説明

航跡生成システム、その誤差共分散行列初期値設定装置、航跡生成方法およびその誤差共分散行列初期値設定方法

【課題】誤差共分散行列初期値として適切な値を算出し設定することによって、航跡を生成した直後における航跡諸元の精度および安定性を向上させる。
【解決手段】所定状態および誤差共分散行列の初期値を設定してその後の状態および誤差共分散行列を推定するカルマンフィルタを用いたシステムにおける前記誤差共分散行列の初期値を設定する誤差共分散行列初期値設定装置10において、前記誤差共分散行列初期値を、時間が経過するとともにある観測値が入力されるだろうと想定して状態の誤差を適切な値へ収束させる誤差共分散行列初期値収束手段14を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航跡生成システム、その誤差共分散行列初期値設定装置、航跡生成方法およびその誤差共分散行列初期値設定方法に関し、特に航跡諸元の精度および安定性を改善した跡生成方法およびその誤差共分散行列初期値設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、航空機などの目標追尾を行う代表例として、航跡追尾システムがある。この航跡追尾システムは、通常カルマンフィルタを用いた演算により、目標の航跡諸元の推定を行っている。この航跡諸元の推定は、航跡および誤差共分散行列(航空機の追尾結果の位置と速度(航跡位置と速度)の誤差範囲)の初期値を設定してから演算が開始される。
【0003】
なお、誤差共分散行列とは、航空機の追尾結果の位置と速度(航跡位置と速度)の誤差範囲を表し、航空機の位置と速度がどの程度確からしいかというのが行列として表現されている。そして追尾処理を始めるに当たり、一番初めに、この位置辺りに航空機がいるか、その速度はこの位かと思って、およその航跡を生成する。この時、一番初めに与える誤差共分散が、「誤差共分散行列初期値」である。
【0004】
ここで前提となる航跡生成装置20の全体構成を、図6を参照しながら説明する。図6において、航跡生成装置20は、航跡諸元初期値算出器21と誤差共分散行列初期値算出器10bとから構成されている。航跡諸元初期値算出器20は、観測値を入力することによって航跡諸元初期値を算出する。誤差共分散行列初期値算出器10bは、観測値等を入力することによって誤差共分散行列初期値を算出する。
【0005】
ここでは、カルマンフィルタを用いた目標追尾の代表的な例として、観測値Qをセンサ中心の距離rおよび方位θで与え、その誤差をそれぞれの標準偏差σ,σθで与える系を考える。また、航跡諸元は2次元xy座標での位置x ,yおよび速度xドット,yドットとし、駆動雑音として加速度に相当する標準偏差α,αで与える。観測値および航跡の更新周期をΔTとし、航跡の誤差共分散行列をP、その初期値をPとする。このような系を考えると、航跡諸元初期値X、誤差共分散行列初期値P、観測値Q,Qは次の式(1)〜(3)で表される。なお、P11〜P44は、航跡の誤差共分散行列初期値の各要素で4*4の行列を示す。
【0006】
【数1】

【0007】
従来の誤差共分散行列初期値算出器の一例を、図7のブロック図に示し、その処理フローを図8に示す。この誤差共分散行列初期値算出器10bは、変換行列算出部11と、観測誤差分散行列算出部12と、誤差共分散行列初期値算出部13と、制御部15bとから構成されている。
制御部15bは、変換行列算出部11、観測誤差分散行列算出部12、誤差共分散行列初期値算出部1の全体を制御し、誤差共分散行列初期値算出器10b内の各機能の作動順序の制御を行う。変換行列算出部11は、観測値を用いて変換行列を算出する。観測誤差分散行列算出部12は、変換行列および誤差標準偏差σ,σθを用いて観測誤差分散行列を算出する。誤差共分散行列初期値算出部13は、観測誤差分散行列および更新周期ΔTを用いて最初の誤差共分散行列初期値を算出する。
【0008】
このような構成の誤差共分散行列初期値算出器10bは、次のように動作する。まず、変換行列算出部11は、観測値Qを用いて変換行列ΓCnを式(4)のように算出する(ステップS1)。
【0009】
【数2】

【0010】
次に、観測誤差分散行列算出部12は、変換行列ΓCnおよび誤差標準偏差σ,σθを用いて観測誤差分散行列Wを式(5)のように算出する(ステップS2)。
【0011】
【数3】

【0012】
さらに、誤差共分散行列初期値算出部13は、観測誤差分散行列Wおよび更新周期ΔTを用いて最初の誤差共分散行列初期値Pを式(6)のように算出する(ステップS3)。
【0013】
【数4】

【0014】
このような従来の誤差共分散行列初期値算出器は、得られた観測値の観測誤差から誤差共分散行列初期値を算出していた。そのため、航跡を生成した後しばらくの間、誤差共分散行列が最適な値ではなく、結果として航跡諸元の精度および安定性が悪かった。また、操作者が航跡諸元を変更した場合において、その後しばらくの間は誤差共分散行列が最適な値ではなく、結果として航跡諸元の精度および安定性が悪かったり、航跡諸元が操作者の意図しない挙動となる事があった。
【0015】
なお、特許文献1には、カルマンフィルタを用いて目標追尾を行う追尾装置が説明されているが、これは、目標の着弾点の予測の初期値精度を向上させたものである。この装置は、目標の観測位置および距離、仰角、方位角の観測雑音の標準偏差を用いて、平滑ベクトル、平滑誤差共分散行列を算出する構成となっている。この構成によれば、事前に決められた時刻より前の平滑ベクトルおよび平滑誤差共分散行列を再算出することにより、着弾点予測の初期値の精度を向上させ、さらに、着弾点予測を精度良く行うことができる。
【0016】
さらに、特許文献2にも、カルマンフィルタ平滑効果を制御できる目標追尾装置が示されている。この装置は、観測雑音共分散行列、疑似予測誤差共分散行列、駆動雑音共分散行列及び観測時刻を用いて繰り返し計算を行い疑似平滑誤差共分散行列を求めることが説明されている。
【0017】
【特許文献1】特開2003−329771号
【特許文献2】特開2002−174681号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、従来の誤差共分散行列初期値の算出方法は、得られた観測値の観測誤差から誤差共分散行列初期値を算出していた。そのため、航跡を生成した後しばらくの間、誤差共分散行列が最適な値ではなく、結果として航跡諸元の精度および安定性が悪かった。また、操作者が航跡諸元を変更した場合において、その後しばらくの間誤差共分散行列が最適な値ではなく、結果として航跡諸元の精度および安定性が悪かったり、航跡諸元が操作者の意図しない挙動となる事があった。
【0019】
なお、この特許文献1における誤差共分散行列は、最初の観測位置および距離、仰角、方位角の観測雑音の標準偏差を用いて平滑誤差共分散行列を計算しているかもしれないが、
その誤差共分散行列は追尾途中の誤差範囲を示しているに過ぎず、また上記従来例の誤差共分散行列初期値算出器と同等の構成にすぎない。
【0020】
また、特許文献2に説明された誤差共分散行列も、特許文献1と同様に、追尾途中の誤差範囲を示しているに過ぎない。
【0021】
本発明の主な目的は、差共分散行列初期値として最適な値を算出し設定することによって、航跡を生成した直後における航跡諸元の精度および安定性を向上させた航跡生成装置、その誤差共分散行列初期値演算装置、航跡生成方法およびその誤差共分散行列初期値演算方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の構成は、所定状態および誤差共分散行列の初期値を設定してその後の状態および誤差共分散行列を推定するカルマンフィルタを用いたシステムにおける前記誤差共分散行列の初期値を算出し設定する誤差共分散行列初期値設定装置において、前記誤差共分散行列初期値を、時間が経過するとともにある観測値が入力されるだろうと想定して状態の誤差を適切な値へ収束させる誤差共分散行列初期値収束手段を有することを特徴とする。
【0023】
本発明において、誤差共分散行列初期値収束手段が、最初の誤差共分散行列初期値から誤差共分散行列の予測値を計算し、この誤差共分散行列の予測値と観測誤差分散行列とを用いてカルマンゲインを計算し、前記誤差共分散行列の予測値と前記カルマンゲインとから誤差共分散行列の推定値を計算し、この誤差共分散行列の推定値が所定範囲にない時、前記誤差共分散行列の推定値を前記最初の誤差共分散行列初期値として次の誤差共分散行列の予測値、推定値を計算し、前記誤差共分散行列の推定値が所定範囲になった時、この演算を終了し、前記誤差共分散行列初期値を収束させることができる。
【0024】
また、最初の誤差共分散行列初期値Pが、観測誤差標準偏差から求められた観測誤差共分散行列から計算される時、誤差共分散行列初期値収束手段が、前記誤差共分散行列初期値Pと目標の運動モデルΦと駆動雑音用変換行列Γと駆動雑音分散行列Uとを用いて誤差共分散行列の予測値Pチルダを
【0025】
【数12】

【0026】
により算出し(ただし、Pチルダ=P、k−1{kは2以上の整数}は繰り返し計算回数、また、行列、ベクトルの右上添字「T」は、行列、ベクトルの転置を表し、行列の右上添字「−1」は、行列の逆行列を表す)、前記誤差共分散行列の予測値Pチルダと観測行列Hと観測誤差分散行列Wとを用いてカルマンゲインKを
【0027】
【数13】

【0028】
により算出し、前記誤差共分散行列の予測値Pチルダと前記カルマンゲインKと、単位行列Iと観測行列Hとを用いて誤差共分散行列の推定値Pハットを
【0029】
【数14】

【0030】
により算出することができる。さらに、観測誤差標準偏差から観測誤差共分散行列Wを計算し、この観測誤差共分散行列Wと更新周期ΔTとから 最初の誤差共分散行列初期値Pを計算する、または予め定義しておいた値を使用し最初の誤差共分散行列初期値Pを設定することができ、また、観測誤差標準偏差が状態諸元の座標系と異なる座標系で求められた時、観測誤差共分散行列を座標変換行列で変換し、観測誤差共分散行列を求めりことができる。
【0031】
本発明の他の構成は、移動する目標体を追尾する場合に、前記目標体の航跡の生成または航跡諸元の変更を行う航跡生成システムにおいて、前記航跡の生成または前記諸元の変更を行うする場合の航跡の誤差共分散行列初期値を設定する際に、前述の誤差共分散行列初期値設定装置を用いたことを特徴とする。
【0032】
本発明のさらに他の構成は、ナビゲーションシステム等における、自己位置の確立または変更を行う自己位置確定システムにおいて、前記自己位置の生成する場合の位置の誤差共分散行列初期値を設定する際に、請求項1乃至5のうちの1項に記載の航誤差共分散行列初期値設定装置を用いたことを特徴とする
本発明のまた他の構成は、気温や傾斜などの状態の観測装置における、状態の確立または変更を行う観測確立システムにおいて、前記状態の確立または変更を行う場合の状態の誤差共分散行列初期値を設定する際に、上述した誤差共分散行列初期値設定装置を用いたことを特徴とする。
【0033】
本発明の他の構成は、所定状態および誤差共分散行列の初期値を設定してその後の状態および誤差共分散行列を推定するカルマンフィルタを用いたシステムにおける前記誤差共分散行列の初期値を算出し設定する誤差共分散行列初期値設定方法において、前記状態を生成する際に状態の誤差共分散行列初期値を、時間が経過するとともにある観測値が入力されるだろうと想定して状態の誤差を適切な値へ収束させる誤差共分散行列初期値収束方法を用いることを特徴とする。
【0034】
本発明のさらに他の構成は、移動する目標体を追尾する場合に、前記目標体の航跡の生成および航跡諸元の変更を行う航跡生成方法において、前記航跡を生成する場合の航跡の誤差共分散行列初期値を設定する際に、上述した誤差共分散行列初期値設定方法を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
以上説明したように、この発明の構成によれば、誤差共分散行列初期値を、時間が経過するとともにある観測値が入力されるだろうと想定して演算する誤差共分散行列初期値収束手段を持つため、誤差共分散行列初期値を適切な値に算出することができ、状態(航跡)を生成した直後においても状態(航跡)諸元の精度および安定性を向上することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
次に図面により本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の一実施形態の誤差共分散行列初期値設定装置の基になる誤差共分散行列初期値算出器のブロック図、図2はその処理を説明するフロー図である。この図1に示すように、本実施形態のは誤差共分散行列初期値設定装置は、従来例と同様の図6に示す航跡生成システムに用いられるが、誤差共分散行列初期値算出器10の算出結果を基にして、誤差共分散行列初期値を設定するものである。ただし、図6,7の誤差共分散行列初期値算出器10bの代わりに、図1の誤差共分散行列初期値算出器10を用いる。
【0037】
本実施形態において、誤差共分散行列初期値設定装置は、誤差共分散行列初期値算出器10の算出結果を基にして、誤差共分散行列初期値を設定する。誤差共分散行列初期値算出器10は、従来例の図7に対して、誤差共分散行列初期値収束部14が付加されており、また、図2に示すように、従来例の図8に対して、本実施形態は、誤差共分散行列初期値を収束させるステップS4が付加されている。すなわち、本実施形態では、誤差共分散行列初期値算出器10が、変換行列算出部11と、観測誤差分散行列算出部12と、誤差共分散行列初期値算出部13と、誤差共分散行列初期値収束部14と、制御部15とから構成されている。
【0038】
本実施形態において、変換行列算出部11は観測値から変換行列を算出する。観測誤差分散行列算出部12は変換行列および誤差標準偏差を用いて観測誤差分散行列を算出する。誤差共分散行列初期値算出部13は観測誤差分散行列および更新周期を用いて最初の誤差共分散行列初期値を算出する。誤差共分散行列初期値収束部14は観測誤差分散行列、更新周期および駆動雑音を用いて繰返し計算を行い誤差共分散行列初期値を収束させる。得られた収束後の誤差共分散行列初期値を、生成する航跡の誤差共分散行列初期値として使用する。制御部15は、誤差共分散行列初期値算出器10が、変換行列算出部11、観測誤差分散行列算出部12、誤差共分散行列初期値算出部13、誤差共分散行列初期値収束部14を制御し、誤差共分散行列初期値算出器10内の各機能の作動順序の制御を行う。
【0039】
本実施形態における誤差共分散行列初期値収束部14は、「時間が経過するとともにある観測値が入力されるだろう」と想像して航跡の誤差を適切な値へ収束させるよう動作する。
【0040】
本実施形態の主要動作は次の通りである。まず、変換行列算出部11は観測値Qから変換行列ΓCnを算出する(ステップS1)。観測誤差分散行列算出部12は変換行列ΓCnおよび誤差標準偏差σを用いて観測誤差分散行列Wを算出する(ステップS2)。誤差共分散行列初期値算出部13は観測誤差分散行列Wおよび更新周期ΔTを用いて最初の誤差共分散行列初期値Pを算出する(ステップS3)。誤差共分散行列初期値収束部14は観測誤差分散行列W、更新周期ΔTおよび駆動雑音αを用いて繰返し計算を行い誤差共分散行列初期値を収束させる(ステップS4)。得られた収束後の誤差共分散行列初期値を、生成する航跡の誤差共分散行列初期値として使用する。また、制御部15は誤差共分散行列初期値算出器10内の各機能の作動順序の制御を行う。
【0041】
このステップS4は、図3の詳細フロー図に示される。この図は、誤差共分散行列初期値を収束させるための処理を説明している。ここで用いる計算式は、本来追尾処理において徐々に収束していくものであるが、観測値が入力されるだろうと想定して、航跡生成時に一気に収束させるようにしている。そのために追尾処理に用いられる数式を使用する必要がある。
なお、目標の運動モデルΦを設定し、カルマンフィルタの条件から駆動雑音用変換行列Γと駆動雑音分散行列Uを設定する。また、観測行列Hも設定でき、観測誤差分散行列Wも計算できる。なお、図3において、行列およびベクトルの右上添字「T」は、行列およびベクトルの転置を表すこととし、また、行列の右上添字「−1」は、行列の逆行列を表すこととする。また、k−1(kは2以上の整数)は繰り返し計算回数を示す。
【0042】
図3において、前述のステップS3で算出した最初の誤差共分散行列初期値Pと目標の運動モデルΦと駆動雑音用変換行列Γと駆動雑音分散行列Uとを用いて誤差共分散行列の予測値Pチルダが算出できる(ステップS11)。
【0043】
【数12】

【0044】
次に、ステップS11で算出した誤差共分散行列の予測値Pチルダと観測行列Hと観測誤差分散行列Wとを用いてカルマンゲインKが算出できる(ステップS12)。
【0045】
【数13】

【0046】
次に、ステップS11〜S12で算出した誤差共分散行列の予測値PチルダとカルマンゲインKと、単位行列Iと観測行列Hとを用いて誤差共分散行列の推定値Pハットが算出できる(ステップS13)。
【0047】
【数14】

【0048】
最後に、ステップS14で、終了するか否かを判定し、終了しない(否)ならステップS13で算出した誤差共分散行列の推定値を用いて再度ステップS11〜S13を繰り返す。また、ステップS14を終了するなら、ステップS13で算出した誤差共分散行列の推定値を誤差共分散行列初期値算出器10の出力としてステップS4を終了する。なお、ステップS14の判定方法としては、規定の回数に到達したら終了する方法、または誤差共分散行列の推定値が規定の大きさ以内に到達したら終了する方法等がある。
【0049】
なお、最初の誤差共分散行列初期値Pは、予め定義しておいた値を使用して最初の誤差共分散行列初期値として設定することもできる。
【0050】
本実施形態によれば、カルマンフィルタを用いた目標追尾において、追尾する目標の航跡を生成する際に航跡の誤差共分散行列初期値を設定するが、この誤差共分散行列初期値として適切な値を算出し設定することによって、航跡を生成した直後における航跡諸元の精度および安定性を向上する。
【0051】
また、誤差標準偏差および駆動雑音を任意に設定することができ、任意の誤差共分散行列初期値を設定することができるため、航跡を生成した直後において航跡に任意の挙動特性を持たせることができる。
【0052】
また、これら効果については、航跡を生成した場合の他、操作者が航跡諸元を変更した場合や、他のシステムから航跡を移管した場合にも適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
【実施例1】
【0053】
本発明の第1の実施例は、図1〜図3で説明した実施形態と同様である。次に、図1、図2を参照して本実施形態の動作について詳細に説明する。
【0054】
ここでは、従来例と同様に、カルマンフィルタを用いた目標追尾の代表的な例として、観測値Qをセンサ中心の距離rおよび方位θで与え、その誤差をそれぞれの標準偏差σ,σθで与える系を考える。また、航跡諸元は2次元xy座標での位置x ,yおよび速度xドット,yドットとし、駆動雑音として加速度に相当する標準偏差α,αで与える。観測値および航跡の更新周期をΔTとし、航跡の誤差共分散行列をP、その初期値をPとする。このような系を考えると、航跡諸元初期値X、誤差共分散行列初期値P、観測値Q,Qは、前述の式(1)〜(3)で表される。
【0055】
【数1】

【0056】
この誤差共分散行列初期値算出器10は次のように動作する。まず、変換行列算出部11は、観測値Qを用いて変換行列ΓCnを式(4)のように算出する(ステップS1)。
【0057】
【数2】

【0058】
次に、観測誤差分散行列算出部12は、変換行列ΓCnおよび誤差標準偏差σ,σθを用いて観測誤差分散行列Wを式(5)のように算出する(ステップS2)。
【0059】
【数3】

【0060】
さらに、誤差共分散行列初期値算出部13は、観測誤差分散行列Wおよび更新周期ΔTを用いて最初の誤差共分散行列初期値Pを式(6)のように算出する(ステップS3)。
【0061】
【数4】

【0062】
そして、誤差共分散行列初期値収束部14は、観測誤差分散行列W、更新周期ΔTをおよび駆動雑音を用いて繰返し計算を行い誤差共分散行列初期値を収束させる(ステップS4)。
【0063】
このステップS4は、図3のフロー図を用いて詳しく説明する。ここでは、誤差共分散行列初期値を収束させるための処理である。ここで用いる計算式は、本来追尾処理において徐々に収束していくものであるが、観測値が入力されるだろうと想定して、航跡生成時に一気に収束させるようにしている。そのために追尾処理に用いられる数式を使用する必要がある。
【0064】
ここで、目標の運動モデルΦは、航跡の想定する飛行モデルであり、例えば次の式(7)のように定義できる。また、駆動雑音用変換行列Γは、駆動雑音分散行列Uを誤差共分散行列初期値Pに加えるときに必要な変換であり、次の式(8)のようになる。また、駆動雑音分散行列Uは、誤差共分散行列初期値Pへある一定の雑音を付加し、航跡の軌道の不確定さを表すもので、例えば次の式(9)のように定義できる。また、観測行列Hは、誤差共分散行列初期値Pのもつ情報種類から観測値のもつ情報種類を取出す為の行列であり、次の式(10)のようになるが、ここでは、X位置、Y位置のみの情報を取出す働きを持つ。なお、行列およびベクトルの右上添字「T」は、行列およびベクトルの転置を表すこととし、また、行列の右上添字「−1」は、行列の逆行列を表すこととする。
【0065】
【数5】

【0066】
これらの式とステップS3で算出した最初の誤差共分散行列初期値Pとを用いると、誤差共分散行列の予測値Pチルダが、次の式(11)のように算出できる。この式(11)は、収束させるために、擬似的に誤差共分散行列初期値Pを予測することを意味し、追尾処理中では、推定した航跡の誤差に対し、ある時間経過後の誤差を算出している予測式を意味する。ただし、Pハット=Pであり、k−1は繰り返し計算回数を示す。
【0067】
【数6】

【0068】
また、観測行列H、観測誤差分散行列WおよびステップS11で算出した誤差共分散行列の予測値Pチルダを用いると、カルマンゲインKは次の式(12)のように算出できる。この式も、収束させるために、擬似的にカルマンゲインKを求めている。
【0069】
【数7】

【0070】
また、誤差共分散行列の予測値Pチルダと、カルマンゲインKと、単位行列Iと観測行列Hとを用いると、誤差共分散行列の推定値Pハットを次の式(13)のように算出できる。この式(13)も、収束させるために、擬似的にPを推定しており、追尾処理中では、予測した航跡の誤差に対し、ある観測値を得た後の誤差を算出している推定式を意味する。
【0071】
【数8】

【0072】
なお、「航跡の予測値」というのは、継続的に行う追尾処理の最中の、航跡諸元(位置と速度)の時間外挿値(未来の値)のことである。この「航跡の予測値」の誤差範囲も物理的には「誤差共分散行列初期値」と同じ内容であるが、追尾最中であるか、一番初めの値であるか、の相違がある。
【0073】
従って、図3においては、前述のステップS3で算出した最初の誤差共分散行列初期値Pと目標の運動モデルΦと駆動雑音用変換行列Γと駆動雑音分散行列Uとを用いて誤差共分散行列の予測値Pチルダを算出する(ステップS11)。
【0074】
次に、ステップS11で算出した誤差共分散行列の予測値Pチルダと観測行列Hと観測誤差分散行列Wとを用いてカルマンゲインKを算出する(ステップS12)。
【0075】
次に、ステップS11〜S12で算出した誤差共分散行列の予測値PチルダとカルマンゲインKと、単位行列Iと観測行列Hとを用いて誤差共分散行列の推定値Pハットを算出する(ステップS13)。
【0076】
最後に、ステップS14で、終了するか否かを判定し、終了しない(否)ならステップS13で算出した誤差共分散行列の推定値(式(13))を用いて再度ステップS11〜S13を繰り返す。また、ステップS14を終了するなら、ステップS13で算出した誤差共分散行列の推定値を誤差共分散行列初期値算出器10の出力としてステップS4を終了する。なお、ステップS14の判定方法としては、規定の回数に到達したら終了する方法、または誤差共分散行列の推定値が規定の大きさ以内に到達したら終了する方法等がある。
【0077】
次に、本実施例の効果について説明する。本実施例では、誤差共分散行列初期値算出器10の中に誤差共分散行列初期値収束部14を持つ構成となっているため、誤差共分散行列初期値を適切な値に算出することができ、航跡を生成した直後においても航跡諸元の精度および安定性を向上させることができる。
【0078】
また、本実施例では、さらに、誤差標準偏差および駆動雑音を任意に設定することができ且つ誤差共分散行列初期値収束部14を持つ構成であるため、航跡を生成した直後において任意の誤差共分散行列初期値を設定し、航跡に任意の挙動特性を持たせることができる。すなわち、航跡の位置の誤差範囲はセンサ中心の距離および方位による誤差標準偏差σ,σθで任意に与えることができる。
【実施例2】
【0079】
次に、図4は本発明の第2の実施例の誤差共分散行列初期値算出器10aの構成を説明するブロック図、図5はその処理フロー図である。図4を参照すると、本実施例の誤差共分散行列初期値算出器10aの構成は、第1の実施例から変換行列算出部11および図2におけるステップS1を省いたものとなっている。すなわち、本実施例は、観測値が極座標r,θの代わりに座標xyを用いているので、変換行列の算出(S1)が不要となり、計算が実施例1よりも簡単化されている。本実施例は、観測誤差分散行列算出部12aと、誤差共分散行列初期値算出部13と、誤差共分散行列初期値収束部14と、制御部15aとから構成されている。ここで前提となる航跡生成装置20は、従来例の全体構成を図6と同様である。
【0080】
観測誤差分散行列算出部12aは、誤差標準偏差を用いて観測誤差分散行列を算出する。誤差共分散行列初期値算出部13は観測誤差分散行列および更新周期を用いて最初の誤差共分散行列初期値を算出する。誤差共分散行列初期値収束部14は観測誤差分散行列、更新周期および駆動雑音を用いて繰返し計算を行い誤差共分散行列初期値を収束させる。制御部15aは、誤差共分散行列初期値算出器10a内の各機能の作動順序の制御を行う。
【0081】
次に、図4、図5を参照して本実施例の動作について詳細に説明する。ここではカルマンフィルタを用いた目標追尾の代表的な例として、観測値は2次元xy座標で与えられ、その誤差はそれぞれの標準偏差σ,σで与えられる。また、航跡諸元Xも2次元xy座標での位置および速度とし、駆動雑音として加速度に相当する標準偏差で与える。観測値および航跡の更新周期をΔTとし、航跡の誤差共分散行列をPとする。このような系を考えると、航跡諸元初期値X、誤差共分散行列初期値Pは、前述の式(1)(2)と同様で、観測値Q,Qは次の式(14)で与えられる。
【0082】
【数9】

【0083】
まず、観測誤差分散行列算出部12aは,誤差標準偏差σ,σを用いて観測誤差分散行列Wを次の式(15)で算出する(ステップS2a)。
【0084】
【数10】

【0085】
次に、誤差共分散行列初期値算出部13は、観測誤差分散行列Wおよび更新周期ΔTを用いて最初の誤差共分散行列初期値Pを次の式(16)で算出する(ステップS3)。
【0086】
【数11】

【0087】
さらに、誤差共分散行列初期値収束部14は、観測誤差分散行列W、更新周期ΔTおよび駆動雑音を用いて繰返し計算を行い誤差共分散行列初期値を収束させる(ステップS4)。なお、ステップS4は第1の実施例と同様のため説明は省略する。
【0088】
次に、本実施例の効果について説明する。本実施例は、前述のように変換行列の算出(S1)が不要となり、計算が実施例1よりも簡単化されている。また、本実施例でも、第1の実施例と同様に、誤差共分散行列初期値算出器10の中に誤差共分散行列初期値収束部14を持つ構成のため、誤差共分散行列初期値を適切な値に算出することができ、航跡を生成した直後においても航跡諸元の精度および安定性を向上することができる。
【0089】
また、本実施例では、さらに、誤差標準偏差および駆動雑音を任意に設定することができ且つ誤差共分散行列初期値収束部14を持つ構成のため、航跡を生成した直後において任意の誤差共分散行列初期値を設定し航跡に任意の挙動特性を持たせることができる。すなわち、航跡の位置の誤差範囲および航跡の速度の誤差範囲はxy座標のxおよびyによる誤差標準偏差σ,σで任意に与えることができる。
【実施例3】
【0090】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。第1の実施例および第2の実施例では2次元上での目標追尾を前提に説明したが、本実施例では、1次元上で同様に実施することである。航跡諸元初期値、誤差共分散行列初期値、観測値、誤差標準偏差、および駆動雑音の要素が変更となり、それに伴い算出式等が変更となるが公知の理論により求めることができるため、ここでは説明を省略する。
【0091】
さらに、本発明の第4の実施例について説明する。第1の実施例および第2の実施例では2次元上での目標追尾を前提に説明したが、本実施例では、n(ただしnは3以上)次元上で同様に実施することである。航跡諸元初期値、誤差共分散行列初期値、観測値、誤差標準偏差、および駆動雑音の要素が変更となり、それに伴い算出式等が変更となるが公知の理論により求めることができるため、ここでは説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明においては、航空機などの目標体を追尾する場合における、航跡の生成および航跡諸元の変更に適用した場合を説明したが、本発明は、航空機の他に、車両(自動車、戦車)、船舶、ミサイル、人工衛星等移動する物体を追尾する場合における、航跡の生成および航跡諸元の変更にも適用することができる。
【0093】
また、本発明は、ナビゲーションシステム等における、自己位置の確立および変更や、気温や傾斜などの状態の観測装置における、状態の確立および変更にも適用することができる。
【0094】
この場合、ナビゲーションシステム等における、自己位置の確立または変更を行う自己位置確定システムとしては、自己位置を生成または変更する場合の位置の誤差共分散行列初期値を設定する際に、前述した誤差共分散行列初期値設定装置を用いることができる。また、気温や傾斜などの状態の観測装置における、状態の確立または変更を行う観測確立システムとしては、状態の確立または変更する場合の状態の誤差共分散行列初期値を設定する際に、前述した誤差共分散行列初期値設定装置を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1の実施形態の誤差共分散行列初期値算出器を説明するブロック図である。
【図2】図1の処理を説明するフロー図である。
【図3】図2のステップS4の演算処理を説明するフロー図である。
【図4】本発明の第2の実施例の誤差共分散行列初期値算出器を説明するブロック図である。
【図5】図5の処理を説明するフロー図である。
【図6】一般の誤差共分散行列初期値算出器を用いた航跡生成装置の一例のブロック図である。
【図7】従来例(図7)の誤差共分散行列初期値算出器を説明するブロック図である。
【図8】図7の処理を説明するフロー図である。
【符号の説明】
【0096】
10,10a,10b 誤差共分散行列初期値算出器
11 変換行列算出部
12,12a 観測誤差分散行列算出部
13 誤差共分散行列初期値算出部
14 誤差共分散行列初期値収束部
15,15a,15b 制御部
20 航跡生成装置
21 航跡諸元初期値算出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定状態および誤差共分散行列の初期値を設定してその後の状態および誤差共分散行列を推定するカルマンフィルタを用いたシステムにおける前記誤差共分散行列の初期値を算出し設定する誤差共分散行列初期値設定装置において、前記誤差共分散行列初期値を、時間が経過するとともにある観測値が入力されるだろうと想定して状態の誤差を適切な値へ収束させる誤差共分散行列初期値収束手段を有することを特徴とする誤差共分散行列初期値設定装置。
【請求項2】
誤差共分散行列初期値収束手段が、最初の誤差共分散行列初期値から誤差共分散行列の予測値を計算し、この誤差共分散行列の予測値と観測誤差分散行列とを用いてカルマンゲインを計算し、前記誤差共分散行列の予測値と前記カルマンゲインとから誤差共分散行列の推定値を計算し、この誤差共分散行列の推定値が所定範囲にない時、前記誤差共分散行列の推定値を前記最初の誤差共分散行列初期値として次の誤差共分散行列の予測値、推定値を計算し、前記誤差共分散行列の推定値が所定範囲になった時、この演算を終了し、前記誤差共分散行列初期値を収束させる請求項1記載の誤差共分散行列初期値設定装置。
【請求項3】
最初の誤差共分散行列初期値Pが、観測誤差標準偏差から求められた観測誤差共分散行列から計算される時、誤差共分散行列初期値収束手段が、前記誤差共分散行列初期値Pと目標の運動モデルΦと駆動雑音用変換行列Γと駆動雑音分散行列Uとを用いて誤差共分散行列の予測値Pチルダを
【数12】

により算出し(ただし、Pハット=P、k−1{kは2以上の整数}は繰り返し計算回数、また、行列、ベクトルの右上添字「T」は、行列、ベクトルの転置を表し、行列の右上添字「−1」は、行列の逆行列を表す)、前記誤差共分散行列の予測値Pチルダと観測行列Hと観測誤差分散行列Wとを用いてカルマンゲインKを
【数13】

により算出し、前記誤差共分散行列の予測値Pチルダと前記カルマンゲインKと、単位行列Iと観測行列Hとを用いて誤差共分散行列の推定値Pハットを
【数14】

により算出する請求項2記載の誤差共分散行列初期値設定装置。
【請求項4】
観測誤差標準偏差から観測誤差共分散行列Wを計算し、この観測誤差共分散行列Wと更新周期ΔTとから最初の誤差共分散行列初期値Pを計算する、または予め定義しておいた値を使用し最初の誤差共分散行列初期値Pを設定する請求項3記載の誤差共分散行列初期値設定装置。
【請求項5】
観測誤差標準偏差が状態諸元の座標系と異なる座標系で求められた時、観測誤差共分散行列を座標変換行列で変換し、観測誤差共分散行列を求める請求項4記載の航誤差共分散行列初期値装設定置。
【請求項6】
移動する目標体を追尾する場合に、前記目標体の航跡の生成または航跡諸元の変更を行う航跡生成システムにおいて、前記航跡の生成または前記航跡諸元の変更を行う場合の航跡の誤差共分散行列初期値を設定する際に、請求項1乃至5のうちの1項に記載の誤差共分散行列初期値設定装置を用いたことを特徴とする航跡生成システム。
【請求項7】
ナビゲーションシステム等における、自己位置の確立または変更を行う自己位置確定システムにおいて、前記自己位置を生成または変更する場合の位置の誤差共分散行列初期値を設定する際に、請求項1乃至5のうちの1項に記載の誤差共分散行列初期値設定装置を用いたことを特徴とする自己位置確定システム。
【請求項8】
気温や傾斜などの状態の観測装置における、状態の確立または変更を行う観測確立システムにおいて、前記状態の確立または変更する場合の状態の誤差共分散行列初期値を設定する際に、請求項1乃至5うちの1項に記載の誤差共分散行列初期値設定装置を用いたことを特徴とする観測確立システム。
【請求項9】
所定状態および誤差共分散行列の初期値を設定してその後の状態および誤差共分散行列を推定するカルマンフィルタを用いたシステムにおける前記誤差共分散行列の初期値を算出し設定する誤差共分散行列初期値設定方法において、前記状態を生成する際に状態の誤差共分散行列初期値を、時間が経過するとともにある観測値が入力されるだろうと想定して状態の誤差を適切な値へ収束させる誤差共分散行列初期値収束方法を用いることを特徴とする誤差共分散行列初期値設定方法。
【請求項10】
誤差共分散行列初期値収束方法が、最初の誤差共分散行列初期値から誤差共分散行列の予測値を計算し、この誤差共分散行列の予測値と観測誤差分散行列とを用いてカルマンゲインを計算し、前記誤差共分散行列の予測値と前記カルマンゲインとから誤差共分散行列の推定値を計算し、この誤差共分散行列の推定値が所定範囲にない時、前記誤差共分散行列の推定値を前記最初の誤差共分散行列初期値として次の誤差共分散行列の予測値、推定値を計算し、前記誤差共分散行列の推定値が所定範囲になった時、この演算を終了し、前記誤差共分散行列初期値を収束させる請求項9記載の誤差共分散行列初期値設定方法。
【請求項11】
最初の誤差共分散行列初期値Pが、観測誤差標準偏差から求められた観測誤差共分散行列から計算される時、誤差共分散行列初期値収束方法が、前記誤差共分散行列初期値Pと目標の運動モデルΦと駆動雑音用変換行列Γと駆動雑音分散行列Uとを用いて誤差共分散行列の予測値Pチルダを
【数6】

により算出し(ただし、Pチルダ=P、k−1は繰り返し計算回数、また、行列、ベクトルの右上添字「T」は、行列、ベクトルの転置を表し、行列の右上添字「−1」は、行列の逆行列を表す)、前記誤差共分散行列の予測値Pチルダと観測行列Hと観測誤差分散行列Wとを用いてカルマンゲインKを
【数7】

により算出し、前記誤差共分散行列の予測値Pチルダと前記カルマンゲインKと、単位行列Iと観測行列Hとを用いて誤差共分散行列の推定値Pハットを
【数8】

により算出する請求項2記載の誤差共分散行列初期値設定方法。
【請求項12】
観測誤差標準偏差から観測誤差共分散行列Wを計算し、この観測誤差共分散行列Wと更新周期ΔTとから最初の誤差共分散行列初期値Pを計算する、または予め定義しておいた値を使用し最初の誤差共分散行列初期値Pを設定する請求項11記載の誤差共分散行列初期値設定方法。
【請求項13】
観測誤差標準偏差が状態諸元の座標系と異なる座標系で求められた時、観測誤差共分散行列を座標変換行列で変換し、観測誤差共分散行列を求める請求項12記載の航誤差共分散行列初期値装設定方法。
【請求項14】
移動する目標体を追尾する場合に、前記目標体の航跡の生成または航跡諸元の変更を行う航跡生成方法において、前記航跡の生成または前記航跡諸元の変更を行う場合の航跡の誤差共分散行列初期値を設定する際に、請求項9乃至13のうちの1項に記載の誤差共分散行列初期値設定方法を用いたことを特徴とする航跡生成方法。
【請求項15】
ナビゲーションシステム等における、自己位置の確立または変更を行う自己位置確定方法において、前記自己位置を確立または変更する場合の位置の誤差共分散行列初期値を設定する際に、請求項9乃至13のうちの1項に記載の誤差共分散行列初期値設定方法を用いたことを特徴とする自己位置確定方法。
【請求項16】
気温や傾斜などの状態の観測装置における、状態の確立または変更を行う観測確立方法において、前記状態の確立または変更をする場合の状態の誤差共分散行列初期値を設定する際に、請求項9乃至13のうちの1項に記載の誤差共分散行列初期値設定方法を用いたことを特徴とする観測確立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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