説明

自動分析装置

【課題】 ディスクや搬送アームが設けられる筺体の上面を保護し、かつ、開放領域を選択することができるスライド構造の開閉可能な保護カバーを備えた自動分析装置を提供する。
【解決手段】 本体筺体10の上面12に検査機器配置領域100を設定し、この検査機器配置領域100に、複数種の試薬を保持する試薬ディスク120と、複数の反応セルを有する反応ディスク110と、検体や試薬を反応ディスク110に搬送するための複数の搬送アーム130とを配置し、少なくとも反応ディスク110を覆う保護カバー200を備え、保護カバー200は、検査機器配置領域100の両側に設けられる一対の固定保護カバー210と、一対の固定保護カバー210の間を覆う可動保護カバー240とで外部と区分けされた空間を構成し、検査機器配置領域100の前後に設けられる一対のスライドレール80が設けられ、このスライドレール80を介して可動保護カバー240を移動可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床検査の主に血液,尿などの患者検体を用いた臨床検査自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の臨床検査自動分析装置は、筺体の上面に、複数種の試薬を保持する試薬ディスクと、複数の反応セルを有する反応ディスクと、検体や試薬を反応ディスクに搬送するための複数の搬送アームが設けられている。この臨床検査自動分析装置では、搬送装置で提供される検体を、搬送アームを介して、反応ディスクの所定の反応セルに投入し、この投入された検体に対して必要な試薬を前記試薬ディスクから抽出して、これを対応する反応ディスクの反応セルに搬送アームを介して投入する。そして、反応セル内で試薬に対する検体の反応結果を分析する。分析が終了すると、反応セルは洗浄され、再び検体が投入される。
【0003】
このような自動分析装置では、反応セルの数を多くするために、大きな反応ディスクとなっており、これに対応して試薬の数や量を増やすために、通常2個の試薬ディスクが設けられ、しかも、その大きさも大きなものとなっている。更には、大きなディスク間の検体や試薬の移動のための搬送アームも大きなものが採用されている。
【0004】
従来技術においては、このディスクや搬送アームが設けられる筺体上面を開閉蓋で覆うものが提案されている。例えば、従来技術では、反応セルを保持する反応ディスクが配置された反応ディスクエリアと、試薬ラックを保持する試薬ディスクが配置された試薬ディスクエリアとに分けられ、それぞれのエリアを覆う反応ディスク開閉蓋、試薬開閉蓋が設けたものが提案されている。この試薬開閉蓋は、通常の使用状態で開くことができないように装置上面に仮止めされている。
【0005】
また、この従来例では、試薬ディスクは、試薬ラックを同心円状に二重に収納可能であり、試薬ラックを自動投入する機構を備える。装置側面に試薬ラック投入口が設けられると共に、この試薬ラック投入口を覆うように閉じることが可能な試薬トレーを備え、試薬トレーを開いたときの上面には、前記試薬ラック投入口に繋がるように試薬ラック案内溝が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003―262642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来技術によれば、ディスクや搬送アームが設けられる筺体の上面が使用に対応して、反応ディスクエリアと試薬ディスクエリアとに分割され、それらが独立の開閉蓋によって覆われているから、開放する際は、それぞれを独自に開放することができる。しかし、この従来例においては、2つの開閉蓋は、上面の連結部を介して互いに連結された構造となっている。このため、一方を開放しようとすると、側面に設けた取っ手を介して横からの動作で開閉する構造となっている。即ち、左側の開閉蓋は左端部を上方に持ち上げて他の開閉蓋の上に移動させることで開放させる構造となっている。
【0008】
このため、開閉蓋を開放した際の開閉蓋の固定や、開閉動作に配慮する必要がある。そして何より、この従来例では、2つのエリアを同時に開放することが考慮されていない。
【0009】
そこで、この発明の目的とするところは、ディスクや搬送アームが設けられる筺体の上面を保護し、かつ、開放領域を選択することができるスライド構造の開閉可能な保護カバーを備えた自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、この発明に係る自動分析装置は、本体筺体の上面に検査機器配置領域を設定し、この検査機器配置領域に、複数種の試薬を保持する試薬ディスクと、複数の反応セルを有する反応ディスクと、検体や試薬を反応ディスクに搬送するための複数の搬送アームとを配置し、少なくとも前記反応ディスクを覆う保護カバーを備え、前記保護カバーは、前記検査機器配置領域の両側に設けられる一対の固定保護カバーと、前記一対の固定保護カバーの間を覆う可動保護カバーとで外部と区分けされた空間を構成し、前記検査機器配置領域の前後に設けられる一対のスライドレールが設けられ、前記可動保護カバーは、前記スライドレールを移動可能とするようにする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、検査機器配置領域を覆う保護カバーを、その両側に配置される固定保護カバーと、この固定保護カバーの間を覆う一対の可動保護カバーとで構成し、この可動保護カバーをスライド移動可能とすることで固定保護カバーに重ねて収納することができるから、閉鎖時には、検査機器配置領域を閉鎖された空間とて覆い、開放時には、一方の可動保護カバーの開放や、両方の可動保護カバーの開放が可能であり、また、両方の可動保護カバーの開放状態では、両側にコンパクトに収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施例に係る自動分析装置の概観斜視図である。
【図2】第1実施例に係る保護カバーを取り外した状態の自動分析装置の平面図である。
【図3】第1実施例に係る保護カバーの構造図である。
【図4】第1実施例に係る保護カバーの閉鎖時の構造図である。
【図5】第1実施例に係る保護カバーの開放時の構造図である。
【図6】第2実施例に係る自動分析装置の概観斜視図である。
【図7】第3実施例に係る保護カバーの構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1から図7を参照して、この発明に係る自動分析装置を具体的に説明する。ここで、図1から図5が第1実施例、図6が第2実施例、図7が第3実施例を示している。なお、同一な部位や矢印は、同一符号をもって示し、重複した説明を省略する。
【実施例1】
【0014】
先ず、図1を参照して、この発明の第1実施例に係る自動分析装置の概略構造を説明する。ここで、図1は自動分析装置の概観斜視図である。
【0015】
図1において、符号1で総括的に示すのは、臨床検査の主に血液や尿などの患者検体を用いた臨床検査を行うための自動分析装置である。この自動分析装置1は、その本体筺体10の内部に、分析装置を構成する図示しない各機器や、これら機器を駆動するための電源、制御機構、恒温槽、洗浄ポンプや、投入された検体ラックを搬送する搬送機構及びその制御機構などが設けられている。これらは、本発明の構成として重要なものではなく、従来技術の場合にも備えられるものであるので、その説明を省略する。
【0016】
本体筺体10の上面11には、凹状の検査機器配置領域100が設定され、この検査機器配置領域100の一方の片側に検体投入部50、他方の片側に検体収納部60が設けられ、検査機器配置領域100の後方には検体投入部50と検体収納部60とを結ぶ図示しない搬送路70(図2参照)が内蔵される平面部12が形成される。
【0017】
検査機器配置領域100は、周囲の上面11より一段低く形成される横長矩形状の大きさを備えており、その中央に複数の反応セルを有する反応ディスク110が配置されている。この反応ディスク110の左側には、複数種の試薬を保持する第2試薬ディスク122と第1試薬ディスク121とが前後に配置されている。また、反応ディスク110と、第1試薬ディスク121及び第2試薬ディスク122のそれぞれの間には、試薬を反応ディスクに搬送するための第2搬送アーム132、第3搬送アーム133が設けられている。また、反応ディスク110の右側手前には電解質分析を行なうISE分析部(電解質分析部)140と、このISE分析部140の試薬や洗浄液を含むISE用試薬部145が左右に並べて配置される。
【0018】
また、反応ディスク110の右側後方には前希釈ディスク150と、前記搬送路70から前希釈ディスク150に検体を搬送し、またこの前希釈ディスク150からISE分析部140に検体を搬送する第4搬送アーム134が設けられている。加えて、反応ディスク110の後方には、前希釈ディスク150から検体を反応ディスク110に搬送するための第1搬送アーム131が設けられている。
【0019】
そして、この実施例に係る自動分析装置1の大きな特徴の1つは、検査機器配置領域100をスライド構造の保護カバー200で覆った点にある。
【0020】
即ち、検査機器配置領域100には、上方に張り出した複数の搬送アーム130が設けられ、これらが反応ディスク110や試薬ディスク120あるいは搬送路70との間を搬送動作する。また、この搬送にともなって試薬や検体が反応ディスク110や前希釈ディスク150に注入されるため、安全性や塵埃除去の観点から検査機器配置領域100を周囲から隔離することが有効である。従来例では、左右一対の開閉蓋で覆ったものが提案されているが、これは2つの開閉蓋を上面で連結する構造を採用しているため、一方を開放するときには、その開放された開閉蓋が他方の上面に折りたたまれて積層される構造となっている。したがって、これら従来例では、両方の開閉蓋を同時に開放することができない。
【0021】
そこで、この実施例では、検査機器配置領域100の両側に固定して支持される一対の固定保護カバー210と、この一対の固定保護カバー210の間を覆う一対の可動保護カバー240とで保護カバー200を構成する。一対の固定保護カバー210を構成する第1固定保護カバー220と第2固定保護カバー230は、側板を持って構成される。一方、可動保護カバー240を構成する第1可動保護カバー250と第2可動保護カバー260は、固定保護カバー210の一部とオーバラップして覆うように設けられ、かつ、検査機器配置領域100の前後に形成される一対のスライドレール80を介して両側にスライド可能に移動する構造を備えている。
【0022】
このように、この特徴によれば、検査機器配置領域100を覆う保護カバー200を、その両側に配置される固定保護カバー210と、この固定保護カバー210の間を覆う一対の可動保護カバー240とで構成し、この可動保護カバー240をスライド移動可能とすることで固定保護カバー210に重ねて収納することができるから、閉鎖時には、検査機器配置領域210を閉鎖された空間として覆い、開放時には、一方の可動保護カバー(第1可動保護カバー250または第2可動保護カバー260)の開放や、両方の可動保護カバー240の開放が可能であり、また、両方の可動保護カバー240の開放状態では、検査機器配置領域100の両側に固定保護カバー210と可動保護カバー240を重ねてコンパクトに収納することができる。
【0023】
しかも、この構造によれば、自動分析装置1の前後からメンテナンスを行うことができる。特に、この実施例では、検査機器配置領域100内の後方に前希釈ディスク150を備えているので、これらのメンテナンスに有効である。
【0024】
また、この実施例に係る自動分析装置1の大きな特徴の他の1つは、試薬ディスク120を試薬ディスク蓋123で覆い、この試薬ディスク蓋123の一部を露出するように、試薬ディスク120に第1固定保護カバー220を設けた点にある。
【0025】
即ち、試薬ディスク120は、試薬を保存するために、恒温槽の構造を備えており、その開放された上部は試薬ディスク蓋123で覆われている。本発明者らは、この試薬ディスク120が試薬ディスク蓋123で覆われていることに着目し、この試薬ディスク蓋123で覆われている試薬ディスク120の一部を保護カバー200で保護しない構造とした。
【0026】
つまり、第2搬送アーム132と第3搬送アーム133の可動範囲となる試薬ディスク120の一部を保護カバー200で覆う構造とした。これにより、保護カバー200の全体の大きさを小さくすることができる。また、外部に露出した試薬ディスク蓋123には取っ手124が設けられている。一方別の形態として当該個所を取っ手ではなく、試薬補給口124を設けるようにすることで、保護カバー200を開放しなくとも、試薬を補給することができる。
【0027】
そして何より、可動保護カバー240の横幅の大きさを小さくすることができるとともに、外部に露出した試薬ディスク蓋123の上部空間を、第1可動保護カバー250の移動空間として活用することができる。
【0028】
つまり、一方を側板で構成した第1固定保護カバー220は、他方のみが開放された構造となる。このため、横幅を大きくすると、開放された部分から試薬ディスク120のメンテナンスを行わなければならない。したがって、第1固定保護カバー220の横幅(奥行き)を大きくすることには課題がある。一方、この実施例では、第1固定保護カバー220の横幅の課題が少ないので、可動保護カバー240の横幅を大きくすることができる。
【0029】
また、この実施例に係る自動分析装置1の大きな特徴の他の1つは、第1可動保護カバー250の横幅W1を、第2可動保護カバー260の横幅W2より大きく設定した点にある。
【0030】
即ち、検査機器配置領域100を覆う保護カバー200は、閉鎖状態においても、開放状態においても、検査機器配置領域100の投影面積内に収めないと、装置の大型化に繋がる。特に、この実施例では、検査機器配置領域100の両側に検体投入部50と検体収納部60を配置しているので、例えば、左右に移動させた可動保護カバー240が検体投入部50と検体収納部60の上に覆いかぶされると、検体投入部50と検体収納部60が使えなくなる。特に、この実施例では、検体投入部50と検体収納部60に後端部に設けられる連結部を回転軸として開放する開閉蓋280を備えているので、この開閉蓋280との接触が課題となる。
【0031】
また、検査機器配置領域100に配置される機器の中で反応ディスク110は重要であり、メンテナンスの際には、この反応ディスク110の周辺が大きく開放する必要がある。しかし、検査機器配置領域100の両側に配置される一対の固定保護カバー210と一対の可動保護カバー240とで構成されるスライド構造の保護カバー200を、左右対称な構造とすると、一対の可動保護カバー240の結合部(基点部P1)が検査機器配置領域100の中央に配置される反応ディスク110の上に位置することとなり、前記課題を解決することができない。
【0032】
そこで、この実施例では、スライド構造の保護カバー200を左右非対称な構造とすることで、前記課題を解決している。この解決手段は、試薬ディスク120上に第1固定保護カバー220を設けた特徴と組み合わせることにより、より実現しやすくすることができる。
【0033】
以下、図2から図5を参照して、この実施例に係る自動分析装置1の特徴的な構成を更に説明する。
【0034】
先ず、図2を参照して、この自動分析装置1の基本的な動作を説明する。ここで、図2は、保護カバー200を取り外した状態の自動分析装置1の平面図を示している。
【0035】
図2において、この自動分析装置1では、検体ラックを左側に設けた検体投入部50にセットする。この検体投入部50は、図1で説明したように、後端部に設けた連結部を介して開放可能な開閉蓋280(第1開閉蓋281)を備えており、この第1開閉蓋281を、連結部を回転軸として、後方に開くことにより、凹状の検体投入部50が露出するので、この凹状の検体投入部50に検体ラックをセットすることができる。ここで、検体投入部50は、本体筺体の上面11の前部に設けてあるので、開放した第1開閉蓋281が邪魔になることが軽減されている。
【0036】
さて、検体投入部50にセットされた検体ラックは、内部の搬送路71を介して、後方に搬送され、更に、矢印で示すように、検査機器配置領域100の後方の搬送路70を介して、第4搬送アーム134の可動範囲に搬送される。ここで、搬送路70の延長線上の左側には緊急用検体投入部90が設けてあり、この緊急用検体投入部90から救急の検体ラックを挿入することができる。また、搬送路70には救急の検体ラックを先に通すための追い越し用バッファー91が設けてある。
【0037】
第4搬送アーム134は、搬送された検体ラックの検体を前希釈ディスク150またはISE分析部に搬送する。第1搬送アーム131は前希釈ディスク150の検体を反応ディスク110の所定の反応セルに分注する。反応ディスク110の反応セルに分注された検体には、第2試薬ディスク122から第3搬送アーム133を介して、あるいは第1試薬ディスク121から第2搬送アーム132を介して所定の試薬が分注される。そして反応セルの検体に試薬が投入されることにより、その反応が分析される。
【0038】
ここで、一対の試薬ディスク120に取り付けられる試薬ディスク蓋123は、搬送アーム130の動作範囲側に試薬取出口125が設けられ、この試薬取出口125と対向する外側に取っ手(または試薬補給口)124が設けられる。そして、この試薬取出口125と取っ手(または試薬補給口)124とを分断するように第1固定保護カバー220が取り付けられる。
【0039】
検査が終了した検体ラックは、搬送路70、71を経て検体収納部60へ搬送される。ここで、検体収納部60は、検体投入部50と同様な構造を備えているので、開閉蓋280を開放して、検体ラックを取り出すことができる。
【0040】
また、この実施例では、前後方向に長いISE分析部140とISE用試薬部145とを左右に並べて配置し、ISE分析部140のみ第2固定保護カバー230内に収めている。即ち、第2固定保護カバー230の前部右側に切欠部231を形成することでISE用試薬部145を露出させているので、保護カバー200を開放することなくISE用試薬部145に試薬などを補給することができる。
【0041】
次に、図3から図5を参照して、保護カバー200の具体的な構造を更に説明する。ここで、図3は、保護カバー200の構造図であり、図3(a)が部品展開図、図3(b)がスライド機構の前部構造図、図3(c)がスライド機構の後部構造図である。図4は閉鎖時の保護カバー200の構造図であり、図4(a)が平面図、図4(b)が横断面図である。図5は、開放時の保護カバー200の構造図であり、図5(a)が平面図、図5(b)が横断面図である。
【0042】
図3において、この実施例に係る保護カバー200は、第1固定保護カバー220と第2固定保護カバー230からなる一対の固定保護カバー210と、この一対の固定保護カバー210の間を覆う第1可動保護カバー250と第2可動保護カバー260からなる一対の可動保護カバー240とから構成される。
【0043】
第1固定保護カバー220と第2固定保護カバー230は、透明な樹脂材料またはガラスで形成され、それぞれ両側に側壁(側板)221を備えている。即ち、一対の固定保護カバー210は、前後の一対の側壁222と、装置の側壁221と天板223とを備えた形状としている。なお、第2固定保護カバー230は、側壁221の前部を切り欠いて切欠部231を形成している。また、この実施例では、第1固定保護カバー220と第2固定保護カバー230を、透明材料で形成しているが、不透明な材料で形成してもよい。この場合、透明窓を設けることで内部の観察ができるようにするとよい。
【0044】
一方、第1可動保護カバー250と第2可動保護カバー260とは、透明な樹脂材料またはガラス材料で形成される主構造体241と、その端部を保護する一対の縁部材242とを含んで構成される。縁部材242は樹脂材料で形成され、その前後に開閉ツマミ243を設けられている。また、この一対の可動保護カバー240は、天板244と、前後の側壁245を連続して形成した形状としている。
【0045】
この4つの透明な部材からなる保護カバー200によれば、検査機器配置領域100に配置される装置を外部から分離した空間内に収めることができる。
【0046】
また、図3(b)には、可動保護カバー240の前部の側壁245に設けられるスライド構造を示している。なお、ここに示すのは一例にすぎず、これに限定されるものではない。
【0047】
この実施例では、検査機器配置領域100の前部に溝状の第1スライドレール81が形成されている。この第1スライドレール81の溝部83の内部には、拡張されたレール部84が形成されている。一方、前部の側壁245の下端には、移動方向に沿って複数の車輪85が設けられている。この構造によれば、車輪85がレール部84に沿って移動することで、可動保護カバー240をスムーズに移動させることができる。しかも、レール部84の上部の溝部83は細くなっているので、可動保護カバー240を簡単に取り外せない構造としている。したがって、車輪85のレール部84上の移動を阻止する図示しないロック機構を備えることにより、保護カバー200に鍵をかけることができる。
【0048】
一方、図3(c)には、可動保護カバー240の後部の側壁245に設けられるスライド構造を示している。この実施例では、検査機器配置領域100の後部の背面側に溝状の第2スライドレール82が形成されている。この第2スライドレール82の溝部86は背面側に開放されている。一方、後部の側壁245の下端には、移動方向に沿って複数の車輪85が設けられている。この構造によれば、車輪85が溝部86に形成されるレール部84に沿って移動することで、可動保護カバー240をスムーズに移動させることができる。
【0049】
このように、この実施例では、第1スライドレール81と第2スライドレール82とで一対のスライドレール80を構成し、この一対のスライドレール80の上を、複数の車輪85を備えた一対の可動保護カバー240が移動する構造を採用している。この開閉構造を図4と図5で更に説明する。
【0050】
図4において、この実施例では、検査機器配置領域100の範囲内で可動保護カバー240をスライド移動させる構造としている。この構造によれば、両側に他の装置が配置されても、その配置により、可動保護カバー240のスライド移動に影響が出ないようにすることができる。そして、一対の可動保護カバー240の横幅を設定するに当たり、先ず、第1可動保護カバー250と第2可動保護カバー260が合わさる基点部P1を設定する。これにより、基点部P1の一方の片側(左側)を第1固定保護カバー220と第1可動保護カバー250で構成し、基点部P1の他方の片側(右側)を第2固定保護カバー230と第2可動保護カバー260で構成する。
【0051】
また、利用頻度の高い反応ディスク110を1回の開放操作で露出させるために、基点部P1を反応ディスク110の一方の片側(右側)に設定し、この基点部P1から検査機器配置領域100の他方の端部P8(反応ディスク110の他方の端部側)までの横幅WLの1/2の長さを第1可動保護カバー250の横幅W1に設定している。つまり、この横幅W1の長さを備えた第1可動保護カバー250をスライド移動させることにより、基点部P1から横幅W1の位置P2までの範囲を開放することができる。この実施例では、この基点部P1から位置P2までの範囲を開放することにより、反応ディスク110を最大範囲で露出させることができる。
【0052】
また、第1固定保護カバー220は、位置P2から検査機器配置領域100の他方の端部P8側を覆うように横幅W3の大きさで形成する。この実施例では、第1固定保護カバー220の側壁(側板)221の端部位置P4を、試薬ディスク120の上に設定することで、位置P2から端部位置P4の範囲の長さ(横幅W3)を備えた第1固定保護カバー220としている。これにより、第1固定保護カバー220の大きさを小さくするとともに、保護カバー200の全体の大きさを小さくしている。
【0053】
また、この実施例では、第1固定保護カバー220を試薬ディスク120と重ねて設けることで、第1固定保護カバー220の横幅W3を大きくすることなく、一対の可動保護カバー240で覆う範囲(W1、W2)を小さくすることができる。これにより、第1可動保護カバー250で反応ディスク110を覆う非対称な構造を実現している。
【0054】
一方、第2可動保護カバー260の横幅W2は、基点部P1から検査機器配置領域100の一方の端部P5までの横幅WRの1/2の長さに設定している。したがって、この実施例では、第2固定保護カバー230の側壁(側板)221を端部P5に設けているので、第2固定保護カバー230の横幅W4は、第2可動保護カバー260の横幅W2と同様に横幅WRの1/2の長さとなる。
【0055】
上記横幅の設定は、横幅設定の基本的な考え方を説明したものであって、一対の固定保護カバー210横幅W3とW4は一対の可動保護カバー240との重ね部分を含めて設定するようにする。
【0056】
図5において、この実施例によれば、基点部P1からP8に向かって第1可動保護カバー250をスライド移動させれば、第1可動保護カバー250の横幅W1(基点部P1から位置P6の範囲)を大きく開放することができる。この開放された範囲は、反応ディスク110を最大限露出させることができる。しかも、この操作を第1可動保護カバー250の1回のスライド動作で開放することができる。一方、基点部P1からP5に向かって第2可動保護カバー260をスライド移動させれば、第2可動保護カバー260の横幅W2(基点部P1から位置P7の範囲)を大きく開放することができる。
【0057】
そして、この実施例では、一対の可動保護カバー240をそれぞれ単独で開放できるが、両方を同時に開放することにより、横幅W1とW2の連続した範囲(位置P6から位置P7)を開放させることができる。しかも、移動させた一対の可動保護カバー240は、検査機器配置領域100の両側に固定設置される一対の固定保護カバー210に重ねて収納されるので、邪魔になることが軽減される。
【実施例2】
【0058】
次に、図6を参照して、第2実施例に係る自動分析装置1aを説明する。この自動分析装置1aの大きな特徴の1つは、第1固定保護カバー220aを反応ディスク110と試薬ディスク120との間に配置した点にある。ここで、(a)図は、反応ディスク110と試薬ディスク120との間を開口部222で連通した事例の斜視図、(b)図は(a)図の開口部222をカバー126付きの試薬ディスク蓋123で覆った事例の斜視図を示している。なお、第1実施例と同様な内容は省略する。
【0059】
(a)図において、この自動分析装置1aは、図4に示す横幅W3を小さくする板状の側壁221からなる第1固定保護カバー220aを、反応ディスク110と試薬ディスク120との間に配置することにより、試薬ディスク120を露出させて、試薬ディスク蓋123の着脱作業を良好としたものである。
【0060】
即ち、図4に示すように、前記第1実施例では、試薬ディスク120の上に第1固定保護カバー220の側壁221が設けられる構造とすることにより、試薬取出口125と第2搬送アーム132と第3搬送アーム133の動作範囲を保護カバー200で覆う構造を採用した。しかし、この実施例では、一方で、試薬ディスク蓋123の着脱の際の作業性に課題が残る。そこで、この実施例では、検体の移動範囲のみを保護カバー200で覆う構造を採用した。
【0061】
つまり、この第2実施例では、試薬を収めた試薬ディスク120を保護カバー200から露出するように、第1固定保護カバー220aの横幅W3が小さい板状に形成した。そして、第1固定保護カバー220aに開口部222を形成し、第2搬送アーム132と第3搬送アーム133の動作範囲を確保する構造を採用した。この構造によれば、検体の移動範囲を保護カバー200で覆うことができるとともに、試薬ディスク蓋123の着脱の作業性を改善することができる。ここで、第2搬送アーム132と第3搬送アーム133の動作範囲が一部露出するが、この露出する部分は起立して形成される第1固定保護カバー220aの近傍であるため、露出することによる課題は少ない。
【0062】
また、(b)図は、(a)図に示す実施例の課題である試薬取出口125と第2搬送アーム132と第3搬送アーム133が露出する点を改良したものである。即ち、この(b)図の事例では、保護カバー200から露出する第2搬送アーム132と第3搬送アーム133の動作範囲と試薬取出口125を覆うカバー126を試薬ディスク蓋123に備えたものである。この構造であれば、(a)図の作用効果を備えつつ、アームの動作範囲を保護することができる。
【実施例3】
【0063】
次に、図7を参照して、第3実施例に係る自動分析装置1cについて具体的に説明する。ここで、図7は、第3実施例に係る自動分析装置1cにおける保護カバー200の開閉構造を示したものである。
【0064】
図7において、この第3実施例に係る自動分析装置1cは、第2実施例の第1可動保護カバー250を一対のカバー251,252で構成することにより、第1可動保護カバー250の収納性を改善したものである。
【0065】
即ち、図7に示すように、この第3実施例の第1可動保護カバー250は、透明な樹脂材料またはガラス材料で形成される主構造体241と、その端部を保護する一対の縁部材242とを含んで構成される第1カバー251と第2カバー252とで構成している。この実施例では、第1カバー251と第2カバー252の横幅W5と横幅W6をほぼ同じ大きささとし、更に、第1カバー251が第2カバー252より一回り大きい構造とている。
【0066】
また、図示しないスライドレール80もまた、第1カバー251と第2カバー252とが図面上の左右方向に移動可能なように、図示しない第1スライドレール81と第2スライドレール82をそれぞれ一対備えている。
【0067】
そして、(a)図に示すように、第1可動保護カバー250を閉めた状態では、第1カバー251の一方の縁部材242aと他方の第2カバー252の縁部材242bとがオーバラップするように形成される。ここで、第1カバー251の一方の縁部材242aの接触部は段差形状になっていて、第2カバー252の他方の縁部材242bの内側(左側)に係っている。また、第2カバー252の一方の縁部材242cは第1カバー251の一方の縁部材242aより大きく形成される。これにより、第1カバー251の一方の縁部材242aは、第2カバー252の一対の縁部材242b、242cの間を図示しないスライドレール80に沿って移動することができる。
【0068】
この構造によれば、図7(a)図に示す、第1可動保護カバー250を閉めた状態から、第1カバー251を左側に移動することにより、(b)図に示すように、第1カバー251のみを移動させて、第2カバー252を覆うように重ねて解放することができる。また、(c)図に示すように、第1カバー251を更に左側に移動させると、縁部材242aが縁部材242cに当たるので、第1カバー251の移動に伴って、第2カバー252も開放することができる。
【0069】
また、(c)図の状態から第1可動保護カバー250を閉める場合は、第1カバー251を右側に移動させると、第2カバー252を残して第1カバー251を右側に移動して(d)図に示すようになる。この状態から更に第1カバー251を右側に移動させると、縁部材242aが縁部材242bに当たるので、第1カバー251の移動に伴って、第2カバー252も移動するので、もとの(a)図の状態に戻すことができる。
【0070】
このように、この実施例によれば、第1可動保護カバー250を閉めた状態では、保護カバー200を密閉構造とすることができ、また、解放した状態では、第1カバー251と第2カバー252が重なってコンパクトに収納することができる。そして、この実施例によれば、第1カバー251の開閉動作に伴って(連動して)第2カバー252の開閉も行うことができる。
〔他の応用例〕
また、前記第1実施例においては、図4において、基点部P1を反応ディスク110の一方の片側(右側)に設定し、この基点部P1から検査機器配置領域100の他方の端部P8(反応ディスク110の他方の端部側)までの横幅WLの1/2の長さを第1可動保護カバー250の横幅W1に設定していると説明したが、この横幅WLを基点部P1から自動分析装置1の他方の端部までとすることができる。この構造によれば、第1可動保護カバー250の横幅W1を長く(大きく)することができる。
【0071】
また、図6に示すように、スライドレール80を自動分析装置1の筺体の左右に突き抜ける構造とすることで、このスライドレール80を移動する可動保護カバー240を筺体の左右から着脱することができる。この場合、所定の位置に可動保護カバー240の移動を止めるストッパを備えることにより、可動保護カバー240の落下を防止することができる。
【0072】
このように、この実施例に係る自動分析装置は、本体筺体の上面に検査機器配置領域を設定し、この検査機器配置領域に、複数種の試薬を保持する試薬ディスクと、複数の反応セルを有する反応ディスクと、検体や試薬を反応ディスクに搬送するための複数の搬送アームとを配置し、少なくとも前記反応ディスクを覆う保護カバーを備え、前記保護カバーは、前記検査機器配置領域の両側に設けられる一対の固定保護カバーと、前記一対の固定保護カバーの間を覆う可動保護カバーとで外部と区分けされた空間を構成し、前記検査機器配置領域の前後に設けられる一対のスライドレールが設けられ、前記可動保護カバーは、前記スライドレールを移動可能とする。
【0073】
この場合、前記保護カバーは、前記一対のスライドレール上を移動可能な一対の可動保護カバーで構成され、この一対の可動保護カバーは、開放時に、前記一対の固定保護カバーに重ねて収納する。
【0074】
また、この実施例に係る他の自動分析装置は、本体筺体の上面に検査機器配置領域を設定し、この検査機器配置領域に、複数種の試薬を保持する試薬ディスクと、複数の反応セルを有する反応ディスクと、検体や試薬を反応ディスクに搬送するための複数の搬送アームとを配置し、少なくとも前記反応ディスクを覆う保護カバーを備え、試薬ディスク蓋で覆われる前記試薬ディスクと、前記反応ディスクとを左右に並べて配置し、前記保護カバーは、前記反応ディスクの一方の片側である前記試薬ディスク上に側板を持って固定して支持される第1固定保護カバーと、前記反応ディスクの他方の片側に側板を持って固定して支持される第2固定保護カバーと、前記第1固定保護カバーと前記第2固定保護カバーとの間を覆う一対の可動保護カバーとを含んで構成され、前記可動保護カバーは、第1固定保護カバーにオーバラップして配置される第1可動保護カバーと、前記第2固定保護カバーにオーバラップして配置される第2可動保護カバーとで構成され、前記第1可動保護カバーと前記第2可動保護カバーは、前記検査機器配置領域の前後に形成される一対のスライドレールを介して両側にスライド可能に移動する構造を備えるようにする。
【0075】
この場合、前記試薬ディスクの上部を覆う試薬ディスク蓋は、対向した位置に設けられる試薬補給口と試薬取出口とを備え、前記第1固定保護カバーは前記試薬取出口を内包するように、前記試薬補給口と前記試薬取出口とを仕切るように設ける。更に、前記第1可動保護カバーの横幅を前記第2可動保護カバーの横幅より大きく設定する。
【0076】
また、この実施例に係る他の自動分析装置は、本体筺体の上面に検査機器配置領域を設定し、この検査機器配置領域に、複数種の試薬を保持する試薬ディスクと、複数の反応セルを有する反応ディスクと、検体や試薬を反応ディスクに搬送するための複数の搬送アームとを配置し、少なくとも前記反応ディスクを覆う保護カバーを備え、前記保護カバーは、一対の固定保護カバーと、前記検査機器配置領域の前後に設けられる一対のスライドレールを介して移動可能な一対の可動保護カバーとで構成し、前記検査機器配置領域に、左右を分ける基点部を設定し、この基点部の両側を、前記固定保護カバーと前記可動保護カバーとで覆い、前記可動保護カバーの横幅寸法を、基点部から前記検査機器配置領域の両端部までの長さの1/2の大きさに設定する。
【0077】
この場合、試薬ディスク蓋で覆われる前記試薬ディスクと、前記反応ディスクとを左右に並べて配置し、前記試薬ディスク蓋は、対向した位置に設けられる試薬補給口と試薬取出口とを備え、前記固定保護カバーの一方は、前記試薬取出口を内包するように、前記試薬補給口と前記試薬取出口とを仕切るように設ける。更に、前記基点部は、前記試薬ディスクと対向する前記反応ディスク片側に設定する。
【0078】
この実施例に係る他の自動分析装置は、本体筺体の上面に検査機器配置領域を設定し、この検査機器配置領域に、複数種の試薬を保持する試薬ディスクと、複数の反応セルを有する反応ディスクと、検体や試薬を反応ディスクに搬送するための複数の搬送アームとを配置し、少なくとも前記反応ディスクを覆う保護カバーを備え、前記検査機器配置領域は、その左右中央に前記反応ディスクが配置され、この反応ディスクの片側に試薬ディスク蓋で覆われる前記試薬ディスクを設け、この反応ディスクの他の片側に前希釈ディスクとISE分析部とを前後に設け、前記保護カバーは、前記試薬ディスク上に側板を持って固定して支持される第1固定保護カバーと、前記反応ディスクの他方の前記検査機器配置領域の端部に側板を持って固定して支持される第2固定保護カバーと、前記第1固定保護カバーと前記第2固定保護カバーとの間を覆う一対の可動保護カバーとを含んで構成され、前記可動保護カバーは、第1固定保護カバーにオーバラップして配置される第1可動保護カバーと、前記第2固定保護カバーにオーバラップして配置される第2可動保護カバーとで構成され、前記第1可動保護カバーと前記第2可動保護カバーは、前記検査機器配置領域の前後に形成される一対のスライドレールを介して両側にスライド可能に移動する構造を備え、前記可動保護カバーの閉鎖時に、前記第1可動保護カバーと前記第2可動保護カバーが接触する基点部を前記反応ディスクとISE分析部との間に設定し、前記第1可動保護カバーと前記第2可動保護カバーの横幅寸法を、基点部から前記検査機器配置領域の端部までの横幅寸法の1/2に設定する。
【0079】
この場合、前記試薬ディスクの上部を覆う試薬ディスク蓋は、対向した位置に設けられる試薬補給口と試薬取出口とを備え、前記第1固定保護カバーは前記試薬取出口を内包するように、前記試薬補給口と前記試薬取出口とを仕切るように設ける。
【0080】
また、固定保護カバーの一方は、試薬ディスクと反応ディスクを仕切るように側板を備えて形成し、この側板に試薬ディスクの試薬を反応ディスクに搬送するための搬送アームの動作範囲を確保するための開口部を形成するようにしてもよい。
【0081】
更に、第1可動保護カバーを複数のカバーで構成し、これらを連動構造として、1回の開閉操作で開閉できるようにする。更に、可動保護カバーの横幅寸法を、基点部から自動分析装置の筺体の他方の端部までの長さの1/2の大きさに設定してもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…自動分析装置、10…本体筺体、50…検体投入部、60…検体収納部、80…スライドレール、81…第1スライドレール、82…第2スライドレール、83…溝部、84…レール部、85…車輪、86…溝部、100…検査機器配置領域、110…反応ディスク、120…試薬ディスク、121…第1試薬ディスク、122…第2試薬ディスク、123…試薬ディスク蓋、124…取っ手または試薬補給口、125…試薬取出口、126…カバー、130…搬送アーム、131…第1搬送アーム、132…第2搬送アーム、133…第3搬送アーム、134…第4搬送アーム、140…ISE分析部、145…ISE用試薬部、150…前希釈ディスク、200…保護カバー、210…固定保護カバー、220…第1固定保護カバー、221…側壁(側板)、222…開口部、230…第2固定保護カバー、231…切欠部、240…可動保護カバー、250…第1可動保護カバー、260…第2可動保護カバー、280…開閉蓋、281…第1開閉蓋、P1…基点部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体筺体の上面に検査機器配置領域を設定し、この検査機器配置領域に、複数種の試薬を保持する試薬ディスクと、複数の反応セルを有する反応ディスクと、検体や試薬を反応ディスクに搬送するための複数の搬送アームとを配置し、少なくとも前記反応ディスクを覆う保護カバーを備えた自動分析装置において、
前記保護カバーは、前記検査機器配置領域の両側に設けられる一対の固定保護カバーと、前記一対の固定保護カバーの間を覆う可動保護カバーとで外部と区分けされた空間を構成し、
前記検査機器配置領域の前後に設けられる一対のスライドレールが設けられ、前記可動保護カバーは、前記スライドレールを移動可能である
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記請求項1記載の自動分析装置において、
前記保護カバーは、前記一対のスライドレール上を移動可能な一対の可動保護カバーで構成され、
この一対の可動保護カバーは、開放時に、前記一対の固定保護カバーに重ねて収納される
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
本体筺体の上面に検査機器配置領域を設定し、この検査機器配置領域に、複数種の試薬を保持する試薬ディスクと、複数の反応セルを有する反応ディスクと、検体や試薬を反応ディスクに搬送するための複数の搬送アームとを配置し、少なくとも前記反応ディスクを覆う保護カバーを備えた自動分析装置において、
試薬ディスク蓋で覆われる前記試薬ディスクと、前記反応ディスクとを左右に並べて配置し、
前記保護カバーは、前記反応ディスクの一方の片側である前記試薬ディスク上に側板を持って固定して支持される第1固定保護カバーと、前記反応ディスクの他方の片側に側板を持って固定して支持される第2固定保護カバーと、前記第1固定保護カバーと前記第2固定保護カバーとの間を覆う一対の可動保護カバーとを含んで構成され、
前記可動保護カバーは、第1固定保護カバーにオーバラップして配置される第1可動保護カバーと、前記第2固定保護カバーにオーバラップして配置される第2可動保護カバーとで構成され、
前記第1可動保護カバーと前記第2可動保護カバーは、前記検査機器配置領域の前後に形成される一対のスライドレールを介して両側にスライド可能に移動する構造を備えている
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
前記請求項3記載の自動分析装置において、
前記試薬ディスクの上部を覆う試薬ディスク蓋は、対向した位置に設けられる試薬補給口と試薬取出口とを備え、
前記第1固定保護カバーは前記試薬取出口を内包するように、前記試薬補給口と前記試薬取出口とを仕切るように設けられる
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
前記請求項3記載の自動分析装置において、
前記固定保護カバーの一方は、前記試薬ディスクと前記反応ディスクを仕切るように側板を備えて設けられ、この側板に前記試薬ディスクの試薬を前記反応ディスクに搬送するための搬送アームの動作範囲を確保するための開口部を形成した
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
前記請求項3から5記載のいずれかの自動分析装置において、
前記第1可動保護カバーの横幅は前記第2可動保護カバーの横幅より大きく設定されている
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
前記請求項6記載の自動分析装置において、
前記第1可動保護カバーは、複数のカバーで構成される
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
本体筺体の上面に検査機器配置領域を設定し、この検査機器配置領域に、複数種の試薬を保持する試薬ディスクと、複数の反応セルを有する反応ディスクと、検体や試薬を反応ディスクに搬送するための複数の搬送アームとを配置し、少なくとも前記反応ディスクを覆う保護カバーを備えた自動分析装置において、
前記保護カバーは、一対の固定保護カバーと、前記検査機器配置領域の前後に設けられる一対のスライドレールを介して移動可能な一対の可動保護カバーとで構成し、
前記検査機器配置領域に、左右を分ける基点部を設定し、
この基点部の両側を、前記固定保護カバーと前記可動保護カバーとで覆い、
前記可動保護カバーの横幅寸法を、基点部から前記検査機器配置領域の他方の端部までの長さの1/2の大きさに設定している
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
本体筺体の上面に検査機器配置領域を設定し、この検査機器配置領域に、複数種の試薬を保持する試薬ディスクと、複数の反応セルを有する反応ディスクと、検体や試薬を反応ディスクに搬送するための複数の搬送アームとを配置し、少なくとも前記反応ディスクを覆う保護カバーを備えた自動分析装置において、
前記保護カバーは、一対の固定保護カバーと、前記検査機器配置領域の前後に設けられる一対のスライドレールを介して移動可能な一対の可動保護カバーとで構成し、
前記検査機器配置領域に、左右を分ける基点部を設定し、
この基点部の両側を、前記固定保護カバーと前記可動保護カバーとで覆い、
前記可動保護カバーの横幅寸法を、基点部から自動分析装置の筺体の他方の端部までの長さの1/2の大きさに設定している
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
前記請求項9記載の自動分析装置において、
前記基点部は、前記試薬ディスクと対向する前記反応ディスク片側に設定される
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項11】
前記請求項10記載の自動分析装置において、
試薬ディスク蓋で覆われる前記試薬ディスクと、前記反応ディスクとを左右に並べて配置し、
前記試薬ディスク蓋は、対向した位置に設けられる試薬補給口と試薬取出口とを備え、
前記固定保護カバーの一方は、前記試薬取出口を内包するように、前記試薬補給口と前記試薬取出口とを仕切るように設けられる
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項12】
前記請求項10記載の自動分析装置において、
試薬ディスク蓋で覆われる前記試薬ディスクと、前記反応ディスクとを左右に並べて配置し、
前記固定保護カバーの一方は、前記試薬ディスクと前記反応ディスクを仕切るように側板を備えて設けられ、この側板に前記試薬ディスクの試薬を前記反応ディスクに搬送するための搬送アームの動作範囲を確保するための開口部を形成した
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項13】
本体筺体の上面に検査機器配置領域を設定し、この検査機器配置領域に、複数種の試薬を保持する試薬ディスクと、複数の反応セルを有する反応ディスクと、検体や試薬を反応ディスクに搬送するための複数の搬送アームとを配置し、少なくとも前記反応ディスクを覆う保護カバーを備えた自動分析装置において、
前記検査機器配置領域は、その左右中央に前記反応ディスクが配置され、この反応ディスクの片側に試薬ディスク蓋で覆われる前記試薬ディスクを設け、この反応ディスクの他の片側に前希釈ディスクとISE分析部とを前後に設け、
前記保護カバーは、前記試薬ディスク上に側板を持って固定して支持される第1固定保護カバーと、前記反応ディスクの他方の前記検査機器配置領域の端部に側板を持って固定して支持される第2固定保護カバーと、前記第1固定保護カバーと前記第2固定保護カバーとの間を覆う一対の可動保護カバーとを含んで構成され、
前記可動保護カバーは、第1固定保護カバーにオーバラップして配置される第1可動保護カバーと、前記第2固定保護カバーにオーバラップして配置される第2可動保護カバーとで構成され、
前記第1可動保護カバーと前記第2可動保護カバーは、前記検査機器配置領域の前後に形成される一対のスライドレールを介して両側にスライド可能に移動する構造を備え、
前記可動保護カバーの閉鎖時に、前記第1可動保護カバーと前記第2可動保護カバーが接触する基点部を前記反応ディスクとISE分析部との間に設定し、
前記第1可動保護カバーと前記第2可動保護カバーの横幅寸法を、基点部から前記検査機器配置領域の端部までの横幅寸法の1/2に設定している
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項14】
前記請求項13記載の自動分析装置において、
前記試薬ディスクの上部を覆う試薬ディスク蓋は、対向した位置に設けられる試薬補給口と試薬取出口とを備え、
前記第1固定保護カバーは前記試薬取出口を内包するように、前記試薬補給口と前記試薬取出口とを仕切るように設けられる
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項15】
前記請求項13記載の自動分析装置において、
前記固定保護カバーの一方は、前記試薬ディスクと前記反応ディスクを仕切るように側板を備えて設けられ、この側板に前記試薬ディスクの試薬を前記反応ディスクに搬送するための搬送アームの動作範囲を確保するための開口部を形成した
ことを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−256345(P2010−256345A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74075(P2010−74075)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】