説明

芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルム

【課題】塩素、臭素原子を含有せず、かつ溶解性に優れ、しかもフィルムとしたときに高い機械物性を発現しうる芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムを得ること。
【解決手段】化学式(I)で示される構造単位を含み、化学式(I)で示される構造単位のモル分率をaとしたとき、次式(5)を満足する芳香族ポリアミドとする。
【化1】


:フッ素原子が直接結合したパラ配向芳香族基
5≦a≦50 ・・・(5)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塩素、臭素原子を含有せず、かつ溶解性に優れ、しかもフィルムとしたときに高い機械物性を発現しうる芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族ポリアミドはその高い耐熱性、機械強度から工業材料として有用なポリマーである。特に、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(以下PPTAと記すことがある)に代表されるようなパラ配向性芳香核からなる芳香族ポリアミドはその剛直性から、上記特性に加え機械物性に優れた成形体を与えるのでその利用価値は高い。しかしながらPPTAのごときパラ配向性芳香族ポリアミドは溶媒に対する溶解性が低く、硫酸等極めて限定された溶媒にしか溶解しないためにプロセス上の制約が大きいという問題があり、その改善が求められている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、特許文献2には有機溶媒への溶解性を向上する目的で塩素原子を導入した構造の開示があるが、塩素の導入は、環境への負荷が増大するという懸念があった。
【0004】
環境負荷が小さく、かつ溶解性向上の効果がある構造単位としてフッ素原子を導入する検討も行われてきた。例えば特許文献3には−CFというフッ素原子を導入した芳香族ポリアミドの開示がある。当該文献に開示の芳香族ポリアミドは優れた物性を有するが、溶媒への溶解性が十分ではなく、溶解助剤として塩化リチウム、臭化リチウムの添加が必要であった。
【0005】
また、特許文献4や5にはフッ素を含有する芳香族ポリアミドの開示がある。しかしながら、機械物性と溶解性との両立を目的とした試みはなされておらず、またそのようなフィルムが得られている訳でもない。また、芳香族ポリアミドは芳香環やアミド基が光による酸化劣化を起こすため耐光性の改善が求められてきた。特許文献6には耐光性改善を目的に紫外線吸収剤を添加する開示があるが、紫外線吸収剤は有害なものが多く、また使用中にブリードアウトしたりする問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭62−39634号公報
【特許文献2】特許4082560号公報
【特許文献3】特開2009−79210号公報
【特許文献4】特開2004−66716号公報
【特許文献5】特表平10−508048号公報
【特許文献6】特開2003−239136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。すなわち本発明の目的は、塩素、臭素原子を含有せず、かつ溶解性に優れ、フィルムとしたときに高い機械物性を発現しうる芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明は、化学式(I)で示される構造単位を5〜50モル%含む芳香族ポリアミドであることを特徴とする。
【0009】
【化1】

【0010】
:フッ素原子が直接結合したパラ配向芳香族基
【発明の効果】
【0011】
本発明により、塩素や臭素原子を含まないにも関わらず、溶解性に優れた芳香族ポリアミドを得ることができる。また、本発明の芳香族ポリアミドを用いることにより、フィルムとしたときに高い機械物性を発現できる。しかも、熱膨張係数の小さなフィルムを得ることができるため、回路基板用途などに好適な芳香族ポリアミドフィルムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の芳香族ポリアミドは化学式(I)で示される構造単位を5〜50モル%含んでいる。本構造は、フッ素原子が直接結合したパラ配向芳香族基をカルボニル基に隣接して持つため、分子間水素結合が阻害され、溶解性が向上する。さらに、カルボニル基と水分子とが水素結合することを阻害できるため、吸湿率を低減せしめることが可能となる。また芳香環上のC−H結合数が低減し、光に対し強固な結合であるC−F結合を増加させることで耐光性を向上させることができる。
【0013】
【化2】

【0014】
:フッ素原子が直結したパラ配向芳香族基
化学式(I)で示される構造単位のRは、化学式(V)で表される構造単位から選ばれることが好ましい。
【0015】
【化3】

【0016】
ここで、e〜jは、以下の(1)〜(3)を満たす。
【0017】
1≦ e ≦4 ・・・(1)
1≦ f+g ≦8 ・・・(2)
1≦h+i+j≦12 ・・・(3)
化学式(I)で示される構造単位のRは、耐光性の向上や本発明の芳香族ポリアミドを光導波路のコアとして使用する場合にC−H結合由来の赤外線吸収を低減する目的や、または本発明の芳香族ポリアミドをプロトン交換膜として用いる場合に電解質液による分解から本発明の芳香族ポリアミドを保護する目的においては全フッ素置換であることが好ましい。ここで全フッ素置換とは、化学式(V)の場合において、e=4、f+g=8、h+i+j=12である場合をいう。
【0018】
一方で、芳香族ポリアミドの重合性と得られる芳香族ポリアミドの物性とを両立する目的では、Rは、化学式(X)で表される構造単位から選ばれることが好ましい。
【0019】
【化4】

【0020】
化学式(I)で示される構造単位のRは、最も好ましくは2−フロロ−1,4−フェニレン構造である。このとき、化学式(I)で示される構造単位は化学式(VI)で示される構造単位となる。
【0021】
【化5】

【0022】
化学式(VI)で示される構造単位は極めて剛直な構造を持ち、得られるフィルムの機械強度向上に寄与する。また、複数のフッ素原子が芳香環に置換すると重合時の反応性が低下する等の問題があるが、化学式(VI)で示される構造単位を得る代表的な原料である2−フロロ−テレフタロイルクロライドは良好な反応性を持ち、高分子量の芳香族ポリアミドを得ることができる。さらに無置換のテレフタロイルクロライドが固体であるのに対し、2−フロロ−テレフタロイルクロライドは常温で液体であるため、移送や計量、滴下が容易であり、芳香族ポリアミド重合作業の作業性が向上する。また、固体であれば反応容器の壁面等に付着した場合に未反応原料として残る可能性があるが、液体であれば、そのような懸念が少ないため、反応割合の精度を向上させることができる。
【0023】
本発明の芳香族ポリアミドは、その構造単位に含まれる全ての芳香環がパラ位で結合していることが好ましい。パラ位で結合することによって、芳香族ポリアミドの持つ強い機械物性を発現させることができる。なお、従来はパラ配向性の芳香族ポリアミドは溶解性が不十分となることがあったが、本発明では化学式(I)で示される構造単位を含むことにより、十分な溶解性を持つ。
【0024】
また、本発明の芳香族ポリアミドを構成する構造単位は化学式(I)〜(IV)で示される構造単位から選ばれることが好ましい。
【0025】
【化6】

【0026】
:フッ素原子が直接結合したパラ配向芳香族基
【0027】
【化7】

【0028】
:パラ配向芳香族基
【0029】
【化8】

【0030】
:パラ配向芳香族基
【0031】
【化9】

【0032】
:−CH−、−O−、−SO−、−C(CF−、−SiO−を少なくとも一つ含有するパラ配向芳香族基
化学式(I)で示される構造単位については、上述した通りである。
【0033】
化学式(II)で示される構造単位のRは、パラ配向芳香族基であることが機械強度向上のために好ましい。パラ配向芳香族基としては化学式(XI)で表される構造単位から選ばれるフェニル、ビフェニル、ターフェニルのいずれかであることが好ましい。
【0034】
【化10】

【0035】
より好ましくはフェニルまたはビフェニルであり、最も好ましくはフェニルである。Rがフェニルのとき、化学式(II)で示される構造単位は化学式(VII)で示される構造単位となる。
【0036】
【化11】

【0037】
機械強度を保持したまま芳香族ポリアミドの溶解性をより向上する目的では、化学式(I)で示される構造単位と化学式(II)で示される構造単位の分子長が異なっていることが好ましい。例えば、化学式(I)で示される構造単位として、化学式(VI)で示される構造単位を用いる場合、化学式(II)で示される構造単位としては分子長の同じフェニルではなく、分子長が異なるビフェニルやターフェニルであることが好ましい。異なる分子長の構造単位を導入することで、分子間水素結合の形成が阻害され、溶解性が向上する。
【0038】
化学式(III)で示される構造単位のRは、パラ配向芳香族基であることが機械強度向上のために好ましい。ここで、Rは、芳香環上の一部またはすべての水素原子が−F、−CF、−CH、−NO、−SOH、−SONaで置換されていてもよい。
【0039】
なお、Rとしては化学式(XI)で表される構造単位から選ばれるフェニル、ビフェニル、ターフェニルのいずれかであることが好ましい。ここで、化学式(XI)で表される構造単位の芳香環上の一部またはすべての水素原子が−F、−CF、−CH、−NO、−SOH、および、−SONaからなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい。
【0040】
【化12】

【0041】
化学式(III)で示される構造単位は、最も好ましくは化学式(VIII)で示される構造単位である。
【0042】
【化13】

【0043】
化学式(IV)で示される構造単位のRは、屈曲性の構造単位である−CH−、−O−、−SO−、−C(CF−、−SiO−を少なくとも一つ含有するパラ配向芳香族基であることが好ましい。なお、芳香環上の一部またはすべての水素原子が−F、−CF、−CH、−NO、−SOH、−SONaで置換されていてもよい。化学式(I)〜(III)で示される構造単位は屈曲構造を持たないパラ配向芳香族基であるため、機械物性の向上に寄与する一方、自由度が小さいためフィルムに成形した場合、伸度の小さい脆いフィルムとなることがある。このため、剛直性を阻害しない範囲において化学式(IV)で示される屈曲性の構造単位を導入することが好ましい。
【0044】
化学式(IV)で示される構造単位はさらに好ましくは化学式(IX)で示される構造単位である。
【0045】
【化14】

【0046】
:−CH−、−O−、−SO−、−C(CF−、−SiO−、または−O−Ph−SO−Ph−O−
は最も好ましくは−SO−である。
【0047】
本願発明においては、化学式(I)で表される構造単位のモル分率をa、化学式(II)で表される構造単位のモル分率をb、化学式(III)で表される構造単位のモル分率をc、化学式(IV)で表される構造単位のモル分率をdとしたとき、a、b、cおよびdが次式(4)〜(8)を満足することが好ましい。
【0048】
a+b+c+d=100 ・・・(4)
5≦a≦50 ・・・(5)
0≦b≦45 ・・・(6)
35≦c≦50 ・・・(7)
0≦d≦15 ・・・(8)
aは好ましくは9.9以上45以下、より好ましくは20以上40以下である。bは好ましくは5以上40.1以下、より好ましくは10以上30以下である。cは好ましくは40以上45以下である。dは好ましくは5以上10以下である。
【0049】
また、次式(9)で定義される剛直単位率(R)が、次式(10)を満足することが大きな機械強度と伸度とを両立できるため好ましい。
【0050】
R=100−(100×d×k)/(a+b+c+d×k) ・・・(9)
30≦R≦100 ・・・(10)
なお、kはRに含まれる−CH−、−O−、−SO−、−C(CF−、−SiO−の単位構造あたりの総数を示す。
【0051】
Rは好ましくは50以上、より好ましくは70以上である。
【0052】
また、次式(11)および(12)で定義される、カルボニル基隣接芳香族環のフッ素率(F)が、次式(13)を満足することも好ましい。
【0053】
F=(100×a×p)/(a+b) ・・・(11)
p=e+f+g+h+i+j ・・・(12)
10≦F≦400 ・・・(13)
なお、上記においてe〜jは、前述の化学式(V)における置換フッ素の数を表すが、RやRが複数種の構造を有する芳香族ポリアミドである場合は、それぞれの種のモル分率と置換フッ素数とを乗算し、その合計をもって、上記のpの値とする。
【0054】
Fは好ましくは20以上100以下、より好ましくは40以上80以下である。
【0055】
本発明の芳香族ポリアミドを用いた芳香族ポリアミドフィルムは、ポリマーの剛直構造に由来して大きな機械物性を持つ。
【0056】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムはJIS−K7127−1999に準拠した測定において、少なくとも一方向のヤング率が5GPa以上であることが加工時、使用時に負荷される力に対して抵抗でき、平面性が一層良好となるため好ましい。また少なくとも一方向のヤング率が5GPa以上であることによりフィルムの薄膜化が可能になる。
【0057】
全ての方向のヤング率が5GPa未満であると、加工時に変形を起こすことがある。また、ヤング率に上限はないが、ヤング率が20GPaを超えると、フィルムの靱性が低下し、製膜、加工が困難になることがある。ヤング率は、より好ましくは、少なくとも一方向において7GPa以上であり、さらに好ましくは、少なくとも一方向において10GPa以上である。
【0058】
また、ヤング率の最大値(Em)とそれと直交する方向のヤング率(Ep)の比、Em/Epが、1〜3であると、加工時の裁断性が向上するため好ましい。より好ましくは、1〜2.5であり、さらに好ましくは1〜2である。Em/Epが3を超えると、却って、破断しやすくなることがある。
【0059】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは少なくとも1方向の熱膨張係数が10ppm/℃以下であることが好ましい。熱膨張係数は250℃まで昇温した後に降温過程において測定する。25℃、75RH%における初期試料長をL0、温度T1のときの試料長をL1、温度T2のときの試料長をL2とし、T1からT2の熱膨張係数を以下の式で求める。
【0060】
熱膨張係数(ppm/℃)
=(((L2−L1)/L0)/(T2−T1))×10
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは剛直な構造を有しているため自由度が小さく、熱膨張係数を10ppm/℃以下とすることができる。熱膨張係数が10ppm/℃以下である(小さい)と、ITOやガラス、半導体など熱膨張係数の小さい素材と積層した時に層間の応力を小さくすることができ、カールやクラックの発生を抑制できる。
【0061】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは400nmの波長の光の光線透過率が70%以上であることが好ましい。たとえば、化学式(III)で示される構造単位として、化学式(VII)で示される構造単位を採用し、化学式(IV)で示される構造単位として、化学式(IX)で示される構造単位を用い、Rが−SO−であれば、400nmの波長の光の光線透過率を70%以上とすることができる。400nmの波長の光の光線透過率が70%以上であることによって、紫外線硬化の接着剤が使用可能となる。また、ディスプレイや太陽電池など無色透明が要求される用途に使用できるというメリットがある。
【0062】
さらに本発明の芳香族ポリアミドは化学式(IV)で表される構造単位のモル分率dを小さくすることで、ヘイズを大きくすることができる。ディスプレイ基板などの用途においてはヘイズは小さいことが好ましいが、一方で反射板など、ヘイズを大きく制御して用いる用途がある。この場合、ヘイズは5%以上であることが好ましい。これは製膜時にポリマーが析出するためと考えられ、ヘイズが大きいことが好ましい用途には溶解助剤を用いないポリマー溶液を用いることが好ましい。一方、ヘイズが小さいことが好ましい用途には、化学式(IV)で表される構造単位のモル分率dを大きくしたり、溶解助剤を添加することでヘイズの小さいフィルムを得ることができる。
【0063】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムはJPCA−ES01−2003に準拠した測定においてハロゲンフリーであることも好ましい。本発明において「JPCA−ES01−2003に準拠した測定においてハロゲンフリーであること」を「塩素、臭素原子非含有」と言うこともある。JPCA−ES01−2003に準拠した測定においてハロゲンフリーであることによって、環境負荷への懸念を小さくできる。
【0064】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムはN−メチル−2−ピロリドンに5質量%以上溶解可能であることも好ましい。ここで「N−メチル−2−ピロリドンに5質量%以上溶解可能である」ということ(以下「溶解性が「○」」ということがある)は、N−メチル−2−ピロリドンにポリマーを5質量%以上溶解し、その後25℃で2週間放置後も流動性を保つことをいう。なお、ポリマーを5質量%を超えて溶解せしめて溶解性が「○」の場合は5質量%においても溶解性が「○」である。
【0065】
なお、「流動性を保つ」とは、25℃において100mlのビーカーにポリマー溶液を100ml入れて90°傾けたとき、1時間以内に50ml以上が流れ出る状態をいう。
【0066】
以下に本発明の芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリアミドフィルムを製造する例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0067】
本発明の芳香族ポリアミドは化学式(I)で表される構造単位を5〜50モル%含むことによってN−メチル−2−ピロリドンに5質量%以上溶解可能となる。これにより、溶液製膜法による製膜が可能となり、表面平滑性に優れたフィルムを得ることができる。なお、ヘイズを小さくするなどの目的のために溶解助剤を適宜添加することも可能である。
【0068】
芳香族ポリアミドを得る方法は種々の方法が利用可能であり、例えば、低温溶液重合法、界面重合法、溶融重合法、固相重合法などを用いることができる。低温溶液重合法つまり酸ジクロライドとジアミンから得る場合には、非プロトン性有機極性溶媒中で合成される。ポリマー溶液は、単量体として酸ジクロライドとジアミンを使用すると塩化水素が副生するが、これを中和する場合には水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機の中和剤が使用される。また、イソシアネートとカルボン酸との反応は、非プロトン性有機極性溶媒中、触媒の存在下で行なわれる。
【0069】
なお、全ジアミンと全酸ジクロライドのモル比は95〜105:105〜95が好ましく、この値を外れた場合、成形に適したポリマー溶液を得ることが困難となる。
【0070】
本発明の芳香族ポリアミドの製造において、使用する非プロトン性極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の使用も可能である。さらにはポリマーの溶解を促進する目的で溶媒には50質量%以下のアルカリ金属、またはアルカリ土類金属の塩を溶解助剤として添加することができる。この溶解助剤としては臭化リチウム、塩化リチウムなどが例示できる。
【0071】
本発明の芳香族ポリアミドには、表面形成、加工性改善などを目的として10質量%以下の無機質または有機質の添加物を含有させてもよい。表面形成を目的とした添加剤としては例えば、無機粒子ではSiO、TiO、Al、CaSO、BaSO、CaCO、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、ゼオライト、その他の金属微粉末等が挙げられる。また、好ましい有機粒子としては、例えば、架橋ポリビニルベンゼン粒子、架橋アクリル粒子、架橋ポリスチレン粒子、ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、ポリアミド粒子、フッ素樹脂粒子等の有機高分子からなる粒子、あるいは、表面に上記有機高分子で被覆等の処理を施した無機粒子が挙げられる。
【0072】
次にフィルム化について説明する。
【0073】
本発明の芳香族ポリアミドは有機溶媒に溶けやすいため、PPTAのように濃硫酸を用いた特殊な製膜方法は必ずしも必要としない。上記のように調製された製膜原液は、いわゆる溶液製膜法によりフィルム化が行なわれる。溶液製膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法などがありいずれの方法も採用できるが、本発明の芳香族ポリアミドは溶解性に優れるため、製膜工程の制御が容易な乾湿式法が好ましい。以下、ここでは乾湿式法を例にとって説明する。
【0074】
乾湿式法で製膜する場合は、製膜原液を口金からドラム、エンドレスベルト、フィルム等の支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層が自己保持性をもつまで乾燥する。乾燥条件は例えば、室温〜220℃、60分以内の範囲で行うことができる。またこの乾燥工程で用いられるドラム、エンドレスベルト、フィルム等の支持体の表面を平滑にすることにより表面の平滑な芳香族ポリアミドフィルムが得られる、支持体の表面の一部または全部にマイクロレンズアレイやプリズムシートなどの型を押圧することで、マイクロレンズアレイやプリズムシートなど、形状を付与したフィルムを得ることができる。乾式工程を終えたフィルムは、支持体から剥離されて湿式工程に導入され、脱塩、脱溶媒などが行なわれ、さらに延伸、乾燥、熱処理が行なわれて芳香族ポリアミドフィルムとなる。
【0075】
延伸は延伸倍率として面倍率で0.8〜8(面倍率とは延伸後のフィルム面積を延伸前のフィルムの面積で除した値で定義する。1以下はリラックスを意味する。)の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは1.3〜8である。また、熱処理としては200℃〜500℃、好ましくは250℃〜400℃の温度で数秒から数分間熱処理することが好ましい。さらに、延伸あるいは熱処理後のフィルムを徐冷することは有効であり、50℃/秒以下の速度で冷却することが有効である。
【0076】
本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、単独で利用することもできるし、何らかの支持体上に膜状に形成した状態で利用することも可能である。
【0077】
単独で利用する場合、厚みが1μm〜100μmであることが好ましい。厚みが1μm未満の場合、製膜時や使用時の張力によって、破断することがある。また、100μmを超えると製膜工程において溶媒や溶解助剤の除去が困難になることがある。厚みは好ましくは1μm以上80μm以下、より好ましくは2μm以上60μm以下、最も好ましくは5μm以上30μm以下である。
【0078】
一方、何らかの支持体上に膜状に形成した状態で利用する場合、その膜状部分の厚み(支持体を除いた厚み)としては10μm以下が好ましい。支持体上に膜状物を形成する場合は、片側からの溶媒除去となるため10μmを超えると溶媒除去が困難となることがある。膜状部分の厚みに特に下限は存在しないが、例えば、0.0001μm程度の厚みで均一に塗布するためには蒸着重合法などの方法を用いることが好ましく、これにより極めて薄い膜を形成することが可能となる。また、ポリマー溶液を支持体上に塗布、乾燥して膜を得る場合は、その膜状部分の厚みは0.01μm以上10μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.1μm以上5μm以下、最も好ましくは0.5μm以上3μm以下である。
【0079】
支持体上に膜を形成して利用する形態としては、具体的には例えば凹凸のあるCCD(電荷結合素子)のセンサー部位に充填して表面を平坦化する膜、いわゆるCCD平坦化膜を挙げることができる。この場合、膜状物の片面がCCDのセンサー部位に合わせて凹凸形状を有することになる。もちろん、膜状物の両面が凹凸形状をしていてもよい。
【0080】
また、上述した芳香族ポリアミドやそのコポリマーを含む層を少なくとも1層含む積層体とすることも好ましい。この場合、芳香族ポリアミドやそのコポリマーを含む層以外の層としては、例えば銅箔、ステンレス箔などの金属箔、ガラス、シリコン、インジウムをドープした酸化スズ(ITO)などが挙げられる。また、上述した芳香族ポリアミドやそのコポリマーを含む成形体とすることも好ましい。この場合、成形体としてはマイクロレンズアレイ、プリズムシートなどが挙げられる。
【0081】
上述の芳香族ポリアミドから得られるフィルム(芳香族ポリアミドフィルム)は単層フィルムでも、積層フィルムであってもよい。また、本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、フレキシブルプリント基板、光電複合回路基板、光導波路基板、半導体実装用基板、多層積層回路基板などの回路基板、表示材料基板、透明導電フィルム、位相差フィルム、タッチパネル、などの表示材料、反射材料、コンデンサー、プリンターリボン、音響振動板、太陽電池、光記録媒体、磁気記録媒体のベースフィルム等種々の用途に好ましく用いられる。
【0082】
一般に表示材料基板としてはガラスが用いられているが、本発明の芳香族ポリアミドフィルムを表示材料基板として用いると、薄膜化、軽量化、割れないという大きなメリットがある。本発明の表示材料の種類は特に限定は無いが、薄膜、軽量がメリットとなる薄膜ディスプレイ、あるいは薄膜表示体であることが好ましい。薄膜ディスプレイとしては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、電子ペーパーなどが例示できる。
【0083】
なお、芳香族ポリアミドの構造は、その原料であるジアミンとカルボン酸ジクロライドによって決定される。原料が不明である場合は芳香族ポリアミド組成物から構造分析を行うが、この手法としては、質量分析、核磁気共鳴法による分析、分光分析などを用いることができる。
【実施例】
【0084】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0085】
本発明における物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
【0086】
(1)ヘイズ
下記測定器を用いて測定した。
【0087】
装置:直読ヘーズメーターHGM−2DP(C光源用) (スガ試験機社製)
光源:ハロゲンランプ12V、50W
受光特性:395〜745nm
光学条件:JIS−K7105−1981に準拠
(2)400nmの波長の光の光線透過率
下記装置・条件にて測定した。計算式は以下の通りである。
【0088】
透過率(%)=(T1/T0)×100
ただしT1は試料を通過した光の強度、T0は試料を通過しない以外は同一の距離の空気中を通過した光の強度である。
【0089】
装置:UV測定器U−3410(日立計測社製)
波長範囲:300nm〜800nm(うち、400nmの値を利用)
測定速度:120nm/分
測定モード:透過
(3)熱膨張係数
熱膨張係数はJIS K7197−1991に準拠して250℃まで昇温した後の降温過程に於いて測定した。25℃、75RH%における初期試料長をL0、温度T1のときの試料長をL1、温度T2の時の試料長をL2とし、T1からT2の平均熱膨張係数を以下の式で求め、熱膨張係数とした。なお、T2=100(℃)、T1=200(℃)である。
【0090】
熱膨張係数(ppm/℃)=(((L2−L1)/L0)/(T2−T1))×10
昇温、降温速度:5℃/min
試料幅:4mm
荷重:フィルム厚み10μmの時44.5mN。フィルム厚みに比例して荷重は変更する。
【0091】
(4)ヤング率、引張強度、破断点伸度
JIS−K7127−1999に準拠した測定において、ロボットテンシロンRTA(オリエンテック社製)を用いて、温度23℃、相対湿度65%において測定した。試験片は製膜方向またはバーコーターの移動方向をMD方向、これと直交する方向をTD方向として、MD方向またはTD方向について幅10mmで長さ50mmの試料とした。引張速度は300mm/分である。但し、試験を開始してから荷重が1Nを通過した点を伸びの原点とした。
【0092】
(5)溶解性
N−メチル−2−ピロリドンにポリマーを5質量%溶解し、25℃で2週間放置後も流動性を保つものを溶解性「○」と評価した。
【0093】
なお、「流動性を保つ」とは、25℃において100mlのビーカーにポリマー溶液を100ml入れて90°傾けたとき、1時間以内に50ml以上が流れ出る状態をいう。
【0094】
(6)ハロゲンフリー
JPCA−ES01−2003に準拠して測定した。
【0095】
(実施例1)
攪拌機を備えた200ml3つ口フラスコ中に2,2’−ジトリフロロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(東レ・ファインケミカル社製)4.87g、N−メチル−2−ピロリドン88mlを入れ窒素雰囲気下、0℃に冷却、攪拌しながら30分かけて2−フロロテレフタロイルジクロライド(イハラニッケイ社製)3.33gを滴下ロートを用いて滴下した。
【0096】
さらに1時間攪拌した後、反応で発生した塩化水素を炭酸リチウムで中和してポリマー溶液を得た。また、このポリマー溶液は2週間放置後も流動性を保っていた。
【0097】
得られたポリマー溶液の一部をガラス板上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これを120℃で7分間加熱し、自己保持性のフィルムを得た。得られたフィルムをガラス板から剥がし金枠に固定して、流水中10分間水洗し、さらに280℃1分で熱処理を行い芳香族ポリアミドフィルムを得た(乾湿式製膜)。得られたポリマー、フィルムの物性を測定し、表に示した。
【0098】
(実施例2)
攪拌機を備えた200ml3つ口フラスコ中に無水臭化リチウム1.39gを入れ、窒素気流下攪拌をしながら120℃まで加熱して乾燥した。30℃まで放冷した後に2,2’−ジトリフロロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(東レ・ファインケミカル社製)4.50g、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン(和歌山精化株式会社製「44DDS」)0.39g、N−メチル−2−ピロリドン86mlを入れ窒素雰囲気下、0℃に冷却、攪拌しながら30分かけて2−フロロテレフタロイルジクロライド(イハラニッケイ社製)0.69gを滴下ロートを用いて滴下した。さらに攪拌しながら30分かけてテレフタロイルジクロライド(東京化成社製)2.53gを5回に分けて添加した。
【0099】
さらに1時間攪拌した後、反応で発生した塩化水素を炭酸リチウムで中和してポリマー溶液を得た。また、このポリマー溶液は2週間放置後も流動性を保っていた。
【0100】
得られたポリマー溶液の一部をガラス板上に取り、バーコーターを用いて均一な膜を形成せしめた。これを120℃で7分間加熱し、自己保持性のフィルムを得た。得られたフィルムをガラス板から剥がして金枠に固定して、流水中10分間水洗し、さらに280℃1分で熱処理を行い芳香族ポリアミドフィルムを得た(乾湿式製膜)。得られたポリマー、フィルムの物性を測定し、表に示した。
【0101】
(実施例3〜5)
使用するジアミンや酸クロライドを以下に記載のものに変更する以外は、実施例1と同様にしてポリマーおよびフィルムを得た。各種物性を表1、2に示す。
【0102】
(比較例1)
実施例1において、2−フロロテレフタロイルジクロライド(イハラニッケイ社製)3.33g(15.2mmol)をテレフタロイルジクロライド(東京化成社製)3.06g(15.2mmol)に変更する以外は同様にして、重合した。2−フロロテレフタロイルジクロライドは液体のため滴下できたのに対し、テレフタロイルジクロライドは固体のため、滴下ロートは使用できず、粉体ロートを用いて手作業で添加する必要があり、作業性が悪化した。また、重合の途中段階では粘度のあるポリマー溶液が得られるが、テレフタロイルジクロライドを全量添加すると、粘度が上昇し過ぎて流動性のないゲル状の固形物となった。
【0103】
(比較例2)
使用するジアミンや酸クロライドを以下に記載のものに変更する以外は、比較例1と同様にして重合を行った。テレフタロイルジクロライドを全量添加すると、粘度が上昇し過ぎて流動性のないゲル状の固形物となった。
【0104】
【表1】

【0105】
【表2】

【0106】
【化15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(I)で示される構造単位を含み、化学式(I)で示される構造単位のモル分率をaとしたとき、次式(5)を満足する芳香族ポリアミド。
【化1】

:フッ素原子が直接結合したパラ配向芳香族基
5≦a≦50 ・・・(5)
【請求項2】
化学式(I)で示される構造単位のRが化学式(V)で表される構造単位のいずれかから選ばれた、請求項1に記載の芳香族ポリアミド。
【化2】

ここで、e〜jは、以下の(1)〜(3)を満たす。
1≦ e ≦4 ・・・(1)
1≦ f+g ≦8 ・・・(2)
1≦h+i+j≦12 ・・・(3)
【請求項3】
全ての芳香環がパラ位で結合している、請求項1または2に記載の芳香族ポリアミド。
【請求項4】
芳香族ポリアミドを構成する構造単位が化学式(I)〜(IV)で示される構造単位から選ばれる、請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリアミド。
【化3】

:フッ素原子が直接結合したパラ配向芳香族基
【化4】

:パラ配向芳香族基
【化5】

:パラ配向芳香族基
【化6】

:−CH−、−O−、−SO−、−C(CF−、−SiO−を少なくとも一つ含有するパラ配向芳香族基
【請求項5】
請求項4において、化学式(I)で表される構造単位のモル分率をa、化学式(II)で表される構造単位のモル分率をb、化学式(III)で表される構造単位のモル分率をc、化学式(IV)で表される構造単位のモル分率をdとしたとき、a、b、cおよびdが次式(4)〜(8)を満足する、請求項4に記載の芳香族ポリアミド。
a+b+c+d=100 ・・・(4)
5≦a≦50 ・・・(5)
0≦b≦45 ・・・(6)
35≦c≦50 ・・・(7)
0≦d≦15 ・・・(8)
【請求項6】
次式(9)で定義される剛直単位率(R)が、次式(10)を満足する、請求項4または5に記載の芳香族ポリアミド。
R=100−(100×d×k)/(a+b+c+d×k) ・・・(9)
ただし、kはRに含まれる−CH−、−O−、−SO−、−C(CF−、−SiO−の単位構造あたりの総数を示す。
30≦R≦100 ・・・(10)
【請求項7】
次式(11)および(12)で定義される、カルボニル基に隣接する芳香族環のフッ素率(F)が、次式(13)を満足する、請求項4〜6のいずれかに記載の芳香族ポリアミド。
F=(100×a×p)/(a+b) ・・・(11)
p=e+f+g+h+i+j ・・・(12)
10≦F≦400 ・・・(13)
【請求項8】
化学式(I)で示される構造単位が化学式(VI)で示される構造単位である、請求項4〜7のいずれかに記載の芳香族ポリアミド。
【化7】

【請求項9】
化学式(II)で示される構造単位が化学式(VII)で示される構造単位である、請求項4〜8のいずれかに記載の芳香族ポリアミド。
【化8】

【請求項10】
化学式(III)で示される構造単位が化学式(VIII)で示される構造単位である、請求項4〜9のいずれかに記載の芳香族ポリアミド。
【化9】

【請求項11】
化学式(IV)で示される構造単位が化学式(IX)で示される構造単位である、請求項4〜10のいずれかに記載の芳香族ポリアミド。
【化10】

:−CH−、−O−、−SO−、−C(CF−、−SiO−、または、−O−Ph−SO−Ph−O−
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の芳香族ポリアミドを用いた芳香族ポリアミドフィルム。
【請求項13】
ヘイズが5%以上である、請求項12に記載の芳香族ポリアミドフィルム。
【請求項14】
400nmの波長の光の光線透過率が70%以上である、請求項12または13に記載の芳香族ポリアミドフィルム。
【請求項15】
少なくとも1方向の熱膨張係数が10ppm/℃以下である、請求項12〜14のいずれかに記載の芳香族ポリアミドフィルム。
【請求項16】
少なくとも1方向のヤング率が5GPa以上である、請求項12〜15のいずれかに記載の芳香族ポリアミドフィルム。
【請求項17】
JPCA−ES01−2003に準拠した測定においてハロゲンフリーである、請求項12〜16のいずれかに記載の芳香族ポリアミドフィルム。
【請求項18】
N−メチル−2−ピロリドンに5質量%以上溶解可能である、請求項12〜17のいずれかに記載の芳香族ポリアミドフィルム。
【請求項19】
請求項12〜18のいずれかに記載の芳香族ポリアミドフィルムを用いた表示材料。
【請求項20】
請求項12〜18のいずれかに記載の芳香族ポリアミドフィルムを用いた回路基板。
【請求項21】
請求項12〜18のいずれかに記載の芳香族ポリアミドフィルムを用いた反射材料。

【公開番号】特開2011−162775(P2011−162775A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3682(P2011−3682)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】