説明

自動車用コンパクトなペダルシステム

中立位置(PN)にペダルレバー(1)を移動可能なペダル戻しばね(2)を有するペダルレバー(1)と、回転中心(M)の回りを回転可能で、通電状態でペダルレバー(1)に、ペダルレバー(1)の中立位置(PN)の方向にリセット力(F)を作用可能な電気モータ(4)と、電気モータ(4)の中立位置(MN)の方向に電気モータ(4)を戻すモータ戻しばね(8)と、電気モータ(4)を制御するための制御ユニット(10)とを実質的に備える力リセット装置を有するペダルシステム。電気モータ(4)は、ロータ(11)と、ロータ(11)と駆動ディスク(6)との間で、電気モータ(4)のシャフト(13)に配置されたステータ(12)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部分に記載の自動車用のコンパクトペダルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車業界では、車両ドライバに走行安全性、走行快適性および走行効率に関して支援する動向がある。この例には、レーン保持システムあるいは巡航制御機能を持つシステムがある。このような状況では、自動車の走行動作は、測定された車両パラメータおよび環境パラメータに基づく支援態様で影響される。このために作用させるべき力の多くは、電気モータ等の電気機械システムで形成される。
【0003】
例えば、速度の調整中では、力フィードバックシステムと称されるシステムが、特に、スピードコントローラあるいはスピードリミッタとして同時に作用し、所定の速度値を超えたときの警報装置として機能する。このような状況では、追加のリセット力が、増速のためにドライバが足でアクセルペダルに加えた力に対抗する。この追加のリセット力の大きさは、速度の設定点からの偏差の大きさに従う。
【0004】
このような装置は、特許文献1から知られている。特に自動車モータ(motor vehicle motors)のモータ出力を制御するための装置は、例えばアクセルペダルである、ドライバが直接作動する出力調整部材に、機械的な接続部を介して制御されたリセット力を作用させるために、力を調整するためのサーボモータを備える。機械的な接続を介して伝達されるこの力は、3点機構(three-point mechanism;Dreieckspunktmechanismus)に設けられたばねで形成され、ここでは、モータが、サーボモータの出力部材に作用する力成分(force components)を移動する。
【0005】
車両の速度を制御するためのこのような装置は、多数の独立した部材から形成されており、これらを装着し、互いに調節するために多くの労力を必要とする。ペダルに作用するリセット力は、複雑なたわみ機構を適用することで形成される。この結果、この装置の製造および校正に非常に費用がかかる。
【0006】
特許文献2は、ステータとロータとからなるトルクモータでリセット力が形成されるフィードバック装置を開示する。このロータはディスク状形状を有し、ロータに偏心して配置されたプランジャ部材でペダルレバーに連結されており、このプランジャ部材だけがペダルレバーを支え、ロータが回転したときに、ペダルレバーの作動方向と反対方向にのみリセット力を作用させることができるようになっている。
【0007】
この装置の不都合な点は、ロータによりペダルレバーにリセット力が作用したときに、比較的大きな曲げモーメントがロータシャフトに直接作用することである。この結果、一般的に、ステータとロータとの間の空隙が変化し、トルクモータの作動能力が悪影響を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】EP 0617674B1
【特許文献2】DE 102004025829B4
【発明の概要】
【0009】
したがって、本発明の目的は、材料および製造コスト、および、必要とする装着スペースの双方が少なく、高レベルの機能的信頼性が確保される、簡単、コンパクトで、特に少ない部材からなる堅固な自動車用のペダルシステムを提供することである。
【0010】
この目的は、本発明によると、請求項1の特徴により達成される。有益な発展例は、直接又は間接的に請求項1を引用する請求項の主題にある。
【0011】
本発明は、ハウジングおよびこのハウジングに組込まれた力リセット装置(force resetting device)を有する、自動車に使用するためのコンパクトペダルシステムを表わす。そのゼロ位置の方向にペダルレバーに作用する追加のリセット力は、特に、電気モータに通電(energize)することで形成される。電気モータは、ステータと、シャフトに配置されたロータとを備える。更に、駆動プーリが電気モータのシャフトに配置されており、この駆動プーリは、この駆動プーリに偏心して配置された駆動ローラにより、ペダルレバーにリセット力を作用させることができる。特に、ステータは、ロータと駆動プーリとの間で電気モータのシャフトに配置されている。これは、ロータが、駆動プーリの反対側に位置するステータの側に配置されているため、駆動プーリによりシャフトにペダルレバー上のリセット力が作用するときに、ロータ上の曲げモーメントの効果が小さいという利点を有する。この配置により、ステータとロータとの間の空隙は変化せず、電気モータの作動能力は悪影響を受けない。
【0012】
シャフトをステータに装着するラジアル軸受がステータの全長にわたって極めて大きく延びているという事実により、リセット力がペダルレバーに作用したときに、シャフトを介して電気モータに作用する比較的大きな半径方向の力が補償される。ラジアル軸受は、例えば、プラスチック製のスライド軸受として形成され、ステータ内に圧入される。
【0013】
ドライバの要請を速度に変換するため、ペダルレバーは、回転の中心の回りを、特に、自動車モータの回転速度がアイドリング回転速度を意味するペダルレバーのゼロ位置から、スロットル全開を意味するペダルレバーの端位置まで、回転することができる。ペダル戻しばねは、ペダルレバーがそのゼロ位置に押圧され、すなわち、車両ドライバがペダルレバーから足を離したときに、車両エンジンがアイドリング回転速度で回転されるように、ペダルレバーに配置されている。電気モータは、電気モータのゼロ位置からこの電気モータの端位置まで、回転の中心の回りを回動することができる。ペダルレバーの回転の中心と電気モータの回転の中心とが同じであってもよい。モータ戻しばねは、特に電気モータが通電されたときに、駆動ローラを介してそのゼロ位置の方向に、電気モータの駆動プーリもペダルレバーを押圧するように、電気モータに配置されている。ペダル戻しばねおよびモータ戻しばねのいずれも、例えばヘリカルばねのように、直線状(linear fashion)に、又は、ねじりばねあるいはコンパス状ばね(leg spring)のように、回転状(rotational fashion)に形成することができる。これに関連して、いずれの場合も、ばねの一端はほぼ永久的にハウジングに接続される。ばねの他端は、ペダルレバー又は駆動プーリに作用する。ばねのゼロ位置と端位置のそれぞれで定まる角度範囲は、ゼロ位置および端位置の双方において、モータ戻しばねの場合に、ペダル戻しばねの場合よりも大きいという事実により、常に、駆動ローラを介して、駆動プーリがペダルレバーを支え、すなわち、少なくとも電気モータの遮断(de-energized)状態で、駆動プーリが付勢されていることを確保する。特に、ペダルシステムに組込まれている制御部材により、電気モータを駆動するため、ペダルレバーおよび電気モータの双方のそれぞれの角度位置を、それぞれの対応するセンサにより、検出することが有益である。
【0014】
ペダルシステムのヒステリシス部材(hysteresis element)は、ペダルレバーの回転の中心における摺動ブッシュで形成することが好ましい。この摺動ブッシュの機能も、特に、ペダルレバーおよびペダルレバーが配置されるシャフトの材料と組合される(pairing)好適材料により、実行することができる。これらの材料の組合せは、規定された摩擦面の全周にわたって盛上げることができ、例えば120°を超えて配置することができる。これらの盛上げ面(proud faces)は、ペダルレバーおよびハウジングの双方に設けることができる。
【0015】
場合によっては、車両ドライバは、電気モータの通電よりペダルレバーに作用しているリセット力の全体を無効にする必要が生じ、例えば、追い越しを開始する際に、前を走行する車両との距離が極めて短い場合のような危険な状況である。このため、ペダルシステムは、過荷重クラッチ(overload clutch)を設けることができる。この過荷重クラッチは、駆動プーリとロータとの間のスリップクラッチとして配置することが好ましい。これに関連して、例えば軸方向の力が、例えば、スリップクラッチのばねパッケージを介して作用し、この軸方向の力は、通常状態で、ペダルレバー上の車両ドライバの踏力よりも大きい。力を克服可能とするために、摩擦クラッチが電気モータのシャフト上に自由に回転可能に配置されている。一般に、電気モータ自体は損傷することなく一時的に無効(overridden)にすることができる。
【0016】
電気モータが、例えばオーバーヒートによる故障で停止した場合、電気モータが停止(block)したときに車両ドライバがペダルレバーのリセット力を克服可能とする緊急手段を、電気モータ上で、ペダルシステムに配置することができる。このような緊急手段は、例えば駆動プーリに歯を設け、駆動プーリの領域に存在する歯に係合する、対応する歯を電気モータのシャフトの外面に形成することにより、実現することができる。通常状態では、電気モータからペダルレバーへの力の伝達は、互いに噛合うこれらの歯を介して行われる。緊急時には、この歯は、無効とするプロセスで破壊され、ペダルレバーにおけるリセット力は電気モータで打ち消される(cancel)。このような緊急手段は、特に、スペースに関する理由で過荷重クラッチを省略しなければならないペダルシステムに用いられる。
【0017】
外部温度が低い場合、通常温度に比して電気モータおよびペダルレバー内の摩擦損失が増大する可能性がある。このような摩擦の増大を防止するため、電気モータを所定の間隔で短時間通電し、この時間間隔は予めランダムに設定し又は制御ユニットで設定することができる。例えばスロットル全開での走行中にペダルレバーから車両ドライバの足が外れる交通事故の場合のような緊急状態では、安全のために、ペダルレバーが規定時間内にゼロ位置に戻り、モータの回転速度をアイドリング回転速度に迅速に減速することが確保される必要がある。通常の場合、ペダル戻しばねとモータ戻しばねとの双方が、充分迅速にそのゼロ位置となるようにペダルレバーを押圧している。ペダルレバーの実施形態には、特に、極めて多くのペダル特性曲線を形成するために、モータ戻しばねが比較的弱い構造のものがある。例えば破損により、ペダル戻しばねが故障した場合には、モータ戻しばねだけでは、規定時間内にペダルレバーをゼロ位置に移動するために弱すぎることがある。このような場合、別個のモニタリング部材により、ペダル戻しばねの機能を監視することが必要である。これは、例えば、通常の場合にペダル戻しばねの一端が常時圧力をかける機械的圧力スイッチにより、容易に実行することができる。仮に、ペダルレバー戻しばねが破損すると、圧力スイッチが車両ドライバに対する警報信号、又は、電気モータを介してペダルレバーに追加のリセット力をペダルレバーに作用させるための制御ユニットへの信号を作動(trigger)する。
【0018】
簡略化するため、モータ戻しばねは、ステータと駆動プーリとの間に配置されるコンパス状ばねで形成することができる。コンパス状ばねおよび駆動プーリの回転の中心は、電気モータのシャフトの軸線内に配置することができる。これに関連して、コンパス状ばねの一方の脚部は、ハウジングに永久的に接続し又はハウジングに連結し、他方の脚部は駆動プーリを押圧することが好ましい。
【0019】
電気モータとして、例えばブラシレスの直流モータを用いることが好ましい。外形寸法が小さく、電力消費(power drain)の少ない直流モータを使用可能とするため、一般にセルフロック変速装置を追加的に使用して力を増大し、これは、直流モータにより所定のリセット力に達した後、この直流モータが非通電状態とされ、変速装置のセルフロック効果によりそのリセット力が保持されるという利点を有する。このセルフロック変速装置は、駆動プーリとロータとの間に配置され、力を伝達するために電気モータのシャフトに永久的(permanently)に接続されるのが有益である。この場合、駆動プーリは、電気モータのシャフトに自由に回転可能な態様で装着される。モータ戻しばねの一端は、駆動プーリに作用し、モータ戻しばねの他端は、セルフロック変速装置に永久的に接続される。この結果、モータ戻しばねの付勢力(prestress)は、最小値と最大値との間で、電気モータのゼロ位置の方向および端位置の方向の双方において、変更することができる。
【0020】
本発明の他の利点および特徴は、添付図面を参照する以下の複数の例示的な実施形態から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、ペダルレバー、電気モータおよび制御ユニットを有するペダルレバーを示す図である。
【図2】図2は、従来技術のステータおよびロータの配置を示す図である。
【図3】図3は、本発明によるステータおよびロータの配置を示す図である。
【図4】図4は、ペダルレバーをゼロ位置に配置したペダルレバーシステムを示す図である。
【図5】図5は、ペダルレバーをその端位置に配置したペダルレバーシステムを示す図である。
【図6】図6は、ペダルレバーシステムの立体図を示す図である。
【図7】ペダル戻しばねの領域およびモータ領域の一部の詳細を示すペダルレバーシステムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、速度を調整するためのコンパクトペダルシステムを示し、力リセット装置(force resetting device)をハウジング3内に組込んである。ペダルシステムは、実質的に、ドライバの要請を速度に変換するためのペダルレバー1を備える。特にトルクモータである電気モータ4が、力リセット装置の他の部材として、非通電状態で、ペダルレバー1に対して速度を減速する方向にリセット力を作用させることができる。電気モータ4には、駆動プーリ6が回転可能に配置されており、この駆動プーリ6は、駆動ローラ7、又は、例えば摺動自由形状面(free-form faces)等の他の装置により、ペダルレバー1にリセット力を付与することができる。電気モータ4を制御するための制御ユニット10も、ハウジング3内に組込まれている。
【0023】
電気モータ4は、実質的にステータ12とロータ11とを備え、このロータは、ステータ12内で回転可能なシャフト13に接続されている。図2および3は、それぞれ電気モータ4の部材の基本的な配置を示す。図2は、DE 102004025829B4(特許文献2)による電気モータを示す。駆動ローラ7は、電気モータ4が通電されたときにペダルレバー1にリセット力を作用させるもので、ロータ11に直接装着されている。ペダルレバー1に作用する力は、シャフト13に曲げモーメントとして作用する、シャフト13の軸線に垂直な方向のモーメントとなる。この結果、ローラ11とロータ12との間の空隙が変化し、電気モータ4の駆動能力に悪影響を与える可能性がある。
【0024】
図3は、本発明による電気モータ4の部材の配置を示す。ステータ12は、ロータ11と駆動プーリとの間でシャフト13上に配置されている。駆動ローラ7は、電気モータ4が通電されたときにペダルレバー1にリセット力を作用させるもので、ここでは、例えばねじ止め又は圧入により駆動プーリに配置されている。リセット力が作用したときに電気モータ4のシャフトに曲げモーメンが作用し、ロータ11とステータ12との間の空隙におけるこの曲げモーメントの影響は、この場合、全体的に、図2に示す配置よりもかなり小さい。したがって、電気モータ4の機能的能力は、この配置におけるリセット力が比較的大きい場合でも、確保される。
【0025】
図4は、ペダルレバー1をゼロ位置PNに配置したペダルシステムを示す。これは、ペダルレバー1上の車両ドライバの足が、増速方向に何等の力も作用させておらず、車両のモータ(motor)がアイドリング速度で回転していることを意味する。ペダルレバー1は、特にゼロ位置PNから端位置PEまで回転の中心Pの回りを回転することができ、これは、モータの回転速度に変換したときに、アイドリングからスロットル全開となることを意味する。この場合、コンパス状ばねがペダル戻しばね2として、ペダルレバー1をそのゼロ位置PNに押圧するように、ペダルレバー1の回転の中心Pに配置されている。あるいは、直線状に作用するばねをペダルレバー戻しばね2として、特に回転の中心Pの外側に設けてもよい。電気モータ4は、回転の中心Mの回りを、特に、その端位置MEからそのゼロ位置MNに回転することができる。この場合、ペダルレバー1および電気モータ4の回転の中心PおよびMは、離れて位置している。しかし、2つの回転中心PおよびMが一致した位置に配置されるペダルシステムとすることも全く可能である。
【0026】
モータ戻しばね8は、特に、電気モータ4が通電されていないときに、駆動ローラ7により、電気モータ4の駆動プーリ6がペダルレバー1をそのゼロ位置PNの方向に押圧するように、電気モータ4に配置されている。これに関連して、ペダル戻しばね2又はモータ戻しばね8は、少なくともばねの押圧方向に、それぞれ永久的にハウジング3に接続されている。ここでは、モータ戻しばね8の一端がハウジング3のピン15に連結されている。ペダル戻しばね2の他端はペダルレバー1に作用し、及び/又は、モータ戻しばね8の他端が駆動プーリに作用する。角度範囲は、それぞればね2,8のゼロ位置NM,PNおよび端位置ME,PEで定まり、この角度範囲は、ゼロ位置MNおよび端位置MEの双方に関して、モータ戻しばね8の場合のほうが、ペダル戻しばね2の場合よりも大きい。これは、それぞれ図4および図5に方向MNおよびMEに矢印で示してある。これは、駆動プーリ6が駆動ローラ7を介して常時ペダルレバー1を支えることを確保する。これは、モータ戻しばね8が、少なくとも電気モータ4の非通電状態で、常に押圧されることを意味する。
【0027】
電気モータ4を、特にペダルシステムに組込まれた制御ユニット10により駆動するため、ペダルレバー1および電気モータ4のそれぞれの角度位置は、例えばホールセンサである対応するセンサで検出することが有益である。なお、これらの対応するセンサについは図示してない。
【0028】
図5は、図4に対応し、ペダルレバー1がその端位置Pにある点で相違している。しかし、電気モータ4の端位置MEまでには達しておらず、これを方向MEの矢印で示してある。これは、電気モータ4を対応して通電することにより、電気モータ4を更に、その端位置の方向に移動し、したがって、ペダルレバー1からこれを離隔させることを意味する。
【0029】
図6は、ペダルシステムを立体的に示す。ここでは、電気モータ4としてセルフロック型の変速装置を有するブラシレス直流モータが使用されている。このセルフロック型変速装置は、駆動プーリ6とロータ11との間に、図示してないが、シャフト13に永久的に接続される態様で配置されている。この場合、駆動プーリ6は、シャフト13上で自由に回転可能に配置されている。モータ戻しばね8の一端が駆動プーリ6に作用する。セルフロック型変速装置は、ピン15により、モータ戻しばね8の他端にリセット力を作用させる。この結果、モータ戻しばね8の事前設定を、最小値と最大値の間で、電気モータ4のゼロ位置MNの方向および端位置MEの方向の双方で変更することができる。
【0030】
インターフェース9は、電力機器(power electronics)の電力源したがって電気モータ4の電力源と、CANのバスを介して制御ユニットと外部周辺のペダルシステムとの間の信号の交換装置(exchange)とを備える。安全のため、第2のインターフェース(図示しない)がペダルレバー1の角度位置の信号伝達のためにのみ予備として(reserved)設けてある。
【0031】
図7は、図6のペダルシステムをペダルレバー1の反対側から示し、特に、ペダル戻しばね2およびロータ11の一部領域の詳細を見ることができる。ペダル戻しばね2の一端は、圧縮ばねとして具体化されたモニタリング部材14を押圧する。圧力スイッチ14内の回路は開又は閉でもよい。ペダル戻しばね2が、例えばばねの破損により故障した場合、圧力スイッチ14は、車両ドライバに通告し、及び/又は、電気モータ4を介して追加のリセット力を付与し、この結果モータ戻しばね8を付勢するために、制御ユニット10に信号を発することが可能な信号を作動(trigger)させる。
【0032】
これは、緊急状態、例えば、車両ドライバの足がペダルレバーから外れた場合、特に、スロットル全開での走行中の交通事故の場合に、ペダルレバー1が所定時間内にゼロ位置PNに移動し、モータの回転をアイドリング回転速度まで迅速に減速することを確保する。ペダル戻しばね2およびモータ戻しばね8の双方は、通常ペダルレバー1をそのゼロ位置まで迅速に戻すように押圧している。しかし、ペダルシステムの特定の実施形態では、モータ戻しばね8が、例えば、極めて多種のペダル特性曲線を実現可能とするために、比較的弱い構造となっている。例えば破損により、ペダル戻しばね2が故障した場合、モータ戻しばね8は、所定時間内のペダルレバー1をゼロ位置に単独で移動するには弱すぎる可能性がある。
【0033】
参照符号のリスト
1 ペダルレバー
2 ペダル戻しばね
3 ハウジング
4 電気モータ
5 スライド軸受
6 駆動プーリ
7 駆動ローラ
8 モータ戻しばね
9 インターフェース
10 制御ユニット
11 ロータ
12 センサ
13 電気モータのシャフト
14 モニタリング部材
15 ピン
M 電気モータの回転の中心
MN 電気モータのゼロ位置
ME 電気モータの端位置
P ペダルレバーの回転の中心
PM ペダルレバーのゼロ位置
PE ペダルレバーの端位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバの要請を速度に変換するペダルレバー(1)を備え、このペダルレバー(1)は、回転の中心(P)の回りを、ペダルレバー(1)のゼロ位置(PN)からペダルレバー(1)の端位置(PE)まで回転可能であり、更に、
前記ペダルレバー(1)をゼロ位置(PN)に移動可能なペダル戻しばね(2)と、
電気モータ(4)とを備え、この電気モータは、回転の中心(M)の回りを、電気モータ(4)のゼロ位置(MN)から電気モータ(4)の端位置(ME)に回転可能で、通電されたときに、ペダルレバー(1)にそのゼロ位置(PN)の方向のリセット力Fを作用可能であり、前記端位置(PE,ME)からゼロ位置(PN,MN)へのそれぞれの回転方向は、ペダルレバー(1)と電気モータ(4)とで同じであり、更に、
シャフト(13)により電気モータ(4)に接続され、駆動ローラ(7)によりペダルレバー(1)にリセット力を作用させる駆動プーリ(6)を備え、前記駆動ローラ(7)はこの駆動プーリ(6)に偏心して配置され、リセット力がペダルレバー(1)に作用したときに、前記駆動ローラ(7)は単にペダルレバー(1)を押圧するだけであり、更に、
電気モータ(4)のゼロ位置(MN)の方向に電気モータ(4)をリセットするモータ戻しばね(8)と、
電気モータ(4)を制御するための制御ユニット(10)とを備え、
ハウジング(13)内に組込まれた力リセット装置を有する、自動車の速度を調整するためのコンパクトペダルシステムであって、
前記電気モータ(4)は、ロータ(11)とステータ(12)とを備え、このステータ(12)は、ロータ(11)と駆動プーリ(6)との間で電気モータ(4)のシャフト(13)に配置されることを特徴とするコンパクトペダルシステム。
【請求項2】
シャフト(13)はラジアル軸受でステータ(12)内に装着され、このラジアル軸受は、ペダルレバー(1)にリセット力が作用したときに、シャフトで形成される、可能な限り大きな半径方向の力を吸収するために、ステータの全長にわたって延びることを特徴とする請求項1に記載のコンパクトペダルシステム。
【請求項3】
電気モータに非通電のときに、ペダル戻しばね(2)とモータ戻しばね(8)とがゼロ位置(PN)の方向にペダルレバー(1)を押圧することを特徴とする請求項1又は2に記載のコンパクトペダルシステム。
【請求項4】
スライドブッシュ(5)がヒステリシス部材としてペダルレバー(1)の回転の中心(P)に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のコンパクトペダルシステム。
【請求項5】
車両ドライバによりリセット力を無効とすることが可能なオーバーロードクラッチが、電気モータ(4)に配置される請求項1から4のいずれか1つに記載のコンパクトペダルシステム。
【請求項6】
電気モータが停止したときに、車両ドライバによりリセット力を克服可能な緊急装置が、電気モータ(4)に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載のコンパクトペダルシステム。
【請求項7】
電気モータ(4)は、外部温度が低いときに、制御ユニット(1)で予め規定され又はランダムな時間間隔で短時間通電可能であり、この結果、電気モータ(4)およびペダルレバー(1)内の外部の低温で増大した摩擦損失を補償可能であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載のコンパクトペダルシステム。
【請求項8】
ペダルレバー(1)の改定の中心(P)および電気モータ(4)の回転の中心(M)が同じであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載のコンパクトペダルシステム。
【請求項9】
ペダルレバー(1)の角度位置が、ペダルレバー(1)のペダルセンサで検知され、電気モータ(4)の角度位置が電気モータ(4)のモータセンサで検知されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載のコンパクトペダルシステム。
【請求項10】
ペダル戻しばね(2)の機能を監視可能なモニタリング部材(14)が、ペダル戻しばね(2)に配置されることを特徴とする請求項1から9のいずれか1つに記載のコンパクトペダルシステム。
【請求項11】
モータ戻しばね(8)は、コンパス状ばねとして形成され、駆動プーリ(6)とステータ(12)との間に配置されることを特徴とする請求項1から10のいずれか1つに記載のコンパクトペダルシステム。
【請求項12】
電気モータ(4)は、セルフロック型変速装置を有するブラシレス直流モータで形成され、このセルフロック型変速装置はロータ(11)と駆動プーリ(6)との間に配置されることを特徴とする請求項1から11のいずれか1つに記載のコンパクトペダルシステム。
【請求項13】
駆動プーリ(6)がシャフト(13)に回転可能に装着され、この駆動プーリ(6)はモータ戻しばね(8)により電気モータ(4)のセルフロック型変速装置に接続されることを特徴とする請求項12に記載のコンパクトペダルシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−526693(P2012−526693A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510209(P2012−510209)
【出願日】平成22年5月5日(2010.5.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056064
【国際公開番号】WO2010/130605
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(503355292)コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (79)
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
【住所又は居所原語表記】Sieboldstrasse 19, D−90411 Nuernberg, Germany
【Fターム(参考)】