説明

自動分析装置、多ユニット自動分析装置、および予定分析終了時間算出方法

【課題】分析所要時間、分析開始時間および分析終了時間の算出を所定のタイミングで繰り返し行なうことにより、正確な予定分析終了時間を出力しうる自動分析装置、多ユニット自動分析装置を提供すること。
【解決手段】検体分注装置2への搬送前に検体容器3aに付された情報記憶媒体から検体情報を読み取る情報読取装置5と、各検体の分析項目情報を記憶する記憶部25と、前記分析項目情報に基づき、各検体の分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間を算出する算出部28と、各検体の分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間を出力する出力部23と、を備え、算出部28は、検体に対する最初の分析項目用の試薬の分注開始後、該検体の分析終了確定時間およびその他の検体の予定分析終了時間を再度算出し、出力部23は算出された該検体の分析終了確定時間および他の検体の予定分析終了時間を再度出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置、多ユニット自動分析装置とその予定分析終了時間算出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、いわゆる割り込み検体や緊急検体を除き、ラックに保持して供給される検体容器に収容された検体を供給順に分析している。このとき、ユーザの便宜を考慮して分析終了時刻を知る機能を備えた分析システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、検体到着、分析データ取得等の各イベント間の平均所要時間に基づき、分析サンプルの各イベント発生時刻を予測し、表示する臨床検査システムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、検体受付時に、当該検体の分析に要する時間を過去に分析した際の所要時間を元に類推算出する自動分析システムが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−124782号公報
【特許文献2】特許第3757180号公報
【特許文献3】特許第3678136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された分析システムは、ホストコンピュータから提供される検体の分析依頼情報をもとに予定分析終了時間を算出している。このため、特許文献1の分析システムは、分析依頼情報中の検体が実際に供給されなかった場合には、算出した分析終了予定時間が変わってしまうという問題があった。
【0007】
また、特許文献2または3に開示されたシステムは、各イベントの発生時間の平均や、各分析項目の分析時間、分析が行われた曜日、分析時間等の過去のデータに基づき分析所要時間を算出するものであるため、必ずしも正確な分析所要時間を予測できるものではない。また、前記システムは、検体受付処理時または検体投入ユニットへの検体投入時にのみ前記分析所要時間が算出されるため、緊急検体等の割り込み発生時や、ユーザ操作による分析中断が起こった場合、算出された分析終了時間は実際の分析時間と大きなずれを有することになる。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、正確な予定分析終了時間を逐次出力しうる自動分析装置、多ユニット自動分析装置、および予定分析終了時間算出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の自動分析装置は、検体と試薬との反応物を光学的に分析する自動分析装置であって、分析予定の検体を収容する検体容器を複数保持するラックを複数載置するラックセット部を備え、前記ラックを検体分注装置に搬送する検体搬送装置と、前記検体分注装置への搬送前に前記検体容器に付された情報記憶媒体から検体情報を読み取る読取手段と、各検体の分析項目情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段が取得した分析項目情報に基づき、各検体の分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された各検体の分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間を出力する出力手段と、を備え、前記算出手段は、各検体に対する最初の分析項目を分析するための検体又は試薬の分注開始後、該検体の分析終了時間およびその他の検体の予定分析開始時間および予定分析終了時間を再度算出し、前記出力手段は算出された該検体の分析終了確定時間および他の検体の予定分析開始時間および予定分析終了時間を再度出力することを特徴とする。
【0010】
本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記検体毎の分析所要時間は、該検体の分析項目数に分注時間を乗じた数に、分析項目当たりの平均分析所要時間、最大分析所要時間または最終分析項目の分析所要時間のいずれか一つを加算したものであることを特徴とする。
【0011】
本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記算出手段は、検体の各分析項目を分析するための検体又は試薬の分注開始後、該分析項目の分析終了時間および該検体の予定分析終了時間、ならびに他の検体の予定分析開始時間および予定分析終了時間を算出し、前記出力手段は算出された該分析項目の分析終了時間および該検体の予定分析終了時間、ならびに他の検体の予定分析開始時間および予定分析終了時間を再度出力することを特徴とする。
【0012】
本発明の多ユニット自動分析装置は、検体と試薬との反応物を分析する複数の分析ユニットと、前記複数の分析ユニットに沿って配置され、検体容器を複数保持する複数のラックを前記各分析ユニットに搬送する検体搬送装置とを備え、前記ラックを前記検体搬送装置によって所定の分析ユニットへ搬送し、前記検体容器内の検体を分析する多ユニット自動分析装置であって、前記検体搬送装置のラックセット部に載置された前記検体容器に付された情報記憶媒体から検体情報を読み取る読取手段と、各検体の分析項目情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段が取得した分析項目情報に基づき、各検体の分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された各検体の分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間を出力する出力手段と、各分析ユニットまで搬送された前記検体容器に付された情報記憶媒体から検体情報を読み取る読取手段と、を備え、前記算出手段は、各分析ユニットにおける検体に対する最初の分析項目を分析するための検体又は試薬の分注開始後、該検体の該分析ユニットにおける分析終了時間および最終分析ユニット予定分析終了時間を再度算出し、前記出力手段は該検体の該分析ユニットにおける分析終了時間および最終分析ユニット予定終了時間を再度出力することを特徴とする。
【0013】
本発明の多ユニット自動分析装置は、上記発明において、各検体の分析所要時間は、該検体を収容する検体容器を保持するラックが保持する全検体の分析項目総数に分注時間を乗じた数に、分析項目当たりの平均分析所要時間、最大分析所要時間または最終分析項目の分析所要時間のいずれか一つ、および各分析ユニット間の搬送時間を加算したものであることを特徴とする。
【0014】
本発明の多ユニット自動分析装置は、上記発明において、前記分析所要時間の算出に使用する各検体の分析項目総数は、該検体を収容する検体容器を保持するラックが保持する全検体の分析項目総数から、第1分析ユニットにおいて該検体の分注前に行なわれる同一ラックの検体の分析項目数と、最終分析ユニットにおいて該検体の分注後に行なわれる同一ラックの検体の分析項目数とを減算したものとすることを特徴とする。
【0015】
本発明の多ユニット自動分析装置は、上記発明において、前記算出手段は、検体の各分析項目を分析するための検体又は試薬の分注開始後、該分析項目の分析終了確定時間、該検体の該分析ユニットにおける予定分析終了時間および該検体の最終分析ユニット予定分析終了時間を算出し、前記出力手段は算出された該分析項目の分析終了確定時間、該検体の該分析ユニットにおける予定分析終了時間および該検体の最終分析ユニット予定分析終了時間を再度出力することを特徴とする。
【0016】
本発明の自動分析装置の予定分析終了時間算出方法は、検体と試薬との反応物を光学的に分析する自動分析装置の予定分析終了時間算出方法であって、検体分注装置への搬送前に検体容器に貼付された情報記憶媒体から検体情報を読み取る読取ステップと、各検体の分析項目情報を取得する情報取得ステップと、前記情報取得ステップが取得した分析項目情報から各検体の分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間を算出する第1算出ステップと、前記第1算出ステップにより算出された各検体の分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間を出力する第1出力ステップと、各検体に対する最初の分析項目を分析するための検体又は試薬の分注開始後、該検体の分析終了時間および他の検体の予定分析開始時間および予定分析終了時間を算出する第2算出ステップと、前記第2算出ステップにより算出された該検体の分析終了時間および他の検体の予定分析開始時間および予定分析終了時間を出力する第2出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の自動分析装置の予定分析終了時間算出方法は、上記発明において、前記検体毎の分析所要時間は、該検体の分析項目数に分注時間を乗じた数に、分析項目当たりの平均分析所要時間、最大分析所要時間または最終分析項目の分析所要時間のいずれか一つを加算したものであることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の自動分析装置の予定分析終了時間算出方法は、上記発明において、前記第2算出ステップは、検体の各分析項目を分析するための検体又は試薬の分注開始後、該分析項目の分析終了時間および該検体の予定分析終了時間、ならびに他の検体の予定分析開始時間および予定分析終了時間を算出し、前記第2出力ステップは算出された該分析項目の分析終了確定時間および該検体の分析終了確定時間、ならびに他の検体の予定分析開始時間および予定分析終了時間を再度出力することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の多ユニット自動分析装置の予定分析終了時間算出方法は、上記発明において、検体と試薬との反応物を分析する複数の分析ユニットと、前記複数の分析ユニットに沿って配置され、検体容器を複数保持する複数のラックを前記各分析ユニットに搬送する検体搬送装置とを備え、前記ラックを前記検体搬送装置によって所定の分析ユニットへ搬送し、前記検体容器内の検体を分析する多ユニット自動分析装置の予定分析終了時間算出方法であって、検体分注装置への搬送前に検体容器に付された情報記憶媒体から検体情報を読み取る第1読取ステップと、前記第1読取ステップにより読み取った検体情報に基づき各検体の分析項目情報を取得する第1情報取得ステップと、前記第1情報取得ステップにより抽出した分析項目情報により各検体の分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間を算出する第1算出ステップと、前記第1算出ステップにより算出された各検体の分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間を出力する第1出力手段と、各分析ユニットまで搬送された前記検体容器に付された情報記憶媒体から検体情報を読み取る第2読取ステップと、前記第2読取ステップにより読み取った検体情報に基づき、該分析ユニットでの各検体の分析項目情報を抽出する第2情報取得ステップと、各分析ユニットにおける検体に対する最初の分析項目を分析するための検体又は試薬の分注開始後、該検体の該分析ユニットにおける分析終了時間および最終分析ユニット予定終了時間を算出する第2算出ステップと、該検体の該分析ユニットにおける分析終了時間および最終分析ユニット予定終了時間を再度出力する第2出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の多ユニット自動分析装置の予定分析終了時間算出方法は、上記発明において、検体分析が行われる分析ユニット毎に前記第2読取りステップ、前記第2情報取得ステップ、前記第2算出ステップおよび前記第2出力ステップを繰り返すことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の多ユニット自動分析装置の予定分析終了時間算出方法は、上記発明において、各検体の分析所要時間は、該検体を収容する検体容器を保持するラックが保持する全検体の分析項目総数に分注時間を乗じた数に、分析項目当たりの平均分析所要時間、最大分析所要時間または最終分析項目の分析所要時間のいずれか一つ、および各分析ユニット間の搬送時間を加算したものであることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の多ユニット自動分析装置の予定分析終了時間算出方法は、上記発明において、前記分析所要時間の算出に使用する各検体の分析項目総数は、該検体を収容する検体容器を保持するラックが保持する全検体の分析項目総数から、第1分析ユニットにおいて該検体の分注前に行なわれる同一ラックの検体の分析項目数と、最終分析ユニットにおいて該検体の分注後に行なわれる同一ラックの検体の分析項目数とを減算したものとすることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の多ユニット自動分析装置の予定分析終了時間算出方法は、上記発明において、前記第2算出ステップは、検体の各分析項目を分析するための検体又は試薬の分注開始後、該分析項目の分析終了時間、該検体の該分析ユニットにおける予定分析終了時間および該検体の最終分析ユニット予定分析終了時間を算出し、前記第2出力ステップは、算出された該分析項目の分析終了時間、該検体の該分析ユニットにおける予定分析終了時間および該検体の最終分析ユニット予定分析終了時間を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、緊急検体等の割り込みがあった場合でも、各検体の予定分析終了時間を繰り返し算出し修正することができるので、より正確な予定分析終了時間の出力を逐次行なうことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(実施の形態1)
以下、本発明の自動分析装置にかかる実施の形態1について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、実施の形態1の自動分析装置の概略構成を示す平面図である。図2は、自動分析装置の検体搬送装置を拡大した平面図である。
【0026】
自動分析装置1は、図1に示すように、検体搬送装置2、測定機構6及び制御機構20を備えている。
【0027】
検体搬送装置2は、例えば、ベルトコンベアから構成され、図1に示すように、複数の検体容器3aを保持したラック3を検体分注位置Psへ搬送すると共に、検体の分注を終えたラック3を回収する。検体搬送装置2は、図2に示すように、ラックセット部2a、ラック搬送部2b、バッファ部2c、戻し搬送部2d、再検ラック搬送部2e、再検レーン部2f及びラック回収部2gを有している。
【0028】
ラックセット部2aは、図2に示すように、ラック3をセットし、検体分注位置Psへ搬送するラック搬送部2bへ送り出す。ラック搬送部2bは、ラック3をラックセット部2aから検体分注位置Psを通ってバッファ部2cへ搬送する。バッファ部2cは、検体分注位置Psにおける検体の分注を終えたラック3を一時的に収容する。戻し搬送部2dは、再検ラック搬送部2e、ラック回収部2g及びラックセット部2aに沿って配置され、ラック3を再検ラック搬送部2e、ラック回収部2g或いはラックセット部2aへ搬送する。再検ラック搬送部2eは、バッファ部2cから送り出されてくる再検対象のラック3を再検レーン部2fへと搬送する。再検レーン部2fは、ラック3を搬送して保持した再検対象の検体容器3aを再検分注位置Psrまで移動させる。検体を再検分注したラック3は、再検レーン部2fを戻された後、再検ラック搬送部2e、戻し搬送部2dを経てラック回収部2gへ回収される。ラック回収部2gは、バッファ部2cから送り出され、戻し搬送部2dを搬送されてくる再検対象外のラック3を回収する。
【0029】
ラック3は、採血管等の検体を保持した検体容器3aを複数搭載し、ラック搬送部2b上の検体分注位置Psにおいて検体分注装置9によって検体容器3aから検体が吸引される。ラック3には、端面に他のラック3と識別するラック記録媒体としてラック情報を記録したバーコードラベルやRFID或いはIDコード、2次元コード等のラック情報記録媒体3bが貼付されている。また、検体容器3aには、検体を識別する検体記録媒体として検体情報を記録したバーコードラベルやRFID或いはIDコード、2次元コード等の検体情報記録媒体3cが側面に貼付されている。ラック情報記録媒体3bは、ラックセット部2aと再検レーン部2fとの間に設置した情報読取装置4によってラック情報が読み取られ、検体情報記録媒体3cは、ラックセット部2aの側部に設置した情報読取装置5によって検体情報が読み取られる。情報読取装置4、5は、読み取ったラック情報や検体情報を制御機構20へ出力する。
【0030】
測定機構6は、図1に示すように、反応テーブル7、検体分注装置9、第1試薬保冷庫10、第1試薬分注装置11、第2試薬保冷庫12、第2試薬分注装置13、撹拌装置14、測光部15及び洗浄部16を備えている。
【0031】
反応槽テーブル7は、図1に示すように、複数の反応容器8を保持して回転するキュベットホイールを有しており、検体分注位置Psの検体容器3aから反応容器8に検体が分注される。前記キュベットホイールは、加温装置(図示せず)によって一定温度(=略37℃)に保温されている。
【0032】
検体分注装置9は、図1に示すように、検体搬送装置2と反応テーブル7との間に配置されており、上下方向への昇降と水平方向への回動をする分注アーム9aに保持される分注プローブによって検体分注位置Psの検体容器3aから反応容器8に検体を分注する。
【0033】
第1試薬保冷庫10は、図1に示すように、放射状に仕切られた内部に複数の第1試薬容器10aを収容し、所定温度に保冷している。第1試薬容器10aは、検査項目に応じた所定の第1試薬が満たされ、外面には収容した第1試薬の種類,ロット番号及び有効期限等の試薬情報を記録したバーコードラベルやRFID等の情報記録媒体(図示せず)が貼付されている。第1試薬保冷庫10の外側には、第1試薬容器10aに貼付した前記情報記録媒体から試薬情報を読み取り、制御部21へ出力する情報読取装置10bが設置されている。
【0034】
第1試薬分注装置11は、図1に示すように、反応テーブル7と第1試薬保冷庫10との間に配置されており、上下方向への昇降と水平方向への回動をする分注アーム11aに保持される分注プローブによって第1試薬容器10aから反応容器8に第1試薬を分注する。
【0035】
第2試薬保冷庫12は、放射状に仕切られた内部に第2試薬を保持した第2試薬容器12aを収容し、所定温度に保冷している。第2試薬容器12aは、第1試薬容器10aと同様に、試薬情報を記録したバーコードラベルやRFID等の情報記録媒体(図示せず)が貼付されている。第2試薬保冷庫12の外側には、第2試薬容器12aに貼付した前記情報記録媒体から試薬情報を読み取り、制御部21へ出力する情報読取装置12bが設置されている。
【0036】
第2試薬分注装置13は、図1に示すように、反応槽7と第2試薬保冷庫12との間に配置されており、上下方向への昇降と水平方向への回動をする分注アーム13aに保持される分注プローブによって第2試薬容器12aから反応容器8に第2試薬を分注する。
【0037】
撹拌装置14は、反応容器8内の液体を、例えば、撹拌棒によって撹拌する。測光部15は、反応容器8内の液体を透過する光の光量を測定し、測定した光量に対応する測定信号を制御部21へ出力する。洗浄部16は、測光部15による測定が終了した反応容器8を洗剤や洗浄水によって洗浄し、乾燥させる。
【0038】
制御機構20は、図1に示すように、制御部21、入力部22、出力部23、記憶部25、分析部26、送受信部27および算出部28を有している。
【0039】
制御機構20が備える各部は、制御部21に電気的に接続されている。制御部21は、CPU等を用いて構成され、自動分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部21は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。特に、制御部21は、情報読取装置4,5が読み取ったラック情報や検体情報をもとに前記ベルトコンベアによるラック3の搬送を制御する。入力部22は、制御部21へ検査項目等を入力する操作を行う部分であり、例えば、キーボードやマウス等が使用される。出力部23は、ディスプレイ等を用いて構成された表示部24を備える。表示部24は、分析内容や警報等を表示するもので、ディスプレイパネル等が使用される。入力部22および表示部24はタッチパネルによって実現するようにしてもよい。
【0040】
分析部26は、制御部21を介して測光部15に接続され、測光部15が測光した光量に基づいて求められる反応容器8内の反応液の吸光度(光学的特性)から検体の成分濃度等を分析し、分析結果は制御部21を介して記憶部25に記憶される。記憶部25は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、自動分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部25は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。また、記憶部25は、分析可能なすべての分析項目についての分析に要する情報、たとえば、検体の分析項目等の分析情報を記憶する。さらに、記憶部25は、後述の算出部28が算出した各検体の分析所要時間や、予定分析開始時間および/または予定分析終了時間を記憶する。
【0041】
送受信部27は、図示しない通信ネットワークを介して所定の形式にしたがった情報の送受信を行なうインターフェースとしての機能を有する。検体の分析項目等の分析情報は、上述した記憶部25ではなく、図示しない上位のホストコンピュータが一括管理することがあり、かかる場合は、制御部21を介して検体ID等の検体情報を元に当該情報を取得し、送受信部27により当該情報を送受信する。算出部28は、記憶部25に記憶された各検体の分析項目および各分析項目の分析に要する分析所要時間に基づき、各検体の分析所要時間を算出する。1検体の分析所要時間は、該検体の分析項目数に分注時間を乗じた数に分析項目当たりの分析所要時間を加算して算出する。分析項目当たりの分析所要時間は、オーダーされた各分析項目の平均分析所要時間、最長分析所要時間または当該検体の最終分析項目の分析所要時間のいずれかを使用する。
【0042】
以上のように構成される自動分析装置1は、前記キュベットホイールによって周方向に沿って第1試薬の分注位置へ搬送されてくる反応容器8に第1試薬分注装置11によって第1試薬容器11aから第1試薬が順次分注される。第1試薬が分注された反応容器8は、前記キュベットホイールによって周方向に沿って搬送され、検体分注装置9によって検体分注位置Psに搬送されてくる検体容器3aから順次検体が分注される。
【0043】
そして、検体が分注された反応容器8は、前記キュベットホイールによって第2試薬の分注位置へ搬送され、反応容器8に第2試薬分注装置13によって第2試薬容器12aから第2試薬が順次分注される。この間、反応容器8は、分注された試薬や試薬と検体が撹拌装置14によって撹拌されて反応する。このようにして検体と試薬が反応した反応液は、前記キュベットホイールが再び回転したときに測光部15を通過し、分析部26によって反応容器8内の検体と試薬の反応液の吸光度(光学的特性)から検体の成分濃度等が分析される。また、分析が終了した反応容器8は、洗浄部16において洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0044】
次に、図を参照して、分析予定の検体について分析所要時間および予定分析終了時間を算出する工程を説明する。図3は、実施の形態1にかかる自動分析装置1における予定分析終了時間算出のフローチャートである。
【0045】
まず、検体搬送装置2のラックセット部2aに載置されたラック3に保持される検体容器3aに貼付された情報記憶媒体から検体情報を読み取るために、制御部21の制御のもと、ラック3は、図2に矢印で示すように、ラックセット部2a→ラック搬送部2b→バッファ部2c→戻し搬送部2d→ラックセット部2aと検体搬送装置2内を搬送され、情報読取装置5によって検体情報が読み取られる(ステップS100)。読み取った検体IDに基づき、各検体の分析項目や各分析項目の分析所要時間等の分析項目情報を記憶部25から抽出する(ステップS101)。算出部28は、抽出された分析項目情報に基づき各検体の分析所要時間を算出する(ステップS102)。1検体の分析所要時間は、該検体の分析項目数に分注時間を乗じた数に分析項目当たりの分析所要時間を加算して算出される。ラックセット部2aに載置されたすべての検体について分析受付が終了するまで(ステップS103:No)、ステップS100〜ステップS102が繰り返し行なわれる。
【0046】
すべての検体について分析受付が終了した後(ステップS103:Yes)、算出部28は、受け付けられた全検体の予定分析開始時間および予定分析終了時間を算出する(ステップS104)。算出部28は、制御部21に測定機構6のスタンバイ時間を問い合わせ、分析開始時間にステップS102で算出した分析所要時間を加算して予定分析終了時間を算出する。図4は、予定分析終了時間の表示例である。図4に示すように、受付番号、検体ID、分析項目数、分析所要時間、予定分析開始時間、予定分析終了時間等が出力される。受付番号1の検体ID12345678については、スタンバイ時間の10:10分が予定分析開始時間であり、予定分析開始時間の10:10分に分析所要時間12.5分を加算した10:23分が予定分析終了時間となる。分析所要時間は、たとえば、分注時間15秒(検体吸引、検体吐出、プローブ洗浄各5秒)と分析項目数10を乗じた2.5分に、分析項目当たりの分析所要時間(平均)を10分として、合算した12.5分が分析所要時間となる。受付番号2の検体ID12345679の予定分析開始時間は、受付番号1の検体ID12345678の分注終了後、直ちに分析が開始されるものとして、スタンバイ時間の10:10分に受付番号1(検体ID12345678)の分注時間2.5分を加算した10:13分が予定分析開始時間となる。なお、異なるラック3に切り替わる際には、ラック3の搬送時間を次検体の予定分析時間に加算する。
【0047】
算出された予定分析開始時間および予定分析終了時間は表示部24に出力され、記憶部25に格納される(ステップS105)。その後、ラック搬送部2bにより、受付順にラック3をラックセット部2aから検体分注位置Psへ搬送する。搬送の際、再度情報読取装置5によってラックに保持されるすべての検体の検体情報を読取り(ステップS106)、先頭の検体から分注が開始される(ステップS107)。反応容器8への検体および試薬の分注は第1試薬から行なわれ、第1試薬分注装置11により所定の第1試薬が反応容器8に分注された後、算出部28により分析終了時間が再度算出される。算出のタイミングは検体毎とし、1検体に対する最初の分析項目を分析するための分注か否かを確認した後(ステップS108)、算出部28が、該検体の分析終了時間とその他の検体の予定分析終了時間を算出する(ステップS109)。緊急検体の受付を各検体の間でのみ受け付けることとすれば、1検体の最初の分析項目用の分注開始と共に該検体の分析終了時間を確定することができ、また、他の検体についても予定分析終了時間を更新することで、分析の進捗状況をより正確に逐次把握することが可能となる。
【0048】
図5は、受付番号1(検体ID123456768)の最初の分析項目の分注後に再算出された予定分析終了時間の表示例である。緊急検体の割り込みがない場合は、図5に示すように、ステップS109で出力した予定分析終了時間(図4参照)と同じ時間となる。受付番号1(検体ID123456768)は、すでに分注が開始され、分析開始時間および分析終了時間が確定しているため、その他と色分け等で区別する。一方、たとえば、受付番号1(検体ID123456768)と受付番号2(検体ID123456769)の間に緊急検体の割り込みがあり、受付番号2(検体ID123456769)の分析開始時間が遅れた場合、受付番号2(検体ID123456769)の最初の分析項目の分注開始後、再度分析開始時間および分析終了時間が算出される。図6は、受付番号2(検体ID123456769)の最初の分析項目の分注後に再算出された全検体の予定分析終了時間(全分析ユニット)の表示例である。受付番号2(検体ID123456769)も分注が開始され、分析開始時間および分析終了時間の確定を示す色分けがされるが、緊急検体の割り込みにより図4に示す予定分析開始時間または予定分析終了時間と異なることを示すため米印で明示している。各検体の最初の分析項目の分注が開始されるたびに、予定分析開始時間または予定分析終了時間が算出されるため、緊急検体等による割り込みが発生しても、より正確な分析進行状況を確認することができる。
【0049】
ステップS108において、1検体の最初の分析項目用の分注と判断された場合(ステップS108:Yes)、算出部28は該検体の確定分析終了時間とその他の検体の予定分析終了時間を算出し(ステップS109)、確定分析終了時間および予定分析終了時間が出力される(ステップS110)。当該時刻情報は、表示部24により出力されるほか、記憶部25内に格納または更新される。一方、分注が、1検体の最初の分析項目用の分注でない場合は、(ステップS108:No)、予確定分析終了時間および定分析終了時間の算出を行なわず、1検体のすべての分析項目の分注が終了するまで分注を続行する(ステップS111:No)。1検体のすべての分析項目の分注が終了した後(ステップS111:Yes)、該検体が保持されるラック3に保持されるすべての検体の分注が終了したか否か確認し(ステップS112)、終了していない場合は(ステップS112:No)、ステップS107から繰り返す。終了した場合は(ステップS112:Yes)、すべての検体の分注が終了したか否かを確認し(ステップS113)、終了していない場合は(ステップS113:No)、他のラック3に保持される検体の分注を行なうべく、ステップS106から繰り返す。終了の場合は(ステップS113:Yes)、予定分析終了時間算出処理は終了する。
【0050】
実施の形態1では、各検体の最初の分析項目の分注が開始されるたびに、各検体の分析終了時間等を算出しているが、緊急検体を検体間だけでなく、分析項目間で受け入れる場合は、自動的にまたはユーザの指示に応じて、1の分析項目の分注が行なわれるたびに、各分析項目の分析終了時間および予定分析終了時間を算出させてもよい。
【0051】
(実施の形態2)
実施の形態2は、複数の分析ユニットを備える多ユニット自動分析装置における予定分析終了時間算出にかかるものである。以下、多ユニット自動分析装置とその予定分析終了時間算出方法について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図7は、実施の形態2にかかる多ユニット自動分析装置の概略構成を示す平面図である。図8は、図7に示す多ユニット自動分析装置の検体移送機構を拡大した平面図である。ここで、以下の説明においては、実施の形態1の自動分析装置1と同一の構成要素には原則として同一の符号を使用している。
【0052】
多ユニット自動分析装置30は、複数の分析ユニットを連結したもので、図7に示すように、検体搬送装置2を構成するサンプラ36と搬送機構34に沿って並列して設けられる分析ユニット31、41、51、61および中央制御装置33を備えており、図示しない入力部によって入力操作が行われる。
【0053】
サンプラ36は、図7及び図8に示すように、分析ユニット31、41、51、61と共に並列して設けられており、ラックセット部2a、ラック搬送部2b、バッファ部2c及びラック回収部2gを有している。このとき、サンプラ36は、バッファ部2c、ラック回収部2g及びラックセット部2aの順に配列されると共に、ラックの搬送方向両側にラック搬送部2bと戻し搬送部2dが配置されている。また、サンプラ36は、一側にラック3の端面に貼付したラック情報記録媒体3bからラック情報を読み取る情報読取装置4が設置され、ラック回収部2gの側部に検体容器3aに貼付した検体情報記録媒体3cから検体情報を読み取る情報読取装置5が設置されている。この情報読取装置4、5が読み取るラック情報および検体情報は、分析終了予定時刻の演算に使用される。サンプラ36は、ラック搬送部2bに隣接してレーンチェンジャ2hが設けられている。レーンチェンジャ2hは、ラック搬送部2bから追い越しレーン34aへ搬送されるラック3を搬送レーン34bに変更し、或いは戻しレーン34cによって分析ユニット31、41、51、61における分析を終えて戻されてくるラック3をバッファ部2cへと移送する。ここで、実施の形態2の多ユニット自動分析装置30においては、サンプラ36は、搬送機構34と共に搬送制御部32によって制御される。このため、情報読取装置4、5が読み取ったラック情報や検体情報は、中央制御装置33の他に搬送制御部32へ出力される。
【0054】
搬送制御部32は、例えば、マイクロコンピュータ等が使用され、中央制御装置33からの指示を受けてラックセット部2aから送り出されるラック3を追い越しレーン34aや搬送レーン34bに振り分け、分析ユニット61における分析処理が終了したラックを戻しレーン34cに戻すと共に、戻しレーン34cを搬送されてくるラック3をバッファ部2cを介してラック回収部2gへ回収する等の動作を制御する。
【0055】
分析ユニット31、41、51、61は、図7に示すように、搬送機構34に沿って並列して設けられ、中央制御装置33の制御の下に作動する。
【0056】
分析ユニット31、41、51、61は、生化学項目用、免疫項目用、遺伝子項目用と異なる分析ユニットから、ユーザのニーズに合わせてそれぞれ選択することが可能であり、あるいはすべて同一の分析ユニットとして、分析ユニット31、41、51、61を分析項目毎に使い分けするものであってもよい。分析ユニット31、41、51、61は、図7に示すように、搬送レーン34b上に吸引位置S3a〜S6aが配置され、追い越しレーン34a上に吸引位置S3b〜S6bが配置されている。
【0057】
分析ユニット31は、図7に示すように、情報読取装置5、反応テーブル7、検体分注装置9、第1試薬保冷庫10、第1試薬分注装置11、第2試薬保冷庫12、第2試薬分注装置13及び制御部21aを備えており、分析ユニット41、51、61も同様に構成されている。ここで、図示しないが、分析ユニット31、41、51、61は、実施の形態1の自動分析装置1と同様に、それぞれ撹拌装置14、測光部15及び洗浄部16を備えている。
【0058】
情報読取装置5は、追い越しレーン34aや搬送レーン34bによって分析ユニット31へ搬送されてくるラック3が保持した検体容器3aに貼付した検体情報記録媒体3cから検体情報を読み取る。情報読取装置5は、読み取った検体情報を中央制御装置33へ出力する。反応テーブル7は、複数の反応容器8が同心円上に二重に配置されている。制御部21aは、中央制御装置33からの指示を受けて分析ユニット31全体の動作を制御する。制御部21aは、分析ユニット31における測定項目、測定結果等を含む測定データを中央制御装置33へ出力する。
【0059】
分析ユニット31、41、51、61が異なる分析ユニットから構成される場合において、各ユニットで要求される分析精度が異なることがあるため、検体のキャリーオーバーの影響を低減する必要がある。したがって、異なる分析ユニットからなる多ユニット自動分析装置においては、同一検体について、高い分析精度が要求される分析ユニットから優先的に分析が実行されるように中央制御装置33によって制御される。
【0060】
中央制御装置33は、多ユニット自動分析装置30全体を制御するパーソナルコンピュータであり、記憶部25a、算出部28aのほか図示しない入力部、表示部、出力部および分析部を有している。記憶部25aは、分析可能なすべての分析項目についての分析に要する情報のほか、各検体の分析項目、分析ユニット等の分析情報や、検体ID等の検体情報をラックID等のラック情報と関連付けて記憶する。さらに、記憶部25aは、算出部28aが算出した各検体の分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間のほか、各分析ユニットにおける分析所要時間、予定分析開始時間および分析終了時間を記憶する。算出部28aは、記憶部25aに記憶された各検体の分析項目および各分析項目の分析に要する分析所要時間、ならびに検体情報およびラック情報に基づいて、各検体の分析所要時間を算出する。1検体の分析所要時間は、当該検体が保持されるラック内のすべての検体の総分析項目数に分注時間を乗じた数に分析項目当たりの分析所要時間を加算して算出する。分析項目当たりの分析所要時間は、オーダーされた各分析項目の平均分析所要時間、最長分析所要時間または最終分析項目の分析所要時間のいずれか一つを使用する。
【0061】
中央制御装置33は、サンプラ36の情報読取装置4から送られてくるラック情報に基づいてラック3を搬送すべき分析装置を決定し、決定した搬送先の分析ユニットを搬送機構34に指示する。また、中央制御装置33は、分析ユニット31、41、51、61の情報読取装置5が読み取った検体情報に基づき、ラック3が指示された正規の分析ユニットに搬送されているか否かを確認する。
【0062】
搬送機構34は、中央制御装置33からの指示を受けてラック3を搬送するベルトコンベアを使用した搬送装置である。搬送機構34は、図7に示すように、分析ユニット31、41、51、61の配列方向に沿って互いに並行して配置され、緊急検体や割り込み検体用のラック3を特定の分析ユニットに選択的に搬送する追い越しレーン34aと、ラック3を分析装置31と分析ユニット31、41、51、61に順次搬送する搬送レーン34bと、各分析ユニットに搬送後のラック3をバッファ部2cへ戻す戻しレーン34cとを有している。追い越しレーン34a及び搬送レーン34bは、間欠的に運転されてラック3をピッチ送りすることにより分析ユニット31、41、51、61の吸引位置S3a、S3b、S4a、S4b、S5a、S5b、S6a、S6bに位置決めして順次停止させる。
【0063】
また、搬送機構34は、図7に示すように、吸引位置S3a、S3b、S4a、S4b、S5a、S5b、S6a、S6bから見てラック3の搬送方向下流側に、追い越しレーン34a、搬送レーン34b及び戻しレーン34cを跨ってレーンチェンジャ35が設けられている。レーンチェンジャ35は、ラック3の搬送方向に対して直交する横方向にスライドし、ラック3を搬送するレーンを変更する。
【0064】
以上のように構成される多ユニット自動分析装置30は、サンプラ36のラックセット部2aに検体容器3aを保持した複数のラック3をセットし、スイッチをオンすると、中央制御装置33の制御の下に、ラック3がラックセット部2aから順次送り出され、搬送機構34によってラック3が分析ユニット31、41、51、61へ搬送される。そして、多ユニット自動分析装置30は、搬送先の分析ユニットで反応容器8内の検体が分析された後、搬送機構34に搬送されてラック3がサンプラ36へ戻され、バッファ部2cで回収される。
【0065】
次に、図を参照して、実施の形態2における各検体の分析所要時間および予定分析終了時間を算出する工程を説明する。図9は、実施の形態2にかかる予定分析終了時間算出のフローチャートである。
【0066】
まず、サンプラ36のラックセット部2aに載置されたラック3に保持される検体容器3aに貼付された情報記憶媒体から検体情報を読み取るために、搬送制御部32の制御のもと、ラック3は、図8に矢印で示すように、ラックセット部2a→ラック搬送部2b→バッファ部2c→戻し搬送部2d→ラックセット部2aとサンプラ36内を搬送され、情報読取装置4、5によってラック情報および検体情報が読み取られる(ステップS200)。読み取ったラックIDおよび検体IDに基づき、各検体の分析項目や分析ユニット、各分析項目の分析所要時間等の分析項目情報を記憶部25aから抽出する(ステップS201)。算出部28aは、抽出された分析項目情報等に基づき各検体の各分析ユニットでの分析所要時間およびユニット全体での総分析所要時間を算出する(ステップS202)。各分析ユニットでの分析所要時間は、検体毎に行なわれ、各検体の各分析ユニットでの分析項目数に分注時間を乗じた数に分析項目当たりの分析所要時間を加算して算出する。各分析ユニットでの分析項目当たりの分析所要時間は、当該ユニットでの各分析項目の平均分析所要時間、最長分析所要時間または当該ユニットでの最終分析項目の分析所要時間を使用する。なお、同一の分析ユニットが存在する場合は、各分析ユニットで分析する分析項目が確定していない場合があるが、係る場合には、先に搬送される分析ユニットで分析が行われるものと仮定して分析所要時間を算出する。
【0067】
また、各検体の総分析所要時間は、ラック3毎に算出され、ラック3が保持するすべての検体の総分析項目数に分注時間を乗じた数に分析項目当たりの分析所要時間を加算して算出する。ユニット全体での総分析所要時間の計算に用いる分析項目当たりの分析所要時間は、オーダーされた全分析項目の平均分析所要時間、最長分析所要時間または最終ユニットでの分析項目の平均分析所要時間を使用する。ラック3毎に総分析所要時間を算出するのは、各分析ユニットへの搬送はラック3として行なわれ、同一のラック3に保持される検体の総分析所要時間はほぼ同一とみなせるためである。ラックセット部2aに載置されたすべての検体について分析受付が終了するまで(ステップS203:No)、ステップS200〜ステップS202が繰り返し行なわれる。
【0068】
なお、各検体の総分析所要時間をより正確に算出するためには、検体毎に総分析所要時間を算出してもよく、かかる場合には、分析項目数を、ラック3の分析項目総数から、同一のラック3内に保持され、当該検体の分注前に第1分析ユニットにおいて分注が行なわれる検体の分析項目数と、同一のラック3内に保持され、当該検体の分注後に最終分析ユニットにおいて分注が行なわれる検体の分析項目数とを減算する。
【0069】
すべての検体について分析受付が終了した後(ステップS203:Yes)、算出部28aは、各分析ユニットでの予定分析開始時間および予定分析終了時間、ならびにユニット全体での予定分析開始時間および予定分析終了時間を算出する(ステップS204)。算出部28aは、中央制御装置33に分析ユニット31、41、51、61のスタンバイ時間を問い合わせ、全分析ユニットがスタンバイ完了した時間を最初に分析する検体の分析開始時間として、当該分析開始時間にステップS202で算出した分析所要時間を加算して予定分析終了時間を算出する。図10は、ユニット全体の総分析所要時間および予定分析終了時間の表示例である。図10に示すように、受付番号、ラックID、検体ID、検体毎およびラック3毎の分析項目数、総分析所要時間、予定分析開始時間、予定分析終了時間等が出力される。図10に示すように、受付番号1の検体ID12345678は、スタンバイ完了時間の9:59分が予定分析開始時間であり、予定分析開始時間の9:59分に分析所要時間47.5分を加算した10:47分が予定分析終了時間となる。分析所要時間は、たとえば、分注時間15秒(検体吸引、検体吐出、プローブ洗浄各5秒)とラックID1001に保持される検体の総分析項目数104を乗じた26分に、各分析ユニット間の搬送時間の合計1.5分(各分析ユニット間の搬送時間0.5分×3回、分析ユニット31→分析ユニット41、分析ユニット41→分析ユニット51、分析ユニット51→分析ユニット61)と、分析項目当たりの分析所要時間(平均)の20分とを合算した47.5分が分析所要時間となる。分析所要時間は、平均のほか、最大分析所要時間または最終分析項目の分析所要時間を採用してもよい。受付番号2の検体ID12345679の予定分析開始時間は、受付番号1の検体ID12345678の分注終了後、直ちに分析が開始されるものとして、受付番号1(検体ID12345678)の予定分析開始時間の9:59分に、最初の分析ユニット31での受付番号1(検体ID12345678)の分注時間(0.5分)を加算した10:00分が予定分析開始時間となる。
【0070】
また、算出部28aは、各分析ユニットでの予定分析開始時間および予定分析終了時間を算出する(ステップS204)。算出部28aは、中央制御装置33に問い合わせたスタンバイ時間に、ステップS202で算出した各分析ユニットでの分析所要時間を加算してユニット毎の予定分析終了時間を算出する。図11および図12は、各分析ユニットでの予定分析開始時間および予定分析終了時間の表示例(ラック毎)である。図11は分析ユニット31の予定分析開始時間および予定分析終了時間、図12は分析ユニット41での予定分析開始時間および予定分析終了時間の表示例である。図11に示すように、受付番号、ラックID、検体IDとともに、分析ユニット31での各検体の分析項目数、分析所要時間、予定分析開始時間、予定分析終了時間等が出力される。受付番号1の検体ID12345678は、スタンバイ完了時間の9:59分が予定分析開始時間であり、予定分析開始時間の9:59分に分析所要時間10.5分を加算した10:10分が予定分析終了時間となる。分析所要時間は、たとえば、分注時間15秒(検体吸引、検体吐出、プローブ洗浄各5秒)と受付番号1(検体ID12345678)の分析ユニット31での分析項目数2を乗じた0.5分に、分析項目当たりの分析所要時間(平均)の10分とを合算した10.5分が分析所要時間となる。分析所要時間は、平均のほか、最大分析所要時間または分析ユニット31での最終分析項目の分析所要時間を採用してもよい。受付番号2の検体ID12345679の予定分析開始時間は、受付番号1の検体ID12345678の分注終了後、直ちに分析が開始されるものとして、受付番号1(検体ID12345678)の予定分析開始時間の9:59分に、最初の分析ユニット31での受付番号1(検体ID12345678)の分注時間(0.5分)を加算した10:00分が予定分析開始時間となる。図12は、ラックID1001に保持される検体の分析ユニット41での予定分析開始時間および予定分析終了時間の表示例であるが、受付番号1の検体ID12345678の予定分析開始時間は、分析ユニット31での受付番号10の検体ID12345687の分注終了後直ちに分析が開始されるものとして、受付番号10(検体ID12345687)の分析ユニット31での予定分析開始時間10:04分に、分注時間0.8分(分析項目数3×分注時間15秒)と搬送時間0.5分を加算した10:06分となる。図11または12に示すような各分析ユニットでの予定分析開始時間および予定分析終了時間は、各検体につきすべての分析ユニットで算出される。
【0071】
上記の各分析ユニットでの予定分析開始時間および予定分析終了時間、ならびに全ユニットでの予定分析開始時間および予定分析終了時間が表示部に出力され、記憶部25aに格納された後(ステップS205)、搬送機構34によりラックセット部2aから最初の分析ユニット31の検体分注位置S3aへラック3を搬送して分析ユニット31での分析処理が行われる(ステップS206)。その後、同様に、分析ユニット41での分析処理(ステップS207)、分析ユニット51での分析処理(ステップS208)、分析ユニット61での分析処理が行われる(ステップS209)。各分析ユニットでの分析処理はすべての検体の分注・分析が終了するまで(ステップS210:No)、繰り返し行なわれる(ステップS206〜ステップS209)。
【0072】
続いて、各分析ユニットでの分析処理を、図を参照して説明する。図13は、分析ユニット31での予定分析終了時間算出のフローチャートである。搬送機構34により分析ユニット31の検体分注位置S3aにラック3が搬送された後、再度情報読取装置5によって分析を行う検体の検体情報を読取り(ステップS300)、分注が開始される(ステップS301)。反応容器8への検体および試薬の分注は第1試薬から行なわれ、第1試薬分注装置11により所定の第1試薬が反応容器8に分注された後、分析ユニット31での検体の最初の分析項目用の分注か否かを確認する(ステップS302)。最初の分析項目用の分注である場合(ステップS302:Yes)、算出部28aにより分析ユニット31での分析所要時間と分析開始時間と分析終了時間が算出される(ステップS303)。算出に際し、算出部28aは、中央制御装置33に分析ユニット31での分析項目の問い合わせを行う。分析ユニットがすべて異なる場合には、検体受付時に各分析ユニットでの分析項目は確定するが、同一ユニットが存在する場合には、各ユニットの分析の進捗状況により分析項目を変更するよう中央制御装置33が制御するため、各検体の分析ユニット31での分析項目を問い合わせる。分析ユニット31での分析項目確定後、算出部28aは、分析ユニット31での分析を行う検体の分析所要時間および分析開始時間を算出する。
【0073】
その後、ステップS303とステップS204で算出した分析ユニット31での分析開始時間が同じか否かを確認し(ステップS304)、同じである場合には(ステップS304:Yes)、ステップS303で算出した検体の分析ユニット31での分析開始時間および分析終了時間と、ステップS204で算出した当該検体を含むラック3に保持されるすべての検体の分析ユニット31での予定分析開始時間および予定分析終了時間が出力されるとともに、記憶部25aに記憶された情報が更新される(ステップS306)。図14は、分析を開始した個別検体の分析ユニット31での分析終了時間の表示例である。図15は、ラックID1001が保持する検体の分析ユニット31での予定分析終了時間の表示例である。図14に示すように、検体毎に各分析ユニットでの分析終了時間を出力することで、特定検体の特定分析項目の分析結果を知りたい場合に有効である。個別検体について、分析ユニット31での分注・分析開始の後に分析所要時間、分析開始時間および分析終了時間が再度算出されるので、当該時間を確定時間とみなすことが可能となる。また、確定時間は、色分け等で明示して、確定した分析終了時間である旨ユーザに報知することができる。図15は、図11の表示例の確定した時間を色分け表示したものである。また、ステップS204で算出した全検体のユニット全体での予定分析終了時間を、色分け表示して確定時間を報知してもよい(図16参照)。
【0074】
ステップS303とステップS204で算出した分析ユニット31での分析開始時間が同じでない場合には(ステップS304:No)、同じラックに保持される他の検体の分析ユニット31での予定分析開始時間および予定分析終了時間、ならびに全検体の全分析ユニットでの最終分析終了時間を再度算出する(ステップS305)。再算出するのは、分析ユニット31で分析が行われていない検体のみである。ステップS303およびステップS305で算出した分析所要時間、分析開始時間および分析終了時間は表示部により出力されるとともに、記憶部25aで記憶または更新される(ステップS306)。たとえば、受付番号2(検体ID12345679)と受付番号3(検体ID12345680)の間に緊急検体の割り込みがあり、受付番号3(検体ID12345680)の分析開始時間が遅れた場合、受付番号3(検体ID12345680)の分析ユニット31での分析開始後、当該検体の分析ユニット31での分析終了時間のほか、受付番号3(検体ID12345680)と同じラック(ラックID1001)が保持する検体の分析ユニット31での予定分析終了時間、ならびに全検体の最終分析終了時間が算出される。
【0075】
図17は、分析を開始した個別検体の分析ユニット31での分析終了時間の表示例である。図18は、ラックID1001が保持する検体の分析ユニット31での予定分析終了時間の表示例である。図19は、全検体の最終分析終了時間の表示例である。図17〜19に示すように、前回出力した時刻と異なる場合には米印により明示して、変更された旨周知させてもよい。また、確定時間は色分け等で明示して、確定した分析終了時間である旨ユーザに報知することができる。
【0076】
一方、分注が、分析ユニット31での最初の分析項目用の分注でない場合は、(ステップS302:No)、分析終了時間の算出および出力を行なわず、1検体について分析ユニット31でのすべての分析項目の分注が終了するまで分注を続行する(ステップS307:No)。1検体について分析ユニット31でのすべての分析項目の分注が終了した後(ステップS307:Yes)、該検体が保持されるラック3に保持されるすべての検体の分析ユニット31での分注が終了したか否か確認し(ステップS308)、終了していない場合は(ステップS308:No)、ステップS300から繰り返す。終了した場合は(ステップS308:Yes)、分析ユニット31での分析処理を終了する。
【0077】
続いて、分析ユニット41〜61での分析処理を、分析ユニット41を例にして、図を参照して説明する。図20は、分析ユニット41での予定分析終了時間算出のフローチャートである。搬送機構34により分析ユニット31の検体分注位置S3aから、分析ユニット41の検体分注位置S4aにラック3が搬送された後、再度情報読取装置5によって分析を行う検体の検体情報を読取り(ステップS400)、分注が開始される(ステップS401)。反応容器8への検体および試薬の分注は第1試薬から行なわれ、第1試薬分注装置11により所定の第1試薬が反応容器8に分注された後、分析ユニット41での検体の最初の分析項目用の分注か否かを確認する(ステップS402)。最初の分析項目用の分注である場合(ステップS402:Yes)、算出部28aにより分析ユニット41での分析所要時間、分析開始時間および分析終了時間が算出される(ステップS403)。算出に際し、算出部28aは、中央制御装置33に分析ユニット41での分析項目の問い合わせを行う。分析ユニットがすべて異なる場合には、検体受付時に各分析ユニットでの分析項目は確定するが、同一ユニットが存在する場合には、各ユニットの分析の進捗状況により分析項目を変更するよう中央制御装置33が制御するため、各検体の分析ユニット31での分析項目を問い合わせる。分析ユニット41での分析項目確定後、算出部28aは、分析ユニット41での分析を行う検体の分析所要時間、分析開始時間および分析終了時間を再度算出する。
【0078】
その後、ステップS403で算出した分析ユニット41での分析開始時間とステップS204(またはその後直近)で算出した分析ユニット41での分析開始時間が同じか否かを確認し(ステップS404)、同じである場合には(ステップS404:Yes)、ステップS403で算出した検体の分析ユニット41での分析開始時間および分析終了時間と、ステップS204(またはその後直近)で算出した当該検体を含むラック3に保持されるすべての検体の分析ユニット41での予定分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間が出力されるとともに、記憶部25aに記憶または更新される(ステップS409)。図21は、分析を開始した個別検体の分析ユニット41での分析終了時間の表示例である。図22は、ラックID1001が保持する検体の分析ユニット41での予定分析終了時間の表示例である。図21に示すように、検体毎に各分析ユニットでの分析開始時間および分析終了時間を出力することで、特定検体の特定分析項目の分析結果を知りたい場合に有効である。分析ユニット41での検体の分注・分析開始の後に予定分析終了時間が再度算出されるので、算出された時間は確定時間であり、色分け等で明示して、確定した分析終了時間である旨ユーザに報知することができる。図22は、ステップS204で算出した分析終了時間を表示する図12について、ステップS403で再度算出し確定した時間について色分け表示したものであり、色分け表示により確定した時間である旨報知することができる。
【0079】
一方、ステップS403で算出した分析ユニット41での分析開始時間とステップS204(またはその後直近)で算出した分析ユニット41での分析開始時間が異なる場合には(ステップS404:No)、分析ユニット41で分析する検体を保持するラック3以外に分析待ちラック3があるか否かを確認する(ステップS405)。分析待ちラック3がない場合(ステップS405:No)、分析する検体を保持するラック3内の他の検体の分析ユニット41での予定分析開始時間および予定分析終了時間、ならびに分析する検体以降に分析ユニット41で分析予定の検体の最終分析終了時間を再度算出する(ステップS406)。算出終了後、ステップS403で算出した検体の分析ユニット41での分析開始時間および分析終了時間と、ステップS406で算出した、分析する検体を保持するラック3内の他の検体の分析ユニット41での予定分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間と、分析待ちラック3以降に分析ユニット41で分析予定の検体の最終分析終了時間が出力されるとともに、記憶部25aに記憶された情報が更新される(ステップS407)。図23は、分析を開始した検体の分析ユニット41での分析終了時間の表示例である。図24は、ラックID1001が保持する検体の分析ユニット41での予定分析終了時間の表示例である。図25は、全検体の最終分析終了時間の表示例である。前回出力した時刻と異なる場合には米印により明示し、ステップS204で算出した時刻と異なる場合には、異なる色に色付けして、分析開始の遅れをユーザに報知してもよい。
【0080】
分析待ちラック3がある場合(ステップS405:Yes)、分析する検体を保持するラック3内の他の検体および分析待ちラック3に保持される検体の分析ユニット41での予定分析開始時間および予定分析終了時間、ならびに分析する検体以降に分析ユニット41で分析予定の検体の最終分析終了時間を再度算出する(ステップS408)。算出終了後、ステップS403で算出した検体の分析ユニット41での分析開始時間および分析終了時間と、ステップS406で算出した、分析する検体を保持するラック3内の他の検体および分析待ちラック3に保持される検体の分析ユニット41での予定分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間と、分析待ちラック3以降に分析ユニット41で分析予定の検体の最終分析終了時間が出力されるとともに、記憶部25aに記憶または更新される(ステップS407)。出力は、図23〜25で示すもののほか、図26で示す、分析ユニット41で分析待ちのラック3(ラックID1002)の予定分析終了時間の表示例も含む。各分析ユニットで分析待ちとなるラック3についても、分析待ちの状況が確認され次第、各分析ユニットでの予定分析開始時間および予定分析終了時間を再算出することで、早期に予定分析開始時間および予定分析終了時間を修正することができる。
【0081】
一方、検体の分注が、分析ユニット41での最初の分析項目用の分注でない場合は、(ステップS402:No)、1検体について分析ユニット41でのすべての分析項目の分注が終了するまで分注を続行する(ステップS409:No)。1検体について分析ユニット41でのすべての分析項目の分注が終了した後(ステップS409:Yes)、該検体が保持されるラック3に保持されるすべての検体の分析ユニット41での分注が終了したか否か確認し(ステップS410)、終了していない場合は(ステップS410:No)、ステップS400から繰り返す。終了した場合は(ステップS410:Yes)、分析ユニット41での分析処理を終了する。
【0082】
分析ユニット41の分注・分析処理終了後、分析ユニット41のフローと同様に分析ユニット51、61の処理が行われ、すべての検体の分注・分析が終了するまで(ステップS210:No)、各分析ユニットでの分注・分析が繰り返し行なわれる(ステップS206〜ステップS209)。
【0083】
実施の形態2では、各検体の最初の分析項目の分注が開始されるたびに、各分析ユニットでの分析終了時間および最終分析ユニットの予定分析終了時間を算出しているが、緊急検体を検体間だけでなく、分析項目間で受け入れる場合は、自動的にまたはユーザの指示に応じて、1の分析項目の分注が行なわれるたびに各分析項目の分析終了時間、各分析ユニットでの予定分析終了時間および最終分析ユニットの予定分析終了時間を算出させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】実施の形態1の自動分析装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1の自動分析装置の検体搬送装置を拡大した平面図である。
【図3】実施の形態1にかかる自動分析装置における予定分析終了時間算出のフローチャートである。
【図4】算出された予定分析終了時間の表示例を示す図である。
【図5】再算出された予定分析終了時間の表示例を示す図である。
【図6】再算出された予定分析終了時間の表示例を示す図である。
【図7】実施の形態2にかかる多ユニット自動分析装置の概略構成を示す平面図である。
【図8】図7に示す多ユニット自動分析装置の検体移送機構を拡大した平面図である。
【図9】実施の形態2にかかる自動分析装置における予定分析終了時間算出のフローチャートである。
【図10】全検体の総分析所要時間および予定分析終了時間(全分析ユニット)の表示例を示す図である。
【図11】各分析ユニットでの分析所要時間および予定分析終了時間の表示例を示す図である。
【図12】各分析ユニットでの分析所要時間および予定分析終了時間の表示例を示す図である。
【図13】分析ユニットでの予定分析終了時間算出のフローチャートである。
【図14】個別検体の分析終了時間の表示例を示す図である。
【図15】ラックが保持する検体の各分析ユニットでの予定分析終了時間の表示例を示す図である。
【図16】全検体の総分析所要時間および予定分析終了時間(全分析ユニット)の表示例を示す図である。
【図17】個別検体の各分析ユニットでの分析終了時間の表示例を示す図である。
【図18】ラックが保持する検体の各分析ユニットでの予定分析終了時間の表示例を示す図である。
【図19】全検体の最終分析終了時間の表示例を示す図である。
【図20】分析ユニットでの予定分析終了時間算出のフローチャートである。
【図21】個別検体の各分析ユニットでの分析終了時間の表示例を示す図である。
【図22】ラックが保持する検体の各分析ユニットでの予定分析終了時間の表示例を示す図である。
【図23】個別検体の各分析ユニットでの分析終了時間の表示例を示す図である。
【図24】ラックが保持する検体の各分析ユニットでの予定分析終了時間の表示例を示す図である。
【図25】全検体の最終分析終了時間の表示例を示す図である。
【図26】各分析ユニットで分析待ちのラックの予定分析終了時間の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
1、31、41、51、61 自動分析装置
2 検体搬送装置
2a ラックセット部
2b ラック搬送部
2c バッファ部
2d 戻し搬送部
2e 再検ラック搬送部
2f 再検レーン部
2g ラック回収部
2h レーンチェンジャ
3 ラック
3a 検体容器
4,5 情報読取装置
6 測定機構
7 反応テーブル
8 反応容器
9 検体分注装置
10 第1試薬保冷庫
11 第1試薬分注装置
12 第2試薬保冷庫
13 第2試薬分注装置
14 撹拌装置
15 測光部
16 洗浄部
20 制御機構
21、21a 制御部
22 入力部
23 出力部
24 表示部
25、25a 記憶部
26 分析部
27 送受信部
28、28a 算出部
30 多ユニット自動分析装置
32 搬送制御部
33 中央制御装置
34 搬送機構
35 レーンチェンジャ
36 サンプラ
Ps 検体分注位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体と試薬との反応物を光学的に分析する自動分析装置であって、
分析予定の検体を収容する検体容器を複数保持するラックを複数載置するラックセット部を備え、前記ラックを検体分注装置に搬送する検体搬送装置と、
前記検体分注装置への搬送前に前記検体容器に付された情報記憶媒体から検体情報を読み取る読取手段と、
各検体の分析項目情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段が取得した分析項目情報に基づき、各検体の分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された各検体の分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間を出力する出力手段と、
を備え、前記算出手段は、各検体に対する最初の分析項目を分析するための検体または試薬の分注開始後、該検体の分析終了時間およびその他の検体の予定分析開始時間および予定分析終了時間を再度算出し、前記出力手段は算出された該検体の分析終了確定時間および他の検体の予定分析開始時間および予定分析終了時間を再度出力することを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記検体毎の分析所要時間は、該検体の分析項目数に分注時間を乗じた数に、分析項目当たりの平均分析所要時間、最大分析所要時間または最終分析項目の分析所要時間のいずれか一つを加算したものであることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記算出手段は、検体の各分析項目を分析するための検体または試薬の分注開始後、該分析項目の分析終了時間および該検体の予定分析終了時間、ならびに他の検体の予定分析開始時間および予定分析終了時間を算出し、前記出力手段は算出された該分析項目の分析終了時間および該検体の予定分析終了時間、ならびに他の検体の予定分析開始時間および予定分析終了時間を再度出力することを特徴とする請求項1または2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
検体と試薬との反応物を分析する複数の分析ユニットと、前記複数の分析ユニットに沿って配置され、検体容器を複数保持する複数のラックを前記各分析ユニットに搬送する検体搬送装置とを備え、前記ラックを前記検体搬送装置によって所定の分析ユニットへ搬送し、前記検体容器内の検体を分析する多ユニット自動分析装置であって、
前記検体搬送装置のラックセット部に載置された前記検体容器に貼付された情報記憶媒体から検体情報を読み取る読取手段と、
各検体の分析項目情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段が取得した分析項目情報に基づき、各検体の分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された各検体の分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間を出力する出力手段と、
各分析ユニットまで搬送された前記検体容器に貼付された情報記憶媒体から検体情報を読み取る読取手段と、
を備え、前記算出手段は、各分析ユニットにおける各検体に対する最初の分析項目を分析するための検体または試薬の分注開始後、各検体の該分析ユニットにおける分析終了時間および最終分析ユニット予定分析終了時間を再度算出し、前記出力手段は該検体の該分析ユニットにおける分析終了時間および最終分析ユニット予定終了時間を再度出力することを特徴とする多ユニット自動分析装置。
【請求項5】
各検体の分析所要時間は、該検体を収容する検体容器を保持するラックが保持する全検体の分析項目総数に分注時間を乗じた数に、分析項目当たりの平均分析所要時間、最大分析所要時間または最終分析項目の分析所要時間のいずれか一つ、および各分析ユニット間の搬送時間を加算したものであることを特徴とする請求項4に記載の多ユニット自動分析装置。
【請求項6】
前記分析所要時間の算出に使用する各検体の分析項目総数は、該検体を収容する検体容器を保持するラックが保持する全検体の分析項目総数から、第1分析ユニットにおいて該検体の分注前に行なわれる同一ラックの検体の分析項目数と、最終分析ユニットにおいて該検体の分注後に行なわれる同一ラックの検体の分析項目数とを減算したものとすることを特徴とする請求項5に記載の多ユニット自動分析装置。
【請求項7】
前記算出手段は、検体の各分析項目を分析するための検体または試薬の分注開始後、該分析項目の分析終了確定時間、該検体の該分析ユニットにおける予定分析終了時間および該検体の最終分析ユニット予定分析終了時間を算出し、前記出力手段は算出された該分析項目の分析終了確定時間、該検体の該分析ユニットにおける予定分析終了時間および該検体の最終分析ユニット予定分析終了時間を再度出力することを特徴とする請求項4〜6のいずれか一つに記載の多ユニット自動分析装置。
【請求項8】
検体と試薬との反応物を光学的に分析する自動分析装置の予定分析終了時間算出方法であって、
検体分注装置への搬送前に検体容器に付された情報記憶媒体から検体情報を読み取る読取ステップと、
各検体の分析項目情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップが取得した分析項目情報から各検体の分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間を算出する第1算出ステップと、
前記第1算出ステップにより算出された各検体の分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間を出力する第1出力ステップと、
各検体に対する最初の分析項目を分析するための検体または試薬の分注開始後、該検体の分析終了時間および他の検体の予定分析開始時間および予定分析終了時間を算出する第2算出ステップと、
前記第2算出ステップにより算出された該検体の分析終了時間および他の検体の予定分析開始時間および予定分析終了時間を出力する第2出力ステップと、
を含むことを特徴とする自動分析装置の予定分析終了時間算出方法。
【請求項9】
前記検体毎の分析所要時間は、該検体の分析項目数に分注時間を乗じた数に、分析項目当たりの平均分析所要時間、最大分析所要時間または最終分析項目の分析所要時間のいずれか一つを加算したものであることを特徴とする請求項7に記載の自動分析装置の予定分析終了時間算出方法。
【請求項10】
前記第2算出ステップは、検体の各分析項目を分析するための検体または試薬の分注開始後、該分析項目の分析終了時間および該検体の予定分析終了時間、ならびに他の検体の予定分析開始時間および予定分析終了時間を算出し、
前記第2出力ステップは算出された該分析項目の分析終了確定時間および該検体の分析終了確定時間、ならびに他の検体の予定分析開始時間および予定分析終了時間を再度出力することを特徴とする請求項8または9に自動分析装置の予定分析終了時間算出方法。
【請求項11】
検体と試薬との反応物を分析する複数の分析ユニットと、前記複数の分析ユニットに沿って配置され、検体容器を複数保持する複数のラックを前記各分析ユニットに搬送する検体搬送装置とを備え、前記ラックを前記検体搬送装置によって所定の分析ユニットへ搬送し、前記検体容器内の検体を分析する多ユニット自動分析装置の予定分析終了時間算出方法であって、
検体分注装置への搬送前に検体容器に付された情報記憶媒体から検体情報を読み取る第1読取ステップと、
前記第1読取ステップにより読み取った検体情報に基づき各検体の分析項目情報を取得する第1情報取得ステップと、
前記第1情報取得ステップにより取得した分析項目情報により各検体の分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間を算出する第1算出ステップと、
前記第1算出ステップにより算出された各検体の分析所要時間、予定分析開始時間および予定分析終了時間を出力する第1出力手段と、
各分析ユニットまで搬送された前記検体容器に付された情報記憶媒体から検体情報を読み取る第2読取ステップと、
前記第2読取ステップにより読み取った検体情報に基づき、該分析ユニットでの各検体の分析項目情報を取得する第2情報取得ステップと、
各分析ユニットにおける各検体に対する最初の分析項目を分析するための検体又は試薬の分注開始後、該検体の該分析ユニットにおける分析終了時間および最終分析ユニット予定終了時間を算出する第2算出ステップと、
該検体の該分析ユニットにおける分析終了時間および最終分析ユニット予定終了時間を再度出力する第2出力ステップと、
を含むことを特徴とする多ユニット自動分析装置の予定分析終了時間算出方法。
【請求項12】
検体分析が行われる分析ユニット毎に前記第2読取りステップ、前記第2情報取得ステップ、前記第2算出ステップおよび前記第2出力ステップを繰り返すことを特徴とする請求項11に記載の多ユニット自動分析装置の予定分析終了時間算出方法。
【請求項13】
各検体の分析所要時間は、該検体を収容する検体容器を保持するラックが保持する全検体の分析項目総数に分注時間を乗じた数に、分析項目当たりの平均分析所要時間、最大分析所要時間または最終分析項目の分析所要時間のいずれか一つ、および各分析ユニット間の搬送時間を加算したものであることを特徴とする請求項11または12に記載の多ユニット自動分析装置の予定分析終了時間算出方法。
【請求項14】
前記分析所要時間の算出に使用する各検体の分析項目総数は、該検体を収容する検体容器を保持するラックが保持する全検体の分析項目総数から、第1分析ユニットにおいて該検体の分注前に行なわれる同一ラックの検体の分析項目数と、最終分析ユニットにおいて該検体の分注後に行なわれる同一ラックの検体の分析項目数とを減算したものとすることを特徴とする請求項13に記載の多ユニット自動分析装置の予定分析終了時間算出方法。
【請求項15】
前記第2算出ステップは、検体の各分析項目を分析するための検体または試薬の分注開始後、該分析項目の分析終了時間、該検体の該分析ユニットにおける予定分析終了時間および該検体の最終分析ユニット予定分析終了時間を算出し、
前記第2出力ステップは、算出された該分析項目の分析終了時間、該検体の該分析ユニットにおける予定分析終了時間および該検体の最終分析ユニット予定分析終了時間を出力することを特徴とする請求項11〜14のいずれか一つに記載の多ユニット自動分析装置の予定分析終了時間算出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−217114(P2010−217114A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66848(P2009−66848)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(510005889)ベックマン コールター, インコーポレイテッド (174)
【Fターム(参考)】