説明

船外機の制御装置

【課題】変速機を備えると共に、航行中に船体に作用する水の抵抗が波の影響などによって増加する場合であっても、変速機の動作を適切に制御して船速が低下するのを抑制するようにした船外機の制御装置を提供する。
【解決手段】変速機を備える船外機の制御装置において、内燃機関のスロットル開度THの変化量DTH(S14)と吸気管の吸気管内圧力Pbを検出し(S50)、2速が選択されていると共に、検出されたスロットル開度THの変化量DTHが所定値未満で、かつ検出された吸気管内圧力Pbが第1の所定圧以上減少するとき、負荷変動判定において負荷増と判定し(S52)、2速から1速に変速するように変速機の動作を制御する(S54)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は船外機の制御装置に関し、より詳しくは変速機を備えた船外機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、船外機において、搭載される内燃機関とプロペラシャフトの間に変速機を介挿し、内燃機関の出力を変速してプロペラシャフトに伝達するようにした技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−190671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した船外機が取り付けられた船舶で航行する際、比較的大きな波を乗り越えることがあるが、そのような場合、波の影響によって船体に作用する水の抵抗が増加するため、内燃機関の出力トルクが不足して船速(船舶の速度)が低下するという不都合が生じていた。
【0005】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、変速機を備えると共に、航行中に船体に作用する水の抵抗が波の影響などによって増加する場合であっても、変速機の動作を適切に制御して船速が低下するのを抑制するようにした船外機の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、請求項1にあっては、内燃機関とプロペラの間の動力伝達軸に介挿されると共に、少なくとも1速、2速からなる変速段を有し、前記内燃機関の出力を選択された変速段で変速して前記プロペラに伝達する変速機を備える船外機の制御装置において、前記内燃機関のスロットル開度の変化量を検出するスロットル開度変化量検出手段と、前記内燃機関の吸気管の吸気管内圧力を検出する吸気管内圧力検出手段と、前記2速が選択されていると共に、前記検出されたスロットル開度の変化量が所定値未満で、かつ前記検出された吸気管内圧力が第1の所定圧以上減少するとき、前記2速から前記1速に変速するように前記変速機の動作を制御する変速制御手段とを備える如く構成した。
【0007】
請求項2に係る船外機の制御装置にあっては、前記変速制御手段は、前記2速から前記1速に変速した後、前記検出された吸気管内圧力が第2の所定圧以上増加するとき、前記1速から2速に変速するように前記変速機の動作を制御する如く構成した。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る船外機の制御装置にあっては、内燃機関のスロットル開度の変化量と吸気管内圧力を検出し、2速が選択されていると共に、検出されたスロットル開度の変化量が所定値未満で、かつ検出された吸気管内圧力が第1の所定圧以上減少するとき、2速から1速に変速するように変速機の動作を制御する如く構成したので、航行中に船体に作用する水の抵抗が波の影響などによって増加する場合であっても、変速機の動作を適切に制御でき、船速が低下するのを抑制できる。
【0009】
具体的には、スロットル開度の変化量が所定値未満で、かつ吸気管内圧力が第1の所定圧以上減少する場合(換言すれば、スロットル開度の変化が比較的少ないにも拘らず、吸気管内圧力が減少する場合)、船舶が比較的大きな波を乗り越える状態にあり、その波の影響によって船体に作用する水の抵抗が増加して内燃機関の出力トルクが不足していると判断し、2速から1速に変速する(別言すれば、内燃機関の出力トルクを変速機で増幅させてプロペラシャフトに伝達させる)ように構成したので、船体の水の抵抗が波の影響によって増加する場合であっても、内燃機関の出力トルクの不足分は変速機での出力トルクの増幅によって補われるため、船速の低下を抑制することができる。
【0010】
請求項2に係る船外機の制御装置にあっては、2速から1速に変速した後、検出された吸気管内圧力が第2の所定圧以上増加するとき、1速から2速に変速するように変速機の動作を制御するように構成、即ち、1速に変速した後に吸気管内圧力が第2の所定圧以上増加する場合、船舶が既に波を乗り越え、増加していた船体の水の抵抗が減少して内燃機関の出力トルクが不足している状態は終了したと判断し、そのタイミングで1速から2速に変速する(戻す)ように構成したので、上記した効果に加え、変速機の動作を船舶の航行状態に応じてより一層適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施例に係る船外機の制御装置を船体も含めて全体的に示す概略図である。
【図2】図1に示す船外機の部分断面拡大側面図である。
【図3】図1に示す船外機の拡大側面図である。
【図4】図2に示す変速機構の油圧回路を模式的に示す油圧回路図である。
【図5】図1に示す電子制御ユニットの変速制御動作を示すフロー・チャートである。
【図6】図5フロー・チャートの処理を説明するタイム・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に即してこの発明に係る船外機の制御装置を実施するための形態について説明する。
【実施例】
【0013】
図1はこの発明の実施例に係る船外機の制御装置を船体も含めて全体的に示す概略図、図2は図1に示す船外機の部分断面拡大側面図、図3は船外機の拡大側面図である。
【0014】
図1から図3において、符号1は船外機10が船体(艇体)12に搭載されてなる船舶を示す。船外機10は、図2に良く示すように、スイベルケース14、チルティングシャフト16およびスターンブラケット18を介して船体12の後尾(船尾)に取り付けられる。
【0015】
スイベルケース14の上部には、スイベルケース14の内部に鉛直軸回りに回転自在に収容されるシャフト部20を駆動する操舵用電動モータ22が配置される。操舵用電動モータ22の回転出力は減速ギヤ機構24、マウントフレーム26を介してシャフト部20に伝達され、よって船外機10はシャフト部20を操舵軸として左右に(鉛直軸回りに)操舵される。
【0016】
船外機10の上部には、内燃機関(以下「エンジン」という)30が搭載される。エンジン30は火花点火式の水冷ガソリンエンジンで、排気量2200ccを備える。エンジン30は水面上に位置し、エンジンカバー32によって覆われる。
【0017】
エンジン30の吸気管34には、スロットルボディ36が接続される。スロットルボディ36はその内部にスロットルバルブ38を備えると共に、スロットルバルブ38を開閉駆動するスロットル用電動モータ40が一体的に取り付けられる。
【0018】
スロットル用電動モータ40の出力軸は減速ギヤ機構(図示せず)を介してスロットルバルブ38に接続され、スロットル用電動モータ40を動作させることでスロットルバルブ38が開閉され、エンジン30の吸気量が調量されてエンジン回転数(機関回転数)が調節される。
【0019】
船外機10は、水平軸回りに回転自在に支持されると共に、その一端にプロペラ42が取り付けられ、エンジン30の動力をプロペラ42に伝達するプロペラシャフト(動力伝達軸)44と、エンジン30とプロペラシャフト44の間に介挿されると共に、1速、2速、3速からなる複数の変速段を有する変速機(自動変速機)46を備える。
【0020】
変速機46は、1速、2速、3速からなる変速段を切換自在な変速機構50と、シフト位置を前進位置、後進位置およびニュートラル位置に切換自在なシフト機構52からなる。
【0021】
図4は変速機構50の油圧回路を模式的に示す油圧回路図である。
【0022】
図2および図4に示す如く、変速機構50は、エンジン30のクランクシャフト(図において見えず)に接続されるインプットシャフト(入力軸)54と、インプットシャフト54にギヤを介して接続されるカウンタシャフト56と、カウンタシャフト56に複数のギヤを介して接続されるアウトプットシャフト(出力軸)58とが平行に配置された平行軸式の有段式の変速機構からなる。
【0023】
カウンタシャフト56には、後述する変速機構50の変速クラッチや潤滑部に作動油(潤滑油。オイル)を圧送する油圧ポンプ(ギヤポンプ。図2にのみ示す)60が接続される。シャフト54,56,58や油圧ポンプ60などは、ケース(図2にのみ示す)62に収容される。ケース62の下部は作動油を受けるオイルパン62aを構成する。
【0024】
上記の如く構成された変速機構50においては、シャフト上に相対回転自在に配置されたギヤを変速クラッチでシャフト上に固定することで複数の変速段、詳しくは1速、2速、3速のうちのいずれかの変速段が確立(選択)され、エンジン30の出力は確立(選択)された変速段で変速され、シフト機構52、プロペラシャフト44を介してプロペラ42に伝達される。尚、各変速段の変速比は1速が最も大きく、2速、3速となるに連れて小さくなるように設定される。
【0025】
変速機構50について具体的に説明すると、図4に良く示すように、インプットシャフト54には、インプットプライマリギヤ64が支持される。カウンタシャフト56には、インプットプライマリギヤ64に噛合するカウンタプライマリギヤ66、カウンタ1速ギヤ68、カウンタ2速ギヤ70、カウンタ3速ギヤ72が支持される。
【0026】
また、アウトプットシャフト58には、カウンタ1速ギヤ68に噛合するアウトプット1速ギヤ74、カウンタ2速ギヤ70と噛合するアウトプット2速ギヤ76、カウンタ3速ギヤ72に噛合するアウトプット3速ギヤ78が支持される。
【0027】
上記において、アウトプットシャフト58に相対回転自在に支持されたアウトプット1速ギヤ74を1速用クラッチC1でアウトプットシャフト58に結合すると、1速(ギヤ。変速段)が確立する。尚、1速用クラッチC1は、ワンウェイクラッチからなり、後述する2速または3速用油圧クラッチC2,C3に油圧が供給されて2速または3速が確立し、アウトプットシャフト58の回転数がアウトプット1速ギヤ74のそれより大きくなるとき、アウトプット1速ギヤ74を空転させるように構成される。
【0028】
カウンタシャフト56に相対回転自在に支持されたカウンタ2速ギヤ70を2速用油圧クラッチC2でカウンタシャフト56に結合すると、2速(ギヤ。変速段)が確立する。また、カウンタシャフト56に相対回転自在に支持されたカウンタ3速ギヤ72を3速用油圧クラッチC3でカウンタシャフト56に結合すると、3速(ギヤ。変速段)が確立する。尚、油圧クラッチC2,C3は、油圧が供給されるとき各ギヤ70,72をカウンタシャフト56に結合する一方、油圧が供給されないとき各ギヤ70,72を空転させる。
【0029】
上記したクラッチC1,C2,C3によるギヤとシャフトの結合は、油圧ポンプ60から油圧クラッチC2,C3に供給される油圧を制御することで行われる。
【0030】
図4を参照しつつ説明すると、油圧ポンプ60の吸入口60aは油路80aを介してオイルパン62aに接続される。尚、油路80aにはストレーナ82が介挿される。
【0031】
油圧ポンプ60の吐出口60bは油路80bを介して第1切換バルブ84aに接続されると共に、第1切換バルブ84aは油路80cを介して第2切換バルブ84bに接続される。第1、第2切換バルブ84a,84bの内部には移動自在なスプールがそれぞれ収容される。スプールは一端側(図で左端)でスプリングによって他端側に付勢される。
【0032】
第1、第2切換バルブ84a,84bはスプールの他端側で油路80d,80eを介して第1、第2電磁ソレノイドバルブ(リニアソレノイドバルブ)86a,86bに接続される。第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86bは、油路80bから分岐された油路80f,80gに介挿される。
【0033】
第2切換バルブ84bは油路80hを介して2速用油圧クラッチC2に接続される一方、油路80iを介して3速用油圧クラッチC3に接続される。
【0034】
また、油圧ポンプ60の吐出口60bは、油路80bおよび油路80bから分岐された油路80jを介して変速機46の潤滑部(例えばシャフト54,56,58など)にも接続される。油路80jには、潤滑部へ供給される油圧を調圧するレギュレータバルブ88と、レギュレータバルブ88で調圧された作動油の圧力が規定圧力以上になった場合に作動油をオイルパン62aに戻すリリーフバルブ90が介挿される。
【0035】
尚、第1、第2切換バルブ84a,84bおよび第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86bにはそれぞれ、圧抜き用の油路80kが適宜に接続されると共に、その油路80kの末端はオイルパン62aで開放される。
【0036】
上記の如く構成することで、油圧ポンプ60はエンジン30(正確には、エンジン30の出力が伝達された変速機46のカウンタシャフト56)により駆動され、オイルパン62a内の作動油を油路80a、ストレーナ82を介して汲み上げて吐出口60bから油路80bなどを介して第1切換バルブ84aや第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86bに送る。尚、油圧ポンプ60は、油路80j、レギュレータバルブ88およびリリーフバルブ90を介して変速機46の潤滑部にも作動油(潤滑油)を供給する。
【0037】
第1電磁ソレノイドバルブ86aにおいてその内部に収容されるスプールは通電(オン)されるときに変位し、油圧ポンプ60から供給される油圧を第1切換バルブ84aのスプールの他端側に出力する。第1切換バルブ84aは、他端側に出力された油圧によってスプールが変位させられ、それによって油路80bの作動油を油路80cに送出する。
【0038】
第2電磁ソレノイドバルブ86bも、第1電磁ソレノイドバルブ86aと同様、通電(オン)されるときにスプールが変位し、油圧ポンプ60から供給される油圧を第2切換バルブ84bのスプールの他端側に出力する。
【0039】
第2切換バルブ84bは、第2電磁ソレノイドバルブ86bがオンされて他端側に油圧が出力されるときにスプールが変位させられ、それによって油路80cの作動油を油路80hを介して2速用油圧クラッチC2に供給する一方、第2電磁ソレノイドバルブ86bが通電されずに(オフされて)他端側に油圧が出力されないときは油路80cの作動油を油路80iを介して3速用油圧クラッチC3に供給する。
【0040】
従って、第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86bが共にオフされるときは油圧クラッチC2,C3のいずれにも油圧が供給されないため、アウトプット1速ギヤ74とアウトプットシャフト58が1速用クラッチC1で結合されて1速が確立する。
【0041】
また、第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86bが共にオンされるときは2速用油圧クラッチC2に油圧が供給されるため、カウンタ2速ギヤ70とカウンタシャフト56が結合されて2速が確立する。尚、前述したように、2速が確立してアウトプットシャフト58の回転数がアウトプット1速ギヤ74のそれより大きくなると、ギヤ74は1速用クラッチC1によってシャフト58に非結合となって空転する。
【0042】
さらに、第1電磁ソレノイドバルブ86aがオン、第2電磁ソレノイドバルブ86bがオフされるときは3速用油圧クラッチC3に油圧が供給されるため、カウンタ3速ギヤ72とカウンタシャフト56が結合されて3速が確立する。アウトプット1速ギヤ74は、2速時と同様、空転する。このように、第1、第2切換バルブ84a,84bのオン・オフを制御することで、変速機46の変速段が選択される(変速制御が行われる)。
【0043】
図2の説明に戻ると、シフト機構52は、変速機構50のアウトプットシャフト58に接続されると共に、鉛直軸と平行に配置されて回転自在に支持されるドライブシャフト(バーチカルシャフト)52aと、ドライブシャフト52aに接続されて回転させられる前進ベベルギヤ52bと後進ベベルギヤ52cと、プロペラシャフト44を前進ベベルギヤ52bと後進ベベルギヤ52cのいずれかに係合自在とするクラッチ52dなどからなる。
【0044】
エンジンカバー32の内部にはシフト機構52を駆動するシフト用電動モータ92が配置され、その出力軸は、減速ギヤ機構94を介してシフト機構52のシフトロッド52eの上端に接続自在とされる。シフト用電動モータ92を駆動することにより、シフトロッド52eとシフトスライダ52fが適宜に変位させられ、それによってクラッチ52dを動作させてシフト位置がフォワード位置、リバース位置およびニュートラル位置の間で切り換えられる。
【0045】
シフト位置がフォワード位置あるいはリバース位置のとき、変速機構50のアウトプットシャフト58の回転はシフト機構52を介してプロペラシャフト44に伝達され、よってプロペラ42は船体12を前進あるいは後進させる方向のいずれかに回転させられる。尚、船外機10はエンジン30に取り付けられたバッテリなどの電源(図示せず)を備え、それから各電動モータ22,40,92などに動作電源が供給される。
【0046】
図3に示す如く、スロットルバルブ38の付近にはスロットル開度センサ(スロットル開度変化量検出手段)96が配置され、スロットルバルブ38の開度TH(以下「スロットル開度TH」という)を示す出力を生じる。また、吸気管34においてスロットルバルブ38の下流側には、絶対圧センサ(吸気管内圧力検出手段)98が配置され、吸気管内圧力(絶対圧)Pbに比例する出力を生じる。
【0047】
シフトロッド52eの付近にはニュートラルスイッチ100が配置され、変速機46がニュートラル位置であるときにオン信号を、フォワード位置あるいはリバース位置であるときにオフ信号を出力する。エンジン30のクランクシャフトの付近にはクランク角センサ102が取り付けられ、所定のクランク角度ごとにパルス信号を出力する。
【0048】
上記した各センサやスイッチの出力は、船外機10に搭載された電子制御ユニット(Electronic Control Unit。以下「ECU」という)110に入力される。ECU110はCPUやROM,RAMなどを備えたマイクロ・コンピュータからなり、船外機10のエンジンカバー32の内部に配置される。
【0049】
図1に示す如く、船体12の操縦席112の付近には、操船者(図示せず)によって回転操作自在なステアリングホイール114が配置される。ステアリングホイール114のシャフト(図示せず)には操舵角センサ116が取り付けられ、操船者によって入力されたステアリングホイール114の操舵角に応じた信号を出力する。
【0050】
操縦席112付近にはリモートコントロールボックス120が配置され、そこには操船者の操作自在に配置されるシフト・スロットルレバー122が設けられる。シフト・スロットルレバー122は、初期位置から前後方向に揺動操作自在とされ、操船者からの前後進切換指示と、エンジン30に対する加速/減速指示を含むエンジン回転数の調節指示とを入力する。リモートコントロールボックス120の内部にはレバー位置センサ124が取り付けられ、操船者によって操作されたシフト・スロットルレバー122の位置に応じた信号を出力する。
【0051】
さらに、操縦席112の付近には、エンジン30の燃費(燃料消費量)を低減させる燃費低減指示を入力するスイッチ126が操船者に手動操作自在に設けられる。スイッチ126は、操船者が燃費を重視して走行することを所望する際に操作され(押され)、操作されるとき燃費低減指示を示す信号(オン信号)を出力する。これら各センサ116,124およびスイッチ126の出力もECU110に入力される。
【0052】
ECU110は、入力されたセンサ出力に基づいて各電動モータ22,40,92の動作を制御すると共に、変速機46の変速制御を行う。このように、この実施例に係る船外機の制御装置は、操作系(ステアリングホイール114やレバー122)と船外機10の機械的な接続が断たれたDBW(Drive By Wire)方式の装置である。
【0053】
図5は、ECU110の変速制御動作を示すフロー・チャートである。図示のプログラムは、ECU110によって所定の周期(例えば100msec)ごとに実行される。
【0054】
以下説明すると、先ずS10において、変速機46がニュートラル位置にあるか否か判断する。この判断は、ニュートラルスイッチ100からオン信号が出力されているか否か検出することで行う。S10で否定されるとき(インギヤ時)はS12に進み、スロットル開度THをスロットル開度センサ96の出力から検出(算出)し、S14に進んで検出されたスロットル開度THの所定時間(例えば500msec)当たりの変化量(変動量)DTHを検出(算出)する。
【0055】
次いでS16に進み、操船者からエンジン30に対して減速が指示されたか否か、換言すれば、エンジン30が船舶1を減速させる運転状態にあるか否か判定する。この判定は、スロットルバルブ38が閉弁方向に駆動されているか否か判断することで行い、具体的にはスロットル開度THの変化量DTHが第1の所定値DTHref1(例えば−0.5deg)未満か否か判断することで行う。
【0056】
詳しくは、変化量DTHが負値に設定された第1の所定値DTHref1未満の場合、スロットルバルブ38が閉弁方向に駆動されている、即ち、エンジン30に対して減速が指示されたと判定する一方、所定値DTHref1以上の場合はスロットルバルブ38が略停止あるいは開弁方向に駆動されている、即ち、減速は指示されていないと判定する。
【0057】
S16で否定されるときはS18に進み、加速終了後に3速に変速されたことを示す加速後3速変速済みフラグ(後述。以下「3速変速フラグ」という)のビットが0か否か判断する。3速変速フラグは初期値が0とされるため、最初のプログラムループにおいてS18の判断は通例肯定されてS20に進む。
【0058】
S20においてはクランク角センサ102の出力パルスをカウントしてエンジン回転数NEを検出(算出)し、S22に進んで検出されたエンジン回転数NEの変化量(変動量)DNEを算出する。変化量DNEは、前回のプログラムループで検出されたエンジン回転数NEから今回検出されたそれを減算して求める。
【0059】
次いでS24に進み、加速後2速変速済みフラグ(以下「2速変速フラグ」という)のビットが0か否か判断する。この2速変速フラグのビットは、後述する如く、加速が終了した後に1速から2速に変速されるとき1にセットされる一方、それ以外のとき0にリセットされる。
【0060】
2速変速フラグも初期値が0とされるため、最初のプログラムループにおいてS24の判断は通例肯定されてS26に進み、エンジン回転数NEが第1の所定回転数NEref1以上か否か判断する。この第1の所定回転数NEref1については後に説明する。
【0061】
エンジン始動直後のプログラムループにおいては通例、エンジン回転数NEは第1の所定回転数NEref1未満であるため、S26の判断は否定されてS28に進む。S28では、加速中判定フラグ(後述。図で「加速中フラグ」と示す)のビットが0か否か判断する。加速中判定フラグも初期値が0とされるため、最初のプログラムループにおいてここでの判断は通例肯定されてS30に進む。
【0062】
S30では、操船者からエンジン30に対して加速(正確には急加速)が指示されたか否か、換言すれば、エンジン30が船舶1を加速(正確には急加速)させる運転状態にあるか否か判定する。この判定は、具体的にはスロットルバルブ38が開弁方向に急速に駆動されているか否か判断することで行う。
【0063】
詳しくは、上記S14で検出されたスロットル開度THの変化量DTHと第2の所定値DTHref2とを比較し、変化量DTHが第2の所定値DTHref2以上のとき、スロットルバルブ38が開弁方向に急激に駆動されている、即ち、エンジン30に対して加速が指示されたと判定する。従って、第2の所定値DTHref2は、エンジン30に対して加速の指示がなされたと判定できるような値、例えば0.5degに設定される。
【0064】
S30で否定、即ち、エンジン30に対して加速/減速の指示がなく、エンジン30が始動直後または船舶1を一定速度で走行させるような状態にあると判定されるときはS32に進み、第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86b(図で「第1SOL」「第2SOL」と示す)を共にオンして変速機46において2速の変速段を選択し、次いでS34に進み、加速中判定フラグのビットを0にリセットする。
【0065】
他方、S30で肯定されるときはS36に進み、第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86bを共にオフして変速機46を2速から1速に変速(シフトダウン)する。これにより、エンジン30の出力トルクは1速にシフトダウンさせられた変速機46(正確には、変速機構50)によって増幅させられてドライブシャフト52a、プロペラシャフト44を介してプロペラ42に伝達され、よって加速性が上昇する。
【0066】
次いでS38に進み、加速中判定フラグのビットを1にセットし、今回のプログラムループを終了する。即ち、加速中判定フラグは、エンジン30に対して加速が指示されたと判定され、変速機46が2速から1速に変速されるとき1にセットされる一方、それ以外のときは0にリセットされるフラグである。尚、加速中判定フラグのビットが1にセットされると、次回以降のプログラム実行時はS28で否定されてS30の処理をスキップし、S36,S38の処理を行う。
【0067】
このように、エンジン30が始動させられてから加速が指示されたと判定されるまでの間(通常運転時)は変速機46を2速に設定するように構成したため、急加速以外での船外機10の使い勝手を、変速機を備えない船外機と同等とすることができる。
【0068】
S36で変速機46を1速に変速した後において、エンジン回転数NEが徐々に上昇し、そして1速でのトルク増幅を利用した加速が終了すると(加速領域が飽和すると)、エンジン回転数NEは第1の所定回転数NEref1に到達し、よってS26の判断で肯定されてS40以降の処理に進む。従って、第1の所定回転数NEref1は、比較的高い値に設定され、詳しくは1速での加速が終了したと判断できる値(例えば6000rpm)とされる。
【0069】
S40では、エンジン回転数NEが安定しているか否か判断、換言すれば、エンジン30が安定した運転状態であるか否か判断する。この判断は、S22で算出されたエンジン回転数NEの変化量DNEの絶対値を第1の既定値DNEref1と比較することで行われ、変化量DNEの絶対値が第1の既定値DNEref1未満の場合にエンジン回転数NEが安定していると判断する。従って、第1の既定値DNEref1は、エンジン回転数NEが安定している、別言すれば、変化量DNEが比較的少ない状態であると判定できるような値、例えば500rpmに設定される。
【0070】
S40で否定されるときは1速のままプログラムを終了する一方、肯定されるときはS42に進んで第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86bを共にオンして変速機46を1速から2速に変速(シフトアップ)する。これにより、ドライブシャフト52aおよびプロペラシャフト44の回転数が上昇し、結果として船速が(エンジン性能上の)最高速度に到達し、速度性が向上する。
【0071】
S42の処理後、S44に進んで2速変速フラグのビットを1にセットし、S46に進んで3速変速フラグのビットを0にリセットする。
【0072】
S44において2速変速フラグのビットが1にセットされると、次回以降のプログラム実行時はS24で否定されてS48に進む。このように、S48以降の処理は、2速変速フラグのビットが1にセットされるとき、換言すれば、1速での加速が終了した後に2速に変速される場合に実行される。
【0073】
S48では、スイッチ126がオン信号を出力しているか否か、即ち、操作者によってエンジン30の燃費低減が指示されているか否か判断する。S48で否定されるときはS50に進み、絶対圧センサ98の出力に基づいて吸気管34の吸気管内圧力Pbを検出(算出)し、次いでS52に進み、検出された吸気管内圧力Pbとスロットル開度THの変化量DTHに基づき、エンジン30の負荷に変動があったか否か判定する。
【0074】
S52の処理について詳しく説明すると、例えば船舶1で航行中に比較的大きな波を乗り越えることがあるが、そのような場合、波の影響によって船体12に作用する水の抵抗が増加するため、エンジン回転数NEが下降し、エンジン30の出力トルクが不足(減少)して船速が低下する。
【0075】
そこで、この実施例にあっては、波の影響によってエンジン30の出力トルクが不足していることを、エンジン30の負荷の変動に基づいて検知(推定)すると共に、出力トルクの不足が検知されるときは変速機46の変速段を2速から1速に変速し、エンジン30の出力トルクを変速機46で増幅させ、不足分を補うようにした。
【0076】
具体的には、S52においてはスロットル開度THの変化量DTHが第3の所定値(所定値)DTHref3(例えば0.5deg)未満で、かつ吸気管内圧力Pbが所定時間(例えば500msec)の間に第1の所定圧Pbref1以上減少するとき(換言すれば、吸気管内圧力Pbの所定時間当たりの変化量(変動量)が負側に第1の所定圧Pbref1以上であるとき)、エンジン30の負荷が波の影響によって増加方向に変動し、出力トルクが不足していると判定する。
【0077】
即ち、スロットル開度THがほとんど変化していないにも拘らず、吸気管内圧力Pbが第1の所定圧Pbref1以上減少する場合は、エンジン30の負荷が波の影響を受けて変動(増加)したと推定する。従って、第3の所定値DTHref3は、スロットル開度THの変化が比較的少ない状態であると判定できるような値に設定されると共に、第1の所定圧Pbref1は、波の影響でエンジン30の負荷が変動したと判定できるような値、例えば10kPaに設定される。
【0078】
S52でエンジン30の負荷の変動がない、あるいは比較的少ないと判定されるときはそのままプログラムを終了する一方、負荷が増加方向に変動したと判定されるときはS54に進み、第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86bを共にオフして変速機46を2速から1速に変速(シフトダウン)する。これにより、波の影響による出力トルクの不足分は、1速に変速された変速機46での出力トルクの増幅によって補われることとなり、それによって船速は低下し難くなる、換言すれば、船速の低下が抑制される。
【0079】
S54で2速から1速に変速した後のプログラムループにおいてS52に進む場合、エンジン30の負荷変動判定を再度実行する。これについて詳しく説明すると、船舶1が大きな波を乗り越えた後は、増加していた船体12の水の抵抗が減少するため、エンジン回転数NEが上昇し、エンジン30の出力トルクが不足した状態は終了する。出力トルクが不足した状態が終了すると、エンジン30の出力トルクを1速に変速された変速機46で増幅させる必要はない。
【0080】
そこで、この実施例にあっては、エンジン30の出力トルクが不足した状態が終了したことを、エンジン30の負荷の変動に基づいて検知(推定)すると共に、出力トルクの不足の終了が検知されるときは1速から2速に変速する(戻す)ようにした。
【0081】
具体的には、S52においてはスロットル開度THの変化量DTHが第3の所定値DTHref3未満で、かつ吸気管内圧力Pbが所定時間(例えば500msec)の間に第2の所定圧Pbref2以上増加するとき(換言すれば、吸気管内圧力Pbの所定時間当たりの変化量が正側に第2の所定圧Pbref2以上であるとき)、船体12が波を既に乗り越えたためにエンジン30の負荷が減少方向に変動し、出力トルクが不足している状態は終了したと判定する。
【0082】
即ち、スロットル開度THがほとんど変化していないにも拘らず、吸気管内圧力Pbが第2の所定圧Pbref2以上増加する場合は、波の影響がなくなったためにエンジン30の負荷が変動(減少)したと推定する。従って、第2の所定圧Pbref2は、波の影響がなくなってエンジン30の負荷が変動したと判定できるような値、例えば10kPaに設定される。
【0083】
S52でエンジン30の負荷が減少方向に変動したと判定されるときはS42に進み、前述した如く、第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86bを共にオンして変速機46を1速から2速に変速(シフトアップ)し、次いで前記したS44,S46に進む。
【0084】
一方、S48で肯定されるときはS56に進み、エンジン回転数NEが第2の所定回転数NEref2以上か否か判断する。第2の所定回転数NEref2は、第1の所定回転数NEref1に比して僅かに低い値であって、後述する如く3速に変速可能と判断できるような値、例えば5000rpmに設定される。
【0085】
S56で肯定されるときはS58に進み、S40と同様、エンジン回転数NEが安定しているか否か判断する。即ち、エンジン回転数NEの変化量DNEの絶対値を第2の既定値DNEref2と比較し、変化量DNEの絶対値が第2の既定値DNEref2未満の場合にエンジン回転数NEが安定していると判断する一方、第2の既定値DNEref2以上のときは安定していないと判断する。従って、第2の既定値DNEref2は、変化量DNEが比較的少なくエンジン回転数NEが安定していると判定できるような値、例えば500rpmに設定される。
【0086】
S58で否定されるとき、またはS56で否定されるときは上記したS50,S52の処理へ進む一方、S58で肯定されるときはS60に進み、第1電磁ソレノイドバルブ86aをオン、第2電磁ソレノイドバルブ86bをオフして変速機46を2速から3速に変速(シフトアップ)する。これにより、エンジン回転数NEが低下するため、エンジン30の燃料消費量を低減、換言すれば、燃費が向上する。
【0087】
次いでS62に進み、2速変速フラグのビットを0にリセットし、S64に進んで3速変速フラグのビットを1にセットする。このように、3速変速フラグは、加速終了後に2速から3速に変速されるとき1にセットされる一方、それ以外のとき0にリセットされるフラグである。
【0088】
3速変速フラグのビットが1にセットされた後のプログラム実行時は、S18で否定されて、前述したS60からS64の処理を実行して3速のままプログラムを終了する。
【0089】
また、S16で肯定されるとき、即ち、エンジン30に対して減速が指示されたと判定されるときはS66に進み、第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86bを共にオンして変速機46を2速に変速する。その後、S68,S70,S72に進んで2速変速フラグ、3速変速フラグおよび加速中判定フラグのビットを全て0にリセットしてプログラムを終了する。
【0090】
また、2速が確立されている場合にシフト・スロットルレバー122が操船者によって操作されて変速機46がニュートラル位置に切り換えられると、S10で肯定されてS74に進む。S74では、第1、第2電磁ソレノイドバルブ86a,86bを共にオフして変速機46を2速から1速に変速する。
【0091】
図6は上記S52,S54,S42で行われる、負荷変動判定による変速制御の処理を説明するタイム・チャートである。
【0092】
図6に示すように、加速が終了して変速機46で2速が選択された状態において、時刻t1でスロットル開度THの変化量DTHが第3の所定値DTHref3未満、即ち、スロットル開度THがほとんど変化していないと共に、吸気管内圧力Pbが第1の所定圧Pbref1以上減少するとき(S52)、波の影響によってエンジン30の出力トルクが不足していると判断し、2速から1速に変速する(S54)。
【0093】
変速機46の変速段を2速から1速に変速した後、時刻t2においてスロットル開度THの変化量DTHが第3の所定値DTHref3未満であると共に、吸気管内圧力Pbが第2の所定圧Pbref2以上増加するとき(S52)、船舶1が波を乗り越えて出力トルクが不足した状態は終了したと判断し、1速から2速に変速する(S42)。
【0094】
以上の如く、この発明の実施例にあっては、内燃機関(エンジン)30とプロペラ42の間の動力伝達軸(プロペラシャフト)44に介挿されると共に、少なくとも1速、2速からなる変速段を有し、前記内燃機関の出力を選択された変速段で変速して前記プロペラに伝達する変速機46を備える船外機の制御装置において、前記内燃機関30のスロットル開度THの変化量DTHを検出するスロットル開度変化量検出手段と(スロットル開度センサ96,ECU110。S14)、前記内燃機関30の吸気管34の吸気管内圧力Pbを検出する吸気管内圧力検出手段と(絶対圧センサ98,ECU110。S50)、前記2速が選択されていると共に、前記検出されたスロットル開度THの変化量DTHが所定値(第3の所定値)DTHref3未満で、かつ前記検出された吸気管内圧力Pbが第1の所定圧Pbref1以上減少するとき、前記2速から前記1速に変速するように前記変速機46の動作を制御する変速制御手段と(ECU110。S52,S54)を備える如く構成した。
【0095】
これにより、航行中に船体12に作用する水の抵抗が波の影響などによって増加する場合であっても、変速機46の動作を適切に制御でき、船速が低下するのを抑制できる。具体的には、スロットル開度THの変化量DTHが所定値(第3の所定値)DTHref3未満で、かつ吸気管内圧力Pbが第1の所定圧Pbref1以上減少する場合(換言すれば、スロットル開度THの変化が比較的少ないにも拘らず、吸気管内圧力Pbが減少する場合)、船舶1が比較的大きな波を乗り越える状態にあり、その波の影響によって船体12に作用する水の抵抗が増加してエンジン30の出力トルクが不足していると判断し、2速から1速に変速する(別言すれば、エンジン30の出力トルクを変速機46で増幅させてプロペラシャフト44に伝達させる)ように構成したので、船体12の水の抵抗が波の影響によって増加する場合であっても、エンジン30の出力トルクの不足分は変速機46での出力トルクの増幅によって補われるため、船速の低下を抑制することができる。
【0096】
また、前記変速制御手段は、前記2速から前記1速に変速した後、前記検出された吸気管内圧力Pbが第2の所定圧Pbref2以上増加するとき、前記1速から2速に変速するように前記変速機46の動作を制御する如く構成した(S52,S42)。
【0097】
このように、1速に変速した後に吸気管内圧力Pbが第2の所定圧Pbref2以上増加する場合、船舶1が既に波を乗り越え、増加していた船体12の水の抵抗が減少してエンジン30の出力トルクが不足している状態は終了したと判断し、そのタイミングで1速から2速に変速する(戻す)ように構成したので、変速機46の動作を船舶1の航行状態に応じてより一層適切に制御することができる。
【0098】
尚、上記において、第1から第3の所定値DTHref1,DTHref2,DTHref3や第1、第2の所定圧Pbref1,Pbref2、エンジン30の排気量などを具体的な値で示したが、それらは例示であって限定されるものではない。
【符号の説明】
【0099】
10 船外機、30 エンジン(内燃機関)、34 吸気管、42 プロペラ、44 プロペラシャフト(動力伝達軸)、46 変速機、96 スロットル開度センサ(スロットル開度変化量検出手段)、98 絶対圧センサ(吸気管内圧力検出手段)、110 ECU(電子制御ユニット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関とプロペラの間の動力伝達軸に介挿されると共に、少なくとも1速、2速からなる変速段を有し、前記内燃機関の出力を選択された変速段で変速して前記プロペラに伝達する変速機を備える船外機の制御装置において、
a.前記内燃機関のスロットル開度の変化量を検出するスロットル開度変化量検出手段と、
b.前記内燃機関の吸気管の吸気管内圧力を検出する吸気管内圧力検出手段と、
c.前記2速が選択されていると共に、前記検出されたスロットル開度の変化量が所定値未満で、かつ前記検出された吸気管内圧力が第1の所定圧以上減少するとき、前記2速から前記1速に変速するように前記変速機の動作を制御する変速制御手段と、
を備えることを特徴とする船外機の制御装置。
【請求項2】
前記変速制御手段は、前記2速から前記1速に変速した後、前記検出された吸気管内圧力が第2の所定圧以上増加するとき、前記1速から2速に変速するように前記変速機の動作を制御することを特徴とする請求項1記載の船外機の制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−127670(P2011−127670A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285807(P2009−285807)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】