説明

自動貸金庫システム及びその制御装置

【課題】利用者が閲覧室から退室する時に、利用者の安全確認を確実に遂行させることが可能な自動貸金庫システム及びその管理装置を提供する。
【解決手段】利用者の預託品を収納する金庫ボックス10を金庫室8に保管し、閲覧室7に設けられた閲覧テーブル2へ金庫室8から金庫ボックス10を搬出することで、閲覧テーブル2での金庫ボックス10の閲覧を可能とする自動貸金庫システム1は、閲覧テーブル2に設けられ、利用者が金庫ボックス10を閲覧するための操作案内が表示され、操作案内に従って利用者が操作を入力するユーザインターフェース部21と、閲覧室7の出入口扉71の外側を撮影した画像を取得する画像取得部73と、ユーザインターフェース部21にて閲覧テーブル2に搬出された金庫ボックス10の閲覧終了の操作が入力されたとき、画像取得部73が取得した画像をユーザインターフェース部21に表示させるテーブル制御部65と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動貸金庫システム及びその制御装置に関し、特に、金庫室内に収納された金庫ボックスを閲覧室に設置された閲覧テーブルへ搬出して利用者に提供する自動貸金庫システム及びその制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、貴重品を収納する複数の金庫ボックスを防盗性及び防火性に優れた金庫室で保管し、利用者による貴重品の預入、閲覧又は引出の際に、特定の金庫ボックスを金庫室から閲覧室へ自動搬送して利用者に提供する自動貸金庫システムが利用されている(例えば、特許文献1を参照)。
このような自動貸金庫システムでは、閲覧室内に利用者が金庫ボックスを閲覧するための閲覧テーブルが設置される。そしてその閲覧テーブルは、操作案内を表示したり、利用者が暗証番号又は操作コマンドを入力したりするためのタッチパネルディスプレイと、金庫ボックスを提供するためのボックス提供口と、ボックス提供口の開口部を開閉するための開閉シャッタを有する。利用者は、タッチパネルディスプレイを操作することにより、その利用者に貸し与えられた金庫ボックスをボックス提供口に呼び出した上、開閉シャッタを開ける指示を行って、その金庫ボックスを露出させる。そして利用者が金庫ボックスから物品を取り出したり、金庫ボックスに物品を預け入れる等の作業を行ったりすることが可能となる。
【0003】
また、自動貸金庫システムでは、利用者の安全及び預け入れる物品の秘匿性を確保するため、正当な利用資格を持つ利用者のみが閲覧室へ入室できるように、閲覧室の外側に認証装置が設置される。利用者が、所定の認証情報を、例えばIDカードを認証装置に読取らせることによって認証装置に入力した後、認証装置は、その認証情報に基づいて利用者が正当な利用資格を持つか否かを確認する。そして認証装置は、利用者が正当な利用資格を持つことを確認できれば、閲覧室の入口に設けられた扉の電気錠を解錠して、その利用者の閲覧室への入室を許可する。なお、特許文献1に開示されているように、利用者の待ち時間を少なくするために、閲覧室の外側に設けられた認証装置が利用者が正当な利用資格を持つことを確認するとともに、その利用者の認証情報により特定される金庫ボックスの金庫室からの搬送を開始するシステムも提案されている。
【0004】
さらに、自動貸金庫システムでは、利用者及び貴重品の秘匿性・安全性を確保するため、第三者が閲覧室内を外側から視認できないように、耐破壊性が高く非透過性の素材で作られた扉や壁によって閲覧室の内側と外側とを遮断している。
しかしながら、このように、外側から内側が見えない構造の閲覧室では、逆に利用者が閲覧室の内側から外側の様子を見ることもできない。したがって、従来の自動貸金庫システムでは、利用者が閲覧室を退出する時、閲覧室の外の様子を確認することができず、利用者の安全が十分に確保されているとはいえない。例えば、利用者が金庫ボックスから取り出した貴重品を持って閲覧室から退室しようとした時、閲覧室外で待ち伏せていた犯罪者によって、利用者が犯罪に巻き込まれる危険性がある。
このような問題に対し、特開平5−159134には、室外の様子を常時モニタに表示する方法が開示されている。しかしながら、常時モニタに表示していると利用者の注意が緩慢になってしまい、閲覧室を退室する時にモニタの画面で室外の様子を確認することを怠り、いざというときに安全確認の役割を果たせなくなる可能性がある。また、室外の様子を常時モニタに表示すると、順番待ちなどで室外に待機している他の利用者の秘匿性を侵しかねないという難点もある。
【0005】
【特許文献1】特開2003−301664号公報
【特許文献2】特開平5−159134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題に鑑み、本発明は、利用者が閲覧室から退室する時に、利用者の安全確認を確実に遂行させることが可能な自動貸金庫システム及びその制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するための本発明の一つの実施形態によれば、利用者の預託品を収納する金庫ボックスを金庫室に保管し、閲覧室に設けられた閲覧テーブルへ金庫室から金庫ボックスを搬出することで、閲覧テーブルでの金庫ボックスの閲覧を可能とする自動貸金庫システムが提供される。係る自動貸金庫システムは、閲覧テーブルに設けられ、利用者が金庫ボックスを閲覧するための操作案内が表示され、操作案内に従って利用者が操作を入力するユーザインターフェース部と、閲覧室の出入口扉の外側を撮影した画像を取得する画像取得部と、ユーザインターフェース部にて閲覧テーブルに搬出された金庫ボックスの閲覧終了の操作が入力された時とき、画像取得部が取得した画像をユーザインターフェース部に表示させるテーブル制御部とを備える。
ここで、閲覧終了の操作とは、利用者が閲覧テーブルに呼び出した金庫ボックスの利用を終えたときに行う操作をいう。例えば、閲覧テーブルに搬出された金庫ボックスを再び金庫室へ搬入させるための指示操作に相当する。
【0008】
また本発明の一つの実施形態に係る自動貸金庫システムにおいて、閲覧室の入退室を規制する規制部をさらに備え、規制部は、テーブル制御部が、閲覧終了の操作に対してユーザインターフェース部に画像を表示させたとき、ユーザインターフェース部にて当該画像に対する画像確認の操作が入力されたことを条件に、閲覧室からの退室を許可することが好ましい。
【0009】
閲覧室の退室が許可されてから一定の時間を経過しても、退室が検知されなかった場合、テーブル制御部は、画像取得部が再取得した画像をユーザインターフェース部に表示させることが好ましい。
【0010】
また、この自動貸金庫システムは、ユーザインターフェース部に入力された操作に基づき金庫室と閲覧テーブルとの間で金庫ボックスの搬出/搬入制御を行う搬送制御部をさらに備え、閲覧テーブルは、金庫室から搬出された金庫ボックスを利用者に提供するための開口部を有するボックス提供口と、開口部を開放/閉鎖する開閉部と、を備え、搬送制御部は、ユーザインターフェース部にて開閉部の閉鎖を指示する操作が入力された時、開閉部の閉鎖制御を行うとともに、ボックス提供口に提供された金庫ボックスの金庫室への搬入制御を行い、テーブル制御部は、ユーザインターフェース部にて開閉部の閉鎖を指示する操作が入力された時、画像取得部が取得した画像をユーザインターフェース部に表示させることが好ましい。この場合、開閉部の閉鎖を指示する操作が上述の閲覧終了の操作に相当する。
【0011】
さらに、この自動貸金庫システムにおいて、ユーザインターフェース部は、タッチパネルディスプレイで構成されることが好ましい。
【0012】
また本発明の他の実施形態によれば、金庫室から搬出された利用者の預託品を収納する金庫ボックスを、利用者が閲覧するために閲覧室に設けられた閲覧テーブルを制御する制御装置が提供される。係る制御装置において、閲覧テーブルは、利用者が金庫ボックスを閲覧するための操作案内が表示されるユーザインターフェース部であって、操作案内に従って利用者が操作を入力するユーザインターフェース部を備え、制御装置は、閲覧室の出入口扉の外側を撮影した画像を取得する画像取得部と、ユーザインターフェース部にて閲覧テーブルに搬出された金庫ボックスの閲覧終了の操作が入力されたとき、画像取得部が取得した画像をユーザインターフェース部に表示させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る自動貸金庫システム及びその制御装置は、利用者が閲覧室から退室する時に、利用者の安全確認を確実に遂行させることが可能であるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る自動貸金庫システムを、図を参照しつつ説明する。この自動貸金庫システムにおいて、利用者は、閲覧室内に設置された閲覧テーブルにて画面に表示される操作案内に従って所望の金庫ボックスを呼び出し、閲覧(金庫ボックスへの預託品の出し入れ)した後、閲覧終了の操作、例えば提供口シャッタを閉鎖する操作を行う。利用者は、閲覧テーブルへの最後の操作である閲覧終了操作をトリガとして操作案内の画面に映し出される外側の様子を確認してから退室するよう促される。このように、この自動貸金庫システムは、利用者が最後の操作を行った直後に、それまで操作案内が表示されていたのと同じ画面上に閲覧室のドアの外側の画像を映すことによって、利用者にドアの外側の安全を確実に確認させる。
【0015】
図1は、自動貸金庫システム1の概略構成を示す。図1に示すように、自動貸金庫システム1は、閲覧テーブル2と、搬送機構3と、カードリーダ5と、管理装置6と、監視カメラ73とを有する。以下、自動貸金庫システム1の各部について詳細に説明する。
【0016】
閲覧テーブル2は、閲覧室7にその一面が閲覧室7と金庫室8を隔てる壁面に接するように設置される。そして閲覧テーブル2は、自動貸金庫システム1の利用者が、防火壁で囲まれた金庫室8内に保管されている金庫ボックス10を閲覧するための操作を行い、また金庫ボックス10を閲覧する際に金庫ボックス10が載置されるテーブルとして機能する。
【0017】
図2に、閲覧テーブル2の機能ブロック図を示す。図1及び図2に示すように、閲覧テーブル2は、操作・表示部21と、ボックス提供口22と、提供口シャッタ23と、通信部24と、制御部25とを有する。
【0018】
操作・表示部21は、利用者とのユーザインターフェース部であって、例えば、タッチパネルディスプレイを有し、閲覧テーブル2の正面上部に設けられる。そして操作・表示部21は、操作案内又は現在のステータス情報など、利用者に通知すべき情報を表示する。また操作・表示部21は、利用者が暗証番号又は操作コマンドを入力するための操作ボタンを表示する。そして利用者が表示された操作ボタンの何れかを押下すると、操作・表示部21は、その操作ボタンに応じたコマンド又は入力情報を制御部25へ送信する。
さらに、操作・表示部21は、利用者の金庫ボックス10の閲覧終了後、退室前に、監視カメラ73が撮影した閲覧室7の外側の画像を、管理装置6を介して順次受け取って表示し、閲覧室7の外側の安全を画像で確認するよう利用者に促す。
【0019】
なお、操作・表示部21は、スピーカなど音声により利用者に情報を伝達するための手段を有していてもよい。あるいは、操作・表示部21は、マイクロホンなど、利用者の音声を収集して、その音声に対応する信号を制御部25へ伝達する手段を有していてもよい。さらに操作・表示部21は、情報を表示するためのディスプレイ装置と、キーパッド又はトラックボールなど、利用者が入力操作を行うための入力装置とを別個に有していてもよい。ただし、操作・表示部21は、ディスプレイ装置と入力装置とを別個に有している場合でも、利用者がディスプレイ装置に表示された情報を確認しながら所定の入力操作を実行できるように、ディスプレイ装置と入力装置とは近接して配置されることが好ましい。
【0020】
ボックス提供口22は、閲覧テーブル2の内部にまで延伸された搬送機構3の搬送コンベア31の一端の上方の位置において閲覧テーブル2の筐体26に形成された略矩形の開口である。そして利用者は、ボックス提供口22を通じて、その搬送コンベア31の一端にまで搬送されてきた金庫ボックス10を閲覧可能となっている。利用者は、ボックス提供口22に露出した金庫ボックス10の蓋を予め貸与された鍵を使って解錠して開け、金庫ボックス10内の物品(預託品)の預け入れ、あるいは取り出しを行う。ただし、金庫ボックス10自体は、ボックス提供口22から取り出せないように、ボックス提供口22の開口サイズが設定されるか、金庫ボックス10が搬送コンベア31上に固定されることが好ましい。
【0021】
提供口シャッタ23は、ボックス提供口22の開口部に取り付けられる電動式シャッタであり、制御部25からの制御信号に応じて、ボックス提供口22を開放又は閉鎖する開閉部として機能する。なお、提供口シャッタ23の開閉状態を検知するために、例えば、提供口シャッタ23がボックス提供口22を閉鎖した状態のときに、提供口シャッタ23の先端が接触する位置に近接センサ、接触センサなどの開閉検知センサ(図示せず)が設けられる。そして、その開閉検知センサは、提供口シャッタ23がボックス提供口22を閉じたことを検知すると、そのことを示す信号を、制御部25へ送信する。
【0022】
通信部24は、閲覧テーブル2と管理装置6とを通信ネットワークを介して接続するためのインターフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)などの通信規格にしたがった通信インターフェースおよびその周辺回路などで構成される。そして通信部24は、閲覧テーブル2と管理装置6との間で各種信号を送受信する。
【0023】
制御部25は、プロセッサ、揮発性メモリあるいは不揮発性メモリおよびその周辺回路を有する。そして制御部25は、制御部25を構成するプロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムに従って、閲覧テーブル2を制御する。例えば、制御部25は、管理装置6から、閲覧室7内に利用者が入室したことを知らせる信号を受信すると、操作・表示部21に、暗証番号の入力画面を表示させる。そして制御部25は、操作・表示部21を介して入力された暗証番号を管理装置6へ送信する。また制御部25は、操作・表示部21を介した利用者の操作に従って、閲覧テーブル2まで搬出された金庫ボックス10を金庫室8内に搬入するよう、搬入開始指示信号を管理装置6へ送信する。さらに、制御部25は、管理装置6から提供口シャッタ23を開放又は閉鎖させる信号を受信すると、その信号に従って提供口シャッタ23を駆動する。そして制御部25は、提供口シャッタ23を開けた場合、あるいは提供口シャッタ23を閉じた場合、開閉検知センサからの信号を参照して、提供口シャッタ23の開閉状態を判断し、その開閉状態を示すボックス提供口開閉状態信号を管理装置6へ送信する。
また、制御部25は、搬入開始指示信号を送信したときに管理装置6から監視カメラ73による撮影画像を受信すると、操作・表示部21に受信した画像を表示させるとともに、画像確認の操作ボタン(確認ボタン)を表示させる。そして、確認ボタンが操作されると、管理装置6に確認操作信号を送信する。
【0024】
搬送機構3は、管理装置6からの駆動信号に応じて、金庫室8内に設置された収納ラック81から、所定位置に収納されている金庫ボックス10を取り出して、閲覧室7へ搬出する。あるいは、搬送機構3は、管理装置6からの駆動信号に応じて、閲覧室7へ搬出されている金庫ボックス10を、金庫室8内に搬入し、収納ラック81の所定位置に収納する。そのために、搬送機構3は、搬送コンベア31と、スタッカクレーン32と、それらを駆動する駆動部(図示せず)とを有する。
【0025】
搬送コンベア31は、管理装置6からの駆動信号に応じて、閲覧室7と金庫室8を隔てる壁に形成された搬入口9を経由する搬送路に沿って、金庫ボックス10を金庫室8の内部と閲覧室7内に設置された閲覧テーブル2のボックス提供口22の下方位置との間を搬送する。
スタッカクレーン32は、搬出時、複数の金庫ボックス10を収納する収納ラック81の何れかの位置から金庫ボックス10を取り出し、走行レールに沿って移動して、搬送コンベア31の金庫室8側の一端まで取り出した金庫ボックス10を運ぶ。あるいは、スタッカクレーン32は、搬入時、搬送コンベア31の金庫室8側の一端上に置かれた金庫ボックス10を保持した後、走行レールに沿って移動して、収納ラック81の所定位置にまでその金庫ボックス10を運び、その所定位置に収納する。
なお、搬送コンベア31およびスタッカクレーン32は、例えば、公知の自動貸金庫システムにおいて使用されている搬送コンベア及びスタッカクレーンの何れかにより構成することができる。そのため、ここでは、搬送コンベア31及びスタッカクレーン32の詳細な構成の説明は省略する。
【0026】
カードリーダ5は、例えば、前室から閲覧室7への入り口に設置されたドア71の近傍で、前室に設置される。そしてカードリーダ5は、ドア71に設けられた電気錠72の施解錠制御に利用するため、利用者が所持するIDカードから、その利用者の個人識別番号を読取って管理装置6へ通知する。なお、カードリーダ5は、IDカードの種別に応じて、例えば、磁気カードリーダ、あるいは無線自動識別(RFID)システムのリーダとすることができる。
【0027】
監視カメラ73は、閲覧室7の外側の前室などに設置され、管理装置6のカメラ制御部66からの指示によって、閲覧室7の出入口のドア71の外側(前室側)を中心とする監視領域を撮影する撮像装置である。ドア71は、前室に居る人が閲覧室内を視認できないように非透過性の素材で構成される。そこで、閲覧室内の利用者から前室の様子を視認可能とするべく、監視カメラ73が撮影した画像を、管理装置6を介して閲覧テーブル2へ送信し、操作案内を表示する画面と同じ操作・表示部21の画面に表示する。監視カメラ73は、閲覧室7の外側の安全性を確認するという目的に応じた適切な監視領域を撮影できるように、閲覧室7の外側の適切な位置に適切な方向に向けて設置される。
監視カメラ73としては、例えば、CCD素子又はC−MOS素子等の撮像素子、光学系部品、A/D変換器等を含んで構成される公知のものを用いることができる。また、監視カメラ73の解像度は、監視対象などの具体的な用途に応じてその解像度を選ぶことができる。また、画像の撮像に用いる波長帯としては、可視光波長又は赤外線波長などを、監視対象や撮影環境などの具体的な状況に応じて選択することが好ましい。
例えば、監視カメラ73として敢えて解像度の低いカメラ等を使用することによって、順番待ちのため閲覧室7の外側で待機している他の利用者の顔を鮮明に映し出さないようにし、他の利用者のプライバシを保護してもよい。
【0028】
管理装置6は、例えば、いわゆるコンピュータで構成され、自動貸金庫システム1全体を制御する。管理装置6は、金庫室8内、あるいは、閲覧室7及び金庫室8とは別個の場所に設置され、通信ネットワークを介して閲覧テーブル2、搬送機構3、カードリーダ5、電気錠72及び監視カメラ73と接続される。
【0029】
図3に、管理装置6の機能ブロック図を示す。図3に示すように、管理装置6は、半導体メモリ、磁気記録媒体及びそのアクセス装置、あるいは光記録媒体及びそのアクセス装置などを有する記憶部61と、管理装置6を所定の通信規格に従って通信ネットワークに接続通信インターフェース及びその制御回路を有する通信部62とを有する。
【0030】
記憶部61は、予め登録された利用者の個人識別番号及び暗証番号と、その利用者に貸し与えられた金庫ボックス10の収納ラック81内の保管位置とを関連付けて記憶する。また記憶部61は、管理装置6が有するプロセッサ上で動作する各種プログラム及びそれらプログラムが利用する各種データを記憶する。
【0031】
通信部62は、閲覧テーブル2、搬送機構3及びカードリーダ5から、通信ネットワークを介して、現在の状態を表す状態信号、利用者により入力された暗証番号、あるいは提供口シャッタ23の開閉指示などのコマンドを表す信号や画像信号を取得し、それらの信号を管理装置6のプロセッサへ渡す。また通信部62は、プロセッサから受け取った金庫ボックス10の搬送状況を知らせる信号を、通信ネットワークを介して、閲覧テーブル2に送信する。さらに通信部62は、所定の金庫ボックス10の搬送を行わせるために、搬送機構3に対して、プロセッサから受け取った駆動信号あるいは制御信号を、通信ネットワークを介して送信する。
【0032】
また通信部62は、前室に設置された監視カメラ73と通信ネットワークを介して接続されており、監視カメラ73により撮影された閲覧室7の外側の画像のデータを取得してプロセッサへ渡したり、プロセッサから受け取った画像データを閲覧テーブル2に通信ネットワークを介して渡したりする。さらに通信部62は、閲覧室7のドア71の電気錠72と通信ネットワークを介して接続され、プロセッサから受け取った解錠許可などの制御信号を、通信ネットワークを介して送信する。
【0033】
さらに管理装置6は、管理装置6が有するプロセッサ上で動作するプログラムモジュールとして、認証制御部63と、搬送制御部64と、テーブル制御部65と、カメラ制御部66と、電気錠制御部67とを有する。
【0034】
認証制御部63は、利用者が予め登録された利用者か否か判定し、登録された利用者である場合に、利用者が前室から閲覧室7へ進入すること、あるいは、閲覧テーブル2の操作を許可する。
ここで、閲覧室7と前室との境界に設置されたドア71と、そのドア71に設けられた電気錠72は、前室から閲覧室7への通行を規制する入退室規制装置(規制部)を構成しており、電気錠72は、通常時において施錠されている。そして電気錠72は、通信ネットワークを介して管理装置6と接続され、管理装置6がその電気錠72に制御信号を送信することによって施解錠制御することが可能となっている。
【0035】
認証制御部63は、利用者が前室から閲覧室7へ進入する際に、カードリーダ5に読み取らせた個人識別番号を、通信部62を介してカードリーダ5から取得して、予め記憶部61に記憶されている登録識別番号と照合する。そして認証制御部63は、カードリーダ5から取得した個人識別番号が何れかの登録識別番号と一致すれば、電気錠72を解錠制御し(あるいはさらにドア71を開放し)、閲覧室7への通行規制を解除する。なお、電気錠72は、解錠後一定期間が経過した後、あるいは、ドア71が一度開放された後に閉じられた時、自動的に施錠される。また認証制御部63は、その利用者に貸し与えられた金庫ボックス10の搬出処理を開始する搬出開始信号とともに、その利用者の個人識別番号を、搬送制御部64に通知する。さらに認証制御部63は、そのときの個人識別番号を、閲覧室7内にいる利用者を表す現在利用者情報として、一時的に記憶部61に記憶する。この現在利用者情報が記憶されている間、管理装置6は、閲覧室7内に利用者がいると判定する。閲覧室に利用者がいる間は、カードリーダ5で正当な利用者の個人識別番号を取得した場合であっても、通行規制を解除しない。
また認証制御部63は、閲覧テーブル2の操作・表示部21を介して提供口シャッタ23が閉じられる操作が行われ、その後、電気錠72を解錠する操作が行われると、閲覧室7は無人であると判定し、現在利用者情報を記憶部61から消去する。
【0036】
一方、認証制御部63は、カードリーダ5から取得した個人識別番号が何れの登録識別番号とも一致しない場合、その旨を通信部62を介してカードリーダ5に通知する。そしてカードリーダ5は、カードリーダ5自身に設けられたスピーカ、液晶ディスプレイなどを通じて、閲覧室7を利用できないこと及びIDカードが正当なものでないことを利用者に報知する。また認証制御部63は、閲覧室7を他の利用者が使用中である場合、その旨を通信部62を介してカードリーダ5に通知する。そしてカードリーダ5は、カードリーダ5自身に設けられたスピーカ、液晶ディスプレイなどを通じて、閲覧室7を利用できないことを利用者に報知する。
【0037】
また認証制御部63は、閲覧室7内に進入した利用者が自己に貸し与えられた金庫ボックス10を閲覧することを許可するか否かを決定するために、その利用者の暗証番号を用いて照合処理を実行する。具体的には、認証制御部63は、閲覧テーブル2の操作・表示部21を介して利用者により入力された暗証番号を、通信部62を介して取得する。そして認証制御部63は、その取得した暗証番号を、閲覧室7内にいる利用者を表す個人識別番号と関連付けて記憶部61に記憶されている暗証番号と一致するか否か確認する。そして認証制御部63は、両者が一致する場合、その旨をテーブル制御部65へ通知する。一方、認証制御部63は、閲覧テーブル2から受信した暗証番号が、閲覧室7内にいる利用者を表す個人識別番号と関連付けて記憶部61に記憶されている暗証番号と一致しない場合、閲覧テーブル2に対して暗証番号が間違っていることを示す信号を通知し、閲覧テーブル2の操作・表示部21に暗証番号が間違っている旨のメッセージを表示させる。
【0038】
搬送制御部64は、搬送機構3を制御して、金庫ボックス10の搬送処理を行う。そこで搬送制御部64は、認証制御部63から金庫ボックス10の搬出開始信号を受けとると搬出処理を実行し、搬出開始信号とともに通知された個人識別番号に関連付けられている金庫ボックス10の収納位置を、記憶部61を参照することにより特定する。そして搬送制御部64は、スタッカクレーン32を制御して、収納ラック81の特定された位置に収納されている金庫ボックス10を取り出し、その金庫ボックス10を搬送コンベア31の金庫室8側の一端まで運ばせる。その後、搬送制御部64は、搬送コンベア31を制御して、搬送コンベア31の金庫室8側の一端上に置かれている金庫ボックス10を、搬入口9を通じて閲覧テーブル2のボックス提供口22の下方まで運ばせる。
【0039】
一方、閲覧テーブル2の操作・表示部21を介した利用者の提供口シャッタ23の閉鎖操作に伴う搬入開始信号を後述のテーブル制御部65から受信すると搬入処理を実行し、搬送制御部64は閲覧室7内に置かれている金庫ボックス10を金庫室8内に搬入する。そのために、搬送制御部64は、搬送コンベア31を制御して、閲覧テーブル2のボックス提供口22の下方に置かれている金庫ボックス10を、搬入口9を通じて搬送コンベア31の金庫室8側の一端まで運ばせる。その後、搬送制御部64は、スタッカクレーン32を制御して、その搬送コンベア31の一端の上に置かれている金庫ボックス10を、閲覧テーブル2を操作していた利用者の個人識別番号と関連付けられている、収納ラック81の特定位置に収納する。
【0040】
テーブル制御部65は、閲覧テーブル2の制御部25を介して、閲覧テーブル2の操作・表示部21に表示される操作案内画面の切り替えを行ったり、操作・表示部21を通じた利用者の操作に従って、ボックス提供口22に設けられた提供口シャッタ23を開閉させたりする。具体的には、テーブル制御部65は、認証制御部63から、暗証番号の認証に成功した旨の通知を受けると、閲覧テーブル2の操作・表示部21に、提供口シャッタ23を開けるための操作ボタン及び操作ガイドを表示させる。また、提供口シャッタ23を開ける操作が行われたことを示す信号を閲覧テーブル2から受け取ると、テーブル制御部65は、閲覧テーブル2の制御部25に提供口シャッタ23を開放させる指示を送信して、制御部25に提供口シャッタ23を開けさせる。あるいは、操作・表示部21を通じて提供口シャッタ23を閉める操作が行われたことを示す信号(搬入開始指示信号)を閲覧テーブル2から受け取ると、テーブル制御部65は、閲覧テーブル2の制御部25に、提供口シャッタ23を閉鎖させる指示を送信して、提供口シャッタ23を閉鎖させる。そしてテーブル制御部65は、提供口シャッタ23が閉鎖状態である旨の開閉状態信号を受信すると、搬送制御部64へ搬入開始信号を渡す。
【0041】
カメラ制御部66は、閲覧室7の出入口のドア71の外側を撮影するよう前室に設置された監視カメラ73と接続され、監視カメラ73による撮影画像を入力する。カメラ制御部66は、通常時は入力された画像を破棄するかあるいはHDD等の記憶装置に監視画像として記録する。そして、利用者による金庫ボックス10の閲覧終了の操作に伴う搬入開始指示信号を閲覧テーブル2から受信すると、前室に設置された監視カメラ73からの取得画像を、通信部62を介して閲覧テーブル2へ送信する。ここで、本発明の画像取得部は、カメラ制御部66に相当する。なお、監視カメラ73を含めて本発明の画像取得部としてもよい。
【0042】
電気錠制御部67は、認証制御部にて入室を許可したとき、および閲覧室のドア71付近に設けた解錠ボタンが操作されて解錠要求信号を受信したとき、電気錠72に解錠制御信号を送出して解錠させる。また、電気錠制御部67は、閲覧室7内の閲覧テーブル2において、利用者が、操作・表示部21に表示された閲覧室7の外の画像に対して確認の操作を入力したことを示す信号(確認操作信号)を、閲覧テーブル2から通信部62を介して受信した場合に、解錠要求信号に対する電気錠72の解錠を可能とする。これによって、利用者は、閲覧室7の外の画像によって安全を確認した後にのみ、閲覧室7の出入口のドア71の解錠ボタン(解錠操作部)を押すことによって閲覧室7から退室することができるようになる。
【0043】
図4を参照しつつ、利用者が閲覧室7に入室し金庫ボックス10の閲覧を開始するまでの本発明の一実施形態に係る自動貸金庫システム1の動作フローについて説明する。以下に説明する動作フローは、管理装置6により制御される。
まず、利用者が、閲覧室7の外側に設けられたカードリーダ5に、自己の所有するIDカードを読取らせる。このとき、閲覧室7内に既に他の利用者がいれば、管理装置6はその閲覧室7が利用できないことを利用者に通知し、閲覧室7と前室の境界に設けられたドア71の電気錠72を施錠したままとする。
【0044】
一方、閲覧室7内に他の利用者がいなければ、管理装置6の認証制御部63は、カードリーダ5が読み取った個人識別番号が、予め記憶部61に記憶されている何れかの登録識別番号と一致するか否か判定する(ステップS101)。認証制御部63は、カードリーダ5から取得した個人識別番号が何れの登録識別番号とも一致しない場合、その旨を通信部62を介してカードリーダ5に通知する。そしてカードリーダ5は、カードリーダ5自身に設けられたスピーカ、液晶ディスプレイなどを通じて、閲覧室7を利用できないこと及びIDカードが正当なものでないことを利用者に報知する(ステップS102)。その後、管理装置6は処理を終了する。
【0045】
一方、認証制御部63は、カードリーダ5から取得した個人識別番号が何れかの登録識別番号と一致すれば、電気錠72を解錠制御し、閲覧室7への通行規制を解除する(ステップS103)。また認証制御部63は、そのときの個人識別番号を、閲覧室7内にいる利用者を表すものとして、一時的に記憶部61に記憶する。さらに、認証制御部63は、搬出開始信号及びカードリーダ5から取得した個人識別を管理装置6の搬送制御部64へ通知する。そして搬送制御部64は、搬送機構3を制御して、受け取った個人識別番号により特定される位置の金庫ボックス10を閲覧室7へ搬出する処理を開始させる(ステップS104)。一方、管理装置6のテーブル制御部65は、閲覧テーブル2の操作・表示部21に、提供口シャッタ23を開けるための操作ボタンと操作ガイドを表示させる。
【0046】
次に、操作・表示部21を介して暗証番号が入力されると、認証制御部63は、その暗証番号が閲覧室7内にいる利用者を表す個人識別番号と関連付けて記憶部61に記憶されている暗証番号と一致するか否か判定する(ステップS105)。認証制御部63は、その暗証番号が、閲覧室7内にいる利用者を表す個人識別番号と関連付けて記憶部61に記憶されている暗証番号と一致しない場合、閲覧テーブル2に対して暗証番号が間違っていることを示す信号を通知し、閲覧テーブル2の操作・表示部21に暗証番号が間違っている旨のメッセージを表示させる。その後、管理装置6は、ステップS105で再度暗証番号が入力されるのを待つ。
【0047】
一方、ステップS105において、操作・表示部21を介して入力された暗証番号が、現在利用者情報として記憶されている個人識別番号と関連付けて記憶部61に記憶されている暗証番号と一致する場合、テーブル制御部65は、操作・表示部21に、提供口シャッタ23を開けるための操作ボタン及び操作ガイドを表示させる(ステップS106)。
その後、テーブル制御部65は、利用者が操作・表示部21を介して提供口シャッタ23を開く操作を行ったか否か判定する(ステップS107)。管理装置6が、閲覧テーブル2から提供口シャッタ23を開ける操作が行われたことを示す信号を受信するまで、この判定(ステップS107)を繰り返す。
【0048】
一方、ステップS107において、管理装置6が、閲覧テーブル2から提供口シャッタ23を開ける操作が行われたことを示す信号を受信した場合(ステップS107のYes)、テーブル制御部65は、閲覧テーブル2の制御部25に、提供口シャッタ23を開放させる(ステップS108)。このとき、呼び出された金庫ボックス10が閲覧テーブル2のボックス提供口22まで搬送される搬出処理が完了していない場合は、搬出処理が完了するまで提供口シャッタ23の開放を待機する。
これにより、利用者は自己に貸し与えられた金庫ボックス10を閲覧することが可能となる。
【0049】
次に、図5を参照しつつ、閲覧室7内において、利用者が金庫ボックス10の閲覧を終了してから閲覧室7を退室するまでの自動貸金庫システム1の動作について説明する。
【0050】
図4のステップS108において閲覧テーブル2の制御部25が提供口シャッタ23を開放した後、テーブル制御部65は、操作・表示部2121に提供口シャッタ23を閉めるための操作ボタン及び操作ガイドを表示させる(ステップS109)。そして、テーブル制御部65は、利用者が閲覧テーブル2の操作・表示部21を介して提供口シャッタ23を閉じる操作を入力するまで待機する(ステップS110)。この間に利用者は、金庫ボックス10を解錠して開き、中に保管されている貴重品を取り出したり新たな貴重品を収納したりするなど貴重品に関して所望の作業を行う。
利用者が、金庫ボックス10の閲覧を終えて金庫ボックス10を閉じて施錠した後、閲覧テーブル2の操作・表示部21にて提供口シャッタ23を閉鎖するために操作ボタンが押下されると、閲覧テーブル2から管理装置6へ提供口シャッタ23を閉じる操作が行われたことを示す信号(搬入開始指示信号)が送信され、通信部62がこの信号を受け取る(ステップS110のYes)。
【0051】
ここで、利用者による提供口シャッタ23の閉鎖指示は、利用者が金庫ボックス10の閲覧を終了したことを示す。利用者は、閉鎖操作を入力した後、開覧室のドア71の近傍に設置されている解錠ボタンを押下して電気錠72を解錠させ、閲覧室7から退室する。このように、ここでは、提供口シャッタ23の閉鎖を指示する操作を、利用者の閲覧終了を示す操作として判定しているが、利用者が閲覧室から退室する前に操作・表示部21にて確実に行う最後の操作であれば、いかなる操作で判定してもよい。
【0052】
搬入開始指示信号を受信すると、テーブル制御部65は、通信部62が受け取った提供口シャッタ23の閉鎖指示の信号に応じて、閲覧テーブル2の制御部25に提供口シャッタ23を閉鎖させる(ステップS111)。
その後、テーブル制御部65は、搬送制御部64へ搬入開始信号を通知し、それを受けて搬送制御部64は、搬送機構3を制御して、閲覧室7内にある金庫ボックス10を金庫室8に搬入し、収納ラック81の利用者の個人識別番号により特定される位置に収納させる(ステップS112)。なお、鍵の抜き忘れや異物等により提供口シャッタ23が完全に閉鎖されなかった場合は、シャッタを再び開放するとともに警告を表示し、正常な状態にしてからもう一度操作するよう促してもよい。
【0053】
次に、カメラ制御部66は、監視カメラ73による撮像画像の取得を開始し、取得画像をテーブル制御部65に渡す。テーブル制御部65は、この画像データを順次閲覧テーブル2に送信し、閲覧テーブル2の制御部25に、操作・表示部21に表示するよう指示する(ステップS113)。なお、カメラ制御部66は、取得した画像信号を直接閲覧テーブル2に送信するよう指示し、テーブル制御部65は、閲覧テーブル2に、監視カメラ73から受信した画像データを操作・表示部21に随時表示するよう指示してもよい。
なお、このとき、操作・表示部21は、閲覧室7の外側で待機している他の利用者のプライバシを配慮して、ドア71に非常に近い部分の画像は鮮明に映し出し、その周囲の画像はぼかすなどしてもよい。或いは、管理装置6又は閲覧テーブル2において、監視カメラ73から送られた画像データから移動する物体や周囲と温度の異なる物体の輪郭を検出するなどの画像処理を施して、操作・表示部21に表示させてもよい。
【0054】
また、ステップS113において、テーブル制御部65は、閲覧テーブル2の操作・表示部21に閲覧室7の外の画像を表示するとともに、操作・表示部21に確認ボタンを表示し、利用者に、確認ボタンを押すことによって閲覧室7の外側の安全を表示画像によって確認したことを示すよう促す。利用者が確認ボタンを押した場合、閲覧室7の外側の安全性が確認されたことを示す確認操作信号が管理装置6へ送信される。管理装置6は、確認操作信号を受信したか判定し(ステップS114)、この信号を受信するまで取得した画像を順次閲覧テーブル2に送信し、表示させる(ステップS114のNo)。
【0055】
表示画像に対する確認操作信号を受信した場合(ステップS114のYes)、電気錠制御部67は、解錠ボタンを有効化し、閲覧室からの退室を可能な状態にする(ステップS115)。これによって、利用者は、ドア71の近くに設置された解錠ボタンを押下することによって電気錠72が解錠され、閲覧室7から退室することができるようになる。
このとき、テーブル制御部65は、閲覧テーブル2に、室外の映像を操作・表示部21に表示するのを終了するよう指示する(ステップS116)。
【0056】
このように、本実施例による自動貸金庫システム1では、利用者が操作・表示部21の確認ボタンを操作することによって閲覧室7の外側の安全が確認されないかぎり、利用者がドア71に併設した解錠ボタンを押下しても、閲覧室7のドア71の電気錠72を解錠して退室することはできない。こうすることによって、利用者が、閲覧室7の外側で潜伏していた犯罪者の被害に遭う可能性は非常に低くなる。また、利用者は、閲覧室7の外側の画像の中に不審者を発見した場合、閲覧室7内に設置されたオートフォン、ブザー、或いは自身の携帯電話などによって、閲覧室7の外部に助けを求めることができる。
【0057】
なお、ステップS116において、テーブル制御部65は、閲覧テーブル2に、室外の映像を操作・表示部21に表示するのを終了させた後、映像表示を再開するための表示再開ボタンを操作・表示部21に表示させてもよい。そして、利用者がこの表示再開ボタンを押下した時、これを示す信号が閲覧テーブル2から管理装置6へ送信されてもよい。管理装置6の通信部62は、この信号を受信し、ステップS113〜S116の処理を繰り返すよう各部に制御を渡してもよい。
【0058】
また、ステップS116の後一定の時間を経過しても、利用者によって閲覧室7のドア71の電気錠72の解錠ボタンが押下されなかった場合、すなわち利用者の退室が検知されなかった場合、テーブル制御部65は、閲覧テーブル2に、スピーカ(図示せず)を介した音声などで利用者にもう一度画像の確認を促させるよう制御してもよい。そして、テーブル制御部65は、ステップS113〜S116の処理を繰り返すよう各部に制御を渡してもよい。
【0059】
また、ステップS116の後一定の時間を経過してから、利用者が閲覧室7を退室しようとしてドア71の電気錠72の解錠ボタンを押下したことが検知された場合、上と同様に、音声で利用者に確認を促しステップS113〜S116を繰り返すようにしてもよい。
【0060】
さらに、ステップS114において、操作・表示部21の画面上に外の映像と確認ボタンが表示され始めてから一定の時間を経過しても、利用者によって画面上の確認ボタンが操作されない場合、テーブル制御部65は、閲覧テーブル2に、一旦、室外の映像を操作・表示部21に表示するのを中止させてもよい。同時に、映像表示を再開するための表示再開ボタンを操作・表示部21に表示させ、上記のように、利用者がこの表示再開ボタンを押下した時、ステップS113〜S116の処理を繰り返すようにしてもよい。さらに一定の時間を経過しても、利用者によって画面上の確認ボタンが操作されない場合、上と同様に、音声で利用者に確認を促しステップS113〜S116を繰り返すようにしてもよい。
こうすることによって、利用者が外の安全を確認してから一定の時間が経過し、その間に潜伏し始めた犯罪者をも見つけることができ、利用者の安全性はより高くなる。
【0061】
このように、利用者が閲覧室7を退出する前に閲覧室7の外を撮影した映像を利用者に確認させるのは、自動貸金庫システム1では、閲覧室7内の利用者の安全(破壊侵入・覗き見の防止)を守るため、閲覧室7のドア71や壁に耐破壊性の高い、非透過性の素材が利用されているからである。このため、閲覧室7の中にいる利用者は、閲覧室7から退室する際に閲覧室7の外の様子を確認することができない。したがって、悪意の第三者が前室に紛れ込み、退室する利用者を出入口のドア71の外側で待ち伏せしていたとしても、利用者は無防備に閲覧室7の外に退出してしまうことがある。
【0062】
したがって、本実施形態に係る自動貸金庫システム1では、利用者が金庫ボックス10の閲覧を終え、操作・表示部21の画面の操作案内に従って提供口シャッタ23の閉鎖指示(閲覧終了)を入力した直後に、この操作案内と同じ画面上に、閲覧室7の外の映像を表示する。このため、利用者が操作画面から目を離さないうちにその視界内に外の様子が映し出されることになる。したがって、利用者に対して確実に閲覧室7の外の映像を目視させることができ、利用者の退室時の安全性を高めることができる。また、利用者は、外の映像とともに表示される確認ボタンを操作しなければ、閲覧室7からの退室を許可されないため、より確実に室外の安全を確保してから退室することができるようになる。
【0063】
また、本実施形態に係る自動貸金庫システム1では、利用者が金庫ボックス10を閲覧するために必要な全ての操作を終了してから、室外の様子を撮影する。したがって、閲覧室7の外を撮影するのは、安全確認のための必要最低限の時間だけですむので、室外で待機している他の利用者の秘匿性も保護することができる。さらに、常時表示している場合に比べて、利用者に与える注意喚起の効果を高めることができる。
【0064】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、この自動貸金庫システム1において、テーブル制御部65、カメラ制御部66及び電気錠制御部67は、管理装置6に含まれるが、閲覧テーブル2の制御部25に含まれるよう構成してもよい。或いは、閲覧テーブル2の筐体内の制御装置として構成してもよい。また、この制御装置は、管理装置6又は閲覧テーブル2の一部として構成されてもよいが、閲覧テーブル2、管理装置6、電気錠72及び監視カメラ73と通信ネットワークで接続された独立した単体の装置でもよい。或いは、閲覧テーブル2、管理装置6、電気錠72及び監視カメラ73と通信ネットワークで接続された他の装置の一部でもよい。
また、図5のステップS113にて、確認ボタンを表示せず閲覧室外の様子のみ画像表示する構成とし、以降のステップS114及びS115を省略してもよい。
【0065】
以上のように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動貸金庫システムの概略構成図である。
【図2】閲覧テーブルの機能ブロック図である。
【図3】管理装置の機能ブロック図である。
【図4】利用者が閲覧室に入室し金庫ボックスの閲覧を開始するまでの本発明の一実施形態に係る自動貸金庫システムの動作を示すフローチャートである。
【図5】利用者が金庫ボックスの閲覧を終了してから閲覧室を退室するまでの本発明の一実施形態に係る自動貸金庫システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
1 自動貸金庫システム
2 閲覧テーブル
3 搬送機構
5 カードリーダ
6 管理装置
7 閲覧室
8 金庫室
9 搬入口
10 金庫ボックス
21 操作・表示部
22 ボックス提供口
23 提供口シャッタ
24 通信部
25 制御部
61 記憶部
62 通信部
63 認証制御部
64 搬送制御部
65 テーブル制御部
66 カメラ制御部
67 電気錠制御部
71 ドア
72 電気錠
73 監視カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の預託品を収納する金庫ボックスを金庫室に保管し、閲覧室に設けられた閲覧テーブルへ前記金庫室から前記金庫ボックスを搬出することで、利用者による前記閲覧テーブルでの前記金庫ボックスの閲覧を可能とする自動貸金庫システムにおいて、
前記閲覧テーブルに設けられ、利用者が前記金庫ボックスを閲覧するための操作案内が表示され、前記操作案内に従って利用者が操作を入力するユーザインターフェース部と、
前記閲覧室の出入口扉の外側を撮影した画像を取得する画像取得部と、
前記ユーザインターフェース部にて前記閲覧テーブルに搬出された前記金庫ボックスの閲覧終了の操作が入力されたとき、前記画像取得部が取得した前記画像を前記ユーザインターフェース部に表示させるテーブル制御部と、
を備えることを特徴とした自動貸金庫システム。
【請求項2】
前記閲覧室の入退室を規制する規制部をさらに備え、
前記規制部は、前記テーブル制御部が前記閲覧終了の操作に対して前記ユーザインターフェース部に前記画像を表示させたとき、前記ユーザインターフェース部にて当該画像に対する画像確認の操作が入力されたことを条件に、前記閲覧室からの退室を許可する、
請求項1に記載の自動貸金庫システム。
【請求項3】
前記閲覧室の退室が許可されてから一定の時間を経過しても、前記退室が検知されなかった場合、前記テーブル制御部は、前記画像取得部が再取得した画像を前記インターフェース部に表示させる、
請求項2に記載の自動貸金庫システム。
【請求項4】
金庫室から搬出された利用者の預託品を収納する金庫ボックスを、利用者が閲覧するために閲覧室に設けられた閲覧テーブルを制御する制御装置であって、
前記閲覧テーブルは、利用者が前記金庫ボックスを閲覧するための操作案内が表示されるユーザインターフェース部であって、前記操作案内に従って利用者が操作を入力するユーザインターフェース部を備え、
前記制御装置は、
前記閲覧室の出入口扉の外側を撮影した画像を取得する画像取得部と、
前記ユーザインターフェース部にて前記閲覧テーブルに搬出された前記金庫ボックスの閲覧終了の操作が入力されたとき、前記画像取得部が取得した前記画像を前記ユーザインターフェース部に表示させるテーブル制御部と、
を備えることを特徴とした制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−156153(P2010−156153A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335271(P2008−335271)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】