説明

自動車ボディの製造方法とその製造ライン

【課題】 構成部品の組付順序が異なる自動車ボディを同一のラインで混流生産するための自動車ボディの製造ラインを提供する。
【解決手段】 サイドパネルインナ1L,1Rとサイドパネルアウタ3L,3Rを接合してサイドパネルコンプ5L,5Rを形成した後に、このサイドパネルコンプ5L,5Rをフロアパネル7に組み付けて形成される通常骨格自動車ボディ11と、サイドパネルインナ1L,1Rをフロアパネル7に組み付けてインナフレームボディ8を形成した後に、このインナフレームボディ8にサイドパネルアウタ3L,3Rを組み付けて形成されるインナ骨格自動車ボディ15を混流させて製造するラインであって、この製造ラインには、サイドパネルインナ組立ステーション2と、サイドパネルアウタ組立ステーション4と、サイドパネル組立ステーション6と、インナ骨格組立ステーション9と、兼用組立ステーション10を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアパネルにサイドパネルなどを組み付けて自動車ボディを組み立てる自動車ボディの製造方法とその製造ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
車体の組立方法として、フロアアッセンブリを組み立てた後、バックピラーインナアッセンブリを、フロアアッセンブリの後端部のリヤクロスメンバの両端部に結合し、次にこれらバックピラーインナアッセンブリとフロアアッセンブリの左右両側にそれぞれボディサイドアッセンブリを結合して、左右のボディサイドアッセンブリの上端部に跨って車幅方向骨格部材としてのフロントルーフレールやルーフボウを結合し、それらの上側にルーフパネルを結合する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−62886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1においては、自動車ボディの各部をアッセンブリ化した後に組み立てる通常の組立方法ではなく、バックピラーインナアッセンブリとフロアアッセンブリの左右両側にそれぞれボディサイドアッセンブリを結合していく自動車ボディの組立方法については記載されているが、どのような製造ラインの構成でどのように構成部品を組み立てるかについては記載されていない。
また、構成部品の組付順序が異なる自動車ボディを同一のラインで混流生産するためのライン構成については開示されていない。
【0005】
本発明は、従来の技術が有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、構成部品の組付順序が異なる自動車ボディを同一のラインで混流生産するための自動車ボディの製造方法とその製造ラインを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく請求項1に係る発明は、サイドパネルインナとサイドパネルアウタを接合してサイドパネルコンプを形成した後に、このサイドパネルコンプをフロアパネルに組み付けて形成される通常骨格自動車ボディと、サイドパネルインナをフロアパネルに組み付けてインナフレームボディを形成した後に、このインナフレームボディにサイドパネルアウタを組み付けて形成されるインナ骨格自動車ボディを同じラインで製造する方法であって、前記ラインは、サイドパネルインナを組み立てるサイドパネルインナ組立ステーションと、サイドパネルアウタを組み立てるサイドパネルアウタ組立ステーションと、前記サイドパネルインナ組立ステーションで組み立てたサイドパネルインナと前記サイドパネルアウタ組立ステーションで組み立てたサイドパネルアウタを接合するサイドパネル組立ステーションと、前記サイドパネルインナ組立ステーションで組み立てたサイドパネルインナをフロアパネルに組み付けるインナ骨格組立ステーションと、このインナ骨格組立ステーションで組み立てたインナフレームボディに前記サイドパネルアウタ組立ステーションで組み立てたサイドパネルアウタを組み付けたり、前記サイドパネル組立ステーションで組み立てたサイドパネルコンプをフロアパネルに組み付ける兼用組立ステーションを備え、前記通常骨格自動車ボディを組み立てる場合にはフロアパネルを前記インナ骨格組立ステーションの外部搬送路を通過させた後に前記兼用組立ステーションでフロアパネルにサイドパネルコンプを組み付け、前記インナ骨格自動車ボディを組み立てる場合にはサイドパネルアウタを前記サイドパネル組立ステーションの外部搬送路を通過させた後に前記兼用組立ステーションでサイドパネルアウタをインナフレームボディに組み付けるようにした。
【0007】
請求項2に係る発明は、サイドパネルインナとサイドパネルアウタを接合してサイドパネルコンプを形成した後に、このサイドパネルコンプをフロアパネルに組み付けて形成される通常骨格自動車ボディと、サイドパネルインナをフロアパネルに組み付けてインナフレームボディを形成した後に、このインナフレームボディにサイドパネルアウタを組み付けて形成されるインナ骨格自動車ボディを混流させて製造するラインであって、この製造ラインは、サイドパネルインナを組み立てるサイドパネルインナ組立ステーションと、サイドパネルアウタを組み立てるサイドパネルアウタ組立ステーションと、前記サイドパネルインナ組立ステーションで組み立てたサイドパネルインナと前記サイドパネルアウタ組立ステーションで組み立てたサイドパネルアウタを接合するサイドパネル組立ステーションと、前記サイドパネルインナ組立ステーションで組み立てたサイドパネルインナをフロアパネルに組み付けるインナ骨格組立ステーションと、このインナ骨格組立ステーションで組み立てたインナフレームボディに前記サイドパネルアウタ組立ステーションで組み立てたサイドパネルアウタを組み付けたり、前記サイドパネル組立ステーションで組み立てたサイドパネルコンプをフロアパネルに組み付ける兼用組立ステーションを備え、前記サイドパネル組立ステーションの外部にサイドパネルアウタの搬送路を設け、前記インナ骨格組立ステーションの外部にフロアパネルの搬送路を設けた。
【0008】
また、前記サイドパネルアウタの搬送路は前記サイドパネル組立ステーションの上方またはサイドに並設することもできるし、前記フロアパネルの搬送路は前記インナ骨格組立ステーションの上方またはサイドに並設することもできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、インナ骨格自動車ボディ用の製造ラインと通常骨格自動車ボディ用の製造ラインを別個独立に設置するよりも省スペース及びコスト低減が図れる。
【0010】
また、インナ骨格自動車ボディ用のインナ骨格組立ステーションを設けることにより、インナフレームボディ組立時に設備にトラブルが発生した場合でも通常骨格自動車ボディの製造には影響を与えず、且つ通常骨格自動車ボディの製造時にインナ骨格組立ステーションの保全作業などを実施することができ、生産性や保全性の向上に寄与することができる。
【0011】
また、インナ骨格自動車ボディを形成する際にインナフレームボディにサイドパネルアウタを組み付けたり、通常骨格自動車ボディを形成する際にフロアパネルにサイドパネルコンプを組み付けたりする兼用組立ステーションを設けたことにより、省スペース及びコスト低減が図れる。
【0012】
更に、インナ骨格自動車ボディ用のサイドパネルアウタの搬送路をサイドパネル組立ステーションの上方またはサイドに、また通常骨格自動車ボディ用のフロアパネルの搬送路をインナ骨格組立ステーションの上方またはサイドに並設すれば、省スペースが図れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る自動車ボディの製造ラインの概要説明図
【図2】通常骨格自動車ボディの概略構造の説明図
【図3】インナ骨格自動車ボディの概略構造の説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。本発明に係る自動車ボディの製造ラインは、図1に示すように、左右のサイドパネルインナ1L,1Rを組み立てるサイドパネルインナ組立ステーション2と、左右のサイドパネルアウタ3L,3Rを組み立てるサイドパネルアウタ組立ステーション4と、サイドパネルインナ組立ステーション2で組み立てた左右のサイドパネルインナ1L,1Rとサイドパネルアウタ組立ステーション4で組み立てた左右のサイドパネルアウタ3L,3Rを接合して左右のサイドパネルコンプ5L,5Rを組み立てるサイドパネル組立ステーション6と、サイドパネルインナ組立ステーション2で組み立てた左右のサイドパネルインナ1L,1Rをフロアパネル7に組み付けてインナフレームボディ8を形成するインナ骨格組立ステーション9と、このインナ骨格組立ステーション9で組み立てたインナフレームボディ8にサイドパネルアウタ組立ステーション4で組み立てた左右のサイドパネルアウタ3L,3Rを組み付けたり、サイドパネル組立ステーション6で組み立てた左右のサイドパネルコンプ5L,5Rをフロアパネル7に組み付けたりする兼用組立ステーション10からなる。なお、図1で実線は加工ライン、短破線は搬送ラインを表わす。
【0015】
本発明に係る自動車ボディの製造ラインでは、構成部品の組付順序が異なる通常骨格自動車ボディとインナ骨格自動車ボディが混流して製造される。
通常骨格自動車ボディ11は、図2に示すように、左右のサイドパネルインナ1L,1Rと左右のサイドパネルアウタ3L,3Rを接合した左右のサイドパネルコンプ5L,5Rをフロアパネル7に組み付け、次いで左右のサイドパネルコンプ5L,5Rにルーフアーチ12を組み付けた後に、ルーフアーチ12などにルーフ13を接合して完成する。
【0016】
インナ骨格自動車ボディ15は、図3に示すように、左右のサイドパネルインナ1L,1Rをフロアパネル7に組み付け、次いで左右のサイドパネルインナ1L,1Rにルーフアーチ12を組み付けた後に、左右のサイドパネルアウタ3L,3Rを左右のサイドパネルインナ1L,1Rに接合し、次いでルーフアーチ12などにルーフ13を接合して完成する。
【0017】
サイドパネルインナ組立ステーション2では、左右のサイドパネルインナ1L,1Rの構成部品が投入されて治具にセットされると、産業用ロボットや作業者などによるスポット溶接などが施され左右のサイドパネルインナ1L,1Rが組み立てられる。組み立てられた左右のサイドパネルインナ1L,1Rは、昇降装置16により持ち上げられた後に、サイドパネル組立ステーション6またはインナ骨格組立ステーション9に搬送される。
【0018】
サイドパネルアウタ組立ステーション4では、左右のサイドパネルアウタ3L,3Rの構成部品が投入されて治具にセットされると、産業用ロボットや作業者などによるスポット溶接などが施され左右のサイドパネルアウタ3L,3Rが組み立てられる。組み立てられた左右のサイドパネルアウタ3L,3Rは、昇降装置17により持ち上げられた後に、サイドパネル組立ステーション6または兼用組立ステーション10に搬送される。
【0019】
サイドパネル組立ステーション6では、サイドパネルインナ組立ステーション2で組み立てられ搬送されてきた左右のサイドパネルインナ1L,1Rが昇降装置18により降ろされて治具にセットされる。また、サイドパネルアウタ組立ステーション4で組み立てられ搬送されてきた左右のサイドパネルアウタ3L,3Rも昇降装置19により降ろされて治具にセットされる。
【0020】
すると、左右のサイドパネルインナ1L,1Rと左右のサイドパネルアウタ3L,3Rが産業用ロボットや作業者などによるスポット溶接などで接合され、左右のサイドパネルコンプ5L,5Rが形成される。そして、左右のサイドパネルコンプ5L,5Rは、昇降装置20により持ち上げられた後に、兼用組立ステーション10に搬送される。
【0021】
サイドパネル組立ステーション6の上方には、左右のサイドパネルアウタ3L,3Rがインナ骨格自動車ボディ15を製造する場合には不要となるサイドパネル組立ステーション6をバイパスするための搬送路21が設けてある。搬送路21は、サイドパネル組立ステーション6のサイドに設けることもできる。
【0022】
インナ骨格組立ステーション9では、投入されるフロアパネル7が昇降装置22により降ろされて治具にセットされると共に、サイドパネルインナ組立ステーション2で組み立てられ搬送されてきた左右のサイドパネルインナ1L,1Rも昇降装置23により降ろされて治具にセットされる。
【0023】
すると、フロアパネル7に左右のサイドパネルインナ1L,1Rが産業用ロボットや作業者などによるスポット溶接などで組み付けられ、インナフレームボディ8が形成される。ルーフアーチ12もインナ骨格組立ステーション9の治具にセットされ、左右のサイドパネルインナ1L,1Rにスポット溶接などで接合される。そして、インナフレームボディ8は、昇降装置24により持ち上げられた後に、兼用組立ステーション10に搬送される。
【0024】
インナ骨格組立ステーション9の上方には、フロアパネル7が通常骨格自動車ボディ11を製造する場合には不要であるインナ骨格組立ステーション9をバイパスするための搬送路25が設けてある。搬送路25は、インナ骨格組立ステーション9のサイドに設けることもできる。
【0025】
兼用組立ステーション10では、通常骨格自動車ボディ11またはインナ骨格自動車ボディ15が形成される。
通常骨格自動車ボディ11を形成する場合には、インナ骨格組立ステーション9をバイパスするために搬送路25を通って搬送されてきたフロアパネル7が昇降装置26により降ろされて治具にセットされると共に、サイドパネル組立ステーション6で組み立てられ搬送されてきた左右のサイドパネルコンプ5L,5Rも昇降装置27により降ろされて治具にセットされる。
【0026】
すると、フロアパネル7に左右のサイドパネルコンプ5L,5Rが産業用ロボットや作業者などによるスポット溶接などで組み付けられる。ルーフアーチ12も兼用組立ステーション10の治具にセットされサイドパネルコンプ5L,5Rにスポット溶接などで接合される。
【0027】
更に、ルーフ13が投入されて治具(不図示)にセットされ、左右のサイドパネルコンプ5L,5Rとルーフアーチ12にスポット溶接などで組み付けられて通常骨格自動車ボディ11が形成される。なお、ルーフ13は兼用組立ステーション10の下流にあるルーフ後のせステーション28で組み付けてもよい。
【0028】
インナ骨格自動車ボディ15を形成する場合には、インナ骨格組立ステーション9で組み立てられ搬送されてきたインナフレームボディ8が昇降装置29により降ろされ治具にセットされる。また、サイドパネルアウタ組立ステーション4で組み立てられ、サイドパネル組立ステーション6をバイパスするために搬送路21を通って搬送されてきた左右のサイドパネルアウタ3L,3Rも昇降装置30により降ろされ治具にセットされる。
【0029】
すると、インナフレームボディ8に左右のサイドパネルアウタ3L,3Rが産業用ロボットや作業者などによるスポット溶接などで組み付けられる。更に、ルーフ13が兼用組立ステーション10の下流にあるルーフ後のせステーション28でインナフレームボディ8やルーフアーチ12などにスポット溶接などで組み付けられ、インナ骨格自動車ボディ15が形成される。
【0030】
以上のように構成された本発明に係る自動車ボディの製造ラインの動作及び自動車ボディの製造ラインによる製造方法について説明する。
通常骨格自動車ボディ11を製造する場合には、サイドパネルインナ組立ステーション2で左右のサイドパネルインナ1L,1Rを組み立て、昇降装置16により持ち上げた後に、サイドパネル組立ステーション6に搬送する。また、サイドパネルアウタ組立ステーション4で左右のサイドパネルアウタ3L,3Rを組み立て、昇降装置17により持ち上げた後に、サイドパネル組立ステーション6に搬送する。
【0031】
サイドパネル組立ステーション6では、サイドパネルインナ組立ステーション2で組み立てられ搬送されてきた左右のサイドパネルインナ1L,1Rを昇降装置18により降ろして治具にセットする。また、サイドパネルアウタ組立ステーション4で組み立てられ搬送されてきた左右のサイドパネルアウタ3L,3Rも昇降装置19により降ろして治具にセットする。
【0032】
次いで、左右のサイドパネルインナ1L,1Rと左右のサイドパネルアウタ3L,3Rはスポット溶接などで接合され、左右のサイドパネルコンプ5L,5Rを形成する。そして、左右のサイドパネルコンプ5L,5Rは、昇降装置20により持ち上げられた後に、兼用組立ステーション10に搬送される。
【0033】
次いで、兼用組立ステーション10では、インナ骨格組立ステーション9をバイパスするために搬送路25を通って搬送されてきたフロアパネル7を昇降装置26により降ろして治具にセットすると共に、サイドパネル組立ステーション6で組み立てられ搬送されてきた左右のサイドパネルコンプ5L,5Rも昇降装置27により降ろして治具にセットする。
【0034】
次いで、フロアパネル7に左右のサイドパネルコンプ5L,5Rをスポット溶接などで組み付ける。ルーフアーチ12も兼用組立ステーション10の治具にセットしサイドパネルコンプ5L,5Rにスポット溶接などで接合する。更に、ルーフ13を治具にセットし、左右のサイドパネルコンプ5L,5Rとルーフアーチ12にスポット溶接などで組み付け、通常骨格自動車ボディ11は完成する。
【0035】
インナ骨格自動車ボディ15を製造する場合には、サイドパネルインナ組立ステーション2で左右のサイドパネルインナ1L,1Rを組み立て、昇降装置16により持ち上げた後に、インナ骨格組立ステーション9に搬送する。また、サイドパネルアウタ組立ステーション4で左右のサイドパネルアウタ3L,3Rを組み立て、昇降装置17により持ち上げた後に、サイドパネル組立ステーション6をバイパスするために搬送路21を通って兼用組立ステーション10に搬送する。
【0036】
次いで、インナ骨格組立ステーション9では、投入されるフロアパネル7を昇降装置22により降ろして治具にセットすると共に、サイドパネルインナ組立ステーション2で組み立てられ搬送されてきた左右のサイドパネルインナ1L,1Rも昇降装置23により降ろして治具にセットする。
【0037】
次いで、フロアパネル7に左右のサイドパネルインナ1L,1Rをスポット溶接などで組み付け、インナフレームボディ8を形成する。ルーフアーチ12もインナ骨格組立ステーション9の治具にセットし、左右のサイドパネルインナ1L,1Rにスポット溶接などで接合する。そして、インナフレームボディ8は、昇降装置24により持ち上げられた後に、兼用組立ステーション10に搬送される。
【0038】
次いで、兼用組立ステーション10では、インナ骨格組立ステーション9で組み立てられ搬送されてきたインナフレームボディ8を昇降装置29により降ろし治具にセットする。また、サイドパネルアウタ組立ステーション4で組み立てられ、サイドパネル組立ステーション6をバイパスするために搬送路21を通って搬送されてきた左右のサイドパネルアウタ3L,3Rも昇降装置30により降ろし治具にセットする。
【0039】
次いで、インナフレームボディ8に左右のサイドパネルアウタ3L,3Rがスポット溶接などで組み付けられる。更に、ルーフ13を兼用組立ステーション10の下流にあるルーフ後のせステーション28でインナフレームボディ8やルーフアーチ12などにスポット溶接などで組み付け、インナ骨格自動車ボディ15は完成する。
【0040】
このように、構成部品の組付順序が異なる通常骨格自動車ボディ11とインナ骨格自動車ボディ15を同一ラインで混流させて製造する場合に、インナ骨格自動車ボディ15を形成するためのインナ骨格組立ステーション9を設けたことにより、生産性や保全性が向上する。即ち、通常骨格自動車ボディ11とインナ骨格自動車ボディ15を全て同一の組立ステーションで組み立てようとすると、組付順序やスポット溶接の打点位置の違いなどから、溶接ロボットの動きなどの効率が低下し、ラインタクトも長くなってしまうからである。
【0041】
また、インナ骨格自動車ボディ15を形成する際にインナフレームボディ8に左右のサイドパネルアウタ3L,3Rを組み付ける組立ステーションと、通常骨格自動車ボディ11を形成する際にフロアパネル7に左右のサイドパネルコンプ5L,5Rを組み付ける組立ステーションを兼用組立ステーション10としたことにより、省スペース及びコスト低減が図れる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によれば、構成部品の組付順序が異なるインナ骨格自動車ボディと通常骨格自動車ボディを同一のラインで製造することができるので、各製造ラインを別個独立に設置するよりも省スペース及びコスト低減が図れる自動車ボディの製造ラインを提供することができ、またインナ骨格自動車ボディのためのインナ骨格組立ステーションを設けることにより生産性と保全性の向上が図れる自動車ボディの製造ラインを提供することができる。
【符号の説明】
【0043】
1L…左のサイドパネルインナ、1R…右のサイドパネルインナ、2…サイドパネルインナ組立ステーション、3L…左のサイドパネルアウタ、3R…右のサイドパネルアウタ、4…サイドパネルアウタ組立ステーション、5L…左のサイドパネルコンプ、5R…右のサイドパネルコンプ、6…サイドパネル組立ステーション、7…フロアパネル、8…インナフレームボディ、9…インナ骨格組立ステーション、10…兼用組立ステーション、11…通常骨格自動車ボディ、12…ルーフアーチ、13…ルーフ、15…インナ骨格自動車ボディ、16,17,18,19,20,22,23,24,26,27,29,30…昇降装置、21,25…搬送路、28…ルーフ後載せステーション。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドパネルインナとサイドパネルアウタを接合してサイドパネルコンプを形成した後に、このサイドパネルコンプをフロアパネルに組み付けて形成される通常骨格自動車ボディと、サイドパネルインナをフロアパネルに組み付けてインナフレームボディを形成した後に、このインナフレームボディにサイドパネルアウタを組み付けて形成されるインナ骨格自動車ボディを同じラインで製造する方法であって、前記ラインは、サイドパネルインナを組み立てるサイドパネルインナ組立ステーションと、サイドパネルアウタを組み立てるサイドパネルアウタ組立ステーションと、前記サイドパネルインナ組立ステーションで組み立てたサイドパネルインナと前記サイドパネルアウタ組立ステーションで組み立てたサイドパネルアウタを接合するサイドパネル組立ステーションと、前記サイドパネルインナ組立ステーションで組み立てたサイドパネルインナをフロアパネルに組み付けるインナ骨格組立ステーションと、このインナ骨格組立ステーションで組み立てたインナフレームボディに前記サイドパネルアウタ組立ステーションで組み立てたサイドパネルアウタを組み付けたり、前記サイドパネル組立ステーションで組み立てたサイドパネルコンプをフロアパネルに組み付ける兼用組立ステーションを備え、前記通常骨格自動車ボディを組み立てる場合にはフロアパネルを前記インナ骨格組立ステーションの外部搬送路を通過させた後に前記兼用組立ステーションでフロアパネルにサイドパネルコンプを組み付け、前記インナ骨格自動車ボディを組み立てる場合にはサイドパネルアウタを前記サイドパネル組立ステーションの外部搬送路を通過させた後に前記兼用組立ステーションでサイドパネルアウタをインナフレームボディに組み付けることを特徴とする自動車ボディの製造方法。
【請求項2】
サイドパネルインナとサイドパネルアウタを接合してサイドパネルコンプを形成した後に、このサイドパネルコンプをフロアパネルに組み付けて形成される通常骨格自動車ボディと、サイドパネルインナをフロアパネルに組み付けてインナフレームボディを形成した後に、このインナフレームボディにサイドパネルアウタを組み付けて形成されるインナ骨格自動車ボディを混流させて製造するラインであって、この製造ラインは、サイドパネルインナを組み立てるサイドパネルインナ組立ステーションと、サイドパネルアウタを組み立てるサイドパネルアウタ組立ステーションと、前記サイドパネルインナ組立ステーションで組み立てたサイドパネルインナと前記サイドパネルアウタ組立ステーションで組み立てたサイドパネルアウタを接合するサイドパネル組立ステーションと、前記サイドパネルインナ組立ステーションで組み立てたサイドパネルインナをフロアパネルに組み付けるインナ骨格組立ステーションと、このインナ骨格組立ステーションで組み立てたインナフレームボディに前記サイドパネルアウタ組立ステーションで組み立てたサイドパネルアウタを組み付けたり、前記サイドパネル組立ステーションで組み立てたサイドパネルコンプをフロアパネルに組み付ける兼用組立ステーションを備え、前記サイドパネル組立ステーションの外部にサイドパネルアウタの搬送路を設け、前記インナ骨格組立ステーションの外部にフロアパネルの搬送路を設けたことを特徴とする自動車ボディの製造ライン。
【請求項3】
請求項2記載の自動車ボディの製造ラインにおいて、前記サイドパネルアウタの搬送路は前記サイドパネル組立ステーションの上方またはサイドに並設し、前記フロアパネルの搬送路は前記インナ骨格組立ステーションの上方またはサイドに並設することを特徴とする自動車ボディの製造ライン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−16451(P2011−16451A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162674(P2009−162674)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】