自己熱交換型熱交換器を用いた輻射ヒータ
【課題】大きな伝熱面積が得られ、かつ、製作が容易であり、高い熱交換効率を持つ自己熱交換型熱交換器を用いた輻射ヒーターを提供する。
【解決手段】高温流体1と低温流体2を隔てるための隔壁型の伝熱体BFを有する熱交換器において、伝熱体BFが蛇腹型形状で、両流体1、2が伝熱体BFの蛇腹部分の空隙部を稜線方向又は谷線方向に沿って向流するように構成し、かつ、伝熱体BFの蛇腹部分の稜線と交わる一端部又は両端部に、一方の流体を伝熱体BFの反対側の蛇腹部分の空隙部に回り込ませるための流体回り込み空間部Fを設け、空間部Fに燃焼バーナーを設置し、反対側に回り込んだ流体を加熱して熱交換すべき他方の流体とすると共に、空間部Fと外部とを隔てる壁の一部を熱輻射板で構成したので、高い熱交換効率を持つ自己熱交換型熱交換器を用いた輻射ヒーターとすることができる。
【解決手段】高温流体1と低温流体2を隔てるための隔壁型の伝熱体BFを有する熱交換器において、伝熱体BFが蛇腹型形状で、両流体1、2が伝熱体BFの蛇腹部分の空隙部を稜線方向又は谷線方向に沿って向流するように構成し、かつ、伝熱体BFの蛇腹部分の稜線と交わる一端部又は両端部に、一方の流体を伝熱体BFの反対側の蛇腹部分の空隙部に回り込ませるための流体回り込み空間部Fを設け、空間部Fに燃焼バーナーを設置し、反対側に回り込んだ流体を加熱して熱交換すべき他方の流体とすると共に、空間部Fと外部とを隔てる壁の一部を熱輻射板で構成したので、高い熱交換効率を持つ自己熱交換型熱交換器を用いた輻射ヒーターとすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己熱交換型熱交換器を用いた輻射ヒータに関し、特にエネルギー消費を節約するための熱工学分野、及び大気や排ガス浄化を目的とする環境技術分野に適用して好適な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
隔壁型熱交換器の性能を向上させる方法のひとつとして、伝熱体(隔壁)の面積を限られた空間容量の中でできる限り大きくする試みが多くなされている。伝熱体の形状を蛇腹型とすることはその方法のひとつとして典型的なものである。また、性能を向上する他の方法として、2つの流体の流れ方向を、伝熱面を挟んで共に同方向に向かう並流、あるいは互いに反対方向に向かう向流にそろえることも行われている。このような流れを実現するため、多管円筒式構造や、多数のプレス成形された伝熱板を重ねたプレート式構造、スパイラル形式などの熱交換器が作られている。
【0003】
一方、1つの流体について上流と下流の間で熱交換を行うと、余分な熱エネルギーをあまり消費することなく、流れの一部分においてだけ温度を変化させることができ、様々な化学反応や熱処理プロセスにおける熱エネルギーロスを小さくすることができる。さらに、このような自己熱交換器と触媒あるいはバーナー燃焼を一体化したものとして、スパイラル型構造の自己熱交換器を利用した方式(文献:第39回燃焼シンポジウム、発表番号C145、平成13年11月21日〜11月23日、横浜(非特許文献1))、回転蓄熱型熱交換器を利用した方式(「燃料消費50%削減、エネルギー環境設計ガスバーナー」日経産業新聞、平成14年6月25日(非特許文献2))、流路方向を一定時間ごとに切り替える蓄熱室式熱交換器を利用した方式(特開2001−349524号公報(特許文献1)、文献:第39回燃焼シンポジウム、発表番号C144、平成13年11月21日〜11月23日、横浜(非特許文献3))などが知られている。
【0004】
しかしながら、これら各種方式の熱交換器は、依然、熱交換面積が十分ではなく、製作も複雑であるという難点があった。また、熱交換効率やエネルギー消費の点でも改善の余地があった。
【0005】
【特許文献1】特開2001−349524号公報
【非特許文献1】第39回燃焼シンポジウム、発表番号C145、平成13年11月21日〜11月23日、横浜
【非特許文献2】回転蓄熱型熱交換器を利用した方式(「燃料消費50%削減、エネルギー環境設計ガスバーナー」日経産業新聞、平成14年6月25日
【非特許文献3】第39回燃焼シンポジウム、発表番号C144、平成13年11月21日〜11月23日、横浜
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、限られた容量の中でより大きな伝熱面積が得られ、かつ、製作が比較的容易であり、熱交換効率の飛躍的な向上をもたらすことができる自己熱交換型熱交換器を用いた輻射ヒーターを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上記課題は下記の技術的手段により解決される。
(1)(a)高温流体と低温流体を隔てるための隔壁型の伝熱体を有する熱交換器において、
該伝熱体が蛇腹型形状であり、両流体が主として該伝熱体の蛇腹部分の空隙部を稜線方向又は谷線方向に沿って向流するように構成され、かつ、
該伝熱体の蛇腹部分の稜線と交わる一端部又は両端部に、一方の流体を該伝熱体の反対側の蛇腹部分の空隙部に回り込ませるための流体回り込み空間部を有し、
該流体回り込み空間部を介して反対側に回り込んだ流体が、熱交換すべき他方の流体となって熱交換を行う自己熱交換型熱交換器と、
(b)該熱交換器の該流体回り込み空間部に設置された燃焼バーナーとからなり、
該燃焼バーナーを設置した該流体回り込み空間部と外部とを隔てる壁の一部を、熱輻射板で構成したことを特徴とする輻射ヒータ。
(2)(a)高温流体と低温流体を隔てるための隔壁型の伝熱体を有する熱交換器において、
該伝熱体が蛇腹型形状であり、両流体が主として該伝熱体の蛇腹部分の空隙部を稜線方向又は谷線方向に沿って向流するように構成され、かつ、
該伝熱体の蛇腹部分の稜線と交わる一端部又は両端部に、一方の流体を該伝熱体の反対側の蛇腹部分の空隙部に回り込ませるための流体回り込み空間部を有し、
該流体回り込み空間部を介して反対側に回り込んだ流体が、熱交換すべき他方の流体となって熱交換を行う自己熱交換型熱交換器と、
(b)該熱交換器の該伝熱体の全表面又は該流体回り込み空間部近傍の表面に担持させた、発熱反応を促す触媒とからなり、
該流体回り込み空間部と外部とを隔てる壁の一部を、熱輻射板で構成し、かつ、流体として該反応成分を含むものを用いることを特徴とする輻射ヒータ。
【発明の効果】
【0008】
本発明の前記構成(1)によれば、燃焼排ガスが持っている熱を温度の低い流入気体に伝達することにより、燃焼排ガスに捨てる熱エネルギーの少ない高効率の輻射ヒータとすることができる。また、本発明の前記構成(2)によれば、触媒反応で生じた流体によって運ばれる排熱の大部分を温度の低い流入流体に伝達することにより、流体に捨てる排熱エネルギーの少ない高効率の輻射ヒータとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の自己熱交換型熱交換器、及びそれを用いた反応器について、参考例に基づいて説明する。
【0010】
(第1参考例)
図1に第1参考例に係る熱交換器を立体透視斜視図で示す。
本参考例の熱交換器は、蛇腹型伝熱体(BF)を有する。この蛇腹型伝熱体(BF)は、高温流体1と低温流体2又は2’を隔てる隔壁が蛇腹型(ベローズ型あるいはアコーディオン型)構造となっている。蛇腹型伝熱体(BF)の蛇腹部分の稜線と交わる両端面(A及びA’)は、当該熱交換器の上下部壁とシール材(図示せず)等を介して密着させることによりシールされている。また、蛇腹部分の稜線と平行な伝熱体(BF)の両端部(a及びa’)は、当該熱交換器の両側面を構成する側壁(C、C’)と溶接あるいはシール材(図示せず)を介して密着させることによりシールされている。また、伝熱体(BF)の稜線と相対する熱交換器の前後側面(B及びB’)については、伝熱体(BF)の稜線部と容器側面(B及びB’)の間隔が蛇腹のピッチに比べて充分小さくなっており、さらに2流体の出入り口(D,D’、E,E’)が、伝熱体(BF)の稜線と相対する前後側面(B及びB’)の上下両端近くに設けられている。
【0011】
上記のような構造をとることにより、前面及び背面の入り口から入った温度の異なる2つの流体が、蛇腹型伝熱体(BF)を隔ててそれぞれの空隙部を蛇腹の稜線方向に、互いに並流(流れ1及び2)あるいは向流(1及び2’)することが実現できる。また、伝熱体を蛇腹型構造とすることにより、限られた容量の中で大きな伝熱面積が得られる。また、蛇腹型伝熱体はその製作が比較的容易であり、熱交換効率が飛躍的に向上する。
【0012】
伝熱体(BF)の断面形状としてここでは三角波型を例示したが、これに限定されるものではなく、波型や稜線部だけ半円形になった平板型でもよい。また、伝熱体(BF)としては、箔状ステンレスを折り曲げて形づくったものや、焼成前の板状のセラミック材を蛇腹型に成形した後に焼成したものでもよい。また、外部からの圧縮力による蛇腹型伝熱体の破損や変形を防ぐ方法として、上記の箔状ステンレスや焼成前の板状セラミック表面に凹凸をつけたり、波形に加工した板をその波の稜線と垂直あるいは平行でない方向で折り曲げて蛇腹型として、隣り合う蛇腹面が互いに接するようにすればよい。
【0013】
図2(a)は、図1で示した構造を流体1の出入り口側から見た正面透視図である。D、Eは図1と同じ流体1の出入り口である。それぞれの裏側に流体2の出入り口D’、E’が設けられている。また、b、b’は、それぞれ正面から見た蛇腹型伝熱体(BF)の稜線及び谷線である。蛇腹型伝熱体(BF)の全体形状についても、ここで示したような直方体に限定されず、たとえば図2(b)に示すように、流体の流入出部分を扇子のように広げて、この部分の流通抵抗を小さくする形としてもよい。また、図2(c)に示すように蛇腹型伝熱体全体を扇子型としてもよい。このようにすることにより流体の流速を流れに沿って変化させることができ、より効率的な熱交換を達成できる場合もある。
【0014】
さらに、図2(c)の形状を円周方向に一周させた図3のような形態とすることもできる。この場合、稜線と平行な伝熱体(BF)の端部を互いに溶接あるいはシール材を介して密着させるなどの手段によりシールする。図3中の各記号は図1と対応した各部分を示している。D,E,D’,E’は図1と同様に、それぞれ流体1,2(2’)の出入り口であり、流体2の方向を変えることにより並流(2)にも向流(2’)にもなる。この構造では、外内筒面A、A’でのシールが必要である。ただし、このような円筒状とすることにより蛇腹の稜線と平行な両端部(図1のa及びa’)は消失する。面B及びB’については図1の場合と同じく、伝熱(BF)の稜線部と容器側面の間隔が蛇腹のピッチに比べて充分小さければよく、シールの必要はない。
【0015】
また、同じく円筒状であるが、蛇腹型伝熱体を図4に示すように配置した構造も可能である。図4中の各記号も図1と対応した各部分を示している。この場合、伝熱体(BF)は外筒Bと内筒B’に挟まれた空間内に置かれる。伝熱体(BF)の稜線と垂直な端面(A及びA’)において、それぞれの容器面と伝熱体(BF)とをシール材を介して密着させるなどの手段によりシールする。また、伝熱体(BF)の稜線と平行する両端部については、互いに完全に密着させるか溶接して、流体が伝熱体(BF)の反対面にリークしないようにシールする必要はあるが、図3の構造の場合と同様に、この部分での容器壁とのシール部は消失し、不要になる。一方、B,B’面においては、図1の場合と同様に、伝熱体(BF)の稜線と各面との距離がそれぞれの面における蛇腹のピッチより充分小さければよく、シールの必要はない。
【0016】
(第2参考例)
第2参考例に係る熱交換器を図5に示す。本参考例の熱交換器は、図1の構造を持つ2流体用の隔壁型熱交換器において、蛇腹型伝熱体(BF)を挟んで互いに反対側にある一対の流体の出入り口(D、D’、E,E’)の代わりにDを入り口、D’を出口とし、さらに、伝熱体(BF)の一方の端部(A’)を密着シールするのではなく、入り口(D)から入った流体を伝熱体(BF)の反対面側に回り込ませるための流体回り込み空間部(F)を設けたことを特徴とするものである。それ以外の構成は第1参考例と同様である。
【0017】
このような構造をとることにより、ひとつの流体がその上流と下流で蛇腹型伝熱体(BF)を挟んで互いに向流する自己熱交換型の熱交換器となる。また、同様の変形を施すことにより、図2、3、4のいずれの熱交換器についても、対応する自己熱交換器とすることができる。
【0018】
本参考例の熱交換器は、第1参考例の作用効果に加え、多管円筒式に代表される従来型の熱交換器構造を利用した自己熱交換器に比べて配管及び流体をシールするための構造が大幅に簡略化され、さらに蛇腹の数を増加させても全体及びシール構造が全く複雑にならない利点を持ち、熱交換効率がきわめて高い自己熱交換器を得ることができる。
【0019】
図6(a)は図5の自己熱交換器の構造を正面透視図としたものである。図中bは稜線、b’は谷線(反対側の蛇腹部分の稜線に対応)を示す。
第2参考例においては、温度が極値となる流体回り込み空間部(F)は必ずしも1カ所である必要はなく、図6(b)のように、伝熱体(BF)の稜線方向の中央部に流体出入り口(D,D’)を設けることにより、入り口(D)から流入した流体が上下方向に分流し、それぞれ伝熱体(BF)の異なる端面に隣接した空間部(F,F’)で回り込んだ後、合流して出口(D’)から出るようにしてもよい。このようにすることにより、面(A)における伝熱体(BF)と容器壁との間のシールが不要になる。
【0020】
さらに、図6(c)は、図6(b)のような中央部に出入り口を持ち流体が分流する自己熱交換器について、蛇腹型伝熱体(BF)を稜線方向に沿って細長い直方体の全体形状とし、さらに円環状にして、稜線と交わる伝熱体(BF)の両端部が同じ流体回り込み空間部(F)を共有する形としたものである。この変形例では、温度が極値となる空間部(F)を一カ所にしつつ、蛇腹部分の端面におけるシールが不要になる利点がある。
【0021】
(第3参考例)
以下図5に示す構造の自己熱交換器をベースとした反応器について説明する。
図7に示す反応器は、図5に示す自己熱交換器をベースとし、流体回り込み空間部(F)に発熱体(ヒータ)あるいは吸熱体(G)を組み込んだ、自己熱交換器と一体化した反応器である。このような構造の反応器では、温度の低い(高い)流入流体と、最高(最低)温度となる空間部(F)を経て加熱(冷却)された流出流体との間で伝熱することにより、空間部(F)でかなりの高温(低温)になっても、入り口(D)に対する出口(D’)での温度はそれほど高く(低く)ならない(例えばD,F,D’における温度がそれぞれ20℃、700℃、90℃)。このような構造のものは、流体を熱反応させるため加熱する必要はあるが再び取り出すときの温度はなるべく変化させたくないとき、加熱のためのエネルギー(電力)を小さくできる反応器として利用できる。従って、化学反応装置全般への応用が期待できる。
【0022】
<第3参考例の性能の理論的見積もり>
図7に示す第3参考例の自己熱交換型反応器の性能を概略的に見積もる。該伝熱体(BF)の蛇腹形の稜線部(あるいは谷部)の折り曲げ形状が半円形となっており各伝熱面が互いに平行であるとすると、この場合の熱伝導は平行平板を挟んだ異なる流体間での熱伝導とみなすことができる。蛇腹面の総面積がA(m2)、この伝熱面を挟んだ高温流体から低温流体への熱通過率がK(W/m2・K)、隣合う蛇腹面の面間隔がd(m)であるとする。面間隔d=10−3(=1mm)程度の場合、この反応器内での流体の流速が1m/sオーダーにおける流れは層流となることが予想される。平行平板間を流れる層流では、壁面と高温、低温各流体との間の熱通過率h(W/m2・K)は、熱流束一定という条件(向流の自己熱交換形反応器はこの条件で近似できる)の下では、
h=140/17×λ/D
で与えられる。ここで、係数140/17は通常Nusselt数と呼ばれる無次元数であり、与えられた条件では解析的に決められる値である。λは流体の熱伝導率(W/m・K)、Dは代表長さと呼ばれる寸法で、平行平板の場合は
D=2d
である。また、
K=1/2h
となる。これらの式をまとめると、結局
K=35/17×λ/d
となる。さて図7において、発熱体を使用する場合を仮定し、その発熱量を仮にQ(W)、流体の熱容量流量(温度依存性がないものとする)をμCp(J/K・s)とし、熱交換体は理想的に断熱されて排熱以外の放熱は全くないものとすると、流体の入口温度Tiと出口温度Toの関係は、
To−Ti=Q/(μCp)
となる。ただし、ここでμは流体の質量流量(kg/s)を、Cpは流体の定圧比熱(J/kg・K)を表す。また、流体回り込み部(F)に流入する流体温度Triと流体回り込み部(F)から流出する流体温度Troの間にも
Tro−Tri=Q/(μCp)
が成り立つ。ここで、どれだけの割合の熱が高温側流体から低温側流体に移動されたかを意味する熱交換率φを、
φ=(Tro−To)/(Tro−Ti)
と定義すると、
φ=(Tro−To)/(Tro−To+To−Ti)=(Tro−To)/(Tro−To+Q/(μCp))
となり、さらに、
μCp(Tro−To)=KA(To−Ti)=35/17×λ/d・A・Q/(μCp)
より、
φ=(35/17×λ/d・A)/(μCp+(35/17×λ/d・A))・・・・・(1)
となる。
【0023】
(1)式を用いて、長さ1600mm、幅200mm(すなわちA=0.32m2)の長方形薄板を40mm間隔ごとに40面に折り曲げ、隣り合う面間隔を1mm(=d)とした蛇腹型伝熱体(BF)について、流入流体として20℃空気(密度ρ=1.166kg/m3、定圧比熱Cp=1005J/kg・K)、熱交換器の作動条件が20℃付近でλ(=0.0257W/m・K)が一定と仮定した場合の、空気流速v(L/s)と熱交換率φの関係を求めた結果を表1に示す。なお、この場合μは、
μ=ρv×10−3・・・・・・(2)
として算出した。
【0024】
【表1】
【0025】
蛇腹形に成形したこの熱交換体の体積Vは、約0.32Lに過ぎない。従ってv=1L/sのときの空間速度は3600v/V=11250h−1となる。このような高い空間速度においても、計算の際に仮定したように伝熱体(BF)を完全に平行平板型に折り曲げることができれば、熱交換率93.5%というきわめて高い性能を発揮することが予想される。同様にさらに高空間速度のv=2L/s(SV=22500h−1)、3L/s(SV=33750h−1)でも、それぞれ87.8%、82.8%という高い熱交換率が得られる。
【0026】
<第3参考例の性能検証実験>
次に、上記の計算例と同寸法の反応器を試作(1号器)して性能を調べた結果を表2に示す。伝熱体材料としては厚さ0.03mmのステンレス箔を用いた。また、発熱体として流体回り込み部(F)にカンタル線を設け、通電により約50W発熱させた。v=1, 2, 3L/sにてそれぞれ78, 69, 68%の熱交換性能が得られた。
【0027】
【表2】
【0028】
(第4参考例)
図8に第4参考例に係る反応器を示す。この反応器は、図7で説明した反応器における加熱を流体内に含まれる反応成分の触媒反応で行うものである。この反応器は、図5の構造を持つ自己熱交換器において、伝熱体(BF)の全表面、あるいは流体が回り込む端面に近い表面に触媒(H)を担持させ、自己熱交換器と一体化した触媒反応器である。この反応器では、熱交換率の高い蛇腹型伝熱面を持つ自己熱交換構造とモノリス型触媒担体構造を一体化させることにより、図7の場合と同様に、反応流体の温度を結果的にそれほど上昇させることなく反応器内部で触媒反応に十分な温度が得られ(例えばD,F,D’における温度がそれぞれ20℃、300℃、50℃)、高効率で省エネルギー的な反応を実現することができる。
【0029】
<第4参考例の性能検証実験>
第4参考例の自己熱交換型触媒反応器の性能を実際に検証するため、伝熱体として厚さ0.03mm、幅200mm、長さ2720mmのステンレス箔を長手方向に対して直角に40mm間隔で計68面に折り曲げ、全体形状として約40×40×200mmの、図5に示すような直方体の蛇腹形伝熱体を作製した。この時の折り曲げられた伝熱体の隣り合う面間隔は約0.59mmであった。さらに、この伝熱体の流体が回り込む側の端面から流体出入口方向へ幅約40mmの範囲にアルミナ担持白金触媒をコーティングした後、厚さ0.6mmのステンレス板製の直方体容器に収めた。この容器には図5のD、D’に相当する出入り口を設け、低濃度の揮発性有機成分(VOC)を含む空気を流通させた。この試作2号器について、各VOCの除去性能と熱交換性能結果を表3に示す。室温空気に含まれる濃度0.3%以下のこれらVOCを、着火の際を除き外部からの補助的な熱を加えることなく、それ自身の酸化によって生ずる熱だけで、すなわち自己酸化的に90%以上分解し続けることができた。トルエンに関しては、流量1.1L/s(SV=12400h−1)という比較的高空間速度でも、濃度約0.1%のトルエンを約94%の除去率でCO2とH2Oに完全分解した。
【0030】
【表3】
【0031】
塗装工場などでは、トルエン、キシレンなどの揮発性有機成分(いわゆるVOC、volatile organic compounds)による空気汚染が問題になっている。ところが、本反応器を用いれば、例えばトルエンを0.1%含む空気を付加的な加熱エネルギーを要することなく、白金触媒などの酸化触媒を用いることにより、トルエンの触媒燃焼で生じた熱のみを利用することにより反応温度を維持して酸化分解することができる。すなわち、本反応器は、空気中の低濃度揮発性有機汚染物質を処理する装置などへの応用が期待できる。
【0032】
(第5参考例)
図9に第5参考例に係る反応器を示す。この反応器は、図5の構造の自己熱交換器において、伝熱体(BF)に蓄熱性を持たせ、さらに伝熱体(BF)の全表面、あるいは流体の入出口に近い側の領域表面に、流体に含まれる反応成分を反応させる触媒(H)を担持させるとともに、伝熱体(BF)の全表面、あるいは流体が回り込む伝熱体(BF)の端面側に近い領域表面に、反応成分を低温で吸着し高温で脱離させる吸着剤(I)を担持させた構造となっている。
【0033】
本反応器によれば、流体温度がしだいに上昇する過渡的な反応条件において、温度が低いうちは、吸着剤(I)に反応成分を吸着させることにより捕捉しておく。流体温度が上昇するにつれ、伝熱体(BF)の入出口に近い部分から加熱されるが、流体が回り込む側部分の加熱は伝熱体(BF)の蓄熱性により、これよりかなり遅れる。このため、加熱が伝熱体(BF)全体に行き渡って、いったん吸着した反応成分が脱離する頃には、流体出口付近の温度はさらに高くなって触媒反応が起こる条件が達成されているので、反応成分が高効率で分解され、排出側に出ることがない。このような構造の反応器は、エンジン始動時に出やすく、また、排ガス温度が低いために従来の触媒コンバータでは処理しにくい、エンジン始動時に排出される炭化水素を処理するための自動車排ガスコンバータとして好適である。
【0034】
(第6参考例)
図10に第6参考例に係る反応器を示す。この反応器は、図7の構造の発熱体(G)を備えた自己熱交換器と一体化した反応器において、微粒子を捕捉できるフィルター(J)を、流体が回り込む伝熱体(BF)の端面に密着させた構造となっている。
【0035】
本反応器によれば、温度が最も高くなる空間部(F)にフィルター(J)を配置することにより、高温にすると分解できる炭素や高沸点有機成分からなる微粒子などを、流体の入出口温度をそれほど上昇させず熱エネルギーをそれほどかけなくても処理できる自己再生型フィルタートラップとなる。ディーゼルエンジン排ガス中の粒子状物質(PM)、とりわけその中の固体炭素分(すす)は600℃以上にならないと速やかに酸化除去できない。従来では、排ガス温度を間欠的にここまで上昇させてフィルターに捕捉された(PM)を酸化し、フィルター再生する技術があったが、これに必要なエネルギー(燃料)がかなりのものとなっていた。ところが、本反応器によれば、それほどエネルギーをかけることなく、PM酸化が速やかに起こる温度を得ることができる利点がある。本反応器では、フィルター(J)に、MoやVなどを含むPM酸化用触媒を担持しておけば、到達すべき温度を500℃や400℃などへと下げることも可能であり、エネルギー損失をさらに小さくすることも可能である。本反応器は、自己再生型のディーゼルパーティキュレートフィルターとしての応用が可能である。
【0036】
(第7参考例)
図11に第7参考例に係る反応器を示す。この反応器は、図10で説明した自己再生型フィルタートラップにおいて、発熱体(G)を設ける代わりに、その加熱を触媒反応で行う構造となっている。すなわち、本反応器は、伝熱体(BF)の流体が回り込む側の端面に、微粒子を補足、除去するためのフィルター(J)を設けている。
【0037】
本反応器によれば、流体に触媒反応成分を必要なだけ添加することにより、フィルター(J)における温度を必要なまでに高めることができる。本反応器は、図10の場合と同じく、ディーゼルエンジン排ガス中のPMを処理する自己再生型フィルタートラップとして使用できる。加熱を燃料の触媒酸化で行うことにより、発熱体を介するよりも熱エネルギー利用効率が高いので、より実用的なものである。本反応器も、自己再生型のディーゼルパーティキュレートフィルターとしての応用が可能である。
【0038】
(第8参考例)
図12に第8参考例に係る反応器を示す。この反応器は、図5の構造の自己熱交換器において、伝熱体(BF)としてフィルター機能を有する多孔性材料(K)を用いるとともに、伝熱体(BF)の流体が回り込む端部の空間部(F)をなくし、伝熱体(BF)と面(A’)との間をシールした構造としたものである。
【0039】
この構造の反応器では、入り口(D)から入った流体は伝熱体壁を通過して反対面に出て、出口(D’)より排出される。その間に、流体中に浮遊する微粒子が伝熱体面に捕捉される。本反応器では、伝熱体(BF)に触媒酸化反応を促す触媒を担持させ、さらにその反応成分を本反応器に入る手前で流体に添加することにより、図8あるいは図11の場合と同様に、触媒反応によって生じた熱により伝熱体兼フィルター自体が加熱される。さらに図5と同様の自己熱交換型流路構造により伝熱体下部ほど温度が高くなり、微粒子の分解除去がある領域より下部で実現する。フィルター再生度(流体の透過のしやすさ)は、本反応器前後の差圧を測るなどの手段により把握し、必要なレベルに達するまで当反応器の加熱度を調節すればよい。
【0040】
また、本反応器によれば、従来多用されている交互封じ型の微粒子フィルター(図13、Lはフィルター機能を有する多孔質壁、Mはハニカム構造の流路出入り口を交互に塞ぐ目封じ材)と同程度のフィルター面積密度を得ることも可能であり、さらに自己熱交換能を有するので熱エネルギーの無駄の少ないフィルター再生を行うことが可能である。本反応器も、自己再生型のディーゼルパーティキュレートフィルターとしての応用が可能である。
【0041】
以下、本発明の輻射ヒーターについて、好ましい実施例に基づいて説明する。
(第1実施例)
図5に示す構造の自己熱交換器をベースとした輻射ヒータについて説明する。図14は第1実施例に係る輻射ヒータを示す。この輻射ヒータは、図5の自己熱交換器において、流体が回り込む空間部(F)に燃焼バーナー(N)と、空間部(F)と外部とを仕切る壁の一部分に熱伝導度及び熱輻射率が高い熱輻射板(P)を備えた構造となっている。本輻射ヒータでは、流体としては、燃料(O)と反応する空気など燃焼用酸化剤を含む気体を使う。
【0042】
このような構造によれば、燃焼排ガスが持っている熱を温度の低い流入気体に伝達することにより、燃焼排ガスに捨てる熱エネルギーの少ない高効率の輻射ヒータとすることができる。本輻射ヒータは、燃焼排ガスへの熱エネルギー損失が少ない省エネ的なガス燃焼加熱器としての応用が可能である。
【0043】
(第2実施例)
図15に第2実施例に係る輻射ヒータを示す。この輻射ヒータは、図8の自己熱交換器と一体化した触媒反応器を用いた輻射ヒータであって、流体が回り込む空間部(F)と外部とを仕切る壁の一部分に熱伝導度及び熱輻射率が高い熱輻射板(P)を備えた構造となっている。本輻射ヒータでは、流体としては、該触媒の作用により発熱反応する反応成分を含むものを使い、通常は、触媒として白金などの酸化触媒を、流体として炭化水素と空気の混合気を用いればよい。
【0044】
このような構造によれば、触媒反応で生じた流体によって運ばれる排熱の大部分を温度の低い流入流体に伝達することにより、流体に捨てる排熱エネルギーの少ない高効率の輻射ヒータとすることができる。本輻射ヒータも、燃焼排ガスへの熱エネルギー損失が少ない省エネ的なガス燃焼加熱器としての応用が可能である。
【0045】
以上参考例及び本発明の実施例を述べたが、次に前記の参考例を変化させた典型的ないくつかの例について述べる。
【0046】
(第9参考例)
この第9参考例は、前記第2参考例において、伝熱体(BF)の蛇腹部分の空隙部に、該伝熱体(BF)とは別個の通気性を有する構造体を少なくとも1種類以上挟んだものである。そして、この構造体をスペーサーの役割を果たすようにしたものである。
図16は、該構造体として、蛇腹形伝熱体(BF)の一つの折り曲げ面とほぼ同形状のステンレス金網片(m,m’)を用い、これらを蛇腹形伝熱体(BF)のすべての空隙部に挟んだものである。このような構造体を挟むことにより、伝熱面間隔が一様になる、蛇腹形伝熱体(BF)の空隙部における熱輻射が遮られて流路方向の断熱性が増す、その一方で隣合う伝熱面間で該構造体を通しての伝熱性が高まり流路と直角方向の温度が均一化する、蛇腹形伝熱体(BF)の構造体としての機械的強度が増す、などの効果が得られ、熱交換性能や耐久性を向上させることができる。通気性を良くして熱交換器での圧損を小さくするためには、なるべく開口率の大きい、すなわち網に用いるワイヤー線の直径に対して網目間隔(開口率)が大きいものを使用することが望ましい。また、網目の方向としては、図16に示すように伝熱体(BF)の稜線(あるいは谷線)に対して正方としても、図17(a)に示すように斜方としてもよい。また、端部にワイヤー線の切断面がある金網片ではなく、図17(b)に示すように、ワイヤー線をループ型に折り曲げて金網状に加工したものを使用すれば、伝熱体(BF)や以下に示すフィルター材などがワイヤー端部で損傷することを防ぐことができる。
【0047】
次に、上記第9参考例の実証結果の一例を示す。表4は、試作1号器と同寸法、すなわち厚さ0.03mm、長さ1600mm、幅200mmのステンレス箔を長さ方向に対して直角に40mmごとに40面に折り曲げた蛇腹形伝熱体(BF)について、流体回り込み側近傍の幅約100mmの両表面にアルミナ担持白金触媒を担持し、さらに、線径0.45mm、8メッシュの平織ステンレス金網(開口率73.9%)を網目方向を正方として40×175mmの長方形にカットした構造体39枚を蛇腹形の空隙部に挟んだ自己熱交換型触媒反応器(試作3号器)の性能を示したものである。この場合の空隙部間隔は約1mmとなった。いずれのVOCについても、表4に示した反応条件において自己酸化的に反応が継続した。表3の結果と比べて明らかなように、伝熱体面積が2/3程度であるにもかかわらず熱交換率は同流速条件で10%以上も向上した。トルエンの場合、流速0.64L/sの流速条件で熱交換率は92%にまで達している。これに伴って触媒燃焼を自己酸化的に継続できるVOC濃度が著しく小さくなり、同流速条件のトルエンでは、0.023%という低濃度でも反応が進行している。また、VOC除去率も試作2号器と比べて全般的に格段に向上している。たとえば、流速2.92L/sという高空間速度(=32800h−1)でも、0.06%のトルエンが自己酸化的に99%の除去率でCO2とH2Oに完全分解した。
【0048】
【表4】
【0049】
(第10参考例)
この第10参考例は、前記第8参考例において、フィルター機能を持つ材料をスペーサー用構造体を用いて蛇腹形伝熱体(BF)に形成したものである。
伝熱体空隙部にスペーサーとしての構造体を挟む本参考例によれば、これまで伝熱体として使用しにくいと思われていた構造的強度の弱い材料も蛇腹形伝熱体(BF)として使用することが可能になる。図18は、ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質などの燃焼性微粒子を補足する機能を持つ耐熱性フィルタークロス(FC)を該構造体(m,m’)と組み合わせて蛇腹形伝熱体(BF)として利用したもの(自己熱交換器型フィルタートラップ)である。フィルタークロス(FC)の一端を折り畳んで厚みを増し(図18(a)のRの部分)、さらに蛇腹状に折った上で横方向から圧縮することにより、フィルタークロス(FC)の一方の面側の空隙部が蛇腹状の長手方向の一端でフィルタークロス(FC)自身により閉じられる。これを流路出入り口を持つ直方体容器に収め、フィルターを折り返さない方の端面を適当なシール材(図18(b)のs)で塞ぐとともに、フィルタークロス(FC)の折り畳み部(R)が外側に折り返された部分と熱交換器容器との間についても密着あるいは適当なシール材(図示せず)を用いて塞ぐことにより、自己熱交換型フィルタートラップとなる。すなわち、図18(b)はこの構造体の正面透視図であるが、図の正面側入り口(D)から入った燃焼性微粒子を含む流体(典型的には燃焼排ガス)は、スぺーサー(m)が配置されている正面側空隙部を下方に移動しつつ微粒子があまり捕捉されていない通気性の高い部分でフィルタークロス(FC)を透過し、スぺーサー(m’)が配置されている背面側空隙部を上方に流れて、背面側出口(D’)より排出される。この間、往路側と復路側の間で自己熱交換がなされる。
【0050】
さらに、図19(a)は、図18(a)と同様のフィルタークロス(FC)の一端を折り畳んで厚みを持たせるだけでなく、他端部も反対側に折り畳んで厚みを持たせた後、スぺーサー(m:正面側に配置、m’:背面側に配置)を用いて蛇腹形とした自己熱交換器型フィルタートラップの正面透視図である。このようにすると蛇腹形の空隙部の両端が交互に目封じされる。その結果、図18(b)で示したシール材(s)が不要となり、自己熱交換型フィルタートラップとしての構造が簡略化できる。また、この交互目封じした蛇腹形伝熱体(BF)では、図19(b)に示すように、流体入り口(D)をこれまでのように正面側でなく、上方に持ってくることも可能である。なお出口(D’)は、図19(a)と同じく背面側にある。入り口をこの位置とすることにより、流体が蛇腹形伝熱体(BF)の複数の往路空隙部に均等に流入しやすくなるので、熱交換性能や微粒子捕捉機能が向上する。もちろんこの場合、流路方向を反対向きとすることも可能である。
【0051】
(第11参考例)
この第11参考例は、前記第2参考例において、該伝熱体(BF)の蛇腹部分の空隙部に、触媒、吸着材、蓄熱材、フィルター材などの機能性材料を挟んだものである。
前記第4参考例、第5参考例、及び第8参考例では、触媒、吸着材、蓄熱材はいずれも伝熱体(BF)と兼用か伝熱体(BF)に直接担持されているものとしたが、この第11参考例は、これらの機能性材料を伝熱体(BF)とは別個に、伝熱体空隙部に挟んだものである。
【0052】
本第11参考例の第一は、第9参考例で用いたスぺーサー用構造体に触媒、吸着材、蓄熱材などの機能性材料を担持したものである。
また、本第11参考例の第二は、スぺーサーとしての役割と機能性材料を兼用する構造体を用いたものである。例えば粒径がほぼ一定で、適当な機械的強度を有するペレット型触媒を空隙部に一層分そろえて充填するなどの手法を利用することができる。
また、本第11参考例の第三は、スぺーサー用構造体に加えて機能性材料を挟んだものがある。
【0053】
ここで、本第11参考例の第三の一例を図20に示す。この例は、図16で示したのと同様のスペーサー(m:往路側、及びm’:復路側)を挟んだ蛇腹形伝熱体(BF)について、流体が回り込む端部近傍を示したものである。この付近において、伝熱体(BF)とスペーサー(m’)の間に、触媒等の機能性材料を担持した帯状の耐熱性クロス(CL)をさらに挟み込んだ配置を示している。このように伝熱体(BF)と別個の機能性材料を挟むことにより、自己熱交換器としての往路あるいは復路側だけに機能性材料を置くことが可能になり、各種の性能向上を図ることができる。
【0054】
また、本第11参考例の第三の上記例(図20)の実証例を示す。表5は、触媒を伝熱体(BF)に担持しなかったこと以外は試作3号器と同寸法、同構造の金網形構造体(m,m’)を挟んだ自己熱交換器に、長さ1600mm、幅40mmの帯状の、白金触媒を担持した耐熱性クロス(CL)を流体回り込み端部付近の復路側のみに挟んだ自己熱交換型触媒反応器(試作4号器)の性能を示したものである。表4の結果と比べて、同条件での熱交換率が2%程度向上している。また、エチレンについてみると、流速1.98L/sという高い空間速度(22300h−1)でも、表1に示した理論値にほぼ等しい高い熱交換率が得られている。これは、前述したスペーサー用構造体(m,m’)の効果に加えて、触媒反応が復路側のみで起こるため、上流側(往路側)へ熱交換しやすい配置にしたためと考えられる。
【0055】
【表5】
【0056】
試作4号器に対して、さらに、フィルター機能を持ち、またカーボン酸化触媒を持つ五酸化バナジウムを担持したムライト質の耐熱性クロス(CL)を伝熱体(BF)の流体回り込み部端面に密着させ、気体流路方向が表5の場合と逆、すなわち触媒担持体が往路側にあるようにした試作5号器を作り、自己熱交換型フィルタートラップとしての性能を検証した。ここで用いた流体は、カーボンブラックを0.1〜1mg/L浮遊させた室温空気で、ディーゼル排ガスを模したものである。反応温度を上げるため、さらに空気に対してH2を1.5%添加した。この混合気体の流速は0.33L/sとした。その結果、H2が白金触媒上で酸化された際の反応熱と自己交換機能により、この反応器の折り返し部における平均温度Troは567℃まで上昇するとともに、捕捉されずに本試作器を通過したカーボンブラック量0.109g(=WC)とカーボンブラックの酸化によって生じたCO2とCOから算出された焼却カーボン量0.175g(=WCOx)から求められたカーボン除去率φ(=WCOx/(WC+WCOx)×100)は62%となった。なお、上記のTroと入り口温度29℃(Ti)、出口温度123℃(To)から求めた熱交換率は約83%であった。
【0057】
(第12参考例)
この第12参考例は、前記第2参考例と同様の機能を有する自己熱交換型熱交換器であって、伝熱体面の一部を開口し、そこを流体回り込み部分としたものである。
前記第2参考例で述べた自己熱交換型熱交換器の流体回り込み部(F)は、伝熱体(BF)を蛇腹状に折り曲げて形成される端面をそのまま用いているが、この付近の伝熱体端部に一部切り込みを入れて、流体が回り込む境界や空間の形状を恣意的に形成したものが本第12参考例の第一である。具体的な一例を図21(a)に示す。これは、蛇腹型伝熱体(BF)の一つの折り曲げ面において、伝熱体(BF)の一部を台形状に切り取って流体回り込み部(Q)としたものである。他の面についてもこれと合同に切りとってもよいし、また、場所をずらしたり、切り取り形状を三角形、長方形あるいはその他の形状に変更して切り取ってもよい。このようにすると、伝熱体(BF)とシール材(s’)の間に隙間を設けなくても、流体回り込み部空間を形成することができる。
【0058】
本第12参考例のその二は、前記第2参考例において、伝熱体(BF)の各折り曲げ面に周囲が閉じた開口部を設け、そこを流体回り込み部としたものである。その一例を図21(b)に示す。これは、蛇腹型伝熱体(BF)の各折り曲げ面の流体出入り口から離れた箇所に円形の開口部(S)を設けたものである。この時、図21(a)との根本的な相違は、開口部が伝熱体(BF)の端部と重ならず、閉じられた平面領域を占めていることである。開口部(S)は図示したように各折り曲げ面ごとに複数個あっても、また1個でも構わない。このような開口部(S)を設けることにより、伝熱体端面に流体回り込みのための空間をわざわざ設けることなく、自己熱交換のための流路を形成することができる。
【0059】
(第13参考例)
この第13参考例は、通気性のない伝熱体(BF)とスペーサー用構造体とフィルタークロスとを組み合わせたものである。すなわち、伝熱体(BF)とスペーサー用構造体(m,m’:例えば金網)を組み合わせた前記変形例1において、該構造体を伝熱体(BF)の流体回り込み部端面からさらに延長して突出させ、その回りにフィルタークロス(FC)を蛇腹状に形成したものである。
図22は本第13参考例の一例を示す。図22(a)に示すように、通気性を持たない伝熱体(BF)の復路側に長方形のスペーサー(m’)を挟む。その際、スペーサー(m’)の端が伝熱体(BF)の流体回り込み端面より突出するように配置する。次いで、伝熱体(BF)の一部とスペーサー(m’)の突出部分にかかるように、蛇腹状に形成し端部を折りたたんで厚み(R)を持たせたフィルタークロス(FC)をかぶせる。さらに、R部分とは重ならず、かつ、フィルタークロス(FC)と伝熱体(BF)の両方にまたがるようにスペーサー(m)を往路側空隙部に挟む。
図22(b)は、これら構成物の位置関係をより明瞭に示した、伝熱面に垂直な平面で切り取ってみたときの断面図である。伝熱体(BF)の端面からさらにフィルタークロス(FC)が伸びて、その先が折り畳み部分でシールされているため、流体は、フィルタークロス(FC)を通してスペーサー(m’)を挟んだ復路側に流れ込む構造となっており、結果的にフィルタートラップを備えた自己熱交換器として機能する。なお、フィルタークロス(FC)の折り畳み方向を逆にして復路側空隙部の端部をシールする方式としてもよい(図22(b)の右)。
【0060】
(第14参考例)
この第14参考例は、第12参考例の形状を持つ伝熱体(BF)とスペーサー用構造体(m,m’)とフィルタークロスを組み合わせた自己熱交換型フィルタートラップである。図23に本第14参考例の二例を示す。
図23(a)は、スペーサーを伝熱体端部から突出させるかわりに、図21(a)のような切り込み部分を伝熱体端部に作り、フィルタークロス(FC)とスペーサー用構造体(m,m’)を配置することにより、往路側スペーサー(m)を伝熱体端部から突出させないでもフィルター機能を持つ通気部(Q)を形成したものである。このようにすると、伝熱体(BF)とスペーサー(m)の端面を揃えることができ、フィルタートラップとしての組み立てが容易になる。
また、図21(b)のような伝熱体端部と重ならない開口部を持つ伝熱体(BF)を用いて、図23(b)のようにフィルタークロス(FC)とスペーサー用構造体(m,m’)を配置してもよい。このようにすると、伝熱体(BF)とフィルタークロス(FC)とスペーサー(m’)の端面が重なり(スペーサー(m)の端面はこれらよりR分だけ引っ込んでいる)、フィルタートラップとしての組み立てがさらに容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1参考例の熱交換器を示す立体透視図である。
【図2】(a)は図1の正面透視図、(b)及び(c)は変形例の正面透視図である。
【図3】第1参考例の別例を示す図である。
【図4】第1参考例の別例を示す図である。
【図5】第2参考例に係る熱交換器を示す斜視図である。
【図6】(a)は図5の正面透視図、(b)及び(c)は別例の正面透視図である。
【図7】自己熱交換器をベースとした第3参考例の反応器を示す正面透視図である。
【図8】自己熱交換器をベースとした第4参考例の反応器を示す正面透視図である。
【図9】自己熱交換器をベースとした第5参考例の反応器を示す正面透視図である。
【図10】自己熱交換器をベースとした第6参考例の反応器を示す正面透視図である。
【図11】自己熱交換器をベースとした第7参考例の反応器を示す正面透視図である。
【図12】自己熱交換器をベースとした第8参考例の反応器を示す正面透視図である。
【図13】交互封じ型の微粒子フィルターの説明図である。
【図14】本発明による自己熱交換器をベースとした第1実施例の輻射ヒータの正面透視図である。
【図15】本発明による自己熱交換器をベースとした第2実施例の輻射ヒータの正面透視図である。
【図16】第9参考例の説明図である。
【図17】第9参考例の説明図である。
【図18】第10参考例の説明図である。
【図19】第10参考例の説明図である。
【図20】第11参考例の説明図である。
【図21】第12参考例の説明図である。
【図22】第13参考例の説明図である。
【図23】第14参考例の説明図である。
【符号の説明】
【0062】
BF 蛇腹型伝熱体
1 高温流体
2、2’ 低温流体
A、A’ 両端面
a、a’ 両端部
B、B’ 前後側面
C、C’ 側壁
D、D’、E、E’ 出入り口
F 流体回り込み空間部
G 発熱体又は吸熱体
H 触媒
I 吸着剤
J フィルター
K 多孔性材料
L 多孔質壁
M 目封じ材
N 燃焼バーナー
O 燃料
P 熱輻射板
m、m’ スペーサー
R 折り畳み部分
FC フィルタークロス
CL クロス
s、s’ シール材
S、Q 開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己熱交換型熱交換器を用いた輻射ヒータに関し、特にエネルギー消費を節約するための熱工学分野、及び大気や排ガス浄化を目的とする環境技術分野に適用して好適な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
隔壁型熱交換器の性能を向上させる方法のひとつとして、伝熱体(隔壁)の面積を限られた空間容量の中でできる限り大きくする試みが多くなされている。伝熱体の形状を蛇腹型とすることはその方法のひとつとして典型的なものである。また、性能を向上する他の方法として、2つの流体の流れ方向を、伝熱面を挟んで共に同方向に向かう並流、あるいは互いに反対方向に向かう向流にそろえることも行われている。このような流れを実現するため、多管円筒式構造や、多数のプレス成形された伝熱板を重ねたプレート式構造、スパイラル形式などの熱交換器が作られている。
【0003】
一方、1つの流体について上流と下流の間で熱交換を行うと、余分な熱エネルギーをあまり消費することなく、流れの一部分においてだけ温度を変化させることができ、様々な化学反応や熱処理プロセスにおける熱エネルギーロスを小さくすることができる。さらに、このような自己熱交換器と触媒あるいはバーナー燃焼を一体化したものとして、スパイラル型構造の自己熱交換器を利用した方式(文献:第39回燃焼シンポジウム、発表番号C145、平成13年11月21日〜11月23日、横浜(非特許文献1))、回転蓄熱型熱交換器を利用した方式(「燃料消費50%削減、エネルギー環境設計ガスバーナー」日経産業新聞、平成14年6月25日(非特許文献2))、流路方向を一定時間ごとに切り替える蓄熱室式熱交換器を利用した方式(特開2001−349524号公報(特許文献1)、文献:第39回燃焼シンポジウム、発表番号C144、平成13年11月21日〜11月23日、横浜(非特許文献3))などが知られている。
【0004】
しかしながら、これら各種方式の熱交換器は、依然、熱交換面積が十分ではなく、製作も複雑であるという難点があった。また、熱交換効率やエネルギー消費の点でも改善の余地があった。
【0005】
【特許文献1】特開2001−349524号公報
【非特許文献1】第39回燃焼シンポジウム、発表番号C145、平成13年11月21日〜11月23日、横浜
【非特許文献2】回転蓄熱型熱交換器を利用した方式(「燃料消費50%削減、エネルギー環境設計ガスバーナー」日経産業新聞、平成14年6月25日
【非特許文献3】第39回燃焼シンポジウム、発表番号C144、平成13年11月21日〜11月23日、横浜
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、限られた容量の中でより大きな伝熱面積が得られ、かつ、製作が比較的容易であり、熱交換効率の飛躍的な向上をもたらすことができる自己熱交換型熱交換器を用いた輻射ヒーターを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上記課題は下記の技術的手段により解決される。
(1)(a)高温流体と低温流体を隔てるための隔壁型の伝熱体を有する熱交換器において、
該伝熱体が蛇腹型形状であり、両流体が主として該伝熱体の蛇腹部分の空隙部を稜線方向又は谷線方向に沿って向流するように構成され、かつ、
該伝熱体の蛇腹部分の稜線と交わる一端部又は両端部に、一方の流体を該伝熱体の反対側の蛇腹部分の空隙部に回り込ませるための流体回り込み空間部を有し、
該流体回り込み空間部を介して反対側に回り込んだ流体が、熱交換すべき他方の流体となって熱交換を行う自己熱交換型熱交換器と、
(b)該熱交換器の該流体回り込み空間部に設置された燃焼バーナーとからなり、
該燃焼バーナーを設置した該流体回り込み空間部と外部とを隔てる壁の一部を、熱輻射板で構成したことを特徴とする輻射ヒータ。
(2)(a)高温流体と低温流体を隔てるための隔壁型の伝熱体を有する熱交換器において、
該伝熱体が蛇腹型形状であり、両流体が主として該伝熱体の蛇腹部分の空隙部を稜線方向又は谷線方向に沿って向流するように構成され、かつ、
該伝熱体の蛇腹部分の稜線と交わる一端部又は両端部に、一方の流体を該伝熱体の反対側の蛇腹部分の空隙部に回り込ませるための流体回り込み空間部を有し、
該流体回り込み空間部を介して反対側に回り込んだ流体が、熱交換すべき他方の流体となって熱交換を行う自己熱交換型熱交換器と、
(b)該熱交換器の該伝熱体の全表面又は該流体回り込み空間部近傍の表面に担持させた、発熱反応を促す触媒とからなり、
該流体回り込み空間部と外部とを隔てる壁の一部を、熱輻射板で構成し、かつ、流体として該反応成分を含むものを用いることを特徴とする輻射ヒータ。
【発明の効果】
【0008】
本発明の前記構成(1)によれば、燃焼排ガスが持っている熱を温度の低い流入気体に伝達することにより、燃焼排ガスに捨てる熱エネルギーの少ない高効率の輻射ヒータとすることができる。また、本発明の前記構成(2)によれば、触媒反応で生じた流体によって運ばれる排熱の大部分を温度の低い流入流体に伝達することにより、流体に捨てる排熱エネルギーの少ない高効率の輻射ヒータとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の自己熱交換型熱交換器、及びそれを用いた反応器について、参考例に基づいて説明する。
【0010】
(第1参考例)
図1に第1参考例に係る熱交換器を立体透視斜視図で示す。
本参考例の熱交換器は、蛇腹型伝熱体(BF)を有する。この蛇腹型伝熱体(BF)は、高温流体1と低温流体2又は2’を隔てる隔壁が蛇腹型(ベローズ型あるいはアコーディオン型)構造となっている。蛇腹型伝熱体(BF)の蛇腹部分の稜線と交わる両端面(A及びA’)は、当該熱交換器の上下部壁とシール材(図示せず)等を介して密着させることによりシールされている。また、蛇腹部分の稜線と平行な伝熱体(BF)の両端部(a及びa’)は、当該熱交換器の両側面を構成する側壁(C、C’)と溶接あるいはシール材(図示せず)を介して密着させることによりシールされている。また、伝熱体(BF)の稜線と相対する熱交換器の前後側面(B及びB’)については、伝熱体(BF)の稜線部と容器側面(B及びB’)の間隔が蛇腹のピッチに比べて充分小さくなっており、さらに2流体の出入り口(D,D’、E,E’)が、伝熱体(BF)の稜線と相対する前後側面(B及びB’)の上下両端近くに設けられている。
【0011】
上記のような構造をとることにより、前面及び背面の入り口から入った温度の異なる2つの流体が、蛇腹型伝熱体(BF)を隔ててそれぞれの空隙部を蛇腹の稜線方向に、互いに並流(流れ1及び2)あるいは向流(1及び2’)することが実現できる。また、伝熱体を蛇腹型構造とすることにより、限られた容量の中で大きな伝熱面積が得られる。また、蛇腹型伝熱体はその製作が比較的容易であり、熱交換効率が飛躍的に向上する。
【0012】
伝熱体(BF)の断面形状としてここでは三角波型を例示したが、これに限定されるものではなく、波型や稜線部だけ半円形になった平板型でもよい。また、伝熱体(BF)としては、箔状ステンレスを折り曲げて形づくったものや、焼成前の板状のセラミック材を蛇腹型に成形した後に焼成したものでもよい。また、外部からの圧縮力による蛇腹型伝熱体の破損や変形を防ぐ方法として、上記の箔状ステンレスや焼成前の板状セラミック表面に凹凸をつけたり、波形に加工した板をその波の稜線と垂直あるいは平行でない方向で折り曲げて蛇腹型として、隣り合う蛇腹面が互いに接するようにすればよい。
【0013】
図2(a)は、図1で示した構造を流体1の出入り口側から見た正面透視図である。D、Eは図1と同じ流体1の出入り口である。それぞれの裏側に流体2の出入り口D’、E’が設けられている。また、b、b’は、それぞれ正面から見た蛇腹型伝熱体(BF)の稜線及び谷線である。蛇腹型伝熱体(BF)の全体形状についても、ここで示したような直方体に限定されず、たとえば図2(b)に示すように、流体の流入出部分を扇子のように広げて、この部分の流通抵抗を小さくする形としてもよい。また、図2(c)に示すように蛇腹型伝熱体全体を扇子型としてもよい。このようにすることにより流体の流速を流れに沿って変化させることができ、より効率的な熱交換を達成できる場合もある。
【0014】
さらに、図2(c)の形状を円周方向に一周させた図3のような形態とすることもできる。この場合、稜線と平行な伝熱体(BF)の端部を互いに溶接あるいはシール材を介して密着させるなどの手段によりシールする。図3中の各記号は図1と対応した各部分を示している。D,E,D’,E’は図1と同様に、それぞれ流体1,2(2’)の出入り口であり、流体2の方向を変えることにより並流(2)にも向流(2’)にもなる。この構造では、外内筒面A、A’でのシールが必要である。ただし、このような円筒状とすることにより蛇腹の稜線と平行な両端部(図1のa及びa’)は消失する。面B及びB’については図1の場合と同じく、伝熱(BF)の稜線部と容器側面の間隔が蛇腹のピッチに比べて充分小さければよく、シールの必要はない。
【0015】
また、同じく円筒状であるが、蛇腹型伝熱体を図4に示すように配置した構造も可能である。図4中の各記号も図1と対応した各部分を示している。この場合、伝熱体(BF)は外筒Bと内筒B’に挟まれた空間内に置かれる。伝熱体(BF)の稜線と垂直な端面(A及びA’)において、それぞれの容器面と伝熱体(BF)とをシール材を介して密着させるなどの手段によりシールする。また、伝熱体(BF)の稜線と平行する両端部については、互いに完全に密着させるか溶接して、流体が伝熱体(BF)の反対面にリークしないようにシールする必要はあるが、図3の構造の場合と同様に、この部分での容器壁とのシール部は消失し、不要になる。一方、B,B’面においては、図1の場合と同様に、伝熱体(BF)の稜線と各面との距離がそれぞれの面における蛇腹のピッチより充分小さければよく、シールの必要はない。
【0016】
(第2参考例)
第2参考例に係る熱交換器を図5に示す。本参考例の熱交換器は、図1の構造を持つ2流体用の隔壁型熱交換器において、蛇腹型伝熱体(BF)を挟んで互いに反対側にある一対の流体の出入り口(D、D’、E,E’)の代わりにDを入り口、D’を出口とし、さらに、伝熱体(BF)の一方の端部(A’)を密着シールするのではなく、入り口(D)から入った流体を伝熱体(BF)の反対面側に回り込ませるための流体回り込み空間部(F)を設けたことを特徴とするものである。それ以外の構成は第1参考例と同様である。
【0017】
このような構造をとることにより、ひとつの流体がその上流と下流で蛇腹型伝熱体(BF)を挟んで互いに向流する自己熱交換型の熱交換器となる。また、同様の変形を施すことにより、図2、3、4のいずれの熱交換器についても、対応する自己熱交換器とすることができる。
【0018】
本参考例の熱交換器は、第1参考例の作用効果に加え、多管円筒式に代表される従来型の熱交換器構造を利用した自己熱交換器に比べて配管及び流体をシールするための構造が大幅に簡略化され、さらに蛇腹の数を増加させても全体及びシール構造が全く複雑にならない利点を持ち、熱交換効率がきわめて高い自己熱交換器を得ることができる。
【0019】
図6(a)は図5の自己熱交換器の構造を正面透視図としたものである。図中bは稜線、b’は谷線(反対側の蛇腹部分の稜線に対応)を示す。
第2参考例においては、温度が極値となる流体回り込み空間部(F)は必ずしも1カ所である必要はなく、図6(b)のように、伝熱体(BF)の稜線方向の中央部に流体出入り口(D,D’)を設けることにより、入り口(D)から流入した流体が上下方向に分流し、それぞれ伝熱体(BF)の異なる端面に隣接した空間部(F,F’)で回り込んだ後、合流して出口(D’)から出るようにしてもよい。このようにすることにより、面(A)における伝熱体(BF)と容器壁との間のシールが不要になる。
【0020】
さらに、図6(c)は、図6(b)のような中央部に出入り口を持ち流体が分流する自己熱交換器について、蛇腹型伝熱体(BF)を稜線方向に沿って細長い直方体の全体形状とし、さらに円環状にして、稜線と交わる伝熱体(BF)の両端部が同じ流体回り込み空間部(F)を共有する形としたものである。この変形例では、温度が極値となる空間部(F)を一カ所にしつつ、蛇腹部分の端面におけるシールが不要になる利点がある。
【0021】
(第3参考例)
以下図5に示す構造の自己熱交換器をベースとした反応器について説明する。
図7に示す反応器は、図5に示す自己熱交換器をベースとし、流体回り込み空間部(F)に発熱体(ヒータ)あるいは吸熱体(G)を組み込んだ、自己熱交換器と一体化した反応器である。このような構造の反応器では、温度の低い(高い)流入流体と、最高(最低)温度となる空間部(F)を経て加熱(冷却)された流出流体との間で伝熱することにより、空間部(F)でかなりの高温(低温)になっても、入り口(D)に対する出口(D’)での温度はそれほど高く(低く)ならない(例えばD,F,D’における温度がそれぞれ20℃、700℃、90℃)。このような構造のものは、流体を熱反応させるため加熱する必要はあるが再び取り出すときの温度はなるべく変化させたくないとき、加熱のためのエネルギー(電力)を小さくできる反応器として利用できる。従って、化学反応装置全般への応用が期待できる。
【0022】
<第3参考例の性能の理論的見積もり>
図7に示す第3参考例の自己熱交換型反応器の性能を概略的に見積もる。該伝熱体(BF)の蛇腹形の稜線部(あるいは谷部)の折り曲げ形状が半円形となっており各伝熱面が互いに平行であるとすると、この場合の熱伝導は平行平板を挟んだ異なる流体間での熱伝導とみなすことができる。蛇腹面の総面積がA(m2)、この伝熱面を挟んだ高温流体から低温流体への熱通過率がK(W/m2・K)、隣合う蛇腹面の面間隔がd(m)であるとする。面間隔d=10−3(=1mm)程度の場合、この反応器内での流体の流速が1m/sオーダーにおける流れは層流となることが予想される。平行平板間を流れる層流では、壁面と高温、低温各流体との間の熱通過率h(W/m2・K)は、熱流束一定という条件(向流の自己熱交換形反応器はこの条件で近似できる)の下では、
h=140/17×λ/D
で与えられる。ここで、係数140/17は通常Nusselt数と呼ばれる無次元数であり、与えられた条件では解析的に決められる値である。λは流体の熱伝導率(W/m・K)、Dは代表長さと呼ばれる寸法で、平行平板の場合は
D=2d
である。また、
K=1/2h
となる。これらの式をまとめると、結局
K=35/17×λ/d
となる。さて図7において、発熱体を使用する場合を仮定し、その発熱量を仮にQ(W)、流体の熱容量流量(温度依存性がないものとする)をμCp(J/K・s)とし、熱交換体は理想的に断熱されて排熱以外の放熱は全くないものとすると、流体の入口温度Tiと出口温度Toの関係は、
To−Ti=Q/(μCp)
となる。ただし、ここでμは流体の質量流量(kg/s)を、Cpは流体の定圧比熱(J/kg・K)を表す。また、流体回り込み部(F)に流入する流体温度Triと流体回り込み部(F)から流出する流体温度Troの間にも
Tro−Tri=Q/(μCp)
が成り立つ。ここで、どれだけの割合の熱が高温側流体から低温側流体に移動されたかを意味する熱交換率φを、
φ=(Tro−To)/(Tro−Ti)
と定義すると、
φ=(Tro−To)/(Tro−To+To−Ti)=(Tro−To)/(Tro−To+Q/(μCp))
となり、さらに、
μCp(Tro−To)=KA(To−Ti)=35/17×λ/d・A・Q/(μCp)
より、
φ=(35/17×λ/d・A)/(μCp+(35/17×λ/d・A))・・・・・(1)
となる。
【0023】
(1)式を用いて、長さ1600mm、幅200mm(すなわちA=0.32m2)の長方形薄板を40mm間隔ごとに40面に折り曲げ、隣り合う面間隔を1mm(=d)とした蛇腹型伝熱体(BF)について、流入流体として20℃空気(密度ρ=1.166kg/m3、定圧比熱Cp=1005J/kg・K)、熱交換器の作動条件が20℃付近でλ(=0.0257W/m・K)が一定と仮定した場合の、空気流速v(L/s)と熱交換率φの関係を求めた結果を表1に示す。なお、この場合μは、
μ=ρv×10−3・・・・・・(2)
として算出した。
【0024】
【表1】
【0025】
蛇腹形に成形したこの熱交換体の体積Vは、約0.32Lに過ぎない。従ってv=1L/sのときの空間速度は3600v/V=11250h−1となる。このような高い空間速度においても、計算の際に仮定したように伝熱体(BF)を完全に平行平板型に折り曲げることができれば、熱交換率93.5%というきわめて高い性能を発揮することが予想される。同様にさらに高空間速度のv=2L/s(SV=22500h−1)、3L/s(SV=33750h−1)でも、それぞれ87.8%、82.8%という高い熱交換率が得られる。
【0026】
<第3参考例の性能検証実験>
次に、上記の計算例と同寸法の反応器を試作(1号器)して性能を調べた結果を表2に示す。伝熱体材料としては厚さ0.03mmのステンレス箔を用いた。また、発熱体として流体回り込み部(F)にカンタル線を設け、通電により約50W発熱させた。v=1, 2, 3L/sにてそれぞれ78, 69, 68%の熱交換性能が得られた。
【0027】
【表2】
【0028】
(第4参考例)
図8に第4参考例に係る反応器を示す。この反応器は、図7で説明した反応器における加熱を流体内に含まれる反応成分の触媒反応で行うものである。この反応器は、図5の構造を持つ自己熱交換器において、伝熱体(BF)の全表面、あるいは流体が回り込む端面に近い表面に触媒(H)を担持させ、自己熱交換器と一体化した触媒反応器である。この反応器では、熱交換率の高い蛇腹型伝熱面を持つ自己熱交換構造とモノリス型触媒担体構造を一体化させることにより、図7の場合と同様に、反応流体の温度を結果的にそれほど上昇させることなく反応器内部で触媒反応に十分な温度が得られ(例えばD,F,D’における温度がそれぞれ20℃、300℃、50℃)、高効率で省エネルギー的な反応を実現することができる。
【0029】
<第4参考例の性能検証実験>
第4参考例の自己熱交換型触媒反応器の性能を実際に検証するため、伝熱体として厚さ0.03mm、幅200mm、長さ2720mmのステンレス箔を長手方向に対して直角に40mm間隔で計68面に折り曲げ、全体形状として約40×40×200mmの、図5に示すような直方体の蛇腹形伝熱体を作製した。この時の折り曲げられた伝熱体の隣り合う面間隔は約0.59mmであった。さらに、この伝熱体の流体が回り込む側の端面から流体出入口方向へ幅約40mmの範囲にアルミナ担持白金触媒をコーティングした後、厚さ0.6mmのステンレス板製の直方体容器に収めた。この容器には図5のD、D’に相当する出入り口を設け、低濃度の揮発性有機成分(VOC)を含む空気を流通させた。この試作2号器について、各VOCの除去性能と熱交換性能結果を表3に示す。室温空気に含まれる濃度0.3%以下のこれらVOCを、着火の際を除き外部からの補助的な熱を加えることなく、それ自身の酸化によって生ずる熱だけで、すなわち自己酸化的に90%以上分解し続けることができた。トルエンに関しては、流量1.1L/s(SV=12400h−1)という比較的高空間速度でも、濃度約0.1%のトルエンを約94%の除去率でCO2とH2Oに完全分解した。
【0030】
【表3】
【0031】
塗装工場などでは、トルエン、キシレンなどの揮発性有機成分(いわゆるVOC、volatile organic compounds)による空気汚染が問題になっている。ところが、本反応器を用いれば、例えばトルエンを0.1%含む空気を付加的な加熱エネルギーを要することなく、白金触媒などの酸化触媒を用いることにより、トルエンの触媒燃焼で生じた熱のみを利用することにより反応温度を維持して酸化分解することができる。すなわち、本反応器は、空気中の低濃度揮発性有機汚染物質を処理する装置などへの応用が期待できる。
【0032】
(第5参考例)
図9に第5参考例に係る反応器を示す。この反応器は、図5の構造の自己熱交換器において、伝熱体(BF)に蓄熱性を持たせ、さらに伝熱体(BF)の全表面、あるいは流体の入出口に近い側の領域表面に、流体に含まれる反応成分を反応させる触媒(H)を担持させるとともに、伝熱体(BF)の全表面、あるいは流体が回り込む伝熱体(BF)の端面側に近い領域表面に、反応成分を低温で吸着し高温で脱離させる吸着剤(I)を担持させた構造となっている。
【0033】
本反応器によれば、流体温度がしだいに上昇する過渡的な反応条件において、温度が低いうちは、吸着剤(I)に反応成分を吸着させることにより捕捉しておく。流体温度が上昇するにつれ、伝熱体(BF)の入出口に近い部分から加熱されるが、流体が回り込む側部分の加熱は伝熱体(BF)の蓄熱性により、これよりかなり遅れる。このため、加熱が伝熱体(BF)全体に行き渡って、いったん吸着した反応成分が脱離する頃には、流体出口付近の温度はさらに高くなって触媒反応が起こる条件が達成されているので、反応成分が高効率で分解され、排出側に出ることがない。このような構造の反応器は、エンジン始動時に出やすく、また、排ガス温度が低いために従来の触媒コンバータでは処理しにくい、エンジン始動時に排出される炭化水素を処理するための自動車排ガスコンバータとして好適である。
【0034】
(第6参考例)
図10に第6参考例に係る反応器を示す。この反応器は、図7の構造の発熱体(G)を備えた自己熱交換器と一体化した反応器において、微粒子を捕捉できるフィルター(J)を、流体が回り込む伝熱体(BF)の端面に密着させた構造となっている。
【0035】
本反応器によれば、温度が最も高くなる空間部(F)にフィルター(J)を配置することにより、高温にすると分解できる炭素や高沸点有機成分からなる微粒子などを、流体の入出口温度をそれほど上昇させず熱エネルギーをそれほどかけなくても処理できる自己再生型フィルタートラップとなる。ディーゼルエンジン排ガス中の粒子状物質(PM)、とりわけその中の固体炭素分(すす)は600℃以上にならないと速やかに酸化除去できない。従来では、排ガス温度を間欠的にここまで上昇させてフィルターに捕捉された(PM)を酸化し、フィルター再生する技術があったが、これに必要なエネルギー(燃料)がかなりのものとなっていた。ところが、本反応器によれば、それほどエネルギーをかけることなく、PM酸化が速やかに起こる温度を得ることができる利点がある。本反応器では、フィルター(J)に、MoやVなどを含むPM酸化用触媒を担持しておけば、到達すべき温度を500℃や400℃などへと下げることも可能であり、エネルギー損失をさらに小さくすることも可能である。本反応器は、自己再生型のディーゼルパーティキュレートフィルターとしての応用が可能である。
【0036】
(第7参考例)
図11に第7参考例に係る反応器を示す。この反応器は、図10で説明した自己再生型フィルタートラップにおいて、発熱体(G)を設ける代わりに、その加熱を触媒反応で行う構造となっている。すなわち、本反応器は、伝熱体(BF)の流体が回り込む側の端面に、微粒子を補足、除去するためのフィルター(J)を設けている。
【0037】
本反応器によれば、流体に触媒反応成分を必要なだけ添加することにより、フィルター(J)における温度を必要なまでに高めることができる。本反応器は、図10の場合と同じく、ディーゼルエンジン排ガス中のPMを処理する自己再生型フィルタートラップとして使用できる。加熱を燃料の触媒酸化で行うことにより、発熱体を介するよりも熱エネルギー利用効率が高いので、より実用的なものである。本反応器も、自己再生型のディーゼルパーティキュレートフィルターとしての応用が可能である。
【0038】
(第8参考例)
図12に第8参考例に係る反応器を示す。この反応器は、図5の構造の自己熱交換器において、伝熱体(BF)としてフィルター機能を有する多孔性材料(K)を用いるとともに、伝熱体(BF)の流体が回り込む端部の空間部(F)をなくし、伝熱体(BF)と面(A’)との間をシールした構造としたものである。
【0039】
この構造の反応器では、入り口(D)から入った流体は伝熱体壁を通過して反対面に出て、出口(D’)より排出される。その間に、流体中に浮遊する微粒子が伝熱体面に捕捉される。本反応器では、伝熱体(BF)に触媒酸化反応を促す触媒を担持させ、さらにその反応成分を本反応器に入る手前で流体に添加することにより、図8あるいは図11の場合と同様に、触媒反応によって生じた熱により伝熱体兼フィルター自体が加熱される。さらに図5と同様の自己熱交換型流路構造により伝熱体下部ほど温度が高くなり、微粒子の分解除去がある領域より下部で実現する。フィルター再生度(流体の透過のしやすさ)は、本反応器前後の差圧を測るなどの手段により把握し、必要なレベルに達するまで当反応器の加熱度を調節すればよい。
【0040】
また、本反応器によれば、従来多用されている交互封じ型の微粒子フィルター(図13、Lはフィルター機能を有する多孔質壁、Mはハニカム構造の流路出入り口を交互に塞ぐ目封じ材)と同程度のフィルター面積密度を得ることも可能であり、さらに自己熱交換能を有するので熱エネルギーの無駄の少ないフィルター再生を行うことが可能である。本反応器も、自己再生型のディーゼルパーティキュレートフィルターとしての応用が可能である。
【0041】
以下、本発明の輻射ヒーターについて、好ましい実施例に基づいて説明する。
(第1実施例)
図5に示す構造の自己熱交換器をベースとした輻射ヒータについて説明する。図14は第1実施例に係る輻射ヒータを示す。この輻射ヒータは、図5の自己熱交換器において、流体が回り込む空間部(F)に燃焼バーナー(N)と、空間部(F)と外部とを仕切る壁の一部分に熱伝導度及び熱輻射率が高い熱輻射板(P)を備えた構造となっている。本輻射ヒータでは、流体としては、燃料(O)と反応する空気など燃焼用酸化剤を含む気体を使う。
【0042】
このような構造によれば、燃焼排ガスが持っている熱を温度の低い流入気体に伝達することにより、燃焼排ガスに捨てる熱エネルギーの少ない高効率の輻射ヒータとすることができる。本輻射ヒータは、燃焼排ガスへの熱エネルギー損失が少ない省エネ的なガス燃焼加熱器としての応用が可能である。
【0043】
(第2実施例)
図15に第2実施例に係る輻射ヒータを示す。この輻射ヒータは、図8の自己熱交換器と一体化した触媒反応器を用いた輻射ヒータであって、流体が回り込む空間部(F)と外部とを仕切る壁の一部分に熱伝導度及び熱輻射率が高い熱輻射板(P)を備えた構造となっている。本輻射ヒータでは、流体としては、該触媒の作用により発熱反応する反応成分を含むものを使い、通常は、触媒として白金などの酸化触媒を、流体として炭化水素と空気の混合気を用いればよい。
【0044】
このような構造によれば、触媒反応で生じた流体によって運ばれる排熱の大部分を温度の低い流入流体に伝達することにより、流体に捨てる排熱エネルギーの少ない高効率の輻射ヒータとすることができる。本輻射ヒータも、燃焼排ガスへの熱エネルギー損失が少ない省エネ的なガス燃焼加熱器としての応用が可能である。
【0045】
以上参考例及び本発明の実施例を述べたが、次に前記の参考例を変化させた典型的ないくつかの例について述べる。
【0046】
(第9参考例)
この第9参考例は、前記第2参考例において、伝熱体(BF)の蛇腹部分の空隙部に、該伝熱体(BF)とは別個の通気性を有する構造体を少なくとも1種類以上挟んだものである。そして、この構造体をスペーサーの役割を果たすようにしたものである。
図16は、該構造体として、蛇腹形伝熱体(BF)の一つの折り曲げ面とほぼ同形状のステンレス金網片(m,m’)を用い、これらを蛇腹形伝熱体(BF)のすべての空隙部に挟んだものである。このような構造体を挟むことにより、伝熱面間隔が一様になる、蛇腹形伝熱体(BF)の空隙部における熱輻射が遮られて流路方向の断熱性が増す、その一方で隣合う伝熱面間で該構造体を通しての伝熱性が高まり流路と直角方向の温度が均一化する、蛇腹形伝熱体(BF)の構造体としての機械的強度が増す、などの効果が得られ、熱交換性能や耐久性を向上させることができる。通気性を良くして熱交換器での圧損を小さくするためには、なるべく開口率の大きい、すなわち網に用いるワイヤー線の直径に対して網目間隔(開口率)が大きいものを使用することが望ましい。また、網目の方向としては、図16に示すように伝熱体(BF)の稜線(あるいは谷線)に対して正方としても、図17(a)に示すように斜方としてもよい。また、端部にワイヤー線の切断面がある金網片ではなく、図17(b)に示すように、ワイヤー線をループ型に折り曲げて金網状に加工したものを使用すれば、伝熱体(BF)や以下に示すフィルター材などがワイヤー端部で損傷することを防ぐことができる。
【0047】
次に、上記第9参考例の実証結果の一例を示す。表4は、試作1号器と同寸法、すなわち厚さ0.03mm、長さ1600mm、幅200mmのステンレス箔を長さ方向に対して直角に40mmごとに40面に折り曲げた蛇腹形伝熱体(BF)について、流体回り込み側近傍の幅約100mmの両表面にアルミナ担持白金触媒を担持し、さらに、線径0.45mm、8メッシュの平織ステンレス金網(開口率73.9%)を網目方向を正方として40×175mmの長方形にカットした構造体39枚を蛇腹形の空隙部に挟んだ自己熱交換型触媒反応器(試作3号器)の性能を示したものである。この場合の空隙部間隔は約1mmとなった。いずれのVOCについても、表4に示した反応条件において自己酸化的に反応が継続した。表3の結果と比べて明らかなように、伝熱体面積が2/3程度であるにもかかわらず熱交換率は同流速条件で10%以上も向上した。トルエンの場合、流速0.64L/sの流速条件で熱交換率は92%にまで達している。これに伴って触媒燃焼を自己酸化的に継続できるVOC濃度が著しく小さくなり、同流速条件のトルエンでは、0.023%という低濃度でも反応が進行している。また、VOC除去率も試作2号器と比べて全般的に格段に向上している。たとえば、流速2.92L/sという高空間速度(=32800h−1)でも、0.06%のトルエンが自己酸化的に99%の除去率でCO2とH2Oに完全分解した。
【0048】
【表4】
【0049】
(第10参考例)
この第10参考例は、前記第8参考例において、フィルター機能を持つ材料をスペーサー用構造体を用いて蛇腹形伝熱体(BF)に形成したものである。
伝熱体空隙部にスペーサーとしての構造体を挟む本参考例によれば、これまで伝熱体として使用しにくいと思われていた構造的強度の弱い材料も蛇腹形伝熱体(BF)として使用することが可能になる。図18は、ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質などの燃焼性微粒子を補足する機能を持つ耐熱性フィルタークロス(FC)を該構造体(m,m’)と組み合わせて蛇腹形伝熱体(BF)として利用したもの(自己熱交換器型フィルタートラップ)である。フィルタークロス(FC)の一端を折り畳んで厚みを増し(図18(a)のRの部分)、さらに蛇腹状に折った上で横方向から圧縮することにより、フィルタークロス(FC)の一方の面側の空隙部が蛇腹状の長手方向の一端でフィルタークロス(FC)自身により閉じられる。これを流路出入り口を持つ直方体容器に収め、フィルターを折り返さない方の端面を適当なシール材(図18(b)のs)で塞ぐとともに、フィルタークロス(FC)の折り畳み部(R)が外側に折り返された部分と熱交換器容器との間についても密着あるいは適当なシール材(図示せず)を用いて塞ぐことにより、自己熱交換型フィルタートラップとなる。すなわち、図18(b)はこの構造体の正面透視図であるが、図の正面側入り口(D)から入った燃焼性微粒子を含む流体(典型的には燃焼排ガス)は、スぺーサー(m)が配置されている正面側空隙部を下方に移動しつつ微粒子があまり捕捉されていない通気性の高い部分でフィルタークロス(FC)を透過し、スぺーサー(m’)が配置されている背面側空隙部を上方に流れて、背面側出口(D’)より排出される。この間、往路側と復路側の間で自己熱交換がなされる。
【0050】
さらに、図19(a)は、図18(a)と同様のフィルタークロス(FC)の一端を折り畳んで厚みを持たせるだけでなく、他端部も反対側に折り畳んで厚みを持たせた後、スぺーサー(m:正面側に配置、m’:背面側に配置)を用いて蛇腹形とした自己熱交換器型フィルタートラップの正面透視図である。このようにすると蛇腹形の空隙部の両端が交互に目封じされる。その結果、図18(b)で示したシール材(s)が不要となり、自己熱交換型フィルタートラップとしての構造が簡略化できる。また、この交互目封じした蛇腹形伝熱体(BF)では、図19(b)に示すように、流体入り口(D)をこれまでのように正面側でなく、上方に持ってくることも可能である。なお出口(D’)は、図19(a)と同じく背面側にある。入り口をこの位置とすることにより、流体が蛇腹形伝熱体(BF)の複数の往路空隙部に均等に流入しやすくなるので、熱交換性能や微粒子捕捉機能が向上する。もちろんこの場合、流路方向を反対向きとすることも可能である。
【0051】
(第11参考例)
この第11参考例は、前記第2参考例において、該伝熱体(BF)の蛇腹部分の空隙部に、触媒、吸着材、蓄熱材、フィルター材などの機能性材料を挟んだものである。
前記第4参考例、第5参考例、及び第8参考例では、触媒、吸着材、蓄熱材はいずれも伝熱体(BF)と兼用か伝熱体(BF)に直接担持されているものとしたが、この第11参考例は、これらの機能性材料を伝熱体(BF)とは別個に、伝熱体空隙部に挟んだものである。
【0052】
本第11参考例の第一は、第9参考例で用いたスぺーサー用構造体に触媒、吸着材、蓄熱材などの機能性材料を担持したものである。
また、本第11参考例の第二は、スぺーサーとしての役割と機能性材料を兼用する構造体を用いたものである。例えば粒径がほぼ一定で、適当な機械的強度を有するペレット型触媒を空隙部に一層分そろえて充填するなどの手法を利用することができる。
また、本第11参考例の第三は、スぺーサー用構造体に加えて機能性材料を挟んだものがある。
【0053】
ここで、本第11参考例の第三の一例を図20に示す。この例は、図16で示したのと同様のスペーサー(m:往路側、及びm’:復路側)を挟んだ蛇腹形伝熱体(BF)について、流体が回り込む端部近傍を示したものである。この付近において、伝熱体(BF)とスペーサー(m’)の間に、触媒等の機能性材料を担持した帯状の耐熱性クロス(CL)をさらに挟み込んだ配置を示している。このように伝熱体(BF)と別個の機能性材料を挟むことにより、自己熱交換器としての往路あるいは復路側だけに機能性材料を置くことが可能になり、各種の性能向上を図ることができる。
【0054】
また、本第11参考例の第三の上記例(図20)の実証例を示す。表5は、触媒を伝熱体(BF)に担持しなかったこと以外は試作3号器と同寸法、同構造の金網形構造体(m,m’)を挟んだ自己熱交換器に、長さ1600mm、幅40mmの帯状の、白金触媒を担持した耐熱性クロス(CL)を流体回り込み端部付近の復路側のみに挟んだ自己熱交換型触媒反応器(試作4号器)の性能を示したものである。表4の結果と比べて、同条件での熱交換率が2%程度向上している。また、エチレンについてみると、流速1.98L/sという高い空間速度(22300h−1)でも、表1に示した理論値にほぼ等しい高い熱交換率が得られている。これは、前述したスペーサー用構造体(m,m’)の効果に加えて、触媒反応が復路側のみで起こるため、上流側(往路側)へ熱交換しやすい配置にしたためと考えられる。
【0055】
【表5】
【0056】
試作4号器に対して、さらに、フィルター機能を持ち、またカーボン酸化触媒を持つ五酸化バナジウムを担持したムライト質の耐熱性クロス(CL)を伝熱体(BF)の流体回り込み部端面に密着させ、気体流路方向が表5の場合と逆、すなわち触媒担持体が往路側にあるようにした試作5号器を作り、自己熱交換型フィルタートラップとしての性能を検証した。ここで用いた流体は、カーボンブラックを0.1〜1mg/L浮遊させた室温空気で、ディーゼル排ガスを模したものである。反応温度を上げるため、さらに空気に対してH2を1.5%添加した。この混合気体の流速は0.33L/sとした。その結果、H2が白金触媒上で酸化された際の反応熱と自己交換機能により、この反応器の折り返し部における平均温度Troは567℃まで上昇するとともに、捕捉されずに本試作器を通過したカーボンブラック量0.109g(=WC)とカーボンブラックの酸化によって生じたCO2とCOから算出された焼却カーボン量0.175g(=WCOx)から求められたカーボン除去率φ(=WCOx/(WC+WCOx)×100)は62%となった。なお、上記のTroと入り口温度29℃(Ti)、出口温度123℃(To)から求めた熱交換率は約83%であった。
【0057】
(第12参考例)
この第12参考例は、前記第2参考例と同様の機能を有する自己熱交換型熱交換器であって、伝熱体面の一部を開口し、そこを流体回り込み部分としたものである。
前記第2参考例で述べた自己熱交換型熱交換器の流体回り込み部(F)は、伝熱体(BF)を蛇腹状に折り曲げて形成される端面をそのまま用いているが、この付近の伝熱体端部に一部切り込みを入れて、流体が回り込む境界や空間の形状を恣意的に形成したものが本第12参考例の第一である。具体的な一例を図21(a)に示す。これは、蛇腹型伝熱体(BF)の一つの折り曲げ面において、伝熱体(BF)の一部を台形状に切り取って流体回り込み部(Q)としたものである。他の面についてもこれと合同に切りとってもよいし、また、場所をずらしたり、切り取り形状を三角形、長方形あるいはその他の形状に変更して切り取ってもよい。このようにすると、伝熱体(BF)とシール材(s’)の間に隙間を設けなくても、流体回り込み部空間を形成することができる。
【0058】
本第12参考例のその二は、前記第2参考例において、伝熱体(BF)の各折り曲げ面に周囲が閉じた開口部を設け、そこを流体回り込み部としたものである。その一例を図21(b)に示す。これは、蛇腹型伝熱体(BF)の各折り曲げ面の流体出入り口から離れた箇所に円形の開口部(S)を設けたものである。この時、図21(a)との根本的な相違は、開口部が伝熱体(BF)の端部と重ならず、閉じられた平面領域を占めていることである。開口部(S)は図示したように各折り曲げ面ごとに複数個あっても、また1個でも構わない。このような開口部(S)を設けることにより、伝熱体端面に流体回り込みのための空間をわざわざ設けることなく、自己熱交換のための流路を形成することができる。
【0059】
(第13参考例)
この第13参考例は、通気性のない伝熱体(BF)とスペーサー用構造体とフィルタークロスとを組み合わせたものである。すなわち、伝熱体(BF)とスペーサー用構造体(m,m’:例えば金網)を組み合わせた前記変形例1において、該構造体を伝熱体(BF)の流体回り込み部端面からさらに延長して突出させ、その回りにフィルタークロス(FC)を蛇腹状に形成したものである。
図22は本第13参考例の一例を示す。図22(a)に示すように、通気性を持たない伝熱体(BF)の復路側に長方形のスペーサー(m’)を挟む。その際、スペーサー(m’)の端が伝熱体(BF)の流体回り込み端面より突出するように配置する。次いで、伝熱体(BF)の一部とスペーサー(m’)の突出部分にかかるように、蛇腹状に形成し端部を折りたたんで厚み(R)を持たせたフィルタークロス(FC)をかぶせる。さらに、R部分とは重ならず、かつ、フィルタークロス(FC)と伝熱体(BF)の両方にまたがるようにスペーサー(m)を往路側空隙部に挟む。
図22(b)は、これら構成物の位置関係をより明瞭に示した、伝熱面に垂直な平面で切り取ってみたときの断面図である。伝熱体(BF)の端面からさらにフィルタークロス(FC)が伸びて、その先が折り畳み部分でシールされているため、流体は、フィルタークロス(FC)を通してスペーサー(m’)を挟んだ復路側に流れ込む構造となっており、結果的にフィルタートラップを備えた自己熱交換器として機能する。なお、フィルタークロス(FC)の折り畳み方向を逆にして復路側空隙部の端部をシールする方式としてもよい(図22(b)の右)。
【0060】
(第14参考例)
この第14参考例は、第12参考例の形状を持つ伝熱体(BF)とスペーサー用構造体(m,m’)とフィルタークロスを組み合わせた自己熱交換型フィルタートラップである。図23に本第14参考例の二例を示す。
図23(a)は、スペーサーを伝熱体端部から突出させるかわりに、図21(a)のような切り込み部分を伝熱体端部に作り、フィルタークロス(FC)とスペーサー用構造体(m,m’)を配置することにより、往路側スペーサー(m)を伝熱体端部から突出させないでもフィルター機能を持つ通気部(Q)を形成したものである。このようにすると、伝熱体(BF)とスペーサー(m)の端面を揃えることができ、フィルタートラップとしての組み立てが容易になる。
また、図21(b)のような伝熱体端部と重ならない開口部を持つ伝熱体(BF)を用いて、図23(b)のようにフィルタークロス(FC)とスペーサー用構造体(m,m’)を配置してもよい。このようにすると、伝熱体(BF)とフィルタークロス(FC)とスペーサー(m’)の端面が重なり(スペーサー(m)の端面はこれらよりR分だけ引っ込んでいる)、フィルタートラップとしての組み立てがさらに容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1参考例の熱交換器を示す立体透視図である。
【図2】(a)は図1の正面透視図、(b)及び(c)は変形例の正面透視図である。
【図3】第1参考例の別例を示す図である。
【図4】第1参考例の別例を示す図である。
【図5】第2参考例に係る熱交換器を示す斜視図である。
【図6】(a)は図5の正面透視図、(b)及び(c)は別例の正面透視図である。
【図7】自己熱交換器をベースとした第3参考例の反応器を示す正面透視図である。
【図8】自己熱交換器をベースとした第4参考例の反応器を示す正面透視図である。
【図9】自己熱交換器をベースとした第5参考例の反応器を示す正面透視図である。
【図10】自己熱交換器をベースとした第6参考例の反応器を示す正面透視図である。
【図11】自己熱交換器をベースとした第7参考例の反応器を示す正面透視図である。
【図12】自己熱交換器をベースとした第8参考例の反応器を示す正面透視図である。
【図13】交互封じ型の微粒子フィルターの説明図である。
【図14】本発明による自己熱交換器をベースとした第1実施例の輻射ヒータの正面透視図である。
【図15】本発明による自己熱交換器をベースとした第2実施例の輻射ヒータの正面透視図である。
【図16】第9参考例の説明図である。
【図17】第9参考例の説明図である。
【図18】第10参考例の説明図である。
【図19】第10参考例の説明図である。
【図20】第11参考例の説明図である。
【図21】第12参考例の説明図である。
【図22】第13参考例の説明図である。
【図23】第14参考例の説明図である。
【符号の説明】
【0062】
BF 蛇腹型伝熱体
1 高温流体
2、2’ 低温流体
A、A’ 両端面
a、a’ 両端部
B、B’ 前後側面
C、C’ 側壁
D、D’、E、E’ 出入り口
F 流体回り込み空間部
G 発熱体又は吸熱体
H 触媒
I 吸着剤
J フィルター
K 多孔性材料
L 多孔質壁
M 目封じ材
N 燃焼バーナー
O 燃料
P 熱輻射板
m、m’ スペーサー
R 折り畳み部分
FC フィルタークロス
CL クロス
s、s’ シール材
S、Q 開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)高温流体と低温流体を隔てるための隔壁型の伝熱体を有する熱交換器において、
該伝熱体が蛇腹型形状であり、両流体が主として該伝熱体の蛇腹部分の空隙部を稜線方向又は谷線方向に沿って向流するように構成され、かつ、
該伝熱体の蛇腹部分の稜線と交わる一端部又は両端部に、一方の流体を該伝熱体の反対側の蛇腹部分の空隙部に回り込ませるための流体回り込み空間部を有し、
該流体回り込み空間部を介して反対側に回り込んだ流体が、熱交換すべき他方の流体となって熱交換を行う自己熱交換型熱交換器と、
(b)該熱交換器の該流体回り込み空間部に設置された燃焼バーナーとからなり、
該燃焼バーナーを設置した該流体回り込み空間部と外部とを隔てる壁の一部を、熱輻射板で構成したことを特徴とする輻射ヒータ。
【請求項2】
(a)高温流体と低温流体を隔てるための隔壁型の伝熱体を有する熱交換器において、
該伝熱体が蛇腹型形状であり、両流体が主として該伝熱体の蛇腹部分の空隙部を稜線方向又は谷線方向に沿って向流するように構成され、かつ、
該伝熱体の蛇腹部分の稜線と交わる一端部又は両端部に、一方の流体を該伝熱体の反対側の蛇腹部分の空隙部に回り込ませるための流体回り込み空間部を有し、
該流体回り込み空間部を介して反対側に回り込んだ流体が、熱交換すべき他方の流体となって熱交換を行う自己熱交換型熱交換器と、
(b)該熱交換器の該伝熱体の全表面又は該流体回り込み空間部近傍の表面に担持させた、発熱反応を促す触媒とからなり、
該流体回り込み空間部と外部とを隔てる壁の一部を、熱輻射板で構成し、かつ、流体として該反応成分を含むものを用いることを特徴とする輻射ヒータ。
【請求項1】
(a)高温流体と低温流体を隔てるための隔壁型の伝熱体を有する熱交換器において、
該伝熱体が蛇腹型形状であり、両流体が主として該伝熱体の蛇腹部分の空隙部を稜線方向又は谷線方向に沿って向流するように構成され、かつ、
該伝熱体の蛇腹部分の稜線と交わる一端部又は両端部に、一方の流体を該伝熱体の反対側の蛇腹部分の空隙部に回り込ませるための流体回り込み空間部を有し、
該流体回り込み空間部を介して反対側に回り込んだ流体が、熱交換すべき他方の流体となって熱交換を行う自己熱交換型熱交換器と、
(b)該熱交換器の該流体回り込み空間部に設置された燃焼バーナーとからなり、
該燃焼バーナーを設置した該流体回り込み空間部と外部とを隔てる壁の一部を、熱輻射板で構成したことを特徴とする輻射ヒータ。
【請求項2】
(a)高温流体と低温流体を隔てるための隔壁型の伝熱体を有する熱交換器において、
該伝熱体が蛇腹型形状であり、両流体が主として該伝熱体の蛇腹部分の空隙部を稜線方向又は谷線方向に沿って向流するように構成され、かつ、
該伝熱体の蛇腹部分の稜線と交わる一端部又は両端部に、一方の流体を該伝熱体の反対側の蛇腹部分の空隙部に回り込ませるための流体回り込み空間部を有し、
該流体回り込み空間部を介して反対側に回り込んだ流体が、熱交換すべき他方の流体となって熱交換を行う自己熱交換型熱交換器と、
(b)該熱交換器の該伝熱体の全表面又は該流体回り込み空間部近傍の表面に担持させた、発熱反応を促す触媒とからなり、
該流体回り込み空間部と外部とを隔てる壁の一部を、熱輻射板で構成し、かつ、流体として該反応成分を含むものを用いることを特徴とする輻射ヒータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図21】
【図22】
【図23】
【図16】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図18】
【図19】
【図21】
【図22】
【図23】
【図16】
【図20】
【公開番号】特開2008−70107(P2008−70107A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234789(P2007−234789)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【分割の表示】特願2003−274039(P2003−274039)の分割
【原出願日】平成15年7月14日(2003.7.14)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【分割の表示】特願2003−274039(P2003−274039)の分割
【原出願日】平成15年7月14日(2003.7.14)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
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