自律型GPSの高度化方法および装置
リモート受信機を測位する方法および装置を記述している。一実施例では、長期衛星追跡データがリモート受信機で得られる。移動衛星測位システム(SPS)衛星が検出される。上記リモート受信機から上記検出されたSPS衛星への擬似距離が決定される。上記擬似距離および上記長期衛星追跡データを用いて上記リモート受信機の測位が計算される。SPS衛星は、すでに計算された測位を用いて計算される捕捉支援データおよびブラインドサーチの少なくともいずれか一方を用いて検出される。長期衛星追跡データを使用することにより、上記リモート受信機が、上記衛星からのエフェメリスをデコードすることの必要性を取り除いている。さらに、上記リモート受信機の測位は、サーバまたはネットワークから初期推定測位を得ずに計算される。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、米国特許出願第10/674267号(2003年9月29日出願)の一部継続出願であり、該出願のクレームは米国仮特許出願第60/415364号(2002年10月2日出願)の利益を得ている。上記の関連出願のそれぞれは、ここで参照することにより、本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、測位システムに関するものであり、特に、リモート受信機にて長期衛星追跡データ(long term satellite tracking data)を使用するものに関する。
【0003】
〔背景技術〕
全世界測位衛星システム(GPS)の受信機は、測位を計算するために、いくつかの衛星からの測定値を使用する。GPS受信機は、通常、衛星から送信された信号であって、地表または地表付近の受信機により受信される信号の送信と受信との間の遅延時間を計算することによってその測位を決定する。上記遅延時間に光速を乗じることにより、受信機から見た、受信機と各衛星との距離がわかる。GPS衛星は受信機に対して「エフェメリス(ephemeris)」データと呼ばれる衛星軌道情報を送信している。衛星軌道情報に加えて、衛星は受信機に対して衛星信号に関連する絶対時刻情報を送信している。すなわち、絶対時刻情報は週信号(week signal)の秒(second)として送信される。この絶対時刻信号により、受信機は各衛星から送信された信号に対して時刻タグ(time tag)を、曖昧さなく決定する。各信号の正確な送信時刻を知ることにより、受信機は、各衛星が信号を送信したときの各衛星の位置を計算するために、エフェメリスデータを使用する。最後に、受信機は、受信機の測位を計算するために、衛星の位置の知識と、計算された衛星までの距離とを組み合わせる。
【0004】
すなわち、GPS受信機は、軌道を周回しているGPS衛星から、独自の擬似ランダム雑音(pseudo-random noise(PN))コードを含んでいるGPS信号を受信する。GPS受信機は、受信したPNコード信号シーケンスと内部で生成したPN信号シーケンスとの時間的推移を比較することにより、信号の送信と受信との間の遅延時間を決定する。
【0005】
送信された各々のGPS信号は直接拡散方式信号である。商用利用が可能なこの信号は、標準測位サービスによって提供されている。これら信号は、1575.42MHzの搬送波上で1.023MHzの速度率で直接拡散信号を使用する(L1周波数)。各衛星は、衛星を識別する信号であって、それぞれの衛星から同時に送信された信号を、受信機が非常に小さなインタフェースで同時に受信するための独自のPNコード(C/Aコードとして知られている)を送信する。PNコードシーケンスの長さは、1ミリ秒に相当する1023chipsである。1023chipsの1サイクルは、PNフレームと称される。受信したGPS信号のそれぞれは、1.023MHzの1023chipsのPNパターンの繰り返しにより構成される。非常に低い信号レベルにおいても、多くのPNパターンを処理し、本質的には平均化することによって、曖昧ではない遅延時間の長さを提供するために、PNパターンは依然として観測される。これら測定された遅延時間は、モジュロ1ミリセカンドPNフレーム境界(modulo the 1 millisecond PN frame boundaries)として知られているため、「サブミリセカンド擬似距離(sub-millisecond pseudoranges)」と称される。各衛星の各遅延に関連するミリセカンドの整数を求めることによって、真の、曖昧ではない擬似距離がわかる。曖昧ではない擬似距離を求める処理は、「整数ミリセカンドアンビギュイティ分析(integer millisecond ambiguity resolution)」として知られている。
【0006】
GPS信号の送信絶対時刻および該絶対時刻における衛星の位置に関する知識に加えて、4つの擬似距離の集合は、GPS受信機の測位を求めるのに十分である。送信の絶対時刻は、その時刻の衛星の位置を決めるため、従って、GPS受信機の測位を決定するために必要である。GPS衛星は、およそ3.9km/秒の速度で移動するため、衛星の距離は、地球から観測すると、最大で±800m/秒のレートで変化する。絶対時刻のエラーは、1ミリ秒あたり最大で0.8mの距離エラーとなる。これら距離エラーは、GPS受信機の測位において、同様のサイズのエラーを発生させる。それゆえ、10ミリ秒の絶対時刻の精度は、ほぼ10mの測位の精度に十分である。10ミリ秒より多い絶対時刻のエラーは、大きな測位エラーを生じるため、一般的にGPS受信機は、およそ10ミリ秒またはそれより良い精度の絶対時刻を要求する。
【0007】
GPS受信機がエフェメリスデータを衛星からダウンロードするのは、常に遅く(18秒より早いことは無い)、しばしば困難であり、(非常に低い信号強度の環境下では)ときには不可能である。これらの理由のため、衛星からの送信を待つ代わりに、何らかの手段により衛星軌道および時計情報をGPS受信機に送信することが有効であることが知られている。衛星軌道および時計情報、または、「支援データ(aiding data)」をGPS受信機に提供する技術は、「Assisted-GPS」またはA−GPSとして知られている。
【0008】
A−GPSのあるタイプでは、GPS受信機は擬似距離を測定してサーバに送信し、そして、該サーバがGPS受信機の測位を行う。このようなシステムを本明細書では「モバイル支援」システムと称する。モバイル支援システムでは、各測位計算のために、GPS受信機とサーバとの間で4つのトランザクションがある。受信機からサーバへの支援要求、サーバから受信機への支援情報の送信、受信機からサーバへの擬似距離測定値の送信、そして最後に、サーバから受信機への位置の送信、である。たいていのモバイル支援システムでは、支援データは短期間(例えば、数分)だけ有効であるため、新たな位置のそれぞれに対して、新たな要求および新たな支援情報が送信される。そのため、モバイル支援システムでは、測位を確定させるための総所要時間は、受信機とサーバとの間のトランザクション数によって深刻な影響を受ける。さらに、もし受信機が、支援データを供給したネットワークのサービスエリアを越えて移動した場合は、受信機が自律的に操作可能である前提で、受信機は、衛星から信号を捕捉し、自律的に測位を計算しなければならない。
【0009】
A−GPSの他のタイプでは、GPS受信機は、サーバからの支援データを用いて自身の測位を決める。このようなシステムを本明細書では「モバイルベース」システムと称する。モバイルベースシステムでは、各測位計算のために、GPS受信機とサーバとの間で2つまでのトランザクションがある。受信機がサーバに支援を要求し、該サーバが該受信機に支援情報を送信する。測位は、受信機内で上記支援情報を用いて計算される。従来のモバイルベースシステムのおいて、上記支援情報は、2〜4時間の間だけ有効なエフェメリスデータである。つまり、エフェメリスデータは衛星によって放送されるデータと同じデータである。そのため、従来のモバイルベースシステムでは、測位を確定させるための総所要時間は、受信機が、支援データが有効な期間である2〜4時間の間以外で測位を計算しなければならず、そのためさらなる受信機とサーバとの間のトランザクションが必要とされる場合、深刻な影響を受ける。さらに、受信機が、支援データを供給したネットワークのサービスエリアを越えて2〜4時間以上移動した場合は、受信機は衛星から信号を捕捉し、自律的に測位を計算しなければならない。
【0010】
それゆえ、受信機とサーバとの間のトランザクション数を最小限に抑え、ネットワークのサービスエリア外でも継続して動作できるような、リモート受信機における衛星追跡データを用いる方法および装置が必要とされている。
【0011】
〔発明の開示〕
リモート受信機において、長期衛星追跡データを使用する方法および装置について、記載する。本発明の一実施形態では、サーバからの長期衛星追跡データをリモート受信機にて受信する。例えば、長期衛星追跡データは、少なくとも未来6時間は有効な、衛星軌道、衛星時計、または、衛星軌道および時計情報を含んでいる。長期衛星追跡データは、リファレンスネットワークや衛星制御基地、またはその両方から得られる衛星追跡情報を用いて、サーバで生成されてもよい。例えば、長期衛星追跡データは、エフェメリスデータのような、衛星軌道および/または時計モデルのブロックを用いて生成されてもよい。
【0012】
長期衛星追跡データは、捕捉支援データ(acquisition assistance data)を計算するために用いられる。例えば、捕捉支援データは、衛星から送信される衛星信号に対する予測ドップラーシフトを含んでいる。ドップラーシフトは、推定測位、推定時刻、そして長期衛星追跡データを用いて計算される。リモート受信機は、衛星信号を捕捉するために、捕捉支援データを使用する。捕捉された衛星信号は、リモート受信機の測位計算に用いられる。
【0013】
他の実施形態では、長期衛星追跡データはリモート受信機にて得られる。移動衛星測位システム(SPS)衛星が検出される。SPS衛星を検出するために、擬似距離がリモート受信機にて決定される。リモート受信機の測位は、擬似距離および長期衛星追跡データを用いて計算される。一実施形態において、SPS衛星は、すでに計算された測位を用いて計算された捕捉支援データおよびブラインドサーチの少なくとも一方を用いて検出される。長期衛星追跡データを用いることにより、リモート受信機が衛星からのエフェメリスをデコードする必要をなくしている。さらに、リモート受信機の測位は、サーバやネットワークから初期の推定測位を得ずに計算される。
【0014】
〔発明を実施するための最良の形態〕
本発明の上述の特徴をより詳細に理解するため、上記で短く要約した本発明のより詳細な記述を、添付の図面にいくつか図示した実施形態を参照して行う。しかしながら、添付の図面は、本発明の典型的な実施形態を記載したに過ぎず、発明の範囲を限定するものではなく、そのため、本発明は他の同等の効果のある実施形態を許容するものである。
【0015】
理解を助けるために、各図に共通な要素を指し示すために、可能な限り同じ参照数字を用いている。
【0016】
図1は、測位システム100の実施形態を示したブロック図である。システム100は、サーバ102と多数のリモート受信機104(説明上、リモート受信機1041とリモート受信機1042とリモート受信機1043)とから構成される。リモート受信機104は、測位を行うために、一群の衛星における、多数の衛星106への擬似距離を測定する。例えば、リモート受信機104は、全世界測位衛星システム(GPS)における、多数のGPS衛星への擬似距離を測定する。サーバ102は、リモート受信機104の動作を支援するために、衛星軌道情報、衛星時計情報、またはその両方を表すデータ(「衛星追跡データ」)を配信する。とりわけ、リモート受信機104は、衛星信号の捕捉を支援するため、および/または、測位を計算するために、衛星追跡データを用いる。
【0017】
サーバ102は、無線通信システム108やネットワーク110のような通信回線を用いて、リモート受信機104に衛星追跡データを配信する。例えば、リモート受信機1041は、無線通信システム108のサービスエリア112内に位置している。本発明の一実施形態において、衛星追跡データは、リモート装置1041と、無線通信システム108のサービスエリア112内に位置する基地局116との間の無線回線114を通じて、リモート装置1041に送信される。例えば、無線通信システム108は、携帯電話網であり、サービスエリア112はセルサイト(cell site)であり、基地局116はセルサイトをサービスするセルタワー(cell tower)である。他の実施形態では、衛星追跡データは、サーバ102からネットワーク110に提供され、リモート受信機1042に送信される。例えば、リモート受信機1042は、インターネットから衛星追跡データをダウンロードする。いくつかの場合、1またはそれ以上のリモート受信機104(例えば、リモート受信機1043)がサーバ102から衛星追跡データを受信することができないことがある。例えば、リモート受信機1043がサービスエリア112の外に移動し、無線通信システム108に接続できない場合がある。さらに、リモート受信機1043は、ネットワーク110にも接続することができない場合がある。以下に示すとおり、サーバ102からリモート受信機104に対して配信される衛星追跡データは、標準的な放送暦と比較して長い期間有効である(例えば、2〜4日)。従って、リモート受信機1043は、サーバ102との接続ができないにもかかわらず、かなりの期間、動作を継続することができる。
【0018】
衛星追跡データは、様々なタイプの衛星測定データ(「衛星追跡情報」)を用いて生成される。特に、サーバ102は、追跡ステーションのネットワーク(「リファレンスネットワーク118」)、または衛星制御局120、またはその両方などの外部のソースから、衛星追跡情報を受信する。リファレンスネットワーク118は、一群のすべての衛星から衛星追跡情報を収集する、いくつかの追跡ステーション、または、少数の追跡ステーション、または、世界の特定地域向けの衛星追跡情報しか収集しない単一の追跡ステーション、を含んでいる。リファレンスネットワーク118から受信する衛星追跡情報は、例えば、衛星エフェメリス、コード位相測定値(code phase measurements)、搬送波測定値(carrier phase measurements)、およびドップラー測定値(Doppler measurements)の少なくとも一つを含んでいる。リファレンスネットワークを用いてエフェメリスデータを収集および配信する典型的なシステムは、米国特許第6411892号(2002年6月25日発行)に開示されており、これを参照することにより、本明細書にその全体が組み込まれる。サーバ102は、通信回線122を介して、衛星制御局120(例えば、GPSのマスター制御局)から衛星追跡情報(例えば、エフェメリス)を受信する。衛星制御局から直接エフェメリス情報を得る典型的なシステムは、米国特許出願第10/081164号(2002年2月22日出願)(代理人整理番号 GLBL 020)に開示されており、これを参照することにより、本明細書にその全体が組み込まれる。
【0019】
サーバ102は、リファレンスネットワーク118および/または衛星制御局120から受信した衛星追跡情報を用いて、リモート受信機104に配信するための衛星追跡データを生成する。サーバ102で生成される衛星追跡データは、衛星軌道データ、衛星時計データ、またはその両方から構成される。衛星軌道データは、衛星106の放送暦データと比べて長期間有効である。本発明の一実施形態では、衛星軌道データは、少なくとも6時間有効である。他の実施形態では、衛星軌道データは、最大4日有効である。そのため、リモート受信機104に届けられた衛星追跡データを、一般的に2〜4時間しか有効でない放送暦データと区別するために、本明細書では「長期衛星追跡データ(long time satellite tracking data)」と称する。
【0020】
図2は、衛星追跡データ200の典型的な実施形態を示すブロック図である。衛星追跡データ200は、2021から202Nまでの多数のモデルを含んでいる(まとめて、モデル202として参照する)。ここで、Nは1またはそれ以上の整数である。モデル202のそれぞれは、未来の所定期間有効なものである(例えば、本実施形態では6時間)。モデル202のそれぞれは、衛星軌道データ、衛星時計データ、またはその両方を含んでいる。モデル202それぞれの衛星軌道データ部分は、衛星位置(satellite positions)、衛星速度(satellite velocities)、衛星加速度(satellite accelerations)を表すデータを1つまたはそれ以上含んでいる。モデル202それぞれの衛星時計データ部分は、衛星時計オフセット(satellite clock offsets)、衛星時計ドリフト(satellite clock drifts)、衛星時計ドリフトレート(satellite clock drifts rates)を表すデータを1つまたはそれ以上含んでいる。本発明の一実施形態では、モデル202のそれぞれは、リファレンスネットワーク118および/または衛星制御局120から収集したエフェメリスデータを含んでいる。他の実施形態では、モデル202のそれぞれは、軌道パラメータおよび/またはクロックパラメータを表す他のフォーマットである。衛星追跡データの典型モデルについては、米国特許第6542820号に開示されている。
【0021】
衛星追跡データ200は、衛星軌道および/または時計データのN個連続したブロックにより定義される(すなわち、Nモデル202)。例を挙げて明確にするために、モデル202のそれぞれは6時間有効であるとすれば、衛星追跡データは6N時間有効となる。なお、モデル202のそれぞれは、それ以外の期間内で有効であってもよいことは言うまでもない。例えば、16個のモデル202のシーケンスを用いると4日間有効な衛星追跡データが生成される。
【0022】
図1に戻り、一実施形態では、サーバ102により生成される衛星追跡データは、一群のすべての衛星と関連している。そのため、リモート受信機104がどこで測位を計算しても、リモート受信機104は、見えている衛星に対する正確な情報を有している。他の実施形態では、サーバ102により生成される衛星追跡データは、ある特定地域(例えば、リモート受信機104の動作する国)において、軌道および時計が有効となっている期間だけ見ることができる衛星としか関連していない。例えば、上述したように、衛星追跡データが、合計で未来4日間をカバーするような、6時間の軌道および/または時計モデルが16個連続する形式であるとする。これら6時間の間、いくつかの衛星は、リモート受信機104が動作しているいかなる国においても見られず、サーバ102では、衛星追跡データがリモート受信機104に配信される前に、衛星追跡データからこれら特定のモデルを取り除くように設定される。サーバ102は、衛星追跡データを提供可能な全ての衛星(つまり、一群のすべての衛星、または、特定地域で見えるすべての衛星)に提供するので、そのデータは、リモート受信機104が特定地域内のどこかにいる限り、衛星追跡データが届けられた時間におけるリモート受信機104の位置に依存しない。
【0023】
図3は、リモート受信機300の典型的な実施形態を示したブロック図である。リモート受信機300は、図1に示したリモート受信機104のいずれかとして使用する。リモート受信機300は、衛星信号受信部302と、無線通信部304と、マイクロコントローラ306と、メモリ308と、モデム310と、クロック311とから構成される。衛星信号受信部302は、アンテナ312を介して衛星信号を受信する。衛星信号受信部302は、一般的な手法で擬似距離を得るために、該受信した衛星信号を処理する。典型的なAssisted-GPS信号受信機は、米国特許第6453237号(2002年9月17日発行)に開示されており、これを参照することにより、本明細書にその全体が組み込まれる。クロック311は、推定時刻を定めるために用いられる。
【0024】
メモリ300は、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、リムーバブルストレージ、ハードディスクストレージ、または、これら記憶装置の組み合わせである。メモリ308は、衛星信号を捕捉したり、測位を計算したり、またはその両方を支援するために用いられる、衛星追跡データ316を格納する。衛星追跡データ316は、無線通信部304を用いてアンテナ314から受信するか、または、モデム310を用いてコンピュータネットワーク(例えば、インターネット)から受信する。メモリ300は、また、位置テーブル(テーブル318)を格納する。テーブル318は、リモート受信機400の最近計算された測位、および/または、リモート受信機300が最近通信した基地局またはセルサイトの位置を含んでいる。テーブル318は、リモート受信機300の推定測位を定めるために用いられる。以下に示すように、リモート受信機300の推定測位および推定時刻は、衛星追跡データ316から衛星信号を捕捉するにあたり支援するためのデータ(捕捉支援データ320)を生成する。
【0025】
図4は、サーバ400の典型的な実施形態を示すブロック図である。サーバ400は、図1に示したサーバ102として用いられる。サーバ400は、中央演算処理装置(CPU)402と、入出力(I/O)回路404と、サポート回路406と、メモリ408とから構成される。サポート回路406は、例えば、クロック回路、キャッシュ、電力供給といった、CPU402の動作を助ける一般的な回路である。メモリ408は、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、リムーバブルストレージ、ハードディスクストレージ、または、これら記憶装置の組み合わせである。
【0026】
衛星追跡情報410(例えば、エフェメリス、コード位相測定値(code phase measurements)、搬送波測定値(carrier phase measurements)、ドップラー測定値(Doppler measurements))は、I/O回路404を用いて、該情報の外部ソース(例えば、リファレンスネットワークおよび/または衛星制御局)から受信され、メモリ408に格納される。サーバ400は、リモート装置が使用するための長期衛星追跡データを計算するために、衛星追跡情報410を使用する。I/O回路404はまた、セルデータベース412と接続されている。セルデータベース412は、無線通信システムの様々な基地局またはセルサイトの位置とともに、基地局またはセルサイトの識別子(セルID)のデータベースを格納する。以下に示すように、基地局またはセルサイトの位置は、リモート受信機の概算測位として用いられる。別の方法としては、リモート受信機の概算測位は、セルサイト間または基地局間の遷移、最後に把握していた測位、などを用いて決定される。
【0027】
I/O回路404はまた、装置データベース414と接続されている。装置データベース414は、特定の衛星追跡データがリモート受信機に配信され、そのような衛星追跡データの有効期限が切れたとき、追跡を維持するために用いられる。装置データベース414を用いて、サーバ400は、いつ、新たな衛星追跡データでリモート受信機を更新するのかを決定する。衛星追跡データをリモート受信機に送信する典型的な処理は以下に示す。
【0028】
衛星追跡データは、リモート受信機からの要求に対する応答として、該リモート受信機に届けられる。例えば、リモート受信機のユーザが、サーバからの衛星追跡データを手動で要求したり、衛星追跡データを必要とする測位計算を開始したりする場合である。衛星追跡データはまた、自動的にリモート受信機に届けられてもよい。図5は、衛星追跡データを自動的にリモート受信機に送信する処理500の典型的な実施形態を示したフロー図である。処理500は、サーバまたはリモート受信機のいずれかで実行される。つまり、リモート受信機が衛星追跡データを必要とするときに決定するか、または、サーバが衛星追跡データを必要とするときに決定する。
【0029】
処理500は、ステップ502から始まるが、ここは、衛星追跡データが最後に決定されてからの時間の経過である。ステップ504では、経過した時間が所定の閾値を超えたかどうかが判断される。該閾値は、衛星追跡データの有効期間のある割合(percentage)である。例えば、もし、衛星追跡データが4日間有効であれば、上記閾値は2日と設定する。すなわち、衛星追跡データが送信されてから2日経過すると、上記閾値を越える。上記閾値を超えた場合、処理500はステップ506へ進む。上記閾値を超えていなければ、処理500はステップ502へ戻る。
【0030】
ステップ506では、サーバとの接続が可能であるか否かを判断する。例えば、リモート受信機が電源を切っていたり、システムのサービスエリア外に移動している場合は、サーバへの接続が可能でない。もし接続が可能であれば、処理500はステップ508へ進む。
【0031】
ステップ508では、新たな衛星追跡データが、低いトラフィック周期(period)で、リモート受信機へ送信されるようにスケジュールされる。ステップ504での閾値が、衛星追跡データの有効期間のある割合に設定されており、現在格納されている衛星追跡データが有効であるため、リモート受信機は、ただちには、新たな衛星追跡データを必要としない。そのため、新たな衛星追跡データは、無線通信システムまたはその他のネットワークを用いて、そのようなネットワーク上の低い動作の周期の間、リモート受信機に送信されてもよい。
【0032】
ステップ506で接続ができない場合、処理500は、ステップ510に進む。ステップ510では、経過時間が衛星追跡データの有効期間を超えたかどうか判断する。もし超えていなければ、処理500は上述のステップ508に進む。つまり、サーバは、新たな衛星追跡データを、低いトラフィック周期で、リモート受信機へ送信するようにスケジュールする。ステップ504での閾値が、衛星追跡データの有効期間のある割合に設定されているので、リモート受信機は、ただちには、新たな衛星追跡データを必要としない。リモート受信機は、接続が可能となるまで、有効な衛星追跡データで動作を続け、接続が可能となると、新たな衛星追跡データが、低いトラフィック周期で送信される。
【0033】
ステップ510で、経過時間が衛星追跡データの有効期間を超えた場合、処理500はステップ512へ進む。ステップ512では、接続が可能となったとき、新たな衛星追跡データがリモート受信機に送信されるようにスケジュールされる。つまり、リモート装置が再度システムに接続したとき、該新たな衛星追跡データがリモート受信機にアップロードされる。
【0034】
従って、全てのリモート受信機は、サーバと接続可能なほとんどの時間は、有効な衛星追跡データを有している。さらに、ほとんど全てのリモート受信機は、衛星追跡データを要求することなく、または、届けられる衛星追跡データを待つことなく、測位を確定したいときはただちに、Assisted-GPSの恩恵を受ける。そのため、サーバとのトランザクション数が抑えられる。サーバとの接続ができないリモート受信機は、サーバと接続されていない間は、延長された期間(例えば4日間)、衛星追跡データを用いて動作を継続すればよい。さらに、衛星追跡データは、リモート受信機が使用する正確な時刻とは独立している。
【0035】
図6Aから図6Cは、長期衛星追跡データを用いてリモート受信機を測位を行う処理600の典型的な実施形態を示すフロー図である。処理600は、ステップ602から始まるが、ここは、衛星追跡データが最後に決定されてからの時間の経過である。ステップ604では、衛星追跡データの有効期間が超過したかどうかを判断する。例えば、衛星追跡データは4日間有効である。衛星追跡データが有効である場合、処理はステップ606に進む。有効でない場合は、処理600はステップ610に進む。
【0036】
ステップ606では、サーバとリモート受信機との間の接続が可能であるか否かを判断する。接続が可能でなければ、処理600はステップ608に進み、接続が可能でない旨のフラグが付けられる。接続が可能であれば、処理600はステップ607に進む。ステップ607では、リモート受信機にて、新たな衛星追跡データが要求され、サーバから受信される。ステップ609では、既に格納されている衛星追跡データが該新たな衛星追跡データに更新される。そして、処理はステップ610に進む。
【0037】
ステップ610では、時刻が決定される。一実施形態では、推定時刻がリモート受信機内部のクロックを用いて決定される。ステップ612では、リモート受信機の測位が推定される。ステップ614では、上記時刻、上記推定測位、および、格納されている衛星追跡データ(または、衛星暦データ)を用いて、捕捉支援データが計算される。捕捉支援データは、リモート受信機が衛星信号を捕捉するのを助ける。一実施形態では、捕捉支援データは、リモート受信機から見える衛星それぞれに対応する予測ドップラーシフトを含む。GPSでは、すべての衛星信号は、正確に1575.42MHzの同じ周波数で衛星から放たれる。しかしながら、リモート受信機で観測される衛星信号の周波数は、衛星の動きにより、±4.5KHzシフトされる。水平線から登る衛星は、最大4.5KHz高いドップラーシフトを示し、水平線へ沈む衛星は、最大4.5KHz低いドップラーシフトを示し、天頂(リモート受信機の視点で上空で最も高い位置)の衛星は、ドップラーシフトを示さない。
【0038】
リモート受信機は、リモート受信機の推定測位に関係するドップラーシフトを計算するために、推定測位、時刻、および、格納されている衛星追跡データ(または、衛星暦データ)を用いる。上述したように、一実施形態では、衛星追跡データは、エフェメリスデータのブロックの形式で提供される。そのような衛星追跡データを用いれば、推定測位および時刻におけるドップラーシフトの計算は、一般的な手法により計算される。捕捉支援データは、予測ドップラーシフトの不確定性(uncertainty)のウィンドウ(window)またはレンジ(range)を提供する。不確定性のレンジのサイズは、最初の推定測位および時刻の正確さに依存する。該時刻は、不確定性のレンジのサイズへの影響は少なく、GPS時間の数秒ごとにエラーがある。推定測位は、不確定性のレンジに大きく影響する。推定測位が、リモート受信機の本来の測位からおよそ10km内である場合、ドップラーレンジは±10Hzである。推定測位が、本来の測位から広い範囲内(例えば、ある国または3000km内)である場合、ドップラーレンジは、±3000Hzとなる。リモート受信機の測位を推定する処理は、以下で述べる。技術的に良く知られているように、ドップラーのサーチレンジは、リモート受信機におけるローカルリファレンス周波数(local reference frequency)の不確定性を含んでいなければならない。
【0039】
ステップ616では、衛星信号が、リモート受信機にて捕捉支援データを用いて捕捉される。一実施形態では、リモート受信機は、捕捉支援データおよびローカル周波数リファレンス(local frequency reference)で定義される周波数レンジ内で、衛星信号をサーチする。初期の測位を計算するために必要な衛星信号を捕捉するのに要する時間(初期測位時間(time to first fix))は、周波数ウィンドウのサイズに依存する。周波数ウィンドウが小さいほど、初期測位時間は早くなる。
【0040】
ステップ618では、接続が不可能であるとフラグされているかどうかを判断する。フラグされていない場合は、処理600はステップ624に進み、格納されている衛星追跡データを用いてリモート受信機の測位を計算する。ステップ608で接続が不可であるとフラグされている場合は、処理はステップ620へ進む。ステップ620では、捕捉した衛星信号からのエフェメリスがデコードされる。有効でないデータ、または、「古い」衛星追跡データ、または、衛星暦データは、ステップ614で捕捉支援データを計算するために使用され、そのような期限切れまたは不正確な衛星追跡データは、リモート受信機の測位を計算するためには使用されない。そのため、格納されている衛星追跡データの期限が切れ、リモート受信機が新たな衛星追跡データを得るためにサーバと接続できない場合、リモート受信機は、エフェメリス情報を得るために衛星信号をデコードしなければならない。ステップ622では、リモート受信機の測位を、エフェメリス情報を用いて計算している。
【0041】
図7は、リモート受信機の測位を推定する処理700の典型的な実施形態を示すフロー図である。処理700は、処理600のステップ612にて、初期推定技術として用いられる。セルサイト間またはリモート受信機の基地局間の遷移を用いたり、リモート受信機が最後にいた測位を用いたりする、他の測位推定技術を用いてもよい。処理700はステップ702から始まり、ここでは、リモート受信機が現在動作しているセルサイト(アクティブセルサイト(active cell site))のセルIDの有無を判断する。セルIDがない場合はアクティブセルサイトは存在せず、処理700はステップ706に進む。セルIDが有る場合、処理700はステップ704に進む。
【0042】
ステップ704では、セル位置がリモート受信機内に格納されたテーブルに存在するかどうかを判断する。つまり、リモート受信機は、アクティブセルサイトの位置を識別するための位置テーブルに索引をつけるために、セルIDを用いる。アクティブセルサイトに関連する位置がテーブル内に存在すれば、処理700はステップ708に進み、リモート受信機の推定測位および推定測位の不確定性を出力する。上記セル位置がテーブルに存在しなければ、処理700はステップ706に進む。
【0043】
ステップ706では、いずれのセルIDも存在しないか(例えば、リモート受信機が無線通信システムのサービスエリア内で動作していない)、または、テーブル内に格納されているセルIDに関連する位置が存在しない。そのため、最近の測位確定があったかどうかを判断する。例えば、最近の測位確定が、過去3分以内に計算されたかどうかである。ここで、3分間で、リモート受信機が時速200km未満で移動した場合、リモート受信機は、せいぜい10kmしか移動し得ない。これは、リモート受信機が、セルサイトの位置を用いた場合に得られる不確定な概算測位の範囲内である。測位確定が最近なされた場合、処理700はステップ708に進み、最近確定した測位は推定測位として用いられ、推定測位と不確定性が出力される。さらに、ステップ710で位置テーブルが最近の測位で更新される。
【0044】
ステップ706で、最近確定した測位が無い場合、処理700はステップ712に進む。ステップ712では、サーバとリモート受信機との接続が可能であるかどうかを判断する。可能でない場合、処理700はステップ718に進み、推定測位は広域に設定される(例えば、国または動作している地域)。処理700は、ステップ718からステップ708に進み、推定測位と不確定性を出力する。
【0045】
ステップ712で、サーバとリモート受信機との接続ができるならば、処理700はステップ714に進む。ステップ714では、アクティブセルサイトの位置がサーバから要求される。リモート受信機は、セルIDを得ていれば、該セルIDをサーバに送信する。さらに、ステップ710にて、新たに返却されたアクティブセルサイトの位置により、位置テーブルを更新する。ステップ716でサーバから位置が返却されない場合は、処理700はステップ718に進み、推定測位を広域に設定する。
【0046】
位置テーブルおよび最近確定した測位を使用することにより、リモート受信機はサーバとの不要なトランザクションを避ける。それゆえ、セルIDを用いたアクティブセルサイトの位置を要求するよりも、リモート受信機はその情報がローカルに格納されている場合、最初の決定を行う。
【0047】
長期衛星追跡データを用いる方法および装置について記載した。本発明に係る一実施形態では、長期衛星追跡データは、2〜4日間有効な、衛星軌道および/または時計データを含んでいる。それゆえ、リモート受信機は、更新された情報を受信するためにサーバと接続しなくても、最大4日間は動作し続ける。リモート受信機が、サーバと接続できない(例えば、リモート受信機がネットワークのサービスエリア外に移動した)場合、リモート受信機は、再度ネットワークと接続可能となるまで、長期衛星追跡データを使用し続ける。そのため、サーバとリモート装置とのトランザクションは、2〜4日に一度しかないか、または、リモート装置がサーバからセルサイトまたは基地局の位置を要求したときのみとなる。
【0048】
長期衛星追跡データを得たら、リモート受信機は、衛星信号を捕捉し、捕捉した衛星に対する擬似距離を決定し、該擬似距離および上記長期衛星追跡データを用いて測位を計算する。リモート受信機はまた、衛星信号捕捉処理の助けとなる捕捉支援データ(例えば、予測ドップラーシフト)を生成するために、推定測位および推定時刻とともに、長期衛星追跡データを用いる。上記処理は、図6に関する上述のとおりである。一実施形態においては、推定測位はネットワークから(例えばセルIDを用いて)得られる。
【0049】
しかしながら、いくつかの場合、リモート受信機は、捕捉支援データを計算するためにネットワークから初期の測位を得ることができない。例えば、リモート受信機は、ネットワークのサービスエリアの外では自律的に動作する。そのため、本発明の他の実施形態では、リモート受信機は、捕捉支援データを計算して擬似距離を決定するにあたり、ネットワークから推定測位を受信するよりも、すでに計算された測位を初期の測位として用いることを試みる。そして、リモート受信機は、擬似距離および長期衛星追跡データを用いて測位を計算する。そして、該測位の有効性が検査され、有効であれば、リモート受信機は、測位を計算するためにブラインドサーチを実行する。
【0050】
特に、図8は、本発明に従って、リモート受信機の測位を行う方法800の典型的な他の実施形態を示すフロー図である。方法800は、ネットワークからリモート受信機の初期の推定測位を得ることなく実行される。方法800はステップ802から始まる。ステップ804では、長期衛星追跡データを得る。例えば、長期衛星追跡データを、リモート受信機内のメモリから得る。リモート受信機は、図5にて上述したように、ネットワークから長期衛星追跡データを受信してもよい。リモート受信機は、図6にて上述したように、定期的に長期衛星追跡データをリフレッシュする。
【0051】
ステップ806では、既に計算された測位が利用できるかどうかを判断する。例えば、リモート受信機は、計算された測位を格納する測位キャッシュを保持し、そこからすでに計算された測位を得る。すでに計算された測位が利用できない場合、方法800はステップ820へ進む。ステップ820では、ブラインドサーチを用いて測位が計算される。ステップ820にて用いられるブラインドサーチ処理の典型的な実施形態は、図9から図11を用いて後述する。そして方法800は、ステップ822に進み、上記測位を、次回の繰り返しにおいて既に計算された測位として用いるために、格納する。
【0052】
ステップ806にて、すでに計算された測位が利用できる場合、方法800はステップ808に進む。ステップ808では、捕捉支援データ(例えば、予測ドップラーシフト)を計算するために、すでに計算された測位が推定測位として、長期衛星追跡データとともに用いられる。ステップ810では、移動衛星測位システム(SPS)衛星からの衛星信号が、上記捕捉支援データを用いてリモート受信機で捕捉される。
【0053】
ステップ812では、捕捉された衛星が所定の閾値を超えたかどうかを判断する。例えば、閾値は2衛星である。そのため、ステップ810にて、2より多くの衛星が捕捉されると、方法800はステップ814に進む。一方、ステップ810にて、2またはそれ以下の衛星が捕捉された場合、方法800はステップ820に進み、測位を計算するために、ブラインドサーチ処理が実行される。
【0054】
ステップ814では、検出されたSPS衛星に対する擬似距離が決定される。リモート受信機は、一般的な対比(correlation)処理を用いて、検出されたSPS衛星へのサブミリセカンド擬似距離を測定する。サブミリセカンド擬似距離の整数ミリ秒部分は、推定測位として用いられた、既に計算された測位を用いて、確定される。一実施形態において、上記整数は、サブミリセカンド擬似距離、および、既に計算された測位と長期衛星追跡データから導かれる推定衛星位置との間の予測擬似距離を関連付けることにより、確定される。擬似距離整数を計算する典型的な処理は、同一出願人による、米国特許第6734821号(2004年5月11日発行)に開示されており、これを参照することにより、本明細書にその全体が組み込まれる。
【0055】
ステップ816では、リモート受信機の測位が、ステップ814で決定された擬似距離と、ステップ804で得られた長期衛星追跡データとを用いて計算される。測位は、従来のナビゲーションを求める式を用いて計算される。ステップ818では、計算された測位が有効であるかどうかを判断する。とりわけ、計算された測位の整合性が、従来の整合性検査技術を用いて判断される。例えば、上記計算された測位と、推定測位として用いられていた、既に計算された測位との差異を計算し、閾値と比較する。差異が閾値(例えば、150km)を超えている場合は、上記計算された測位は、無効である旨のフラグを立てる。あるいは、計算された測位の高度が、許容範囲内(例えば、−1km〜15km)であるかどうかを判断する。上記高度が範囲外であれば、計算された測位は、無効である旨のフラグを立てる。他の実施形態では、誤った擬似距離を識別するために、事後残差(a-posteriori residuals)が解析される。擬似距離のそれからも誤りが発見されれば、計算された測位は、無効であるとみなされる。事後残差を解析する典型的な処理は、上述の米国特許第6734821号に記載されている。
【0056】
ステップ818で、上記計算された測位が無効であるとみなされると、方法800はステップ820に進み、測位を計算のためにブラインドサーチが実行される。そうでなければ、方法800はステップ822に進み、上記計算された測位は、次回の繰り返しにおいて、既に計算された測位として用いるために格納される。
【0057】
図9は、本発明に従ってブラインドサーチ技術を用いてリモート受信機の測位を行う方法900の典型的な実施形態を示すフロー図である。方法900は、ネットワークからリモート受信機の初期の推定測位を得ずに、実行される。方法900はステップ902から始まる。ステップ904では、SPS衛星を検出するためにブラインドサーチが実行される。つまり、リモート受信機は捕捉支援データの恩恵を受けずに、従来の方法で、衛星信号をサーチする。ステップ906では、検出されたSPS衛星に対する擬似距離を決定する。リモート受信機は、従来の対比(correlation)処理を用いて検出されたSPS衛星に対するサブミリセカンド擬似距離を測定する。サブミリセカンド擬似距離の整数部分は、週の時刻(TOW)を得るために衛星によって放送されている衛星ナビゲーションストリームにおけるハンドオーバーワード(HOW)をデコードすることによる、一般的に知られた方法で計算される。ステップ908では、ステップ906で決定された擬似距離およびリモート受信機に格納されている長期衛星追跡データを用いて、リモート受信機の測位が計算される。上記測位は、従来のナビゲーションを求める式を用いて計算される。そして方法900はステップ910で終了する。
【0058】
測位計算のために長期衛星追跡データを使用することは、リモート受信機が、擬似距離が決められた衛星のそれぞれからの衛星ナビゲーションストリームから、エフェメリスをデコードする必要性を取り除いている。エフェメリスをデコードする必要が無いので、特に、衛星信号が微弱および/または断続的である場合、リモート受信機のコールドスタートの速度が増加する。その上、方法900は、ネットワークからの初期測位または正確な時刻を必要とせずに実行されるので、リモート受信機がネットワークのサービスエリア外のときでも、方法900は実行される。方法900を用いて計算された測位は格納され、図8にて上述したように、次回の測位計算における捕捉支援データを計算するための推定測位をして用いられる。
【0059】
図10は、本発明に従ってブラインドサーチ技術を用いてリモート受信機の測位を行う方法1000の他の実施形態を示すフロー図である。図9の方法900と同様に、方法1000は、ネットワークからリモート受信機の初期の推定測位を得ずに、実行される。方法1000はステップ1002から始まる。ステップ1004では、SPS衛星を検出するためにブラインドサーチが実行される。ステップ1006では、検出されたSPS衛星に対するサブミリセカンド擬似距離を測定する。ステップ1008では、リモート受信機で擬似距離レートが測定される。一実施形態では、擬似距離レートは、ドップラー測定値を得ることにより測定される。あるいは、擬似距離レートは、サブミリセカンド擬似距離の時間派生(time-derivative)を計算することにより測定される。
【0060】
ステップ1010では、リモート受信機の推定測位が、リモート受信機に格納されている長期衛星追跡データおよび擬似距離レートを用いて、計算される。一実施形態では、次に示す算術モデルを繰り返し適用することによってなされる。
【0061】
【数1】
【0062】
ここで、
【0063】
【数2】
【0064】
は、擬似距離レート残差(つまり、測定された擬似距離レートと予測擬似距離レートとの差異)のベクトルである(以下では、ubarと記す)。そして、
【0065】
【数3】
【0066】
は、偏導関数を示している。そして、
【0067】
【数4】
【0068】
は、n番目の擬似距離レートである。そして、cは光の速度を示している。変数x、y、およびzは、事前測位の更新である。この実施形態では、初期測位は限定されないため、上述のモデルは、地球の中心が初期位置として適用され、更新が収束するまで繰り返される。変数fcは、リモート受信機の事前のリファレンス周波数オフセット(a-priori reference frequency offset)を更新する。一実施形態では、fcの単位は、seconds/secondであり、cの単位はm/sであり、ubarの単位はm/sである。予測擬似距離レートおよび行列要素は、長期衛星追跡データを用いて計算される。このモデルの由来は、同一出願人による、米国特許出願第10/617559号(2003年6月11日出願)(代理人整理番号 GLBL 027)に詳細に開示されており、これを参照することにより、本明細書にその全体が組み込まれる。さらに、時刻オフセットのような条件は、上述の計算に含まれているが、概算測位(例えば、10km以内)だけが必要であり、ubarの値および行列の要素を計算するとき上述の計算における概算時刻を使うのに十分である。
【0069】
他の実施形態において、リモート受信機の推定測位は、擬似距離レートおよびサブミリセカンド擬似距離を用いてステップ1010にて計算される。とりわけ、ステップ1004で衛星が2つしか検出されない場合、リモート受信機は、さらなる支援データ無しに、距離レートのみ、または、擬似距離のみを用いて測位を計算することはできない。しかしながら、距離レートおよび擬似距離のそれぞれは独立に測定されるので、距離レートおよび擬似距離は測位計算のために十分な測定値(例えば、緯度、経度、高度、および共通モード時計偏差の4測定値)を提供するために組み合わされる。このような計算は、上述で参照した米国特許出願第10/617559号に示されている。
【0070】
ステップ1012では、ステップ1005で測定されたサブミリセカンド擬似距離の整数部分が、ステップ1010で計算された推定測位を用いて確定される。一実施形態において、上記整数は、ステップ1006で測定されたサブミリセカンド擬似距離と、推定測位および長期衛星追跡データから導き出される推定衛星位置の間の予測擬似距離とを関連付けることにより、定まる。擬似距離の整数を計算する典型的な処理は、上述で参照した米国特許第6734821号に記載されている。
【0071】
ステップ1014では、リモート受信機で正確な時刻が利用可能かどうかを判断する。例えば、リモート受信機は、TOWカウントメッセージを得るためにHOWをデコードすることにより、正確な衛星時刻を得る。あるいは、リモート受信機は、ネットワークから初期的に正確な衛星時刻を得て、その後正確な時刻を追い続けてもよい。リモート受信機が正確な時刻を知った場合、方法1000は、ステップ1016に進む。ステップ1016では、従来にナビゲーション法で、長期衛星追跡データおよびフル擬似距離を用いてリモート受信機の測位が計算される。リモート受信機が正確な時刻を知らない場合、方法1000はステップ1018に進む。
【0072】
ステップ1018では、タイムフリーナビゲーションモデルにて、長期衛星追跡データおよびフル擬似距離を用いて、リモート受信機の測位が計算される。とりわけ、算術モデルは、測位(例えば、x、y、およびzの位置)および時刻(例えば、ローカル時計バイアス(tc)および時刻エラー(ts))を更新するために、実際の擬似距離と予測擬似距離との間の残差を関連付けるために用いられる。予測擬似距離は、ステップ1010で計算された推定測位に基づくものである。一実施形態においては、算術モデルは以下のように定義される。
【0073】
【数5】
【0074】
ここで、
【0075】
【数6】
【0076】
は、擬似距離残差(予測擬似距離と実際の擬似距離との差異)のベクトルであり、行列Hは、測位更新(x、y、z)と擬似距離残差とを関連付ける、よく知られている視線ベクトル(最初の3行)、上記ローカル時計バイアス(tc)と上記擬似距離残差とを関連付ける、よく知られている定数のカラム(cは光の速度)、上記時刻エラー(ts)と上記擬似距離残差とを関連付ける、距離レートのカラムを含む。上記算術モデルを詳細に理解するためには、上述の米国特許第6734821号を参照されたい。測位を収束させるために、上記算術モデルのいくつかの繰り返しが実行される。方法1000はステップ1020で終了する。
【0077】
測位計算のために長期衛星追跡データを使用することは、リモート受信機が、擬似距離が決められた衛星のそれぞれからの衛星ナビゲーションストリームから、エフェメリスをデコードする必要を取り除いている。エフェメリスをデコードする必要が無いので、特に、衛星信号が微弱および/または断続的である場合、リモート受信機のコールドスタートの速度が増加する。その上、方法1000は、ネットワークからの初期測位または正確な時刻を必要とせずに実行されるので、リモート受信機がネットワークのサービスエリア外のときでも、方法1000は実行される。方法1000を用いて計算された測位は格納され、図8にて上述したように、次回の測位計算における捕捉支援データを計算するための推定測位をして用いられる。
【0078】
図11は、本発明に従ってブラインドサーチ技術を用いてリモート受信機の測位を行う方法1100の他の実施形態を示すフロー図である。この場合もやはり、方法1100は、ネットワークからリモート受信機の初期の推定測位を得ずに、実行される。方法1100は、ステップ1102から始まる。ステップ1104では、SPS衛星を検出するためにブラインドサーチが実行される。ステップ1106では、検出されたSPS衛星に対するサブミリセカンド擬似距離を測定する。ステップ1108では、可能な全ての測位空間からリモート受信機の事前測位を選択する。とりわけ、可能な全ての事前の測位空間は、100km×100kmの緯度経度グリッドに分割され、地形上の高度の参照テーブルから割り当てられた高度のセグメントである。ステップ1110では、事前の推定測位に基づいて、サブミリセカンド擬似距離の整数部分が確定される。上記整数部分は、図10にて上述した方法1000のステップ1012で実行されたのと同様の処理を用いて確定される。
【0079】
ステップ1112では、リモート受信機に格納されている長期衛星追跡データおよびフル擬似距離を用いて、リモート受信機の測位が計算される。上記測位は、図10にて上述してように、従来のナビゲーションを求める式(正確な時刻が利用可能な場合)、または、タイムフリーナビゲーションモデルを用いて計算される。ステップ1114では、計算された測位が有効であるかどうかが判断される。計算された測位の有効性は、方法800のステップ818にて説明したように推定される。有効でなければ、方法1110はステップ1108に戻り、可能な全ての測位空間から他の事前測位を選択する。有効であれば、方法1110はステップ1116に進む、ステップ1116では、計算された測位を出力する。そして方法1110はステップ1118で終了する。方法1110で出力された測位は、図8で説明したように、格納され、次回の測位計算における捕捉支援データを計算するための推定測位として用いられる。
【0080】
上述のように、本発明を、合衆国全世界測位衛星システム(GPS)におけるアプリケーションを参照して、説明した。しかしながら、これら方法は、特に、ロシアGlonassシステム、欧州Galileoシステムなどの同様の衛星システム、または、GlonassシステムとGalileoシステムとGPSシステムとの組み合わせにも等しく適用できることは明らかである。本明細書での「GPS」という語は、GlonassシステムおよびGalileoシステムを含む、代わりの衛星測位システムを含んでいる。
【0081】
GPS衛星を参照しながら本発明に係る方法および装置について説明したが、擬似衛星(pseudolites)または衛星と擬似衛星との組み合わせを使用する測位システムにも等しく適用できることがわかるであろう。擬似衛星は、GPS時刻と一般的に同期しているLバンド搬送信号に変調されるPNコード(GPS信号と同様の信号)を放送する地上の送信機である。本明細書での「衛星」という語は、擬似衛星または擬似衛星と同等のものを含んでおり、「GPS信号」という語は、擬似衛星または擬似衛星と同等のものからの、GPSに似た信号を含んでいる。
【0082】
上記は、本発明の実施形態を直接的に記述したが、基本的範囲を逸脱することなく、また、請求項により定められる範囲から逸脱することなく、本発明の他のさらなる実施形態を創作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】測位システムの典型的な実施形態を示すブロック図である。
【図2】衛星追跡データの典型的な実施形態を示すブロック図である。
【図3】リモート受信機の典型的な実施形態を示すブロック図である。
【図4】サーバの典型的な実施形態を示すブロック図である。
【図5】衛星追跡データを自動的にリモート受信機に送信する処理の典型的な実施形態を示すフロー図である。
【図6A】長期衛星追跡データを用いて、リモート受信機の測位を行う処理の一部の典型的な実施形態を示すフロー図である。
【図6B】長期衛星追跡データを用いて、リモート受信機の測位を行う処理の一部の典型的な実施形態を示すフロー図である。
【図6C】長期衛星追跡データを用いて、リモート受信機の測位を行う処理の一部の典型的な実施形態を示すフロー図である。
【図7】リモート受信機の測位を推定する処理の典型的な実施形態を示すフロー図である。
【図8】本発明に従って、リモート受信機の測位を行う方法の典型的な他の実施形態を示すフロー図である。
【図9】本発明に従って、ブラインドサーチを用いてリモート受信機の測位を行う方法の典型的な実施形態を示すフロー図である。
【図10】本発明に従って、ブラインドサーチを用いてリモート受信機の測位を行う方法の典型的な他の実施形態を示すフロー図である。
【図11】本発明に従って、ブラインドサーチを用いてリモート受信機の測位を行う方法の典型的なさらに他の実施形態を示すフロー図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、米国特許出願第10/674267号(2003年9月29日出願)の一部継続出願であり、該出願のクレームは米国仮特許出願第60/415364号(2002年10月2日出願)の利益を得ている。上記の関連出願のそれぞれは、ここで参照することにより、本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、測位システムに関するものであり、特に、リモート受信機にて長期衛星追跡データ(long term satellite tracking data)を使用するものに関する。
【0003】
〔背景技術〕
全世界測位衛星システム(GPS)の受信機は、測位を計算するために、いくつかの衛星からの測定値を使用する。GPS受信機は、通常、衛星から送信された信号であって、地表または地表付近の受信機により受信される信号の送信と受信との間の遅延時間を計算することによってその測位を決定する。上記遅延時間に光速を乗じることにより、受信機から見た、受信機と各衛星との距離がわかる。GPS衛星は受信機に対して「エフェメリス(ephemeris)」データと呼ばれる衛星軌道情報を送信している。衛星軌道情報に加えて、衛星は受信機に対して衛星信号に関連する絶対時刻情報を送信している。すなわち、絶対時刻情報は週信号(week signal)の秒(second)として送信される。この絶対時刻信号により、受信機は各衛星から送信された信号に対して時刻タグ(time tag)を、曖昧さなく決定する。各信号の正確な送信時刻を知ることにより、受信機は、各衛星が信号を送信したときの各衛星の位置を計算するために、エフェメリスデータを使用する。最後に、受信機は、受信機の測位を計算するために、衛星の位置の知識と、計算された衛星までの距離とを組み合わせる。
【0004】
すなわち、GPS受信機は、軌道を周回しているGPS衛星から、独自の擬似ランダム雑音(pseudo-random noise(PN))コードを含んでいるGPS信号を受信する。GPS受信機は、受信したPNコード信号シーケンスと内部で生成したPN信号シーケンスとの時間的推移を比較することにより、信号の送信と受信との間の遅延時間を決定する。
【0005】
送信された各々のGPS信号は直接拡散方式信号である。商用利用が可能なこの信号は、標準測位サービスによって提供されている。これら信号は、1575.42MHzの搬送波上で1.023MHzの速度率で直接拡散信号を使用する(L1周波数)。各衛星は、衛星を識別する信号であって、それぞれの衛星から同時に送信された信号を、受信機が非常に小さなインタフェースで同時に受信するための独自のPNコード(C/Aコードとして知られている)を送信する。PNコードシーケンスの長さは、1ミリ秒に相当する1023chipsである。1023chipsの1サイクルは、PNフレームと称される。受信したGPS信号のそれぞれは、1.023MHzの1023chipsのPNパターンの繰り返しにより構成される。非常に低い信号レベルにおいても、多くのPNパターンを処理し、本質的には平均化することによって、曖昧ではない遅延時間の長さを提供するために、PNパターンは依然として観測される。これら測定された遅延時間は、モジュロ1ミリセカンドPNフレーム境界(modulo the 1 millisecond PN frame boundaries)として知られているため、「サブミリセカンド擬似距離(sub-millisecond pseudoranges)」と称される。各衛星の各遅延に関連するミリセカンドの整数を求めることによって、真の、曖昧ではない擬似距離がわかる。曖昧ではない擬似距離を求める処理は、「整数ミリセカンドアンビギュイティ分析(integer millisecond ambiguity resolution)」として知られている。
【0006】
GPS信号の送信絶対時刻および該絶対時刻における衛星の位置に関する知識に加えて、4つの擬似距離の集合は、GPS受信機の測位を求めるのに十分である。送信の絶対時刻は、その時刻の衛星の位置を決めるため、従って、GPS受信機の測位を決定するために必要である。GPS衛星は、およそ3.9km/秒の速度で移動するため、衛星の距離は、地球から観測すると、最大で±800m/秒のレートで変化する。絶対時刻のエラーは、1ミリ秒あたり最大で0.8mの距離エラーとなる。これら距離エラーは、GPS受信機の測位において、同様のサイズのエラーを発生させる。それゆえ、10ミリ秒の絶対時刻の精度は、ほぼ10mの測位の精度に十分である。10ミリ秒より多い絶対時刻のエラーは、大きな測位エラーを生じるため、一般的にGPS受信機は、およそ10ミリ秒またはそれより良い精度の絶対時刻を要求する。
【0007】
GPS受信機がエフェメリスデータを衛星からダウンロードするのは、常に遅く(18秒より早いことは無い)、しばしば困難であり、(非常に低い信号強度の環境下では)ときには不可能である。これらの理由のため、衛星からの送信を待つ代わりに、何らかの手段により衛星軌道および時計情報をGPS受信機に送信することが有効であることが知られている。衛星軌道および時計情報、または、「支援データ(aiding data)」をGPS受信機に提供する技術は、「Assisted-GPS」またはA−GPSとして知られている。
【0008】
A−GPSのあるタイプでは、GPS受信機は擬似距離を測定してサーバに送信し、そして、該サーバがGPS受信機の測位を行う。このようなシステムを本明細書では「モバイル支援」システムと称する。モバイル支援システムでは、各測位計算のために、GPS受信機とサーバとの間で4つのトランザクションがある。受信機からサーバへの支援要求、サーバから受信機への支援情報の送信、受信機からサーバへの擬似距離測定値の送信、そして最後に、サーバから受信機への位置の送信、である。たいていのモバイル支援システムでは、支援データは短期間(例えば、数分)だけ有効であるため、新たな位置のそれぞれに対して、新たな要求および新たな支援情報が送信される。そのため、モバイル支援システムでは、測位を確定させるための総所要時間は、受信機とサーバとの間のトランザクション数によって深刻な影響を受ける。さらに、もし受信機が、支援データを供給したネットワークのサービスエリアを越えて移動した場合は、受信機が自律的に操作可能である前提で、受信機は、衛星から信号を捕捉し、自律的に測位を計算しなければならない。
【0009】
A−GPSの他のタイプでは、GPS受信機は、サーバからの支援データを用いて自身の測位を決める。このようなシステムを本明細書では「モバイルベース」システムと称する。モバイルベースシステムでは、各測位計算のために、GPS受信機とサーバとの間で2つまでのトランザクションがある。受信機がサーバに支援を要求し、該サーバが該受信機に支援情報を送信する。測位は、受信機内で上記支援情報を用いて計算される。従来のモバイルベースシステムのおいて、上記支援情報は、2〜4時間の間だけ有効なエフェメリスデータである。つまり、エフェメリスデータは衛星によって放送されるデータと同じデータである。そのため、従来のモバイルベースシステムでは、測位を確定させるための総所要時間は、受信機が、支援データが有効な期間である2〜4時間の間以外で測位を計算しなければならず、そのためさらなる受信機とサーバとの間のトランザクションが必要とされる場合、深刻な影響を受ける。さらに、受信機が、支援データを供給したネットワークのサービスエリアを越えて2〜4時間以上移動した場合は、受信機は衛星から信号を捕捉し、自律的に測位を計算しなければならない。
【0010】
それゆえ、受信機とサーバとの間のトランザクション数を最小限に抑え、ネットワークのサービスエリア外でも継続して動作できるような、リモート受信機における衛星追跡データを用いる方法および装置が必要とされている。
【0011】
〔発明の開示〕
リモート受信機において、長期衛星追跡データを使用する方法および装置について、記載する。本発明の一実施形態では、サーバからの長期衛星追跡データをリモート受信機にて受信する。例えば、長期衛星追跡データは、少なくとも未来6時間は有効な、衛星軌道、衛星時計、または、衛星軌道および時計情報を含んでいる。長期衛星追跡データは、リファレンスネットワークや衛星制御基地、またはその両方から得られる衛星追跡情報を用いて、サーバで生成されてもよい。例えば、長期衛星追跡データは、エフェメリスデータのような、衛星軌道および/または時計モデルのブロックを用いて生成されてもよい。
【0012】
長期衛星追跡データは、捕捉支援データ(acquisition assistance data)を計算するために用いられる。例えば、捕捉支援データは、衛星から送信される衛星信号に対する予測ドップラーシフトを含んでいる。ドップラーシフトは、推定測位、推定時刻、そして長期衛星追跡データを用いて計算される。リモート受信機は、衛星信号を捕捉するために、捕捉支援データを使用する。捕捉された衛星信号は、リモート受信機の測位計算に用いられる。
【0013】
他の実施形態では、長期衛星追跡データはリモート受信機にて得られる。移動衛星測位システム(SPS)衛星が検出される。SPS衛星を検出するために、擬似距離がリモート受信機にて決定される。リモート受信機の測位は、擬似距離および長期衛星追跡データを用いて計算される。一実施形態において、SPS衛星は、すでに計算された測位を用いて計算された捕捉支援データおよびブラインドサーチの少なくとも一方を用いて検出される。長期衛星追跡データを用いることにより、リモート受信機が衛星からのエフェメリスをデコードする必要をなくしている。さらに、リモート受信機の測位は、サーバやネットワークから初期の推定測位を得ずに計算される。
【0014】
〔発明を実施するための最良の形態〕
本発明の上述の特徴をより詳細に理解するため、上記で短く要約した本発明のより詳細な記述を、添付の図面にいくつか図示した実施形態を参照して行う。しかしながら、添付の図面は、本発明の典型的な実施形態を記載したに過ぎず、発明の範囲を限定するものではなく、そのため、本発明は他の同等の効果のある実施形態を許容するものである。
【0015】
理解を助けるために、各図に共通な要素を指し示すために、可能な限り同じ参照数字を用いている。
【0016】
図1は、測位システム100の実施形態を示したブロック図である。システム100は、サーバ102と多数のリモート受信機104(説明上、リモート受信機1041とリモート受信機1042とリモート受信機1043)とから構成される。リモート受信機104は、測位を行うために、一群の衛星における、多数の衛星106への擬似距離を測定する。例えば、リモート受信機104は、全世界測位衛星システム(GPS)における、多数のGPS衛星への擬似距離を測定する。サーバ102は、リモート受信機104の動作を支援するために、衛星軌道情報、衛星時計情報、またはその両方を表すデータ(「衛星追跡データ」)を配信する。とりわけ、リモート受信機104は、衛星信号の捕捉を支援するため、および/または、測位を計算するために、衛星追跡データを用いる。
【0017】
サーバ102は、無線通信システム108やネットワーク110のような通信回線を用いて、リモート受信機104に衛星追跡データを配信する。例えば、リモート受信機1041は、無線通信システム108のサービスエリア112内に位置している。本発明の一実施形態において、衛星追跡データは、リモート装置1041と、無線通信システム108のサービスエリア112内に位置する基地局116との間の無線回線114を通じて、リモート装置1041に送信される。例えば、無線通信システム108は、携帯電話網であり、サービスエリア112はセルサイト(cell site)であり、基地局116はセルサイトをサービスするセルタワー(cell tower)である。他の実施形態では、衛星追跡データは、サーバ102からネットワーク110に提供され、リモート受信機1042に送信される。例えば、リモート受信機1042は、インターネットから衛星追跡データをダウンロードする。いくつかの場合、1またはそれ以上のリモート受信機104(例えば、リモート受信機1043)がサーバ102から衛星追跡データを受信することができないことがある。例えば、リモート受信機1043がサービスエリア112の外に移動し、無線通信システム108に接続できない場合がある。さらに、リモート受信機1043は、ネットワーク110にも接続することができない場合がある。以下に示すとおり、サーバ102からリモート受信機104に対して配信される衛星追跡データは、標準的な放送暦と比較して長い期間有効である(例えば、2〜4日)。従って、リモート受信機1043は、サーバ102との接続ができないにもかかわらず、かなりの期間、動作を継続することができる。
【0018】
衛星追跡データは、様々なタイプの衛星測定データ(「衛星追跡情報」)を用いて生成される。特に、サーバ102は、追跡ステーションのネットワーク(「リファレンスネットワーク118」)、または衛星制御局120、またはその両方などの外部のソースから、衛星追跡情報を受信する。リファレンスネットワーク118は、一群のすべての衛星から衛星追跡情報を収集する、いくつかの追跡ステーション、または、少数の追跡ステーション、または、世界の特定地域向けの衛星追跡情報しか収集しない単一の追跡ステーション、を含んでいる。リファレンスネットワーク118から受信する衛星追跡情報は、例えば、衛星エフェメリス、コード位相測定値(code phase measurements)、搬送波測定値(carrier phase measurements)、およびドップラー測定値(Doppler measurements)の少なくとも一つを含んでいる。リファレンスネットワークを用いてエフェメリスデータを収集および配信する典型的なシステムは、米国特許第6411892号(2002年6月25日発行)に開示されており、これを参照することにより、本明細書にその全体が組み込まれる。サーバ102は、通信回線122を介して、衛星制御局120(例えば、GPSのマスター制御局)から衛星追跡情報(例えば、エフェメリス)を受信する。衛星制御局から直接エフェメリス情報を得る典型的なシステムは、米国特許出願第10/081164号(2002年2月22日出願)(代理人整理番号 GLBL 020)に開示されており、これを参照することにより、本明細書にその全体が組み込まれる。
【0019】
サーバ102は、リファレンスネットワーク118および/または衛星制御局120から受信した衛星追跡情報を用いて、リモート受信機104に配信するための衛星追跡データを生成する。サーバ102で生成される衛星追跡データは、衛星軌道データ、衛星時計データ、またはその両方から構成される。衛星軌道データは、衛星106の放送暦データと比べて長期間有効である。本発明の一実施形態では、衛星軌道データは、少なくとも6時間有効である。他の実施形態では、衛星軌道データは、最大4日有効である。そのため、リモート受信機104に届けられた衛星追跡データを、一般的に2〜4時間しか有効でない放送暦データと区別するために、本明細書では「長期衛星追跡データ(long time satellite tracking data)」と称する。
【0020】
図2は、衛星追跡データ200の典型的な実施形態を示すブロック図である。衛星追跡データ200は、2021から202Nまでの多数のモデルを含んでいる(まとめて、モデル202として参照する)。ここで、Nは1またはそれ以上の整数である。モデル202のそれぞれは、未来の所定期間有効なものである(例えば、本実施形態では6時間)。モデル202のそれぞれは、衛星軌道データ、衛星時計データ、またはその両方を含んでいる。モデル202それぞれの衛星軌道データ部分は、衛星位置(satellite positions)、衛星速度(satellite velocities)、衛星加速度(satellite accelerations)を表すデータを1つまたはそれ以上含んでいる。モデル202それぞれの衛星時計データ部分は、衛星時計オフセット(satellite clock offsets)、衛星時計ドリフト(satellite clock drifts)、衛星時計ドリフトレート(satellite clock drifts rates)を表すデータを1つまたはそれ以上含んでいる。本発明の一実施形態では、モデル202のそれぞれは、リファレンスネットワーク118および/または衛星制御局120から収集したエフェメリスデータを含んでいる。他の実施形態では、モデル202のそれぞれは、軌道パラメータおよび/またはクロックパラメータを表す他のフォーマットである。衛星追跡データの典型モデルについては、米国特許第6542820号に開示されている。
【0021】
衛星追跡データ200は、衛星軌道および/または時計データのN個連続したブロックにより定義される(すなわち、Nモデル202)。例を挙げて明確にするために、モデル202のそれぞれは6時間有効であるとすれば、衛星追跡データは6N時間有効となる。なお、モデル202のそれぞれは、それ以外の期間内で有効であってもよいことは言うまでもない。例えば、16個のモデル202のシーケンスを用いると4日間有効な衛星追跡データが生成される。
【0022】
図1に戻り、一実施形態では、サーバ102により生成される衛星追跡データは、一群のすべての衛星と関連している。そのため、リモート受信機104がどこで測位を計算しても、リモート受信機104は、見えている衛星に対する正確な情報を有している。他の実施形態では、サーバ102により生成される衛星追跡データは、ある特定地域(例えば、リモート受信機104の動作する国)において、軌道および時計が有効となっている期間だけ見ることができる衛星としか関連していない。例えば、上述したように、衛星追跡データが、合計で未来4日間をカバーするような、6時間の軌道および/または時計モデルが16個連続する形式であるとする。これら6時間の間、いくつかの衛星は、リモート受信機104が動作しているいかなる国においても見られず、サーバ102では、衛星追跡データがリモート受信機104に配信される前に、衛星追跡データからこれら特定のモデルを取り除くように設定される。サーバ102は、衛星追跡データを提供可能な全ての衛星(つまり、一群のすべての衛星、または、特定地域で見えるすべての衛星)に提供するので、そのデータは、リモート受信機104が特定地域内のどこかにいる限り、衛星追跡データが届けられた時間におけるリモート受信機104の位置に依存しない。
【0023】
図3は、リモート受信機300の典型的な実施形態を示したブロック図である。リモート受信機300は、図1に示したリモート受信機104のいずれかとして使用する。リモート受信機300は、衛星信号受信部302と、無線通信部304と、マイクロコントローラ306と、メモリ308と、モデム310と、クロック311とから構成される。衛星信号受信部302は、アンテナ312を介して衛星信号を受信する。衛星信号受信部302は、一般的な手法で擬似距離を得るために、該受信した衛星信号を処理する。典型的なAssisted-GPS信号受信機は、米国特許第6453237号(2002年9月17日発行)に開示されており、これを参照することにより、本明細書にその全体が組み込まれる。クロック311は、推定時刻を定めるために用いられる。
【0024】
メモリ300は、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、リムーバブルストレージ、ハードディスクストレージ、または、これら記憶装置の組み合わせである。メモリ308は、衛星信号を捕捉したり、測位を計算したり、またはその両方を支援するために用いられる、衛星追跡データ316を格納する。衛星追跡データ316は、無線通信部304を用いてアンテナ314から受信するか、または、モデム310を用いてコンピュータネットワーク(例えば、インターネット)から受信する。メモリ300は、また、位置テーブル(テーブル318)を格納する。テーブル318は、リモート受信機400の最近計算された測位、および/または、リモート受信機300が最近通信した基地局またはセルサイトの位置を含んでいる。テーブル318は、リモート受信機300の推定測位を定めるために用いられる。以下に示すように、リモート受信機300の推定測位および推定時刻は、衛星追跡データ316から衛星信号を捕捉するにあたり支援するためのデータ(捕捉支援データ320)を生成する。
【0025】
図4は、サーバ400の典型的な実施形態を示すブロック図である。サーバ400は、図1に示したサーバ102として用いられる。サーバ400は、中央演算処理装置(CPU)402と、入出力(I/O)回路404と、サポート回路406と、メモリ408とから構成される。サポート回路406は、例えば、クロック回路、キャッシュ、電力供給といった、CPU402の動作を助ける一般的な回路である。メモリ408は、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、リムーバブルストレージ、ハードディスクストレージ、または、これら記憶装置の組み合わせである。
【0026】
衛星追跡情報410(例えば、エフェメリス、コード位相測定値(code phase measurements)、搬送波測定値(carrier phase measurements)、ドップラー測定値(Doppler measurements))は、I/O回路404を用いて、該情報の外部ソース(例えば、リファレンスネットワークおよび/または衛星制御局)から受信され、メモリ408に格納される。サーバ400は、リモート装置が使用するための長期衛星追跡データを計算するために、衛星追跡情報410を使用する。I/O回路404はまた、セルデータベース412と接続されている。セルデータベース412は、無線通信システムの様々な基地局またはセルサイトの位置とともに、基地局またはセルサイトの識別子(セルID)のデータベースを格納する。以下に示すように、基地局またはセルサイトの位置は、リモート受信機の概算測位として用いられる。別の方法としては、リモート受信機の概算測位は、セルサイト間または基地局間の遷移、最後に把握していた測位、などを用いて決定される。
【0027】
I/O回路404はまた、装置データベース414と接続されている。装置データベース414は、特定の衛星追跡データがリモート受信機に配信され、そのような衛星追跡データの有効期限が切れたとき、追跡を維持するために用いられる。装置データベース414を用いて、サーバ400は、いつ、新たな衛星追跡データでリモート受信機を更新するのかを決定する。衛星追跡データをリモート受信機に送信する典型的な処理は以下に示す。
【0028】
衛星追跡データは、リモート受信機からの要求に対する応答として、該リモート受信機に届けられる。例えば、リモート受信機のユーザが、サーバからの衛星追跡データを手動で要求したり、衛星追跡データを必要とする測位計算を開始したりする場合である。衛星追跡データはまた、自動的にリモート受信機に届けられてもよい。図5は、衛星追跡データを自動的にリモート受信機に送信する処理500の典型的な実施形態を示したフロー図である。処理500は、サーバまたはリモート受信機のいずれかで実行される。つまり、リモート受信機が衛星追跡データを必要とするときに決定するか、または、サーバが衛星追跡データを必要とするときに決定する。
【0029】
処理500は、ステップ502から始まるが、ここは、衛星追跡データが最後に決定されてからの時間の経過である。ステップ504では、経過した時間が所定の閾値を超えたかどうかが判断される。該閾値は、衛星追跡データの有効期間のある割合(percentage)である。例えば、もし、衛星追跡データが4日間有効であれば、上記閾値は2日と設定する。すなわち、衛星追跡データが送信されてから2日経過すると、上記閾値を越える。上記閾値を超えた場合、処理500はステップ506へ進む。上記閾値を超えていなければ、処理500はステップ502へ戻る。
【0030】
ステップ506では、サーバとの接続が可能であるか否かを判断する。例えば、リモート受信機が電源を切っていたり、システムのサービスエリア外に移動している場合は、サーバへの接続が可能でない。もし接続が可能であれば、処理500はステップ508へ進む。
【0031】
ステップ508では、新たな衛星追跡データが、低いトラフィック周期(period)で、リモート受信機へ送信されるようにスケジュールされる。ステップ504での閾値が、衛星追跡データの有効期間のある割合に設定されており、現在格納されている衛星追跡データが有効であるため、リモート受信機は、ただちには、新たな衛星追跡データを必要としない。そのため、新たな衛星追跡データは、無線通信システムまたはその他のネットワークを用いて、そのようなネットワーク上の低い動作の周期の間、リモート受信機に送信されてもよい。
【0032】
ステップ506で接続ができない場合、処理500は、ステップ510に進む。ステップ510では、経過時間が衛星追跡データの有効期間を超えたかどうか判断する。もし超えていなければ、処理500は上述のステップ508に進む。つまり、サーバは、新たな衛星追跡データを、低いトラフィック周期で、リモート受信機へ送信するようにスケジュールする。ステップ504での閾値が、衛星追跡データの有効期間のある割合に設定されているので、リモート受信機は、ただちには、新たな衛星追跡データを必要としない。リモート受信機は、接続が可能となるまで、有効な衛星追跡データで動作を続け、接続が可能となると、新たな衛星追跡データが、低いトラフィック周期で送信される。
【0033】
ステップ510で、経過時間が衛星追跡データの有効期間を超えた場合、処理500はステップ512へ進む。ステップ512では、接続が可能となったとき、新たな衛星追跡データがリモート受信機に送信されるようにスケジュールされる。つまり、リモート装置が再度システムに接続したとき、該新たな衛星追跡データがリモート受信機にアップロードされる。
【0034】
従って、全てのリモート受信機は、サーバと接続可能なほとんどの時間は、有効な衛星追跡データを有している。さらに、ほとんど全てのリモート受信機は、衛星追跡データを要求することなく、または、届けられる衛星追跡データを待つことなく、測位を確定したいときはただちに、Assisted-GPSの恩恵を受ける。そのため、サーバとのトランザクション数が抑えられる。サーバとの接続ができないリモート受信機は、サーバと接続されていない間は、延長された期間(例えば4日間)、衛星追跡データを用いて動作を継続すればよい。さらに、衛星追跡データは、リモート受信機が使用する正確な時刻とは独立している。
【0035】
図6Aから図6Cは、長期衛星追跡データを用いてリモート受信機を測位を行う処理600の典型的な実施形態を示すフロー図である。処理600は、ステップ602から始まるが、ここは、衛星追跡データが最後に決定されてからの時間の経過である。ステップ604では、衛星追跡データの有効期間が超過したかどうかを判断する。例えば、衛星追跡データは4日間有効である。衛星追跡データが有効である場合、処理はステップ606に進む。有効でない場合は、処理600はステップ610に進む。
【0036】
ステップ606では、サーバとリモート受信機との間の接続が可能であるか否かを判断する。接続が可能でなければ、処理600はステップ608に進み、接続が可能でない旨のフラグが付けられる。接続が可能であれば、処理600はステップ607に進む。ステップ607では、リモート受信機にて、新たな衛星追跡データが要求され、サーバから受信される。ステップ609では、既に格納されている衛星追跡データが該新たな衛星追跡データに更新される。そして、処理はステップ610に進む。
【0037】
ステップ610では、時刻が決定される。一実施形態では、推定時刻がリモート受信機内部のクロックを用いて決定される。ステップ612では、リモート受信機の測位が推定される。ステップ614では、上記時刻、上記推定測位、および、格納されている衛星追跡データ(または、衛星暦データ)を用いて、捕捉支援データが計算される。捕捉支援データは、リモート受信機が衛星信号を捕捉するのを助ける。一実施形態では、捕捉支援データは、リモート受信機から見える衛星それぞれに対応する予測ドップラーシフトを含む。GPSでは、すべての衛星信号は、正確に1575.42MHzの同じ周波数で衛星から放たれる。しかしながら、リモート受信機で観測される衛星信号の周波数は、衛星の動きにより、±4.5KHzシフトされる。水平線から登る衛星は、最大4.5KHz高いドップラーシフトを示し、水平線へ沈む衛星は、最大4.5KHz低いドップラーシフトを示し、天頂(リモート受信機の視点で上空で最も高い位置)の衛星は、ドップラーシフトを示さない。
【0038】
リモート受信機は、リモート受信機の推定測位に関係するドップラーシフトを計算するために、推定測位、時刻、および、格納されている衛星追跡データ(または、衛星暦データ)を用いる。上述したように、一実施形態では、衛星追跡データは、エフェメリスデータのブロックの形式で提供される。そのような衛星追跡データを用いれば、推定測位および時刻におけるドップラーシフトの計算は、一般的な手法により計算される。捕捉支援データは、予測ドップラーシフトの不確定性(uncertainty)のウィンドウ(window)またはレンジ(range)を提供する。不確定性のレンジのサイズは、最初の推定測位および時刻の正確さに依存する。該時刻は、不確定性のレンジのサイズへの影響は少なく、GPS時間の数秒ごとにエラーがある。推定測位は、不確定性のレンジに大きく影響する。推定測位が、リモート受信機の本来の測位からおよそ10km内である場合、ドップラーレンジは±10Hzである。推定測位が、本来の測位から広い範囲内(例えば、ある国または3000km内)である場合、ドップラーレンジは、±3000Hzとなる。リモート受信機の測位を推定する処理は、以下で述べる。技術的に良く知られているように、ドップラーのサーチレンジは、リモート受信機におけるローカルリファレンス周波数(local reference frequency)の不確定性を含んでいなければならない。
【0039】
ステップ616では、衛星信号が、リモート受信機にて捕捉支援データを用いて捕捉される。一実施形態では、リモート受信機は、捕捉支援データおよびローカル周波数リファレンス(local frequency reference)で定義される周波数レンジ内で、衛星信号をサーチする。初期の測位を計算するために必要な衛星信号を捕捉するのに要する時間(初期測位時間(time to first fix))は、周波数ウィンドウのサイズに依存する。周波数ウィンドウが小さいほど、初期測位時間は早くなる。
【0040】
ステップ618では、接続が不可能であるとフラグされているかどうかを判断する。フラグされていない場合は、処理600はステップ624に進み、格納されている衛星追跡データを用いてリモート受信機の測位を計算する。ステップ608で接続が不可であるとフラグされている場合は、処理はステップ620へ進む。ステップ620では、捕捉した衛星信号からのエフェメリスがデコードされる。有効でないデータ、または、「古い」衛星追跡データ、または、衛星暦データは、ステップ614で捕捉支援データを計算するために使用され、そのような期限切れまたは不正確な衛星追跡データは、リモート受信機の測位を計算するためには使用されない。そのため、格納されている衛星追跡データの期限が切れ、リモート受信機が新たな衛星追跡データを得るためにサーバと接続できない場合、リモート受信機は、エフェメリス情報を得るために衛星信号をデコードしなければならない。ステップ622では、リモート受信機の測位を、エフェメリス情報を用いて計算している。
【0041】
図7は、リモート受信機の測位を推定する処理700の典型的な実施形態を示すフロー図である。処理700は、処理600のステップ612にて、初期推定技術として用いられる。セルサイト間またはリモート受信機の基地局間の遷移を用いたり、リモート受信機が最後にいた測位を用いたりする、他の測位推定技術を用いてもよい。処理700はステップ702から始まり、ここでは、リモート受信機が現在動作しているセルサイト(アクティブセルサイト(active cell site))のセルIDの有無を判断する。セルIDがない場合はアクティブセルサイトは存在せず、処理700はステップ706に進む。セルIDが有る場合、処理700はステップ704に進む。
【0042】
ステップ704では、セル位置がリモート受信機内に格納されたテーブルに存在するかどうかを判断する。つまり、リモート受信機は、アクティブセルサイトの位置を識別するための位置テーブルに索引をつけるために、セルIDを用いる。アクティブセルサイトに関連する位置がテーブル内に存在すれば、処理700はステップ708に進み、リモート受信機の推定測位および推定測位の不確定性を出力する。上記セル位置がテーブルに存在しなければ、処理700はステップ706に進む。
【0043】
ステップ706では、いずれのセルIDも存在しないか(例えば、リモート受信機が無線通信システムのサービスエリア内で動作していない)、または、テーブル内に格納されているセルIDに関連する位置が存在しない。そのため、最近の測位確定があったかどうかを判断する。例えば、最近の測位確定が、過去3分以内に計算されたかどうかである。ここで、3分間で、リモート受信機が時速200km未満で移動した場合、リモート受信機は、せいぜい10kmしか移動し得ない。これは、リモート受信機が、セルサイトの位置を用いた場合に得られる不確定な概算測位の範囲内である。測位確定が最近なされた場合、処理700はステップ708に進み、最近確定した測位は推定測位として用いられ、推定測位と不確定性が出力される。さらに、ステップ710で位置テーブルが最近の測位で更新される。
【0044】
ステップ706で、最近確定した測位が無い場合、処理700はステップ712に進む。ステップ712では、サーバとリモート受信機との接続が可能であるかどうかを判断する。可能でない場合、処理700はステップ718に進み、推定測位は広域に設定される(例えば、国または動作している地域)。処理700は、ステップ718からステップ708に進み、推定測位と不確定性を出力する。
【0045】
ステップ712で、サーバとリモート受信機との接続ができるならば、処理700はステップ714に進む。ステップ714では、アクティブセルサイトの位置がサーバから要求される。リモート受信機は、セルIDを得ていれば、該セルIDをサーバに送信する。さらに、ステップ710にて、新たに返却されたアクティブセルサイトの位置により、位置テーブルを更新する。ステップ716でサーバから位置が返却されない場合は、処理700はステップ718に進み、推定測位を広域に設定する。
【0046】
位置テーブルおよび最近確定した測位を使用することにより、リモート受信機はサーバとの不要なトランザクションを避ける。それゆえ、セルIDを用いたアクティブセルサイトの位置を要求するよりも、リモート受信機はその情報がローカルに格納されている場合、最初の決定を行う。
【0047】
長期衛星追跡データを用いる方法および装置について記載した。本発明に係る一実施形態では、長期衛星追跡データは、2〜4日間有効な、衛星軌道および/または時計データを含んでいる。それゆえ、リモート受信機は、更新された情報を受信するためにサーバと接続しなくても、最大4日間は動作し続ける。リモート受信機が、サーバと接続できない(例えば、リモート受信機がネットワークのサービスエリア外に移動した)場合、リモート受信機は、再度ネットワークと接続可能となるまで、長期衛星追跡データを使用し続ける。そのため、サーバとリモート装置とのトランザクションは、2〜4日に一度しかないか、または、リモート装置がサーバからセルサイトまたは基地局の位置を要求したときのみとなる。
【0048】
長期衛星追跡データを得たら、リモート受信機は、衛星信号を捕捉し、捕捉した衛星に対する擬似距離を決定し、該擬似距離および上記長期衛星追跡データを用いて測位を計算する。リモート受信機はまた、衛星信号捕捉処理の助けとなる捕捉支援データ(例えば、予測ドップラーシフト)を生成するために、推定測位および推定時刻とともに、長期衛星追跡データを用いる。上記処理は、図6に関する上述のとおりである。一実施形態においては、推定測位はネットワークから(例えばセルIDを用いて)得られる。
【0049】
しかしながら、いくつかの場合、リモート受信機は、捕捉支援データを計算するためにネットワークから初期の測位を得ることができない。例えば、リモート受信機は、ネットワークのサービスエリアの外では自律的に動作する。そのため、本発明の他の実施形態では、リモート受信機は、捕捉支援データを計算して擬似距離を決定するにあたり、ネットワークから推定測位を受信するよりも、すでに計算された測位を初期の測位として用いることを試みる。そして、リモート受信機は、擬似距離および長期衛星追跡データを用いて測位を計算する。そして、該測位の有効性が検査され、有効であれば、リモート受信機は、測位を計算するためにブラインドサーチを実行する。
【0050】
特に、図8は、本発明に従って、リモート受信機の測位を行う方法800の典型的な他の実施形態を示すフロー図である。方法800は、ネットワークからリモート受信機の初期の推定測位を得ることなく実行される。方法800はステップ802から始まる。ステップ804では、長期衛星追跡データを得る。例えば、長期衛星追跡データを、リモート受信機内のメモリから得る。リモート受信機は、図5にて上述したように、ネットワークから長期衛星追跡データを受信してもよい。リモート受信機は、図6にて上述したように、定期的に長期衛星追跡データをリフレッシュする。
【0051】
ステップ806では、既に計算された測位が利用できるかどうかを判断する。例えば、リモート受信機は、計算された測位を格納する測位キャッシュを保持し、そこからすでに計算された測位を得る。すでに計算された測位が利用できない場合、方法800はステップ820へ進む。ステップ820では、ブラインドサーチを用いて測位が計算される。ステップ820にて用いられるブラインドサーチ処理の典型的な実施形態は、図9から図11を用いて後述する。そして方法800は、ステップ822に進み、上記測位を、次回の繰り返しにおいて既に計算された測位として用いるために、格納する。
【0052】
ステップ806にて、すでに計算された測位が利用できる場合、方法800はステップ808に進む。ステップ808では、捕捉支援データ(例えば、予測ドップラーシフト)を計算するために、すでに計算された測位が推定測位として、長期衛星追跡データとともに用いられる。ステップ810では、移動衛星測位システム(SPS)衛星からの衛星信号が、上記捕捉支援データを用いてリモート受信機で捕捉される。
【0053】
ステップ812では、捕捉された衛星が所定の閾値を超えたかどうかを判断する。例えば、閾値は2衛星である。そのため、ステップ810にて、2より多くの衛星が捕捉されると、方法800はステップ814に進む。一方、ステップ810にて、2またはそれ以下の衛星が捕捉された場合、方法800はステップ820に進み、測位を計算するために、ブラインドサーチ処理が実行される。
【0054】
ステップ814では、検出されたSPS衛星に対する擬似距離が決定される。リモート受信機は、一般的な対比(correlation)処理を用いて、検出されたSPS衛星へのサブミリセカンド擬似距離を測定する。サブミリセカンド擬似距離の整数ミリ秒部分は、推定測位として用いられた、既に計算された測位を用いて、確定される。一実施形態において、上記整数は、サブミリセカンド擬似距離、および、既に計算された測位と長期衛星追跡データから導かれる推定衛星位置との間の予測擬似距離を関連付けることにより、確定される。擬似距離整数を計算する典型的な処理は、同一出願人による、米国特許第6734821号(2004年5月11日発行)に開示されており、これを参照することにより、本明細書にその全体が組み込まれる。
【0055】
ステップ816では、リモート受信機の測位が、ステップ814で決定された擬似距離と、ステップ804で得られた長期衛星追跡データとを用いて計算される。測位は、従来のナビゲーションを求める式を用いて計算される。ステップ818では、計算された測位が有効であるかどうかを判断する。とりわけ、計算された測位の整合性が、従来の整合性検査技術を用いて判断される。例えば、上記計算された測位と、推定測位として用いられていた、既に計算された測位との差異を計算し、閾値と比較する。差異が閾値(例えば、150km)を超えている場合は、上記計算された測位は、無効である旨のフラグを立てる。あるいは、計算された測位の高度が、許容範囲内(例えば、−1km〜15km)であるかどうかを判断する。上記高度が範囲外であれば、計算された測位は、無効である旨のフラグを立てる。他の実施形態では、誤った擬似距離を識別するために、事後残差(a-posteriori residuals)が解析される。擬似距離のそれからも誤りが発見されれば、計算された測位は、無効であるとみなされる。事後残差を解析する典型的な処理は、上述の米国特許第6734821号に記載されている。
【0056】
ステップ818で、上記計算された測位が無効であるとみなされると、方法800はステップ820に進み、測位を計算のためにブラインドサーチが実行される。そうでなければ、方法800はステップ822に進み、上記計算された測位は、次回の繰り返しにおいて、既に計算された測位として用いるために格納される。
【0057】
図9は、本発明に従ってブラインドサーチ技術を用いてリモート受信機の測位を行う方法900の典型的な実施形態を示すフロー図である。方法900は、ネットワークからリモート受信機の初期の推定測位を得ずに、実行される。方法900はステップ902から始まる。ステップ904では、SPS衛星を検出するためにブラインドサーチが実行される。つまり、リモート受信機は捕捉支援データの恩恵を受けずに、従来の方法で、衛星信号をサーチする。ステップ906では、検出されたSPS衛星に対する擬似距離を決定する。リモート受信機は、従来の対比(correlation)処理を用いて検出されたSPS衛星に対するサブミリセカンド擬似距離を測定する。サブミリセカンド擬似距離の整数部分は、週の時刻(TOW)を得るために衛星によって放送されている衛星ナビゲーションストリームにおけるハンドオーバーワード(HOW)をデコードすることによる、一般的に知られた方法で計算される。ステップ908では、ステップ906で決定された擬似距離およびリモート受信機に格納されている長期衛星追跡データを用いて、リモート受信機の測位が計算される。上記測位は、従来のナビゲーションを求める式を用いて計算される。そして方法900はステップ910で終了する。
【0058】
測位計算のために長期衛星追跡データを使用することは、リモート受信機が、擬似距離が決められた衛星のそれぞれからの衛星ナビゲーションストリームから、エフェメリスをデコードする必要性を取り除いている。エフェメリスをデコードする必要が無いので、特に、衛星信号が微弱および/または断続的である場合、リモート受信機のコールドスタートの速度が増加する。その上、方法900は、ネットワークからの初期測位または正確な時刻を必要とせずに実行されるので、リモート受信機がネットワークのサービスエリア外のときでも、方法900は実行される。方法900を用いて計算された測位は格納され、図8にて上述したように、次回の測位計算における捕捉支援データを計算するための推定測位をして用いられる。
【0059】
図10は、本発明に従ってブラインドサーチ技術を用いてリモート受信機の測位を行う方法1000の他の実施形態を示すフロー図である。図9の方法900と同様に、方法1000は、ネットワークからリモート受信機の初期の推定測位を得ずに、実行される。方法1000はステップ1002から始まる。ステップ1004では、SPS衛星を検出するためにブラインドサーチが実行される。ステップ1006では、検出されたSPS衛星に対するサブミリセカンド擬似距離を測定する。ステップ1008では、リモート受信機で擬似距離レートが測定される。一実施形態では、擬似距離レートは、ドップラー測定値を得ることにより測定される。あるいは、擬似距離レートは、サブミリセカンド擬似距離の時間派生(time-derivative)を計算することにより測定される。
【0060】
ステップ1010では、リモート受信機の推定測位が、リモート受信機に格納されている長期衛星追跡データおよび擬似距離レートを用いて、計算される。一実施形態では、次に示す算術モデルを繰り返し適用することによってなされる。
【0061】
【数1】
【0062】
ここで、
【0063】
【数2】
【0064】
は、擬似距離レート残差(つまり、測定された擬似距離レートと予測擬似距離レートとの差異)のベクトルである(以下では、ubarと記す)。そして、
【0065】
【数3】
【0066】
は、偏導関数を示している。そして、
【0067】
【数4】
【0068】
は、n番目の擬似距離レートである。そして、cは光の速度を示している。変数x、y、およびzは、事前測位の更新である。この実施形態では、初期測位は限定されないため、上述のモデルは、地球の中心が初期位置として適用され、更新が収束するまで繰り返される。変数fcは、リモート受信機の事前のリファレンス周波数オフセット(a-priori reference frequency offset)を更新する。一実施形態では、fcの単位は、seconds/secondであり、cの単位はm/sであり、ubarの単位はm/sである。予測擬似距離レートおよび行列要素は、長期衛星追跡データを用いて計算される。このモデルの由来は、同一出願人による、米国特許出願第10/617559号(2003年6月11日出願)(代理人整理番号 GLBL 027)に詳細に開示されており、これを参照することにより、本明細書にその全体が組み込まれる。さらに、時刻オフセットのような条件は、上述の計算に含まれているが、概算測位(例えば、10km以内)だけが必要であり、ubarの値および行列の要素を計算するとき上述の計算における概算時刻を使うのに十分である。
【0069】
他の実施形態において、リモート受信機の推定測位は、擬似距離レートおよびサブミリセカンド擬似距離を用いてステップ1010にて計算される。とりわけ、ステップ1004で衛星が2つしか検出されない場合、リモート受信機は、さらなる支援データ無しに、距離レートのみ、または、擬似距離のみを用いて測位を計算することはできない。しかしながら、距離レートおよび擬似距離のそれぞれは独立に測定されるので、距離レートおよび擬似距離は測位計算のために十分な測定値(例えば、緯度、経度、高度、および共通モード時計偏差の4測定値)を提供するために組み合わされる。このような計算は、上述で参照した米国特許出願第10/617559号に示されている。
【0070】
ステップ1012では、ステップ1005で測定されたサブミリセカンド擬似距離の整数部分が、ステップ1010で計算された推定測位を用いて確定される。一実施形態において、上記整数は、ステップ1006で測定されたサブミリセカンド擬似距離と、推定測位および長期衛星追跡データから導き出される推定衛星位置の間の予測擬似距離とを関連付けることにより、定まる。擬似距離の整数を計算する典型的な処理は、上述で参照した米国特許第6734821号に記載されている。
【0071】
ステップ1014では、リモート受信機で正確な時刻が利用可能かどうかを判断する。例えば、リモート受信機は、TOWカウントメッセージを得るためにHOWをデコードすることにより、正確な衛星時刻を得る。あるいは、リモート受信機は、ネットワークから初期的に正確な衛星時刻を得て、その後正確な時刻を追い続けてもよい。リモート受信機が正確な時刻を知った場合、方法1000は、ステップ1016に進む。ステップ1016では、従来にナビゲーション法で、長期衛星追跡データおよびフル擬似距離を用いてリモート受信機の測位が計算される。リモート受信機が正確な時刻を知らない場合、方法1000はステップ1018に進む。
【0072】
ステップ1018では、タイムフリーナビゲーションモデルにて、長期衛星追跡データおよびフル擬似距離を用いて、リモート受信機の測位が計算される。とりわけ、算術モデルは、測位(例えば、x、y、およびzの位置)および時刻(例えば、ローカル時計バイアス(tc)および時刻エラー(ts))を更新するために、実際の擬似距離と予測擬似距離との間の残差を関連付けるために用いられる。予測擬似距離は、ステップ1010で計算された推定測位に基づくものである。一実施形態においては、算術モデルは以下のように定義される。
【0073】
【数5】
【0074】
ここで、
【0075】
【数6】
【0076】
は、擬似距離残差(予測擬似距離と実際の擬似距離との差異)のベクトルであり、行列Hは、測位更新(x、y、z)と擬似距離残差とを関連付ける、よく知られている視線ベクトル(最初の3行)、上記ローカル時計バイアス(tc)と上記擬似距離残差とを関連付ける、よく知られている定数のカラム(cは光の速度)、上記時刻エラー(ts)と上記擬似距離残差とを関連付ける、距離レートのカラムを含む。上記算術モデルを詳細に理解するためには、上述の米国特許第6734821号を参照されたい。測位を収束させるために、上記算術モデルのいくつかの繰り返しが実行される。方法1000はステップ1020で終了する。
【0077】
測位計算のために長期衛星追跡データを使用することは、リモート受信機が、擬似距離が決められた衛星のそれぞれからの衛星ナビゲーションストリームから、エフェメリスをデコードする必要を取り除いている。エフェメリスをデコードする必要が無いので、特に、衛星信号が微弱および/または断続的である場合、リモート受信機のコールドスタートの速度が増加する。その上、方法1000は、ネットワークからの初期測位または正確な時刻を必要とせずに実行されるので、リモート受信機がネットワークのサービスエリア外のときでも、方法1000は実行される。方法1000を用いて計算された測位は格納され、図8にて上述したように、次回の測位計算における捕捉支援データを計算するための推定測位をして用いられる。
【0078】
図11は、本発明に従ってブラインドサーチ技術を用いてリモート受信機の測位を行う方法1100の他の実施形態を示すフロー図である。この場合もやはり、方法1100は、ネットワークからリモート受信機の初期の推定測位を得ずに、実行される。方法1100は、ステップ1102から始まる。ステップ1104では、SPS衛星を検出するためにブラインドサーチが実行される。ステップ1106では、検出されたSPS衛星に対するサブミリセカンド擬似距離を測定する。ステップ1108では、可能な全ての測位空間からリモート受信機の事前測位を選択する。とりわけ、可能な全ての事前の測位空間は、100km×100kmの緯度経度グリッドに分割され、地形上の高度の参照テーブルから割り当てられた高度のセグメントである。ステップ1110では、事前の推定測位に基づいて、サブミリセカンド擬似距離の整数部分が確定される。上記整数部分は、図10にて上述した方法1000のステップ1012で実行されたのと同様の処理を用いて確定される。
【0079】
ステップ1112では、リモート受信機に格納されている長期衛星追跡データおよびフル擬似距離を用いて、リモート受信機の測位が計算される。上記測位は、図10にて上述してように、従来のナビゲーションを求める式(正確な時刻が利用可能な場合)、または、タイムフリーナビゲーションモデルを用いて計算される。ステップ1114では、計算された測位が有効であるかどうかが判断される。計算された測位の有効性は、方法800のステップ818にて説明したように推定される。有効でなければ、方法1110はステップ1108に戻り、可能な全ての測位空間から他の事前測位を選択する。有効であれば、方法1110はステップ1116に進む、ステップ1116では、計算された測位を出力する。そして方法1110はステップ1118で終了する。方法1110で出力された測位は、図8で説明したように、格納され、次回の測位計算における捕捉支援データを計算するための推定測位として用いられる。
【0080】
上述のように、本発明を、合衆国全世界測位衛星システム(GPS)におけるアプリケーションを参照して、説明した。しかしながら、これら方法は、特に、ロシアGlonassシステム、欧州Galileoシステムなどの同様の衛星システム、または、GlonassシステムとGalileoシステムとGPSシステムとの組み合わせにも等しく適用できることは明らかである。本明細書での「GPS」という語は、GlonassシステムおよびGalileoシステムを含む、代わりの衛星測位システムを含んでいる。
【0081】
GPS衛星を参照しながら本発明に係る方法および装置について説明したが、擬似衛星(pseudolites)または衛星と擬似衛星との組み合わせを使用する測位システムにも等しく適用できることがわかるであろう。擬似衛星は、GPS時刻と一般的に同期しているLバンド搬送信号に変調されるPNコード(GPS信号と同様の信号)を放送する地上の送信機である。本明細書での「衛星」という語は、擬似衛星または擬似衛星と同等のものを含んでおり、「GPS信号」という語は、擬似衛星または擬似衛星と同等のものからの、GPSに似た信号を含んでいる。
【0082】
上記は、本発明の実施形態を直接的に記述したが、基本的範囲を逸脱することなく、また、請求項により定められる範囲から逸脱することなく、本発明の他のさらなる実施形態を創作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】測位システムの典型的な実施形態を示すブロック図である。
【図2】衛星追跡データの典型的な実施形態を示すブロック図である。
【図3】リモート受信機の典型的な実施形態を示すブロック図である。
【図4】サーバの典型的な実施形態を示すブロック図である。
【図5】衛星追跡データを自動的にリモート受信機に送信する処理の典型的な実施形態を示すフロー図である。
【図6A】長期衛星追跡データを用いて、リモート受信機の測位を行う処理の一部の典型的な実施形態を示すフロー図である。
【図6B】長期衛星追跡データを用いて、リモート受信機の測位を行う処理の一部の典型的な実施形態を示すフロー図である。
【図6C】長期衛星追跡データを用いて、リモート受信機の測位を行う処理の一部の典型的な実施形態を示すフロー図である。
【図7】リモート受信機の測位を推定する処理の典型的な実施形態を示すフロー図である。
【図8】本発明に従って、リモート受信機の測位を行う方法の典型的な他の実施形態を示すフロー図である。
【図9】本発明に従って、ブラインドサーチを用いてリモート受信機の測位を行う方法の典型的な実施形態を示すフロー図である。
【図10】本発明に従って、ブラインドサーチを用いてリモート受信機の測位を行う方法の典型的な他の実施形態を示すフロー図である。
【図11】本発明に従って、ブラインドサーチを用いてリモート受信機の測位を行う方法の典型的なさらに他の実施形態を示すフロー図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモート受信機の測位方法であって、
上記リモート受信機にて長期衛星追跡データを取得し、
移動衛星測位システム(SPS)衛星を検出し、
上記リモート受信機から上記検出したSPS衛星への擬似距離を決定し、
上記擬似距離および上記長期衛星追跡データを用いて、上記リモート受信機の測位を計算することを特徴とするリモート受信機の測位方法。
【請求項2】
上記検出するステップは、
上記SPS衛星を検出するために既に計算されている測位を用いて計算された捕捉支援データを用いること、および、上記SPS衛星を検出するためにブラインドサーチを実行すること、の少なくともいずれか一方を含むことを特徴とする請求項1に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項3】
上記長期衛星追跡データは、サーバから送られ、上記リモート受信機で受信されることを特徴とする請求項1に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項4】
上記長期衛星追跡データは、上記リモート受信機で生成されることを特徴とする請求項1に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項5】
上記擬似距離を決定するステップは、
上記検出したSPS衛星へのサブミリセカンド擬似距離を測定し、
上記検出したSPS衛星のうちの少なくとも一つにより送信される週の時刻(TOW)の値を検出し、
上記TOWの値を用いて上記擬似距離を得るために、上記サブミリセカンド擬似距離の整数部分を求めることを含むことを特徴とする請求項1に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項6】
上記擬似距離を決定するステップは、
上記検出したSPS衛星へのサブミリセカンド擬似距離を測定し、
上記検出したSPS衛星に関する擬似距離レートを測定し、
上記擬似距離レートを用いて上記リモート受信機の推定測位を計算し、
上記擬似距離を得るために、上記推定測位を用いて上記サブミリセカンド擬似距離の整数部分を求めることを含むことを特徴とする請求項1に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項7】
上記計算するステップは、
推定時刻を取得し、
上記長期衛星追跡データと上記推定時刻と上記推定測位とを用いて、上記サブミリセカンド擬似距離を、複数の測位および時間変数と関連付け、
上記リモート受信機の測位を決定するために、一または複数の上記測位および時間変数を求めること含むことを特徴とする請求項6に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項8】
上記擬似距離を決定するステップは、
上記検出したSPS衛星へのサブミリセカンド擬似距離を測定し、
測位空間から事前測位を選択し、
上記擬似距離を得るために、上記事前測位を用いて上記サブミリセカンド擬似距離の整数部分を求めることを含むことを特徴とする請求項1に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項9】
上記計算するステップは、
推定時刻を取得し、
上記長期衛星追跡データと上記推定時刻と上記事前測位とを用いて、上記サブミリセカンド擬似距離を、複数の測位および時間変数と関連付け、
上記リモート受信機の測位を決定するために、一または複数の上記測位および時間変数を求めること含むことを特徴とする請求項8に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項10】
上記測位が有効でないという判定をしたとき、上記選択ステップを繰り返し、上記測位空間における追加の事前測位を少なくとも一つ求めることをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項11】
リモート受信機の測位方法であって、
上記リモート受信機にて長期衛星追跡データを取得し、
第1のSPS衛星群とのサブミリセカンド擬似距離を測定し、
第2のSPS衛星群に関する擬似距離レートを測定し、
上記擬似距離レートを用いて上記リモート受信機の推定測位を計算し、
フル擬似距離を得るために、上記推定測位を用いて、上記サブミリセカンド擬似距離の整数部分を求め、
上記フル擬似距離および上記長期衛星追跡データを用いて上記リモート受信機の測位を計算することを特徴とするリモート受信機の測位方法。
【請求項12】
上記計算するステップは、
利用可能な正確な時刻を決定し、
上記正確な時刻が利用不可能になったことに応じて、タイムフリーナビゲーションモデルを用いて上記測位を計算することを含むことを特徴とする請求項11に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項13】
上記計算するステップは、
推定時刻を取得し、
上記長期衛星追跡データと上記推定時刻と上記推定測位とを用いて、上記サブミリセカンド擬似距離を、複数の測位および時間変数と関連付け、
上記リモート受信機の測位を決定するために、一または複数の上記測位および時間変数を求めること含むことを特徴とする請求項12に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項14】
測位装置であって、
長期衛星追跡データを保存するためのメモリと、
移動衛星測位システム(SPS)衛星を検出し、上記検出したSPS衛星への擬似距離を決定する衛星信号受信部と、
上記擬似距離および上記長期衛星追跡データを用いて測位を計算するプロセッサとを備える測位装置。
【請求項15】
上記衛星信号受信部が、(a)既に計算された測位を用いて計算された捕捉支援データ、または(b)ブラインドサーチの少なくとも一方を用いて、上記SPS衛星を検出するよう構成されていることを特徴とする請求項14に記載の測位装置。
【請求項16】
サーバから上記長期衛星追跡データを受信するための通信用トランシーバをさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の測位装置。
【請求項17】
上記衛星信号受信部が、
上記検出したSPS衛星へのサブミリセカンド擬似距離を測定し、
上記検出したSPS衛星の少なくとも一つにより送信される週の時刻(TOW)の値を検出し、
上記TOWの値を用いて上記擬似距離を得るために、上記サブミリセカンド擬似距離の整数部分を求めるように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の測位装置。
【請求項18】
上記衛星信号受信部が、
上記検出したSPS衛星の少なくとも一つへのサブミリセカンド擬似距離を測定し、
上記検出したSPS衛星の少なくとも一つに関する擬似距離レートを測定し、
上記擬似距離レートを用いて上記リモート受信機の推定測位を計算し、
上記擬似距離を得るために、上記推定測位を用いて上記サブミリセカンド擬似距離の整数部分を求めるように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の測位装置。
【請求項19】
上記プロセッサが、
推定時刻を取得し、
上記長期衛星追跡データと上記推定時刻と上記推定測位とを用いて、上記サブミリセカンド擬似距離を、複数の測位および時間変数と関連付け、
上記リモート受信機の測位を決定するために、一または複数の上記測位および時間変数を求めるように構成されていることを特徴とする請求項18に記載の測位装置。
【請求項20】
上記衛星信号受信部が、
上記検出したSPS衛星へのサブミリセカンド擬似距離を測定し、
測位空間から事前測位を選択し、
上記擬似距離を得るために、上記事前測位を用いて上記サブミリセカンド擬似距離の整数部分を求めるように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の測位装置。
【請求項21】
上記プロセッサが、
推定時刻を取得し、
上記長期衛星追跡データと上記推定時刻と上記事前測位とを用いて、上記サブミリセカンド擬似距離を、複数の測位および時間変数と関連付け、
上記リモート受信機の測位を決定するために、一または複数の上記測位および時間変数を求めるように構成されていることを特徴とする請求項20に記載の測位装置。
【請求項1】
リモート受信機の測位方法であって、
上記リモート受信機にて長期衛星追跡データを取得し、
移動衛星測位システム(SPS)衛星を検出し、
上記リモート受信機から上記検出したSPS衛星への擬似距離を決定し、
上記擬似距離および上記長期衛星追跡データを用いて、上記リモート受信機の測位を計算することを特徴とするリモート受信機の測位方法。
【請求項2】
上記検出するステップは、
上記SPS衛星を検出するために既に計算されている測位を用いて計算された捕捉支援データを用いること、および、上記SPS衛星を検出するためにブラインドサーチを実行すること、の少なくともいずれか一方を含むことを特徴とする請求項1に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項3】
上記長期衛星追跡データは、サーバから送られ、上記リモート受信機で受信されることを特徴とする請求項1に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項4】
上記長期衛星追跡データは、上記リモート受信機で生成されることを特徴とする請求項1に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項5】
上記擬似距離を決定するステップは、
上記検出したSPS衛星へのサブミリセカンド擬似距離を測定し、
上記検出したSPS衛星のうちの少なくとも一つにより送信される週の時刻(TOW)の値を検出し、
上記TOWの値を用いて上記擬似距離を得るために、上記サブミリセカンド擬似距離の整数部分を求めることを含むことを特徴とする請求項1に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項6】
上記擬似距離を決定するステップは、
上記検出したSPS衛星へのサブミリセカンド擬似距離を測定し、
上記検出したSPS衛星に関する擬似距離レートを測定し、
上記擬似距離レートを用いて上記リモート受信機の推定測位を計算し、
上記擬似距離を得るために、上記推定測位を用いて上記サブミリセカンド擬似距離の整数部分を求めることを含むことを特徴とする請求項1に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項7】
上記計算するステップは、
推定時刻を取得し、
上記長期衛星追跡データと上記推定時刻と上記推定測位とを用いて、上記サブミリセカンド擬似距離を、複数の測位および時間変数と関連付け、
上記リモート受信機の測位を決定するために、一または複数の上記測位および時間変数を求めること含むことを特徴とする請求項6に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項8】
上記擬似距離を決定するステップは、
上記検出したSPS衛星へのサブミリセカンド擬似距離を測定し、
測位空間から事前測位を選択し、
上記擬似距離を得るために、上記事前測位を用いて上記サブミリセカンド擬似距離の整数部分を求めることを含むことを特徴とする請求項1に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項9】
上記計算するステップは、
推定時刻を取得し、
上記長期衛星追跡データと上記推定時刻と上記事前測位とを用いて、上記サブミリセカンド擬似距離を、複数の測位および時間変数と関連付け、
上記リモート受信機の測位を決定するために、一または複数の上記測位および時間変数を求めること含むことを特徴とする請求項8に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項10】
上記測位が有効でないという判定をしたとき、上記選択ステップを繰り返し、上記測位空間における追加の事前測位を少なくとも一つ求めることをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項11】
リモート受信機の測位方法であって、
上記リモート受信機にて長期衛星追跡データを取得し、
第1のSPS衛星群とのサブミリセカンド擬似距離を測定し、
第2のSPS衛星群に関する擬似距離レートを測定し、
上記擬似距離レートを用いて上記リモート受信機の推定測位を計算し、
フル擬似距離を得るために、上記推定測位を用いて、上記サブミリセカンド擬似距離の整数部分を求め、
上記フル擬似距離および上記長期衛星追跡データを用いて上記リモート受信機の測位を計算することを特徴とするリモート受信機の測位方法。
【請求項12】
上記計算するステップは、
利用可能な正確な時刻を決定し、
上記正確な時刻が利用不可能になったことに応じて、タイムフリーナビゲーションモデルを用いて上記測位を計算することを含むことを特徴とする請求項11に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項13】
上記計算するステップは、
推定時刻を取得し、
上記長期衛星追跡データと上記推定時刻と上記推定測位とを用いて、上記サブミリセカンド擬似距離を、複数の測位および時間変数と関連付け、
上記リモート受信機の測位を決定するために、一または複数の上記測位および時間変数を求めること含むことを特徴とする請求項12に記載のリモート受信機の測位方法。
【請求項14】
測位装置であって、
長期衛星追跡データを保存するためのメモリと、
移動衛星測位システム(SPS)衛星を検出し、上記検出したSPS衛星への擬似距離を決定する衛星信号受信部と、
上記擬似距離および上記長期衛星追跡データを用いて測位を計算するプロセッサとを備える測位装置。
【請求項15】
上記衛星信号受信部が、(a)既に計算された測位を用いて計算された捕捉支援データ、または(b)ブラインドサーチの少なくとも一方を用いて、上記SPS衛星を検出するよう構成されていることを特徴とする請求項14に記載の測位装置。
【請求項16】
サーバから上記長期衛星追跡データを受信するための通信用トランシーバをさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の測位装置。
【請求項17】
上記衛星信号受信部が、
上記検出したSPS衛星へのサブミリセカンド擬似距離を測定し、
上記検出したSPS衛星の少なくとも一つにより送信される週の時刻(TOW)の値を検出し、
上記TOWの値を用いて上記擬似距離を得るために、上記サブミリセカンド擬似距離の整数部分を求めるように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の測位装置。
【請求項18】
上記衛星信号受信部が、
上記検出したSPS衛星の少なくとも一つへのサブミリセカンド擬似距離を測定し、
上記検出したSPS衛星の少なくとも一つに関する擬似距離レートを測定し、
上記擬似距離レートを用いて上記リモート受信機の推定測位を計算し、
上記擬似距離を得るために、上記推定測位を用いて上記サブミリセカンド擬似距離の整数部分を求めるように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の測位装置。
【請求項19】
上記プロセッサが、
推定時刻を取得し、
上記長期衛星追跡データと上記推定時刻と上記推定測位とを用いて、上記サブミリセカンド擬似距離を、複数の測位および時間変数と関連付け、
上記リモート受信機の測位を決定するために、一または複数の上記測位および時間変数を求めるように構成されていることを特徴とする請求項18に記載の測位装置。
【請求項20】
上記衛星信号受信部が、
上記検出したSPS衛星へのサブミリセカンド擬似距離を測定し、
測位空間から事前測位を選択し、
上記擬似距離を得るために、上記事前測位を用いて上記サブミリセカンド擬似距離の整数部分を求めるように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の測位装置。
【請求項21】
上記プロセッサが、
推定時刻を取得し、
上記長期衛星追跡データと上記推定時刻と上記事前測位とを用いて、上記サブミリセカンド擬似距離を、複数の測位および時間変数と関連付け、
上記リモート受信機の測位を決定するために、一または複数の上記測位および時間変数を求めるように構成されていることを特徴とする請求項20に記載の測位装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2008−538234(P2008−538234A)
【公表日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555190(P2007−555190)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/004422
【国際公開番号】WO2006/086468
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(507271558)グローバル ロケイト,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/004422
【国際公開番号】WO2006/086468
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(507271558)グローバル ロケイト,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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