自動搬送車の制御方法
【課題】自動搬送車を横行又は斜行させた後、新たな導線への追従状態に移行するための制御方法であって、新たな導線に円滑に乗り移ることで、追従状態への移行に要する時間を短縮可能な自動搬送車の制御方法を提供すること。
【解決手段】自動搬送車2が横行でガイドライン12へ接近して乗り移るための制御方法は、駆動ユニット3をガイドライン12に接近させる第1の走行ステップと、ラインセンサ351がガイドライン12を検出した後、再びガイドライン12を検出しなくなるまで駆動ユニット3をそのまま前進させる第2の走行ステップと、第2の走行ステップの後、ラインセンサ351によりガイドライン12を再検出できるように駆動ユニット3を操舵する第3の走行ステップと、ラインセンサ351によるガイドライン12の再検出に応じて追従走行制御への切換を実行する移行ステップと、を含んでいる。
【解決手段】自動搬送車2が横行でガイドライン12へ接近して乗り移るための制御方法は、駆動ユニット3をガイドライン12に接近させる第1の走行ステップと、ラインセンサ351がガイドライン12を検出した後、再びガイドライン12を検出しなくなるまで駆動ユニット3をそのまま前進させる第2の走行ステップと、第2の走行ステップの後、ラインセンサ351によりガイドライン12を再検出できるように駆動ユニット3を操舵する第3の走行ステップと、ラインセンサ351によるガイドライン12の再検出に応じて追従走行制御への切換を実行する移行ステップと、を含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め定められた経路に沿って自動で走行して物品等を搬送する自動搬送車の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、工場内の予め設定された経路に沿って走行する自動搬送車が知られている。自動搬送車は、駆動用のモータやバッテリ等を備えているほか、床面に敷設された磁気テープ等の導線を検出するための検出センサを備えている。このような自動搬送車にワークを積載すれば、導線が敷設された所定の経路に沿って無人でワークを搬送できる。
【0003】
さらに、例えば、工場内の搬送ニーズに応じた様々な経路に幅広く対応できるよう、異なる導線間の乗り換えを可能とした自動搬送車も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。ここでは、平行に敷設された2本の導線の間隙に、自動搬送車を横行させるための横行導線を敷設することで、前記2本の導線間の乗り換えを可能としている。さらに、前進から横行への移行に際して自動搬送車を脱線させないための工夫として、横行導線の手前に斜行導線を敷設したり、横行導線に乗り移るときに一旦、停止させる技術が開示されている。
【0004】
しかしながら、前記従来の自動搬送車では、次のような問題がある。すなわち、横行導線の手前に斜行導線を敷設する等、設置側の構成が複雑化したり、横行導線への乗り換え時に一旦、停止させると自動搬送車の滑らかな走行が阻害され、ワークを迅速に搬送できなくなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−223561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、前記自動搬送車を横行又は斜行させた後、新たな導線に対する追従状態に移行させるための制御方法であって、新たな導線に円滑に乗り移ることで、追従状態への移行に要する時間を短縮可能な自動搬送車の制御方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、個別に駆動される2本1組の駆動輪が同軸に配置されていると共に当該2本1組の駆動輪の回転差に応じて旋回して操舵される前後2基の駆動ユニットと、経路に沿って敷設された所定幅の導線を検出するために駆動ユニットの前進側の正面に取り付けられた検出センサと、を備えた自動搬送車が横行又は斜行して新たな導線へ接近し、追従状態へ移行するための制御方法であって、
前記新たな導線に対して前記駆動ユニットを進入角aで前進させることにより、前記自動搬送車が横行又は斜行して前記新たな導線に接近する第1の走行ステップと、
少なくとも何れかの駆動ユニットの検出センサが前記新たな導線を検出した後、該検出センサが再度、該新たな導線を検出しなくなるまで該駆動ユニットを前記進入角aのまま前進させる第2の走行ステップと、
該第2の走行ステップの後、前記検出センサにより前記新たな導線を再検出できるように前記駆動ユニットを操舵する第3の走行ステップと、
前記検出センサにより前記新たな導線が再検出された後、該新たな導線に追従して走行するように前記駆動ユニットを操舵する追従走行制御への切換を実行する移行ステップと、を含み、
該移行ステップにおける前記新たな導線に対する前記駆動ユニットの進入角が、前記進入角aよりも小さい進入角bである自動搬送車の制御方法にある(請求項1)。
【0008】
本発明の自動搬送車の制御方法では、前記自動搬送車を前記新たな導線に対する追従状態へ移行させるに当たって、前記第2の走行ステップのごとく、前記検出センサが前記新たな導線を検出しても直ちに追従走行制御に切り換えることはない。まずは、該検出センサが再度、前記新たな導線を検出しない状態になるまで前記駆動ユニットをそのまま前進させて通過させる。その後、前記新たな導線を再検出できるように前記駆動ユニットを操舵する。
【0009】
この制御方法では、上記のような駆動ユニットの操舵を経由して、前記進入角aより小さい前記進入角bで前記新たな導線に対して前記駆動ユニットを再接近させる。そして、前記検出センサによる前記新たな導線の再検出に応じて、前記追従走行制御への切換が実行される。前記進入角bで前記新たな導線に接近して前記追従走行制御に切り換える場合であれば、前記進入角aで前記新たな導線に接近して前記追従走行制御に切り換える場合と比較して、導線から逸脱してしまう脱線のおそれを抑制できる。
【0010】
本発明の制御方法では、横行あるいは斜行の後、少なくとも何れかの駆動ユニットが前記新たな導線を通り過ぎるように制御することで、本来、脱線してしまうような進入角あるいは速度での前記新たな導線への接近が可能となっている。その後、前記進入角を抑えて前記新たな導線に再接近させれば、前記自動搬送車が脱線するおそれを抑制しつつ前記追従走行制御に切り換えることができる。
【0011】
このように本発明の自動搬送車の制御方法によれば、前記新たな導線への追従状態に円滑に移行でき、移行に要する時間を短縮可能である。
【0012】
本発明において、前記第1の走行ステップ〜前記第3の走行ステップの実行回数は、1回であっても良いし、2回以上であっても良い。例えば、実行回数が2回であれば、前記新たな導線を中心として、その両側を前記駆動ユニットが蛇行するように制御される。例えば、進入角が大きかったり、前記駆動ユニットの速度が速い場合等であれば、実行回数を複数回にして上記のような蛇行を発生させることが良い。このような蛇行を次第に収束させるように制御すれば、前記新たな導線に対する追従状態への移行を確実性高く実行できる。
【0013】
また、前記進入角は、前記自動搬送車が横行又は斜行により進行する第1の方向と、前記新たな導線に追従して前記自動搬送車を進行させる第2の方向と、のなす角を意味している。前記自動搬送車が横行する場合には、この進入角が約90度となる。この進入角が90度よりも小さくなるほど、前記新たな導線への乗り移りが容易となる。一方、この進入角が90度を超える場合には、前記第2の方向とは逆向きの方向成分が、前記第1の方向に包含されることになる。それ故、前記進入角が90度を超えるほど、前記新たな導線への乗り移りの難易度が高くなる。
【0014】
また、前記検出センサは、前記駆動ユニットの進行方向に直交する方向に延設された検出エリアを含み、前記導線を検出しているか否かのみならず、前記検出エリアのどの部分が前記導線を検出しており、どの部分が検出していないかを検知可能であると共に、前記検出エリア内における検出部分と非検出部分との組合せに応じて前記導線の縁部をなす導線エッジを検出可能であり、
前記移行ステップでは、前記検出センサが前記新たな導線を検出するのみでは前記追従走行制御への切換が実行されず、その後、前進方向側の導線エッジが検出されたときに前記追従走行制御への切換が実行されることが好ましい(請求項2)。
【0015】
前記移行ステップでは、前記新たな導線に対して前記駆動ユニットが斜め方向から進入する。例えば、導線の左側から進入する場合、前記検出エリアの右側から前記導線が検出され始める。この時点で前記追従走行制御に切り換えられると、本来、左操舵が必要とされる状況であるにも関わらず、前記検出エリアの中央で導線を検出できるように逆向きの右操舵が発生するおそれがある。一方、上記のように駆動ユニットの前進方向側の前記導線エッジが検出されたときに前記追従走行制御への切換を実行する場合であれば、導線から逸脱しないように左方向の操舵を適切に発生させることができる。上記のような逆操舵を回避できれば、前記追従走行制御への切換時の前記自動搬送車の挙動を安定させることができる。
【0016】
また、前記自動搬送車は、自律航法による自律走行を可能とする自律航法手段を備えており、
前記第3の走行ステップは、前記自動搬送車が自律走行を行うステップであることが好ましい(請求項3)。
この場合には、進入角bで前記駆動ユニットを前進させるための導線を敷設する必要がなくなる。
【0017】
また、前記自動搬送車は、自律航法による自律走行を可能とする自律航法手段を備えており、
前記第1及び第2の走行ステップは、前記自動搬送車が自律走行を行うステップであることが好ましい(請求項4)。
この場合には、前記自動搬送車が追従してきた導線と前記新たな導線との間に、横行あるいは斜行のための導線を敷設する必要がなくなる。そのため、自動搬送車を走行させる経路のレイアウト変更が容易な汎用性の高い自動搬送システムを実現できる。
【0018】
また、 前記第1の走行ステップにおける前記進入角aの制御目標値が90度であることが好ましい。(請求項5)。
前記進入角aの制御目標値を90度に設定すれば、前記新たな導線に対して前記自動搬送車を横行で接近させることができる。前記自動搬送車を横行させれば、前記第1の走行ステップにおける前記自動搬送車の前後方向の走行距離をゼロに近づけることができる。この場合には、前記第1の走行ステップの実行に応じて前記自動搬送車を走行させる経路を、前記前後方向において非常にコンパクトに設計できるというメリットが生じる。
【0019】
しかし、前記新たな導線に対して約90度の前記進入角aで進入した前記駆動ユニットを停止させることなく直ちに前記追従走行制御に切り換えようとすると、その制御難易度が高くなり過ぎてしまい実現可能性が極めて低くなるというデメリットが生じる。それ故、本発明のごとく、前記進入角a前記新たな導線を横切るように前記駆動ユニットを通過させた後、より小さい前記進入角bで前記新たな導線に接近させるという本発明の作用効果が特に有効になる。
【0020】
また、前後2基の駆動ユニットについて、それぞれ、前記第1〜第3の走行ステップ及び前記移行ステップを実行することが好ましい(請求項6)。
この場合には、前後2基の駆動ユニットについて同様の制御を行うことにより、前記自動搬送車を非常に滑らかな動作で前記新たな導線に乗り移らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1における、自動搬送システムの概要を示す説明図。
【図2】実施例1における、自動搬送車を模式的に示す上面図。
【図3】実施例1における、ラインセンサの検出エリアを説明する説明図。
【図4】実施例1における、自動搬送車のシステム構成を示すブロック図。
【図5】実施例1における、新たなガイドラインへの追従状態に移行する際の自動搬送車の走行ルートを示す説明図。
【図6】実施例1における、新たなガイドラインへの追従状態に移行する際の検出エリアの軌跡を示す説明図。
【図7】実施例1における、その他の自動搬送システムの概要を示す説明図。
【図8】実施例1における、その他の自動搬送システムの概要を示す説明図。
【図9】実施例2における、自動搬送システムの概要を示す説明図。
【図10】実施例2における、新たなガイドラインへの追従状態に移行する際の自動搬送車の走行ルートを示す説明図。
【図11】実施例2における、新たなガイドラインへの追従状態に移行する際の検出エリアの軌跡を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、予め定められた経路に沿って自動搬送車2を自動で走行させるための制御方法に関する。本例の内容について、図1〜図8を用いて説明する。
【0023】
本例は、図1及び図2に示すごとく、個別に駆動される2本1組の駆動輪331が同軸に配置された前後2基の駆動ユニット3と、経路に沿って敷設された所定幅のガイドライン(導線)11、12を検出するためのラインセンサ351(検出センサ)と、を備えた自動搬送車2が横行して新たなガイドライン12に対する追従状態に移行する(乗り移る)ための制御方法に関する例である。
【0024】
この自動搬送車2の制御方法は、自動搬送車2が横行でガイドライン12に接近する第1の走行ステップと、
駆動ユニット3のラインセンサ351がガイドライン12を検出した後、再びガイドライン12を検出しなくなるまで駆動ユニット3をそのまま前進させる第2の走行ステップと、
この第2の走行ステップの後、ラインセンサ351によりガイドライン12を再検出できるように駆動ユニット3を操舵する第3の走行ステップと、
ラインセンサ351によるガイドライン12の再検出に応じて、ガイドライン12に追従して走行するように駆動ユニット3を操舵する追従走行制御への切換を実行する移行ステップと、を含んでいる。
以下、この内容について詳しく説明する。
【0025】
本例の自動搬送システム1は、図1に示すごとく、例えば、自動車等の組立て工場等に導入される無人の搬送システムである。自動車部品等のワークの積み込み、あるいは積み下ろしの拠点となるワークステーション間で自動搬送車2を自動走行させる自動搬送システム1を導入すれば、高効率の搬送システムを実現できる。特に、本例の自動搬送システム1は、ガイドラインによらずに自動搬送車2が自律走行する自律走行区間を含めて構成されている。
【0026】
まず、本例の自動搬送システム1に適用される自動搬送車2について説明する。自動搬送車2は、図2のごとく、自動車部品等のワークを積載する荷台(図示略)を含む前後方向に長い車体20を備えている。車体20の大きさは、前後方向に約1.4mで、幅約0.5mとなっている。車体20には、前後方向の2箇所に駆動ユニット3が配置されているほか、制御ユニット50(図4)及び図示しないバッテリが搭載されている。2基の駆動ユニット3の前後方向の中間に当たる底面には、自在車輪よりなる補助輪(図示略)が左右両側に取り付けられている。
【0027】
駆動ユニット3は、図1〜図4に示すごとく、同軸上に並列配置された2本1組の駆動輪331と、これらの駆動輪331に個別に対応し、それぞれ独立に回転制御可能な2基の駆動モータ310と、を備えている。駆動ユニット3は、個別に駆動される両側の駆動輪331の回転差に応じて操舵される。本例の駆動ユニット3では、360度全周をカバーできるように操舵範囲が設定されている。
【0028】
駆動ユニット3の前面部分では、ラインセンサ351が中央に配設されていると共に、ラインセンサ351からオフセットする位置にマーカセンサ352が配設されている。これらのセンサは、常時、駆動ユニット3の前進側の正面に位置するよう、駆動ユニット3の操舵と共に回動するように取り付けられている。
【0029】
ラインセンサ351は、磁気テープであるガイドライン11、12等の磁気を検出する検出センサである。本例のラインセンサ351は、小さな磁気検出素子360を横方向に複数配列したセンサであり(図3参照。)、駆動ユニット3の進行方向に直交する方向に幅広の横幅約8cmの検出エリア36を備えている。ラインセンサ351は、検出エリア36内の各磁気検出素子360について、磁気を検出しているか否か個別に検知可能である。本例のラインセンサ351によれば、何れの磁気検出素子360がガイドラインを検出しており、何れが検出していないかの組み合わせに応じて、ガイドラインのエッジ(導線エッジ)を検出可能である。
マーカセンサ352は、床面に適宜、配置されたガイドマーカから番地情報等を読み取るセンサである。
【0030】
自動搬送車2の内部システムは、図4に示すごとく構成されている。自動搬送車2の制御ユニット50に対しては、2基の駆動ユニット3のほか、バンパースイッチ220、障害物センサ26、非常停止スイッチ231、操作スイッチ232、表示ランプ233、LED表示器234、スピーカ235、通信ユニット25、角速度センサ281等が電気的に接続されている。
【0031】
駆動ユニット3の内部的な構成は、制御ユニット50から受信した制御信号に基づいて駆動輪331(図2)を駆動する駆動部31と、各種センサの検出信号を取り込んで制御ユニットに送信する検出部35と、に区分けされる。駆動部31は、駆動モータ310と、駆動モータ310を制御するモータドライバ315と、を含んで構成されている。モータドライバ315は、制御ユニット50から受信した制御信号に基づいて駆動モータ310の回転を制御する。このモータドライバ315は、駆動モータ310の制御値に基づいて、対応する駆動輪331の走行速度を把握可能である。
【0032】
検出部35は、ラインセンサ351、マーカセンサ352、操舵角を検出する操舵角検知部350等の検出手段のほか、制御ユニット50に対して検出信号等を送信する際のインターフェースとなるI/F回路38を備えている。
【0033】
制御ユニット50は、各種のスイッチ等と信号のやり取りをするためのインターフェースであるI/F回路55と、駆動ユニット3に向けて各種の制御信号を出力する主制御回路51と、を含むユニットである。主制御回路51は、自動搬送車2の走行を制御する走行制御手段510、走行制御のモードを切り換える制御切換手段512、自動搬送車2の位置等の測位情報を演算する測位手段513としての機能を備えている。
【0034】
走行制御手段510は、ガイドライン11、12に対する追従走行制御、及び自律走行制御を実行可能な制御手段である。本例の追従走行制御では、前後の各駆動ユニット3が個別に制御される。一方、自律走行制御は、自律走行区間について予めティーチングされた経路に沿って走行するための制御である。この自律走行制御では、測位手段513による測位情報に基づく自律航法により各駆動ユニット3が制御される。
【0035】
本例の自律走行制御は、自動搬送車2の斜行時と横行時とで制御内容が相違している。斜行の自律走行制御では、前後の駆動ユニット2の操舵方向が逆相で制御される。一方、横行の自律走行制御では、前後の駆動ユニット2の操舵方向が約90度に保持される一方、各駆動ユニット3の駆動輪331の速度調節により自動搬送車2の姿勢が制御される。
【0036】
測位手段513は、自律航法に必要となる自動搬送車2の位置、姿勢等の測位情報を演算する手段である。測位手段513は、角速度を検出する角速度センサ281、及び駆動輪331の走行速度を検出するモータドライバ315と共に自律航法手段28を構成している。測位手段513は、角速度センサ281の検出角速度やモータドライバ315による走行速度等に基づいて測位情報を演算する。演算された測位情報は、前記走行制御手段510による自律走行制御の入力値となる。
【0037】
次に、自動搬送システム1における経路の仕様について説明する。経路は、追従区間、自律走行区間を含んで構成されている。
追従区間は、図1に示すごとく、幅約2.5cmの磁気テープよりなるガイドライン11、12が経路に沿って敷設された区間である。本例の自動搬送システム1では、自律走行区間を介して、第1の追従区間のガイドライン11と第2の追従区間のガイドライン12とが平行に敷設されている。なお、自律走行区間に連なる第1の追従区間の終点には、その番地情報を表すガイドマーカ115が配置されている。
【0038】
自律走行区間は、ガイドラインが敷設されていない導線レス区間であり、自動搬送車2が自律航法により自律走行する区間である。本例の自律走行区間については、自動搬送車2に走行させる経路として予め、ガイドライン11、12間を真横に横断して走行する横行経路がティーチングされている。
【0039】
以上のように構成された自動搬送システム1の各区間における自動搬送車2の走行動作について説明する。
<第1の追従区間>
第1の追従区間では、ガイドライン11に追従して走行するように自動搬送車2が制御される。第1の追従区間では、2基の駆動ユニット3がそれぞれ個別に制御される前記追従走行制御が適用される。各駆動ユニット3は、各ラインセンサ351の検出エリア36の中央でガイドライン11を検出できるように操舵される。例えば、ラインセンサ351の検出エリア36の左側にずれてガイドライン11が検出されているときには左方向に操舵され、右側にずれているときには右方向に操舵される。また、第1の追従区間のガイドマーカ115が検知されたとき、自動搬送車2が前進停止して横行を開始し、ガイドライン11から離脱する。
【0040】
<自律走行区間>
自律走行区間では、自動搬送車がガイドライン11を離脱したときの姿勢を維持しながら自律航法により自動搬送車2が自律走行する。
<第2の追従区間>
第2の追従区間では、ガイドライン12に追従して走行するように自動搬送車2が制御される。この第2の追従区間では、前記第1の追従区間と同様に駆動ユニット3が制御される。
【0041】
本例の自動搬送車2の制御方法の特徴は、図5に示すごとく、自律走行区間から第2のの追従区間への追従制御に移行する際の移行制御にある。この移行制御では、第1〜第3の走行ステップ、及び移行ステップが各駆動ユニット3に適用される。
(1)第1の走行ステップ
このステップでは、各駆動ユニット3が進入角a=約90度でガイドライン12に接近するように制御され、自動搬送車2が横行するステップである。このステップでは、前記横行の自律走行制御が適用され、各駆動ユニット3の操舵角が約90度となっている。この第1の走行ステップは、検出状態の磁気検出素子360を黒丸で示す図6中、検出エリア36Aまでの走行期間に対応している。
【0042】
(2)第2の走行ステップ
このステップは、ラインセンサ351がガイドライン12を検出した後、各ラインセンサ351が再度、ガイドライン12を検出しない状態になるまで該駆動ユニット3の操舵角をそのまま維持して前進させるステップであり、前記第1の走行ステップと同様、横行の自律走行制御が適用されるステップである。なお、上記のごとく自律走行区間では、ガイドライン11を離脱したときの姿勢のままガイドライン12に到達できるように、姿勢制御を受けつつ自律航法によって自動搬送車2が自律走行する。そのため、ガイドライン12への各駆動ユニット3の到達タイミングは、ほぼ同時となる。この第2の走行ステップは、図6中、検出エリア36Aを経て検出エリア36Bまでの走行期間に対応している。
【0043】
(3)第3の走行ステップ
このステップは、第2の走行ステップの後、ラインセンサ351によりガイドライン12を再検出できるように駆動ユニット3が操舵されるステップである。このステップでは、自律航法により図5の走行ルートを辿るように操舵される。第3の走行ステップは、図6中、検出エリア36Bを経て検出エリア36Cまでの走行期間に対応している。この第3の走行ステップでは、前記斜行の自律走行制御が適用され、前後の駆動ユニット3が逆相で制御される。
【0044】
(4)移行ステップ
このステップは、各駆動ユニット3が進入角b=約45度でガイドライン12に接近するように自動搬送車2を斜行させた後、ガイドライン12への追従走行制御に切り換えるステップである。上記のように自動搬送車2を斜行させると、図6中、検出エリア36Dのごとく、その左側からガイドライン12が検出され始める。本例の移行制御では、ガイドライン12がこのように検出されても直ちに追従走行制御に切り換えることなく、そのまま斜行が維持される。検出エリア36のうち左側からガイドライン12が検出され始めたときに追従走行制御に切り換えてしまうと、本来、ガイドライン12に追従するために右方向に操舵すべきところ、検出エリア36の中央でガイドライン12を検出しようとして左方向の逆操舵(逆ステア)が発生してしまうからである。
【0045】
上記のように斜行を維持すれば、図6中、検出エリア36Eのごとく、その左側からガイドライン12を検出しない状態となり、これにより前進方向側のエッジ121を検出できる。本例の移行ステップでは、このようにガイドライン12のエッジ121が検出されたときに前記追従走行制御への切換が実行される。このようなタイミングで追従走行制御への切換を実行すれば、ガイドライン12の左側に逸脱しないように右方向に適切に操舵され、図5に示すごとく、滑らかな走行ルートでガイドライン12への追従状態に移行できる。この移行ステップは、図6中の検出エリア36Cを経て検出エリア36Eまでの走行期間に対応している。
【0046】
以上のように構成された本例の自動搬送システム1では、横行による自律走行からガイドライン12へ乗り移る際、自動搬送車2が一旦、ガイドライン12を横行して通過し、その後、斜行してガイドライン12に再接近して追従状態へ移行する。このような追従状態への移行制御では、横行してガイドライン12に到達した際、自動搬送車2を一時、停止させなくても良い。本例の自動搬送システム1では、敢えて、ガイドライン12から自動搬送車2を逸脱させ、その後、ガイドライン12に再接近するように自律走行させることで、滑らかで迅速なガイドライン12への乗り移りを実現している。
【0047】
このように、自動搬送車2を横行させた後、新たなガイドライン12に対する追従状態に移行させるための本例の自動搬送車2の制御方法によれば、新たなガイドライン12への円滑な乗り移りを実現でき、乗り移りに要する時間を短縮可能である。
【0048】
なお、本例の自動搬送システム1では、元のガイドライン11と乗り移るガイドライン12とが平行をなしている。これに代えて、図7に示すごとく、元のガイドライン11に対して、乗り移るガイドライン12を斜めに敷設することもできる。同図の場合では、横行する自動搬送車2の後ろ側の駆動ユニット3が先にガイドライン12に到達することになる。後ろ側の駆動ユニット3がガイドライン12に到達したときに姿勢制御を解除すると共に後ろ側の駆動ユニット3を停止し、その後、前側の駆動ユニット3についてのみ前記第1〜3の走行ステップ及び前記移行ステップよりなる移行制御を適用しても良い。あるいは、後ろ側の駆動ユニット3についても前側の駆動ユニット3と同様の移行制御を適用しても良い。
【0049】
なお、本例では、第1の追従区間と第2の追従区間との間の横行区間が自律走行区間として設定されている。これに代えて、図8に示すごとく、第1の追従区間のガイドライン11と第2の追従区間のガイドライン12との間に、自動搬送車2を横行させるためのガイドライン13を設けることも良い。この場合には、前記移行制御のうちの第1の走行ステップ及び第2の走行ステップに対して追従走行制御が適用され、第3の走行ステップに対して自律走行制御が適用されることになる。ガイドライン12を通り過ぎるように各駆動ユニット3を制御すれば、ガイドライン13に追従して横行してきた自動搬送車2をガイドライン12上で一時停止させる必要がなくなり、滑らかで迅速なガイドライン12への乗り移りを実現できる。
【0050】
なお、本例では、進入角a及びbを、それぞれ、約90度、約45度に設定している。これらの数値は一例に過ぎず、進入角の設定は適宜、変更可能である。進入角は、自動搬送車2の走行特性や、制御仕様や、進入速度等に応じて適宜、選択されるべきであり、進入角a>進入角bの関係が保持されていれば良い。
【0051】
(実施例2)
本例は、実施例1に基づいて、自律走行区間における走行パターンを斜行に変更した例である。この内容について、図9〜図11を参照して説明する。
本例の自動搬送システム1では、平行をなすように敷設されたガイドライン11とガイドライン12との間で、自動搬送車2が斜行で自律走行する。その斜行方向とガイドライン12とのなす角、すなわちガイドライン12に対する自動搬送車2の進入角aが約45度となっている。また、ガイドライン12へ乗り移る際の進入角bは約22.5度となっている。なお、本例では、ガイドライン12に対する進入速度が実施例1よりも速く設定されており、それ故、進入角aでのガイドライン12への乗り移りの難易度が実施例1よりも高くなっている。
【0052】
本例では、図10及び図11に示すごとく、検出エリア36Aまでの走行期間が第1の走行ステップに対応している。検出エリア36Aを経て検出エリア36Bまでの走行期間が第2の走行ステップに対応している。検出エリア36Bを経て検出エリア36Cまでの走行期間が第3の走行ステップに対応している。さらに、検出エリア36Cを経て検出エリア36Eまでの走行期間が移行ステップに対応している。
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
【0053】
以上、実施例1及び実施例2のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形あるいは変更した技術を包含している。
【符号の説明】
【0054】
1 自動搬送システム
11、12 ガイドライン(導線)
121 エッジ(導線エッジ)
2 自動搬送車
20 車体
28 自律航法手段
281 角速度センサ
3 駆動ユニット
331 駆動輪
351 ラインセンサ(検出センサ)
352 マーカセンサ
36 検出エリア
360 磁気検出素子
50 制御ユニット
510 走行制御手段
512 制御切換手段
513 測位手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め定められた経路に沿って自動で走行して物品等を搬送する自動搬送車の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、工場内の予め設定された経路に沿って走行する自動搬送車が知られている。自動搬送車は、駆動用のモータやバッテリ等を備えているほか、床面に敷設された磁気テープ等の導線を検出するための検出センサを備えている。このような自動搬送車にワークを積載すれば、導線が敷設された所定の経路に沿って無人でワークを搬送できる。
【0003】
さらに、例えば、工場内の搬送ニーズに応じた様々な経路に幅広く対応できるよう、異なる導線間の乗り換えを可能とした自動搬送車も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。ここでは、平行に敷設された2本の導線の間隙に、自動搬送車を横行させるための横行導線を敷設することで、前記2本の導線間の乗り換えを可能としている。さらに、前進から横行への移行に際して自動搬送車を脱線させないための工夫として、横行導線の手前に斜行導線を敷設したり、横行導線に乗り移るときに一旦、停止させる技術が開示されている。
【0004】
しかしながら、前記従来の自動搬送車では、次のような問題がある。すなわち、横行導線の手前に斜行導線を敷設する等、設置側の構成が複雑化したり、横行導線への乗り換え時に一旦、停止させると自動搬送車の滑らかな走行が阻害され、ワークを迅速に搬送できなくなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−223561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、前記自動搬送車を横行又は斜行させた後、新たな導線に対する追従状態に移行させるための制御方法であって、新たな導線に円滑に乗り移ることで、追従状態への移行に要する時間を短縮可能な自動搬送車の制御方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、個別に駆動される2本1組の駆動輪が同軸に配置されていると共に当該2本1組の駆動輪の回転差に応じて旋回して操舵される前後2基の駆動ユニットと、経路に沿って敷設された所定幅の導線を検出するために駆動ユニットの前進側の正面に取り付けられた検出センサと、を備えた自動搬送車が横行又は斜行して新たな導線へ接近し、追従状態へ移行するための制御方法であって、
前記新たな導線に対して前記駆動ユニットを進入角aで前進させることにより、前記自動搬送車が横行又は斜行して前記新たな導線に接近する第1の走行ステップと、
少なくとも何れかの駆動ユニットの検出センサが前記新たな導線を検出した後、該検出センサが再度、該新たな導線を検出しなくなるまで該駆動ユニットを前記進入角aのまま前進させる第2の走行ステップと、
該第2の走行ステップの後、前記検出センサにより前記新たな導線を再検出できるように前記駆動ユニットを操舵する第3の走行ステップと、
前記検出センサにより前記新たな導線が再検出された後、該新たな導線に追従して走行するように前記駆動ユニットを操舵する追従走行制御への切換を実行する移行ステップと、を含み、
該移行ステップにおける前記新たな導線に対する前記駆動ユニットの進入角が、前記進入角aよりも小さい進入角bである自動搬送車の制御方法にある(請求項1)。
【0008】
本発明の自動搬送車の制御方法では、前記自動搬送車を前記新たな導線に対する追従状態へ移行させるに当たって、前記第2の走行ステップのごとく、前記検出センサが前記新たな導線を検出しても直ちに追従走行制御に切り換えることはない。まずは、該検出センサが再度、前記新たな導線を検出しない状態になるまで前記駆動ユニットをそのまま前進させて通過させる。その後、前記新たな導線を再検出できるように前記駆動ユニットを操舵する。
【0009】
この制御方法では、上記のような駆動ユニットの操舵を経由して、前記進入角aより小さい前記進入角bで前記新たな導線に対して前記駆動ユニットを再接近させる。そして、前記検出センサによる前記新たな導線の再検出に応じて、前記追従走行制御への切換が実行される。前記進入角bで前記新たな導線に接近して前記追従走行制御に切り換える場合であれば、前記進入角aで前記新たな導線に接近して前記追従走行制御に切り換える場合と比較して、導線から逸脱してしまう脱線のおそれを抑制できる。
【0010】
本発明の制御方法では、横行あるいは斜行の後、少なくとも何れかの駆動ユニットが前記新たな導線を通り過ぎるように制御することで、本来、脱線してしまうような進入角あるいは速度での前記新たな導線への接近が可能となっている。その後、前記進入角を抑えて前記新たな導線に再接近させれば、前記自動搬送車が脱線するおそれを抑制しつつ前記追従走行制御に切り換えることができる。
【0011】
このように本発明の自動搬送車の制御方法によれば、前記新たな導線への追従状態に円滑に移行でき、移行に要する時間を短縮可能である。
【0012】
本発明において、前記第1の走行ステップ〜前記第3の走行ステップの実行回数は、1回であっても良いし、2回以上であっても良い。例えば、実行回数が2回であれば、前記新たな導線を中心として、その両側を前記駆動ユニットが蛇行するように制御される。例えば、進入角が大きかったり、前記駆動ユニットの速度が速い場合等であれば、実行回数を複数回にして上記のような蛇行を発生させることが良い。このような蛇行を次第に収束させるように制御すれば、前記新たな導線に対する追従状態への移行を確実性高く実行できる。
【0013】
また、前記進入角は、前記自動搬送車が横行又は斜行により進行する第1の方向と、前記新たな導線に追従して前記自動搬送車を進行させる第2の方向と、のなす角を意味している。前記自動搬送車が横行する場合には、この進入角が約90度となる。この進入角が90度よりも小さくなるほど、前記新たな導線への乗り移りが容易となる。一方、この進入角が90度を超える場合には、前記第2の方向とは逆向きの方向成分が、前記第1の方向に包含されることになる。それ故、前記進入角が90度を超えるほど、前記新たな導線への乗り移りの難易度が高くなる。
【0014】
また、前記検出センサは、前記駆動ユニットの進行方向に直交する方向に延設された検出エリアを含み、前記導線を検出しているか否かのみならず、前記検出エリアのどの部分が前記導線を検出しており、どの部分が検出していないかを検知可能であると共に、前記検出エリア内における検出部分と非検出部分との組合せに応じて前記導線の縁部をなす導線エッジを検出可能であり、
前記移行ステップでは、前記検出センサが前記新たな導線を検出するのみでは前記追従走行制御への切換が実行されず、その後、前進方向側の導線エッジが検出されたときに前記追従走行制御への切換が実行されることが好ましい(請求項2)。
【0015】
前記移行ステップでは、前記新たな導線に対して前記駆動ユニットが斜め方向から進入する。例えば、導線の左側から進入する場合、前記検出エリアの右側から前記導線が検出され始める。この時点で前記追従走行制御に切り換えられると、本来、左操舵が必要とされる状況であるにも関わらず、前記検出エリアの中央で導線を検出できるように逆向きの右操舵が発生するおそれがある。一方、上記のように駆動ユニットの前進方向側の前記導線エッジが検出されたときに前記追従走行制御への切換を実行する場合であれば、導線から逸脱しないように左方向の操舵を適切に発生させることができる。上記のような逆操舵を回避できれば、前記追従走行制御への切換時の前記自動搬送車の挙動を安定させることができる。
【0016】
また、前記自動搬送車は、自律航法による自律走行を可能とする自律航法手段を備えており、
前記第3の走行ステップは、前記自動搬送車が自律走行を行うステップであることが好ましい(請求項3)。
この場合には、進入角bで前記駆動ユニットを前進させるための導線を敷設する必要がなくなる。
【0017】
また、前記自動搬送車は、自律航法による自律走行を可能とする自律航法手段を備えており、
前記第1及び第2の走行ステップは、前記自動搬送車が自律走行を行うステップであることが好ましい(請求項4)。
この場合には、前記自動搬送車が追従してきた導線と前記新たな導線との間に、横行あるいは斜行のための導線を敷設する必要がなくなる。そのため、自動搬送車を走行させる経路のレイアウト変更が容易な汎用性の高い自動搬送システムを実現できる。
【0018】
また、 前記第1の走行ステップにおける前記進入角aの制御目標値が90度であることが好ましい。(請求項5)。
前記進入角aの制御目標値を90度に設定すれば、前記新たな導線に対して前記自動搬送車を横行で接近させることができる。前記自動搬送車を横行させれば、前記第1の走行ステップにおける前記自動搬送車の前後方向の走行距離をゼロに近づけることができる。この場合には、前記第1の走行ステップの実行に応じて前記自動搬送車を走行させる経路を、前記前後方向において非常にコンパクトに設計できるというメリットが生じる。
【0019】
しかし、前記新たな導線に対して約90度の前記進入角aで進入した前記駆動ユニットを停止させることなく直ちに前記追従走行制御に切り換えようとすると、その制御難易度が高くなり過ぎてしまい実現可能性が極めて低くなるというデメリットが生じる。それ故、本発明のごとく、前記進入角a前記新たな導線を横切るように前記駆動ユニットを通過させた後、より小さい前記進入角bで前記新たな導線に接近させるという本発明の作用効果が特に有効になる。
【0020】
また、前後2基の駆動ユニットについて、それぞれ、前記第1〜第3の走行ステップ及び前記移行ステップを実行することが好ましい(請求項6)。
この場合には、前後2基の駆動ユニットについて同様の制御を行うことにより、前記自動搬送車を非常に滑らかな動作で前記新たな導線に乗り移らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1における、自動搬送システムの概要を示す説明図。
【図2】実施例1における、自動搬送車を模式的に示す上面図。
【図3】実施例1における、ラインセンサの検出エリアを説明する説明図。
【図4】実施例1における、自動搬送車のシステム構成を示すブロック図。
【図5】実施例1における、新たなガイドラインへの追従状態に移行する際の自動搬送車の走行ルートを示す説明図。
【図6】実施例1における、新たなガイドラインへの追従状態に移行する際の検出エリアの軌跡を示す説明図。
【図7】実施例1における、その他の自動搬送システムの概要を示す説明図。
【図8】実施例1における、その他の自動搬送システムの概要を示す説明図。
【図9】実施例2における、自動搬送システムの概要を示す説明図。
【図10】実施例2における、新たなガイドラインへの追従状態に移行する際の自動搬送車の走行ルートを示す説明図。
【図11】実施例2における、新たなガイドラインへの追従状態に移行する際の検出エリアの軌跡を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、予め定められた経路に沿って自動搬送車2を自動で走行させるための制御方法に関する。本例の内容について、図1〜図8を用いて説明する。
【0023】
本例は、図1及び図2に示すごとく、個別に駆動される2本1組の駆動輪331が同軸に配置された前後2基の駆動ユニット3と、経路に沿って敷設された所定幅のガイドライン(導線)11、12を検出するためのラインセンサ351(検出センサ)と、を備えた自動搬送車2が横行して新たなガイドライン12に対する追従状態に移行する(乗り移る)ための制御方法に関する例である。
【0024】
この自動搬送車2の制御方法は、自動搬送車2が横行でガイドライン12に接近する第1の走行ステップと、
駆動ユニット3のラインセンサ351がガイドライン12を検出した後、再びガイドライン12を検出しなくなるまで駆動ユニット3をそのまま前進させる第2の走行ステップと、
この第2の走行ステップの後、ラインセンサ351によりガイドライン12を再検出できるように駆動ユニット3を操舵する第3の走行ステップと、
ラインセンサ351によるガイドライン12の再検出に応じて、ガイドライン12に追従して走行するように駆動ユニット3を操舵する追従走行制御への切換を実行する移行ステップと、を含んでいる。
以下、この内容について詳しく説明する。
【0025】
本例の自動搬送システム1は、図1に示すごとく、例えば、自動車等の組立て工場等に導入される無人の搬送システムである。自動車部品等のワークの積み込み、あるいは積み下ろしの拠点となるワークステーション間で自動搬送車2を自動走行させる自動搬送システム1を導入すれば、高効率の搬送システムを実現できる。特に、本例の自動搬送システム1は、ガイドラインによらずに自動搬送車2が自律走行する自律走行区間を含めて構成されている。
【0026】
まず、本例の自動搬送システム1に適用される自動搬送車2について説明する。自動搬送車2は、図2のごとく、自動車部品等のワークを積載する荷台(図示略)を含む前後方向に長い車体20を備えている。車体20の大きさは、前後方向に約1.4mで、幅約0.5mとなっている。車体20には、前後方向の2箇所に駆動ユニット3が配置されているほか、制御ユニット50(図4)及び図示しないバッテリが搭載されている。2基の駆動ユニット3の前後方向の中間に当たる底面には、自在車輪よりなる補助輪(図示略)が左右両側に取り付けられている。
【0027】
駆動ユニット3は、図1〜図4に示すごとく、同軸上に並列配置された2本1組の駆動輪331と、これらの駆動輪331に個別に対応し、それぞれ独立に回転制御可能な2基の駆動モータ310と、を備えている。駆動ユニット3は、個別に駆動される両側の駆動輪331の回転差に応じて操舵される。本例の駆動ユニット3では、360度全周をカバーできるように操舵範囲が設定されている。
【0028】
駆動ユニット3の前面部分では、ラインセンサ351が中央に配設されていると共に、ラインセンサ351からオフセットする位置にマーカセンサ352が配設されている。これらのセンサは、常時、駆動ユニット3の前進側の正面に位置するよう、駆動ユニット3の操舵と共に回動するように取り付けられている。
【0029】
ラインセンサ351は、磁気テープであるガイドライン11、12等の磁気を検出する検出センサである。本例のラインセンサ351は、小さな磁気検出素子360を横方向に複数配列したセンサであり(図3参照。)、駆動ユニット3の進行方向に直交する方向に幅広の横幅約8cmの検出エリア36を備えている。ラインセンサ351は、検出エリア36内の各磁気検出素子360について、磁気を検出しているか否か個別に検知可能である。本例のラインセンサ351によれば、何れの磁気検出素子360がガイドラインを検出しており、何れが検出していないかの組み合わせに応じて、ガイドラインのエッジ(導線エッジ)を検出可能である。
マーカセンサ352は、床面に適宜、配置されたガイドマーカから番地情報等を読み取るセンサである。
【0030】
自動搬送車2の内部システムは、図4に示すごとく構成されている。自動搬送車2の制御ユニット50に対しては、2基の駆動ユニット3のほか、バンパースイッチ220、障害物センサ26、非常停止スイッチ231、操作スイッチ232、表示ランプ233、LED表示器234、スピーカ235、通信ユニット25、角速度センサ281等が電気的に接続されている。
【0031】
駆動ユニット3の内部的な構成は、制御ユニット50から受信した制御信号に基づいて駆動輪331(図2)を駆動する駆動部31と、各種センサの検出信号を取り込んで制御ユニットに送信する検出部35と、に区分けされる。駆動部31は、駆動モータ310と、駆動モータ310を制御するモータドライバ315と、を含んで構成されている。モータドライバ315は、制御ユニット50から受信した制御信号に基づいて駆動モータ310の回転を制御する。このモータドライバ315は、駆動モータ310の制御値に基づいて、対応する駆動輪331の走行速度を把握可能である。
【0032】
検出部35は、ラインセンサ351、マーカセンサ352、操舵角を検出する操舵角検知部350等の検出手段のほか、制御ユニット50に対して検出信号等を送信する際のインターフェースとなるI/F回路38を備えている。
【0033】
制御ユニット50は、各種のスイッチ等と信号のやり取りをするためのインターフェースであるI/F回路55と、駆動ユニット3に向けて各種の制御信号を出力する主制御回路51と、を含むユニットである。主制御回路51は、自動搬送車2の走行を制御する走行制御手段510、走行制御のモードを切り換える制御切換手段512、自動搬送車2の位置等の測位情報を演算する測位手段513としての機能を備えている。
【0034】
走行制御手段510は、ガイドライン11、12に対する追従走行制御、及び自律走行制御を実行可能な制御手段である。本例の追従走行制御では、前後の各駆動ユニット3が個別に制御される。一方、自律走行制御は、自律走行区間について予めティーチングされた経路に沿って走行するための制御である。この自律走行制御では、測位手段513による測位情報に基づく自律航法により各駆動ユニット3が制御される。
【0035】
本例の自律走行制御は、自動搬送車2の斜行時と横行時とで制御内容が相違している。斜行の自律走行制御では、前後の駆動ユニット2の操舵方向が逆相で制御される。一方、横行の自律走行制御では、前後の駆動ユニット2の操舵方向が約90度に保持される一方、各駆動ユニット3の駆動輪331の速度調節により自動搬送車2の姿勢が制御される。
【0036】
測位手段513は、自律航法に必要となる自動搬送車2の位置、姿勢等の測位情報を演算する手段である。測位手段513は、角速度を検出する角速度センサ281、及び駆動輪331の走行速度を検出するモータドライバ315と共に自律航法手段28を構成している。測位手段513は、角速度センサ281の検出角速度やモータドライバ315による走行速度等に基づいて測位情報を演算する。演算された測位情報は、前記走行制御手段510による自律走行制御の入力値となる。
【0037】
次に、自動搬送システム1における経路の仕様について説明する。経路は、追従区間、自律走行区間を含んで構成されている。
追従区間は、図1に示すごとく、幅約2.5cmの磁気テープよりなるガイドライン11、12が経路に沿って敷設された区間である。本例の自動搬送システム1では、自律走行区間を介して、第1の追従区間のガイドライン11と第2の追従区間のガイドライン12とが平行に敷設されている。なお、自律走行区間に連なる第1の追従区間の終点には、その番地情報を表すガイドマーカ115が配置されている。
【0038】
自律走行区間は、ガイドラインが敷設されていない導線レス区間であり、自動搬送車2が自律航法により自律走行する区間である。本例の自律走行区間については、自動搬送車2に走行させる経路として予め、ガイドライン11、12間を真横に横断して走行する横行経路がティーチングされている。
【0039】
以上のように構成された自動搬送システム1の各区間における自動搬送車2の走行動作について説明する。
<第1の追従区間>
第1の追従区間では、ガイドライン11に追従して走行するように自動搬送車2が制御される。第1の追従区間では、2基の駆動ユニット3がそれぞれ個別に制御される前記追従走行制御が適用される。各駆動ユニット3は、各ラインセンサ351の検出エリア36の中央でガイドライン11を検出できるように操舵される。例えば、ラインセンサ351の検出エリア36の左側にずれてガイドライン11が検出されているときには左方向に操舵され、右側にずれているときには右方向に操舵される。また、第1の追従区間のガイドマーカ115が検知されたとき、自動搬送車2が前進停止して横行を開始し、ガイドライン11から離脱する。
【0040】
<自律走行区間>
自律走行区間では、自動搬送車がガイドライン11を離脱したときの姿勢を維持しながら自律航法により自動搬送車2が自律走行する。
<第2の追従区間>
第2の追従区間では、ガイドライン12に追従して走行するように自動搬送車2が制御される。この第2の追従区間では、前記第1の追従区間と同様に駆動ユニット3が制御される。
【0041】
本例の自動搬送車2の制御方法の特徴は、図5に示すごとく、自律走行区間から第2のの追従区間への追従制御に移行する際の移行制御にある。この移行制御では、第1〜第3の走行ステップ、及び移行ステップが各駆動ユニット3に適用される。
(1)第1の走行ステップ
このステップでは、各駆動ユニット3が進入角a=約90度でガイドライン12に接近するように制御され、自動搬送車2が横行するステップである。このステップでは、前記横行の自律走行制御が適用され、各駆動ユニット3の操舵角が約90度となっている。この第1の走行ステップは、検出状態の磁気検出素子360を黒丸で示す図6中、検出エリア36Aまでの走行期間に対応している。
【0042】
(2)第2の走行ステップ
このステップは、ラインセンサ351がガイドライン12を検出した後、各ラインセンサ351が再度、ガイドライン12を検出しない状態になるまで該駆動ユニット3の操舵角をそのまま維持して前進させるステップであり、前記第1の走行ステップと同様、横行の自律走行制御が適用されるステップである。なお、上記のごとく自律走行区間では、ガイドライン11を離脱したときの姿勢のままガイドライン12に到達できるように、姿勢制御を受けつつ自律航法によって自動搬送車2が自律走行する。そのため、ガイドライン12への各駆動ユニット3の到達タイミングは、ほぼ同時となる。この第2の走行ステップは、図6中、検出エリア36Aを経て検出エリア36Bまでの走行期間に対応している。
【0043】
(3)第3の走行ステップ
このステップは、第2の走行ステップの後、ラインセンサ351によりガイドライン12を再検出できるように駆動ユニット3が操舵されるステップである。このステップでは、自律航法により図5の走行ルートを辿るように操舵される。第3の走行ステップは、図6中、検出エリア36Bを経て検出エリア36Cまでの走行期間に対応している。この第3の走行ステップでは、前記斜行の自律走行制御が適用され、前後の駆動ユニット3が逆相で制御される。
【0044】
(4)移行ステップ
このステップは、各駆動ユニット3が進入角b=約45度でガイドライン12に接近するように自動搬送車2を斜行させた後、ガイドライン12への追従走行制御に切り換えるステップである。上記のように自動搬送車2を斜行させると、図6中、検出エリア36Dのごとく、その左側からガイドライン12が検出され始める。本例の移行制御では、ガイドライン12がこのように検出されても直ちに追従走行制御に切り換えることなく、そのまま斜行が維持される。検出エリア36のうち左側からガイドライン12が検出され始めたときに追従走行制御に切り換えてしまうと、本来、ガイドライン12に追従するために右方向に操舵すべきところ、検出エリア36の中央でガイドライン12を検出しようとして左方向の逆操舵(逆ステア)が発生してしまうからである。
【0045】
上記のように斜行を維持すれば、図6中、検出エリア36Eのごとく、その左側からガイドライン12を検出しない状態となり、これにより前進方向側のエッジ121を検出できる。本例の移行ステップでは、このようにガイドライン12のエッジ121が検出されたときに前記追従走行制御への切換が実行される。このようなタイミングで追従走行制御への切換を実行すれば、ガイドライン12の左側に逸脱しないように右方向に適切に操舵され、図5に示すごとく、滑らかな走行ルートでガイドライン12への追従状態に移行できる。この移行ステップは、図6中の検出エリア36Cを経て検出エリア36Eまでの走行期間に対応している。
【0046】
以上のように構成された本例の自動搬送システム1では、横行による自律走行からガイドライン12へ乗り移る際、自動搬送車2が一旦、ガイドライン12を横行して通過し、その後、斜行してガイドライン12に再接近して追従状態へ移行する。このような追従状態への移行制御では、横行してガイドライン12に到達した際、自動搬送車2を一時、停止させなくても良い。本例の自動搬送システム1では、敢えて、ガイドライン12から自動搬送車2を逸脱させ、その後、ガイドライン12に再接近するように自律走行させることで、滑らかで迅速なガイドライン12への乗り移りを実現している。
【0047】
このように、自動搬送車2を横行させた後、新たなガイドライン12に対する追従状態に移行させるための本例の自動搬送車2の制御方法によれば、新たなガイドライン12への円滑な乗り移りを実現でき、乗り移りに要する時間を短縮可能である。
【0048】
なお、本例の自動搬送システム1では、元のガイドライン11と乗り移るガイドライン12とが平行をなしている。これに代えて、図7に示すごとく、元のガイドライン11に対して、乗り移るガイドライン12を斜めに敷設することもできる。同図の場合では、横行する自動搬送車2の後ろ側の駆動ユニット3が先にガイドライン12に到達することになる。後ろ側の駆動ユニット3がガイドライン12に到達したときに姿勢制御を解除すると共に後ろ側の駆動ユニット3を停止し、その後、前側の駆動ユニット3についてのみ前記第1〜3の走行ステップ及び前記移行ステップよりなる移行制御を適用しても良い。あるいは、後ろ側の駆動ユニット3についても前側の駆動ユニット3と同様の移行制御を適用しても良い。
【0049】
なお、本例では、第1の追従区間と第2の追従区間との間の横行区間が自律走行区間として設定されている。これに代えて、図8に示すごとく、第1の追従区間のガイドライン11と第2の追従区間のガイドライン12との間に、自動搬送車2を横行させるためのガイドライン13を設けることも良い。この場合には、前記移行制御のうちの第1の走行ステップ及び第2の走行ステップに対して追従走行制御が適用され、第3の走行ステップに対して自律走行制御が適用されることになる。ガイドライン12を通り過ぎるように各駆動ユニット3を制御すれば、ガイドライン13に追従して横行してきた自動搬送車2をガイドライン12上で一時停止させる必要がなくなり、滑らかで迅速なガイドライン12への乗り移りを実現できる。
【0050】
なお、本例では、進入角a及びbを、それぞれ、約90度、約45度に設定している。これらの数値は一例に過ぎず、進入角の設定は適宜、変更可能である。進入角は、自動搬送車2の走行特性や、制御仕様や、進入速度等に応じて適宜、選択されるべきであり、進入角a>進入角bの関係が保持されていれば良い。
【0051】
(実施例2)
本例は、実施例1に基づいて、自律走行区間における走行パターンを斜行に変更した例である。この内容について、図9〜図11を参照して説明する。
本例の自動搬送システム1では、平行をなすように敷設されたガイドライン11とガイドライン12との間で、自動搬送車2が斜行で自律走行する。その斜行方向とガイドライン12とのなす角、すなわちガイドライン12に対する自動搬送車2の進入角aが約45度となっている。また、ガイドライン12へ乗り移る際の進入角bは約22.5度となっている。なお、本例では、ガイドライン12に対する進入速度が実施例1よりも速く設定されており、それ故、進入角aでのガイドライン12への乗り移りの難易度が実施例1よりも高くなっている。
【0052】
本例では、図10及び図11に示すごとく、検出エリア36Aまでの走行期間が第1の走行ステップに対応している。検出エリア36Aを経て検出エリア36Bまでの走行期間が第2の走行ステップに対応している。検出エリア36Bを経て検出エリア36Cまでの走行期間が第3の走行ステップに対応している。さらに、検出エリア36Cを経て検出エリア36Eまでの走行期間が移行ステップに対応している。
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
【0053】
以上、実施例1及び実施例2のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形あるいは変更した技術を包含している。
【符号の説明】
【0054】
1 自動搬送システム
11、12 ガイドライン(導線)
121 エッジ(導線エッジ)
2 自動搬送車
20 車体
28 自律航法手段
281 角速度センサ
3 駆動ユニット
331 駆動輪
351 ラインセンサ(検出センサ)
352 マーカセンサ
36 検出エリア
360 磁気検出素子
50 制御ユニット
510 走行制御手段
512 制御切換手段
513 測位手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別に駆動される2本1組の駆動輪が同軸に配置されていると共に当該2本1組の駆動輪の回転差に応じて旋回して操舵される前後2基の駆動ユニットと、経路に沿って敷設された所定幅の導線を検出するために駆動ユニットの前進側の正面に取り付けられた検出センサと、を備えた自動搬送車が横行又は斜行して新たな導線へ接近し、追従状態へ移行するための制御方法であって、
前記新たな導線に対して前記駆動ユニットを進入角aで前進させることにより、前記自動搬送車が横行又は斜行して前記新たな導線に接近する第1の走行ステップと、
少なくとも何れかの駆動ユニットの検出センサが前記新たな導線を検出した後、該検出センサが再度、該新たな導線を検出しなくなるまで該駆動ユニットを前記進入角aのまま前進させる第2の走行ステップと、
該第2の走行ステップの後、前記検出センサにより前記新たな導線を再検出できるように前記駆動ユニットを操舵する第3の走行ステップと、
前記検出センサにより前記新たな導線が再検出された後、該新たな導線に追従して走行するように前記駆動ユニットを操舵する追従走行制御への切換を実行する移行ステップと、を含み、
該移行ステップにおける前記新たな導線に対する前記駆動ユニットの進入角が、前記進入角aよりも小さい進入角bである自動搬送車の制御方法。
【請求項2】
前記検出センサは、前記駆動ユニットの進行方向に直交する方向に延設された検出エリアを含み、前記導線を検出しているか否かのみならず、前記検出エリアのどの部分が前記導線を検出しており、どの部分が検出していないかを検知可能であると共に、前記検出エリア内における検出部分と非検出部分との組合せに応じて前記導線の縁部をなす導線エッジを検出可能であり、
前記移行ステップでは、前記検出センサが前記新たな導線を検出するのみでは前記追従走行制御への切換が実行されず、その後、前進方向側の導線エッジが検出されたときに前記追従走行制御への切換が実行される請求項1に記載の自動搬送車の制御方法。
【請求項3】
前記自動搬送車は、自律航法による自律走行を可能とする自律航法手段を備えており、
前記第3の走行ステップは、前記自動搬送車が自律走行を行うステップである請求項1又は2に記載の自動搬送車の制御方法。
【請求項4】
前記自動搬送車は、自律航法による自律走行を可能とする自律航法手段を備えており、
前記第1及び第2の走行ステップは、前記自動搬送車が自律走行を行うステップである請求項1〜3の何れか1項に記載の自動搬送車の制御方法。
【請求項5】
前記第1の走行ステップにおける前記進入角aの制御目標値が90度である請求項1〜4の何れか1項に記載の自動搬送車の制御方法。
【請求項6】
前後2基の駆動ユニットについて、それぞれ、前記第1〜第3の走行ステップ及び前記移行ステップを実行する請求項1〜5の何れか1項に記載の自動搬送車の制御方法。
【請求項1】
個別に駆動される2本1組の駆動輪が同軸に配置されていると共に当該2本1組の駆動輪の回転差に応じて旋回して操舵される前後2基の駆動ユニットと、経路に沿って敷設された所定幅の導線を検出するために駆動ユニットの前進側の正面に取り付けられた検出センサと、を備えた自動搬送車が横行又は斜行して新たな導線へ接近し、追従状態へ移行するための制御方法であって、
前記新たな導線に対して前記駆動ユニットを進入角aで前進させることにより、前記自動搬送車が横行又は斜行して前記新たな導線に接近する第1の走行ステップと、
少なくとも何れかの駆動ユニットの検出センサが前記新たな導線を検出した後、該検出センサが再度、該新たな導線を検出しなくなるまで該駆動ユニットを前記進入角aのまま前進させる第2の走行ステップと、
該第2の走行ステップの後、前記検出センサにより前記新たな導線を再検出できるように前記駆動ユニットを操舵する第3の走行ステップと、
前記検出センサにより前記新たな導線が再検出された後、該新たな導線に追従して走行するように前記駆動ユニットを操舵する追従走行制御への切換を実行する移行ステップと、を含み、
該移行ステップにおける前記新たな導線に対する前記駆動ユニットの進入角が、前記進入角aよりも小さい進入角bである自動搬送車の制御方法。
【請求項2】
前記検出センサは、前記駆動ユニットの進行方向に直交する方向に延設された検出エリアを含み、前記導線を検出しているか否かのみならず、前記検出エリアのどの部分が前記導線を検出しており、どの部分が検出していないかを検知可能であると共に、前記検出エリア内における検出部分と非検出部分との組合せに応じて前記導線の縁部をなす導線エッジを検出可能であり、
前記移行ステップでは、前記検出センサが前記新たな導線を検出するのみでは前記追従走行制御への切換が実行されず、その後、前進方向側の導線エッジが検出されたときに前記追従走行制御への切換が実行される請求項1に記載の自動搬送車の制御方法。
【請求項3】
前記自動搬送車は、自律航法による自律走行を可能とする自律航法手段を備えており、
前記第3の走行ステップは、前記自動搬送車が自律走行を行うステップである請求項1又は2に記載の自動搬送車の制御方法。
【請求項4】
前記自動搬送車は、自律航法による自律走行を可能とする自律航法手段を備えており、
前記第1及び第2の走行ステップは、前記自動搬送車が自律走行を行うステップである請求項1〜3の何れか1項に記載の自動搬送車の制御方法。
【請求項5】
前記第1の走行ステップにおける前記進入角aの制御目標値が90度である請求項1〜4の何れか1項に記載の自動搬送車の制御方法。
【請求項6】
前後2基の駆動ユニットについて、それぞれ、前記第1〜第3の走行ステップ及び前記移行ステップを実行する請求項1〜5の何れか1項に記載の自動搬送車の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−89078(P2012−89078A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237594(P2010−237594)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(593018208)株式会社シンテックホズミ (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(593018208)株式会社シンテックホズミ (8)
【Fターム(参考)】
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