説明

芳香剤錯化物質としてシクロデキストリンを含むパーソナルケア製品

パーソナルケア製品が提供される。代表的なパーソナルケア製品は、身体又は衣類に適用される組成物又は身体に適用される物品、組成物又は物品の構成成分に結合された複数の粒子であって、複数の粒子のうちの少なくともいくつかは、シクロデキストリン錯化物質及び第1芳香物質を含み、放出前に知覚される芳香剤を最小限に抑えるために、シクロデキストリンと錯体を形成する第1芳香物質の割合は約90%を超える複数の粒子及びシクロデキストリンと錯体を形成せず、第1芳香物質とは異なる第2芳香物質、を含み、組成物又は物品は制汗剤を含有しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シクロデキストリン錯化物質及びシクロデキストリン錯化物質錯体(複合体)を形成する芳香物質を含有する、パーソナルケア製品に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、身体又は衣類に適用される組成物及び身体に着用又は適用される物品を含む、パーソナルケア製品に関する。組成物としては、ボディスプレー、デオドラント製品(身体及び/又は衣類に(例えば、乾燥機用シートによって)適用される)、洗浄製品、柔軟仕上げ剤、スキンケア製品、ヘアケア製品、剃毛組成物及びパーソナルクレンジング製品(例えば、クレンジングバー及びボディウォッシュ)が挙げられるが、これらに限定されない。物品としては、拭取り布、パッチ及び吸収性物品が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な吸収性物品としては、おむつ、女性用衛生製品、失禁用製品及び創傷包帯が挙げられるが、これらに限定されない。組成物及び物品は、シクロデキストリン錯化物質及びシクロデキストリン錯化物質と錯体(複合体)を形成する芳香物質を含む、複数の粒子を含んでいる。粒子は、高レベルの錯化効率を提供するように製造され得る。つまり、放出前に知覚される芳香剤を最小限に抑えるのを助けるために、大部分の芳香剤はシクロデキストリン分子の内部に結合されている。組成物又は物品中に微生物が繁殖する可能性を最小限に抑えるために、粒子は比較的低い水分量を有してもよい。比較的低い水分量を有する粒子は、低下した凝集傾向を有することがある。凝集した粒子は、結合された組成物又は物品に、滑らかでない又はザラザラした感覚をもたらすことがある。本発明のパーソナルケア製品は、身体に適用される組成物及び身体に着用/適用される物品を含むため、かなりの数の使用者にとって、滑らかでない又はザラザラした感覚は望ましくない可能性が高い。
【0003】
好ましい実施形態のいくつかによれば、身体又は衣類に適用される組成物又は身体に適用される物品及び組成物又は物品の構成成分に結合された複数の粒子を含むパーソナルケア組成物が現在までに提供されており、この複数の粒子のうちの少なくともいくつかは、シクロデキストリン錯化物質及び芳香物質を含み、放出前に知覚される芳香剤を最小限に抑えるために、シクロデキストリンと錯体を形成する芳香物質の割合は約90%を超え、組成物は制汗剤活性物質を含有しない。
【0004】
その他の好ましい実施形態によれば、身体又は衣類に適用される組成物又は身体に適用される物品及び組成物又は物品の構成成分に結合された複数の粒子を含むパーソナルケア組成物が現在までに提供されており、複数の粒子のうちの少なくともいくつかは、シクロデキストリン錯化物質及び芳香物質を含み、複数の粒子は、噴霧乾燥工程を含むプロセスを使用して形成され、組成物は制汗剤活性物質を含有しない。
【0005】
更に他の好ましい実施形態によれば、身体又は衣類に適用される組成物又は身体に適用される物品及び組成物又は物品の構成成分に結合された複数の粒子を含むパーソナルケア組成物が現在までに提供されており、複数の粒子は、シクロデキストリン錯化物質及び芳香物質を含み、複数の粒子のうちの少なくともいくつかは、シクロデキストリンと錯体を形成し、複数の粒子は組成物又は物品の構成成分に結合の前に、粒子の約20重量%未満の水分量を有し、組成物は制汗剤活性物質を含有しない。
【0006】
上述のパーソナルケア製品は、シクロデキストリンと錯体を形成せず、錯体化した芳香剤とは異なる第2芳香物質を更に含んでよい。あるいは、これらのパーソナルケア製品は他の芳香剤を実質的に含まず、「無香」、「無臭」、「低刺激」及び「敏感」を含む用語を用いて販売され得る。
【0007】
上述の好ましい実施形態は、明確に制汗剤活性物質を除外している。しかしながら、他の好ましい実施形態は、このような活性物質を含むことができる。これらの好ましい実施形態の1つによれば、水性キャリア物質及び水性キャリア物質中に配置された複数の粒子を含むパーソナルケア製品が現在までに提供されており、複数の粒子はシクロデキストリン錯化物質及び芳香物質を含み、放出前に知覚される芳香剤を最小限に抑えるために、シクロデキストリンと錯体を形成する芳香物質の割合は約90%を超え、複数の粒子は水性キャリア物質の存在に起因する早期の放出を最小限に抑えるために、疎水性コーティングによってコーティングされる。
【0008】
これらの好ましい実施形態の別の1つによれば、水性キャリア物質及び水性キャリア物質中に配置された複数の粒子を含むパーソナルケア製品が現在までに提供されており、複数の粒子はシクロデキストリン錯化物質及び芳香物質を含み、複数の粒子は噴霧乾燥工程を含むプロセスを使用して形成され、複数の粒子は水性キャリア物の存在に起因する早期の放出を最小限に抑えるために、疎水性コーティングによってコーティングされる。
【0009】
別の好ましい実施形態によれば、液体キャリア、液体キャリア内に分散された制汗剤活性物質及び液体キャリア内に分散された複数の粒子を含むパーソナルケア製品が現在までに提供されており、複数の粒子はシクロデキストリン錯化物質及び芳香物質を含み、放出前に知覚される芳香剤を最小限に抑えるために、シクロデキストリンと錯体を形成する芳香物質の割合が約90%を超え、パーソナルケア製品はスプレー、ロールオン又はエアゾールの形態である。
【0010】
更に別の好ましい実施形態によれば、液体キャリア、液体キャリア内に分散された制汗剤活性物質及び液体キャリア内に分散された複数の粒子を含むパーソナルケア製品が現在までに提供されており、複数の粒子はシクロデキストリン錯化物質及び芳香物質を含み、複数の粒子は、噴霧乾燥工程を含むプロセスを使用して形成され、パーソナルケア製品はスプレー、ロールオン又はエアゾールの形態である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、以下の、発明を実施するための好ましい実施形態を参照することにより更に容易に理解され得る。特許請求の範囲は本明細書に記載される具体的な特徴、条件又はパラメーターに限定されるものではなく、本明細書で使用される用語は単に特定の実施形態を例示することにより記述する目的で使用され、特許請求された本発明を限定することを意図するものではないことを理解すべきである。また、添付の特許請求の範囲を包含する本明細書において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は複数形を包含し、特定の数値への参照は、その文脈により特に明確に指示されていない限り、少なくともその特定の数値を包含する。値の範囲が述べられている場合、別の実施形態はその一方の特定の値から及び/又は他方の特定の値までを包含する。同様に、値が、先行する「約」を用いることにより近似値として述べられている場合、その特定の値が別の実施形態を形成するものと理解されるであろう。全ての範囲は、包括的及び結合可能である。
【0012】
本発明のパーソナルケア製品は、シクロデキストリン錯化物質及びシクロデキストリン錯化物質と錯体を形成する芳香物質を含む。パーソナルケア製品は、身体又は衣類に適用される組成物及び身体に着用又は適用される物品を含む。本発明によって意図される代表的な組成物としては、ボディスプレー、デオドラント製品、洗浄製品、スキンケア製品、ヘアケア製品、剃毛組成物及びパーソナルクレンジング製品(例えば、パーソナルクレンジングバー及びボディウォッシュ)が挙げられる。パーソナルケア製品が組成物の形態である際、シクロデキストリン−芳香剤錯体は成分の1つとしてそのまま付加される。
【0013】
パーソナルケア製品が物品の形態である際、シクロデキストリン−芳香剤錯体は、物品の2つ以上の層/構成成分の間で緩く用いられ及び/又は、例えば、スチレン系ブロックコポリマーのような好適な接着剤で物品の層又は構成成分に接着されてよい。パーソナルケア製品としては、拭取り布、パッチなどが挙げられる。本発明のパーソナルケア製品としては、例えば、おむつ、女性用衛生用品、失禁用製品及び創傷包帯のような吸収性物品も挙げられる。吸収性物品は、典型的には、液体透過性トップシート又はカバー層、液体不透過性バックシート又は層及びそれらの間に配置された吸収性コアを含む。物品は、例えば、トップシートの下にある移動層のような追加構成要素を含んでよく、トップシート及び移動層の双方はトップシートから吸収性コアに流体を迅速に移動させ、捕捉後に流体が吸収性コアから離れるのを防ぐ(即ち、「再湿潤」又は「搾り出し」を防ぐ)ことを容易にする。代表的なトップシート及び移動層としては、不織布、織布シート及び孔あきフィルムが挙げられる。代表的な吸収性コアとしては、木材パルプ、ヒドロゲル、吸収性ポリマーなどが挙げられる。代表的なバックシートとしては、ポリオレフィンフィルムが挙げられる。上述のように、錯体は、これらの1つ以上の吸収性物品の構成成分の間で緩く存在するか及び/又は適当な接着剤によって接着されてよい。
【0014】
本発明の好ましい実施形態のいくつかにおいて、パーソナルケア製品は、シクロデキストリンと錯体を形成する第1芳香物質及び第1芳香物質とは異なる非錯体化芳香物質を含む。このように構成することで、初期の香りの発現は、第2芳香物質の放出の際に、異なるものの連続か、二次的な香りの発現を伴ってもたらされる。
【0015】
本発明の他の好ましい実施形態では、パーソナルケア製品は、シクロデキストリンと錯体を形成する芳香物質を含み、いかなる他の芳香物質も実質的に含まない。これらの実施形態では、初期の香りの発現は制限されており、好ましくは、消費者から効果的に「隠れている」という状態である。したがって、これらのパーソナルケア製品は、例えば、「無香」、「無臭」、「低刺激」及び/又は「敏感」のような用語を用いて販売されてよい。トリガー機構(例えば、体液の流れ)又は流体にさらされることによって、芳香剤は放出され、発現がもたらされ、次に消費者に知覚される。
【0016】
代表的なシクロデキストリン錯化物質、芳香物質及び錯体の製造方法を以下で議論する。1つの代表的な実施形態は、本明細書中で提供される。
【0017】
シクロデキストリン錯化物質
本発明のパーソナルケア製品は、例えば、発汗、排尿、月経のようなトリガー機構が起こるまで、芳香物質を実質的に「隠し」てから、芳香物質を「放出」するシクロデキストリン錯化物質を含む。本明細書で使用するとき、用語「シクロデキストリン」は、約6〜約12個のグルコース単位を含有する非置換型シクロデキストリンであって、特にα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン及び/又はこれらの誘導体及び/又はこれらの混合物のような既知である任意のシクロデキストリンのいずれかを含む。例えば、本発明は、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルα−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン、メチル化−α−シクロデキストリン、メチル化−β−シクロデキストリン及びこれらの混合物からなる群から選択されるシクロデキストリンを使用してよい。シクロデキストリンは、組成物又は物品の構成成分の少なくとも約0.1重量%から、少なくとも約1重量%から、少なくとも約2重量%から又は少なくとも約3重量%から約25重量%まで、約20重量%まで、約15重量%まで又は約10重量%までで、パーソナルケア製品内に含まれてよい。
【0018】
芳香物質を含むシクロデキストリン粒子及びシクロデキストリン錯体は、様々な方法で形成されることが可能である。例えば、溶媒(例えば、水)、非担持シクロデキストリン粒子及び芳香物質は容器内に配置され、次に、シクロデキストリン分子の「空隙」中に芳香分子を担持させるために一定時間混合されることが可能である。混合物は、例えば、コロイドミル及び/又はホモジナイザーを使用した加工などで、更に加工されてもされなくてもよい。次に、溶媒は、生じた混合物又はスラリーから実質的に除去され、シクロデキストリン錯体(複合体)粒子を得る。しかしながら、異なる製造技術によって異なる粒子/錯体特性が付与される可能性があり、それはパーソナルケア製品において望ましい場合もあれば、望ましくない場合もある。本発明の好ましい実施形態のいくつかによると、粒子及び/又は錯体は、パーソナルケア製品中に包含される前に、低い水分量を有している。所定容量のシクロデキストリン粒子(少なくともいくつかは、芳香物質と錯体を形成する)において、粒子容量が組成物に包含される前に、粒子の重量の約20%未満の水分量を有することが好ましく、粒子の重量の約10%未満の水分量を有することがより好ましく及び粒子の重量の約6%未満の水分量を有するのが更により好ましい。他の水分量が本発明のパーソナルケア製品に好適であってよく、したがって、これらの好ましい量をシクロデキストリン粒子/錯体の水分量を明記していない請求項に読み込むべきではない。
【0019】
シクロデキストリン−芳香剤錯体のスラリー又は混合物の噴霧乾燥は、上述の好ましい水分量を有するシクロデキストリン粒子及びシクロデキストリン錯体を作製することができる1つの製造技術である。以下の表Iは、噴霧乾燥されたシクロデキストリン錯体と押出成形プロセス(混練)によって形成された錯体との比較を提供する。
【0020】
【表1】

【0021】
表Iに示されるように、水分の含有量においては、USP(2006年8月1日の時点で現行の米国薬局方)<921>の方法Iが、シクロデキストリン錯体の水分量を決定するための分析方法である。
【0022】
表Iから分かるように、これらの2つの方法によって直接明らかにされる水分量は、劇的に異なっている。この比較は、特定の錯体形成プロセスを明記していない付属の請求項から混練/押出成形プロセスを放棄する意図はないと理解されるべきである。むしろ、混練及び押出成形方法又は所望の水分量よりも高い水分量を有する粒子/錯体を形成する他の方法は、最初に形成された後に追加加工を必要としてもよい。例えば、押出成形された錯体は、炉又は乾燥機で加工されるか、一定時間制御された環境にさらすのを必要としてもよい。
【0023】
理論に束縛されるものではないが、比較的高い水分量を有するシクロデキストリン粒子/錯体は、凝集傾向が高いと考えられる。凝集した粒子は、消費者に知覚される寸法に達する可能性があり、つまり、消費者は、組成物を「ザラザラ」していると特徴付ける恐れがある。特に、制汗剤を適用する手段として、製品を身体に擦りつけるような固形の製品形態において、「ザラザラ」した制汗剤組成物を望まない消費者もいる。微生物の繁殖は、組成物の残存成分及び/又は貯蔵パラメーターに応じて、比較的高い水分量を有するシクロデキストリン粒子/錯体を最終組成物に用いることに関連する、その他の潜在的な不利点である。
【0024】
芳香物質との錯化効率又は錯化レベルは、用いる製造技術によって大きく変動する可能性がある、シクロデキストリン錯体のその他のパラメーターである。言い換えれば、シクロデキストリン錯体の外部に結合される芳香物質の割合に対するシクロデキストリン分子の内部に結合される芳香物質の割合である。錯体の外部領域にある芳香物質は、制汗剤のようなトリガー機構を必要とせずに、実質的には遊離して発現する。トリガー機構の前に消費者が芳香物質を知覚する確率は、遊離芳香剤のレベルが上昇するにつれて増加する。トリガー機構の前に芳香物質を知覚することは、シクロデキストリン錯体を用いることにおける全ての組成物の構成及び目的とされる利益によっては、望まれない場合がある。好ましい実施形態の少なくともいくつかによると、シクロデキストリンと錯体を形成する芳香物質の割合は約75%を超え、場合によっては約90%を超え、他の例においては、約95%を超える。これらの芳香物質の錯化レベルは、錯体形成プロセス自体に直接関連すると理解すべきであり、この割合はシクロデキストリン錯体を介して第1の割合の芳香物質を付加し、第2の割合の純芳香物質を付加する製剤設計を示さない。
【0025】
シクロデキストリン−芳香剤錯体のスラリー又は混合物の噴霧乾燥は、上述の芳香剤の錯化レベルを有するシクロデキストリン錯体を作製することができる1つの製造技術である。以下の表IIは、噴霧乾燥されたシクロデキストリン錯体と押出成形プロセス(混練)によって形成された錯体との比較を提供する。
【0026】
【表2】

【0027】
噴霧乾燥は、混練/押出成形プロセスと比較して、非常に少ない遊離芳香剤でシクロデキストリン錯体を作製できることが、表IIから分かる。当業者は、表IIで提供される比較は、特定の錯体形成プロセスを明記しない付属請求項から、混練/押出成形プロセスを放棄することを意図しないことを認識すべきである。むしろ、例えば、追加加工工程は、組成物に包含される前に、押出成形される錯体に結合された遊離芳香剤を最小限に抑えるために必要としてもよい。
【0028】
表IIに示されるように、芳香剤の錯化率を決定する分析方法は、内部標準を加えてテトラヒドロフラン(THF)中に試料を溶解し、毛細管ガスクロマトグラフィー(GC)で分析することで、錯体中の遊離芳香剤濃度を決定する。錯体化した芳香剤の濃度は、内部標準を含有するアセトン中で同一の試料を抽出し、GCで分析することで測定される。
【0029】
錯化効率=錯体化%/[錯体化%+遊離%]
【0030】
元試料調製
内部標準原液(ISSS)
0.625g±0.05gのジフェニルオキシドを、風袋を測定した100mLのメスフラスコに計り入れ、アセトン(ベイカー(Baker)HPLCグレード9254−03)を使用して容量を作製する。これは推奨された内部標準であり、分析される特定の芳香剤によってクロマトグラフィーが重なり合うのを防ぐために、必要に応じて他の材料に置き換えられてよい。
【0031】
標準物質
芳香剤クロマトグラムの全領域の80%以上を占める十分な数(典型的には10〜20)の芳香剤構成成分を選択する。これらの構成成分の合成ブレンドは、芳香剤濃度を測定するのに使用される一次標準物質である。芳香剤の試料は、100%未満の構成成分が検量されるという事実を補正することができる二次標準物質として使用される。
【0032】
一次標準検量用溶液
一次ストック:定量化された0.1g(0.001gまでの精度)の個別の芳香剤成分を、風袋を測定した100mLのメスフラスコに計り入れ、重量を記録する。容量までアセトンで調製する。3.0mLの一次ストックを50mLのメスフラスコにピペットで移し、錯体化検量標準として0.50mLのISSSを付加し、アセトンで容量まで希釈した。3.0mLの一次ストックを、50mLのメスフラスコにピペットで移し、純検量標準として0.50mLのISSSを付加し、THF(ベイカー(Baker)9450−023)で容量まで希釈した。
【0033】
二次芳香剤標準検量溶液
二次ストック:0.5g(0.0001gまでの精度で±0.1g)の芳香剤を、風袋を測定した100mLのメスフラスコに計り入れ、重量を記録する。全芳香剤(アセトン)において抽出された溶液で容量まで作製し、よく混合する。3.0mLの二次ストックを、50mLのメスフラスコにピペットで移し、錯体化芳香剤標準として0.50mLのISSSを付加し、アセトンで容量まで希釈した。3.0mLの二次ストックを50mLのメスフラスコにピペットで移し、純芳香剤標準として0.50mLのISSSを付加し、THFで容量まで希釈した。
【0034】
試料の調製
これらの分析において使用されるASE溶媒抽出機は、ダイオネクス(Dionex)200を使用した。一方の端部にエンドキャップを備える11mLのセル本体(ダイオネクス(Dionex)部品番号47004)中にファイバーフィルター(ダイオネクス(Dionex)#49458)を挿入する。フィルターを押し込んでエンドキャップに合わせる。秤で風袋を測定する。1.000グラム(+/−0.250グラム)の試料をセルに注意深く付加し、実際の重量を記録する。漏斗を使用して、砂(30〜40メッシュ、EMサイエンス(EM Science)EM−SX0075−1又は代替の不活性物質)をセルに充填し、上部にその他のファイバーフィルターを載置し、第2のエンドキャップでセルを閉じる。フィルターが、セルの端部の上ではなくセルの壁内にあるように、若干押し下げるようにしてこのフィルターを適用するよう注意する。これは、エンドキャップのねじ山内にフィルター粒子が蓄積し、抽出中に漏れが引き起こされるのを防ぐためである。試料識別に対応して、セルのシリアル番号を記録する。ASE上にセル及びそれに対応する収集バイアル(60mLダイオネクス(Dionex)48784)を載せる。[注意:それぞれの試料に2つの収集バイアルが必要であり、1つはTHF抽出用(純芳香剤)であり、1つはアセトン抽出物(錯体芳香剤)である。多くの試料を抽出するためには、2つの方法間で異なる温度に起因するアセトン抽出の前に全てのTHFを抽出することが勧められる。]
【0035】
【表3】

【0036】
ASEの調製
溶媒ボトルにおける圧力が69kPa(10psi)であり、システム空気が345kPa(50psi)であり、圧縮炉が896kPa(130psi)であることを確認して十分な窒素フローを確保する。稼動を完了するために、窒素量が適切であるかを確認する。典型的には、15個の試料を抽出するのに6.9MPa(1000psi)の窒素が使用される。上述のASE法を入力し、個別の番号のもとでそれぞれの方法を保存する。例えば、THF法は、番号1として保存され、アセトン法は番号2として保存されることができる。稼動を完了するために、THF及びアセトンの双方の残存容量が適切であるかを確認する。試料毎に、それぞれ約30mLの溶媒が使用される(注意:使用量は、システムによって変化し得る)。残存する収集バイアル及び適切な容量の残存THFを使用するすすぎにより、THFで数回系をすすいでラインを準備し、いかなる空気も取り除く。セル及びセルに対応して標識化した収集バイアルを所定の位置に載置し、ASE法を開始する準備ができる。
【0037】
錯体化芳香剤(アセトン中)におけるASE試料調製後
錯体化芳香剤抽出物を含有するASE収集バイアルを取り除く。収集バイアルのキャップを開ける。0.50mLのISSSをホールピペットで直接収集バイアルに付加する。約30mLのアセトンを付加する。収集バイアルのキャップを固く閉める。約30秒間、よく攪拌する。
【0038】
純芳香剤(THF中)におけるASE試料調製の後
錯体化芳香剤抽出物を含有するASE収集バイアルを取り除く。収集バイアルのキャップを開ける。0.50mLのISSSをホールピペットで直接収集バイアルに付加する。約30mLのテトラヒドロフランを付加する。収集バイアルのキャップを固く閉める。約30秒間、よく攪拌する。
【0039】
装置基準(推奨される型又は源)
ガスクロマトグラフHP5890又はキャピラリー注入口システムを備える同等品
及びピーク積分機能を備える水素炎イオン化検出器
カラム:1.0マイクロメートルのコーティングを備え、内径30m×0.32mmを有するDB−5カラム(J&Wサイエンティフィック社(J&W Scientific)カタログ番号123−5033)。
【0040】
ガスクロマトグラフィー条件
キャリアガス:ヘリウムUHPグレード又は乾燥チューブ及び酸素スクラバーを通して精製された標準グレードのヘリウム。流圧力:30mL/分の分流のもと103kPa(15psi)で調節される。
炉温度:6℃/分で50℃〜250℃、70℃/分で250℃〜315℃、315℃で5分間保持する。
インジェクター温度:250℃
検出器温度:325℃
水素及び空気流:ガスクロマトグラフに使用するために最適化する。
積算閾値2、ピーク幅0.04
インジェクション:1マイクロリットル:スプリットレスモード
【0041】
計算
%分析物=[AvRf(A)(B)×100]/[C×D](式中):
AvRf=標準試料における平均応答因子
A=試料溶液に付加される内部標準
B=試料クロマトグラムにおける分析物のピーク領域
C=試料クロマトグラムにおける内部標準のピーク領域
D=試料重量(グラム)
100=パーセントに変換する係数
【0042】
試料において補正された錯体化%又は遊離%=[試料における全ての個別芳香剤成分の合計×100]/[二次標準物質における全ての個別芳香剤成分の合計]
【0043】
シクロデキストリン錯体は、早期の放出/活性化を最小に抑えるためにコーティングされてよい。一般的に、水の浸透に耐えることができる任意の物質が好適である。コーティング物質としては、例えば、炭化水素、ワックス、ペトロラタム、シリコーン、シリコーン誘導体、部分的又は全てがエステル化されたスクロースエステル及びポリグリセロールエステルが挙げられる。一例としてペトロラタムを使用すると、コーティングプロセスは、シクロデキストリン錯体とペトロラタムとを約1:1の比率で結合する工程及び、次に錯体が十分にコーティングされるまで混合する工程を含む。本明細書で企図されるように、錯体化した芳香剤の放出又は活性化を遅らせるその他の技術は、芳香物質をシクロデキストリンとともに錯体化する前に、例えば、ココナッツ油又はペトロラタムのような閉塞性成分と結合させるものである。芳香物質及びシクロデキストリン−芳香剤錯体は、双方とも場合によってはコーティングされてよい。
【0044】
香り放出システムは、パーソナルケア製品において用いられてよく、このシステムは、上述のように、当業者に既知の他の錯化物質又は封入物質と混合するシクロデキストリン錯化物質を含む。例えば、シクロデキストリン錯化物質と1つ以上の追加封入物質との混合物を含む香り放出システムが用いられてよい。代表的な封入物質としては、デンプン、オリゴ糖、ポリエチレン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ビニルポリマー、シリカ及びアルミノケイ酸塩が挙げられる。市販の封入物質である、ナショナル・スターチ社(National Starch)製のN−ロック(N-Lok)(商標)、ナーレックス(Narlex)(商標)(ST及びST2)及びカプセル・E(Capsul E)(商標)は、本発明において有用である。これらの物質は、α化したろう状のとうもろこしデンプン及び任意でグルコースを含む。デンプンは、オクテニルコハク酸無水物のような一官能性の置換基群を付加することによって修飾される。したがって、本発明の組成物は、純芳香物質、シクロデキストリン−芳香剤錯体及び、上述されるもののようなシクロデキストリン以外の物質で封入される芳香物質を含んでよい。この3つの成分における香り放出システムの芳香剤は同一であっても異なっていてもよい。異なる香り放出技術を組み合わせて、香り発現特性を特化することができる。
【0045】
本発明のパーソナルケア製品は、任意で、悪臭のスカベンジャーとして機能する「非担持」シクロデキストリン粒子を用いてもよいことを理解すべきである。これらの任意のシクロデキストリン粒子は、上述の錯体と同一の特性(又は同一の技術を使用して製造される)を有しても有さなくてもよい。
【0046】
芳香物質
本発明のパーソナルケア製品は、上述のシクロデキストリン錯化物質と錯体を形成する少なくとも1つの芳香物質を用いてよい。シクロデキストリンと錯体を形成し得る代表的で非限定的な芳香物質のリストには、アネトール、ベンズアルデヒド、デシルアルデヒド、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール、ギ酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、イソボルニルアセテート、カンフェン、シス−シトラール(ネラール)、シトロネラール、シトロネロール、シトロネリルアセテート、パラシメン、デカナール、ジヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、メチルベンジルカルビニルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、ジメチルフェニルカルビノール、ユーカリプトール、ヘリオナル、ゲラニアール、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、ゲラニルニトリル、シス−3−ヘキセニルアセテート、ジヒドロシトロネラール、d−リモネン、リナロール、リナロールオキシド、テトラヒドロリナロール、α−メチルイオノン、メチルノニルアセトアルデヒド、メチルフェニルカルビニルアセテート、L−メンチルアセテート、メントン、イソ−メントン、ミルセン、ミルセニルアセテート、ミルセノール、ネロール、ネリルアセテート、ノニルアセテート、フェニルエチルアルコール、フェニルアセトアルデヒド、α−ピネン、β−ピネン、γ−テルピネン、テルピネオール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、テルピニルアセテート、ベルテネックス(パラ−第3級−ブチルシクロヘキシルアセテート)、γ−メチルイオノン、ウンデカラクトン、ウンデシレンアルデヒド、α−ダマスコン、β−ダマスコン、アミルアセテート、レモン油、オレンジ油及びこれらの混合物が挙げられる。
【0047】
パーソナルケア製品及びシクロデキストリンと錯体を形成する芳香物質において、単一の芳香物質のみを含む(香料物質又は他の香気性物質の混合物を含んでよい)ことが望ましいことがある。これらの実施形態において、その目的は、消費者に最初に芳香物質を知覚させる(又は最小限でのみ知覚させる)ことである。このようなパーソナルケア製品は、以下の用語:無香、無臭、敏感及び/又は低刺激のような用語を用いて販売されてよい。使用中、発汗又は他の体液によって、消費者に知覚されることが可能な芳香物質が放出される。
【0048】
一方、シクロデキストリン錯化物質と錯体を形成する少なくとも1つの芳香物質及びパーソナルケア製品中に純芳香剤として付加される少なくとも1つの他の芳香物質である、2つ以上の芳香物質をパーソナルケア製品中に含むことが望ましい場合がある。これらの実施形態では、錯体化された芳香剤及び純芳香剤は互いに異なっていることが好ましい。この違いには、個別の芳香物質に用いられる香料又は他の香気性物質の型(例えば、化学組成を含む)及び数、濃度レベル又はその双方が挙げられる。
【0049】
純芳香物質又は非錯体化芳香物質は、上述の材料を含んでよいか、芳香剤製造における当業者に既知の他の香料/香気性物質を含んでよい。典型的は芳香剤は、アークタンダー(Arctander)著、「香料及び香りの化学(Perfume and Flavor Chemicals)」(「アロマケミカル(Aroma Chemicals)」、1969年、I〜II巻)及びアークタンダー(Arctander)著、「天然由来の香料及び香り物質(Perfume and Flavour Materials of Natural Origin)」(1969年)に記載されている。1982年5月30日にフーパー(Hooper)他に発行された米国特許第4,322,308号明細書及び1981年12月8日にフーパー(Hooper)他に発行された米国特許第4,304,679号明細書には、揮発性フェノール物質(イソアミルサリチレート、ベンジルサリチレート及びタイムレッド油など)、エッセンス油(ゼラニウム油、パチョリ油及びプチグレン油など)、柑橘油、抽出物及び樹脂(ベンゾインシアムレジノイド及びオポポナックスレジノイドなど)、「合成」油(ベルガモットTM 37及びベルガモットTM 430、ゼラニウムTM 76及びポメランソール(Pomeransol)TM 314など)、アルデヒド及びケトン(B−メチルナフチルケトン、p−t−ブチル−A−メチルヒドロシンナミックアルデヒド及びp−t−アミルシクロヘキサノンなど)、多環式化合物(クマリン及びβ−ナフチルメチルエーテルなど)、エステル(ジエチルフタレート、フェニルエチルフェニルアセテート、ノナノリド−1,4(non-anolide 1:4)など)が挙げられるが、これらに限定されない好適な芳香物質が記載されている。
【実施例】
【0050】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明及び実証する。これら実施例は、説明の目的のためのみに提示するものであって、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの変更が可能であるため、本発明を限定するものと解釈すべきではない。
【0051】
実施例1:デオドラントスティック
【0052】
【表4】

【0053】
実施例1は以下のようにして作製できる。ペトロラタムでコーティングされたシクロデキストリン芳香剤錯体を、ハミルトンビーチカスタムグラインドコーヒーグラインダー(モデル80365)中で、噴霧乾燥された錯体粒子とペトロラタム(例えば、ウィトコ社(Witco)製のスーパーホワイトプロトペット(super white protopet))とを1:1の比率で混合することで調製する。グラインダーを最高速度に設定し、シクロデキストリン芳香剤錯体粒子にペトロラタムが完全にコーティングされるまで混合する。混合物は、ペースト状の稠度を有してよい。好適な容器内で、全ての溶媒(プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、水)、ゲル化剤(ステアリン酸ナトリウム、ウィトコノール(Witconol)APM)及びEDTA四ナトリウムを混ぜ合わせ、次に、混合中に80℃まで加熱する。次に、ペトロラタムでコーティングされた錯体ペーストを付加し、混合する。混合物を70℃まで冷却し、次に純香料を付加する。混合物を65℃まで冷却し、デオドラントキャニスターに注ぐ。
【0054】
実施例2及び3:パーソナルクレンジングバー
【0055】
【表5】

【0056】
実施例2及び3は、以下のようにして作製することができる。錯体化した芳香剤と純香料とを混汞器中の石鹸ヌードルに混合する。例えば、3本ロールの石鹸ミルで粉砕することによって材料を加工し、香料と石鹸破砕片の均一な混合物を得る。次に、この材料を押し出し機(plodder)で加工し、石鹸バーに型打ちする。
【0057】
実施例4:エアゾール制汗剤
【0058】
【表6】

【0059】
本発明は、上述の実施例1に示されるように、制汗剤及び/又はデオドラント組成物を含む。本発明による制汗剤/デオドラント組成物に関する、幅広い議論がもたらされる。これらの組成物は、典型的に液体キャリア物質を含む。好適な液体キャリアとしては、任意の局所に安全かつ有効である、有機性のシリコーン含有又はフッ素含有、揮発性又は不揮発性、極性又は非極性の液体キャリアが挙げられるが、これらに限定されない。液体キャリアは、周囲条件下において好ましくは液体であり、液体キャリア材料の混合物の全てが周囲条件下において液体形態であるならば、1つ以上の液体キャリア材料を含むことができる。望ましい製品形態の型によって、組成物中の液体キャリアの濃度は、典型的に、組成物の約10重量%から又は約30重量%から、約90重量%まで又は約75重量%までで変動する。制汗剤/デオドラント組成物は、水性又は無水組成物として処方され得る。水性組成物は、組成物の約10重量%から又は約15重量%から、組成物の約75重量%まで、約60重量%まで又は約50重量%までの水を含んでよい。無水組成物は、組成物の約10%重量未満、約3%重量未満、約1%重量未満又は0重量%の水を含んでよい。
【0060】
制汗剤/デオドラント組成物は、典型的には活性物質も含む。単なる例示ではあるが、制汗剤活性物質は、特にアルミニウム、ジルコニウム及び亜鉛の無機塩及び有機塩である収斂性金属塩、並びにこれらの混合物を包んでよい。好適なデオドラント活性物質の代表的で非限定的なリストには、エチレンジアミン四酢酸、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ジイソブチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウム、N−ラウリルサルコシンナトリウム、N−パルメチルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシン、N−ミリストイルグリシン、N−ラウリルサルコシンカリウム、塩化トリメチルアンモニウム、アルミニウムクロロヒドロキシ乳酸ナトリウム、クエン酸トリエチル、塩化トリセチルメチルアンモニウム、2,4,4’−トリクロロリオ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、3,4,4’−トリクロロカルバニリド(トリクロカルバン)、L−リシンへキサデシルアミド、亜鉛ピリチオン、亜鉛フェノール硫酸塩、ファルネソール及びこれらの混合物が挙げられる。
【0061】
代表的な制汗剤/デオドラント組成物は、所望の粘度、レオロジー、質感及び/又は製品硬度を有する組成物を提供するのに役立つ、あるいは、組成物内に任意の分散固体又は液体を懸濁させるのに役立つ増粘剤も含む。用語「増粘剤」は、組成物に懸濁、ゲル化、粘性化(viscosifying)、固化及び/又は増粘特性を提供することにおいて既知の又はそれ以外の有効な任意の物質又は最終製品形態に他の態様で構造を提供する物質を意味する。これらの増粘剤としては、ゲル化剤、ポリマー又は非ポリマー剤、無機増粘剤又は粘性化剤が挙げられる。増粘剤としては、有機固体、シリコーン固体、結晶性又は他のゲル化剤、粘土又はシリカのような無機粒子又はこれらの混合物が挙げられる。制汗剤/デオドラント組成物に使用するのに選択される増粘剤の濃度及び型は、所望の製品形態、粘土及び硬度によって変化する。本明細書に用いるのに好適な増粘剤の濃度は、組成物の少なくとも約0.1重量%から、少なくとも約3重量%から又は少なくとも約5重量%から、約35重量%以下、約20重量%以下又は約10重量%以下であってよい。好適なゲル化剤の例としては、脂肪酸ゲル化剤、脂肪酸の塩、ヒドロキシ酸、ヒドロキシ酸ゲル化剤、脂肪酸又はヒドロキシ脂肪酸ゲル化剤のエステル及びアミド、コレステロール物質、ジベンジリデンアルジトール、ラノリン物質(lanolinolic materials)、脂肪族アルコール、トリグリセリド、SEFAベヘン酸塩などのスクロースエステル、粘土又はシリカのような無機物質、他のアミド又はポリアミドゲル化剤及びこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0062】
制汗剤/デオドラント組成物は、更に、組成物の物理特性又は化学特性を改良し得る1つ以上の任意の成分を含む、あるいは、皮膚に沈着される際に、付加的な「活性物質」として供されてよい。もちろん、このような任意成分は、物理的及び化学的に適合性があり、あるいは過度に製品の安定性、審美性又は性能を損なわないように含まれることができる。このような任意物質としては、pH緩衝剤、悪臭制御剤、芳香物質、皮膚軟化剤、保湿剤、鎮静剤、染料及び顔料、薬剤、重曹及び関連物質、防腐剤及び、アロエベラ、アラントイン、D−パンテノール、パントテン酸誘導体(例えば、米国特許第6,495,149号明細書に記載されるもの)、アボカド油及び他の野菜油及び地衣類抽出物のような鎮静剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
制汗剤/デオドラント組成物は、例えば、固体、軟固体、スプレー、ロールオン及びエアゾールを含む、様々な形態で製造され得る。エアゾール製品は、組成物中で噴射剤を用いる。代表的な噴射剤としては、ジメチルエーテル、二酸化炭素、亜酸化窒素、1,1ジフルオロエタン、1,1,1,2テトラフルオロエタン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、プロパン及びこれらの混合物が挙げられる。
【0064】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく限定されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図している。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0065】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、その関連部分において本明細書に参照により組み込まれ、いかなる文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを認めるものと解釈すべきではない。本書における用語のいかなる意味又は定義も、参照により組み込まれた文献における同一の用語のいかなる意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0066】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることは当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるかような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)身体又は衣類に適用される組成物又は前記身体に適用される物品、
(b)前記組成物又は前記物品の構成成分に結合された複数の粒子であって、前記複数の粒子が、前記複数の粒子の少なくともいくつかが、シクロデキストリン錯化物質及び第1芳香物質を含み、放出前に知覚される前記第1芳香を最小限に抑えるために、シクロデキストリンと錯体を形成する前記第1芳香物質の割合が90%を超える、複数の粒子及び
(c)前記シクロデキストリンと錯体を形成せず、前記第1芳香物質とは異なる第2芳香物質、を含み、
前記組成物又は物品が制汗剤活性物質を含有しない、パーソナルケア製品。
【請求項2】
前記シクロデキストリンと錯体を形成する前記芳香物質の割合が95%を超える、請求項1に記載のパーソナルケア製品。
【請求項3】
前記製品がボディスプレー、デオドラント製品、洗浄製品、スキンケア製品、ヘアケア製品、剃毛組成物及びパーソナルクレンジング製品からなる群から選択される組成物である、請求項1に記載のパーソナルケア製品。
【請求項4】
前記製品がパーソナルクレンジングバーである、請求項1に記載のパーソナルケア製品。
【請求項5】
前記製品が吸収性物品である、請求項1に記載のパーソナルケア製品。
【請求項6】
前記吸収性物品がおむつ、女性用衛生製品、失禁用製品及び創傷包帯からなる群から選択される、請求項5に記載のパーソナルケア製品。
【請求項7】
前記複数の粒子が噴霧乾燥の工程を含むプロセスを使用して形成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のパーソナルケア製品。
【請求項8】
前記複数の粒子が粒子と前記組成物又は物品の構成成分との結合の前に、前記粒子の20重量%未満の水分量を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のパーソナルケア製品。
【請求項9】
(a)水性キャリア物質及び
(b)前記水性キャリア物質中に配置された複数の粒子、を含むパーソナルケア製品であって、前記複数の粒子はシクロデキストリン錯化物質及び芳香物質を含み、放出前に知覚される前記芳香を最小限に抑えるために、シクロデキストリンと錯体を形成する前記芳香物質の割合が90%を超え、前記複数の粒子が前記水性キャリア物質の存在に起因する早期の放出を最小限に抑えるために、疎水性コーティング物質によってコーティングされてなる、パーソナルケア製品。
【請求項10】
前記疎水性コーティング物質は炭化水素、ワックス、ペトロラタム、シリコーン、シリコーン誘導体、部分的又は全てがエステル化されたスクロースエステル、ポリグリセロールエステル及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項9に記載のパーソナルケア製品。
【請求項11】
制汗剤活性物質及び/又はデオドラント活性物質を更に含む、請求項9又は10に記載のパーソナルケア製品。
【請求項12】
前記制汗剤活性物質及び/又はデオドラント活性物質がアルミニウム含有塩及び/又はジルコニウム含有塩を含む、請求項11に記載のパーソナルケア製品。
【請求項13】
シクロデキストリンと錯体を形成せず、前記芳香物質とは異なる第2芳香物質を更に含む、請求項9〜12のいずれか一項に記載のパーソナルケア製品。
【請求項14】
(a)液体キャリア、
(b)前記液体キャリア内に分散された制汗剤活性物質及び
(c)前記液体キャリア内に分散された複数の粒子を含むパーソナルケア製品であって、前記複数の粒子はシクロデキストリン錯化物質及び芳香物質を含み、放出前に知覚される前記芳香を最小限に抑えるために、前記シクロデキストリンと錯体を形成する前記芳香物質の割合が90%を超え、
前記パーソナルケア製品がスプレー、ロールオン又はエアゾールの形態である、パーソナルケア製品。

【公表番号】特表2010−520861(P2010−520861A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551304(P2009−551304)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050733
【国際公開番号】WO2008/104954
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】