説明

自動車用駆動装置

【課題】電気自動車として走行する場合に、2個のモーター・ジェネレーター(M/G)をフルに使った駆動を可能にして、より小さい容量のM/Gで済ませる。
【解決手段】3つの回転要素で構成する2個の遊星歯車組20、30を備え、各回転要素を個別に、または各回転要素同士を連結し、または連結可能にして4つのメンバーを構成し、共通速度線図の横軸においてこれら4つのメンバーを並べた際に、一方の端から他方に向けて順番に、第1メンバーを第1M/G42と連結し、第2メンバーを出力軸12と連結し、第3メンバーを構成する互いに連結可能な一方の第2キャリア38を、静止部46に固定可能とし、他方の第1リングギヤ24をエンジン1と連結し、第4メンバーを第2M/Gと連結した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関と電気モーターの2種類の動力源を有する、いわゆるハイブリッド自動車の駆動装置に関し、特にエンジンより入力される動力を、遊星歯車を介して出力軸へ伝達可能で、複数のモーターを備えた自動車用駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動車用駆動装置としては、2組の遊星歯車組、2個のモーター・ジェネレーター(以下、M/Gと記す)および遊星歯車組の回転要素同士間の接続関係を切り替える2個の摩擦要素を備え、該摩擦要素を切り替えることにより低速モードと高速モードの2種類の駆動モードを得るようにした例が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,478,705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、2組の遊星歯車組、2個のM/Gおよび2個の摩擦要素を備え、低速モードと高速モードの2種類の駆動モードを有する方式とした上記従来の自動車用駆動装置にあっては、バッテリーに蓄えた電力のみを動力源として、いわゆる電気自動車と同じような走行をする場合に、1個のM/Gでしか駆動することができず、せっかく2個のM/Gを備えているにもかかわらず、両M/Gを有効活用できず、電気モーターによる強力な駆動力を得ることができないという問題があった。
【0005】
解決しようとする問題点は、バッテリーの電力のみを動力源として電気自動車と同じ走行をする場合に、1個のM/Gでしか駆動することができず、大きな駆動力を必要とするには大きな容量のM/Gが必要となる点である。
本発明の目的は、2個のM/Gを備えたハイブリッド自動車にあって、電気自動車として走行する場合に2個のM/Gを使った駆動を可能にし、より小さい容量のM/Gの適用で済ませることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動車用駆動装置は、エンジンからの動力を受け入れ可能な入力軸と、出力軸と、第1サンギヤ、第1リングギヤ、第1キャリアの、3つの回転要素で構成する第1遊星歯車組と、第2サンギヤ、第2リングギヤ、第2キャリアの、3つの回転要素で構成する第2遊星歯車組と、第1モーター・ジェネレーターと、第2モーター・ジェネレーターと、を備え、第1リングギヤと第2キャリアを互いに連結可能にした連結可能メンバーと、第1キャリアと第2リングギヤを常時連結した一体メンバーと、第1サンギヤと第2サンギヤの2つの独立メンバーと、から4つのメンバーを構成し、これら4つのメンバーの回転速度を直線で表すことのできる共通速度線図上において横軸の一端から他端に向かって順番に、第1メンバー、第2メンバー、第3メンバー、第4メンバーを配置し、第1メンバーを第1サンギヤとして第1モーター・ジェネレーターと連結し、第2メンバーを一体メンバーとして出力軸と連結し、第4メンバーを第2サンギヤとして第2モーター・ジェネレーターと連結し、第3メンバーを連結可能メンバーとして、該連結可能メンバーのうちの第2キャリアを静止部に固定可能とし、連結可能メンバーのうちの第1リングギヤを前記入力軸と連結したことを特徴とする。
【0007】
すなわち、本発明の自動車用駆動装置は、第3メンバーを構成する二つの回転要素である、一方の第2キャリアを静止部に固定可能とし、他方の第1リングギヤを入力軸と連結した。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自動車用駆動装置は、第3メンバーを構成する二つの回転要素である、一方の第2キャリアを静止部に固定可能とし、他方の第1リングギヤを入力軸と連結したため、エンジンで駆動する走行において2つの駆動モードを備えて、走行条件に応じて最適な駆動モードを選択して燃費の良い走行を行うことができるハイブリッド自動車(HV)でありながら、バッテリーのみを動力源とした電気自動車(EV)走行において2個のM/Gで駆動することができる。したがって、2個のM/Gの合計容量を小さくして、コスト・重量・大きさの面でメリットを出せるようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1に係る自動車用駆動装置の主要部を示したスケルトン図である。
【図2】実施例1の自動車用駆動装置における共通速度線図である。
【図3】実施例1の自動車用駆動装置における作動表を示す図である。
【図4】実施例1の自動車用駆動装置における他の共通速度線図である。
【図5】実施例1の自動車用駆動装置における他の共通速度線図である。
【図6】実施例1の自動車用駆動装置における他の共通速度線図である。
【図7】実施例1の自動車用駆動装置における他の共通速度線図である。
【図8】実施例1の自動車用駆動装置における他の共通速度線図である。
【図9】本発明の実施例2に係る自動車用駆動装置の主要部を示したスケルトン図である。
【図10】本発明の実施例3に係る自動車用駆動装置の主要部を示したスケルトン図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る自動車用駆動装置を、各実施例に基づき図とともに説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の実施例1に係る自動車用駆動装置における主要部のスケルトン図である。
実施例1の自動車用駆動装置は、エンジン1から駆動される入力軸10と、入力軸10と同軸心上に設けられて図示しない車輪側へ駆動力を出力する出力軸12を備えている。出力軸12は図示しない差動装置などを介して自動車の車輪を駆動する。
入力軸10と出力軸12との間には、第1遊星歯車組20、第2遊星歯車組30の2つの遊星歯車組が配置してある。第1遊星歯車組20および第2遊星歯車組30は一般的にシングルピニオン型と呼ばれるもので、それぞれが同様の構成になっている。
【0012】
すなわち、第1遊星歯車組20は、第1サンギヤ22と、第1リングギヤ24と、第1サンギヤ22および第1リングギヤ24に噛み合った複数の第1ピニオン26を回転自在に軸支する第1キャリア28と、の3つの回転要素で構成されている。
また、第2遊星歯車組30は、第2サンギヤ32と、第2リングギヤ34と、第2サンギヤ32および第2リングギヤ34に噛み合った複数の第2ピニオン36を回転自在に軸支する第2キャリア38と、の3つの回転要素で構成されている。
【0013】
次に、上記各回転要素の本発明におけるメンバー構成および連結関係を説明する。
第1リングギヤ24と第2キャリア38とはクラッチ40によって連結可能であり、本発明の連結可能メンバーを構成する。
第1キャリア28と第2リングギヤ34は互いに常時連結されており、これらは本発明の一体メンバーを構成する。
第1サンギヤ22と第2サンギヤ32は、それぞれ独立した回転メンバーである。
【0014】
図2は、各回転メンバーの回転速度の関係を直線で表すことができる共通速度線図であり、後述するE−F−1モードにおける状態を表している。
共通速度線図にあっては、図の縦方向が回転速度を表し、各回転メンバーに対応する縦線がそれぞれ横方向に上記した各遊星歯車組のリングギヤの歯数に対するサンギヤの歯数の比をαとして、αに応じた間隔で割り振って描いてある。
ここで、α1は第1遊星歯車組20の、α2は第2遊星歯車組30の、歯数比をそれぞれ表す。
なお、同図中、速度線を太い線で描いてあり、これと各メンバーの縦線との交点(●印で表示)の縦軸方向の高さが、そのメンバーの回転速度を表す。
【0015】
ここで、共通速度線図の縦線で表した各回転メンバーを横方向左端から順番に、第1メンバー、第2メンバー、第3メンバー、第4メンバーとする。図2の上方に書いた記号、M1、M2、M3、M4は、それぞれ第1、第2、第3、第4の各回転メンバーを表し、その上に書いた記号は回転要素としてサンギヤはS、リングギヤはR、キャリアはCで、それらの後の数字1、2はそれぞれが属する第1遊星歯車組20、第2遊星歯車組30を表し、例えばS1、R1、C1は、それぞれ第1遊星歯車組20の第1サンギヤ22、第1リングギヤ24、第1キャリア28を表すようになっている。
【0016】
本実施例では前述の連結可能メンバーが常に第3メンバーであるように、連結可能メンバーを定義する。
また、第1サンギヤ22が第1メンバーを構成し、連結された一体メンバーである第1キャリア28と第2リングギヤ34が第2メンバーを構成し、第2サンギヤ32が第4メンバーを構成する。
【0017】
第1から第4の各回転メンバーの連結関係は次のようになっている。
第1メンバーを構成する第1サンギヤ22は第1M/G42と常時連結しており、第2メンバーを構成する第1キャリア28と第2リングギヤ34は出力軸12と常時連結しており、第3メンバーを構成する連結可能メンバーのうち、第2遊星歯車組30側の第2キャリア38はワンウエイクラッチ44によりケース(静止部)46に固定可能であり、第1遊星歯車組20側の第1リングギヤ24は入力軸10と常時連結しており、第4メンバーを構成する第2サンギヤ32は第2M/G48と常時連結している。
なお、ワンウエイクラッチ44は、第2キャリア38をケース46に固定して第2キャリア38がエンジン1の回転方向と逆の方向に回転するのを阻止するようになっているもので、本実施例では周知の機械式のものを用いるが、油圧多板式ブレーキで締結・開放制御するようにするものなどでもよい。
【0018】
さらに入力軸10にはドッグ歯10aが形成されており、ケース46側の固定装置46aをドッグ歯10aに噛み合わせることにより入力軸10および第1リングギヤ24をケース46に固定することができるようになっている。
固定装置46aとドッグ歯10aの詳細の図示は省略するが、一般的な自動変速機におけるパーキングロック機構と同様のものでよい。
また、ドッグ歯10aは、入力軸10に限ることなく、エンジン1に一般的に設けられるフライホイールの外周に形成してもよい。
なお、第1M/G42と第2M/G48は、入力軸10、出力軸12と同軸心上で、かつ、それぞれ第1遊星歯車組20の下流側、第2遊星歯車組30の上流側にそれぞれ配置してある。
【0019】
前述のように、本発明の連結可能メンバーを構成する第1リングギヤ24と第2キャリア38とはクラッチ40によって連結可能であるので、クラッチ40とワンウエイクラッチ44の両者が締結した場合には第1リングギヤ24と第2キャリア38をケース46に固定してこれらの一方向の回転を阻止することができ、それに加えて固定装置46aをドッグ歯10aに噛み合わせた場合にはいずれの回転方向においても第1リングギヤ24と第2キャリア38をケース46に固定することができる。
また、第1M/G42と第2M/G48とは、モーターとしての駆動とジェネレータとしての発電の、両方の作用ができるようになっている。
【0020】
次に、図1に示した自動車用駆動装置の作動を、図2および図4乃至図8に示した共通速度線図と、図3に示した作動表を参考にしながら説明する。
図3の作動表において、縦方向にこれから説明する走行モードと各駆動モードを割り当て、横方向には締結要素とM/Gをそれぞれ割り当ててある。すなわち、固定装置46aを「L」、ワンウエイクラッチ44を「OWC」、クラッチ40を「C」、第1M/G42を「M/G1」、第2M/G48を「M/G2」とした。
【0021】
また、表中の○印はクラッチ40とワンウエイクラッチ44と固定装置46aといった締結要素にあっては締結または噛み合いを表し、第1M/G42、第2M/G48にあっては駆動を表し、△印は第1M/G42、第2M/G48において発電を表している。
また、括弧内は締結しているが動力伝達の上で必須ではないことを表す。
【0022】
なお、図示は省略するが図1に示した自動車用駆動装置は、これを作動させるための油圧ポンプ、バッテリー、各種センサ、コントローラー、アクチュエータなどを備えており、以下の作動はコントローラーの指示に基づいて行われる。
また、以下の説明ではエンジン1の回転方向と同じ方向の回転を「正回転」、その逆を「逆回転」と定義する。
【0023】
始めに、バッテリーに蓄えた電力のみを動力源として、いわゆる電気自動車(EV)として走る、EV走行について説明する。
EV走行においては、図3の作動表に見るように固定装置46a(L)が常に噛み合って入力軸10と第1リングギヤ24は固定されており、以下に説明するように第1M/G42と第2M/G48のいずれでも、あるいは両方で駆動できる。
【0024】
まず、第1M/G42のみでEV駆動している状態(E−F−1モード)における前述の各メンバーの回転速度を表しているのが図2の共通速度線図である。このときの共通速度線図では、第1M/G42と連結された第1サンギヤ22の回転速度を1とした場合、固定された第1リングギヤ24の回転速度がゼロの状態であるので、それらを結んだ速度線が第1遊星歯車組20の速度を表す太い実線である。
前述したように、この太線と第2メンバーの縦線との交点が出力軸12の回転速度を表し、第2メンバーの第1キャリア28が減速駆動される。この第2メンバーの縦線との交点は第2リングギヤ34の回転速度でもあり、第2M/G48の回転速度をゼロとして両者を結んだ太い破線が第2遊星歯車組30の速度線である。
したがって、E−F−1モードの減速比(第1M/G42の回転速度/出力軸12の回転速度)は(1+α1)/α1となる。
【0025】
次に、第2M/G48のみでEV駆動する状態(E−F−2モード)では、速度線は図4に示す共通速度線図の太い実線になる。
すなわち、第2キャリア38がワンウエイクラッチ44の作用で逆回転方向の回転を阻止されるので、第2M/G48が逆回転方向に駆動する第2サンギヤ32は第2メンバーの第2リングギヤ34を逆転減速するので、第2リングギヤ34は正回転方向に減速駆動される。この減速比(第2M/G42の回転速度/出力軸12の回転速度)は−1/α2である。
一方、第3メンバーである第1リングギヤ24と第2キャリア38の回転速度がともにゼロであるので、第1遊星歯車組20と第2遊星歯車組30が一直線(M4−M2間の太い実線をさらにM2−M1間まで一直線に伸ばした線)で表される。このとき、第1M/G42は正回転方向に回転(連れ回り)しているが、E−F−2モードでは駆動をしていない。
【0026】
次に、第1M/G42と第2M/G48の両者でEV駆動する状態(E−F−3モード)は、作動表における締結はE−F−2モードの場合と同様であるが、第1M/G42と第2M/G48の両者で駆動する。
この場合の速度線も、図4と同様に第1遊星歯車組20と第2遊星歯車組30が一直線で表され、実質的にE−F−2モードの場合と同様であるので図示を省略する。
ただし、この場合、速度線はE−F−2モードの場合と同じであっても、第1M/G42、第2M/G48の両方で駆動できるので、より大きなトルクで出力軸12を駆動することが可能となる。
【0027】
次に、後進の場合は、図3の作動表のE−Rで表したように、クラッチ40を締結する点が前進走行と異なる。この場合もE−F−3モードの場合と同様に第1M/G42と第2M/G48の両者で駆動できるが、これらの回転方向はE−F−3モードの場合の逆になり、速度線は図4において太い破線で書いたようになる。
また、後述のE−Bモード(エンジン1を駆動していない場合の制動モード)では後進時の説明を省くので、ワンウエイクラッチ44の作用を説明する。ワンウエイクラッチ44は後進の駆動では動力伝達に関与しないが、後進の制動時に第2キャリア38の逆回転方向への回転を阻止する役目を果たす。
そして、制動時も駆動時と同様に第1M/G42と第2M/G48のいずれか一方、または両方で発電することができるが、作動表のE−R欄には発電の表記はしていない。
【0028】
続いて、前進走行中にエンジン1が停止した状態で、第1M/G42と第2M/G48のいずれも駆動せずに惰行するか、あるいは発電して自動車を制動する作用について説明する。
これらの走行は作動表のEB欄に記載してある。
まず、固定装置46aのみが噛み合った状態で第1M/G42にのみ発電させて制動するのがE−B−1モードである。このときの共通速度線図は図5に示すようになり、出力軸12と連結した第1キャリア28、第2リングギヤ34の回転速度が1で、入力軸10と連結した第1リングギヤ24の回転速度がゼロである。このとき、第1M/G42は正回転方向に出力軸12より高い速度で回転しながら発電するが、第2M/G48は回転しない。
速度線は、太い実線が第1遊星歯車組20を表し、太い破線が第2遊星歯車組30を表す。
【0029】
次に、第1M/G42と第2M/G48の両方に発電させるE−B−2モードは、固定装置46aの噛み合いに加えてクラッチ40を締結して行う。共通速度線図は図6に示すようになり、第1M/G42の回転速度はE−B−1モードの場合と同様であるが、第2M/G48は逆回転方向に回転して発電するようになる。
したがって、発電による制動効果はB−2の方がB−1より強くすることができる。
むろん、制動力は発電能力を制御することで自由に変化させることができる。
また、これらで発電した電力はバッテリーに蓄えて、エネルギー回生として次の駆動時に使用することができる。
また、後述するHV走行の状態からエンジン1を停止した場合にも、固定装置46aを噛み合わせれば、直ちにE−B−1モードまたはE−B−2モードに移行して制動することができる。
【0030】
次に、エンジン1を始動して第1M/G42と第2M/G48の両者を駆使して走行するハイブリッド自動車(HV)として走る、HV走行について説明する。
HV走行は、バッテリーの充電量が少なくなった場合の一般走行や、EV走行では得られない大きな駆動力を要する加速または登坂、および高速走行において用いる。
【0031】
始めに車両が停止しているか低速で動いている状態でのエンジン1の始動について説明する。
まず、固定装置46aの噛み合いを解除する。
続いて第1M/G42に電力を供給して逆回転方向の駆動力を出させると、入力軸10を介して第1リングギヤ24と連結されたエンジン1が正回転方向に減速駆動されるので、燃料供給や点火動作などの一般的な方法でエンジン1が始動する。
【0032】
この際に、出力軸12と連結した第1キャリア28に反力として逆回転方向のトルクが作用するので、第2M/G48にも電力を供給して逆回転方向の駆動力を出させると、出力軸12と連結した第2リングギヤ34に正回転方向のトルクが作用して第1キャリア28に作用するトルクと相殺するので、車両が後進方向に駆動されることを防ぐことができる。
このとき、ワンウエイクラッチ44が自動的に第2キャリア38の逆回転方向の回転を阻止する。
【0033】
むろん、第2M/G48による出力トルクが第1キャリア28に作用するトルクより大きくなるように制御すれば、車両を前進駆動しながらエンジン1を始動することができる。
エンジン1が始動した後のH−Lモード(HV走行での低速モード)での駆動は、ワンウエイクラッチ44が第2キャリア38の逆回転方向への回転を阻止したままで行われる。エンジン1が出力トルクTeで第1リングギヤ24を正回転方向に駆動すると、第1サンギヤ22は逆回転方向に回転して第1M/G42に発電させて、その反力で第1キャリア28が正回転方向のトルクを受けて出力軸12を駆動する。
【0034】
一方、第1M/G42が発電した電力は第2M/G48に供給され、これに逆回転方向のトルクを第2サンギヤ32に出力させる。このとき、第2キャリア38がワンウエイクラッチ44によって逆回転方向への回転を阻止されているので、第2リングギヤ34には正回転方向のトルクが作用して出力軸12を駆動する。
このH−Lモードにおける出力軸12のトルクは、上記したように第2M/G42が第2サンギヤ32を駆動するトルクをT2とすると、Te(1+α1)+T2/α2である。
【0035】
むろん、第1M/G42の発電で得られた電力は、第2M/G48に供給されるだけでなく、一部をバッテリーの充電に振り向けることもできるし、逆に第1M/G42の発電電力にバッテリーの電力(しばらく充電した後など、余力があるときは)を加えて第2M/G48を駆動することもできる。
【0036】
このようにして自動車の速度が上がっていくと、徐々に第1サンギヤ22の回転速度が下がってきて、やがてゼロになる。したがって、第1M/G42の発電電力はなくなるので、第2M/G48への電力供給をやめればエンジン1は機械的に第1キャリア28を駆動することになり、その時の出力軸12のトルクはTe(1+α1)の減速・増大になる。
【0037】
この場合も、バッテリーから若干の電力を第1M/G42に供給して、第1サンギヤ22に作用する反力トルク−Te・α1に耐えて第1M/G42の停止を維持する必要がある。
図7に示した共通速度線図がこの状態を表す。この図の太い実線が第1遊星歯車列組20の速度線であり、第2遊星歯車組30の速度線が太い破線である。
【0038】
このように第2M/G48が第2リングギヤ34を駆動しない状態にしておいて高速走行に適したH−Hモード(HV走行での高速モード)に切り替える。
H−Hモードへの切り替えは、第2M/G48の回転速度を正回転方向へ上げて第2キャリア38が第1リングギヤ24と同じ回転速度になるように制御する。このとき、ワンウエイクラッチ44による第2キャリア38の固定は自動的に解除される。
そして、クラッチ40を締結すると、第2キャリア38、第1リングギヤ24、入力軸10が一体になり、エンジン1から駆動されるようになる。この状態がH−Hモードである。図8に示した共通速度線図において太い実線がH−Hモードに切り替わった状態を表す。
【0039】
H−Hモードにおいてはエンジン1が第2キャリア38を駆動し、そのトルクは第2リングギヤ34、第1キャリア28を介して出力軸12を駆動するトルクと、第2キャリア38から第2サンギヤ32を介して第2M/G48を駆動して発電させるトルクに分割される。
第2M/G48の発電により得られた電力を第1M/G42に供給して第1サンギヤ22に正回転方向のトルクを与えると、第1キャリア28を正回転方向に駆動する。
一方、その反力として第1リングギヤ24に逆回転方向のトルクが作用し、このトルクの分だけ入力軸10が第2キャリア38を駆動するトルクが減ることになる。
【0040】
このときの出力軸12のトルクは、第1M/G42が第1サンギヤ22を駆動するトルクをT1とすると、(Te−T1/α1)/(1+α2)+T1(1+α1)/α1である。
前述のように、第1M/G42が第1サンギヤ22から出力軸12を駆動する反力で入力軸10が第2キャリア38を駆動するトルクが減るということは、第2M/G48の発電量が減ることになり、それだけ電気的な動力伝達比率が低くなって機械的な伝達割合が高くなることを意味する。
【0041】
このH−Hモードにおいても、第2M/G48の発電によって得られる電力の全てを第1M/G42に供給せず一部をバッテリーの充電あててもいいし、逆に第2M/G48の発電によって得られる電力にバッテリーに蓄えた電力を加えて第1M/G42を駆動することもできる。
【0042】
H−Hモードの走行で自動車の速度が上昇すると、徐々に第2サンギヤ32の回転速度が低下して、やがてゼロになって第2M/G48での発電もゼロになる。この状態ではエンジン1の動力は全て機械的に出力軸12に伝達され、出力軸12の変速比(入力軸10の回転速度/出力軸12の回転速度)は1+α2の増速になる。図8の共通速度線図において太い破線がこれを表す。
このときも、バッテリーから第2M/G48に若干の電力を供給して第2サンギヤ32に作用する反力トルクTe・α2に耐えて、第2M/G48の停止を維持する必要がある。
むろん、この場合もバッテリーから第1M/G42に電力を供給してエンジン1の駆動に加勢することもできる。
【0043】
以上は、HV走行としてエンジン1と第1M/G42および第2M/G48の作用で出力軸12を駆動する場合の説明を行ったが、減速する場合や降坂する場合には、前述のEBモードでの走行で説明したようにエンジン1を止めて、固定装置46aを噛み合わせ、第1M/G42と第2M/G48に発電させて制動することができる。
また、エンジン1を停止しての減速走行中に、再びエンジン1を始動させる場合は、固定装置46aの噛み合いを解除して、自動車の走行速度に応じて以下のように行う。
すなわち、自動車の速度が一定速度より高速の場合は、H−Hモードと同じ締結にして第1M/G42に発電させることで、その反力により第1リングギヤ24が正回転方向のトルクを得るので入力軸10を介してエンジン1を回転させて始動する。
【0044】
また、自動車の走行速度が低い場合はH−Lモードの場合と同じ締結に切り替えた上で、前述の車両停止状態と同様に、第1M/G42に電力を供給して始動する。
いずれの場合も、エンジン1を回転させる反力トルクで出力軸12のトルクが変動して違和感が生じないように、第2M/G48に電力を供給して必要なトルクを出させるように制御する。
【0045】
以上説明したように、本発明の自動車用駆動装置は、EV走行において第1M/G42と第2M/G48との両方をフルに活用できることが特徴である。
このため、バッテリーの電力のみを動力源とするEV走行においては、2個の第1M/G42と第2M/G48で駆動することができるので、第1M/G42と第2M/G48の合計容量が自動車のEV走行に必要とするパワーを満足すればよい。したがって、EV走行のために、従来例のような大きな容量のM/Gを用いなくても十分な駆動力を得ることができる。
【0046】
また、上述したように、EV走行は3種類の駆動モードを駆使することができる。
すなわち、第1M/G42と第2M/G48の容量をあえて異なる組み合わせにすると、第1M/G42で駆動する場合と、第2M/G48で駆動する場合と、両者で駆動する場合との、3種類のモーター容量で駆動できるので、重点的に第1M/G42と第2M/G48の熱効率の高いゾーンで駆動できるように各駆動モードを選択して、より電力消費の少ない走行にすることができる。
一方、制動時などのエネルギー回生においても、第1M/G42と第2M/G48をフルに発電に用いることができるので、これを生かした効率の高い走行が期待できる。
【0047】
さらに、エンジン1の動力を用いるHV走行においても、低速のH−Lモードと高速のH−Hモードを使い分けて常に機械的な伝達比率を高く維持することができるので、第1M/G42と第2M/G48の発電・駆動の負担が小さいことになる。
【0048】
このように、従来に比べて第1M/G42と第2M/G48の容量が小さくて済むので、一般的にコントローラーに含まれるインバーターも含めて製造コスト・重量・大きさを小さくできるメリットがある。したがって、たとえば短距離は主に電気自動車として走行して、バッテリーの電力が少なくなった場合にエンジン1の動力で走行する、いわゆるプラグインハイブリッド自動車と呼ばれる車両等の駆動装置として用いるのに適する。
【0049】
このようなメリットを出すことができるのは、第3メンバーを構成する回転要素である第1リングギヤ24と第2キャリア38をケース46に固定可能としたからである。
しかも、エンジン1が停止した状態で固定装置46aによって機械的に入力軸10を固定し、一方、第2キャリア38はワンウエイクラッチ44の作用で逆回転方向の回転が自動的に阻止(固定)されることとクラッチ40の締結の組み合わせで、第2キャリア38を正回転方向にも固定できる。このため、これを固定するために従来例のように多板ブレーキといった手段を用いずに済むので、多板ブレーキを用いて第2キャリア38を固定する場合に比べて、高速走行において多板ブレーキで生ずる引きずり抵抗を減らす効果があるので、この面でも燃費のさらなる改善が期待できる。
【実施例2】
【0050】
次に、本発明の実施例2の自動車用駆動装置につき説明する。
図9は、本発明の実施例2に係る自動車用駆動装置の主要部のスケルトン図である。
ここでは、実施例1と異なる部分を中心に説明し、実施例1と実質的に同じ部分については同じ符号を付し、それらの説明を省略する。
【0051】
実施例2における実施例1との違いはクラッチ40の配置が異なることであり、クラッチ40は軸方向でエンジン1と第2M/G48の間に設けてある。
その他の構成は実施例1と同じであるので詳細の説明は省略する。
【0052】
実施例2の作動については、実施例1と同様であるので詳細の説明は省略する。
実施例2は、クラッチ40をエンジン1と第2M/G48の間に設けたため、乾式クラッチにすることが容易になることであり、常にスプリングの張力でクラッチ40を締結しておいて、締結を解除する際に図示しないアクチュエータによって解放する方式に適している。したがって、アクチュエータや油圧クラッチ等で締結を維持しておくことが不要となり、その分、燃費の向上を期待できる。
【実施例3】
【0053】
次に、本発明の実施例3の自動車用駆動装置につき説明する。
図10は、本発明の実施例3に係る自動車用駆動装置の主要部のスケルトン図である。ここでは、実施例1と異なる部分を中心に説明し、実施例1と実質的に同じ部分については同じ符号を付し、それらの説明を省略する。
【0054】
実施例3の自動車用駆動装置は、実施例1および実施例2の自動車用駆動装置がフロント・エンジン・リア・ドライブ車用に適した構成であったのに対し、フロント・エンジン・フロント・ドライブ車やリア・エンジン・リア・ドライブ車等に用いるのに適したものである。
【0055】
実施例3における実施例1との違いは、出力軸12が入力軸10と平行に設けられており、第2遊星歯車組30と第2M/G48が入力軸10の同軸心上に、第1遊星歯車組20と第1M/G42が出力軸12の同軸心上に、それぞれ配置されていることである。
第1遊星歯車組20と第2遊星歯車組30の各回転要素同士の連結関係は実施例1と同様であるが、第1遊星歯車組20と第2遊星歯車組30が離れて配置されているため、第1連結歯車対52と第2連結歯車対54が両者の間に介在して動力伝達を行うようにしている。
【0056】
すなわち、入力軸10と第1リングギヤ24とは第1連結歯車対52を介して、第1キャリア28と第2リングギヤ34とは第2連結歯車対54を介して、それぞれ連結されている。
また、第1M/G42と第2M/G48とは1個のM/Gケース50に収められている。
【0057】
さらに、出力軸12は出力歯車18が一体であるとともに、エンジン1側の端に油圧ポンプ2が設けられ、出力軸12がこれを駆動するようになっている。油圧ポンプ2はエンジン1の図示しない潤滑回路と吸入管2aと吐出管2bとで結ばれており、後述するようにエンジン1が回転していないEV走行において、予備的にエンジン1を潤滑する機能を有している。
【0058】
実施例3の作動であるが、上記したように第1遊星歯車組20と第2遊星歯車組30の各回転要素同士の連結関係は実施例1と同様であり、第1、第2、第3、第4の各回転メンバーも実施例1と同様であるので、詳細の説明を省略する。
出力軸12のトルクは、第1連結歯車対52と第2連結歯車対54が介在する分、実施例1とは異なるが基本的に同様である。
【0059】
ここで、油圧ポンプ2の役割について説明する。
実施例1の作動の部分で説明したように、EV走行においてはエンジン1が回転しておらず、HV走行になって初めて始動されて回転する。自動車の運転条件にもよるが、EV走行を長時間行った後にHV走行に切り替わり、急に高負荷の運転を余儀なくされる場合が考えられ、エンジン1にとって潤滑面で厳しい状態になる可能性がある。
そこで、EV走行をしている間に出力軸12で駆動する油圧ポンプ2でエンジン1の潤滑回路にエンジンオイルを循環させて、予備的に潤滑を行っておくことができるようになっている。
【0060】
図示は省略したが、吐出管2b側に電磁バルブなどを設けて、時々油圧を発生させることも可能である。むろん、エンジン1自体にも図示しない潤滑ポンプを有しているので、油圧ポンプ2はあくまでも補助的な潤滑を行うものである。
むろん、油圧ポンプ2の駆動は出力軸12に限ることなく、他の回転メンバーで駆動してもよいし、専用の小型モーターで駆動してもよい。大事なことはEV走行をしている間にエンジン1を予備的に潤滑できるようにすることである。
【0061】
また、実施例3は、汎用型のM/Gを用いることができるのも特徴である。
すなわち、第1M/G42と第2M/G48は中空軸等を用いない、最も一般的な形状のM/Gであるので製造コストを安くすることができる。
さらに、第1M/G42と第2M/G48とは1個のM/Gケース50に収められているので、これらを冷却する水の循環路の形成を考慮すると製造コストを安くすることができる。
実施例3も、EV走行において第1M/G42と第2M/G48の両方をフルに活用できることが特徴であり、第1M/G42と第2M/G48の合計容量が自動車の走行に必要とするパワーを満足すればよい。
【0062】
また、エンジン1の動力を用いるHV走行においても、機械的な伝達比率を高く維持することができるので、第1M/G42と第2M/G48の発電・駆動の負担が小さい。
このように、従来に比べて第1M/G42と第2M/G48の容量が小さくて済むので、製造コスト・重量・大きさを小さくできるメリットがあるのは実施例1と同じである。
【0063】
このようなメリットを出すことができるのは、実施例1で説明したのと同様に、第3メンバーを構成する回転要素である第1リングギヤ24と第2キャリア38をケース46に固定可能としたからである。
しかも、エンジン1が停止した状態で固定装置46aによって機械的に入力軸10を固定し、一方、第2キャリア38は逆回転方向の回転が自動的にケース46に固定されることとクラッチ40の締結の組み合わせで、第2キャリア38正回転方向にも固定できる。このため、多板ブレーキを用いて第2キャリア38を固定する場合に比べて、高速走行における引きずり抵抗を減らす効果があるので、燃費の改善が期待できる。
また、実施例1などに比べて駆動装置の軸方向長さも短くすることができ、フロント・エンジン・フロント・ドライブ車やリア・エンジン・リア・ドライブ車等への搭載性に優れる。
【0064】
以上説明したように、本発明の各実施例に係る自動車用駆動装置は、バッテリーの電力のみで走行するEV走行において第1M/G42と第2M/G48の両方をフルに活用できることが特徴であり、第1M/G42と第2M/G48の合計容量が自動車の走行に必要とするパワーを満足すればよい。したがって、従来例のような大きな容量のM/Gを用いなくても十分な駆動力を得ることができる。
【0065】
また、エンジン1で駆動するHV走行においても、機械的な伝達比率を高く維持することができるので、第1M/G42と第2M/G48の発電・駆動の負担が小さく、EV走行と同様に容量が従来に比べて小さくて済むので、インバーターやコントローラーを含めて、製造コスト・重量・大きさの面でメリットを有する。
【0066】
そして、EV走行は多様な駆動モードを駆使することができるので、自動車の走行条件に応じて最適な駆動モードを選択することで、重点的にM/Gの熱効率の高いゾーンを使用した駆動が可能である。
さらに、エンジン1が停止した状態で固定装置46aによって機械的に入力軸10を固定し、一方、第2キャリア38は逆回転方向の回転が自動的にケース46に固定されることとクラッチ40の締結の組み合わせで、第2キャリア38正回転方向にも固定できる。このため、多板ブレーキを用いて第2キャリア38を固定する場合に比べて、高速走行における引きずり抵抗を減らす効果があるので、燃費の改善が期待できる。
むろん、前述のように、多板ブレーキを用いて第2キャリア38を固定可能として、固定装置46aを設けなくても、EV走行において第1M/G42と第2M/G48の両方をフルに活用できることは言うまでもない。
【0067】
なお、各実施例の説明において摩擦要素として説明したクラッチ40は、ドッグクラッチに置き換えても上記各作用は成立する。
また、上記した各実施例は、いずれもシングルピニオン型と呼ばれる遊星歯車組を用いたが、これをダブルピニオン型に置き換えることも可能である。ダブルピニオン型の場合は、共通速度線図において第1メンバー乃至第4メンバーを配置する際に、シングルピニオン型に対してキャリアとリングギヤを入れ替えればよい。
【0068】
本発明の自動車用駆動装置は、当業者の一般的な知識に基づいて、自動車の走行条件に応じて最適な駆動モードを選択し、M/Gの最も効率の高いゾーンでの駆動を行うことや、GPS(全地球測位システム)、カーナビゲーションシステムなどの情報を基に、長い坂道の走行時や高速道路の入り口において、さらには気温が低くて自動車の暖房熱源が足りない場合などに、自動的にHV走行に切り替えるなどの制御面での工夫と合わせた態様で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の自動車用駆動装置は、特に走行コストを重視し、環境負荷の低減を要求される小型乗用車などに適用することができるが、それらに限らず内燃機関および電気モーター・ジェネレーターを利用したさまざまな車両に適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 エンジン
2 油圧ポンプ
10 入力軸
12 出力軸
18 出力歯車
20 第1遊星歯車組
22 第1サンギヤ
24 第1リングギヤ
26 第1ピニオン
28 第1キャリア
30 第2遊星歯車組
32 第2サンギヤ
34 第2リングギヤ
36 第2ピニオン
38 第2キャリア
40 クラッチ
42 第1M/G
44 ワンウエイクラッチ
46 ケース
48 第2M/G
50 M/Gケース
52 第1連結歯車対
54 第2連結歯車対



【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンからの動力を受け入れ可能な入力軸と、
出力軸と、
第1サンギヤ、第1リングギヤ、第1キャリアの、3つの回転要素で構成する第1遊星歯車組と、
第2サンギヤ、第2リングギヤ、第2キャリアの、3つの回転要素で構成する第2遊星歯車組と、
第1モーター・ジェネレーターと、
第2モーター・ジェネレーターと、
を備え、
前記第1リングギヤと前記第2キャリアを互いに連結可能にした連結可能メンバーと、
前記第1キャリアと前記第2リングギヤを常時連結した一体メンバーと、
前記第1サンギヤと前記第2サンギヤの2つの独立メンバーと、
から4つのメンバーを構成し、
これら4つのメンバーの回転速度を直線で表すことのできる共通速度線図上において横軸の一端から他端に向かって順番に、第1メンバー、第2メンバー、第3メンバー、第4メンバーを配置し、前記第1メンバーを前記第1サンギヤとして前記第1モーター・ジェネレーターと連結し、前記第2メンバーを前記一体メンバーとして前記出力軸と連結し、前記第4メンバーを前記第2サンギヤとして前記第2モーター・ジェネレーターと連結し、前記第3メンバーを前記連結可能メンバーとして、該連結可能メンバーのうちの前記第2キャリアを静止部に固定可能とし、前記連結可能メンバーのうちの前記第1リングギヤを前記入力軸と連結したことを特徴とする自動車用駆動装置。
【請求項2】
前記第2キャリアを、ワンウエイクラッチを介して静止部に固定可能とし、前記第1リングギヤを静止部に固定可能としたことを特徴とする請求項1に記載の自動車用駆動装置。
【請求項3】
前記入力軸は、ドッグ歯を有し、該ドッグ歯を機械的手段によって固定することにより、前記第1リングギヤを静止部に固定可能としたことを特徴とする請求項2に記載の自動車用駆動装置。
【請求項4】
前記出力軸を前記入力軸と平行に配置して、前記第1遊星歯車組と前記第2遊星歯車組の一方を前記入力軸と同心上に、前記第1遊星歯車組と前記第2遊星歯車組の他方を前記出力軸と同心上に配置したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の自動車用駆動装置。
【請求項5】
前記第1モーター・ジェネレーターと、前記第2モーター・ジェネレーターとを一体のケースに収納したことを特徴とする請求項4に記載の自動車用駆動装置。
【請求項6】
前記エンジンを停止して、前記第1モーター・ジェネレーターと、前記第2モーター・ジェネレーターのみを動力源として駆動している間に、前記エンジンを予備的に潤滑可能とする油圧ポンプを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の自動車用駆動装置。
【請求項7】
前記油圧ポンプを前記出力軸で駆動するようにしたことを特徴とする請求項6に記載の自動車用駆動装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−106712(P2012−106712A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34528(P2011−34528)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(393011821)有限会社ファインメック (13)
【Fターム(参考)】