自己走査型発光素子アレイ
【課題】転送速度を改善しながら正常な転送を実現できる自己走査型発光素子アレイを提供する。
【解決手段】シフト部/発光部の島とゲート負荷抵抗の島とを分離せずに一体化する。ゲート負荷抵抗用の電極が無くなるので、ゲート負荷抵抗の電極23とp型ゲート層13との間に存在した接触抵抗が無くなる。その結果、ゲート抵抗が小さくなり、転送速度が増大する。
【解決手段】シフト部/発光部の島とゲート負荷抵抗の島とを分離せずに一体化する。ゲート負荷抵抗用の電極が無くなるので、ゲート負荷抵抗の電極23とp型ゲート層13との間に存在した接触抵抗が無くなる。その結果、ゲート抵抗が小さくなり、転送速度が増大する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己走査型発光素子アレイ、特に転送速度を向上させた自己走査型発光素子アレイに関するものである。本発明は、さらには、このような自己走査型発光素子アレイを用いた光書込みヘッド、光書込みヘッドを用いた光プリンタ,ファクシミリ,複写機に関する。
【背景技術】
【0002】
pnpn構造の発光サイリスタを用いた自己走査型発光素子アレイは、光プリンタなどの光書込みヘッドに用いられる。
【0003】
図1に、ダイオード結合方式の自己走査型発光素子アレイの回路図を示す。この自己走査型発光素子アレイは、シフト部100と発光部200とから構成される。
【0004】
シフト部100は、発光サイリスタS1,S2,S3・・・と、これらサイリスタのゲート間を結合する結合ダイオードD1,D2,D3・・・と、ゲート負荷抵抗Rgとから構成されている。
【0005】
なお、結合ダイオードは、後述するように、発光サイリスタのゲート/カソード間を用いるので、図1ではサイリスタとして描いてある。
【0006】
電源端子VGAは、VGAライン2を経て、各ゲート負荷抵抗Rgに接続される。
【0007】
クロックパルス端子φ1は、電流制限用抵抗R1およびφ1ライン4を経て、奇数番目のシフト部サイリスタS1,S3,・・・のカソードに接続される。
【0008】
クロックパルス端子φ2は、電流制限用抵抗R2およびφ2ライン6を経て、偶数番目のシフト部サイリスタS2,S4,・・・のカソードに接続される。
【0009】
第1番目のサイリスタS1のゲートは、ダイオードDSを経てφ2ライン6に接続されている。
【0010】
一方、発光部200は、発光サイリスタL1,L2,L3,・・・で構成され、各サイリスタのゲートは、対応するシフト部サイリスタのゲートに接続され、カソードはφIライン8に接続されている。
【0011】
図1において、黒丸(●)は、電極を示している。また、Rpは、後述する接触抵抗(寄生抵抗)を示している。
【0012】
図1の自己走査型発光素子アレイチップを、この明細書では、SLED(Self−scaning Light−Emitting Device)と略称することがある。
【0013】
図2は、図1に示した自己走査型発光素子アレイのチップの平面図である。図1と同じ構成要素には、同一の参照番号および参照記号を付して示してある。
【0014】
図3(A),(B),(C)は、図1の回路と図2の構造との対応関係を示す図である。理解を助けるためにpnpn構造の断面を、図3(A)に示してある。この断面図は、図3(B)に示す平面図のA−A’線における断面を示している。図3(C)は、等価回路を示す。
【0015】
本実施例のSLEDは、p型基板10を用いたアノードコモン型とした。p型基板10上には、p型エピタキシャル層(アノード層)11,n型エピタキシャル層(n型ゲート層)12,p型エピタキシャル層(p型ゲート層)13,n型エピタキシャル層(カソード層)14が積層され、メサエッチングされて、シフト部/発光部の島24と、ゲート負荷抵抗の島25とに分離されている。
【0016】
図3において、14は発光部サイリスタのカソード層を、16はシフト部サイリスタのカソード層を、18は結合ダイオードを構成するサイリスタのカソード層を、それぞれ示している。
【0017】
15は発光部サイリスタのカソード電極を、17はシフト部サイリスタのカソード電極を、19は結合ダイオードのカソード電極をそれぞれ示している。
【0018】
また、20はゲート電極を、21はゲート負荷抵抗を示す。このゲート負荷抵抗は、p型ゲート層13、すなわち半導体部分により構成される。22,23は、ゲート負荷抵抗の電極を示している。31は、裏面電極を示している。
【0019】
ゲート電極20とp型ゲート層13との間、およびゲート負荷抵抗の電極22,23とp型ゲート層13との間には、接触抵抗(寄生抵抗)Rpが存在する。なお、カソード電極とカソード層との間にも、接触抵抗が存在するが、図1では図示を省略してある。
【0020】
ダイオード結合方式のSLEDの転送速度は、シフト部サイリスタのゲートのオフ時間で制限される。ゲートオフ時間は、ゲート寄生容量とゲート抵抗値との積で決まる時定数に比例する。
【0021】
なお、ゲート抵抗値は、サイリスタのゲート電極とVGAライン2との間に存在する抵抗であり、図1において、シフト部サイリスタS2のゲート電極G2をXとすると、ゲート電極XとVGAラインとの間の経路Yの抵抗値である。したがって、ゲート抵抗値には、ゲート負荷抵抗Rgの抵抗値と、3個の接触抵抗RPの抵抗値とが含まれる。
【0022】
接触抵抗は、オーミック接触をとるためのアニール条件と接触面積で決まっており、小さくすることは難しいのでゲート負荷抵抗Rgの抵抗値を小さくすることで、転送速度を改善できる。しかし、Rgを小さくすることには、限界がある。例えば、図1において、φ2ライン6およびVGAライン2がLレベル(−5V)であり、φ1ライン4およびφIライン8がHレベル(0V)であり、サイリスタS2がオンしているとする。このとき、サイリスタS2のゲート電極G2は、ほぼ基板電位(約0V)となり、サイリスタS3のゲート電極G3は、結合ダイオードD2のオン電圧である約−1.5Vとなる。サイリスタS4のゲート電極G4の電圧は、ゲート電極G3の電圧よりもさらにpn接合1段分低い−3V程となる。
【0023】
しかし、もしゲート負荷抵抗Rgが小さく、ゲート電極G4に接続されるゲート負荷抵抗Rgに結合ダイオードD3の保持電流以上の電流が流れると、結合ダイオードD3はオンしてしまい、ゲート電極G3がほぼ基板電位となる。すなわち、本来オンしていたサイリスタS2とともに、次の順番でオンする予定のサイリスタS3が同時にオンすることになる。これは、オンしているサイリスタの右隣のサイリスタがオンしてしまうこととなり、結局、全サイリスタが次々とオン状態になり、正常な転送が行えなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明の目的は、転送速度を改善しながら正常な転送を実現できる自己走査型発光素子アレイを提供することにある。
【0025】
本発明の他の目的は、このような自己走査型発光素子アレイを有する光書込みヘッドを提供することにある。
【0026】
本発明のさらに他の目的は、このような光書込みヘッドを有する光プリンタ、ファクシミリ、または複写機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
動作可能なVGA電圧(負値)の下限は、「オンしているi番目のシフト部サイリスタSiの、隣の結合ダイオードD(i+1)に保持電流以上の電流を流さない」という条件から決まっている。
【0028】
このような条件を満たすためには、シフト部/発光部の島とゲート負荷抵抗の島とを分離せずに一体化する。
【0029】
したがって、本発明の第1の態様は、pnpn層構造の第1の発光サイリスタよりなるアレイと、各サイリスタのゲート層にゲート負荷抵抗を介して接続された電源ラインとを有し、シフト機能および発光機能が実現されている自己走査型発光素子アレイにおいて、前記発光サイリスタのゲート層と前記ゲート負荷抵抗とは、同一の半導体層で構成されていることを特徴とする。
【0030】
また、本発明の第2の態様は、pnpn層構造の第1の発光サイリスタよりなるアレイと、各第1のサイリスタのゲート層にゲート負荷抵抗を介して接続された電源ラインとを有するシフト部と、pnpn層構造の第2の発光サイリスタよりなるアレイを有する発光部とを備え、前記シフト部と前記発光部とは電気的に接続された自己走査型発光素子アレイにおいて、前記第1の発光サイリスタのゲート層と前記ゲート負荷抵抗とは、同一の半導体層で構成されていることを特徴とする。
【0031】
また本発明によれば、前記各発光サイリスタのpnpn構造は、一導電型の基板上に、一導電型の第1の半導体層,反対導電型の第2の半導体層,一導電型の第3の半導体層,反対導電型の第4の半導体層の順で積層された4層の半導体層構造を備え、前記同一の半導体層は、第3の半導体層であることを特徴とする。
【0032】
本発明を適用できる自己走査型発光素子アレイには、種々のタイプのものが考えられる。たとえば、1個のシフト部サイリスタのゲートに、複数個の発光部サイリスタが接続されたもの、シフト部サイリスタのゲート間が抵抗で接続されたもの、シフト部サイリスタのゲート間がショットキー接続されたもの、1個のゲート島に複数の発光領域が設けられたもの、1個の発光領域に複数の給電点が設けられたもの、転送クロックに3相クロックパルスを用いるもの、シフト部のみの構成とし、シフト部サイリスタ自身の発光を利用するものなどに適用できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、シフト部島とゲート負荷抵抗島とを一体化している、あるいはシフト部/発光部島とゲート負荷抵抗島とを一体化しているので、接触抵抗を生じる箇所が少なくなるので、ゲート抵抗値を小さくできる。これにより、シフト部の転送速度を増大することが可能となる。
【0034】
また、電極の数が減るので、チップ幅を減らすことができる。さらに、コンタクトホールの数が減ることで信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】ダイオード結合方式の自己走査型発光素子アレイの回路図である。
【図2】図1に示した自己走査型発光素子アレイのチップの平面図である。
【図3】図1の回路と図2の構造との対応関係を示す図である。
【図4】実施例の自己走査型発光素子アレイの回路図である。
【図5】図4に示した自己走査型発光素子アレイのチップの平面図である。
【図6】図4の回路と図5の構造との対応関係を示す図である。
【図7】シフト部/発光部島とこれに一体化されたゲート負荷抵抗島との断面図である。
【図8】図7のサイリスタ島の等価回路図である。
【図9】光書込みヘッドの構造を示す図である。
【図10】光プリンタの基本構造を示す図である。
【図11】ファクシミリまたは複写機の基本構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の自己走査型発光素子アレイの実施例を説明する。なお、以下の実施例では、代表的に、シフト部と発光部とで構成される自己走査型発光素子アレイを例に説明する。
【0037】
図4は、本実施例の自己走査型発光素子アレイの回路図を示す。図5は、図4に示した自己走査型発光素子アレイのチップの平面図である。図6(A),(B),(C)は、図4の回路と図5の構造との対応関係を示す図である。理解を助けるためにpnpn構造の断面を図6(A)に示してある。この断面図は、図6(B)の中央に示す平面図のA−A’線における断面を示している。
【0038】
これら図4,5,6は、図1,2,3にそれぞれ対応している。なお、これら図4,5,6において、図1,2,3と同一の構造要素には、同一の参照番号を付して示している。
【0039】
本実施例によれば、シフト部/発光部の島とゲート負荷抵抗の島とを分離せずに一体化する。この状態は、図6(A)の断面図から最も良く理解できるであろう。図3に示したゲート負荷抵抗用の電極22が無くなるので、図3におけるゲート負荷抵抗の電極22とp型ゲート層13との間に存在した接触抵抗が無くなる。
【0040】
その結果、ゲート抵抗値を小さくすることができる。前述したように、ゲート抵抗値は、ゲートのオフ時間を定める要素の一つでもある。
【0041】
本実施例の動作を、図1に示した従来技術と対比しながら説明する。
【0042】
例えば、図1のサイリスタS2からサイリスタS3にオン状態を転送させるために、サイリスタS3がオンした後、サイリスタS2がオフしたときを考える。このとき、サイリスタS3はオン状態にあるため、サイリスタS3のゲート電極Wの電位V(W)は、サイリスタS2のゲート電極Xの電位V(X)よりも高くなるため、結合ダイオードD2はオフされてしまう。このため、ゲート電極Xの電流経路は破線で囲まれたYのみとなる。経路Yには3個の接触抵抗が存在する。
【0043】
一方、ゲート負荷抵抗Rgを一体化した図4で対応する経路Y’では、接触抵抗は1個のみとなる。すなわち、ゲート負荷抵抗用の1個の電極23の接触抵抗である。経路Y’内には、ゲート電極20の接触抵抗は含まれない。接触抵抗は1個あたり例えば10kΩあり、ゲート負荷抵抗Rgを20kΩとすると、図1の経路Yは実質50kΩ、図4の経路Y’では30kΩとなる。この場合、抵抗を一体化することにより、ゲートオフ時間は、3/5に高速化される。
【0044】
次に、VGA電圧の下限について考える。図1のサイリスタS2がオン状態にあるとして、結合ダイオードD3を流れる電流を決める回路をZとする。経路Zには2個の接触抵抗RPが存在している。一方、図4で対応する経路Z’でも接触抵抗は2個となる。このためシフト部/発光部の島とゲート負荷抵抗の島とを一体化しても、動作可能なVGA電圧の下限に影響を与えない。
【0045】
以上のように、シフト部の/発光部の島とゲート負荷抵抗の島とを分離せずに一体化すると、シフト部/発光部島のn型ゲート層12とゲート負荷抵抗島のn型ゲート層12とは、電気的に接続されることになる。
【0046】
図7は、φ1ライン4に接続されたシフト部/発光部島とこれに一体化されたゲート負荷抵抗島との断面を示す。ゲート負荷抵抗は、p型ゲート層13の抵抗Rg1とn型ゲート層12の抵抗Rg2と接触抵抗RPとで構成される。
【0047】
図8に等価回路を示す。シフト部サイリスタは、2個のトランジスタQ1,Q2の組合わせで表される。ゲート負荷抵抗用電極23の下側の半導体層は、トランジスタQ3で表される。
【0048】
いま、φ1ライン4がLレベルとなっていて、トランジスタQ1,Q2の組合わせで表されるサイリスタがオンしている場合を考える。この場合、φ1ライン4は、pn接合の順方向電位VD程度となり、p型ゲート層(トランジスタQ2のベース層)13は、ほぼ基板電位となる。この状態で、抵抗構造に作り込まれているトランジスタQ3のベース電流I1が、抵抗Rg2,トランジスタQ2を介してφ1ライン4に流れ込む。これに応じて、トランジスタQ3のコレクタ電流I2がゲート負荷抵抗電極23の接触抵抗RPを介して、VGAライン2に向って流れる。このためトランジスタQ3のコレクタ側の点Aの電圧が、電流I2に基づく接触抵抗RPの電圧だけ余計に電圧降下を受けることになる。その結果、点Aと基板との間の出力に差がとれなくなり、サイリスタのオフ速度を下げてしまうおそれがある。また、電流I2が無駄な電力を消費することにもなる。
【0049】
このような動作上の問題は、n型ゲート層12の抵抗Rg2の値を、約500Ω以上となるように調整し、電流I1を50μA以下とすることで避けることができることがわかった。
【0050】
ここで、抵抗Rg2は、抵抗Rg1と同じパターンで作成されるため、抵抗Rg2の値は、およそ
Rg2=(Rg1×p型ゲート層濃度×p型ゲート層膜厚)/(20×n型ゲート層濃度×n型ゲート層膜厚)
となる。ここで、抵抗Rg1は約20kΩであり、p型ゲート層濃度とn型ゲート層濃度とは、ほぼ同一濃度であり、n型ゲート層の膜厚は、p型ゲート層の膜厚の半分としたため、抵抗Rg2は約2kΩとすることができた。Rg2>500Ωとしたため、十分な速度での動作を確認できた。
【0051】
図9に、本発明の自発光素子アレイを用いた光書き込みヘッドの一例を示す。チップ実装基板70上に、複数個の自発光素子アレイチップ71が、主走査方向に実装され、この発光素子アレイチップ71の発光素子が発光する光の光路上には、主走査方向に長尺な正立等倍のロッドレンズアレイ72が、樹脂ハウジング73により固定されている。ロッドレンズアレイ72上には、感光ドラム74が設けられる。また、チップ実装基板70の下地には発光素子アレイチップ71の熱を放出するためのヒートシンク75が設けられ、ハウジング73とヒートシンク75は、チップ実装基板70を間に挟んで止め金具76により固定されている。
【0052】
次に、このような光書込みヘッドを用いた光プリンタについて説明する。光プリンタの基本構造を、図10に示す。
【0053】
光プリンタには、光書込みヘッド100が設置される。円筒形の感光ドラム102の表面に、アモルファスSi等の光導電性を持つ材料(感光体)が作られている。このドラムは、プリントの速度で回転している。回転しているドラムの感光体表面を、帯電器104で一様に帯電させる。そして、光書込みヘッド100で、印字するドットイメージの光を感光体上に照射し、光の当たったところの帯電を中和し、潜像を形成する。続いて、現象器106で感光体上の帯電状態にしたがって、トナーを感光体上につける。そして、転写器108でカセット110中から送られてきた用紙112上に、トナーを転写する。用紙は、定着器114にて熱等を加えられ定着され、スタッカ116に送られる。一方、転写の終了したドラムは、消去ランプ118で帯電が全面にわたって中和され、清掃器120で残ったトナーが除去される。
【0054】
このような光書込みヘッドは、プリンタのみならずファクシミリ、複写機にも利用することができる。図11は、ファクシミリまたは複写機の基本構造を示す。図10と同一の構成要件には、同一の参照番号を付して示す。
【0055】
紙送りローラ130で搬送される読取り原稿122に光源124から光を照射し、反射光を結像レンズ126を介して、イメージセンサ128で受光する。イメージセンサ128の出力に基づいて、光書込みヘッド100の発光素子アレイ132が点灯し、ロッドレンズアレイ134を介して感光ドラム102に照射される。用紙112への印字は、光プリンタで説明したとおりである。
【符号の説明】
【0056】
2…VGAライン、4…φ1ライン、6…φ2ライン、8…φIライン、10…p型基板、11…アノード層、12…n型ゲート層、13…p型ゲート層、14,16,18…カソード層、17,19…カソード電極、22,23…ゲート負荷抵抗用電極、24…シフト部/発光部島、25…ゲート負荷抵抗島、31…裏面電極、100…シフト部、200…発光部
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己走査型発光素子アレイ、特に転送速度を向上させた自己走査型発光素子アレイに関するものである。本発明は、さらには、このような自己走査型発光素子アレイを用いた光書込みヘッド、光書込みヘッドを用いた光プリンタ,ファクシミリ,複写機に関する。
【背景技術】
【0002】
pnpn構造の発光サイリスタを用いた自己走査型発光素子アレイは、光プリンタなどの光書込みヘッドに用いられる。
【0003】
図1に、ダイオード結合方式の自己走査型発光素子アレイの回路図を示す。この自己走査型発光素子アレイは、シフト部100と発光部200とから構成される。
【0004】
シフト部100は、発光サイリスタS1,S2,S3・・・と、これらサイリスタのゲート間を結合する結合ダイオードD1,D2,D3・・・と、ゲート負荷抵抗Rgとから構成されている。
【0005】
なお、結合ダイオードは、後述するように、発光サイリスタのゲート/カソード間を用いるので、図1ではサイリスタとして描いてある。
【0006】
電源端子VGAは、VGAライン2を経て、各ゲート負荷抵抗Rgに接続される。
【0007】
クロックパルス端子φ1は、電流制限用抵抗R1およびφ1ライン4を経て、奇数番目のシフト部サイリスタS1,S3,・・・のカソードに接続される。
【0008】
クロックパルス端子φ2は、電流制限用抵抗R2およびφ2ライン6を経て、偶数番目のシフト部サイリスタS2,S4,・・・のカソードに接続される。
【0009】
第1番目のサイリスタS1のゲートは、ダイオードDSを経てφ2ライン6に接続されている。
【0010】
一方、発光部200は、発光サイリスタL1,L2,L3,・・・で構成され、各サイリスタのゲートは、対応するシフト部サイリスタのゲートに接続され、カソードはφIライン8に接続されている。
【0011】
図1において、黒丸(●)は、電極を示している。また、Rpは、後述する接触抵抗(寄生抵抗)を示している。
【0012】
図1の自己走査型発光素子アレイチップを、この明細書では、SLED(Self−scaning Light−Emitting Device)と略称することがある。
【0013】
図2は、図1に示した自己走査型発光素子アレイのチップの平面図である。図1と同じ構成要素には、同一の参照番号および参照記号を付して示してある。
【0014】
図3(A),(B),(C)は、図1の回路と図2の構造との対応関係を示す図である。理解を助けるためにpnpn構造の断面を、図3(A)に示してある。この断面図は、図3(B)に示す平面図のA−A’線における断面を示している。図3(C)は、等価回路を示す。
【0015】
本実施例のSLEDは、p型基板10を用いたアノードコモン型とした。p型基板10上には、p型エピタキシャル層(アノード層)11,n型エピタキシャル層(n型ゲート層)12,p型エピタキシャル層(p型ゲート層)13,n型エピタキシャル層(カソード層)14が積層され、メサエッチングされて、シフト部/発光部の島24と、ゲート負荷抵抗の島25とに分離されている。
【0016】
図3において、14は発光部サイリスタのカソード層を、16はシフト部サイリスタのカソード層を、18は結合ダイオードを構成するサイリスタのカソード層を、それぞれ示している。
【0017】
15は発光部サイリスタのカソード電極を、17はシフト部サイリスタのカソード電極を、19は結合ダイオードのカソード電極をそれぞれ示している。
【0018】
また、20はゲート電極を、21はゲート負荷抵抗を示す。このゲート負荷抵抗は、p型ゲート層13、すなわち半導体部分により構成される。22,23は、ゲート負荷抵抗の電極を示している。31は、裏面電極を示している。
【0019】
ゲート電極20とp型ゲート層13との間、およびゲート負荷抵抗の電極22,23とp型ゲート層13との間には、接触抵抗(寄生抵抗)Rpが存在する。なお、カソード電極とカソード層との間にも、接触抵抗が存在するが、図1では図示を省略してある。
【0020】
ダイオード結合方式のSLEDの転送速度は、シフト部サイリスタのゲートのオフ時間で制限される。ゲートオフ時間は、ゲート寄生容量とゲート抵抗値との積で決まる時定数に比例する。
【0021】
なお、ゲート抵抗値は、サイリスタのゲート電極とVGAライン2との間に存在する抵抗であり、図1において、シフト部サイリスタS2のゲート電極G2をXとすると、ゲート電極XとVGAラインとの間の経路Yの抵抗値である。したがって、ゲート抵抗値には、ゲート負荷抵抗Rgの抵抗値と、3個の接触抵抗RPの抵抗値とが含まれる。
【0022】
接触抵抗は、オーミック接触をとるためのアニール条件と接触面積で決まっており、小さくすることは難しいのでゲート負荷抵抗Rgの抵抗値を小さくすることで、転送速度を改善できる。しかし、Rgを小さくすることには、限界がある。例えば、図1において、φ2ライン6およびVGAライン2がLレベル(−5V)であり、φ1ライン4およびφIライン8がHレベル(0V)であり、サイリスタS2がオンしているとする。このとき、サイリスタS2のゲート電極G2は、ほぼ基板電位(約0V)となり、サイリスタS3のゲート電極G3は、結合ダイオードD2のオン電圧である約−1.5Vとなる。サイリスタS4のゲート電極G4の電圧は、ゲート電極G3の電圧よりもさらにpn接合1段分低い−3V程となる。
【0023】
しかし、もしゲート負荷抵抗Rgが小さく、ゲート電極G4に接続されるゲート負荷抵抗Rgに結合ダイオードD3の保持電流以上の電流が流れると、結合ダイオードD3はオンしてしまい、ゲート電極G3がほぼ基板電位となる。すなわち、本来オンしていたサイリスタS2とともに、次の順番でオンする予定のサイリスタS3が同時にオンすることになる。これは、オンしているサイリスタの右隣のサイリスタがオンしてしまうこととなり、結局、全サイリスタが次々とオン状態になり、正常な転送が行えなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明の目的は、転送速度を改善しながら正常な転送を実現できる自己走査型発光素子アレイを提供することにある。
【0025】
本発明の他の目的は、このような自己走査型発光素子アレイを有する光書込みヘッドを提供することにある。
【0026】
本発明のさらに他の目的は、このような光書込みヘッドを有する光プリンタ、ファクシミリ、または複写機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
動作可能なVGA電圧(負値)の下限は、「オンしているi番目のシフト部サイリスタSiの、隣の結合ダイオードD(i+1)に保持電流以上の電流を流さない」という条件から決まっている。
【0028】
このような条件を満たすためには、シフト部/発光部の島とゲート負荷抵抗の島とを分離せずに一体化する。
【0029】
したがって、本発明の第1の態様は、pnpn層構造の第1の発光サイリスタよりなるアレイと、各サイリスタのゲート層にゲート負荷抵抗を介して接続された電源ラインとを有し、シフト機能および発光機能が実現されている自己走査型発光素子アレイにおいて、前記発光サイリスタのゲート層と前記ゲート負荷抵抗とは、同一の半導体層で構成されていることを特徴とする。
【0030】
また、本発明の第2の態様は、pnpn層構造の第1の発光サイリスタよりなるアレイと、各第1のサイリスタのゲート層にゲート負荷抵抗を介して接続された電源ラインとを有するシフト部と、pnpn層構造の第2の発光サイリスタよりなるアレイを有する発光部とを備え、前記シフト部と前記発光部とは電気的に接続された自己走査型発光素子アレイにおいて、前記第1の発光サイリスタのゲート層と前記ゲート負荷抵抗とは、同一の半導体層で構成されていることを特徴とする。
【0031】
また本発明によれば、前記各発光サイリスタのpnpn構造は、一導電型の基板上に、一導電型の第1の半導体層,反対導電型の第2の半導体層,一導電型の第3の半導体層,反対導電型の第4の半導体層の順で積層された4層の半導体層構造を備え、前記同一の半導体層は、第3の半導体層であることを特徴とする。
【0032】
本発明を適用できる自己走査型発光素子アレイには、種々のタイプのものが考えられる。たとえば、1個のシフト部サイリスタのゲートに、複数個の発光部サイリスタが接続されたもの、シフト部サイリスタのゲート間が抵抗で接続されたもの、シフト部サイリスタのゲート間がショットキー接続されたもの、1個のゲート島に複数の発光領域が設けられたもの、1個の発光領域に複数の給電点が設けられたもの、転送クロックに3相クロックパルスを用いるもの、シフト部のみの構成とし、シフト部サイリスタ自身の発光を利用するものなどに適用できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、シフト部島とゲート負荷抵抗島とを一体化している、あるいはシフト部/発光部島とゲート負荷抵抗島とを一体化しているので、接触抵抗を生じる箇所が少なくなるので、ゲート抵抗値を小さくできる。これにより、シフト部の転送速度を増大することが可能となる。
【0034】
また、電極の数が減るので、チップ幅を減らすことができる。さらに、コンタクトホールの数が減ることで信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】ダイオード結合方式の自己走査型発光素子アレイの回路図である。
【図2】図1に示した自己走査型発光素子アレイのチップの平面図である。
【図3】図1の回路と図2の構造との対応関係を示す図である。
【図4】実施例の自己走査型発光素子アレイの回路図である。
【図5】図4に示した自己走査型発光素子アレイのチップの平面図である。
【図6】図4の回路と図5の構造との対応関係を示す図である。
【図7】シフト部/発光部島とこれに一体化されたゲート負荷抵抗島との断面図である。
【図8】図7のサイリスタ島の等価回路図である。
【図9】光書込みヘッドの構造を示す図である。
【図10】光プリンタの基本構造を示す図である。
【図11】ファクシミリまたは複写機の基本構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の自己走査型発光素子アレイの実施例を説明する。なお、以下の実施例では、代表的に、シフト部と発光部とで構成される自己走査型発光素子アレイを例に説明する。
【0037】
図4は、本実施例の自己走査型発光素子アレイの回路図を示す。図5は、図4に示した自己走査型発光素子アレイのチップの平面図である。図6(A),(B),(C)は、図4の回路と図5の構造との対応関係を示す図である。理解を助けるためにpnpn構造の断面を図6(A)に示してある。この断面図は、図6(B)の中央に示す平面図のA−A’線における断面を示している。
【0038】
これら図4,5,6は、図1,2,3にそれぞれ対応している。なお、これら図4,5,6において、図1,2,3と同一の構造要素には、同一の参照番号を付して示している。
【0039】
本実施例によれば、シフト部/発光部の島とゲート負荷抵抗の島とを分離せずに一体化する。この状態は、図6(A)の断面図から最も良く理解できるであろう。図3に示したゲート負荷抵抗用の電極22が無くなるので、図3におけるゲート負荷抵抗の電極22とp型ゲート層13との間に存在した接触抵抗が無くなる。
【0040】
その結果、ゲート抵抗値を小さくすることができる。前述したように、ゲート抵抗値は、ゲートのオフ時間を定める要素の一つでもある。
【0041】
本実施例の動作を、図1に示した従来技術と対比しながら説明する。
【0042】
例えば、図1のサイリスタS2からサイリスタS3にオン状態を転送させるために、サイリスタS3がオンした後、サイリスタS2がオフしたときを考える。このとき、サイリスタS3はオン状態にあるため、サイリスタS3のゲート電極Wの電位V(W)は、サイリスタS2のゲート電極Xの電位V(X)よりも高くなるため、結合ダイオードD2はオフされてしまう。このため、ゲート電極Xの電流経路は破線で囲まれたYのみとなる。経路Yには3個の接触抵抗が存在する。
【0043】
一方、ゲート負荷抵抗Rgを一体化した図4で対応する経路Y’では、接触抵抗は1個のみとなる。すなわち、ゲート負荷抵抗用の1個の電極23の接触抵抗である。経路Y’内には、ゲート電極20の接触抵抗は含まれない。接触抵抗は1個あたり例えば10kΩあり、ゲート負荷抵抗Rgを20kΩとすると、図1の経路Yは実質50kΩ、図4の経路Y’では30kΩとなる。この場合、抵抗を一体化することにより、ゲートオフ時間は、3/5に高速化される。
【0044】
次に、VGA電圧の下限について考える。図1のサイリスタS2がオン状態にあるとして、結合ダイオードD3を流れる電流を決める回路をZとする。経路Zには2個の接触抵抗RPが存在している。一方、図4で対応する経路Z’でも接触抵抗は2個となる。このためシフト部/発光部の島とゲート負荷抵抗の島とを一体化しても、動作可能なVGA電圧の下限に影響を与えない。
【0045】
以上のように、シフト部の/発光部の島とゲート負荷抵抗の島とを分離せずに一体化すると、シフト部/発光部島のn型ゲート層12とゲート負荷抵抗島のn型ゲート層12とは、電気的に接続されることになる。
【0046】
図7は、φ1ライン4に接続されたシフト部/発光部島とこれに一体化されたゲート負荷抵抗島との断面を示す。ゲート負荷抵抗は、p型ゲート層13の抵抗Rg1とn型ゲート層12の抵抗Rg2と接触抵抗RPとで構成される。
【0047】
図8に等価回路を示す。シフト部サイリスタは、2個のトランジスタQ1,Q2の組合わせで表される。ゲート負荷抵抗用電極23の下側の半導体層は、トランジスタQ3で表される。
【0048】
いま、φ1ライン4がLレベルとなっていて、トランジスタQ1,Q2の組合わせで表されるサイリスタがオンしている場合を考える。この場合、φ1ライン4は、pn接合の順方向電位VD程度となり、p型ゲート層(トランジスタQ2のベース層)13は、ほぼ基板電位となる。この状態で、抵抗構造に作り込まれているトランジスタQ3のベース電流I1が、抵抗Rg2,トランジスタQ2を介してφ1ライン4に流れ込む。これに応じて、トランジスタQ3のコレクタ電流I2がゲート負荷抵抗電極23の接触抵抗RPを介して、VGAライン2に向って流れる。このためトランジスタQ3のコレクタ側の点Aの電圧が、電流I2に基づく接触抵抗RPの電圧だけ余計に電圧降下を受けることになる。その結果、点Aと基板との間の出力に差がとれなくなり、サイリスタのオフ速度を下げてしまうおそれがある。また、電流I2が無駄な電力を消費することにもなる。
【0049】
このような動作上の問題は、n型ゲート層12の抵抗Rg2の値を、約500Ω以上となるように調整し、電流I1を50μA以下とすることで避けることができることがわかった。
【0050】
ここで、抵抗Rg2は、抵抗Rg1と同じパターンで作成されるため、抵抗Rg2の値は、およそ
Rg2=(Rg1×p型ゲート層濃度×p型ゲート層膜厚)/(20×n型ゲート層濃度×n型ゲート層膜厚)
となる。ここで、抵抗Rg1は約20kΩであり、p型ゲート層濃度とn型ゲート層濃度とは、ほぼ同一濃度であり、n型ゲート層の膜厚は、p型ゲート層の膜厚の半分としたため、抵抗Rg2は約2kΩとすることができた。Rg2>500Ωとしたため、十分な速度での動作を確認できた。
【0051】
図9に、本発明の自発光素子アレイを用いた光書き込みヘッドの一例を示す。チップ実装基板70上に、複数個の自発光素子アレイチップ71が、主走査方向に実装され、この発光素子アレイチップ71の発光素子が発光する光の光路上には、主走査方向に長尺な正立等倍のロッドレンズアレイ72が、樹脂ハウジング73により固定されている。ロッドレンズアレイ72上には、感光ドラム74が設けられる。また、チップ実装基板70の下地には発光素子アレイチップ71の熱を放出するためのヒートシンク75が設けられ、ハウジング73とヒートシンク75は、チップ実装基板70を間に挟んで止め金具76により固定されている。
【0052】
次に、このような光書込みヘッドを用いた光プリンタについて説明する。光プリンタの基本構造を、図10に示す。
【0053】
光プリンタには、光書込みヘッド100が設置される。円筒形の感光ドラム102の表面に、アモルファスSi等の光導電性を持つ材料(感光体)が作られている。このドラムは、プリントの速度で回転している。回転しているドラムの感光体表面を、帯電器104で一様に帯電させる。そして、光書込みヘッド100で、印字するドットイメージの光を感光体上に照射し、光の当たったところの帯電を中和し、潜像を形成する。続いて、現象器106で感光体上の帯電状態にしたがって、トナーを感光体上につける。そして、転写器108でカセット110中から送られてきた用紙112上に、トナーを転写する。用紙は、定着器114にて熱等を加えられ定着され、スタッカ116に送られる。一方、転写の終了したドラムは、消去ランプ118で帯電が全面にわたって中和され、清掃器120で残ったトナーが除去される。
【0054】
このような光書込みヘッドは、プリンタのみならずファクシミリ、複写機にも利用することができる。図11は、ファクシミリまたは複写機の基本構造を示す。図10と同一の構成要件には、同一の参照番号を付して示す。
【0055】
紙送りローラ130で搬送される読取り原稿122に光源124から光を照射し、反射光を結像レンズ126を介して、イメージセンサ128で受光する。イメージセンサ128の出力に基づいて、光書込みヘッド100の発光素子アレイ132が点灯し、ロッドレンズアレイ134を介して感光ドラム102に照射される。用紙112への印字は、光プリンタで説明したとおりである。
【符号の説明】
【0056】
2…VGAライン、4…φ1ライン、6…φ2ライン、8…φIライン、10…p型基板、11…アノード層、12…n型ゲート層、13…p型ゲート層、14,16,18…カソード層、17,19…カソード電極、22,23…ゲート負荷抵抗用電極、24…シフト部/発光部島、25…ゲート負荷抵抗島、31…裏面電極、100…シフト部、200…発光部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光機能およびシフト機能を実現する複数の発光サイリスタと、
電源ラインが接続された第1の電極と、
前段の発光サイリスタのカソードまたはアノードのいずれか一方と結合ダイオードを介して接続された第2の電極と、を備え、
前記第1の電極及び前記第2の電極が、前記複数の発光サイリスタのそれぞれに対応して設けられるとともに、対応する発光サイリスタのゲート層と同一の連続する層に設けられていることを特徴とする自己走査型発光素子アレイ。
【請求項2】
前記複数の発光サイリスタのそれぞれはpnpn層構造を有し、
一導電型の基板上に、一導電型の第1の半導体層,反対導電型の第2の半導体層,一導電型の第3の半導体層,反対導電型の第4の半導体層の順で積層された4層の半導体層構造を備え、
前記同一の連続する層は、前記第3の半導体層であることを特徴とする請求項1に記載の自己走査型発光素子アレイ。
【請求項3】
前記第1の電極及び前記第2の電極のそれぞれの接触抵抗の値と、当該第1の電極及び当該第2の電極の間の前記同一の連続する層の抵抗値の和は、隣接する結合ダイオードに当該結合ダイオードの保持電流以上の電流を流さない値であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自己走査型発光素子アレイ。
【請求項4】
発光機能を実現する複数の発光部サイリスタと、
前記複数の発光部サイリスタのそれぞれに対応してそれぞれ設けられ、シフト機能を実現する複数のシフト部サイリスタと、
電源ラインが接続された第1の電極と、
前段のシフト部サイリスタのカソードまたはアノードのいずれか一方と結合ダイオードを介して接続された第2の電極と、を備え、
前記第1の電極及び前記第2の電極が、前記複数のシフト部サイリスタのそれぞれに対応して設けられるとともに、対応するシフト部サイリスタのゲート層と同一の連続する層に設けられていることを特徴とする自己走査型発光素子アレイ。
【請求項5】
前記複数のシフト部サイリスタのそれぞれはpnpn層構造を有し、
一導電型の基板上に、一導電型の第1の半導体層,反対導電型の第2の半導体層,一導電型の第3の半導体層,反対導電型の第4の半導体層の順で積層された4層の半導体層構造を備え、
前記同一の連続する層は、前記第3の半導体層であることを特徴とする請求項4に記載の自己走査型発光素子アレイ。
【請求項6】
前記発光部サイリスタと前記シフト部サイリスタのゲート層は同一の連続する層で構成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の自己走査型発光素子アレイ。
【請求項7】
前記第1の電極及び前記第2の電極のそれぞれの接触抵抗の値と、当該第1の電極及び当該第2の電極の間の前記同一の連続する層の抵抗値の和は、隣接する結合ダイオードに当該結合ダイオードの保持電流以上の電流を流さない値であることを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか1項に記載の自己走査型発光素子アレイ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の自己走査型発光素子アレイを有する光書込みヘッド。
【請求項9】
請求項8に記載の光書込みヘッドを備える光プリンタ。
【請求項10】
請求項8に記載の光書込みヘッドを備えるファクシミリ。
【請求項11】
請求項8に記載の光書込みヘッドを備える複写機。
【請求項1】
発光機能およびシフト機能を実現する複数の発光サイリスタと、
電源ラインが接続された第1の電極と、
前段の発光サイリスタのカソードまたはアノードのいずれか一方と結合ダイオードを介して接続された第2の電極と、を備え、
前記第1の電極及び前記第2の電極が、前記複数の発光サイリスタのそれぞれに対応して設けられるとともに、対応する発光サイリスタのゲート層と同一の連続する層に設けられていることを特徴とする自己走査型発光素子アレイ。
【請求項2】
前記複数の発光サイリスタのそれぞれはpnpn層構造を有し、
一導電型の基板上に、一導電型の第1の半導体層,反対導電型の第2の半導体層,一導電型の第3の半導体層,反対導電型の第4の半導体層の順で積層された4層の半導体層構造を備え、
前記同一の連続する層は、前記第3の半導体層であることを特徴とする請求項1に記載の自己走査型発光素子アレイ。
【請求項3】
前記第1の電極及び前記第2の電極のそれぞれの接触抵抗の値と、当該第1の電極及び当該第2の電極の間の前記同一の連続する層の抵抗値の和は、隣接する結合ダイオードに当該結合ダイオードの保持電流以上の電流を流さない値であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自己走査型発光素子アレイ。
【請求項4】
発光機能を実現する複数の発光部サイリスタと、
前記複数の発光部サイリスタのそれぞれに対応してそれぞれ設けられ、シフト機能を実現する複数のシフト部サイリスタと、
電源ラインが接続された第1の電極と、
前段のシフト部サイリスタのカソードまたはアノードのいずれか一方と結合ダイオードを介して接続された第2の電極と、を備え、
前記第1の電極及び前記第2の電極が、前記複数のシフト部サイリスタのそれぞれに対応して設けられるとともに、対応するシフト部サイリスタのゲート層と同一の連続する層に設けられていることを特徴とする自己走査型発光素子アレイ。
【請求項5】
前記複数のシフト部サイリスタのそれぞれはpnpn層構造を有し、
一導電型の基板上に、一導電型の第1の半導体層,反対導電型の第2の半導体層,一導電型の第3の半導体層,反対導電型の第4の半導体層の順で積層された4層の半導体層構造を備え、
前記同一の連続する層は、前記第3の半導体層であることを特徴とする請求項4に記載の自己走査型発光素子アレイ。
【請求項6】
前記発光部サイリスタと前記シフト部サイリスタのゲート層は同一の連続する層で構成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の自己走査型発光素子アレイ。
【請求項7】
前記第1の電極及び前記第2の電極のそれぞれの接触抵抗の値と、当該第1の電極及び当該第2の電極の間の前記同一の連続する層の抵抗値の和は、隣接する結合ダイオードに当該結合ダイオードの保持電流以上の電流を流さない値であることを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか1項に記載の自己走査型発光素子アレイ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の自己走査型発光素子アレイを有する光書込みヘッド。
【請求項9】
請求項8に記載の光書込みヘッドを備える光プリンタ。
【請求項10】
請求項8に記載の光書込みヘッドを備えるファクシミリ。
【請求項11】
請求項8に記載の光書込みヘッドを備える複写機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−238869(P2012−238869A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−158055(P2012−158055)
【出願日】平成24年7月13日(2012.7.13)
【分割の表示】特願2006−72623(P2006−72623)の分割
【原出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月13日(2012.7.13)
【分割の表示】特願2006−72623(P2006−72623)の分割
【原出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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