説明

自動原稿搬送装置、画像読取装置及び原稿搬送方法

【課題】原稿を傷つけることなく画像読取位置に高速に供給して、画像の読取速度を高速化し、画像の生産性向上を図る。
【解決手段】原稿を連続して読み取る場合に、OUTパス16とINパス17の両方を交互に使用する。OUTパス16とINパス17を通過した夫々の原稿の合流時には、先行する原稿の後端と後続の原稿の先端に重なりを持たせる。OUTパス16とINパス17を通過した夫々の原稿を合流後、読取前ローラ50a、50bにより分離して、先行する原稿と後続の原稿の間隔をほぼ0mmとして連続搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は複写機やプリンタ等に用いる画像読取装置に原稿を搬送し、特に高速読取を可能とする自動原稿搬送装置、画像読取装置及び原稿搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置に用いる、スキャナ等の画像読取装置では、画像読取速度の高速化が要求されている。原稿画像の両面読取時の読取速度を速める画像読取装置として、第1の読取位置に原稿を搬送する第1の分岐路と、第2の読取装置に原稿を搬送する第2の分岐路とを備える装置(例えば特許文献1参照)あるいは、第1の搬送路を挟んでスキャナ装置とCIS(Contact Image Sensor)とを設けて、スキャナ装置とCISとを同時に用いて、第1搬送路上を搬送される原稿の両面を読み取る装置(例えば特許文献2参照)が従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−168972号公報
【特許文献2】特開2004−15299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来技術は、いずれも、同じ読取センサを用いて原稿を連続して読み取る場合の、画像読取速度の高速化に対応するものではない。
【0005】
この発明は上記課題を解決するものであり、同じ読取センサにより原稿を連続読取する場合に、原稿を損傷することなく画像読取位置へ高速搬送して、効率的に原稿を読取り、ひいては画像の読取速度を高速化する自動原稿搬送装置、画像読取装置及び原稿搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、この発明は、原稿載置部から第1の画像読取部に達する第1の搬送経路と、前記原稿載置部から前記第1の画像読取部に達し、前記第1の搬送経路と異なる経路を有する第2の搬送経路と、前記原稿載置部からの原稿を前記第1の搬送経路或いは前記第2の搬送経路のいずれかに振り分けるゲート部と、前記ゲート部が、前記原稿載置部からの前記原稿を前記第1の搬送経路或いは前記第2の搬送経路に交互に振り分ける場合に、先行する原稿の後端と後続の原稿の先端とを重ね合わせて搬送する第1の搬送モードを実行する原稿搬送部と、前記後続の原稿の先端が前記第1の画像読取部に到達するまでに、前記先行する原稿の後端と前記後続の原稿の先端との重なりを分離する分離部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、原稿の搬送速度を高速化しないで、原稿の搬送性を高めることにより、画像読取装置の読取速度の高速化、ひいては画像読取装置を用いる画像形成装置による画像の生産性を向上できる。又、原稿を連続して搬送ときに、先行する原稿と後続の原稿とが干渉し合って、原稿の端部に損傷を生じるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施例の画像読取装置を概略的に示す構成図である。
【図2】この発明の実施例のOUTパス及びINパスを概略的に示す構成図である。
【図3】この発明の実施例の読取前ローラを概略的に示す構成図である。
【図4】この発明の実施例のADFの制御系を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施例の電源オンから原稿の給紙開始までを示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施例の原稿を給紙してOUT搬送部に搬送するまでを示すフローチャートである。
【図7】この発明のOUT搬送部を使用する原稿の搬送を示すフローチャート;
【図8】この発明の実施例の画像の読取開始から、中間IN/OUTモータの停止までを示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施例の中間IN/OUTモータの停止から、読取前ローラ停止までを示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施例のIN搬送部を使用する後続の原稿の搬送を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施例の搬送の完了を示すフローチャートである。
【図12】この発明の実施例の1枚目の原稿の給紙開始時を示す説明図である。
【図13】この発明の実施例の1枚目の原稿のOUT搬送部への搬送時を示す説明図である。
【図14】この発明の実施例の1枚目の原稿のOUT搬送部での待機を示す説明図である。
【図15】この発明の実施例の2枚目の原稿の給紙開始時を示す説明図である。
【図16】この発明の実施例の2枚目の原稿のIN搬送部への搬送を示す説明図である。
【図17】この発明の実施例の1枚目と2枚目の原稿の搬送の重なりを示す説明図である。
【図18】この発明の実施例の1枚目と2枚目の原稿の分離を示す説明図である。
【図19】この発明の実施例の読取前ローラによる2枚目の原稿の搬送を示す説明図である。
【図20】この発明の実施例の3枚目の原稿の給紙開始時を示す説明図である。
【図21】この発明の実施例の3枚目の原稿のOUT搬送部への搬送時を示す説明図である。
【図22】この発明の実施例の2枚目と3枚目の原稿の搬送の重なりを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明は、複数の搬送部を用いて、原稿の第1面を読取る画像読取部に原稿を搬送する。
【実施例】
【0010】
図1乃至図22を参照してこの発明の実施例を説明する。図1は実施例の画像読取装置100を示す。画像読取装置100は、画像読取部であるスキャナ110と、このスキャナ110に原稿Gを搬送する自動原稿搬送装置(ADF)10を有する。スキャナ110は、READ原稿ガラス110aと、プラテンガラス110bとを備える。スキャナ110の光学機構110cは、READ原稿ガラス110a上を走行する原稿Gの画像を光学的に読み取る。或いは光学機構110cは、プラテンガラス110bに沿って、図示しない駆動手段により矢印A方向(図1参照)に移動して、プラテンガラス110b上に載置される原稿Gの画像を光学的に読み取る。スキャナ110は、光学機構110cからの光信号を電気信号に光電変換するCCD(Charge Coupled Device)110dを有する。
【0011】
ADF10は、原稿載置部である原稿トレイ11、原稿トレイ11から原稿Gを取り出すピックアップローラ12、原稿Gを1枚ずつ分離して給紙するための分離給紙ローラ13、分離給紙ローラ13により給紙される原稿Gの先端を揃えるレジストローラ(RGTローラ)14を有する。ADF10は、第1の搬送経路であり、RGTローラ14から、スキャナ110に達するOUTパス16と、第2の搬送経路であり、RGTローラ14から、スキャナ110に達するINパス17の2つのパスを有する。OUTパス16は中間OUTローラ18を有し、INパス17は中間INローラ28を有する。
【0012】
ADF10は、RGTローラ14を通過した原稿Gを、OUTパス16あるいはINパス17のいずれかに振り分けるゲート40を有する。ピックアップローラ12、分離給紙ローラ13、RGTローラ14、ゲート40、中間OUTローラ18及び中間INローラ28は、原稿搬送部を構成する。
【0013】
ADF10は、OUTパス16あるいはINパス17を通る原稿Gを、スキャナ110のREAD原稿ガラス110a上に搬送する分離部である読取前ローラ50を有する。読取前ローラ50の第1のローラ50aと第2のローラ50bは、相互に従動回転する。第1のローラ50aを駆動回転すると、第2のローラ50bは第1のローラ50aと従動回転する。第2のローラ50bを駆動回転すると、第1のローラ50aは第2のローラ50bと従動回転する。読取前ローラ50は、チェンジ機構50cにより、第1のローラ50aと第2のローラ50bの駆動を切り替える。
【0014】
図2に示すように、OUTパス16は、円弧状の第1の搬送路である第1の搬送経路16aを有する。OUTパス16は、第1の搬送経路16aの端部から読取前ローラ50に達する第1の搬送部16bを有する。INパス17は、円弧状の第2の搬送路である第2の搬送経路17aを有する。INパス17は、第2の搬送経路17aの端部から読取前ローラ50に達する第2の搬送部17bを有する。INパス17の第2の搬送経路17aの曲率半径は、OUTパス16の第1の搬送経路16aの曲率半径より小さい。第1の搬送部16bと第2の搬送部17bの一部は、共通搬送部20を構成する。共通搬送部20は、第1の搬送経路16aと第2の搬送経路17aから搬送された原稿Gの原稿ガラス110aにおける姿勢の差が極少になるよう、例えば長さ30mmに設定される。共通搬送部20の読取前ローラ50側端部は、読取前ローラ50の第1のローラ50aと第2のローラ50b間のニップ位置における接線とほぼ並行に形成される。
【0015】
ADF10は、READ原稿ガラス110aから原稿Gを排出する読取後ローラ51、排紙前ローラ52、排紙ローラ53及び、排紙トレイ56を有する。読取後ローラ51、排紙前ローラ52及び排紙ローラ53は、排紙部を構成する。読取後ローラ51から排紙前ローラ52に至る間には、第2の画像読取部である、コンタクトイメージセンサ(CIS)60が配置される。このCIS60は、排紙前ローラ52から排紙ローラ53に至る搬送路中に配置しても良い。
【0016】
スキャナ110は、READ原稿ガラス110a上を走行する原稿Gの第1面である表面の画像を読み取る。CIS60は、走行する原稿Gの第2面である裏面の画像を読み取る。これにより原稿Gは、原稿トレイ11から、READ原稿ガラス110aを経て排紙トレイ56に至る搬送路を1回通過するのみで、両面の画像の読み取りが可能になる。
【0017】
原稿トレイ11には、原稿Gの有無を検知するエンプティセンサ70が設けられ、分離給紙ローラ13からRGTローラ14の間には、RGTローラ14への原稿Gの到達を検知するレジストセンサ(RGTセンサ)71が設けられる。OUTパス16には、OUTパス16内を通過する原稿Gを検知するタイミングセンサOUT72が設けられる。INパス17には、INパス17内を通過する原稿を検知するタイミングセンサIN73が設けられる。RGTセンサ71に隣接する位置には、原稿Gの厚さを検知する超音波センサ74が備えられる。
【0018】
読取前ローラ50からREAD原稿ガラス110aに達するまでの間には、読取前センサ76が設けられ、読取後ローラ51から排紙前ローラ52に達するまでの間には、読取後センサ77が設けられる。排紙前ローラ52から排紙ローラ53に達する間には、排紙センサ78が設けられる。
【0019】
ピックアップローラ12及び分離給紙ローラ13は、給紙モータ80に駆動されて回転する。ピックアップローラ12は、ピックアップソレノイド81により揺動される。RGTローラ14は、レジストモータ(RGTモータ)82に駆動されて回転する。ゲート40は、ゲートソレノイド83により切り替え操作される。ゲートソレノイド83をオフすると、ゲート40は、矢印x方向に回動して、原稿GをOUTパス16側に振り分ける。ゲートソレノイド83をオンすると、ゲート40は、矢印y方向に回動して、原稿GをINパス17側に振り分ける。
【0020】
中間OUTローラ18は、中間OUTモータ84に駆動され回転する。中間INローラ28は、中間INモータ86に駆動され回転する。読取前ローラ50は、読取前ローラモータ89に駆動され回転する。読取後ローラ51及び排紙前ローラ52は、READモータ87に駆動され回転する。排紙ローラ53は、排紙モータ88に駆動され回転する。
【0021】
読取前ローラモータ89は、チェンジ機構50cを介して、読取前ローラ50の駆動を切り替える。図3に示すようにチェンジ機構50cは、読取前ローラモータ89の駆動ギアと噛み合う第1の駆動入力ギア57aと、第2の駆動入力ギア57bを有する。第1の駆動入力ギア57aは、クラッチスプリングの第1のスプリング58aを介して第1のローラ50aが固着されている第1のシャフト61aに連結する第1のボス62aを駆動する。第2の駆動入力ギア57bは、クラッチスプリングの第2のスプリング58bを介して第2のローラ50bが固着されている第2のシャフト61bに連結する第2のボス62bを駆動する。第1の駆動入力ギア57aの回転により、第1のローラ50aは、矢印m方向に回転する。第2の駆動入力ギア57bの回転により、第2のローラ50bは、矢印n方向に回転する。尚、分離部を構成する第1および第2のスプリング58a、58bは、各々のスプリングが装着されている読取前ローラ50が従動ローラとなった場合にはトルクリミッタとして機能する。上述のように、第1のローラ50aが駆動ローラとしてm方向に回動する時、ローラ50aと50bの間に原稿が1枚、若しくは無い場合には、スプリング58bは空転し、第2のローラ50bは従動ローラとなる。ローラ50aと50bの間に先行する原稿の後端と後続原稿の先端が重なり合って進入した場合には、第2のスプリング58bの空転トルクによって、第2のローラ50aが重なり合った原稿を分離する。また、第2のローラ50bが駆動ローラとしてn方向に回動する場合には、上述と同様の作用(仕組み)で、第1のローラ50aが分離ローラとして機能する。
【0022】
図4に、ADF10を主体にした制御系120のブロック図を示す。画像読取装置100を含む例えば画像形成装置の全体を制御する本体制御部121にはスキャナ110のCCD110d、CIS60が接続される。本体制御部121は、入出力インタフェース122を介してADF10のCPU130を制御する。CPU130の入力側には、エンプティセンサ70、RGTセンサ71、タイミングセンサOUT72、タイミングセンサIN73、読取前センサ76、読取後センサ77及び、排紙センサ78が接続される。
【0023】
CPU130の出力側にはピックアップソレノイド81、給紙モータ80、RGTモータ82、ゲートソレノイド83、中間OUTモータ84、中間INモータ86、READモータ87及び、排紙モータ88、読取前ローラモータ89、チェンジ機構50cが接続される。
【0024】
図5−図11に示すフローチャートを用いて、ADF10の搬送プロセスについて説明する。搬送プロセスは第1の搬送モードを実施する。第1の搬送モードは、原稿GをOUTパス16とINパス17に交互に振り分けて連続して搬送する。第1の搬送モードは、先行する原稿の後端と後続する原稿の先端とを重ね合わせて、読取前ローラ50に搬送する。電源をオンした後、ACT200で、ADF10がプラテンガラス110b上で閉じていることを確認し、ACT201で全センサを検知して、ADF10に紙詰まりが無いことを確認する。ACT202で原稿Gを原稿トレイ11に載置するとエンプティセンサ70がオンし、本体制御部121に原稿オン信号を送信する。ACT203で、本体制御部121から給紙要求信号を受信するのを待って、給紙要求信号を受信したら、ACT204で、読取モードを設定し、ACT206に進む。両面読取モードを設定するとACT205で、第2の画像読取部CIS60をオンして原稿読取可能状態にして、ACT206に進む。
【0025】
ACT206でピックアップソレノイド81をオンし、給紙モータ80をオンしてピックアップローラ12及び分離給紙ローラ13を回転し、1枚目の原稿G1の給紙動作を開始する。ACT207でRGTセンサ71がオンすると、原稿G1を一定時間搬送した後給紙モータ80をオフしゲートソレノイド83をオフする(ACT208)。図12に示すように1枚目の原稿G1は、RGTローラ14に当たり、先端位置を整位されて停止する。ゲート40は、1枚目の原稿G1をOUTパス16に振り分ける方向に設定される。ACT210で一定時間を経過してもRGTセンサ71がオンしない場合は、原稿G1が紙詰まりを生じたと判断する。
【0026】
ACT207でRGTセンサ71がオンした後、1枚目の原稿G1の搬送プロセスとは別に、割り込み処理として、2枚目の原稿G2の給紙プロセスが並行してスタートする。2枚目の原稿G2は、1枚目の原稿G1の後端がRGTセンサ71を抜けるまで、給紙プロセスを待機する。ACT300で、RGTセンサ71が、オンからオフに変化した後(ACT300でYes)、ACT302に進む。ACT302で、原稿Gが奇数枚目であれば(ACT302でYes)あれば、ACT303に進む。ACT303で、INパス17通過のための調整時間T2を経過するのを待って(ACT303でYes)、ACT206に進む。ACT302で、原稿Gが偶数枚目であれば(ACT302でNo)あれば、ACT304に進む。ACT304で、OUTパス16通過のための調整時間T1を経過するのを待って(ACT304でYes)、ACT206に進む。ACT301で一定時間を経過してもRGTセンサ71がオンからオフに変化しない場合は、原稿G1が紙詰まりを生じたと判断する。
【0027】
調整時間は、あらかじめCPU130のメモリ130aに設定される。調整時間は、OUTパス16とINパス17の共通搬送部20における先行する原稿の後端と、後続の原稿の先端との重なり量を決定する。例えば初期値として、重なり量がL1となるように、OUTパス16とINパス17の調整時間を設定する。OUTパス16を通過する場合の調整時間をT1、INパス17を通過する場合の調整時間をT2と設定する。調整時間は、原稿の紙質、あるいは必要とする重なり量に応じて調整可能である。
【0028】
例えば調整時間を、OUTパス16あるいはINパス17を通過する原稿の夫々のすべり量を測定して調整する場合について述べる。イニシャルとして、調整時間T1としたときの、OUTパス16の原稿のすべり量を、原稿の種類、あるいはサイズごとに設定する。イニシャルとして、調整時間T2としたときの、INパス17の原稿のすべり量を、原稿の種類、あるいはサイズごとに設定する。イニシャル時の原稿のすべり量を、RGTセンサ71からタイミングセンサOUT72まで、あるいはRGTセンサ71からタイミングセンサIN73までの、原稿のイニシャルの搬送時間に換算してメモリに記憶する。
【0029】
ADF10での原稿搬送時、OUTパス16を通過する原稿の、RGTセンサ71からタイミングセンサOUT72までの原稿の搬送時間を測定する。メモリ130aに記憶されるイニシャルの搬送時間と測定時間を比較する。
【0030】
比較した結果、OUTパス16内での原稿のすべり量が大きく、測定時間がイニシャルの搬送時間より長い場合は、ACT304の調整時間を、T1より短縮する。ピックアップローラ12による取り出し時間を速めて、OUTパス16を通過する原稿が、すべって、搬送時間が長くなった場合でも、タイミングセンサOUT72に到達する時間が一定となるように調整する。比較した結果、OUTパス16内での原稿のすべり量が小さく、測定時間がイニシャルの搬送時間より短い場合は、ACT304の調整時間を、T1より長くしてピックアップローラ12による取り出し時間を遅くする。原稿がタイミングセンサOUT72に到達する時間が一定となるように調整する。
【0031】
比較した結果、INパス17内での原稿のすべり量が大きく、測定時間がイニシャルの搬送時間より長い場合は、ACT303の調整時間を、T2より短縮する。ピックアップローラ12による取り出し時間を速めて、INパス17を通過する原稿が、すべって、搬送時間が長くなった場合でも、タイミングセンサIN73に到達する時間が一定となるように調整する。比較した結果、INパス17内での原稿のすべり量が小さく、測定時間がイニシャルの搬送時間より短い場合は、ACT303の調整時間を、T2より長くしてピックアップローラ12による取り出し時間を遅くする。原稿がタイミングセンサIN73に到達する時間が一定となるように調整する。
【0032】
ACT303及びACT304の調整時間を調整することにより、OUTパス16あるいはINパス17を通過する原稿が、夫々タイミングセンサOUT72あるいはタイミングセンサIN73に到達する時間を一定にし、OUTパス16とINパス17の共通搬送部20における原稿重なり量を一定にする。原稿の重なり量がずれて、原稿端部がぶつかり合い干渉するのを確実に防止し、原稿端部の損傷を確実に防止する。
【0033】
ACT211で一定時間を経過し、原稿G1が奇数枚目なので(ACT212でYes)、RGTモータ82と中間OUTモータ84をオンして、RGTローラ14と中間OUTローラ18を回転する(ACT214)。中間OUTローラ18をRGTローラ14の回転速度に合わせて、RGTローラ14と中間OUTローラ18を等速で回転する。図13に示すように1枚目の原稿G1は、ゲート40に振り分けられてOUTパス16に進む。
【0034】
原稿G1によりタイミングセンサOUT72がオンしたら(ACT215でYes)、RGTモータ82と中間OUTモータ84を、一定パルス数駆動して停止する(ACT216)。図14に示すように1枚目の原稿G1は、読取前ローラ50の手前で停止する。ACT217で一定時間を経過してもタイミングセンサOUT72がオンしない場合は、原稿G1が紙詰まりを生じたと判断する。
【0035】
ACT218で、本体制御部121から搬送要求信号を受信するのを待って、搬送要求信号を受信すると(ACT218で、Yes)、ACT219に進む。ACT219で、本体制御部121は、1枚目の原稿G1の場合(ACT219で、Yes)、読取前センサ76がOFFしているためスキャナ110が読取可能であると判断し、ACT221に進む。ACT221では、中間OUTモータ84を駆動して中間OUTローラ18を回動し、読取前ローラモータ89を駆動してチェンジ機構50Cを介して読取前ローラ50(50b)を回動する。本体制御部121から要求された搬送速度で駆動して、ACT223に進む。
【0036】
読取前センサ76が1枚目の原稿G1の先端を検知しONすると(ACT223で、Yes)、ACT226に進む。ACT226で、CPU130は、READモータ87を駆動して読取後ローラ51、排出前ローラ52を回動する。
【0037】
1枚目の原稿G1の場合、ACT226で、READモータ87オンして、本体制御部121の指示に従った速度(読取速度)で、読取後ローラ51及び排紙前ローラ52を回転する。
【0038】
1枚目を除く奇数枚目の原稿(ACT219で、No)の場合、例えば、図21に示すように3枚目の原稿G3搬送に際し、先行する2枚目の原稿G2により読取前センサ76がON状態である。このような時、本体制御部121は、先行する原稿G2の読取処理中のため一定時間経過(ACT220で、Yes)してから待機中の原稿G3の搬送要求信号を有効にし、ACT222で、中間OUTモータ84を駆動して中間OUTローラ18を回動し、チェンジ機構50cを介して読取前第2のローラ50bを回動して,ACT224に進む。読取前センサ76が先行する原稿G2の後端を検知(センサーOFF)し、原稿G3の先端を検知(センサON)すると(ACT224で、Yes),ACT227に進む。所定時間経過して読取前センサ76がOFFしなければ(ACT225で,Yes)、本体制御部121は、先行する原稿G2が紙詰まりを生じたと判断する。ACT227で、先行する原稿Gを搬送しているREADモータ87を継続して駆動して、ACT230に進む。
【0039】
先行する偶数枚目の原稿Gがある(ACT219で、No)場合には、ACT222において、チェンジ機構50cを介して第2のローラ50bを駆動ローラとしてn方向に回動を切替えると、第1のスプリング58aの空転トルクによって第1のローラ50aが分離ローラとして機能する。先行する原稿Gの後端が読取前ローラ50を通過するタイミングと、1枚目を除く奇数枚目の原稿Gの先端が読取前ローラ50により搬送を開始するタイミングを一致させると、1枚目を除く奇数枚目の原稿Gに先行する偶数枚目の原稿Gの後端との距離が0mmに近い状態で、READ原稿ガラス110aに搬送される。
【0040】
1枚目の原稿G1を一定距離搬送したら(ACT230でYes)、読取開始信号を本体制御部121に送信する。本体制御部121により、スキャナ110は原稿G1の表面の画像読取を開始する(ACT231)。
【0041】
並行して、ACT300-ACT304の割り込み処理を経て、ACT206で2枚目の原稿G2の給紙が行われる。1枚目の原稿G1の後端がRGTセンサ71を抜けて、RGTセンサ71がオンからオフに変化すると(ACT300でYes)、図15に示すように、1枚目の原稿G1は、READ原稿ガラス110a上を走行する。スキャナ110は、1枚目の原稿G1の画像読取を行う。2枚目の原稿G2は、ピックアップローラ12により原稿トレイ11から取り出された後(ACT206)、RGTローラ14に当接して、先端位置を整位されて停止する。(2枚目の原稿G2は、原稿トレイ11から取り出された後、RGTセンサ71をオンし(ACT207)、ACT208、ACT211を経て、ACT212に達する。)
2枚目の原稿G2が偶数枚目なので(ACT212でNo)、ACT250に進む。ACT250ではゲートソレノイド83をオンして、ゲート40を矢印y方向に回転する(図16参照)。ゲート40を2枚目の原稿G2をINパス17に振り分ける方向に切り替える。次にACT251で、RGTモータ82と中間INモータ86をオンして、RGTローラ14と中間INローラ28を回転する。中間INローラ28をRGTローラ14の回転速度に合わせて、RGTローラ14と中間INローラ28を等速で回転する。図16に示すように2枚目の原稿G2は、ゲート40に振り分けられてINパス17に進む。
【0042】
1枚目の原稿G1は、ACT231にて、READ原稿ガラス110a上の走行を継続して、スキャナ110による画像読取を継続する。1枚目の原稿G1は、読取後ローラ51及び排紙前ローラ52を経て排紙ローラ53方向に搬送される。
【0043】
1枚目の原稿G1が、読取後センサ77をオンすると(ACT232)、原稿Gが1枚目(ACT233で、Yes)の時は、ACT234に進む。原稿Gが1枚目を除く奇数枚目あるいは、偶数枚目の場合(ACT233で、No)、先行する原稿を搬送排出するために、既に排紙モータ88は駆動されているので、ACT236に進む。1枚目の原稿G1の場合、ACT234で、排紙モータ88を駆動して、排紙ローラ53を回転する。両面読取モードが設定されている場合(ACT236でYesの場合)は、ACT237に進む。ACT237では、排紙方向に搬送される1枚目の原稿G1の裏面の画像をCIS60で読取る。1枚目の原稿G1が、読取後センサ77ONしてから一定時間経過して(ACT238でYes)、排紙センサ78をオン(ACT239でYes)した後、ACT240aへ進む。ACT240aでは、奇数枚目の原稿Gの場合は、中間OUTモータ84を停止し、偶数枚目の原稿の場合は、中間INモータ86を停止し、ACT241へ進む。排紙センサ78がOFF(ACT239でNo)の時、所定時間経過しても排紙センサ78がONしないと(ACT240bでYesの場合)、本体制御部121は原稿Gがジャムしたと判断する。
【0044】
スキャナ110或いはCIS60による1枚目の原稿G1の表面、或いは両面の画像読取を終了後、排紙ローラ53により排紙トレイ56に排出される。
【0045】
本体制御部121は、排紙センサ78がONした時に、タイミングセンサIN73/OUT72ともにOFFの場合(ACT241およびACT242でYes)、最終原稿と判断する。読取後センサ77がOFF(ACT243で、Yes)した後に、ACT244で、読取前ローラモータ89を停止させて、ACT270に進む。後続の原稿Gが搬送経路OUT16/IN17のいずれかに存在し、タイミングセンサOUT72/IN73のいずれかがONしている場合は(ACT241、ACT242のいずれかがNo)、後続の原稿Gの搬送動作が継続される。原稿Gが最終原稿でない場合、割り込み処理を経て、OUTパス16による原稿Gの搬送)、INパス17による原稿Gの搬送を交互に繰り返す。
【0046】
なお本実施形態では、最終原稿と判断するとACT244で、読取前ローラモータ89を停止させるが、原稿Gが排出完了してから後述するACT273で、全モータとソレノイドを停止させても良い。
【0047】
並行して、2枚目の原稿G2(偶数枚目の原稿G)は、ACT252でタイミングセンサIN73がオンしたら、RGTモータ82と中間INモータ86を、一定パルス数駆動して停止する(ACT253)。2枚目の原稿G2は、読取前ローラ50の手前で停止する。ACT254で一定時間を経過してもタイミングセンサIN73がオンしない場合は、2枚目の原稿G2が紙詰まりを生じたと判断する。ACT255で、本体制御部121から2枚目の原稿G2の搬送要求信号を受信するのを待って(ACT255で、Yes)、ACT256に進む。
【0048】
先行する原稿G(1枚目の原稿G1或いは、奇数枚目の原稿G)の先端が、読取前センサ76をオンした後、所定時間を経過したら(ACT256で、Yes)、ACT257に進む。ACT257で、中間INモータ86を駆動して中間INローラ28を回動し、チェンジ機構50Cを介して、読取前ローラ50を回動する。2枚目の原稿G2(偶数枚目の原稿G)は、本体制御部121から要求された搬送速度で搬送して、ACT258に進む。
【0049】
ACT257で、チェンジ機構50cは、読取前ローラ50の第1のローラ50aと第2のローラ50bの、駆動と従動をチェンジする。チェンジ機構50cは、第1のローラ50aを矢印m方向に駆動ローラとして回動し、第2のローラ50bをフリーとする。2枚目の原稿G2の先端が読取前ローラ50に到達するまでは、第2のローラ50bは、読取前ローラ50を通過する原稿G1に従動して矢印n方向に回転する。
【0050】
ACT258で、読取前センサ76が先行する原稿G(1枚目、又は奇数枚目)の後端を検知(センサ76がOFF)し、2枚目の原稿G2(偶数枚目の原稿G)の先端が読取前センサを検知(ON)したら(ACT258で、Yes)、ACT260へ進む。ACT260で、READモータ87を継続して駆動し、ACT230に進む。ACT259で、所定時間経過しても読取前センサ76がONしない場合は(ACT259で、Yes),本体制御部121は原稿Gがジャムしたと判断する。
【0051】
図17に示すように、後続の原稿(2枚目の原稿G2、若しくは偶数枚目の原稿G)の先端は、第2の搬送経路17aを抜けた後、先行する原稿(1枚目の原稿G1)の後端とL1の重なり量で重なる。先行する原稿と後続の原稿の合流時に、先行する原稿の後端と後続の原稿の先端とがぶつかることが無く、原稿端部が損傷するのを防止できる。
【0052】
1枚目の原稿G1の後端と2枚目の原稿G2の先端(若しくは、奇数枚目の原稿Gの後端と偶数枚目の原稿Gの先端)との重なり部分が到達すると、読取前ローラ50は、第2のスプリング58bの空転トルクにより、原稿の分離操作を行う。重なり部分が到達すると、1枚目の原稿G1の後端は、第1のローラ50aにより搬送を継続する。2枚目の原稿G2の先端は、第2のローラ50bにより多重送りを防止される。2枚目の原稿G2(偶数枚目の原稿G)は、1枚目の原稿G1の後端が読取前ローラ50位置を抜けると、矢印m方向に駆動回転する第1のローラ50aにより、READガラス110a方向に搬送される。
【0053】
図18に示すように、読取前ローラ50により、1枚目の原稿G1の後端と2枚目の原稿G2の先端は、重なりを分離される。読取前ローラ50により、2枚目の原稿G2は、図19に示すように、READガラス110a方向に搬送される。2枚目の原稿G2の先端β1と1枚目の原稿G1の後端α1との距離を、ほぼ0mmに近接して、2枚目の原稿G2をREADガラス110a方向に供給できる。READガラス110a上での画像の読み取り速度の高速化を図れる。
【0054】
OUTパス16を通過して読取前ローラ50に搬送される原稿G及び、INパス17を通過して読取前ローラ50に搬送される原稿Gは、夫々読取前ローラ50の上流側に隣接する第1の搬送部16bあるいは第2の搬送部17b(共通搬送部20)を通過する。原稿Gは、第1の搬送部16bあるいは第2の搬送部17bを通過することにより、第1の搬送経路16aあるいは第2の搬送経路17aで生じたカールを矯正される。読取前ローラ50を通過した原稿G先端は、カールを原因とする、READ原稿ガラス110a上での浮き上がりを解消され、安定した画質を得られる。
【0055】
原稿Gは、OUTパス16を通過する場合とINパス17を通過する場合とで、途中の通過条件が異なる。但し、OUTパス16あるいはINパス17を通過する原稿Gは、いずれも、長さ30mmの共通搬送部20を経由して、読取前ローラ50に搬送される。OUTパス16あるいはINパス17を通過する原稿Gは、いずれも、読取前ローラ50に導入される角度が同じになる。従って、OUTパス16あるいはINパス17のいずれを通過しても、原稿Gが読取前ローラ50を抜けるときの引き抜き負荷が同じになる。この結果、OUTパス16あるいはINパス17のいずれを通過しても、READガラス110a上を搬送される原稿Gのすべり量は一緒になり安定した画質を得られる。
【0056】
ACT260で、READ原稿ガラス110aに搬送される2枚目の原稿G2は、一定距離搬送後(ACT230)、スキャナ110により表面の画像読取を開始される(ACT231)。2枚目の原稿G2の後端がRGTセンサ71を抜けて、RGTセンサ71がオンからオフに変化すると、並行して、3枚目の原稿G3の給紙の割り込み処理が開始される。図20に示すように1枚目の原稿G1は、排紙ローラ53により排紙トレイ56方向に排紙され、2枚目の原稿G2は、READ原稿ガラス110a上を走行し、3枚目の原稿G3は、RGTローラ14に当接して、先端位置を整位されて停止する。
【0057】
3枚目の原稿G3は、2枚目の原稿G2の後端がRGTセンサ71を抜けて、RGTセンサ71が、オンからオフに変化すると(ACT300でYes)、ACT304の調整時間を経過するのを待って、ACT206に進む。3枚目の原稿G3は、ピックアップローラ12により原稿トレイ11から取り出された後(ACT206)、RGTローラ14に当接して、先端位置を整位されて停止する。(3枚目の原稿G3は、原稿トレイ11から取り出された後、RGTセンサ71をオンし(ACT207)、ACT208、ACT211を経て、ACT212に達する。)
ACT212では、3枚目の原稿G3が奇数枚目なので(ACT212でYes),ACT214に進む。ACT208では、ゲートソレノイド83がオフされて、ゲート40は、矢印x方向に回転され、3枚目の原稿G3をOUTパス16に振り分ける方向に切り替えられている。ACT214では、RGTローラ14と中間OUTローラ18を回転して、3枚目の原稿G3を、OUTパス16に搬送する。図21に示すように1枚目の原稿G1は、排紙トレイ56に載置され、2枚目の原稿G2は、READ原稿ガラス110a上を走行して排紙センサ78をオンし、3枚目の原稿G3は、OUTパス16内で、読取前ローラ50の手前で停止する。
【0058】
この後、3枚目の原稿G3は、ACT219で、Noのため、先行する原稿G2が読取前センサ76をONしてから所定時間経過すると、ACT222で中間OUTモータ84をオンし中間OUTローラ18を回動し、チェンジ機構50cを介して読取前ローラ50bを回動して、ACT224に進む。ACT224で、先行する原稿G2の後端を検知し、3枚目の原稿G3の先頭を検知したら(ACT224で、Yes)、ACT227に進む。ACT224で所定の時間経過しても読取前センサ76がONしない場合(ACT225で、Yes)、本体制御部121は原稿Gがジャムしたと判断する。
【0059】
3枚目の原稿G3を搬送する場合は、ACT227で、本体制御部121の指示に従った速度で、中間OUTローラ18、読取前ローラ50、読取後ローラ51及び排紙前ローラ52を継続して回転する。ACT222で、チェンジ機構50cは、読取前ローラ50の第1のローラ50aと第2のローラ50bの、駆動と従動をチェンジする。チェンジ機構50cにより、第2のローラ50bを矢印n方向に駆動回転して、第1のローラ50aをフリーとする。読取前ローラ50は、2枚目の原稿G2と3枚目の原稿G3の重なり部分の分離操作を行う。読取前ローラ50は、2枚目の原稿G2の後端を搬送した後、3枚目の原稿G3をREADガラス110a方向に搬送する。
【0060】
上述したように、読取前ローラ50により、2枚目の原稿G2の後端と3枚目の原稿G3の先端は、重なりを分離される。3枚目の原稿G3のREADガラス110a方向への搬送時、2枚目の原稿G1の後端と3枚目の原稿G3の先端との距離は、ほぼ0mmに近い状態となる。図22に示すように、後続の3枚目の原稿G3の先端は、第1の搬送経路16aを抜けた後、先行する2枚目の原稿G2の後端とL1の重なり量で重なり、先行する原稿との合流時に、先行する原稿と後続の原稿の端部がぶつかることが無く、原稿の損傷を防止できる。3枚目以降の奇数枚目の原稿Gも、上述のフローチャートに沿って搬送が繰り返される。
【0061】
原稿Gが最終原稿であり、原稿Gが搬送されて、その後端が排出前ローラ52を抜けた後に、排紙センサ78がオフしたら(ACT271で、Yes)、排紙ローラ53により最終原稿を一定距離搬送したら(ACT272で、Yes)、READモータ87及び排紙モータ88とソレノイドをオフし(ACT273)、ADF10の原稿搬送を完了する。
【0062】
上述した本実施の形態では、読取前ローラモータの駆動をチェンジ機構50を介して読取前第1ローラ50aと、第2ローラ50bの駆動を切り替えるが、READモータの駆動伝達部にチェンジ機構50cを介在して切替え可能に構成し、上述のACT221、222およびACT257でチェンジ機構を動作させて、分離操作を行ってもよい。
【0063】
ADF10は、所定値以上の厚さの原稿を搬送する場合に、第2の搬送モードでの原稿の搬送を実施する。第2の搬送モードは、OUTパス16及びINパス17の両方を使用しないで、第2の搬送経路17aに比べて、第1の搬送経路16aの半径が大きいOUTパス16のみを用いて原稿Gを搬送する。
【0064】
例えば原稿Gがポストカードあるいは封筒等であり、超音波センサ74の検知結果が、所定値より厚い場合、ゲートソレノイド83をオフの状態で維持する。ゲート40の矢印x方向への回動を維持して、原稿Gを常にOUTパス16側に振り分ける。原稿Gが厚い場合、より半径の大きいOUTパス16を通過させることにより、パス内で原稿Gにかかる負荷を軽減できる。特に、パス内部に段差等がある場合でも、段差に原稿が引っかかって、紙詰まりを生じたりする恐れも無く、より良好な搬送性を得られる。尚、第2の搬送モードの設定は、超音波センサ等の測定結果に応じて設定するのみならず、コントロールパネル等から入力設定しても良い。又、第2の搬送モードにより搬送する原稿は、厚さが厚い原稿に限定されない。例えば、張りの強い原稿の場合等でも、第2の搬送モードで搬送することにより、搬送時に原稿にかかる負荷を軽減でき、より良好な搬送性を得られる。
【0065】
この実施例によれば、第1の搬送モードにおいて、原稿Gを連続して読み取る場合に、OUTパス16とINパス17の両方を交互に使用する。OUTパス16とINパス17を通過した夫々の原稿Gの合流時には、先行する原稿の後端と後続の原稿の先端に重なりを持たせる。これにより、夫々のパスを通過した原稿の合流時に、端部がぶつかって、原稿が損傷するのを防止できる。OUTパス16とINパス17を通過した夫々の原稿Gを合流後、読取前ローラ50により分離する。先行する原稿と後続の原稿の間隔をほぼ0mmとして連続搬送できる。原稿Gの搬送速度を高速化しなくても、ADF10による原稿の搬送性を高められ、スキャナ110による画像読取速度、ひいてはスキャナ110を用いる画像形成装置の生産性を向上出来る。しかも搬送速度を高速化した場合に生じる原稿Gの損傷を防止することができる。
【0066】
OUTパス16あるいはINパス17で生じる原稿のすべり量に応じて、OUTパス16あるいはINパス17通過時の、原稿の搬送のタイミングを調整する。OUTパス16あるいはINパス17での原稿のすべり量の変動にかかわらず、原稿の合流時の重なり量を一定に保持し、合流時に原稿の重なり量がずれて、端部が干渉するのを確実に防止して、原稿の端部が損傷するのを確実に防止する。
【0067】
OUTパス16及びINパス17に共通搬送部20を設ける。OUTパス16あるいはINパス17のいずれを通過しても、読取前ローラ50への原稿の導入角度は同じになる。OUTパス16あるいはINパス17のいずれを通過しても、READガラス110a上を通過する原稿Gのすべり量は同じになり安定した画質を得られる。
【0068】
この実施例によれば、原稿の厚さが所定以上であれば、半径の大きい第1の搬送経路16aを有するOUTパス16のみを用いて原稿を搬送する。搬送時に原稿に生じる負荷を軽減して、より良好な搬送性を得ることが出来る。
【0069】
尚この発明は上記実施例に限られるものではなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば搬送経路の形状や大きさ等は限定されない。又先行する原稿と後続の原稿の重なり量は限定されない。第1の搬送経路あるいは第2の搬送経路を通過する原稿の搬送が夫々多少ずれたとしても、重なりがなくならず、端部が干渉なければ良い。更に、原稿を読み取る画像読取部の構造も、任意であり、実施例において、装置のより小型化のために、原稿の表面を読み取るスキャナに変えてより小型のCISを用いても良い。
【符号の説明】
【0070】
10…自動原稿搬送装置
11…原稿トレイ
12…ピックアップローラ
13…分離給紙ローラ
14…レジストローラ
16…OUTパス
17…INパス
18…OUTローラ
28…INローラ
40…ゲート
50…読取前ローラ
50a…第1のローラ
50b…第2のローラ
50c…チェンジ機構
51…読取後ローラ
52…排紙前ローラ
53…排紙ローラ
56…排紙トレイ
60…コンタクトイメージセンサ
100…画像読取装置
110…スキャナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿載置部から第1の画像読取部に達する第1の搬送経路と、
前記原稿載置部から前記第1の画像読取部に達し、前記第1の搬送経路と異なる経路を有する第2の搬送経路と、
前記原稿載置部からの原稿を前記第1の搬送経路或いは前記第2の搬送経路のいずれかに振り分けるゲート部と、
前記ゲート部が、前記原稿載置部からの前記原稿を前記第1の搬送経路或いは前記第2の搬送経路に交互に振り分ける場合に、先行する原稿の後端と後続の原稿の先端とを重ね合わせて搬送する第1の搬送モードを実行する原稿搬送部と、
前記後続の原稿の先端が前記第1の画像読取部に到達するまでに、前記先行する原稿の後端と前記後続の原稿の先端との重なりを分離する分離部とを具備することを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項2】
前記第1の搬送経路は円弧状の第1の反転部を有し、前記第2の搬送経路は円弧状の第2の反転部を有し、前記ゲートは、前記原稿載置部からの前記原稿の種類に従い、前記原稿を前記第1の搬送経路或いは前記第2の搬送経路のうちの、前記反転部の半径の大きいいずれか一方に振り分けることを特徴とする請求項1記載の自動原稿搬送装置。
【請求項3】
前記第1の搬送モードは、前記第1の搬送経路内での前記原稿のすべり量、或いは前記第2の搬送経路内での前記原稿のすべり量に応じて前記原稿の搬送タイミングを調整することを特徴とする請求項1記載の自動原稿搬送装置。
【請求項4】
前記第1の搬送経路は円弧状の第1の反転部を有し、前記第2の搬送経路は円弧状の第2の反転部を有し、前記第1の搬送経路及び前記第2の搬送経路は、前記第1の反転部及び前記第2の反転部から前記分離部に達する共通搬送部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3記載のいずれか1項に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項5】
走行する原稿の第1面の画像を読み取る第1の画像読取部と、
前記請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の自動原稿搬送装置と、
前記第1の画像読取部を通過した前記原稿を排紙する排紙部とを具備することを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
原稿載置部から取り出した原稿を複数の搬送経路に振り分ける工程と、
前記複数の搬送路に振り分けられた前記原稿のうちの、先行する原稿の後端と後続の原稿の先端とを重ねて、第1の画像読取部方向に搬送する工程と、
前記後続の原稿の先端が前記第1の画像読取部方向に到達するまでに、前記先行する原稿の後端と後続の原稿の先端との重なりを分離する工程とを具備することを特徴とする自動原稿搬送方法。
【請求項7】
前記原稿載置部からの前記原稿が一定以上の厚さであるときは、前記原稿を、前記複数の搬送経路のうちの、反転部の半径が大きい搬送経路に振り分けることを特徴とする請求項6記載の自動原稿搬送方法。
【請求項8】
前記原稿載置部から前記原稿を取り出すタイミングを、前記複数の搬送経路内における前記原稿の搬送誤差に応じて調整することを特徴とする請求項6記載の自動原稿搬送方法。
【請求項9】
前記複数の搬送経路から、前記第1の画像読取部方向に搬送される前記原稿の侵入角度が同じであることを特徴とする請求項6記載の自動原稿搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−136359(P2010−136359A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252967(P2009−252967)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】