自動車において観測対象物体を検出する方法
【課題】 観測対象物体とノイズ、固定観測対象物体と移動観測対象物体、および互いに近接し合った観測対象物体同士を容易に区別することができる、自動車における観測対象物体を検出する方法を提供する。
【解決手段】 この方法は、与えられたサイクル数にわたって、自動車の移動量に基づいて、自動車と相対的な、少なくとも1つの観測対象点の位置を補正するステップと、少なくとも1つの観測対象点から開始して、第1の与えられた特性を満たす、隣接する観測対象点とともに一次グループを形成するステップと、第2の与えられた特性に基づいて、一次グループが同質的であるか否かを検証するステップと、与えられたサイクル数にわたって、自動車と相対的に、単一の観測対象物体に対応して構成されていると判断されるグループの位置を計算するステップとを含んでいる。
【解決手段】 この方法は、与えられたサイクル数にわたって、自動車の移動量に基づいて、自動車と相対的な、少なくとも1つの観測対象点の位置を補正するステップと、少なくとも1つの観測対象点から開始して、第1の与えられた特性を満たす、隣接する観測対象点とともに一次グループを形成するステップと、第2の与えられた特性に基づいて、一次グループが同質的であるか否かを検証するステップと、与えられたサイクル数にわたって、自動車と相対的に、単一の観測対象物体に対応して構成されていると判断されるグループの位置を計算するステップとを含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車において観測対象物体を検出する方法、およびその方法を実行する検出装置に関する。
【0002】
本発明は、特に自動車の分野に応用しうるものである。
【背景技術】
【0003】
自動車の分野で、自動車において観測対象物体を検出するための従来の公知の方法には、自動車の前方環境をスキャンするレーダーが用いられている。このようなレーダーは、先行車両または対向車両などの観測対象物体を表わす1セットの点を含む情報を有するエコーを受信する。このような方法は、自動車の前面にマウントされたレーダーによって遂行される。
【0004】
この従来技術の欠点は、レーダーによってもたらされた情報が、多くの場合、ノイズを多量に含んでおり、かつ不安定であり、したがって、観測対象物体とノイズ、固定観測対象物体と可動観測対象物体、そして最後に、自動車の周囲環境内の互いに接近し合った観測対象物体同士を区別することが困難であるということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、上述の問題を解決することができる、自動車において観測対象物体を検出する方法および装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、次のステップを含むことを特徴とする、自動車において観測対象物体を検出する方法を提供するものである。
− 与えられたサイクル数にわたって、自動車の移動量に基づいて、自動車に相対的な、少なくとも1つの観測対象点の位置を補正するステップと、
− 少なくとも1つの観測対象点から開始して、第1の与えられた特性を満たす、隣接する観測対象点とともに一次グループを形成するステップと、
− 第2の与えられた特性に基づいて、一次グループが同質的であるか否かを検証するステップと、
− 与えられたサイクル数にわたって、自動車に相対的に、単一の観測対象物体に対応して構成されていると判断されるグループの位置を計算するステップ。
【0007】
後に詳細に説明するように、観測対象点をグループ化し、特に、それらの同質性を検証することによって、観測対象物体を区別し(それらの速度およびパワーに基づいて)、かつそれらの位置を信頼度高く計算することができる。
【0008】
本発明の非限定的な実施形態によれば、この方法は、さらに次の特徴を有している。
− 自動車と相対的に、自動車の周囲環境内の複数の観測対象物体を検出し、それによって、それらの観測対象物体を表わす複数の観測対象点と、それらのそれぞれの位置とがもたらされる、別のステップを含んでいる。この位置パラメータを知ることによって、その後、観測対象物体の追跡を自動化することができる。
【0009】
− 一次グループを形成するステップは、隣接する観測対象点に、前述の第1の与えられた特性を連続的に適用するサブステップを含んでいる。これによって、計算数が制限される。
【0010】
− 第1の与えられた数未満の数の観測対象点しか有していない全ての一次グループを除外する、さらなるステップを含んでいる。これによって、非常に小さく、したがってノイズと考えられる一次グループが除外される。
【0011】
− 第2の与えられた特性はパワーである。これによって、互いに異なるエネルギーを送り出す観測対象物体同士を区別することができる。
【0012】
− 第2の与えられた特性は速度である。これによって、可動観測対象物体と固定観測対象物体を区別することができる。
【0013】
− この方法は、一次グループが非同質的である場合に、一次グループの観測対象点を、2つの基準観測対象点の周辺で再グループ化し、2つの二次グループを、この2つの二次グループの慣性が最小になるように形成する、さらなるステップを含んでいる。これによって、互いに近接している2つの観測対象物体を区別することができる。
【0014】
− 二次グループへの再グループ化は、区分け指標を用いて遂行される。これによって、二次グループの慣性を計算することなく、同質的な、観測対象点の二次グループを得ることができる。
【0015】
− この方法は、二次グループの少なくとも1つの観測対象点から開始して、第1の与えられた特性を満たす、隣接する観測対象点とともに一次グループを形成する、さらなるステップを含んでいる。これによって、非常に小さく、したがってノイズと考えられる二次グループが除外される。
【0016】
− 第1の与えられた特性は、前述の少なくとも1つの観測対象点、または二次グループの少なくとも1つの観測対象点と、隣接する観測対象点との間の、距離閾値未満の距離である。これによって、計算数が制限される。
【0017】
− 単一の観測対象物体に対応して構成されていると判断されるグループの位置が、横方向および縦方向に計算される。これによって、位置が特定される。
【0018】
− この方法は、単一の観測対象物体に対応して構成されていると判断されるグループの2つの連続する位置にカルマンフィルタを適用する、さらなるステップを含んでいる。これによって、時間の経過とともに、位置の計算が安定する。
【0019】
また本発明は、次のことを遂行するための制御ユニットを備えていることを特徴とする、自動車において観測対象物体を検出するための装置を提供するものである。
− 与えられたサイクル数にわたって、自動車の移動量に基づいて、自動車に相対的な、少なくとも1つの観測対象点の位置を補正し、
− 少なくとも1つの観測対象点から開始して、第1の与えられた特性を満たす、隣接する観測対象点とともに一次グループを形成し、
− 第2の与えられた特性に基づいて、一次グループが同質的であるか否かを検証し、また、
− 与えられたサイクル数にわたって、自動車に相対的に、単一の観測対象物体に対応して構成されていると判断されるグループの位置を計算する。
【0020】
本発明の非限定的な一実施形態においては、この装置は、自動車と相対的に、自動車の周囲環境内の複数の観測対象物体を検出し、それによって、それらの観測対象物体を表わす複数の観測対象点と、それらのそれぞれの位置とがもたらされる検出器をさらに備えている。
【0021】
さらに本発明は、情報処理ユニットによって実行可能な1つ以上の命令列を有するコンピュータプログラム製品であって、これらの命令列を実行することによって、上述のいずれか1つの特徴を有する方法が遂行されるコンピュータプログラム製品を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の非限定的な一実施形態による検出方法のフローチャートである。
【図2】図1の検出方法の第一のステップにしたがって、レーダーによって検出することができる種々の観測対象物体を有する、自動車の前方環境の画像を示す図である。
【図3】レーダーによって検出される、図2の観測対象物体を表わす観測対象点を示す図である。
【図4】与えられたサイクル数にわたって、レーダーによって検出される、図2の観測対象物体を表わす観測対象点を示す図である。
【図5】図1の検出方法の第3のステップにしたがって、図4の少なくとも1つの観測対象点から、一次グループを形成する図である。
【図6】図1の検出方法の第4のステップにしたがって、一次グループの同質性を検証するために用いられる標準偏差を示す図である。
【図7】図1の検出方法の第5のステップにしたがって、2つの基準観測対象点を決定して、二次グループを形成する図である
【図8】図1の検出方法の第6のステップにしたがって、二次グループの少なくとも1つの観測対象点から、一次グループを形成する図である。
【図9】図1の検出方法の第7のステップにしたがって、単一の観測対象物体に対応して構成されていると判断されるグループの位置を計算する図である。
【図10】カルマンフィルタによる処理後に得られる観測対象点の非限定的な一例を示す図である。
【図11】図1の検出方法によって検出された観測対象物体を有する、自動車の前方環境の画像を示す図である。
【図12】図1の検出方法を遂行する装置の非限定的な一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付図面を参照して、以下に説明する本発明の非限定的な実施形態を読むことによって、本発明の他の特徴および利点が、より明らかになると思う。
【0024】
図1に示されている非限定的な例を用いて、本発明による、自動車において観測対象物体を検出する方法を説明する。
【0025】
用語「自動車」は、エンジンを有するいかなる車両をも意味している。
【0026】
本発明による方法には、図1に示されている次のステップが含まれている。
− 与えられたサイクル数Ncyにわたって、自動車Vの移動量Δmに基づいて、自動車Vに相対的な、少なくとも1つの観測対象点Ptの位置POS_Ptを補正するステップ(ステップCORRECT_POSPt(Δm))と、
− 少なくとも1つの観測対象点Ptから開始して、第1の与えられた特性c1を満たす、隣接する観測対象点Ptvとともに一次グループCL1を形成するステップ(ステップFORM_CL1(Pt,Ptv,c1))と、
− 第2の与えられた特性c2に基づいて、一次グループCL1が同質的であるか否かを検証するステップ(ステップHOM_CL(c2=Vit,P))と、
− 与えられたサイクル数Ncyにわたって、自動車Vに相対的に、単一の観測対象物体Oに対応して構成されていると判断されるグループの位置を計算するステップ(ステップPOS_CL)。
【0027】
非限定的な一実施形態において、この方法は、さらに、一次グループが非同質的な場合に、一次グループCL1の観測対象点を、基準観測対象点Ref1、Ref2の周辺で再グループ化し、少なくとも1つの二次グループCL2を、この少なくとも1つの二次グループCL2の慣性を制限するように形成する、さらなるステップ(ステップFORM_CL2(WI,Ref1,Ref2))を含んでいる。
【0028】
本発明の非限定的な一実施形態において、この方法は、さらに、自動車Vに相対的に、自動車の周囲環境E内の複数の観測対象物体Oを検出し、それによって、それらの観測対象物体Oを表わす複数の観測対象点Ptが、それらのそれぞれの位置にもたらされる、さらなるステップ(ステップDETECT_O(Pt,POS_Pt))を含んでいる。
【0029】
この最後のさらなるステップは、必ずしも、本明細書において説明される方法に含ませる必要はなく、説明する方法の開始時に実行される別の方法の一部をなしていてもよいことに注意されたい。
【0030】
以下に説明する本発明の非限定的な実施形態においては、この方法は、このさらなるステップを含んでいる。
【0031】
次に、本発明の方法のステップについて詳細に説明する。
【0032】
第1のステップ1において、自動車と相対的に、自動車の周囲環境内の複数の観測対象物体Oが検出され、それによって、それらの観測対象物体Oを表わす複数の観測対象点Ptが、それらのそれぞれの位置POS_Ptにもたらされる。自動車Vの前方環境EAの一例が、図2に示されている。図示のように、前方環境EAは、次の観測対象物体を有している。
− 先行している第1の乗用車V1と、
− 先行している第2の乗用車V2と、
− 道路標識Pと、
− 貨物自動車Cと、
− 少なくとも1つの街灯LP。
【0033】
ターゲット物体Oは、次の情報を備えたエコーを受信する、レーダーRADなどの観測対象物体検出器によって検出される。
− 自動車Vの前方環境EA内にある観測対象物体に対応する観測対象点Pt(検出される観測対象点Ptの一例が、図3に示されている)と、
− 次の情報を含んでいる、自動車Vに相対的な、観測対象点Ptの位置POS_Ptと、
・自動車Vに相対的な、観測対象点Ptの距離D、
・レーダーに相対的な、観測対象点Ptの角度β、
・観測対象点Ptの半径方向速度Vr、
・観測対象点Ptから反射されたエコーのパワーP、
− ノイズに関する情報B。
【0034】
レーダーRADによる検出は、当業者にはよく知られていることであるので、本明細書においては詳述しない。
【0035】
しかしながら、24GHzで動作するレーダーを用いる、非限定的な例において、このレーダーは、40ms毎に上述の情報を受信することに留意されたい。この場合に、サイクルタイムが40msであると言う。
【0036】
さらに、このようなレーダーRADは、0〜約70kph(70km毎時)の範囲の速度に対して有効であることに留意されたい。したがって、本明細書において考察される非限定的な例においては、観測対象点Ptの、2レーダーサイクル間の最大移動距離は77cmである。
【0037】
第2のステップ2において、与えられたサイクル数Ncyにわたって、自動車Vの移動量Δmに基づいて、自動車Vに相対的な、少なくとも1つの観測対象点Ptの位置POS_Ptが補正される。
【0038】
このステップの目的は、観測対象点Ptを見失わないように、レーダーデータを安定させることである。
【0039】
レーダーRADは、与えられたサイクル数Ncyにわたって、観測対象点に関する情報を受信する。レーダーRADによって、観測対象点Ptが、時刻tにおいて検出され、時刻(t+1)において検出されず、その後に再度検出されるということが起こり得る。
【0040】
非限定的な一実施形態において、与えられたサイクル数Ncyは5に等しい。このサイクル数を超過すると、観測対象点群が、処理しがたいほど密になりすぎ、またその観測対象点群同士が重なり合うと推測される。したがって、5サイクルを終えた時点(すなわち、本明細書において用いられている、サイクルタイムが40msである例においては、200msに達した時点)で、1セットの観測対象点Ptが捕捉され、また、次の補正が実行される。
− 各サイクルCYにおける、各観測対象点Ptに対応する距離Dから、自動車Vの並進移動量Dv(すなわち、自動車Vが走行した経路長)を差し引き、かつ
− 各サイクルCYにおける、各観測対象点Ptに対応する角度βから、自動車Vの回転移動量Dr(自動車のジョー速度(jaw speed)Vlから得られる)を差し引く。
【0041】
図4は、非限定的な、第2のステップの結果の例を示している。図示のように、本明細書において説明する例では、5サイクルにわたって、観測対象点Pt、したがって対応する観測対象物体Oの移動を追跡することができる。
【0042】
3つの移動可能な観測対象物体に対応していると思われる、3つの観測対象点Pt1、Pt2、Pt3が、各観測対象点が5サイクルにわたる観測対象点群を形成するように存在していることが理解しうると思う。
【0043】
観測対象点が固定観測対象物体に対応している場合には、5サイクルにわたる結果は、より密な観測対象点群になるということに注意されたい。
【0044】
第3のステップ3において、少なくとも1つの観測対象点Ptから開始して、第1の与えられた特性c1を満たす、隣接する観測対象点Ptvとともに一次グループCL1が形成される。
【0045】
これによって、いわゆる「空間的」グループ化が行われる。
【0046】
以下に詳細に説明するように、このステップには、次のステップが含まれている。
− 固定観測対象物体と可動観測対象物体とを区別するステップと、
− 観測対象物体とノイズとを区別するステップと、
− 観測対象物体同士を互いに区別するステップ。
【0047】
本発明の非限定的な一実施形態においては、第1の与えられた特性c1は、観測対象点Ptと、それに隣接した観測対象点Ptvとの間の、距離閾値d1未満の距離である。非限定的な一例において、この距離閾値d1は1mに等しい。70kphの速度Vit、および40msのサイクルタイムにおいては、観測対象点Ptの、2サイクル間で得られる最大移動距離Dは77cmである(上述を参照)。この値を四捨五入すると、1mになる。
【0048】
図5の例の左側に、5サイクルにわたる1セットの観測対象点をグループ化する第2のステップが示されている。
【0049】
この1セットの観測対象点において、第1の与えられた観測対象点Pt1から開始して、第1の観測対象点Pt1からの距離Dが距離閾値d1未満である全ての隣接した観測対象点Ptv1が特定されている。この例においては、1mに等しい距離閾値d1に関するこの判定基準を満足する、隣接する観測対象点Ptv1が、第1の近接円Cptv1内に存在する。図5の例においては、観測対象点Pt2、Pt3、Pt4が、この判定基準を満足する、第1の観測対象点Pt1に隣接する観測対象点Ptv1である。
【0050】
次いで、第1の観測対象点Pt1に隣接する各観測対象点Ptv1、すなわち観測対象点Pt2、Pt3、Pt4に対する近接円Cptv2、Cptv3、Cptv4内に存在する観測対象点が抽出される。さらに、それらの抽出された観測対象点に対する近接円(図5に二点鎖線の円で示されている)内に存在する観測対象点が抽出されるというように、順次、上述の距離に関する判定基準が連続的に適用される。したがって、本発明の非限定的な一実施形態において、一次グループCL1を形成するステップには、第1の与えられた特性c1を、隣接した観測対象点Ptvに連続的に適用するサブステップが含まれる。
【0051】
このプロセスが終了した時点で、判定基準を満足する、隣接する観測対象点を全て組み入れた一次グループCL1が得られる。
【0052】
第2の与えられた観測対象点から開始して、再度、このようなグループ化が実行され、したがって、第2の一次グループCL1’が得られる。同様に、第3、第4等の一次グループが得られる。図5の例においては、第2の与えられた観測対象点は、観測対象点Pt5である。この観測対象点Pt5は、第1の与えられた観測対象点Pt1、またはそれから連続した、隣接する観測対象点の近傍に見出される観測対象点のうちの1つではないから、実際、一次グループCL1に属していない。
【0053】
非限定的な一実施形態において、このステップにおいて考察される、与えられた観測対象点Ptとは、レーダーがレーダースキャンを行なったときに遭遇した最初の観測対象点であり、したがって、その時点でいかなるグループにも属していない。本発明の非限定的な一実施形態において、レーダースキャンは、レーダーRADの開口角にしたがって、左側から右側に車両の前方環境を掃引することに相当する。
【0054】
本発明の非限定的な一実施形態において、一次グループが形成されたとき、最初に、第1の与えられた数nb1未満の数の観測対象点しか含まない一次グループCL1が除外される。非限定的な一例において、この第1の与えられた数nb1は、3に等しい。
【0055】
これによって、ノイズが除外される。あまりにも少ない観測対象点しか含まない一次グループは、レーダーRADから生じるノイズを多量に含む情報に相当する。したがって、図5の例においては、ただ1つの観測対象点、すなわち観測対象点Pt5しか含んでいない一次グループCL1’は除外される。この一次グループCL1’は、グループとするには、したがって観測対象物体O候補とするには小さすぎる。
【0056】
第4のステップ4において、第2の与えられた特性c2に基づいて、一次グループCL1が同質的であるか否かが検証される。
【0057】
本発明の非限定的な一実施形態において、第2の与えられた特性c2は、パワーPに関わる特性である。
【0058】
本発明の別の非限定的な一実施形態において、第2の与えられた特性c2は、速度Vitに関わる特性である。
【0059】
これらの2つの判定基準は、次に説明されるように、一次グループCL1の同質性を判断するために用いられる。
【0060】
パワーPに関しては、観測対象物体が金属的になればなるほど、観測対象物体から、より大きなパワーが送られる。したがって、観測対象物体毎に、パワー差が存在する。したがって、オートバイ、乗用車、貨物自動車から、それぞれ異なるパワーが送られる。
【0061】
速度Vitに関しては、2つの観測対象物体間、特に、可動観測対象物体と固定観測対象物体との間には、速度差が存在する。
【0062】
したがって、次に説明するように、近接している2つの観測対象物体を、速度差またはパワー差で区別することができる。特に、可動観測対象物体を、固定観測対象物体から区別することができる。
【0063】
非限定的な一変形例において、一次グループCL1の観測対象点に対する、パワーPを用いる判定基準、および/または速度Vitを用いる判定基準に基づいて、一次グループCL1の同質性を計算するために、標準偏差ECTが、各判定基準において計算される。
【0064】
したがって、数1、数2を用いて、標準偏差ECTを計算することができる。
【数1】
【数2】
【0065】
上述の式において、
− xiは、一次グループCL1の観測対象点Ptの半径方向速度を表わし、
− 数3の表記は、一次グループCL1の全ての観測対象点Ptの半径方向速度の平均を表わし、
− nは、一次グループCL1の観測対象点の数を表わしている。
【数3】
【0066】
同じ式が、パワーPに対しても用いられる。
【0067】
上述のように、各観測対象点Ptにおいて、半径方向速度Vrは、レーダーRADによって与えられることを想起されたい。同じことが、パワーPにも当てはまる。
【0068】
一次グループCL1の同質性を特定するために、計算されたパワー標準偏差ECTpがパワー閾値THpと比較され、また計算された速度標準偏差ECTvitが速度閾値THvitと比較される。
【0069】
本発明の非限定的な一実施形態において、パワー閾値THpは4dBに等しい。このパワー閾値は経験的に決定され、貨物自動車、乗用車、オートバイなどの各観測対象物体間のパワー差を表わしている。
【0070】
本発明の非限定的な一実施形態において、速度閾値THvitは3m/sに等しい。この速度閾値は経験的に決定され、可動観測対象物体と固定観測対象物体、または近接した2つの観測対象物体を区別することを可能にする。
【0071】
非限定的な一例において、パワー閾値THpおよび速度閾値THvitを経験的に決定するために、2つの異なる実在物体に対応する観測対象点のグループにおけるパワー標準偏差/速度標準偏差に対して、統計的手法が適用される。
【0072】
したがって、本発明の非限定的な一実施形態において、一次グループが同質的であるか否かは、次のようにして検証される。
− a)速度標準偏差ECTvitが、速度閾値THvitを超過した場合には、これは、一次グループCL1が非同質的であることを意味している。したがって、後述する第5のステップ5が遂行される。
− b)速度標準偏差ECTvitが、速度閾値THvitを超過しなかった場合には、パワー標準偏差ECTpが検証される。パワー標準偏差ECTpが、パワー閾値THpを超過した場合には、これは、一次グループCL1が非同質的であることを意味している。したがって、後述される第5のステップ5が遂行される。
− c)パワー標準偏差ECTpが、パワー閾値THpを超過しなかった場合には、これは、パワー標準偏差、速度標準偏差が、それぞれパワー閾値THp、速度閾値THvit未満であることを意味しており、したがって、一次グループCL1が同質的であることを示している。この場合には、プロセスは、後述される第7のステップ7に直接進む。
【0073】
したがって、観測対象点Ptの一次グループCL1が、それが非同質的であることを示す速度標準偏差ECTvitを有する場合には、これは、観測対象点のこの一次グループが、2つの異なる実在観測対象物体に対応していることを意味している。
【0074】
したがって、一次グループCL1が非同質的である場合には、第5のステップ5において、次のようなそれぞれの値Val1およびVal2に最も近い値を有する2つの基準観測対象点Ref1およびRef2が導き出される。Valmeanは、上述のパワーまたは速度の平均値である。
Val1 =Valmean + ECT
Val2 =Valmean − ECT
【0075】
さらに、本発明の非限定的な一実施形態において、一次グループCL1の観測対象点が、2つの基準観測対象点Ref1およびRef2の周辺で再グループ化されて、2つの二次グループCL2が形成される。したがって、二次グループCL2は、一次グループCL1のサブグループである。
【0076】
図6は、上述のパワーまたは速度の値Valを横軸にして、その値が検出された回数Nを縦軸として示したグラフである。2つの判定基準のうちの少なくとも1つ(パワーおよび/または速度)によると、図6に示されているように、一次グループが非同質的である場合には、パワーおよび/または速度の値は、最小値Valminと最大値Valmaxとの間の範囲にわたって広く分布しているとみなしてよい。観測対象点に対応するそれらの値のいくつかは、平均値Valmean未満であり、いくつかは、平均値Valmeanを超過している。
【0077】
2つの基準観測対象点Ref1およびRef2の非限定的な一例が、図7に示されている。
【0078】
本発明の非限定的な一実施形態において、二次グループCL2へのグループ化は、グループ慣性最小化の判定基準を用いるアグロメレーション法によって遂行される。
【0079】
この方法は、基準観測対象点Ref1、Ref2の周辺で、一次グループCL1の観測対象点を再グループ化し、そのようにして生成された二次グループCL2の慣性を最小にする。
【0080】
ここで、慣性は、二次グループの同質性の判定基準である。
【0081】
1つのグループに観測対象点を組み入れるたびに、そのグループの慣性は影響を受ける。グループの慣性が大きいほど、そのグループは、より非同質的である。そのために、二次グループの各々において、与えられた観測対象点による慣性の増加が、計算される。すなわち、各観測対象点は、非同質性への効果が最小になる二次グループに、すなわち、慣性の増加が最小になる二次グループに組み入れられる。
【0082】
このために、本発明の非限定的な一変形例においては、区分け指標WIを、速度またはパワーに適用する。本発明のこの非限定的な変形例においては、従来のとおりに距離を用いるのではなく、観測対象点Ptの有する量(本明細書においては、速度またはパワー)を直接用いて、観測対象点Ptのその量の中心を利用する。速度またはパワーは、上述の「空間的」グループ化において既に用いられているから、速度またはパワーを用いる方が、距離を用いるよりも有効である。
【0083】
この区分け指標WIは、グループの慣性を計算することなく、慣性の増加量を数値化する。
【0084】
したがって、各観測対象点Ptに対して、区分け指標WIが2回(得られた2つの二次グループCL2のそれぞれに1回ずつ)計算され、各観測対象点Ptは、より小さな区分け指標WIを有する二次グループに組み入れられる。
【0085】
したがって、上述のように速度Vitによる判定に適用される区分け指標WIvの式は、数4で与えられる。
【数4】
【0086】
上述の式において、
− 数5の表記は、二次グループCL2の観測対象点の速度Vitの平均値を表わし、
− nは、二次グループCL2内の観測対象点の数を表わし、
− Vaは、集合化される観測対象点の速度を表わしている。
【数5】
【0087】
また、上述のようにパワーPによる判定に適用される区分け指標WIpの式は、数6で与えられる。
【数6】
【0088】
上述の式において、
− 数7の表記は、二次グループCL2の観測対象点のパワーPの平均値を表わし、
− nは、二次グループCL2内の観測対象点の数を表わし、
− Paは、集合化される観測対象点のパワーを表わしている。
【数7】
【0089】
図7の例に示されているように、このようにして、パワーPに対する判定および速度Vitに対する判定の各々によって、2つの同質性の二次グループCL2’およびCL2’’が得られる。
【0090】
本発明の第4のステップ4に関して説明した実施形態において、a)(速度標準偏差ECTvit>速度閾値THvit)であった場合には、速度に適用される区分け指標WIvが用いられ、b)(パワー標準偏差ECTp>パワー閾値THp)であった場合には、パワーに適用される区分け指標WIpが用いられることに注意されたい。
【0091】
第6のステップ6では、本発明の非限定的な一実施形態において、二次グループCL2の少なくとも1つの観測対象点Ptから開始して、第1の与えられた特性c1を満たす、隣接する観測対象点Ptvとともに一次グループCL12が形成される。したがって、ステップ3の場合と同様に、「空間的」グループ化が行われる。これによって、観測対象点の空間的な集合化が得られる。
【0092】
本発明の非限定的な一実施形態において、第1の与えられた特性c1は、上述のように、観測対象点Ptと隣接する観測対象点Ptvとの間の、距離閾値d1未満の距離である。
【0093】
したがって、図8に示すように、2つの同質性の二次グループCL2’、CL2’’から、3つの一次グループCL12’、CL12’’、CL12’’’が得られる。
【0094】
次に、第3のステップの場合と同様に、第1の与えられた数nb1未満の数の観測対象点しか有しない全ての一次グループは除外される。非限定的な一例においては、第1の与えられた数nb1は3に等しい。
【0095】
これによって、ノイズが除外される。したがって、図8の例においては、一次グループCL12’’’が2つの観測対象点、すなわち観測対象点Pt5およびPt6しか含まないために、一次グループCL12’’’が除外される。この一次グループCL12’’’は、グループ、したがって観測対象物体O候補とするには小さすぎる。
【0096】
この第6のステップにおいては、比較的近接しており、かつ異なる速度で移動しているか、または同じような速度で移動しているが異なるパワーを有している2つの観測対象物体が区別される。
【0097】
第7のステップ7において、与えられたサイクル数Ncyにわたって、自動車に相対的に、単一の観測対象物体Oに対応して構成されていると判断されるグループの位置POSが計算される。
【0098】
次のいずれかに対して、グループの位置の計算がなされることに注意されたい。
− 一次グループCL1(第4のステップで説明したように、一次グループCL1が同質的な場合)、
− 一次グループCL12(第6のステップにおいて得られた場合)、
− 二次グループCL2(第5のステップにおいて説明したように、一次グループCL1が非同質的であり、かつ第6のステップが実行されなかった場合)。
【0099】
本発明の非限定的な一実施形態において、単一の観測対象物体に対応していると判断されるグループの位置は、自動車Vと相対的に、横方向および縦方向に計算される。
【0100】
本発明の非限定的な一変形例において、それらのグループの位置は、ある時間にわたる線形回帰によって計算される。したがって、横方向位置Xおよび縦方向位置Yにそれぞれ対応する2つの、ある時間にわたる線形回帰が存在する。
【0101】
この線形回帰は、次のように遂行される。
このグループは、与えられたサイクル数Ncy(本発明の非限定的な一実施形態においては5サイクルであり、図9には、時刻t=−4、−3、−2、−1における4サイクルが示されている)にわたってレーダーによって検出された、単一の観測対象物体から形成された観測対象点群を有している。したがって、それらの時刻の各々において、自動車Vに相対的に、多かれ少なかれ空間的に分散した観測対象点群が存在する。
【0102】
線形回帰によって、観測対象点との間の距離が最小となるような直線DRが求められる。
【0103】
次に、この直線DRを用いて、時刻tにおける観測対象点のグループの位置が算出される。
【0104】
観測対象点群は、実際には、車両(貨物自動車、乗用車、オートバイなど)であると考えられる。したがって、観測対象点群の位置を計算することによって、観測対象物体Oの実際の位置を算出することができる。
【0105】
したがって、観測対象物体Oが移動するにつれて、その位置POS、すなわち横方向位置Xおよび縦方向位置Yが決定される。
【0106】
例えば図10の非限定的な例に示されているように、3つの観測対象物体(この例においては、図11に示されている貨物自動車C、第1の乗用車V1、第2の乗用車V2を有する)に対応する3つの一次グループCL12’、CL12’’、CL12’’’の移動が得られる。図11は、認識された観測対象物体を、図的に可視化したものである。
【0107】
第8のステップにおいて、単一の観測対象物体に対応していると判断されるグループの連続する2つの位置に、カルマンフィルタが適用される。
【0108】
カルマンフィルタは、センサに関わるノイズを考慮に入れ、考察しているモデルの状態、すなわちこの例においては、レーダーRADによって観測された観測対象物体の位置を補正して予測する。
【0109】
カルマンフィルタは、時刻(t−1)における予測値に基づいて、時刻tにおける位置の測定値を補正し、時刻(t+1)における測定位置を予測する。
【0110】
これによって、レーダーRADによって検出された観測対象物体Oの位置POS(X、Y)が安定する。したがって、時間の経過につれて安定する位置が得られる。
【0111】
カルマンフィルタは、当業者にはよく知られているから、本明細素においては、これ以上詳細に説明しない。
【0112】
したがって、上述の第1〜第8のステップは、上述の方法を実行する自動車Vが移動するにつれて、またこの自動車Vの周囲環境内の観測対象物体候補が移動するにつれて、リアルタイムに実行される。
【0113】
したがって、上述の方法は、上述の方法を実行する自動車Vの周囲環境内の観測対象物体を検出し、特に、とりわけ2つの車両などの2つの観測対象物体が、例えば図11の貨物自動車Cと第1の乗用車V1のように、互いに近接している場合に、観測対象物体同士を区別する。
【0114】
本発明の方法は、図12に示されている、自動車Vにおいて観測対象物体Oを検出するための検出装置DISPによって遂行される。
【0115】
検出装置DISPは、自動車V内に組み込まれている。
【0116】
検出装置DISPは、特に、次のことを実行する制御ユニットUCを備えている。
− 与えられたサイクル数Ncyにわたって、自動車Vの移動量に基づいて、自動車Vに相対的な、少なくとも1つの観測対象点Ptの位置POS_Ptを補正し、
− 少なくとも1つの観測対象点Pt1から開始して、第1の与えられた特性c1を満たす、隣接する観測対象点Ptv1とともに一次グループCL1を形成し、
− 第2の与えられた特性c2に基づいて、一次グループCL1が同質的であるか否かを検証し、また
− 与えられたサイクル数Ncyにわたって、自動車Vに相対的に、単一の観測対象物体に対応して構成されていると判断されるグループの位置POSを計算する。
【0117】
本発明の非限定的な一実施形態において、検出装置DISPは、さらに、自動車Vに相対的に、自動車Vの周囲環境内の複数の観測対象物体Oを検出し、それによって、それらの観測対象物体Oを表わす複数の観測対象点Pt、およびそれらのそれぞれの位置POS_Ptがもたらされる検出器を備えている。非限定的な一例においては、この検出器はレーダーRADである。本発明の非限定的な一実施形態においては、このレーダーRADは、次の特徴を有する。
− 24GHzの法定周波数で動作し、したがって、40msのサイクルタイムを有する。
− 0.75〜60メートルの検出範囲を有する。
− 100までの観測対象点を検出することができる。
− 150°の開口角を有する。
【0118】
当然のことながら、これらの特徴は、本発明を限定するものではない。例えば77GHzの法定周波数などの、別の周波数を用いることもできる。
【0119】
上述の検出方法は、マイクロプログラムされたデバイス「ソフトウェア」、ワイヤードロジック、および/または電子部品「ハードウェア」によって遂行することができることに注意されたい。
【0120】
したがって、検出装置DISPは、マイクロプロセッサ、または、マイクロコントローラ、ASIC、コンピュータなどの処理ユニットのような情報処理ユニットによって実行することができる、上述の方法を遂行する1つ以上の命令列を有するコンピュータプログラム製品PGを備えていてもよい。
【0121】
そのようなコンピュータプログラム製品PGは、ROMタイプの不揮発性の読み出し専用のメモリ、または、EEPROMまたはFLASHタイプの不揮発性の書き換え可能なメモリに書き込まれていてもよい。このコンピュータプログラム製品PGは、製作者によってメモリに書き込まれていてもよいし、メモリにロードされてもよいし、またはメモリにダウンロードされてもよい。命令列は、機械語列であってもよいし、または実行時に処理ユニットによって機械語列に翻訳処理されるコマンド言語列であってもよい。
【0122】
図12の非限定的な例においては、コンピュータプログラム製品PGは、検出装置DISPの制御ユニットUCのメモリに書き込まれている。
【0123】
当然のことながら、本発明は、上述の実施形態および例に限定されるものではない。
【0124】
以上より、本発明の利点には、次のものが含まれる。
− 小さすぎる、観測対象点のグループを除外することによって、ノイズを除去する。
− 与えられたサイクル数にわたって、観測対象点を捕捉し続けることによって、観測対象点を見失わないようにする。
− 可能な限り同質的であり、したがって、同じ実在の観測対象物体に属するであろう観測対象点を、1つのグループにまとめる。
− パワーに基づいて、観測対象物体同士を互いに区別する。
− 相異なる速度を有して、空間的に互いに近接している2つの観測対象物体、特に、可動観測対象物体と固定観測対象物体を区別する。
− カルマンフィルタを用いて、時間の経過とともに観測対象物体の位置の計算を安定させる。
− 自動的なレーダー検出機能を用いている既存のモジュールに容易に組み込み可能である。
− 各ステップの処理は単純、高速、かつ経済的であるから、単純、高速、かつ経済的に遂行しうる。
【符号の説明】
【0125】
C 貨物自動車
CL1、CL1’、CL12’、CL12’’、CL12’’’ 一次グループ
CL2’、CL2’’ 二次グループ
CPtv1〜CPtv4 近接円
d1 距離閾値
DISP 検出装置
DR 直線
EA 前方環境
ECT 標準偏差
LP 街灯
P 道路標識
PG コンピュータプログラム製品
Pt1、Pt2、Pt3、Pt4、Pt5、Pt6 観測対象点
RAD レーダー
Ref1、Ref2 基準観測対象点
t 時刻
UC 制御ユニット
V 自動車
V1 第1の乗用車
V2 第2の乗用車
X 横方向位置
Y 縦方向位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車において観測対象物体を検出する方法、およびその方法を実行する検出装置に関する。
【0002】
本発明は、特に自動車の分野に応用しうるものである。
【背景技術】
【0003】
自動車の分野で、自動車において観測対象物体を検出するための従来の公知の方法には、自動車の前方環境をスキャンするレーダーが用いられている。このようなレーダーは、先行車両または対向車両などの観測対象物体を表わす1セットの点を含む情報を有するエコーを受信する。このような方法は、自動車の前面にマウントされたレーダーによって遂行される。
【0004】
この従来技術の欠点は、レーダーによってもたらされた情報が、多くの場合、ノイズを多量に含んでおり、かつ不安定であり、したがって、観測対象物体とノイズ、固定観測対象物体と可動観測対象物体、そして最後に、自動車の周囲環境内の互いに接近し合った観測対象物体同士を区別することが困難であるということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、上述の問題を解決することができる、自動車において観測対象物体を検出する方法および装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、次のステップを含むことを特徴とする、自動車において観測対象物体を検出する方法を提供するものである。
− 与えられたサイクル数にわたって、自動車の移動量に基づいて、自動車に相対的な、少なくとも1つの観測対象点の位置を補正するステップと、
− 少なくとも1つの観測対象点から開始して、第1の与えられた特性を満たす、隣接する観測対象点とともに一次グループを形成するステップと、
− 第2の与えられた特性に基づいて、一次グループが同質的であるか否かを検証するステップと、
− 与えられたサイクル数にわたって、自動車に相対的に、単一の観測対象物体に対応して構成されていると判断されるグループの位置を計算するステップ。
【0007】
後に詳細に説明するように、観測対象点をグループ化し、特に、それらの同質性を検証することによって、観測対象物体を区別し(それらの速度およびパワーに基づいて)、かつそれらの位置を信頼度高く計算することができる。
【0008】
本発明の非限定的な実施形態によれば、この方法は、さらに次の特徴を有している。
− 自動車と相対的に、自動車の周囲環境内の複数の観測対象物体を検出し、それによって、それらの観測対象物体を表わす複数の観測対象点と、それらのそれぞれの位置とがもたらされる、別のステップを含んでいる。この位置パラメータを知ることによって、その後、観測対象物体の追跡を自動化することができる。
【0009】
− 一次グループを形成するステップは、隣接する観測対象点に、前述の第1の与えられた特性を連続的に適用するサブステップを含んでいる。これによって、計算数が制限される。
【0010】
− 第1の与えられた数未満の数の観測対象点しか有していない全ての一次グループを除外する、さらなるステップを含んでいる。これによって、非常に小さく、したがってノイズと考えられる一次グループが除外される。
【0011】
− 第2の与えられた特性はパワーである。これによって、互いに異なるエネルギーを送り出す観測対象物体同士を区別することができる。
【0012】
− 第2の与えられた特性は速度である。これによって、可動観測対象物体と固定観測対象物体を区別することができる。
【0013】
− この方法は、一次グループが非同質的である場合に、一次グループの観測対象点を、2つの基準観測対象点の周辺で再グループ化し、2つの二次グループを、この2つの二次グループの慣性が最小になるように形成する、さらなるステップを含んでいる。これによって、互いに近接している2つの観測対象物体を区別することができる。
【0014】
− 二次グループへの再グループ化は、区分け指標を用いて遂行される。これによって、二次グループの慣性を計算することなく、同質的な、観測対象点の二次グループを得ることができる。
【0015】
− この方法は、二次グループの少なくとも1つの観測対象点から開始して、第1の与えられた特性を満たす、隣接する観測対象点とともに一次グループを形成する、さらなるステップを含んでいる。これによって、非常に小さく、したがってノイズと考えられる二次グループが除外される。
【0016】
− 第1の与えられた特性は、前述の少なくとも1つの観測対象点、または二次グループの少なくとも1つの観測対象点と、隣接する観測対象点との間の、距離閾値未満の距離である。これによって、計算数が制限される。
【0017】
− 単一の観測対象物体に対応して構成されていると判断されるグループの位置が、横方向および縦方向に計算される。これによって、位置が特定される。
【0018】
− この方法は、単一の観測対象物体に対応して構成されていると判断されるグループの2つの連続する位置にカルマンフィルタを適用する、さらなるステップを含んでいる。これによって、時間の経過とともに、位置の計算が安定する。
【0019】
また本発明は、次のことを遂行するための制御ユニットを備えていることを特徴とする、自動車において観測対象物体を検出するための装置を提供するものである。
− 与えられたサイクル数にわたって、自動車の移動量に基づいて、自動車に相対的な、少なくとも1つの観測対象点の位置を補正し、
− 少なくとも1つの観測対象点から開始して、第1の与えられた特性を満たす、隣接する観測対象点とともに一次グループを形成し、
− 第2の与えられた特性に基づいて、一次グループが同質的であるか否かを検証し、また、
− 与えられたサイクル数にわたって、自動車に相対的に、単一の観測対象物体に対応して構成されていると判断されるグループの位置を計算する。
【0020】
本発明の非限定的な一実施形態においては、この装置は、自動車と相対的に、自動車の周囲環境内の複数の観測対象物体を検出し、それによって、それらの観測対象物体を表わす複数の観測対象点と、それらのそれぞれの位置とがもたらされる検出器をさらに備えている。
【0021】
さらに本発明は、情報処理ユニットによって実行可能な1つ以上の命令列を有するコンピュータプログラム製品であって、これらの命令列を実行することによって、上述のいずれか1つの特徴を有する方法が遂行されるコンピュータプログラム製品を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の非限定的な一実施形態による検出方法のフローチャートである。
【図2】図1の検出方法の第一のステップにしたがって、レーダーによって検出することができる種々の観測対象物体を有する、自動車の前方環境の画像を示す図である。
【図3】レーダーによって検出される、図2の観測対象物体を表わす観測対象点を示す図である。
【図4】与えられたサイクル数にわたって、レーダーによって検出される、図2の観測対象物体を表わす観測対象点を示す図である。
【図5】図1の検出方法の第3のステップにしたがって、図4の少なくとも1つの観測対象点から、一次グループを形成する図である。
【図6】図1の検出方法の第4のステップにしたがって、一次グループの同質性を検証するために用いられる標準偏差を示す図である。
【図7】図1の検出方法の第5のステップにしたがって、2つの基準観測対象点を決定して、二次グループを形成する図である
【図8】図1の検出方法の第6のステップにしたがって、二次グループの少なくとも1つの観測対象点から、一次グループを形成する図である。
【図9】図1の検出方法の第7のステップにしたがって、単一の観測対象物体に対応して構成されていると判断されるグループの位置を計算する図である。
【図10】カルマンフィルタによる処理後に得られる観測対象点の非限定的な一例を示す図である。
【図11】図1の検出方法によって検出された観測対象物体を有する、自動車の前方環境の画像を示す図である。
【図12】図1の検出方法を遂行する装置の非限定的な一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付図面を参照して、以下に説明する本発明の非限定的な実施形態を読むことによって、本発明の他の特徴および利点が、より明らかになると思う。
【0024】
図1に示されている非限定的な例を用いて、本発明による、自動車において観測対象物体を検出する方法を説明する。
【0025】
用語「自動車」は、エンジンを有するいかなる車両をも意味している。
【0026】
本発明による方法には、図1に示されている次のステップが含まれている。
− 与えられたサイクル数Ncyにわたって、自動車Vの移動量Δmに基づいて、自動車Vに相対的な、少なくとも1つの観測対象点Ptの位置POS_Ptを補正するステップ(ステップCORRECT_POSPt(Δm))と、
− 少なくとも1つの観測対象点Ptから開始して、第1の与えられた特性c1を満たす、隣接する観測対象点Ptvとともに一次グループCL1を形成するステップ(ステップFORM_CL1(Pt,Ptv,c1))と、
− 第2の与えられた特性c2に基づいて、一次グループCL1が同質的であるか否かを検証するステップ(ステップHOM_CL(c2=Vit,P))と、
− 与えられたサイクル数Ncyにわたって、自動車Vに相対的に、単一の観測対象物体Oに対応して構成されていると判断されるグループの位置を計算するステップ(ステップPOS_CL)。
【0027】
非限定的な一実施形態において、この方法は、さらに、一次グループが非同質的な場合に、一次グループCL1の観測対象点を、基準観測対象点Ref1、Ref2の周辺で再グループ化し、少なくとも1つの二次グループCL2を、この少なくとも1つの二次グループCL2の慣性を制限するように形成する、さらなるステップ(ステップFORM_CL2(WI,Ref1,Ref2))を含んでいる。
【0028】
本発明の非限定的な一実施形態において、この方法は、さらに、自動車Vに相対的に、自動車の周囲環境E内の複数の観測対象物体Oを検出し、それによって、それらの観測対象物体Oを表わす複数の観測対象点Ptが、それらのそれぞれの位置にもたらされる、さらなるステップ(ステップDETECT_O(Pt,POS_Pt))を含んでいる。
【0029】
この最後のさらなるステップは、必ずしも、本明細書において説明される方法に含ませる必要はなく、説明する方法の開始時に実行される別の方法の一部をなしていてもよいことに注意されたい。
【0030】
以下に説明する本発明の非限定的な実施形態においては、この方法は、このさらなるステップを含んでいる。
【0031】
次に、本発明の方法のステップについて詳細に説明する。
【0032】
第1のステップ1において、自動車と相対的に、自動車の周囲環境内の複数の観測対象物体Oが検出され、それによって、それらの観測対象物体Oを表わす複数の観測対象点Ptが、それらのそれぞれの位置POS_Ptにもたらされる。自動車Vの前方環境EAの一例が、図2に示されている。図示のように、前方環境EAは、次の観測対象物体を有している。
− 先行している第1の乗用車V1と、
− 先行している第2の乗用車V2と、
− 道路標識Pと、
− 貨物自動車Cと、
− 少なくとも1つの街灯LP。
【0033】
ターゲット物体Oは、次の情報を備えたエコーを受信する、レーダーRADなどの観測対象物体検出器によって検出される。
− 自動車Vの前方環境EA内にある観測対象物体に対応する観測対象点Pt(検出される観測対象点Ptの一例が、図3に示されている)と、
− 次の情報を含んでいる、自動車Vに相対的な、観測対象点Ptの位置POS_Ptと、
・自動車Vに相対的な、観測対象点Ptの距離D、
・レーダーに相対的な、観測対象点Ptの角度β、
・観測対象点Ptの半径方向速度Vr、
・観測対象点Ptから反射されたエコーのパワーP、
− ノイズに関する情報B。
【0034】
レーダーRADによる検出は、当業者にはよく知られていることであるので、本明細書においては詳述しない。
【0035】
しかしながら、24GHzで動作するレーダーを用いる、非限定的な例において、このレーダーは、40ms毎に上述の情報を受信することに留意されたい。この場合に、サイクルタイムが40msであると言う。
【0036】
さらに、このようなレーダーRADは、0〜約70kph(70km毎時)の範囲の速度に対して有効であることに留意されたい。したがって、本明細書において考察される非限定的な例においては、観測対象点Ptの、2レーダーサイクル間の最大移動距離は77cmである。
【0037】
第2のステップ2において、与えられたサイクル数Ncyにわたって、自動車Vの移動量Δmに基づいて、自動車Vに相対的な、少なくとも1つの観測対象点Ptの位置POS_Ptが補正される。
【0038】
このステップの目的は、観測対象点Ptを見失わないように、レーダーデータを安定させることである。
【0039】
レーダーRADは、与えられたサイクル数Ncyにわたって、観測対象点に関する情報を受信する。レーダーRADによって、観測対象点Ptが、時刻tにおいて検出され、時刻(t+1)において検出されず、その後に再度検出されるということが起こり得る。
【0040】
非限定的な一実施形態において、与えられたサイクル数Ncyは5に等しい。このサイクル数を超過すると、観測対象点群が、処理しがたいほど密になりすぎ、またその観測対象点群同士が重なり合うと推測される。したがって、5サイクルを終えた時点(すなわち、本明細書において用いられている、サイクルタイムが40msである例においては、200msに達した時点)で、1セットの観測対象点Ptが捕捉され、また、次の補正が実行される。
− 各サイクルCYにおける、各観測対象点Ptに対応する距離Dから、自動車Vの並進移動量Dv(すなわち、自動車Vが走行した経路長)を差し引き、かつ
− 各サイクルCYにおける、各観測対象点Ptに対応する角度βから、自動車Vの回転移動量Dr(自動車のジョー速度(jaw speed)Vlから得られる)を差し引く。
【0041】
図4は、非限定的な、第2のステップの結果の例を示している。図示のように、本明細書において説明する例では、5サイクルにわたって、観測対象点Pt、したがって対応する観測対象物体Oの移動を追跡することができる。
【0042】
3つの移動可能な観測対象物体に対応していると思われる、3つの観測対象点Pt1、Pt2、Pt3が、各観測対象点が5サイクルにわたる観測対象点群を形成するように存在していることが理解しうると思う。
【0043】
観測対象点が固定観測対象物体に対応している場合には、5サイクルにわたる結果は、より密な観測対象点群になるということに注意されたい。
【0044】
第3のステップ3において、少なくとも1つの観測対象点Ptから開始して、第1の与えられた特性c1を満たす、隣接する観測対象点Ptvとともに一次グループCL1が形成される。
【0045】
これによって、いわゆる「空間的」グループ化が行われる。
【0046】
以下に詳細に説明するように、このステップには、次のステップが含まれている。
− 固定観測対象物体と可動観測対象物体とを区別するステップと、
− 観測対象物体とノイズとを区別するステップと、
− 観測対象物体同士を互いに区別するステップ。
【0047】
本発明の非限定的な一実施形態においては、第1の与えられた特性c1は、観測対象点Ptと、それに隣接した観測対象点Ptvとの間の、距離閾値d1未満の距離である。非限定的な一例において、この距離閾値d1は1mに等しい。70kphの速度Vit、および40msのサイクルタイムにおいては、観測対象点Ptの、2サイクル間で得られる最大移動距離Dは77cmである(上述を参照)。この値を四捨五入すると、1mになる。
【0048】
図5の例の左側に、5サイクルにわたる1セットの観測対象点をグループ化する第2のステップが示されている。
【0049】
この1セットの観測対象点において、第1の与えられた観測対象点Pt1から開始して、第1の観測対象点Pt1からの距離Dが距離閾値d1未満である全ての隣接した観測対象点Ptv1が特定されている。この例においては、1mに等しい距離閾値d1に関するこの判定基準を満足する、隣接する観測対象点Ptv1が、第1の近接円Cptv1内に存在する。図5の例においては、観測対象点Pt2、Pt3、Pt4が、この判定基準を満足する、第1の観測対象点Pt1に隣接する観測対象点Ptv1である。
【0050】
次いで、第1の観測対象点Pt1に隣接する各観測対象点Ptv1、すなわち観測対象点Pt2、Pt3、Pt4に対する近接円Cptv2、Cptv3、Cptv4内に存在する観測対象点が抽出される。さらに、それらの抽出された観測対象点に対する近接円(図5に二点鎖線の円で示されている)内に存在する観測対象点が抽出されるというように、順次、上述の距離に関する判定基準が連続的に適用される。したがって、本発明の非限定的な一実施形態において、一次グループCL1を形成するステップには、第1の与えられた特性c1を、隣接した観測対象点Ptvに連続的に適用するサブステップが含まれる。
【0051】
このプロセスが終了した時点で、判定基準を満足する、隣接する観測対象点を全て組み入れた一次グループCL1が得られる。
【0052】
第2の与えられた観測対象点から開始して、再度、このようなグループ化が実行され、したがって、第2の一次グループCL1’が得られる。同様に、第3、第4等の一次グループが得られる。図5の例においては、第2の与えられた観測対象点は、観測対象点Pt5である。この観測対象点Pt5は、第1の与えられた観測対象点Pt1、またはそれから連続した、隣接する観測対象点の近傍に見出される観測対象点のうちの1つではないから、実際、一次グループCL1に属していない。
【0053】
非限定的な一実施形態において、このステップにおいて考察される、与えられた観測対象点Ptとは、レーダーがレーダースキャンを行なったときに遭遇した最初の観測対象点であり、したがって、その時点でいかなるグループにも属していない。本発明の非限定的な一実施形態において、レーダースキャンは、レーダーRADの開口角にしたがって、左側から右側に車両の前方環境を掃引することに相当する。
【0054】
本発明の非限定的な一実施形態において、一次グループが形成されたとき、最初に、第1の与えられた数nb1未満の数の観測対象点しか含まない一次グループCL1が除外される。非限定的な一例において、この第1の与えられた数nb1は、3に等しい。
【0055】
これによって、ノイズが除外される。あまりにも少ない観測対象点しか含まない一次グループは、レーダーRADから生じるノイズを多量に含む情報に相当する。したがって、図5の例においては、ただ1つの観測対象点、すなわち観測対象点Pt5しか含んでいない一次グループCL1’は除外される。この一次グループCL1’は、グループとするには、したがって観測対象物体O候補とするには小さすぎる。
【0056】
第4のステップ4において、第2の与えられた特性c2に基づいて、一次グループCL1が同質的であるか否かが検証される。
【0057】
本発明の非限定的な一実施形態において、第2の与えられた特性c2は、パワーPに関わる特性である。
【0058】
本発明の別の非限定的な一実施形態において、第2の与えられた特性c2は、速度Vitに関わる特性である。
【0059】
これらの2つの判定基準は、次に説明されるように、一次グループCL1の同質性を判断するために用いられる。
【0060】
パワーPに関しては、観測対象物体が金属的になればなるほど、観測対象物体から、より大きなパワーが送られる。したがって、観測対象物体毎に、パワー差が存在する。したがって、オートバイ、乗用車、貨物自動車から、それぞれ異なるパワーが送られる。
【0061】
速度Vitに関しては、2つの観測対象物体間、特に、可動観測対象物体と固定観測対象物体との間には、速度差が存在する。
【0062】
したがって、次に説明するように、近接している2つの観測対象物体を、速度差またはパワー差で区別することができる。特に、可動観測対象物体を、固定観測対象物体から区別することができる。
【0063】
非限定的な一変形例において、一次グループCL1の観測対象点に対する、パワーPを用いる判定基準、および/または速度Vitを用いる判定基準に基づいて、一次グループCL1の同質性を計算するために、標準偏差ECTが、各判定基準において計算される。
【0064】
したがって、数1、数2を用いて、標準偏差ECTを計算することができる。
【数1】
【数2】
【0065】
上述の式において、
− xiは、一次グループCL1の観測対象点Ptの半径方向速度を表わし、
− 数3の表記は、一次グループCL1の全ての観測対象点Ptの半径方向速度の平均を表わし、
− nは、一次グループCL1の観測対象点の数を表わしている。
【数3】
【0066】
同じ式が、パワーPに対しても用いられる。
【0067】
上述のように、各観測対象点Ptにおいて、半径方向速度Vrは、レーダーRADによって与えられることを想起されたい。同じことが、パワーPにも当てはまる。
【0068】
一次グループCL1の同質性を特定するために、計算されたパワー標準偏差ECTpがパワー閾値THpと比較され、また計算された速度標準偏差ECTvitが速度閾値THvitと比較される。
【0069】
本発明の非限定的な一実施形態において、パワー閾値THpは4dBに等しい。このパワー閾値は経験的に決定され、貨物自動車、乗用車、オートバイなどの各観測対象物体間のパワー差を表わしている。
【0070】
本発明の非限定的な一実施形態において、速度閾値THvitは3m/sに等しい。この速度閾値は経験的に決定され、可動観測対象物体と固定観測対象物体、または近接した2つの観測対象物体を区別することを可能にする。
【0071】
非限定的な一例において、パワー閾値THpおよび速度閾値THvitを経験的に決定するために、2つの異なる実在物体に対応する観測対象点のグループにおけるパワー標準偏差/速度標準偏差に対して、統計的手法が適用される。
【0072】
したがって、本発明の非限定的な一実施形態において、一次グループが同質的であるか否かは、次のようにして検証される。
− a)速度標準偏差ECTvitが、速度閾値THvitを超過した場合には、これは、一次グループCL1が非同質的であることを意味している。したがって、後述する第5のステップ5が遂行される。
− b)速度標準偏差ECTvitが、速度閾値THvitを超過しなかった場合には、パワー標準偏差ECTpが検証される。パワー標準偏差ECTpが、パワー閾値THpを超過した場合には、これは、一次グループCL1が非同質的であることを意味している。したがって、後述される第5のステップ5が遂行される。
− c)パワー標準偏差ECTpが、パワー閾値THpを超過しなかった場合には、これは、パワー標準偏差、速度標準偏差が、それぞれパワー閾値THp、速度閾値THvit未満であることを意味しており、したがって、一次グループCL1が同質的であることを示している。この場合には、プロセスは、後述される第7のステップ7に直接進む。
【0073】
したがって、観測対象点Ptの一次グループCL1が、それが非同質的であることを示す速度標準偏差ECTvitを有する場合には、これは、観測対象点のこの一次グループが、2つの異なる実在観測対象物体に対応していることを意味している。
【0074】
したがって、一次グループCL1が非同質的である場合には、第5のステップ5において、次のようなそれぞれの値Val1およびVal2に最も近い値を有する2つの基準観測対象点Ref1およびRef2が導き出される。Valmeanは、上述のパワーまたは速度の平均値である。
Val1 =Valmean + ECT
Val2 =Valmean − ECT
【0075】
さらに、本発明の非限定的な一実施形態において、一次グループCL1の観測対象点が、2つの基準観測対象点Ref1およびRef2の周辺で再グループ化されて、2つの二次グループCL2が形成される。したがって、二次グループCL2は、一次グループCL1のサブグループである。
【0076】
図6は、上述のパワーまたは速度の値Valを横軸にして、その値が検出された回数Nを縦軸として示したグラフである。2つの判定基準のうちの少なくとも1つ(パワーおよび/または速度)によると、図6に示されているように、一次グループが非同質的である場合には、パワーおよび/または速度の値は、最小値Valminと最大値Valmaxとの間の範囲にわたって広く分布しているとみなしてよい。観測対象点に対応するそれらの値のいくつかは、平均値Valmean未満であり、いくつかは、平均値Valmeanを超過している。
【0077】
2つの基準観測対象点Ref1およびRef2の非限定的な一例が、図7に示されている。
【0078】
本発明の非限定的な一実施形態において、二次グループCL2へのグループ化は、グループ慣性最小化の判定基準を用いるアグロメレーション法によって遂行される。
【0079】
この方法は、基準観測対象点Ref1、Ref2の周辺で、一次グループCL1の観測対象点を再グループ化し、そのようにして生成された二次グループCL2の慣性を最小にする。
【0080】
ここで、慣性は、二次グループの同質性の判定基準である。
【0081】
1つのグループに観測対象点を組み入れるたびに、そのグループの慣性は影響を受ける。グループの慣性が大きいほど、そのグループは、より非同質的である。そのために、二次グループの各々において、与えられた観測対象点による慣性の増加が、計算される。すなわち、各観測対象点は、非同質性への効果が最小になる二次グループに、すなわち、慣性の増加が最小になる二次グループに組み入れられる。
【0082】
このために、本発明の非限定的な一変形例においては、区分け指標WIを、速度またはパワーに適用する。本発明のこの非限定的な変形例においては、従来のとおりに距離を用いるのではなく、観測対象点Ptの有する量(本明細書においては、速度またはパワー)を直接用いて、観測対象点Ptのその量の中心を利用する。速度またはパワーは、上述の「空間的」グループ化において既に用いられているから、速度またはパワーを用いる方が、距離を用いるよりも有効である。
【0083】
この区分け指標WIは、グループの慣性を計算することなく、慣性の増加量を数値化する。
【0084】
したがって、各観測対象点Ptに対して、区分け指標WIが2回(得られた2つの二次グループCL2のそれぞれに1回ずつ)計算され、各観測対象点Ptは、より小さな区分け指標WIを有する二次グループに組み入れられる。
【0085】
したがって、上述のように速度Vitによる判定に適用される区分け指標WIvの式は、数4で与えられる。
【数4】
【0086】
上述の式において、
− 数5の表記は、二次グループCL2の観測対象点の速度Vitの平均値を表わし、
− nは、二次グループCL2内の観測対象点の数を表わし、
− Vaは、集合化される観測対象点の速度を表わしている。
【数5】
【0087】
また、上述のようにパワーPによる判定に適用される区分け指標WIpの式は、数6で与えられる。
【数6】
【0088】
上述の式において、
− 数7の表記は、二次グループCL2の観測対象点のパワーPの平均値を表わし、
− nは、二次グループCL2内の観測対象点の数を表わし、
− Paは、集合化される観測対象点のパワーを表わしている。
【数7】
【0089】
図7の例に示されているように、このようにして、パワーPに対する判定および速度Vitに対する判定の各々によって、2つの同質性の二次グループCL2’およびCL2’’が得られる。
【0090】
本発明の第4のステップ4に関して説明した実施形態において、a)(速度標準偏差ECTvit>速度閾値THvit)であった場合には、速度に適用される区分け指標WIvが用いられ、b)(パワー標準偏差ECTp>パワー閾値THp)であった場合には、パワーに適用される区分け指標WIpが用いられることに注意されたい。
【0091】
第6のステップ6では、本発明の非限定的な一実施形態において、二次グループCL2の少なくとも1つの観測対象点Ptから開始して、第1の与えられた特性c1を満たす、隣接する観測対象点Ptvとともに一次グループCL12が形成される。したがって、ステップ3の場合と同様に、「空間的」グループ化が行われる。これによって、観測対象点の空間的な集合化が得られる。
【0092】
本発明の非限定的な一実施形態において、第1の与えられた特性c1は、上述のように、観測対象点Ptと隣接する観測対象点Ptvとの間の、距離閾値d1未満の距離である。
【0093】
したがって、図8に示すように、2つの同質性の二次グループCL2’、CL2’’から、3つの一次グループCL12’、CL12’’、CL12’’’が得られる。
【0094】
次に、第3のステップの場合と同様に、第1の与えられた数nb1未満の数の観測対象点しか有しない全ての一次グループは除外される。非限定的な一例においては、第1の与えられた数nb1は3に等しい。
【0095】
これによって、ノイズが除外される。したがって、図8の例においては、一次グループCL12’’’が2つの観測対象点、すなわち観測対象点Pt5およびPt6しか含まないために、一次グループCL12’’’が除外される。この一次グループCL12’’’は、グループ、したがって観測対象物体O候補とするには小さすぎる。
【0096】
この第6のステップにおいては、比較的近接しており、かつ異なる速度で移動しているか、または同じような速度で移動しているが異なるパワーを有している2つの観測対象物体が区別される。
【0097】
第7のステップ7において、与えられたサイクル数Ncyにわたって、自動車に相対的に、単一の観測対象物体Oに対応して構成されていると判断されるグループの位置POSが計算される。
【0098】
次のいずれかに対して、グループの位置の計算がなされることに注意されたい。
− 一次グループCL1(第4のステップで説明したように、一次グループCL1が同質的な場合)、
− 一次グループCL12(第6のステップにおいて得られた場合)、
− 二次グループCL2(第5のステップにおいて説明したように、一次グループCL1が非同質的であり、かつ第6のステップが実行されなかった場合)。
【0099】
本発明の非限定的な一実施形態において、単一の観測対象物体に対応していると判断されるグループの位置は、自動車Vと相対的に、横方向および縦方向に計算される。
【0100】
本発明の非限定的な一変形例において、それらのグループの位置は、ある時間にわたる線形回帰によって計算される。したがって、横方向位置Xおよび縦方向位置Yにそれぞれ対応する2つの、ある時間にわたる線形回帰が存在する。
【0101】
この線形回帰は、次のように遂行される。
このグループは、与えられたサイクル数Ncy(本発明の非限定的な一実施形態においては5サイクルであり、図9には、時刻t=−4、−3、−2、−1における4サイクルが示されている)にわたってレーダーによって検出された、単一の観測対象物体から形成された観測対象点群を有している。したがって、それらの時刻の各々において、自動車Vに相対的に、多かれ少なかれ空間的に分散した観測対象点群が存在する。
【0102】
線形回帰によって、観測対象点との間の距離が最小となるような直線DRが求められる。
【0103】
次に、この直線DRを用いて、時刻tにおける観測対象点のグループの位置が算出される。
【0104】
観測対象点群は、実際には、車両(貨物自動車、乗用車、オートバイなど)であると考えられる。したがって、観測対象点群の位置を計算することによって、観測対象物体Oの実際の位置を算出することができる。
【0105】
したがって、観測対象物体Oが移動するにつれて、その位置POS、すなわち横方向位置Xおよび縦方向位置Yが決定される。
【0106】
例えば図10の非限定的な例に示されているように、3つの観測対象物体(この例においては、図11に示されている貨物自動車C、第1の乗用車V1、第2の乗用車V2を有する)に対応する3つの一次グループCL12’、CL12’’、CL12’’’の移動が得られる。図11は、認識された観測対象物体を、図的に可視化したものである。
【0107】
第8のステップにおいて、単一の観測対象物体に対応していると判断されるグループの連続する2つの位置に、カルマンフィルタが適用される。
【0108】
カルマンフィルタは、センサに関わるノイズを考慮に入れ、考察しているモデルの状態、すなわちこの例においては、レーダーRADによって観測された観測対象物体の位置を補正して予測する。
【0109】
カルマンフィルタは、時刻(t−1)における予測値に基づいて、時刻tにおける位置の測定値を補正し、時刻(t+1)における測定位置を予測する。
【0110】
これによって、レーダーRADによって検出された観測対象物体Oの位置POS(X、Y)が安定する。したがって、時間の経過につれて安定する位置が得られる。
【0111】
カルマンフィルタは、当業者にはよく知られているから、本明細素においては、これ以上詳細に説明しない。
【0112】
したがって、上述の第1〜第8のステップは、上述の方法を実行する自動車Vが移動するにつれて、またこの自動車Vの周囲環境内の観測対象物体候補が移動するにつれて、リアルタイムに実行される。
【0113】
したがって、上述の方法は、上述の方法を実行する自動車Vの周囲環境内の観測対象物体を検出し、特に、とりわけ2つの車両などの2つの観測対象物体が、例えば図11の貨物自動車Cと第1の乗用車V1のように、互いに近接している場合に、観測対象物体同士を区別する。
【0114】
本発明の方法は、図12に示されている、自動車Vにおいて観測対象物体Oを検出するための検出装置DISPによって遂行される。
【0115】
検出装置DISPは、自動車V内に組み込まれている。
【0116】
検出装置DISPは、特に、次のことを実行する制御ユニットUCを備えている。
− 与えられたサイクル数Ncyにわたって、自動車Vの移動量に基づいて、自動車Vに相対的な、少なくとも1つの観測対象点Ptの位置POS_Ptを補正し、
− 少なくとも1つの観測対象点Pt1から開始して、第1の与えられた特性c1を満たす、隣接する観測対象点Ptv1とともに一次グループCL1を形成し、
− 第2の与えられた特性c2に基づいて、一次グループCL1が同質的であるか否かを検証し、また
− 与えられたサイクル数Ncyにわたって、自動車Vに相対的に、単一の観測対象物体に対応して構成されていると判断されるグループの位置POSを計算する。
【0117】
本発明の非限定的な一実施形態において、検出装置DISPは、さらに、自動車Vに相対的に、自動車Vの周囲環境内の複数の観測対象物体Oを検出し、それによって、それらの観測対象物体Oを表わす複数の観測対象点Pt、およびそれらのそれぞれの位置POS_Ptがもたらされる検出器を備えている。非限定的な一例においては、この検出器はレーダーRADである。本発明の非限定的な一実施形態においては、このレーダーRADは、次の特徴を有する。
− 24GHzの法定周波数で動作し、したがって、40msのサイクルタイムを有する。
− 0.75〜60メートルの検出範囲を有する。
− 100までの観測対象点を検出することができる。
− 150°の開口角を有する。
【0118】
当然のことながら、これらの特徴は、本発明を限定するものではない。例えば77GHzの法定周波数などの、別の周波数を用いることもできる。
【0119】
上述の検出方法は、マイクロプログラムされたデバイス「ソフトウェア」、ワイヤードロジック、および/または電子部品「ハードウェア」によって遂行することができることに注意されたい。
【0120】
したがって、検出装置DISPは、マイクロプロセッサ、または、マイクロコントローラ、ASIC、コンピュータなどの処理ユニットのような情報処理ユニットによって実行することができる、上述の方法を遂行する1つ以上の命令列を有するコンピュータプログラム製品PGを備えていてもよい。
【0121】
そのようなコンピュータプログラム製品PGは、ROMタイプの不揮発性の読み出し専用のメモリ、または、EEPROMまたはFLASHタイプの不揮発性の書き換え可能なメモリに書き込まれていてもよい。このコンピュータプログラム製品PGは、製作者によってメモリに書き込まれていてもよいし、メモリにロードされてもよいし、またはメモリにダウンロードされてもよい。命令列は、機械語列であってもよいし、または実行時に処理ユニットによって機械語列に翻訳処理されるコマンド言語列であってもよい。
【0122】
図12の非限定的な例においては、コンピュータプログラム製品PGは、検出装置DISPの制御ユニットUCのメモリに書き込まれている。
【0123】
当然のことながら、本発明は、上述の実施形態および例に限定されるものではない。
【0124】
以上より、本発明の利点には、次のものが含まれる。
− 小さすぎる、観測対象点のグループを除外することによって、ノイズを除去する。
− 与えられたサイクル数にわたって、観測対象点を捕捉し続けることによって、観測対象点を見失わないようにする。
− 可能な限り同質的であり、したがって、同じ実在の観測対象物体に属するであろう観測対象点を、1つのグループにまとめる。
− パワーに基づいて、観測対象物体同士を互いに区別する。
− 相異なる速度を有して、空間的に互いに近接している2つの観測対象物体、特に、可動観測対象物体と固定観測対象物体を区別する。
− カルマンフィルタを用いて、時間の経過とともに観測対象物体の位置の計算を安定させる。
− 自動的なレーダー検出機能を用いている既存のモジュールに容易に組み込み可能である。
− 各ステップの処理は単純、高速、かつ経済的であるから、単純、高速、かつ経済的に遂行しうる。
【符号の説明】
【0125】
C 貨物自動車
CL1、CL1’、CL12’、CL12’’、CL12’’’ 一次グループ
CL2’、CL2’’ 二次グループ
CPtv1〜CPtv4 近接円
d1 距離閾値
DISP 検出装置
DR 直線
EA 前方環境
ECT 標準偏差
LP 街灯
P 道路標識
PG コンピュータプログラム製品
Pt1、Pt2、Pt3、Pt4、Pt5、Pt6 観測対象点
RAD レーダー
Ref1、Ref2 基準観測対象点
t 時刻
UC 制御ユニット
V 自動車
V1 第1の乗用車
V2 第2の乗用車
X 横方向位置
Y 縦方向位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 与えられたサイクル数(Ncy)にわたって、自動車(V)の移動量に基づいて、自動車に相対的な、少なくとも1つの観測対象点(Pt)の位置(POS_Pt)を補正するステップと、
− 少なくとも1つの観測対象点(Pt1)から開始して、第1の与えられた特性(c1)を満たす、隣接する観測対象点(Ptv1)とともに一次グループ(CL1)を形成するステップと、
− 第2の与えられた特性(c2)に基づいて、前記一次グループ(CL1)が同質的であるか否かを検証するステップと、
− 与えられたサイクル数(Ncy)にわたって、前記自動車に相対的に、単一の観測対象物体(O)に対応して構成されていると判断されるグループの位置(POS)を計算するステップ
とを含むことを特徴とする、自動車(V)において観測対象物体(O)を検出する検出方法。
【請求項2】
前記自動車と相対的に、前記自動車の周囲環境内の複数の観測対象物体を検出し、それによって、該観測対象物体を表わす複数の観測対象点と、それらのそれぞれの位置とがもたらされる、さらなるステップを含んでいる、請求項1に記載の検出方法。
【請求項3】
一次グループ(CL1)を形成する前記ステップは、前記隣接する観測対象点(Ptv1)に、前記第1の与えられた特性(c1)を連続的に適用するサブステップを含んでいる、請求項1または2に記載の検出方法。
【請求項4】
第1の与えられた数(nb1)未満の数の観測対象点しか有していない全ての一次グループ(CL1)を除外する、さらなるステップを含んでいる、請求項1〜3のいずれか1つに記載の検出方法。
【請求項5】
前記第2の与えられた特性(c2)はパワー(P)である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の検出方法。
【請求項6】
前記第2の与えられた特性(c2)は速度(Vit)である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の検出方法。
【請求項7】
前記一次グループ(CL1)が非同質的である場合に、前記一次グループ(CL1)の観測対象点を、2つの基準観測対象点(Ref1、Ref2)の周辺で再グループ化し、2つの二次グループ(CL2)を、前記2つの二次グループ(CL2)の慣性が最小になるように形成する、さらなるステップを含んでいる、請求項1〜6のいずれか1つに記載の検出方法。
【請求項8】
前記二次グループ(CL2)への再グループ化を、区分け指標を用いて遂行する、請求項7に記載の検出方法。
【請求項9】
前記二次グループ(CL2)の少なくとも1つの観測対象点(Pt2)から開始して、前記第1の与えられた特性(c1)を満たす、隣接する観測対象点(Ptv2)とともに一次グループ(CL1)を形成する、さらなるステップを含んでいる、請求項7または8に記載の検出方法。
【請求項10】
前記第1の与えられた特性(c1)は、前記少なくとも1つの観測対象点(Pt1)、または前記二次グループ(CL2)の少なくとも1つの観測対象点(Pt2)と、前記隣接する観測対象点(Ptv1、Ptv2)との間の、距離閾値(d1)未満の距離である、請求項1〜9のいずれか1つに記載の検出方法。
【請求項11】
前記単一の観測対象物体に対応して構成されていると判断されるグループの位置を、横方向および縦方向に計算する、請求項1〜10のいずれか1つに記載の検出方法。
【請求項12】
前記単一の観測対象物体に対応して構成されていると判断されるグループの2つの連続する位置にカルマンフィルタを適用する、さらなるステップを含んでいる、請求項1〜11のいずれか1つに記載の検出方法。
【請求項13】
− 与えられたサイクル数(Ncy)にわたって、自動車(V)の移動量に基づいて、該自動車に相対的な、少なくとも1つの観測対象点(Pt)の位置(POS_Pt)を補正し、
− 少なくとも1つの観測対象点(Pt1)から開始して、第1の与えられた特性(c1)を満たす、隣接する観測対象点(Ptv1)とともに一次グループ(CL1)を形成し、
− 第2の与えられた特性(c2)に基づいて、前記一次グループ(CL1)が同質的であるか否かを検証し、また、
− 与えられたサイクル数(Ncy)にわたって、前記自動車に相対的に、単一の観測対象物体(O)に対応して構成されていると判断されるグループの位置(POS)を計算するための制御ユニット(UC)を備えていることを特徴とする、自動車(V)において観測対象物体(O)を検出するための検出装置。
【請求項14】
前記自動車(V)に相対的に、前記自動車(V)の周囲環境内の複数の観測対象物体(O)を検出し、それによって、該観測対象物体(O)を表わす複数の観測対象点(Pt)と、それらのそれぞれの位置(POS_Pt)とがもたらされる検出器(RAD)を、さらに備えている、請求項13に記載の検出装置。
【請求項15】
情報処理ユニットによって実行可能な1つ以上の命令列を有するコンピュータプログラム製品(PG)であって、該命令列を実行することによって、請求項1〜12のいずれか1つに記載の検出方法が遂行されるコンピュータプログラム製品(PG)。
【請求項1】
− 与えられたサイクル数(Ncy)にわたって、自動車(V)の移動量に基づいて、自動車に相対的な、少なくとも1つの観測対象点(Pt)の位置(POS_Pt)を補正するステップと、
− 少なくとも1つの観測対象点(Pt1)から開始して、第1の与えられた特性(c1)を満たす、隣接する観測対象点(Ptv1)とともに一次グループ(CL1)を形成するステップと、
− 第2の与えられた特性(c2)に基づいて、前記一次グループ(CL1)が同質的であるか否かを検証するステップと、
− 与えられたサイクル数(Ncy)にわたって、前記自動車に相対的に、単一の観測対象物体(O)に対応して構成されていると判断されるグループの位置(POS)を計算するステップ
とを含むことを特徴とする、自動車(V)において観測対象物体(O)を検出する検出方法。
【請求項2】
前記自動車と相対的に、前記自動車の周囲環境内の複数の観測対象物体を検出し、それによって、該観測対象物体を表わす複数の観測対象点と、それらのそれぞれの位置とがもたらされる、さらなるステップを含んでいる、請求項1に記載の検出方法。
【請求項3】
一次グループ(CL1)を形成する前記ステップは、前記隣接する観測対象点(Ptv1)に、前記第1の与えられた特性(c1)を連続的に適用するサブステップを含んでいる、請求項1または2に記載の検出方法。
【請求項4】
第1の与えられた数(nb1)未満の数の観測対象点しか有していない全ての一次グループ(CL1)を除外する、さらなるステップを含んでいる、請求項1〜3のいずれか1つに記載の検出方法。
【請求項5】
前記第2の与えられた特性(c2)はパワー(P)である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の検出方法。
【請求項6】
前記第2の与えられた特性(c2)は速度(Vit)である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の検出方法。
【請求項7】
前記一次グループ(CL1)が非同質的である場合に、前記一次グループ(CL1)の観測対象点を、2つの基準観測対象点(Ref1、Ref2)の周辺で再グループ化し、2つの二次グループ(CL2)を、前記2つの二次グループ(CL2)の慣性が最小になるように形成する、さらなるステップを含んでいる、請求項1〜6のいずれか1つに記載の検出方法。
【請求項8】
前記二次グループ(CL2)への再グループ化を、区分け指標を用いて遂行する、請求項7に記載の検出方法。
【請求項9】
前記二次グループ(CL2)の少なくとも1つの観測対象点(Pt2)から開始して、前記第1の与えられた特性(c1)を満たす、隣接する観測対象点(Ptv2)とともに一次グループ(CL1)を形成する、さらなるステップを含んでいる、請求項7または8に記載の検出方法。
【請求項10】
前記第1の与えられた特性(c1)は、前記少なくとも1つの観測対象点(Pt1)、または前記二次グループ(CL2)の少なくとも1つの観測対象点(Pt2)と、前記隣接する観測対象点(Ptv1、Ptv2)との間の、距離閾値(d1)未満の距離である、請求項1〜9のいずれか1つに記載の検出方法。
【請求項11】
前記単一の観測対象物体に対応して構成されていると判断されるグループの位置を、横方向および縦方向に計算する、請求項1〜10のいずれか1つに記載の検出方法。
【請求項12】
前記単一の観測対象物体に対応して構成されていると判断されるグループの2つの連続する位置にカルマンフィルタを適用する、さらなるステップを含んでいる、請求項1〜11のいずれか1つに記載の検出方法。
【請求項13】
− 与えられたサイクル数(Ncy)にわたって、自動車(V)の移動量に基づいて、該自動車に相対的な、少なくとも1つの観測対象点(Pt)の位置(POS_Pt)を補正し、
− 少なくとも1つの観測対象点(Pt1)から開始して、第1の与えられた特性(c1)を満たす、隣接する観測対象点(Ptv1)とともに一次グループ(CL1)を形成し、
− 第2の与えられた特性(c2)に基づいて、前記一次グループ(CL1)が同質的であるか否かを検証し、また、
− 与えられたサイクル数(Ncy)にわたって、前記自動車に相対的に、単一の観測対象物体(O)に対応して構成されていると判断されるグループの位置(POS)を計算するための制御ユニット(UC)を備えていることを特徴とする、自動車(V)において観測対象物体(O)を検出するための検出装置。
【請求項14】
前記自動車(V)に相対的に、前記自動車(V)の周囲環境内の複数の観測対象物体(O)を検出し、それによって、該観測対象物体(O)を表わす複数の観測対象点(Pt)と、それらのそれぞれの位置(POS_Pt)とがもたらされる検出器(RAD)を、さらに備えている、請求項13に記載の検出装置。
【請求項15】
情報処理ユニットによって実行可能な1つ以上の命令列を有するコンピュータプログラム製品(PG)であって、該命令列を実行することによって、請求項1〜12のいずれか1つに記載の検出方法が遂行されるコンピュータプログラム製品(PG)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−145406(P2010−145406A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−286800(P2009−286800)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(391011607)ヴァレオ ビジョン (133)
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286800(P2009−286800)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(391011607)ヴァレオ ビジョン (133)
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
【Fターム(参考)】
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