説明

自動車用キーレスエントリー装置用アンテナの取付け構造

【課題】従来の取付けブラケットを廃止してコストダウンをすると共に、ドアトリムメーカ側において取付けブラケットへのキーレスエントリー装置用アンテナの取付け作業が可能になるように構成した。
【解決手段】ドア本体の車室側に張設されるドアトリム1のウエスト部を構成すべくドアトリム1の上部側に別体のウエストガーニッシュ5を取付け、ウエストガーニッシュ5の裏面側に、ドア開閉動作感知用アンテナ10を装着するための取付けブラケット8を一体形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車のドアロック開閉用キー或いはドアを開閉するアウトサイドハンドルの近傍に取付けられた押しボタンの作動信号を感知して、ドアロックを鍵穴にドアロック開閉用キーを挿入して回動させることなく、ドアロックを開閉するように構成したキーレスエントリー装置用アンテナの取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来におけるこの種のキーレスエントリー装置用アンテナの取付け構造は、例えば、図6及び図7に示すものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−303819号公報
【0004】
図6及び図7によれば、アウタパネルaとインナーパネルbとを接合することにより、ドア袋部cを有するドア本体dを構成しており、インナーパネルbを開口することにより、ドア袋部c内にドアガラスeを昇降させる昇降装置やドアロック装置(いずれも図示せず)を収容配置して構成している。
【0005】
そして、インナーパネルbの車室側には、取付け孔f、fを穿設しておき、取付け孔f、fに捩子g、gをそれぞれ螺合することにより、別体構成の取付けブラケットhを装着し、取付けブラケットhにアンテナ取付け係合部iを形成して、アンテナ取付け係合部iにキーレスエントリー装置用アンテナjの一端を係合すると共に、キーレスエントリー装置用アンテナjの他端を螺子kを使用して取付けブラケットhに取付けるように構成していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来の技術においては、キーレスエントリー装置用アンテナjは、別体構成の取付けブラケットhを使用してインナーパネルbに装着されることになり、取付けブラケットh自体のコストは勿論、取付けブラケットhの取付け工数を要することになってコストアップの要因となり、しかも、取付けブラケットhをインナーパネルb自体に直接取付けることから、シャシーメーカ側において取付けブラケットhを取付けることになってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、従来の取付けブラケットを廃止してコストダウンをすると共に、ドアトリムメーカ側において取付けブラケットへのキーレスエントリー装置用アンテナの取付け作業が可能になるように構成した自動車用キーレスエントリー装置用アンテナの取付け構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る自動車用キーレスエントリー装置用アンテナの取付け構造は、ドア本体の車室側に張設されるドアトリムに、キーレスエントリー装置用アンテナを装着するための取付けブラケット部を一体形成したことを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、ドア本体の車室側に張設されるドアトリムに、キーレスエントリー装置用アンテナを装着するための取付けブラケット部を一体形成したことから、従来のような別体構成の取付けブラケットを廃止すると共に、当該ブラケットの取付け工数を不要とし、ドアトリムメーカにおいてキーレスエントリー装置用アンテナを装着することができ、ドアトリムのモジュール化に寄与することになる。
【0010】
また、本発明は、前記取付けブラケット部を、前記ドアトリムのウエスト部を構成すべく該ドアトリムの上部側に取付けられた別体のウエストガーニッシュに一体形成するようにしても良い。
【0011】
かかる構成により、ドアトリムにウエストガーニッシュを取付ける前に、キーレスエントリー装置用アンテナをウエストガーニッシュに取付けることができ、ドアトリムより軽量なウエストガーニッシュへの取付け作業となって、キーレスエントリー装置用アンテナの取付け作業が軽量作業とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成する本発明によれば、ドア本体の車室側に張設されるドアトリムに、キーレスエントリー装置用アンテナを装着するための取付けブラケット部を一体形成したことから、従来のような別体構成の取付けブラケットを配すると共に、当該ブラケットの取付け工数を不要とし、ドアトリムメーカにおいてキーレスエントリー装置用アンテナを装着することができることになり、ドアトリムのモジュール化に寄与することになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態を採用した自動車用ドアトリムの斜視図である。
【図2】図1におけるドアトリムから取外したウエストガーニッシュの要部を描画した要部拡大斜視図である。
【図3】図2におけるウエストガーニッシュからドアロック開閉感知用アンテナを取外すことによって描画した分解斜視図である。
【図4】本発明の別の実施の形態を採用したドアトリムのから取り外したウエストガーニッシュの要部を描画した要部拡大斜視図である。
【図5】図4におけるウエストガーニッシュからドアロック開閉感知用アンテナを取外すことによって描画した分解斜視図である。
【図6】従来における自動車のドア本体を描画した斜視図である。
【図7】図5におけるドアロック開閉感知用アンテナを取外すことによって描画した要部拡大分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る実施の形態について、図1乃至図3を用いて説明する。
【0015】
図1は本発明の実施の形態を採用した自動車用ドアトリムの斜視図、図2は図1におけるドアトリムから取外したウエストガーニッシュの要部を描画した要部拡大斜視図、図3は図2におけるウエストガーニッシュからドアロック開閉感知用アンテナを取外すことによって描画した分解斜視図である。
【0016】
先ず、図1において、不図示のドア本体の車室側に張設されるドアトリム1は、例えばアームレスト2、スピーカグリル3或いはポケット部4等を装備したロアトリム1aとロアトリム1aの上部側に位置して接合されるアッパートリム1bとを有して構成している。
【0017】
アッパートリム1bの裏側には、ウエストガーニッシュ5が対向配置された状態で装着されている。
【0018】
ウエストガーニッシュ5は、図2及び図3に示すように、上部側にアッパートリム1bのウエスト部1b−1に対向する棚部5aを有すると共に、棚部5aの一端部から一旦下向きに延在するように形成された縦壁部5bと、縦壁部5bの下端からドアトリム1側に折曲延在した状態で形成された横壁部5cと、棚部5a、縦壁部5bおよび横壁部5cの各側端部を連続させるように形成された側壁部5dとが一体となって、構成されている。
【0019】
縦壁部5bには、ドアトリム1の左右方向(自動車の前後方向)に互いに離間するように、アンテナ係合部6とアンテナ止着部7とが一体に形成され、アンテナ係合部6とアンテナ止着部7とによって、キーレスエントリー装置用アンテナ10を装着するための取付けブラケット部8を構成している。
【0020】
アンテナ係合部6は、図3に明示するように、ウエストガーニッシュ5の縦壁部5bに一体に這設形成されたベース部6aと、ベース部6aの一端側におけるウエストガーニッシュ5の上下方向に対向するように起立形成されると共に先端部が互いに内向きに折曲された係合部6b−1を有する一対の係合片6bと、ベース部6aの他端側に形成された一対の押上げ突起6cとを一体に形成して構成されている。
【0021】
又、アンテナ止着部7は、ウエストガーニッシュ5の上下方向に互いに対向するとともに先端部が外側向きの鉤状突起7a−1に形成された止着片部7aと、止着片部7aに添設形成されて止着片部7aをそれぞれ補強する一対の補強リブ部7bとを有して構成している。
【0022】
キーレスエントリー装置用アンテナ10は、ドアロック開閉動作を感知するアンテナ本体部10aと、アンテナ本体部10aの一端側に設けられた二股状の被係合部10bと、アンテナ本体部10aの他端側から延在して不図示のドアロック開閉装置にコネクタ10dを介して接続されているリード線10cを有して、構成している。
【0023】
そして、キーレスエントリー装置用アンテナ10は、ウエストガーニッシュ5の裏側に装着されるのであるが、この場合、先ず、リード線10cを両係合片6bにおける先端部隙間が形成するスリット部6dを通した状態で、アンテナ本体部10aをベース部6aと両係合部6b−1との間に挿入係合し、その後、被係合部10bを係合部6b−1を挿通するまで係合片6bに挿入し、被係合部10bを係合部6b−1に係合させる。
【0024】
この時、アンテナ本体部10aが押上げ突起6cによって係合部6b−1側に押し上げられることになって、アンテナ本体部10аの一端が両係合部6b−1に密着係合するとともに、被係合部10bが係合部6b−1に密着係合することになり、キーレスエントリー装置用アンテナ10は、ウエストガーニッシュ5に装着されることになる(図2に示す状態)。
【0025】
かかる構成により、上記実施の形態においては、ドアトリム1を構成するアッパートリム1bに装着されるウエストガーニッシュ5に、キーレスエントリー装置用アンテナ10を装着するための取付けブラケット部8を一体形成したことから、従来のような別体構成の取付けブラケットを配する必要がなく、又、別体構成のブラケットを取付けるための工数を必要とせず、ドアトリムメーカにおいてキーレスエントリー装置用アンテナ10を装着することができ、ドアトリム1のモジュール化に寄与することになる。
【0026】
又、取付けブラケット部8を構成する一対の係合片6bを離間させてスリット部6dが形成され、スリット部6dを利用してキーレスエントリー装置用アンテナ10のリード線10cの這設がスリット6eを潜らせるだけで可能となり、作業性を向上させることができる。
【0027】
図4及び図5は、本発明における他の実施の形態を示している。
【0028】
図4及び図5によれば、上記実施の形態に対して、アンテナ止着部7の構成を変形したものであり、アンテナ止着部7は、円筒状ボス形状に形成した止着片部7aと、止着片部7aの外周側に止着片部7aの補強を兼ねるように這設立設された受けリブ7cとで構成し、止着片部7aにキーレスエントリー装置用アンテナ10におけるやはり二股状に形成した被係合部10bを挿入し、被係合部10bを受けリブ7cに載せた後、捩子9を、被係合部10bに相通させた後、止着片部7aに螺合することによって、被係合部10bをねじ9と受けリブ7cとの間で挟合して、キーレスエントリー装置用アンテナ10の他端部を止着するように構成している。キーレスエントリー装置用アンテナ10の一端側の装着構成は、前記実施の形態と同様であるので、説明を割愛する。
【0029】
かかる構成により、上記実施の形態と同様に、ドアトリム1を構成するアッパートリム1bに装着されるウエストガーニッシュ6に、キーレスエントリー装置用アンテナ10を装着するための取付けブラケット部8を一体形成したことから、従来のような別体構成の取付けブラケットを配する必要がなく、又、別体構成のブラケットを取付けるための工数を必要とせず、ドアトリムメーカにおいてキーレスエントリー装置用アンテナ10を装着することができ、ドアトリム1のモジュール化に寄与することになる。
【0030】
又、取付けブラケット部8を構成する一対の係合片6bを離間させてスリット部6dが形成され、スリット部6dを利用してキーレスエントリー装置用アンテナ10のリード線10cの這設がスリット6eを潜らせるだけで可能となり、作業性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上説明したように、本発明は、ドア本体の車室側に張設されるドアトリムに、キーレスエントリー装置用アンテナを装着するための取付けブラケット部を一体形成したことから、従来のような別体構成の取付けブラケットを配すると共に、当該ブラケットの取付け工数を不要とし、ドアトリムメーカにおいてキーレスエントリー装置用アンテナを装着することができることになり、ドアトリムのモジュール化に寄与することになるために、例えば、自動車のドアロック開閉用キー或いはドアを開閉するアウトサイドハンドルの近傍に取付けられた押しボタンの作動信号を感知して、ドアロックを鍵穴にドアロック開閉用キーを挿入して回動させることなく、ドアロックを開閉するように構成したキーレスエントリー装置用アンテナの取付け構造等に好適であるといえる。
【符号の説明】
【0032】
1 ドアトリム
5 ウエストガーニッシュ
8 取付けブラケット部
10 キーレスエントリー装置用アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア本体の車室側に張設されるドアトリムに、キーレスエントリー装置用アンテナを装着するための取付けブラケット部を一体形成したことを特徴とする自動車用キーレスエントリー装置用アンテナの取付け構造。
【請求項2】
前記取付けブラケット部を、前記ドアトリムのウエスト部を構成すべく該ドアトリムの上部側に取付けられた別体のウエストガーニッシュに一体形成したことを特徴とする請求項1に記載の自動車用キーレスエントリー装置用アンテナの取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−42320(P2011−42320A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193270(P2009−193270)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(000124454)河西工業株式会社 (593)
【Fターム(参考)】