説明

自立電源系統調整装置および自立電源系統の調整方法

【課題】大きな電力負荷や自然エネルギー発電機を有する自立電源系統において、自立電源系統は電力容量が小さいので、負荷等の変動を受けやすく、電源品質の維持が難しい。電源品質の維持のために、発電機等の出力変動等を補償する技術が提案されているがそのための計測システムは複雑で、計測に時間がかかるので制御に遅れが生じて安定な制御の実現ができないことがある。
【解決手段】二次電池と電力変換機からなる蓄電設備に、電力調整装置を設けて、この電力調整装置により、有効電力と無効電力を制御することにより、簡便で、応答速度の速い制御を実現して、電源系統の電圧と周波数を所定の値に調整することにより、自立電源系統の安定性と品質の維持を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用の電源系統とは独立した自立電源系統に関し、詳しくは、電源品質の調整装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、通常の一般的な電力系統は電力会社が供給する商用の電力系統であるところ、商用の電力系統において電源品質の維持管理は主として電力会社によって行われている。そして、電源品質は法令・規則で定められた基準を満たすように、電力系統の運用が図られている。
【0003】
一般需要家は、特別な場合を除き、電源品質の維持管理を行う必要がなく、電力会社から供給される電力を消費している。
【0004】
ところが商用の電力系統に接続されない自立電源系統においては、その電源品質の維持管理は自らが行う必要がある。このような自立電源系統の例として、商用の電力配電線から離れた場所の電源系統や船舶内における電源系統がある。また、自家発電設備を有する大規模工場において、系統に連系しない場合も自立電源系統となる。
【0005】
自立電源系統においては、その信頼性と品質が問題となるところ、信頼性は必要なときに必要とする電力が得られることで評価され、電力供給に対する信頼性を言う。一般に停電が発生しない電源が信頼性が高い電源といえる。一方、品質に関しては、主として電圧と周波数の変動が所定の範囲内におさまっていることで評価される。更には電源に含まれる高調波も電源品質の一部を担う。
【0006】
電源の電圧と周波数は電力の需給の変化によって変動し、原動機のガバナや発電機のAVRを調節してその変動を補償する他、発電設備の運転停止や無効電力補償装置を用いて調整を図ることもある。電源系統に太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーを利用した発電設備が接続されている場合、発電設備の出力変動に伴う電圧・周波数変動を補償するため、電源品質の維持は一層必要となる。
【0007】
図11は、従来技術(例えば、特許文献1)からなる船舶内における電源系統について、その一例を示す図である。船舶内の電源系統は、岸壁に係留中などの特別な場合を除き、商用の電力系統とは独立した自立電源系統となっている。近年の船舶において自然エネルギーを利用した発電設備を装備することがあり、太陽電池ユニット(103)が電力変換装置(104)を介して船内電源系統(101)に接続されている。そして、自然エネルギーを有効に活用するために二次電池(105)と電力変換装置(106)とからなる電力貯蔵設備が設けられている。
【0008】
図11の例では、2台のディーゼル発電機(107)により、船舶の運航に必要な電力が賄われる。これら2台のディーゼル発電機(107)は、船内の電力需要に応じて適宜必要な台数が運転される。船内電源系統(101)には、船内の照明や空調設備等の船内電力負荷(102)が接続されるほか、船舶の離接岸時に用いられるバウスラスタ(108)が接続される。バウスラスタ(108)は、モータで駆動され大きな電力を消費するので、その運転により船内の電源系統は大きな変動を受けることとなる。
【0009】
電力系統の調整装置として、風力発電機を系統電源に連系した場合における電力系統の安定化装置およびその方法に関するものや(例えば、特許文献2、特許文献3)、太陽光発電機の出力変動を二次電池を用いずに補償する制御装置(例えば、特許文献4)、もしくは自然エネルギーによる発電機と熱電併給設備を有する電源系統の制御装置(例えば、特許文献5)が開示されている。もっとも、これら特許文献2〜5は、いずれも商用の電力系統と連系したものであり、自立電源系統に関するものでない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−116071号公報
【特許文献2】特開2001−286062号公報
【特許文献3】特開2001−101557号公報
【特許文献4】特開2005−312163号公報
【特許文献5】特開2005−151746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
自立発電系統の電力容量(供給可能電力)は商用の電力系統のように大きくないので、負荷変動により電源品質の影響を受け易い。図11に示すような船内電源系統(101)において、大きな電力を消費するバウスラスタ(108)を起動すると、船内電源系統(101)の電圧、周波数は大きく変動する。また、太陽電池ユニット(103)と電力変換装置(104)からなる太陽光発電機は日照条件によりその出力が変動し、自立電源系統(101)に外乱を与える。一般に自立電源系統は電力容量が小さく、負荷等の変動を受けやすいので、電源品質の維持が難しい。
【0012】
電源品質の維持のために、風力発電機等の出力変動やモータの負荷変動を計測して、別途設けた二次電池からの充放電を制御することにより、発電機等の出力変動等を補償する技術が提案されている(例えば、特許文献4、特許文献5)。この方法によれば、発電機毎にその出力を計測し、かつモータ毎にその負荷を計測して、出力および負荷の変動量を算出する必要があり、制御が煩雑となる。特に、発電機台数やモータの台数が増えれば、より煩雑となり対応が困難となる。これは、発電機やモータ毎に電流と電圧を計測して電力を算出し、その変動分を計算するからである。更に、電力の計測は周波数や電圧の計測に比べて時間がかかるところ、発電電力や負荷電力を計測して電力制御するのでは、電力計測の遅れが生じて安定かつ正確な制御を阻害する。
【0013】
電源品質維持のために、別途設けた発電機の運転停止を行うことにより、太陽光発電機の出力変動による電力系統の電圧と周波数の影響を受けることのないシステムが提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3)。図11における自立電源系統において、電源品質維持のためにディーゼル発電機(107)を余分に運転すれば、常に余分なディーゼル発電機を運転しておく必要があり、エネルギー損失となる。
【0014】
本発明は係る課題を解決するためになされたものであり、煩雑な計測を行うことなく、負荷変動や自然エネルギー発電による擾乱を抑制して電源品質の維持を図るとともに、電源品質維持のために余分に運転されるディーゼル発電機を減らす調整装置およびその調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(請求項1)
上記の目的を達成するために本発明に係る自立電源系統調整装置は、原動機発電機と負荷設備とを有する自立電源系統であって、二次電池と電力変換機とを有する蓄電設備と、自立電源系統の周波数を計測する周波数計測手段と、自立電源系統の電圧を計測する電圧計測手段と、前記周波数計測手段と前記電圧計測手段とからの計測値を用いて、それぞれ有効電力の目標値と無効電力の目標値を算出する系統制御部と、前記系統制御部からの有効電力と無効電力の目標値に応じて有効電力および無効電力を出力する前記電力変換機を備えている。
【0016】
この構成によれば、二次電池と電力変換機とからなる蓄電設備において、電力変換機から出力される有効電力および無効電力を制御して、電源系統の周波数と電圧を調整する。ここで有効電力、無効電力を出力するとは、その符号を含んでいて流入と流出とを特に区別しないで説明することがある。また、蓄電設備において、二次電池の代わりにキャパシタを用いてもよい。キャパシタを用いれば蓄電設備として応答性が向上する。
【0017】
原動機発電機は、例えばディーゼルエンジンを原動機として用いる誘導発電機であってもよく、原動機としてガスタービンや蒸気タービンであってもよい。発電機は同期発電機であってもよい。
【0018】
本発明にいう自立電源系統とは、商用の電力系統とは独立した電源系統をいう。自立電源系統では、商用の電力系統のような系統電圧や系統周波数を支配する要素はなく、電力の需給により周波数と電圧は定まる。
【0019】
(請求項2)
本発明に係る自立電源系統調整装置は、前記二次電池に取り付けられた電池状態検出器と、前記電池状態検出器からの信号により前記二次電池のSOCを計算するSOC計測手段と、前記SOC計測手段からの出力とあらかじめ定めたSOC目標値との偏差により、前記有効電力の目標値を補正する手段を有する。
【0020】
この構成によれば、二次電池の端子電圧や充放電電流、電池温度やセル圧力などの電池状態を検出する検出器を設けてもよい。電池状態検出器からの検出値に異常がないか監視するために電池監視装置を設けてもよく、当該電池監視装置で電池のSOC(State of Charge)を計算してもよい。
【0021】
ここでSOCとは、二次電池の充電状態を示す値であって、満充電された状態を100%SOCといい、二次電池に電気量がない状態を0%SOCという。二次電池を過充電や過放電状態にすると電池寿命に影響を与えて好ましくないので、一般に、電池は20%SOC〜80%SOCの間で使用される場合が多い。
【0022】
(請求項3)
本発明に係る自立電源系統調整装置は、前記周波数計測手段および前記電圧計測手段が、自立電源系統の電圧を計測する電圧計と、前記電圧計の出力を位相同期演算するPLL演算部とを有する。
【0023】
この構成によれば、三相交流の電源系統に接続された変成器を介して特定の2相(例えば、RS相、ST相)の電圧の瞬時値を検出する。これを例えば計算機に取り込みPLL演算(Phase Locked Loop;位相同期演算)を施して、周波数と電圧を計算する。よって、電力計に比べ計測の遅れが小さいので、良好な応答性を得ることができる。
【0024】
(請求項4)
本発明に係る自立電源系統調整装置は、前記系統制御部における制御演算が比例制御である。
【0025】
この構成によれば、有効電力調整ループおよび無効電力調整ループにおいて、制御演算は好ましくは比例制御となる。比例制御演算を行うことにより、他の発電設備と安定に負荷分担を行うことができる。比例制御演算を行なう代わりに、マイナーループとして比例積分制御(PI)演算を行い、全体としてドループを持たせた制御を行なってもよい。
【0026】
(請求項5)
本発明に係る自立電源系統調整装置は、前記周波数計測手段の出力に遅れ演算器を設けて時間遅れ演算を施して周波数目標値とし、かつ、前記電圧計測手段の出力に遅れ演算器を設けて時間遅れ演算を施して電圧目標値とする。
【0027】
この構成によれば、遅れ演算器は時間遅れ処理を施す演算器であって、例えば、一次遅れであってもよい。また、移動平均や二次遅れであってもよい。各計測手段に低周波信号を遮断する高域通過フィルタ処理演算を施し、これに比例定数を乗じて、有効電力および無効電力の目標値としてもよい。
【0028】
(請求項6)
本発明に係る自立電源系統調整装置は、前記原動機発電機が複数台であって、原動機発電機の負荷状態に応じて、前記原動機発電機の起動停止を行う台数制御を有する。
【0029】
この構成によれば、好ましくは原動機発電機の台数は少なくとも3台である。原動機発電機の負荷状態とは、運転中の原動機発電機の定格出力の合計に対する運転中の原動機発電機の出力の合計の割合をいう。しかしながら、原動機発電機の個々の定格に対する出力をいうこともある。特に断わらない限り、前者をもって原動機発電機の負荷状態という。
【0030】
(請求項7)
本発明に係る自立電源系統調整装置は、自立電源系統に自然エネルギーを利用した発電機を接続してなる。
【0031】
この構成によれば、自然エネルギーを利用した発電機として、太陽電池を用いた太陽光発電機であってもよく、風力エネルギーを利用した風力発電機であってもよい。海洋を航海する船舶にとって太陽光や風力の自然エネルギーに恵まれている。自然エネルギーの有効活用を図れば省エネルギーとCO2削減に寄与することができる。
【0032】
(請求項8)
本発明に係る自立電源系統調整方法は、原動機発電機と負荷設備と二次電池と当該二次電池の電力変換機とを有する自立電源系統において、自立電源系統の電圧から無効電力の目標値を計算して、自立電源系統の周波数から求めた有効電力の目標値に二次電池の状態から求めた電池のSOCとSOC目標値との偏差に応じた補正を行い、前記無効電力の目標値および前記有効電力の目標値となるように、前記電力変換器からの無効電力および有効電力を調整する。
【0033】
(請求項9)
本発明に係る自立電源系統調整方法は、自立電源系統の電圧信号から位相同期演算により自立電源系統の周波数と電圧とを算出する。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、以上に説明した構成を有し、簡便でかつ計測に遅れの生じない系統周波数と系統電圧の調整を行うことができる。そして、負荷変動や自然エネルギー発電による擾乱を抑制して電源品質の維持を図り、自立電源系統の電源品質の向上を図ることができる。更には、電源品質維持のために余分に運転されるディーゼル発電機を減らすことにより省エネルギーの実現を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態にかかる自立電源系統の電源系統成図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる自立電源系統の調整装置の制御ブロックを示す図である。
【図3】図2の制御ブロックにおいて、系統電圧及び系統周波数を算出するPLL演算部の説明図である。
【図4】図2の制御ブロックにおいて、系統制御部内の電圧安定化制御回路を示すブロック図である。
【図5】図2の制御ブロックにおいて、系統制御部内の周波数電圧安定化制御回路を示すブロック図である。
【図6】図2の制御ブロックにおいて、系統制御部内のSOC補正制御回路を示すブロック図である。
【図7】図2の制御ブロックにおいて、電力制御部の詳細を説明する図である。
【図8】SOCの計算方法を説明する図である。
【図9】ディーゼル発電機の台数制御を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明に係る自立電源系統制御装置のシミュレーション試験結果を示す図である。
【図11】従来技術による船舶内の電源系統を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明に係る実施形態を図面に従って説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0037】
図1に本発明の実施形態に係る自立電源系統の電源系統図を示す。電源系統(1)は、特に実体があるというものでなく、強いていえば、配線とこれにつながる各種の発電機や負荷設備等から構成されているということができる。
【0038】
自立電源系統(1)(以下、単に「電源系統(1)」と称す)には3相交流電力が流れるところ、表記を簡単化するために単線系統図として表されている。図1に示す電源系統は、船舶内におけるものであるが、船舶以外であっても自立電源系統であれば本発明の適用が可能である。
【0039】
電源系統(1)は、公称電圧440V,公称周波数60Hzの三相交流であって、その系統には、各種の設備が接続されている。すなわち、太陽電池ユニット(3)と電力変換機(4)とからなる太陽光発電機(10)、二次電池(5)と電力変換制御装置(6)とからなる蓄電設備(11)および3台のディーゼル発電機(7a,7b,7c)とが、図1の左側に接続されている。
【0040】
図1の右側には船内電力負荷(2)とバウスラスタ(8)とが接続されている。船内の照明や空調のほか船内で消費される電力が船内電力負荷(2)となる。バウスラスタ(8)は、タグボートの助けを借りずに入港時に船舶を岸壁に移動するために設けられており、大型の誘導電動機により駆動される。バウスラスタの起動時には大きな起動電流が流れて、船内電圧の低下等の電源系統(1)に大きな影響を与える。
【0041】
バウスラスタ(8)の運転が行われない場合は、通常、1台のディーゼル発電機(例えば7a)が運転され、船内に必要な電力を供給する。ディーゼル発電機(7)の定格出力は1,080kWであって、バウスラスタ(8)を駆動する図示しない誘導電動機の定格出力は1,350kWである。
【0042】
本発明に係る電源系統調整装置の設置する以前においては、バウスラスタ(8)の運転前に、その所要電力を供給するために2台のディーゼル発電機(7)が運転され、誘導電動機の始動時の電源系統の安定化のために更に1台のディーゼル発電機(7)が運転され、合計3台のディーゼル発電機(7)が運転される。しかし、図1に示すように電源系統調整装置が設置されている場合は、バウスラスタ(8)の運転前に、不足電力を補うために1台のディーゼル発電機(7)が運転されるが、電源系統の安定化のためにディーゼル発電機(7)の運転の必要がない。合計2台のディーゼル発電機(7)が運転される。
【0043】
本発明の実施形態に係る自立電源系統の調整装置について、図2に示す制御ブロックを用いて説明する。図2において、ディーゼル発電機(7)や太陽光発電機(10)やバウスラスタ(8)等は省略してある。
【0044】
二次電池(5)は直流電力ライン(25)を介して、電力変換制御装置(6)の電力変換回路(20)に接続されている。この電力変換回路(20)は図示しないパワー半導体素子を高速にON/OFFを行うことにより、二次電池(5)からの直流電力を所定の交流電力に変換して電源系統(1)に出力する、もしくは電源系統(1)からの交流電力を直流電力に変換して二次電池(5)を充電する。
【0045】
電源系統(1)には電源系統電圧を検出するために電圧検出器(14)が設置されており、電圧検出器(14)の出力は配線(24)を介して、システム制御装置(15)のPLL演算部(16)に接続されている。電圧検出器(14)はPTとして知られる変成器である。
【0046】
システム制御装置(15)は、PLL演算部(16)、系統制御部(17)と電力制御部(18)から構成されており、PLL演算部(16)からの系統状態信号(27)は系統制御部(17)に送られ、系統制御部(17)からの電力指令信号(28)は電力制御部(18)に送られる。
【0047】
電力制御部(18)からのゲート駆動信号(29)は電力変換回路(19)に送られる。ゲート駆動信号(29)は、パワー半導体素子のゲートをPWM制御することにより、二次電池(5)の直流電力は所望の電圧、周波数、位相の交流電力に変換されるとともに電源系統(1)からの交流電力は直流電力に変換されて、二次電池(5)を充電する。
【0048】
二次電池(5)には二次電池の状態を検出するための電圧、電流、温度、圧力等の電池状態検出器(19)が取り付けられており、二次電池監視装置(22)において二次電池の状態を監視する他、二次電池(5)のSOCの計算を行う。
【0049】
二次電池監視装置(22)は配線26aを介してシステム制御装置(15)の系統制御部(17)に接続され、二次電池監視装置(22)で算出されたSOCが系統制御部(17)に送出される。また、二次電池の異常信号は配線26bを介して二次電池監視装置(22)から電力制御部(18)に送られる。
【0050】
次に、図3〜図8を用いて本発明の実施形態に係る自立電源系統の調整装置の動作について説明をする。
(1)PLL演算
図3は、電源系統(1)の電圧及び周波数を算出するPLL演算部について説明する図である。すなわち、図3(a)は、PLL演算ブロック図であり、図3(b)は、PLL演算部(16)における演算処理を示すブロック図である。
【0051】
電源系統(1)の周波数・位相は電圧検出器(14)からの電圧値に基づき、PLL演算部(16)において計算で求められる。すなわち、電力変換制御装置(6)内に設置された電圧検出器(14)により電源系統(1)の線間電圧の瞬時値VRS、VSTが計測され、PLL演算部(16)に入力される(図7参照)。PLL演算部(16)において、この電圧の瞬時値VRS、VSTを用いて電源系統(1)の周波数・位相の推定が行われる。
【0052】
PLL演算部(16)の演算ブロック図を図3に示す。PLL演算部(16)は、線間電圧値(VRS、VST)から位相θを算出する部分とPLL演算部(16)内で推定された位相θ’との偏差を求める位相比較器(32)と、位相偏差から電源系統(1)の角速度(周波数)を推定するループフィルタ(34)および推定された角速度を積算し、推定位相θ’を算出する積算器(35)とで構成されている。
【0053】
電源系統の位相は、電圧検出器(14)から得られた系統線間電圧の瞬時値νab(=VRS)とνbc(=VST)をαβ変換することで求める。系統側の各相の相電圧の瞬時値を、
νa、νb、νcとし、瞬時値ベクトルναβを次式のように定義する。
【0054】
【数1】

【0055】
オイラーの式(ε=cosθ+jsinθ)より瞬時値νベクトルναβは以下のように表現することができる。
【0056】
【数2】

【0057】
【数3】

【0058】
ここで瞬時値ベクトルναβはa相を基準にした固定座標系(αβ軸)を角速度ωで回転するベクトルとなる。
【0059】
実際の電力変換制御装置(6)内の電圧検出器(14)で計測された系統瞬時線間電圧νab、νbcと瞬時相電圧νa、νb、νcは次のような関係にある。
【0060】
【数4】

【0061】
【数5】

【0062】
従って瞬時値ベクトルは瞬時線間電圧から、
【0063】
【数6】

【0064】
【数7】

【0065】
で求められる。また、次式よりcosθとsinθが計算されて、位相θが求まる。
【0066】
【数8】

【0067】
【数9】

【0068】
位相比較器(32)は、系統電圧の瞬時値から求めた位相θとPLL演算部(16)内で推定された位相θ’の偏差を求める。位相偏差θ-θ’はオイラーの式より、
【0069】
【数10】

【0070】
θ-θ’が十分小さい場合、この値がほぼ位相差と判断される。
ループフィルタ(34)は、位相比較器(32)で求められた位相偏差から、系統の角速度ωを求める。系統周波数は、ループフィルタ(34)の出力ωから求まる。ループフィルタの伝達関数G(s)は次式で表される。
【0071】
【数11】

【0072】
推定角速度ωを積算器(35)にて積算して、位相θ’の推定を行う。系統電圧Vは、瞬時値ベクトルναβから次式で求められる。
【0073】
【数12】

【0074】
以上に述べた電圧、周波数の検出方法は電源系統に連系する電力変換制御装置に組み込まれているものであることから、本発明を実施するにあたり、新たに検出装置を追加する必要がない。
【0075】
また、周波数、位相がコンピュータプログラムでの計算により求められているので、応答速度が速い。本発明では周波数・電圧計測の応答速度が設備の性能に影響するが、本方式により、十分な性能が得られる。
【0076】
PLL演算部(16)で算出された系統電圧Vは系統電圧信号(41)として、また、系統周波数Fは系統周波数信号(51)として系統制御部(17)に送られる。更に、推定位相θ’がPLL演算部(16)から電力制御部(18)に送られる。
【0077】
(2)電圧安定化制御
本発明の実施形態に係る電源系統調整装置は、電源系統(1)の電圧変動を監視し、その変動を抑制するように充放電電力(無効電力)を算出する。電源系統(1)の電圧はディーゼル発電機(7)の電圧制御(AVR)により一定に維持されているが、負荷変動や他の発電機の発電電力変動があった場合、電圧が変動する。また負荷が消費する無効電力によっても電圧は変動する。
【0078】
系統制御部(17)の内部回路である電圧安定化制御回路(40)の制御ブロック(図4)を用いて、電圧安定化制御の動作について説明する。
図4に示す電圧安定化制御回路(40)は電圧の変動を検知して、蓄電設備(11)からの無効電力を調整することにより系統電圧の変動を抑制する。
【0079】
電圧安定化制御回路(40)にはPLL演算部(16)で算出された系統電圧信号(41)が入力される。系統電圧信号(41)は、遅れ演算器(42)において時間遅れ処理が施されて系統電圧目標値Vrefとなり、減算器(43)に送出される。遅れ演算器(42)の出力は系統電圧の目標値(Vref)を与えることとなる。
【0080】
減算器(43)は系統電圧目標値Vrefから系統電圧Vを減算して、比例制御器(44)に出力する。比例制御器(44)は、減算器(43)の出力(=Vref−V)に比例定数Kvを乗じて、次段の上下限リミッタ(45)に送る。そして、上下限リミッタ(45)にて比例制御器(44)の出力はQbat_maxとQbat_minの間に制限されて、無効電力指令信号(46)として出力される。
【0081】
遅れ演算器(42)は系統電圧目標値Vrefを系統電圧の整定値に漸近させる。これにより、電圧安定化制御は電圧の過渡的な変動のみに応答し、定常的に無効電力を出力しつづけることがない。ここで遅れ演算器(42)は、好ましくは一次遅れ演算により構成されている。その時定数Tは試験運転時に調整されるのであるが本実施形態においては1分とした。なお、遅れ演算器(42)は二次遅れ演算であってもよく、時間遅れ処理を施すものであれば他の演算であってもよい。系統電圧目標値Vrefとプロセス量である系統電圧Vとの差が制御誤差εvとなる。制御誤差εvの算出に当り、系統電圧信号(41)に高域通過フィルタ演算を施しても求めてもよい。
【0082】
(3)周波数安定化制御部
本発明の実施形態に係る電源系統調整装置は、電源系統(1)の周波数変動を監視し、その変動を抑制するように充放電電力(有効電力)を算出する。電源系統(1)の周波数はディーゼル発電機(7)の回転速度制御装置(ガバナ)により一定に維持されているが、負荷変動や他の発電装置の発電電力に変動があった場合、ディーゼル発電機(7)の出力と負荷電力がバランスしなくなり、結果として周波数が一時的に変動する。
【0083】
系統制御部(17)の内部回路である周波数安定化制御回路(50)の制御ブロック(図5)を用いて、周波数安定化制御の動作について説明する。図5に示す周波数安定化制御回路(50)は周波数の変動を検知し、ディーゼル発電機(7)の出力と負荷電力のアンバランス分を、蓄電設備(11)の発生する有効電力で補償することにより一時的な周波数変動を抑制する。
【0084】
周波数安定化制御回路(50)にはPLL演算部(16)で算出された系統周波数信号(51)が入力される。系統周波数信号(51)は、遅れ演算器(52)において時間遅れ処理が施されて系統周波数目標値Frefとなり、減算器(53)に送出される。遅れ演算器(52)の出力は系統周波数の目標値(Fref)を与えることとなる。
【0085】
減算器(53)は系統周波数目標値Frefから系統周波数Fを減算して、比例制御器(54)に出力する。比例制御器(54)は、減算器の出力(=Fref−F)に比例定数Kfを乗じて、次段の上下限リミッタ(55)に送る。そして、上下限リミッタ(55)にて比例制御器(54)の出力はPbat_maxとPbat_minの間に制限される。この上下限リミッタ(55)の出力は、加算器(57)にてSOC補正制御回路(60)からの有効電力補正Psoc_cmpが加算されて、有効電力指令信号(56)として周波数安定化制御回路(50)から出力される。
【0086】
遅れ演算器(52)は周波数安定化制御回路(50)の周波数目標値を系統周波数の整定値に漸近させる。これにより、周波数安定化制御は周波数の過渡的な変動のみに応答し、定常的に有効電力を出力しつづけることがない。ここで遅れ演算器(52)は、好ましくは一次遅れ演算により構成されている。その時定数Tは試験運転時に調整されるのであるが本実施形態においては1分とした。なお、遅れ演算器(42)は二次遅れ演算であってもよく、時間遅れ処理を施すものであれば他の演算であってもよい。系統周波数目標値Frefとプロセス量である系統周波数Fとの差が制御誤差εfとなる。制御誤差εfの算出に当り、系統周波数信号(51)に高域通過フィルタ演算を施しても求めてもよい。
【0087】
(4)SOC補正制御
二次電池(5)には二次電池の状態を検出するための電圧計、電流計、温度計、圧力計等の電池状態検出器(21)が取り付けられており、二次電池監視装置(22)で、二次電池の状態監視を行うとともに、二次電池のSOCが計算される。SOC制御の説明の前に、SOCの求め方について説明する。
【0088】
電池の充電状態(SOC)を計算する方法として、充放電電流を積算する方法(積算SOC法)と電池電圧・電流・温度等から充電状態を推定する方法(瞬時SOC法)とがある。ここで、積算SOC法は短期間の運用では精度良く計測できる反面、電流の計測誤差、自己放電の影響が累積され、長時間運用した場合、誤差が拡大する問題がある。
【0089】
一方、瞬時SOC法は累積誤差の影響はない反面、充放電電流の時間変化等により、誤差が生じる。本発明に係る実施形態においては、補正SOC法を用いてSOCの計算を行っている(図8参照)。すなわち、積算SOC法でSOCを計算して、瞬時SOCとの偏差を求め、その偏差を補正するように充放電電流値に補正を加えて、補正SOCを求める。本方式は、積算SOC法で生じる累積誤差を瞬時SOC法で補正することにより、長期間の使用により誤差の累積が抑制され、長期運用を可能としている。
【0090】
二次電池は過充電(SOC>100%)や過放電(SOC<0%)になると、電池性能の劣化を招く恐れがあるし、電池電圧が下がり過ぎると、装置が停止する恐れがある。そこで電池使用範囲の上限80%とし、下限を20%として二次電池の運用を図っている。このため、80%と20%の中間の値(50%)をSOC目標値SOCrefとしている。
【0091】
二次電池(5)が適正な充電状態を維持するために、あらかじめ定められたSOCの目標値(SOCref)と二次電池監視装置(22)で計算されたSOCの偏差から、SOC補正電力を計算する。図6を用いてSOC補正制御の動作について説明する。
【0092】
図6は系統制御部(17)の内部回路であるSOC補正制御回路(60)の制御ブロックを示す図である。SOC補正制御回路(60)には二次電池監視装置(22)で算出された二次電池のSOCが配線(26)を介して入力される。このSOCがSOC補正制御回路(60)の内部に設定されたSOC目標値SOCrefと減算器(63)にて比較減算される。
【0093】
SOCが目標値(SOCref)を下回っている場合、周波数安定化制御回路(50)から出力される有効電力指令値(Pbat_ref)が充電側となるよう補正する(Psoc_cmp<0)。
【0094】
逆にSOCが目標値(SOCref)を上回っている場合、有効電力指令値(Pbat_ref)が放電側となるよう補正する(Psoc_cmp>0)。このように、SOC補正制御により二次電池の充電状態を一定に保つように制御される。
【0095】
減算器(63)の出力が上下限リミッタ(64)にて、単位変換と上下限制限を受ける。そして上下限リミッタ(64)の出力は一次遅れ演算器(66)にて時定数が1分の一次遅れ処理が施されて、SOC補正信号(65)として周波数安定化制御回路(50)に送出される。
【0096】
(5)電力制御
以上のように電圧検出器(14)からの信号に基づきPLL演算部(16)で系統周波数と系統電圧とが算出され、系統制御部(17)で有効電力指令Pbat_refと無効電力指令Qbat_refが算出されて、電力指令信号(28)として電力制御部(18)に送られる。
【0097】
電力制御部(18)は、有効電力指令Pbat_refと無効電力指令Qbat_refに基づき、電力変換回路(20)にパワー半導体素子のON/OFFを行うゲート駆動信号(29)を送出する。パワー半導体は、有効電力および無効電力が、それぞれ有効電力指令Pbat_refと無効電力指令Qbat_refになるようPWM制御される。
【0098】
電力制御の詳細について、図7に示す電力制御ブロック図を用いて説明する。電力変換制御装置(6)内に設置された電流検出器(13)により蓄電設備(11)に流れる線電流の瞬時値が計測され、電力制御部(18)に伝えられる。この電流値についてPLL演算部(16)から送られてくる位相θに基づきdq変換をして、d軸電流とq軸電流が計算される。
【0099】
一方、系統制御部(17)から送られてきた有効電力指令Pbat_refと無効電力指令Qbat_refはd軸電流目標値とq軸電流目標値とに変換されて、電流検出器(13)から求めたd軸電流およびq軸電流と比較され、PI制御器を通り、dq逆変換されて、ゲート駆動信号(29)となり電力変換回路(20)に送られる。
【0100】
二次電池監視装置(22)において、二次電池に異常が見つかれば、電池異常信号を配線26bにて、システム制御装置(15)の電力制御部(18)に送り、ゲート駆動信号(29)の送出を停止して、電力変換回路(20)の作動を停止させて、二次電池(5)の保護を図る。二次電池の異常としては、過電流、電圧低下、過電圧、過充電、過放電、電池温度異常、電池圧力異常、装置異常等がある。
【0101】
(7)ディーゼル発電機の台数制御
図1に示したディーゼル発電機(7a、7b、7c)の運転制御について説明する。バウスラスタ(8)を運転していないときは船内電力負荷(2)をまかなうために1台のディーゼル発電機(7)が運転されている。
【0102】
入出航時にバウスラスタ(8)を運転する前に、事前にディーゼル発電機(7)を起動しておき、船内の電源系統の安定化を図る。すなわち、バウスラスタ(8)の運転に必要な電力を供給するために1台のディーゼル発電機(7)が起動され、更に誘導電動機始動時の電源系統の安定化のためにディーゼル発電機(7)が起動され、都合2台のディーゼル発電機(7)が運転される。ディーゼル発電機(7)の起動もしくは停止は運転員が運転ボタンを押下することにより行われる。ディーゼル発電機(7)は手動により運転/停止が可能となっている。
【0103】
基本的には、船内で必要な電力はディーゼル発電機(7)によりまかなわれ、本発明に係る蓄電設備(11)は、ディーゼル発電機(7)が追従できないような過渡的な負荷変動や太陽光発電機(10)による系統への擾乱を補償するために設けられたものである。
【0104】
ディーゼル発電機(7)にはDG台数制御装置(9)が設けられており、図9に示すフローチャートによりディーゼル発電機(7)の運転台数が自動で制御される。ディーゼル発電機(7)の負荷が80%以上の状態が5分以上継続する場合は(S6)、ディーゼル発電機(7)の運転台数を減らし(S7、S8)、負荷が30%以下の状態が5分以上継続する場合は(S9)、ディーゼル発電機(7)の運転台数を増やす(S10、S11)。
【0105】
本発明に係る電源系統調整装置を設置すれば、電源系統の安定化のためにディーゼル発電機(7)を余分に運転する必要がなくなり、燃料消費率の改善を図ることができる。
【0106】
(8)試験結果
図10に電源系統(1)において負荷が400kW(力率0.8)から600kW(力率0.8)に急変し、その後400kW(力率0.8)に減少した場合について、本発明に係る電源系統調整装置による制御がある場合とない場合の電圧および周波数変動の差異を示す。図10(a)は系統電圧を縦軸にとり、時間(秒)を横軸にとり、負荷投入の影響を示している。図10(b)は系統周波数を縦軸にとり、時間(秒)を横軸にとり、負荷投入の影響を示している。系統安定化制御を行う蓄電設備(11)を導入することにより、電圧および周波数の変動が抑制され、系統の電源品質が向上して、系統安定度が増していることがわかる。
【0107】
電源系統(1)の安定度が増していることから、系統安定度を確保するため、余分に運転しているディーゼル発電機を停止させることが可能となり、燃料消費効率を改善することを可能としている。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明に係る自立電源系統調整装置は、船舶内における電源系統の品質の維持管理の制御装置としてとして好適に用いることができる。また、陸上の一般の自立電源系統にも活用することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 自立電源系統
2 船内電力負荷
3 太陽電池ユニット
4 電力変換装置
5 二次電池
6 電力変換制御装置
7 ディーゼル発電機
8 バウスラスタ
9 D/G台数制御装置(ディーゼル発電機台数制御装置)
10 太陽光発電機
11 蓄電設備
13 電流検出器
14 電圧検出器
15 システム制御装置
16 PLL演算部
17 系統制御部
18 電力制御部
20 電力変換回路
21 電池状態検出器
22 二次電池監視装置
24 配線
25 直流電力ライン
26 配線
27 系統状態信号
28 電力指令信号
29 ゲート駆動信号(PWM信号)
32 位相比較器
34 ループフィルタ
35 積算器
40 電圧安定化制御回路
41 系統電圧信号
42 遅れ演算器
43 減算器
44 比例制御器
45 上下限リミッタ
46 無効電力指令
50 周波数安定化制御回路
51 系統周波数信号
52 遅れ演算器
53 減算器
54 比例制御器
55 上下限リミッタ
56 有効電力指令
57 加算器
60 SOC補正制御回路
61 SOC目標値
63 減算器
64 上下限リミッタ
65 SOC補正信号
66 一次遅れ演算器
101 船内電源系統
102 船内電力負荷(需要家)
103 太陽電池ユニット
104 電力変換装置
105 二次電池
106 電力変換装置
107 ディーゼル発電機
108 バウスラスタ
109 風力発電機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機発電機と負荷設備とを有する自立電源系統であって、
二次電池と電力変換機とを有する蓄電設備と、
自立電源系統の周波数を計測する周波数計測手段と、
自立電源系統の電圧を計測する電圧計測手段と、
前記周波数計測手段と前記電圧計測手段とからの計測値を用いて、それぞれ有効電力の目標値と無効電力の目標値を算出する系統制御部と、
前記系統制御部からの有効電力と無効電力の目標値に応じて有効電力および無効電力を出力する前記電力変換機を備えた自立電源系統調整装置。
【請求項2】
前記二次電池に取り付けられた電池状態検出器と、
前記電池状態検出器からの信号により前記二次電池のSOCを計算するSOC計測手段と、
前記SOC計測手段からの出力とあらかじめ定めたSOC目標値との偏差により、前記有効電力の目標値を補正する手段を有する請求項1に記載の自立電源系統調整装置。
【請求項3】
前記周波数計測手段および前記電圧計測手段が、
自立電源系統の電圧を計測する電圧計と、
前記電圧計の出力を位相同期演算するPLL演算部とを有する請求項1または請求項2に記載の自立電源系統調整装置。
【請求項4】
前記系統制御部における制御演算が比例制御である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の自立電源系統調整装置。
【請求項5】
前記周波数計測手段の出力に遅れ演算器を設けて時間遅れ演算を施して周波数目標値とし、かつ、前記電圧計測手段の出力に遅れ演算器を設けて時間遅れ演算を施して電圧目標値とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の自立電源系統調整装置。
【請求項6】
前記原動機発電機が複数台であって、
原動機発電機の負荷状態に応じて、前記原動機発電機の起動停止を行う台数制御を有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の自立電源系統調整装置。
【請求項7】
自立電源系統に自然エネルギーを利用した発電機を接続した請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の自立電源系統調整装置。
【請求項8】
原動機発電機と負荷設備と二次電池と当該二次電池の電力変換機とを有する自立電源系統において、
自立電源系統の電圧から無効電力の目標値を計算して、
自立電源系統の周波数から求めた有効電力の目標値に二次電池の状態から求めた電池のSOCとSOC目標値との偏差に応じた補正を行い、
前記無効電力の目標値および前記有効電力の目標値となるように前記電力変換機からの有効電力および無効電力を調整する自立電源系統調整方法。
【請求項9】
自立電源系統の電圧信号から位相同期演算により自立電源系統の周波数と電圧とを算出する請求項8に記載の自立電源系統調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−130146(P2012−130146A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278796(P2010−278796)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】