説明

自動車内装材用ポリエステルフィルム

【課題】 ガラス繊維マットを用いることなく、充分な剛性と耐熱性を有し、軽量で高度の深絞り成形加工性を有する、自動車内装材を提供する。
【解決手段】 融点が220〜270℃であり、かつ面配向係数が0.11〜0.16であることを特徴とする自動車内装材用ポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車内装材、特に自動車の車体の屋根の室内側を覆う成形天井の構成部材に用いるポリエステルフィルムに関し、詳しくは加工工程に金型による絞り加工を伴う自動車内装材、特に自動車の成形天井の構成部材に用いるポリエステルフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から自動車内装の成形天井の芯材として、熱硬化性樹脂と有機繊維とを混練して金型により熱圧成形したものが用いられてきた。例えば、熱成形用板状ウレタンフォームの面上にホットメルトフイルムを介在させてガラス繊維マットを貼着し、さらにガラス繊維マットの表面にホットメルトフイルムを介在させてポリエステル不織布または表装紙等を貼着してなる成形天井が用いられている。この場合、伸縮性のないガラス繊維マットを板状ウレタンフォームの両面に貼着することにより、剛性を保つと共に軽量化を実現し、湿熱環境での変形を防止している。
【0003】
自動車内装材、特に成形天井の構成部材は、耐熱性、断熱性、吸音性および形状安定性がよいこと、軽量で高剛性であること、リサイクルが可能で、不快な臭気や有害な燃焼ガスを発生しないことが望ましい。しかし、従来の技術で用いられてきたガラス繊維マットは、取扱い時に皮膚に刺すような刺激があり、作業性が悪く、さらに人体への悪影響が懸念され、またリサイクルができないので環境への負荷が高い。
【0004】
【特許文献1】特開平8−1877号公報
【特許文献2】特開平7−68689号公報
【特許文献3】特開2003−34192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ガラス繊維マットを用いることなく、充分な剛性と耐熱性を有し、軽量で高度の深絞り成形加工性を有する、自動車内装材用ポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、融点が220〜270℃であり、かつ面配向係数が0.11〜0.16である、自動車内装材用ポリエステルフィルムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ガラス繊維マットを用いることなく、充分な剛性と耐熱性を有し、軽量で高度の深絞り成形加工性を有する、自動車内装材用ポリエステルフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
[ポリエステル]
本発明の自動車内装材用ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムからなる。このポリエステルは、主鎖中の主要な結合であるモノマー残基とモノマー残基を結合する共有結合がエステル結合からなる高分子の総称である。ポリエステルは、ジカルボン酸化合物とジヒドロキシ化合物、もしくはジカルボン酸エステル化合物とジヒドロキシ化合物を重縮合反応させることによって得ることができる。
【0009】
ジカルボン酸化合物としては、例えば、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホテレフタル酸酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸を挙げることができる。
【0010】
また、ジカルボン酸エステル化合物としては上記ジカルボン酸化合物のエステル化物、例えばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2−ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルを挙げることができる。
【0011】
一方、ジヒロドキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を挙げることができる。
【0012】
これらの中でも、ジカルボン酸化合物としてはテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸もしくはこれらのジメチルエステル化合物を、ジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールを好ましく用いることができる。
【0013】
これらのポリエステルは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。2種類以上を混合して用いる場合は、あらかじめ別々に重合したポリエステルポリマーをチップの状態でブレンドして溶融してもよく、それぞれを別々の押出機にて溶融したものを合流させ、明らかな積層構成としてもよく、あるいはスタティックミキサーで混合して用いてもよい。
【0014】
これらのポリエステルからなるフィルムのうち、本発明では特に、融点が220〜270℃、好ましくは240〜270℃、さらに好ましくは246〜265℃のフィルムを用いる。融点が220℃未満では耐熱性に劣るため、成形加工時に金型への融着が発生する可能性があり、高度の深絞り成形加工性を必要とする本発明の自動車内装材用ポリエステルフィルムとしては不適である。融点が270℃を越えると生産性に劣る。
【0015】
本発明で用いるポリエステルフィルムの面配向係数は、0.11〜0.16、好ましくは0.11を超え0.16以下、さらに好ましくは0.13〜0.15、特に好ましくは0.14〜0.15である。面配向係数が0.11未満であるとフィルムの平面性が悪くなり局所的に成形性が悪化する場合があり、面配向係数が0.16を越えると深絞り成形性に劣る場合がある本発明の自動車内装材として不適である。
【0016】
ポリエステルフィルムの見掛け密度は、好ましくは1300〜1400kg/m、さらに好ましくは1320〜1395kg/m、特に好ましくは1340〜1390kg/mである。1300kg/m未満であるとフィルムの耐熱性に劣るため成形加工時に金型への融着が発生する可能性があり好ましくない。1400kg/mを超えるとフィルムの結晶性が高くなりすぎ成形加工性が低下して好ましくない。
【0017】
これらの融点および面配向計数、見掛け密度を満足するポリエステルフィルムは、例えば次に述べる共重合成分を合計15モル%以下、好ましくは10モル%以下の範囲で共重合したポリエチレンテレフタレートを、後述のように、延伸時の延伸温度、延伸倍率、延伸速度として特定の条件をとりながら延伸することで得ることができる。なお、共重合成分を共重合しないホモポリエチレンテレフタレートの融点は約270℃である。
【0018】
ポリエチレンテレフタレートの共重合成分としては、ジカルボン酸成分として例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸を用いることができ、ジオール成分として例えばネオペンチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールを用いることができる。
【0019】
ポリエステルフィルムの厚みは、経済性、生産性、成形加工性などの点から、好ましくは5〜188μm、さらに好ましくは25〜125μmである。
【0020】
ポリエステルフィルムは、内装材、特に天井材を構成する他の素材やラミネート材料との接着性の観点から、例えばコロナ放電処理を施してもよく、インラインコーティングやオフラインコーティングにより表面処理を施してもよい。
【0021】
[微粒子]
ポリエステルフィルムには、取り扱い性と加工性を向上させるために、微粒子を含有させることが好ましい。微粒子は、内部析出粒子、無機粒子、有機粒子のいずれであってもよい。フィルムの欠陥を生じさせずに良好な取り扱い性と加工性を得る観点から、微粒子の平均粒子径は好ましくは0.01〜5μmであり、含有量は好ましくは0.01〜1重量%である。
【0022】
無機微粒子としては、例えば、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミ、マイカ、カオリン、クレーを用いることができる。有機微粒子としては、例えば、スチレン、シリコーン、アクリル酸類、メタクリル酸類、ポリエステル、ジビニル化合物を構成成分とする粒子を用いることができる。なかでも、湿式および乾式シリカ、ケイ酸アルミ、アルミナ、スチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンの微粒子が好ましい。これらの内部析出粒子、無機粒子、有機粒子は二種以上を並存してもよい。
【0023】
[製造方法]
本発明の自動車の内装材用ポリエステルフィルムは、例えば、以下の方法で製造することができる。
使用するポリエステルのチップを、窒素雰囲気下または真空下で150℃5時間の乾燥を行い、押出機に供給し溶融する。押出機にて溶融した樹脂は、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出、押出することで未延伸シートを得る。その際、ワイヤー状電極、テープ状電極もしくは針状電極を使用して静電印加し冷却ドラムに密着する方法、冷却ドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けたキャスト法、冷却ドラム温度をポリエステルのガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくはこれらの方法を複数組み合わせた方法によりシート状ポリマーを冷却ドラムに密着させる。
【0024】
次に、未延伸フィルムを用いて長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸法、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸法などにより延伸を行う。
【0025】
延伸における延伸倍率としては、それぞれの方向に好ましくは1.6〜4.2倍、さらに好ましくは2.4〜4.0倍、特に好ましくは2.8〜3.5倍である。延伸速度は、1000〜200000%/分であることが望ましく、延伸温度はポリエステルのガラス転移点〜(ガラス転移点+100℃)の温度範囲、好ましくは80〜170℃、特に好ましくは長手方向の延伸温度を90〜150℃、幅方向の延伸温度を100〜150℃とする。
【0026】
フィルムに非常に優れた成形性を付与するために、特に長手方向の延伸温度を100〜130℃とすることが好ましく、特に縦延伸前において100℃以上の温度で1〜100秒間程度結晶化しない範囲において予熱してから延伸することが好ましい。このようにすれば、均一な延伸による優れた平面性、配向斑抑制による優れた成形性得ることができる。
【0027】
二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行う。この熱処理は、オーブン中、加熱されたロール上など従来から公知である任意の方法により行うことができる。熱処理温度は、延伸温度〜原料の融点の範囲、好ましくは160〜230℃、さらに好ましくは160〜220℃、特に好ましくは170〜210℃である。この範囲の温度とすることによって、成形加工性と耐衝撃性に優れたフィルムを得ることができる。この温度より低温であれば、耐衝撃性が悪化し、高温であれば成形加工性が悪化することがあり好ましくない。熱処理の時間は好ましくは1〜30秒間である。この熱処理はフィルムを長手方向および/または幅方向に弛緩させて行ってもよい。その後、さらにコロナ放電処理を施すことができる。このコロナ処理は、他の素材との接着性を向上させる点で好ましいことである。
【実施例】
【0028】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
なお、ポリマー、フィルムの物性およびフィルム、加工品の特性は以下の方法にて測定、評価した。
【0029】
(1)ポリエステルフィルム の融点(Tm)
ポリエステルフィルム 約20mgを示差走査熱量計(Du Pont Instruments 910型DSC)により、20℃/分の昇温速度で測定し、吸熱ピーク温度を融点(Tm)とした。
【0030】
(2)面配向係数
ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計を用いて長手方向、幅方向、厚み方向の屈折率(それぞれnMD、nTD、nZ)から得られる面配向係数Ns=(nMD+nTD)/2−nZを計算して求めた。
【0031】
(3)見掛け密度
10cm×10cmの大きさの試料を採り、その試科の厚みをマイクロメーターで測定し、試料の体積を求め、次いで試科の重量を測定し、1m3当りの重量を算出した。試料数を5枚として、その平均値を見掛け密度とした。
【0032】
(4)成形性
ヘッドライナー成形用型を用いて真空成形を行なった。まずポリエステルフィルムと熱成形用板状ウレタンフォーム(厚み5mm、比重0.035)をエポキシ系の接着剤を使用して常法によりドライラミネートして2層構成体を作成した。得られた構成体をポリエステルフィルム が金型側になるようにして、表面温度が180℃になるように加熱して、縦1800mm×横1400mm、凹部湾曲部深さ50mmの自動車天井材を成形した。外観は目視で皺や膨れが生じないこと、また成形型通りに形状が追従していることを評価し、以下の基準で成形性を判定した。
○・・・天井材の厚みが均一で外観が良好である。
△・・・天井材の厚みにムラがあるか、外観の一部に不良がある。
×・・・天井材の一部に亀裂があるか、全体が成形型に追従していない。
【0033】
[実施例1]
ジメチルテレフタレート100重量部、エチレングリコール70重量部の混合物を原料として、テトラブトキシチタンをエステル交換触媒、二酸化ゲルマニウムを重合触媒、正リン酸を安定剤として用い、更に滑剤として平均粒子径1.5μmの多孔質シリカをポリマーに対して0.1重量%となるように添加して常法により固有粘度(o−クロロフェノール、35℃)0.64のポリエチレンテレフタレートのチップを得た。
【0034】
このチップを真空乾燥機にて170℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、単軸押出機に供給、溶融し、フィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、溶融温度290℃でTダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.08mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。次いで、未延伸シートを107℃で3.0倍長手方向に延伸した後、横方向に125℃で3.1倍延伸し、さらに弛緩率3.5%で185℃で6秒間熱処理を行い、巻き取って厚さ50μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
【0035】
得られたフィルムの評価結果を表1に示す。また、このフィルムを使用してウレタンフォームとドライラミを行い、成形性の評価を行ったところ、絞り深さ13mmという高加工領域まで成型することができる非常に優れたフィルムであった。
【0036】
[実施例2]
実施例1の粒子マスターに使用する粒子を平均粒子径2.4μmの塊状シリカとして、フィルム中への添加量を0.05重量%とする以外は実施例1と同様に押出、キャストを行った。
【0037】
未延伸シートを105℃で3.0倍長手方向に延伸した後、横方向に125℃で3.2倍延伸し、さらに弛緩率3%で190℃で4秒間熱処理を行い、巻き取って厚さ75μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
【0038】
得られたフィルムの評価結果を表1に示す。また、このフィルム を使用して2層積層体を作成し成形性の評価を行ったところ、絞り深さ11mmという加工領域まで成型することができる優れたフィルムであった。
【0039】
[実施例3]
実施例1のポリエステルの重合において、ジメチルテレフタレート100重量部をジメチルテレフタレート87重量部とジメチルイソフタレート13重量部と変更し、固有粘度(o−クロロフェノール、35℃)0.69のポリエチレンテレフタレートのチップを得た。そして、実施例1と同様に未延伸シートを得た後、未延伸シートを105℃で3.2倍長手方向に延伸した後、横方向に120℃で3.3倍延伸し、さらに弛緩率5%で190℃で4秒間熱処理を行い、巻き取って厚さ75μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
【0040】
得られたフィルムの評価結果を表1に示す。また、このフィルムを使用して2層積層体を作成し成形性の評価を行ったところ、絞り深さ15mmという加工領域まで成型することができる大変優れたフィルムであった。
【0041】
[比較例1]
使用する粒子を平均粒子径2.0μmの凝集シリカ粒子とし、フィルム中の粒子濃度を0.1重量%とした。その後実施例1と同様に未延伸シートを得て、該未延伸シートを長手方向に102℃で3.7倍さらに115℃で幅方向に3.7倍延伸し、そのまま232℃で3秒間の熱固定を行い、厚み50μmの二軸延伸ポリエステルフィルム を得た。
【0042】
得られたフィルム の評価結果を表1に示す。また、このフィルム を使用して2層積層体を作成し成形性の評価を行ったところ、絞り深さ6mmまでしか成型することができず、成形性に劣るフィルム であった。
【0043】
[比較例2]
実施例1のポリエステルの重合において、ジメチルテレフタレート100重量部をジメチルテレフタレート77重量部とジメチルイソフタレート23重量部と変更した。そして、実施例1と同様に未延伸シートを得た後、該未延伸シートを95℃で3.4倍長手方向に延伸した後、横方向に115℃で3.3倍延伸し、さらに弛緩率3%で210℃で4秒間熱処理を行い、巻き取って厚さ50μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
【0044】
得られたフィルムの評価結果を表1に示す。また、このフィルムを使用して2層積層体を作成し成形性の評価を行ったところ、絞り深さ5mmまでしか成型することができず、成形性に劣るフィルムであった。
【0045】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の自動車内装材用ポリエステルフィルムは、充分な剛性を有し、軽量で成形も容易であり、自動車内装材、例えば、成形天井、支柱、床、インパネ、シートの構成部材として、特に成形天井の芯材として好ましく用いることができる。成形天井の芯材として用いる場合、例えば本発明のフィルム/ウレタンフォーム/不織布層、あるいは本発明のフィルム/不織布層という構成で、熱ラミネートもしくは接着剤によるドライラミネートによりに積層体を得て、これに金型による深絞り成型を行うことで、成形天井を得ることができる。この成形にあたり、従来のフィルムでは破断してしまうほどの高加工を欠陥が発生することなく行うことができる。そのため、本発明のフィルムを用いると、ガラス繊維マットを使わずに十分な剛性を得ることができ、環境適性に優れた自動車の内装材として用いることができる。
【0047】
本発明の自動車内装材用ポリエステルフィルムは、機械的特性が優れしかも軽量な自動車の内装材を製造することができるとともに、廃棄,リサイクルが容易であるなど環境負荷の低減に有益である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
融点が220〜270℃であり、かつ面配向係数が0.11〜0.16である、自動車内装材用ポリエステルフィルム。
【請求項2】
見掛け密度が1300〜1400kg/mである請求項1記載の自動車内装材用ポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2006−335852(P2006−335852A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−161468(P2005−161468)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【出願人】(301020226)帝人デュポンフィルム株式会社 (517)
【Fターム(参考)】