説明

自動車外装材

【課題】不織布層と、その一面に設けられた熱可塑性樹脂層とを備えるフェンダーライナ、エンジンアンダーカバー等の自動車外装材を提供する。
【解決手段】不織布層22と、不織布層の一面に設けられた熱可塑性樹脂層21(特定のメルトフローレートを有する高密度ポリエチレン等を用いてなる。)と、を備え、押出成形機から押し出された溶融熱可塑性樹脂シートが不織布の一面に積層されて形成された積層体が、厚さ方向に押圧されてなる(一対の冷却ロール間を挿通され、押圧されるとともに冷却されることが好ましい。)フェンダーライナ、エンジンアンダーカバー等の自動車外装材2。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車外装材に関する。更に詳しくは、本発明は、フェンダーライナ、エンジンアンダーカバー等の自動車外装材、特にフェンダーライナに関し、タイヤが跳ね上げた砂や小石等の衝突音、及び水溜まり走行時のスプラッシュノイズなどを緩和することができ、十分な剛性を有するため前輪側のフェンダーに取り付けたときでも風圧に耐え、且つ付着した氷が剥離し易いフェンダーライナ等の自動車外装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤが跳ね上げた砂や小石等の衝突、及び水溜まり走行時の泥水等の飛散、衝突などからフェンダーを保護するため、フェンダーの外面にフェンダーライナが取り付けられている。また、水溜まり走行時の泥水等の飛散、衝突などからエンジン下部を保護するため、エンジンアンダーカバーが取り付けられている。これらの自動車外装材としては、高密度ポリエチレンを用いた成形品、及びポリプロピレンにエチレン−プロピレン−ジエンゴムを配合した樹脂組成物を用いた成形品等が知られている。この樹脂を用いた自動車外装材(フェンダーライナ1である図7参照)は、剛性が高く、小石等の衝突による自動車外装材の変形、破損などを十分に抑えることができる。
【0003】
しかし、樹脂は吸音性能を有さず、共鳴を起こすため遮音性能が低い。従って、エンジンノイズ及びロードノイズが十分に低減されない。更に、樹脂は、砂や小石等の衝突及び泥水等の飛散、衝突などの衝撃を、人に聞こえ易い周波数域の音に変えるため、樹脂を用いた自動車外装材は防音性能が低い。そのため、例えば、フェンダーライナでは、そのフェンダー側となる表面のうちの所定箇所に不織布等からなる吸音材sを貼着し、防音性能を向上させた製品も知られているが(図8参照)、材料、工程の両面からみてコスト高になるという問題がある。そこで、不織布を用いたフェンダーライナも提供されており(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)、特に、後輪側のフェンダーライナとして用いられている。更に、風圧により変形することがある前半分は樹脂、風圧の影響が少ない後半分は不織布とした仕様のフェンダーライナもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−264255号公報
【特許文献2】特開2003−112661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1、2に記載された既存の不織布を用いたフェンダーライナは、吸音性能は若干有するものの、遮音性能が低く、防音性能は十分ではない。また、樹脂を用いた自動車外装材は所定の厚さとすることにより、十分な剛性を確保することができるが、不織布を用いた自動車外装材は剛性が低い。そのため、例えば、フェンダーライナでは、走行時の風圧の影響が小さい後輪側には不織布を用いた製品を用いることができるが、風圧の影響が大きい前輪側のフェンダーライナとしては使用することができない。更に、不織布製の自動車外装材では、付着した水が内部にまで浸透するため、水が凍った場合、氷が内部にまで成長して剥離し難くなるという問題もある。
【0006】
本発明は上記の従来の状況に鑑みてなされたものであり、自動車の走行時にタイヤが跳ね上げた小石、土砂等の衝突音、及び水溜まり走行時の泥水等の飛散、衝突によるスプラッシュノイズなどを緩和することができ、且つ付着した水が凍って着氷したときに、この氷が剥離し易い自動車外装材を提供することを目的とする。また、十分な剛性を有するため、特に、前輪側のフェンダーに取り付けたときでも風圧に耐えるフェンダーライナ等の自動車外装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下のとおりである。
1.不織布層と、前記不織布層の一面に設けられた熱可塑性樹脂層と、を備える自動車外装材であって、押出成形機から押し出された溶融熱可塑性樹脂シートが不織布の一面に積層されて形成された積層体が、厚さ方向に押圧されてなることを特徴とする自動車外装材。
2.前記溶融熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂が高密度ポリエチレンであり、該高密度ポリエチレンのメルトフローレートが1〜30g/10分である前記1.に記載の自動車外装材。
3.前記不織布層の目付が300〜900g/mであり、且つ前記熱可塑性樹脂層の目付が100〜700g/mである前記1.又は2.に記載の自動車外装材。
4.前記不織布層の他面に、複数の孔を有する熱可塑性樹脂フィルム層が設けられた前記1.乃至3.のうちのいずれか1項に記載の自動車外装材。
5.前記熱可塑性樹脂フィルム層の通気量が8〜80cm/cm・sである前記4.に記載の自動車外装材。
6.前記熱可塑性樹脂フィルム層の目付が10〜90g/mである前記4.又は5.に記載の自動車外装材。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自動車外装材は、不織布層と熱可塑性樹脂層とを備え、不織布層を車体側、熱可塑性樹脂層を外側として用いることにより、十分な防音性能を有し、別途、吸音材を貼着することなく、吸音材を貼着した従来の樹脂を用いた自動車外装材を超える高い防音性能を有する。また、不織布層を備えるため、砂や小石等の衝突音などが人に聞こえ難い周波数域の音になり、これによって騒音がより軽減される。更に、水が付着するのが熱可塑性樹脂層の側であるため、水が内部に浸透せず、水が凍っても、氷が内部にまで成長しないため、容易に剥離し、何ら問題になることはない。また、熱可塑性樹脂層を備え、且つ荷重が不織布層により分散されるため、剛性が高く十分な強度を有し、特にフェンダーライナの場合、不織布を用いた従来のフェンダーライナでは使用することができなかった前輪側にも用いることができ、フェンダーへの取り付け作業時等に取り扱い易く、且つ軽量化することもできる。更に、押出成形機から押し出された溶融熱可塑性樹脂シートが不織布の一面に積層され、その後、厚さ方向に押圧されて、熱可塑性樹脂層が形成されるため、溶融した樹脂が不織布に容易に含浸され、不織布層と熱可塑性樹脂層とが強固に一体に接合される。従って、不織布層による優れた防音性能とともに、剛性が高く十分な強度を併せて有する自動車外装材とすることができる。
また、溶融熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂が高密度ポリエチレンであり、この高密度ポリエチレンのメルトフローレートが1〜30g/10分である場合は、溶融した樹脂が不織布により容易に含浸され、不織布層と熱可塑性樹脂層とがより強固に一体に接合されるため、不織布層による優れた防音性能とともに、より剛性が高く十分な強度を有する自動車外装材とすることができる。加えて、不織布表面の凹凸等により熱可塑性樹脂層にピンホールが発生することもなく、水が内部に浸透しないため、水が凍っても、氷が内部にまで成長せず、容易に剥離する自動車外装材とすることができる。
更に、不織布層の目付が300〜900g/mであり、且つ熱可塑性樹脂層の目付が100〜700g/mである場合は、不織布層も十分な剛性を有し、全体として剛性の高い自動車外装材とすることができ、且つ熱可塑性樹脂層に孔が開くことがなく、付着した水が凍ったときに、氷が内部にまで成長せず、容易に剥離する自動車外装材とすることができる。
また、不織布層の他面に、複数の孔を有する熱可塑性樹脂フィルム層が設けられた場合は、不織布層に入射した音の一部が熱可塑性樹脂フィルム層によって内部に反射されて外部に放射されず、吸音されるため、防音性能をより向上させることができ、且つより剛性の高い自動車外装材とすることができる。
更に、熱可塑性樹脂フィルム層の通気量が8〜80cm/cm・sである場合は、騒音を不織布に十分に吸音させることができ、優れた防音性能を有するとともに、十分に剛性の高い自動車外装材とすることができる。
また、熱可塑性樹脂フィルム層の目付が10〜90g/mである場合は、優れた防音性能及び剛性を有し、且つ軽量化及びコストの面でも有利な自動車外装材とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】自動車におけるフェンダーライナの取り付け位置を説明するための模式図である。
【図2】不織布層の一面に、溶融熱可塑性樹脂シートを積層させ、一対の冷却ロール間を挿通させて押圧し、冷却して、自動車外装材を製造する工程の模式的な説明図である。
【図3】不織布層と、その一面に設けられた熱可塑性樹脂層と、を備える自動車外装材の一部の模式的な断面図である。
【図4】不織布層と、その一面に設けられた熱可塑性樹脂層と、他面に設けられた複数の孔を有する熱可塑性樹脂フィルム層と、を備える自動車外装材の一部の模式的な断面図である。
【図5】不織布層と、その一面に設けられた熱可塑性樹脂層と、を備えるフェンダーライナの一部の模式的な断面図である。
【図6】不織布層と、その一面に設けられた熱可塑性樹脂層と、他面に設けられた複数の孔を有する熱可塑性樹脂フィルム層と、を備えるフェンダーライナの一部の模式的な断面図である。
【図7】従来の樹脂製のフェンダーライナの一例の模式的な斜視図である。
【図8】フェンダーに取り付けられる側の所要箇所に緩衝材が貼着された従来の樹脂製のフェンダーライナの一例の模式的な斜視図である。
【図9】熱可塑性樹脂フィルム層の通気量とフェンダーライナの吸音率との相関を表す説明図である。
【図10】実施例及び比較例の各々のフェンダーライナの衝撃音と周波数との相関を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を図1〜10を参照しながら詳しく説明する。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0011】
本実施形態に係る自動車外装材は、自動車に外装され、その厚さ方向に、不織布層と熱可塑性樹脂層とを備え、不織布層が車体側、熱可塑性樹脂層が外方側となるように取り付けられる。また、押出成形機から押し出された溶融熱可塑性樹脂シートが不織布の一面に積層されて形成された積層体が、厚さ方向に押圧されてなることを特徴とする(図2の工程の説明図、図3の自動車外装材2及び図5の自動車外装材の1種であるフェンダーライナ1参照)。
【0012】
前記「自動車外装材」としては、フェンダーライナ、エンジンアンダーカバー、及びフロアアンダーカバー等が挙げられる。例えば、フェンダーライナ1は、自動車100のフェンダーの外面に取り付けられて用いられ(図1参照)、特に、乗用車のように十分な防音性能等が必要とされる自動車では必須の外装部材である。本発明の自動車外装材は不織布層に熱可塑性樹脂層が積層され、剛性が高いため、フェンダーライナ1の場合、後輪102側ばかりでなく、走行時の風圧の影響が大きい前輪101側のフェンダーにも用いることができる。また、その形状は通常のフェンダーライナと同様であり、サスペンジョン軸が挿通される切り欠き部、及びフェンダーの外面に突設されたクリップに貫入させてフェンダーライナを取り付けるためのクリップ孔などが設けられている。
【0013】
不織布層と熱可塑性樹脂層とを備える本発明の自動車外装材(図3参照)は、押出成形機から押し出された溶融熱可塑性樹脂シートが不織布の一面に積層されて形成された積層体が、厚さ方向に押圧されてなる。このように、例えば、押出成形機に取り付けられたTダイ等から押し出された溶融した熱可塑性樹脂シートが、不織布の一面に流下し、溶融状態のまま直接積層され、押圧される。そのため、溶融樹脂が不織布内に容易に浸透し、冷却され、固化することにより、不織布層22と熱可塑性樹脂層21とが、アンカー効果等によって強固に一体化された自動車外装材2とすることができる。
【0014】
押出成形機から押し出された溶融熱可塑性樹脂シートを不織布の一面に積層させる具体的な方法は特に限定されず、所定の速度で送出される不織布2aの一面に溶融した熱可塑性樹脂シート4をTダイ3等から流下させ、接触させて積層体とし、その後、この積層体を両面から押圧し、冷却する方法が挙げられる(図2参照)。押圧し、冷却する方法としては、積層体を一対のロール間を挿通させる方法、及びプレス成形機を用いる方法等が挙げられる。
【0015】
一対のロール51、52を用いる場合は(図2参照)、一方のロールは冷却し(冷却ロール52、積層された熱可塑性樹脂シートの側が接触するロール)、他方のロール51は雰囲気温度又は必要に応じて冷却し、ロール間で積層体を押圧するとともに、冷却し、自動車外装材2を製造することができる。また、プレス成形機を用いる場合は、積層された熱可塑性樹脂シートの側が接触する一方のプレス板は冷却し、他方は雰囲気温度又は必要に応じて冷却し、プレス板間で積層体を押圧するとともに、冷却し、自動車外装材を製造することができる。これらの方法のうちでは、一対のロールを用いる方法が好ましく、この方法であれば、自動車外装材を連続的に、且つ効率よく製造することができる。
【0016】
前記のようにして製造される自動車外装材は平板状であり、自動車外装材の種類等によってはそのまま用いることができるが、成形型により、所定形状の自動車外装材に成形して使用されることが多い。平板状の自動車外装材を型成形する方法は特に限定されず、例えば、自動車外装材の形状、寸法によって、所定のキャビティーを有する成形型を使用し、予め所定温度に加熱された平板状の自動車外装材を、雰囲気温度又は必要に応じて所定温度に冷却された成形型により加圧し、成形して、フェンダーライナ等の所定形状の自動車外装材を製造することができる。また、所定温度に調温された型内に平板状の自動車外装材を載置し、加熱、加圧することにより成形し、その後、冷却することによりフェンダーライナ等の所定形状の自動車外装材を製造することもできる。
【0017】
前記「不織布層22(図3参照)、12(図5参照)」は、自動車外装材が自動車に取り付けられたとき、車体の側となり、この不織布層が有する吸音性能により自動車外装材の防音性能が向上する。不織布層の目付は特に限定されないが、300〜900g/mであることが好ましく、500〜700g/mであることがより好ましい。不織布層の目付が前記範囲であれば、優れた防音性能を有し、且つ十分な剛性を有する自動車外装材とすることができる。
【0018】
不織布を構成する樹脂繊維の材質は特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維等のポリエステル繊維、ナイロン6繊維、ナイロン66繊維等のポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維及びポリメチルメタクリレート繊維等のアクリル繊維などが挙げられる。また、この不織布の製造方法も特に限定されず、サーマルボンド法、ニードルパンチ法等の各種の方法により製造された不織布を用いることができる。
【0019】
更に、サーマルボンド法により製造された不織布を用いる場合、樹脂繊維の結着に用いられるバインダ用繊維としては、樹脂繊維が融解する温度より低温で融解するバインダ用繊維が用いられる。このバインダ用繊維としては、前記の不織布を構成する各種の樹脂繊維を用いることができ、特に、より低温で融解し、樹脂繊維を結着させることができるポリオレフィン繊維及び低融点ポリエステル繊維等からなるバインダ用繊維が好ましい。また、ポリオレフィン繊維及び低融点ポリエステル繊維を用いる場合、芯がポリプロピレンからなり、鞘がポリエチレンからなる芯鞘繊維、芯が高融点ポリエステルからなり、鞘が低融点ポリエステルからなる芯鞘繊維、及びポリプロピレンとポリエチレンとのサイドバイサイド繊維等がより好ましい。
【0020】
バインダ用繊維の質量割合も特に限定されないが、樹脂繊維とバインダ用繊維との合計を100質量%とした場合に、30〜70質量%であることが好ましく、40〜60質量%であることがより好ましい。バインダ用繊維の質量割合が30〜70質量%であれば、所定の目付及び厚さの不織布を容易に作製することができる。
尚、不織布は、例えば、ニードルパンチ法とサーマルボンド法とを併用して製造することもできる。この場合、樹脂繊維とバインダ用繊維とをニードルパンチ法により交絡させ、その後、サーマルボンド法により樹脂繊維とバインダ用繊維とを結着させ、剛性等に優れた不織布を製造することができる。
【0021】
フェンダーライナ等の自動車外装材の防音性能を向上させるためには、自動車外装材の通気量は少ないことが好ましい。本実施形態の自動車外装材は熱可塑性樹脂層を備えるため、実質的に通気性を有しておらず、熱可塑性樹脂層の遮音性能と不織布層の吸音性能とが相俟って優れた防音性能を有する自動車外装材とすることができる。
尚、実質的に通気性を有さないとは、JIS L 1096 8.27.1[A法(フラジール形法)]により測定した通気量が測定限界値未満であることを意味する。
【0022】
前記「熱可塑性樹脂層21(図3参照)、11(図5参照)」は、例えば、フェンダーライナ1の場合、フェンダーに取り付けられたとき、タイヤ側となり、砂、小石、水等が衝突し、汚れ等が付着する側である。そのため、衝撃に十分に耐えられる目付を有している必要がある。更に軽量化を考慮すると、熱可塑性樹脂層の目付は100〜700g/cmであることが好ましく、300〜500g/cmであることがより好ましい。熱可塑性樹脂層の目付が前記範囲であれば、十分に軽量化することができ、且つ衝撃に十分に耐え、亀裂等が発生することがなく、水が内部に浸透しないため、付着した水が凍ったときに氷が内部まで成長せず、フェンダーライナ等の自動車外装材から容易に剥離する。
【0023】
熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂は特に限定されず、種々の樹脂を用いることができる。この熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等)、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂(メタクリレート及び/又はアクリレート等を用いてなる樹脂)、ポリアミド樹脂(ナイロン6、ナイロン66等)、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、並びにABS樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、通常、1種のみが用いられる。
【0024】
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン−プロピレン共重合樹脂等のポリオレフィン樹脂が好ましい。また、ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレンがより好ましく、優れた成形性及び耐低温衝撃性等を有する高密度ポリエチレンが特に好ましい。この高密度ポリエチレンは特に限定されず、中低圧法により製造される密度0.942〜0.967g/m、特に0.950〜0.960g/mの樹脂を用いることができる。
【0025】
また、高密度ポリエチレンの溶融時の流動性も特に限定されないが、流動性の指標となるメルトフローレート(以下、「MFR」と表記する。)が、1〜30g/10分、特に5〜25g/10分であることが好ましい。MFRが前記範囲であれば、前記の押出成形時に、溶融した熱可塑性樹脂シートを、不織布の一面に、容易に、且つ均一に含浸させて積層させることができ、不織布表面の凹凸等により熱可塑性樹脂層にピンホールが発生することがない。そのため、剛性が高く、且つ水が内部に浸透しないため、付着した水が凍ったときに氷が内部まで成長せず、自動車外装材から容易に剥離する。
尚、高密度ポリエチレンの密度は、JIS K 7112のD法により測定した値である。また、MFRは、JIS K 7210(温度;190℃、荷重;21.18N)により測定した値である。
【0026】
更に、自動車外装材の厚さは特に限定されず、その種類によって、一般的な厚さとすることができる。この厚さは0.5〜20mmであることが好ましく、1〜10mmであることがより好ましい。また、熱可塑性樹脂層の厚さも特に限定されず、自動車外装材の種類によって、所定の厚さとすることができるが、この厚さは0.1〜0.7mmであることが好ましく、0.3〜0.5mmであることがより好ましい。例えば、フェンダーライナの場合、厚さは0.5〜5mmであることが好ましく、1〜4mmであることがより好ましい。また、熱可塑性樹脂層の厚さは、0.1〜0.7mmであることが好ましく、0.3〜0.5mmであることがより好ましい。自動車外装材の厚さ及び熱可塑性樹脂層の厚さがそれぞれ前記範囲であれば、優れた防音性能を有し、剛性が高く、走行時の風圧等にも十分に耐え、車体への取り付け時に取り扱い易く、且つ付着した水が凍ったときも、氷が内部にまで成長することなく容易に剥離する自動車外装材とすることができる。
【0027】
本実施形態の自動車外装材は、不織布層と、その一面に設けられた熱可塑性樹脂層とを必須の構成部材としているが、不織布層22、12の他面に複数の孔231、131を有する熱可塑性樹脂フィルム層23(図4照)、13(図6参照)を備えていてもよい。特に、フェンダーライナ1(図6参照)では、熱可塑性樹脂フィルム層13を備えていることが好ましい。この熱可塑性樹脂フィルム層のJIS L 1096 8.27.1[A法(フラジール形法)]により測定した通気量は特に限定されないが、1〜80cm/cm・sであることが好ましく、5〜80cm/cm・sであることがより好ましく、8〜80cm/cm・sであることが特に好ましい。通気量が前記範囲であれば、特に8〜80cm/cm・sであれば、騒音を不織布層に十分に吸音させることができ、防音性能を向上させることができるとともに、十分に剛性の高い自動車外装材とすることができる。前記範囲の通気量が好ましいことは、通気量と後記の方法により測定される吸音率との相関を表す図9によっても明らかであり、図9によれば、通気量が30cm/cm・sである場合に、吸音率が最も高くなっている。
尚、図9において、製品1は実施例1のフェンダーライナ、製品2は実施例2のフェンダーライナ、製品3はフィルムに孔が開けられていないことを除いて実施例1と同様の構成の製品、製品4はフィルムの通気量が5cm/cm・sであることを除いて実施例1と同様の構成の製品、及び製品5はフィルムの通気量が70cm/cm・sであることを除いて実施例1と同様の構成の製品である。
【0028】
また、熱可塑性樹脂フィルム層の目付も特に限定されないが、10〜90g/cmであることが好ましく、30〜70g/cmであることがより好ましい。熱可塑性樹脂フィルム層の目付が前記範囲であれば、防音性能を向上させることができるとともに、高い剛性を有する自動車外装材とすることができる。
【0029】
更に、熱可塑性樹脂フィルム層が有する孔の形状も特に限定されず、円形、楕円形、及び三角形、四角形等の多角形とすることができ、後記のように不織布形成と同時にフィルムに孔を設ける場合は、ニードルの断面形状と略同形の正三角形形状の孔が形成される。また、フィルムの孔は、前記範囲の通気量となる寸法及び個数であることが好ましく、寸法(円形のときは直径、正三角形のときは高さ、その他の形状のときは最大寸法)が100〜1000μm、特に300〜800μmであり、且つ個数が10万〜80万個/m、特に30万〜60万個/mであることが好ましい。孔の寸法及び個数が前記範囲であれば、騒音を不織布に十分に吸音させることができ、防音性能をより向上させることができるとともに、剛性の高い自動車外装材とすることができる。尚、孔は熱可塑性樹脂フィルム層の全面に均等に設けられていることが特に好ましい。
【0030】
熱可塑性樹脂フィルム層を構成する熱可塑性樹脂は特に限定されず、前記の熱可塑性樹脂層の形成に用いる各種の熱可塑性樹脂を使用することができ、ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン−プロピレン共重合樹脂等のポリオレフィン樹脂が好ましく、前記と同様に高密度ポリエチレンがより好ましい。また、熱可塑性樹脂フィルム層を構成する熱可塑性樹脂フィルムとしては、各種の樹脂を用いてなる積層フィルムを使用することもできる。この積層フィルムは特に限定されず、共押出等の方法により成形される各種の構成の積層フィルムを用いることができる。
【0031】
積層フィルムの積層数も特に限定されないが、通常、2〜5層、特に2〜3層である。また、例えば、異なる種類の熱可塑性樹脂を用いてなるフィルムが積層された2層の積層フィルムでは、成形後の冷却時の収縮率の差(熱可塑性樹脂の熱膨張率の差)によって、積層フィルムが反ってしまうことがある。そのため、一の熱可塑性樹脂を用いてなるフィルムの両面に、他の同一の熱可塑性樹脂を用いてなるフィルムを積層させた3層の積層フィルム、及びこの他の熱可塑性樹脂を用いてなるフィルムの表面に更に他の熱可塑性樹脂を用いてなるフィルムを積層させた5層の積層フィルムが好ましく、コスト等の面で3層の積層フィルムがより好ましい。この3層の積層フィルムとしては、ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン、及びポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン等の構成の積層フィルムが挙げられる。
【0032】
熱可塑性樹脂フィルム層を備える自動車外装材の製造方法は特に限定されず、不織布層と熱可塑性樹脂層とを備える前記の自動車外装材の場合と同様にして製造することができる。即ち、押出成形機から押し出された溶融熱可塑性樹脂シートを、他面に熱可塑性樹脂フィルムが積層された不織布の一面に積層させて形成した積層体を、厚さ方向に押圧して製造することができる。より具体的には、前記の場合と同様に、所定の速度で送出される、熱可塑性樹脂フィルムが積層された不織布の一面に、溶融した熱可塑性樹脂シートをTダイ等から流下させ、接触させて積層体とし、その後、この積層体を両面から押圧し、冷却する方法により自動車外装材を製造することができる。更に、押圧し、冷却する方法としても、前記と同様に、積層体を一対のロール間を挿通させる方法、及びプレス成形機を用いる方法等が挙げられ、同様に、自動車外装材を連続的に、且つ効率よく製造することができる一対のロールを用いる方法が好ましい。
【0033】
また、上記のようにして製造された、熱可塑性樹脂フィルム層が設けられた自動車外装材は平板状であり、前記のように、自動車外装材の種類等によってはそのまま用いることができるが、成形型により、所定の形状を有する自動車外装材に成形されて使用されることが多い。更に、平板状の自動車外装材を型成形する方法も特に限定されず、前記と同様に、予め所定温度に加熱した平板状の自動車外装材を、雰囲気温度又は必要に応じて所定温度に冷却された成形型により加圧することにより、フェンダーライナ等の所定形状の自動車外装材を製造することができる。また、成形型を使用し、所定温度に調温された型内に平板状の自動車外装材を載置し、加熱、加圧し、その後、冷却することにより、フェンダーライナ等の所定形状の自動車外装材を製造することもできる。
【0034】
更に、熱可塑性樹脂フィルム層と不織布層とを備える積層体の形成方法も特に限定されず、孔を有する熱可塑性樹脂フィルムを不織布の他面に積層し、フィルムを構成する熱可塑性樹脂の融点により設定される所定温度で加熱し、必要に応じて加圧することにより形成することができる。より具体的には、不織布上に孔を有する熱可塑性樹脂フィルムを載置し、加熱炉を通過させる、遠赤外線ヒータにより加熱する等の方法で加熱してフィルムを軟化させ、その後、一対の冷却ロール間を挿通させる、又は冷却用プレス板間で加圧し、冷却するなどの方法によって形成することができる。このように、熱可塑性樹脂フィルム層と不織布層とを備える積層体を、加熱により、必要に応じて加熱と加圧とにより、形成する場合、熱可塑性樹脂フィルム層を構成する熱可塑性樹脂は、加熱時に不織布が溶融しない、より融点の低い熱可塑性樹脂である必要がある。また、このようにして形成した積層体の不織布側の面、即ち、不織布の一面に、前記と同様にして、溶融熱可塑性樹脂シートを積層させ、自動車外装材を製造することができる。
【0035】
熱可塑性樹脂フィルム層は、前記のように複数の孔を有するが、孔を有するフィルムを加熱し、不織布に積層させると、加熱温度にもよるが、孔が塞がってしまうことがある。そのため、例えば、ニードルパンチ法により不織布を製造するときに、樹脂繊維が堆積されてなるウェブに熱可塑性樹脂フィルムを積層させてニードリングし、樹脂繊維間を交絡させるとともに、樹脂繊維の一部が熱可塑性樹脂フィルムに絡み合うようにして、不織布形成と同時にフィルムに孔を設けることもできる。このようすれば、同径の孔を、所定の間隔で開けることができ、且つ孔をフィルムの全面に均等に設けることができる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
この実施例では、自動車外装材としてフェンダーライナを製造し、このフェンダーライナから試片を切り出し、性能を評価した。
実施例1
[1]フェンダーライナの製造
樹脂繊維としてポリエチレンテレフタレート(PET)繊維50質量%、バインダ用繊維として、芯が融点260℃のPET、鞘が130℃のPETからなる芯鞘繊維50質量%を使用し、ニードルパンチ法により、目付600g/m、厚さ2.7mmの不織布を製造しつつ、最終パンチ工程で、目付45g/m、厚さ0.045mmのポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレンという3層構造の積層フィルムを供給して積層させ、ニードルにより積層フィルムの通気量が30cm/cm・sとなるように調整しながら孔を開け、同時に不織布とフィルムとを仮貼合させた。その後、サーマルボンド法により樹脂繊維とバインダ用繊維とを結着させ、不織布と多数の孔を有するフィルムとが積層されてなる予備成形体を作製した。
【0037】
その後、予備成形体を前記不織布の一面を上面として7m/分の速度で送出し、径600mmの一対のロール間[クリアランスは2mmである。また、不織布に積層される下記の高密度ポリエチレンシートの側が接触する冷却ロールの設定温度は10℃とし、他方のロールは雰囲気温度(25℃)とした。]を挿通させた。この挿通時、前記一対のロールの間隙の直上より、押出成形機に取り付けられたTダイから押し出された温度178℃の高密度ポリエチレンシート(MFR18g/10分、密度0.955g/cmの高密度ポリエチレンを用いた。)を流下させて、予備成形体を構成する不織布の一面に積層させ、ロール間を挿通させることにより、目付950g/m、厚さ約3mm(熱可塑性樹脂層の厚さは約0.3mmである。)、幅1800mmの平板状の自動車外装材を連続的に製造した。次いで、予め200℃に加熱した平板状の自動車外装材を、所定の形状及び寸法のキャビティーを有し、17℃に冷却された成形型により、加圧しながら冷却して、フェンダーライナを製造した。
【0038】
実施例2
熱可塑性樹脂フィルム層と不織布層とを備える予備成形体に代えて、フィルムが積層されていない不織布のみを用いた他は、実施例1と同様にして、目付900g/m、厚さ3mm(熱可塑性樹脂層の厚さは0.3mmである。)、幅1800mmの平板状の自動車外装材を連続的に製造し、その後、この平板状の自動車外装材を用いて、実施例1と同様にしてフェンダーライナを製造した。
【0039】
比較例1
実施例1で用いた高密度ポリエチレンを使用し、実施例1と同様の形状で、目付1300g/m、厚さ1.3mmのフェンダーライナ本体を作製し、このフェンダーライナ本体の所要箇所に、PET繊維とPP繊維とを用いてなる目付300g/m、厚さ21mmの吸音層が配設されたフェンダーライナを製造した。
【0040】
比較例2
比較例1におけるフェンダーライナ本体のみを用いた。
【0041】
比較例3
ポリエステル繊維を硬質スチレン−ブタジエンゴムをバインダとして結着してなる硬質不織布を使用し、実施例1と同様の形状で、目付1000g/m、厚さ2mmのフェンダーライナを製造した。
【0042】
[2]物性の評価
上記[1]で製造した実施例1〜2及び比較例1〜3のフェンダーライナから試片を切り出し、この試片を用いて(1)付着した氷を剥離させたときの剥離強さ、(2)剛性の指標としての曲げ荷重、(3)防音性能の指標となる吸音率、及び(4)衝撃音を測定した。
【0043】
(1)剥離強さ(耐着氷性)
−15℃に調温された恒温槽内で、試片(100×100mm)上に氷を成長させた。その後、この氷をプッシュプルゲージにより上方に引き上げた場合に、氷が試片から剥離したときの剥離強さを読み取った。
【0044】
(2)曲げ荷重(剛性)
支点間距離を100mmとした支持台に試片(50×200mm)を配置した。そして、試片の長さ方向の中央部を押圧して水平位置から10mm下方へ押し下げたときの曲げ荷重を読み取った。
【0045】
(3)吸音率
残響室に試片[約1m(700×700mmの試片を2枚使用)]を収容し、音圧レベルが90dbから70dbにまで低下するのに要する時間を、400〜6300Hzの1/3オクターブバンド毎の周波数について計測し、吸音率を算出した。
以上、剥離強さ、曲げ荷重及び吸音率の評価結果を表1に記載する。
【0046】
(4)衝撃音(実施例1、2及び比較例1、2のフェンダーライナについて評価した)
試片(300×300mm)を床面に対して45°に傾けて配置した。そして、試片の中央部に向けて高さ2mの位置から鋼球(直径8mm、重さ2.08g)を落下させ、落下時の衝撃音から音圧レベルを算出し、FFTアナライザにより周波数解析を行った。結果は図10のとおりである。
尚、測定は無響室で実施した。また、実施例1、2及び比較例1、2の各々について、それぞれ8回実施し、平均値により評価した。
【0047】
【表1】

【0048】
表1の結果によれば、実施例1では、剥離強さは4Nであり、このフェンダーライナに付着した水が凍ったとき、氷は容易に剥離することが推察される。また、曲げ荷重は10.5Nであり、このフェンダーライナは十分な剛性を有していることが分かる。更に、吸音率は0.39であり、吸音層が配設されていないにも拘わらず、吸音層が配設されている比較例1のフェンダーライナより優れている。また、実施例2では、耐着氷性は実施例1と同様に優れており、吸音率も十分に高く、フィルム層が設けられていないため、曲げ荷重が実施例1と比べて少し低いものの、十分に高い剛性を有していることが分かる。
【0049】
一方、比較例1の樹脂製のフェンダーライナでは、剥離強さは5Nであり、氷は容易に剥離すると思われるが、曲げ荷重が小さく、実施例1、2と比べて耐風圧性は低いと推察される。また、吸音層が配設されているため吸音率は高い。更に、比較例2では、耐着氷性及び剛性は比較例1と同等であるが、吸音層が配設されていないため、吸音率が低い。また、比較例3では、剥離強さが極めて大きく、付着した水が凍ったときに剥離し難く、曲げ荷重が相当に小さいため、実施例1、2のフェンダーライナに比べて耐風圧性が低いと推察される。更に、吸音率は、不織布製であるため、樹脂製の比較例2より高いが、実施例1、2と比べ劣っている。
【0050】
更に、図10によれば、不織布を基体とし、フィルムが積層されている実施例1と、フィルムが積層されていない実施例2では、2000〜10000Hzの全周波数領域において、騒音レベルにほとんど差がない。更に、高密度ポリエチレンを用いてなり、吸音層が配設された比較例1と、吸音層が配設されていない比較例2も、騒音レベルに大差はない。しかし、実施例1、2と、比較例1、2とでは、全周波数領域において、騒音レベルに明らかに差があり、周波数が高くなるとともに差が大きくなる傾向にあり、実施例1、2では、騒音レベルが低く、優れていることが分かる。
【0051】
尚、前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施態様の例を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく、説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その態様において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施態様を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、寧ろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によれば、十分な防音性能を有し、剛性が高く、付着した水が凍ったときにも氷が剥離し易いため、各種の自動車、特に乗用車の外装材として用いることができる。また、フェンダーライナとして特に有用であり、剛性が高いため、後輪側のフェンダーばかりでなく、前輪側のフェンダーのフェンダーライナとしても用いることができる。
【符号の説明】
【0053】
100;自動車、101;前輪、102;後輪、1;フェンダーライナ、11;熱可塑性樹脂層、12;不織布層、13;熱可塑性樹脂フィルム層、131;孔、2;自動車外装材、21;熱可塑性樹脂層、22;不織布層、23;熱可塑性樹脂フィルム層、231;孔、22;第2不織布層、2a;不織布、3;Tダイ、4;熱可塑性樹脂シート、51;他方のロール、52;一方のロール(冷却ロール)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布層と、
前記不織布層の一面に設けられた熱可塑性樹脂層と、を備える自動車外装材であって、
押出成形機から押し出された溶融熱可塑性樹脂シートが不織布の一面に積層されて形成された積層体が、厚さ方向に押圧されてなることを特徴とする自動車外装材。
【請求項2】
前記溶融熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂が高密度ポリエチレンであり、該高密度ポリエチレンのメルトフローレートが1〜30g/10分である請求項1に記載の自動車外装材。
【請求項3】
前記不織布層の目付が300〜900g/mであり、且つ前記熱可塑性樹脂層の目付が100〜700g/mである請求項1又は2に記載の自動車外装材。
【請求項4】
前記不織布層の他面に、複数の孔を有する熱可塑性樹脂フィルム層が設けられた請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の自動車外装材。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂フィルム層の通気量が8〜80cm/cm・sである請求項4に記載の自動車外装材。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂フィルム層の目付が10〜90g/mである請求項4又は5に記載の自動車外装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−143763(P2011−143763A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4381(P2010−4381)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【出願人】(000149446)株式会社オーツカ (7)
【Fターム(参考)】