説明

自動分析装置

【課題】洗浄槽の構造を複雑にせず、プローブの段部に液体が付着するのを防止することが可能で、プローブを乾燥させるための時間を要しない自動分析装置を提供することを目的とする。
【解決手段】液体の液面の位置より上方に段部を位置させる所定位置から液面の位置より下方にプローブの段部を位置させて、液体の吸引又は液体による洗浄の各作業を行うための作業位置にプローブを下降させる下降制御部と、作業位置から検出又は前記予め定められた液面の位置に段部が到達する直前まで、プローブを高速で上昇させ、その後、検出又は予め定められた液面の位置を段部が通過するまで、プローブを高速より下げた低速で上昇させ、液面の位置を前記段部が通過した直後から所定位置まで、プローブを低速より上げた高速で上昇させる上昇制御部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、試料及び試薬に係る自動分析装置に関し、特に、試料及び試薬を反応容器に分注することにより反応溶液を生成し、反応溶液の成分を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液は血球成分と血漿成分からなり、血球成分には、赤血球、白血球、血小板などが含まれる。
【0003】
赤血球中のヘモグロビンと血液中のブドウ糖とが結合したものをグリコへモグロビンといい、血液中に余っている糖が多ければ、それに応じてグリコヘモグロビンも多くなる。グリコヘモグロビンの1つにHbA1cがあり、HbA1cを測定した値が、採血時から過去約60日間の血糖値の平均値と相関するので、被検者の当該期間の血糖の状態を知ることが可能となる。
【0004】
容器中に採血した血液を入れ、容器の底を外側に向けてローターをセットし、回転させると、血液に高い重力がかかり、より比重の重い血球部分が容器の底に沈み、血漿成分は上澄みとして分離される(遠心分離)。また、採血した血液を容器中に入れておくと、前記遠心分離によらなくても、比重の重い血球部分が容器の底に沈むようになる。
【0005】
一般に血清を分注する場合、プローブを容器中に浅く入れ、血清を所定量だけ吸引し、吸引した血清を反応容器に分注する。これに対し、容器の底に沈んだ赤血球を分注する場合、プローブを容器中に深く入れ、容器の底に沈んだ赤血球を吸引する必要がある。
【0006】
自動分析装置において、分注精度を高めるためにプローブ先端の内外径をできるだけ小さくし、また先端より上方にかけてプローブの全長を補強することで、プローブに段部ができる。
【0007】
赤血球を含む試料を吸引する作業を行う場合、容器中の試料の液面の位置より上方に段部が位置する所定位置から、試料の液面の位置より下方に段部が位置する作業位置にプローブを下降させ、容器の底に沈んだ赤血球を吸引する。赤血球を吸引した後に、作業位置から所定位置にプローブを上昇させる。その後、上昇させたプローブを反応容器の位置に回転させ、吸引した赤血球を反応容器に分注する。
【0008】
作業位置から所定位置にプローブを上昇させるとき、試料の液面を通過するプローブの段部に試料が付着する。その後、上昇させたプローブを反応容器の位置に回転させたとき、段部に付着した試料が、プローブの回転時に飛び散り、周辺を汚染することとなる。また、飛び散った試料が反応容器の中に入り測定誤差の要因となる場合もある。
【0009】
赤血球を吸引した後、反応管に分注する前にプローブの外側を洗浄し、分注した後にプローブの内側及び外側を洗浄する。プローブの洗浄をする作業の場合、洗浄槽中の洗浄液の液面の位置より上方に段部が位置する所定位置から、洗浄液の液面の位置より下方に段部が位置する作業位置にプローブを下降させる。それにより、段部を含むプローブの外径部を洗浄することが可能となる。また、プローブ内の水をプローブ先端から押し出すことでプローブ内部の洗浄を行う。プローブの外径部及び内径部を洗浄した後に、作業位置から所定位置にプローブを上昇させ、上昇させたプローブを待機位置に回転させ、試料の次回の分注に備える。
【0010】
プローブを作業位置から所定位置に上昇させるとき、洗浄液の液面を通過するプローブの段部に洗浄水が付着する。その後、上昇させたプローブを待機位置に回転させたとき、段部に付着した洗浄水が、プローブの回転時に飛び散り、周辺を汚染することとなる。また、プローブの外径部及び内径部を洗浄した後に、試料の次回の分注をするときに、段部に付着した洗浄水を、試料容器内に持ち込むこととなり、試料が薄まり、反応溶液の成分量の測定誤差の発生要因となる。
【0011】
プローブを作業位置から所定位置に上昇させるとき、段部に試料又は洗浄液を付着しにくくさせるためには、表面張力の効果によってプローブ側に付着した試料や水が液面側に移る現象を利用してプローブを低速で上昇させる方法が考えられる。しかし、例えば、4.5秒周期で自動分析の一連の動作を行わせるために、プローブを作業位置から所定位置までの全区間を低速で上昇させられない実情がある。
【0012】
プローブに付着した洗浄水を除去するために、プローブに対して気体を噴出させる技術がある。また、プローブに付着した洗浄水を陰圧吸引する技術がある。プローブに対して気体を噴出させる技術として、プローブの移動経路上に設置され、移動中のプローブに対して両側から気体を噴射し、プローブを乾燥させる技術がある(例えば、特許文献1)。プローブに対し両側から気体を噴出させる従来技術を図20に示す。
【0013】
以上に、段部を有するプローブにおいて、その段部に付着した試料又は洗浄液を処理する従来技術について説明したが、段部の有無に関係なく、試料に深く挿入されたプローブを試料から引き上げるとき、プローブの先端部に試料が付着する場合が多い。付着した試料は飛び散りやコンタミネーションの原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2009−42067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、プローブに付着した洗浄水を除去するために、プローブに付着した洗浄水を陰圧吸引する技術では洗浄槽の構造が複雑となり、また、プローブに対して気体を噴出させる上記特許文献に記載された技術では、気体の噴出時間や噴出量に拠るが、プローブを乾燥させるための時間がかかるという問題点があった。
【0016】
また、プローブの先端部に付着した試料の量を少なくするには、プローブの引き上げる速度(上昇速度)を低速にすれば良いが、プローブを引き上げるために長時間を要し、試料分注における一連の動作の効率を低下させるという問題点があった。
【0017】
この発明は、上記の問題を解決するものであり、洗浄槽の構造を複雑にせず、比較的短時間でプローブの段部に液体が付着しにくくすることが可能な自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、この発明は、液体の液面の位置をプローブの段部が低速で通過すると、表面張力の効果により、段部に液体が付着しにくいことに着目した。
具体的に、この発明の一の形態は、試料及び試薬を反応容器に分注することにより反応溶液を生成し、該反応溶液の成分を分析する自動分析装置において、前記試料又は前記試薬を分注し、洗浄水により洗浄されるプローブであって、軸状に形成され、軸下部と軸上部との間に外径の大きさが変化するように形成された段部を有するプローブと、検出又は予め定められた前記試料、前記試薬又は前記洗浄水のいずれかの液体の液面の位置より上方に前記段部を位置させる所定位置から前記液面の位置より下方に前記段部を位置させて、前記液体の吸引又は前記液体による洗浄の各作業を行うための作業位置に前記プローブを下降させる下降制御部と、前記作業位置から前記液面の位置に前記段部が到達する直前まで、前記プローブを高速で上昇させ、その後、前記液面の位置を前記段部が通過するまで、前記プローブを前記高速より下げた低速で上昇させ、前記液面の位置を前記段部が通過した直後から前記所定位置まで、前記プローブを前記低速より上げた高速で上昇させる上昇制御部と、を有することを特徴とする自動分析装置である。
また、この発明の他の形態は、試料及び試薬を反応容器に分注することにより反応溶液を生成し、該反応溶液の成分を分析する自動分析装置において、前記試料又は前記試薬を分注し、洗浄水により洗浄されるプローブであって、軸状に形成され、軸下部と軸上部との間に外径の大きさが変化するように形成された段部を有するプローブと、検出又は予め定められた前記試料、前記試薬又は前記洗浄水のいずれかの液体の液面の位置より上方に前記段部を位置させる所定位置から前記液面の位置より下方に前記段部を位置させて、前記液体の吸引又は前記液体による洗浄の各作業を行うための作業位置に前記プローブを下降させる下降制御部と、前記作業位置から前記液面の位置に前記段部が到達する直前まで、前記プローブを高速で上昇させ、その後、前記所定位置まで、前記プローブを前記高速より下げた低速で上昇させる上昇制御部と、を有することを特徴とする自動分析装置である。
さらに、この発明の他の形態は、試料及び試薬を反応容器に分注することにより反応溶液を生成し、該反応溶液の成分を分析する自動分析装置において、前記試料又は前記試薬を分注し、洗浄水により洗浄されるプローブであって、軸状に形成され、軸下部と軸上部との間に外径の大きさが変化するように形成された段部を有するプローブと、検出又は予め定められた前記試料、前記試薬又は前記洗浄水のいずれかの液体の液面の位置より上方に前記段部を位置させる所定位置から前記液面の位置より下方に前記段部を位置させて、前記液体の吸引又は前記液体による洗浄の各作業を行うための作業位置に前記プローブを下降させる下降制御部と、前記作業位置から前記液面の位置を前記段部が通過するまで、前記プローブを前記高速より下げた低速で上昇させ、前記液面の位置を前記段部が通過した直後から前記所定位置まで、前記プローブを前記低速より上げた高速で上昇させる上昇制御部と、を有することを特徴とする自動分析装置である。
さらに、この発明の他の形態は、試料及び試薬を反応容器に分注することにより反応溶液を生成し、該反応溶液の成分を分析する自動分析装置において、前記試料又は前記試薬を分注し、洗浄水により洗浄されるプローブであって、軸状に形成され、軸下部と軸上部との間に外径の大きさが変化するように形成された段部を有するプローブと、検出又は予め定められた前記試料、前記試薬又は前記洗浄水のいずれかの液体の液面の位置より上方に前記プローブの下端部を位置させる所定位置から前記液面の位置より下方に前記段部を位置させて、前記液体の吸引又は前記液体による洗浄の各作業を行うための作業位置に前記プローブを下降させる下降制御部と、前記作業位置から前記所定位置まで前記プローブを上昇させるときに、前記作業位置から前記液面の位置に前記段部が到達する直前までの区間の速度、及び、前記液面の位置を前記プローブの下端部が通過した直後から前記所定位置までの区間の速度に対し、少なくとも、前記液面の位置に前記段部が到達する直前から前記液面の位置を前記段部が通過するまでの区間の速度、及び、前記液面の位置に前記プローブの下端部が到達する直前から前記液面の位置を前記下端部が通過するまでの区間の速度を低速とした上昇制御部と、を有することを特徴とする自動分析装置である。
さらに、この発明の他の形態は、試料及び試薬を反応容器に分注することにより反応溶液を生成し、該反応溶液の成分を分析する自動分析装置において、前記試料又は前記試薬を分注し、洗浄水により洗浄されるプローブと、検出又は予め定められた前記試料、前記試薬又は前記洗浄水のいずれかの液体の液面の位置より上方に前記プローブの下端部を位置させる所定位置から前記液面の位置より下方に前記下端部を位置させて、前記液体の吸引又は前記液体による洗浄の各作業を行うための作業位置に前記プローブを下降させる下降制御部と、前記作業位置から前記液面の位置に前記下端部が到達する直前まで、前記プローブを高速で上昇させ、その後、前記液面の位置を前記下端部が通過するまで、前記プローブを前記高速より下げた低速で上昇させ、前記液面の位置を前記下端部が通過した直後から前記所定位置まで、前記プローブを前記低速より上げた高速で上昇させる上昇制御部と、を有することを特徴とする自動分析装置である。
さらに、この発明の他の形態は、試料及び試薬を反応容器に分注することにより反応溶液を生成し、該反応溶液の成分を分析する自動分析装置において、前記試料又は前記試薬を分注し、洗浄水により洗浄されるプローブと、検出又は予め定められた前記試料、前記試薬又は前記洗浄水のいずれかの液体の液面の位置より上方に前記プローブの下端部を位置させる所定位置から前記液面の位置より下方に前記下端部を位置させて、前記液体の吸引又は前記液体による洗浄の各作業を行うための作業位置に前記プローブを下降させる下降制御部と、前記作業位置から前記液面の位置に前記下端部が到達する直前まで、前記プローブを高速で上昇させ、その後、前記所定位置まで、前記プローブを前記高速より下げた低速で上昇させる上昇制御部と、を有することを特徴とする自動分析装置である。
さらに、この発明の他の形態は、試料及び試薬を反応容器に分注することにより反応溶液を生成し、該反応溶液の成分を分析する自動分析装置において、前記試料又は前記試薬を分注し、洗浄水により洗浄されるプローブと、検出又は予め定められた前記試料、前記試薬又は前記洗浄水のいずれかの液体の液面の位置より上方に前記プローブの下端部を位置させる所定位置から前記液面の位置より下方に前記下端部を位置させて、前記液体の吸引又は前記液体による洗浄の各作業を行うための作業位置に前記プローブを下降させる下降制御部と、前記作業位置から前記液面の位置を前記下端部が通過するまで、前記プローブを前記高速より下げた低速で上昇させ、前記液面の位置を前記下端部が通過した直後から前記所定位置まで、前記プローブを前記低速より上げた高速で上昇させる上昇制御部と、を有することを特徴とする自動分析装置である。
【発明の効果】
【0019】
この発明によると、洗浄槽の構造を複雑にせず、比較的短時間でプローブの段部に液体が付着しにくくすることが可能となる。
また、この発明の一の形態によると、自動分析の一連の動作の効率を下げずに、検出又は予め定められた液面の位置を基に、液面の位置を段部が通過するときに、プローブを低速で上昇させて、段部に液体が付着しにくくすることが可能となる。
また、この発明の他の形態によると、自動分析の一連の動作の効率を大幅に下げないように、液面の位置を段部が通過する直前から所定位置まで、プローブを低速で上昇させて、段部に液体が付着しにくくすることが可能となる。
さらに、この発明の他の形態によると、自動分析の一連の動作の効率を大幅に下げないように、作業位置から液面の位置を段部が通過するまで、プローブを低速で上昇させて、段部に液体が付着しにくくすることが可能となる。
さらに、この発明の他の形態によると、自動分析の一連の動作の効率を大幅に下げないように、少なくとも、液面の位置を段部が通過する区間、及び、液面の位置をプローブの下端部が通過する区間において、プローブを低速で上昇させて、段部及び下端部に液体が付着しにくくすることが可能となる。
さらに、この発明の他の形態によると、自動分析の一連の動作の効率を下げずに、検出又は予め定められた液面の位置を基に、液面の位置をプローブの下端部が通過するときに、プローブを低速で上昇させて、段部に液体が付着しにくくすることが可能となる。
さらに、この発明の他の形態によると、自動分析の一連の動作の効率を大幅に下げないように、液面の位置をプローブの下端部が通過する直前から所定位置まで、プローブを低速で上昇させて、下端部に液体が付着しにくくすることが可能となる。
さらに、この発明の他の形態によると、自動分析の一連の動作の効率を大幅に下げないように、作業位置から液面の位置をプローブの下端部が通過するまで、プローブを低速で上昇させて、下端部に液体が付着しにくくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の第1実施形態に係る自動分析装置の全体図である。
【図2】自動分析装置の概念図である。
【図3】試料プローブ、試料アーム、及び、試料プローブ駆動部の斜視図である。
【図4】自動分析装置の機能ブロック図である。
【図5】プローブの各動作を示した図である。
【図6】上昇するときのプローブの移動速度を示す図である。
【図7】(a)下降時のプローブの速度線図、(b)上昇時のプローブの速度線図である。
【図8】洗浄液中に下降するときのプローブの移動速度を示す図である。
【図9】下降時のプローブの各動作を示すフローチャートである。
【図10】上昇時のプローブの各動作を示すフローチャートである。
【図11】この発明の第2実施形態に係る自動分析装置において、上昇するときのプローブの移動速度を示す図である。
【図12】上昇時のプローブの速度線図である。
【図13】この発明の第3実施形態に係る自動分析装置において、上昇するときのプローブの移動速度を示す図である。
【図14】上昇時のプローブの速度線図である。
【図15】変形例に係る上昇時のプローブの速度線図である。
【図16】他の変形例に係る上昇時のプローブの速度線図である。
【図17】この発明の第4実施形態に係る自動分析装置において、上昇するときのプローブの速度線図を示す図である。
【図18】他の例に係る上昇時のプローブの速度線図である。
【図19】さらに他の例に係る上昇時のプローブの速度線図である。
【図20】プローブに対して両側から気体を噴出させる従来技術を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(構成)
この発明の第1実施形態に係る自動分析装置の構成について図1〜図10を参照して説明する。図1は、自動分析装置の全体図、図2は自動分析装置の概念図、図3は、試料プローブ、試料アーム、及び、その駆動装置の斜視図、図4は、自動分析装置の機能ブロック図である。
【0022】
先ず、自動分析装置の基本的な構成について図1、図2及び図4を参照して説明する。自動分析装置10は、試料庫100、試料(生体サンプル)を収容する試料容器101、試料アーム102、試料プローブ103、第1及び第2の試薬庫200、試薬を収容する試薬容器201、試薬アーム202、試薬プローブ203、反応庫300、反応容器301、駆動制御部40、記憶部42、生成部43、表示制御部44、表示部50、洗浄槽701、試料を吸引及び吐出させるためのポンプ(図示省略)、電磁弁(図示省略)、及び、電磁弁を駆動させるアクチュエータ(図示省略)を有する。
【0023】
試料等を吸引及び吐出させるためのポンプはステッピングモータを有する。ステッピングモータは、その回転速度に応じて試料等の吸引速度及び吐出速度を変化させる。ステッピングモータの回転速度又は回転時間の少なくとも一方を変化させることにより、試料等の吸引量及び吐出量を変化させることが可能となる。
【0024】
駆動制御部40は、制御部41、該制御部41の指示を受けて、それぞれ駆動する試料庫用駆動部104、試料プローブ駆動部105、試薬庫用駆動部204、試薬プローブ駆動部205、及び、反応庫用駆動部304を有する。
【0025】
制御部41は、試料庫用駆動部104、試料プローブ駆動部105、試薬庫用駆動部204、試薬プローブ駆動部205、反応庫用駆動部304、前記ポンプ、前記電磁弁、及び、前記アクチュエータを含む各種駆動部を制御する。
【0026】
制御部41は、前記各種駆動部を制御するための制御情報を記憶部42に記憶させる。生成部43は、記憶部42に記憶させるべき前記制御情報を制御部41からの指示を受けて生成する。制御部41は、記憶部42から制御情報を読み出し、前記試料プローブ駆動部105等を制御する。制御部41は、試料プローブ103の下降及び上昇の各動作を制御する下降制御部及び上昇制御部を有している。
【0027】
次に、試料庫100について、及び、前記各種駆動部を代表して試料プローブ駆動部105について、図1から図3を参照して説明する。
【0028】
試料庫100は、複数の試料容器101を円周方向に並べた状態で載置するディスクサンプラである試料ラック130と、試料ラック130を円周方向に回転させることにより、複数の試料容器101を順番に吸引位置に搬送する試料庫用駆動部104とを有する。
【0029】
試料アーム102の先端部には試料プローブ103が設けられている。試料プローブ103は、軸状に形成されている。試料プローブ103は、外径が小さく形成された軸下部106、外径が大きく形成された軸上部107、及び、軸下部106と軸上部107との間に外径の大きさが変化するように形成された段部108を有している。段部108の下から下端部109までの領域である、軸下部106の外径を小さく形成することにより、必要最低限の試料を吸引することが可能となる。また、軸下部106に外径の大きな軸上部107を嵌め込むことにより、試料プローブ103の全体的な強度を向上させることが可能となる。段部108の外形が略直角に縮径したものを図3に示したが、段部108の外形はこれに限らず、テーパー状に形成してもよい。
【0030】
段部108はフッ素樹脂により被覆されていることが好ましい。フッ素樹脂としては撥水性に優れていることが好ましく、さらに、接触角が大きい、例えば、接触角が大きいPTFE(4フッ化エチレン樹脂)、FEP(4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体)、及び、PFA(4フッ化エチレンパーフロロプロピルビニルエーテル)であることが好ましい。
【0031】
ステッピングモータ122は、試料プローブ103を吸引位置と吐出位置との間で回動させる。吸引位置に回動された試料プローブ103は、吸引位置に搬送された試料容器101から試料を吸引する。吐出位置に回動された試料プローブ103は、前記吸引した試料を、吐出位置に搬送された反応容器301に吐出する。ステッピングモータ122は、さらに、試料プローブ103を洗浄位置、及び、待機位置に移動させる。
【0032】
試料アーム102の先端に、この試料アーム102の軸方向に対して垂直に、試料プローブ103が固定されている。試料アーム102の末端は、この試料アーム102の軸方向に対して垂直に設けられているスプライン軸123の上端に固定支持されている。このスプライン軸123の略中間には回動機構124が固定されており、この回動機構124にはスプライン側プーリ125が同心円上に設けられている。このスプライン側プーリ125と、自動分析装置10のフレーム(図示省略)に固定され、回動機構124の駆動源を構成するステッピングモータ122の回転シャフトに固定されたモータ側プーリ127との間には、回動用ベルト128が掛け渡されて、モータ側プーリ127の回動に対してスプライン側プーリ125が連動して回動するようになっている。それにより、ステッピングモータ122は、スプライン軸123を中心にして、試料プローブ103を試料容器101の位置である吸引位置と反応容器301の位置である吐出位置との間で回動させる。
【0033】
次に、試料プローブ駆動部105を制御するための構成について、図3〜図7を参照して説明する。図5は試料プローブの各動作を示した図、図6は上昇するときの試料プローブの移動速度を示す図、図7(a)は下降時の試料プローブの速度線図、(b)は上昇時の試料プローブの速度線図である。なお、以下に、主に、試料プローブ103の段部108に液体が付着する場合の試料プローブ駆動部105の制御構成について説明する。しかしながら、本発明は、試薬プローブ203を制御対象としても良く、また、試料プローブ103の段部108及び下端部109(試薬プローブ203の段部及び下端部を含む)に液体(試料、試薬、及び、洗浄水を含む)が付着する場合には、その段部108及び下端部109に液体が付着する場合の試料プローブ駆動部105や試薬プローブ駆動部205の制御構成であっても良い。なお、段部108及び下端部109に液体が付着する場合については後述する。また、本発明は、段部108に付着する液体が微小量であって測定誤差の要因とならない場合、液体が下端部109のみに付着する場合の試料プローブ駆動部105や試薬プローブ駆動部205の制御構成であっても良い。下端部109のみに液体が付着する場合についても後述する。
【0034】
以下に、試料プローブ103の段部108にのみ液体が付着する場合の試料プローブ103の制御構成について説明する。
【0035】
先ず、試料を分注する場合に、試料プローブ駆動部105を制御するための構成について説明する。
【0036】
制御部41は、試料プローブ103を下降及び上昇させて、試料を分注する場合に、試料プローブ103を所定位置、液面検出位置、作業位置、液面通過直前位置、及び、液面通過直後位置の各位置に到達させるための各所要時間を記憶部42に記憶させる。
【0037】
プローブ103を到達させる前記各位置を、図5及び図6に、(a1)所定位置、(a2)位置検出、(a3)作業位置、(b1)液面通過直前、及び、(b2)液面通過直後の各位置として示す。また、プローブ103を到達させるための前記各所要時間を図4に制御情報421として示し、また、図7(a)に、t11、t12として示し、図7(b)に、t13、t14、t15として示す。記憶部42に記憶された各所要時間の情報である、制御情報421の一部(後述する所要時間)を図4に示す。
【0038】
次に、制御情報421の表示、及び、変更について説明する。表示制御部44は、初期値を含む制御情報を表示部50に表示させる。制御部41は、操作部61の操作による変更指示を受けた場合に、変更された制御情報を記憶部42に記憶させると共に、表示制御部44に対し、変更された制御情報を表示させる。また、制御部41は、液面位置検出部181の検出信号を受けた場合に、生成部43に制御情報を生成させ、生成された制御情報を記憶部42に記憶させると共に、表示制御部44に対し、生成された制御情報を表示させる。操作部61、及び、液面位置検出部181は、制御情報を入力するための液面情報入力部180となっている。液面位置検出部181は、例えば、試料プローブ103が液面に接した場合、電気的な変化を検知し、液面の位置を検出する静電容量方式の液面センサである。液面位置検出部181としては、光学方式、又は、超音波方式の液面センサであっても良い。ここで、初期値とは、測定対象である患者についての患者情報や、測定項目に対応づけて予め設定、記憶された情報である。
【0039】
ここで、記憶部42に記憶された制御情報を基に試料プローブ103を動作させる制御部41の制御につい説明する。
制御部41は、制御情報を基に駆動用のパルスを生成し、生成した駆動用のパルスを試料プローブ駆動部105のステッピングモータ122に出力する。ステッピングモータ122は、駆動用のパルスに応じた所定角度だけ所定速度で回転をし、試料プローブ103を吸引位置と吐出位置との間で回動させる。
【0040】
スプライン軸123の下端はブロック129に回動自在に軸支され、このブロック129にはボールネジ120のナット121が固定されている。さらに、前記ボールネジ120には、自動分析装置10のフレームに固定された上下動用ステッピングモータ122Aの回転軸が直接連結されており、ボールネジ120が回転することにより、ナット121が上下運動し、それに伴ってブロック129が上下運動し、試料プローブ103が所定位置と作業位置との間で上昇及び下降するようになっている。
【0041】
制御部41は、制御情報を基に駆動用のパルスを生成し、試料プローブ駆動部105の上下動用ステッピングモータ122Aに出力する。制御部41は、上下動用ステッピングモータ122Aに単位時間(1秒間)当たりのパルス数(以下、単に「パルス数」という。)を付与し、上下動用ステッピングモータ122Aは、ステップ角度にパルス数を乗算した値である回転速度で回転する。制御部41は、上下動用ステッピングモータ122Aに付与するパルス数を増減させることにより、上下動用ステッピングモータ122Aの回転速度を増減させ、それにより、試料プローブ103を所定速度で上昇及び下降させる。
【0042】
次に、制御部41は、記憶部42に記憶された制御情報421を基に試料プローブ103の動作を制御する。
【0043】
先ず、試料プローブ103の速度と上下動用ステッピングモータ122Aに付与されるパルス数との関係を説明する。ステップ角をθとし、パルス数をnとすると、試料プローブ103の速度vを、次の式(1)で表すことができる。
v=γ・θ・n …(1)
ここで、γは、上下動用ステッピングモータ122Aをステップ角(θ)だけ回転させたときに、ボールネジ120に対しナット121が相対的に送られる送り量である。
【0044】
前述したように、ナット121は、ブロック129、スプライン軸123、試料アーム102、及び、試料プローブ103と共に上下方向に移動するように構成されているため、ナット121を送るときの速度が、試料プローブ103を上下方向に移動させるときの速度と一致する。また、上記式(1)から分かるように、上下動用ステッピングモータ122Aに付与されるパルス数が、試料プローブ103を上下方向に移動させるときの速度に比例する。
【0045】
次に、制御部41が試料プローブ103を速度vで移動させるために、上下動用ステッピングモータ122Aに付与するパルス数nと、その移動に要する所要時間tと、所要時間t中に試料プローブ103を移動させた距離Lとの関係について説明する。パルス数n、所要時間t、距離Lとの関係は、以下の関係式(2)で表すことができる。
n=L/(γ・θ・t) … (2)
【0046】
上記式(2)により、生成部43は、求められた所要時間t、及び、予め定められたパルス数nから、距離Lを求めることができる。記憶部42に記憶された所要時間t、及び、予め定められた又は予め求められた距離Lから、パルス数nを生成する。また、生成部43は、予め定められたパルス数n、及び、予め定められた又は予め求められた距離Lから、所要時間tを求めることができる。
【0047】
例えば、生成部43は、上記式(2)により、試料プローブ103が所定位置から下降し、液面位置検出部181が液面を検出するまでの所要時間t11、及び、試料プローブ103が下降するときの速度v1に比例する予め定められたパルス数n1から、距離L1(=n1・γ・θ・t11)を求めることができる。
【0048】
次に、制御情報421の生成について図5〜図7を参照して説明する。生成部43は、制御部41の指示により、液面位置検出部181による検出情報を基に、制御情報421を生成する。なお、試料プローブ103を下降させるときの所定位置から作業位置までの区間の速度、並びに、試料プローブ103を上昇させるときの、作業位置から通過直前位置までの区間、通過直前位置から通過直後位置までの区間、及び、通過直後位置から所定位置までの区間の各速度は、一定ではなく、例えば、各区間の境界において、加速又は減速した後、一定速度を保ち、その後、減速又は加速するが、説明の都合上、前記各区間の速度を各区間の平均速度とした。平均速度とした各区間の速度を図7に示す。
【0049】
試料容器101の底に沈んだ血球を吸引するために、制御部41は、上下動用ステッピングモータ122Aに予め定められたパルス数n1を付与し、試料プローブ103を所定位置から作業位置に下降させる。なお、操作部61の操作を受けて、制御部41は、試料プローブ103の下降開始時から下降終了時(作業位置到達時)までの所要時間t12を記憶部42に記憶させている。
【0050】
試料プローブ103の下降途中で、液面位置検出部181は、試料プローブ103が液面に接したことを検出し、液面検出信号を制御部41に出力する。制御部41は、試料プローブ103の下降開始時から液面検出信号を受けた時までの所要時間t11を生成部43に出力する。所要時間t11を受けて、生成部43は、上記式(2)により、距離L1(=n1・γ・θ・t11)を求める。
【0051】
制御部41は、上下動用ステッピングモータ122Aに対するパルス数n1の付与を終了し、試料プローブ103の下降を停止させる。試料プローブ103の下降開始時から下降終了時までの予め定められた所要時間t12、及び、予め定められたパルス数n1から、生成部43は、距離L2(=n1・γ・θ・t12)を求める。
【0052】
生成部43は、距離L2(=n1・γ・θ・t12)から距離L1(=n1・γ・θ・t11)を減算し、さらに、軸下部106の長さである、試料プローブ103の先端から段部108までの距離L0を減算して、段部108から液面の位置までの距離L3(=n1・γ・θ(t12−t11)−L0)を求める。
【0053】
以上に、生成部43が、パルス数n1、及び、所要時間t11、t12から、距離L1、距離L2、及び、距離L3を求めることについて説明した。
【0054】
試料容器101の底に沈んだ血球、及び、上澄みとしての血漿を図5(a1)に示す。段部108が液面に接したときの試料プローブ103を図5(a2)に示し、試料容器101の底に沈んだ血球を吸引するために、段部108を液面より下方に移動させ、作業位置に到達させたときの試料プローブ103を図5(a3)に示す。また、試料プローブ103の下降開始時から液面検出信号を受けた時までの所要時間t11、及び、試料プローブ103の下降開始時から下降終了時(作業位置到達時)までの予め定められた所要時間t12を図7(a)に示す。
【0055】
次に、生成部43が、試料プローブ103の上昇開始時から段部108が液面を通過する時までの所要時間を求める方法の一例を説明する。
【0056】
試料容器101の底に沈んだ血球を吸引した後、試料プローブ103を作業位置から所定位置に上昇させるために、制御部41は、上下動用ステッピングモータ122Aに予め定められたパルス数n2を付与し、試料プローブ103を作業位置から所定位置に上昇させる。前記求められた距離L3を試料プローブ103が上昇途中で、試料プローブ103の段部108が液面を通過する。
【0057】
距離L3(=n1・γ・θ(t12−t11)−L0)、及び、パルス数n2から、生成部43は、上記式(2)により、試料プローブ103の上昇開始時から段部108が液面を通過する時までの所要時間t10(=L3/(n2・γ・θ))を求める。
【0058】
生成部43は、前記求めた所要時間t10から予め定められた時間t3を減算して、試料プローブ103の上昇開始時から段部108が液面を通過する直前までの所要時間t13を求める。また、生成部43は、前記求めた所要時間t10から予め定められた時間t4を加算して、試料プローブ103の上昇開始時から段部108が液面を通過した直後までの所要時間t14を求める。
【0059】
以上に、生成部43が、試料プローブ103の上昇開始時から段部108が液面を通過する時までの所要時間t10を求め、さらに、段部108が液面を通過する直前までの所要時間t13、及び、段部108が液面を通過した直後までの所要時間t14を求める方法を説明した。なお、操作部61の操作を受けて、制御部41は、試料プローブ103の上昇開始時から上昇終了時(所定位置到達時)までの所要時間t15を記憶部42に記憶させている。
【0060】
以上のように求められた所要時間t13、及び、t14、並びに、予め定められた所要時間t15から、制御部41は、上下動用ステッピングモータ122Aに所定のパルス数の付与を開始又は終了する。
【0061】
例えば、制御部41は、上下動用ステッピングモータ122Aにパルス数n2を付与して、試料プローブ103を作業位置から高速v2(=n2・γ・θ)で上昇させる。上昇開始からの所要時間t13を受けて、制御部41は、上下動用ステッピングモータ122Aにパルス数n3を付与して、段部108が液面の位置を通過する直前から試料プローブ103を低速v3(=n3・γ・θ)で上昇させる。上昇開始からの所要時間t14を受けて、制御部41は、上下動用ステッピングモータ122Aにパルス数n4を付与して、段部108が液面の位置を通過した直後から試料プローブ103を高速v4(=n4・γ・θ)で上昇させる。上昇開始からの所要時間t15を受けて、制御部41は、上下動用ステッピングモータ122Aに対するパルス数の付与を終了し、試料プローブ103の上昇を停止させる。
【0062】
以上のように、所要時間t13から所要時間t14までの間、試料プローブ103を低速v3で上昇させ、当該期間中に、試料プローブ103の段部108が液面を通過させるようにしたので、段部108に液体(血漿)を付着しにくくすることが可能となる。
【0063】
液体(血漿)を付着しにくくするために、前記低速v3は、例えば、前記高速v2の約半分の速度であることが好ましい。さらに、低速v3は、50mm/sec以下であることが好ましい。操作部61の操作を受けて、制御部41は、前記低速v3を50mm/secとし、前記高速v2、v4を100mm/secとして記憶部42に記憶させる。制御部41は、高速v2、低速v3、及び、高速v4に対応するパルス数n2、n3、及び、n4を上下動用ステッピングモータ122Aに付与する。なお、高速v2、v4は、同じ速度でなくても良い。
【0064】
また、操作部61の操作を受けて、制御部41は、低速v3、及び、高速v2、v4を、予め定められた範囲で調整し、調整後の高速v2、低速v3、及び、高速v4を記憶部42に記憶させることが可能となる。
【0065】
以上に、試料を分注する場合に、試料プローブ駆動部105を制御するための構成について説明した。
【0066】
次に、前記試料を分注した後の試料プローブ103を洗浄する場合に、試料プローブ駆動部105を制御するための構成について説明する。試料プローブ103を洗浄する場合の前記構成が、前述した、試料プローブ103により試料を分注する場合の前記構成と基本的に同じである。以下、両者の同じ構成、例えば、制御部41が試料プローブ駆動部105にパルス数を付与し、試料プローブ103を上昇させる構成の説明を省略し、両者の異なる構成について主に説明する。
【0067】
試料プローブ103を洗浄する場合に、洗浄水を入れた洗浄槽701の所定位置に試料プローブ103を移動させ、制御部41は、初期値を含む制御情報422を基に、上下動用ステッピングモータ122Aに対してパルス数を付与し、試料プローブ103の段部108を洗浄水の液面の下方の位置させた作業位置に試料プローブ103を下降させる。ここで、初期値とは、測定対象である患者についての患者情報や、測定項目に対応づけて予め設定、記憶された情報である。
【0068】
制御情報422の一部を図4に示す。また、洗浄水を入れた洗浄槽701、並びに、所定位置にある試料プローブ103、及び、作業位置に下降させた試料プローブ103を図10に示す。
【0069】
試料プローブ103を洗浄する場合の構成において、操作部61の操作を受けて、制御部41は、試料プローブ103が下降を開始してから洗浄水の液面に接するまでの所要時間t21である制御情報を記憶部42に記憶させる。そのため、液面の位置を検出するための前記液面位置検出部181を有しない。
【0070】
(動作)
次に、自動分析装置の一連の動作について、図8及び図9を参照して説明する。図8は、下降時のプローブの各動作を示すフローチャート、図9は、上昇時のプローブの各動作を示すフローチャートである。
【0071】
(試料の吸引)
制御部41の指示を受けて、試料プローブ駆動部105が試料アーム102を回動させ、試料プローブ103を待機位置から試料容器101の位置(吸引位置)に移動させた後、試料プローブ駆動部105が試料プローブ103を下降させる(ステップS101)。
試料プローブ103の下降を開始してからの経過時間が所要時間t12となったか否かを判断する(ステップS102)。
【0072】
試料プローブ103の下降を開始してからの経過時間が所要時間t12に満たない場合(ステップS102;No)、液面位置検出部181が液面の位置を検出し、検出信号を出力したか否かを判断する(ステップS104)。検出信号を出力していなければ(ステップS104;No)、試料プローブ103の下降(ステップS101)に戻る。検出信号を出力すれば(ステップS104;Yes)、制御部41は、検出信号を受けて、試料プローブ103の下降を開始してかの時間である所要時間t11を記憶部42に記憶させる(ステップS105)。
【0073】
試料プローブ103の下降を開始してからの経過時間が所要時間t12以上になった場合(ステップS102;Yes)、制御部41が上下動用ステッピングモータ122Aに対するパルス数n1の付与を終了し、プローブ103の下降を停止させる(ステップS103)。次に、制御部41の指示を受けて、電磁弁が作動して、試料プローブ103により所定の試料容器101から試料を吸引させる。それにより、試料が満たされる。
【0074】
(試料の吐出)
制御部41の指示を受けて、電磁弁が作動し閉じ、上下動用ステッピングモータ122Aに対してパルス数n2を付与し、試料プローブ103を高速v2で上昇させる(ステップS201)。試料プローブ103の上昇を開始してからの経過時間が所要時間t13にならない場合(ステップS202;No)、試料プローブ103を高速v2で上昇させる(ステップS201)に戻る。
【0075】
試料プローブ103の上昇を開始してからの経過時間が所要時間t13になった場合(ステップS202;Yes)、制御部41は、上下動用ステッピングモータ122Aに対してパルス数n3を付与し、試料プローブ103を低速v3で上昇させる(ステップS203)。試料プローブ103の上昇を開始してからの経過時間が所要時間t14にならない場合(ステップS204;No)、試料プローブ103を低速v3で上昇させる(ステップS203)に戻る。
【0076】
次に、試料プローブ103の上昇を開始してからの経過時間が所要時間t14になった場合(ステップS204;Yes)、制御部41は、上下動用ステッピングモータ122Aに対してパルス数n4を付与し、試料プローブ103を高速v4で上昇させる(ステップS205)。所要時間t13から所要時間t14までの間、試料プローブ103を低速v3で上昇させることにより、液面の位置を通過する試料プローブ103の段部108に液体(血漿)が付着しない。試料プローブ103の上昇を開始してからの経過時間が所要時間t15にならない場合(ステップS206;No)、試料プローブ103を高速v4で上昇させる(ステップS205)に戻る。
【0077】
次に、試料プローブ103の上昇を開始してからの経過時間が所要時間t15になった場合(ステップS206;Yes)、制御部41は、上下動用ステッピングモータ122Aに対するパルス数n4の付与を終了し、試料プローブ103の上昇を停止させる(ステップS207)。試料プローブ103の上昇において、段部108を液面の位置に通過させるときに、試料プローブ103の上昇速度を低速v3とし、それ以外を高速v2、v4としたので、自動分析の効率を維持することが可能となる。
【0078】
次に、試料アーム102を回動させ、試料プローブ103を試料容器101の位置(吸引位置)から反応容器301の位置(吐出位置)に移動させる。その後、制御部41が試料プローブ駆動部105を制御し、試料プローブ駆動部105が試料プローブ103を下降させる。制御部41の指示を受けて、電磁弁が作動して、試料プローブ103により所定の反応容器301に試料を吐出させる。
【0079】
(試料プローブの洗浄、待機位置への移動)
次に、制御部41の指示を受けて、電磁弁が作動し閉じ、制御部41が試料プローブ駆動部105を制御し、試料プローブ駆動部105が試料プローブ103を上昇させ、試料アーム102を回動させ、試料プローブ103を反応容器301の位置(吐出位置)から洗浄位置に移動させる。
【0080】
試料プローブ103の洗浄は、前述した試料プローブ103による試料分注と基本的に同じであるため、その説明を省略する。ただし、前述した試料プローブ103による試料分注においては、制御部41が制御情報421を基に、上下動用ステッピングモータ122Aを制御したが、試料プローブ103の洗浄においては、制御部41が制御情報422を基に、上下動用ステッピングモータ122Aを制御する点が異なる。
【0081】
試料プローブ103の洗浄においても、段部108を洗浄水の液面に通過させるとき、試料プローブ103を低速で上昇させたので、段部108に洗浄水を付着しにくくする。それにより、洗浄水を段部108から除去するための特別な手段を洗浄槽701に設ける必要がなく、洗浄槽701を複雑にしないで済む。
【0082】
次に、試料プローブ103の洗浄を終了した後、試料プローブ駆動部105が試料プローブ103を待機位置に移動させる。
【0083】
以上、試料プローブ103の動作を制御するための構成、及び、試料プローブ103の一連の動作について説明した。次に、第1及び第2の各試薬庫200の構成、及び、第1及び第2の各試薬庫200の動作について説明する。
【0084】
第1及び第2の各試薬庫200は基本的に同じ構成をしている。以下に、第1の試薬庫200について主に説明し、第2の試薬庫200については、第1の試薬庫200と重複する説明を省略する。試薬庫200は、試薬容器201を円周方向に並べた状態で載置し、試薬容器201を円周方向に回転させることにより、複数の試薬容器201を順番に吸引位置に搬送する試薬庫用駆動部204を有する。試薬容器201には、試料に含まれる特定成分に対して選択的に反応する試薬が収容されている。
【0085】
第2の試薬庫200の試薬容器201には、前記第1の試薬庫200の試薬容器201に収容されている試薬と対をなす試薬が収容されている。
【0086】
試薬アーム202の先端部には試薬プローブ203が設けられている。試薬プローブ203は、前記試料プローブ103と同様に軸状に形成され、外径が小さく形成された軸下部、外径が大きく形成された軸上部、及び、軸下部と軸上部との間に外径の大きさが変化するように形成された段部を有している。試薬プローブ203は、吸引位置に搬送された試薬容器201から試薬を吸引し、吸引した試薬を、吐出位置に搬送された反応容器301に吐出する。試薬アーム202は、試薬プローブ203を吸引位置と吐出位置との間で往復移動させるように回動する。
【0087】
反応庫300には複数の反応容器301が収容されている。反応庫300は、複数の反応容器301を円周方向に並べた状態で載置する反応ライン330と、反応ライン330を円周方向に回転させることにより、複数の反応容器301を順番に吐出位置に搬送する反応庫用駆動部304とを有する。
【0088】
以上の構成により行われる、試薬プローブ203の一連の動作について説明する。
(試薬の吸引)
制御部41の指示を受けて、試薬プローブ駆動部205が試薬アーム202を回動させ、試薬プローブ203を待機位置から吸引位置に移動させると、試薬プローブ駆動部205が試薬プローブ203を下降させる。制御部41の指示を受けて、電磁弁が作動して、試薬プローブ203により所定の試薬容器201から試薬を吸引させる。
【0089】
(試薬の吐出)
制御部41の指示を受けて、電磁弁が作動し、試薬プローブ駆動部205が試薬プローブ203を上昇させる。試薬アーム202を回動させ、試薬プローブ203が吸引位置から吐出位置に移動させた後に、試薬プローブ駆動部205が試薬プローブ203を下降させる。制御部41の指示を受けて、電磁弁が作動して、試薬プローブ203により所定の反応容器301に試料を吐出させる。
【0090】
(試薬プローブの洗浄、待機位置への移動)
次に、制御部41の指示を受けて、電磁弁が作動し閉じ、試薬プローブ駆動部205が試薬プローブ203を上昇させ、試薬アーム202を回動させ、試薬プローブ203を吐出位置から洗浄位置に移動させ、試薬プローブ203の洗浄を終了した後に、待機位置に移動させる。
【0091】
(攪拌、測定)
以上のように、試料及び試薬が分注された反応容器301を、反応庫用駆動部304によって、測光ユニット190の方へ移動させる。それまでの間、反応容器301内の試料及び試薬は攪拌子(図示省略)によって攪拌される。測光ユニット190は、攪拌後の反応容器301に光を照射して、透過した光から設定波長における吸光度を測定する。
【0092】
前記実施形態では、上下動用ステッピングモータ122Aに所定のパルス数を付与し、段部を液面の位置に通過させる直前で、試料プローブ103の上昇速度を高速から低速に切り換え、段部を液面の位置に通過させた直後に、試料プローブ103の上昇速度を低速から高速に切り換える制御部41が示したが、これに限らない。液面付近が劣化するような試薬に対しては、試薬の液中の中央又は下部から試薬を吸引することが考えられる。例えば、試薬を分注するための試薬プローブ203が段部を有し、段部を試薬の液面より下方に位置させて、試薬の分注をする場合、試料プローブ103と同様に、制御部41が試薬プローブ駆動部205の上下動用ステッピングモータ(図示省略)に所定のパルス数を付与し、段部を液面の位置に通過させる直前で、試薬プローブ203の上昇速度を高速から低速に切り換え、段部を液面の位置に通過させた直後に、試薬プローブ203の上昇速度を低速から高速に切り換える制御部41を設けても良い。
【0093】
また、前記実施形態において、液面位置検出部181の検出信号を受けて、試料プローブ103が下降を開始してから液体の液面に達するまでの所要時間を記憶部42に記憶させる制御部41が示したが、操作部61の操作による前記所要時間の入力を受けて、前記所要時間を記憶部42に記憶させる制御部41でも良い。
【0094】
さらに、前記実施形態では、プローブの上昇期間において、液面の位置を段部が通過する直前から液面の位置を段部が通過した直後までを低速期間とし、それ以外の期間を高速期間としたが、これに限らない。他の実施形態としては、例えば、液面の位置を段部が通過する直前から所定位置までを低速期間とし、それ以外の期間を高速期間としても良く、また、作業位置から液面の位置を段部が通過するまでを低速期間とし、それ以外の期間を高速期間としても良い。それにより、自動分析の一連の動作の効率を大幅に下げないように、段部に洗浄液が付着しにくくすることが可能となる。なお、上記他の実施形態において、前記低速期間における速度は一定である必要はなく、一連の動作の許容可能な効率の範囲内で、速度変化をするものであっても良い。
【0095】
さらに、前記実施形態においては、液面の位置検出をした制御情報又はあらかじめ操作部61により定められた制御情報により試料プローブ駆動部105及び試薬プローブ駆動部205を制御したが、予め定められた初期値により制御しても良い。
【0096】
上記第1実施形態に係る自動分析装置は、試料分注において、試料プローブ103を試料容器101中から上昇させる場合に、仮に、その上昇時の速度が下降時の速度とほぼ同じであると、試料プローブ103の段部108に液体(試料)が付着してしまうが、試料プローブ103の段部108が通過する直前から通過直後の区間で、試料プローブ103を低速で上昇させるようにして、段部108に液体が付着しないように、試料プローブ駆動部105を制御するものであった。
【0097】
しかし、液体は試料プローブ103の段部108に付着するだけでなく、試料プローブ103の下端部109にも付着する場合がある。この場合において、試料プローブ駆動部105の制御構成として、作業位置(図11にa3で示す)から検出又は予め定められた液面の位置に段部108が到達する直前(図11にb1で示す)までの区間の速度、及び、液面の位置を試料プローブ103の下端部109が通過した直後(図11にb4で示す)から所定位置(図11にa1で示す)までの区間の速度に対し、少なくとも、液面の位置に段部108が到達する直前(図11にb1で示す)から液面の位置を段部108が通過するまで(図11にb2で示す)の区間の速度、及び、液面の位置に試料プローブ103の下端部109が到達する直前(図11にb3で示す)から液面の位置を下端部109が通過するまで(図11にb4で示す)の区間の速度を低速とすれば良い。
【0098】
上記の試料プローブ駆動部105の制御をするための実施形態として、次に、この発明の第2実施形態に係る自動分析装置の構成について図11及び図12を参照して説明する。図11は、上昇するときの試料プローブ103の移動速度を示す図、図12は上昇時のプローブの速度線図である。この第2実施形態においては、試料プローブ103の段部108及び下端部109に液体が付着しないように、試料プローブ駆動部105を制御する構成について説明する。
【0099】
前記の第1実施形態において、試料プローブ103を低速から高速に切り替える時は、試料プローブ103の段部108の液面通過直後(図6にb2で示す)であるが、この第2実施形態において、試料プローブ103を低速から高速に切り替える時は、試料プローブ103の下端部109が液面を通過する直後(図11にb4で、図12にt17で示す)である。したがって、試料プローブ103の段部108の液面通過直前(図11にb1で、図12にt13で示す)から試料プローブ103の下端部109の液面通過直後(図11にb4で、図12にt17で示す)の区間は、試料プローブ103を一定の低速で上昇させるように試料プローブ駆動部105を制御する。
【0100】
前述した試料プローブ駆動部105の制御をするための他の実施形態として、次に、この発明の第3実施形態に係る自動分析装置の構成について図13から図16を参照して説明する。図13は、上昇するときのプローブの移動速度を示す図、図14は上昇時のプローブの速度線図、図15は変形例に係る上昇時のプローブの速度線図、図16は他の変形例に係る上昇時のプローブの速度線図である。この第3実施形態においても、試料プローブ103の段部108及び下端部109に液体が付着しないように、試料プローブ駆動部105を制御する構成について説明する。
【0101】
前記第2実施形態においては、試料プローブ103の段部108の液面通過直前から試料プローブ103の下端部109の液面通過直後の区間は、試料プローブ103を一定の低速で上昇させるように試料プローブ駆動部105を制御したが、試料プローブ103を上昇させるとき、例えば、試料プローブ103の下端部109に付着する液体の量が、段部108に付着する液体の量よりも多い場合には、第2実施形態のように試料プローブ103の上昇速度を一定の低速ではなく、試料プローブ103の上昇速度をさらに低速にすれば良い。そこで、第3実施形態に係る試料プローブ駆動部105の制御としては、試料プローブ103の段部108が液面通過直後(図13にb2で、図14にt14で示す)から試料プローブ103の下端部109が液面通過直前(図13にb3で、図14にt16で示す)までの区間を、試料プローブ103の上昇速度の減速区間とするように試料プローブ駆動部105を制御する。図14に、t14からt16の減速区間の減速度αを示す。
【0102】
また、第2実施形態のように試料プローブ103の上昇速度を一定の低速にすると、試料分注において、試料プローブ103の動作の効率が低下する。そこで、低速で上昇させる必要がない区間は、試料プローブ103を高速で上昇させるように試料プローブ駆動部105を制御する。例えば、液面の位置に段部108が到達する直前から液面の位置を段部108が通過するまでの第1区間(図15に示すt13〜t14)と、液面の位置に試料プローブ103の下端部109が到達する直前から液面の位置を下端部109が通過するまでの第2区間(図15に示すt16〜t17)との間(図15に示すt14〜t16)に、試料プローブ103の上昇速度を高速の一定となる第3区間を設けるように試料プローブ駆動部105を制御する。80(m/s)の高速一定の第3区間を図15に示す。なお、前記高速は、低速(例えば、50(m/s)(図15に示すV3の速度)以上であれば良く、100(m/s)(図15に示すV2、V4の速度)以上であっても良い。
【0103】
また、前記第1区間と前記第2区間との間の第3区間が短いために、第3区間に、高速一定となる区間を設けることが困難な場合がある。そこで、第3区間(図16に示すt14〜t16)に、加速区間と減速区間とを設ける。加速区間における加速度α1、及び、減速区間における減速度α2を図16に示す。
【0104】
なお、上記第2実施形態及び第3実施形態において、段部108に付着する液体が微小量であって測定誤差の要因とならない場合、試料プローブ103の下端部109のみに液体が付着しないように、試料プローブ駆動部105を制御すれば良く、試料プローブ03の段部108に液体を付着させないために、試料プローブ103を低速で上昇させるように試料プローブ駆動部105を制御しなくても良い。
【0105】
次に、第4実施態様に係る自動分析装置について、図17から図19を参照して説明する。この第4実施態様に係る自動分析装置は、試料プローブ103の下端部109のみに液体が付着しないように、試料プローブ駆動部105を制御する構成を有する。第4実施形態に係る試料プローブ駆動部105を制御する構成は、第1実施形態において、試料プローブ103の段部108に液体が付着しないように、試料プローブ駆動部105を制御する構成と基本的に同じである。異なる構成としては、試料プローブ103の上昇速度を切り替えるタイミングである。
【0106】
例えば、第1実施形態に係る試料プローブ103の上昇速度の切り替えが、図7(b)に示すタイミングであるのに対し、第4実施形態の一例としては、図17に示すように、作業位置から検出又は予め定められた液面の位置に試料プローブ103の下端部109が到達する直前まで(図17にt16で示す)、試料プローブ103を高速v2で上昇させ、その後、検出又は予め定められた液面の位置を下端部109が通過するまで(図17にt17で示す)、試料プローブ103を高速より下げた低速v3で上昇させ、液面の位置を下端部109が通過した直後(図17にt17で示す)から所定位置(図17にt15で示す)まで、試料プローブ103を低速より上げた高速v4で上昇させる。
【0107】
また、第4実施形態の他の例として、図18に示すように、作業位置から検出又は予め定められた液面の位置に試料プローブ103の下端部109が到達する直前まで(図18にt16で示す)、試料プローブ103を高速v2で上昇させ、その後、所定位置まで(図18にt15で示す)、試料プローブ103を高速より下げた低速v3で上昇させる。
【0108】
さらに、第4実施形態の他の例として、図19に示すように、作業位置から検出又は予め定められた液面の位置を試料プローブ103の下端部109が通過するまで(図19にt17で示す)、試料プローブ103を高速より下げた低速v3で上昇させ、液面の位置を試料プローブ103の下端部109が通過した直後(図19にt17で示す)から所定位置まで(図19にt15で示す)、試料プローブ103を低速より上げた高速v4で上昇させる。
【0109】
以上、第4実施形態に係る試料プローブ駆動部105を制御する構成を説明したが、制御対象は、試薬プローブ203であっても良く、第1から第3実施形態と同様に、試薬プローブ駆動部205を制御して、試薬プローブ203の上昇速度を切り替える場合にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0110】
10 自動分析装置 100 試料庫 101 試料容器(第2容器)
102 試料アーム 103 試料プローブ 104 試料庫用駆動部
105 試料プローブ駆動部 106 軸下部 107 軸上部
108 段部 109 下端部 120 ボールネジ 121 ナット
122 ステッピングモータ 122A 上下動用ステッピングモータ
123 スプライン軸 124 回動機構 125 スプライン側プーリ
127 モータ側プーリ 128 回動用ベルト 129 ブロック
130 試料ラック 180 液面情報入力部 181 液面位置検出部
190 測光ユニット 200 試薬庫
201 試薬容器 202 試薬アーム 203 試薬プローブ
204 試薬庫用駆動部 205 試薬プローブ駆動部 210 試薬庫ケース
300 反応庫 301 反応容器 304 反応庫用駆動部
330 反応ライン
40 駆動制御部 41 制御部 42 記憶部 43 生成部
44 表示制御部 50 表示部 操作部61
701 洗浄槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料及び試薬を反応容器に分注することにより反応溶液を生成し、該反応溶液の成分を分析する自動分析装置において、
前記試料又は前記試薬を分注し、洗浄水により洗浄されるプローブであって、軸状に形成され、軸下部と軸上部との間に外径の大きさが変化するように形成された段部を有するプローブと、
検出又は予め定められた前記試料、前記試薬又は前記洗浄水のいずれかの液体の液面の位置より上方に前記段部を位置させる所定位置から前記液面の位置より下方に前記段部を位置させて、前記液体の吸引又は前記液体による洗浄の各作業を行うための作業位置に前記プローブを下降させる下降制御部と、
前記作業位置から前記液面の位置に前記段部が到達する直前まで、前記プローブを高速で上昇させ、その後、前記液面の位置を前記段部が通過するまで、前記プローブを前記高速より下げた低速で上昇させ、前記液面の位置を前記段部が通過した直後から前記所定位置まで、前記プローブを前記低速より上げた高速で上昇させる上昇制御部と、
を有する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
試料及び試薬を反応容器に分注することにより反応溶液を生成し、該反応溶液の成分を分析する自動分析装置において、
前記試料又は前記試薬を分注し、洗浄水により洗浄されるプローブであって、軸状に形成され、軸下部と軸上部との間に外径の大きさが変化するように形成された段部を有するプローブと、
検出又は予め定められた前記試料、前記試薬又は前記洗浄水のいずれかの液体の液面の位置より上方に前記段部を位置させる所定位置から前記液面の位置より下方に前記段部を位置させて、前記液体の吸引又は前記液体による洗浄の各作業を行うための作業位置に前記プローブを下降させる下降制御部と、
前記作業位置から前記液面の位置に前記段部が到達する直前まで、前記プローブを高速で上昇させ、その後、前記所定位置まで、前記プローブを前記高速より下げた低速で上昇させる上昇制御部と、
を有する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
試料及び試薬を反応容器に分注することにより反応溶液を生成し、該反応溶液の成分を分析する自動分析装置において、
前記試料又は前記試薬を分注し、洗浄水により洗浄されるプローブであって、軸状に形成され、軸下部と軸上部との間に外径の大きさが変化するように形成された段部を有するプローブと、
検出又は予め定められた前記試料、前記試薬又は前記洗浄水のいずれかの液体の液面の位置より上方に前記段部を位置させる所定位置から前記液面の位置より下方に前記段部を位置させて、前記液体の吸引又は前記液体による洗浄の各作業を行うための作業位置に前記プローブを下降させる下降制御部と、
前記作業位置から前記液面の位置を前記段部が通過するまで、前記プローブを前記高速より下げた低速で上昇させ、前記液面の位置を前記段部が通過した直後から前記所定位置まで、前記プローブを前記低速より上げた高速で上昇させる上昇制御部と、
を有する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
前記プローブの前記軸下部は、前記外径が小さく形成され、前記プローブの前記軸上部は、前記外径が大きく形成されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記段部は、フッ素樹脂により被覆されたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項6】
試料及び試薬を反応容器に分注することにより反応溶液を生成し、該反応溶液の成分を分析する自動分析装置において、
前記試料又は前記試薬を分注し、洗浄水により洗浄されるプローブであって、軸状に形成され、軸下部と軸上部との間に外径の大きさが変化するように形成された段部を有するプローブと、
検出又は予め定められた前記試料、前記試薬又は前記洗浄水のいずれかの液体の液面の位置より上方に前記プローブの下端部を位置させる所定位置から前記液面の位置より下方に前記段部を位置させて、前記液体の吸引又は前記液体による洗浄の各作業を行うための作業位置に前記プローブを下降させる下降制御部と、
前記作業位置から前記所定位置まで前記プローブを上昇させるときに、前記作業位置から前記液面の位置に前記段部が到達する直前までの区間の速度、及び、前記液面の位置を前記プローブの下端部が通過した直後から前記所定位置までの区間の速度に対し、少なくとも、前記液面の位置に前記段部が到達する直前から前記液面の位置を前記段部が通過するまでの区間の速度、及び、前記液面の位置に前記プローブの下端部が到達する直前から前記液面の位置を前記下端部が通過するまでの区間の速度を低速とした上昇制御部と、
を有する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
試料及び試薬を反応容器に分注することにより反応溶液を生成し、該反応溶液の成分を分析する自動分析装置において、
前記試料又は前記試薬を分注し、洗浄水により洗浄されるプローブと、
検出又は予め定められた前記試料、前記試薬又は前記洗浄水のいずれかの液体の液面の位置より上方に前記プローブの下端部を位置させる所定位置から前記液面の位置より下方に前記下端部を位置させて、前記液体の吸引又は前記液体による洗浄の各作業を行うための作業位置に前記プローブを下降させる下降制御部と、
前記作業位置から前記液面の位置に前記下端部が到達する直前まで、前記プローブを高速で上昇させ、その後、前記液面の位置を前記下端部が通過するまで、前記プローブを前記高速より下げた低速で上昇させ、前記液面の位置を前記下端部が通過した直後から前記所定位置まで、前記プローブを前記低速より上げた高速で上昇させる上昇制御部と、
を有する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
試料及び試薬を反応容器に分注することにより反応溶液を生成し、該反応溶液の成分を分析する自動分析装置において、
前記試料又は前記試薬を分注し、洗浄水により洗浄されるプローブと、
検出又は予め定められた前記試料、前記試薬又は前記洗浄水のいずれかの液体の液面の位置より上方に前記プローブの下端部を位置させる所定位置から前記液面の位置より下方に前記下端部を位置させて、前記液体の吸引又は前記液体による洗浄の各作業を行うための作業位置に前記プローブを下降させる下降制御部と、
前記作業位置から前記液面の位置に前記下端部が到達する直前まで、前記プローブを高速で上昇させ、その後、前記所定位置まで、前記プローブを前記高速より下げた低速で上昇させる上昇制御部と、
を有する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
試料及び試薬を反応容器に分注することにより反応溶液を生成し、該反応溶液の成分を分析する自動分析装置において、
前記試料又は前記試薬を分注し、洗浄水により洗浄されるプローブと、
検出又は予め定められた前記試料、前記試薬又は前記洗浄水のいずれかの液体の液面の位置より上方に前記プローブの下端部を位置させる所定位置から前記液面の位置より下方に前記下端部を位置させて、前記液体の吸引又は前記液体による洗浄の各作業を行うための作業位置に前記プローブを下降させる下降制御部と、
前記作業位置から前記液面の位置を前記下端部が通過するまで、前記プローブを前記高速より下げた低速で上昇させ、前記液面の位置を前記下端部が通過した直後から前記所定位置まで、前記プローブを前記低速より上げた高速で上昇させる上昇制御部と、
を有する
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
前記上昇制御部は、前記プローブを50mm/sec以下の前記低速で移動させたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項11】
前記低速を、予め定められた範囲内で調整するための操作部を有することを特徴とする請求項10に記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−185645(P2011−185645A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49222(P2010−49222)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】