説明

自動車排ガス処理用高リン被毒耐性触媒

【課題】自動車排ガス処理用高リン被毒耐性触媒の提供。
【解決手段】オイル又は燃料由来添加剤からの毒に対して優れた耐性を有する排ガス処理用の新規な触媒に関する。触媒層が担持される基材の先端毒捕捉領域20上に触媒材料が塗布されない。有毒な成分は触媒の上流端に堆積しやすいことから、このような毒が触媒材料を不活化することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油由来及び/又はガソリン添加化合物の自動車排ガス後処理システムに対する有害な影響を最小限にするためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車排ガス制御は、成熟した産業である。自動車メーカーや供給業者は、1965年における米国の排ガス規制法や他の国における法律制定によって、自動車排ガスの制御及び削減を試みている。触媒コンバーターの使用により排出ガス限度の断続的な減少が可能となるのにつれて、過去30年に亘って制御された排ガス生成物のベースエンジン排気は著しく減少している。
【0003】
触媒コンバーターは、通常、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)及び/又は窒素酸化物(NOx)を低減する一種以上の触媒成分を含む。また、ディーゼルエンジンからの粒子状物質を低減するための触媒システムも設計されている。
【0004】
それぞれの触媒は、セラミック又は金属粒子上、又は粒子フィルタとして作用する金属フィルタ上に担持される。しかしながら、ほとんどの場合、活性触媒成分は、セラミック、又は“モノリス”とも言われる金属ハミカム要素上に担持される。また、このカテゴリーに含まれるものとして、ディーゼル微粒子除去装置(DPFs)に用いられるモノリスがある。活性触媒成分は、モノリス上に直接供給されるか、より一般的には活性触媒成分を含浸した金属酸化物などの粒子状担体の水性スラリーである“ウォッシュコート”の成分として供給される。塗布されたウォッシュコートは焼成することもでき、又は金属酸化物担持触媒を焼成した後にモノリス上に堆積させてもよい。単一の触媒コンバーター又は複数のコンバーターを使用してもよい。4種又は5種ものモノリスを特定の用途に応じて排ガス流中に順に配置してもよい。
【0005】
排ガス条件はますます厳しくなり、新しい触媒及びより高い触媒充填の双方の開発が要求されている。絶対的な排出基準に加えて、排ガス制御システムの寿命すなわち“耐久性”への要求もまた拡大してきている。また、長期間に亘る操作条件の維持も触媒開発を試み、さらなる触媒レベルの向上を未だに必要としている。これは、主として、触媒コンバーターの費用を左右する触媒充填レベル、特に貴金属充填である。コンバーターが最低限の貴金属充填について全ての要求を満たすことが、触媒製造者の主要な課題である。
【0006】
種々の温度及び燃料/空気化学量論的環境において炭化水素燃料が消費される間に多くの反応が生じ、このような反応の生成物が触媒耐久性を制限する。例えば、鉛が、かつてはオクタン価向上剤として燃料中に供給され、四エチル鉛として深刻な触媒毒となることがかなり早くから知られている。したがって、鉛オクタン価向上剤は、現代の燃料から除かれた。
【0007】
メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル(MMT)など、鉛を含まない燃料に添加される他のオクタン価向上剤は、過剰量でマンガンが排出ガス中に含まれる結果を招き、触媒層を覆う、汚す、又は毒する場合がある。したがって、多数の微量元素がある程度、避けられずに自動車排ガス触媒といまだに接触し、これらのうちの数種が触媒耐久性を低下させることが知られている。これらの有毒な微量元素の全てが燃料から誘導されるとは限られない。
【0008】
例えば、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDPs)が、酸化防止剤及び/又は高圧潤滑油添加剤としてエンジンオイル中で長く使用されている。特に近代の高速エンジンでは、ピストン/壁間隔の増加及びシーリングの減少が燃焼チャンバへのオイルの流入を増加させ、燃焼チャンバではオイル添加剤又はこれらの燃焼副生成物が排ガス流へ副次的に流入する。このような触媒毒は、低排ガス触媒システムの主な障害のうちの一種である。微量の亜鉛、リン、カルシウム、及び他の元素が、耐磨耗添加剤としてエンジンオイル中に入れられる。このような添加剤の目的は、エンジンオイルがエンジンの金属部品をコーティングしていない場合に、起動の間に過剰磨耗からエンジン部を保護することである。しかしながら、エンジンがオイルを燃焼するにつれて、亜鉛及びリンは触媒コンバーターを介して排出され、排ガス触媒活性の低下を促進させる。耐磨耗添加剤をオイルから除去することはできるが、エンジンの長期耐久性が低下する。
【0009】
リン及び亜鉛などのエンジン耐磨耗添加剤の使用は、多くの文献に記載されている。これらの添加剤としては、例えば、ジチオリン酸亜鉛(ZDTPs)などとも言われるZDDPs、ジチオカルバミン酸亜鉛(ZDTCs)などの化合物が挙げられる。他に開示されたオイルへの亜鉛及びリン添加剤としては、極圧添加剤として含まれる金属洗浄剤が挙げられる。特許文献1及び2などがある。リン及び亜鉛は、自動車排ガス処理触媒の機能を低下させるものとして開示されている。
【0010】
ZDDPなどの自動車オイル添加剤はエンジン部品上に耐磨耗膜を形成し、オイル中で酸化防止剤として作用する。エンジンは、燃焼チャンバ及び排気システムを介してエンジンを出るエンジンオイルの量を最小にするように設計されているが、このメカニズムによってごく僅かのエンジンオイルが放出されるのは避けられない。ZDDPからのリンが触媒内の活性部位を妨げることに起因して、エンジンオイルのZDDP添加剤は触媒コンバーターに有害な影響を及ぼす。これらのリン含有物は、酸化アルミニウム及び酸化セリウムなどのウォッシュコート成分上に堆積又はウォッシュコート成分と反応し、いつまでも残存する。この現象は、一般的に“リン被毒”と言われる。
【0011】
この被毒メカニズムは、非常に複雑であり、操作温度、エンジンのオイル消費量、及びオイル消費源にかなり依存する。例えば、オイルがピストンリングを通過して漏れ、燃焼チャンバーに押し流された場合、オイルは燃焼工程へ進む。これは(他の混入物質に混じって)ある種のリン及び/又は亜鉛化合物をもたらす。特定の化合物は、操作条件に依存して、触媒コンバーターの特定の失活作用を有する。一方、排ガスバルブガイド及びステムを通過して漏れたオイルは、燃焼行程を経ることはなく、異なる種の触媒コンバーターの被毒をもたらし、これは触媒層を被覆するグレーズ層を形成する。
【0012】
エンジンオイル中のZDDPを除去又は減少するための手段が研究されている。ZDDPに代わるものが製造され、これはZDDPに類似する酸化防止性及び耐磨耗性を有することが示されている。しかしながら、ZDDP代替物はコストが高い。エンジンオイルはより少ない量のZDDPで調製することができるが、エンジン磨耗及びオイル酸化の増加という結果を伴う。エンジン磨耗はエンジン寿命を制限し、オイル酸化の増加は有用なオイルの寿命を減少させる。
【0013】
当該分野において、内燃機関の排出ガスなどのガス流を処理するために触媒組成物を利用することは周知である。また、硫黄酸化物(SOX)やリン酸化物(POX)が、このような処理に使用される多くの触媒を毒する、すなわち不活性化しやすいことも周知である。SOXは、ガソリン及びディーゼル燃料中によく見られる硫黄化合物不純物によって生じるため、特に問題である。POXは、オイルを滑らかにするエンジン中のリン化合物から生じる。当該分野では、触媒の前に防護物(例えば、アルミナなど)又はフィルタを設置して、SOX及び/又はPOXから触媒を保護することが知られている。しかしながら、保護物又はフィルタがSOX及び/又はPOXで飽和してきた場合に困難に直面する。
【0014】
特許文献3及び4では、アルミナ含有リン捕捉剤をオイル再循環システム中に入れ、再循環されるオイルから疑わしい成分を除去し、これにより排ガス触媒を保護することが提案されている。しかしながら、このようなシステムは、達成される保護の度合いが十分ではなく、すぐに汚染されたり、オイルから望ましい酸化防止剤を除去する場合がある。先行技術では、吸着剤と触媒を組合わせて使用し、触媒被毒を減らすことが知られている。これは、例えば、非特許文献1などに記載されている。非特許文献1では、NOXが少ないガス中でのNOX削減を扱っており、貴金属(主に白金)、種々のアルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物(主にバリウム酸化物)、及び希土類金属酸化物を含む材料が、アルミナなどの担体上に配置されることが開示されている。非特許文献1の47ページでは、NOX貯蔵化合物及び一般的な担体材料上に分散された触媒成分を使用する説明が開示されている。
【0015】
1993年4月13日に公開された、M.Funabiki等による特許文献5“排ガス浄化用触媒”では、アルミナ、セリウム化合物、ストロンチウム化合物、及びジルコニウム化合物上に分散されたパラジウム及びロジウム触媒金属成分を含む触媒層が担持された耐熱性担体を含む触媒組成物が開示されている。
【0016】
特許文献6、7及び8では、ロジウムを除く白金族金属用の耐熱性酸化物担体を提供するためにバルクセリウム酸化物(セリア)を使用することが開示されている。セリア粒子上には高分散された白金の微結晶が形成され、アルミニウム化合物溶液を含浸させた後に焼成することにより安定化される。
【0017】
特許文献9では、無機基材及び前記基材の表面上に担持された耐熱貴金属系触媒からなる第一多孔質担体層、前記第一多孔質担体層上に堆積された貴金属系触媒を含む第二耐熱非多孔質粒状担体層が開示されている。第2担体層は、第一多孔質担体層の表面上に形成され、触媒被毒に対して耐性を有する。
【0018】
特許文献10では、ハニカム担体及び排ガス浄化に対して触媒作用を有する貴金属からなる排ガス浄化用触媒が開示されている。担体に異なる種類のアルミナ粉末を含む二種のスラリーを塗布した後、アルミナが塗布されたハニカムを貴金属溶液に浸漬させる。
【0019】
特許文献11では、最下層が希土類酸化物を含むアルミナ担体上に分散された白金、又は白金及びロジウムを含み、トップコートがアルミナ、ジルコニア及び希土類酸化物を含む担体上に分散されたパラジウム及びロジウムを含む層状自動車触媒が開示されている。
【0020】
特許文献12では、アルミナ、ランタナ及び他の希土類酸化物からなる担体上に担持されたパラジウムを含む第1層、及びアルミナ、ジルコニア、ランタナ及び希土類酸化物からなる担体上に担持されたロジウムからなる第2コート層を有する層状自動車触媒が開示されている。
【0021】
特許文献13では、排ガス浄化用モノリス3元触媒が開示されている。セリウム酸化物を含む活性アルミナ粉末がセリア粉末とともに分散されたコーティング液でモノリス担体を処理することにより複合酸化物膜を前記担体上に付着させた後、処理された前記担体を焼成する。その後、白金、ロジウム及び/又はパラジウムを、熱分解により前記酸化物膜上に堆積させる。場合により、ジルコニア粉末を前記コーティング液に添加してもよい。
【0022】
特許文献14では、少なくとも1種の酸素貯蔵成分及び少なくとも1種の貴金属成分が分散され、さらに酸化ランタンを含む上層が直接分散されている第1担体、及び必要に応じて第2担体を含む排ガス処理用触媒組成物が開示されている。触媒の層は、酸化ランタンから分離している。貴金属としては、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム及びイリジウムが挙げられる。酸素貯蔵成分としては、鉄、ニッケル、コバルト及び希土類元素からなる群からの金属の酸化物が挙げられる。これらの具体例は、セリウム、ランタン、ネオジウム、プラセオジムなどである。
【0023】
エンジン技術及び排ガス処理技術は、様々な政府規制に従って、排ガスを処理するために十分に活性化されている排ガス処理触媒へエンジンによって移動され、リン及び亜鉛化合物を含有する潤滑油の量を低減させた。しかしながら、エンジン性能は向上し続け、環境規制もより厳しくなっていることから、排ガス触媒活性を向上させて150,000マイルなどより長いエンジン寿命を維持しなければならない。また、燃費が増加するにつれて(例えば、>100,000マイル)、エンジンにより消費されるオイルが増加することも共通する。したがって、エンジンから排気処理触媒へ移動する化合物、特にリン及び/又は亜鉛化合物及び他の化合物のより大きな増加があり得る。低排気自動車は、エンジンオイル又は燃料添加剤毒への耐性とともに、排ガス後処理システムによって利益を受けることができる。
【0024】
【特許文献1】米国特許番号4,674,447
【特許文献2】米国特許番号5,696,065
【特許文献3】日本出願JP 55 151109
【特許文献4】日本出願JP 56 044411
【特許文献5】米国特許番号5,202,300
【特許文献6】米国特許番号4,714,694
【特許文献7】米国特許番号4,727,052
【特許文献8】米国特許番号4,708,946
【特許文献9】日本国特許公報番号52530/1984
【特許文献10】日本国特許公報番号 31828/1985
【特許文献11】日本国特許J−63−205141−A
【特許文献12】日本国特許J−63−077544−A
【特許文献13】米国特許番号4,587,231
【特許文献14】米国特許番号4,923,842
【非特許文献1】出版物 Environmental Catalysis For A Better World And Life、45〜48ページ、イタリア、ピサでの第1回世界会議の議事録、1995年5月1日〜5日、イタリア、ローマのSocieta Chimica Italiana出版、田中等による“The New Concept 3−Way Catalyst For Automotive Lean−Burn Engine Storage and Reduction Catalyst”という表題の論文
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
エンジン性能及び寿命向上の双方の性能を維持する被毒耐性触媒が望まれている。減少した触媒活性を補填するために充填される貴金属を増加させる必要がなく、排ガス触媒寿命を低くする触媒毒を効率的に除去できる、又は前記触媒毒に対して十分に耐性がある方法を提供することが望まれている。
【0026】
本発明は、自動車排ガス処理に使用する新規な被毒耐性触媒を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0027】
触媒の前端で主に生じるエンジンオイル及び/又は燃料添加剤被毒の有害な作用を軽減するために、本発明の触媒では、触媒材料、特に高コストの貴金属成分が、触媒担持構造物の前端の毒捕捉領域(poison capture zone)上をウォッシュコートしない。毒捕捉領域は、入口又は触媒基材の少なくとも上流から0.5センチメーターである。したがって、触媒担持構造物の極めて上流端上の毒捕捉領域に堆積し易いリンは、他の有毒堆積物と同様に、いかなる触媒物質をも妨害又は不活性化することはない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態である被毒耐性を有する排ガス浄化触媒における各層の構造を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態である被毒耐性を有する排ガス浄化触媒における各層の他の構造を示す概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の触媒構造体は、亜酸化窒素の還元、炭素質材料(一酸化炭素、炭化水素、酸素含有有機化合物など)のメタン化、特に酸化など、分子あたりの酸素の質量パーセントがより高い生成物(例えば、中間酸化生成物、二酸化炭素、水など)への化学反応を促進させるために用いることができる。二酸化炭素及び水は、大気汚染の観点からは比較的、害がないものである。好ましくは、本発明の触媒は、一酸化炭素、炭化水素、及び主に炭素、水素及び酸素からなる中間酸化生成物、又は窒素酸化物など、未燃焼の又は部分的に燃焼された炭素質燃料成分をガス状排出物から除去するために用いられる。
【0030】
比較的低温で多少の酸化反応または還元反応が生じる場合があり、このような反応は、高温、すなわち少なくとも約150℃、好ましくは約200℃〜900℃で、通常は気相の原料とともに起こる。酸化されやすい材料は通常は炭素を含むことから、前記材料が実際は有機であろうとう無機であろうと炭素質と言う。したがって、前記触媒は、炭化水素、酸素含有有機成分、及び一酸化炭素の酸化、窒素酸化物の還元を促進させるのに有用である。これらの種類の材料は炭素質燃料の燃焼から排ガス中に存在し、前記触媒はこのような排出物中の材料の酸化又は還元を促進させるのに有用である。他の排ガスと同様に、炭化水素燃料で作動する内燃エンジンからの排気は、触媒及び分子状酸素との接触により酸化される。前記分子状酸素は、排出物の一部としてガス流中に存在するか、エアポンプなどによって空気として又はより高い若しくはより低い酸素濃度を有する他の形態として添加することができる。前記酸化による生成物は、酸化に供される供給材料よりも炭素に対する質量比がより高い酸素を含む。多くのこのような反応システムは当該技術において知られている。
【0031】
自動車排ガス触媒組成物は、通常、好ましい熱耐性及び化学耐性基材上に塗布される。触媒塗布組成物は、スラリー又は液状の形態で基材上に塗布される場合には、ウォッシュコートと呼ばれる。このような自動車触媒組成物は、リン、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、硫黄、及び他の化合物に由来する潤滑油又は燃料添加剤による被毒の影響を受け易い。毒は、ウォッシュコートの表面上に堆積し、物理的な拡散障壁を形成する恐れがあり、又はウォッシュコート中の触媒材料と相互に作用して触媒活性の損失を招く、及び/又はフォーム、スクリーン及び壁流フィルタ(wallflow filter)などの特定のフィルタへの障害となる恐れがある。毒の程度及び種類は、エンジン設計、操作条件及び触媒の位置によって異なる。排ガス浄化装置の開発において、通常は排ガス浄化装置、特に触媒コンバーター中の毒汚染の種類及び毒の影響を知ることは重要である。
【0032】
公知の3元(TWC)触媒は、優れた活性と長い寿命を有し、高表面積のアルミナ被覆物などの高表面積の耐熱性酸化物担体上に担持された一種以上の白金族金属(例えば、白金又はパラジウム、ロジウム、ルテニウム、及びイリジウム)を含む。前記担体は、耐熱セラミックからなるモノリス基材又は金属ハニカム構造物、又は耐熱性材料の球状若しくは短い押し出し物等の耐熱性粒子など、適切な担体又は基材上に担持される。
【0033】
本発明の触媒は、貴金属を含まない毒捕捉領域を有する。毒捕捉領域は、有毒な堆積物の有害な作用を軽減する働きを有する。毒捕捉領域とは、触媒基材の入口又は上流から少なくとも0.5cmとする。毒捕捉領域は、通常、触媒基材の上流から0.5〜5.0cmである。毒捕捉領域は、貴金属触媒成分を実質的に含まない。毒捕捉領域は、基材のコーティングされていない上流端又は有効量の貴金属を含まない塗膜からなる。毒捕捉領域は、無機毒をより効率的に捕捉するために、多孔質であるのが好ましい。また、触媒基材の上流端から1.0〜3.5cm、1.5〜2.5cmの長さを有する毒捕捉領域が挙げられる。触媒コンバーターへのガス入口は、通常、セルの周囲の長さで割った断面積により規定される水力直径関数Dhなどとして、通常は初めの1.5センチメートル以内で、触媒コンバーターの上流域に乱流域を形成する。触媒毒(P、Mn、Zn、Caなど)は、主に、触媒コンバーターの初めの2.5センチメートル以内に堆積する。本発明は、毒捕捉領域が貴金属成分でコーティングされない新しい触媒構造物を開示する。したがって、堆積した毒は、有用な触媒材料を汚す、阻害する、又は不活性化することができない。触媒耐性及び寿命を向上させることにより、長期間経過後の有害な付着物に対応させた過剰量の高価な触媒材料の使用を回避できる。
【0034】
毒捕捉領域の長さは、貴金属が塗布されていない触媒基材表面の長さでもあり、上流端から下流端への触媒基材の長さの百分率としても記載することができる。通常は、毒捕捉領域は、触媒基材の長さの3〜70%からなる。また、触媒基材の長さの10〜60%、20〜50%からなる毒捕捉領域が挙げられる。触媒基材の30%以下の毒捕捉領域も挙げられる。
【0035】
本発明の排ガス処理触媒は、少なくとも二種のウォッシュコート、通常は貴金属を含まないベースコート及び貴金属含有トップコートを、ハニカムモノリスなどの担体構造物に塗布することにより形成される。初めに、担体構造物全体にベースコートを塗布する。ベースコートは、S−、P−、及び/又はMn−含有種と相互に作用して、これらの毒をベースコート域中に捕捉又は維持する成分を含んでいてもよい。このような成分の例としては、アルミナ、バリウム、カルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、及び/又はセリウム酸化物が挙げられる。次に、毒捕捉領域又はベースコートの上流部を、水、アルミナスラリー又は貴金属成分を含まない他の液体でプレウェット(pre−wet)する。その後、貴金属成分及び通常は酸素貯蔵成分を含む少なくとも一種のトップコートをベースコート上に塗布する。ベースコートの毒捕捉領域のプレウェット処理、すなわち多孔質ベースコート及び基材に水をしみ込ませ、トップコートの固体/水量を調整するのは、次の触媒ウォッシュコートが毒捕捉領域と結合するのを抑制する。これにより、基材の上流端部、基材の上流端から約0.5〜5.0cmが貴金属を含まない。塗布方法は、毒捕捉領域を除いて、ベースコートの一部分のみを覆うウォッシュコートとして、貴金属含有トップコートを塗布するように行われる。大部分の有害な堆積物は、通常は、毒捕捉領域内に堆積する。毒捕捉領域内での従来の触媒毒からの障害なく、貴金属成分の全触媒活性及び長期耐性が向上する。逆に、古くなった触媒活性及び耐性の増加は、触媒系内の高価な貴金属の必要量を減少させることができる。
【0036】
貴金属成分は、金、銀及び白金族金属よりなる群から選択される1種以上の貴金属をからなる。本発明の触媒は、炭化水素及び二酸化炭素の酸化及び窒素酸化物の還元に対して著しく向上された触媒活性を有する組成物を与えるために十分な量で、少なくとも1種の貴金属成分を含む。ここで、用語“貴金属成分”とは、金、銀、及び白金、パラジウム、オスミウム、ロジウム、ルテニウム及びイリジウム成分を含む“白金族金属成分”が挙げられ、このような全ての白金族金属の化合物、錯体の他、焼成又は使用の際に分解するか触媒活性形態に転化するもの、すなわち通常は貴金属又は貴金属酸化物を意味する。
【0037】
白金族金属触媒成分などの貴金属成分は、担体、好ましくは活性化アルミナ及び/又はセリア−ジルコニア複合担体粒子上で触媒成分を分散させるため、任意の白金族金属の化合物及び/又は錯体であるのが好ましい。触媒金属化合物を担体粒子状に含浸又は堆積させるために用いられる液体が、触媒金属又はその化合物若しくは錯体、又はスラリーの他の成分と不利に反応せず、且つ加熱及び/又は真空下での気化又は分解により触媒から除去できるものであれば、一種以上の白金族金属成分の水溶性化合物又は水分散性化合物又は錯体を使用することができる。ある場合では、液体の除去が、触媒が用途に設置され、操作の間に生じた高温に供されるまで完了しなくてもよい。
【0038】
通常、経済及び環境の双方の面から、白金族金属の水溶性化合物又は錯体の水溶液が好ましい。例えば、好ましい化合物は、塩化白金酸、アミン可溶化白金水酸化物錯体、塩化ロジウム、硝酸ロジウム、ヘキサミンロジウム塩化物(hexamine rhodium chloride)、硝酸パラジウム、又は塩化パラジウムなどが挙げられる。焼成工程の間、又は少なくとも触媒を使用する初期段階の間に、このような化合物は白金族金属又はこれらの化合物の触媒活性形態、通常は酸化物に変えられ、基材上に固定される。
【0039】
貴金属成分を固定する方法は、貴金属成分を耐熱性酸化物担体上に化学的に固定する工程からなってもよく、又は代わりに、固定する工程が貴金属成分を熱処理する工程からなってもよい。前記固定工程は、耐熱酸化物担体上の貴金属成分を焼成する固定からなる。焼成工程は、180℃、好ましくは200℃から900℃で、0.2〜10時間行うことができる。それぞれの層を熱的に固定する工程は、塗布後、及び次の層を塗布する前に行うことができる。代わりに、基材を熱処理する工程を、全ての層を塗布した後に行うこともできる。このような処理は、180℃〜400℃で、10〜60秒間である。焼成工程は、全ての層を塗布した後に行うのが好ましい。焼成工程は、200℃〜900℃で、0.2〜10時間行われる。
【0040】
通常、一種以上の貴金属含有トップコートは、酸素貯蔵成分を含む。酸素貯蔵成分は、一種以上の希土類金属の一種以上の還元可能な酸化物を含む。好ましい酸素貯蔵成分の例としては、セリア、セリウム及びジルコニウムの複合酸化物、セリウム、ジルコニウム、プラセオジウム、ランタン、及びネオジウムの複合酸化物が挙げられる。酸素貯蔵成分は、混合又はバルク形態であるのが好ましい。混合又はバルク形態とは、担体貴金属を含む溶液中に溶解されたものとは反対に、酸素貯蔵成分が分離しているが同一の結晶粒子として存在することを意味し、直径が0.1〜15マイクロ程度又はこれよりも小さい。バルクセリウム酸化物(セリア)は、ロジウム以外の白金族金属用の優れた耐熱性酸化物を提供し、セリア粒子上で小結晶の白金を高分散させることができる。バルクセリアはアルミニウム化合物溶液を含浸させた後に焼成することにより安定化することができる。C.Z.Wan等による米国特許番号4,714,694では、任意に活性化アルミナが混合されたアルミニウム安定化バルクセリアが、白金族金属成分を含浸するための耐熱性酸化物担体としての役割を有することが開示されている。また、ロジウム以外の白金族金属触媒用の触媒担体として、バルクセリアを使用することも、C.Z.Wan等による米国特許番号4,727,052及びオオハタ等による米国特許番号4,708,946において開示されている。
【0041】
酸素貯蔵成分組成物は、酸素貯蔵成分、セリア、及び希釈成分、好ましくはジルコニアからなる。任意に、酸素貯蔵組成物は、ネオジウム及びプラセオジウム成分をさらに含んでいてもよい。これらは、構造安定性及び/又は化学活性を促進させると考えられる。さらに、プラセオジウムは、酸素貯蔵成分として作用すると考えられる。希釈成分は、白金族金属成分の触媒活性に悪影響を及ぼさないように白金族金属成分との相互作用に対して不活性である、任意の適切なフィラーであってもよい。有用な希釈材料は、耐熱酸化物、好ましくは触媒基材として用いられる後記するのと同じ種類の材料である耐熱酸化物である。したがって、酸素貯蔵組成物は、550℃〜1100℃の温度など、高温環境下で使用される場合であっても、不活性化に対して安定である。
【0042】
前記組成物において好ましい酸素貯蔵組成物は、ネオジミア、プラセオジミア、ランタナ、及び他の希土類酸化物を任意に含むセリア−ジルコニア複合物からなる。上述したジルコニウム及び希土類組成物は、セリア、ネオジミア、プラセオジミア、及びジルコニアが相互に近接するようにするため、粒子形状である。これらの成分を含む粒子は相互作用によって有用であると考えられる。成分の近接が維持される限り、組成物を触媒組成物にいかなる形態で、好ましくは複合体又はバルク(微粒子状)形態で添加することができる。
【0043】
図1に、オイルに基づく毒などに対して耐久性がある、本発明の排ガス浄化触媒の構成を示す。本発明の実施形態において、参照番号10により概して図示した触媒は、ハニカム基材12、ベースコート14、及び二種の貴金属含有層16及び18を含み、層18のみ毒捕捉領域20を有する。本発明の実施形態において、ベースコート層14は、基材12の全体上に設置される。ベースコート14は、通常は、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、シリカ−アルミナなどの耐熱性金属酸化物、バリウム又はストロンチウム酸化物などのアルカリ土類酸化物、ランタン又はセリウム酸化物などの希土類酸化物であり、貴金属(PM)を含まない、少量の貴金属を含んでいてもよく、又は完全に除去されていてもよい。通常、ベースコートは、5.0g/ft3未満、より好ましくは約0.5〜2.0g/ft3の貴金属を含む。第1触媒層は、ベースコート14又は露出している基材12の全体上に付加される。第1触媒層16は、耐熱性酸化物担体上に含浸された貴金属成分及び酸素貯蔵成分(OSC)を含む。第2触媒層18は、第1触媒層と同じ又は類似し、第1触媒層16上に設置され、毒捕捉領域20を有する。毒捕捉領域は、触媒10の貴金属を含まない上流端である。図のように、毒捕捉領域20は、下位層のコートされていない部分である。もしくは、毒捕捉領域は、いかなる有効な触媒濃度の貴金属を含まない膜21からなってもよい。膜21は、耐熱物又は希土類酸化物などからなる。未コート部20又は膜21は、触媒10の上流端22から約0.5〜5.0cmの長さからなる。第2触媒層18は、毒捕捉領域20を除いて、第1触媒層の一部又は全体を被覆してもよい。第2触媒層18は、高濃度の貴金属成分を含み、且つ通常は酸素貯蔵成分を含み得る。貴金属及びOSC含有層は、通常、約5〜500g/ft3の貴金属充填量を含む。貴金属の充填量は、20〜150g/ft3、50〜100g/ft3が挙げられる。OSC濃度は、0〜2.5g/in3、0.2〜1.0g/in3が挙げられる。
【0044】
図2に、本発明の排ガス浄化触媒の他の構成を示す。図2において、触媒は、参照番号30により示している。本発明の実施形態において、触媒30は、ハニカムモノリスなどの基材32、この上に塗布された3種の層を有し、このうち2種の層が毒捕捉領域を有する。ベースコート層34は、基材32の全体上に設置され、通常は貴金属成分を含まないアルミナなどの耐熱酸化物からなる。第1触媒層36は、ベースコート層34に沿ってコートされていない毒捕捉領域38を有する。第1触媒層36は、毒捕捉領域38を除いて、ベースコート層34の全体を覆う。第1触媒層36は、貴金属成分及び酸素貯蔵成分を含む。毒捕捉領域を有する第2触媒層40は、第1触媒層36上へ付加される。第2触媒層40は、毒捕捉領域38を除いて、第1触媒層36の一部又は全部を被覆することができる。第2触媒層40は、貴金属成分及び酸素貯蔵成分を含む。貴金属成分及び酸素貯蔵成分の濃度は、上述した図1と同様である。また、触媒30の先端42からの毒捕捉領域38の長さも上述した図1と同様である。図1に対して、毒捕捉領域39は、耐熱物又は希土類酸化物などの貴金属を含まない膜39からなってもよい。
【0045】
他の層及び異なる層構造の付加は、本発明の概念及び範囲内であれば行ってよい。貴金属を含むいかなる層が、上述した毒捕捉領域に与えられてもよい。具体的に記載する実施例は、本発明の可能性のある多くの実施形態のうちの僅かである。
【実施例】
【0046】
この実施例では、図1に示すような触媒を形成した。
【0047】
毒捕捉第1層をセラミックハニカム上に形成した。ミリングを行う前に、92.8部のガンマ−アルミナを、7.3部のアルミナベースバインダー、2.9部のジルコニアベースバインダー、562部のDI−水、及び70部の90%濃酢酸と混合し、固形分濃度40%のスラリーを調製した。90%の粒子が10ミクロン未満となった粒径分布を示すまで、ミリングを行った。
【0048】
ミリング後、スラリーを、セラミックハニカム(900セル/平方インチ(cpsi)、壁厚2.5mils)上に塗布した。塗布は、スラリー中にハニカム基材を浸漬させ、スラリーを乾燥させた後、圧縮空気で過剰なスラリーを吹き飛ばすことにより行った。塗布されたハニカムを100℃で4時間乾燥した後、550℃で2時間焼成した。
【0049】
次に、下記手順により中間層を形成した。プラネタリーミキサー中で、0.9部のRhを、二種の安定化したCe−Zr化合物の混合物中に導入した。一方の化合物は、78.1部の30%CeO2含有Ce−Zr複合体からなり、他方の化合物は17.3部の5%CeO2含有Ce−Zr複合体であった。全ての孔隙を満たすのにちょうど十分な程度の水溶液量でRhを希釈した。Rh含有Ce−Zr複合体を、十分なDI−水及び4部の酢酸を含む溶液に添加し、90%の粒子が9ミクロン未満となった粒径分布が得られるまでミルにかけた。ミルにかけた後、0.9部のジルコニアバインダー及び2.8部のアルミナバインダーをRh含有スラリーに添加し、最低10分間、せん断混合した。
【0050】
最後のRhスラリーを、6.5部の水を添加することにより37%固形分濃度に調整し、上述した毒捕捉第1層がすでに塗布されたセラミックハニカム上に塗布した。塗布されたハニカムを、110℃で4時間乾燥した後、430℃で2時間焼成した。全ての計算は、金属質量基準に基づいた貴金属を除く金属酸化物基準に基づく。
【0051】
次に、貴金属含有最上層を形成した。プラネタリーミキサー中で、87部の安定化ガンマ−アルミナに4.14部のPdを含浸させた。Pdは、アルミナのインシピアントウエットネス(Incipient Wetness)法により、通常のPd水溶液として希釈液で導入した。Pd含有アルミナ粉末を、7.2部のSr(OH)2、2.9部の水酸化ジルコニウム、及び十分なDI−水と混合し、10分間、十分に混合した。ミリングをする前に、混合物を少なくとも6部の酸で酸性化し、pHが5未満であり42%固体含有量のスラリーを得た。90%の粒子が10ミクロン未満となった粒径分布が示されるまでミリングを行った。
【0052】
ミリングしたPd含有スラリーを、毒捕捉第1層及びRh含有第2層がすでに塗布されたセラミックハニカム上に塗布する前に、塗布されたハニカム基材の入口部(基材の最先端から基材の中心へ向かって10mm)を、前の二種の塗膜の孔隙を満たすのに十分な16部の水でプレウェットした。当該工程で、所望のプレウェット領域の長さを決定する前に、試験片を軸方向の長さに対する“吸水性”を試験するのが好ましい。
【0053】
当該実施例において、10mmを毒捕捉領域の長さとして選択した。前方の10mmを湿らせた後、ミリングしたPd含有スラリーをプレウェッティング側(入口)から計量給送し、すぐに圧縮空気又はエアーナイフで塗布した基材に押し付けた。スラリーの固体含有量は、スラリーが動いて軸方向に基材を被覆した程度を決定する。この場合、37%の固体含有量のスラリーは、37.5mmの軸方向の長さを移動した。固体含有量が低い場合、スラリーは軸方向の長さ全体を被覆し、過剰量のスラリーを基材から吹き飛ばすことができる。基材中の被覆された流路を洗浄した後、すぐに塗布されたハニカムを110℃で少なくとも4時間乾燥し、550℃で少なくとも2時間焼成した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイル及び/又は燃料に由来する添加剤による毒に対して優れた耐性を有する自動車排ガス処理触媒であって、
排ガスと最初に接触する上流端を有する基材;
必要に応じて、前記基材に塗布され、且つ貴金属を含まない又は低濃度で貴金属を含むベースコート;
前記ベースコート又は前記基材上に設置され、且つ前記ベースコートよりも高濃度の貴金属を含む貴金属含有第1触媒層;
必要に応じて、前記第1触媒層上に設置された少なくとも一層の貴金属含有追加触媒層;
を含み、
前記第1触媒層又は前記少なくとも一層の追加触媒層のいずれか一方、又は前記貴金属含有触媒層の全てが、貴金属を含まない毒捕捉領域を有し、
前記毒捕捉領域が、前記上流端から0.5〜5cmの長さを有することを特徴とする自動車排ガス処理触媒。
【請求項2】
前記ベースコートが、Ba、Sr、Ca、Mg、La、Ce、Pr及びNaから選択されるリン及び/又は硫黄を捕捉する材料を含む請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記貴金属成分が、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、及び金よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
前記触媒層が、耐熱性酸化物担体上に担持された少なくとも一種の貴金属を含むことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項5】
排ガス流を、オイル及び/又は燃料に由来する添加剤による毒に対して優れた耐性を有する触媒と接触させる工程を含む自動車排ガスの処理方法であって、
前記触媒が、
排ガスと最初に接触する上流端を有する基材;
必要に応じて、前記基材に塗布され、且つ貴金属を含まない又は低濃度で貴金属を含むベースコート;
前記ベースコート又は前記基材上に設置され、且つ前記ベースコートよりも高濃度の貴金属を含む貴金属含有第1触媒層;
必要に応じて、前記第1触媒層上に設置された少なくとも一層の貴金属含有追加触媒層;
を含み、
前記第1触媒層又は前記少なくとも一層の追加触媒層のいずれか一方、又は前記貴金属含有触媒層の全てが、貴金属を含まない毒捕捉領域を有し、
前記毒捕捉領域が、前記上流端から0.5〜5cmの長さを有することを特徴とする自動車排ガスの処理方法。
【請求項6】
ベースコートを有し、且つ前記ベースコートが、0g/ft3から5.0g/ft3未満の濃度で貴金属を含むことを特徴とする請求項1又は5に記載の触媒。
【請求項7】
前記第1触媒層及び前記少なくとも一層の追加触媒層が、貴金属成分及び酸素貯蔵成分を含むことを特徴とする請求項1又は5に記載の触媒。
【請求項8】
前記酸素貯蔵成分が、セリア、セリウム及びジルコニウムの複合酸化物、並びにセリウム、ジルコニウム、プラセオジウム、ネオジウム、及び/又は酸化ランタン又は酸化イットリウムなどの安定剤の複合酸化物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の触媒。
【請求項9】
前記基材が、ハニカムモノリスであることを特徴とする請求項1又は5に記載の触媒。
【請求項10】
少なくとも二層の触媒層が存在する請求項1又は5に記載の触媒。
【請求項11】
前記貴金属含有触媒層のそれぞれが前記毒捕捉領域を有する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
オイル及び/又は燃料に由来する添加剤による毒に対して優れた耐性を有する自動車排ガス処理触媒であって、
排ガスの最初に接触する上流端及び下流端を有する基材(前記基材の長さは、前記上流端から前記下流端まで測定する);
必要に応じて、前記基材に塗布され、且つ貴金属を含まない又は低濃度で貴金属を含むベースコート;
前記ベースコート又は前記基材上に設置され、且つ前記ベースコートよりも高濃度の貴金属を含む貴金属含有第1触媒層;
必要に応じて、前記第1触媒層上に設置された少なくとも一層の貴金属含有追加触媒層;
を含み、
前記第1触媒層又は前記少なくとも一層の追加触媒層のいずれか一方、又は前記貴金属含有触媒層の全てが、貴金属を含まない毒捕捉領域を有し、
前記毒捕捉領域が、前記上流端から前記基材の長さの3〜70%の長さからなることを特徴とする自動車排ガス処理触媒。
【請求項13】
前記毒捕捉領域が、前記上流端から前記基材の長さの10〜60%の長さからなることを特徴とする請求項12に記載の触媒。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−6179(P2013−6179A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−179690(P2012−179690)
【出願日】平成24年8月14日(2012.8.14)
【分割の表示】特願2008−521409(P2008−521409)の分割
【原出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(507276151)ビーエーエスエフ コーポレーション (47)
【住所又は居所原語表記】100 Campus Drive, Florham Park, NJ 07932, USA
【Fターム(参考)】