを表す情報として上位コントローラH1に送信するとともに、荷姿情報入力ボタン56bの押下操作によるオン情報を、その時点でピッキング箇所56pにおいて実行されているピッキング処理に係る物品Bの荷姿が荷姿情報を満たしていないことを表す情報として上位コントローラH1に送信するように構成されている。
【0050】
仕分台車50は、図1に示すように、環状に構成された走行レール4上を走行可能に構成され、上端部には、物品Bを走行方向と直交する方向に載置搬送自在なローラコンベヤを備えている。走行レール4の横側部には、入出庫コンベヤ52の端部52b、ピッキング用コンベヤ56の端部、及び、入荷コンベヤ55の端部が位置し、仕分台車50は、入出庫コンベヤ52、ピッキング用コンベヤ56、及び、入荷コンベヤ55との間で、物品Bの受け渡しが可能となるように構成されている。
仕分台車50は走行レール4上に1台または複数台設けられ、それら1台または複数台の仕分台車50の作動を制御する仕分台車コントローラH4が設けられている。
【0051】
図3に示すように、仕分台車コントローラH4は、走行制御部H41と移載制御部H42とを備えて構成されている。走行制御部H41には、例えば仕分台車50の走行車輪の回転に伴って回転するロータリエンコーダ等により構成された走行位置センサL4が接続され、その検出情報が入力される。
走行制御部H41は、走行位置センサL4から入力された位置情報と上位コントローラH1からの指令情報に基づく目標走行位置情報とに基づいて、仕分台車50をその目標走行位置に走行させるべく、仕分台車50に備える走行用モータの駆動を制御する。
また、移載制御部H42は、上位コントローラH1からの指令情報に基づく受取指令又は送出指令に基づいて、入出庫コンベヤ52、ピッキング用コンベヤ56、又は入荷コンベヤ55と仕分台車50との間で物品Bを受け渡しすべく、図示しないコンベヤ駆動モータの作動を制御するように構成されている。
【0052】
なお、上記クレーンコントローラH2、コンベヤコントローラH3、仕分台車コントローラH4の他に、入出庫コンベヤ52、入荷コンベヤ55、及び、出荷コンベヤ57の夫々を制御するコントローラも設けられているが、ここでは説明を省略する。
以降、上記クレーンコントローラH2、コンベヤコントローラH3、仕分台車コントローラH4、並びに、入出庫コンベヤ52、入荷コンベヤ55及び出荷コンベヤ57の夫々を制御するコントローラを下位コントローラと総称することがある。
【0053】
本実施形態の自動倉庫設備で扱う収納対象の物品Bとしては、図4(a)に示すようにパレットBpに複数の荷Bnを載置する荷姿の物品B2と、図4(b)に示すようにパレットBpに載置された単一の容器Bcの中に複数の荷Bnを収容した荷姿の物品B1とが存在する。
【0054】
なお、パレットBpに複数の荷Bnを載置した物品B1は、出荷元からの搬送車両(トラック)での搬送中において複数の荷Bnが荷崩れを起こすことを抑制するために、図3(a)に示すように、複数の荷の周囲にストレッチフィルムWを巻き掛けて複数の荷が荷崩れを起こさないように固定する荷固定状態とされている。したがって、トラックから積卸箇所58に物品B1が卸された時点では、物品B1は荷崩れを起こし難い荷姿となっている。
【0055】
本実施形態において、ピッキング作業とは、収納部2sに収納されている物品Bをピッキング対象の物品として収納部2sから出庫する出庫作業によって収納部2sから取り出された物品Bに対して、複数の荷Bnのうちの必要数を取り出す作業である。ピッキング箇所56pでピッキングされた荷Bnは、荷揃えされて出荷対象物品Bgとして纏められ、出荷コンベヤ57で積卸箇所58に搬送される。
【0056】
ピッキング作業を行うに当たって、物品Bが、複数の荷の周囲にストレッチフィルムが巻き掛けられて荷固定状態とされる物品B1である場合、そのままの状態では荷Bnを取り出すことができないため、ストレッチフィルムWを剥がす又は切り裂くなどして取り去る必要がある。その後、ピッキング対象の物品B1のパレットBp上に残った荷Bnに対して、改めてストレッチフィルムWを巻き掛けて荷固定状態とすることも考えられるが、そのように再度荷固定状態とする作業は手間がかかるものであるため、本実施形態においては行わないものとしている。このとき、物品Bは図5に示すような荷姿となり、揺れや震動によって荷崩れし易い虞がある状態となる。
【0057】
図3に示すように、上位コントローラH1は、物品情報管理部H11を備えて構成されている。
物品情報管理部H11は、物品B夫々に対して、その物品Bの属性情報として、パレットBpに載置されている荷Bnの種別、荷Bnの初期数量、荷Bnの現在の数量、新規入庫以降その物品Bに対して実行されたピッキング作業の回数、及び、上記コンベヤコントローラH3から通知された、ピッキング処理に係る物品Bの荷姿が荷姿条件を満たしていないことを表す情報としての荷姿情報フラグを管理するように構成されている。荷姿情報フラグは、真であれば荷崩れの虞がない荷姿(例えば、上記のようにストレッチフィルムが巻き掛けられて荷固定状態とされた状態)であることを表し、偽であれば荷崩れの虞がある荷姿(例えば、上記のようにストレッチフィルムWを剥がす等して荷固定状態が解除された状態)であることを表すように定義されたフラグデータのうち、「真」又は「偽」のいずれかが自動的に設定されるように構成されている。また、物品情報管理部H11は、これらの属性情報を、物品Bに対して作業指令データが送信された場合、又は、ピッキング完了ボタン56aのオン情報がコンベヤコントローラH3から送信された場合に更新する。
【0058】
図6に、物品情報管理部H11が、荷姿情報についての物品属性情報を更新する更新処理についてのフローチャートを示す。
まず、物品情報管理部H11は、当該物品Bが新規入庫か否かを判別する(#11)。物品が新規入庫でない(#11:No)と判別されたときには、次に、荷姿情報入力ボタンが押下されたか否かを判別する(#12)。#11で当該物品Bが新規入庫である(#11:Yes)と判別した場合、又は、#12で荷姿情報入力ボタンが押下されていない(#12:No)と判別した場合には、物品情報管理部H11は、荷姿情報フラグを「真」に設定する(#13)。また、#12で荷姿情報入力ボタンが押下された(#13:Yes)と判別した場合には、物品情報管理部H11は、荷姿情報フラグを「偽」に設定する(#14)。
【0059】
また、上位コントローラH1は、図示しないスケジュールコントローラにより管理されるスケジュールにしたがって決定された時刻及び順序、又は、作業者による指令に基づいて、下位コントローラに、物品Bに対する処理を指令する指令データ(作業指令データと称する)を送信するように構成されている。作業指令データは、具体的には、搬送される物品Bの識別情報(物品ID)、その物品Bの搬送初期位置(Fromデータ)、その物品Bの搬送目標位置(Toデータ)、及び、その物品Bの属性情報から構成される。
上記上位コントローラH1とクレーンコントローラH2とが、本発明における制御手段に相当する。
【0060】
クレーンコントローラH2における収納部管理部H24は、図7に示すように、物品収納棚2における収納部2sの夫々を番地情報と関連付けて管理するように構成されている。番地情報は、列番号(左右方向)と段番号(高さ方向)との組み合せで構成され、例えば、最も入出庫口寄りの再下段の収納部であれば[1,1]、最も入出庫口から離れた最上段の収納部であれば[7,10]のように2つの数値の組み合わせで表される。
【0061】
また、収納部管理部H24は、図8(a)に示すように、物品収納棚2における収納部を設定高さT(当図においては第1設定高さT1)よりも低い位置に位置する下方側収納部2Sdと、設定高さTよりも高い位置に位置する上方側収納部2Suとに分けて管理するように構成されている。また、下方側収納部2Sdにおける夫々の収納部2sが実収納部2sjであるか空収納部2saであるかを識別して、収納部2s夫々について上記番地情報と関連付けて管理される。
つまり、収納部管理部H24が、物品収納棚2における設定高さTより低い位置に位置する収納部2sを下方側収納部2Sdとして管理するように構成されている。
【0062】
さらに、収納部管理部H24は、下方側収納部2Sdについての物品収納率、すなわち、
物品収納率Rs=(下方側収納部2Sdにおける実収納部2sjの総数)/(下方側収納部2Sdにおける収納部2sの総数)
を計算して管理するように構成されている。そして、物品収納率Rsが設定収納率(例えば90%)以上となった場合、換言すると、下方側収納部2Sdにおける空収納部2sa数の比率が所定の比率(例えば10%)を下回り、下方側収納部2Sdにおいて空収納部2saが選択できなくなる虞がある場合には、図8(b)に示すように、第1設定高さT1よりも上方の第2設定高さT2を新たな設定高さTとして、その新たな設定高さTよりも低い位置に位置する収納部2sを下方側収納部2Sdとして管理する設定高更新処理を実行することにより、空収納部2sa数の比率が所定の比率よりも高くなるように調整する。
【0063】
図8においては、第1設定高さT1と第2設定高さT2との差は、収納部2段分の高さとしている。なお、本実施形態では上記の物品収納率Rsの計算と設定高更新処理とは随時行われるように構成され、1回の設定高更新処理で物品収納率Rsが設定収納率以下とならなかった場合には、物品収納率Rsが設定収納率以下となるまで設定高更新処理を繰り返すように構成している。
【0064】
クレーンコントローラH2における収納部選択処理部H25は、入庫口に位置する物品Bを物品収納棚2における収納部2sに入庫する場合に、設定選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択する収納部選択処理を実行するように構成されている。
図7は、設定高さTを物品収納棚2の最上段の収納部の上端よりも高い位置とする条件(標準選択条件)を設定選択条件として、その設定選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択する収納部選択処理を表す模式図であり、上下及び左右に複数並べられた収納部2sにおいて、最高段の収納部までを含めた状態で、各収納部に記載した数値順に蛇行状に空収納部2saが存在するか否かを検索する(図中矢印を参照)。そして、最初に検索にヒットした空収納部2saを、物品Bを収納する収納部2sとして選択する。
図8は、選択対象の収納部を設定高さTよりも低い位置に位置する下方側収納部2Sdに制限した制限選択条件を設定選択条件として、その設定選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択する収納部選択処理を表す模式図であり、下方側収納部2Sdにおいて、各収納部に記載した数値順に蛇行状に空収納部2saが存在するか否かを検索し、最初に検索にヒットした空収納部2saを、物品Bを収納する収納部2sとして選択する。
【0065】
クレーンコントローラH2における荷姿条件判定部H26は、上位コントローラH1から入庫口に位置する物品を入庫するように指令する作業指令データが送信された場合に、その作業指令データに含まれる物品Bの属性情報から物品の荷姿情報としての荷姿情報フラグを参照し、荷姿情報フラグが真であれば設定荷姿条件を満たすと判定する。つまり、クレーンコントローラH2は、物品Bにおける荷Bnの荷姿についての荷姿情報に基づいて、入庫対象の物品Bが設定荷姿条件を満たすか否かを判定する荷姿条件判定処理を実行する。
【0066】
クレーンコントローラH2は、物品を収納する収納部を選択し、選択した収納部に入庫対象の物品Bを入庫する入庫制御を実行するように構成されている。以下、入庫制御を図9のフローチャートを参照して説明する。
まず、荷姿条件判定部H26は、荷姿情報フラグが「真」であるか否かを判定する荷姿条件判定処理を実行する(#21)。荷姿条件判定処理において荷姿情報フラグが「真」であると判定した場合、(#21:Yes)、つまり、設定荷姿条件を満たす場合には、設定選択条件を標準選択条件に設定する(#22)。また、荷姿情報フラグが「偽」であると判定した場合(#21:No)、つまり、設定荷姿条件を満たさない場合には、設定選択条件を制限選択条件に設定し(#23)、その後、下方側収納部2Sdにおける物品収納率Rsが設定収納率以上であるか否かを判定する(#24)。#24において、物品収納率Rsが設定収納率以上であると判定した場合には、設定高さ更新処理を実行する(#25)。
#22の処理が完了した場合、又は、#24にてNoと判定した場合には、収納部選択処理部H25は、設定された設定選択条件にしたがって、物品を収納する収納部を選択する収納部選択処理を実行する(#26)。続いて、クレーンコントローラH2における走行制御部H21、昇降制御部H22、及び移載制御部H23は、収納部選択処理によって選択された収納部2sに物品Bを入庫すべくスタッカークレーン51の作動を制御する入庫処理を実行する(#27)。
【0067】
次に、本発明に係る自動倉庫設備の使用態様について説明する。
(新規入庫作業)
この自動倉庫設備に外部から物品Bを入荷する場合は、まず、スケジュールコントローラにより管理されるスケジュールにしたがって決定された時刻及び順序、又は、作業者による指令に基づいて、上位コントローラH1から下位コントローラに新規入庫作業を指令する作業指令データ(具体的には、Fromを入荷コンベヤ55としToを物品収納棚2とする作業指令データ)が送信される。
この作業指令データに基づいて、コンベヤコントローラH3は、積卸箇所58にて搬送トラックから卸されて入荷コンベヤ55における積卸箇所58側の端部55aに載置された物品Bを仕分台車50の走行レール4に近接する端部55bまで搬送すべく、入荷コンベヤ55を作動させる。
【0068】
端部55bに物品Bが到達すると、作業指令データに基づいて、仕分台車コントローラH4が仕分台車50をその端部55bに近接する箇所まで走行させ、仕分台車50上に物品Bを受け取り、さらに、仕分台車50を入庫対象の物品収納棚2に対応する入出庫コンベヤ52の仕分台車50側の端部52bに近接する箇所まで走行させ、入出庫コンベヤ52に物品Bを引き渡す。続いて入出庫コンベヤ用のコントローラが、仕分台車50から引き渡されて入出庫コンベヤ52の端部52bに載置された物品を物品収納棚2側の端部52a(入庫口)に搬送すべく、入出庫コンベヤ52を作動させる。
【0069】
物品Bが入庫口に到達すると、クレーンコントローラH2は図9のフローチャートに示す入庫制御を開始する。
新規入庫においては、物品Bは未ピッキング物品であるため、荷姿情報入力ボタン56bの押下によって荷姿情報フラグが偽となることはない。したがって、新規入庫作業における収納部選択処理は、標準選択条件に基づいて実行されることになり、物品Bは物品収納棚2における全ての高さの収納部を対象として選択された収納部2sに入庫されることになる。なお、入庫処理が完了すると、クレーンコントローラH2は、上位コントローラH1に対して物品Bの収納部2sへの入庫が完了したことを報告する完了報告データを送信する。
【0070】
(出庫作業)
物品収納棚2における収納部2sに収納された物品Bをピッキング対象の物品として収納部2sから出庫する場合は、スケジュールコントローラにより管理されるスケジュールにしたがって決定された時刻及び順序、又は、作業者による指令に基づいて、上位コントローラH1から下位コントローラに出庫作業を指令する作業指令データ(具体的には、Fromを物品収納棚2としToをピッキングステーション56sとする作業指令データ)が送信される。
この作業指令データに基づいて、クレーンコントローラH2は、当該物品Bが収納されている収納部2sから物品Bを取り出すべくスタッカークレーン51を作動させる。スタッカークレーン51は、取り出した物品Bを対応する入出庫コンベヤ52の物品収納棚2側の端部52a(入庫口)に載置する。
【0071】
物品Bが入出庫コンベヤ52の端部52aに載置されると、入出庫コンベヤ用のコントローラが、物品Bを入出庫コンベヤ52の端部52aから端部52bまで搬送する。物品Bが端部52bに到達すると、作業指令データに基づいて、仕分台車コントローラH4は、仕分台車50をその端部52bに近接する箇所まで走行させる。そして、仕分台車50上に物品Bを受け取り、さらに、仕分台車50をピッキング用コンベヤ56の端部に対応する停止位置に停止させて、ピッキング対象の物品Bをピッキング用コンベヤ56に載置させるように仕分台車50を作動させる。
【0072】
ピッキング用コンベヤ56にピッキング対象の物品Bが載置されると、コンベヤコントローラH3は、物品Bをピッキング箇所56pに搬送する。ピッキング箇所56pでは、作業者がピッキング作業を実行し、物品Bにおける荷Bnから必要数量を取り出して、出荷対象物品Bgに荷揃えされる。このピッキング作業によって、上述の物品Bは、荷崩れし難い荷姿の物品B1から荷崩れし易い荷姿の物品B2へと変化する虞がある。
作業者は、物品Bが荷崩れし易い荷姿になったと判別したときには、荷姿情報入力ボタン56bを押下して、コンベヤコントローラH3に荷姿情報を入力する。また、作業者は、ピッキング作業が完了すると、ピッキング完了ボタン56aを押下して、コンベヤコントローラH3にピッキングが完了したことを通知する。
コンベヤコントローラH3は、ピッキング完了ボタン56aの押下情報又は荷姿情報入力ボタン56bの押下情報を、上位コントローラH1に送信する。
【0073】
(再入庫作業)
ピッキング作業が完了した物品Bは、再び物品収納棚2に入庫することになる。つまり、上位コントローラH1に送信されたピッキング完了ボタン56aの押下情報又は荷姿情報入力ボタン56bの押下情報に基づいて、上位コントローラH1から下位コントローラに再入庫作業を指令する作業指令データ(具体的には、Fromをピッキングステーション56sとしToを物品収納棚2とする作業指令データ)が送信される。
この作業指令データに基づいて、コンベヤコントローラH3は、ピッキング用コンベヤ56を作動させて、ピッキング箇所近傍にて載置状態で停止している再入庫対象の物品Bを仕分台車50の横側部に近接する端部に搬送する。
物品Bがピッキング用コンベヤ56の端部に到達すると、作業指令データに基づいて、仕分台車コントローラH4は、仕分台車50をその端部に近接する箇所まで走行させる。そして、仕分台車50上に物品Bを受け取り、さらに、仕分台車50を入庫対象の物品収納棚2に対応する入出庫コンベヤ52の仕分台車50側の端部52bに近接する箇所まで走行させ、入出庫コンベヤ52に物品Bを引き渡す。続いて、入出庫コンベヤ用のコントローラが、仕分台車50から引き渡されて入出庫コンベヤ52の端部52bに載置された物品を物品収納棚2側の端部52a(入庫口)に搬送すべく、入出庫コンベヤ52を作動させる。
【0074】
入庫対象の物品Bが入庫口に到達すると、クレーンコントローラH2は図9のフローチャートに示す入庫制御を開始する。
再入庫作業においては、荷姿情報入力ボタン56bが押下されたか否かによって荷姿情報フラグが「真」に設定される場合と「偽」に設定される場合とがある。荷姿情報入力ボタン56bが押下された場合(荷姿情報フラグが「偽」の場合)は、荷姿条件判別処理において当該物品Bが設定荷姿条件を満たさないものと判別され、制限選択条件に基づいて下方側収納部2Sdから物品Bを収納する収納部2sを選択する。荷姿情報入力ボタン56bが押下されなかった場合(荷姿情報フラグが「真」の場合)は、荷姿条件判別処理において当該物品Bが設定荷姿条件を満たすものと判別され、設定選択条件に基づいて、物品収納棚2の全ての高さの収納部2sを選択対象として物品Bを収納する収納部2sを選択する。
つまり、クレーンコントローラH2は、荷姿情報入力手段としての荷姿情報入力ボタン56bから入力された荷姿情報に基づいて荷姿条件判定処理を実行するように構成されている。
【0075】
また、クレーンコントローラH2は、入荷箇所から入荷された物品Bを入庫対象の物品として収納部2sに入庫する新規入庫作業、収納部2sに収納されている物品Bをピッキング対象の物品として収納部2sから出庫する出庫作業、及び、ピッキング箇所56pにてピッキング作業が行われたピッキング対象の物品Bを入庫対象の物品として収納部2sに入庫する再入庫作業の夫々を行うべくスタッカークレーン51の作動を制御するように構成されている。
【0076】
第1実施形態によれば、上記のようにして、作業者が人為的に入力した荷姿情報に基づいて、クレーンコントローラH2が入庫対象の物品Bが設定荷姿条件を満たす(荷崩れを起こし難い)荷姿であるか、設定荷姿条件を満たさない(荷崩れを起こし易い)荷姿であるかを判定し、設定荷姿条件を満たさない場合には物品収納棚における設定高さよりも低い位置に位置する下方側収納部に入庫させることができる。したがって、物品Bにおける荷Bnが地震による揺れや震動によって荷崩れを起こすことを抑制することができるものとなる。
【0077】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明するが、第2実施形態は第1実施形態において荷姿情報についての物品属性情報を更新する更新処理が異なるのみであるので、相違する部分のみを説明する。
【0078】
第2実施形態においては、ピッキングステーション56sに荷姿情報入力ボタン56bを設けない構成としている。
物品の属性情報としての荷姿情報フラグは、「真」と「偽」とに自動的に値が切り換え設定されるフラグデータで構成され、「真」であれば荷崩れの虞がない荷姿であることを表し、「偽」であれば荷崩れの虞がある荷姿であることを表すように定義されている。また、物品情報管理部H11は、これらの属性情報を、物品Bに対して作業指令データが送信された場合、又は、ピッキング完了ボタン56aのオン情報がコンベヤコントローラH3から送信された場合に更新する。
【0079】
図10に、物品情報管理部H11が、荷姿情報についての物品属性情報を更新する更新処理についてのフローチャートを示す。
まず、物品情報管理部H11は、当該物品Bが新規入庫か否かを判別する(#31)。物品が新規入庫でない(#31:No)と判別されたときには、次に、その物品Bがピッキング作業が行われた物品であるピッキング済物品であるかピッキング作業が行われていない未ピッキング物品であるかを判別するピッキング有無判別処理を実行する(#32)。ピッキング済物品であるか未ピッキング物品であるかの判別には、例えば、作業指令データのFrom情報が入荷コンベヤ55である場合に未ピッキング物品であると判別し、From情報がピッキングステーション56sである場合にピッキング済物品であると判別することや、その物品Bに対するピッキング作業が完了したことを入力するピッキング完了ボタン56aの入力をもってピッキング済物品であると判別することができる。
#31で当該物品Bが新規入庫である(#31:Yes)と判別した場合、又は、#32で当該物品Bが未ピッキング物品であると判別された(#32:No)場合には、物品情報管理部H11は、荷姿情報フラグを「真」に設定する(#33)。また、#32で当該物品Bがピッキング済み物品であると判別された(#33:Yes)場合には、物品情報管理部H11は、荷姿情報フラグを「偽」に設定する(#34)。
【0080】
第2実施形態によれば、上記のようにして、クレーンコントローラH2が入庫対象の物品Bがピッキング作業が行われたピッキング済物品であるかピッキング作業が行われていない未ピッキング物品であるかを判別し、その判別情報に基づいて、入庫対象の物品Bが設定荷姿条件を満たす(荷崩れを起こし難い)荷姿であるか、設定荷姿条件を満たさない(荷崩れを起こし易い)荷姿であるかを判定し、設定荷姿条件を満たさない場合には物品収納棚における設定高さよりも低い位置に位置する下方側収納部に入庫させることができ、物品Bにおける荷Bnが地震による揺れや震動によって荷崩れを起こすことを抑制することができるものとなる。
【0081】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態は、第1実施形態に対して、クレーンコントローラH2の構成、荷姿情報の管理、物品の属性情報の管理方法及び再入庫作業のフローが異なるのみであるので、相違する部分のみを説明する。
【0082】
第3実施形態では荷姿情報を管理して荷姿条件を判定する構成としていないため、図11に示すように、クレーンコントローラH2には第1実施形態における荷姿条件判定部H26は設けられておらず、それに代えて物品判定部H27を備える構成となっている。また、第1実施形態における荷姿情報入力ボタン56bを設けられていない。
【0083】
第3実施形態では、クレーンコントローラH2における収納部管理部H24が物品収納棚2における設定高さTより低い位置に位置する下方側収納部2Sdと設定高さTより高い位置に位置する上方側収納部2Suとに区分する形態で収納部を管理するとともに、上位コントローラH1における物品情報管理部H11は、物品B夫々の属性情報として、その物品Bにおける荷Bnが荷崩れを起こし易い荷姿である特定物品Btであるか否かを管理自在に構成されている。
特定物品Btである場合とは、図5に示すようにパレットBpの上に複数の荷Bnを載置した荷姿の物品Bについて、荷Bnに巻き掛けられていたストレッチフィルムWを取り除く等して荷固定状態が解除されたような場合が該当する。
また、特定物品Btでない場合とは、例えば、図4(a)に示すようにパレットBpの上に複数の荷Bnを載置した荷姿の物品Bについて、荷BnをストレッチフィルムWによって互いに固定した荷固定状態であるような場合、または、図4(b)に示すようにパレットBpに荷を収容する容器を載置し、その中に荷Bnを収容する場合が考えられる。なお、後者のような荷姿は、例えば荷Bnが例えば円筒状又は球状である等といった場合が考えられる。
【0084】
クレーンコントローラH2は、図12のフローチャートに示すように、まず、選択条件を標準選択条件に設定し、収納部選択処理部H25は、設定された選択条件(設定選択条件)に基づいて物品Bを収納する収納部2sを選択する(#41、#42)。
続いて、物品判定部H27は、入庫対象の物品が特定物品Btであるか否かを判別する特定物品判定処理を実行する(#43)。
入庫対象の物品が特定物品Btであると判別された場合(#43:Yes)には、続いてその特定物品Btについて選択された収納部2sが上方側収納部2Suであるか否かを判別する(#44)。
#43において上方側収納部2Suが選択されたと判別された場合には(#44:Yes)、続いて選択条件を下方側収納部2Sdに制限する制限選択条件に設定し(#45)、収納部選択処理部H25は、その制限選択条件に基づいて当該特定物品Btを収納する収納部2sを選択する収納部選択処理を実行する(#46)。
#43で入庫対象の物品Bが特定物品Btでないと判別された場合、#44で特定物品Btについて選択された収納部が上方側収納部2Suでないと判別された場合、又は、#46の収納部選択処理に引き続き、クレーンコントローラH2における走行制御部H21、昇降制御部H22、及び移載制御部H23は、#42又は#46の収納部選択処理によって選択された収納部2sに物品Bを入庫すべくスタッカークレーン51の作動を制御する入庫処理を実行する。
上記フローチャートにおいて、#45及び#46が、本発明における特定物品用処理に相当する。
【0085】
つまり、第3実施形態においては、クレーンコントローラH2が、物品収納棚2における設定高さTより低い位置に位置する下方側収納部2Sdと設定高さTより高い位置に位置する上方側収納部2Suとに区分する形態で収納部2sを管理し、かつ、上位コントローラH1が、収納部2sに収納される物品Bが物品Bにおける荷Bnが荷崩れを起こし易い特定物品Btであるか否かを管理自在に構成され、且つ、クレーンコントローラH2が、特定物品Btについて収納部選択処理を実行した場合に上方側収納部2Suが選択されたときには、入庫処理の実行を保留する特定物品用処理を実行するように構成されている。
そして、上記特定物品用処理として、収納部選択処理において、選択対象の収納部2sを下方側収納部2Sdに制限した制限選択条件に基づいて当該特定物品Btを収納する収納部2sを選択し、その後、特定物品用処理により選択された収納部2sに当該特定物品Btを収納すべく、入庫処理を実行するように構成されている。
【0086】
〔第4実施形態〕
続いて本発明の第4実施形態を説明するが、この第4実施形態は、上記第3実施形態において特定物品用処理が異なるのみであるので、相違する構成のみを説明する。
第4実施形態においては、ピッキング箇所56pにピッキング作業中の物品が特定物品Btである場合において、その物品について実行された収納部選択処理において上方側収納部2Suが選択されたか否かを作業者に通報する通報手段としての通知ランプ(図示なし)が設けられ、さらに、その物品Bに対して下方側収納部2Sdに収納すべき物品であることを上位コントローラH1に通知する再選択指令手段としての再選択ボタン(図示なし)が設けられている。
【0087】
次に、図13に基づいて、第4実施形態の入庫制御を説明する。
クレーンコントローラH2は、入庫制御として、まず、選択条件を標準選択条件に設定し、収納部選択処理部H25は、設定された選択条件(設定選択条件)に基づいて物品Bを収納する収納部2sを選択する(#51、#52)。
続いて、物品判定部H27は、入庫対象の物品が特定物品Btであるか否かを判別する特定物品判定処理を実行する(#53)。
#53において、入庫対象の物品が特定物品Btであると判別された場合には、続いてその特定物品Btについて選択された収納部2sが上方側収納部2Suであるか否かを判別する(#54)。
#54において特定物品Btについて選択された収納部2sが上方側収納部2Suであると判別された場合には、続いて、作業者にその特定物品Btを収納する収納部2sとして上方側収納部2Suが選択されたことを通知ランプによって作業者に通知する(#55)。
続いて、クレーンコントローラH2は作業者により再選択ボタンが押されたか否か(再選択指令が指令されたか否か)を判別し(#56)、再選択ボタンが押されたと判別された場合は、続いて選択条件を下方側収納部2Sdに制限する制限選択条件に設定し、収納部選択処理部H25は、その制限選択条件に基づいて当該特定物品Btを収納する収納部2sを選択する収納部選択処理を実行する(#57、#58)。
ついて実行された収納部選択処理において上方側収納部2Suが選択された
#53で入庫対象の物品Bが特定物品Btでないと判別された場合、#54で特定物品Btについて選択された収納部が上方側収納部2Suでないと判別された場合、#56で再選択ボタンが押されなかったと判別された場合、又は、#58の収納部選択処理に引き続き、クレーンコントローラH2における走行制御部H21、昇降制御部H22、及び移載制御部H23は、#42又は#46の収納部選択処理によって選択された収納部2sに物品Bを入庫すべくスタッカークレーン51の作動を制御する入庫処理を実行する(#59)。
上記フローチャートにおいて、#55、#56、#57、#58が、本発明における特定物品用処理に相当する。
【0088】
〔別実施形態〕
(1)上記第1〜第4実施形態では、物品収納棚として腕木2uを備える腕木式の物品収納棚2を備える自動倉庫設備を例示したが、このような構成に限定されるものではなく、棚板式の物品収納棚を備える自動倉庫設備に本発明を適用してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、左右方向に複数の収納部を備える物品収納棚を例示したが、左右方向に1列のみの収納部を備える物品収納棚としてもよい。
【0089】
(2)上記第1〜第4実施形態では、ピッキング箇所56pが設けられ、ピッキング箇所56pにてピッキング対象の物品Bにおける荷Bnに対してピッキング作業が行われるように構成される構成を例示したが、そのような構成に限定されるものではなく、ピッキング箇所56pを備えない自動倉庫設備に適用してもよい。このような場合、荷姿条件判定処理において、ピッキング箇所56pにおけるピッキング作業の完了やピッキング箇所56pからの搬送である(Fromデータがピッキング箇所56pである等)ことをもって設定荷姿条件を満たさないと判定する構成に代えて、入庫対象の物品Bの属性として、当該物品Bにおける荷が荷崩れを起こし易い性質であるか否かを物品B毎に管理するようにし、管理された情報において当該物品Bにおける荷が荷崩れを起こし難い性質である場合には設定荷姿条件を満たすものとし、当該物品Bにおける荷が荷崩れを起こし易い性質である場合には設定荷姿条件を満たさないものとするように構成してもよい。
【0090】
(3)上記第1実施形態では、人為操作により荷姿情報入力手段を入力する荷姿情報入力手段としての荷姿情報入力ボタン56bを備える構成としたが、このような構成に代えて、例えばカメラで物品Bを撮影してその物品Bについての荷Bnの画像を荷姿情報として入力し、制御手段が、その画像に基づいて物品Bが設定荷姿条件を満たすか否かを判別するように構成してもよい。
【0091】
(4)上記第1〜第4実施形態では、物品収納率Rsが設定収納率以上となった場合の設定高さTの更新処理において、1回の設定高さTの更新処理で物品収納率Rsが設定収納率以下とならなかった場合には、物品収納率Rsが設定収納率以下となるまで設定高さTの更新処理を繰り返すように構成しているが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、1回の設定高さTの更新処理で物品収納率Rsが設定収納率以下とならなかった場合には、作業者にその旨を通知するように構成してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、設定収納率として例えば90%を例示したが、設定収納率はこの数値に限定されるものではなく、例えば70%又は80%、若しくは95%等、物品収納棚2の収納効率と空収納部2saの残数の確保についての確実性とに鑑みて任意に設定可能である。
【符号の説明】
【0092】
2 物品収納棚
2s 収納部
2Sd 下方側収納部
2Su 上方側収納部
3 作業通路
51 スタッカークレーン
56p ピッキング箇所
56b 荷姿情報入力ボタン(荷姿情報入力手段)
58 積卸箇所(入荷箇所)
B 物品
Bn 荷
Bp パレット
Bt 特定物品
H1 上位コントローラ(制御手段)
H2 クレーンコントローラ(制御手段)
J 自動倉庫
Rs 物品収納率
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷が載置されたパレットを収納対象の物品として収納する収納部を上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えて構成された物品収納棚と、前記物品収納棚の前面側において前記物品収納棚の棚左右方向に沿って設けられる作業通路を走行自在でかつ物品入庫用の入庫口と前記収納部との間で物品を搬送自在なスタッカークレーンと、前記スタッカークレーンの作動を制御する制御手段とが設けられ、
前記制御手段が、前記入庫口に位置する物品を入庫する場合に、設定選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択する収納部選択処理、及び、前記収納部選択処理にて選択された収納部に当該物品を入庫すべく前記スタッカークレーンの作動を制御する入庫処理を実行するように構成された自動倉庫設備であって、
前記制御手段が、前記物品収納棚における設定高さより低い位置に位置する収納部を下方側収納部として管理するように構成され、かつ、物品における荷の荷姿についての荷姿情報に基づいて入庫対象の物品が設定荷姿条件を満たすか否かを判定する荷姿条件判定処理を実行し、入庫対象の物品が設定荷姿条件を満たさない場合は、前記収納部選択処理において、選択対象の収納部を前記下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択するように構成されている自動倉庫設備。
【請求項2】
入庫対象の物品における荷についての前記荷姿情報を人為操作により入力自在な荷姿情報入力手段が設けられ、
前記制御手段が、前記荷姿情報入力手段から入力された前記荷姿情報に基づいて前記荷姿条件判定処理を実行するように構成されている請求項1記載の自動倉庫設備。
【請求項3】
前記物品における荷をピッキング対象とするピッキング作業を行うピッキング箇所が設けられ、
前記制御手段が、入荷箇所から入荷された物品を入庫対象の物品として前記収納部に入庫する新規入庫作業、前記収納部に収納されている物品をピッキング対象の物品として収納部から出庫する出庫作業、及び、前記ピッキング箇所にて前記ピッキング作業が行われたピッキング対象の物品を入庫対象の物品として前記収納部に入庫する再入庫作業の夫々を行うべく前記スタッカークレーンの作動を制御し、かつ、入庫対象の物品について、ピッキング作業が行われた物品であるピッキング済物品であるか、ピッキング作業が行われていない未ピッキング物品であるかを判別用情報に基づいて判別するピッキング有無判別処理を実行するように構成され、且つ、
前記ピッキング有無判別処理において物品が前記ピッキング済物品であると判別した場合には、前記荷姿条件判定処理において当該入庫対象の物品が前記設定荷姿条件を満たさないと判定するように構成されている請求項1記載の自動倉庫設備。
【請求項4】
荷が載置されたパレットを収納対象の物品として収納する収納部を上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えて構成された物品収納棚と、前記物品収納棚の前面側において前記物品収納棚の棚左右方向に沿って設けられる作業通路を走行自在でかつ物品を入庫する入庫口と前記収納部との間で物品を搬送自在なスタッカークレーンと、前記スタッカークレーンの作動を制御する制御手段とが設けられ、
前記制御手段が、前記入庫口に位置する物品を入庫する場合に、設定選択条件に基づいて当該物品を収納する収納部を選択する収納部選択処理を実行し、その後、前記収納部選択処理にて選択された収納部に当該物品を入庫すべく前記スタッカークレーンの作動を制御する入庫処理を実行するように構成された自動倉庫設備であって、
前記制御手段が、前記物品収納棚における設定高さより低い位置に位置する下方側収納部と前記設定高さより高い位置に位置する上方側収納部とに区分する形態で前記収納部を管理し、かつ、前記収納部に収納される物品が、前記物品における荷が荷崩れを起こし易い特定物品であるか否かを管理自在に構成され、且つ、
前記特定物品について前記収納部選択処理を実行した場合に前記上方側収納部が選択されたときには、前記入庫処理の実行を保留する特定物品用処理を実行するように構成されている自動倉庫設備。
【請求項5】
前記制御手段が、前記特定物品用処理として、前記収納部選択処理において、選択対象の収納部を前記下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて当該特定物品を収納する収納部を選択し、その後、前記特定物品用処理により選択された収納部に当該特定物品を収納すべく、前記入庫処理を実行するように構成されている請求項4記載の自動倉庫設備。
【請求項6】
作業者に通知情報を通知する通知手段が設けられ、
前記収納部選択処理において、選択対象の収納部を前記下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて当該特定物品を収納する収納部を選択する再選択処理を指令する再選択指令を人為操作によって指令自在な再選択指令手段が設けられ、
前記制御手段が、前記特定物品用処理として、前記収納部選択処理によって前記特定物品について選択された収納部が前記上方側収納部であることを通知手段によって通知するように構成され、かつ、前記再選択指令手段にて再選択指令が指令された場合には、前記再選択処理にて選択された収納部に対して前記入庫処理を実行するように構成されている請求項4記載の自動倉庫設備。
【請求項7】
前記制御手段が、前記物品収納棚における前記下方側収納部についての物品収納率を管理するように構成され、前記物品収納率が設定収納率以上となった場合には、前記設定高さよりも上方の高さを新たな設定高さとし、その新たな設定高さより低い位置に位置する収納部を前記下方側収納部として管理するように構成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動倉庫設備。
【請求項1】
荷が載置されたパレットを収納対象の物品として収納する収納部を上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えて構成された物品収納棚と、前記物品収納棚の前面側において前記物品収納棚の棚左右方向に沿って設けられる作業通路を走行自在でかつ物品入庫用の入庫口と前記収納部との間で物品を搬送自在なスタッカークレーンと、前記スタッカークレーンの作動を制御する制御手段とが設けられ、
前記制御手段が、前記入庫口に位置する物品を入庫する場合に、設定選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択する収納部選択処理、及び、前記収納部選択処理にて選択された収納部に当該物品を入庫すべく前記スタッカークレーンの作動を制御する入庫処理を実行するように構成された自動倉庫設備であって、
前記制御手段が、前記物品収納棚における設定高さより低い位置に位置する収納部を下方側収納部として管理するように構成され、かつ、物品における荷の荷姿についての荷姿情報に基づいて入庫対象の物品が設定荷姿条件を満たすか否かを判定する荷姿条件判定処理を実行し、入庫対象の物品が設定荷姿条件を満たさない場合は、前記収納部選択処理において、選択対象の収納部を前記下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて、当該物品を収納する収納部を選択するように構成されている自動倉庫設備。
【請求項2】
入庫対象の物品における荷についての前記荷姿情報を人為操作により入力自在な荷姿情報入力手段が設けられ、
前記制御手段が、前記荷姿情報入力手段から入力された前記荷姿情報に基づいて前記荷姿条件判定処理を実行するように構成されている請求項1記載の自動倉庫設備。
【請求項3】
前記物品における荷をピッキング対象とするピッキング作業を行うピッキング箇所が設けられ、
前記制御手段が、入荷箇所から入荷された物品を入庫対象の物品として前記収納部に入庫する新規入庫作業、前記収納部に収納されている物品をピッキング対象の物品として収納部から出庫する出庫作業、及び、前記ピッキング箇所にて前記ピッキング作業が行われたピッキング対象の物品を入庫対象の物品として前記収納部に入庫する再入庫作業の夫々を行うべく前記スタッカークレーンの作動を制御し、かつ、入庫対象の物品について、ピッキング作業が行われた物品であるピッキング済物品であるか、ピッキング作業が行われていない未ピッキング物品であるかを判別用情報に基づいて判別するピッキング有無判別処理を実行するように構成され、且つ、
前記ピッキング有無判別処理において物品が前記ピッキング済物品であると判別した場合には、前記荷姿条件判定処理において当該入庫対象の物品が前記設定荷姿条件を満たさないと判定するように構成されている請求項1記載の自動倉庫設備。
【請求項4】
荷が載置されたパレットを収納対象の物品として収納する収納部を上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えて構成された物品収納棚と、前記物品収納棚の前面側において前記物品収納棚の棚左右方向に沿って設けられる作業通路を走行自在でかつ物品を入庫する入庫口と前記収納部との間で物品を搬送自在なスタッカークレーンと、前記スタッカークレーンの作動を制御する制御手段とが設けられ、
前記制御手段が、前記入庫口に位置する物品を入庫する場合に、設定選択条件に基づいて当該物品を収納する収納部を選択する収納部選択処理を実行し、その後、前記収納部選択処理にて選択された収納部に当該物品を入庫すべく前記スタッカークレーンの作動を制御する入庫処理を実行するように構成された自動倉庫設備であって、
前記制御手段が、前記物品収納棚における設定高さより低い位置に位置する下方側収納部と前記設定高さより高い位置に位置する上方側収納部とに区分する形態で前記収納部を管理し、かつ、前記収納部に収納される物品が、前記物品における荷が荷崩れを起こし易い特定物品であるか否かを管理自在に構成され、且つ、
前記特定物品について前記収納部選択処理を実行した場合に前記上方側収納部が選択されたときには、前記入庫処理の実行を保留する特定物品用処理を実行するように構成されている自動倉庫設備。
【請求項5】
前記制御手段が、前記特定物品用処理として、前記収納部選択処理において、選択対象の収納部を前記下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて当該特定物品を収納する収納部を選択し、その後、前記特定物品用処理により選択された収納部に当該特定物品を収納すべく、前記入庫処理を実行するように構成されている請求項4記載の自動倉庫設備。
【請求項6】
作業者に通知情報を通知する通知手段が設けられ、
前記収納部選択処理において、選択対象の収納部を前記下方側収納部に制限した制限選択条件に基づいて当該特定物品を収納する収納部を選択する再選択処理を指令する再選択指令を人為操作によって指令自在な再選択指令手段が設けられ、
前記制御手段が、前記特定物品用処理として、前記収納部選択処理によって前記特定物品について選択された収納部が前記上方側収納部であることを通知手段によって通知するように構成され、かつ、前記再選択指令手段にて再選択指令が指令された場合には、前記再選択処理にて選択された収納部に対して前記入庫処理を実行するように構成されている請求項4記載の自動倉庫設備。
【請求項7】
前記制御手段が、前記物品収納棚における前記下方側収納部についての物品収納率を管理するように構成され、前記物品収納率が設定収納率以上となった場合には、前記設定高さよりも上方の高さを新たな設定高さとし、その新たな設定高さより低い位置に位置する収納部を前記下方側収納部として管理するように構成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動倉庫設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−91555(P2013−91555A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235220(P2011−235220)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]