説明

自動車自身の速度を測定する装置

プリクラッシュセンサシステムを用いて自動車自身の速度を求める、自動車自身の速度の測定装置を提案する。測定は、道路表面で反射される信号に基づき行われる。当該測定は、車輪のロック状態または空転状態または浮遊状態のような所定の動作状態が生じている場合にのみ行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリクラッシュセンサシステムを有しており、前記プリクラッシュセンサシステムは自動車自身の速度を求めるために構成されている、自動車自身の速度の測定装置に関する。
【0002】
従来技術
DE3909644A1からは、車両の自身の速度測定をドップラー・レーダ原理により行うことが公知である。その場合、地に反射される信号を用いる。
【0003】
発明の利点
これに対し、独立請求項に記載の特徴部を有する本発明の自動車自身の速度の測定装置は、所定の動作状態が生じている場合にのみ、プリクラッシュセンサシステムにより、地面に反射された信号を用いて、自動車自身の速度の評価処理が投入されるという利点を有する。前記所定の動作状態は、例えば車輪のロック状態、空転状態または空中に浮いた状態である。このような動作状態は、すなわち、車輪回転数を介しての自身の速度の測定が機能しなくなったことを意味する。したがって、その場合、自身の速度測定はプリクラッシュセンサシステムを用いて、地面で反射された信号に基づいて実施される。
【0004】
従属請求項に記載の方法および別の構成により、独立請求項に記載の自動車自身の速度を測定するための装置の有利な改善が実現可能である。
【0005】
特に、プリクラッシュセンサシステムがレーダセンサシステムを有していることは有利である。さらに、対象物を分類するために、該装置が対象物から反射された信号を自動車自身の速度と比較することは有利である。すなわち、反射信号により対象物が自動車に対して自身の速度と同じ相対移動を表している場合には、対象物は停止している。その際、当該停止した対象物はまた、自身の速度を求めるために利用することもできる。
【0006】
図面
本発明の有利な実施例を以下図面を参照して詳細に説明する。
【0007】
図1は、本発明の装置の機能を示し、
図2は、本発明の装置のブロック線図を示し、
図3は、第1のフローチャートを示し、
図4は、第2のフローチャートを示す。
【0008】
実施例
エアバッグアルゴリズムでは、現在のところ、加速度センサのような衝突センサからの信号が評価処理される。トリガ時間の適切な決定が得られるよう、自動車と衝突対象物との相対速度ならびに自身の速度は重要なパラメータとなる。このパラメータは、プリクラッシュセンサシステムを用いて検出できる。但し一般に、自身の速度は、ESP/ABS制御装置において、車輪回転数により求められる。しかしながら、車輪のロック状態又は空転状態又は浮遊状態のような所定の動作状態では、前記情報はもはや正確ではない。
【0009】
自身の速度は、ESP/ABSファンクションに対する重要な値であり、例えば車輪がロック状態であるような問題状況における正確な予測は、ひいては走行安定性も改善する。
【0010】
したがって、本発明により、前記動作状態において、自動車自身の速度をプリクラッシュセンサシステムを用いて求めることが提案される。このことは、地すなわち道路表面で反射された信号により実現される。道路表面に対するレーダビームの距離および角度は一定であるので、送信から受信までの信号の時間が、自動車の自身の速度の尺度となる。
【0011】
プリクラッシュセンサの広い開口角により、向かってくる乃至静止した障害物の本来の有効信号のほか、道路に起因する信号成分も得られる。その場合、前記常に存在する信号成分から、自動車の自身の速度が計算される。プリクラッシュセンサシステムは、ここでは有利には、レーダセンサシステムを用いる。しかしながら、超音波センサシステムないしライダ技術または送信され再び反射される別の信号を用いることも可能である。
【0012】
図1に、本発明の装置の機能が示されている。自動車10は、プリクラッシュセンサシステム11(ここでは、レーダセンサシステム。)を有しており、該プリクラッシュセンサシステムは、ここでは例えばレーダビーム13及び15を送信する。レーダビーム13は道路地面12に反射され、一方、レーダビーム15は対象物14に反射される。道路に対するレーダビーム13の角度は常に一定であるので、レーダセンサ11から道路12までの信号の走行時間は常に一定である。したがって、信号走行時間により、自動車自身の速度の尺度が与えられる。障害物14までの信号走行時間は、距離が狭まると、短くなる。しかし、障害物14が移動しない場合、反射された信号の信号列は同様に、自動車自身の速度の尺度である。このようにして、障害物14の分類が可能である。
【0013】
図2に、本発明の装置のブロック回路図が示されている。プリクラッシュセンサシステム20が、信号処理部21に接続されている。信号処理部21は、プリクラッシュセンサシステム20の信号を増幅し、フィルタ処理し、ディジタル化する。次いで、ディジタル信号は、信号処理部21から制御装置22へと伝送される。たとえば前記制御装置22は、ここでは拘束手段のための制御装置である。しかしまた、制御装置22に、車輪回転数センサシステム23が、自動車自身の速度を示す信号を供給する。このとき、走行ダイナミック制御により、車輪が空転状態かロック状態または浮遊状態であることが検出されると、エアバッグ制御装置22は、自動車自身の速度を求めるために、プリクラッシュセンサシステム20の信号を用いる。自動車自身の速度は、クラッシュの激しさを測定するための重要なパラメータである。それに依存して、次いで、制御装置22は拘束手段24を駆動制御する。拘束手段24とは、エアバッグ、シートベルトプリテンショナーまたはロールバーのことである。
【0014】
図3に、第1のフローチャートにおける本発明の装置の機能が説明されている。その処理方法が、ステップ300で開始する。ステップ301において、プリクラッシュセンサシステムを用いての自身の速度測定が必要となる条件が生じているかどうかが検査される、詳しく言えば、これは走行ダイナミック制御またはABS制御装置のデータに基づき検査される。前記条件とは、車輪の回転数による自身の速度の測定が不可能となる条件をいう。これは、車輪のロック状態、空転状態または浮遊状態である。ノーの場合、ステップ303において、回転数により自身の速度が求められる。しかし、イエスの場合には、ステップ302において、上述のように、プリクラッシュセンサシステムにより、道路表面で反射された信号を用いて自身の速度が求められる。
【0015】
図4に、第2のフローチャートにおける本発明の装置の機能が説明されている。その処理方法が、ステップ400で開始する。ステップ401において、対象物に反射された信号の評価処理が行われる。その評価処理は、対象物列の速度が評価されるように行われる。すなわち、このようにして、対象物が静止している場合には、自動車の自身の速度が測定可能である。したがって、ステップ402では、対象物列により測定される速度が自身の速度に相応するかどうかが評価処理される。イエスの場合、ステップ403において、対象物が静止していることが確認される。ノーの場合には、ステップ404において、対象物は移動することが確認される。
【0016】
道路から反射して戻るビーム成分が評価される場合、自動車の前に常に同じ距離で存在する対象物が検出される。これは、自動車の方に向かって移動する一連の対象物から構成されている。このとき、対象物列の速度が評価されると、当該速度が自身の速度に相応することが確認される。対象物との固定の距離および自動車の方に向かっている対象物速度により、対象物はクラッシュに関して問題の対象物かどうか区別され、こうして、自身の速度の測定のために関連付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の装置の機能を示す図面である。
【図2】本発明の装置のブロック線図を示す。
【図3】第1のフローチャートを示す。
【図4】第2のフローチャートを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車自身の速度の測定装置であって、該装置はプリクラッシュセンサシステム(11,20)を有しており、前記プリクラッシュセンサシステムは自動車自身の速度を求めるために構成されている、自動車自身の速度の測定装置において、
前記プリクラッシュシステム(11,20)が、所定の動作状態が生じている場合、地面から反射された信号により自身の速度を求めるように構成されていることを特徴とする、自動車自身の速度の測定装置。
【請求項2】
前記プリクラッシュシステムが、レーダセンサシステムを有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記動作状態は、車輪のロック状態または空転状態または浮遊状態であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は次のように構成されている、すなわち、前記装置は対象物から反射された信号を自動車自身の速度と比較し、その結果、前記対象物が分類されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−528995(P2007−528995A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519759(P2006−519759)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【国際出願番号】PCT/DE2004/001480
【国際公開番号】WO2005/008282
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】