説明

自動書籍管理装置

【課題】書籍の自動入出庫を行う際に、空きスペースのあるコンテナを効率よく搬送可能として作業効率の向上を図れる自動書籍管理装置を提供する。
【解決手段】書庫4に格納され、それぞれに複数の書籍が収納された複数のコンテナ8の中から指示されたコンテナ8を取出してステーション10に搬送すると共に、該ステーションに搬送されたコンテナを書庫4に搬送して格納する搬送手段と、各コンテナの空きスペースに関する情報と、各コンテナの書庫内での配架位置情報を取得し、これら取得した情報をコンテナと対応させて記憶手段に記憶すると共に、各コンテナの空きスペース情報と各コンテナの書庫内での配架位置情報とに基づき書庫4からステーション10に取出すコンテナを選択する制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多量の書籍の取出しと格納を自動で行う自動書籍管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、多量の書籍を有する大規模書籍館等にあっては、書籍の取出しや収納に要する作業の能率向上を図るために、自動書籍管理装置が導入されてきている。この自動書籍管理装置は、書籍を分類毎やサイズ毎に定めたコンテナ内に収納して書庫に複数格納保管しておき、利用者が貸し出しを要求した書籍が収納されているコンテナを搬送手段で書庫から取出して利用者カウンタまで搬送すると共に、その書籍が貸し出された事(取出された事)を記録する作業や、書籍が返却されて収納されたことを記録し、返却された書籍が収納されたコンテナを書庫まで戻して格納位置を記録する作業等を自動化して、書籍の取出し及び収納に要する作業を正確かつ迅速に実行することができるようにしたものである。
このような自動書籍管理装置による書籍の保管管理手段としては、複数のコンテナの書庫内における格納位置と、各コンテナに収納された複数の書籍の各書籍コードとを対応させて記憶しておき、書籍の取出し及び収納が行なわれる毎に、その記憶内容を更新するフリーロケーション方式が採用されている。
【0003】
このようにフリーロケーション方式を採用し、自動化による書籍の取出し及び収納作業の能率を効果的に向上させるようにした自動書籍管理装置にあっては、書庫に格納された複数のコンテナそれぞれにおける書籍の充填率を把握しておき、返却された書籍を収納するためのコンテナを書庫から取出す際に、収納する書籍の量と書庫内の各コンテナの空きスペースとを考慮して、取出す(出庫する)コンテナをその個数が最小となるように自動的に選択することにより、書籍の収納に要する作業の更なる能率向上を図るようにすることである。
そこで、特許文献1では、書庫に入庫する書籍量を入力する入力手段で入力された書籍量と予め選択する所定のコンテナの空きスペースとを比較し、書籍量が空きスペースよりも多い場合には、所定のコンテナとその次に空きスペースの広いコンテナとを選択して利用者カウンタまで搬送する発明が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特許第3349676号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明では、入力された書籍書(収納する書籍量)とコンテナの空きスペースとを比較し、書籍量がコンテナの空きスペースよりも多い場合には、所定のコンテナとその次に空きスペースの広いコンテナとを搬送して、順次、利用者カウンタまで搬送してくるので、搬送するコンテナの個数を最小限にすることができる。
しかしながら、書籍が収納されて書庫に格納保管されているコンテナは、蔵書数が多ければその数は多く、書庫内において様々な位置に格納されることになり、コンテナの格納位置を考慮しなければ、利用者カウンタまで多くの搬送時間を要してしまう。すなわち、図書館等では、大量の書籍の出し入れが行われるため、待ち時間を少なくすることが作業効率の向上につながることとなり、最適な容量のコンテナがより早く受付カウンタに搬送されることが要望されている。
本発明は、書籍の自動入出庫を行う際に、空きスペースのあるコンテナを効率よく搬送可能として作業効率の向上を図れる自動書籍管理装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、書庫に格納され、それぞれに複数の書籍が収納された複数のコンテナと、複数のコンテナの中から指示されたコンテナを取出してステーションに搬送すると共に、該ステーションに搬送されたコンテナを書庫に搬送して格納する搬送手段とを有する自動書籍管理装置において、各コンテナの空きスペースに関する情報と、各コンテナの書庫内での配架位置情報を取得し、これら取得した情報をコンテナと対応させて記憶手段に記憶すると共に、各コンテナの空きスペース情報と各コンテナの書庫内での配架位置情報とに基づいて書庫からステーションに取出すコンテナを選択する制御手段を有することを特徴としている。
【0007】
本発明に係る自動書籍管理装置では、制御手段が、各コンテナの配架位置からステーションまでの搬送時間に係わる情報は既知であり、この搬送時間情報に基づき配架位置情報に重み付け付してロケーション係数を算出し、算出されたロケーション係数と各コンテナの空きスペース情報とから前記書庫からステーションに取出すコンテナを選択することを特徴としている。
【0008】
本発明に係る自動書籍管理装置では、書庫に入庫する書籍量情報を入力する入力手段を有し、制御手段が、ロケーション係数と各コンテナの空きスペース情報とから決定値を算出し、この算出した決定値に基づき入力手段から入力される書籍量情報を満足するように書庫からステーションに取出すコンテナを決定することを特徴としている。
【0009】
本発明に係る自動書籍管理装置では、制御手段が、ロケーション係数と各コンテナの空きスペース情報とから決定値を算出し、この算出した決定値に基づき書庫からステーションに取出すコンテナを決定することを特徴としている。
【0010】
本発明に係る自動書籍管理装置では、書庫に入庫する書籍量情報を入力する入力手段を有し、制御手段が、ロケーション係数及び予め設定した所定値と各コンテナの空きスペース情報の差分から第1の決定値を算出し、ロケーション係数と各コンテナの空きスペース情報とから第2の決定値を算出し、入力手段で入力された書籍量情報が、予め設定した所定値よりも小さい場合には第2の決定値を基準にして前記複数のコンテナの中から該当するコンテナを検索し、前記入力手段で入力された書籍量情報が、予め設定した所定値以上の場合には第1の決定値を基準にして前記複数のコンテナの中から該当するコンテナを検索することを特徴としている。
【0011】
本発明に係る自動書籍管理装置では、制御手段が、ロケーション係数を、複数の配架位置の要素に対する個々の重みを考慮して算出することで引当の優先順を制御することを特徴としている。この複数の配架位置の要素とは、単式格納棚では連、列、段、号機の情報であり、複式格納の棚ではフロント/リア、連、列、段、号機の情報である。
【0012】
本発明に係る自動書籍管理装置では、書庫内に複数の号機が配置された構成の書庫において、ロケーション係数に号機の要素を考慮することで、ステーションへ取出すコンテナを各号機から均等に選択することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、記憶手段に記憶している前記各コンテナの空きスペース情報と各コンテナの書庫内での配架位置情報の双方に基づいて、前記書庫から前記ステーションに取出すコンテナを選択するので、選択されるコンテナは空きスペースと配架位置情報の条件が反映されて選択されるので、空きスペース情報単独で選択する場合よりも、所要の空きスペースのあるコンテナを効率よく搬送でき、作業効率の向上を図ることができる。
本発明によれば、前記書庫内に複数の号機が配置された構成の書庫において、前記ロケーション係数に号機の要素を考慮することができるので、ステーションへ取出すコンテナを各号機に均等に配分することで運転効率を上げることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明が適用された自動書籍管理装置の一形態について図面を用いて説明する。図1に示す自動書籍管理装置は、書庫4内に配列された固定棚2A,2B,2Cと、固定棚2A,2B,2Cの間に形成される通路5A,5B,5Cを移動可能なスタッカークレーン6A,6B,6C、スタッカークレーン6では運び出される荷物であるコンテナ8・・を入出庫台車9へ搬送する搬送コンベア37A,37B,37C、入出庫台車9との間でコンテナ8の授受を行う上下2段の、コンテナ8が運ばれる出納ステーション10、一時保管棚11、受付カウンタ12、利用者カウンタ40等を有している。これらの装置により書籍16(図2参照)を収納したコンテナ8は、必要に応じて各固定棚2A,2B、2Cに入出庫され、所定のコンテナ搬送ラインへ導かれる。
【0015】
固定棚2A〜2Cは、そのフロント/リア、列、連、段を有している。固定棚2A,2B,2Cにおいて、通路5A,5B,5Cと対面する区分はフロント側、反対側をリア側としている。例えば、固定棚2Cにおいて、符号201はフロント側、符号302はリア側をそれぞれ示す。スタッカークレーン6A、6B、6Cは、それぞれ通路5A,5B,5C内を移動するが、それぞれ1号機〜3号機とされている。
【0016】
入出庫台車9の搬送経路には、入出庫台車9で搬送されるコンテナ8の搬送経路を振り分けると共に、収納ステーション10で回転させる機能を有するリフタ38が配設されている。リフタ38には出納ステーション10に接続されたステーションコンベア39が接続されており、ステーションコンベア39が往復動することにより出納ステーション10へのコンテナ8の搬入、及び出納ステーション10からのコンテナ8の搬出が行われる。これらスタッカークレーン6A〜6C、入出庫台車9、搬送コンベア37A〜37C、リフタ38、ステーションコンベア39で搬送手段が構成されている。
【0017】
出納ステーション10は、図2に示すように外観視階段状を呈した筐体からなり、その手前側には作業用カウンタ18が、中程にはコンテナ8が走行するための走行路19が、奥側には埋込型モニタ20がそれぞれ設けられている。
【0018】
作業用カウンタ18の上面には、埋込型バーコードリーダ21、マウス22、作業完了ボタン23、移動完了ランプ24等が設けられており、作業用カウンタ18の下部にはキーボード25、ハンディバーコードリーダ26が設けられている。
【0019】
埋込型バーコードリーダ21及びハンディバーコードリーダ26は、書籍16のそれぞれに貼付された図示しないバーコードを読み取る際に使用される。入力手段となるマウス22及びキーボード25は各種データを入力する際に使用され、キーボード25は二点鎖線で示す位置に引き出されて使用される。作業完了ボタン23は出納ステーション10において書籍16の出し入れ作業が終了したコンテナ8を書庫4に戻す際に操作され、移動完了ランプ24は書庫4から運ばれたコンテナ8が出納ステーション10の所定位置に到着した際に点灯する。
【0020】
内部に搬送コンベア37を有する走行路19は壁部27を介して書庫4に繋がっており、ピッキングステーション10には走行路19を覆うためのカバー28,28が設けられている。各カバー28にはそれぞれ開閉可能なドア29が設けられており、各ドア29は通常は図に二点鎖線で示す位置に閉じられていて、コンテナ8が所定位置に到着した際に手動によって図の実線位置に開放される。
【0021】
右側のカバー28の上部にはプリンタ32が配設されており、その奥側の壁面にはCRT表示装置からなる埋込型モニタ20が配設されている。モニタ20には、入出庫される書籍16の名称、分類、ID番号等の書籍データが表示される。プリンタ32は、受付12において貸し出しされた書籍の受付番号を打ち出すために使用される。
【0022】
図1に示すように、出納ステーション10の近傍には一時保管棚11及び受付カウンタ12が、受付カウンタ12の近傍であって利用者が利用し易い場所には利用者カウンタ40がそれぞれ配設されている。利用者への書籍16の貸し出し及び返却を行う受付カウンタ12には端末12aが、利用者が借りたい書籍16を選ぶ利用者カウンタ40には端末40aがそれぞれ配設されている。壁部27の上部には、非常時において閉鎖される防火シャッタ36が配設されている。
【0023】
出納ステーション10の内部下方には、各コンテナ8・・の空きスペースに関する情報と、各コンテナの書庫4内での配架位置情報を取得し、これら取得情報をコンテナ8と対応させて記憶手段としてのコンテナデータベース33に記憶すると共に、各コンテナ8・・の空きスペース情報とコンテナ8の配架位置情報とに基づいて、書庫4から出納ステーション10に取出すコンテナを選択する制御手段34と、コンテナデータベース33及び制御手段34に対する無停電装置(UPS)35等が配設されている。
【0024】
制御手段34は、CPU340、ROM341、RAM342及び図示しないタイマを備えた周知のコンピュータで構成されている。制御手段34には、モニタ20、埋込型バーコードリーダ21、マウス22、作業完了ボタン23、移動完了ランプ24、キーボード25、ハンディバーコードリーダ26と共に、スタッカークレーン6A〜6C、搬送コンベア37A〜37C、リフタ38、ステーションコンベア39が、それぞれの図示しない駆動回路を介して接続されている。各コンテナ8・・には、それぞれを識別するための識別部として図示しないバーコードが付されている。各搬送コンベア37の近傍に固定式のバーコードリーダ50が設置されていて、通過する各コンテナ8・のバーコードを読み取り、その信号を制御手段に送信している。
【0025】
各コンテナ8・・への書籍16の収納形態と空きスペースについて説明する。本形態において、各コンテナ8・・は図3に示すように、書籍16を並べる方向への長さが120cmとされていて、その情報がROM341に記憶されている。このコンテナ8の長さは各コンテナ8・・のサイズに合わせて変更可能とされている。書籍16は、その背表紙が外向きとなるように立てて各コンテナ内に整列されて収納される。つまり、1つのコンテナ8には、収納する書籍量情報として書籍16の幅の合計となる総厚さNが120cmとなるまで収納することができる。
【0026】
各コンテナ8・・の収納状態は、書籍16をコンテナ8に入れる際に、図示しない光学的なセンサを用いて、収納する書籍16の書籍量情報としての総厚さNを測定し、その測定結果をコンテナ情報と対応させてコンテナデータベース33に記憶する方法がある。別な方法としては、コンテナ8内に1cm〜120cmまでの目盛り、あるいは作業用カウンタ18に1cm〜120cmまでの目盛りをそれぞれ設け、収納する書籍16をその目盛りでオペレータが読み取り、キーボード25を用いてその値を入力し、入力結果をコンテナ情報と対応させてコンテナデータベース33に記憶する方法がある。何れの場合にしても、収納する書籍は1冊の場合には、その厚さが総厚さNとなり、複数冊の場合には、その合計の厚さが総厚さNとなる。各コンテナ8・・の空きスペース情報nはコンテナの最大幅120cmから総厚さNを減算した値となる。
【0027】
コンテナデータベース33には、各コンテナの配架位置情報となる各固定棚と、その列、連、段、フロント側とリア側の情報及び移動機器の号数が記憶されている。コンテナデータベース33には、各コンテナ8・・の識別情報が入力されていて、これら識別情報が配架位置情報と関連付けられて記憶されている。このデータとしては各コンテナ8の位置にナンバーが付されて記憶されている。コンテナデータベース33は、各コンテナ8・・の位置が変更されると、変更内容が交信されると、更新後の情報が記憶されるように構成されている。
【0028】
制御手段34は、各コンテナ8の配架位置から出納ステーション10までの搬送時間に係わる情報を有し、この搬送時間情報に基づき配架位置情報に重み付け付してロケーション係数Kを算出する式1が記憶されていて、この式1を用いてロケーション係数Kを算出すると共に、算出したロケーション係数Kと各コンテナの空きスペース情報nとから書庫4(各棚)から収納ステーション10に取出すコンテナ8を選択する機能を有する。
(式1)
ロケーション係数K=
収納位置要素×重み+収納位置要素×重み+・+収納位置要素×重み
ここで、1,2・・・は例えば、連,列,段,号機等。重み1,2・・・でなる。
【0029】
制御手段34は、ロケーション係数Kと各コンテナの空きスペース情報nと書籍量情報Nから第1の決定値(S1)を式2で算出し、ロケーション係数Kと各コンテナ8の空きスペース情報nとから第2の決定値(S2)を式3で算出する。
(式2)
第1の決定値(S1)=K1×(120−空きスペースn)+ロケーション係数K
式2の特徴は空きスペースの略大きい順に決定値(S1)が算出される。
(式3)
第2の決定値(S2)=K×空きスペースn+ロケーション係数K
式3の特徴は空きスペースの略小さい順に決定値(S2)が算出される。
【0030】
式2、式3において、K,Kは任意の定数であり、この値を大きくすると空きスペース優先でコンテナが選択され、小さくすると配架位置優先、すなわちコンテナの配架位置優先でコンテナ8が選択されることとなる。
【0031】
制御手段34では、総厚さNが予め設定した所定値よりも小さい場合には、第2の決定値(S2)を基準にしてコンテナデータベース33に記憶された複数のコンテナ8・・の中から該当するコンテナ8を検索し、総厚さNが所定値以上の場合には第1の決定値(S1)が基準にしてコンテナデータベース33に記憶された複数のコンテナ8・・の中から該当するコンテナ8を検索する。
【0032】
このような構成の自動書籍管理装置によるコンテナ8の選択手順ついて説明する。図5はコンテナ8の選択手順をケース1,ケース2として記載したものである。各ケースにおいて、所定値としてコンテナ8の最大容量となる120cmが設定されている。
【0033】
(ケース1)
このケースは、総厚さNが所定値(120cm)よりも小さい場合を示す。この場合のコンテナ決定の為のアルゴリズムは、図7に示す手順2で行われる。
【0034】
(ケース2)
このケースは、総厚さNが所定値(120cm)以上の場合を示す。この場合のコンテナ決定の為のアルゴリズムは、図6に示す手順1と図7に示す手順2で行われる。
【0035】
以下、図6,図7に示す表と図8に示すフローチャートに沿って手順1、2について説明する。本形態では、図6に示すように、定数K1,K2は、それぞれ「100」と「10」とされている。配架位置の重み係数は、「1000」、「100」、「10」とされている。この重み係数については、要素数を加味して全てのコンテナ8に対してフロント/リア>連>列>段>号機となるように選択するのが好ましい。係数の選択の一例としては、フロント/リア=2、連=32、列=2、段=31、号機=3の係数とされている。
【0036】
図6は、コンテナデータベース33内に作成されるテーブルである。このテーブルにおいて、No(ナンバー)はコンテナ8の識別番号を示し、各コンテナに対する空きスペース、フロント/リア、連、列、段、号機が関連付けられている。このような設定において、式1を用いて各コンテナ8に対するロケーション係数が決定され、式2、式3を用いて各コンテナに対する決定値K1と決定値K2が算出されている。
【0037】
図7は、コンテナデータベース33内に作成されるテーブルである。このテーブルにおいても、No(ナンバー)はコンテナ8の識別番号を示し、各コンテナに対する空きスペース、フロント/リア、連、列、段、号機が関連付けられている。このような設定において、式1を用いて各コンテナ8に対するロケーション係数が決定され、式2、式3を用いて各コンテナに対する決定値K1と決定値K2が算出されている。
【0038】
次に、図8,図9を用いて、制御手段34によるコンテナ選択工程と自動書籍管理装置の動作について説明する。コンテナデータベース33には、各コンテナ8の位置情報と配架位置重み係数とから式1によってロケーション係数が、コンテナデータベース33の生成時に計算されて記憶されている。
【0039】
このような構成の自動書籍管理装置によると、利用者は借りたい書籍16を検索して所定の手続を行えば、該当する書籍16を収納したコンテナ8が自動的に保管場所から出納ステーション10に搬送される。モニタ20に表示されている該当書籍情報に基づきオペレータがコンテナ8から書籍16を取出すことにより、利用者は該当する書籍16を受け取ることができる。
【0040】
返却は逆の手順で行われ、利用者は所定の返却場所あるいは受付カウンタ12に返却すべき書籍16を持ち込む。持ち込まれた書籍16は一時保管棚11に移され、出納ステーション10においてオペレータがこれを搬送されてきたコンテナ8に収納する。オペレータはコンテナ8に書籍16を収納する際に、再び書籍16のバーコードを埋込型バーコードリーダ21あるいはハンディバーコードリーダ26で読み取り、これによりコンテナデータベース33にコンテナ8と書籍16とが対応付けられて記憶されると共に、総厚さNがオペレータによって入力される。この総厚さNが入力されることで、図8のステップT1で示すように、コンテナデータベース33のコンテナ空きスペース情報nが更新されると共に、ステップT2において更新された空きスペース情報nを元にして式2、式3で決定値(S1)、決定値(S2)がそれぞれ算出されて最新のものに更新される。
オペレータにより各ドア29が閉じられた後に作業完了ボタン23が押され、コンテナ8が書庫4に入庫されることにより収納作業が完了する。
【0041】
次に図9を用いてコンテナ出納設定(コンテナの選択)処理について説明する。この処理では、キーボード25による入力あるいはモニタ20の画面に表示されるコンテナ出納設定画面から入力される、収納書籍、すなわち返却する書籍16の総厚さNが取り込まれ、ステップU1において、各コンテナ8・・空きスペースnが所定値(120cm)と比較される。ここで空きスペースnが所定値以上の場合(n≧120)にはステップU2に進む。ステップU2では、既に算出されている決定値(S1)をキーにして、すなわち、決定値(S1)に基づいてコンテナデータベース33のデータレコードが図6に示すように昇順ソートされ、ステップU3に進む。
【0042】
ステップU3では、ソートされたデータレコードの先頭、図6では最上位から該当するコンテナ8を引当(選択)して、搬送すべきコンテナを設定する。ここでは、総厚さNがコンテナ8の最大容量(120cm)よりも大きく、1つのコンテナでは収まりきらないので、ステップU4において複数のコンテナ8が選択される。ここで、選択したコンテナ8の空きスペースnと所定値である(120cm)とが比較され、選択したコンテナ8の空きスペースnが所定値(120cm)よりも少なくなるまでコンテナ8の選択が行われる。選択したコンテナ8の空きスペースnが所定値(120cm)よりも少なくと、ステップU5に進む。
【0043】
ステップU5では、端数mの計算が行われる。端数mは、総厚さNからステップU4で選択されたコンテナ8の空きスペースn1、n2を引いたものである。例えば、総厚さNが170cm、空きスペースnが120cmのコンテナ8が1つ選択された場合には、170−120の計算からm=50cmとなる。ここまでの処理が手順1の内容となり、ここまでのステップが終了するとステップU6へ進む。一方、ステップU1において、空きスペースnが所定値よりも低い場合(n<120)にはステップU6に進んで手順2の内容を実行する。
【0044】
ステップU6では、端数mよりも大きい空きスペースnのコンテナ8について、既に算出されている決定値(S2)をキーにして、すなわち、決定値(S2)に基づいてコンテナデータベース33のデータレコードが図7に示すように昇順ソートされてステップU7に進む。ステップU7では、該当するコンテナ8があるか否が図7のデータレコードを検索することで判断される。そして、該当するコンテナ8がある場合には、ソートされたデータレコードの先頭、図7では最上位から該当するコンテナ8を引当(選択)して、搬送すべきコンテナ8としてRAM342に設定してこの処理を終える。
【0045】
ステップU7において、該当するコンテナ8が無い場合には、より検索条件を広くするためにステップU9に進み、端数mを1/2とし、ステップU6に戻り決定値(S2)をキーにして、コンテナデータベース33のデータレコードが図7に示すように昇順ソートされ、ステップU7において再度該当コンテナ8の有無が判断される。そして、該当コンテナがある場合にはステップU8で該当するコンテナ8を引当(選択)して、搬送すべきコンテナ8としてRAM342に設定してこの処理を終える。
【0046】
このように搬送すべきコンテナ8の情報が設定されると、制御手段34は、搬送手段となる、スタッカークレーン6A〜6C、入出庫台車9、搬送コンベア37A〜37C、リフタ38、ステーションコンベア39を駆動して、該当するコンテナ8を、それが格納された固定棚から取出して出庫させて収納ステーション10へと搬送する。
【0047】
このように、書庫4に格納されている複数のコンテナ8・・の中から、各コンテナの空きスペースnと、各コンテナ8・・の書庫4内での配架位置情報とコンテナとを対応させてコンテナデータベース33に記憶し、その情報に基づいて書庫4から出納ステーション10に取出す(出庫する)コンテナ8を選択するので、選択されるコンテナ8は空きスペースnと配架位置情報の条件が反映されて選択されることになり、空きスペース情報単独で選択する場合よりも、空きスペースのあるコンテナ8を効率よく出納ステーション10へと出庫搬送でき、作業効率の向上を図ることができる。
【0048】
制御手段34は、配架位置情報として書庫4内に配列され、各コンテナ8・・をそれぞれ格納可能な各固定棚の列情報を有しているので、出納ステーション10へ出庫するコンテナ8を各棚から均等に選択するようにしてもよい。例えば、固定2A〜2Cにおいて、「列情報」以外の条件が同一のコンテナが存在している場合には、コンテナデータベース33のデータレコードの上位に各列の該当するコンテナ情報を昇順ソートするようにすることで、空きスペースnのあるコンテナ8を各棚から均等かつ効率よく搬送することができる。
【0049】
図10は、コンテナ出納設定(コンテナの選択)処理の別な形態を示すフローチャートである。この処理は、空コンテナ数を指定することで搬送すべきコンテナ8を選択設定するものである。この処理では、キーボード25による入力あるいはモニタ20の画面に表示されるコンテナ出納設定画面から入力される、空コンテナの指定数が取り込まれ、ステップV1において、指定された空コンテナの総数が空きスペースnとされてステップV2に進む。ステップV2では空きスペース120のコンテナ8について決定値(S1)をキーにして、すなわち、決定値(S1)に基づいてコンテナデータベース33のデータレコードを昇順ソートされてステップV3に進む。
【0050】
ステップV3ではソートされたデータレコードの先頭から該当するコンテナ8を引当(選択)して、搬送すべきコンテナ8として決定する。ステップV4では指定したコンテナ数となるまでデータレコードから該当するコンテナ8の引当(選択)が行われ、指定したコンテナ数が選択されると、RAM342に設定してこの処理を終える。
【0051】
このように搬送すべきコンテナ8の情報がRAM342に設定されると、制御手段34は搬送手段となる、スタッカークレーン6、トラバーサ7、入出庫台車9、搬送コンベア37、リフタ38、ステーションコンベア39を駆動して該当するコンテナ8を、それが格納された固定棚から取出して収納ステーション10へと搬送する。
【0052】
図10に示すような空コンテナ数を指定する場合においても、ロケーション係数Kと各コンテナの空きスペース情報nと総厚さNから算出された決定値(S1)を基準に書庫4内のコンテナ8・・から該当するコンテナ8・・を選択して搬送するので、空きスペースのあるコンテナ8を効率よく出納ステーション10へと出庫搬送でき、作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態としての自動書籍管理装置の概略平面図である。
【図2】自動書籍管理装置が有する出納ステーションの概略斜視図である。
【図3】本形態で使用されるコンテナの概観図である。
【図4】自動書籍管理装置が備えた制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】制御手段でコンテナ引当手順の概念を説明するため説明図である。
【図6】コンテナ引当手順の1つの手順とデータベース表示されるデータレコードの一例を示す図である。
【図7】コンテナ引当手順の別な手順とデータベース表示されるデータレコードの一例を示す図である。
【図8】書籍の取出と格納時における空きスペース情報の更新と、ロケーション係数及び各決定値を算出する工程を示すフローチャートである。
【図9】制御手段による該当コンテナ引当のための工程を示すフローチャートである。
【図10】制御手段による該当コンテナ引当のための別な工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
2A,2B,2C 棚(固定棚)
4 書庫
6A〜6C スタッカークレーン(搬送手段)
8 コンテナ
9 入出庫台車(搬送手段)
10 ステーション
16 書籍
25 入力手段
33 記憶手段
34 制御手段
37A〜37C 搬送コンベア(搬送手段)
38 リフタ(搬送手段)
39 ステーションコンベア(搬送手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書庫に格納され、それぞれに複数の書籍が収納された複数のコンテナと、複数のコンテナの中から指示されたコンテナを取出してステーションに搬送すると共に、前記ステーションに搬送されたコンテナを前記書庫に搬送して格納する搬送手段とを有する自動書籍管理装置において、
記憶手段に記憶している前記各コンテナの空きスペース情報と各コンテナの書庫内での配架位置情報の双方に基づいて、前記書庫から前記ステーションに取出すコンテナを選択する制御手段を有することを特徴とする自動書籍管理装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動書籍管理装置において、
前記制御手段は、前記各コンテナの配架位置から出庫してから前記ステーションまでの搬送時間に係わる情報に基づき前記配架位置情報に重み付け付してロケーション係数を算出し、算出されたロケーション係数と各コンテナの空きスペース情報とから前記書庫から前記ステーションに取出すコンテナを選択することを特徴とする自動書籍管理装置。
【請求項3】
請求項2記載の自動書籍管理装置において、
前記書庫に入庫する書籍量情報を入力する入力手段を有し、
前記制御手段は、前記ロケーション係数及び予め設定した所定値と各コンテナの空きスペースの差分情報とから決定値を算出し、この算出した決定値に基づき前記書庫から前記ステーションに取出すコンテナを決定することを特徴とする自動書籍管理装置。
【請求項4】
請求項2記載の自動書籍管理装置において、
前記制御手段は、前記ロケーション係数と各コンテナの空きスペース情報とから決定値を算出し、この算出した決定値に基づき前記書庫から前記ステーションに取出すコンテナを決定することを特徴とする自動書籍管理装置。
【請求項5】
請求項2記載の自動書籍管理装置において、
前記書庫に入庫する書籍量情報を入力する入力手段を有し、
前記制御手段は、前記ロケーション係数及び予め設定した所定値と各コンテナの空きスペースの差分情報とから第1の決定値を算出し、前記ロケーション係数と各コンテナの空きスペース情報とから第2の決定値を算出し、
前記入力手段で入力された書籍量情報が、予め設定した所定値よりも小さい場合には第2の決定値を基準にして前記複数のコンテナの中から該当するコンテナを検索し、前記入力手段で入力された書籍量情報が、予め設定した所定値以上の場合には第1の決定値を基準にして前記複数のコンテナの中から該当するコンテナを検索することを特徴とする自動書籍管理装置。
【請求項6】
請求項2記載の自動書籍管理装置において、
前記制御手段は、前記ロケーション係数を、複数の配架位置の要素に対する個々の重みを考慮して算出することで引当の優先順を制御することを特徴とする自動書籍管理装置。
【請求項7】
請求項6記載の自動書籍管理装置において、
前記複数の配架位置の要素とは、単式格納棚では連、列、段、号機の情報であり、複式格納の棚ではフロント/リア、連、列、段、号機の情報であることを特徴とする自動書籍管理装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れかに記載の自動書籍管理装置において、
前記書庫内に複数の号機が配置された構成の書庫において、前記ロケーション係数に号機の要素を考慮することで、前記ステーションへ取出すコンテナを各号機から均等に選択することを特徴とする自動書籍管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−213486(P2006−213486A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29606(P2005−29606)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000163833)金剛株式会社 (31)
【Fターム(参考)】