説明

自己感覚性ステント、スマート材料利用のステント、薬剤伝達システム、その他の医療用器具および圧電性材料の医療への利用

【課題】 圧電性材料を内蔵するステントを提供する。
【解決手段】 少なくとも一つの圧電性材料を含み医術的に移植可能なステントを、そのステントの移植先の患者に抗凝血効果その他の治療効果をもたらす、動作電力を自給する、および外部向け信号を患者の体外に送信するの一つまたはそれ以上を行わせて能動的にする。ステントから上記外部向け信号の送信が可能になると、医師はステント移植先の近傍の状態を非侵襲的に確かめることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は概括的には医療に関し、より詳しくは、ステントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステントとしては金属製または高分子材料製のものが用いられてきた。ステントは動脈の開存性を確保することによって動脈内の血流を改善するために挿入するものである。ステントを動脈に挿入し、空気注入可能なバルーンで所要形状に拡大する。現在、ステントにはその構成材料などの面で多様な改変が加えられつつある。例えば、凝固防止のために内部または管腔表面から薬剤を溶出させる新型の薬剤溶出ステントなどがある。それ以外の例としては、遷移温度通過時に大きい歪みを生ずる形状記憶合金(SMA)であるNi−Ti合金などの特殊材料を組み入れたものなどがある。SMAステントは血管に挿入することができ、体温により温められる結果、所要の寸法まで大きくなる。
【0003】
これらの変化にも関わらず、バイオマテリアルと循環血液との間の界面の複雑さは引き続き未解決のままである。ステントの部分的または全面的閉塞に至るステント内部の凝血は現在でも生じ得る。ステント装着中の患者が胸の痛みを訴えた場合は、その患者のステントの開存性の問題が非常に重要である。それらの患者に対してはステントの開存状態の判定のために冠状動脈造影術を施す必要があることが多い。
【0004】
昨今では、ステントを無血管の組織に配置する。それらの組織の例としては、呼吸系の気道通路、排尿系の多様な通路、および胃腸管の多様な通路などが挙げられる。
【0005】
【特許文献1】US 2005/0177223
【特許文献2】US 2004/0232807
【特許文献3】US 2005/0165317
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、医療用ステント技術を著しく改良し、上述の諸問題の解消策を提供する。発明の一つの目的は、開存性の判定のためのステントの試験、特に非侵襲性のステントの試験を可能にする新たな材料および方法を用いることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
少なくとも一つの圧電性材料を含む医術的に移植可能なステントを、そのステントを移植ずみの患者に抗凝固薬ほかの薬剤を伝達することや、そのステントに動作電力を供給することや、外部向けの電気信号をリモートデバイスに送ることなどを一つまたは二つ実行することにより活性化する。ステントが上記外部向け信号を伝達できる場合は、そのステントの近傍の状態を医師は非侵襲的に確かめることができる。
【0008】
一つの好ましい実施例では、この発明は抗凝血性および/または抗癒着性ステント、すなわち、生きている患者に移植可能なステントであって、少なくとも一つの負電荷発生表面(例えば、一定の負電荷を生ずる向きに配列した少なくとも一つの圧電性材料を含む負電荷発生表面)を有し、抗凝血性薬効や抗癒着性薬効をそのステントを移植ずみの患者に伝達するステント、すなわち、例えば、少なくとも一つの信号発生部(例えば、記録可能な信号を生ずる信号発生部など)を有するステントや、圧電性材料を含むステントや、薬剤溶出性能を備えるステントや、スマートステントや、1乃至2フィートの範囲内の距離に電気信号を送出する信号送出器を備えるステントや、ステント配置先の組織の少なくとも一つの機能または特性(例えば、流れ、圧力、力、温度など)に比例する記録可能な電圧出力を有するステントや、少なくとも一つの圧電性材料を有するとともにその圧電性材料とその圧電性材料に接する材料との間の相互作用から生ずる記録可能な電圧出力を有するステントや、電力自給能力を有するステント(例えば、そのステントから放出可能な少なくとも一つの薬剤その他の物質とその薬剤を放出する機構、すなわち圧電性材料とステント配置先の組織との間の相互作用により駆動電力の供給を受ける機構を有するステント)や、PVDF、またはPVDFとトリフルオロエチレン(TrFE)、テトラフルオロエチレン(TFE)との共重合体、PVDFカーボンナノチューブ複合体、PVDFナノクレイ複合体、ジルコン酸チタン酸鉛セラミックなどを有するステントや、電圧の印加を制御する(例えば、制御可能な周波数の電圧の印加を制御して通路遮断の解消または防止により圧電性材料と血液(またはその他の体液)との間の相互作用を制御する表面振動を生じさせる)電圧制御手段を含むステントなどの抗凝血性および/または抗癒着性ステントを提供する。
【0009】
この発明は、もう一つの好ましい実施例において、抗凝血効果や抗癒着効果を患者にもたらす方法であって、負電荷発生表面を含むステント(例えば、圧電性材料を含むステント、PVDFまたはPVDFとトリフルオロエチレン(TrFE)もしくはテトラフルオロエチレン(TFE)との共重合体、PVDFカーボンナノチューブ複合体、PVDFナノクレイ複合体、ジルコン酸チタン酸鉛セラミックなどを含むステント)を患者に移植する過程を含む方法を提供する。上記移植する過程の例としては、薬効溶出ステントを移植する、心臓ステントを移植する、冠状動脈ステントを移植する、血管ステントを移植する、気道ステントを移植する、胃腸ステントを移植する、泌尿器ステントを移植する、スマートステントを移植する過程などが挙げられる。
【0010】
もう一つの好ましい実施例において、この発明は、スマートステントシステム、すなわち、(a)生きている患者に移植できるスマートステントであって圧電性材料を含み記録可能な信号を生ずるスマートステントと、(b)このスマートステントから物理的に分離可能であって約1乃至2フィード以上の範囲の距離のスマートステントから前記記録可能な信号を受ける信号受信器とを含むスマートステントシステム、すなわち、前記受信器が無線受信器であってフィルタ、増幅器およびモニタ(コンピュータ、パーソナルディジタル支援装置など)に無線で接続されているスマートステントシステムや、少なくとも一つの受動部品(電圧変動を抑制するダイオードブリッジ、電圧調整器など)を含むスマートステントシステムや、再充電可能な電池、フィルタ、増幅器およびA−D変換器(マイクロコントローラ)を含むスマートステントシステムや、前記圧電性材料の電圧出力で前記電池を充電したり前記ステントの少なくとも一部の部品に動作電圧を供給したりするスマートステントシステムや、前記ステントがそのステントの配置先の組織の少なくとも一つの機能または特性に比例する前記記録可能な電圧出力を生ずるスマートステントシステムや、前記ステントが少なくとも一つの圧電性材料を含み、前記記録可能な電圧がその圧電性材料とその圧電性材料に接している材料との間の相互作用によって生ずるスマートステントシステムや、前記ステントが動作電力を自己供給するスマートステントシステムや、前記ステントの中にそのステントから放出可能な物質を有するとともにその物質を放出する放出機構をさらに含みステント配置先の組織と前記圧電性材料との間の相互作用により前記物質の放出機構の動作電力を供給するスマートステントシステムや、負電荷発生ステントを含むスマートステントシステムや、抗凝血性ステントを含むスマートステントシステムや、抗癒着性ステントを含むスマートステントシステムや、正電荷発生ステントを含むスマートステントシステムや、プロコアギュラントステントを含むスマートステントシステムや、プロアドヒージブステントを含むスマートステントシステムやその他のスマートステントシステムを提供する。
【0011】
この発明は、もう一つの好ましい実施例において、圧電性材料を含み患者生体への移植時に別個の電源を要することなく動作電力を自己供給できるステント、すなわち、ステント移植ずみの患者の体内の好ましくない凝血と界面を画するステントや、凝血関連の情報から成る信号を外部に送信する送信器を含むステントや、ステント配置先の組織の少なくとも一つの機能または特性に比例する記録可能な電圧出力を生ずるステントや、少なくとも一つの圧電性材料を含みその圧電性材料とその圧電性材料に接している材料との間の相互作用からの記録可能な電圧出力を有するステントや、少なくとも一つの放出可能な物質を含み圧電性材料と配置先の組織との間の相互作用から動作電力の供給を受けて前記物質を放出する放出機構を有するステントや、負電荷発生ステントや、プロコアギュラントステントや、プロアドヒージブステントなどを提供する。
【0012】
この発明は、もう一つの好ましい実施例において、スマートステントシステムを構築する方法であって、(a)少なくとも一つの圧電性材料を含み患者に移植でき配置先の組織の少なくとも一つの機能または特性に比例する記録可能な電圧出力を生ずるように構成した移植可能な自己給電式のステント構造を構成する過程と、(b)前記ステント構造からの前記記録可能な電圧出力を受ける受信器、すなわち前記移植可能なステント構造とは別個にできる受信器を構成する過程とを含む方法、すなわち、放出可能な薬剤その他の物質を収容する溜め部を前記ステントの中に形成する過程をさらに含み前記圧電性材料の発生した電力、すなわち直接の利用に供されるか蓄積されるか放出機構駆動への使用前に変換される電力で前記放出機構を前記ステントが備える方法や、一定の負電荷または正電荷を生ずるように少なくとも一つの前記圧電性材料の向きを整える過程を含む方法、その他の方法を提供する。
【0013】
この発明は、さらにもう一つの好ましい実施例において、少なくとも一つの圧電性材料から成り患者の体内に放出しようとする所定量の薬剤を収容する空胴を備え患者に移植可能な容器を含む薬剤伝達システム、すなわち薬剤を含む薬剤伝達システムや、患者の組織と前記圧電性材料との間の相互作用に基づく電気信号であってリモートデバイス向けの電気信号を生ずる手段をさらに含む薬剤伝達システムや、前記容器の中の前記薬剤の放出に関係する少なくとも一つのパラメータ(その薬剤の放出のための開孔の数、その開孔の大きさ、その開孔の形状など)を医師がリモート制御できるようにするリモート制御システムを含む薬剤伝達システムなどの薬剤伝達システムを提供する。
【0014】
この発明は、さらにもう一つの好ましい実施例において、患者をモニタするモニタ方法(例えば、心筋機能や圧力などの監視、肺動脈機能/圧力/血流/温度などの監視、頸動脈機能/圧力/血流などの監視、大脳動脈機能/圧力/血流/温度などの監視)であって、(a)患者の体内にステント(例えば、少なくとも一つの圧電性材料を含むステント、自己給電ステントなど)を移植する過程と、(b)そのステントから心筋機能/圧力や温度などに関する信号、肺動脈機能/圧力/血流や温度などに関する信号、頸動脈機能/圧力/血流や温度などに関する信号、または大脳動脈機能/圧力/血流や温度などに関する信号を受ける過程とを含むモニター方法を提供する。
【0015】
この発明は、さらに他の実施例において、エネルギー取入れデバイスであって、生物学的組織(例えば、患者または生物生体内の生物学的組織など)の一つの領域内に配置できる少なくとも一つの圧電性材料と、少なくとも一つの圧電性材料と生物学的組織との相互作用からのエネルギーを受ける少なくとも一つのエネルギー変換またはエネルギー蓄積手段とを含むエネルギー取入れデバイス、すなわちステントを含むエネルギー取入れデバイスや、圧電性材料膜を含むエネルギー取入れデバイスや、動脈その他の生物学的組織に巻付けできるラッピングを含むエネルギー取入れデバイスや、前記生物学的組織の少なくとも一つの機能(例えば、血流、圧力、温度など)を電気信号として伝達できるモニタ手段をさらに含むエネルギー取入れデバイスや、前記生物学的組織の機能(例えば、血流、圧力、温度など)をその生物学的組織移植先の患者から体外に電気信号として伝達できるエネルギー取入れデバイスなどを提供する。
【0016】
この発明は、さらに他の実施例において、エネルギーの取入れ方法であって、少なくとも一つの圧電性材料を生物学的組織の上、中または近傍にエネルギー発生用の圧電性相互作用が起きるように配置する過程と、前記圧電性相互作用からのエネルギーを蓄積可能なエネルギーや電力として利用可能なエネルギーなどに変換する過程とを含むエネルギー取入れ方法、すなわち、前記生物学的組織の機能(例えば、血液、圧力、温度など)を監視する機能(例えば、電気信号を患者体外に送出するモニタ機能など)をさらに含む方法などを提供する。
【発明の効果】
【0017】
血管などの開存性の有無を非侵襲的に体外から試験できる電力自給型のステントを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
まず図1を参照すると、図示の構成に限定されない形の発明がさらに認識されよう。ステント(900)は、このステント(900)の移植先の組織(901)に関する情報を含む信号をリモート信号受信器(902)に外部向けに送ること(92)、および組織(901)への治療効果を伝達すること(93)の少なくとも一方、好ましくは両方を行う。ここで、「リモート」とは、信号受信器がステント(900)とは別個であること、すなわち受信器(902)を患者の体内に移植する必要はないという意味である。リモート受信器(902)はこの発明の特に有利な特徴である。すなわち、移植ずみステントの周囲または内部の環境(例えば凝血の発生など)についての情報を医療従事者(医師など)が離れた位置で非侵襲的に把握できるからである。
【0019】
図1において、患者の組織(901)に移植されたステント(900)はその組織(901)から相互作用(91)を受け、その相互作用(91)によって、ステント(900)がリモート信号受信器(902)に電気信号を送ること(92)ができるようになること、およびステント(900)が蓄積可能なエネルギーまたは変換可能なエネルギーを蓄積することの少なくとも一方が結果として起こる。この発明のステント(900)がリモート信号受信器(902)に信号を送る能力を備えることはこの発明の著しく有利な特徴である。例えば、患者にステント(900)を移植ずみである場合は、医師はその移植ずみのステント(900)の領域の状態に関する情報を非侵襲的に受けることができる。
【0020】
電気信号(92)は、NanoNet TRX、Crossbow MICA2 Mote、および Microstrain G-link Wireless acceleration システムなどの無線受信器で受信できる電気信号である。電気信号(92)は音響波以外の信号とするのが好ましい。
【0021】
ステント(900)は、好ましくは、少なくとも一つの圧電性材料を用いて構成することによって達成する電力自給式のステント(電池駆動式でない)とする。圧電気とは、機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する能力またはその逆に変換する能力をいう。したがって、圧電気は検出機能およびアクチュエーション機能の両方と結びつく。圧電気は、永久ダイポールがありそれらダイポールが発生電界中で向きを換え得る場合に生ずる。圧電性ステントは、そのステントの壁とそのステントを通り抜ける血流(またはそれ以外の流れ)との間、または血管ほかの解剖学的構造との間の相互作用により発生するエネルギーを変換することができる。新規なデバイスで利用できる圧電性材料の例としては、圧電性ポリマー(例えば、ポリ弗化ビニリデン(PVDF)など)、圧電性ポリマー複合体(例えば、カーボンナノチューブ−ポリマー複合体、PVDFナノクレイ複合体など)、PVDFとトリフルオロエチレン(TrFE)、テトラフルオロエチレン(TFE)との共重合体、ジルコン酸チタン酸鉛セラミックなどが挙げられる。
【0022】
圧電効果は圧電性材料の微細構造に密接に関連した直線性効果である。圧電気という用語はギリシャ語の「圧力」を意味する「ピエゾ」から派生しており、したがって、圧電気は、圧力または機械的応力に応答した材料内部における電気的分極の発生である。この現象は直接の効果として周知である。圧電性材料は常に逆の効果、すなわち電荷または電気信号の印加による機械的変形の効果を生ずる。圧電気は中心非対称の(対称中心を欠いた)セラミック、ポリマーその他の生物学的システムの特性である。この現象はモーメント発生能力を備えるために、センサおよびアクチュエータへの応用に理想的である。すなわち、システムが環境の変化を検出し比例応答を通じてその変化に応答する生物学的な種類の振舞との類似点を強調するのである。
【0023】
圧電気の一種として焦電気がある。焦電気材料は一様な温度変化に応答して分極が変化する材料である。焦電材料には強誘電性を併せ備えるものもある。強誘電性材料は電界の印加により反転できる自発分極を有する。
【0024】
この発明では圧電性材料を用いる。機械的な力に応答してエネルギーを取入れできる材料として唯一の既知の材料であるからである。したがって、この明細書で用いる用語「圧電性材料」は、エネルギー取入れの可能な材料という広い意味で用いており、エネルギー取入れの可能な材料として今後開発され得るものの「圧電性」とは呼ばれないかもしれない新材料を含んでいる。
【0025】
圧電性パラメータを変えることにより、デバイスの感度を上げて流れほかのパラメータの監視機能を高めることができる。また、圧電性を備えることによって、デバイスはアクチュエータとしても機能できる。電界をかけると、その電界の極性(縦、横、厚さ)に応じて、圧電性材料は伸縮により三軸方向沿いの寸法を変える。管状の圧電性材料に半径方向の変形を生じさせることもできる。制御可能な周波数の電圧をかけると、表面振動が生じ、その表面振動は圧電性材料と血液(またはそれ以外の体液)との間の相互作用を閉塞の解消または予防をもたらすように抑制することができる。
【0026】
ステントを患者(901)の体内に移植したのち、例えば、動脈内に移植したステントの場合はその動脈を通じた血流を確保するように、ステントに質問する(周期的質問など)。対象となる変数の例としては、流速および圧力が挙げられる。医師がリモート信号受信器(902)を調べてステント(900)移植先の患者の組織(901)の状態に関する情報を把握すると、その医師は必要に応じて自身の判断により処置を施すか否かを決める。
【0027】
図1を参照すると、移植ずみのステント(900)は、移植先の組織(901)との間で相互作用(93)を生ずる。ステント(900)の中に圧電材料を用いた場合は、その相互作用(93)を、抗凝血効果または抗癒着効果(例えば、負電荷帯電表面を通じて)などの治療効果を患者にもたらすようにする。
【0028】
ここで、「抗凝血性」とは、ステント表面への凝塊または血塊の形成の全面的抑制を意味する。
【0029】
また、「抗癒着性」とは、ステント表面に粘着し得る蛋白および細胞などの生物学的材料の全面的抑制を意味する。
【0030】
いくつかの実施例では、オプションとして、図1Aに示すとおり、ステント(900)からの信号(92)を医師が調べた結果を反映した信号(94)などの信号(94)をリモート受信器(902)から受けるようにステント(900)を構成することもできる。すなわち、ステント(900)は、オプションとして、ステントからの薬剤(例えば、小さい溜めに収容)の放出の量を変えたり、先行する圧電性相互作用で蓄積ずみの電荷を放出したりすることによって遠隔調整可能にすることができる。圧電性材料付きのステント(900)の上述の遠隔調整は、例えば、外部からの電気信号で活性化できる種々のアクチュエータその他のMEMS構成を駆動するように取り入れて蓄積したエネルギーを用いることによって、達成できる。
【0031】
この発明によるステント(図1および図1Aのステント(900)など)への電力供給は自己供給が好ましい。外部からの電力供給も慣用の電源(電池)も避けるのが好ましい。ステントの構成には、例えば、一つの圧電性材料または圧電性材料の組合せなど生体組織との接触の下に記録可能な電圧出力を生ずる材料を用いる。少なくとも一つの圧電性材料を用いることにより、ステントを通じた血液の拍動性の流れをエネルギー源とするステントなど電力自給ステントを構成できる。ステントを「スマート」ステントとする一つの手法、すなわち唯一でない一つの手法は、ステント移植先の組織の少なくとも一つの機能または特性に比例する記録可能な電圧出力など記録可能な電圧出力を送出する手段をステントに設ける手法である。電池を構成要素として含む実施例においても、圧電性材料で生じた電圧出力でその電池を充電でき、電磁誘導による充電または電池の再充電を必要としないので有利である。
【0032】
ステントを通じた血液の拍動性の流れを受信デバイス向けの電気信号に変換する手法の例、およびステントを通じた血液の拍動性の流れを蓄積可能な電力に変換する手法の例については、例えば、図2および図3に示した回路を参照されたい。
【0033】
この発明のステントに使える信号発生手段の例としては、記録可能な信号を発生する信号発生手段、電気信号を発生する信号送信器(1乃至2フィート以上の範囲に電気信号を送出する送信器など)などが挙げられる。
【0034】
この発明の無線受信システムを図解する図1および図2に、受信器(902)の限定的でない例を示す。無線受信器の例としては、NanoNet TRX、Crossbow
MICA2 Mote、および Microstrain G-link Wireless acceleration
システムが挙げられる。図2において、モニタは例えばコンピュータ、PDAなどで構成できる。
【0035】
図2には電圧調整器を示してあるが、これは必須ではない。
【0036】
図3の回路では、ペースメーカー用などの高密度再充電可能電池を用いている。しかし、この電池はステント内の圧電性材料で発生した出力電圧で充電するものである。
【0037】
この発明によるステントは患者生体内、例えば、患者に物理的ステント構造が有利とみられる部位(詰まった動脈など)、薬剤その他の物質を伝達する必要のある部位、凝血状態の監視を要する部位、組織の少なくとも一つの機能または特性(流れ、圧力、温度など)の監視を要する部位などに移植する。この発明におけるステントの移植先の部位の例としては、血流の通路、呼吸気の流れの通路、排尿の通路、胆汗の通路などが挙げられる。
【0038】
圧電性材料を含むこの発明のステントを血流通路に配置した場合は、外部向け信号の発生が通常は可能なはずである。しかし、この圧電性材料を含むステントを呼吸気の流れの通路または排尿の通路に用いるなどの実施態様においては、外部向け信号の発生は不可能であってステントが治療効果のある負電荷を発生するに留まることもあり得る。
【0039】
この発明の実施においては、ステントからの薬剤の溶出は必要ではないが、オプションとしてスマートステントから薬剤を溶出する態様を提供できるので有利である。この発明のステントから溶出できる薬剤は特定のものに限定されることはなく、例えば抗増殖剤および抗炎症剤を例として挙げることができる。
【0040】
この発明は、例えば従来のステントの適用分野(薬剤溶出ステント、非薬剤溶出ステントを含む)など多様な情況および手法で用いることができ、悪影響を回避できる。
【0041】
しかし、この発明に用いる物品の形状は特に特定のものに限定されず、慣用のステントの形状や寸法、ステントと従来無関係であった形状も含む。
【0042】
また、この発明は、従来のステントにはなかった用途(薬剤伝達用、組織構成用)などにも用いることができる。特に、薬剤伝達用の用途では、この発明の実施製品は慣用の形状を備える必要はなく、圧電性材料付きのこの実施製品は多様な形状を備えることができる。
【0043】
この発明によるステントは、動脈に挿入されて血液の貫流を可能にする従来のステントで指摘されてきた詰まりの問題の解消に用いることができる。この新規なステントは多くの場合に血塊の形成を予防して凝血の問題の回避を可能にし、血塊の形成が避けられない場合は、少なくとも、その血塊形成を適切な処置をとることができるように、報知する。
【0044】
また、この発明は、生物学的組織からのエネルギーの取入れまたは生物学的組織に基づくエネルギーの取入れにおける圧電性材料の新規な利用を、少なくとも一つの圧電性材料を生物学的組織に対して(図9)位置付けし(100)、その圧電性材料と生物学的組織との相互作用エネルギー(Epz)を発生させることによって行う。この圧電性材料の位置付け(100)は少なくとも一つの圧電性材料を含むステントを挿入すること、少なくとも一つの圧電性材料を含む一つのフィルムまたはラップで動脈を巻くことなどによる患者生体内への移植で行う。上記圧電性材料は、上記生物学的組織の中、上または近傍に位置づけることができ、他の実施例ではその生物学的組織に直接または間接に接触させる。この構成で圧電性材料はその周囲からエネルギーを取り入れ、そのエネルギーが上記周囲の監視および制御に用いられるようにする。
【0045】
圧電性材料を生物学的組織に位置づける過程の次に、その圧電性相互作用の発生したエネルギー(Epz)をアンテナ向けまたは回路向けなど応用装置への給電に使用可能または後刻の使用に備えて蓄積可能なエネルギー(Euseable)に変換する過程(200)を続ける。
【0046】
次に述べる例を参照すればこの発明がよりよく理解されよう。なお、この発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0047】
[例1]
この例では、移植が可能であり血管内の流れおよび圧力を測定できる「スマート」バイオ材料を用いる。このステントの構成は圧電材料に基づく。検出機能はそのステントに初めから備わったものとして、またはそのステントに組み合わされた形で組み入れてある。
【0048】
この例のステントを患者の体内に配置したのち周期的に質問を送って動脈を通じた血流を確保する。血流の速度と圧力も対象の変数である。この質問は遠隔的に行う。アンテナは、検出信号をとり込んでその信号を電磁波信号に変換し、患者の対外へ送出してリモート受信されるようにする。
【0049】
上述の原理に基づき、ステントから心筋機能の上記以外の側面をモニタできる。その中には、冠状動脈−心筋表面からの収縮パラメータも含まれるがそれに限られない。
【0050】
ステントの中には左側心臓カテーテルを用いて血管造影法により位置付けされるステントもあるので、圧電性材料/デバイスを、大動脈圧力および流れ(心臓圧力)の測定のために上行大動脈に、または心室内圧力の測定のために左心室内にそれぞれ取り付けることができる。これと同じ作用を肺動脈カテーテルを用いて心臓の右側で達成することもできる。これらのステントおよび材料は頸動脈および大脳動脈などの血管にも使うことができるが、それらに限定されない。
【0051】
この発明の特有の効果および利点を含む特徴および作用効果は次のとおりである。
【0052】
――検出およびアクチュエーションの二重の機能を備える新規なデバイスを供給する。
【0053】
――心筋状態および呼吸状態を監視するように構成された体内検出を可能にする新規なステント構成を提供する。
【0054】
――高い応答電圧出力、広い周波数帯域および平坦な周波数応答特性を有する圧電性ポリマーおよびポリマー複合体に基づく新規なステント構成を提供する。
【0055】
――このステント構成は血液力動における詰まりほかの変化の検出のための継続監視を可能にする。
【0056】
――このデバイスは微小化でき、検出機能およびアクチュエーション機能並びにリモート活性化および質問に必要な回路を組み入れできる。
【0057】
――圧電性ポリマーおよびポリマー複合材料は可撓性に富み、管など多様な形に適合できる。それら材料の密度は水および生体組織と同等であり、化学的に不活性であるので移植に適している。
【0058】
この圧電性ポリマーおよびポリマー複合体は水および生体組織とよく整合したインピーダンスを備える。
【0059】
――このステントに用いる材料は可撓性を備え軽量であるので、患者に不快感をもたせることがなく、また、動脈その他の血管の通常の機能に支障をもたらさない。
【0060】
――圧電性ポリマーおよびポリマー複合体の中のエネルギー変換プロセスは周波数応答または温度応答プロセスであって広いダイナミックレンジに及ぶ。
【0061】
――この新規なデバイスは電力自給用またはリモート機能駆動用電源のためのエネルギー取入れを可能にする。
【0062】
――この圧電材料はMEMSおよびナノデバイス情報処理との間で両立性を有する。
【0063】
――この新規なデバイスは、制御可能な周波数での電圧の印加を可能にし、それによって圧電性材料と血液(またはそれ以外の体液)との間の相互作用を閉塞の解消または予防により抑制する表面振動を生じさせ得るようにする。
【0064】
――マイクロアンペア乃至ナノアンペアまたはマイクロクーロン乃至ナノクーロンレベルの負極性の電流は、ステントの詰まりを抑制するので極めて有利である。実のところ、負電荷が極めて高い抗血栓性/抗凝血性/抗癒着性を備え、したがって移植ずみのステントの目的が組織への血流の回復および維持である場合は再狭窄を防ぎ得ることが明らかになった。圧電性材料にかかる応力変形に応答して負電流または負電荷を生ずる電位差が生ずる。上記ダイポールの向きは、圧電性素子に強い直流電界をかけて上記ダイポールを電界に平行に整列させるなどの既知の方法で整えることができる。圧電性材料の上記ダイポールに平行な圧力を増減することにより、その特定の圧電性材料の圧電係数に応じて正または負極性の電荷が生ずる。ステント表面にこの電荷が生ずるのに加えて、この電荷は特定の機能を得るための所要電気部品の利用により必要に応じて電流として流したり蓄積したりすることができる。圧電気は、加えられた機械的刺激を電荷または電流に関連づける直線性の現象であるので、それによって生じた電荷または電流の大きさは上記圧力の増大または現象に応じて増減する。その圧電性材料の圧電係数に応じて、その材料への圧力が初期分極と平行であれば、正極性または負極性の電圧が発生する。連続的に小振幅負極性電流を維持するには、次に挙げる多様な手法がある。
(1)追加の機械的刺激を加えると負の領域で振動する電流を生ずるように圧電性ステントにバイアスをかける。その結果、外部からの刺激の周波数にしたがって最大値および最小値に達する振幅の負極性電流を生ずる。
(2)ステントにダイオードブリッジを組み入れて正の領域まで電流が振れることがないようにする。
(3)電流の極性を正になった場合に反転する信号を用いる。
(4)圧電性材料から取り入れた電流を蓄積して交流−直流変換したのち放出する。変換後に得られる直流電流を、負極性電流を継続して生ずる必要がある場合は、極性反転する。
【0065】
この発明は血流および圧力の移植式血管内監視に用いることができる。この発明に用いるポリマーおよびポリマー複合体は高感度であって、機械的刺激に応答して効率の高い電圧発生器を構成する。体内に移植すると、このセンサデバイスは血流、呼吸その他の生理的機能に起因する機械的エネルギーを電荷に変換する。この電荷を蓄積し、このステント以外の移植デバイスの電源として用いる。厚さ30μm、長さ100cm、幅2cmの圧電性ポリマーを毎分24回の割合で呼吸している患者の胸部に巻き付けると、500μWもの電力を生ずる(Hausler ほか、1980年PIEEE)。
【0066】
[例2]
この例ではPVDFの利用および機械的刺激・電気的出力相互間の関連を検討の対象としている。PVDF、すなわち弗化ポリビニリデンは市販されている高分子材料であり、圧電気を生じ、熱および電気の両方に高抵抗を示し、極めて高い非反応性を備える。PVDFの従来の用途としては、電気的および化学的絶縁材料、スピーカー、歪み計、電圧源、多様なセンサが挙げられる。
【0067】
実験用の装置を図4のとおり構成した。
【0068】
PVDFの電圧応答に対する血流圧の影響を試験するために次の試験を行った。この試験はPVDFを被膜付きの形で周波数1Hzで用いて行った。圧力範囲の各々でデータをとり、ピークピーク電圧値の5サイクルについての平均値を算出した。
【0069】
その結果(図7乃至図8B参照)は、電圧範囲の上昇がPVDF電圧応答の上昇をもたらすことを示している。また、このデータは負電荷が生ずること、およびこの応答が直線的であることを示している。圧電気ベースの応答から予想されるとおり、この関係は直線的である。
【0070】
図8、図8Aおよび図8Bについては、ピークピーク電圧値対圧力範囲特性を得るための試験の場合と同じ装置構成(図10)および試料を用いて試験を行った。図8については、電荷を測定したうえ、試料の電極面積(7×20mm)で除算した。
【0071】
例2のこの実験データは、PVDF材料(市販の圧電性材料)をシミュレート対象の生物学的組織(この例では動脈をシミュレートするのに用いたPDMS)とともに用いると、この種の材料を含むステントの患者への移植が電力自給をもたらし、抗凝血性および抗癒着性をもたらし、アンテナとの組合せにより電気信号を患者の体外に送出できることを示すと結論づけるに足るデータを表す。
【0072】
[例3]
(電力自給ステント)
圧電性材料内蔵のステントを、圧電気により取り出されたエネルギー(すなわち、ステント移植先の組織との圧電気相互作用を経て得られたエネルギー)を電気信号に変換したり蓄積したりするエネルギー変換/蓄積手段と組み合わせる。このエネルギー変換/蓄積手段の例としては、キャパシタ、電池、ダイオード、変成器などが挙げられる。
【0073】
そのステントの中または上に、ステントに隣接して、またはステントの近傍に別個に含まれる一つ以上の回路部品(例えば、薬剤収容溜め手段に付随する薬剤放出機構、アンテナなど)への電力供給にその蓄積エネルギーを用いるための回路を含める。
【0074】
[例4]
この発明のこの例では、ステント自体への電力供給、またはステントと隣接したもしくは別個の部品/システムへの電力供給のために、ステントを用いる。例えば、大脳動脈または冠状動脈(もしくは大動脈)の中のステントを、それらの部位からのエネルギーの取入れおよびそれら部位の近傍のデバイスへの電力供給のためのその取入れエネルギーの利用に用いる。
【0075】
[例5]
この例では、圧電性材料を動脈その他の生物学的組織に巻き付けてエネルギーを取り入れてそのエネルギーを他のエネルギー源に導いたり、そのエネルギーを圧電性材料取付け先の生物学的組織の監視のために用いたりする。
【0076】
発明者らの実験の結果(例2および図4乃至図8B)は、環状体(模擬動脈)に巻き付けたPVDF材料(すなわち、圧電性材料)によって記録可能な信号が発生したことを示している。圧電性材料はこの管状体の管腔に直接には接してないが、この信号は記録可能である。したがって、この発明は管腔外利用も管腔内利用も可能にする。
【0077】
冠状動脈バイパス移植、下肢動脈バイパス手術、または頸動脈内膜切除などの外科手術の場合は、医師は血流その他の機能の監視に役立つ血管に圧電性材料を巻き付けることができる。この場合に生ずる負電荷は血管の内腔には役立たないが、検出機能だけでも有用性は保たれる。この例における圧電性材料は血管の開在性を確保するためではなく血管の監視のために用いられている。
【0078】
好ましい実施例についてこの発明を上に説明してきたが、この発明が特許請求の範囲の各請求項に記載の真意および範囲を逸脱することなく変形を伴って実施できることは当業者に認識されよう。
【産業上の利用可能性】
【0079】
圧電性材料の利用により機能を飛躍的に高めたステントシステムを提供でき、医療技術の進展に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】この発明の一つの実施例のステントシステムのブロック図。
【図1A】医師がステントを遠隔操作できるようにした図1のシステムのブロック図。
【図2】上記実施例のステントシステムの回路図。
【図3】上記実施例のステントシステムの回路図。
【図4】例2における実験用構成の概略図。
【図5】例2においてシミュレートした動脈(PDMAを用いた)に取り付けた試料についてのPVDF電圧応答のグラフ。下側曲線は圧力を、上側曲線は電圧をそれぞれ示す。
【図6】例2における図5の試料についてのPVDF電荷応答のグラフ。下側曲線は圧力を、上側曲線は電荷をそれぞれ示す。
【図7】例2についての平均ピークピーク電圧値対圧力範囲特性グラフ。
【図7A】図7に対応する圧力、圧力範囲、平均ピークピーク電圧値の表。
【図8】例2についての単位面積あたりの平均ピークピーク電荷値対圧力特性図。
【図8A】例2についての平均ピークピーク電荷値対圧力特性図。
【図8B】例2についての平均ピークピーク電流値対圧力特性図。
【図9】この発明のエネルギー取入れの実施例の概略図。
【符号の説明】
【0081】
[図2]
PDMS Coating
PDMS被膜
PVDF Sample PVDF試料
Thinnest wall
of tube 管の最も薄い膜
Artery tube 動脈管
Wireless
receiver 無線受信器
Filter
フィルタ
Amplifier 増幅器
Monitor モニタ
Wireless
Receiver System 無線受信器システム
PVDF 弗化ポリビニリデン
Diode Bridge
ダイオードブリッジ
Voltage
regulator 電圧調整器
Energy
Harvesting Circuitry needed with PVDF (passive component)
PVDF(受動部品)に必要なエネルギー取入れ回路
PVDF Voltage
Response: Sample attached with Coating of PDMS
PVDF電圧応答:PDMS被膜付き試料
Pressure
圧力
Voltage 電圧
Time 時間
[図3]
PDMS Coating
PDMS被膜
PVDF Sample PVDF試料
Thinnest wall
of tube 管の最も薄い膜
Artery tube 動脈管
Wireless
receiver 無線受信器
Display device
表示装置
Wireless
Receiver System 無線受信器システム
Computer, PDA コンピュータ、PDA
PVDF 弗化ポリビニリデン
High Density
rechargeable battery 高密度再充電電池
Filter
フィルタ
Amplifier 増幅器
A/D Converter
(Microcontroller) A−D変換器(マイクロコントローラ)
PVDF Voltage
Response: Sample attached with Coating of PDMS
PVDF電圧応答:PDMS被膜付き試料
Pressure
圧力
Voltage 電圧
Time 時間
[図4]
Tube Cross Section
管断面
PDMS Coating
PDMS被膜
PVDF Sample PVDF試料
Thinnest wall
of tube 管の最も薄い壁
Setup 装置構成
Electrometer
電位計
Pump ポンプ
Function
Generator 関数発生器
Pressure Transducer 圧力トランスデューサ
Multipin DAQ Board マルチピンDAQボード
Pressure
Transducer and Function Generator Data
圧力トランスデューサおよび関数発生器データ
Voltage or Current Data 電圧または電流データ
[図5]
PVDF Voltage
Response: Sample Attached with Coating of PDMS
PVDF電圧応答:PDMS被膜付き試料
Pressure
圧力
Voltage 電圧
Time 時間
PDMS Tube Cross
Section: PVDF Sample attached with Coating
PDMS管断面:被膜付きPVDF試料
PDMS Coating
PDMS被膜
PVDF Sample PVDF試料
Thinnest wall
of tube 管の最も薄い壁
Artery tube 動脈管
[図6]
PVDF Charge
Response: Sample Attached with Coating of PDMS
PVDF電荷応答:PDMS被膜付き試料
Pressure
圧力
Charge
電荷
Time 時間
[図7A]
Pressure
圧力
Pressure Range
圧力範囲
Average Pk-Pk Voltage 平均ピークピーク電圧値
[図7]
Average Pk-Pk Voltage vs Pressure Range 平均ピークピーク電圧値対圧力範囲特性
Average Pk-Pk Voltage 平均ピークピーク電圧値
Pressure Range 圧力範囲
[図8]
Pressure Range vs Pk-Pk Charge/Area 単位面積あたり電荷平均ピークピーク値対圧力範囲特性
Average Pk-Pk Charge/Area 単位面積あたり電荷平均ピークピーク値
Pressure Range 圧力範囲
[図8A]
Pressure Range vs Average Pk-Pk Charge 電荷平均ピークピーク値対圧力範囲特性
Average Pk-Pk Charge 電荷平均ピークピーク値
Pressure Range 圧力範囲
[図8B]
Pressure Range vs Average Pk-Pk Current 電流平均ピークピーク値対圧力範囲特性
Average Pk-Pk Current 電流平均ピークピーク値
Pressure Range 圧力範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者生体内に移植できる抗凝血性および/または抗癒着性ステントであって、少なくとも一つの負電荷発生表面を有し、そのステントの移植先の患者に抗凝血性効果および/または抗癒着性効果をもたらすステント。
【請求項2】
少なくとも一つの信号発生手段を含む請求項1記載のステント。
【請求項3】
前記信号発生手段が記録可能な信号を発生する請求項2記載のステント。
【請求項4】
圧電性材料を含む請求項1記載のステント。
【請求項5】
前記少なくとも一つの負電荷発生表面が、特定の負電荷を生ずるように向きを整えた少なくとも一つの圧電性材料を含む請求項1記載のステント。
【請求項6】
薬剤溶出ステントを含む請求項1記載のステント。
【請求項7】
スマートステントを含む請求項1記載のステント。
【請求項8】
1乃至2フィート以上の範囲の距離に電気信号を送出する信号送信器を含む請求項1記載のステント。
【請求項9】
前記ステントの配置された組織の少なくとも一つの機能または特性に比例する記録可能な電圧出力を有する請求項1記載のステント。
【請求項10】
前記少なくとも一つの機能または特性を、流れ、圧力、力および温度から成る群から選んだ請求項9記載のステント。
【請求項11】
少なくとも一つの圧電性材料を含み、前記圧電性材料とその圧電性材料の接触している材料との間の相互作用から生ずる記録可能な電圧出力を有する請求項1記載のステント。
【請求項12】
電力自給ステントを含む請求項1記載のステント。
【請求項13】
前記ステントから放出できる少なくとも一つの薬剤その他の物質を含み、前記ステントの配置先の組織と圧電性材料との相互作用から動作電力を供給される前記物質の放出のための放出機構を備える請求項12記載のステント。
【請求項14】
PVDFと、PVDFとトリフルオロエチレン(TrFE)、テトラフルオロエチレン(TFE)との共重合体と、PVDFカーボンナノチューブ複合体と、PVDFナノクレイ複合体と、ジルコン酸チタン酸鉛セラミックとから成る群から選んだ少なくとも一つを含む請求項1記載のステント。
【請求項15】
電圧の印加を制御する電圧コントローラを含む請求項1記載のステント。
【請求項16】
抗凝血性効果および/または抗癒着性効果を患者に生じさせる方法であって、負電荷発生表面を含むステントを患者の体内に移植する過程を含む方法。
【請求項17】
前記ステントが圧電性材料を含む請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記移植する過程が薬剤溶出ステントを移植する過程を含む請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記移植する過程が、心臓ステント、冠状動脈ステント、血管ステント、気道ステント、胃腸管ステントおよび排尿通路ステントを含む群から選んだステントを移植する過程を含む請求項16記載の方法。
【請求項20】
前記移植する過程がスマートステントを移植する過程を含む請求項16記載の方法。
【請求項21】
前記ステントが、PVDFと、PVDFとトリフルオロエチレン(TrFE)、テトラフルオロエチレン(TFE)との共重合体、PVDFカーボンナノチューブ複合体、PVDFナノクレイ複合体、およびチタン酸ジルコン酸鉛セラミックから成る群から選んだ少なくとも一つを含む請求項16記載の方法。
【請求項22】
(a)患者生体に移植可能なスマートステントであって、圧電性材料を含み記録可能な信号を生ずるスマートステントと、
(b)前記スマートステントとは物理的に別個であって1乃至2フィート以上の範囲の距離で前記スマートステントから前記記録可能な信号を受ける信号受信器と
を含むスマートステントシステム。
【請求項23】
前記受信器が無線受信器であって、フィルタ、増幅器およびモニタに直接に無線で接続されている請求項22記載のスマートステントシステム。
【請求項24】
前記モニタを、コンピュータおよびパーソナルディジタルアシスタントデバイスから成る群から選んだ請求項22記載のスマートステントシステム。
【請求項25】
電圧揺動の抑制のためのダイオードブリッジおよび電圧調整器から成る群から選んだ少なくとも一つの受動部品を前記スマートステントが含む請求項22記載のスマートステントシステム。
【請求項26】
前記スマートステントが高密度再充電電池、フィルタ、増幅器およびA−D変換器(マイクロコントローラ)を含む請求項22記載のスマートステントシステム。
【請求項27】
前記圧電性材料の電気出力が前記電池を充電したり前記ステントの少なくとも一つの部品に電力を供給したりする請求項22記載のスマートステントシステム。
【請求項28】
前記ステントの配置先の組織の少なくとも一つの機能または特性に比例する前記ステントからの記録可能な電圧出力を有する請求項22記載のスマートステントシステム。
【請求項29】
前記ステントが少なくとも一つの圧電性材料を含み、前記圧電性材料とその圧電性材料の接触している材料との間の相互作用からの記録可能な電圧出力を有する請求項22記載のスマートステントシステム。
【請求項30】
前記ステントが電力自給ステントである請求項22記載のスマートステントシステム。
【請求項31】
少なくとも一つの放出可能な物質を前記ステントの中に含み、圧電性材料と前記ステントの配置先の組織との間の相互作用から電力供給を受ける前記物質の放出のための放出機構をさらに含む請求項22記載のスマートステントシステム。
【請求項32】
負電荷発生ステント、抗凝血ステント、抗癒着ステント、正電荷発生ステント、プロコアギュラントステント、およびプロアドヒーシブステントから成る群からステントを選んだ請求項22記載のスマートステントシステム。
【請求項33】
圧電性材料を含むステントであって、患者生体に移植されると別個の電源を要することなく電力を自給するステント。
【請求項34】
移植先の患者の体内に望ましくない凝血が発生することを防ぐ請求項33記載のステント。
【請求項35】
前記凝血に関する情報を含む信号を外部に送出する信号送信器を含む請求項33記載のステント。
【請求項36】
前記ステントの配置先の組織の少なくとも一つの機能または特性に比例する記録可能な電圧出力を有する請求項33記載のステント。
【請求項37】
少なくとも一つの圧電性材料を含み、前記圧電性材料とその圧電性材料と接触している材料との間の相互作用から生ずる記録可能な電圧出力を有する請求項33記載のステント。
【請求項38】
前記ステントから放出できる少なくとも一つの物質を含み、前記ステントの配置先の組織と圧電性材料との相互作用から動作電力を供給される前記物質の放出のための放出機構を備える請求項33記載のステント。
【請求項39】
負電荷発生ステント、抗凝血ステント、抗癒着ステント、正電荷発生ステント、プロコアギュラントステント、およびプロアドヒーシブステントから成る群からステントを選んだ請求項33記載のスマートステントシステム。
【請求項40】
(a)少なくとも一つの圧電性材料を含み移植可能で電力自給可能なステント構造であって、そのステントの移植先の組織の少なくとも一つの機能または特性に比例する記録可能な電圧出力を含む信号を生ずるように構成したステント構造を形成する過程と、(b)前記ステント構造の発生した前記記録可能な電圧出力を受信する受信デバイスであって前記移植可能なステント構造とは別個にできる受信デバイスを構築する過程とを含み、スマートステントシステムを構成する方法。
【請求項41】
放出可能な薬剤その他の物質を収容する溜め部を前記ステントの中に形成する過程をさらに含み、前記圧電性材料が発生し直接にまたは蓄積もしくは変換ののち前記放出機構に供給される電力で駆動される放出機構を有する請求項40記載の方法。
【請求項42】
特定の負電荷または正電荷を生ずるように前記少なくとも一つの圧電性材料の向きを整える過程を含む請求項40記載の方法。
【請求項43】
少なくとも一つの圧電性材料を含む容器であって、患者に放出すべき特定の量の薬剤を収容する空胴を有し患者生体に移植可能な容器を含む薬剤伝達システム。
【請求項44】
薬剤を含む請求項43記載の薬剤伝達システム。
【請求項45】
前記圧電性材料とその圧電性材料と患者の組織との間の相互作用に基づくリモートデバイス向けの電気信号をさらに生ずる請求項43記載の薬剤伝達システム。
【請求項46】
前記容器に含まれる前記薬剤の放出に関する少なくとも一つのパラメータを医師が遠隔制御するための遠隔制御システムを含む請求項43記載の薬剤伝達システム。
【請求項47】
制御対象の前記パラメータを、前記薬剤の放出のための開孔の数、前記薬剤の放出のための開孔の大きさ、および前記薬剤の放出のための開孔の形状から成る群から選んだ請求項46記載の薬剤伝達システム。
【請求項48】
患者の心筋監視、肺動脈監視、頸動脈監視または大脳動脈監視の方法であって、(a)前記患者にステントを移植する過程と、(b)前記ステントから電気信号を受信する過程とを含む方法。
【請求項49】
前記受信する過程が、心筋機能、心筋圧力、心筋温度、肺動脈機能、肺動脈圧力、肺動脈血流、肺動脈温度、頸動脈機能、頸動脈圧力、頸動脈血流、大脳動脈機能、大脳動脈圧力、大脳動脈血流および大脳動脈温度から成る群から選んだ一つに関するステント電気信号を受信する過程を含む請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記ステントが少なくとも一つの圧電性材料を含む請求項49記載の方法。
【請求項51】
前記ステントが電力自給ステントである請求項49記載の方法。
【請求項52】
エネルギー取入れデバイスであって、生物学的組織の中に配置可能な少なくとも一つの圧電性材料を含むエネルギー取入れ構造と、前記少なくとも一つの圧電性材料と生物学的組織との間の相互作用からのエネルギーを受ける少なくとも一つのエネルギー変換または蓄積手段とを含むエネルギー受入れデバイス。
【請求項53】
ステントを含む請求項52記載のエネルギー取入れデバイス。
【請求項54】
圧電性膜を含む請求項53記載のエネルギー取入れデバイス。
【請求項55】
動脈またはそれ以外の生物学的組織に巻付け可能なラッピングを含む請求項53記載のエネルギー取入れデバイス。
【請求項56】
前記生物学的組織が患者の生体内にある請求項53記載のエネルギー取入れデバイス。
【請求項57】
前記生物学的組織の少なくとも一つの機能を電気信号を通じて報知できる監視手段をさらに含む請求項53記載のエネルギー取入れデバイス。
【請求項58】
前記生物学的組織の流れ、圧力および温度から成る群から選んだ少なくとも一つを電気信号を通じて前記生物学的組織のある患者の体外に送る請求項53記載のエネルギー取入れデバイス。
【請求項59】
エネルギー取入れ方法であって、少なくとも一つの圧電性材料を生物学的組織の上、中または近傍に配置してエネルギー発生を伴う圧電相互作用を生じさせる過程と、前記圧電相互作用で発生したエネルギーを蓄積可能なエネルギーおよび/または電力として利用可能なエネルギーに変換する過程とを含む方法。

【図1】
image rotate

【図1A】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図8】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2009−519114(P2009−519114A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545934(P2008−545934)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/061918
【国際公開番号】WO2007/070790
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(502066627)ヴァージニア コモンウェルス ユニバーシティ (5)
【Fターム(参考)】