説明

自己較正ガス検出器及び方法

可搬型の較正可能なガス検出器が、多位置のガス流入制限オリフィスを含む。このオリフィスが較正用位置にあるとき、較正用ガスの供給源を活動化し、オリフィスを介して流れる周囲空気内に拡散するある量のガスを送ることができる。次いで、較正ガスを検知することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス検出器に関する。より詳細には、本発明は、自己較正機能を含むガス検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]ガスセンサは既知であり、水素、一酸化炭素、二酸化炭素など、様々なガスを検知するために使用されている。既知のガスセンサは、それらの所期の目的に対して有用かつ効果的であるが、時間の経過につれて感度を失う可能性があることが理解されている。たとえば、電気化学的なタイプのガスセンサに関しては、そのようなセンサは、センサ内のガスを検出することに関連して使用される触媒電極を組み込んでいる。その電極の活動は、その構造の汚染及び汚損により、時間の経過につれて徐々に低下する傾向がある。従って、関連センサの感度が低下する、又は下方にドリフトする傾向がある。その結果、そのようなセンサを時々較正することができることが望ましい。
【0003】
[0003]較正ガスを生成することができる構造が注目され、開発されている。1つのそのような構造は、「Calibration Device For Gas Sensors」として先に出願されている、2004年5月28日に出願され、第2005/0262924号として2005年12月1日に公開された米国特許出願第10/856,363号に開示されている。他のそのような構造は、2005年5月24日に先に出願され、第2006/0266096号として2006年11月30日に公開された「Calibration Device For Carbon Dioxide Sensor」という名称の米国特許出願第10/908,737号に開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]較正ガスを生成するための装置及び方法以上に、容易かつ都合よく較正することができるガスセンサが引き続き求められている。好ましくは、そのようなユニットは、実質的に自己完結型とすることができるであろう。また、そのようなユニット、特に可搬型ガス検出器の製造コスト、サイズ、又は重量を著しく増やすことなしに、そのようなユニットが自己較正機能を組み込むことができるならば好ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0008]本発明の実施形態は多数の様々な形態をとることができるが、本開示は本発明の原理ならびに本発明を実施する最良の形態を例示するものと見なすべきであり、例示されている特定の実施形態に本発明を限定しないものとすることを理解して、本発明の特定の実施形態が図面に示されており、それらについて本明細書で詳細に述べる。
【0006】
[0009]本発明を実施する、またガス入口端を有する流路、及びそれに関連付けられたオリフィスを組み込む自己較正ガス検出器。較正ガスのジェネレータならびにガスセンサが、流路に結合される。最後に、望むなら、ポンプを流路に結合することもできる。[0010]本発明によれば、較正工程を実施するために、オリフィスは、流路の入口を制限又は狭窄するような状態に移動される、又は切り替えられる。これにより、周囲空気(ambient atmosphere)がセンサに流れるのが制限される。
【0007】
[0011]較正ガスのポンプ及び供給源は、共に活動化させることができる。ポンプは、活動化されたとき、ガスセンサを通過する通常動作時の流れに比べて低減された流量で、周囲空気がガスセンサの検知領域を通過するようにする。活動化された較正ガスの供給源は、既知の量のそのガスを生成する。[0012]較正工程をさらに改善するために、周囲温度、湿度、及び圧力を測定する追加のセンサを組み込むことができることを当業者なら理解するであろう。というのは、これらの変数が、ガスの知覚濃度に影響を及ぼす可能性があるからである。また、フィルタ又は選択的に浸透性の膜を、流路の入口を覆うように設け、センサを損傷するおそれがある有害な粒子及びガスの流入を防止することができる。
【0008】
[0013]較正ガスは、流路を横断する流入周囲空気内に拡散する。次いで、この混合物は、ガスセンサの検知領域に流れ込む、又は検知領域を介して流れる。センサはそれに応答し、それに対応する出力信号を生成し、その出力信号は、較正するために、またセンサの性能特性に関して決定をするために使用することができる。[0014]本発明によれば、1〜100cc/分の範囲内の低減された流量が特に有利である。というのは、その工程に必要とされる較正ガスの量が削減されるからである。次いで、これにより、ガスジェネレータのサイズ及び電力消費を低減することができる。
【0009】
[0015]較正ガスは、様々な既知の化学反応又は電気化学反応のいずれか1つによって生成することができる。たとえば、選択薬品は、分解するまで加熱することができる。他の形態のガス生成も本発明の精神及び範囲内に入る。較正ガスは、水素、硫化水素、二酸化炭素、メタン、一酸化炭素、及びそれぞれのセンサが応答する他のガスを含むことができる。[0016]本発明を実施する検出器もまた、自己検査式である。たとえば、周囲空気が引き込まれる流路が清浄であるかどうか、又は閉塞の徴候を示しつつあるかどうか判定することができる。さらに、サンプリングポンプが期待通り機能しているかどうか判定することも可能である。
【0010】
[0017]本発明の他の態様では、機械的に移動可能なオリフィスによって流路を制限することができる。オリフィスは、流路又はサンプリング経路を介するガス流を著しく削減する、入口を部分的に閉じる較正位置に移動させることができる。オリフィスは、較正工程が終わった後で通常動作位置に移動させることができる。[0018]本発明の他の態様では、サンプルポンプは、ペリスタポンプ、ダイアフラムポンプ、あるいは電子ポンプとして、すべて限定なしに実装することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[0019]図1は、本発明によるガス検出器10を示す。検出器10は、入口端14及び出口端16を有する流路12を組み込んでいる。通常動作時には、周囲空気が流路12の入口端14から出口端16に、方向20で流れることができる。[0020]検出器10は、少なくとも2つの異なる状態を示すことができるオリフィス24を組み込んでいることができる。1つの状態では、オリフィス24は、流路12内への流入周囲空気を制限する。図1に示されているこの状態では、周囲空気は、通常動作に比べて低減された流量で流路12を通過するものと予想することができる。較正機能を実施しないとき、オリフィス24は、入口14から機械的に摺動又は回転させることができる。
【0012】
[0021]あるいは、オリフィス24は、非狭窄状態を電気的に呈することができる。非狭窄状態は、オリフィス24を物理的に移動する、電気で始動されるトランスデューサによって達成することができる。また、オリフィス24は、当業者には理解されるように、狭窄状態から非狭窄状態に電子的に切り替えることができるであろう。[0022]また、検出器10は、ガスジェネレータ26及びガスセンサ30をも組み込んでいる。ガスセンサ30は、任意の所望の技術を用いて実装することができる。センサ30の詳細が本発明を限定するものではないことは理解されよう。
【0013】
[0023]ガスジェネレータ26は、流路12内で、全体的に32で示されている所定の量の較正ガスを生成するように電気で始動させることができる。較正ガス32は、流路12内を流れる周囲空気のストリーム内に拡散する。ポンプ34を出口16に結合し、流路12を介して周囲空気及び較正ガス32の流れを生成することができる。[0024]ジェネレータ26を始動し、センサ30から入力を受け取り、ポンプ34を始動するように電気信号を送るために、制御回路40を設けることができる。検出器10は、ハウジング42内で担持されてもよく、ハウジング42は、当業者には理解されるように、1つ又は複数のバッテリなど電源を含むこともできる。
【0014】
[0025]図2は、本発明を実施する検出器10’の正面図である。図1の検出器10の諸要素に対応する図2の検出器10’の諸要素には、同じ識別数字が割り当てられている。図2に示されているように、本発明の一実施形態では、図3で最もよくわかるオリフィス24bを有する可動プレート24aを設けることができる。
【0015】
[0026]プレート24aは、流路12に対して、44で全体的に示されている第1及び第2の方向で移動可能である。較正又は制限位置では、流路12を部分的に閉じるプレート24a。プレート24aは、オリフィス24bを介してのみ周囲空気の流入を可能にする。この状態にあるとき、制御電子回路40は、較正ガスジェネレータ26ならびにポンプ34を始動することができ、ポンプ34は、開口24bを介して引き込まれた周囲空気とジェネレータ26からの較正ガス32の混合物を送る。その混合物は、流路12を介してガスセンサ30に提供される。較正ガス32は、センサ30内に拡散し、又はセンサ30を通り過ぎ、それによって較正ガス32を検出することができる。
【0016】
[0027]制御電子回路40に結合されるセンサ30からの出力は、センサ30の、較正ガス32に対する応答を示す電気信号をもたらす。電子回路40は、センサ30の自動又は半自動較正を、センサから受け取られた信号に応答して実施することができる。[0028]電子回路40は、望むなら、ディスプレイ46を駆動し、検知された較正ガスの濃度を提供することができる。あるいは、ディスプレイ46は、図2及び図3に示されているようにプレート24aが非狭窄状態で位置する通常動作時に、検知された周囲ガスの指示(indicium)、たとえばppmを提供することができる。電源48は、当業者には理解されるように、充電式バッテリ又は交換可能なバッテリで実装することができる。
【0017】
[0029]要約すれば、開口24bを有するプレート24aの使用により、流路又はサンプリング経路12を介するガス流が著しく削減される。次いでこれは、特定の濃度を達成するために必要とされる較正ガスの量を削減する。次いでこれは、ガスジェネレータ26ならびに電源48のサイズ及び電力要件を削減することができる。[0030]前述より、本発明の精神及び範囲から逸脱することなしに、多数の変形及び修正を行うことができることが理解されよう。本明細書に示されている特定の装置に対する限定は意図されておらず、推論すべきでもないことを理解されたい。当然ながら、添付の特許請求の範囲により、その特許請求の範囲内に入る修正すべてを包含するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による自己較正ガス検出器の概略ブロック図である。
【図2】本発明による自己完結型、可搬型のガス検出器の正面図である。
【図3】図2の検出器の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのガス流入ポート及び較正流又は非較正流の一方をもたらすオリフィスを有するガスセンサと、
前記オリフィスが較正流をもたらすとき較正ガスを送る所定の較正ガスの供給源とを備える装置。
【請求項2】
前記供給源が所定の量の較正ガスを送る請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記較正ガスが少なくとも水素、硫化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、及びメタンを含むクラスから選択される請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ガスセンサ内への周囲空気の流れを促進する要素を含む請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ガスセンサに流れ込む周囲空気が前記較正ガスと混合する請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ガスセンサに流れ込む周囲空気が所定の量の較正ガスと混合する請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記要素がガスポンプを含む請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記ガスセンサが、ガス検知領域に入る前に較正ガスが周囲空気の流れに入るように前記供給源が配置される少なくとも1つの内部流路を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記オリフィスが、制御信号に応答して、較正流をもたらす状態から非較正流をもたらす状態に変化する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
流れ誘発ポンプを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ガスセンサが、内部ガス検知領域を有する中空ハウジングを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記オリフィスが、前記内部ガス検知領域と流れ連通する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記ポンプが、前記オリフィスを介し、前記供給源を通過し、前記ガス検知領域内に入るガス流を誘導する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも前記ポンプ及び前記オリフィスに結合された制御回路を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記制御回路が前記供給源に結合される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記オリフィスが、少なくとも一部には、前記制御回路からの少なくとも1つの信号に応答して、較正流をもたらす状態から非較正流をもたらす状態に移動する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記制御回路が、較正ガスを送るように前記供給源を活動化させる、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記供給源が、所定の量の較正ガスを送る、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
内部ガス流路が結合された少なくとも1つのガス流入ポートを含むハウジングと、
前記ガス流路と流れ連通する較正ガスの供給源と、
周囲空気が流れ込むガスセンサと、
前記ガス流路に結合されたポンプと、
前記流入ポートに結合され、前記流路内への流れを制限する狭窄状態と、第2の異なる状態とを有する、多状態オリフィスと、を備える較正可能なガス検出器。
【請求項20】
前記オリフィスを状態間で切り替える制御回路を含む請求項19に記載の検出器。
【請求項21】
前記制御回路が、前記オリフィスが狭窄状態にある間に較正ガスを送るように前記供給源を活動化させる請求項19に記載の検出器。
【請求項22】
前記ポンプが、少なくとも前記供給源が活動化されている間、活動化される請求項21に記載の検出器。
【請求項23】
前記オリフィスが、状態間で移動可能である請求項19に記載の検出器。
【請求項24】
前記オリフィスが、状態間で、手動で移動可能である請求項23に記載の検出器。
【請求項25】
前記供給源を活動化させ、それにより前記較正ガスを生成するための、手動操作可能な制御部材を含む請求項24に記載の検出器。
【請求項26】
選択されたキャリア流体の、制限された流れをもたらすステップと、
選択された較正流体を検知領域に拡散するステップと、
前記較正流体の濃度を検知するステップと、を含む方法。
【請求項27】
所定の量の較正流体を前記キャリア流体内に拡散するステップを含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
もたらすステップが、前記較正用流体を生成するステップを含む請求項26に記載の方法。
【請求項29】
生成するステップが、電気エネルギーを較正用ガスの供給源に結合するステップを含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
もたらすステップが1〜100cc/分の範囲内の流量をもたらすステップを含む請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−524824(P2009−524824A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552407(P2008−552407)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/002053
【国際公開番号】WO2007/087403
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】